JP6679921B2 - 多層積層繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、高い光反射と干渉により優れた審美性等を有しながらも、耐摩耗性等の力学特性や織編物とした際の風合いといった実用的特性も良好な多層積層繊維に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどからなる合成繊維は優れた力学特性や寸法安定性を有しているため、衣料用途から非衣料用途まで幅広く利用されている。しかし、人々の生活が多様化し、より良い生活を求めるようになった昨今では、衣料をはじめとする多くの用途で、従来の合成繊維にはない高度な感性・機能を有する繊維が求められている。繊維の織り成す感性や機能には様々なものが存在し、その中のひとつに、いわゆる審美性を備えた繊維が衣料用途を中心に展開されている。
審美性を有した合成繊維の代表例として、絹の心地よい光沢感を得るために繊維断面を通常の丸断面ではなく、三角形などとした異形断面繊維の活用が知られている。このような天然繊維が織り成す審美性を模倣する取り組みは盛んに行われているが、最近では玉虫やモルフォ蝶の発色メカニズムを模倣した精密断面繊維に関する技術提案がなされている。
このモルフォ蝶に代表される微細構造が織り成す発色現象は、多層薄膜干渉理論として知られており、この現象を繊維断面に応用した例として、特許文献1の提案がある。特許文献1では屈折率の異なる2種類のポリマーを積み重ねるように交互多層積層構造とし、その積層数と層厚みを精密に制御することで、可視光線領域の任意の色を発色させることを可能にしている。また、特許文献1に記載される原理を応用し、紫外線や赤外線を遮断することを試みた例としては、特許文献2の提案がある。
しかし、特許文献1及び特許文献2の多層積層繊維は、組成や特性が大きく異なる異種ポリマーを交互積層させた構造になっている。このため、積層界面で界面エネルギー差に起因した層間剥離が起こりやすく、剥離した箇所が欠陥となり、光学機能が十分に発揮できなくなる場合がある。そしてなにより、該層間剥離は繊維の力学特性低下や耐摩耗性の悪化を招きやすく、非常に制約ある製品になる場合が多い。
この対策として、耐摩耗性を担う保護層を積層構造の外層に配置し、剥離や力学特性を維持する取り組みが特許文献3に提案されている。
確かに、特許文献3においては、最外層に保護層を配置することで、特許文献1や特許文献2と比べて耐磨耗性等の力学特性の向上は期待される。しかし、特許文献3においても、そもそもの異種ポリマーを多層に積層した点では、特許文献1等と変わりはなく、強い荷重がかかる用途等では、やはり層間剥離が起こる場合がある。
また、繊維最外に配置した保護層の厚みは2μm以上と非常に分厚いものである。このため、保護層による減衰等を考慮し、過剰に積層数を増大させる必要があり、層厚みが極小化し、部分的な層の断裂やせん断方向の負荷に弱いなどの課題が残る。
更に、内部の過剰な多層積層構造に加え、最外には分厚い保護層を有しているため、おのずと繊維径は大きくなり、織編物とした場合には、柔軟性に欠けるものになる場合が多く、衣料用途への展開が非常に困難であった。また、特許文献3では、基本的に多層積層構造が板状の層を積層した形となっているため、この効果を発揮させるためには繊維全体の形態も扁平状かそれに類似した断面形態として、多層積層構造の向きを揃える必要があった。
このため、優れた審美性を有しつつも、使用上の制約がなく、織編物とした場合の風合いや力学特性が良好になる多層積層繊維が望まれていた。
特開平7−34324号公報(特許請求の範囲) 特開平7−195603号公報(特許請求の範囲) 特開平11−181630号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高い光反射や干渉による審美性を備えながらも、織編物とした際の風合いや耐磨耗等の力学特性に優れる多層積層繊維を提供するものである。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。すなわち、
(1)2種以上のポリマーが交互に積層された多層断面構造を有しており、最外層2μmにおいて、積層数が少なくとも3以上であり、繊維中心から繊維外層に向かって積層された層の厚みが徐々に厚くなる傾斜積層構造を有することを特徴とする多層積層繊維、
(2)同心円状に積層された多層構造が交互に10層以上積層されており、かつ単糸繊度3dtex以下であることを特徴とする(1)に記載の多層積層繊維、
(3)1層の厚みが0.6μm以下であり、交互に積層されたポリマーの屈折率が異なることを特徴とする(1)または(2)に記載の多層積層繊維、
(4)紫外から赤外領域のいずれかに反射波長領域を有した積層された多層構造を有する請求項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多層積層繊維、
(5)多層積層構造を構成するポリマーがいずれもポリエステルを主成分とすることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多層積層繊維、
(6)多層積層構造を構成する少なくとも1種類のポリマーがスピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち1種類以上の成分を共重合したポリエステルであることを特徴とする請求項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多層積層繊維、
である。
本発明は、高い光反射や干渉による審美性を備えながらも、織編物とした際の風合いや耐磨耗等の力学特性に優れる多層積層繊維を提供するものである。
本発明の参考例としての同心円状積層繊維の横断面構造の概略図である。 本発明の参考例としての同心楕円状積層繊維の横断面構造の概略図である。 本発明の同心円状傾斜積層繊維の横断面構造の概略図である。 本発明の参考例としての同心円状積層芯鞘繊維の横断面構造の概略図である。 従来の扁平板状交互積層繊維の横断面構造の概略図である。 本発明の多層積層繊維の製造方法を説明するための横断面図である。
以下、本発明について望ましい実施形態と共に詳述する。
本発明の多層積層繊維を、本発明の参考例として示す図1、図2および図4に示した繊維外層から中心にかけて同心円状に交互積層構造部を有する多層積層繊維を例にしこれらを引用参照して説明する。
本発明の多層積層繊維は、繊維横断面において少なくとも3層以上が交互に積層された多層積層構造を形成している必要がある。ここで言う多層積層構造とは、繊維を構成する2種以上のポリマーにおいて、あるポリマーが層状構造を形成しており、他方のポリマーが形成する層と交互に積層された構造であることを意味する。
本発明の第一の要件は、多層積層繊維の最外層2μmにおいて、積層数が少なくとも3以上である必要がある。
ここで言う最外層とは、繊維断面に2点以上で外接する真円(図1のD)上から、繊維断面の面積を2等分するような任意の2本の直線の交点である繊維中心(図1のC)を通る任意の直線(図1のE)をひき、この直線と繊維断面が交差する点(図1のF)から外接円の中心方向へ2μmまでの領域をその繊維の最外層とする。本発明の繊維は該最外層の領域において、層状のポリマーが交互に3層以上積層されている必要がある。
本発明の繊維は審美性を有することを目的としており、見た目にもっとも影響を与える最外層に光反射と干渉を担う積層構造が形成されていることが重要になる。この光反射と干渉においては、異なるポリマーが交互に積層された構造により、その効果を奏でるものであり、最外層のみでも十分な光反射と干渉を発現するには3層以上の積層である必要がある。この最外層の積層数は多いほど審美性という観点で好ましく、5層以上であることが好ましい。可視光領域においては、層厚みをより薄くするほど、波長選択性が発現し、反射や干渉の強度は積総数により強度が増加することが知られており、可視光域(0.3μm〜0.8μm)の制御という観点からすると層厚みが0.2μm以下であることが好適であり、10層以上の積層が最外層に存在することが特に好ましい。ただし、ここで言う積層厚みとは繊維断面に内接する真円(図2のI)と繊維断面の交点(図2のJ)から繊維中心(図2のC)に向かって引いた直線(図2のK)上に存在する各ポリマー成分の積層構造における1層の厚みのことをいう。
また、本発明の目的には耐摩耗性等に対する耐性が高いことも含まれている。生産安定性や口金設計等の難易度等を含めて考えると、本発明における最外層の積層数の実質的な上限値は30積層である。30積層以下であれば、実使用に十分な審美性と力学特性を有した多層積層繊維を安定して製造することが可能である。
本発明の多層積層繊維の断面に存在する交互積層構造は、同心円状(図1)、同心楕円状(図2)、その他同心三角状や同心Y形、同心星状などの同心異形状などあらゆる形態を採用することができる。特に同じ重心をもって繊維内層から外層に向けて年輪状に積層された多層積層構造(例えば、図1及び図2)は、原則的に単糸の周囲からいずれの位置からでもほぼ同様の反射と干渉の効果が得られる。すなわち、視野角依存性が低くなるため、衣料用などの縫製によって立体的な製品形態となる場合には、好ましいのである。また、該年輪状に積層された多層積層構造のうち、図1に示した同心円状(図1)や同心楕円状(図2)の多層積層構造においては、ストレート糸の場合、上記した視野角依存性の低い良好な審美性を得られる。一方で、仮撚りや嵩高加工等の繊維断面にひずみを加える、糸束の形態を変更するといった加工により、光反射や干渉がランダムに変化し、ストレート糸の場合とは異なる非常に複雑な光学特性を奏でるようになることを発見した。この場合、同じ品種の繊維により、高次加工の工夫(糸加工方法や染色等)によって見た目等が変化する加工糸を製造することが可能になることを意味している。また、他素材や高次加工を変えた本発明の繊維を混繊してなる加工糸の風合いや審美性は非常に幅広いものである。ファストファッションが一般常識となり、新規繊維製品の開発期間の短縮が進んでいる衣料用繊維として非常に優れた特徴である。このため、本発明の繊維においては、同心円状及び同楕円状の多層積層構造を有していることが好適であり、特に好ましい積層形態として挙げることができる。
本発明の多層積層繊維は、基本的に断面全体において2種のポリマーからなる層状構造が積層された構造にあり、これを構成する1層あたりの厚みは0.6μm以下であると可視光域からの制御が可能となるため好ましい。後述する観点から可視光域でより優れた発色性を奏でるようにするためには、層厚みが0.3μm以下とするのがより好ましい範囲としてあげることができる。また、断面の安定が確保でき、安定した製造を可能にするという観点から該層厚みは0.01μm以上に設計することが好適である。
本発明で言う積層数とは、繊維断面に内接する真円(図2のI)と繊維断面の交点(図2のJ)から繊維中心(図2のC)に向かって引いた直線(図2のK)上に存在する積層構造の総積層数をいう。
本発明の多層積層繊維は、以下の多層薄膜干渉理論に基づいて層厚みを制御することで紫外から赤外領域のいずれかに反射波長領域を有するような光反射・干渉性を有することができる。
4nd=(2m−1)・λ ・・・ 式(1)
n:2種のポリマーの平均屈折率
d:2種のポリマーの平均層厚み(nm)
m:任意の整数(1,2…)
λ:反射波長(nm)
目標の反射波長λに対して、上記の式(1)を満たすような積層厚みdとすることで光反射や干渉を制御できることが知られている。
上記式において、mが3より大きくなるような積層厚みdでは、多重干渉により可視光域で広範囲に渡る反射・干渉が起こる。mが1〜2となるような積層厚みdとすると、可視光域で狭波長域での光反射・干渉となり、単色発色となる。
本発明の多層積層繊維は目的用途に応じて、これらを構成するポリマーの屈折率を考慮し、上記原理に従い繊維断面の1層当たりの厚み及び積総数を制御すれば良い。例えば2種のポリマーの平均屈折率が1.6の時、交互積層構造での光反射・干渉性により特定の色への発色を狙うためには、可視光域でmが1〜2となる範囲、すなわち0.01μm≦d≦0.3μmとするのが好ましい。一方、特定の色に発色させずに真珠様や金属調の光沢感のみを出したい場合には、可視光域でmが3以上となる範囲、すなわち0.3μm≦dとするのが好ましい。
本発明の多層積層構造は、図1に例示するような均一の層厚みからなる均一積層構造ではなく、図3に例示するような、層厚みに傾斜をつけたような傾斜積層構造とすることが重要である。該傾斜積層構造とすると、屈折率の異なるポリマーの交互積層とした際に、得られる光反射・干渉の波長が特定の波長だけでなく広範囲の波長とすることができ、得られる発色性も金属調のものが得られる。該傾斜構造は、繊維中心から繊維外層に向かって、例えば、0.05〜1.0μmの範囲で徐々に厚くなる構造とすると多重干渉効果が得られて好適である。特に、後述する繊度範囲にて、積層数が比較的自由に設計できる層厚みは、0.3〜0.6μmの範囲であり、係る範囲であれば、本発明の繊維は、真珠様・金属調の見た目となる。
また、本発明の多層積層繊維は、図4(a)、(b)に例示する芯鞘構造として、鞘に屈折率差の異なる2種のポリマーを均一厚みまたは傾斜厚みで同心円状に交互積層することもできる。この場合、芯が中空部、または有彩色を有するような第3成分のポリマーとすると、上記した単色発色や真珠様・金属調光沢感の視認性を高めることができる。特に黒色のポリマーを芯とすると、黒色により積層構造で反射・干渉する光以外の迷光を吸収し、単色発色や真珠様・金属調光沢感の視認性をより高めることができるため、好ましい。
本発明の多層積層繊維の総積層数は10以上にすると、ポリマー組み合わせに大きな制約を設けることなく、本発明の目的を達成するための十分な光反射や干渉の効果を得ることができる。この総積層数は単純には光反射や干渉の効果に相関があり、より多いほうが好適となり、総積層数が20以上であることがより好ましい。本発明において、該総積層数は任意に設計することも可能であるが、本発明の目的である良好な風合いや耐磨耗などの力学特性を担保するという観点から、実質的な上限値は150である。
上記した本発明の繊維からなる織編物の風合いを良好にするという考えを推し進めると、本発明の繊維は単糸繊度が3dtex以下とすることが好ましく、特に2dtex以下とすることで肌に触れるインナーやシャツ、ブラウス等にはより好適な範囲となる。ここでいう単糸繊度dtexとは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した平均値から、10000m当たりの重量を算出し、フィラメント数で割った値を意味する。また、単糸繊度が0.1dtex未満になると、本発明の特徴である多層積層構造の形成が実質的に困難になるため、本発明の単糸繊度の下限値は0.1dtexである。
また、風合いや高次加工の自由度という観点から、本発明の多層積層繊維の異形度は2.0以下であることが好ましい。より好ましくは異形度1.5以下、特に好ましくは異形度1.1以下の同心円状であることである。ここでいう異形度とは、繊維断面の切断面に外接する真円の径(図2のHの長さ)を繊維径とし、さらに内接する真円の径(図2のKの長さ)を内接円径として、異形度=繊維径÷内接円径から得られる値をいう。異形度を2.0以下とすることで布帛とした際の風合い(柔軟性)も良好となるため、衣料用素材として好適なものとすることができる。さらに異形度1.1以下の同心円状とすることで、繊維外層から繊維中心を通って繊維軸方向に平行に見た際の断面は、繊維外層のどこから見てもほとんど均一となる。そのため、風合いの良さに加えて、前述したように視野角依存性の低い良好な審美性を有しつつ、高次加工が限定されないという利点が生まれる。
本発明の多層積層繊維においては、屈折率が異なる2種以上のポリマーの交互積層であることが好ましい。屈折率の異なるポリマーの交互積層構造を有することで、その層間での光の反射や反射した光の干渉を利用し、今までにない光沢感や発色性、紫外・赤外線反射といった高機能を有する多層積層繊維が得られるのである。この際、必要とする屈折率差としては0.05以上、好ましくは0.1以上である。屈折率差を0.1以上とすることでより高い光反射・干渉性が得ることが可能になり、得られる繊維の光沢感や発色性、機能性を高めることができる。
本発明の多層積層繊維において、光学制御の観点から交互積層するポリマーは屈折率の異なるものであることが好適である。本願発明の繊維を溶融紡糸にて製造する場合には、熱可塑性ポリマー同士であると加工性に優れるため、例えばポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリフェニレンサルファイド系などのポリマー群から選ぶと良い。
また、層間剥離の抑制と複合断面を良好とする観点から交互積層するポリマーは両方共ポリエステルであることが好ましい。特に高屈折率側のポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、低屈折率側のポリマーとしてはスピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち1種類以上の成分を共重合されたポリエステルであることが好ましい。このように低屈折率側のポリマーをポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートと同じポリエステルとすることによって、高い界面親和性を付与することができる。そのため交互積層構造としたときに、界面の親和性の高さにより層間剥離の抑制を有し、複合断面異常のない多層積層繊維が得られる。
さらに好ましくは低屈折率側のポリマーがスピログリコール及びシクロヘキサンジカルボン酸を共重合させたポリエチレンテレフタレートとすることである。こうすることで、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの屈折率差が0.1以上となり、高い光反射・干渉性が得られるばかりでなく、ガラス転移温度が近いことにより過延伸になりにくく、層間剥離のさらなる抑制と複合異常のない多層積層繊維を得ることが可能となる。
本発明の多層積層繊維は、その高い光反射と干渉により優れた審美性、耐摩耗性等の力学特性や織編物とした際の風合いを活かして、インナー・アウターなどの一般衣料用途、カーテン・クロスなどのインテリア用途など衣料・アパレル用途として幅広く用いることができる。
以下に本発明の多層積層繊維の製造方法の一例を詳述する。
本発明の多層積層繊維は、複合口金を用いて2種以上のポリマーからなる交互積層構造を有する複合繊維を製糸することにより製造可能である。ここで多層積層繊維を製糸する方法としては、溶融紡糸が生産性を高めるという観点から好適である。その際の紡糸温度については、2種以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度ポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点から融点+60℃の間で設定すると安定して製造することができる。
紡糸速度については、500〜6000m/分程度にするとよく、ポリマーの物性や多層積層繊維の使用目的によって変更可能である。特に、高い光反射・干渉効果が必要な場合には、500〜2000m/分とし、その後高倍率延伸することで、繊維の一軸配向を促進させ、ポリマー間の屈折率差を高めることができるため、好ましい。延伸に際しては、ポリマーのガラス転移温度など、軟化できる温度を目安として、予熱温度を適切に設定することが好ましい。予熱温度の上限としては、予熱過程で繊維の自発伸長により糸道乱れが発生しない温度とすることが好ましい。例えば、ガラス転移温度が70℃付近に存在するPETの場合には、通常この予熱温度は80〜95℃程度で設定される。
また、本発明の多層積層繊維における複合口金での単孔当たりにおける吐出量としては、0.1〜10g/分・孔程度にすると安定して製造することが可能となる。
また、本発明に使用されるポリマーの溶融粘度比は、2.0未満とすることで、安定的に複合ポリマー流を形成でき、良好な複合断面の多層積層繊維を得ることができる。
本発明の多層積層繊維に用いる複合口金としては特開2011−208313号公報に記載される複合口金を用いるのが好ましい。図6に示した複合口金は、上から計量プレート1、分配プレート2および吐出プレート3の大きく3種類の部材が積層された状態で紡糸パック内に組み込まれ、紡糸に供される。ちなみに図6は、AポリマーおよびBポリマーといった2種類のポリマーを用いた例であり、必要であれば、3種類以上のポリマーを用いて製糸しても良い。従来複合口金では、3種類以上のポリマーを複合化することは困難であり、やはり図6に例示したような微細流路を利用した複合口金を用いることが好ましい。
図6に例示した口金部材では、計量プレート1が各吐出孔および各分配孔当たりのポリマー量を計量して流入し、分配プレート2によって、単繊維の断面における複合断面およびその断面形状を制御、吐出プレート3によって、分配プレート2で形成された複合ポリマー流を圧縮して、吐出するという役割を担っている。
複合口金の説明が錯綜するのを避けるために、図示されていないが、計量プレート1より上に積層する部材に関しては、紡糸機および紡糸パックに合わせて、流路を形成した部材を用いれば良い。計量プレート1を、既存の流路部材に合わせて設計することで、既存の紡糸パックおよびその部材がそのまま活用することができる。このため、特に該口金のために紡糸機を専有化する必要はない。また、実際には流路−計量プレート間あるいは計量プレート1−分配プレート2間に複数枚の流路プレートを積層すると良い。
これは、口金断面方向および単繊維の断面方向に効率よく、ポリマーが移送される流路を設け、分配プレート2に導入される構成とすることが目的である。吐出プレート3より吐出された複合ポリマー流は、上述の製造方法に従い、冷却固化後、油剤を付与され、規定の周速になったローラーで引き取られる。その後、加熱ローラーで延伸され、所望の複合繊維となる。
以下実施例を挙げて、本発明の多層積層繊維を具体的に説明する。
実施例および比較例については下記の評価を行った。
A.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
B.ポリマーの屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
C.繊度
多層積層繊維の100mの重量を測定し、その値を100倍した値を算出した。この動作を10回繰り返し、その平均値を繊度(dtex)とした。また上記の繊度をフィラメント数で割った値を単糸繊度(dtex)とした。
D.異形度
多層積層繊維を繊維軸方向の任意の位置で切断し、その繊維断面をHITACHI製 走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、繊維断面の切断面に外接する真円の径(図2のHの長さ)を繊維径とし、さらに内接する真円の径(図2のKの長さ)を内接円径として、異形度=繊維径÷内接円径から得られる値をいう。この操作を10ヶ所において行い、得られた結果の平均値を異形度とした。
E.複合断面(積層数及び積層厚み)
吐出直後の多層積層繊維を繊維軸方向の任意の位置で切断し、その繊維断面をOLYMPUS製 光学顕微鏡にて倍率50倍で観察し、積層数と積層厚み(押し流し積層厚み)を測定した。ただし、ここでいう積層数と積層厚みとは繊維断面に内接する真円(図2のI)と繊維断面の交点(図2のJ)から繊維中心(図2のC)に向かって引いた直線(図2のK)上に存在する各ポリマー成分の積層構造における総積層数と1層の厚みのことをいう。また繊維断面の切断面に外接する真円の径を押し流し繊維径として測定した。これら2つの値と、前述のDで求めた繊維径を用いて多積層繊維の積層厚み=押し流し積層厚み×繊維径/押し流し繊維径の値を求めた。この操作を10ヶ所において行い、得られた結果の平均値を多積層繊維の積層厚みとした。
F.干渉効果(発色性、光沢度)
黒色板に多層積層繊維のマルチフィラメントを間隔を空けずに50本平行に並べた糸サンプルを作製した。得られた糸サンプルについて、一定光量の下、検査者(5人)の視認により、干渉効果による発色性を評価した。また上記のサンプルをSHIMADZU製 分光光度計 UV−3150を用い、糸サンプルの繊維軸方向に平行に入射角8°で光を入射し、鏡面反射を含んだ相対拡散反射測定(標準白板:BaSO)を行った。この測定により可視光域(380〜750nm)での反射率(%)の平均値を算出し、この値を光沢度(%)とした。発色性を有し、光沢度が高いほど、発色と光沢性を兼ね備えており、審美性が高いと評価した。
G.耐剥離性
多層積層繊維を織密度が180本/inchとなるように繊維の本数を調整し、平織地を作成した。得られた平織地について、フロスティング評価を強条件(湿潤状態、荷重:7.36N)または弱条件(乾状態、荷重:4.12N)で行った後、平織地を繊維軸方向と垂直に切断し、その繊維断面をHITACHI製 走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影して、得られた繊維断面写真の切断面に層間剥離が存在するかを観察した。この時、耐剥離性を次の基準に基づき3段階判定した。
優:強条件のフロスティング後でも層間剥離なし。
良:強条件のフロスティング後では層間剥離が存在するが、弱条件では層間剥離なし。
不可:弱条件のフロスティング後でも層間剥離が存在する。
H.風合い(柔軟性)
多層積層繊維を織密度が180本/inchとなるように繊維の本数を調整し、平織地を作成した。得られた平織地について、風合い(柔軟性)を検査者(5人)の触感により次の基準に基づき4段階判定した。
優:風合いが優れている。
良:風合いが良好。
可:衣料用途として使用可能なレベル。
不可:風合いが悪い。
参考実施例1]
積層成分1として、ポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度120Pa・s屈折率1.66)と、積層成分2としてスピログリコール21モル%及びシクロヘキサンジカルボン酸29モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(SPG−CHDC共重合PET 溶融粘度75Pa・s屈折率1.53)を285℃で別々に溶融後、積層成分1/積層成分2の吐出比を50/50として、図6に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、図1に示すような同心円状均一積層繊維断面であって積層数が40層の複合形態となるように、吐出孔から流入ポリマーを吐出した。この際、積層成分1が最外層となり、積層成分1/積層成分2/積層成分1/…の交互積層となるように配置した。吐出された複合ポリマー流を、冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1300m/minで巻取り、154dtex−24フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.17μmであり、最外層2μmの積層数は12であった。また該多層積層繊維は紫色に発色しており、光沢感も強く、光沢度は75%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
[実施例2]
積層成分1として、ポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度120Pa・s 屈折率1.66)と、積層成分2としてスピログリコール21モル%及びシクロヘキサンジカルボン酸29モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(SPG−CHDC共重合PET 溶融粘度75Pa・s 屈折率1.53)を285℃で別々に溶融後、積層成分1/積層成分2の吐出比を50/50として、図6に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、図3に示すような同心円状傾斜積層繊維断面であって積層数が20層の複合形態となるように、吐出孔から流入ポリマーを吐出した。この際、積層成分1が最外層となり、積層成分1/積層成分2/積層成分1/…の交互積層となるように配置した。また積層構造の傾斜は繊維外層/中心で傾斜比1.8となるようにした。吐出された複合ポリマー流を、冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1300m/minで巻取り、115dtex−15フィラメント(総吐出量15g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、36dtex−15フィラメント(単糸繊度2.4dtex)の延伸繊維を得た。得られた多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.3〜0.5μmで傾斜しており、最外層2μmの積層数は4であった。また該多層積層繊維は金属調を有しており、光沢度は65%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は良好な風合いを有していた。
参考実施例3]
積層成分1として、ポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度120Pa・s屈折率1.66)と、積層成分2としてスピログリコール21モル%及びシクロヘキサンジカルボン酸29モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(SPG−CHDC共重合PET 溶融粘度75Pa・s屈折率1.53)、積層成分3として黒色顔料(カーボンブラック)を1wt%含んだポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度110Pa・s屈折率1.66)を285℃で別々に溶融後、積層成分1/積層成分2/積層成分3の吐出比を40/40/20として、図6に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、図4(a)に示すような芯鞘同心円状均一積層繊維断面であって積層数が22層の複合形態となるように、吐出孔から流入ポリマーを吐出した。この時、芯部は積層成分3であり、鞘部は積層成分1が最外層となり、積層成分1/積層成分2/積層成分1/…の交互積層となるように配置した。吐出された複合ポリマー流を、冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1300m/minで巻取り、154dtex−24フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.17μmであり、最外層2μmの積層数は12であった。また該多層積層繊維は参考実施例1に比べて強い紫色に発色しており、光沢度は70%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
[比較例1]
図6に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに溶融ポリマーを流入させ、図1に示すような同心円状均一積層繊維断面であって積層数が5層の複合形態となるようにする以外は実施例2と同じポリマー、吐出比、吐出量、紡糸条件で紡糸し、多層積層繊維を製造した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、36dtex−15フィラメント(単糸繊度2.4dtex)の延伸繊維を得た。得られた多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に1.5μmであり、最外層2μmの積層数は2であった。得られた多層積層繊維は発色しておらず、光沢度は56%であった。
[比較例2]
積層成分1として、ポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度120Pa・s 屈折率1.66)と、積層成分2としてポリアミド−6(N6 溶融粘度100Pa・s 屈折率1.53)を280℃で別々に溶融後、図6に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、図5に示すような扁平板状交互積層繊維断面であって積層数が40層の複合形態となるように、吐出孔から流入ポリマーを吐出した。この際、積層成分1からなる保護部(図5のM)と、積層成分1/積層成分2/積層成分1/…の交互積層構造部(図5のA及びB)となるように配置し、積層成分1/積層成分2の吐出比を80/20(交互積層構造部での積層成分1/積層成分2の比は50/50)とした。また吐出孔を縦横比1:10のスリット孔として、吐出された複合ポリマー流を、冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1300m/minで巻取り、異型度4の192dtex−12フィラメント(総吐出量25g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、60dtex−12フィラメント(単糸繊度5.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.07μmであり、最外層2μmの積層数は1であった。該多層積層繊維は紫色に発色しており、光沢感も強く光沢度は85%であったが、弱条件のフロスティング後でも層間の剥離が見られ、耐剥離性は不可であった。該多層積層繊維を用いた布帛の触感が硬く、風合いも不可であった。
参考実施例4]
未延伸糸を38dtex−24フィラメント(総吐出量5g/min)とする以外は参考実施例1と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、12dtex−24フィラメント(単糸繊度0.5dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.09μmであり、最外層2μmの積層数は23であった。また該多層積層繊維は黄色に発色しており、光沢感も強く、光沢度は74%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
参考実施例5]
未延伸糸を230dtex−24フィラメント(総吐出量30g/min)とする以外は参考実施例1と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、72dtex−24フィラメント(単糸繊度3.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.20μmであり、最外層2μmの積層数は10であった。また該多層積層繊維は青色に発色しており、光沢感も強く、光沢度は75%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は良好な風合いを有していた。
参考実施例6]
参考実施例1の複合口金において、吐出孔を縦横比1:5のスリット孔とする以外は実施例1と同じポリマー、吐出比、吐出量、紡糸条件で紡糸し、多層積層繊維を製造した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、異型度2.0の48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.12μmであり、最外層2μmの積層数は9〜17であった。また該多層積層繊維は赤色に発色しており、さらに扁平形とすることで丸形よりも光沢感が増加し、光沢度は80%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は良好な風合いを有していた。
参考実施例7]
未延伸糸を230dtex−24フィラメント(総吐出量30g/min)とする以外は参考実施例5と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、72dtex−24フィラメント(単糸繊度3.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.14μmであり、最外層2μmの積層数は8〜15であった。また該多層積層繊維は赤色に発色しており、さらに扁平形とすることで丸形よりも光沢感が増加し、光沢度は80%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛の風合いは衣料用途として使用可能なレベルであった。
参考実施例8]
積層成分2として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDM共重合PET 溶融粘度100Pa・s屈折率1.58)とし、285℃で溶融する以外は参考実施例1と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、吐出量、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.17μmであり、最外層2μmの積層数は12であった。また該多層積層繊維は紫色に発色しており、光沢感も強く、光沢度は65%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
参考実施例9]
積層成分2をポリアミド−6(N6 溶融粘度100Pa・s屈折率1.53)とし、280℃で溶融する以外は参考実施例1と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、吐出量、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.18μmであり、最外層2μmの積層数は12であった。また該多層積層繊維は紫色に発色しており、光沢感も強く、光沢度は75%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後では層間剥離が見られたものの、弱条件では層間剥離が見られなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
参考実施例10]
積層成分2をポリブチレンテレフタレート(PBT 溶融粘度100Pa・s屈折率1.64)とし、280℃で溶融する以外は参考実施例1と同じ複合口金、ポリマー、吐出比、吐出量、紡糸条件で紡糸し、巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.2倍延伸を行い、48dtex−24フィラメント(単糸繊度2.0dtex)の延伸繊維を得た。得られた該多層積層繊維の各積層成分の層厚みは共に0.17μmであり、最外層2μmの積層数は12であった。また該多層積層繊維は薄紫色に発色しており、光沢度は58%であった。耐剥離性については、強条件のフロスティング後でも層間の剥離は見受けられなかった。また該多層積層繊維を用いた布帛は優れた風合いを有していた。
本発明の多層積層繊維は、その高い光反射と干渉により優れた審美性、耐摩耗性等の力学特性や織編物とした際の風合いを活かして、インナー・アウターなどの一般衣料用途、カーテン・クロスなどのインテリア用途など衣料・アパレル用途として幅広く用いることができる。
A ポリマー層
B ポリマー層
C 繊維断面の面積を2等分するような任意の2本の直線の交点(繊維中心)
D 繊維断面に2点以上で外接する真円(外接円)
E 外接円から繊維中心へ引いた任意の直線
F 外接円から繊維中心へ引いた任意の直線と繊維断面が交差する点
G 繊維断面とその外接円の任意の交点
H 繊維断面とその外接円の任意の交点から繊維中心へ引いた直線
I 繊維断面に2点以上で内接する真円(内接円)
J 繊維断面とその内接円の任意の交点
K 繊維断面とその内接円の任意の交点から繊維中心へ引いた直線
L 中空部または第三成分のポリマ−
M 保護部
1 計量プレート
2 分配プレート
3 吐出プレート

Claims (6)

  1. 2種以上のポリマーが交互に積層された多層断面構造を有しており、最外層2μmにおいて、積層数が少なくとも3以上であり、繊維中心から繊維外層に向かって積層された層の厚みが徐々に厚くなる傾斜積層構造を有することを特徴とする多層積層繊維。
  2. 同心円状に積層された多層構造が交互に10層以上積層されており、かつ単糸繊度3dtex以下であることを特徴とする請求項1に記載の多層積層繊維。
  3. 1層の厚みが0.6μm以下であり、交互に積層されたポリマーの屈折率が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の多層積層繊維。
  4. 紫外から赤外領域のいずれかに反射波長領域を有した積層された多層構造を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層積層繊維。
  5. 多層積層構造を構成するポリマーがいずれもポリエステルを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層積層繊維。
  6. 多層積層構造を構成する少なくとも1種類のポリマーがスピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち1種類以上の成分を共重合したポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層積層繊維。
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