JPH11124734A - 繊維構造体 - Google Patents

繊維構造体

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JPH11124734A
JPH11124734A JP28577697A JP28577697A JPH11124734A JP H11124734 A JPH11124734 A JP H11124734A JP 28577697 A JP28577697 A JP 28577697A JP 28577697 A JP28577697 A JP 28577697A JP H11124734 A JPH11124734 A JP H11124734A
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JP
Japan
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organic polymer
refractive index
optical refractive
reflection
fiber structure
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JP28577697A
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English (en)
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Mari Asano
真理 浅野
Toshimasa Kuroda
俊正 黒田
Susumu Shimizu
進 清水
Akio Sakihara
明男 先原
Kinya Kumazawa
金也 熊沢
Hiroshi Tabata
洋 田畑
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特性、
紫外線の反射特性の少なくともいずれかの機能を有し、
極めて容易かつ安価に製造できる繊維構造体を提供す
る。 【解決手段】 光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特
性、紫外線の反射特性の少なくともいずれかの機能を有
し、一軸方向に長軸を有する繊維構造体であって、長軸
に垂直な断面が、光学屈折率na、厚さdaを有する第1の
有機ポリマー層101と、光学屈折率nb、厚さdbを有す
る第2の有機ポリマー層102とが厚さ方向に交互に積
層された断面構造を有し、1.3≦na、かつ、1.01≦nb/na
≦1.20の条件下で、反射ピーク波長λがλ=2(na・da+n
b・db)の条件式を充たすものとした。また好ましくは、
第1の有機ポリマーと第2の有機ポリマーとの光学屈折
率の比nb/naが、1.03≦nb/na≦1.05の範囲とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光の反射・干渉機能
によって、可視光線領域の波長の光を発色したり、紫外
線や赤外線を反射したりする繊維構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から各種繊維や建材、自動車の塗装
等へ色味を付与したり、紫外線や赤外線を反射させる手
段として、あるいはそれらの質感や風合いを一層向上さ
せるため、無機あるいは有機系の染料や顔料を用いた
り、さらにはアルミフレークやマイカ等の光輝材を塗料
中に分散させるものが利用されてきた。
【0003】ところが、近年のユーザーの多嗜好、パー
ソナル化、高級化の傾向と相俟って、例えば色味を例に
挙げても、見る方向によって色味が変わったり、より彩
度の高い色味を有する優美かつ高級感のある繊維構造体
が要望されるようになってきた。そのため、染料や顔料
等の色素を使わず光の反射・干渉、回折、散乱等の物理
現象を積極的に使って発色する構造体や、あるいはそれ
らの物理現象による発色と従来の染料や顔料等による発
色とを組み合わせて、両者の相乗効果により一層鮮やか
に発色させる構造体が鋭意研究されている。
【0004】このような構造体の一つとして、例えば、
特公昭43−14185号公報や特開平1−13980
3号公報には屈折率の異なる2種類以上の樹脂からなる
被覆型の複合繊維を形成することにより、真珠光沢を発
する複合繊維が開示されている。また、第2として、繊
維機械学会誌Vol.42,No.2(P.55,1989年)及び同学会
誌Vol.42,No.2(P.160,1989年)には、分子配向性フィ
ルムを偏光フィルムでサンドイッチした構造とすること
により発色する材料も発表されている。
【0005】さらに、第3として特開昭59−2280
42号公報、特公昭60−24847号公報、特公昭6
3−64535号公報等には、見る方向により色味を変
え、鮮やかな色味を発することで有名な南米産モルフォ
蝶にヒントを得た織物も開発されている。さらにまた、
第4として、特開昭62−170510号公報及び特開
昭63−120642号公報には繊維表面に一定幅の細
隙を設けることにより干渉色を発する構造体が開示され
ており、染料や顔料を用いていないので堅牢性が高く経
時変化のない旨が記載されている。
【0006】しかしながら、上記従来のもののうち、第
1の複数樹脂による被覆型複合繊維においては、光学厚
み(被覆層の厚み×その屈折率)が必ずしも均一ではな
く、また発色領域も限定されていたため、干渉色本来の
透明感のある鮮やかな色味からはほど遠いものであっ
た。また、偏光フィルムを用いた第2のものでは、細い
繊維や微小なチップ(小片)を安価で製造することが困
難であったり、鮮やかさも未だ十分ではなかった。さら
に第3及び第4のものは、所望の発色体を製造するのが
実用上きわめて困難であった。
【0007】そこで、これらを解決するものとして、本
出願人は先に、光の反射・干渉作用によって、鮮やかで
見る方向によって色味が変わり、しかも経時変化のない
発色構造体を特開平6−017346号公報や特開平7
−034324号公報等に、また紫外線や赤外線を反射
する構造体を特開平7−195603等にて開示した。
【0008】ところで、先に提示した上記の発色構造
体、例えば特開平7−034324号公報の内容は、
「2種類の物質の交互積層からなる層状構造を有し、自
然光の反射、干渉作用によって可視光線領域の波長の色
を発色する発色構造体であって、一方の物質層の光学屈
折率をna、他方の物質層の光学屈折率をnbとした場合
に、1.3≦na、かつ、1.1≦nb/na≦1.4の条件を充たすこ
とを特徴とする反射、干渉作用を有する発色構造体」で
ある。
【0009】ここで、一方の光学屈折率を1.3≦naとし
たのは、高分子樹脂の光学屈折率は一般に1.30〜1.82、
汎用的には1.35〜1.75のレベルであり、1.3は高分子樹
脂の光学屈折率の下限に相当するからであった。
【0010】また、両者の光学屈折率比が1.1≦nb/na≦
1.4を満たさなければならないのは次の理由に基づいて
いた。すなわち、両者の光学屈折率比nb/naを1.1よりも
小さくした場合、高反射率を得るために層数Nを多くす
る必要があり、また製造上、特殊な紡糸口金を用いる必
要があり、安価で安定した発色繊維の製造が困難となる
からであった。また、光学屈折率比の上限を1.4として
いたのは、高分子樹脂の光学屈折率の上限が1.82程度で
あるから、前記のごとく1.3≦naとすれば、光学屈折率
比nb/naは自ずと1.4以下となることによっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した反
射・干渉作用を有する発色構造体を実際に製造する場
合、交互積層を形成する2種類の高分子樹脂の光学屈折
率比nb/naが1.1以上の組合せは、特開平7−03432
4号公報の実施例にも記載されているように少数であ
り、バリエーションに劣るという克服すべき問題点が残
っていた。
【0012】また、高反射率を得るために層数Nを少な
くできるという極めて大きなメリットはあるものの、そ
れらの組合せにおいては高分子樹脂の流動性が必ずしも
十分でないため、本発明の発色繊維構造体のように極薄
(例えば、0.08ミクロン厚)の交互積層膜を均一、かつ
安定して工業的に製造することは一部のポリマーの組合
せを除いて極めて困難であることがわかった。また、そ
れらの組合せにおける樹脂はいわゆる汎用樹脂ではない
ため、コスト的に高価でもあった。
【0013】本発明はこのような従来の技術的課題を解
決するためになされたものであり、本発明者らの先出願
(特開平7−034324号)をさらに改良、発展さ
せ、光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特性、紫外線
の反射特性の少なくともいずれかの機能を有し、極めて
容易かつ安価に製造できる繊維構造体を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、光線
の反射・干渉特性、赤外線の反射特性、紫外線の反射特
性の少なくともいずれかの機能を有し、一軸方向に長軸
を有する繊維構造体において、前記長軸に垂直な断面
が、光学屈折率na、厚さdaを有する第1の有機ポリマー
と、光学屈折率nb、厚さdbを有する第2の有機ポリマー
とが厚さ方向に交互に積層された断面構造を有し、1.3
≦na、かつ、1.01≦nb/na≦1.20の条件下で、反射ピー
ク波長λが λ=2(na・da+nb・db) の条件式を充たすものである。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の繊維構造体
において、前記第1の有機ポリマーと第2の有機ポリマ
ーの交互積層を5層以上としたものである。
【0016】請求項3の発明は、請求項1又は2の繊維
構造体において、前記長軸に垂直な断面の形状を偏平に
したものである。
【0017】請求項4の発明は、請求項1〜3の繊維構
造体において、前記第1の有機ポリマーと第2の有機ポ
リマーとの光学屈折率の比nb/na を、1.03≦nb/na≦1.1
0の範囲に設定したものである。
【0018】請求項5の発明は、請求項1〜4の繊維構
造体において、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオ
レフィン系、ビニル系重合体、ポリエーテルケトン系、
ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネートの単
体もしくはこれらの2種類以上の共重合体樹脂の中から
選択した2種類の有機ポリマーを前記第1および第2の
有機ポリマーとして用いたものである。
【0019】請求項6の発明は、請求項1〜5の繊維構
造体において、前記第1の有機ポリマーとしてナイロン
6を、前記第2の有機ポリマーとしてポリエチレンナフ
タレートを用いたものである。
【0020】請求項7の発明は、請求項1〜5の繊維構
造体において、前記第1の有機ポリマーとしてポリメチ
ルメタクリレートを、前記第2の有機ポリマーとしてポ
リカーボネートを用いたものである。
【0021】請求項8の発明は、請求項1〜5の繊維構
造体において、前記第1の有機ポリマーとしてナイロン
6を、前記第2の有機ポリマーとしてポリエチレンテレ
フタレートを用いたものである。
【0022】請求項9の発明は、請求項1〜5の繊維構
造体において、前記第1の有機ポリマーとしてポリフッ
化ビニリデンを、前記第2の有機ポリマーとしてポリエ
チレンテレフタレートを用いたものである。
【0023】光学屈折率na、厚さdaを有する第1の有機
ポリマーと、光学屈折率nb、厚さdbを有する第2の有機
ポリマーとが厚さ方向に交互に積層された断面構造にお
いて、1.3≦na、かつ1.01≦nb/na≦1.20の条件下で、反
射ピーク波長λがλ=2(na・da+nb・db)を充たすように
すると、十分実用レベルの反射・干渉特性を発現でき
る。
【0024】上記の条件のうち、1.3≦naの条件は、交
互積層する有機ポリマーの材料特性によるものである。
また、1.01≦nb/na≦1.20なる関係は、2つの有機ポリ
マーの光学屈折率比nb/naの条件を示すものである。そ
して、1.01≦nb/naの条件は、2つの有機ポリマーの複
合繊維を形成する上での、より実用的な製造条件及び実
際に人間の目で色味として認知できるレベルに基づくも
のであり、nb/na≦1.20の条件は、やはり2つの有機ポ
リマーの複合繊維を形成する上での、より実用的な製造
条件によるものである。
【0025】また、第1の有機ポリマー層と第2の有機
ポリマー層の各々の厚さda、dbの取り得る範囲は、反射
ピーク波長を与える関係式:λ=2(na・da+nb・db)を充
たす範囲内で任意に設定することができる。
【0026】また、第1の有機ポリマー層と第2の有機
ポリマー層の交互積層を5層以上とするのは上記条件内
で実用的な反射・干渉特性を得るために必要な層数の下
限を示すものであり、さらに、本発明の繊維構造体の長
軸に垂直な断面の形状を扁平とすることにより、有効な
反射・干渉領域を得ることができる。
【0027】また第1の有機ポリマーと第2の有機ポリ
マーとの光学屈折率の比nb/naを、1.03≦nb/na≦1.10の
範囲に設定することにより、光線の反射・干渉特性、赤
外線の反射特性、紫外線の反射特性の少なくともいずれ
かの機能を有する繊維構造体を得るために、第1の有機
ポリマー、第2の有機ポリマーとして多種類の有機ポリ
マーの中から選択して使用することができ、機能バリエ
ーションのある種々の繊維構造体が得られる。
【0028】さらにまた、これらの条件を満たし得る有
機ポリマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポ
リオレフィン系、ビニル系重合体、ポリエーテルケトン
系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート
の単体もしくはこれらの2種類以上の共重合体樹脂の中
から選択した2種類の有機ポリマーを第1および第2の
有機ポリマーとして用いることができる。
【0029】さらに具体的には、第1の有機ポリマーと
してナイロン6を、第2の有機ポリマーとしてポリエチ
レンナフタレートを用いることにより、透明感のある青
色発色を示し、アニソトロピック特性を示す複合繊維構
造体が得られる。
【0030】また第1の有機ポリマーとしてポリメチル
メタクリレートを、第2の有機ポリマーとしてポリカー
ボネートを用いることにより、透明感のある緑色発色を
示し、アニソトロピック特性を示す複合繊維構造体が得
られる。
【0031】また第1の有機ポリマーとしてナイロン6
を、第2の有機ポリマーとしてポリエチレンテレフタレ
ートを用いることにより、透明感のある青色発色を示
し、アニソトロピック特性を示す複合繊維構造体が得ら
れる。
【0032】さらに、第1の有機ポリマーとしてポリフ
ッ化ビニリデンを、第2の有機ポリマーとしてポリエチ
レンテレフタレートを用いることにより、透明感のある
緑色発色を示し、アニソトロピック特性を示す複合繊維
構造体が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。まず、本発明の繊維構造体の長軸に
垂直な断面の形状について説明する。図1〜図5は本発
明の繊維構造体の断面形状を例示している。図1〜図5
の各図において、101は第1の有機ポリマー層、10
2は第2の有機ポリマー層である。これらの有機ポリマ
ー層101,102は薄膜層からなり、両者の光学屈折
率が異なっているものであり、図1(a)は断面形状が
矩形のもの、図1(b)は断面楕円形のもの、図2
(a)は断面円形のもの、また図2(b)は交互積層1
01,102が同心円状に形成されたものである。一
方、図3及び図4には図1及び図2に記載した各種断面
形状の繊維構造体の周囲あるいは中央部に、交互積層部
の剥離防止、摩耗性向上及びその他機械的強度向上のた
めに保護層103や補強層103を設けた例を示してあ
る。
【0034】また、図5(a),(b)には第2の有機
ポリマー層102が横(x)方向に不連続に配置した例
を示してある。特に図5(b)には第2の有機ポリマー
層102が異形断面構造体のもの(芯部が本発明の先出
願:特開平6−017346号公報に記載の構造体と同
様のもの)が示してある。
【0035】このように、第1の有機ポリマー層101
と第2の有機ポリマー層102の交互積層が縦(y)方
向に規則的に配列してさえいれば、連続状であっても不
連続状であっても構わないが、後者の場合には当然のこ
とながら、横(x)方向の一辺の長さは反射光の波長以
上であることが望ましい。
【0036】また、繊維構造体の形状は上述したように
交互積層構造を繊維構造体中に有しさえすれば特に限定
されず、例示した他に星形断面形状を有するもの、多角
形断面形状のものでも構わない。しかしながら、繊維構
造体の横方向(x)に光の反射・干渉領域が多くとれる
偏平形状の構造体がより好ましく、その偏平率としては
1.5〜10程度が好ましい。なお、偏平率が15以上になる
と製糸性が大きく低下し、好ましくない。
【0037】また、交互積層数Nとしては5層以上、特
に10層以上120層以下が好ましい。5層以下では2種類
の有機ポリマーの光学屈折率比nb/naが1.01≦nb/na≦1.
20なる関係下にあって、大きな反射・干渉効果が期待で
きず、120層以上になると口金構造が複雑になり、口金
内でのポリマーの流れが層流から逸脱して均一、かつ安
定した交互積層構造が期待できなくなる。
【0038】本発明の繊維構造体とは、基本的に光学屈
折率の異なる2種類の有機ポリマーの交互積層構造から
なる層状構造を有するものである。ここで有機ポリマー
とは例えば、高分子樹脂、特に熱可塑性樹脂が好まし
く、かつ、ある程度の光透過性を有するものである。特
に可視光線領域(0.38ミクロン〜0.78ミクロン)での反
射・干渉作用によって発色する構造体においては、より
可視光線領域での光透過性の高いものが望ましい。
【0039】このような有機ポリマーとしては例えば、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)、及びそれらを第3成分によって変性したポ
リエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン(P
S)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ナイロン6
(Ny−6)、ナイロン66(Ny−66)等のポリア
ミド、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコー
ル、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)等の単体、もしくはこれ
らの2種類以上の共重合体樹脂等が挙げられる。なお、
これらはあくまでも例示であり、これらによって本発明
の有機ポリマーが限定されるものではない。
【0040】また、「交互積層」とは構造体断面の縦
(y)方向に第1の有機ポリマー層101と第2の有機
ポリマー層102とがある程度の厚さ(da,db)で交互
に規則的に積層されており、しかも横(x)方向にある
程度の長さを有するものをいう。したがって、後述する
ように光の垂直入射とは図1(a)に示すように、第1
の有機ポリマー層101と第2の有機ポリマー層102
との交互積層に対し、縦(y)方向の入射を意味する。
【0041】本発明者の考察によれば、本発明の所期の
目的を達成するためには、一軸方向に長軸を有する繊維
構造体において、前記長軸に垂直な断面が、光学屈折率
na、厚さdaを有する第1の有機ポリマー層101と、光
学屈折率nb、厚さdbを有する第2の有機ポリマー層10
2とが厚さ方向に交互に積層された断面構造を有し、 1.3≦na …(a) 1.01≦nb/na≦1.20 …(b) の条件下で、反射ピーク波長λが λ=2(na・da+nb・db) …(1) を充たすことが必要である。
【0042】以下、上記条件について説明する。まず、
第1の有機ポリマー層101の光学屈折率を1.3≦naと
したのは、有機ポリマーの光学屈折率が一般に1.3〜1.8
2、汎用的には1.35〜1.75のレベルであり、1.3は有機ポ
リマーの光学屈折率の下限に相当するからである。な
お、有機ポリマーの低屈折率化の一つの方法しては、例
えば、フッ素を導入することにより理論上は1.3程度ま
で可能となることが知られている。なお、有機ポリマー
の光学屈折率は延伸処理等の程度により変化する。これ
とは別にNaFやMg2等の低屈折率の結晶を微粒子化
して有機ポリマー中に分散含有させることも可能である
が、白濁して透明性を低下させたり、成形性を損ねたり
して好ましくない。現在のところ、低屈折率(1.4以
下)の有機ポリマーとしては、4フッ化エチレン(PT
FE)や4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン(FR
P)等のフッ素系樹脂、ポリシロキサンのようなシリコ
ン系樹脂が、また、高屈折率(1.6以上)の有機ポリマ
ーとしては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂
とポリフェニレンサルファイド(PPS)が挙げられ
る。
【0043】さて、上述したような2種類以上の有機ポ
リマーを組み合わせて精密成形加工品を製造する際、重
要となるのが両者の成形加工温度差ΔT、及び界面エネ
ルギー差ΔEである。特に成形加工温度差ΔTは有機ポ
リマーを選択する上で極めて重要な因子である。ここで
は2種類の有機ポリマーを組み合わせて使用する場合を
例に、この成形加工温度差ΔTについて、以下説明す
る。
【0044】成形加工温度差ΔTとは、第1の有機ポリ
マーの成形加工温度T1と第2の有機ポリマーの成形加工
温度T2との差、即ち、|T2−T1|を意味する。このΔT
は一般に小さいことが望ましく、概ね80℃以下、好まし
くは60℃〜50℃程度以下と言われている。その理由の一
つは、ΔTが大きくなると複合成形あるいは複合紡糸す
る際に、成形加工温度の低い有機ポリマーは、より成形
加工温度の高い有機ポリマーの温度に成形加工温度を合
せなければならず、それゆえ、成形加工温度の低い有機
ポリマー側はより高温下にさらされることになるため、
分子量が低下したり、熱分解しやすくなり、結果的に機
械特性、光学特性その他諸物性が劣って実用に供し得な
くなる。特に複合紡糸工程においては、紡糸後の熱延伸
処理による配向性や結晶性の向上が期待できなくなり、
実用に十分耐え得る引っ張り強度や伸度を得ることが困
難となる。
【0045】2つ目は、ΔTが大きければ当然両者の溶
融粘度差が大きくなり、複合紡糸口金あるいはダイ等内
での合流・分配が必ずしも設計通りにはいかず、所望の
精密加工品の製造が困難になること等による。それゆ
え、一般にはこのような溶融粘度差が大きい場合、ハー
ゲン−ポアズイエ(Hagen-Poiseuille)の式に基づき、
吐出量によって分配を制御する等の手段で回避してきた
が、特に、反射・干渉機能を有する繊維構造体を製造す
る際には、前述したように、第1の有機ポリマー層と第
2の有機ポリマー層の交互積層の各厚みは可視光線領域
での発色を考えた場合、0.07ミクロン〜0.08ミクロン程
度と極薄、かつ均一にしなければならず、成形加工温度
差ΔTは出来るだけ小さい方が好ましい訳である。
【0046】次に、1.01≦nb/na≦1.20なる関係は第1
の有機ポリマー層101と第2の有機ポリマー層102
との光学屈折率比nb/naを示すものである。この1.01≦n
b/na≦1.20なる関係の重要性について、以下に述べる。
【0047】図6は透明性を有する代表的な2種類の有
機ポリマーの組合せにおける成形加工温度差ΔTと両者
の光学屈折率比nb/naの関係について検討した結果を示
すものである。ここで、図中の○印は成形性の良好なも
の、△印は余り良くないもの、×印は不良のものである
ことを示す。図から明らかなように、成形加工温度差Δ
Tが80℃〜70℃以下となるような有機ポリマーの組合せ
において、成形性が比較的良好で、かつ、その条件下で
の両者の光学屈折率比のほどんどが1.01〜1.20の範囲内
に位置することを見出した。特に、より好ましい60℃〜
50℃以下という成形加工温度差ΔTにおいて、2種類の
有機ポリマーの光学屈折率比nb/naはそのほどんどが1.0
1〜1.10の範囲内に位置するという重要な結論を導くに
至った。
【0048】今、1.01≦nb/naなる関係をこの図6を用
いて詳細に説明する。一例に、ポリカーボネート(P
C)とポリエチレンテレフタレート(PET)の組合せ
を取り上げると、PETの成形加工温度T1は290℃、P
Cの成形加工温度T2は約280℃で、その成形加工温度差
ΔTは約10℃である。また、両者の光学屈折率比nb/na
は1.01を与える。それゆえ、この有機ポリマーの組合せ
(PC/PET)は図6の左下の矢印1に位置すること
になる。このPC/PETの組合せにおいて、図3
(a)に示した繊維構造体を製造する(一例として、交
互積層数N=61層の場合)と、図6の右側に示したエネ
ルギー反射率差ΔRは約0.1と読み取ることができる
(詳細は後述の図7〜図13のところでも説明する)。
【0049】ところで、我々の最近の検討結果によれ
ば、実験で得られる相対反射率(0°入射−0°受光の
場合)は、計算から得られるエネルギー反射率差ΔRの
2〜2.5倍の値を与えることが判明している。それゆえ、
ここでもその知見を基に換算すると、約0.2〜0.25程度
の相対反射率を与えることになり、人間の眼でも実際、
色味として認知できるレベル(下限レベル)となる。な
お、光学屈折率比nb/naが1.01よりさらに小さくなる
と、エネルギー反射率差ΔRも小さくなり、それゆえ、
人間の眼には色味として認知できなくなる。
【0050】さらに、2種類の有機ポリマーの光学屈折
率比nb/naが1.01より小さくなると、即ち、1.0に漸近す
ると、温度による光学屈折率の揺らぎや、波長によって
光学屈折率が変化する分散の影響等を受けやすくなり、
交互積層数Nを大幅に増しても実用上、反射・干渉効果
を得ることが困難になる。それゆえ、光学屈折率比nb/n
aの下限値として1.01≦nb/naなる関係が必要となる。
【0051】一方、nb/na≦1.20なる関係についても図
6を用いて説明する。一例にポリフェニレンサルファイ
ド(PPS)とポリプロピレン(PP)の組合せ(PP
S/PP)を取り上げる。PPとPPSの光学屈折率比
nb/naは有機ポリマーの組合せの中では1.22とかなり高
く、図6の右側のエネルギー反射率差ΔRを見てもこの
組合せにおいては0.9程度の値をとる。しかし、両者の
ポリマーを組合せる時に重要となる成形温度は、PPで
220℃(=T1)、PPSで330℃(=T2)で、その成形加
工温度差ΔTは約110℃と100℃以上の開きがあり、複合
紡糸あるいは成形加工においては、成形性の困難な領域
に位置する。このように、我々の検討によれば、1.20以
上の光学屈折率比nb/naを有する組合せにおいて、成形
加工温度差ΔTが80℃〜70℃以下、好ましくは60℃〜50
℃以下のものは残念ながら、見当らなかった。それゆ
え、nb/naの上限値としてnb/na≦1.20なる関係が必要で
ある。なお、この成形加工温度差ΔTを考慮すると、光
学屈折率比nb/naのより好ましい範囲として、1.03≦nb/
na≦1.10なる関係を設定することができる。
【0052】次に、第2の組合せとして、合成繊維の代
表的なポリエチレンテレフタレート(PET)とナイロ
ン6(Ny−6)の組合せを考えると、PETの成形加
工温度T1は約290℃、Ny−6の成形加工温度T2は約270
℃で、両者の成形加工温度差ΔTは約20℃となる。ま
た、その光学屈折率比は約1.03を与える。このPET/
Ny−6の組合せは図6の左下の矢印2に位置すること
になる。
【0053】前述と同様、PET/Ny−6の組合せの
繊維構造体(図3(a)の構造体で交互積層数Nが61
層)を考えた時のエネルギー反射率差ΔRは、同図右側
の関係図より約0.35と読み取ることができる。先の知見
を基に換算すると、この組合せでは約0.7〜0.87程度の
相対反射率を与え、実際に人間の眼にも明瞭な色味とし
て認知できるレベルである。
【0054】次に、本発明の第1の例として、図3
(a)に示す繊維構造体を例に、2種類の有機ポリマー
の光学屈折率比nb/naを1.005〜1.20まで変えた際の可視
光領域での反射スペクトルを図7〜図13に示す。ここ
では第1の有機ポリマー層101と第2の有機ポリマー
層102との交互積層数Nを61層、交互積層部を保護す
る保護層103の光学屈折率を1.53、その厚みを5ミク
ロン、反射ピーク波長λを0.47ミクロン(青色系)と
し、光が垂直入射(0°入射−0°受光)するとして計
算した例である。
【0055】図7からも明らかなように、交互積層数N
を61層としても光学屈折率比nb/naが1.01以下では明瞭
な反射ピークは認められないが、図8に示すようにnb/n
a比が1.01になると反射スペクトルのピークは明瞭にな
り、エネルギー反射率は約0.2になる。また、図9に示
すようにnb/na比が1.03の場合(図6からも明らかなよ
うに、この値の近傍の組合せのポリマーが比較的多
い)、エネルギー反射率は約0.45にも達する。
【0056】また図6の説明のところでも少し触れた
が、図8から分かるように、エネルギー反射率のピーク
値とバックグラウンドとの差、いわゆるエネルギー反射
率差ΔRは光学屈折率比nb/naが1.01の場合、約0.1とな
っており、この値を先に示した相対反射率へ換算する
(2〜2.5倍すればよい)と、相対反射率は約0.2〜0.25
となり、人間の目で認知できる下限レベルの値となって
いる。
【0057】ところで、光学屈折率比nb/naを1.01≦nb/
na≦1.20とすると、本発明者らの先出願である特開平7
−034324号公報に開示しているように、光学屈折
率比nb/naが小となるため、所望の反射率を有する繊維
構造体を製造しようとすると、理論上、確かに層数Nを
増やさなければならないというデメリットが残る。しか
し図6にて説明したように、交互積層数Nが現実的に増
えても第1の有機ポリマー層101と第2の有機ポリマ
ー層102の交互積層の厚みを均一、かつ安定して工業
的に製造出来るようになる、換言すると、成形温度差Δ
Tが80℃〜70℃以下となり、しかも光学屈折率比nb/na
が1.01≦nb/na≦1.20なる範囲に位置する有機ポリマー
を選択することにより、反射・干渉機能を有する繊維構
造体を得ることができる。
【0058】また、図6からも明らかなように、第1の
有機ポリマー101と第2の有機ポリマー102の組合
せのバリエーションが豊富であるので、反射・干渉機能
に加え、使用用途に応じてより実用的な諸特性(引っ張
り強度、伸度等の機械特性や摩耗特性等)をも兼ね備え
た繊維構造体が提供できる。また、あえて超低屈折率等
の特殊な有機ポリマー、例えば、フッ素系のポリマー等
を使用しなくて済むため、コスト的にも安価な繊維構造
体を提供できるというメリットもある。また、先出願の
特開平7−034324号公報で示したと同様に、本発
明の繊維構造体をフリージング処理・粉砕することによ
り、チップ化することも可能である。
【0059】次に、本発明の第2の例として、紫外線領
域の反射機能を持つ繊維構造体の反射スペクトルを図1
4〜図20に示す。繊維構造体としては前述同様、図3
(a)に示す保護層103を有する構造体で、2種類の
有機ポリマー101,102の光学屈折率比nb/naを1.0
05〜1.20まで変えた際の反射スペクトルを示す。ここ
で、交互積層数Nは61層、交互積層部を保護する保護層
103の光学屈折率を1.53、その厚みを5ミクロン、反
射ピーク波長λを0.35ミクロンとし、光が垂直入射(0
°入射−0°受光)するとして計算した例である。な
お、波長0.35ミクロンとはUV-A波と呼ばれる領域の近紫
外線のほぼ中心値で、人体においてはシミやソバカス等
の原因になる可能性が高いとされている波長である。
【0060】図14と図15〜図20とを対比すると明
らかなように、光学屈折率比nb/naが1.01以上となる
と、可視光領域での反射スペクトルと同様、反射スペク
トルは明瞭になり、有機ポリマーの組合せのバリエーシ
ョンが比較的多い1.03という光学屈折率比nb/na(図1
6)では、エネルギー反射率は約0.38となり、波長0.35
ミクロンにて、約40%を反射させることができる。ま
た、光学屈折率比nb/naの増加と共にエネルギー反射率
は増加し、ある波長での反射ピークのエネルギー反射率
が1.0に達すると、反射スペクトルの半値幅が広がって
いき、より広い波長域での紫外線を反射できるようにな
る。このように、有害な紫外線のある波長を任意に設定
でき、しかも染料や顔料等を使用していないので、長期
間安定した機能を提供できる。
【0061】また、本発明の第3の例として、近赤外線
領域の反射機能を持つ繊維構造体の反射スペクトルを図
21〜図27に示す。繊維構造体としては前述同様、図
3(a)に示す保護層103を有する構造体で、2種類
の有機ポリマー101,102の光学屈折率比nb/naを
1.005〜1.20まで変えた際の反射スペクトルを示す。な
お、反射ピーク波長λを0.80ミクロンとした以外の条件
は全て、可視光領域及び紫外線領域での反射・干渉の場
合と同様である。
【0062】図21と図22〜図27との対比から明ら
かなように、光学屈折率比nb/naが1.01以上となると、
可視光領域での反射スペクトルと同様に反射スペクトル
が明瞭になり、有機ポリマーの組合せのバリエーション
が比較的多い1.03という光学屈折率比nb/na(図23)
では、エネルギー反射率は約0.35となり、波長0.85ミク
ロンにて、約35%を反射することになる。また、光学屈
折率比nb/naの増加と共にエネルギー反射率は増加し、
ある波長での反射ピークのエネルギー反射率が1.0に達
すると、反射スペクトルの半値幅が広がっていき、より
広い波長域での近赤外線を反射できるようになる。
【0063】このように、発色あるいは紫外線ばかりで
なく、近赤外線いわゆる熱線をも遮蔽・遮断できるた
め、清涼性・快適性を与える繊維構造体を提供できる。
また、本発明の繊維構造体は染料や顔料、あるいは金属
等を使用していない、いわゆる非染色繊維であるので、
人体に対してもアレルギー等の損傷を与えず、また、長
期間安定した機能が提供できる。
【0064】
【実施例】以下、可視光線領域での反射・干渉によって
発色する本発明の実施例を示すが、これによって本発明
が限定されるものではない。
【0065】(実施例1)第1の有機ポリマーとしてナ
イロン6(Ny−6)を、第2の有機ポリマーとして、
スルホイソフタル酸ナトリウムを1.5モル%共重合した
ポリエチレンナフタレート(共重合PEN)を選択し、
図3(a)に示す偏平断面構造を有する繊維構造体を作
製すべく光学設計した。なお、図中の外殻の保護層10
3は共重合PENとなるようにしている。狙いとする色
味は青色で、反射ピーク波長λを0.47ミクロンに設定し
た。選択したNy−6の平均屈折率naは1.53、共重合P
ENの平均屈折率nbは1.63で、両者の光学屈折率比nb/n
aは1.07である。
【0066】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金(交互積層数:61層)を用い、紡糸温度274℃、巻
取り速度1,200m/minで複合溶融紡糸を行い、未延伸糸を
得た。その後、ローラー型延伸機にて温度140℃、巻取
り速度300m/minにて熱延伸処理を行い、所望の繊維構造
体を製造した。
【0067】得られた繊維構造体の発色状況、並びに反
射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−6000、
日立製作所)を用いて評価した。なお、反射スペクトル
は入射0°/受光0°の条件下で標準白色板をレファレ
ンスにして測定した。その結果、繊維構造体は透明感の
ある青色発色を示し、見る方向によって色味が変わるア
ニソトロピック特性を示した。また、その反射スペクト
ルも図28に示すように、反射ピーク波長λ=0.47ミク
ロン、相対反射率1.2を与えた。
【0068】(実施例2)第1の有機ポリマーとしてポ
リメチルメタクリレート(三菱レーヨン:MF)を、第
2の有機ポリマーとして、ポリカーボネート(帝人化成
製:AD−5503)を選択し、図3(b)に示す偏平
断面構造を有する繊維構造体を作製すべく光学設計し
た。なお、図中の中央補強層103はポリカーボネート
となるようにしている。狙いとする色味は緑色で、反射
ピーク波長λを0.55ミクロンに設定した。選択したポリ
メチルメタクリレートの平均屈折率naは1.49、ポリカー
ボネートの平均屈折率nbは1.59で、両者の光学屈折率比
nb/naは1.07である。
【0069】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金(交互積層数:31層)を用い、紡糸温度278℃、巻
取り速度1,200m/minで複合溶融紡糸を行い、未延伸糸を
得た。その後、ローラー型延伸機にて温度140℃、巻取
り速度300m/minにて熱延伸処理を行い、所望の繊維構造
体を製造した。
【0070】得られた繊維構造体の発色状況、並びに反
射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−6000、
日立製作所)を用いて評価した。なお、反射スペクトル
は入射0°/受光0°の条件下で標準白色板をレファレ
ンスにして測定した。その結果、繊維構造体は透明感の
ある緑色発色を示し、見る方向によって色味が変わるア
ニソトロピック特性を示した。また、その反射スペクト
ルも図29に示すように、反射ピーク波長λ=0.56ミク
ロン、相対反射率1.5を与えた。
【0071】(実施例3)第1の有機ポリマーとしてナ
イロン6(Ny−6)を、第2の有機ポリマーとしてス
ルホイソフタル酸ナトリウムを0.6モル%共重合したポ
リエチレンテレフタレート(共重合PET)を選択し、
図3(a)に示す偏平断面構造を有する繊維構造体を作
製すべく光学設計した。なお、図中の外殻の保護層10
3は共重合PETとなるようにしている。狙いとする色
味は青色で、反射ピーク波長λを0.47ミクロンに設定し
た。選択したNy−6の平均屈折率naは1.53、共重合P
ETの平均屈折率nbは1.58で、両者の光学屈折率比nb/n
aは1.03である。
【0072】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金(交互積層数:61層)を用い、紡糸温度274℃、巻
取り速度1,200m/minで複合溶融紡糸を行い、未延伸糸を
得た。その後、ローラー型延伸機にて温度90℃、巻取り
速度300m/minにて熱延伸処理を行い、所望の繊維構造体
を製造した。
【0073】得られた繊維構造体の発色状況、並びに反
射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−6000、
日立製作所)を用いて評価した。なお、反射スペクトル
は入射0°/受光0°の条件下で標準白色板をレファレ
ンスにして測定した。その結果、繊維構造体は透明感の
ある青色発色を示し、見る方向によって色味が変わるア
ニソトロピック特性を示した。また、その反射スペクト
ルも図30に示すように、反射ピーク波長λ=0.47ミク
ロン、相対反射率1.1を与えた。
【0074】(実施例4)第1の有機ポリマーとしてポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)を、第2の有機ポリマ
ーとして、ポリエチレンテフタレート(PET)を選択
し、図3(a)に示す偏平断面構造を有する繊維構造体
を作製すべく光学設計した。なお、図中の外殻の保護層
103はPETとなるようにしている。狙いとする色味
は青色で、反射ピーク波長λを0.47ミクロンに設定し
た。選択したPVDFの平均屈折率naは1.42、PETの
平均屈折率nbは1.58で、両者の光学屈折率比nb/naは1.1
1である。
【0075】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金(交互積層数:61層)を用い、紡糸温度274℃、巻
取り速度1,200m/minで複合溶融紡糸を行い、未延伸糸を
得た。その後、ローラー型延伸機にて温度90℃、巻取り
速度300m/minにて熱延伸処理を行い、所望の繊維構造体
を製造した。
【0076】得られた繊維構造体の発色状況、並びに反
射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−6000、
日立製作所)を用いて評価した。なお、反射スペクトル
は入射0°/受光0°の条件下で標準白色板をレファレ
ンスにして測定した。その結果、繊維構造体は透明感の
ある緑色発色を示し、見る方向によって色味が変わるア
ニソトロピック特性を示した。また、その反射スペクト
ルも図31に示すように、反射ピーク波長λ=0.53ミク
ロン、相対反射率1.7を与えた。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の反射・干
渉機能を有する繊維構造体によれば、第1の有機ポリマ
ーの光学屈折率naの下限、第1の有機ポリマーと第2の
有機ポリマーの光学屈折率比nb/naの上限と下限を規定
し、この規定下で両者の光学厚みの和の2倍で定義され
るλを満足するように、第1の有機ポリマーと第2の有
機ポリマーを選択して交互積層構造とすることにより、
可視光線の反射・干渉機能、赤外線の反射機能、紫外線
の反射機能の少なくともいずれかの機能を有する繊維構
造体を得ることができる。
【0078】また2種類の有機ポリマーの成形温度差と
光学屈折率比を考慮することにより、発色に寄与する交
互積層膜を均一、かつ安定して工業的に紡糸製造でき
る。
【0079】さらに、2種類の有機ポリマーの組合せの
バリエーションが豊富なので、実用上問題となる他の諸
特性(引っ張り強度、伸度、摩耗等の機械特性や吸湿性
等)を考慮した多様な組合せが可能となるばかりでな
く、コスト的にも安価に製造できる。 さらにまた、本
発明の繊維構造体は染料や顔料、あるいは金属等を使用
していない、いわゆる非染色高機能繊維であるので、ア
レルギー等の損傷を与えず、人間に対して優しい複合繊
維を提供できる。また、非染色繊維であるので、リサイ
クルも可能であり、環境にも優しく、長期間安定した機
能を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態の断面図。
【図2】本発明の第3及び第4の実施の形態の断面図。
【図3】本発明の第5及び第6の実施の形態の断面図。
【図4】本発明の第7〜第9の実施の形態の断面図。
【図5】本発明の第10及び第11の実施の形態の断面
図。
【図6】2種類の有機ポリマーの成形加工温度差ΔTと
光学屈折率比nb/naとの関係を示す図。
【図7】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折率
比1.005とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図8】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折率
比1.01とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図9】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折率
比1.03とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図10】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折
率比1.05とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図11】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折
率比1.10とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図12】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折
率比1.15とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図13】反射ピーク波長λ=0.47ミクロン、光学屈折
率比1.20とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図14】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.005とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図15】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.01とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図16】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.03とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図17】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.05とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図18】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.10とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図19】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.15とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図20】反射ピーク波長λ=0.35ミクロン、光学屈折
率1.20とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図21】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.005とした場合の波長と反射率との関係を示す反射
スペクトル図。
【図22】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.01とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図23】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.03とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図24】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.05とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図25】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.10とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図26】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.15とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図27】反射ピーク波長λ=0.80ミクロン、光学屈折
率1.20とした場合の波長と反射率との関係を示す反射ス
ペクトル図。
【図28】実施例1の繊維構造体における波長と反射率
との関係を示す反射スペクトル図。
【図29】実施例2の繊維構造体における波長と反射率
との関係を示す反射スペクトル図。
【図30】実施例3の繊維構造体における波長と反射率
との関係を示す反射スペクトル図。
【図31】実施例4の繊維構造体における波長と反射率
との関係を示す反射スペクトル図。
【符号の説明】 101…第1の有機ポリマー層 102…第2の有機ポリマー層 103…保護層(あるいは補強層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 俊正 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 清水 進 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 先原 明男 神奈川県伊勢原市鈴川26番地 田中貴金属 工業株式会社伊勢原工場内 (72)発明者 熊沢 金也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 田畑 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特
    性、紫外線の反射特性の少なくともいずれかの機能を有
    し、一軸方向に長軸を有する繊維構造体において、 前記長軸に垂直な断面が、光学屈折率na、厚さdaを有す
    る第1の有機ポリマーと、光学屈折率nb、厚さdbを有す
    る第2の有機ポリマーとが厚さ方向に交互に積層された
    断面構造を有し、 1.3≦na、かつ、 1.01≦nb/na≦1.20の条件下で、反射ピーク波長λが、 λ=2(na・da+nb・db) の関係式を充たすことを特徴とする繊維構造体。
  2. 【請求項2】 前記第1の有機ポリマーと第2の有機ポ
    リマーとの交互積層を5層以上としたことを特徴とする
    請求項1記載の繊維構造体。
  3. 【請求項3】 前記長軸に垂直な断面の形状が偏平であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の繊維構
    造体。
  4. 【請求項4】 前記第1の有機ポリマーと第2の有機ポ
    リマーとの光学屈折率の比nb/na が、 1.03≦nb/na≦1.10 の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の繊維構造体。
  5. 【請求項5】 前記第1の物質と第2の物質が、ポリエ
    ステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系
    重合体、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、
    フッ素系、ポリカーボネートの単体もしくはこれらの2
    種類以上の共重合体樹脂の中から選択した2種類の有機
    ポリマーを前記第1および第2の有機ポリマーとして用
    いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    繊維構造体。
  6. 【請求項6】 前記第1の有機ポリマーとしてナイロン
    6を、前記第2の有機ポリマーとしてポリエチレンナフ
    タレートを用いることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の繊維構造体。
  7. 【請求項7】 前記第1の有機ポリマーとしてポリメチ
    ルメタクリレートを、前記第2の有機ポリマーとしてポ
    リカーボネートを用いることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の繊維構造体。
  8. 【請求項8】 前記第1の有機ポリマーとしてナイロン
    6を、前記第2の有機ポリマーとしてポリエチレンテレ
    フタレートを用いることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載の繊維構造体。
  9. 【請求項9】 前記第1の有機ポリマーとしてポリフッ
    化ビニリデンを、前記第2の有機ポリマーとしてポリエ
    チレンテレフタレートを用いることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の繊維構造体。
JP28577697A 1997-10-02 1997-10-17 繊維構造体 Pending JPH11124734A (ja)

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