JP2004270052A - 構造性発色物体及びその製造方法並びにそれを用いた物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】光と微細構造との物理作用によって発現する構造性発色体において、工業的に安価に濃鮮色を発現させることができ、しかも耐久性の優れた構造性発色物体とその製造方法、さらにこのような構造性発色物体を用いて成る物品を提供する。
【解決手段】屈折率の異なるそれぞれ2種類の材料から成る海部2a及び島部2bを備え、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体2の少なくとも光の入射側表面に表面層3を形成し、表面層3の屈折率nOを海部の屈折率nSよりも小さく、望ましくはこれら屈折率の差(nS−nO)を0.01以上となるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】屈折率の異なるそれぞれ2種類の材料から成る海部2a及び島部2bを備え、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体2の少なくとも光の入射側表面に表面層3を形成し、表面層3の屈折率nOを海部の屈折率nSよりも小さく、望ましくはこれら屈折率の差(nS−nO)を0.01以上となるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維状、フィルム状あるいはリボン状をなし、内部に十分な規則性を有する微細な海島構造を備え、光との相互物理作用によって、少なくとも可視光領域の特定波長の光を反射させて、構造性発色する光学機能物体に係わり、顔料や染料を用いることなく、例えば可視光線領域においては、澄んだ鮮やか色味を発する構造性発色物体及びその製造方法、さらにはこのような発色物体を用いた物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顔料や染料などのいわゆる色素を用いず、光の干渉、回折などの物理作用を用いた発色手段(広義には構造性発色と称する)が知られている。これは、物体表面やその内部の微細構造と、光との相互作用によって発色するもので、既にいくつかの公知技術がある。
【0003】
具体的には、屈折率の異なる2種類のポリマー物質を交互に何十層と積層した構造とすることにより発色する材料が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この原理は、屈折率が異なる交互積層界面で生じるフレネル反射が重なって干渉を起こし、その結果として反射率の波長依存性や反射率そのものの増強や減少を生じるものであって、特定波長で特定位相差をもって重なり合うときに現れる発色である(発色波長λ1=2(nada+nbdb):発色波長λ1は互いの光学的厚みが等しいとき、すなわち、nada=nbdbのとき、最大となる)。
例えば、上記特許文献1には、少なくとも第1と第2のポリマー物質の屈折率が互いに少なくとも0.03異なり、しかも100nm程度の厚さで積層させたフィルム状の反射性ポリマー物体が開示されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、屈折率の異なる2種類の高分子物質からなる交互積層構造を有する繊維状の発色構造体が開示されており、この発色繊維は、非染色の発色繊維であって、見る方向によって色味が変わるという干渉特有の特徴を有し、しかもこの繊維と組合せる繊維の色によってはその複合効果によって、独特の質感を呈するものである。
【0005】
一方、回折・干渉作用を利用した構造体としては、繊維表面に一定幅の細溝を設けることによって回折・干渉色を発する構造体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この原理は、平面あるいは凹面上に多数の所定寸法(溝の深さや溝同士の間隔など)の溝を規則的に形成させたもの(いわゆる、回折格子のごとく)に光を入射させると、光路差ΔLが生じ、この光路差が波長λの整数倍のとき、反射光が強め合って明るくなるもの(光路差ΔL=mλ:但し、mは回折次数で、m=0,1,2・・・)で、実際には、ある入射角で入った入射光に対し、ある回折角で波長λの発色を与えるものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−295804号公報
【特許文献2】
特許第3036305号公報
【特許文献3】
特開平8−234007号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造性発色体は、従来の染料や顔料による発色とは異なり、原理的には澄んだ鮮やかな色味を呈する発色体が得られるはずであるものの、実際には、ポリマー系材料を使用した場合、半導体プロセスのようにはうまくいかず、
▲1▼高精密制御による微細構造体の規則性・周期性の確保が困難
▲2▼大きな屈折率差を確保するための材料の選択幅が狭い
といった問題があった。
このような問題を解決するために、構造性発色体内部の層数や段数を増加させることにより、濃鮮色機能を発現させようとしているが、組合せるポリマーの物性値(溶融粘度や融点、膨張係数)の違いなどによって、ナノオーダの微細構造を安定して形成することが困難であった。すなわち、構造性発色体そのものは、上記のように「光の色」という優れた潜在能力を持っていながら、濃鮮色機能に優れ、商品性の高いものが必ずしも開発されていなかった。
【0008】
本発明は、従来の構造性発色体における上記課題に着目してなされたものであって、光と微細構造との物理作用によって発現する構造性発色体において、工業的に有利かつ安価に濃鮮色を発現させることができ、しかも耐久性の優れた構造性発色物体とその製造方法、そしてこのような構造性発色物体を用いて成る物品を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の構造性発色物体は、少なくとも特定波長の可視光を反射させる物体であって、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成る海島構造を有し、当該海島構造体における島部の配列が微細な規則性をなし、少なくとも光との物理的相互作用に基づく構造性発色を呈すると共に、上記海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、該表面層を構成する材料の屈折率nSが海島構造体の海部を構成する材料の屈折率nOよりも小さく、望ましくは、これら屈折率の差(nS−nO)が0.01以上である構成としたことを特徴としている。
【0010】
本発明の構造性発色物体の製造方法においては、海島構造体の少なくとも光の入射側表面に表面層をインラインで形成することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の構造性発色物体は、繊維状、フィルム状あるいはリボン状として、織物、編物あるいは不織布の少なくとも一部に使用するばかりでなく、所定の長さに切断して微小な構造性発色体チップとしたり、所定の寸法に粉砕して構造性発色体粉末としたりすることができ、このようなチップや粉末は、色材や光輝材として、塗料やフィルム構造体、プラスチック等の各種成形体に広く適用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの形態例のみに限定されるものではない。
【0013】
図1〜3は、本発明の実施形態として、当該構造性発色物体を繊維状の物体に適用した例を示す断面図であって、図1(a)及び(b)に示す構造性発色物体1は、矩形状断面を有すると共に、屈折率nSの材料から成る海部2aの中に、多数の島部2bが存在し、屈折率niの材料から成る島部2bの微細構造体群が、四角形(直交)配列状に規則的に配列された構造の海島構造体2を備え、該海島構造体2の外周部に、当該発色物体1の最外層として、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOの材料から成る表面層3が直接設けてある(nS>nO)。また、図2(a),(b)及び図3(a),(b)は、円形断面及び楕円状断面を有する構造性発色物体1をそれぞれ示したもので、いずれも海部2a及び島部2bから構成される海島構造体2の外周部に、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOの材料から成る表面層3が形成されている。
【0014】
また、図3(a)〜(d)は、同じく繊維状をなす構造性発色物体の他の形態例を示すものであって、断面形状は上記図1〜3と同様の矩形、円形及び楕円状断面を有しているものの、島部2bの微細構造体群が光の入射面に立てた法線と所定角度θ(本図ではθ=90°)をなす方向に、近接あるいは密着して層状配列(波長に比べて十分に小さな直径の微細構造体(島部2b)がほとんど密着した状態に配列されており、見掛け上層状と見なせる)したもので、いずれも海部2a及び島部2bから構成される海島構造体2の最外層として、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOを有する表面層3を設けたものである(nS>nO)。特に、図4(d)には、図4(c)の島部2bとしての微細構造体群がほどんど層状になっているものを示している。
なお、本発明の構造性発色物体1の断面形状は上記のように、必ずしも矩形状や円形、楕円形である必要はなく、図5に示すように、各種の多角形や、星型等であっても構わない。
【0015】
なお、本発明において、構造性発色とは、海部2aによって取り囲まれた島部2bとしての微細構造体群が、実質的に行列状、多角形状に十分な規則性をもって配列していることにより、あるいは、当該発色物体の断面において、光の入射方向を法線の位置としたとき、上記微細構造体群が入射面に立てた法線に対して所定の角度θをなす方向に、実質的に層状に十分な規則性をもって配列形成されていることにより、光の散乱、回折の少なくともいずれかの物理作用に基づいて特定波長を反射することを言い、本発明の構造性発色物体においては、このような微細な規則性配列を備えた海島構造体を有していることから、このような構造性発色機能が発現される。なお、この場合、特定波長の反射機能は、単独の物理現象によって発現しても良いし、複数の物理現象の組合せによって発現していても差し支えない。
【0016】
なお、上記物理作用について、一般に、「光の散乱」とは主に、マクロな規則性を有している系に適用され、「散乱」を発現する中で、さらにミクロ領域まで規則性が進んだ系として、「回折現象」や「干渉現象」等が分類されており、本発明で言う「物理作用」とは、光の散乱、回折、干渉等の現象を含むものである。したがって、本発明に用いる海島構造体としては、上記の作用に基づく光反射機能を発現する物体であれば特に限定されることはなく、上記図1ないし図4に示した構造のみならず、公知の物体、例えば、特許第3036305号や特許第3158830号、特開平7−331532号等に記載の構造体等をも適用できることは言うまでもない。
【0017】
このような構造性発色を呈する物体は、前述したように、いずれも主に物理作用によって特定波長の光を反射させるものであり、可視光領域であれば、波長λ=380〜780nmの範囲で、特定波長の光を反射させ、色として我々の眼に認知されることになる。
【0018】
次に、本発明の構造性発色物体における「濃鮮色機能」について説明する。
一般に、染色された繊維製品を水(屈折率nW=1.33)に濡らすと、濃くはっきり見えることが知られている。本発明でいう構造性発色物体(繊維、フィルム、リボン状物体)も、基本的にはこの考え方に基づいて検討されたものであって、構造性発色を発現する海島構造体の最外層に「水」に相当するものを直接設けることにより濃鮮色化を達成しようとするものである。
【0019】
前述したように、本発明における海島構造体は、従来の染色による発色機構と異なり、その内部あるいは表面に形成されている精密微細構造体と光との相互作用による物理作用によって、はじめて発色するもの(構造性発体)である。
それ故、構造性発色体の本来の発色(光の色)を損なうことなく、濃い鮮やかな色を発現させるためには、以下のような条件を必要とすることを我々は鋭意検討の結果、見出したものである。即ち、
(1)海島構造体に入射する光が、該構造体の表面で極力反射しないようにする(表面反射光の軽減)。
(2)表面反射した光以外の残りの光が、損失することなく海島構造体中に入るようにする(損失光の軽減)。
(3)海島構造体に入った光は、拡散・吸収されることなく、微細構造と光との相互作用に基づいて、位相の揃った光を反射光として出射させるようにする(位相の揃った光の反射)。
【0020】
従来の染色繊維においては、単に染色部の屈折率よりも小さな屈折率を有する物質層を表面に形成したり、あるいはエッチング処理して表面をミクロに粗面化することにより表面反射光を反射拡散させればよかった訳であるが、海島構造を備えた本発明のような構造性発色物体においては、拡散反射光が発生すると、構造性発色本来の発色も損なわれてしまうことになる。換言すると、可視光領域において、特定波長の光を効率良く反射できなくなってしまい、それ故、発色強度が大きく低下し、商品価値がなくなってしまう。
【0021】
本発明は上記視点に立脚し、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成る海島構造体(構造性発色を担う部分)の海部の屈折率nSと、その上に形成される表面層の屈折率nOの差に着目してなされたものである。
図1〜図4に示した断面構造例において、構造性発色を担う海島構造体2の海部2aの屈折率nSと、その上に形成される表面層3の屈折率nOの大小関係については、表面反射光を軽減させるため、フレネルの反射係数の式より、nS>nOであることが必要である。さらに、人間の眼で見たときに、濃鮮色機能の有意性を視認できるための両者の屈折率の差(nS−nO)は、本発明者によるこれまでの検討結果から、(nS−nO)≧0.01であることが望ましく、さらに顕著なものとするためには、(nS−nO)≧0.03であることが好ましいことが判った。なお、表面層を設けていない海島基本構造においても島部の屈折率に比べて海部の屈折率を小とすることにより、同様の効果がもたらされることも見出している。
【0022】
ここで、なお、構造発色性を呈する構造体に対する「濃鮮色の程度を表す定量的な尺度」については、これまで提案されていなかったが、本発明では色の3属性(色相H、彩度C、明度L)のうち、明度Lと彩度Cに着目し、以下のような考え方でこの尺度を定義する。
すなわち、構造性発色物体において、「濃鮮色さ」が大きいとは、基準試料に比べ、明度Lがより小さく、彩度Cがより大きくなる方向を意味する。
【0023】
図6は、図1に示した矩形断面の構造性発色物体において、海部2aの材料として屈折率nS=1.53の材料(Ny6)を使用すると共に、表面層3として種々の屈折率nOの材料を用いた場合の明度L及び彩度Cと屈折率差(nS−nO)の関係を示したものであって、横軸に彩度C、縦軸に明度Lをとり、基準試料としての未処理試料(図6中におけるnS−nO=0を示す左側プロット点が表面層を設けていない場合)と処理試料(低屈折率の表面層を設けた場合)の座標点から、明度L及び彩度C、すなわち「濃鮮色さ」に及ぼす屈折率差の影響を把握することができ、海部2の屈折率nSと表面層5の屈折率nOの差(nS−nO)が大きくなるに従い、明度Lが小さい側に、そして彩度Cは大きい側にシフトしていくことが判る。
【0024】
この明度Lと彩度Cの未処理試料との差、すなわち、明度差ΔLの値と彩度差ΔCの値が大きいほど、濃鮮色さが向上していることを示している。なお、明度差ΔL(未処理試料の明度Lv−処理試料の明度Lt)の具体的数値としては、ΔL≧2であることが、また、彩度差ΔC(処理試料の彩度Ct−未処理試料の彩度Cv)としては、ΔC≧2であることがより好ましい。
なお、彩度C、明度Lの値の算出については、JIS Z 8701のXYZ表色系および、X10Y10Z10表式系による色の表示方法に基づいて行うことができる。
【0025】
なお、海部2a及び表面層3の屈折率は、一般に方向によって相違(屈折率異方性を有する)し、正確には各々の3方向の屈折率(nx,ny,nz)をそれぞれ意味するが、本発明においては、特に言及しない限り、3方向の屈折率の平均値を屈折率とする。
【0026】
また、上記した海部2aと表面層3の屈折率の大小に加え、両界面の平滑性(粗さ度合い)の状態も濃鮮色さへ影響を及ぼす。すなわち、前述したように、構造性発色を呈する物体において、両界面の平滑度合いは、反射光の拡散の大小に影響を及ぼすことから、界面の表面平滑性は、入射波長のオーダに較べて十分に小さいこと(波長オーダの1/10以下、好ましくは1/100以下のオーダ)が望ましい。このような観点から、海部2aと低屈折率の表面層3の間には、接着剤などの異種材料を介在させることなく、例えばインラインで一体成形あるいは一体被覆することが望ましい。
【0027】
本発明の構造性発色物体の他の形態例として、図7に示すように、海島構造体2において、微細構造体としての島部2bが実質的に層状に十分に規則性を持ち、しかも光の入射方向を法線の位置としたとき、入射面に立てた法線と所定の角度θ(≠90°)をなす方向に傾いた状態に配列形成されており、その外側が表面層3で覆われている構造を採用することができる。
また、図8(a)〜(c)に示すように、海島構造体2における島部2bから成る微細構造体群を四角形状あるいは三角形状に完全密着させ、最密充填するようになすこともできる。
【0028】
さらに他の形態例として、図9(a)〜(c)に示すように、海島構造体2の外側に、複数の表面層(図9においては、2層の表面層3、すなわち中間層3a及び最外層3b)を順次設けるようになすこともできる。このような構造の表面層においても、最外層3bの屈折率を最も小さくすることにより、濃鮮色化が可能となる。このような構造例として、図9(a)及び図9(b)においては、いずれも海島構造体2における島部2bが四角形(直交)配列をなしている例を、また、図9(c)は、三角形配列の例をそれぞれ示している。
【0029】
図10(a)〜(c)は、フィルム状をなす構造性発色物体の形態例を示すものであって、フィルム状の構造性発色物体の場合、3つの形態、すなわち、海島構造体2に対し、光の入射方向側に表面層3を設けた構造(図10(a))、光の入射方向側とその反対側の両面に表面層3を設ける構造(図10(b))、さらに、前述した繊維状発色物体と同様に、海島構造体2の全外周面を表面層3によって被う構造(図10(c))が考えられる。また、島部の配置も前述のような入射光に垂直な場合だけでなく、図11(a)〜(d)に示されるような入射光に平行な場合であっても構わない。但し、少なくとも入射光側に表面層を設けるものである。いずれにしても、少なくとも光の入射側に表面層3を設けることが必要である。
【0030】
さらに、別の形態例として、図12に示すように、リボン状の構造性発色物体とすることもできる。図12(a)には、光の入射方向側面に、表面層3を設けたリボン状発色物体の断面図を、また、図12(b)には、その斜視図を示している。この場合も上記同様に、少なくとも光の入射側に表面層3を設けることが必要となる。
【0031】
また、前述の図9(a)〜図9(c)に示したように、海島構造体2の外側に2層以上の低屈折率の表面層3が設けられている系において、屈折率分布の観点からその構造を考えてみると、図13(a)に示すように、海島構造体2のすぐ外側に、海部2aよりも屈折率の小さな中間層3a(屈折率nm)を形成し、その外側には、この中間層3aよりもさらに屈折率の小さな最外層3b(屈折率nO)を設けるようにすることが望ましい。
このように、基準となる海部2aの屈折率nSよりも外側に向かうほど、屈折率が小さくなるようにすることにより、当該構造性発色物体1を角度を徐々に変えて見た場合でも、濃鮮色さが保持できるようになる。これは図13(b)に示すように、海島構造体2の外側に設けられる中間層3a及び最外層3bの屈折率分布が変化していることによる。
【0032】
さらに、図14(a)〜(d)に示すように、複数層から成る表面層3を設ける代わりに、図14(a)〜(d)に示すように、段差のない連続した屈折率分布を持つ表面層3を形成することによっても、同様な効果が得られる。このような構造体は、例えば繊維状のものの場合、[0040]に記載している紡糸装置(図15参照)において、保温筒内及びそれより下流での温度制御により構成材料の、例えばポリマーの結晶化度や配向度を変化させることによって製造することが可能である。
【0033】
上記のように、本発明の構造性発色物体は、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成り、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体を有すると共に、当該海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、表面層の屈折率nOが海島構造体の海部の屈折率nSよりも小さくなっていることから、特定波長の光を反射させる構造性発色機能を発現すると共に、物体表面における入射光の反射が低減することにより明度Lが小さく、彩度Cが大きくなって、濃鮮色さが向上することになる。このとき、上記屈折率の差(nS−nO)が、特に0.01以上、さらに望ましくは0.03以上となるようにすることによって、当該発色物体表面における入射光の反射をより確実に少なくすることができ、さらに一層の濃鮮色が発現されることになる。
【0034】
本発明の構造性発色物体における海島構造体2を構成する材料としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系の単体もしくはこれらのブレンド、あるいはこれらのうちの2種以上ポリマーの共重合体のようなポリマー系材料、通常のクラウンガラス、フリントガラス、Eガラス、Sガラス、石英ガラスなどのガラス系材料、Al2O3、BeO、CaOなどのセラミックス系材料を使用することができ、これらの中から屈折率が上記の関係となるような組み合わせを選択して、海部2a及び島部2bの材料とする。
なお、海部2aを構成する材料と島部2bを構成する材料とは、安定成形や各種物品への適合性の観点から、物性値(熱膨張係数、吸水率、溶融粘度など)の近い材料系であることが好ましい。
【0035】
一方、海島構造体2を覆う表面層3を構成する材料としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系樹脂の単体、又はこれらから選ばれる2種類以上の樹脂のブレンド若しくは共重合体を用いることができる。また、上記のような熱可塑性樹脂に限らず、公知の紫外線硬化樹脂を用いても構わない。このような材料を用いることにより、実用的な材料を表面層3として、成形金型(ダイ)を通して一体成形することができ、海島構造体2との密着性に優れ、発色物体としての耐久性も向上することになる。
【0036】
また、上記表面層3には、パラフィン系、フッ素系、シリコン系、ビニル重合系、ウレタン系、若しくはワックス系材料、又はこれらの任意の組み合わせによる材料を含有させることができ、これにより、比較的低屈折率の材料を、成形金型(ダイ)を通して、表面層3を一体成形して設けることが可能になり、濃鮮色機能に加え、耐久性も向上することになる。
【0037】
さらに、上記表面層3を構成する材料としては、鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル、石油系合成油などのオイリング加工剤を単独あるいは組み合わせて用いることができ、これによって、繊維状、フィルム状あるいはリボン状の海島構造体を連続成形(インライン成形)する際に、容易に被覆できるようになる。
【0038】
また、表面層材料の被覆量や厚さは、海部材料との親和性や、これを形成する方法等により一概に決定できないが、例えばオイリング加工剤を表面層材料として用いた場合には、海島構造体2の質量に対して、0.03〜30%の質量の表面層3を形成することが望ましい。すなわち、オイリング加工剤の量が0.03%に満たない場合には、表面層による濃鮮色化の効果がほとんど現れず、30%を超えると発色物体としてのフレキシビリティが損われる傾向がある。
【0039】
本発明の構造性発色物体の製造に際しては、海島構造体の少なくとも光の入射側表面に、最外層あるいは少なくとも表面層に、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系樹脂の単体、あるいはこれらから選ばれる2種類以上の樹脂のブレンド若しくは共重合体から成る表面層、又はパラフィン系、フッ素系、シリコン系、ビニル重合系、ウレタン系及びワックス系から成る群から選ばれた少なくとも1種の材料を含む表面層、又は鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル及び石油系合成油から成る群から選ばれた少なくとも1種のオイリング加工剤から成る表面層をインラインで設けることができ、これによって密着性、耐久性の優れた濃鮮色機能を発現する構造性発色物体が連続的に、しかも安価に製造できるようになる。
【0040】
図15は、本発明の構造性発色物体の製造に用いられる複合紡糸装置の一例を示す概略図であって、紡糸口金が組み込まれた紡糸ヘッドに、真空ポンプに連結されたホッパーをそれぞれ備えた3基のエクストルーダA,B,Cがギアポンプを介してそれぞれ連結された構造を有しており、例えば海部及び島部を構成する第1及び第2のポリマー材料がエクストルーダA及びBから押出されて海島構造体が形成されると共に、その周囲にエクストルーダCから押出された第3のポリマー材料から成る表面層が被覆されるようになっており、このような構造の発色物体は、紡糸ヘッドから吐出されたのち、紡糸ヘッドに取付けられた保温筒によって一定温度に保持されながら引き伸ばされてフィラメントの状態でワインダーに巻き取られる。
なお、表面層として、鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル、石油系合成油などのオイリング加工剤を適用する場合には、紡糸線上の適切な位置(フィラメントが十分冷却固化した位置)にオイリング加工剤を塗布できるダイス等を設け、そこを通過させることによって、フィラメントの周囲に当該オイリング加工剤を付着させることができる。
この紡糸工程の後、フィラメントの特性向上と所定寸法化のために、適宜熱延伸処理を施しても構わない。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これら実施例によって本発明が限定されるものではない。
なお、当該実施例及び比較例における濃鮮色の程度の評価については、前述のJIS Z 8701に基づく測定値と共に、人の視覚による評価(官能評価:5人で判定し、濃鮮色化の程度が大のものを3、中のものを2、小のものを1と評価したものの平均値で示す)の二通りの方法によって行った。
【0042】
(実施例1)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)を、また、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)を選択し、下記条件にて、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0043】
当該構造性発色物体1の紡糸については、次の手順により行った。
紡糸口金として、公知の複合紡糸口金(例えば、特開平8−226011号公報参照)に、表面層3形成するための流路を設けるように改良したものを準備し、それを図14に示すような溶融複合紡糸装置に装着した上で、紡糸温度285℃、巻き取り速度3km/minの条件下で未延伸糸を得た後、この未延伸糸を延伸倍率3倍で熱処理を細径化を兼ねて熱延伸処理を行い、矩形型断面の構造性発色物体1を得た。
【0044】
得られた構造性発色物体1(糸)を黒色紙に整列巻きし、分光光度計(日立製作所製モデルU−4100)を用いて反射率を測定し、その値に基づいて色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、5人の官能試験による濃鮮色の程度を評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択すると共に、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)を選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて同様の条件のもとに、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0046】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度の官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
(実施例3)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)をそれぞれ選択すると共に、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3のうち、海島構造体2に接する中間層3aの材料として、屈折率nm=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)、該中間層3bの外側を覆う最外層3bの材料として、屈折率nO=1.47のポリプロピレン(PP)をそれぞれ選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて、同様の条件のもとに、図9(a)に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0048】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0049】
(実施例4)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)を、また、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.44のシリコン系オイリング剤を選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて、同様の条件のもとに、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。なお、オイリング剤は、図15に示すようなダイスを通過させることにより塗布した。
【0050】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度の官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
上記実施例1と同様に、海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)をそれぞれ選択し、表面層を形成することなく、海島構造体2のみからなる構造性発色物体(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0052】
そして、得られた構造性発色物体(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0053】
(比較例2)
上記実施例2と同様に、海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)をそれぞれ選択し、表面層を形成することなく、海島構造体2のみからなる構造性発色物体(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0054】
そして、得られた構造性発色物体(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示した結果から明らかなように、海部2aと島部2bの海島構造体のみから成り、表面層を有しない比較例1及び2の構造性発色物体においては、彩度Cが低くて明度Lが高く、濃鮮色のレベルが低いことが判明した。これに対し、海部2aと規則的微細構造をなす島部2bから成る海島構造体2の外周部に表面層3を備えた実施例1ないし3に係わる本発明の構造性発色物体1、とりわけ海部2aと表面層3を構成する材料の屈折率の差(nS−nO)が0.14と大きい実施例1の構造性発色物体1においては、彩度Cが高いと共に明度Lが低く、濃鮮色性が高いことが確認された。
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成り、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体を有を有すると共に、当該海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、表面層の屈折率nSが海島構造体の海部の屈折率nOよりも小さい構成としたことから、顔料や色素を用いることなく、特定波長の光を反射させる構造性発色機能を発揮させることができると共に、当該構造性発色物体の表面における入射光の反射を低減させて、構造性発色の濃鮮色さを向上させることができる。
また、上記表面層をインラインで形成するようになすことによって、密着性及び耐久性を向上させることができると共に、海島構造体と表面層間の界面平滑性を高めることができ、優れた濃鮮色機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明の構造性発色物体の一例として矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図1(a)における島部の微細構造(四角形配列)を示す拡大図である。
【図2】(a) 同じく一例として円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図2(a)における島部の微細構造(四角形配列)を示す拡大図である。
【図3】(a) 同じく一例として楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図2(a)における島部の微細構造(三角形配列)を示す拡大図である。
【図4】(a) 本発明の構造性発色物体の他の一例として島部が互いに密着した微細構造を有する矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 同じく一例として島部が互いに密着した微細構造を有する円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく一例として島部が互いに密着した微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(d) 同じく一例として島部が層状をなす微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図5】(a)ないし(g)は本発明の構造性発色物体の断面形状例を示すそれぞれ断面図である。
【図6】構造性発色物体の明度及び彩度(濃鮮色度)に及ぼす海部の屈折率と表面層の屈折率の差屈折率差(nS−nO)の影響を示すグラフである。
【図7】本発明の構造性発色物体のさらなる例として島部が互いに密着した状態で入射面に対して傾いた方向に配列形成された構造を示す断面図である。
【図8】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。(b) 同じく、島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく、島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図9】(a)、(b)及び(c)は本発明の構造性発色物体のさらなる例として、表面層が中間層と最外層の2層から構成される矩形、円形及び楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図10】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として、光の入射側面に表面層を設けた矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 同じく、光の入射側面とその裏面側に表面層を設けた矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく、海島構造体の全表面を表面層で覆った矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
【図11】(a) 島部が光の入射方向に対して平行方向に規則配列した海島構造体の光の入射側面に表面層を設けたフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図11(a)に示したフィルム状構造性発色物体の断面図である。
(c) 図11(a)に示した海島構造体の光の入射側面とその裏面側に表面層を設けたフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図11(c)に示したフィルム状構造性発色物体の断面図である。
【図12】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として矩形断面のリボン状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図12(a)に示したリボン状構造性発色物体の斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は、図9(a)示した2層から成る表面層における屈折率の分布を示す説明図である。
【図14】
(a)ないし(d)は、表面層の屈折率を連続的に変化させた場合における屈折率の分布例を示す説明図である。
【図15】本発明の構造性発色物体を製造するための装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 構造性発色物体
2 海島構造体
2a 海部
2b 島部
3 表面層
3a 中間層
3b 最外層
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維状、フィルム状あるいはリボン状をなし、内部に十分な規則性を有する微細な海島構造を備え、光との相互物理作用によって、少なくとも可視光領域の特定波長の光を反射させて、構造性発色する光学機能物体に係わり、顔料や染料を用いることなく、例えば可視光線領域においては、澄んだ鮮やか色味を発する構造性発色物体及びその製造方法、さらにはこのような発色物体を用いた物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顔料や染料などのいわゆる色素を用いず、光の干渉、回折などの物理作用を用いた発色手段(広義には構造性発色と称する)が知られている。これは、物体表面やその内部の微細構造と、光との相互作用によって発色するもので、既にいくつかの公知技術がある。
【0003】
具体的には、屈折率の異なる2種類のポリマー物質を交互に何十層と積層した構造とすることにより発色する材料が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この原理は、屈折率が異なる交互積層界面で生じるフレネル反射が重なって干渉を起こし、その結果として反射率の波長依存性や反射率そのものの増強や減少を生じるものであって、特定波長で特定位相差をもって重なり合うときに現れる発色である(発色波長λ1=2(nada+nbdb):発色波長λ1は互いの光学的厚みが等しいとき、すなわち、nada=nbdbのとき、最大となる)。
例えば、上記特許文献1には、少なくとも第1と第2のポリマー物質の屈折率が互いに少なくとも0.03異なり、しかも100nm程度の厚さで積層させたフィルム状の反射性ポリマー物体が開示されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、屈折率の異なる2種類の高分子物質からなる交互積層構造を有する繊維状の発色構造体が開示されており、この発色繊維は、非染色の発色繊維であって、見る方向によって色味が変わるという干渉特有の特徴を有し、しかもこの繊維と組合せる繊維の色によってはその複合効果によって、独特の質感を呈するものである。
【0005】
一方、回折・干渉作用を利用した構造体としては、繊維表面に一定幅の細溝を設けることによって回折・干渉色を発する構造体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この原理は、平面あるいは凹面上に多数の所定寸法(溝の深さや溝同士の間隔など)の溝を規則的に形成させたもの(いわゆる、回折格子のごとく)に光を入射させると、光路差ΔLが生じ、この光路差が波長λの整数倍のとき、反射光が強め合って明るくなるもの(光路差ΔL=mλ:但し、mは回折次数で、m=0,1,2・・・)で、実際には、ある入射角で入った入射光に対し、ある回折角で波長λの発色を与えるものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−295804号公報
【特許文献2】
特許第3036305号公報
【特許文献3】
特開平8−234007号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造性発色体は、従来の染料や顔料による発色とは異なり、原理的には澄んだ鮮やかな色味を呈する発色体が得られるはずであるものの、実際には、ポリマー系材料を使用した場合、半導体プロセスのようにはうまくいかず、
▲1▼高精密制御による微細構造体の規則性・周期性の確保が困難
▲2▼大きな屈折率差を確保するための材料の選択幅が狭い
といった問題があった。
このような問題を解決するために、構造性発色体内部の層数や段数を増加させることにより、濃鮮色機能を発現させようとしているが、組合せるポリマーの物性値(溶融粘度や融点、膨張係数)の違いなどによって、ナノオーダの微細構造を安定して形成することが困難であった。すなわち、構造性発色体そのものは、上記のように「光の色」という優れた潜在能力を持っていながら、濃鮮色機能に優れ、商品性の高いものが必ずしも開発されていなかった。
【0008】
本発明は、従来の構造性発色体における上記課題に着目してなされたものであって、光と微細構造との物理作用によって発現する構造性発色体において、工業的に有利かつ安価に濃鮮色を発現させることができ、しかも耐久性の優れた構造性発色物体とその製造方法、そしてこのような構造性発色物体を用いて成る物品を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の構造性発色物体は、少なくとも特定波長の可視光を反射させる物体であって、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成る海島構造を有し、当該海島構造体における島部の配列が微細な規則性をなし、少なくとも光との物理的相互作用に基づく構造性発色を呈すると共に、上記海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、該表面層を構成する材料の屈折率nSが海島構造体の海部を構成する材料の屈折率nOよりも小さく、望ましくは、これら屈折率の差(nS−nO)が0.01以上である構成としたことを特徴としている。
【0010】
本発明の構造性発色物体の製造方法においては、海島構造体の少なくとも光の入射側表面に表面層をインラインで形成することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の構造性発色物体は、繊維状、フィルム状あるいはリボン状として、織物、編物あるいは不織布の少なくとも一部に使用するばかりでなく、所定の長さに切断して微小な構造性発色体チップとしたり、所定の寸法に粉砕して構造性発色体粉末としたりすることができ、このようなチップや粉末は、色材や光輝材として、塗料やフィルム構造体、プラスチック等の各種成形体に広く適用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの形態例のみに限定されるものではない。
【0013】
図1〜3は、本発明の実施形態として、当該構造性発色物体を繊維状の物体に適用した例を示す断面図であって、図1(a)及び(b)に示す構造性発色物体1は、矩形状断面を有すると共に、屈折率nSの材料から成る海部2aの中に、多数の島部2bが存在し、屈折率niの材料から成る島部2bの微細構造体群が、四角形(直交)配列状に規則的に配列された構造の海島構造体2を備え、該海島構造体2の外周部に、当該発色物体1の最外層として、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOの材料から成る表面層3が直接設けてある(nS>nO)。また、図2(a),(b)及び図3(a),(b)は、円形断面及び楕円状断面を有する構造性発色物体1をそれぞれ示したもので、いずれも海部2a及び島部2bから構成される海島構造体2の外周部に、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOの材料から成る表面層3が形成されている。
【0014】
また、図3(a)〜(d)は、同じく繊維状をなす構造性発色物体の他の形態例を示すものであって、断面形状は上記図1〜3と同様の矩形、円形及び楕円状断面を有しているものの、島部2bの微細構造体群が光の入射面に立てた法線と所定角度θ(本図ではθ=90°)をなす方向に、近接あるいは密着して層状配列(波長に比べて十分に小さな直径の微細構造体(島部2b)がほとんど密着した状態に配列されており、見掛け上層状と見なせる)したもので、いずれも海部2a及び島部2bから構成される海島構造体2の最外層として、海部2aの屈折率nSよりも小さな屈折率nOを有する表面層3を設けたものである(nS>nO)。特に、図4(d)には、図4(c)の島部2bとしての微細構造体群がほどんど層状になっているものを示している。
なお、本発明の構造性発色物体1の断面形状は上記のように、必ずしも矩形状や円形、楕円形である必要はなく、図5に示すように、各種の多角形や、星型等であっても構わない。
【0015】
なお、本発明において、構造性発色とは、海部2aによって取り囲まれた島部2bとしての微細構造体群が、実質的に行列状、多角形状に十分な規則性をもって配列していることにより、あるいは、当該発色物体の断面において、光の入射方向を法線の位置としたとき、上記微細構造体群が入射面に立てた法線に対して所定の角度θをなす方向に、実質的に層状に十分な規則性をもって配列形成されていることにより、光の散乱、回折の少なくともいずれかの物理作用に基づいて特定波長を反射することを言い、本発明の構造性発色物体においては、このような微細な規則性配列を備えた海島構造体を有していることから、このような構造性発色機能が発現される。なお、この場合、特定波長の反射機能は、単独の物理現象によって発現しても良いし、複数の物理現象の組合せによって発現していても差し支えない。
【0016】
なお、上記物理作用について、一般に、「光の散乱」とは主に、マクロな規則性を有している系に適用され、「散乱」を発現する中で、さらにミクロ領域まで規則性が進んだ系として、「回折現象」や「干渉現象」等が分類されており、本発明で言う「物理作用」とは、光の散乱、回折、干渉等の現象を含むものである。したがって、本発明に用いる海島構造体としては、上記の作用に基づく光反射機能を発現する物体であれば特に限定されることはなく、上記図1ないし図4に示した構造のみならず、公知の物体、例えば、特許第3036305号や特許第3158830号、特開平7−331532号等に記載の構造体等をも適用できることは言うまでもない。
【0017】
このような構造性発色を呈する物体は、前述したように、いずれも主に物理作用によって特定波長の光を反射させるものであり、可視光領域であれば、波長λ=380〜780nmの範囲で、特定波長の光を反射させ、色として我々の眼に認知されることになる。
【0018】
次に、本発明の構造性発色物体における「濃鮮色機能」について説明する。
一般に、染色された繊維製品を水(屈折率nW=1.33)に濡らすと、濃くはっきり見えることが知られている。本発明でいう構造性発色物体(繊維、フィルム、リボン状物体)も、基本的にはこの考え方に基づいて検討されたものであって、構造性発色を発現する海島構造体の最外層に「水」に相当するものを直接設けることにより濃鮮色化を達成しようとするものである。
【0019】
前述したように、本発明における海島構造体は、従来の染色による発色機構と異なり、その内部あるいは表面に形成されている精密微細構造体と光との相互作用による物理作用によって、はじめて発色するもの(構造性発体)である。
それ故、構造性発色体の本来の発色(光の色)を損なうことなく、濃い鮮やかな色を発現させるためには、以下のような条件を必要とすることを我々は鋭意検討の結果、見出したものである。即ち、
(1)海島構造体に入射する光が、該構造体の表面で極力反射しないようにする(表面反射光の軽減)。
(2)表面反射した光以外の残りの光が、損失することなく海島構造体中に入るようにする(損失光の軽減)。
(3)海島構造体に入った光は、拡散・吸収されることなく、微細構造と光との相互作用に基づいて、位相の揃った光を反射光として出射させるようにする(位相の揃った光の反射)。
【0020】
従来の染色繊維においては、単に染色部の屈折率よりも小さな屈折率を有する物質層を表面に形成したり、あるいはエッチング処理して表面をミクロに粗面化することにより表面反射光を反射拡散させればよかった訳であるが、海島構造を備えた本発明のような構造性発色物体においては、拡散反射光が発生すると、構造性発色本来の発色も損なわれてしまうことになる。換言すると、可視光領域において、特定波長の光を効率良く反射できなくなってしまい、それ故、発色強度が大きく低下し、商品価値がなくなってしまう。
【0021】
本発明は上記視点に立脚し、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成る海島構造体(構造性発色を担う部分)の海部の屈折率nSと、その上に形成される表面層の屈折率nOの差に着目してなされたものである。
図1〜図4に示した断面構造例において、構造性発色を担う海島構造体2の海部2aの屈折率nSと、その上に形成される表面層3の屈折率nOの大小関係については、表面反射光を軽減させるため、フレネルの反射係数の式より、nS>nOであることが必要である。さらに、人間の眼で見たときに、濃鮮色機能の有意性を視認できるための両者の屈折率の差(nS−nO)は、本発明者によるこれまでの検討結果から、(nS−nO)≧0.01であることが望ましく、さらに顕著なものとするためには、(nS−nO)≧0.03であることが好ましいことが判った。なお、表面層を設けていない海島基本構造においても島部の屈折率に比べて海部の屈折率を小とすることにより、同様の効果がもたらされることも見出している。
【0022】
ここで、なお、構造発色性を呈する構造体に対する「濃鮮色の程度を表す定量的な尺度」については、これまで提案されていなかったが、本発明では色の3属性(色相H、彩度C、明度L)のうち、明度Lと彩度Cに着目し、以下のような考え方でこの尺度を定義する。
すなわち、構造性発色物体において、「濃鮮色さ」が大きいとは、基準試料に比べ、明度Lがより小さく、彩度Cがより大きくなる方向を意味する。
【0023】
図6は、図1に示した矩形断面の構造性発色物体において、海部2aの材料として屈折率nS=1.53の材料(Ny6)を使用すると共に、表面層3として種々の屈折率nOの材料を用いた場合の明度L及び彩度Cと屈折率差(nS−nO)の関係を示したものであって、横軸に彩度C、縦軸に明度Lをとり、基準試料としての未処理試料(図6中におけるnS−nO=0を示す左側プロット点が表面層を設けていない場合)と処理試料(低屈折率の表面層を設けた場合)の座標点から、明度L及び彩度C、すなわち「濃鮮色さ」に及ぼす屈折率差の影響を把握することができ、海部2の屈折率nSと表面層5の屈折率nOの差(nS−nO)が大きくなるに従い、明度Lが小さい側に、そして彩度Cは大きい側にシフトしていくことが判る。
【0024】
この明度Lと彩度Cの未処理試料との差、すなわち、明度差ΔLの値と彩度差ΔCの値が大きいほど、濃鮮色さが向上していることを示している。なお、明度差ΔL(未処理試料の明度Lv−処理試料の明度Lt)の具体的数値としては、ΔL≧2であることが、また、彩度差ΔC(処理試料の彩度Ct−未処理試料の彩度Cv)としては、ΔC≧2であることがより好ましい。
なお、彩度C、明度Lの値の算出については、JIS Z 8701のXYZ表色系および、X10Y10Z10表式系による色の表示方法に基づいて行うことができる。
【0025】
なお、海部2a及び表面層3の屈折率は、一般に方向によって相違(屈折率異方性を有する)し、正確には各々の3方向の屈折率(nx,ny,nz)をそれぞれ意味するが、本発明においては、特に言及しない限り、3方向の屈折率の平均値を屈折率とする。
【0026】
また、上記した海部2aと表面層3の屈折率の大小に加え、両界面の平滑性(粗さ度合い)の状態も濃鮮色さへ影響を及ぼす。すなわち、前述したように、構造性発色を呈する物体において、両界面の平滑度合いは、反射光の拡散の大小に影響を及ぼすことから、界面の表面平滑性は、入射波長のオーダに較べて十分に小さいこと(波長オーダの1/10以下、好ましくは1/100以下のオーダ)が望ましい。このような観点から、海部2aと低屈折率の表面層3の間には、接着剤などの異種材料を介在させることなく、例えばインラインで一体成形あるいは一体被覆することが望ましい。
【0027】
本発明の構造性発色物体の他の形態例として、図7に示すように、海島構造体2において、微細構造体としての島部2bが実質的に層状に十分に規則性を持ち、しかも光の入射方向を法線の位置としたとき、入射面に立てた法線と所定の角度θ(≠90°)をなす方向に傾いた状態に配列形成されており、その外側が表面層3で覆われている構造を採用することができる。
また、図8(a)〜(c)に示すように、海島構造体2における島部2bから成る微細構造体群を四角形状あるいは三角形状に完全密着させ、最密充填するようになすこともできる。
【0028】
さらに他の形態例として、図9(a)〜(c)に示すように、海島構造体2の外側に、複数の表面層(図9においては、2層の表面層3、すなわち中間層3a及び最外層3b)を順次設けるようになすこともできる。このような構造の表面層においても、最外層3bの屈折率を最も小さくすることにより、濃鮮色化が可能となる。このような構造例として、図9(a)及び図9(b)においては、いずれも海島構造体2における島部2bが四角形(直交)配列をなしている例を、また、図9(c)は、三角形配列の例をそれぞれ示している。
【0029】
図10(a)〜(c)は、フィルム状をなす構造性発色物体の形態例を示すものであって、フィルム状の構造性発色物体の場合、3つの形態、すなわち、海島構造体2に対し、光の入射方向側に表面層3を設けた構造(図10(a))、光の入射方向側とその反対側の両面に表面層3を設ける構造(図10(b))、さらに、前述した繊維状発色物体と同様に、海島構造体2の全外周面を表面層3によって被う構造(図10(c))が考えられる。また、島部の配置も前述のような入射光に垂直な場合だけでなく、図11(a)〜(d)に示されるような入射光に平行な場合であっても構わない。但し、少なくとも入射光側に表面層を設けるものである。いずれにしても、少なくとも光の入射側に表面層3を設けることが必要である。
【0030】
さらに、別の形態例として、図12に示すように、リボン状の構造性発色物体とすることもできる。図12(a)には、光の入射方向側面に、表面層3を設けたリボン状発色物体の断面図を、また、図12(b)には、その斜視図を示している。この場合も上記同様に、少なくとも光の入射側に表面層3を設けることが必要となる。
【0031】
また、前述の図9(a)〜図9(c)に示したように、海島構造体2の外側に2層以上の低屈折率の表面層3が設けられている系において、屈折率分布の観点からその構造を考えてみると、図13(a)に示すように、海島構造体2のすぐ外側に、海部2aよりも屈折率の小さな中間層3a(屈折率nm)を形成し、その外側には、この中間層3aよりもさらに屈折率の小さな最外層3b(屈折率nO)を設けるようにすることが望ましい。
このように、基準となる海部2aの屈折率nSよりも外側に向かうほど、屈折率が小さくなるようにすることにより、当該構造性発色物体1を角度を徐々に変えて見た場合でも、濃鮮色さが保持できるようになる。これは図13(b)に示すように、海島構造体2の外側に設けられる中間層3a及び最外層3bの屈折率分布が変化していることによる。
【0032】
さらに、図14(a)〜(d)に示すように、複数層から成る表面層3を設ける代わりに、図14(a)〜(d)に示すように、段差のない連続した屈折率分布を持つ表面層3を形成することによっても、同様な効果が得られる。このような構造体は、例えば繊維状のものの場合、[0040]に記載している紡糸装置(図15参照)において、保温筒内及びそれより下流での温度制御により構成材料の、例えばポリマーの結晶化度や配向度を変化させることによって製造することが可能である。
【0033】
上記のように、本発明の構造性発色物体は、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成り、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体を有すると共に、当該海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、表面層の屈折率nOが海島構造体の海部の屈折率nSよりも小さくなっていることから、特定波長の光を反射させる構造性発色機能を発現すると共に、物体表面における入射光の反射が低減することにより明度Lが小さく、彩度Cが大きくなって、濃鮮色さが向上することになる。このとき、上記屈折率の差(nS−nO)が、特に0.01以上、さらに望ましくは0.03以上となるようにすることによって、当該発色物体表面における入射光の反射をより確実に少なくすることができ、さらに一層の濃鮮色が発現されることになる。
【0034】
本発明の構造性発色物体における海島構造体2を構成する材料としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系の単体もしくはこれらのブレンド、あるいはこれらのうちの2種以上ポリマーの共重合体のようなポリマー系材料、通常のクラウンガラス、フリントガラス、Eガラス、Sガラス、石英ガラスなどのガラス系材料、Al2O3、BeO、CaOなどのセラミックス系材料を使用することができ、これらの中から屈折率が上記の関係となるような組み合わせを選択して、海部2a及び島部2bの材料とする。
なお、海部2aを構成する材料と島部2bを構成する材料とは、安定成形や各種物品への適合性の観点から、物性値(熱膨張係数、吸水率、溶融粘度など)の近い材料系であることが好ましい。
【0035】
一方、海島構造体2を覆う表面層3を構成する材料としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系樹脂の単体、又はこれらから選ばれる2種類以上の樹脂のブレンド若しくは共重合体を用いることができる。また、上記のような熱可塑性樹脂に限らず、公知の紫外線硬化樹脂を用いても構わない。このような材料を用いることにより、実用的な材料を表面層3として、成形金型(ダイ)を通して一体成形することができ、海島構造体2との密着性に優れ、発色物体としての耐久性も向上することになる。
【0036】
また、上記表面層3には、パラフィン系、フッ素系、シリコン系、ビニル重合系、ウレタン系、若しくはワックス系材料、又はこれらの任意の組み合わせによる材料を含有させることができ、これにより、比較的低屈折率の材料を、成形金型(ダイ)を通して、表面層3を一体成形して設けることが可能になり、濃鮮色機能に加え、耐久性も向上することになる。
【0037】
さらに、上記表面層3を構成する材料としては、鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル、石油系合成油などのオイリング加工剤を単独あるいは組み合わせて用いることができ、これによって、繊維状、フィルム状あるいはリボン状の海島構造体を連続成形(インライン成形)する際に、容易に被覆できるようになる。
【0038】
また、表面層材料の被覆量や厚さは、海部材料との親和性や、これを形成する方法等により一概に決定できないが、例えばオイリング加工剤を表面層材料として用いた場合には、海島構造体2の質量に対して、0.03〜30%の質量の表面層3を形成することが望ましい。すなわち、オイリング加工剤の量が0.03%に満たない場合には、表面層による濃鮮色化の効果がほとんど現れず、30%を超えると発色物体としてのフレキシビリティが損われる傾向がある。
【0039】
本発明の構造性発色物体の製造に際しては、海島構造体の少なくとも光の入射側表面に、最外層あるいは少なくとも表面層に、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボネート系樹脂の単体、あるいはこれらから選ばれる2種類以上の樹脂のブレンド若しくは共重合体から成る表面層、又はパラフィン系、フッ素系、シリコン系、ビニル重合系、ウレタン系及びワックス系から成る群から選ばれた少なくとも1種の材料を含む表面層、又は鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル及び石油系合成油から成る群から選ばれた少なくとも1種のオイリング加工剤から成る表面層をインラインで設けることができ、これによって密着性、耐久性の優れた濃鮮色機能を発現する構造性発色物体が連続的に、しかも安価に製造できるようになる。
【0040】
図15は、本発明の構造性発色物体の製造に用いられる複合紡糸装置の一例を示す概略図であって、紡糸口金が組み込まれた紡糸ヘッドに、真空ポンプに連結されたホッパーをそれぞれ備えた3基のエクストルーダA,B,Cがギアポンプを介してそれぞれ連結された構造を有しており、例えば海部及び島部を構成する第1及び第2のポリマー材料がエクストルーダA及びBから押出されて海島構造体が形成されると共に、その周囲にエクストルーダCから押出された第3のポリマー材料から成る表面層が被覆されるようになっており、このような構造の発色物体は、紡糸ヘッドから吐出されたのち、紡糸ヘッドに取付けられた保温筒によって一定温度に保持されながら引き伸ばされてフィラメントの状態でワインダーに巻き取られる。
なお、表面層として、鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル、石油系合成油などのオイリング加工剤を適用する場合には、紡糸線上の適切な位置(フィラメントが十分冷却固化した位置)にオイリング加工剤を塗布できるダイス等を設け、そこを通過させることによって、フィラメントの周囲に当該オイリング加工剤を付着させることができる。
この紡糸工程の後、フィラメントの特性向上と所定寸法化のために、適宜熱延伸処理を施しても構わない。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これら実施例によって本発明が限定されるものではない。
なお、当該実施例及び比較例における濃鮮色の程度の評価については、前述のJIS Z 8701に基づく測定値と共に、人の視覚による評価(官能評価:5人で判定し、濃鮮色化の程度が大のものを3、中のものを2、小のものを1と評価したものの平均値で示す)の二通りの方法によって行った。
【0042】
(実施例1)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)を、また、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)を選択し、下記条件にて、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0043】
当該構造性発色物体1の紡糸については、次の手順により行った。
紡糸口金として、公知の複合紡糸口金(例えば、特開平8−226011号公報参照)に、表面層3形成するための流路を設けるように改良したものを準備し、それを図14に示すような溶融複合紡糸装置に装着した上で、紡糸温度285℃、巻き取り速度3km/minの条件下で未延伸糸を得た後、この未延伸糸を延伸倍率3倍で熱処理を細径化を兼ねて熱延伸処理を行い、矩形型断面の構造性発色物体1を得た。
【0044】
得られた構造性発色物体1(糸)を黒色紙に整列巻きし、分光光度計(日立製作所製モデルU−4100)を用いて反射率を測定し、その値に基づいて色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、5人の官能試験による濃鮮色の程度を評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を選択すると共に、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)を選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて同様の条件のもとに、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0046】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度の官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
(実施例3)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)をそれぞれ選択すると共に、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3のうち、海島構造体2に接する中間層3aの材料として、屈折率nm=1.49のポリメチルメタクリレート(PMMA)、該中間層3bの外側を覆う最外層3bの材料として、屈折率nO=1.47のポリプロピレン(PP)をそれぞれ選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて、同様の条件のもとに、図9(a)に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0048】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0049】
(実施例4)
海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)を、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)を、また、これらから成る海島構造体2の外周部を覆う表面層3の材料として、屈折率nO=1.44のシリコン系オイリング剤を選択し、公知の複合紡糸口金に表面層3形成するための流路を設けた改良口金を用いて、同様の条件のもとに、図1に示すような構造性発色物体1(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。なお、オイリング剤は、図15に示すようなダイスを通過させることにより塗布した。
【0050】
そして、得られた構造性発色物体1(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度の官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
上記実施例1と同様に、海部2aの材料として、屈折率nS=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.53のナイロン6(Ny6)をそれぞれ選択し、表面層を形成することなく、海島構造体2のみからなる構造性発色物体(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0052】
そして、得られた構造性発色物体(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0053】
(比較例2)
上記実施例2と同様に、海部2aの材料として、屈折率nS=1.53のナイロン6(Ny6)、島部2bの微細構造体材料として、屈折率ni=1.63のポリエチレンテレフタレート(PET)をそれぞれ選択し、表面層を形成することなく、海島構造体2のみからなる構造性発色物体(矩形型の緑色を発色する物体)を一体成形した。
【0054】
そして、得られた構造性発色物体(糸)について、同様に反射率を測定し、その値に基づいて同様の色彩計算を行い、彩度C及び明度Lを算出すると共に、濃鮮色の程度について官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示した結果から明らかなように、海部2aと島部2bの海島構造体のみから成り、表面層を有しない比較例1及び2の構造性発色物体においては、彩度Cが低くて明度Lが高く、濃鮮色のレベルが低いことが判明した。これに対し、海部2aと規則的微細構造をなす島部2bから成る海島構造体2の外周部に表面層3を備えた実施例1ないし3に係わる本発明の構造性発色物体1、とりわけ海部2aと表面層3を構成する材料の屈折率の差(nS−nO)が0.14と大きい実施例1の構造性発色物体1においては、彩度Cが高いと共に明度Lが低く、濃鮮色性が高いことが確認された。
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成り、十分な規則的配列構造を備えた海島構造体を有を有すると共に、当該海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、表面層の屈折率nSが海島構造体の海部の屈折率nOよりも小さい構成としたことから、顔料や色素を用いることなく、特定波長の光を反射させる構造性発色機能を発揮させることができると共に、当該構造性発色物体の表面における入射光の反射を低減させて、構造性発色の濃鮮色さを向上させることができる。
また、上記表面層をインラインで形成するようになすことによって、密着性及び耐久性を向上させることができると共に、海島構造体と表面層間の界面平滑性を高めることができ、優れた濃鮮色機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明の構造性発色物体の一例として矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図1(a)における島部の微細構造(四角形配列)を示す拡大図である。
【図2】(a) 同じく一例として円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図2(a)における島部の微細構造(四角形配列)を示す拡大図である。
【図3】(a) 同じく一例として楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図2(a)における島部の微細構造(三角形配列)を示す拡大図である。
【図4】(a) 本発明の構造性発色物体の他の一例として島部が互いに密着した微細構造を有する矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 同じく一例として島部が互いに密着した微細構造を有する円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく一例として島部が互いに密着した微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(d) 同じく一例として島部が層状をなす微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図5】(a)ないし(g)は本発明の構造性発色物体の断面形状例を示すそれぞれ断面図である。
【図6】構造性発色物体の明度及び彩度(濃鮮色度)に及ぼす海部の屈折率と表面層の屈折率の差屈折率差(nS−nO)の影響を示すグラフである。
【図7】本発明の構造性発色物体のさらなる例として島部が互いに密着した状態で入射面に対して傾いた方向に配列形成された構造を示す断面図である。
【図8】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する矩形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。(b) 同じく、島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく、島部が四角形状に完全密着した微細構造を有する楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図9】(a)、(b)及び(c)は本発明の構造性発色物体のさらなる例として、表面層が中間層と最外層の2層から構成される矩形、円形及び楕円形断面の繊維状発色物体の構造を示す断面図である。
【図10】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として、光の入射側面に表面層を設けた矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 同じく、光の入射側面とその裏面側に表面層を設けた矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(c) 同じく、海島構造体の全表面を表面層で覆った矩形断面のフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
【図11】(a) 島部が光の入射方向に対して平行方向に規則配列した海島構造体の光の入射側面に表面層を設けたフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図11(a)に示したフィルム状構造性発色物体の断面図である。
(c) 図11(a)に示した海島構造体の光の入射側面とその裏面側に表面層を設けたフィルム状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図11(c)に示したフィルム状構造性発色物体の断面図である。
【図12】(a) 本発明の構造性発色物体のさらなる例として矩形断面のリボン状発色物体の構造を示す断面図である。
(b) 図12(a)に示したリボン状構造性発色物体の斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は、図9(a)示した2層から成る表面層における屈折率の分布を示す説明図である。
【図14】
(a)ないし(d)は、表面層の屈折率を連続的に変化させた場合における屈折率の分布例を示す説明図である。
【図15】本発明の構造性発色物体を製造するための装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 構造性発色物体
2 海島構造体
2a 海部
2b 島部
3 表面層
3a 中間層
3b 最外層
Claims (16)
- 少なくとも特定波長の可視光を反射させる物体であって、
屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から成る海島構造を有し、当該海島構造体における島部の微細配列が少なくとも光との物理的相互作用に基づく構造性発色を発現するに十分な規則性を有していると共に、
上記海島構造体の少なくとも光の入射側表面を覆う表面層を有し、該表面層を構成する材料の屈折率が海島構造体の海部を構成する材料の屈折率よりも小さいことを特徴とする構造性発色物体。 - フィルム状又はリボン状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の構造性発色物体。
- 繊維状をなし、上記表面層が海島構造体の周囲を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の構造性発色物体。
- 上記海島構造体における海部の屈折率をnS、表面層の屈折率をnOとすると、
nS−nO ≧ 0.01
であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。 - 上記表面層の屈折率が海島構造体との境界面から表面側に向けて小さくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記海島構造体の海部内に島部が行列状又は多角形状に配列されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記海島構造体の海部内に島部が光の入射面に立てた法線に対して角度θをなす方向に層状配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記表面層が、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系及びポリカーボネート系樹脂の単体、又はこれらの群から選ばれた2種類以上の樹脂のブレンド若しくは共重合体から成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記表面層が、パラフィン系、フッ素系、シリコン系、ビニル重合系、ウレタン系及びワックス系から成る群から選ばれた少なくとも1種の系の材料を含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記表面層が、鉱物油、植物油、植物脂肪酸エステル及び石油系合成油から成る群から選ばれた少なくとも1種のオイリング加工剤からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体。
- 上記表面層の質量が、上記海島構造体の質量の0.01〜30%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項にに記載の構造性発色物体。
- 請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体を製造するに際して、海島構造体の少なくとも光の入射側表面に表面層をインラインで形成することを特徴とする構造性発色物体の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の構造性発色物体を少なくとも一部に用いてあることを特徴とする織物、編物及び不織布から成る群より選ばれた物品。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造性発色物体を所定の長さに切断して成ることを特徴とするチップ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造性発色物体を所定の寸法に粉砕してなることを特徴とする粉末。
- 請求項14又は15に記載のチップ又は粉末を含有することを特徴とする塗料、フィルム構造体及びプラスチック成形体から成る群より選ばれる物品。
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-
2003
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