JPH11181630A - 複合繊維 - Google Patents

複合繊維

Info

Publication number
JPH11181630A
JPH11181630A JP11949798A JP11949798A JPH11181630A JP H11181630 A JPH11181630 A JP H11181630A JP 11949798 A JP11949798 A JP 11949798A JP 11949798 A JP11949798 A JP 11949798A JP H11181630 A JPH11181630 A JP H11181630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
fiber
conjugate fiber
refractive index
core material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11949798A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Owaki
新次 大脇
Mari Asano
真理 浅野
Toshimasa Kuroda
俊正 黒田
Susumu Shimizu
進 清水
Akio Sakihara
明男 先原
Kinya Kumazawa
金也 熊沢
Hidekazu Takahashi
秀和 高橋
Hiroshi Tabata
洋 田畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanaka Kikinzoku Kogyo KK, Nissan Motor Co Ltd, Teijin Ltd filed Critical Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority to JP11949798A priority Critical patent/JPH11181630A/ja
Publication of JPH11181630A publication Critical patent/JPH11181630A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光干渉特性を調整することによって、実用強
度を有する非染色発色繊維を得る。 【解決手段】 この複合繊維は、光線の反射・干渉特
性、赤外線の反射特性、紫外線の反射特性のいずれかの
光学機能を有する2種類の異なるポリマー1,2の交互
積層断面構造の繊維芯材3に対して、保護層4で被覆し
た構造を特徴とする。また断面扁平構造にして、その短
軸方向に2種類の異なるポリマーの交互積層が形成され
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な光学機能を
有する複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、布地の高級な風合いに対する訴求
から、単純な丸断面糸から異形断面糸とし、さらに2種
類以上の繊維を複合することによって膨らみ等の感性繊
維が開発され、新合繊として開花した。
【0003】さらに最近では、高度な感性、機能を有す
る繊維が求められるようになっている。その1つに深色
性と光沢がある。この深色性と光沢とは相反する性向
で、深色を求めると色がくすんで鮮やかさを失ってしま
い、逆に光沢を得ようとするとあだ光となってしまい、
いまだ深色性と光沢を両立させる技術は開発されていな
い。その原因は、従来技術では染料や顔料により発色さ
せているのであり、これは光の吸収によって発色させて
いるのであるるため、深色を得ようとすればするほど反
射光が減少してしまい、光沢を失うようになるためであ
る。
【0004】ところで自然界を見渡すと、例えば玉虫や
モルフォ蝶は深色と光沢とを同時に満たしており、染料
や顔料とまったく異なる色彩を呈している。この発色メ
カニズムには光の反射、干渉を利用しており、合成繊維
においてもこの発色メカニズムを利用しようと種々検討
されてきている。例えば、特公昭43−14185号公
報において、3層よりなる真珠光沢を呈する被覆形複合
繊維が開示されている。しかしながら、この技術では層
の数をたかだか3層としたときに反射、干渉によって発
色が見られるものの、その程度には限界があり、高度な
感性に対する要求を満たすには不十分であった。
【0005】また特開平7−166430号公報におい
て、染色性を異にする2種類のポリマーからなり、特定
の化合物を共重合したポリエチレンテレフタレートと他
のポリマーとを用いて交互多層構造の繊維とし、異色効
果を呈する繊維が提案されている。この提案されている
技術では、交互多層構造はその厚みが数100ミクロン
から数10ミクロンという非常に薄い層を形成してお
り、しかもこれらの薄い層が直接表面に露出しているた
めに摩耗に対して弱く、わずかな摩耗でも層の剥離が容
易に発生してしまう問題点があった。
【0006】また特開昭62−170510号公報にお
いて、繊維表面に微細な凹凸を設けて干渉色を得ようと
する方法が開示されている。この方法は、回折格子を繊
維上に形成しようとするものである。同様な方法が特開
平4−202805号公報にも開示されている。これら
の繊維においては、干渉による発色は認められるもの
の、その干渉は見る角度によって干渉波長が容易に異な
る、すなわち、布帛の色彩が変化してしまい、安価な感
性しか得られない問題点があり、また摩耗等によって容
易にその機能が低下してしまう問題点もあった。
【0007】一方、特開昭59−228042号公報、
特公昭60−24847号公報、特公昭63−6453
5号公報等には、見る角度により色調を変え、鮮やかな
色調効果を呈することで有名なモルフォ蝶にヒントを得
た発色繊維、布帛が提案されている。これらの公報に開
示されている繊維は異種ポリマーを張り合わせた扁平糸
であり、これらの繊維を積層しても光の干渉する厚さを
得ることは困難であり、単に反射光を抑える役割しか果
たしていない。
【0008】この点で別の技術として、分子配向異方性
フィルムを偏光フィルムでサンドイッチ構造にすること
により発色する材料が提案されている(例えば、繊維機
械学会誌Vol.42、No.2、55ページ、1989年、同Vol.42、
No.10、120ページ、1989年)。さらに特開平7−977
66号公報や特開平7−97786号公報において、布
帛の表面に表面側から入射した光の反射光と裏面におけ
る反射光により発色可能な実質的に透明な薄膜層を有す
る光干渉膜を設けた繊維布帛が開示されている。しかし
ながら、これらの薄膜による干渉は見る角度によって干
渉波長が容易に異なったものとなり、布帛の色彩が変化
してしまい、安価な感性しか得られない問題点があっ
た。
【0009】さらに、特開平7−34320号公報、特
開平7−195603号公報、特開平7−331532
号公報には屈折率の異なる2種類のポリマーを交互積層
し、それらの光学的厚みを制御することによって非染色
発色する繊維、また紫外線、赤外線反射機能をも有する
繊維が提案されている。しかしながらこれらに提案され
ている2種類のポリマーの交互積層構造の繊維でも、上
述したように異種ポリマーによる積層界面でそれらの界
面エネルギの差に起因して剥離が発生しやすく、繊維の
引張強度が不十分となり、また光学機能も十分に発揮で
きなくなる問題点があった。
【0010】反射干渉によって発色させる方法として
は、粒子径の均一なラテックスなどを縦、横、斜めに細
密的に充填する方法があるが、充填されたラテックス粒
子群を製造時に固定することが困難であるため、原理的
には可能であるものの、粒子の並び方の規則性が壊れる
ことによって発色機能が簡単に消失してしまうために実
用にならないという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みてなされたもので、光の反射、干渉
あるいは回折、散乱等により発色する光学機能を有する
交互多層積層構造の繊維芯材に対して、保護層で被覆し
た複合構造の繊維に関し、高い干渉効果と耐摩耗性、引
張強度を有する複合繊維を提供することを目的とする。
【0012】本発明はまた、積層構造の繊維芯材中に補
強層を形成することによってさらに引張強度にすぐれた
複合繊維を提供することを目的とする。
【0013】本発明はまた、干渉反射波長を任意に設定
することができ、干渉発色によって所望の色調に確実に
発色させたり、紫外線や赤外線を干渉反射させて確実に
遮断したりすることができると共に、必要に応じて任意
の長さに切断することによって、服地やカーテン地、絨
毯などの織物をはじめとして、壁紙やタイルなど各種の
製品に広く適用することができ、これら製品の風合いを
向上させて高級感を高めたり、熱線遮蔽やUVカットな
どの特殊な効果を発揮させたりすることができる複合繊
維を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の複合繊
維は、光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特性、紫外
線の反射特性の少なくともいずれかの光学機能を有する
2種類の異なるポリマーの交互積層断面構造の繊維芯材
に対して、保護層で被覆した構造としたものであり、こ
のように2種類の異なる光学特性を有するポリマーの交
互積層構造の繊維芯材に対して保護層を被覆した構造と
することによって、非染色発色性を維持しつつ、耐摩耗
性、引張強度が向上する。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の複合繊維に
おいて、断面扁平構造にして、その短軸方向に前記2種
類の異なるポリマーの交互積層を形成したものであり、
入射光に対する受光面積を広くすることによって光学干
渉効果を高めることができる。
【0016】請求項3の発明は、請求項1又は2の複合
繊維において、前記繊維芯材が光学的に高屈折率の第1
のポリマーと光学的に低屈折率の第2のポリマーとの交
互積層構造であり、これらの2種類のポリマーを5層以
上に積層し、かつ各層の厚みを0.01ミクロン〜0.
4ミクロンの範囲にしたものであり、これによって光学
干渉効果を高いものとすることができる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1又は2の複合
繊維において、前記保護層に前記2種類のポリマーのう
ち光学的に高屈折率成分のものを用いたものであり、こ
れによって保護層表面で反射する光の量が多くなり、繊
維芯材内から反射してくる光の量とバランスして干渉す
る量が多くなり、非染色発色効果を高めることができ
る。
【0018】請求項5の発明は、請求項1〜4の複合繊
維において、前記保護層を0.5ミクロン〜20ミクロ
ンの範囲にしたものであり、光の反射・干渉効果を損な
うことなく、繊維の耐久性を向上させることができる。
【0019】請求項6の発明は、請求項1〜4の複合繊
維において、前記保護層を1デニール換算あたり5%以
上としたものであり、光の反射・干渉効果を損なうこと
なく、繊維の耐久性を向上させることができる。
【0020】請求項7の発明は、請求項1〜6の複合繊
維において、前記繊維芯材中に前記2種類のポリマーの
いずれかを成分とする補強層を形成したものであり、こ
れによって繊維の耐久性をいっそう向上させることがで
きる。
【0021】請求項8の発明は、請求項7の複合繊維に
おいて、前記補強層を1デニール換算あたり5%以上と
したものであり、十分な耐久性を発揮することができ
る。
【0022】請求項9の発明は、請求項1〜8の複合繊
維において、前記繊維芯材の光学的に高屈折率の第1の
ポリマーとして共重合ポリエチレンテレフタレート、前
記光学的に低屈折率の第2のポリマーとしてポリメチル
メタクリレートを用いたものである。
【0023】請求項10の発明は、請求項1〜8の複合
繊維において、前記繊維芯材の光学的に高屈折率の第1
のポリマーとしてポリカーボネート、前記光学的に低屈
折率の第2のポリマーとしてポリメチルメタクリレート
を用いたものである。
【0024】請求項11の発明は、請求項1〜8の複合
繊維において、前記繊維芯材の光学的に高屈折率の第1
のポリマーとして共重合ポリエチレンナフタレート、前
記光学的に低屈折率の第2のポリマーとしてナイロン6
を用いたものである。
【0025】請求項12の発明は、請求項1〜8の複合
繊維において、前記第1のポリマーがポリエチレンテレ
フタレートを主成分とし、前記第2のポリマーがポリア
ミドを主成分とし、前記繊維芯材における両ポリマーの
相溶性を高めるため、両方又は片方のポリマーに相溶化
剤をブレンド又は共重合したものを用いたものである。
【0026】請求項13の発明は、請求項12の複合繊
維において、前記相溶化剤がアルキルベンゼンスルフォ
ン酸金属塩、ポリアミド等で構成される複合繊維形成材
料を用いたものである。
【0027】請求項14の発明は、請求項12又は13
の複合繊維において、前記第1のポリマーの主成分であ
るポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸
成分がフタル酸又はイソフタル酸であり、その配位の一
部がカチオン剤により配位機能を付与された複合繊維形
成材料を用いたものである。
【0028】請求項15の発明は、請求項14の複合繊
維において、前記カチオン剤がスルフォン酸金属塩で構
成される複合繊維形成材料を用いたものである。
【0029】請求項16の発明は、請求項12又は13
の複合繊維において、前記第1のポリマーの主成分であ
るポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸
成分が、スルフォイソフタル酸金属塩で構成される複合
繊維形成材料を用いたものである。
【0030】これら請求項9〜16の発明の複合繊維で
は、特に光の反射・干渉効果に富み、かつ繊維の耐久性
に優れた複合繊維が得られる。
【0031】請求項17の発明の複合繊維は、光学屈折
率の異なる2種類のポリマーを長さ方向に対し垂直な方
向に交互に積層してなる繊維芯材に対して、その周囲を
同種又は異種のポリマーからなる保護層により被覆した
ものであり、繊維芯材のポリマーの屈折率と膜厚の選択
によって干渉反射波長を任意に設定することにより、所
望の色調に干渉発色させたり、また紫外線や赤外線を遮
断したりすることができ、また保護層によって繊維表面
の光沢質感を与えると共に繊維の強度を高めることがで
きる。
【0032】請求項18の発明は、請求項17の複合繊
維において、前記2種類のポリマーのうちの光学屈折率
の小さい方の第2のポリマーの屈折率nbに対する光学
屈折率の大きい方の第1のポリマーの屈折率naの比n
a/nbが1.01〜1.4の範囲にあるとともに、長
さ方向に垂直な断面における前記2種類のポリマーの積
層方向をy軸、前記ポリマーの各層に平行な方向をx軸
にとり、所定の干渉反射波長を得る光学的厚みに合致す
るx軸方向の長さをdx、y軸方向の長さをdyとする
とき、発色機能発現における該積層断面構造において、
その一部が上記因子の比、つまり、dx/dyが0.1
〜16の範囲を有するものであり、可視光領域における
干渉発色が可能である。
【0033】請求項19の発明は、請求項17又は18
の複合繊維において、断面を見て、干渉反射波長が異な
る複数の繊維芯材を備えたものであり、複合的な色合い
を得たり、干渉発色と同時に紫外線や赤外線を遮断した
りする複合的な光学機能が発現できる。
【0034】請求項20の発明は、請求項17〜19の
複合繊維において、長さ方向に、干渉反射波長が異なる
複数の繊維芯材を備えたものであり、請求項19と同様
の作用に加えて、織り方によってさらに複雑な風合いや
質感が発現できる。
【0035】請求項21の発明は、請求項17〜20の
複合繊維において、前記繊維芯材の周囲を被覆する保護
層の厚さが0.3〜20ミクロンの範囲にあるものであ
り、光学機能に悪影響を与えることなく、十分な機械的
強度が得られる。
【0036】請求項22の発明は、請求項17〜21の
複合繊維において、所定長さに切断したものであり、適
当な長さに切断された繊維を紡いでスパン系の織物に使
用したり、チップ状繊維として壁紙やタイルなどに適用
することもできる。
【0037】請求項23の発明は、請求項17〜22の
複合繊維において、前記第1のポリマーがポリエチレン
テレフタレートを主成分とし、前記第2のポリマーがポ
リアミドを主成分とする繊維構造体によって前記繊維芯
材を構成し、前記繊維芯材における両ポリマーの相溶性
を高めるため、両方又は片方のポリマーに相溶化剤をブ
レンド又は共重合したものを用いたものである。
【0038】請求項24の発明は、請求項23の複合繊
維において、前記相溶化剤が、アルキルベンゼンスルフ
ォン酸金属塩、ポリアミド等で構成された複合繊維形成
材料を用いたものである。
【0039】請求項25の発明は、請求項23又は24
の複合繊維において、前記第1のポリマーの主成分であ
るポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸
成分が、フタル酸又はイソフタル酸であり、該配位の一
部がカチオン剤により配位機能を付与された複合繊維形
成材料を用いたものである。
【0040】請求項26の発明は、請求項25の複合繊
維において、前記カチオン剤がスルフォン酸金属塩で構
成される複合繊維形成材料を用いたものである。
【0041】請求項27の発明は、請求項23又は24
の複合繊維において、前記第1のポリマーの主成分であ
るポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸
成分が、スルフォイソフタル酸金属塩で構成される複合
繊維形成材料を用いたものである。
【0042】請求項23〜27の発明の複合繊維では、
光干渉発色作用と耐摩耗性に富む繊維が得られる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図1及び図2は本発明の第1〜第4
の実施の形態の複合繊維それぞれの断面構造を示してお
り、これらの実施の形態の複合繊維はそれぞれ、光に対
する高屈折率を有する第1のポリマーA成分の高屈折率
成分層1と、低屈折率を有する第2のポリマーB成分の
低屈折率成分層2との交互積層構造の繊維芯材3に対し
て、これらの第1のポリマーA又は第2のポリマーBの
保護層4で被覆した構造である。
【0044】図1(a)の第1の実施の形態の複合繊維
は、断面形状が矩形状で、交互積層の繊維芯材3が繊維
断面の短軸方向に規則的に形成されたもの、図1(b)
の第2の実施の形態の複合繊維は、同断面形状が楕円状
となったものである。また図2(a)の第3の実施の形
態の複合繊維は、断面形状が正円形にして、交互積層の
繊維芯材3が規則的に形成されたもの、図2(b)の第
4の実施の形態の複合繊維は、断面形状が正円形にし
て、繊維芯材3が同心円状に規則的に形成されたもので
ある。
【0045】第1あるいは第2のポリマーとして使用す
ることができるものは、ポリエステル系、ポリエチレン
系、ポリスチレン系、ポリアミド系、フッソ系ポリマー
等をあげることができ、そしてこれらのポリマーの中か
ら、同じ系に属するポリマーであっても光屈折率が高低
相異なるものを第1のポリマーA成分、第2のポリマー
B成分として使用し、また異なる系に属するポリマーの
2種類を光屈折率の高低によって第1のポリマーA成
分、第2のポリマーB成分として使用することができ
る。
【0046】さらにポリマーA,Bの具体的な組み合わ
せについて説明すると、高屈折率の繊維形成性を有する
結晶性ポリマーとして、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート等の芳香族ポリエステルを用いることが
できる。これらのポリマーの屈折率は、ポリエチレンテ
レフタレートでは1.64(計算値では1.58)、ポ
リブチレンテレフタレートでは1.55(計算値)、ポ
リエチレンナフタレートでは1.63(計算値)であ
る。また非晶性ポリマーとしてはポリカーボネート(P
C)が好ましく、屈折率は1.59である。さらにこれ
らのポリマーを用いて繊維としたときに配向が高度に発
生し、大きな複屈折率を有することになる。結晶の固有
複屈折率として、ポリエチレンテレフタレートでは0.
22、ポリブチレンテレフタレートでは0.153、ポ
リエチレンナフタレートでは0.487という高い値を
示し、またポリカーボネートでは0.192である。し
たがって、これらのポリマーを繊維としたとき、特に繊
維軸方向において屈折率プラス複屈折率の効果を利用す
ることができて好ましい。
【0047】一般的に繊維を形成するとき分子の配向が
生じやすいために、これらの高屈折率を有する第1のポ
リマーと組み合わせる低屈折率の第2のポリマーとして
は、ポリマー固有の屈折率が小さいだけでなく、紡糸延
伸過程においてさえ配向度が上昇しないものであるか、
又は配向時に複屈折率の上昇しないものを採用する必要
がある。そのためにはまず、非晶性のポリマーであるこ
と、脂肪族ポリマーが好ましいこと(D.W. Van Krevele
n編、Properties of Polymers、 302ページ、Elsevier
社出版、1990年)、光学的に透明性が高いこと、さらに
上記高屈折率ポリマーであるポリエステル、ポリカーボ
ネートとの親和性を有しており、層間の接着性に優れて
いること等の特性が要求される。これに適するポリマー
としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポ
リクロロメタクリレート(PCMMA)をあげることが
できる。特にポリメチルメタクリレートはプラスチック
ス、光ファイバー等に広く利用されており、透明性の高
いグレードのものが得やすく、構造的にもポリエステル
であり、またコスト的にも安価であるために好ましい。
したがって、芳香族ポリエステルとポリメチルメタクリ
レート、またポリカーボネートとポリメチルメタクリレ
ートの組み合わせが、それらの交互多層積層構造の繊維
にしたときに高い光干渉効果を得やすくて、特に好まし
くものである。
【0048】次に図1(a)に基づいて、繊維構造につ
いて説明する。光干渉効果を効率良く得るためには多層
で、かつ実質的に界面がすべて平行になる構造が望まし
い。特に扁平繊維の短軸a方向に多層交互積層が形成さ
れていて、その扁平比b/a(bは長軸)が大きな扁平
繊維は光の干渉に有効な面積を大きく取ることができる
ために好ましい断面形状である。そのため、扁平比b/
aは2以上であることが好ましく、特に3.5以上が望
ましい。一方、扁平比b/aが15を超えると製糸性が
大きく低下するため、扁平比は15以下にするのが望ま
しく、特に10以下にするならば製糸性を維持すること
ができて望ましい。
【0049】積層数については、5層以上に交互積層し
ていることが好ましく、特に10層以上が望ましい。5
層未満では干渉効果が小さいばかりでなく、干渉色が見
る角度によって大きく変化してしまい、安価な質感しか
呈することができないからである。他方、総層数は70
以下が好ましく、特に50層以下が望ましい。70層を
超えると得られる光の反射量の増大が期待できなくなる
上に、紡糸用の口金構造が複雑になり過ぎて製糸が困難
となり、また原料の層流に乱れが発生しやすいので好ま
しくない。
【0050】このような多層交互積層構造の複合繊維で
は、2種類のポリマー間の接触面積は膨大となる。した
がって、親和性の低いポリマーの組み合わせを採用する
ならば、特開平4−136210号公報に述べられてい
るように、界面方向に大きな収縮力が働くために積層方
向を短軸aとする扁平繊維を得ることは困難となる。こ
のために2種類のポリマーの組み合わせは、両者間での
親和性に優れたものである必要がある。
【0051】また交互積層の各ポリマー層1,2の厚み
を0.01ミクロン〜0.4ミクロンとしたのは、0.
01ミクロンを下回る厚みでは、もう一方のポリマー層
とのマイグレーションで界面が不明瞭となり、光干渉効
果を得ることができなくなるためであり、また、0.4
ミクロンを上回る厚みでは高い光干渉効果を得ることが
できないためである。さらに特に光干渉効果の高い繊維
とするためには、交互積層の各ポリマー層1,2の厚み
を0.05ミクロン〜0.15ミクロンとするのが望ま
しい。加えて、2種類のポリマー層1,2における光学
的厚み、すなわち、各層1,2の厚みda,dbと屈折
率na,nbとの積が等しい(na・da=nb・d
b)ときにさらに高い光干渉効果を得ることができる。
特に、一次の反射に等しい2種類の光学的厚みの和の2
倍が、欲する色の波長の距離λと等しいとき(λ=2
(na・da+nb・db))、最大の干渉色が得られ
る。
【0052】さらに交互積層を繊維芯材3とし、高屈折
率ポリマーA成分の保護層4で被覆した構造の図1及び
図2に示す芯鞘型複合繊維とすることにより、繊維の内
部に入射した光は、特に高屈折率層1から低屈折率層2
に入射するときに反射率が大きくなるが、これら各層
1,2が5層以上の多層になっていれば層間で反射が繰
り返されて非常に高い反射率を得ることができ、層数が
増加するにしたがって繊維内部からの反射率は飛躍的に
大きくなる。
【0053】これらに加えて本発明者らは、保護層4の
存在は、繊維の機械的強度の向上に寄与するだけにとど
まらず、次のような光学的特性の向上にも寄与すること
を発見した。繊維の表面反射光量と内部からの反射光の
量について計算を行ったところ、驚くべきことに従来の
予想と反した結果が得られた。すなわち、繊維の表面に
入射した光は、その一部が表面で反射し、内部より反射
してくる光と干渉するが、ここで高屈折率ポリマーA成
分を保護層4に用いると繊維の表面での反射の量が多く
なり、結果として内部から反射してくる光の量と表面反
射の光の量とがバランスして干渉する光の量が増大する
ことを見出した。一方、繊維の表面が低屈折率ポリマー
B成分の保護層で被覆した場合には、表面反射の量が少
なくなり、大きな干渉光を取り出すことはできないので
ある。
【0054】さらに繊維芯材3は薄膜積層構造であるの
で、それだけでは摩擦等の機械的外力に対して非常に弱
いものであるが、ここで配向により強度が大きくなる高
配向が可能な高屈折率ポリマーA成分で保護層4を形成
することによって外部からの摩擦等に対して大きな抵抗
力を有するようになる。この保護層4の厚さとしては
0.5ミクロン以上が好ましく、特に2ミクロン以上が
望ましい。厚みが0.5ミクロンを下回るとき、繊維芯
材3と保護層4との間での剥離が容易に生じ、結果的に
保護の役割を果たし得ない。厚みが0.5ミクロンを上
回るとき、高いレベルの干渉光の量を保持しつつ、保護
層4の強度が十分となり、摩擦等の外力によっては剥離
が発生しなくなる。なお、保護層4の厚みは20ミクロ
ン以下であることが好ましく、特に6ミクロン以下であ
ることが望ましい。保護層4の厚みが10ミクロンを上
回るとき、保護層4内での光の吸収、散乱が無視できな
くなり、多層構造の繊維芯材3で光干渉効果が十分に得
られたとしても、干渉光として取り出すことが抑制され
ることになるからである。
【0055】それゆえ、保護層4の材質は繊維芯材3を
構成する高屈折率ポリマーA成分であってもよいし、あ
るいはそれ以外の高屈折率ポリマーであってもかまわな
い。また、このような高屈折率ポリマーAからなる保護
層4は繊維芯材3からの反射・干渉光をキャンセル(低
下)させるような諸元(屈折率、層厚み等)を有してい
なければ、特に単一保護層(図1及び図2)に限定され
ず、図3及び図4に示すような2重保護層4,4′、あ
るいはそれ以上の多重保護層であってもかまわない。
【0056】図1及び図2に示す芯鞘型複合繊維は、従
来から知られている複合繊維の製造方法をそのまま採用
することができる。例えば、図2(b)、図3(a)、
(b)に示した構造体は、紡糸パック内において、2成
分ポリマーを任意のエレメント数を設置し、スタティッ
クミキサーを通過させた後、口金導入孔の分流板で複合
流を導き吐出することによって得られる。スタティック
ミキサーとして、例えば、特公昭60−1048号公報
に記載されたような混合器を多数連結して多層接合型複
合ポリマー流を作成し、さらに図2(b)の構造体の場
合には円環状スリット孔、図3(a)、(b)の構造体
の場合には矩形状スリット孔、扁平状スリット孔からの
吐出によって交互積層の繊維構造体を得ることができ
る。
【0057】なお、特定波長の光を安定して効率よく反
射・干渉させるためには、最近、本発明者らが提案した
特願平9−133038号や特願平9−133040号
の明細書に記載された複合高分子繊維紡糸用口金を紡糸
パック内に入れ込んで製造した方がより好ましい。これ
らの口金により、例えば、図3(a)、図3(b)のよ
うな繊維芯材の積層構造部と保護層部とからなる、より
実用的な繊維構造体を得ることができるようになる。
【0058】なお、上記のような方法以外に、繊維芯材
3のみを紡糸した後、該繊維芯材3の外周に高屈折率ポ
リマーをコーティング法やスプレー法、あるいはまたプ
ラズマ重合法等の公知の方法によって被覆することによ
り保護層を形成してもかまわない。
【0059】複合繊維の断面形状は特に限定されない
が、図1及び図3に示したように、光の干渉に有効な面
積が大きく取れるので大きな扁平比の扁平断面形状であ
ることが望ましく、扁平比b/aは上述したように2以
上、さらに3.5以上であることが望ましい。しかし扁
平比が15を上回るようになれば、繊維口金の吐出孔が
50を超えるような大きな扁平比となってしまい、多層
接合流において積層方向と直角な方向にポリマーの流れ
を大幅に拡大させなければならず、流れの乱れが生じや
すく、また吐出孔付近でポリマーのベンディングが生
じ、口金への接触が生じて曳糸性を悪くすることにな
り、好ましくない。そこで複合繊維の扁平比b/aは1
5以下、好ましくは10以下とするのがよい。
【0060】次に、高屈折率の第1のポリマーAとして
使用できる有機ポリマーについて詳しく説明する。芳香
族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジ
オール成分とよりなり、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト等をあげることができるが、さらに側鎖にアルキル基
を有するジカルボン酸又は/及びジオール等を共重合し
ていることが必要である。
【0061】そのようなアルキル基としてはメチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、さら
に炭素数の多い高級アルキル基が好ましく、またシクロ
ヘキシル基等の脂環式アルキル基も好ましい例である
が、これらのアルキル基の中でも特にメチル基が好まし
い。また側鎖のアルキル基の数としては、1又は複数で
あってもよい。しかしながら、側鎖の基としてあまりに
も大きな基は芳香族ポリエステルの配向結晶性を大きく
阻害することになるので好ましくない。
【0062】側鎖にアルキル基、さらにはメチル基を有
するジカルボン酸として、4,4'-ジフェニルイソプロピ
リデンジカルボン酸、3-メチルグルタル酸、メチルマロ
ン酸のように脂肪族炭素からの側鎖を有するジカルボン
酸はアルキル基を分子の外側に向けやすいため、ポリメ
チルメタクリレートとの相互作用が容易であり好まし
い。また側鎖にアルキル基、さらにはメチル基を有する
グリコールとして、ネオペンチルグリコール、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物のように脂肪族炭素からの側鎖を有するグリコールは
ポリメチルメタクリレートとの相互作用が大きいので特
に好ましい。これらの化合物は側鎖に2個のメチル基を
有しており、その効果が十分に発揮できるためと推定さ
れる。
【0063】芳香族ポリエステルに対して、側鎖にアル
キル基を有するモノマーの共重合量は、全カルボン酸成
分又は全グリコール成分に対して5%以上、30%以下
が好ましく、特に6%以上、15%以下が望ましい。5
%を下回る共重合量の場合、芳香族ポリエステル成分と
ポリメチルメタクリレートとの親和性が十分でなく、ま
た30%を上回る共重合量の場合に主成分のポリエステ
ルの耐熱性、曳糸性等の特性が大きく低下するので、い
ずれも好ましくない。
【0064】さらに、これらの共重合芳香族ポリエステ
ルに対して、他の成分を共重合したポリマーでもよい。
そのような共重合成分としては、テレフタール酸、イソ
フタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカ
ルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,
4'-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルス
ルフォンジカルボン酸、1,2-ジフェニキシエタン-4',4"
-ジカルボン酸、アンラセンジカルボン酸、2,5-ピリジ
ンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、スル
フォイソフタール酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸
や、これらのエステル形成性誘導体をあげることができ
る。
【0065】またマロン酸、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、デ
カリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸や、β-ヒ
ドキシエトキシ安息香酸、P-オキシ安息香酸、ヒドロキ
シプロピオン酸、ヒドロキシアクリル酸等のヒドロキシ
カルボン酸や、これらのエステル形成性誘導体をあげる
ことができる。
【0066】なお、これらの芳香族ジカルボン酸単位は
1種類のみ又は2種類以上共重合されていてもよい。共
重合量は、上記の側鎖を有するモノマーとの和として、
全カルボン酸成分に対して30%以下、特に15%以下
が好ましい。30%を超える共重合量のとき、主成分の
特性を十分に保持できなくなるので好ましくない。
【0067】芳香族ポリエステルの脂肪族ジオール成分
としては、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトレメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール
等の脂肪族ジオールや、ヒドロキノン、カテコール、ナ
フタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノールS、ビ
スフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族
ジオールや、シクロンヘキサンジメタノール等の脂環族
ジオール等をあげることができる。なお、これらのジオ
ールは1種類のみ、又は2種類以上、共重合量として上
記側鎖を有するジオールとの和として全ジオールに対し
て30%以下、特に15%以下が好ましい。
【0068】さらに芳香族ポリエステルが実質的に線状
である範囲内でトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメ
リット酸、トリカルバリル酸等の多価カルボン酸や、グ
リセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが含ま
れてもよい。
【0069】他方、高屈折率ポリマーAとして用いるこ
とができるもう1つの種類であるポリカーボネートとし
ては、4,4'-ジヒドロジフェニル-2,2-プロパン(ビスフ
ェノールA)を主成分とするポリカーボネートの場合、
側鎖に2つのメチル基を含んでいるので好ましいもので
ある。さらにビスフェノールS、ビスフェノールSのエ
チレンオキサイド付加物を共重合することができる。共
重合量としては、ビスフェノールAに対して30%以
下、特に15%以下が好ましい。
【0070】次に、本発明の第9の実施の形態を図5
(a)に基づいて説明する。この実施の形態の複合繊維
は、高屈折率層1と低屈折率層2との多層交互積層構造
の繊維芯材3に対して高屈折率の第1のポリマーA成分
の保護層4を被覆するとともに、繊維芯材3内にこれら
の高屈折率の第1のポリマーA成分もしくは低屈折率の
第2のポリマーB成分のいずれかによる補強層5を形成
することにより、機械的な強度を大きくした構造を特徴
とする。そして補強層5の厚さは保護層4とほぼ同じで
あり、0.5ミクロン〜20ミクロンとすることができ
る。なお、その他の各構成要素の素材、寸法等は第1の
実施の形態の複合繊維と共通である。
【0071】この場合においても、保護層4の構造は図
1及び図2に示される単一保護層に限定されず、図5
(b)に示すように図3及び図4に示したものと同様に
2重保護層4,4′、あるいは多重保護層であってもか
まわない。
【0072】なお、図5に基づいて説明した第9及び第
10の実施の形態では四角形の断面形状の繊維について
説明したが、断面外形はこれに限らず、図1(b)及び
図3(b)に示した楕円状、図2及び図4に示した円形
状や同心円状であってもよい。またその他の多角形状、
星形状であってもよい。
【0073】次に、本発明の第11の実施の形態を図9
に基づいて説明する。この第11の実施の形態の光学機
能を有する複合繊維101は、図9(a)に示すよう
に、光学屈折率が小さい第1のポリマー102aと、第
1のポリマー102aよりも小さな屈折率を有する第2
のポリマー102bとを交互に積層することによって所
定の干渉反射波長を得るようにした干渉反射機能部とし
ての繊維芯材102と、この繊維芯材102の周囲を被
覆することによって光沢質感を繊維表面に付与すると同
時に、耐磨耗性などの力学的機能を付与する保護層10
3から主に構成されている。
【0074】なお、保護層103は、第1のポリマーあ
るいは第2のポリマーと同種のポリマー、あるいはこれ
らポリマーとは異なる第3のポリマーにより形成するこ
とができる。また、図9(b)に示すように、第1のポ
リマーからなる内層103aと第2のポリマー103b
からなる外層とによる2層構造や、第1のポリマーある
いは第2のポリマーと第3のポリマーとの2層構造、第
3及び第4のポリマーによる異種ポリマー同士の2層構
造、さらにはこれらのポリマーの任意の組み合わせによ
る3層以上の多層構造を採用することもでき、これによ
って繊維により複雑な質感を付与することができる。し
かし、あまりにも多層構造の採用は工程が煩雑となるば
かりであって、実用的ではない。
【0075】このような積層ポリマーとしては、通常の
紡糸工程を用いて作成できる物質であることが好まし
く、光干渉効果を得るためには、2種のポリマーの交互
積層内に光が入射する必要があることから、少なくとも
反射しようとする波長領域の光に対するある程度の方向
性を備えたものであることが必要となる。
【0076】このような条件を満たすポリマーの例とし
ては、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチ
レン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコ
ール、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンテレフ
タルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの単体樹
脂、あるいはこれらの共重合体樹脂などが挙げられる。
そして繊維構造体は、前述した実施の形態と同様、それ
自体公知の複合繊維の製造方法によって製造することが
できる。
【0077】このようなポリマー樹脂から選択され、図
9(a)に示したような積層構造を備えた繊維芯材10
2において、第1のポリマー102aの屈折率及び膜厚
をそれぞれna及びdaとし、第2のポリマー102b
の屈折率及び膜厚をそれぞれnb及びdbとすると、多
層薄膜で用いられる光の干渉式に基づいて、次式によっ
て定義されるλによって、反射スペクトルにおけるピー
ク波長が得られる。
【0078】λ=2(na・da+nb・db) したがって、例えばλが0.47ミクロン(470n
m)となるように、ポリマー102a及び102bの種
類と膜厚を設定することによって、青色の干渉反射光を
得ることができる。また、λが0.62ミクロン(62
0nm)となるように設定することによって、赤色の干
渉反射光が得られ、このような複合繊維101を服地な
どに織り込むことにより、青色あるいは赤色、あるいは
他の色に発色する独特の質感を与えることができる。な
お、このような色調は、染料によるものではなく、光の
干渉効果によって得られるものであるから、紫外線や洗
濯などによって色褪せすることがない。
【0079】また、太陽光の赤外スペクトルは、0.7
8ミクロン〜約5.0ミクロン程度までに連続的に存在
し、特に0.78ミクロン〜約2.0ミクロン程度まで
の近赤外領域に高いエネルギを有するため、λが0.7
8ミクロン〜5.0ミクロン程度の範囲、さらに望まし
くは0.78ミクロン〜2.0ミクロン程度の範囲とな
るように設定することにより、太陽光中の赤外線を干渉
反射させることができ、このような光学機能を有する複
合繊維101を用いた生地により縫製したシャツやブラ
ウス、サマースーツ、スポーツウェアや帽子などの衣料
品、あるいは日傘などは、太陽光から赤外線を効果的に
遮蔽し、あるいは遮断し、これらを身に付けることによ
って涼感を得ることができる。また、カーテン、ブライ
ンド用スラット、自動車用カバーなどにも適用すること
ができ、室内や車内の温度上昇を抑制することができ
る。
【0080】さらに、溶鉱炉、燃焼炉、又は各種ボイラ
ーなどの各種加熱体を取り扱う作業環境では、数100
度から1000度に近い熱源が多く作業現場に存在す
る。これらの熱源から発せられる赤外線は、太陽光に含
まれる赤外線の波長領域よりやや長い波長が主となる。
一般には、1.6ミクロン〜20.0ミクロンに至る範
囲の赤外線スペクトルを放射する。上記の複合繊維を用
いた生地によって作成した作業服や防御用カバーなど
は、熱源から発せられる赤外線を効率的に反射し、赤外
線遮蔽若しくは遮断効果を有し、物体や人体の温度上昇
を抑制する。また、こたつカバーやホットカーペット、
電気毛布などに用いることによって赤外線を有効に反射
させ、熱効率を向上させることも可能になる。
【0081】さらに、λを0.004ミクロン〜0.4
0ミクロン程度の紫外スペクトル領域に設定することに
より、目や肌に有害な紫外線を同様に遮蔽、遮断するこ
とができるようになる。
【0082】本発明の複合繊維においては、図10に示
す第12の実施の形態のように、1つの保護層103の
内部に、干渉反射波長の異なる複数個の繊維芯材12
1、122及び123を並列させて設けることも可能で
ある。
【0083】すなわち、例えば第1の繊維芯材121に
おいては青色の干渉反射光を得るようにポリマー121
a及び121bの種類と膜厚とを設定すると共に、第2
の繊維芯材122では赤外線の反射波が得られるよう
に、第3の繊維芯材123では赤色の干渉反射光が得ら
れるようにポリマー122a、122bびポリマー12
3a、123bの種類と膜厚とを設定することにより、
可視光領域で青及び赤に発色すると同時に赤外線をカッ
トすることができる複合的な光学機能を備えた複合繊維
101を得ることができる。なお、ここでは干渉反射機
能を3個とした例を説明したが、2個あるいは4個以上
の繊維芯材を備えることも可能である。
【0084】また、干渉反射波長の異なる複数の繊維芯
材を繊維の長さ方向に沿って設け、繊維の長さ位置によ
って干渉反射波長を変化させることもでき、これによっ
て、上記と同様の複合的な光学機能を備えた複合繊維が
得られ、織り方との組み合わせによってさらに複雑な色
調や風合い、質感を得ることができる。
【0085】さらに、本発明にかかわる複合繊維におい
ては、連続した長い繊維として利用するばかりではな
く、適当な長さに切断することによって、例えばスパン
系の織物に適用したり、さらに短いチップ状に切断する
ことによって壁紙や障子紙に漉き込んだりすることもで
き、当該繊維を種々の製品に応用することが可能にな
る。
【0086】なお、上記の各種ポリマーの屈折率は、一
般に1.3〜1.8の範囲であるから、2種のポリマー
の屈折率比na/nbは、1.01〜1.4の範囲の値
に限定されることになる(na/nbが1.01未満の
場合には、2種のポリマーの屈折率が実質的に等しいこ
とになり、干渉反射機能を受けることができなくな
る)。
【0087】図11は、顕微分光光度計(モデルU−6
000:日立製作所製)を用い、標準色調サンプルCh
roma6000のうち、目視によってかろうじて薄暗
い青と認識できる限界的な色調サンプル(彩度C=2、
色相H=5B、明度V=5.0)の反射スペクトルを入
射角度0°、受光角度0°で測定した結果を示すもので
あって、ここで相対反射率100%は、白色板の拡散反
射の場合に対応している。
【0088】図11において、白色板の場合の拡散反射
率とピーク反射率の差をΔ1とし、拡散反射率とバック
グラウンドの差をΔ2とすると、ピーク反射率とバック
グラウンドとの相対反射率差|Δ1−Δ2|が10%を
示し、特定の色調を視認するには、ピーク波長とバック
グラウンドとの間の相対反射率が|Δ1−Δ2|が少な
くとも10%程度必要であることを示している。なお、
この測定結果は、標準色調サンプルChroma600
0によるものであるが、光学機能複合繊維の場合と類似
していることが確認されている。また、同一色相、同一
明度の場合、彩度Cが大きくなるとこの相対反射率差|
Δ1−Δ2|も次第に大きくなることが分かっている。
【0089】一方、図9(a)において、複合繊維10
1の長さ方向をz軸にとり、このz軸に対して垂直な断
面において、ポリマー各層と平行な方向x軸とするとと
もに、これに垂直な積層方向をy軸とし、所定の干渉反
射波長を得る光学的厚みに合致するx軸方向の長さはd
x、y軸方向の長さはdy、すなわち各層の平行状態が
適正に保持され、所定の干渉反射波長を得ることができ
る有効積層領域のx軸方向及びy軸方向の寸法を定義す
るとき、複合繊維101における相対反射率は、上記し
た光学的厚みに合致するx軸方向の長さdxが大きくな
るほど、積層数が増すほど、また2種のポリマーの屈折
率比na/nbが高くなるほど大きくなる。
【0090】すなわち、図12〜図14は、両ポリマー
の屈折率の比na/nbがそれぞれ1.01、1.0
7、1.4の場合のx軸方向長さdxと積層数と、相対
反射率の関係を示すものである(ただし、図14におい
ては積層数4層の場合のみ)。
【0091】これらの図から、x軸方向長さdxが2ミ
クロン〜5ミクロンの範囲で、ピーク波長のバックグラ
ウンドとの相対反射率差|Δ1−Δ2|が10%以上と
なる範囲を考えると、両ポリマーの屈折率比na/nb
が下限値1.01の場合には、図12からdx=2ミク
ロン、積層数61層のときに10%となり、干渉反射に
よる色調が視認できることになる。
【0092】したがって、ピーク波長をλ=0.62ミ
クロン(赤)に設定した場合には、1層の厚さがおよそ
0.1ミクロンであるから、総積層数厚、すなわちdy
=0.1ミクロン×61=6ミクロン、dx/dy=2
ミクロン/6ミクロン=0.3となる。また、ピーク波
長をλ=0.47ミクロン(青)に設定した場合には、
1層の長さが約0.075ミクロンであるから、総積層
厚、すなわちdy=0.075ミクロン×61=4.6
ミクロンとなり、dx/dy=2ミクロン/4.6ミク
ロン=0.4となる。
【0093】また、両ポリマーの屈折率比na/nbが
上限値1.4の場合には、図14からdx=5ミクロ
ン、積層数4層のときに10%となり、干渉反射による
色調が視認できることになる。そして、同様の計算か
ら、ピーク波長がλ=0.62ミクロン(赤)の場合に
は、dy=0.4ミクロン、dx/dy=5ミクロン/
0.4ミクロン=12.5、ピーク波長がλ=0.47
ミクロン(青)の場合には、dy=0.32ミクロンと
なり、dx/dy=5ミクロン/0.32ミクロン=1
5.6となる。
【0094】上記の屈折率比1.01と1.4の場合か
ら、dx/dyの下限と上限が求められる。x軸方向長
さdxが2ミクロン〜5ミクロンの範囲で、かつ積層数
が4〜61層の範囲という前提においては、所定の干渉
反射波長を得ることができる有効積層領域のx軸方向及
びy軸方向の寸法の比dx/dyが0.3〜16の範囲
であるとき、干渉反射による発色が目視可能となるが、
積層数については、120層程度まで増やすことが工業
的に可能であることから、干渉反射による発色を視認す
るためには、dx/dy比を0.1〜16の範囲とする
ことが望ましいことになる。
【0095】図15は、屈折率比na/nbが1.0
1、x軸方向長さdx=2ミクロン、積層数61層の場
合のスペクトル図を示すものであって、図11に示した
青色と認識できる限界的な色調サンプルの場合と比べ
て、図11においてはピーク波長近傍はややブロードし
ているものの、両者は比較的似た形状を示している。
【0096】図16は、ポリアミド(屈折率nb=1.
53)とポリエチレンナフタレート(屈折率na=1.
63)とを61層に交互積層した繊維(屈折率比na/
nb=1.07)における、光学厚み比na・da/n
b・dbに対する反射率とクラッド厚(保護層の厚さ)
との関係を示し、図17は、上記複合繊維からなる布地
に100g/平方センチの負荷を加えた場合の保護層の
剥離度(%)との関係を示すものである。
【0097】図17において、クラッド厚が0.3ミク
ロン未満となると急激に剥離率が増加しており、一方、
図16からクラッド厚=0.3ミクロン〜20ミクロン
の配置は、光学厚み比na・da/nb・dbが1近傍で
あるから反射率はほぼ同じ値となることが分かるので、
可視域で光吸収がなければ、反射率はあまり変化しな
い。したがってクラッド厚を0.3ミクロン〜20ミク
ロンの範囲とすることが光学機能に悪影響を及ぼすこと
なく、機械的強度を上げることができることから望まし
い。
【0098】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0099】(実施例1〜5、比較例1)高屈折率ポリ
マーとして、ネオペンチルグリコールを12.5モル%
共重合したポリエチレンテレフタレート(PET)、
[η]=0.70のものを用い、低屈折率ポリマーとし
てのポリメチルメタクリレート(PMMA)として三菱
レーヨン社製のアクリペットMF(230℃下でのメル
トフローレート=14)を用いて複合紡糸を行い、図1
(a)に示す繊維芯材3の外周を保護層4で覆った芯鞘
型複合繊維の製糸を行い、1500m/分で巻き取っ
た。この時、PET/PMMAの積層総数は20層にし
た。また保護層4のない繊維芯材3だけの繊維も同じ方
法で作成した(比較例1)。続いて、この原糸を用いて
ローラ型延伸機で1.5倍に延伸し、12フィラメント
の延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面について電子顕微
鏡写真を撮り、その中央及び長軸b方向において端より
長軸の長さbの1/8の点におけるPET層1、PMM
A層2の厚み、保護層4の厚みを測定し、その平均値を
求めた。
【0100】得られた結果は次の表1に示すものであ
り、保護層4を2ミクロン以上に調節した場合、光干渉
効果と共に耐摩耗性にも優れてくることが分かった。
【0101】
【表1】 (実施例6〜9、比較例2,3)高屈折率ポリマーとし
てのポリカーボネート(PC)として帝人化成(株)製
パンライトAD−5503を用い、低屈折率ポリマーと
してのポリメチルメタクリレート(PMMA)として三
菱レーヨン社製のアクリペットMF(230℃下でのフ
ローレート=14)を用い、複合紡糸を行い、図1
(a)に示す繊維芯材3の外周を保護層4で覆った芯鞘
型複合繊維の製糸を行い、1500m/分で巻き取っ
た。この時、PC/PMMAの積層総数は20層にし
た。また、保護層4のない繊維芯材3だけの繊維も同じ
方法で作成した(比較例2,3)。続いて、この原糸を
用いてローラ型延伸機で1.8倍に延伸し、12フィラ
メントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面について電
子顕微鏡写真を撮り、その中央及び長軸b方向において
端より長軸の長さbの1/8の点におけるPC層1、P
MMA層2の厚み、保護層4の厚みを測定し、その平均
値を求めた。
【0102】得られた結果は、次の表2に示すものであ
り、保護層4を2ミクロン以上に調節した場合、光干渉
効果と共に耐摩耗性にも優れていることが分かった。
【0103】
【表2】 (実施例10,11、比較例4)高屈折率ポリマーとし
てポリエチレンテレフタレートを用い、低屈折率ポリマ
ーとしてポリメチルメタクリレートを用いて実施例1及
び実施例6とほぼ同様、図1に示す構造の複合繊維を作
製し(実施例10)、また繊維芯材3内に保護層4とほ
ぼ同じ厚みの補強層5を設けた図5(a)に示す構造の
複合繊維を作製し(実施例11)、さらに保護層4のな
い繊維芯材3だけの繊維も作製し(比較例4)、それら
の引張強度を計測してみた。結果は図6のa,b,cに
示すとおりであり、保護層4を形成することによって引
張強度が大きく向上し、さらに補強層5を形成すること
によっていっそう大きな引張強度が得られることが分か
った。
【0104】(実施例12〜16)高屈折率ポリマーと
してポリエチレンテレフタレートを用い、低屈折率ポリ
マーとしてポリメチルメタクリレートを用いて実施例1
及び実施例6とほぼ同様、図1(a)に示す構造の複合
繊維を作製した。そしてこの場合、繊維芯材3は共通の
構造にしてポリエチレンテレフタレートの保護層4の厚
みを1ミクロン(実施例12)、2ミクロン(実施例1
3)、4ミクロン(実施例14)、6ミクロン(実施例
15)、8ミクロン(実施例16)と変化させ、それぞ
れの複合繊維の引張強度を測定した。その結果は図7に
示すものであり、保護層4を備えていない比較例4(図
6のa参照)に比較して引張強度が大きく、保護層4が
1ミクロン以上になれば引張強度が1.0g/dを超え
て実用的な強度を示し、また保護層4の厚みを増加させ
るにしたがって引張強度が増大することを示した。
【0105】(実施例17、比較例5)高屈折率ポリマ
ーとしてポリエチレンテレフタレートを用い、低屈折率
ポリマーとしてポリメチルメタクリレートを用いて実施
例13と同様の複合繊維(保護層4は2ミクロン)を作
製し(実施例17)、また比較例4と同じ保護層のない
繊維芯材3だけの繊維も作製し(比較例5)、それらの
光反射特性について測定した。
【0106】光反射特性の測定は図8に示すように、反
射主波長470mmにおいて比較例5の主波長反射率が
30%〜90%と変動した時に、それぞれ実施例17の
主波長反射率がどのように変動するかを測定した。図8
の結果から明らかなように、保護層を有しない比較例の
複合繊維に対して、保護層4を有する実施例の複合繊維
の場合、主波長反射率がいずれのレンジでも優れている
ことが明らかになった。
【0107】(実施例18〜21、比較例6)高屈折率
ポリマーとしてスルホイソフタル酸ナトリウムを1.5
モル%共重合した極限粘度0.58のポリエチレンナフ
タレート(PEN)を用い、低屈折率ポリマーとして極
限粘度1.3のナイロン6(Ny−6)を用いて複合紡
糸を行い、図1(a)に示したように繊維芯材3の外周
を保護層4で覆った芯鞘型複合繊維の製糸を行い、15
00m/分で巻き取った。このとき、共重合ポリエチレ
ンナフタレート/ナイロン6の積層総数は20層にし
た。また、保護層4のない繊維芯材3だけの繊維も同じ
方法で作成した(比較例6)。続いて、この原糸を用い
てローラー型延伸機で1.9倍に延伸し、12フィラメ
ントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面について電子
顕微鏡写真を撮り、その中央及び長軸b方向において、
端より長軸の長さbの1/8の点における共重合ポリエ
チレンナフタレート層1、ナイロン6層2の厚み、保護
層4の厚みを測定し、その平均値を求めた。
【0108】得られた結果は表3に示すものであり、保
護層4を2ミクロン以上に調節した場合、光干渉効果と
共に耐摩耗性にも優れていることが分かった。
【0109】
【表3】 (実施例22〜24、比較例7)第1のポリマーとし
て、共重合ポリエチレンテレフタレート(共重合PE
T)を、第2のポリマーとしてナイロン6を選択した。
ここで、通常のポリエチレンテレフタレートではなく、
共重合PETを用いたのは、ナイロン6との相溶性を上
げるため、すなわち、ナイロン6との剥離などを防ぐた
めに用い、以下の方法により準備した。
【0110】ジメチルテレフタレート1.0モル、エチ
レングリコール2.5モル、5−スルホイソフタール酸
のナトリウム塩の量を変更して添加し、さらにエステル
交換触媒として酢酸カルシウム0.0008モル、酢酸
マンガン0.0002モルを用い、これらを反応槽に投
入し攪拌しながら、常法によって150℃から230℃
に徐々に加熱してエステル交換を行った。
【0111】所定量のメタノールを系外に抜き出した
後、重合触媒として三酸化アンチモン0.0012モル
を投入して、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレ
ングリコールを抜きながら、加熱槽を285℃、真空度
1Torr以下に到達させた。この条件を維持して粘度の上
昇を待ち、攪拌機にかかるトルクが所定の値に達した時
点で反応を終了し、水に押し出して共重合ポリエチレン
テレフタレートのペレットを得た。このとき得られた共
重合PETの極限粘度は0.47〜0.64の範囲であ
った。なお、第2のポリマーである上述したナイロン6
は極限粘度=1.3である。
【0112】上記のような2種類のポリマーペレットを
用いて、すなわち、共重合ポリエチレンテレフタレート
(PET)/ナイロン6(Ny)=6/1(重量)で複
合紡糸を行い、積層数30ピッチ(61層)、図1
(a)に示したように繊維芯材3の外周を保護層4で覆
った芯鞘型複合繊維の製糸を行い、1000m/min
で製糸を行った。また、保護層4のない繊維芯材3だけ
の繊維も同様に作成した(比較例7)。
【0113】これらのフィラメント糸を用いてローラ型
延伸機で3.0倍に延伸し、いずれも100デニール/
11フィラメントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面
について電子顕微鏡写真を撮り、その中央点及び長軸方
向において端より長軸長さの1/8の点における共重合
PET層、ナイロン6層の厚みを測定し、その平均値を
求めた。
【0114】得られた結果は下の表4に示すものであ
り、保護層を0.3ミクロン以上、特に2ミクロン以上
に形成した場合、光干渉効果と共に耐摩耗性にも優れて
いることが分かった。
【0115】
【表4】 (実施例25、比較例8)第1のポリマーとしてポリエ
チレンナフタレートを、第2のポリマーとしてナイロン
6を選択した。ここで、ナイロン6との相溶性を上げる
ため、すなわち、ナイロン6との剥離などを防ぐため、
相溶化剤としてアルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウ
ムをポリエチレンテレフタレートにブレンドしてポリエ
チレンテレフタレート(PET)のペレットを得た。第
2のポリマーであるナイロン6は実施例22〜24で用
いたものと同じである。
【0116】上記のような2種類のポリマーペレットを
用いて、すなわち、アルキルベンゼンスルフォン酸ナト
リウムをブレンドしたポリエチレンテレフタレート(P
ET)/ナイロン6(Ny)=6/1(重量)で複合紡
糸を行い、積層数30ピッチ(61層)、図1(a)に
示したような扁平断面の複合繊維になるように1000
m/minで製糸を行った。また、保護層4のない繊維
芯材3だけの繊維も同様に作成した(比較例8)。
【0117】これらのフィラメント糸を用いてローラ型
延伸機で3.0倍に延伸し、100デニール/11フィ
ラメントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面について
電子顕微鏡写真を撮り、その中央点及び長軸方向におい
て端より長軸長さの1/8の点におけるPET層、ナイ
ロン6層の厚みを測定し、その平均値を求めた。
【0118】得られた結果は表4に示すものとほぼ同様
であり、保護層を0.3ミクロン以上、特に2ミクロン
以上に形成した場合、光干渉効果と共に耐摩耗性にも優
れていることが分かった。
【0119】(実施例26)第1のポリマー102aと
してポリエチレンナフタレート(PEN:屈折率na=
1.63)、第2のポリマー102bとしてポリアミド
(屈折率nb=1.53)を選択し(したがって、屈折
率比na/nb=1.07)、交互積層数61層の紡糸
口金を用い、紡糸温度274℃、巻取速度1,200m
/minで複合溶融紡糸を行い、上記第1のポリマー1
02a及び第2のポリマー102bが交互に30ピッチ
積層された未延伸糸を用いた。その後、ローラ型延伸機
により温度140℃、巻取速度300m/minで熱延
伸処理を行い、第1のポリマー102a(PEN)の膜
厚da=0.072ミクロン、第2のポリマー102b
(ポリアミド)の膜厚db=0.077ミクロン(干渉
反射光のピーク波長λ=0.470ミクロン)、所定の
干渉反射波長を得る光学的厚みに合致するx軸方向の長
さdxが5ミクロン、y軸方向長さdyが4.5ミクロ
ン(したがって、dx/dy=1.1)の干渉反射機能
部としての繊維芯材102を備え、その周囲をポリエチ
レンナフタレートからなる厚さ5ミクロンの保護層10
3により被覆した複合繊維101を製造した。
【0120】なお、保護層103は、ポリアミドにより
形成しても、ポリアミドとポリエチレンナフタレートか
らなる複層構造としてもよく、複層構造の場合には、外
側保護層と内側保護層との層厚比を例えば3:2とす
る。
【0121】このようにして得られた複合繊維101の
発色状況を観察すると共にその反射スペクトルを顕微分
光光度計を用いて、入射角度0°、受光角度0°で測定
した。その結果、複合繊維101は透明感のある青色に
発色することが目視によって確認されると共に、反射ス
ペクトルにおいては、0.47ミクロンの近傍に、図1
3の計算結果より得られた相対反射率とよく一致する相
対反射率を80%のピーク波長を有することが確認され
た。
【0122】(実施例27)第1のポリマーとして、共
重合ポリエチレンテレフタレート(PET:屈折率na
=1.58)を、第2のポリマーとしてナイロン6(屈
折率nb=1.53)を選択した。ここで、通常のポリ
エチレンテレフタレートではなく、共重合PETを用い
たのは、ナイロン6との相溶性を上げるため、すなわ
ち、ナイロン6との剥離などを防ぐために用い、以下の
方法により準備した。
【0123】ジメチルテレフタレート1.0モル、エチ
レングリコール2.5モル、5−スルホイソフタール酸
のナトリウム塩の量を変更して添加し、さらにエステル
交換触媒として酢酸カルシウム0.0008モル及び酢
酸マンガン0.0002モルを用い、これらを反応槽に
投入し攪拌しながら、常法によって150℃から230
℃に徐々に加熱してエステル交換を行った。
【0124】所定量のメタノールを系外に抜き出した
後、重合触媒として三酸化アンチモン0.0012モル
を投入して、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレ
ングリコールを抜きながら、加熱槽を285℃、真空度
1Torr以下に到達させた。この条件を維持して粘度の上
昇を待ち、攪拌機にかかるトルクが所定の値に達した時
点で反応を終了し、水に押し出して共重合PETのペレ
ットを得た。このとき得られたPETの極限粘度は0.
47〜0.64の範囲であった。なお、第2のポリマー
である上述したナイロン6は極限粘度=1.3のものを
用いた。
【0125】上記のような2種類のポリマーペレットを
用いて、すなわち、共重合ポリエチレンテレフタレート
(PET)/ナイロン6(Ny)=6/1(重量)で複
合紡糸を行い、積層数30ピッチ(61層)、図9
(a)に示したように繊維芯材102の外周を保護層1
03で覆った芯鞘型複合繊維の製糸を行い、1000m
/minで製糸を行った。
【0126】これらのフィラメント糸を用いてローラ型
延伸機で3.0倍に延伸し、いずれも100デニール/
11フィラメントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面
について電子顕微鏡写真を撮り、ナイロン6の層厚db
及び共重合ポリエチレンテレフタレートの層厚daを実
測したところ、db=0.090ミクロン、da=0.
087ミクロン、また所定の光学厚みに合致するx軸方
向の長さdxが5ミクロン、y軸方向の長さdyが5.
4ミクロン(したがって、dx/dy=0.9)の繊維
芯材102を備え、その周囲を共重合ポリエチレンテレ
フタレートよりなる厚さ5ミクロンの保護層103によ
り被覆した複合繊維101を製造した。
【0127】このようにして得られた複合繊維101に
ついては、実施例26と同様、発色状況と反射スペクト
ルを調べたところ、透明感のある緑色を示し、波長0.
55ミクロン付近に相対反射率60%のピーク波長を有
することが確認された。
【0128】(実施例28)第1のポリマー102aと
してポリエチレンテレフタレートを、第2のポリマー1
02bとしてナイロン6を選択した。ここで、ナイロン
6との相溶性を上げるため、すなわち、ナイロン6との
剥離などを防ぐため、相溶化剤としてアルキルベンゼン
スルフォン酸ナトリウムをポリエチレンテレフタレート
にブレンドしてポリエチレンテレフタレート(PET)
のペレットを得た。なお、第2のポリマー102bとし
てのナイロン6は上述した実施例26のものと同じであ
る。
【0129】上記に示した2種類のポリマーペレットを
用い、すなわち、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリ
ウムをブレンドしたポリエチレンテレフタレート(PE
T)/ナイロン6(Ny)=6/1(重量)で複合紡糸
を行い、実施例26、27と同様、積層数30ピッチ
(61層)、図9(a)に示す扁平断面繊維になるよう
1000m/minで製糸を行った。
【0130】これらのフィラメント糸を用いてローラ型
延伸機で3.0倍に延伸し、100デニール/11フィ
ラメントの延伸糸を得た。ここで扁平糸の断面について
電子顕微鏡写真を撮り、ナイロン6の層厚db及び共重
合ポリエチレンテレフタレートの層厚daを実測したと
ころ、db=0.077ミクロン、da=0.074ミ
クロン、また所定の光学厚みに合致するx軸方向の長さ
dxが5ミクロン、y軸方向の長さdyが4.6ミクロ
ン(したがって、dx/dy=1.1)の繊維芯材10
2を備え、その周囲の共重合ポリエチレンテレフタレー
トよりなる厚さ5ミクロンの保護層103により被覆し
た複合繊維101を製造した。
【0131】このようにして得られた複合繊維101に
ついて、実施例26と同様、発色状況と反射スペクトル
を調べたところ、透明感のある青色を示し、波長0.4
7ミクロン付近に相対反射率65%のピーク波長を有す
ることが確認された。
【0132】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
2種類の異なる光学特性を有するポリマーの交互積層構
造の繊維芯材に対して保護層を被覆した構造としたの
で、非染色発色性を維持しつつ、耐摩耗性、引張強度を
向上させることができる。
【0133】請求項2の発明によれば、断面扁平構造に
して、その短軸方向に2種類の異なるポリマーの交互積
層を形成したので、入射光に対する受光面積を広くする
ことによって光学干渉効果を高めることができる。
【0134】請求項3の発明によれば、繊維芯材が光学
的に高屈折率のポリマーと光学的に低屈折率のポリマー
との交互積層構造にして、これらの2種類のポリマーを
5層以上に積層し、かつ各層の厚みを0.02ミクロン
〜0.3ミクロンの範囲にしたので、光学干渉効果を高
いものにすることができる。
【0135】請求項4の発明によれば、保護層に繊維芯
材に用いた2種類のポリマーのうち高屈折率成分のもの
を用いたので、保護層表面で反射する光の量が多くな
り、繊維芯材内から反射してくる光の量とバランスして
干渉する量が多くなり、非染色発色効果を高めることが
できる。
【0136】請求項5の発明によれば、保護層を2ミク
ロン〜10ミクロンの範囲にしたので、光の反射・干渉
効果を損なうことなく、繊維の耐久性を向上させること
ができる。
【0137】請求項6の発明によれば、保護層を1デニ
ール換算あたり5%以上としたので、光の反射・干渉効
果を損なうことなく、繊維の耐久性を向上させることが
できる。
【0138】請求項7の発明によれば、繊維芯材中にそ
れに用いた2種類のポリマーのいずれかを成分とする補
強層を形成したので、コストを上げることなく繊維の耐
久性をいっそう向上させることができる。
【0139】請求項8の発明によれば、補強層を1デニ
ール換算あたり5%以上としたので、十分な耐久性を発
揮することができる。
【0140】請求項9〜16の発明によれば、特に光の
反射・干渉効果に富み、かつ繊維の耐久性に優れた複合
繊維が得られる。
【0141】請求項17の発明によれば、光学屈折率の
異なる2種類のポリマーを長さ方向に対し垂直な方向に
交互に積層してなる繊維芯材に対して、その周囲を同種
又は異種のポリマーからなる保護層により被覆したの
で、繊維芯材のポリマーの屈折率と膜厚の選択によって
干渉反射波長を任意に設定することにより、所望の色調
に干渉発色させたり、また紫外線や赤外線を遮断したり
することができ、また保護層によって繊維表面の光沢質
感を与えると共に繊維の強度を高めることができる。
【0142】請求項18の発明によれば、請求項17の
複合繊維において、2種類のポリマーのうちの光学屈折
率の小さい方の第2のポリマーの屈折率nbに対する光
学屈折率の大きい方の第1のポリマーの屈折率naの比
na/nbが1.01〜1.4の範囲にあるとともに、
長さ方向に垂直な断面における前記2種類のポリマーの
積層方向をy軸、前記ポリマーの各層に平行な方向をx
軸にとり、所定の干渉反射波長を得る光学的厚みに合致
するx軸方向の長さをdx、y軸方向の長さをdyとす
るとき、発色機能発現における該積層断面構造におい
て、その一部が上記因子の比、つまり、dx/dyが
0.1〜16の範囲を有するようにしたので、可視光領
域における干渉発色が可能である。
【0143】請求項19の発明によれば、請求項17又
は18の複合繊維において、断面を見て、干渉反射波長
が異なる複数の繊維芯材を備えたので、複合的な色合い
を得たり、干渉発色と同時に紫外線や赤外線を遮断した
りする複合的な光学機能が発現できる。
【0144】請求項20の発明によれば、請求項17〜
19の複合繊維において、長さ方向に、干渉反射波長が
異なる複数の繊維芯材を備えたので、請求項19と同様
の効果に加えて、織り方によってさらに複雑な風合いや
質感が発現できる。
【0145】請求項21の発明によれば、請求項17〜
20の複合繊維において、繊維芯材の周囲を被覆する保
護層の厚さが0.3〜20ミクロンの範囲にしたので、
光学機能に悪影響を与えることなく、十分な機械的強度
が得られる。
【0146】請求項22の発明によれば、請求項17〜
21の複合繊維において、所定長さに切断したので、適
当な長さに切断された繊維を紡いでスパン系の織物に使
用したり、チップ状繊維として壁紙やタイルなどに適用
することもできる。
【0147】請求項23〜27の発明によれば、光干渉
発色作用と耐摩耗性に富む繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態の断面構造
を示す説明図。
【図2】本発明の第3及び第4の実施の形態の断面構造
を示す説明図。
【図3】本発明の第5及び第6の実施の形態の断面構造
を示す説明図。
【図4】本発明の第7及び第8の実施の形態の断面構造
を示す説明図。
【図5】本発明の第9及び第10の実施の形態の断面構
造を示す説明図。
【図6】本発明の実施例の引張強度特性を比較例と対照
させた特性図。
【図7】本発明の実施例の保護層の厚みによる引張強度
の変化を示す特性図。
【図8】本発明の実施例の反射率特性を比較例の反射率
特性と対比した特性図。
【図9】本発明の第11及び第12の実施の形態の断面
構造を示す説明図。
【図10】本発明の第13の実施の形態の断面構造を示
す説明図。
【図11】青色と認識できる限界的な色調サンプルの反
射スペクトルを示すグラフ。
【図12】本発明の複合繊維において屈折率比が1.0
1のときの光学的厚みに合致するx軸方向の長さdxと
積層数と相対反射率の関係を示すグラフ。
【図13】本発明の複合繊維において屈折率比が1.0
7のときの光学的厚みに合致するx軸方向の長さdxと
積層数と相対反射率の関係を示すグラフ。
【図14】本発明の複合繊維において屈折率比が1.
4、積層数が4のときの光学的厚みに合致するx軸方向
の長さdxと相対反射率の関係を示すグラフ。
【図15】本発明の複合繊維において屈折率比が1.0
1、積層数が61、光学的厚みに合致するx軸方向の長
さdxが2ミクロンのときの反射スペクトルを示すグラ
フ。
【図16】本発明の複合繊維における光学厚みに対する
反射率とクラッド厚(保護層の厚さ)との関係を示すグ
ラフ。
【図17】本発明の複合繊維に一定負荷を加えた場合の
クラッド厚と繊維の剥離率の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 高屈折率層 2 低屈折率層 3 繊維芯材 4,4′ 保護層 5 補強層 101 複合繊維 102 繊維芯材 103 保護層 a 短軸 b 長軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 真理 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 黒田 俊正 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 清水 進 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 先原 明男 神奈川県伊勢原市鈴川26番地 田中貴金属 工業株式会社伊勢原工場内 (72)発明者 熊沢 金也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 高橋 秀和 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 田畑 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特
    性、紫外線の反射特性の少なくともいずれかの光学機能
    を有する2種類の異なるポリマーの交互積層断面構造の
    繊維芯材に対して、保護層で被覆した構造を特徴とする
    複合繊維。
  2. 【請求項2】 断面扁平構造にして、その短軸方向に前
    記2種類の異なるポリマーの交互積層が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合繊維。
  3. 【請求項3】 前記繊維芯材が光学的に高屈折率の第1
    のポリマーと光学的に低屈折率の第2のポリマーとの交
    互積層構造であり、これらの2種類のポリマーを5層以
    上に積層し、かつ各層の厚みを0.01ミクロン〜0.
    4ミクロンの範囲にしたことを特徴とする請求項1又は
    2に記載の複合繊維。
  4. 【請求項4】 前記保護層が前記2種類のポリマーのう
    ち、高屈折率成分の第1のポリマーであることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の複合繊維。
  5. 【請求項5】 前記保護層を0.5ミクロン〜20ミク
    ロンの範囲にしたことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の複合繊維。
  6. 【請求項6】 前記保護層を1デニール換算あたり5%
    以上としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の複合繊維。
  7. 【請求項7】 前記繊維芯材中に前記2種類のポリマー
    のいずれかを成分とする補強層を形成したことを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の複合繊維。
  8. 【請求項8】 前記補強層が1デニール換算あたり5%
    以上であることを特徴とする請求項7に記載の複合繊
    維。
  9. 【請求項9】 前記繊維芯材の前記光学的に高屈折率の
    第1のポリマーとして共重合ポリエチレンテレフタレー
    ト、前記光学的に低屈折率の第2のポリマーとしてポリ
    メチルメタクリレートを用いたことを特徴とする請求項
    1〜請求項8のいずれかに記載の複合繊維。
  10. 【請求項10】 前記繊維芯材の前記光学的に高屈折率
    の第1のポリマーとしてポリカーボネート、前記光学的
    に低屈折率の第2のポリマーとしてポリメチルメタクリ
    レートを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項8の
    いずれかに記載の複合繊維。
  11. 【請求項11】 前記繊維芯材の前記光学的に高屈折率
    の第1のポリマーとして共重合ポリエチレンナフタレー
    ト、前記光学的に低屈折率の第2のポリマーとしてナイ
    ロン6を用いたことを特徴とする請求項1〜請求項8の
    いずれかに記載の複合繊維。
  12. 【請求項12】 前記第1のポリマーがポリエチレンテ
    レフタレートを主成分とし、前記第2のポリマーがポリ
    アミドを主成分とし、前記繊維芯材における両ポリマー
    の相溶性を高めるため、両方又は片方のポリマーに相溶
    化剤をブレンド又は共重合したことを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の複合繊維。
  13. 【請求項13】 前記相溶化剤が、アルキルベンゼンス
    ルフォン酸金属塩、ポリアミド等で構成された複合繊維
    形成材料であることを特徴とする請求項12に記載の複
    合繊維。
  14. 【請求項14】 前記第1のポリマーの主成分であるポ
    リエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分
    が、フタル酸又はイソフタル酸であり、該配位の一部が
    カチオン剤により配位機能を付与された複合繊維形成材
    料であることを特徴とする請求項12又は13に記載の
    複合繊維。
  15. 【請求項15】 前記カチオン剤がスルフォン酸金属塩
    で構成される複合繊維形成材料であることを特徴とする
    請求項14に記載の複合繊維。
  16. 【請求項16】 前記第1のポリマーの主成分であるポ
    リエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分
    が、スルフォイソフタル酸金属塩で構成される複合繊維
    形成材料であることを特徴とする請求項12又は13に
    記載の複合繊維。
  17. 【請求項17】 光学屈折率の異なる2種類のポリマー
    を長さ方向に対し垂直な方向に交互に積層してなる繊維
    芯材に対して、その周囲が同種又は異種のポリマーから
    なる保護層により被覆してあること特徴とする複合繊
    維。
  18. 【請求項18】 前記2種類のポリマーのうちの光学屈
    折率の小さい方の第2のポリマーの屈折率nbに対する
    光学屈折率の大きい方の第1のポリマーの屈折率naの
    比na/nbが1.01〜1.4の範囲にあるととも
    に、長さ方向に垂直な断面における前記2種類のポリマ
    ーの積層方向をy軸、前記ポリマーの各層に平行な方向
    をx軸にとり、所定の干渉反射波長を得る光学的厚みに
    合致するx軸方向の長さをdx、y軸方向の長さをdy
    とするとき、発色機能発現における該積層断面構造にお
    いて、その一部が上記因子の比、つまり、dx/dyが
    0.1〜16の範囲を有すること特徴とする請求項17
    に記載の複合繊維。
  19. 【請求項19】 断面を見て、干渉反射波長が異なる複
    数の繊維芯材を備えていることを特徴とする請求項17
    又は18に記載の複合繊維。
  20. 【請求項20】 長さ方向に、干渉反射波長が異なる複
    数の繊維芯材を備えていること特徴とする請求項17〜
    19のいずれかに記載の複合繊維。
  21. 【請求項21】 前記繊維芯材の周囲を被覆する保護層
    の厚さが0.3〜20ミクロンの範囲にあることを特徴
    とする請求項17〜20のいずれかに記載の複合繊維。
  22. 【請求項22】 所定長さに切断してあることを特徴と
    する請求項17〜21のいずれかに記載の複合繊維。
  23. 【請求項23】 前記第1のポリマーがポリエチレンテ
    レフタレートを主成分とし、前記第2のポリマーがポリ
    アミドを主成分とする繊維構造体によって前記繊維芯材
    を構成し、前記繊維芯材における両ポリマーの相溶性を
    高めるため、両方又は片方のポリマーに相溶化剤をブレ
    ンド又は共重合したことを特徴とする請求項17〜22
    のいずれかに記載の複合繊維。
  24. 【請求項24】 前記相溶化剤が、アルキルベンゼンス
    ルフォン酸金属塩、ポリアミド等で構成された複合繊維
    形成材料であることを特徴とする請求項23に記載の複
    合繊維。
  25. 【請求項25】 前記第1のポリマーの主成分であるポ
    リエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分
    が、フタル酸又はイソフタル酸であり、該配位の一部が
    カチオン剤により配位機能を付与された複合繊維形成材
    料であることを特徴とする請求項23又は24に記載の
    複合繊維。
  26. 【請求項26】 前記カチオン剤がスルフォン酸金属塩
    で構成される複合繊維形成材料であることを特徴とする
    請求項25に記載の複合繊維。
  27. 【請求項27】 前記第1のポリマーの主成分であるポ
    リエチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分
    が、スルフォイソフタル酸金属塩で構成される複合繊維
    形成材料であることを特徴とする請求項23又は24に
    記載の複合繊維。
JP11949798A 1997-05-02 1998-04-28 複合繊維 Pending JPH11181630A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11949798A JPH11181630A (ja) 1997-05-02 1998-04-28 複合繊維

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-114786 1997-05-02
JP11478697 1997-05-02
JP28230597 1997-10-15
JP9-282305 1997-10-15
JP9-285780 1997-10-17
JP28578097 1997-10-17
JP11949798A JPH11181630A (ja) 1997-05-02 1998-04-28 複合繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11181630A true JPH11181630A (ja) 1999-07-06

Family

ID=27470203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11949798A Pending JPH11181630A (ja) 1997-05-02 1998-04-28 複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11181630A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100741754B1 (ko) 2006-09-13 2007-07-23 한국섬유개발연구원 구조발색성 모노필라멘트 및 이들로 구성된 멀티필라멘트
KR100756983B1 (ko) 2006-09-13 2007-09-11 한국섬유개발연구원 구조발색성 모노필라멘트 및 이들로 구성된 멀티필라멘트
JP2007319431A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Sri Sports Ltd ゴルフボールのマーク形成用インキ組成物、ゴルフボール、および、ゴルフボールの製造方法
WO2018092746A1 (ja) * 2016-11-15 2018-05-24 東レ株式会社 光沢繊維
WO2022131312A1 (ja) 2020-12-18 2022-06-23 東レ株式会社 複合繊維およびマルチフィラメント

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007319431A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Sri Sports Ltd ゴルフボールのマーク形成用インキ組成物、ゴルフボール、および、ゴルフボールの製造方法
KR100741754B1 (ko) 2006-09-13 2007-07-23 한국섬유개발연구원 구조발색성 모노필라멘트 및 이들로 구성된 멀티필라멘트
KR100756983B1 (ko) 2006-09-13 2007-09-11 한국섬유개발연구원 구조발색성 모노필라멘트 및 이들로 구성된 멀티필라멘트
WO2018092746A1 (ja) * 2016-11-15 2018-05-24 東レ株式会社 光沢繊維
JPWO2018092746A1 (ja) * 2016-11-15 2019-10-17 東レ株式会社 光沢繊維
US11255027B2 (en) 2016-11-15 2022-02-22 Toray Industries, Inc. Glossy fiber
WO2022131312A1 (ja) 2020-12-18 2022-06-23 東レ株式会社 複合繊維およびマルチフィラメント
KR20230119647A (ko) 2020-12-18 2023-08-16 도레이 카부시키가이샤 복합 섬유 및 멀티필라멘트

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3356438B2 (ja) 光学干渉機能を有する繊維およびその利用
KR100312148B1 (ko) 광학적기능을갖는섬유
KR100324459B1 (ko) 섬유 구조물 및 그를 사용한 텍스타일
JPH0734324A (ja) 反射、干渉作用を有する発色構造体
US6335094B1 (en) Fiber structure, cloths using same, and textile goods
KR102246475B1 (ko) 광택섬유
JP2000170028A (ja) 光学機能構造体および織編物
JPH11181630A (ja) 複合繊維
JP6679921B2 (ja) 多層積層繊維
JP2006233388A (ja) カーテン
JP2006200061A (ja) 異形断面糸及び芯鞘型異形断面糸
JP7364423B2 (ja) 織物およびインテリア用品
JPH11181629A (ja) 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品
JP3182275B2 (ja) 異色効果を呈する複合繊維
JP3268906B2 (ja) 発色性良好な極細繊維布帛
JPH11124747A (ja) 光学干渉機能を有する複合糸
JPH111828A (ja) 光学干渉機能を有する複合繊維
JPH111829A (ja) 光学干渉機能を有する複合繊維
JPH111826A (ja) 光学干渉機能を有する複合繊維
JPH111827A (ja) 光学干渉機能を有する複合繊維
JPH11124733A (ja) 光学干渉機能の改善されたフィラメントヤーン
JP2021011662A (ja) 光遮蔽繊維
JPH11124773A (ja) 改善された光学干渉機能を有する繊維構造物の製造方法
JPH11124760A (ja) 異光輝性不織布
JPH11124765A (ja) 光学干渉機能を有する刺繍布帛