JP3158830B2 - 近紫外線と近赤外線の一方あるいは両方を反射する構造体 - Google Patents

近紫外線と近赤外線の一方あるいは両方を反射する構造体

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JP3158830B2 JP35460793A JP35460793A JP3158830B2 JP 3158830 B2 JP3158830 B2 JP 3158830B2 JP 35460793 A JP35460793 A JP 35460793A JP 35460793 A JP35460793 A JP 35460793A JP 3158830 B2 JP3158830 B2 JP 3158830B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,織物や塗装等に利用
される繊維やチップ(小片)を形成する近紫外線と近赤
外線の一方あるいは両方を反射する構造体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】まず,この発明に係わる技術的な背景に
ついて説明する。一般に知られているように,地表に到
達する太陽光線はその波長域によって,紫外線(波長2
90〜400nm),可視光線(波長400〜780n
m),赤外線(波長780nm以上)の3領域に分けら
れる。これを放射エネルギー全体からみると,赤外線が
42%,可視光線が52%,残りの6%が紫外線であ
る。特に,赤外線は波長が長いため吸収され易い。その
ため,熱的影響が大きく,これを遮蔽することが要求さ
れている。例えば,繊維等においては,夏場の厚さを避
け,清涼感のある衣服が望まれている。また,車の塗装
や建材等においては,外装の温度上昇を抑制,あるいは
低減化することが望まれている。
【0003】一方,紫外線については,UV−A波(波
長320〜400nm),UV−B波(波長290〜3
20nm)と呼ばれる近紫外線は地表に到達するエネル
ギーーの高々6%程度であるが,人体においては過度の
日焼けや,シミ,ソバカス等の原因となる可能性が高い
とされている。また,各種塗装物や建材等においても大
きなエネルギーを有する近紫外線は構成材料の劣化を促
進させてしまう。
【0004】このように,自然光の下で生活を営む上に
おいて,近紫外線および近赤外線の影響を少なくするこ
とは極めて重要なことである。このため,従来において
も下記の如く,赤外線や紫外線を遮蔽するため関連する
技術が様々な形で提案されている。
【0005】まず,赤外線対策として,第1に,特開平
1−314716号公報や特開平3−213536号公
報に開示されており,これは,鉄やコバルト,ニッケル
等の酸化物を熱吸収材として含有させるもので,主に熱
線遮蔽ガラスの分野で検討されている。また,第2に,
光学屈折率の高い酸化物,例えば,チタン,クロム等の
酸化物,あるいは酸化インジウムスズ(ITO)等の化
合物半導体,さらには,金やニッケル等の金属薄膜の単
層,あるいは多層薄膜による干渉作用を利用するものと
して,特開昭60−27624号公報,特開平3−14
535号公報,特開平3−70202号公報に開示され
ているものがある。
【0006】また,紫外線対策として,第1に,サルチ
ル酸系やベンゾトリアゾール系,シアノアクリノール系
等の紫外線吸収材を化粧品や繊維中に含浸させるものと
して,特開昭49−75824号公報,特開平4−20
8102号公報に開示されているものがある。また,第
2に,物理的に紫外線を散乱させる無機散乱剤,例え
ば,酸化亜鉛や二酸化チタン等の金属酸化物や炭酸カル
シウム,タルク等を含有させるものとして,特開平2−
84517号公報,特開平4−297411号公報に開
示されているものがある。
【0007】さらに,より高い紫外線遮蔽効果を得るた
めに種々の試みがなされており,例えば,特開平4−3
23218号公報に開示されているように,ベンゾトリ
アゾール系の紫外線吸収剤と酸化亜鉛および酸化チタン
からなる散乱剤を併用することにより,優れた紫外線遮
蔽効果を発するポリエステル繊維が提案されている。
【0008】また,赤外線と紫外線の両方を遮蔽しよう
とする提案はほとんどなく,上記の如く開示されている
赤外線遮蔽方法と紫外線遮蔽方法とを組み合わせる程度
のものがあるだけである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記に
示されるような従来の技術にあっては,以下のような問
題点があった。すなわち,赤外線と紫外線の両方を遮蔽
しよとする組み合わせ技術にあっては,実用上におい
て,吸収剤を高分子樹脂中に含有させた場合,相溶性が
悪く,繊維やチップ等を製造する上で,口金付近でトラ
ブルを生じやすい問題点,また,赤外線吸収剤を含有・
分散させた場合,熱安定性に優れた高分子樹脂を用いな
ければならない問題点,さらに,これらの吸収剤は可視
光線領域へ影響を及ぼし,着色してしまう等の問題点が
あった。
【0010】また,上記紫外線に対する第1の方法にあ
っては,紫外線吸収剤は優れた吸収性を有しているが,
その融点が高いために,熱可塑性樹脂へ溶融混練する場
合において,熱安定性,耐昇華性,相溶性等の要求され
る特性項目において十分ではなかった。特に,ポリエチ
エンやポリプロピレン等の高分子材料においては,紫外
線吸収剤との相溶性が格段に劣るため使用できないとい
う問題点があった。
【0011】さらに,例えば,繊維の代表的な材料であ
るポリエチレンテレフタレート(PET)を考えると,
その最大吸収波長(最大劣化波長を意味する)は325
nmであり,この波長より短波長域に吸収能を有する紫
外線吸収剤を用いると,当然の如く,PET自身が先に
劣化することになる。このように,紫外線吸収剤は用い
る高分子材料との組み合わせを十分考慮しなければなら
ず,適用上において限界があった。
【0012】一方,上記紫外線に対する第2の方法の無
機散乱剤を用いた場合にあっては,ある程度紫外線を遮
蔽することができるが,可視光線もそれに応じてカット
されるという不具合が生じる。また,紡糸工程上の安定
性の面からも,粒子形状および含有量に制限を設ける必
要があり,また,耐候性の面でも十分ではないという問
題点があった。
【0013】この発明は、上記に鑑みてなされたもので
あって、容易に紡糸することができると共に、近紫外線
を反射し、かつ(あるいは)、近赤外線による温度上昇
を軽減することの可能な繊維やチップ(繊維の短い
片)の構造体を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る赤外線を反射する構造体は、光学
屈折率n、厚さdある第1の物質と、光学屈折率
、厚さdある第2の物質とを、 0.6μm≦2(n+n)≦1.6μm ただし、1.0≦n≦1.8 1.3≦n≦1.8 1.25≦n/n≦1.8 の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
とし、それを繊維状に成形したものである。
【0015】また、請求項2に係る赤外線を反射する
構造体は、前記第1の物質と前記第2の物質が、透過性
を有する高分子物質より構成されている。
【0016】また、請求項3に係る赤外線を反射する
構造体は、前記第1の物質と前記第2の物質のうち、一
方が空気層、他方が透過性を有する高分子物質より構成
されている。
【0017】また、請求項4に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は、光学屈折率n、厚さdある
1の物質と、光学屈折率n、厚さdある第2の
物質とを、 0.63μm≦2(n+n)≦0.78μm ただし、 1.3≦n 1.28≦n/n≦1.4 0.055μm≦n 0.055μm≦n 0.055μm≦|n−λ/4| の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
とし、それを繊維状に成形したものである。
【0018】また,請求項5に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は,前記交互積層構造における層数N
は4以上である。
【0019】また,請求項6に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は,前記第1の物質と前記第2の物質
が,透過性を有する高分子物質より構成されているもの
である。
【0020】また、請求項7に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は、光学屈折率n、厚さdある
1の物質と、光学屈折率n、厚さdある第2の
物質とを設け、前記第1の物質と第2の物質のうち一方
を空気層とし、 0.6μm≦2(n+n)≦0.81μm ただし、1.3≦n/n≦1.80 0.025μm≦n 0.025μm≦n 0.025μm≦|n−λ/4| の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
とし、それを繊維状に成形したものである。
【0021】また,請求項8に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は,前記交互積層構造における層数N
は2以上である。
【0022】また,請求項9に係る近紫外線と近赤外線
を反射する構造体は,前記第1の物質と前記第2の物質
のうち,一方が空気層,他方が透過性を有する高分子物
質より構成される。
【0023】また、請求項10に係る近紫外線を反射す
る構造体は、光学屈折率n、厚さdある第1の物
質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質と
を、 0.29μm≦2(n+n)≦0.42μm ただし、1.3≦n 1.15≦n/n≦1.4 0.025μm≦n 0.025μm≦n の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
とし、それを繊維状に成形したものである。
【0024】また,請求項11に係る近紫外線を反射す
る構造体は,前記第1の物質と前記第2の物質が,透過
性を有する高分子物質より構成される。
【0025】また,請求項12に係る近紫外線を反射す
る構造体は,前記交互積層構造における層数Nは2以上
である。
【0026】また、請求項13に係る近紫外線を反射す
る構造体は、光学屈折率n、厚さdある第1の物
質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質とを
設け、前記第1の物質と第2の物質のうち一方を空気層
とし、 0.26μm≦2(n+n)≦0.45μm ただし、1.3≦n/n≦1.8 0.015μm≦n 0.015μm≦n の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
とし、それを繊維状に成形したものである。
【0027】また,請求項14に係る近紫外線を反射す
る構造体は,前記第1の物質と前記第2の物質のうち,
一方が空気層,他方が透過性を有する高分子物質より構
成される。
【0028】
【作用】この発明に係る近紫外線と近赤外線の一方ある
いは両方を反射する構造体は,前記第1の物質と前記第
2の物質の光学厚みの和で定義されるλ1 の下限値と上
限値を上記各関係式により規定し,この規定を満足する
ように,前記第1の物質と前記第2の物質を選択して,
光学屈折率の異なる2つの物質を交互積層構造とするこ
とにより近紫外線と近赤外線の一方,あるいは両方を反
射させるように,所望する反射率を得るものである。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕以下,この発明に係る近紫外線と近赤外線
の一方あるいは両方を反射する構造体の一実施例を添付
図面に基づいて説明する。この実施例1では,第1,第
2,第3の発明について説明する。図1(a)〜
(e),および,図2(f)〜(h)は,第1の発明に
係る構造体の8つの例の断面図であり,前者は空気層を
除く2種類の物質層を用いた構造体,後者は2種類の物
質層の一方を空気層とした場合の構造体である。具体的
には,以下に説明する2種類の物質層の交互積層(物質
層101および物質層102)から成る層状構造を有す
るものである。
【0030】上記2種類の物質とは,光学屈折率nの異
なる高分子樹脂,特に,熱可塑性樹脂であり,しかも,
ある程度の透過性をもっている。ここでどの程度の透過
性を必要とするかは一義的に決定することはできない
が,交互積層構造内に光を入射させるために,可視域で
50〜60%,できれば70%以上の値であることが好
ましい。
【0031】このような高分子樹脂としては,例えば,
ポリエステル,ポリアクリロニトリル,ポリスチレン,
ナイロン,ポリプロピレン,ポリビニルアルコール,ポ
リカーボネート,ポリメタクリル酸メチル,ポリエーテ
ルエーテルケトン,ポリパラフェニレンテレフタルアミ
ド,ポリフェニレンサルファイド等が挙げられ,これら
の高分子樹脂群の中から目的,用途に応じて光学屈折率
の異なる2種類の樹脂を選択する。
【0032】なお,上記材料は,あくまでも例示であ
り,これらにより,この発明の構成物質が限定されるも
のではない。ところで,紫外線の遮蔽効果を向上させる
ために,高分子樹脂中に紫外線を吸収したり,散乱させ
たりする物質を含有することも可能であるが,高分子樹
脂との相溶性が低下し,紡糸上困難になるので好ましく
ない。
【0033】なお,ここで「層状」とは,構造体断面の
縦(y)方向に2種類の物質層がある程度の厚さ
(da ,db )で交互に,かつ,規則的に積層されてお
り,しかも,横(x)方向に,ある程度の長さを有する
ものをいう。したがって,この発明の構造体への光の入
射は,横(x)方向に対して垂直入射することである。
【0034】ところで,入射光に対し,物質層101
(光学屈折率na )および物質層102(光学屈折率n
b )の積層の方法は2通りある。すなわち,一つは入射
光側から物質層101/物質層102/物質層101/
・・と積層する場合,もう一つは物質層102/物質層
101/物質層102/・・と積層する場合である。い
ずれの積層でも構わないが,望ましくは低屈折率の物質
層が入射光に対して表層となる積層順が好ましい。例え
ば,na>nbの場合は,前者の積層順が好ましい。
【0035】次に,構造体の断面の横(x)方向にはそ
の物質層が連続状であっても不連続状であっても構わな
いが,製造上および効果の観点からは図1における
(d),(e)に示すような連続状であることが好まし
い。また,物質層が横(x)方向に不連続である場合,
当然のことながら,その長さは波長(λμm)以上でな
ければならない。
【0036】なお,近赤外線反射をより大きくするため
には,後述する通り,図2における(f),(g),
(h)のように物質内に空隙(空気)層を設けた構造で
あることが望ましい。また,構造体の断面形状および大
きさは特にこだわらないが,その構造体がより紫外線を
遮蔽させるためには,入射光が垂直入射となりやすい偏
平状の断面形状であることが望ましい。例えば,図1に
おける(c),(d)に示すような形状である。
【0037】さて,この発明における所期の目的を達成
するために,発明者等の研究成果によれば,上記のよう
な構造体において,物質層の光学屈折率をna ,その厚
さをda ,他方の物質層の光学屈折率をnb ,その厚さ
をdb とした場合,これらの物質層の間には,下記式
(1)に示す関係が必要であることがわかった。すなわ
ち 0.61μm≦2(na a +nb b )≦1.45μm ・・(1) ただし,1.0≦na ≦1.8 1.3≦nb ≦1.8 1.25≦nb /na ≦1.8 である。
【0038】なお,上記におけるna a +nb
b は,両物質層の光学厚みの和を示すものであり,薄膜
干渉式より反射スペクトルにおける一次ピーク波長λ1
は次の関係式で与えられ,この発明においては,この一
次ピークを用いるものである。すなわち, λ1 =2(na a +nb b ) である。
【0039】したがって,上記λ1 とは,両物質層の光
学厚みの和の2倍を与えるものであり,また,1次ピー
ク波長に対応するものである。以下,この定義を踏ま
え,単にλ1 と記載することにする。
【0040】ここで,上記(1)式が成立しなければな
らない理由を図3を用いて説明する。図3は,λ1 と近
赤外線の平均反射率<R>IRとの関係を両物質層の屈折
率比(nb /na )をパラメータとして示すグラフであ
る。λ1 の下限である0.61μm,および上限である
1.45μmは,それぞれ平均反射率<R>IRが30%
以上を達成する値に起因している。
【0041】この近赤外線の平均反射率<R>IRとは,
地表での太陽光(波長0.7〜1.8μm)の放射エネ
ルギーで重みを付けた値を意味するもので,30%の遮
蔽は,約2°Cの温度上昇を抑える効果に相当する。こ
の温度低下は,真夏等にあっては人体にとっては大きな
清涼感を与えるものであり,少なくとも30%以上遮蔽
できれば効果的であることに準拠している。
【0042】なお,上記(1)式において,光学厚みの
和を下限側,例えば,0.65μmに設定すると可視域
に入り,やや赤みを帯びた色相となる。また,当然なが
ら,この(1)式において,一方の物質層の厚さが零の
ときは,この発明でいう2種類の物質の交互積層構造と
はならない。
【0043】次に,一方の物質の光学屈折率が1.0≦
a ≦1.8である理由は,空気層を含めた高分子樹脂
の光学屈折率が一般に1.0〜1.8レベルであること
に起因している。なお,上記高分子樹脂中に無機物のフ
ィラーや顔料,例えば,酸化チタン(n=2.8),酸
化クロム(n=2.5)等の酸化物,硫化カドミウム
(n=2.4)等の硫化物を含有,分散させることによ
り高分子樹脂を高屈折率化(n=1.8以上)させるこ
とも可能であるが,この場合,透明性を損ねたり,含有
物の吸収が生じたりする。さらには,繊維やチップを作
製する上での紡糸性や成型性を損ねるといった問題も発
生するため好ましくない。
【0044】さらに,1.3≦nb ≦1.8なる関係
は,もう一方の物質層の光学屈折率nb の範囲を規定す
るもので,高分子樹脂の光学屈折率が一般に1.3〜
1.8レベルであることに起因する。なお,種々の物質
を含有させて高分子樹脂を高屈折率すべきではないこと
は前述の理由と同様である。
【0045】また,1.25≦nb /na ≦1.8は,
2種類の物質層の光学屈折率比(nb /na )の関係を
示すもので,図3からも明らかなように近赤外線の平均
反射率<R>IRが30%以上となりうる際の下限と上限
を表すものである。この光学屈折率比(nb /na )が
1.25では極めて狭い範囲のλ1 でしか30%以上と
ならないが,光学屈折率比(nb /na )が1.6以上
では広範なλ1 で30%以上となる。また,50%以
上,さらには70%程度も可能となる。
【0046】また,2種類の交互積層の層数Nについて
は特に限定はしないが,図3にも示した10層程度が望
ましい。なお,1層では所望の近赤外線領域において高
反射率を得ることは不可能であることはいうまでもな
い。
【0047】上記第1の発明に加え,近紫外線と近赤外
線の両者を反射可能としたのが,第2の発明および第3
の発明であり,薄膜干渉における1次ピークと2次ピー
クの両者を用いようとするものである。すなわち,近紫
外線(波長290〜400nm)反射用に2次ピーク
を,一方,近赤外線(波長780〜1400nm)反射
用に1次ピークを適用させたものである。
【0048】次に,第2の発明は,2種類の物質の交互
積層構造からなる,近紫外線と近赤外線とを反射する構
造体であって,一方の物質層の光学屈折率をna ,その
厚さをda ,他方の物質層の光学屈折率をnb ,その厚
さをdb とした場合,これらの物質層の間には,下記式
(2)に示す関係を満足させ,近紫外線と近赤外線とを
反射する構造体である。すなわち 0.63μm≦2(na a +nb b )≦0.78μm・・(2) ただし,1.3≦na 1.28≦nb /na ≦1.4 0.055μm≦na a 0.055μm≦nb b 0.055μm≦|na a −λ1 /4| である。
【0049】また,第3の発明は,2種類の物質の交互
積層構造からなる,近紫外線と近赤外線とを反射する構
造体であって,一方の物質層を空気層とし,その光学屈
折率をna (空気層はna =1.0とみなす),その厚
さをda ,他方の物質層の光学屈折率をnb ,その厚さ
をdb とした場合,下記式(3)に示す関係を満足さ
せ,近紫外線と近赤外線とを反射する構造体である。す
なわち 0.6μm≦2(na a +nb b )≦0.81μm・・(3) ただし,1.3≦nb /na ≦1.8 0.025μm≦na a 0.025μm≦nb b 0.025μm≦|na a −λ1 /4| である。
【0050】ただし,第2の発明においては,交互積層
の層数Nが4以上,第3の発明においては,交互積層の
層数Nが2以上である。また,空気層を除く物質層は透
過性を有する高分子物質である。
【0051】次に,前述の第1の発明と同様に,第2の
説明について説明する。図4は,両物質層の光学厚みの
和(λ1 )と近赤外線の平均反射率<R>IR,近紫外線
の平均反射率<R>UVとの関係を示すグラフである。図
4(b)はλ1 と近紫外線の平均反射率<R>UVとの関
係を両物質層の屈折率比(nb /na )をパラメータと
して示したもので,λ1 の下限である0.63μm,お
よび上限である0.78μmは,それぞれ近紫外線の平
均反射率<R>UVが40%以上を達成する値に起因して
いる。
【0052】上記近紫外線の平均反射率<R>UVとは,
地表の到達する紫外線であるUV−A波,およびUV−
B波の波長域,すなわち,波長0.3〜0.4μmにお
ける平均反射率を示すものである。また,その40%と
は,例えば,繊維において,40%遮蔽により繊維強度
保持率が2倍向上する,あるいは通常の繊維である綿
(未処理品)の反射率が,このレベルである,等のしき
い値に基づいている。換言すると,波長0.3〜0.4
μmにおける紫外線の平均反射率としては少なくとも4
0%以上あれば効果的であることに準拠している。
【0053】また,1.3≦nb なる関係は,前述の第
1の発明と同様,適用できる高分子樹脂の光学屈折率の
下限に基づいている。さらに,1.28≦nb /na
1.4なる関係は,次の2点より決定される。まず,高
分子樹脂の光学屈折率は一般に1.3〜1.8レベルで
あり,この範囲内で光学屈折率比を最大となるように高
分子樹脂を選択すると,nb /na ≦1.4となるから
である。
【0054】また,1.28≦nb /na なる関係は,
図5(b)より決定される。該図5(b)は近紫外線の
平均反射率<R>UVと2種類の物質層の光学屈折比(n
b /na )の関係を交互積層数Nを変えて示したもの
で,1.28≦nb /na なる関係は近紫外線の平均反
射率<R>UVが40%以上となるときの下限に相当す
る。なお,この近紫外線の平均反射率<R>UVは交互積
層数Nが10〜20付近で飽和することから,N=10
〜20で限界値を定めてもよい。
【0055】図4(b)において,近紫外線を40%以
上反射可能であるλ1 ,すなわち,0.63〜0.78
μmにおいて,図4(a)からも近赤外線の反射される
ことがわかる。例えば,λ1 =0.72μmとすると,
近紫外線の平均反射率<R>UVは約50%,また,近赤
外線の平均反射率<R>IRは約33%となる(nb /n
a =1.4のとき)。
【0056】図5は,両物質層の光学屈折比(nb /n
a )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係を示
すグラフである。次に,交互積層数Nの大きさを,図5
(b)を用いて説明する。光学屈折比(nb /na )の
上限である1.4において,近紫外線の平均反射率<R
UVが40%以上となるためには,交互積層数Nが最低
4以上でなければならないことによる。
【0057】また,上記(2)式における, 0.055μm≦na a 0.055μm≦nb b 0.055μm≦|na a −λ1 /4| なる関係を図6を用いて説明する。図6は,一方の物質
層の光学厚み(na a)と紫外線,赤外線の平均反射
率<R>との関係を示すグラフである。特に,図6
(b)は一方の物質層の光学厚み(na a )と紫外線
の平均反射率<R>UVとの関係を光学屈折率比(nb
a )をパラメータとして示した一例であり,両物質層
の光学厚みλ1 を0.72μm,交互積層数N=10と
した際のものである。
【0058】上記図6(b)からも明らかなように,紫
外線の平均反射率<R>UVが40%以上となる光学厚み
a a は,少なくとも0.055μm以上必要なこと
がわかる。また,nb b についても同様である。ま
た,図中,na a =0.18μmはλ1 /4に相当す
る光学厚みであるが,この値の前後0.055μm以上
の厚さを有していなければならず,0.055μm≦|
a a −λ1 /4|なる条件が必要となる。
【0059】次に,第3の発明について,上記第2の発
明と同様,図を用いて説明する。図7は,両物質層の光
学厚みの和(λ1 )と紫外線,赤外線の平均反射率<R
>との関係を示すグラフである。特に,図7(b)はλ
1 と近紫外線の平均反射率<R>UVとの関係を両物質層
の光学屈折率比(nb /na )をパラメータとして示し
た一例であり,λ1 の下限である0.6μm,および上
限である0.81μmは,それぞれ近紫外線の平均反射
率<R>UVが40%以上となる値に起因している。な
お,この40%の意味は,前述した通りである。
【0060】また,1.3≦nb /na ≦1.8なる関
係は,第2の発明と同様,次の2点より決定される。ま
ず,物質層の一方が空気層であることより,その屈折率
aは1.0である。また,もう一方の物質層である高
分子樹脂の光学屈折率は一般に1.3〜1.8レベルで
あり,この範囲内で光学屈折率比の下限,上限はそれぞ
れ,1.3,1.8となることに起因している。
【0061】次に,交互積層数Nの大きさを図5(b)
を用いて説明する。光学屈折率比(nb /na )の上限
である1.8において,近紫外線の平均反射率<R>UV
が40%以上となるためには,交互積層数Nが2以上で
あればよい。
【0062】また,上記(3)式における, 0.025μm≦na a 0.025μm≦nb b 0.025μm≦|na a −λ1 /4| なる関係を図8を用いて説明する。図8は,一方の物質
層の光学厚み(na a)と紫外線,赤外線の平均反射
率<R>との関係を示すグラフである。図8(b)は一
方の物質層の光学厚みna a と近紫外線の平均反射率
<R>UVとの関係を光学屈折率比(nb /na )をパラ
メータとして示した一例で,λ1 を0.72μm,交互
積層数N=10とした際のものである。
【0063】上記図8(b)からも明らかなように,近
紫外線の平均反射率<R>UVが40%以上となる光学厚
みna a は,少なくとも0.025μm以上必要なこ
とがわかる。また,nb b についても同様である。ま
た,図中,na a =0.18μmは,λ1 /4に相当
する光学厚みであるが,この値の前後0.025μm以
上の厚さを有していなければならず,0.025μm≦
|na a −λ1 /4|なる条件が必要となる。なお,
a a =0.09μmはλ1 /8に相当し,このと
き,最大の近紫外線の平均反射率<R>UVを与えること
になる。
【0064】さて,上記のように条件を設定することに
より,実際にどの程度の近赤外線および近紫外線を反射
するかを求めたものが,前述の図7(a),(b)であ
る。この図7(a),(b)はλ1 と近赤外線の平均反
射率<R>IR,近紫外線の平均反射率<R>UVとの関係
を示したものであり,λ1 が0.66〜0.81μmの
範囲にあれば,近紫外線を40%以上反射し,しかも,
近赤外線の反射されることがわかる。例えば,λ1
0.72μm,nb /na =1.8のとき,近紫外線の
平均反射率<R>UVは約70%以上に,また,近赤外線
の平均反射率<R>IRも50%以上となることがわかる
(交互積層数N=10のとき)。
【0065】したがって,以上説明してきたように,上
記第1,第2,第3の発明によれば,有害な近紫外線と
熱的影響の大きな近赤外線の両者を反射することのでき
る構造体を提供することができる。しかも,紫外線吸収
剤や散乱剤および近赤外線吸収剤等を用いずに上記特性
を実現するため,繊維やチップ等を製造する過程で,口
金付近におけるトラブルを解消することができ,さら
に,安定に,かつ,高速に紡糸できるというメリットも
得ることができる。
【0066】次に,上記第1,第2,第3の発明の製造
実施例について説明する。なお,これは一例であり,こ
れによってこの発明が何ら限定されるものではない。
【0067】〔製造実施例1−1〕2種類の物質層の一
方に,光学屈折率nb =1.82のポリフェニレンサル
ファイド(PPS)を,もう一方の物質層として空気層
(na =1.0)を選択し,光学屈折率比nb /na
1.8になるようにする。また,その他の設計条件は,
λ1 (空気層とPETの光学厚みの和の2倍)=0.7
2μm,空気層およびPPSの光学厚みの和:λ1
0.8μm,空気層およびPPSの光学厚みをna a
=nb b =0.2μm,交互積層数N=10とした。
【0068】近赤外線反射構造体として,次のような方
法による交互積層複合繊維を作製した。PPSポリマー
と空隙(空気)層とを交互積層する複合ノズルを用い,
溶融紡糸法により交互積層N=10の繊維を作製した。
なお,紡糸は,上記の設計値となるよう,高速紡糸(5
000m/min)による延伸処理を併用した。
【0069】また,上記における紡糸条件は,紡糸温
度:320°C,フィラメント数:1本,巻取速度:5
000m/minとし,紡糸中の冷却は自然冷却とし
た。また,作製された交互積層型繊維の反射スペクトル
を顕微分光光度計(モデルU−6000:日立製作所
製)を用い,入射0°/受光0°の条件で評価を行っ
た。その結果,図9に示すように,波長0.7〜1μm
の赤外線領域全てをカバーする高反射率となる反射スペ
クトルが得られた。
【0070】〔製造実施例1−2〕2種類の高分子樹脂
として,光学屈折率na =1.41のポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)と,光学屈折率nb =1.82のポリ
フェニレンサルファイド(PPS)を選択し,光学屈折
率比nb /na が1.3になるようにする。また,その
他の設計条件は,λ1 (PVDFとPPSの光学厚みの
和の2倍)=0.72μm,PVDFおよびPPSの光
学厚みをそれぞれ,na a =0.09μm,nb b
=0.27μm,交互積層数N=10とした。
【0071】上記の条件に基づいて,両ポリマーチップ
を複合紡糸装置のホッパー内に投入し,海島構造型の交
互積層繊維を高速紡糸法を併用して作製した。なお,こ
の場合の紡糸条件は,紡糸温度:320°C,フィラメ
ント数:1本,巻取速度:8000m/minとし,紡
糸中の冷却は自然冷却とした。
【0072】また,上記により作製された交互積層型繊
維の反射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−60
00:日立製作所製)を用い,入射0°/受光0°の条
件で評価を行った。その結果,図10(a)に示すよう
に,近紫外線領域(波長0.3〜0.4μm)と近赤外
線領域(波長0.65〜1.4μm)の両者で比較的高
反射となる反射スペクトルが得られた。
【0073】〔製造実施例1−3〕2種類の物質層の一
方を空気層(na =1.0),他方を光学屈折率nb
1.50のポリメチルメタクリレート(PMMA)を選
択し,光学屈折率比nb /na が1.5になるようにす
る。また,その他の設計条件は,λ1 (空気層とPMM
Aの光学厚みの和の2倍)=0.72μm,空気層およ
びPMMAの光学厚みをそれぞれ,na a =0.09
μm,nb b =0.27μm,交互積層数N=10と
した。
【0074】上記の条件に基づいて,異形断面繊維(特
願平4−172926号公報)を海島構造法により複合
紡糸した。なお,その際の海部用高分子としては後処理
で溶剤剥離が可能なポリスチレン(PS)を用い,ま
た,島部用高分子としては,上記PMMAを用いた。
【0075】また,上記における紡糸条件は,紡糸温
度:320°C,フィラメント数:1本,巻取速度:8
000m/min(延伸処理を兼用)とし,紡糸中の冷
却は自然冷却とした。また,ここで得られた海島型複合
繊維の海部を溶剤(ジクロルエタン)により除去し,上
記設計値の異形断面繊維を作製する。
【0076】そして,上記作製された交互積層型繊維の
反射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−600
0:日立製作所製)を用い,入射0°/受光0°の条件
で評価を行った。その結果,図10(b)に示すよう
に,波長0.3〜0.4μmの紫外線領域,波長0.6
5〜1.4μmの赤外線領域で比較的高反射となる反射
スペクトルが得られた。
【0077】〔製造実施例1−4〕2種類の物質層の一
方を空気層(na =1.0),他方を光学屈折率nb
1.8のポリフェニレンサルファイド(PPS)を選択
し,光学屈折率比nb /na が1.8になるようにす
る。また,その他の設計条件は,λ1 (空気層とPPS
の光学厚みの和の2倍)=0.72μm,空気層および
PPSの光学厚みをそれぞれ,na a =0.09μ
m,nb b =0.27μm,交互積層数N=10とし
た。そして,上記設計に基づいた交互積層繊維を中空繊
維を作製する手法を利用して作製した。
【0078】また,上記における紡糸条件は,紡糸温
度:320°C,フィラメント数:1本,巻取速度:5
000m/minとし,紡糸中の冷却は自然冷却とし
た。また,作製された交互積層型繊維の反射スペクトル
を顕微分光度計(モデルU−6000:日立製作所製)
を用い,入射0°/受光0°の条件で評価を行った。そ
の結果,図11に示すように,波長0.3〜0.4μm
の紫外線領域,波長0.65〜1.4μmの赤外線領
域,特に,波長0.65〜0.85μmにおいては10
0%に近いレベルの高反射となる反射スペクトルが得ら
れた。
【0079】以上説明してきたように,上記実施例1に
よれば,有害な近紫外線と熱的影響の大きな近紫外線の
両者を反射する構造体を提供することができる。さら
に,紫外線吸収剤や散乱剤および近紫外線吸収剤等を用
いていないため,繊維やチップ等を製造する上で,口金
付近でのトラブルを解消でき,安定に,かつ,高速に紡
糸できるというメリットも生まれ,また,長期間安定し
た紫外線反射も可能となる。
【0080】〔実施例2〕ここでは,第4,第5の発明
について説明する。なお,この発明の構造体は実施例1
で説明した図1(a)〜(e)に示したものと共通であ
る。
【0081】さて,この発明における所期の目的を達成
するために,発明者等の研究成果によれば,図1のよう
な構造体において,物質層の光学屈折率をna ,その厚
さをda ,他方の物質層の光学屈折率をnb ,その厚さ
をdb とした場合,これらの物質層の間には,下記式
(4)に示す関係が必要であることがわかった。すなわ
ち 0.29μm≦2(na a +nb b )≦0.42μm・・(4) ただし,1.3≦na 1.15≦nb /na ≦1.4 0.025μm≦na a 0.025μm≦nb b である。
【0082】なお,上記におけるna a +nb
b は,両物質層の光学厚みの和を示すものであり,薄膜
干渉式より反射スペクトルにおける一次ピーク波長λ1
は次の関係式で与えられる。すなわち, λ1 =2(na a +nb b ) である。
【0083】ここで,上記(4)式が成立しなければな
らない理由を図12を用いて説明する。図12は,λ1
(両物質層の光学厚みの和)と紫外線の平均反射率<R
>との関係を両物質層の屈折率比(nb /na )をパラ
メータとして示すグラフである。λ1 の下限である0.
29μm,および上限である0.42μmは,それぞれ
平均反射率<R>40%以上を達成する値に起因してい
る。
【0084】この近赤外線の平均反射率<R>とは,地
表に到達する紫外線であるUV−A波,およびUV−B
波の波長域,すなわち,波長0.3〜0.4μmにおけ
る平均反射率を示すものである。また,その40%と
は,例えば,繊維において40%遮蔽により繊維強度保
持率が2倍向上する,あるいは通常の繊維である綿(未
処理品)の反射率がこのレベルである,等のしきい値に
基づいている。換言すると,波長0.3〜0.4μmに
おける紫外線の平均遮蔽率(この発明では反射率)とし
ては少なくとも40%あれば効果的であることに準拠し
ている。
【0085】また,(4)式において,光学厚みの和を
より上限側に設定する。例えば,0.4μm程度とする
と,やや青色を発する紫外線遮蔽も可能となる。また,
この(4)式において,一方の物質層の厚さが零のとき
は当然のことながら,この発明でいう2種類の交互積層
構造とはならない。
【0086】次に,一方の物質の光学屈折率が1.3≦
a である理由は,高分子樹脂の光学屈折率が一般に
1.30〜1.82,汎用的に1.35〜1.75のレ
ベルであり,この1.30が高分子樹脂の光学屈折率の
下限に相当することによる。なお,高分子樹脂の光学屈
折率の上限は1.82程度である。ここで,上記高分子
樹脂中に,NaFやMgF2 等の低屈折率結晶を微粒子
化して分散.含有させることにより全体の光学屈折率を
1.3以下とすることも可能であるが,白濁したり,成
型性を損ねたりして適切ではない。
【0087】既存の低屈折率(1.4以下)の高分子樹
脂としては,4フッ化エチレン(PTFE)や4フッ化
エチレン・6フッ化エチレン(FEP),ポリフッ化ビ
ニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
反対に,高屈折率(1.65以上)の高分子樹脂として
は,ポリエステル系,ポリフェニレンサルファイド(P
PS)等が挙げられる。
【0088】さらに,(4)式における1.15≦nb
/na ≦1.4なる関係は,両物質層の光学屈折率比の
関係を示すもので,以下の理由に基づいている。図13
は,図1に示すような構造体において2種類の物質層の
交互積層Nをパラメータとした際の両物質層の光学屈折
率比(nb /na )と紫外線の平均反射率<R>との関
係を示すグラフである。この図13からも明らかよう
に,nb /na =1.1ではNを10,20と増加させ
ても先に述べた平均反射率<R>は40%を越えない。
また,Nをさらに増加させて,N=10,20としても
大きな差異が得られないことはグラフからも容易に推定
できる。
【0089】したがって,以下,交互積層数Nの最大層
数はN=10として説明しても差し支えない。これを踏
まえ,N=10の場合,平均反射率<R>が40%を越
えるnb /na は1.15となり,上記条件を達成する
ため光学屈折率比の下限となる。一方,その上限は,N
=2のときに制限され,nb /na =1.49となる。
【0090】ところが,前述したように,高分子樹脂の
光学屈折率の最大値は高々1.82であり,仮に1.8
2である高分子樹脂を用いたとしても,光学屈折率比の
最大値はnb /na =1.82/1.3=1.4に留ま
ることになる。したがって,光学屈折率比(nb
a )は,1.15≦nb /na ≦1.4の範囲でなけ
ればならない。
【0091】なお,上記高分子樹脂中に無機物のフィラ
ーや顔料,例えば,酸化チタン(n=2.8),酸化ク
ロム(n=2.5)等の酸化物,硫化カドミウム(n=
2.4)等の硫化物を含有,分散させることにより高分
子樹脂を高屈折率化(n=1.8以上)させることも可
能であるが,この場合,透明性を損ねたり,含有物の吸
収が生じたりする。さらには,繊維やチップを作製する
上での紡糸性,成型性を損ねるといった問題も発生する
ため好ましくない。
【0092】次に,(4)式における0.025μm≦
a a および0.025μm≦nb b なる条件を図
14を用いて説明する。図14は,一方の物質層の光学
厚みna a ,他方の光学厚みnb b と紫外線の平均
反射率<R>との関係を光学屈折率比(nb /na )を
パラメータとして示したグラフである。
【0093】前述したように,薄膜干渉式により一次ピ
ーク波長λ1 は, λ1 =2(na a +nb b ) で与えられる。さらに,この式を変形すると, na a =(λ1 /2)−nb b ・・(a) あるいは, nb b =(λ1 /2)−na a ・・(b) となる。
【0094】いま,図14の横軸を上記(a)式に基づ
いて表記すると,na a がとりうる最大値はnb b
=0のときで,その値は(λ1 /2)である。換言する
と,na a が(λ1 /2)であれば,そのときのnb
b は0であることを意味する。したがって,横軸とし
ては,na a ,nb b の両者で示すことが可能であ
る。例えば,上記において,ここでλ1 =0.35μm
とすると,この図14の横軸のとりうるna a 値は
(λ1 /2)=0.175μmとなると共に,この位置
がnb b =0ともなる。
【0095】さて,図14により,平均反射率<R>4
0%を確保するための光学厚みnaa は,最低でも
0.025μm必要である。なお,λ1 が0.35μm
の場合,光学厚みna a をほぼ0.09μm(λ/4
波長に相当する)とすると,平均反射率<R>も最大と
なる。
【0096】また,光学屈折率比(nb /na )が1.
4となる材料系で,しかも光学厚みを0.06〜0.1
2μmの何れかに設定すれば,平均反射率<R>は80
%以上を達成することができる。この80%という高反
射率は,例えば,冬場の雪面からの反射率に相当するも
のである。
【0097】また,交互積層の層数Nが3以上でなけれ
ばならない理由は,図13において,1.15≦nb
a ≦1.4の範囲で紫外線の平均反射率<R>が40
%以上を達成できる最低の層数に起因する。なお,層数
Nの上限は,特に限定されないが,図12にも示す通
り,N=10〜20では平均反射率<R>もほとんど変
化しない。したがって,交互積層の層数Nとしては10
層程度あれば,十分所望とする反射率を得ることができ
る。
【0098】次に,第5の発明について説明する。上記
第4の発明に加えて,2種類の物質層を空気層とし,光
学屈折率比(nb /na )を大きくすることにより,さ
らに紫外線の遮蔽化,すなわち,紫外線の平均反射率<
R>の向上を図ったものが,以下説明する第5の発明で
ある。
【0099】この第5の発明は,下記(5)式を満足す
ることにより成立する。すなわち, 0.26μm≦2(na a +nb b )≦0.45μm・・(5) ただし,1.3≦nb /na ≦1.8 0.015μm≦na a 0.015μm≦nb b である。
【0100】以下,第4の発明と同様,上記第5の発明
による(5)式について,図15,図16,および図1
3を用いて説明する。空気層と物質層の光学厚みの和:
λ1=2(na a +nb b )は,紫外線の平均反射
率<R>が40%以上となる値で制限され,図15より
0.26〜0.45μmの間(斜線部分)でなければな
らないが,好ましくは0.3〜0.4μm,最適値は
0.35μm程度である。λ1 =0.35μmの場合,
光学屈折率nb が1.8となる。
【0101】高分子樹脂を選択すれば,空気層の光学屈
折率na は1.0であるので,光学屈折率比(nb /n
a )=1.8となり,紫外線の平均反射率<R>を10
0%近くにすることができる。ただし,この場合,交互
積層数N=10とする。また,光学屈折率比(nb /n
a )の関係は,前述した第4の発明と同様である。
【0102】次に,一方の物質層の光学厚みna a
b b は図16において,紫外線の平均反射率<R>
40%以上となる値が必要となることにより,両者とも
0.015μm以上でなければならない。なお,λ1
0.35μmの場合にあっては,na a が0.09μ
m程度のとき,最大となる。
【0103】また,交互積層の層数Nが2以上でなけれ
ばならない理由は,図13において,1.3≦nb /n
a ≦1.8の条件下で紫外線の平均反射率<R>が40
%以上を達成できる最低の層数に起因する。この範囲内
での最低層数Nはnb /na=1.8のとき,N=2を
与えることになる。
【0104】さらに,上記条件に加え,第5の発明の構
造体の3つの例として,前述の実施例1にて示した図2
と同様のものとすることができる。この図2は,基本的
には図1にて示した5つの例において,物質層の一方が
空気層となったものと考えてよい。この第5の発明の場
合,図2(f),(g)のように物質内に空隙(空気)
層を有するものと,図2(h)のように空気中に交互積
層構造を保持したものとの2つに大別できる。
【0105】以下,上記第4の発明および第5の発明に
おける製造実施例について説明する。なお,この製造実
施例は一例であり,この発明がこれに何ら限定されるも
のではない。
【0106】〔製造実施例2−1:第4の発明〕2種類
の高分子樹脂として,光学屈折率na =1.41のポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)と,光学屈折率nb
1.68のポリエチレンテレフタレート(PET)を選
択し,光学屈折率比nb /na が1.2になるようにす
る。また,その他の設計条件は,λ1 (PVDFとPE
Tの光学厚みの和)=0.35μm,PVDFおよびP
ETの光学厚みをna a =nb b =0.087μ
m,交互積層数N=20とした。
【0107】上記の条件に基づいて,両ポリマーチップ
を複合紡糸装置のホッパー内に投入し,公知の多層並列
紡糸法により偏平率3.5の交互積層型の偏平繊維を作
製した。なお,この場合の紡糸条件は,紡糸温度:31
0°C,フィラメント数:1本,巻取速度:250m/
minとし,紡糸中の冷却は自然冷却とした。
【0108】また,上記により作製された交互積層型偏
平繊維の反射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−
6000:日立製作所製)を用い,入射0°/受光0°
の条件で評価を行った。その結果,図17(a)に示す
ように,波長0.3〜0.4μmの紫外線領域で比較的
高反射となる反射スペクトルが得られた。
【0109】〔製造実施例2−2:第4の発明〕2種類
の高分子樹脂として,光学屈折率na =1.41のポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)と,光学屈折率nb
1.82のポリフェニレンサルファイド(PPS)を選
択し,光学屈折率比nb /na が1.3になるようにす
る。また,その他の設計条件は,λ1 (PVDFとPP
Sの光学厚みの和)=0.35μm,PVDFおよびP
PSの光学厚みをna a =nb b =0.087μ
m,交互積層数N=10とした。
【0110】上記の条件に基づいて,両ポリマーチップ
を複合紡糸装置のホッパー内に投入し,海島構造型の交
互積層繊維を高速紡糸法を併用して作製した。なお,こ
の場合の紡糸条件は,紡糸温度:320°C,フィラメ
ント数:1本,巻取速度:8000m/minとし,紡
糸中の冷却は自然冷却とした。
【0111】また,上記により作製された交互積層型繊
維の反射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−60
00:日立製作所製)を用い,入射0°/受光0°の条
件で評価を行った。その結果,図17(b)に示すよう
に,波長0.3〜0.4μmの紫外線領域で高反射(平
均反射率<R>:約75%)となる反射スペクトルが得
られた。
【0112】〔製造実施例2−3:第5の発明〕2種類
の物質層の一方を空気層(na =1.0),他方を光学
屈折率nb =1.50のポリメチルメタクリレート(P
MMA)を選択し,光学屈折率比nb /na が1.5に
なるようにする。また,その他の設計条件は,λ1 (空
気層とPMMAの光学厚みの和)=0.35μm,空気
層およびPMMAの光学厚みをna a =nb b
0.087μm,交互積層数N=7とした。
【0113】上記の条件に基づいて,異形断面繊維(特
願平4−172926号公報)を海島構造法により複合
紡糸した。なお,その際の海部用高分子としては後処理
で溶剤剥離が可能なポリスチレン(PS)を用い,ま
た,島部用高分子としては,上記PMMAを用いた。
【0114】また,上記における紡糸条件は,紡糸温
度:280°C,フィラメント数:1本,巻取速度:8
000m/minとし,紡糸中の冷却は自然冷却とし
た。また,ここで得られた海島型複合繊維の海部を溶剤
(ジクロルエタン)により除去し,上記設計値の異形断
面繊維を作製する。
【0115】そして,上記作製された交互積層型繊維の
反射スペクトルを顕微分光光度計(モデルU−600
0:日立製作所製)を用い,入射0°/受光0°の条件
で評価を行った。その結果,図18(a)に示すよう
に,波長0.3〜0.4μmの紫外線領域で高反射(平
均反射率<R>:約90%)となる反射スペクトルが得
られた。
【0116】〔製造実施例2−4:第5の発明〕2種類
の物質層の一方を空気層(na =1.0),他方を光学
屈折率nb =1.80のポリフェニレンサルファイド
(PPS)を選択し,光学屈折率比nb /na が1.8
になるようにする。また,その他の設計条件は,λ
1 (空気層とPPSの光学厚みの和)=0.35μm,
空気層およびPPSの光学厚みをna a =nb b
0.087μm,交互積層数N=5とした。そして,上
記設計に基づいた交互積層繊維を中空繊維を作製する手
法を利用して作製した。
【0117】また,上記における紡糸条件は,紡糸温
度:320°C,フィラメント数:1本,巻取速度:5
000m/minとし,紡糸中の冷却は自然冷却とし
た。また,作製された交互積層型繊維の反射スペクトル
を顕微分光光度計(モデルU−6000:日立製作所
製)を用い,入射0°/受光0°の条件で評価を行っ
た。その結果,図18(b)に示すように,波長0.3
〜0.4μmの紫外線領域の全てをカバーする高反射
(平均反射率<R>:約95%)となる反射スペクトル
が得られた。
【0118】以上説明してきたように,上記実施例2に
よれば,有害な近紫外線の波長を任意に,かつ,長期間
遮蔽できる構造体を提供することができる。また,紫外
線吸収剤や散乱剤等の各種不純物を用いていないため,
繊維やチップ等を製造する上で,口金付近でのトラブル
を解消でき,安定に,かつ,高速に紡糸できるという効
果も発生する。
【0119】なお,本発明者らは先に可視光領域おける
反射干渉作用に基づく発色体について鋭意研究を重ね,
新規な構造体を発明した(特願平4−172926号,
特願平5−176768号)。この研究の中で本発明者
らは,近赤外線と近紫外線とを同時に遮蔽可能あること
や,紫外線の反射が十分可能であることを見いだし,以
上説明した如く,この発明により,それを完成させたも
のである。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように,この発明に係る近
紫外線と近赤外線の一方あるいは両方を反射する構造体
によれば,前記第1の物質と前記第2の物質の光学厚み
の和で定義されるλ1 の下限値と上限値を上記各関係式
により規定し,この規定を満足するように,前記第1の
物質と前記第2の物質を選択して,交互積層構造とする
ことにより近紫外線と近赤外線の一方,あるいは両方を
反射させるようにしたため,容易に紡糸することが実現
すると共に,近紫外線を反射し,かつ(あるいは),近
赤外線による温度上昇を軽減することが可能となる繊維
やチップ(小片)の構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る構造体の5つの例を示す断面図
である。
【図2】この発明に係る構造体の3つの例を示す断面図
である。
【図3】実施例1に係る両物質層の光学厚みの和
(λ1 )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(1)を示すグラフである。
【図4】実施例1に係る両物質層の光学厚みの和
(λ1 )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(2)を示すグラフである。
【図5】実施例1に係る両物質層の光学屈折率比(nb
/na )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(1)を示すグラフである。
【図6】実施例1に係る一方の物質層の光学厚み(na
a )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(1)を示すグラフである。
【図7】実施例1に係る両物質層の光学厚みの和
(λ1 )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(3)を示すグラフである。
【図8】実施例1に係る一方の物質層の光学厚み(na
a )と紫外線,赤外線の平均反射率<R>との関係
(2)を示すグラフである。
【図9】実施例1に係る製造実施例1−1の評価結果
(反射スペクトル)を示すグラフである。
【図10】実施例1に係る製造実施例1−2,1−3の
評価結果(反射スペクトル)を示すグラフである。
【図11】実施例1に係る製造実施例1−4の評価結果
(反射スペクトル)を示すグラフである。
【図12】実施例2に係る両物質層の光学厚みの和(λ
1 )と紫外線の平均反射率<R>との関係(1)を示す
グラフである。
【図13】実施例2に係る両物質層の光学屈折率比(n
b /na )と紫外線の平均反射率<R>との関係を示す
グラフである。
【図14】実施例2に係る一方の物質層の光学厚み(n
a a )と紫外線の平均反射率<R>との関係(1)を
示すグラフである。
【図15】実施例2に係る両物質層の光学厚みの和(λ
1 )と紫外線の平均反射率<R>との関係(2)を示す
グラフである。
【図16】実施例2に係る一方の物質層の光学厚み(n
a a )と紫外線の平均反射率<R>との関係(2)を
示すグラフである。
【図17】実施例2に係る製造実施例2−1,2−2の
評価結果(反射スペクトル)を示すグラフである。
【図18】実施例2に係る製造実施例2−3,2−4の
評価結果(反射スペクトル)を示すグラフである。
【符号の説明】
101 物質層(第1の物質) 102 物質層(第2の物質)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−295804(JP,A) 特開 昭56−99307(JP,A) 特開 平7−34324(JP,A) 特公 昭46−28972(JP,B1) 米国特許3711176(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/00 - 8/18 B32B 1/00 - 35/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学屈折率n、厚さdある第1の物
    質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質と
    を、 0.6μm≦2(n+n)≦1.6μm ただし、1.0≦n≦1.8 1.3≦n≦1.8 1.25≦n/n≦1.8 の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
    和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
    に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
    れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
    とし、それを繊維状に成形したことを特徴とする近赤外
    線を反射する構造体。
  2. 【請求項2】前記第1の物質と前記第2の物質は、透過
    性を有する高分子物質であることを特徴とする請求項1
    記載の近赤外線を反射する構造体。
  3. 【請求項3】前記第1の物質と前記第2の物質のうち、
    一方が空気層、他方が透過性を有する高分子物質である
    ことを特徴とする請求項1記載の近赤外線を反射する構
    造体。
  4. 【請求項4】光学屈折率n、厚さdある第1の物
    質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質と
    を、 0.63μm≦2(n+n)≦0.78μm ただし、 1.3≦n 1.28≦n/n≦1.4 0.055μm≦n 0.055μm≦n 0.055μm≦|n−λ/4| の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
    和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
    に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
    れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
    とし、それを繊維状に成形したことを特徴とする近紫外
    線と近赤外線を反射する構造体。
  5. 【請求項5】前記交互積層構造における層数Nは4以上
    であることを特徴とする請求項4記載の近紫外線と近赤
    外線を反射する構造体。
  6. 【請求項6】前記第1の物質と前記第2の物質は、透過
    性を有する高分子物質であることを特徴とする請求項4
    記載の近紫外線と近赤外線を反射する構造体。
  7. 【請求項7】光学屈折率n、厚さdある第1の物
    質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質とを
    設け、前記第1の物質と第2の物質のうち一方を空気層
    とし、 0.6μm≦2(n+n)≦0.81μm ただし、1.3≦n/n≦1.80 0.025μm≦n 0.025μm≦n 0.025μm≦|n−λ/4| の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
    和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
    に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
    れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
    とし、それを繊維状に成形したことを特徴とする近紫外
    線と近赤外線を反射する構造体。
  8. 【請求項8】前記交互積層構造における層数Nは2以上
    であることを特徴とする請求項7記載の近紫外線と近赤
    外線を反射する構造体。
  9. 【請求項9】前記第1の物質と前記第2の物質のうち、
    一方が空気層、他方が透過性を有する高分子物質である
    ことを特徴とする請求項7記載の近紫外線と近赤外線を
    反射する構造体。
  10. 【請求項10】光学屈折率n、厚さdある第1の
    物質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質と
    を、 0.29μm≦2(n+n)≦0.42μm ただし、1.3≦n 1.15≦n/n≦1.4 0.025μm≦n 0.025μm≦n の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
    和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
    に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
    れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
    とし、それを繊維状に成形したことを特徴とする近紫外
    線を反射する構造体。
  11. 【請求項11】前記第1の物質と前記第2の物質は、透
    過性を有する高分子物質であることを特徴とする諸求項
    10記載の近紫外線を反射する構造体。
  12. 【請求項12】前記交互積層構造における層数Nは2以
    上であることを特徴とする請求項10記載の近紫外線を
    反射する構造体。
  13. 【請求項13】光学屈折率n、厚さdある第1の
    物質と、光学屈折率n、厚さdある第2の物質と
    を設け、前記前記第1の物質と第2の物質のうち一方を
    空気層とし、 0.26μm≦2(n+n)≦0.45μm ただし、1.3≦n/n≦1.8 0.015μm≦n 0.015μm≦n の関係および前記第1の物質と第2の物質の光学厚みの
    和、 λ=2(n+n) により定義される関係を成立するように、交互に規則的
    に積層し、かつ、前記第1の物質と第2の物質はそれぞ
    れ光の入射方向に対して横方向に長い形状を有する構造
    とし、それを繊維状に成形したことを特徴とする近紫外
    線を反射する構造体。
  14. 【請求項14】前記第1の物質と前記第2の物質のう
    ち、一方が空気層、他方が透過性を有する高分子物質で
    あることを特徴とする請求項13記載の近紫外線を反射
    する構造体。
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