JP2004151271A - 光反射機能を有する構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高級感のある輝きを有し、安価に安定して製造可能で、広視野角度になっても灰色に見えることがなく、実用性に優れた光反射機能構造体を提供する。
【解決手段】可視光線、赤外線及び紫外線の反射特性のうちの少なくともいずれか一つの光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体1であって、少なくとも屈折率の互いに異なる構成体2及び複数の微細構成体3を備え、少なくとも構成体2は断面において光透過性を有し、複数の微細構成体3は構成体2によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置され、断面に沿う光の入射方向をy方向、この入射方向に直交する横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向としたときに、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aとx方向の軸とがなす角度θを0°<θ<90°としている。
【選択図】 図1
【解決手段】可視光線、赤外線及び紫外線の反射特性のうちの少なくともいずれか一つの光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体1であって、少なくとも屈折率の互いに異なる構成体2及び複数の微細構成体3を備え、少なくとも構成体2は断面において光透過性を有し、複数の微細構成体3は構成体2によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置され、断面に沿う光の入射方向をy方向、この入射方向に直交する横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向としたときに、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aとx方向の軸とがなす角度θを0°<θ<90°としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の散乱、回折等の物理作用により、可視光線、赤外線及び紫外線領域の少なくともいずれかの波長域の光を反射する光学機能を有する構造体に関わり、さらに詳しくは、顔料や染料を必要とせずに、例えば、可視光線領域において、特定波長の光を反射して発色する光反射機能を有する構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光エネルギーは、一般に我々の視覚で認知できる可視光線(波長380〜780nm)と、これより短い波長域の紫外線(波長290〜380nm)と、可視光線より長い波長域の赤外線(波長780nm以上)とに区分される。これらの光エネルギーのうち可視光線は、我々の視知覚と密接に関与しており、この可視光線の下で各種物体の色を感知している。一般に、物体の色はその物体が光の一部を吸収することにより生じる。この原理を利用した着色が従来から用いられてきたもので、具体的には顔料や染料などの色素を用いた方法である。現在の我々の身の回りのほどんどの着色および発色はこの方法に基づいている。
【0003】
ところが、この方法による着色は各種顔料や染料自体を必要としたり、廃液処理などの後始末を必要としたりするため、作業面及び環境面のいずれの面においても問題視されてきている。また、品質面においても、顔料や染料が物体表面に溶出して質感低下を引き起こしたり、紫外線等による退色で初期品質が保持できずに、意匠性や商品性を損ねてしまったりするといった欠点も指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するため、顔料や染料などのいわゆる色素を使用せず、光の干渉、回折などの物理作用を用いた発色手段(広義には、「構造性発色」と称する)が知れらている。これは、物体表面やその内部に存在する規則的な微細構造体と光との相互作用によって発色するものであり、いくつかの技術が既に公知となっている。
【0005】
光の干渉反射作用を利用することにより発色する構造体としては、例えば、分子配向異方性フィルムを2枚の偏光フィルムで挟んだ構造とすることにより発色する材料が知られている(繊維機械学会誌Vol.42,No.2,p.55(1989)、及び、同誌Vol.42,No.10,p160(1989))。
【0006】
この原理は、第1の偏光フィルムに法線方向からの光が入射すると、このフィルムを通った光が一定方向にのみ振動する光(直線偏光)となる。次に、この直線偏光が45°配位した分子配向異方性フィルムを通ると、偏光面を回転させて楕円偏光に変わる。そして、この楕円偏光が第2の偏光フィルムを通ると再び直線偏光となるが、この段階において、波長によって光の強さが異なるために、それが着色偏光となって色として認知されることになる(いわゆる、偏光の干渉による発色)。
【0007】
また、屈折率の異なる2種類のポリマー物質を交互に何十層と積層した構造とすることにより発色する材料も報告されている(特開平4−295804号公報)。この原理は、屈折率の異なる交互積層界面で生じるフレネル反射が重なって干渉を起こし、その結果、反射率の波長依存性や反射率そのものの増加や減少を生じるというもので、特定波長で特定位相差をもって重なり合うときに現れる発色である(発色波長λ1 =2=(nada+nbdb):発色波長λ1 は互いの光学的厚みが等しいとき、すなわち、nada=nbdbのとき、最大となる)。
【0008】
例えば、特開平4−295804号公報には、少なくとも第1と第2のポリマー物質の屈折率が互いに少なくとも0.03異なり、しかも100nm程度の厚さで積層させたフィルム状の反射性ポリマー物体が開示されている。さらに、本発明者らも特許第3036305号において、屈折率の異なる2種類の高分子物質からなる交互積層構造を有する繊維状の発色構造体を開示している。この発色繊維は非染色の発色繊維であり、高級感のある輝きと見る方向によって色味が変わる特徴とを有し、しかも、この繊維と組合せる繊維の色によっては、その複合効果によって干渉効果特有の質感を呈するものである。
【0009】
一方、回折、干渉等の作用を利用した構造体としては、繊維表面に一定幅の細溝を設けることによって回折色及び干渉色を発する構造体が提案されている(特開平8−234007号公報)。この原理は、多数の所定深さ寸法の溝を所定の間隔をもって規則的に形成させた平面又は凹面(いわゆる、回折格子状のごとく溝を配した平面又は凹面)に光を入射させると、光路差ΔLが生じ、この光路差が波長λの整数倍であるとき、反射光が強めあって明るくなるというもの(光路差ΔL=mλ:但し、mは回折次数で、m=0,1,2,…)で、実際には、ある角度で入射した光に対し、ある回折角度で波長λの発色を与えるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した顔料や染料などの色素を使用しない発色構造のうち、分子配向異方性フィルムを偏光フィルムで挟んだ構造体にあっては、細い繊維や微小な光輝材用チップ(小片)を安価にしかも安定して製造することが困難であり、加えて、高級感のある鮮やかな色味という点で十分とはいえなかった。
【0011】
また、屈折率の異なる第1と第2のポリマーからなる反射性ポリマー物体においても、細い繊維や微小な光輝材用チップ(小片)を安価に製造することが困難であるばかりでなく、見る角度によって、すなわち、広視野角度になると、光の反射干渉現象特有の灰色に見えてしまう(無彩色の領域となり、いわゆる、死角となってしまう)という本質的な問題があった。ここで、死角とは、干渉発色フィルムや繊維の照射面に対して法線方向から光が入射し、この法線から角度αだけずれた位置でこれらを見た場合、この角度αが大きくなればなるほど多層薄膜理論に基づき、法線(0°)の位置で観察した反射スペクトル(反射ピーク波長λ1 )が可視光領域をはずれて紫外線領域にシフトして、色として認知できないようになることを意味する。
【0012】
さらに、また、特許第3036305号において開示した繊維状の構造体においても、上記と同様に、見る角度によって色味が変わるという特徴とは裏腹に、干渉現象特有の広視野角度になると灰色に見えてしまうという問題を有していた。
【0013】
一方、回折、干渉等の作用を利用して発色する構造体においては、上記したような欠点は少ないものの、コンパクトディスクのごとくレインボー色に見えてしまうため、商品としては低品位で安価なものとなっており、加えて、製造上の面からも、例えば、薄膜状のものでは蒸着装置やプラズマ重合装置などの特殊な成膜装置や条件や後処理が必要になって、実用性に乏しいといった問題もあり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、高級感のある輝きを有し、安価にそして安定して製造することが可能であり、見る角度によって、すなわち、広視野角度になっても灰色に見えることがなく、実用性に優れた光反射機能を有する構造体を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可視光線、赤外線及び紫外線の反射特性のうちの少なくともいずれか一つの光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体であって、少なくとも屈折率の互いに異なる構成体及び複数の微細構成体を備え、少なくとも上記構成体は断面において光透過性を有し、複数の微細構成体は光透過性を有する上記構成体によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置され、断面に沿う光の入射方向をy方向、この入射方向に直交する横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向としたときに、上記構成体によって取り囲まれている複数の微細構成体のうちの横方向に並んで配置されている微細構成体の中心同士を結んだ線とx方向の軸とがなす角度θを 0°<θ<90°としている構成としたことを特徴としており、この光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0016】
【発明の効果】
本発明の光学機能を有する構造体では、上記した構成としているので、高級感のある輝きを呈することができるのは勿論のこと、広視野角度になった際に灰色に見えたりするのを防ぐことができ、加えて、安価にそして安定した製造が可能であり、実用性の向上をも実現することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学機能を有する構造体について、詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の光反射機能を有する構造体を繊維状又はフィルム状構造に適用した場合を示す概念図であり、本発明の光反射機能を有する構造体1は、屈折率n1 の構成体2及び屈折率n2 の複数の微細構成体3を備えていて、少なくとも一方の構成体2は断面において光透過性を有し、他方、複数の微細構成体3は構成体2によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置された構成となっている。
【0019】
なお、上記した「回折・散乱作用に基づく」とは、基本的に次の内容を意味するものとして取り扱っている。すなわち、一様な媒質中に、この媒質の屈折率とは異なる屈折率でかつ波長よりも小さな物体があると、この微小物体によって光が散乱されるが、この物体が媒質中において等間隔で規則的に並んでいる場合には、これらの物体のそれぞれで散乱された光がいずれも一定方向に波面を形成して、その方向に強く反射(回折)されることになる。本発明においては、この現象の特異性を「回折・散乱作用に基づく」と称することにする(詳細については、例えば、光波工学:共立出版参照)。
【0020】
ここで、本発明を理解するうえで、光の入射方向に対する座標軸を定義しておくことが好ましいので、以下のように定義して説明を進める。
【0021】
すなわち、図1に示すように、上記構造体1の断面において、この断面に沿う光の入射方向をy方向とし、これに直交する構造体1の横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向とする。
【0022】
そして、構造体1に対する法線PLを図示のごとく仮定し、入射角αで入ってきた光Lが回折角β(=受光角)で反射されるものとし(これを0次反射と称する)、入射光L側に正の次数(+1,+2,…)の反射光が出射し、入射光Lとは反対側に負の次数(−1,−2,…)の反射光が出射するものとする。
【0023】
このとき、上記構成体2によって取り囲まれている複数の微細構成体3において、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θ(但し、 0°<θ<90°)だけ傾くようにして配置している。なお、図1では、構造体1の断面形状を矩形状としているが、これに限定されるものではなく、図5(a)〜(e)に示すように、構造体1の断面形状を円形状,楕円形状,長方形状,正方形状及び三角形状としてもよいほか、図5(f)に示すような五角形状としたり、図5(g)に示すような六角形状としたり、図5 (h)に示すような星型等の多角形状としてもよい。
【0024】
次に、この構造体1の断面内に微細構成体3を規則的に配置することで発現する特異性について、従来の干渉発色構造体(図14)と比較しながら説明する。
【0025】
図14に示すように、干渉発色構造体101においては、光Lが法線PLに対して角度αで入射した場合、受光角度βを増加させていくと反射ピーク波長λは短波長側にシフトし、受光角度βが概ね60°位になると、色相も灰色(いわゆる無彩色)となってしまい、商品性も劣ってしまう。
【0026】
これに対し、本発明の構造体1では、上記したように、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θ(但し、 0°<θ<90°)だけ傾くようにして配置しており、このような形態とすることにより、受光角度βを大きく可変させても、色相が灰色(無彩色)とならず、色相を保持できるようになる。
【0027】
これは入射した光Lが構造体1内に規則的に配置されている微細構成体3との回折・散乱作用に基づいて反射光を出射するが、横方向に並ぶ微細構成体3の各中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θだけ傾くことにより、受光側から見た場合、何通りもの規則性を持っていることと等価になるためと考えられる。
【0028】
すなわち、このような何通りもの規則性から発現する反射光が合成されて出射されてくるため、受光角βを可変させたときに灰色に見えないと考えられる。
【0029】
なお、上記角度θを0°<θ<90°としている理由は、θ=0°又はθ=90°とすると、微細構成体3の配列がx方向の軸又はy方向の軸と同一となり、見かけ上(円形断面を有する隣接する微細構成体3同士が付着した場合)干渉発色構造体(図14)と同一構造になって、特性も同様な傾向を示すからである。この微細構成体3同士の中心を線で結んだ線Aが、x方向の軸となす角度θの具体的な値については、入射角度αの大きさや、微細構成体3の断面形状や、微細構成体3が円形断面を有している場合の径や、ピッチ等の関係から一義的に決定することは難しいが、実用的な観点から、10°<θ<60°の範囲とすることがより好ましい。
【0030】
図2〜図4には、図1に示した微細構成体3の配置例のもとで、入射角度αを45°とし、受光角度βを0°,30°,60°としたときの各反射スペクトルを示す。但し、微細構成体3の中心を結んだ線Aとx方向の軸とのなす角度θを30°としている。
【0031】
図から明らかなように、受光角度βを大きく可変しても反射スペクトルにおける主ピークは、波長500nm〜550nm(緑色)の位置にあり、色味が把握できることがわかる。
【0032】
次に、微細構成体3の配置に関して説明する。微細構成体3が所定の断面を有し、上記構成体2の内部において、複数の微細構成体3がx−y平面で多角形状の規則性をもって配列されていればとくに限定されるものではないが、狙いとする波長の光を高反射率で反射させるためには、上記複数の微細構成体3は、できるだけ多角形状の規則性をもって配列していることが望ましい。
【0033】
例えば、図6(a)には、x−y平面内で複数の微細構成体(円柱体)3が三角形状の規則的配列(規則性の最小単位、以下省略する)をとった場合(同一直径の微細構成体3が三角形配列をとったもの)を示し、図6(b)には、図6(a)の三角形配列と同じ配列であるが、頂点を構成する微細構成体3aの直径と他の2点に位置する微細構成体3bの直径とが異なる場合を示している。
【0034】
また、図7(a)には、x−y平面内で複数の微細構成体3が直交配列(四角形状)の規則的配列をとった場合(同一直径の微細構成体3が直交配列をとったもの)を示し、図7(b)には、図7(a)の直交配列と同じ配列であるが、第一行と第二行に位置する微細構成体3a,3bの直径が異なる場合を示している。
【0035】
本発明者らは、x−y平面内での微細構成体3(円柱体)の配列として、五角形配列や六角形配列や八角形配列の場合についても鋭意検討した。その結果、受光角度βを大きく可変させても、これらの構造体1において灰色とは見えず、微妙な色合いの色相を保持することが判った。
【0036】
図8には、x−y平面内で複数の微細構成体3(円柱体)が五角形配列の規則的配列をとった場合を示し、図9には、x−y平面内で複数の微細構成体3(円柱体)が、六角形配列の規則的配列をとった場合を示している。
【0037】
なお、上記した微細構成体3のいずれの配置例においても、発色波長(反射ピーク波長)λを決定づけるのは、入射光側に最も近い面に位置する微細構成体3同士のピッチPxである(詳細は後述する)。この入射光側に最も近い面に位置する微細構成体3同士のピッチPxに留意し、そして、複数の微細構成体3の配列形態が多角形状でかつ規則的配列を確保すれば、回折・散乱作用に基づく光反射機能を十分発現させることが可能である。
【0038】
また、上記微細構成体3は、x−y平面だけでなく奥行き方向(z方向)においても規則性をもった形態であればとくに限定されず、種々の断面形状をもった3次元体であってもよい。なお、このような一般的な形態としては、図10に示すような球状体を挙げることができる。
【0039】
しかしながら、製造の容易さや光反射機能の向上、さらには応用加工処理の点から、できるだけ奥行き方向(z方向)に一様に連続であることが望ましい。例えば、本発明の構造体1を溶融紡糸技術で製造しようとすると、連続紡糸が可能となり、また、高速紡糸及びその後の延伸処理により、繊維軸方向の微細構成体3の屈折率が大きくなって反射特性を向上させることができるばかりでなく、力学的強度も向上し、織編物化する際にも破断せずに連続製織が可能となる。
【0040】
次に、微細構成体3自体の断面形状については何ら限定されるものではないが、成形上の観点からは、円形状や楕円形状とすることが望ましいほか、三角形状や矩形状や五角形状や六角形状などの多角形状とすることが望ましい。回折・散乱作用による光の反射を効率良く発現させる観点からは、できるだけ凹凸のない形状、すなわち、円形状ないしはこれに近い形状(略円形状)がより好ましい。
【0041】
ここで、微細構成体3自体の断面形状が略円形状である場合を例に挙げて具体的に説明する。微細構成体3の略円形状断面におけるx方向の長軸長さをL1 (断面形状が円形の場合は直径2rとなる)とすると、回折・散乱作用を効率良く発現させるためのL1 は、本発明の光反射機能を有する構造体1を構成する微細構成体3の屈折率n2 及び構成体2の屈折率n1 の大きさや、両者の比(n1 >n2 の場合はn1 /n2 であり、n2 >n1 の場合はn2/n1 )や、微細構成体3の配列形態等により、一義的には設定できないが、概ね次のように考えることができる。
【0042】
散乱理論に基づいて、粒子のサイズパラメータαとして、
α=λ/2πr (式1)
なる関係式が広く用いられている。ここで、rは粒子の半径、λは波長である。散乱理論によれば、散乱光強度はこのαの値により大きく変動(振動)するとされてきたが、本発明者らは種々検討した結果、単なる散乱理論の適用ではなく、前述してきたように、規則性(すなわち、回折・散乱作用)に着目することにより、このサイズパラメータαが、
10−2≦α≦103 (式2)
という範囲においても、実用的な光反射機能を発現するということを見出した。
【0043】
これら関係式において、一例を示す。図1に示す構造において、狙いとする反射ピーク波長λをλ=0.45μm(青色)、微細構成体3の半径rをr=(0.13μm/2)とした際のサイズパラメータαは、0.75程度となる。光反射機能を発現するためのより好ましいサイズパラメータαの値としては、10−1〜102 、さらには10−1〜10が好適である。とくに可視光線〜近赤外線領域における光反射機能の点からは10−1〜10であることが望ましい。
【0044】
なお、このサイズパラメータαが10−2よりも小さくなると、粒子サイズが波長オーダよりも非常に大きくなってしまい、繊維状あるいはフィルム状の構造体自身の成形が困難になってしまう。また、逆にこのαが103 よりも大きくなると、粒子サイズが分子レベル以下の大きさとなってしまい、規則性を保持することが困難になると共に、散乱光強度自体も非常に小さくなり、実用的な光反射機能を発現できなくなってしまう。
【0045】
また、2r(=D)≦Pなる関係式は、微細構成体3の断面における直径Dと微細構成体3同士の中心間隔(ピッチ)Pとの関係を示したものであり、微細構成体3の直径Dは最大でもピッチPの寸法(この場合、隣接する微細構成体3同士が点接触することを意味する)であることを想定している。この直径DがピッチP以上になると、微細構成体3同士の融着や断面構造に変化を来たし、回折・散乱作用による光反射機能を低下させるため、好ましくない。
【0046】
次に、微細構成体3の数量について、図11に基づいて説明する。微細構成体3の横方向(いわゆる、行列の列方向)に隣接する微細構成体3の各中心同士を結んだ線Aに着目し、ここでは規則性の最小単位をベースにして1とし、2,3,…Nxnと称する。この数量Nxnは、回折・散乱作用による反射光波長λよりも十分長い距離をとることが望ましく、好ましくは反射光波長λの数倍以上、さらには数十倍程度確保されていることが望ましい。このような寸法とすることにより、発色領域を十分確保でき、回折・散乱効率を向上させることができる。
【0047】
また、微細構成体3の縦方向(行列で言うところの行に相当)の数量Nynは、微細構成体3の屈折率と構成体2の屈折率との比(n1 >n2 の場合はn1 /n2 であり、n2 >n1 の場合はn2 /n1 )に依存し、一義的に設定することはできないが、微細構成体3に空気孔(屈折率n2=1.0:中空状態)を用いた系では、数行(2〜5行)程度で所望の光反射機能を得ることができる。この際、微細構成体3の材料としてポリマー系、ガラス系、セラミックス系などの材料を用いた系では、概ね5行以上、より好ましくは10行以上とすることが望ましい。
【0048】
また、これらの一連の検討から、さらに次のようなバリエーションとすることにより、多機能な光学特性を発現することを本発明者らは見出した。図12に示す構造体1は、図1で示した構造体1を基本とし、この構造体1のx方向に互いに異なる波長の光を出射するべくブロックとした構造体1を複数配置したものである。ここでは、x方向に3つのブロックを配置しており、左側のブロックBlからは青色の光λB (=435.8nm)が、真中に位置するブロックBcからは緑色の光λG (=546.1nm)が、そして右側のブロックBrからは赤色の光λR (=700.0nm)というように、光の3原色が回折・散乱作用によって発色させられるように構成されたものである。なお、これらの3原色の波長λB ,λG ,λR の値は、「色再現工学の基礎(コロナ社)」の第9頁参照のこと。
【0049】
このような構成とすることにより、受光角度β(見る角度に相当)を、例えば、法線PLから60°,70°と大きく可変していったとしても、観察者の眼には3ブロックから出射される光の合成光として認知されるため、灰色に見えることはなく、したがって、色相を保持した高品位な発色が可能となる。
【0050】
ここでは光の3原色である青色の光λB ,緑色の光λG ,赤色の光λR が発色するような構成としたが、このブロックの配列および配色についてはこれらに限定されるものではなく、青色の光λB ,赤色の光λR ,青色の光λBのような2色から成る3ブロック配列としたり、橙色の光λo と緑色の光λG であるかのような2色から成る2ブロック配列としたり、さらには、青色の光λB ,赤色の光λR ,青色の光λB ,赤色の光λR のような青色の光λB 及び赤色の光λR の繰返しから成るNブロック配列としたりすることも可能である。なお、ここで述べた光の3原色であるλB ,λG ,λR の各光強度の大小を制御することにより、ディスプレイのように様々な色相を発現させることが可能となる。また、色素系(減法混色)と異なり、3原色を混ぜ合わせると明度が上がる(加法混色)というメリットも生まれる。
【0051】
なお、上記各ブロックBl,Bc,Br内に位置する微細構成体3の配置形態は、回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性を持っていれば、どんな配置形態であってもよく、前述したように、例えば、x−y平面で多角形状配列(三角形状配列,直交(四角形)配列,五角形状配列,六角形状配列など)でも差し支えない。
【0052】
次に、本発明の構造体を構成する材料について説明する。本発明で言う光透過性を有する材料とは、可視光線領域,赤外線領域および紫外線領域の中の少なくともいずれかの領域で実質的に光透過性を有するものであれば特に限定されず、固体・液体・気体物質のいずれであってもよい。また、回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるためには、構成体2と微細構成体3との境界面での光反射が重要となるので、構成体2に用いる材料は少なくとも入射した光の一部が透過する材料系であることが望ましい。
【0053】
なお、微細構成体3に用いる材料も光透過性を有し、しかも、本構造体1が可視光線の特定波長λを反射する発色構造体1になっている場合には、以下のような特異な機能も発現する。
【0054】
すなわち、観察者である我々が入射光L側に位置して上記構造体1を見る場合(この場合は、構造体1からの反射光を見ることになる)と、入射光Lとは反対側に位置して上記構造体1を見る場合(この場合は、構造体1からの透過光を見ることになる)とで、色相が大きく異なるという商品性も付与することができる。この機能は、例えば、窓用のカーテンに適用した場合を想定すると、室内側でカーテンを見たときと室外側でカーテンを見たときで色相が異なって見えることを意味する。
【0055】
また、本発明の構造体1においては、少なくとも構成体2に用いる材料が実質的に光透過性を有してさえいれば、分子構造に基づく着色があっても、又は、顔料や染料などの色素によって人工的に着色されていても構わない。このような着色機能と本発明の回折・散乱作用に基づく光の反射機能との相乗効果(複合効果)により、今までにない独特な色味や質感を与えることも可能である。
【0056】
さらに、複数の微細構成体3のそれぞれに対して、実質的に紫外線や赤外線を反射させることにより、それらの反射機能を向上させることも可能である。さらにまた、紫外線や赤外線を吸収させる材料を適宜添加することにより、それらを遮蔽させたり、保温効果を持たせたりすることも可能である。具体的な材料としては、例えば、微粒子形態が望ましく、チタンやジルコニウム,アルミニウム,アンチモン,亜鉛,リンなどの酸化物を挙げることができる。
【0057】
次に、実質的に光透過性を有する材料について説明する。少なくとも構成体2に用いる材料としては、ポリマー系,ガラス系,セラミックス系から成る群から選ばれる1種類以上の材料からなることが望ましい。ガラス系の材料としては、例えば、通常のクラウンガラス,フリントガラス,Eガラス,Sガラス,石英ガラスなどが挙げられる。また、セラミックス系の材料としては、例えば、Al2O3,BeO,Caoなどを挙げることができる。
【0058】
この場合、より多くの応用品へ適用するために、例えば、紫外線・赤外線の反射や、可視光線領域で見る角度によっても灰色にならない(色相を保持している)織編物やフィルムを成形品とし、又は、これらを所定の長さに切断した微小なチップ材(小片)とし、これらを光輝材として使用した各種塗装品(加飾性及び高意匠性を求められる塗装品)には、光透過性を有するポリマー系材料を用いることがより望ましい。
【0059】
このポリマー系材料としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、紫外線硬化樹脂といった種々のポリマー系材料を適用できるが、その中でも、成形性及び後の加工性、並びに、コスト等の点から、構成体2の材料及び微細構成体3の材料のうちの少なくとも一方は熱可塑性樹脂とすることが好ましい。具体的な熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系,ポリアミド系,ポリオレフィン系,ビニル系,ポリエーテルケトン系,ポリサルファイド系,フッ素系,ポリカーボネート系の単体又はこれらの任意の組合せ、若しくは2種類以上の共重合体のいずれかであることが望ましい。
【0060】
また、請求項15に記載しているように、本発明の光反射機能を有する構造体において、上記微細構成体3及び/又はこの微細構成体3を取り囲む構成体2が複屈折性を有するものであることが望ましい。ここで、「複屈折」とは、偏光方向によって屈折率が異なり、光の進行方向と垂直な面内において最大の屈折率を示す振動方向と、この方向と直交する最小の屈折率を示す振動方向の2成分に分かれて進む現象をいう(例えば、丸善株式会社発行「繊維便覧」第195頁参照)。
【0061】
本発明の光反射機能を有する構造体において、微細構成体3及びこの微細構成体3を取り囲む構成体2の少なくともいずれかに用いる材料が複屈折性を有していると、前述したように、ある方向において最大の屈折率を利用することができるというメリットが生まれ、回折・散乱作用に基づく光反射機能を一層向上させることができる。複屈折Δnの大きなポリマーとしては、例えば、請求項14で挙げた中では、ポリエチレンナフタレート(PEN:Δn=0.24〜0.28),ポリエチレンテレフタレート(PET:Δn=0.24〜0.25),ポリカーボネート(PC:Δn=0.182),ポリブチルテレフタレート(PBT:Δn=0.153)などが代表的なものである(丸善株式会社発行「繊維便覧」第196頁参照)。
【0062】
したがって、光学機能向上の点から複屈折Δnに着目すると、このΔnの大きな材料と小さな材料の組合せを用いることが望ましい。例えば、図1に示す構造体1においても、微細構成体3及びこれを取り囲む構成体2のいずれか一方に複屈折Δnの大きなポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートを用いることが望ましい。
【0063】
本発明の構造体1の代表的な形態である繊維の場合、紡糸中や延伸処理によって繊維軸方向に結晶配向するため、紡糸条件や延伸条件をコントロールすることにより、繊維軸方向の屈折率(nz)を著しく大きくすることが可能となる。このような視点に立って,回折・散乱作用に基づく光の反射機能を考えると、微細構成体3及びこれを取り囲む構成体2の一方は複屈折性を有する材料から成るものであることが望ましい。そして、この複屈折性を有する材料のΔnは0.05以上であることが望ましく、0.1以上であることがより好ましい。
【0064】
ここで、前述のポリエチレンナフタレート(PEN))とナイロン6(Ny6)との組合せを考えると、ポリエチレンナフタレートのΔnは0.24〜0.28であり、ナイロン6のΔnは0.08程度であり、両ポリマーからなる光反射機能を有する構造体1においては、0.2前後の屈折率差を確保できるというメリットが生まれる。
【0065】
また、請求項17に記載したように、微細構成体3が光透過性を有し、かつ、着色されていても差し支えない。図13(a)に示すように、微細構成体3自体が光透過性を有した状態で着色されていると、入射した光は着色材によって吸収され、光量の減じられた光が次の微細構成体3へ入射することになる。したがって、回折・散乱作用による光の反射強度は無着色時に比べて確かに低下するが、着色されていることによって、図13(b)に示すように、受光角度βを大きく可変しても灰色に見えることがなく、ある色相を保持できるというメリットを生む。さらに、回折・散乱作用による構造色と微細構成体3の着色による物体色とが複合した色を発現し、従来にない独特の質感をも呈することになる。
【0066】
次に、本発明の光反射機能を有する構造体の成形について、前述したポリマー系を例に挙げて説明する。繊維状あるいはフィルム状の光反射機能を有する構造体を成形する代表的な手段としては、複合溶融紡糸法や共押出し法などが挙げられる。
【0067】
ここでは、複合溶融紡糸法による光反射機能を有する構造体(繊維状をなす構造体)の成形について説明する。成形上ポイントとなる口金として、公知の海島型構造成形用口金(特公昭44−13208号公報や特公報44−18369号公報)を使用し、図1に示すような島部直径D、島部同士の中心間ピッチPの規則的な配列の構造体1を得ることができる(但し、微細構成体3同士の中心を結んだ線Aが、x方向の軸よりも角度θだけ傾いた配置)。
【0068】
構成体2の材料及び微細構成体3の材料としては、溶融可能なポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6との組合せ)を選択し、適切な紡糸条件(口金温度,口金下雰囲気温度,総吐出量,吐出量比,巻取り速度等)の下で未延伸糸を得る。また、所望の光学機能発現と機械的強度を確保するために、適切な条件(温度,取り速度,延伸比等)で熱延伸処理を施すことによって、上記構造体1を得ることができる。なお、溶融可能な2種類のポリマーの選択にあたっては、口金流路内及び口金吐出孔下での両者の応力バランスを考慮すると、できるだけ溶融粘度特性の近いものとすることが望ましい。
【0069】
本発明の光反射機能を有する構造体においては、当該構造体1を数百本から数万本というオーダで、ある寸法になるように束ねた状態にして、機械的にカッター等で切断し、微小なチップ材(小片)とすることも可能である。例えば、適切な含浸液(例えば、水や糊等)を使用して当該構造体1を数万本程度集合させて直径数十mm程度にした後、集合束の定速送り出し機構を備えた自動カッター(例えば、シャーリング方式)で連続的に数mmから数十μm程度の長さに切断することも可能である。その後、分級(ふるい)処理を施し、所望の寸法のチップ材を得ることができる。また、上記構造体1を束ねた後に、前述の自動カッター等で粗チップ(例えば、数十mmから数百μmの長さ)にした後、公知のロール式粉砕法や高速回転衝撃式粉砕法や媒体式粉砕法などによって粉砕し、各種分級処理によって所望の寸法のチップ材としても構わない。
【0070】
なお、チッピングの方法等は、例えば、繊維機械学会編「繊維工学(II)繊維の製造、構造体及び物性」の第116頁や、同学会編「繊維工学(III)繊維の製造、構造体及び物性」の第223〜225頁に記載されている。
【0071】
また、上記構造体1を上述したように束ねた後フリージング処理し、各種方法によって粉砕・分級(ふるい)処理を施して所定の寸法の粉末体とすることも可能である。これらはいずれも従来にない、優れた色材・光輝材として各種分野に幅広く適用できるものである。
【0072】
さらに、このような微小なチップ材(小片)や粉末体を色材・光輝材として、光透過性を有する塗料に用いることにより、自動車や家電に塗布することが可能となるほか、建築材,玩具,スポーツ用品,高級化粧品容器などの様々な内外装面に塗布することが可能となる。このような適用により、見る方向によって灰色に見えるようなことがなく、しかも高級感のある輝きを呈する優れた意匠を実現することができる。
【0073】
さらにまた、上記チップや粉末体はフィルムや各種のプラスチック成形体に光輝材として混ぜ込むことや、不織布や紙に入れて壁紙や障子紙などにすることもできる。
【0074】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これら実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、下記条件にて図1に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0076】
口金としては、特開平8−226011号公報に記載された複合紡糸口金を一部変更したものを準備し、これを複合溶融紡糸装置に装着した上で、紡糸温度286℃、巻取り速度3〜5km/minで吐出量を適宜変えて未延伸糸を得た。この未延伸糸をさらに熱延伸処理し、光反射機能を有する構造体1を得た。
【0077】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.28μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0078】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=462nmに主ピークをもち、反射率Rは72%であった。
【0079】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、紫青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、紫青色から赤緑色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0080】
(実施例2)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.68のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、これ以外は上記実施例1と同様な条件で図1に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を得た。
【0081】
得られた反射スペクトルは波長λ=468nmに主ピークをもち、反射率Rは83%であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0082】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、紫青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、紫青色から赤緑色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0083】
(実施例3)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図6(a)に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0084】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が、規則性の最小単位である三角形における頂点のトップ同士の平均ピッチP=0.30μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である三角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0085】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=478nmに主ピークをもち、反射率Rは68%であった。
【0086】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青色から青紫色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0087】
(実施例4)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図8(a)に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0088】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が、規則性の最小単位である五角形における頂点のトップ同士の平均ピッチP=0.28μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である五角形を1段とすると、この段数Nは4段形成されていた。
【0089】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=475nmに主ピークをもち、反射率Rは62%でややブロードなスペクトルであった。
【0090】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青色から青紫色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0091】
(実施例5)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図12に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1(図12に示すように、3つのブロックからなり、左側から発色波長λをそれぞれ青色λB =475nm,緑色λG =520nm,赤色λR =650nm)を狙って紡糸を行った。
【0092】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、図12に示すような3つのブロックがx方向に直列に形成されていた。個々のブロックを観察すると、左側の青色発色のブロックBlの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.28μmの規則性をもって複数配置され、真中の緑色発色のブロックBcの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.33μmの規則性をもって複数配置され、右側の赤色発色のブロックBrの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.41μmの規則性をもって複数配置されていて、しかも、いずれのブロックBl,Bc,Brにおいても、微細構成体3の中心同士を結んだ線Aは、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた状況であった。なお、各ブロックBl,Bc,Brにおける微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0093】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=513nmに主ピークをもち、この波長での反射率Rは72%であった。なお、主ピーク以外の波長域では比較的ブロードなスペクトルを呈していた。
【0094】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青緑色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青緑色から紫青色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光反射機能を有する構造体の一実施形態による基本構造を示す断面説明図である。
【図2】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを0°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図3】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを30°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図4】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを60°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図5】図1に示した光反射機能を有する構造体における断面形状説明図(a)〜(h)である。
【図6】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体の他の配置例を示す同一直径の微細構成体が三角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が三角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図7】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が四角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が四角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図8】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が五角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が五角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図9】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が六角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が六角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図10】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す球状の微細構成体が奥行き方向に規則的に並んでいる場合の配置説明図である。
【図11】本発明の光反射機能を有する構造体の微細構成体の配置に係る行方向と列方向との段数の説明図である。
【図12】本発明の光反射機能を有する構造体の他の実施形態を示す断面説明図である。
【図13】本発明の光反射機能を有する構造体のさらに他の実施形態を示す微細構成体が光透過性を有しかつ着色されている場合の発色説明図である。
【図14】従来の干渉作用を利用して発色する構造体の基本構造を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 光反射機能を有する構造体
2 構成体
3 微細構成体
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の散乱、回折等の物理作用により、可視光線、赤外線及び紫外線領域の少なくともいずれかの波長域の光を反射する光学機能を有する構造体に関わり、さらに詳しくは、顔料や染料を必要とせずに、例えば、可視光線領域において、特定波長の光を反射して発色する光反射機能を有する構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光エネルギーは、一般に我々の視覚で認知できる可視光線(波長380〜780nm)と、これより短い波長域の紫外線(波長290〜380nm)と、可視光線より長い波長域の赤外線(波長780nm以上)とに区分される。これらの光エネルギーのうち可視光線は、我々の視知覚と密接に関与しており、この可視光線の下で各種物体の色を感知している。一般に、物体の色はその物体が光の一部を吸収することにより生じる。この原理を利用した着色が従来から用いられてきたもので、具体的には顔料や染料などの色素を用いた方法である。現在の我々の身の回りのほどんどの着色および発色はこの方法に基づいている。
【0003】
ところが、この方法による着色は各種顔料や染料自体を必要としたり、廃液処理などの後始末を必要としたりするため、作業面及び環境面のいずれの面においても問題視されてきている。また、品質面においても、顔料や染料が物体表面に溶出して質感低下を引き起こしたり、紫外線等による退色で初期品質が保持できずに、意匠性や商品性を損ねてしまったりするといった欠点も指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するため、顔料や染料などのいわゆる色素を使用せず、光の干渉、回折などの物理作用を用いた発色手段(広義には、「構造性発色」と称する)が知れらている。これは、物体表面やその内部に存在する規則的な微細構造体と光との相互作用によって発色するものであり、いくつかの技術が既に公知となっている。
【0005】
光の干渉反射作用を利用することにより発色する構造体としては、例えば、分子配向異方性フィルムを2枚の偏光フィルムで挟んだ構造とすることにより発色する材料が知られている(繊維機械学会誌Vol.42,No.2,p.55(1989)、及び、同誌Vol.42,No.10,p160(1989))。
【0006】
この原理は、第1の偏光フィルムに法線方向からの光が入射すると、このフィルムを通った光が一定方向にのみ振動する光(直線偏光)となる。次に、この直線偏光が45°配位した分子配向異方性フィルムを通ると、偏光面を回転させて楕円偏光に変わる。そして、この楕円偏光が第2の偏光フィルムを通ると再び直線偏光となるが、この段階において、波長によって光の強さが異なるために、それが着色偏光となって色として認知されることになる(いわゆる、偏光の干渉による発色)。
【0007】
また、屈折率の異なる2種類のポリマー物質を交互に何十層と積層した構造とすることにより発色する材料も報告されている(特開平4−295804号公報)。この原理は、屈折率の異なる交互積層界面で生じるフレネル反射が重なって干渉を起こし、その結果、反射率の波長依存性や反射率そのものの増加や減少を生じるというもので、特定波長で特定位相差をもって重なり合うときに現れる発色である(発色波長λ1 =2=(nada+nbdb):発色波長λ1 は互いの光学的厚みが等しいとき、すなわち、nada=nbdbのとき、最大となる)。
【0008】
例えば、特開平4−295804号公報には、少なくとも第1と第2のポリマー物質の屈折率が互いに少なくとも0.03異なり、しかも100nm程度の厚さで積層させたフィルム状の反射性ポリマー物体が開示されている。さらに、本発明者らも特許第3036305号において、屈折率の異なる2種類の高分子物質からなる交互積層構造を有する繊維状の発色構造体を開示している。この発色繊維は非染色の発色繊維であり、高級感のある輝きと見る方向によって色味が変わる特徴とを有し、しかも、この繊維と組合せる繊維の色によっては、その複合効果によって干渉効果特有の質感を呈するものである。
【0009】
一方、回折、干渉等の作用を利用した構造体としては、繊維表面に一定幅の細溝を設けることによって回折色及び干渉色を発する構造体が提案されている(特開平8−234007号公報)。この原理は、多数の所定深さ寸法の溝を所定の間隔をもって規則的に形成させた平面又は凹面(いわゆる、回折格子状のごとく溝を配した平面又は凹面)に光を入射させると、光路差ΔLが生じ、この光路差が波長λの整数倍であるとき、反射光が強めあって明るくなるというもの(光路差ΔL=mλ:但し、mは回折次数で、m=0,1,2,…)で、実際には、ある角度で入射した光に対し、ある回折角度で波長λの発色を与えるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した顔料や染料などの色素を使用しない発色構造のうち、分子配向異方性フィルムを偏光フィルムで挟んだ構造体にあっては、細い繊維や微小な光輝材用チップ(小片)を安価にしかも安定して製造することが困難であり、加えて、高級感のある鮮やかな色味という点で十分とはいえなかった。
【0011】
また、屈折率の異なる第1と第2のポリマーからなる反射性ポリマー物体においても、細い繊維や微小な光輝材用チップ(小片)を安価に製造することが困難であるばかりでなく、見る角度によって、すなわち、広視野角度になると、光の反射干渉現象特有の灰色に見えてしまう(無彩色の領域となり、いわゆる、死角となってしまう)という本質的な問題があった。ここで、死角とは、干渉発色フィルムや繊維の照射面に対して法線方向から光が入射し、この法線から角度αだけずれた位置でこれらを見た場合、この角度αが大きくなればなるほど多層薄膜理論に基づき、法線(0°)の位置で観察した反射スペクトル(反射ピーク波長λ1 )が可視光領域をはずれて紫外線領域にシフトして、色として認知できないようになることを意味する。
【0012】
さらに、また、特許第3036305号において開示した繊維状の構造体においても、上記と同様に、見る角度によって色味が変わるという特徴とは裏腹に、干渉現象特有の広視野角度になると灰色に見えてしまうという問題を有していた。
【0013】
一方、回折、干渉等の作用を利用して発色する構造体においては、上記したような欠点は少ないものの、コンパクトディスクのごとくレインボー色に見えてしまうため、商品としては低品位で安価なものとなっており、加えて、製造上の面からも、例えば、薄膜状のものでは蒸着装置やプラズマ重合装置などの特殊な成膜装置や条件や後処理が必要になって、実用性に乏しいといった問題もあり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、高級感のある輝きを有し、安価にそして安定して製造することが可能であり、見る角度によって、すなわち、広視野角度になっても灰色に見えることがなく、実用性に優れた光反射機能を有する構造体を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可視光線、赤外線及び紫外線の反射特性のうちの少なくともいずれか一つの光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体であって、少なくとも屈折率の互いに異なる構成体及び複数の微細構成体を備え、少なくとも上記構成体は断面において光透過性を有し、複数の微細構成体は光透過性を有する上記構成体によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置され、断面に沿う光の入射方向をy方向、この入射方向に直交する横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向としたときに、上記構成体によって取り囲まれている複数の微細構成体のうちの横方向に並んで配置されている微細構成体の中心同士を結んだ線とx方向の軸とがなす角度θを 0°<θ<90°としている構成としたことを特徴としており、この光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0016】
【発明の効果】
本発明の光学機能を有する構造体では、上記した構成としているので、高級感のある輝きを呈することができるのは勿論のこと、広視野角度になった際に灰色に見えたりするのを防ぐことができ、加えて、安価にそして安定した製造が可能であり、実用性の向上をも実現することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学機能を有する構造体について、詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の光反射機能を有する構造体を繊維状又はフィルム状構造に適用した場合を示す概念図であり、本発明の光反射機能を有する構造体1は、屈折率n1 の構成体2及び屈折率n2 の複数の微細構成体3を備えていて、少なくとも一方の構成体2は断面において光透過性を有し、他方、複数の微細構成体3は構成体2によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置された構成となっている。
【0019】
なお、上記した「回折・散乱作用に基づく」とは、基本的に次の内容を意味するものとして取り扱っている。すなわち、一様な媒質中に、この媒質の屈折率とは異なる屈折率でかつ波長よりも小さな物体があると、この微小物体によって光が散乱されるが、この物体が媒質中において等間隔で規則的に並んでいる場合には、これらの物体のそれぞれで散乱された光がいずれも一定方向に波面を形成して、その方向に強く反射(回折)されることになる。本発明においては、この現象の特異性を「回折・散乱作用に基づく」と称することにする(詳細については、例えば、光波工学:共立出版参照)。
【0020】
ここで、本発明を理解するうえで、光の入射方向に対する座標軸を定義しておくことが好ましいので、以下のように定義して説明を進める。
【0021】
すなわち、図1に示すように、上記構造体1の断面において、この断面に沿う光の入射方向をy方向とし、これに直交する構造体1の横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向とする。
【0022】
そして、構造体1に対する法線PLを図示のごとく仮定し、入射角αで入ってきた光Lが回折角β(=受光角)で反射されるものとし(これを0次反射と称する)、入射光L側に正の次数(+1,+2,…)の反射光が出射し、入射光Lとは反対側に負の次数(−1,−2,…)の反射光が出射するものとする。
【0023】
このとき、上記構成体2によって取り囲まれている複数の微細構成体3において、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θ(但し、 0°<θ<90°)だけ傾くようにして配置している。なお、図1では、構造体1の断面形状を矩形状としているが、これに限定されるものではなく、図5(a)〜(e)に示すように、構造体1の断面形状を円形状,楕円形状,長方形状,正方形状及び三角形状としてもよいほか、図5(f)に示すような五角形状としたり、図5(g)に示すような六角形状としたり、図5 (h)に示すような星型等の多角形状としてもよい。
【0024】
次に、この構造体1の断面内に微細構成体3を規則的に配置することで発現する特異性について、従来の干渉発色構造体(図14)と比較しながら説明する。
【0025】
図14に示すように、干渉発色構造体101においては、光Lが法線PLに対して角度αで入射した場合、受光角度βを増加させていくと反射ピーク波長λは短波長側にシフトし、受光角度βが概ね60°位になると、色相も灰色(いわゆる無彩色)となってしまい、商品性も劣ってしまう。
【0026】
これに対し、本発明の構造体1では、上記したように、横方向に並んで配置されている微細構成体3の中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θ(但し、 0°<θ<90°)だけ傾くようにして配置しており、このような形態とすることにより、受光角度βを大きく可変させても、色相が灰色(無彩色)とならず、色相を保持できるようになる。
【0027】
これは入射した光Lが構造体1内に規則的に配置されている微細構成体3との回折・散乱作用に基づいて反射光を出射するが、横方向に並ぶ微細構成体3の各中心同士を結んだ線Aが、x方向の軸に対して角度θだけ傾くことにより、受光側から見た場合、何通りもの規則性を持っていることと等価になるためと考えられる。
【0028】
すなわち、このような何通りもの規則性から発現する反射光が合成されて出射されてくるため、受光角βを可変させたときに灰色に見えないと考えられる。
【0029】
なお、上記角度θを0°<θ<90°としている理由は、θ=0°又はθ=90°とすると、微細構成体3の配列がx方向の軸又はy方向の軸と同一となり、見かけ上(円形断面を有する隣接する微細構成体3同士が付着した場合)干渉発色構造体(図14)と同一構造になって、特性も同様な傾向を示すからである。この微細構成体3同士の中心を線で結んだ線Aが、x方向の軸となす角度θの具体的な値については、入射角度αの大きさや、微細構成体3の断面形状や、微細構成体3が円形断面を有している場合の径や、ピッチ等の関係から一義的に決定することは難しいが、実用的な観点から、10°<θ<60°の範囲とすることがより好ましい。
【0030】
図2〜図4には、図1に示した微細構成体3の配置例のもとで、入射角度αを45°とし、受光角度βを0°,30°,60°としたときの各反射スペクトルを示す。但し、微細構成体3の中心を結んだ線Aとx方向の軸とのなす角度θを30°としている。
【0031】
図から明らかなように、受光角度βを大きく可変しても反射スペクトルにおける主ピークは、波長500nm〜550nm(緑色)の位置にあり、色味が把握できることがわかる。
【0032】
次に、微細構成体3の配置に関して説明する。微細構成体3が所定の断面を有し、上記構成体2の内部において、複数の微細構成体3がx−y平面で多角形状の規則性をもって配列されていればとくに限定されるものではないが、狙いとする波長の光を高反射率で反射させるためには、上記複数の微細構成体3は、できるだけ多角形状の規則性をもって配列していることが望ましい。
【0033】
例えば、図6(a)には、x−y平面内で複数の微細構成体(円柱体)3が三角形状の規則的配列(規則性の最小単位、以下省略する)をとった場合(同一直径の微細構成体3が三角形配列をとったもの)を示し、図6(b)には、図6(a)の三角形配列と同じ配列であるが、頂点を構成する微細構成体3aの直径と他の2点に位置する微細構成体3bの直径とが異なる場合を示している。
【0034】
また、図7(a)には、x−y平面内で複数の微細構成体3が直交配列(四角形状)の規則的配列をとった場合(同一直径の微細構成体3が直交配列をとったもの)を示し、図7(b)には、図7(a)の直交配列と同じ配列であるが、第一行と第二行に位置する微細構成体3a,3bの直径が異なる場合を示している。
【0035】
本発明者らは、x−y平面内での微細構成体3(円柱体)の配列として、五角形配列や六角形配列や八角形配列の場合についても鋭意検討した。その結果、受光角度βを大きく可変させても、これらの構造体1において灰色とは見えず、微妙な色合いの色相を保持することが判った。
【0036】
図8には、x−y平面内で複数の微細構成体3(円柱体)が五角形配列の規則的配列をとった場合を示し、図9には、x−y平面内で複数の微細構成体3(円柱体)が、六角形配列の規則的配列をとった場合を示している。
【0037】
なお、上記した微細構成体3のいずれの配置例においても、発色波長(反射ピーク波長)λを決定づけるのは、入射光側に最も近い面に位置する微細構成体3同士のピッチPxである(詳細は後述する)。この入射光側に最も近い面に位置する微細構成体3同士のピッチPxに留意し、そして、複数の微細構成体3の配列形態が多角形状でかつ規則的配列を確保すれば、回折・散乱作用に基づく光反射機能を十分発現させることが可能である。
【0038】
また、上記微細構成体3は、x−y平面だけでなく奥行き方向(z方向)においても規則性をもった形態であればとくに限定されず、種々の断面形状をもった3次元体であってもよい。なお、このような一般的な形態としては、図10に示すような球状体を挙げることができる。
【0039】
しかしながら、製造の容易さや光反射機能の向上、さらには応用加工処理の点から、できるだけ奥行き方向(z方向)に一様に連続であることが望ましい。例えば、本発明の構造体1を溶融紡糸技術で製造しようとすると、連続紡糸が可能となり、また、高速紡糸及びその後の延伸処理により、繊維軸方向の微細構成体3の屈折率が大きくなって反射特性を向上させることができるばかりでなく、力学的強度も向上し、織編物化する際にも破断せずに連続製織が可能となる。
【0040】
次に、微細構成体3自体の断面形状については何ら限定されるものではないが、成形上の観点からは、円形状や楕円形状とすることが望ましいほか、三角形状や矩形状や五角形状や六角形状などの多角形状とすることが望ましい。回折・散乱作用による光の反射を効率良く発現させる観点からは、できるだけ凹凸のない形状、すなわち、円形状ないしはこれに近い形状(略円形状)がより好ましい。
【0041】
ここで、微細構成体3自体の断面形状が略円形状である場合を例に挙げて具体的に説明する。微細構成体3の略円形状断面におけるx方向の長軸長さをL1 (断面形状が円形の場合は直径2rとなる)とすると、回折・散乱作用を効率良く発現させるためのL1 は、本発明の光反射機能を有する構造体1を構成する微細構成体3の屈折率n2 及び構成体2の屈折率n1 の大きさや、両者の比(n1 >n2 の場合はn1 /n2 であり、n2 >n1 の場合はn2/n1 )や、微細構成体3の配列形態等により、一義的には設定できないが、概ね次のように考えることができる。
【0042】
散乱理論に基づいて、粒子のサイズパラメータαとして、
α=λ/2πr (式1)
なる関係式が広く用いられている。ここで、rは粒子の半径、λは波長である。散乱理論によれば、散乱光強度はこのαの値により大きく変動(振動)するとされてきたが、本発明者らは種々検討した結果、単なる散乱理論の適用ではなく、前述してきたように、規則性(すなわち、回折・散乱作用)に着目することにより、このサイズパラメータαが、
10−2≦α≦103 (式2)
という範囲においても、実用的な光反射機能を発現するということを見出した。
【0043】
これら関係式において、一例を示す。図1に示す構造において、狙いとする反射ピーク波長λをλ=0.45μm(青色)、微細構成体3の半径rをr=(0.13μm/2)とした際のサイズパラメータαは、0.75程度となる。光反射機能を発現するためのより好ましいサイズパラメータαの値としては、10−1〜102 、さらには10−1〜10が好適である。とくに可視光線〜近赤外線領域における光反射機能の点からは10−1〜10であることが望ましい。
【0044】
なお、このサイズパラメータαが10−2よりも小さくなると、粒子サイズが波長オーダよりも非常に大きくなってしまい、繊維状あるいはフィルム状の構造体自身の成形が困難になってしまう。また、逆にこのαが103 よりも大きくなると、粒子サイズが分子レベル以下の大きさとなってしまい、規則性を保持することが困難になると共に、散乱光強度自体も非常に小さくなり、実用的な光反射機能を発現できなくなってしまう。
【0045】
また、2r(=D)≦Pなる関係式は、微細構成体3の断面における直径Dと微細構成体3同士の中心間隔(ピッチ)Pとの関係を示したものであり、微細構成体3の直径Dは最大でもピッチPの寸法(この場合、隣接する微細構成体3同士が点接触することを意味する)であることを想定している。この直径DがピッチP以上になると、微細構成体3同士の融着や断面構造に変化を来たし、回折・散乱作用による光反射機能を低下させるため、好ましくない。
【0046】
次に、微細構成体3の数量について、図11に基づいて説明する。微細構成体3の横方向(いわゆる、行列の列方向)に隣接する微細構成体3の各中心同士を結んだ線Aに着目し、ここでは規則性の最小単位をベースにして1とし、2,3,…Nxnと称する。この数量Nxnは、回折・散乱作用による反射光波長λよりも十分長い距離をとることが望ましく、好ましくは反射光波長λの数倍以上、さらには数十倍程度確保されていることが望ましい。このような寸法とすることにより、発色領域を十分確保でき、回折・散乱効率を向上させることができる。
【0047】
また、微細構成体3の縦方向(行列で言うところの行に相当)の数量Nynは、微細構成体3の屈折率と構成体2の屈折率との比(n1 >n2 の場合はn1 /n2 であり、n2 >n1 の場合はn2 /n1 )に依存し、一義的に設定することはできないが、微細構成体3に空気孔(屈折率n2=1.0:中空状態)を用いた系では、数行(2〜5行)程度で所望の光反射機能を得ることができる。この際、微細構成体3の材料としてポリマー系、ガラス系、セラミックス系などの材料を用いた系では、概ね5行以上、より好ましくは10行以上とすることが望ましい。
【0048】
また、これらの一連の検討から、さらに次のようなバリエーションとすることにより、多機能な光学特性を発現することを本発明者らは見出した。図12に示す構造体1は、図1で示した構造体1を基本とし、この構造体1のx方向に互いに異なる波長の光を出射するべくブロックとした構造体1を複数配置したものである。ここでは、x方向に3つのブロックを配置しており、左側のブロックBlからは青色の光λB (=435.8nm)が、真中に位置するブロックBcからは緑色の光λG (=546.1nm)が、そして右側のブロックBrからは赤色の光λR (=700.0nm)というように、光の3原色が回折・散乱作用によって発色させられるように構成されたものである。なお、これらの3原色の波長λB ,λG ,λR の値は、「色再現工学の基礎(コロナ社)」の第9頁参照のこと。
【0049】
このような構成とすることにより、受光角度β(見る角度に相当)を、例えば、法線PLから60°,70°と大きく可変していったとしても、観察者の眼には3ブロックから出射される光の合成光として認知されるため、灰色に見えることはなく、したがって、色相を保持した高品位な発色が可能となる。
【0050】
ここでは光の3原色である青色の光λB ,緑色の光λG ,赤色の光λR が発色するような構成としたが、このブロックの配列および配色についてはこれらに限定されるものではなく、青色の光λB ,赤色の光λR ,青色の光λBのような2色から成る3ブロック配列としたり、橙色の光λo と緑色の光λG であるかのような2色から成る2ブロック配列としたり、さらには、青色の光λB ,赤色の光λR ,青色の光λB ,赤色の光λR のような青色の光λB 及び赤色の光λR の繰返しから成るNブロック配列としたりすることも可能である。なお、ここで述べた光の3原色であるλB ,λG ,λR の各光強度の大小を制御することにより、ディスプレイのように様々な色相を発現させることが可能となる。また、色素系(減法混色)と異なり、3原色を混ぜ合わせると明度が上がる(加法混色)というメリットも生まれる。
【0051】
なお、上記各ブロックBl,Bc,Br内に位置する微細構成体3の配置形態は、回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性を持っていれば、どんな配置形態であってもよく、前述したように、例えば、x−y平面で多角形状配列(三角形状配列,直交(四角形)配列,五角形状配列,六角形状配列など)でも差し支えない。
【0052】
次に、本発明の構造体を構成する材料について説明する。本発明で言う光透過性を有する材料とは、可視光線領域,赤外線領域および紫外線領域の中の少なくともいずれかの領域で実質的に光透過性を有するものであれば特に限定されず、固体・液体・気体物質のいずれであってもよい。また、回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるためには、構成体2と微細構成体3との境界面での光反射が重要となるので、構成体2に用いる材料は少なくとも入射した光の一部が透過する材料系であることが望ましい。
【0053】
なお、微細構成体3に用いる材料も光透過性を有し、しかも、本構造体1が可視光線の特定波長λを反射する発色構造体1になっている場合には、以下のような特異な機能も発現する。
【0054】
すなわち、観察者である我々が入射光L側に位置して上記構造体1を見る場合(この場合は、構造体1からの反射光を見ることになる)と、入射光Lとは反対側に位置して上記構造体1を見る場合(この場合は、構造体1からの透過光を見ることになる)とで、色相が大きく異なるという商品性も付与することができる。この機能は、例えば、窓用のカーテンに適用した場合を想定すると、室内側でカーテンを見たときと室外側でカーテンを見たときで色相が異なって見えることを意味する。
【0055】
また、本発明の構造体1においては、少なくとも構成体2に用いる材料が実質的に光透過性を有してさえいれば、分子構造に基づく着色があっても、又は、顔料や染料などの色素によって人工的に着色されていても構わない。このような着色機能と本発明の回折・散乱作用に基づく光の反射機能との相乗効果(複合効果)により、今までにない独特な色味や質感を与えることも可能である。
【0056】
さらに、複数の微細構成体3のそれぞれに対して、実質的に紫外線や赤外線を反射させることにより、それらの反射機能を向上させることも可能である。さらにまた、紫外線や赤外線を吸収させる材料を適宜添加することにより、それらを遮蔽させたり、保温効果を持たせたりすることも可能である。具体的な材料としては、例えば、微粒子形態が望ましく、チタンやジルコニウム,アルミニウム,アンチモン,亜鉛,リンなどの酸化物を挙げることができる。
【0057】
次に、実質的に光透過性を有する材料について説明する。少なくとも構成体2に用いる材料としては、ポリマー系,ガラス系,セラミックス系から成る群から選ばれる1種類以上の材料からなることが望ましい。ガラス系の材料としては、例えば、通常のクラウンガラス,フリントガラス,Eガラス,Sガラス,石英ガラスなどが挙げられる。また、セラミックス系の材料としては、例えば、Al2O3,BeO,Caoなどを挙げることができる。
【0058】
この場合、より多くの応用品へ適用するために、例えば、紫外線・赤外線の反射や、可視光線領域で見る角度によっても灰色にならない(色相を保持している)織編物やフィルムを成形品とし、又は、これらを所定の長さに切断した微小なチップ材(小片)とし、これらを光輝材として使用した各種塗装品(加飾性及び高意匠性を求められる塗装品)には、光透過性を有するポリマー系材料を用いることがより望ましい。
【0059】
このポリマー系材料としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、紫外線硬化樹脂といった種々のポリマー系材料を適用できるが、その中でも、成形性及び後の加工性、並びに、コスト等の点から、構成体2の材料及び微細構成体3の材料のうちの少なくとも一方は熱可塑性樹脂とすることが好ましい。具体的な熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系,ポリアミド系,ポリオレフィン系,ビニル系,ポリエーテルケトン系,ポリサルファイド系,フッ素系,ポリカーボネート系の単体又はこれらの任意の組合せ、若しくは2種類以上の共重合体のいずれかであることが望ましい。
【0060】
また、請求項15に記載しているように、本発明の光反射機能を有する構造体において、上記微細構成体3及び/又はこの微細構成体3を取り囲む構成体2が複屈折性を有するものであることが望ましい。ここで、「複屈折」とは、偏光方向によって屈折率が異なり、光の進行方向と垂直な面内において最大の屈折率を示す振動方向と、この方向と直交する最小の屈折率を示す振動方向の2成分に分かれて進む現象をいう(例えば、丸善株式会社発行「繊維便覧」第195頁参照)。
【0061】
本発明の光反射機能を有する構造体において、微細構成体3及びこの微細構成体3を取り囲む構成体2の少なくともいずれかに用いる材料が複屈折性を有していると、前述したように、ある方向において最大の屈折率を利用することができるというメリットが生まれ、回折・散乱作用に基づく光反射機能を一層向上させることができる。複屈折Δnの大きなポリマーとしては、例えば、請求項14で挙げた中では、ポリエチレンナフタレート(PEN:Δn=0.24〜0.28),ポリエチレンテレフタレート(PET:Δn=0.24〜0.25),ポリカーボネート(PC:Δn=0.182),ポリブチルテレフタレート(PBT:Δn=0.153)などが代表的なものである(丸善株式会社発行「繊維便覧」第196頁参照)。
【0062】
したがって、光学機能向上の点から複屈折Δnに着目すると、このΔnの大きな材料と小さな材料の組合せを用いることが望ましい。例えば、図1に示す構造体1においても、微細構成体3及びこれを取り囲む構成体2のいずれか一方に複屈折Δnの大きなポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートを用いることが望ましい。
【0063】
本発明の構造体1の代表的な形態である繊維の場合、紡糸中や延伸処理によって繊維軸方向に結晶配向するため、紡糸条件や延伸条件をコントロールすることにより、繊維軸方向の屈折率(nz)を著しく大きくすることが可能となる。このような視点に立って,回折・散乱作用に基づく光の反射機能を考えると、微細構成体3及びこれを取り囲む構成体2の一方は複屈折性を有する材料から成るものであることが望ましい。そして、この複屈折性を有する材料のΔnは0.05以上であることが望ましく、0.1以上であることがより好ましい。
【0064】
ここで、前述のポリエチレンナフタレート(PEN))とナイロン6(Ny6)との組合せを考えると、ポリエチレンナフタレートのΔnは0.24〜0.28であり、ナイロン6のΔnは0.08程度であり、両ポリマーからなる光反射機能を有する構造体1においては、0.2前後の屈折率差を確保できるというメリットが生まれる。
【0065】
また、請求項17に記載したように、微細構成体3が光透過性を有し、かつ、着色されていても差し支えない。図13(a)に示すように、微細構成体3自体が光透過性を有した状態で着色されていると、入射した光は着色材によって吸収され、光量の減じられた光が次の微細構成体3へ入射することになる。したがって、回折・散乱作用による光の反射強度は無着色時に比べて確かに低下するが、着色されていることによって、図13(b)に示すように、受光角度βを大きく可変しても灰色に見えることがなく、ある色相を保持できるというメリットを生む。さらに、回折・散乱作用による構造色と微細構成体3の着色による物体色とが複合した色を発現し、従来にない独特の質感をも呈することになる。
【0066】
次に、本発明の光反射機能を有する構造体の成形について、前述したポリマー系を例に挙げて説明する。繊維状あるいはフィルム状の光反射機能を有する構造体を成形する代表的な手段としては、複合溶融紡糸法や共押出し法などが挙げられる。
【0067】
ここでは、複合溶融紡糸法による光反射機能を有する構造体(繊維状をなす構造体)の成形について説明する。成形上ポイントとなる口金として、公知の海島型構造成形用口金(特公昭44−13208号公報や特公報44−18369号公報)を使用し、図1に示すような島部直径D、島部同士の中心間ピッチPの規則的な配列の構造体1を得ることができる(但し、微細構成体3同士の中心を結んだ線Aが、x方向の軸よりも角度θだけ傾いた配置)。
【0068】
構成体2の材料及び微細構成体3の材料としては、溶融可能なポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6との組合せ)を選択し、適切な紡糸条件(口金温度,口金下雰囲気温度,総吐出量,吐出量比,巻取り速度等)の下で未延伸糸を得る。また、所望の光学機能発現と機械的強度を確保するために、適切な条件(温度,取り速度,延伸比等)で熱延伸処理を施すことによって、上記構造体1を得ることができる。なお、溶融可能な2種類のポリマーの選択にあたっては、口金流路内及び口金吐出孔下での両者の応力バランスを考慮すると、できるだけ溶融粘度特性の近いものとすることが望ましい。
【0069】
本発明の光反射機能を有する構造体においては、当該構造体1を数百本から数万本というオーダで、ある寸法になるように束ねた状態にして、機械的にカッター等で切断し、微小なチップ材(小片)とすることも可能である。例えば、適切な含浸液(例えば、水や糊等)を使用して当該構造体1を数万本程度集合させて直径数十mm程度にした後、集合束の定速送り出し機構を備えた自動カッター(例えば、シャーリング方式)で連続的に数mmから数十μm程度の長さに切断することも可能である。その後、分級(ふるい)処理を施し、所望の寸法のチップ材を得ることができる。また、上記構造体1を束ねた後に、前述の自動カッター等で粗チップ(例えば、数十mmから数百μmの長さ)にした後、公知のロール式粉砕法や高速回転衝撃式粉砕法や媒体式粉砕法などによって粉砕し、各種分級処理によって所望の寸法のチップ材としても構わない。
【0070】
なお、チッピングの方法等は、例えば、繊維機械学会編「繊維工学(II)繊維の製造、構造体及び物性」の第116頁や、同学会編「繊維工学(III)繊維の製造、構造体及び物性」の第223〜225頁に記載されている。
【0071】
また、上記構造体1を上述したように束ねた後フリージング処理し、各種方法によって粉砕・分級(ふるい)処理を施して所定の寸法の粉末体とすることも可能である。これらはいずれも従来にない、優れた色材・光輝材として各種分野に幅広く適用できるものである。
【0072】
さらに、このような微小なチップ材(小片)や粉末体を色材・光輝材として、光透過性を有する塗料に用いることにより、自動車や家電に塗布することが可能となるほか、建築材,玩具,スポーツ用品,高級化粧品容器などの様々な内外装面に塗布することが可能となる。このような適用により、見る方向によって灰色に見えるようなことがなく、しかも高級感のある輝きを呈する優れた意匠を実現することができる。
【0073】
さらにまた、上記チップや粉末体はフィルムや各種のプラスチック成形体に光輝材として混ぜ込むことや、不織布や紙に入れて壁紙や障子紙などにすることもできる。
【0074】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これら実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、下記条件にて図1に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0076】
口金としては、特開平8−226011号公報に記載された複合紡糸口金を一部変更したものを準備し、これを複合溶融紡糸装置に装着した上で、紡糸温度286℃、巻取り速度3〜5km/minで吐出量を適宜変えて未延伸糸を得た。この未延伸糸をさらに熱延伸処理し、光反射機能を有する構造体1を得た。
【0077】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.28μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0078】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=462nmに主ピークをもち、反射率Rは72%であった。
【0079】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、紫青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、紫青色から赤緑色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0080】
(実施例2)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.68のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、これ以外は上記実施例1と同様な条件で図1に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を得た。
【0081】
得られた反射スペクトルは波長λ=468nmに主ピークをもち、反射率Rは83%であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0082】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、紫青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、紫青色から赤緑色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0083】
(実施例3)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図6(a)に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0084】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が、規則性の最小単位である三角形における頂点のトップ同士の平均ピッチP=0.30μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である三角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0085】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=478nmに主ピークをもち、反射率Rは68%であった。
【0086】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青色から青紫色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0087】
(実施例4)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図8(a)に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1を狙って紡糸を行った。
【0088】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が、規則性の最小単位である五角形における頂点のトップ同士の平均ピッチP=0.28μmをもって複数配置されていて、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた配置状況であった。なお、微細構成体3の規則性の最小単位である五角形を1段とすると、この段数Nは4段形成されていた。
【0089】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=475nmに主ピークをもち、反射率Rは62%でややブロードなスペクトルであった。
【0090】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青色から青紫色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【0091】
(実施例5)
構成体2に用いる光透過性を有する材料として、平均屈折率n1 が1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択し、一方、微細構成体3を形成するための材料として、平均屈折率n1 が1.53のナイロン6(Ny6)を選択し、実施例1と同一の条件にて図12に示すような矩形型の光反射機能を有する構造体1(図12に示すように、3つのブロックからなり、左側から発色波長λをそれぞれ青色λB =475nm,緑色λG =520nm,赤色λR =650nm)を狙って紡糸を行った。
【0092】
得られた糸の断面を電子顕微鏡にて観察したところ、糸断面は扁平であり、断面内部には、図12に示すような3つのブロックがx方向に直列に形成されていた。個々のブロックを観察すると、左側の青色発色のブロックBlの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.28μmの規則性をもって複数配置され、真中の緑色発色のブロックBcの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.33μmの規則性をもって複数配置され、右側の赤色発色のブロックBrの断面内部には、平均直径D=0.19μmφの微小円柱体(微細構成体)3が平均ピッチP=0.41μmの規則性をもって複数配置されていて、しかも、いずれのブロックBl,Bc,Brにおいても、微細構成体3の中心同士を結んだ線Aは、x方向の軸から角度θ=32°ほど傾いた状況であった。なお、各ブロックBl,Bc,Brにおける微細構成体3の規則性の最小単位である四角形を1段とすると、この段数Nは6段形成されていた。
【0093】
この単糸を積分球を具備した分光光度計(日立製作所製 モデルU−6500)によって入射角度α=45°にて反射スペクトルを測定した。この際、反射率は標準白色板を基準とした。得られた反射スペクトルは波長λ=513nmに主ピークをもち、この波長での反射率Rは72%であった。なお、主ピーク以外の波長域では比較的ブロードなスペクトルを呈していた。
【0094】
この単糸を受光角度45°程度で目視により観察したところ、青緑色に発色していた。また、見る角度を変えて観察したところ、青緑色から紫青色に変化し、干渉型発色繊維のように灰色に見えることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光反射機能を有する構造体の一実施形態による基本構造を示す断面説明図である。
【図2】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを0°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図3】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを30°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図4】図1に示した光反射機能を有する構造体における微細構成体の配置例のもとで入射角度αを45°とし、受光角度βを60°としたときの反射スペクトルを示すグラフである。
【図5】図1に示した光反射機能を有する構造体における断面形状説明図(a)〜(h)である。
【図6】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体の他の配置例を示す同一直径の微細構成体が三角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が三角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図7】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が四角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が四角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図8】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が五角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が五角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図9】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す同一直径の微細構成体が六角形状に並んでいる場合の配置説明図(a)及び直径の異なる2種類の微細構成体が六角形状に並んでいる場合の配置説明図(b)である。
【図10】本発明の光反射機能を有する構造体における微細構成体のさらに他の配置例を示す球状の微細構成体が奥行き方向に規則的に並んでいる場合の配置説明図である。
【図11】本発明の光反射機能を有する構造体の微細構成体の配置に係る行方向と列方向との段数の説明図である。
【図12】本発明の光反射機能を有する構造体の他の実施形態を示す断面説明図である。
【図13】本発明の光反射機能を有する構造体のさらに他の実施形態を示す微細構成体が光透過性を有しかつ着色されている場合の発色説明図である。
【図14】従来の干渉作用を利用して発色する構造体の基本構造を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 光反射機能を有する構造体
2 構成体
3 微細構成体
Claims (21)
- 可視光線、赤外線及び紫外線の反射特性のうちの少なくともいずれか一つの光学機能を有する繊維状又はフィルム状の構造体であって、
少なくとも屈折率の互いに異なる構成体及び複数の微細構成体を備え、少なくとも上記構成体は断面において光透過性を有し、複数の微細構成体は光透過性を有する上記構成体によって取り囲まれて回折・散乱作用に基づく光の反射機能を発現させるのに十分な規則性をもって配置され、断面に沿う光の入射方向をy方向、この入射方向に直交する横方向をx方向、x−y平面に直交する奥行き方向をz方向としたときに、上記構成体によって取り囲まれている複数の微細構成体のうちの横方向に並んで配置されている微細構成体の中心同士を結んだ線とx方向の軸とがなす角度θを 0°<θ<90°としていることを特徴とする光反射機能を有する構造体。 - 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は所定の断面形状を有し、x−y平面内で多角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項1に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面内で八角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項2に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面内で六角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項2に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面内で五角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項2に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面内で全ての角が略直角の四角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項2に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面内で三角形配列の規則性を有していることを特徴とする請求項2に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体は、x−y平面に直交するz方向に一様に連続していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体個々の断面形状は、円形,楕円形,矩形及び多角形から成る群から選択される一種以上の形状をなしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体によって取り囲まれている微細構成体の断面形状が略円形状をなしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記微細構成体の略円形状断面におけるx方向の長軸長さをL1 、この略円形状断面から構成される行及び列のマトリックス状の配列規則性における隣接する略円形状断面同士の中心間ピッチをP、回折・散乱作用による反射ピーク波長をλとし、微細構成体の断面が半径r直径Dの円形状をなす場合にはL1 =2r=Dとしたとき、λ/2πrで表されるサイズパラメータα及びピッチPが、L1 =2r,10−2≦α≦103 ,2r=D≦Pなる関係を満たすことを特徴する請求項10に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記微細構成体は、異なる波長の光を出射するべく規則性をもってx方向に複数のブロックとして存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記構成体は、ポリマー系,ガラス系及びセラミックス系から成る群から選択される1種類以上の材料からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 上記ポリマー系は、ポリエステル系,ポリアミド系,ポリオレフィン系,ビニル系,ポリエーテルケトン系,ポリサルファイド系,フッ素系及びポリカーボネート系の単体又はこれらの任意の組合せ、若しくは2種類以上の共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項13に記載の光反射機能構造体。
- 上記微細構成体及び/又は構成体に用いる材料は、複屈折性を有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 複屈折性を有する材料の複屈折Δnが0.05以上であることを特徴とする請求項15に記載の光反射機能を有する構造体。
- 微細構成体は、光透過性を有し且つ着色されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つの項に記載の光反射機能を有する構造体。
- 請求項1〜17に記載の光反射機能を有する構造体を所定の長さに切断してなり、チップ状をなしていることを特徴とする光反射機能物体。
- 請求項1〜17に記載の光反射機能を有する構造体を所定の寸法に粉砕してなり、粉末状をなしていることを特徴とする光反射機能物体。
- 請求項18に記載の光反射機能物体を含有することを特徴とする塗料、フィルム構造体、プラスチック成形体、不織布、壁紙などの光反射機能物品。
- 請求項19に記載の光反射機能物体を含有することを特徴とする塗料、フィルム構造体、プラスチック成形体、不織布、壁紙などの光反射機能物品。
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