JP5645045B2 - フォトクロミック組成物、画像表示媒体および画像形成装置 - Google Patents

フォトクロミック組成物、画像表示媒体および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、フォトクロミック組成物、画像表示媒体及び画像形成装置に関し、詳しくは、光照射と熱処理により画像を繰り返し形成することが可能なフォトクロミック組成物、画像表示媒体及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
光照射により可逆的な色変化を示すフォトクロミック化合物を用いた組成物、およびそれを用いた表示媒体あるいは記録媒体に関する提案は以前からなされているが、光照射によりカラー画像が形成でき、かつ画像の書き換えが可能であり、さらに形成した画像が光に対して充分な安定性を有するような実用性に優れる提案はこれまで見当たらなかった。
フォトクロミック化合物を用いてカラー画像を形成する方法としては、例えば特許文献1において、254nmの紫外光照射で黄橙色、313nmの紫外光照射で赤色、365nmの紫外光照射で青紫色に発色するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を3種類混合して、それぞれの波長の紫外光を照射する方法が提案されている。
フルカラー画像を形成するためには3原色(青、緑、赤またはイエロー、マゼンタ、シアン)を発色する3種類以上のフォトクロミック化合物の消・発色を光で制御しなければならないが、上記の方法では、3種類の紫外光波長域によって各材料の発色の有無が選択できることが必要であり、つまり紫外域での吸収帯に重なりがない3種類以上のフォトクロミック化合物が必要であり、さらにそれらの化合物が発色状態において上記3原色を示さなければならないが、そのような化合物の系は実際には見あたらない。
また、実用化には発色特性だけではなく、繰り返し耐久性、熱・湿安定性なども考慮しなければならず、これらの全てを満たす材料を開発するのは大変困難である。
また、特許文献2においては、発色状態でイエロー、マゼンタ、シアンを示す3種類のフォトクロミック性フルギド化合物に対して、366nmの紫外光で全フォトクロミック化合物を発色させた後にカラーポジフィルム越しに白色光を照射することにより、各フォトクロミック性フルギド化合物を必要に応じて選択的に消色してカラー画像を得る方法が提案されている。
この方法では、紫外光源が1種類だけで対応できるという利点があるものの、形成したい画像のカラーポジフィルムが必要であり、その都度これを準備するのは全く実際的でなく、近年のオフィスワークにおけるカラー画像出力に用いるには全く適切ではない。さらにこのようにして形成した画像は光を当てなければ失われないが、光を当てた場合は照明光によって徐々に消色して画像が失われてしまう。
特許文献3においては、長鎖構造を有するスピロピラン化合物を、ポリマー中に溶解あるいは分散させ、加熱しながら紫外光を照射するかあるいは紫外光照射後に加熱することで発色状態を光に対して安定化させるフォトクロミック組成物が提案されている。
特許文献4においては、そのフォトクロミック組成物を用いた感熱記録材料が提案されている。これらはもともと表示への応用を狙ったものではない。
表示に応用しようとした場合、色相的には単色表示に限られる。さらにスピロピラン化合物は堅牢な材料とはいえず、何度も書き換えて用いる場合の、いわゆる繰り返し耐久性や保存安定性などの各種耐久性において、充分な強度を確保できない傾向がある。
これらに対して本発明者らは先に、光照射によりカラー画像が形成でき、かつ画像の書き換えが可能であり、繰り返し耐久性や保存安定性などの各種耐久性において充分な強度を持ち、さらに形成した画像が光に対して充分な安定性を有するような実用性に優れるフォトクロミック組成物、画像表示媒体および画像形成装置並びに画像消去装置を提案した。
これらの提案におけるフォトクロミック組成物および画像表示媒体は、前述のように光に対して充分な安定性を有しており、したがって照明光が当たってもあるいは当たらなくても、形成した画像は変化することなく維持されるものであり、様々な用途に応用することができる。
このように、形成した画像の安定性は非常に高くても有用であるが、さらに安定性自体を調整できれば、つまり例えば形成した画像が所定の時間で消色するように調整できれば、情報セキュリティーやアミューズメントを始めとする各種分野での応用が期待される。
本発明者らは、さらなる検討の結果、光照射によりカラー画像が形成でき、かつ画像の書き換えが可能であり、繰り返し耐久性にも優れ、さらに形成した画像が、照明光の有無に寄らずある所定の時間で自然に消去されるフォトクロミック組成物および画像表示媒体を見出すに至った。
特開平5−271649号公報 特開平7−199401号公報 特開昭63−207887号公報 特開平1−226387号公報
本発明は、光照射によりカラー画像が形成でき、かつ画像の書き換えが可能であり、繰り返し耐久性にも優れ、さらに形成した画像が照明光の有無に寄らずある所定の時間で自然に消去される画像表示媒体および画像形成装置を提供することを目的とするものである。
上記課題は本発明の下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)「一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物および炭素数12以上の長鎖化合物を含み、該長鎖化合物が炭素数12以上22以下のアルカンまたはエステルであるフォトクロミック組成物。
Figure 0005645045
(ただし、XはO、S、C(CHのいずれかである。Yは存在しないか、あるいは―CHOCO―、―NHCO―、―O―、―OCO―の中から選択される一つである。R、Rは双方とも炭素数12以上22以下のアルキル基であって、かつ少なくとも一方は炭素数17以下の直鎖アルキル基である。R〜R12は、それぞれ独立して水素または置換基であり、R〜Rのうちの少なくとも一つはハロゲン原子、アルデヒド基、エステル基、カルボン酸基、アシル基、ケトン基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基から選択される電子求引基であり、R〜R12のうちの少なくとも一つはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、複素環から選択される電子供与基である。)
」、
(2)「前記長鎖化合物がn−ヘキサデカン、n−ペンタデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ドコサン、ステアリン酸メチルのいずれかであることを特徴とする前記第(1)項に記載のフォトクロミック組成物」、
(3)「前記第(1)項または第(2)項に記載のフォトクロミック組成物による表示層が支持基体上に形成されていることを特徴とする画像表示媒体」、
(4)「会合状態における色相が異なる2種以上のフォトクロミック化合物を表示層中に含むことを特徴とする前記第(3)項に記載の画像表示媒体」、
(5)「会合状態においてイエローの色相を示す第1のフォトクロミック化合物と、マゼンタの色相を示す第2のフォトクロミック化合物と、シアンの色相を示す第3のフォトクロミック化合物とを表示層中に含むことを特徴とする前記第(3)項に記載の画像表示媒体」、
(6)「前記表示層が、前記第1のフォトクロミック化合物のみを含む表示層と、前記第2のフォトクロミック化合物のみを含む表示層と、前記第3のフォトクロミック化合物のみを含む表示層が積層された構造であることを特徴とする前記第(5)項に記載の画像表示媒体」、
(7)「前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置」、
(8)「前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色安定化に必要な第一の所定温度に表示層を昇温する加熱手段と、消色に必要な第二の所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置」、
(9)「前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射する可視光照射手段と、発色安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置」、
(10)「前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射する可視光照射手段と、発色安定化に必要な第一の所定温度に表示層を昇温する加熱手段と、消色に必要な第二の所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置」。
本発明によれば、保存安定性や書き換えに対する繰り返し耐久性に優れ、さらに形成した画像が照明光の有無に寄らずある所定の時間での自然消去が可能な画像形成材料、画像表示媒体得られ、さらに多色表示、フルカラー表示が可能となる。
さらに本発明によれば、上記の効果に加え、用いるフォトクロミック化合物ごとに適切な会合体形成効果を付与できる。
さらに本発明によれば、シート型を含むメディアに対して、保存安定性や書き換えに対する繰り返し耐久性に優れ、さらに形成した画像が照明光の有無に寄らずある所定の時間での自然消去が可能となるモノクロ画像または多色画像の形成および消去が可能な装置が得られる。
[画像表示媒体、画像形成装置]
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
まず、本発明が関わるところの、フォトクロミック化合物を含む表示層を基体上に形成した画像表示媒体、およびそれに対して光照射によりカラー画像を形成する方法の基本的なメカニズムについて説明する。
図1は、本発明に用いられる画像表示媒体(1)の構成を示す模式図である。
この画像表示媒体(1)は、支持基体(10)上に、発色状態における極大吸収波長が異なる、つまり発色状態において認識される色が異なる、2種類以上のフォトクロミック化合物を含む表示層が形成される。
図1に示したものは、極大吸収波長が異なる3種類のフォトクロミック化合物を含む表示層(11)、(12)、(13)が積層されて形成される。
第1のフォトクロミック化合物を含む表示層(11)は、図2の(A)で示す極大吸収波長の特性を有し、第2のフォトクロミック化合物を含む表示層(12)は、図2の(B)で示す極大吸収波長の特性を有し、第3のフォトクロミック化合物を含む表示層(13)は、図2の(C)で示す極大吸収波長の特性を有するものでそれぞれ構成されている。
これに、紫外光照射によって表示層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させた後、発色した各々のフォトクロミック化合物の可視域吸収帯に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光をそれぞれ所定の領域に照射して、対応する特定のフォトクロミック化合物を選択的に消色することにより、所望のカラー画像が得られる。
図1に示す例においては、波長Aの光に対して、第1の表示層(11)が消色し、波長Bの光に対して、第2の表示層(12)が消色し、波長Cの光に対して第3の表示層(13)が消色する。
もう少し詳しく説明すれば、発色状態における極大吸収波長が異なるということは、つまり認識される色が異なるということであり、この極大吸収波長は、表示に用いたい色に対応して設定されればよく、また当該フォトクロミック化合物の種類も、表示に用いたい色の数に対応して設定されればよい。
発色状態における色相がそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンとなるフォトクロミック化合物を用いることにより、カラー表示の3原色が構成され、例えば可視光照射工程で各フォトクロミック化合物の消色の程度を調整することで、各フォトクロミック化合物により得られる色の濃度を制御することが可能となり、前記画像表示方法により色再現範囲が広い多色表示が可能となる。
以上は、発色状態における極大吸収波長が異なる、2種類以上のフォトクロミック化合物を含む表示層からなる画像表示媒体に対して画像を形成する場合について述べた。
1種類のフォトクロミック化合物のみを含む表示層からなる画像表示媒体を対象とする場合は、発色の色相は1つでその濃度が異なる、いわゆるモノクロ画像が形成されることになるが、その表示層に含まれるフォトクロミック化合物の発色の程度を制御して画像を形成するという基本的な方法については、上述のカラー画像の形成の場合と同様である。
また、表示層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類の場合でも、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上の場合でも、全てのフォトクロミック化合物が消色している状態に対して、所定の領域に紫外光を照射して発色させることによってモノクロの画像を形成することができる。
本発明は、以上に述べたフォトクロミック化合物を含む表示層を基体上に形成した画像表示媒体、およびそれに対して光照射により画像を形成する方法をもとに、光照射によりカラー画像が形成でき、かつ画像の書き換えが可能であり、繰り返し耐久性や保存安定性などの各種耐久性において充分な強度を持ち、さらに形成した画像が、照明光の有無に寄らずある所定の時間での自然消去が可能となる、実用性に優れる画像表示媒体および画像形成装置について検討した結果得られたものである。
[一般式(I)のフォトクロミック化合物]
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の特徴の一つは、一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物および炭素数12以上の長鎖化合物を含むフォトクロミック組成物を構成することである。
Figure 0005645045
(ただし、XはO、S、C(CHのいずれかである。Yは存在しないかあるいは―CHOCO―、―NHCO―、―O―、―OCO―の中から選択される一つである。R、Rは双方とも炭素数12以上の長鎖構造であって、かつ少なくとも一方の炭素数は17以下である。R〜R12は、それぞれ独立して水素または置換基であり、R〜Rのうちの少なくとも一つは電子求引基であり、R〜R12のうちの少なくとも一つは電子供与基である。)
一般式(I)で表わされるスピロオキサジン系のフォトクロミック化合物(例えば8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−5−(ジメチルアミノ)−1−ドデカデシル−5’−トリデカノイルオキシメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])は、紫外光照射によりスピロ構造から平面構造に変化して発色し、さらに加熱等により会合体を形成して色濃度が大きな状態になり、その状態に可視光を照射の有無に寄らず所定の時間で消色するようになる。
これをポリマー中に分散させて使用する場合、長鎖アルキル化合物などの長鎖化合物を添加すると初期の会合体の形成効率が向上する。
会合体の形成には、上述の部位に導入された電子求引基および電子供与基も大きく寄与しており、電子求引基としては、例えばハロゲン原子、アルデヒド基、エステル基、カルボン酸基、アシル基、ケトン基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
電子供与基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、複素環、などが挙げられる。
一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物が有する2つの長鎖構造の長さは、会合後の会合体の安定性に密接に関係しており、2つとも炭素数が18以上であれば充分な安定性が確保され、半永久的に消色しなくなる場合が多い。ただし長鎖構造の長さが長すぎる場合は会合体が形成されにくくなったり、あるいはポリマー中に分散させて支持基体上に表示層を形成する場合に不具合を生じることが多いので、長鎖構造の長さは炭素数100以下であることが好ましい。
一方、2つの長鎖構造のうちの一つあるいは両方が炭素数12よりも短い場合には、会合体の安定性がほとんど得られずに、会合体の形成を確認することさえできないため、長鎖構造の長さは炭素数12以上であることが好ましい。
2つの長鎖構造が両方とも炭素数12以上であり、かつ少なくとも一方の炭素数が17以下の場合、形成された会合体は、可視光照射の有無に寄らず徐々に会合状態が解けて徐々に消色していく。
上述したように長鎖構造が2つとも炭素数18以上の場合は会合体の安定性が大きく、半永久的に消色しない場合が多い。
会合体の安定性(消色に要する時間)は短いほうの鎖長に大きく依存し、一方が17以下であれば、もう一方が18以上であっても充分な安定性は確保されずに、一旦形成された会合体は徐々に解けてやがて消色する。そして短いほうの鎖長がより短くなるほど会合体の安定性は低下して消色しやすくなる。
会合体形成のための適切な処理温度は、用いる長鎖化合物やフォトクロミック化合物の構造によっても異なるが、おおむね40〜70℃が好ましい。
処理温度が低すぎる場合は会合体形成が適正に進行しない場合が多く、また高すぎる場合はフォトクロミック化合物自体の熱消色により会合体形成が起こりにくくなる。
[長鎖化合物]
フォトクロミック化合物が有する「長鎖構造」、および前記フォトクロミック化合物に添加する「長鎖化合物」の構造に基づく相互作用の程度によって、前記フォトクロミック化合物は良好な会合安定性を示したり、逆に会合安定性を損なったりする。フォトクロミック化合物が有する「長鎖構造」によっても異なるため一概には言えないが、添加する「長鎖化合物」がアルカン、エステルの場合は、フォトクロミック化合物は良好な会合安定性を示す傾向がある。
添加する長鎖化合物の長さ、すなわち炭素数については、一般的に12よりも短い場合には充分な自己会合性が発現しない。
本発明においても、長鎖化合物全体としての炭素数が12よりも短い場合には、充分な自己会合性が発現せず、前記会合促進効果も発現しないため、12以上であることが必要である。
一方、長さの上限については特別な制限はないが、長すぎると前記会合促進効果が損なわれる傾向があるため、概ね炭素数100以下であることが好ましい。好ましい長鎖化合物としては例えば、n−ヘキサデカン、n−ペンタデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ドコサン、ステアリン酸メチルなどが挙げられる。
[その他の材料]
本発明においては、一般式(I)のフォトクロミック化合物および長鎖化合物の他に、ポリマー等のその余の材料を所望により含ませることができる。
ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなど、比較的極性が小さなものが好適に用いられる。
本発明におけるフォトクロミック組成物を、一般式(I)で表わしたフォトクロミック化合物/長鎖構造化合物/ポリマーで構成する場合のそれぞれの割合については、ポリマー100重量部に対して、フォトクロミック化合物は0.1〜50重量部、長鎖化合物は10〜200重量部となるようにするのが望ましい。
さらに、本発明のもう一つの特徴は、上述のフォトクロミック組成物を表示層として支持基体上に形成して画像表示媒体を構成することである。
支持基体の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、芳香族ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等、あるいはこれらに白色顔料を含ませて成形された不透明材料、および紙などの材料を用いることができる。
支持基体の形状としては、シート状、カード状、フィルム状のものに限らず、例えばブロック状あるいはディスク状のものでもよく、形状は限定されない。
表示層を形成する方法としては、塗布法のほかに蒸着法も挙げられるが、塗布法が簡便であり、当該フォトクロミック化合物、当該長鎖化合物およびポリマー材料を共に溶媒に溶かして、印刷法、スピンコート法などの方法により塗布し、乾燥して成膜すればよい。
表示層は必ずしも支持基体の全体に形成する必要はなく、一部に形成してもよい。
表示層の好ましい厚みについては、フォトクロミック組成物中に含まれるフォトクロミック化合物の濃度等によっても異なるが、およそ0.1〜10μm程度が好ましい。
さらに、本発明のもう一つの特徴は、上述の画像表示媒体の表示層が、会合状態における色相が異なる2種以上のフォトクロミック化合物を含むように構成することである。
用いるフォトクロミック化合物が1種類の場合は、表示可能な色相も1種類であり、すなわち、モノクロ表示となるが、色相が異なる2種以上のフォトクロミック化合物を用いる場合は、それぞれのフォトクロミック化合物の発消色状態を制御して組み合わせることにより、非常に多くの色相の表示が可能となる。
さらに、本発明のもう一つの特徴は、図1に示すように、上述の画像表示媒体1の表示層が、会合状態においてイエローの色相を示す第1のフォトクロミック化合物を含む表示層(11)と、マゼンタの色相を示す第2のフォトクロミック化合物を含む表示層(12)と、シアンの色相を示す第3のフォトクロミック化合物を含む表示層(13)とを含むように構成することである。これによりカラー表示に必要な3原色が構成され、それぞれのフォトクロミック化合物発消色状態を制御して組み合わせることによりフルカラー画像の形成が可能となる。
上述したように、一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物は、紫外光照射によりメロシアニン構造に変化して発色し、加熱により会合体を形成するが、会合体形成の前後で吸収特性が変化するために色相が若干変化する。これを考慮して会合体が形成された状態での色相に着目してフォトクロミック化合物を設定する必要がある。
会合状態での色相が異なる複数種のフォトクロミック化合物を用いる場合は、それぞれの会合体の安定性が同程度であれば、消色していく過程で画像はその色調を維持しながら消色する。またそれぞれの会合体の安定性が異なれば、消色していく過程で画像はその色調を変化させながら消色することになる。
会合状態においてイエローの色相を示すフォトクロミック化合物としては、例えば8’−ブロモ−1,3−ジヒドロ−1−ヘキサデカデシル−5−メチル−5’−ヘプタデカネイトスピロ[2H−ベンゾ[d]オキサゾール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])、8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−ヘキサデカデシル−5−メトキシ−5’−ドコシルオキシスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])等が挙げられる。
会合状態においてマゼンタの色相を示すフォトクロミック化合物としては、例えば8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−ドデカデシル−5−メトキシ−5’−トリデカノイルオキシメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])、8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−ヘキサデカデシル−5−メトキシ−5’−ヘプタデカノイルオキシメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])等が挙げられる。
会合状態においてシアンの色相を示すフォトクロミック化合物としては、例えば1,3−ジヒドロ−5−(ジメチルアミノ)−1−ヘキサデカデシル−8’−ニトロ−5’−ヘプタデカンアミドスピロ[2H−ベンゾ[d]チアゾール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])、8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−5−(ジメチルアミノ)−1−ドデカデシル−5’−トリデカノイルオキシメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]等が挙げられる。
さらに、本発明のもう一つの特徴は、上述の画像表示媒体の表示層を、画像表示媒体(1)の表示層が、会合状態においてイエローの色相を示す第1のフォトクロミック化合物のみを含む表示層(11)と、マゼンタの色相を示す第2のフォトクロミック化合物をのみ含む表示層(12)と、シアンの色相を示す第3のフォトクロミック化合物をのみ含む表示層(13)とが積層された構造とすることである。
一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物が紫外光照射によりメロシアニン構造に変化して発色し、さらに加熱により安定な会合体を形成する工程において、前述したように長鎖化合物の存在下で会合体の形成効率が向上するが、特にポリマー中では実質的にはその効果によって会合体形成が可能になるといえる。そしてフォトクロミック化合物の構造により、実質的に会合体形成が可能になるための長鎖化合物の構造および濃度などの条件が異なる場合もある。そのような場合、それぞれのフォトクロミック化合物について適切な条件で表示層を形成し、それらを積層すればよい。
各表示層間に中間層を設けてもよい。
各層を積層する過程で、積層膜の形成方法によっては各層の境界近傍を中心として、各層の構成要素が混合する場合があるため、中間層を設けることによりこのような混合を防ぎ、結果として各層において適切な会合体形成が可能になる。
中間層を形成する材料としては、透明であるか、あるいは着色していてもその程度が小さく、表示層の形成に好適に用いられる塗布法で使用する有機溶媒に対し、ある程度の耐性を有するものが好ましく、シリコーン樹脂やPVA(ポリビニルアルコール)等が挙げられる。
形成方法は、表示層と同様であってどのような方法でもよいが、塗布法が簡便である。
次に、上述した画像表示媒体およびそれを、例えば、シート状の印刷体や光ディスクのレーベル記録面に印刷面を形成したものに対して、画像を形成および消去する装置に関して説明する。それに際して、まずは、画像を形成および消去する方法について説明する。
(モノクロ画像を形成する方法)
上述の画像表示媒体(表示層に含まれるフォトクロミック化合物が1種でも2種類以上でも)に対し、画像データに従い選択された領域に紫外光を照射する工程と、会合に必要な所定温度に昇温する工程を施すことで、モノクロ画像を形成することが可能となる。
また、消去に必要な所定温度に昇温する工程を施すことで画像の消去を行なうことが可能となる。
まず、表示層に含まれる全てのフォトクロミック化合物が消色している状態を初期状態として、これに形成したい画像に対応させたデータに基づき選択された領域に紫外光を照射して発色させることにより、モノクロ画像が形成される。
次に、表示層を例えば40〜50℃程度の温度に昇温させることにより表示層中に含まれるフォトクロミック化合物が会合体を形成して前記モノクロ画像は一旦安定化した後、用いたフォトクロミック化合物の構造を反映した速さで徐々に会合状態が解けて画像が消えていく。この画像が自然に消える前に画像を強制的に消去したい場合は、表示層を例えば80℃程度の温度に昇温させることにより表示層中に含まれるフォトクロミック化合物の会合状態が解消色して画像は消去される。
選択された領域に紫外光を照射する方法としては、ランプ状のUV光源とアレイ型あるいは面型のシャッターを組み合わせる方法、それ自体で照射のON/OFFを制御できるUVアレイ光源を用いる方法、あるいはUVレーザースキャンなどが挙げられる。
会合に必要な所定温度に昇温させる手段としては、ヒートローラー、サーマルヘッド、ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーターなどをはじめとする従来のヒーター類を用いることができ、前記ヒーター類の加熱温度や、画像表示媒体との近接距離と時間、あるいは当接圧と時間などの条件により、画像表示媒体の感光層の加熱温度、加熱時間などを調整できる。したがって、これらは、消去に必要な所定温度に昇温させる手段としても用いることができる。
(多色画像を形成する方法)
上述の画像表示媒体に対し、紫外光を照射することによって表示層に含有される全てのフォトクロミック化合物を発色させる工程と、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を画像データに基づき照射してフォトクロミック化合物を選択的に消色する工程と、会合に必要な所定温度に昇温する工程を施すことで、表示層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類の画像表示媒体に対してはモノクロ画像が形成され、表示層に含まれるフォトクロミック化合物が2種類以上の画像表示媒体に
対しては多色画像を形成することができる。
まず、表示層全面に紫外光を照射して表示層に含まれる全てのフォトクロミック化合物を発色させる。
次に形成したい画像に対応させて、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を、画像データに基づき選択された領域に照射してフォトクロミック化合物を選択的に消色することにより、所望の画像が形成される。
次に、表示層を例えば40〜50℃程度の温度に昇温させることにより表示層中に含まれるフォトクロミック化合物が会合体を形成して前記画像は一旦安定化した後、用いたフォトクロミック化合物の構造を反映した速さで徐々に会合状態が解けて画像が消えていく。この画像が自然に消える前に画像を強制的に消去したい場合は、表示層を例えば80℃程度の温度に昇温させることにより表示層中に含まれるフォトクロミック化合物の会合状態が解消色して画像は消去される。
表示層全面に紫外光を照射する方法としては、水銀ランプやキセノンランプなどに光学フィルターを組み合わせて所望の波長域の紫外光を取り出して用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。
選択された領域に可視光を照射する方法としては、白色光光源に光学フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。
所望の領域にのみ照射する方法としては、例えば微小な領域ごとに照射のON/OFFが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイと、画像表示媒体とを相対的に移動させながら光源アレイの各発光面の照射のON/OFFを制御することによっても可能となる。
会合に必要な所定温度に昇温させる手段としては、ヒートローラー、サーマルヘッド、ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーターなどをはじめとする従来のヒーター類を用いることができ、前記ヒーター類の加熱温度や、画像表示媒体との近接距離と時間、あるいは当接圧と時間などの条件により、画像表示媒体の感光層の加熱温度、加熱時間などを調整できる。したがってこれらは、消去に必要な所定温度に昇温させる手段としても用いることができる。
さらに、本発明のもう一つの特徴は、上述の画像表示媒体に対し、画像データに対応して選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段、および画像安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段を備えた装置を構築することである。
本発明における画像表示媒体に用いる支持基体はシート状に限らずどんな形状でもよいが、ここではシート状の画像表示媒体を例にとってモノクロ画像の形成および消去が可能な装置の構成例および動作を図3を用いて説明する。
図3は、本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体でモノクロ画像形成を行なう画像形成装置の一例を示す模式図である。
本発明にかかるシート状の画像表示媒体(1)が、画像形成装置(20)のシート載置台(26)上にセットされる。画像表示媒体(1)は、支持基体(10)上に本発明にかかるフォトクロミック化合物を含む表示層が設けられている。支持基体(10)の色は白色であり、フォトクロミック化合物が発色していない状態においては、画像表示媒体(1)は白色を呈している。
画像表示媒体(1)が、挿入口(21)から搬送ローラ(22)によって画像形成装置(20)内に搬送される。紫外光照射手段(24)により、形成したい画像に対応させて選択された領域に紫外光を照射して発色させることによりモノクロ画像を形成する。この紫外光照射手段(24)は、ランプ状のUV光源とアレイ型あるいは面型のシャッターを組み合わせる方法、それ自体で照射のON/OFFを制御できるUVアレイ光源を用いる方法、あるいはUVレーザースキャンなどで構成される。
紫外光照射手段(24)により、表示層にモノクロ画像が形成された画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(22)により更に送られ、加熱手段(25)により、会合に必要な所定温度に昇温して画像が一旦安定化される。会合に必要な所定温度に昇温させる手段としては、ヒートローラー、サーマルヘッド、ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーターなどが用いられる。
加熱手段(25)により、画像の安定化処理が終わった画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(23)により搬送され、排出口(29)より排出され、排紙トレイ(27)上に排出される。
例えば、このような構成で装置を作製することで、モノクロ画像の形成が可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態につき説明する。
第3の実施形態は、図4に示すように、上述の画像表示媒体に対し、選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段(24)と、画像安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する第二加熱手段(25b)、および形成された画像の消去に必要な所定温度に表示層を昇温する第一加熱手段(25a)を備えたものである。
図4は、本発明の第3の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体をモノクロ画像形成および消去を行なう画像形成装置の一例を示す模式図である。
本発明にかかるシート状の画像表示媒体(1)が、画像形成装置(20)のシート載置台(30)上にセットされる。画像表示媒体(1)は、支持基体(10)上に本発明にかかるフォトクロミック化合物を含む表示層が設けられている。支持基体(10)の色は白色であり、フォトクロミック化合物が発色していない状態においては、画像表示媒体(1)は白色を呈している。
画像表示媒体(1)が、挿入口(21)から搬送ローラ(22)によって画像形成装置(20)内に搬送される。必要に応じて第一加熱手段(25a)により、表示層を画像の消去に必要な所定温度に昇温して画像を消去する。そして、紫外光照射手段(24)により、形成したい画像に対応させて選択された領域に紫外光を照射して発色させることによりモノクロ画像を形成する。
紫外光照射手段(24)により、表示層にモノクロ画像が形成された画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(22)により更に送られ、第二加熱手段(25b)により、会合に必要な所定温度に昇温して画像が一旦安定化される。
第二加熱手段(25b)により、画像の安定化処理が終わった画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(23)により搬送され、排出口(29)より排出され、排紙トレイ(27)上に排出される。
例えば、このような構成で装置を作製することで、モノクロ画像の形成及び消去が可能となる。
上記した構成例では、消去用の第一加熱手段(25a)と、画像安定化用の第二加熱手段(25b)をそれぞれ別に設けたが、一つの加熱手段のみを用いて消去工程および安定化工程のそれぞれに必要な温度に加熱して使い分けてもよい。
その場合、画像表示媒体(1)は、搬送されながら加熱手段による消去工程および紫外光照射手段(24)による画像形成工程を経た後に、再び加熱手段に搬送されて安定化工程が行なわれるように装置を構成することが必要となるが、様々な構成が考えられる。
次に、本発明の第5の実施形態につき説明する。
この実施形態は、図5に示すように、上述の画像表示媒体(1)に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段(24)と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を照射する可視光照射手段(26)、および画像安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段(25)を備えて構成するものである。
図5を用いて、この第5の実施形態の構成例および動作を説明する。
本発明にかかるシート状の画像表示媒体(1)が、画像形成装置(20)のシート載置台(30)上にセットされる。画像表示媒体(1)は、支持基体(10)上に本発明にかかるフォトクロミック化合物を含む表示層が設けられている。支持基体(10)の色は白色であり、フォトクロミック化合物が発色していない状態においては、画像表示媒体(1)は白色を呈している。
画像表示媒体(1)が、挿入口(21)から搬送ローラ(22)によって画像形成装置(20)内に搬送される。必要に応じて加熱手段(25)により表示層を画像の消去に必要な所定温度に昇温して画像を消去する。そして、紫外光照射手段(24)により、表示層中に含まれる全てのフォトクロミック化合物を発色させる。
そして、搬送ローラ(22)により、発色された画像表示媒体(1)は、可視光照射手段(26)へ送られる。可視光照射手段(26)により、形成したい画像に対応させて、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射して、図1に示すように、フォトクロミック化合物を選択的に消色させる。選択的に消色させることにより、所望の画像が形成される。
次に、加熱手段(25)により、表示層を会合に必要な所定温度に昇温して画像を一旦安定化させ、排出口(29)から装置外に排出する。例えば、このような構成で装置を作製することでモノクロ画像または多色画像の形成が可能となる。
次に、本発明の第7の実施形態は、図6に示すように、上述の画像表示媒体に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段(24)と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を照射する可視光照射手段(26)と、画像安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する第二加熱手段(25b)、および形成された画像の消去に必要な所定温度に表示層を昇温する第一加熱手段(25a)を備えたものである。
図6は、本発明の第7の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体を多色画像形成又はモノクロ画像形成および消去を行なう画像形成装置の一例を示す模式図である。
本発明にかかるシート状の画像表示媒体(1)が、画像形成装置(20)のシート載置台(30)上にセットされる。画像表示媒体(1)は、支持基体(10)上に本発明にかかるフォトクロミック化合物を含む3つの表示層が積層して設けられている。支持基体(10)の色は白色であり、フォトクロミック化合物が発色していない状態においては、画像表示媒体(1)は白色を呈している。
画像表示媒体(1)が、挿入口(21)から搬送ローラ(22)によって画像形成装置(20)内に搬送される。必要に応じて第一加熱手段(25a)により表示層を画像の消去に必要な所定温度に昇温して画像を消去する。そして、紫外光照射手段(24)により、紫外光を照射して、表示層に含まれる全てのフォトクロミック化合物を発色させる。
可視光照射手段(26)により、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射してフォトクロミック化合物を選択的に消色することにより、所望の画像を形成する。
表示層に画像が形成された画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(22)により更に送られ、第二加熱手段(25b)により、会合に必要な所定温度に昇温して画像が一旦安定化される。
第二加熱手段(25b)により、画像の安定化処理が終わった画像表示媒体(1)は、搬送ローラ(23)により搬送され、排出口(29)より排出され、排紙トレイ(27)上に排出される。
例えばこのような構成で装置を作製することで、カラー画像又はモノクロ画像の形成および消去が可能となる。
上記した構成例では、消去用の第一加熱手段(25a)と画像安定化用の第二加熱手段(25b)をそれぞれ別に設けたが、一つの加熱手段のみを用いて消去工程および安定化工程のそれぞれに必要な温度に加熱して使い分けてもよい。
その場合、画像表示媒体(1)は、搬送されながら加熱手段による消去工程および紫外光照射手段(24)による画像形成工程を経た後に、再び加熱手段に搬送されて安定化工程が行なわれるように装置を構成することが必要となるが、様々な構成が考えられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
フォトクロミック化合物として、8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−ドデカデシル−5−メトキシ−5’−トリデカノイルオキシメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])を用い、長鎖化合物としてn−オクタデカンを用い、ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いた。
20重両部のフォトクロミック化合物に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い、塗布液を調製して石英基板上にキャスト膜(2μm)を作製した。
光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、300〜400nmの範囲に吸収帯が認められ、無色であった。
これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ青に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は570nmであった。
これをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、色相がマゼンタ色に変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は532nmであった。
これを再びセラミックヒーターで加熱して一時的に80℃に昇温させたところ、無色に戻り、可視域に吸収は見られなかった。
次に、上と同様の処方によるキャスト膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA(ポリビニルアルコール)膜(2μm)を形成し、画像表示媒体を作製した。
このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
次に、この画像表示媒体を2つ準備し、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させてマゼンタ色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約10分で消色した。
これらの画像表示媒体に対し、366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合、さらに80℃に昇温させて消去のサイクルを100回繰り返した後、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させ、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させてマゼンタ色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、やはり表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約10分で消色した。
(実施例2〜40、比較例1〜9)
実施例1に用いたフォトクロミック化合物の長鎖構造部位(一般式(I)におけるRおよびR)の炭素数が表1のようである化合物を用い、実施例1と同様の手順で白色PET上にキャスト膜を作製し、さらに同様の手順で366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合処理を行ない、暗所と蛍光灯照明下に置き、消色に要する時間を調べ表1に記載した。
なお、それぞれに対して366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合、さらに80℃に昇温させて消去のサイクルを100回繰り返した後で再度上記方法で暗所下および蛍光灯照明下での消色時間を調べたところ、初回の結果すなわち表1に記載した結果と同様であった。
また表1で用いたフォトクロミック化合物の会合状態における色相は全てマゼンタ色であった。
Figure 0005645045
以上から、フォトクロミック化合物の2つの長鎖構造部位(一般式(I)におけるRおよびR)が、2つとも炭素数18以上であれば、形成された会合体の安定性が非常に大きく、一方が17以下であればもう一方が18以上であっても会合体の充分な安定性は確保されずに、会合体は徐々に解けて消色することが確認された。
表1には記載していないが、フォトクロミック化合物の2つの長鎖構造(一般式(I)におけるRおよびR)が、炭素数11以下のものについても多数試したが、2つの長鎖構造のうち少なくとも一方が炭素数11以下の場合には会合体の形成を確認することができなかった。
すなわち紫外光照射をやめたとたんに急速に消色してしまい、会合体の形成には2つの長鎖構造の炭素数が12以上である必要があることがわかった。
(実施例41)
フォトクロミック化合物として、1,3−ジヒドロ−5−(ジメチルアミノ)−1−ヘキサデカデシル−8’−ニトロ−5’−ヘプタデカンアミドスピロ[2H−ベンゾ[d]チアゾール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])(以下「PC1」と記す。)を用い、長鎖化合物としてn−オクタデカンを用い、ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いた。
20重両部のPC1に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い、塗布液を調製して石英基板上にキャスト膜(2μm)を作製した。
光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、300〜400nmの範囲に吸収帯が認められ、無色であった。
これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ青に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は630nmであった。
これをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、色相がマゼンタ色に変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は645nmであった。
これを再びセラミックヒーターで加熱して一時的に80℃に昇温させたところ、無色に戻り、可視域に吸収は見られなかった。
次に、上と同様の処方によるキャスト膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA(ポリビニルアルコール)膜(2μm)を形成し、画像表示媒体を作製した。
このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
次に、この画像表示媒体を2つ準備し、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させてシアン色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約3時間で消色した。
これらの画像表示媒体に対し、366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合、さらに80℃に昇温させて消去のサイクルを100回繰り返した後、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させ、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させてシアン色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、やはり表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約3時間で消色した。
(実施例42)
フォトクロミック化合物として、PC1および実施例17で用いたフォトクロミック化合物(以下「PC2」と記す。)を用い、長鎖化合物としてはn−オクタデカンを用い、ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いた。
20重量部ずつのPC1およびPC2に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い塗布液を調製して、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上にキャスト膜(2μm)を形成し、さらに保護層としてPVA(ポリビニルアルコール)膜(2μm)を形成して画像表示媒体を作製した。
このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の表示層に366nmの紫外光を照射するとPC1、PC2ともに発色し、青緑色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び表示層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。
この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長630nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青紫を呈した。
また、別の一部に中心波長570nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は青を呈した。
これらをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、青紫色だった部分はマゼンタを呈し、青色だった部分はシアンを呈した。これらは暗所においても、蛍光灯照明下においても、やはり表示層の色は徐々に薄くなり、全て約3時間で消色した。
(実施例43)
フォトクロミック化合物として、8’−ブロモ−1,3−ジヒドロ−1−ヘキサデカデシル−5−メチル−5’−ヘプタデカネイトスピロ[2H−ベンゾ[d]オキサゾール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])(以下、「PC3」と記す。)を用い、長鎖化合物としてn−オクタデカンを用い、ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いた。
20重両部のPC3に対し、オクタデカノン酸オクタデカノイルアミドを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い、塗布液を調製して石英基板上にキャスト膜(2μm)を作製した。
光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、300〜400nmの範囲に吸収帯が認められ、無色であった。
これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ赤色に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は495nmであった。
これをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、色相が黄色に変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は465nmであった。
これを再びセラミックヒーターで加熱して一時的に80℃に昇温させたところ、無色に戻り、可視域に吸収は見られなかった。
次に、上と同様の処方によるキャスト膜(2μm)を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA(ポリビニルアルコール)膜(2μm)を形成し、画像表示媒体を作製した。
このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
次に、この画像表示媒体を2つ準備し、表示層の一部に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させて黄色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約3時間で消色した。
これらの画像表示媒体に対し、366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合、さらに80℃に昇温させて消去のサイクルを100回繰り返した後、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させて黄色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、やはり表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約3時間で消色した。
(実施例44)
フォトクロミック化合物として、8’−シアノ−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−ヘキサデカデシル−5−メトキシ−5’−ドコシルオキシスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン])を用い、長鎖化合物としてn−オクタデカンを用い、ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いた。
20重両部のPC3に対し、オクタデカノン酸オクタデカノイルアミドを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い、塗布液を調製して石英基板上にキャスト膜(2μm)を作製した。光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、300〜400nmの範囲に吸収帯が認められ、無色であった。
これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ赤色に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は498nmであった。
これをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、色相が黄色に変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は470nmであった。
これを再びセラミックヒーターで加熱して一時的に80℃に昇温させたところ、無色に戻り、可視域に吸収は見られなかった。
次に、上と同様の処方によるキャスト膜(2μm)を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA(ポリビニルアルコール)膜(2μm)を形成し、画像表示媒体を作製した。このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
次に、この画像表示媒体を2つ準備し、表示層の一部に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させて黄色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約50時間で消色した。
これらの画像表示媒体に対し、366nmの紫外光の照射による発色および45℃への昇温による会合、さらに80℃に昇温させて消去のサイクルを100回繰り返した後、表示層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、セラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させて黄色に変化させ、1つを暗所に、もう一つを蛍光灯照明下に置いたところ、やはり表示層の色は徐々に薄くなり、両方とも約50時間で消色した。
(実施例45)
20重量部のPC2に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。溶媒としてトルエンを用い塗布液を調製して、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ188μm)上にキャスト膜(2μm)を形成し、PVAによる中間層(2μm)を介して、その上に、20重量部のPC1に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加した。
溶媒としてトルエンを用いた塗布液によるキャスト膜(2μm)を形成し、さらに、PVAによる中間層(2μm)を介して、その上に、20重量部のPC3に対し、n−オクタデカンを20重量部添加し、ポリメタクリル酸メチルを80重量部添加し、溶媒としてトルエンを用いた塗布液によるキャスト膜(2μm)を形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成して画像表示媒体を作製した。
このようにして形成した表示層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の表示層に、366nmの紫外光を照射するとPC1、PC2、PC3すべてが発色し、黒色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び表示層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。
この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長500nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC3が選択的に消色され、照射部は青緑色を呈した。また、別の一部に中心波長570nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青紫色を呈した。
また、別の一部に中心波長630nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は赤紫色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び表示層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。
この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長500nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC3が選択的に消色され、照射部は青緑色を呈した。また、別の一部に中心波長570nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青紫色を呈した。
また、別の一部に中心波長630nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は赤紫色を呈した。
これらをセラミックヒーターで加熱して45℃に昇温させたところ、青緑色だった部分は青色を呈し、青紫色だった部分は緑色を呈し、赤紫色だった部分は赤色を呈した。これらを暗所下および蛍光灯照明下に置いたところ、どちらの場合も前記青色、緑色、および赤色の部分はいずれも約3時間で消色した。
(実施例46)
図4に示す構成の画像形成および画像消去が可能な装置を作製した。画像消去用の第一加熱手段(25a)及び画像安定化用の第二加熱手段(25b)はともにセラミックヒータを用い、画像表示媒体の表示層をそれぞれ80℃および45℃に昇温できるように構成した。
紫外光照射手段としてはUV−LEDアレイ(380nm、200dpI)を用いた。
本実施例で作製した装置を用い、実施例1および実施例44で作製した画像表示媒体に対して画像を形成したところ、それぞれシアン色および黒のモノクロ画像が形成された。
これらの画像表示媒体を2つずつ準備し、暗所下および蛍光灯照明下においたところ、シアン色の画像は暗所下および蛍光灯照明下ともに約40分で消色し、黒の画像は暗所下および蛍光灯照明下ともに約5時間で消色した。
(実施例47)
図6に示す構成の画像形成および画像消去が可能な装置を作製した。
画像消去用の第一加熱手段及び画像安定化用の第二加熱手段はともにセラミックヒータを用い、画像表示媒体の表示層をそれぞれ80℃および45℃に昇温できるように構成した。紫外光照射手段としてはブラックライトを用い、可視光照射手段としてはRGB−LEDアレイ(500nm、570nm、640nm、200dpI)を用いた。
実施例44で作製した画像表示媒体に対し、本実施例で作製した装置を用いて画像を形成したところ、フルカラー画像が形成された。この画像表示媒体を2つ準備し、暗所下および蛍光灯照明下においたところ、両者ともに約5時間で消色した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、所謂電子ペーパー、表示シート、カード型メディア、ディスク型メディア、ラベル、テープなどに利用することができる。
本発明に用いられる画像表示媒体の構成を示す模式図である。 フォトクロミック化合物の吸光度と波長との関係を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体をモノクロ画像形成を行なう画像形成装置を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体をモノクロ画像形成および消去を行なう画像形成装置を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体をモノクロ画像形成および消去を行なう画像形成装置を示す模式図である。 本発明の第7の実施形態を示し、シート状の画像表示媒体を多色画像形成又はモノクロ画像形成および消去を行なう画像形成装置を示す模式図である。
符号の説明
[図1・2について]
1 画像表示媒体
10 支持基体
11 表示層
12 表示層
13 表示層
[図3・図4・図5・図6について]
1 画像表示媒体
20 画像形成装置
21 挿入口
22 搬送ローラ
23 搬送ローラ
24 紫外光照射手段
25 加熱手段
25a 第一加熱手段
25b 第二加熱手段
26 可視光照射手段
27 排紙トレイ
29 排出口
30 シート載置台

Claims (10)

  1. 一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物および炭素数12以上の長鎖化合物を含み、該長鎖化合物が炭素数12以上22以下のアルカンまたはエステルであるフォトクロミック組成物。
    Figure 0005645045
    (ただし、XはO、S、C(CHのいずれかである。Yは存在しないか、あるいは―CHOCO―、―NHCO―、―O―、―OCO―の中から選択される一つである。R、Rは双方とも炭素数12以上22以下のアルキル基であって、かつ少なくとも一方は炭素数17以下の直鎖アルキル基である。R〜R12は、それぞれ独立して水素または置換基であり、R〜Rのうちの少なくとも一つはハロゲン原子、アルデヒド基、エステル基、カルボン酸基、アシル基、ケトン基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基から選択される電子求引基であり、R〜R12のうちの少なくとも一つはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、複素環から選択される電子供与基である。)
  2. 前記長鎖化合物がn−ヘキサデカン、n−ペンタデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ドコサン、ステアリン酸メチルのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミック組成物
  3. 請求項1または2に記載のフォトクロミック組成物による表示層が支持基体上に形成されていることを特徴とする画像表示媒体。
  4. 会合状態における色相が異なる2種以上のフォトクロミック化合物を表示層中に含むことを特徴とする請求項3に記載の画像表示媒体。
  5. 会合状態においてイエローの色相を示す第1のフォトクロミック化合物と、マゼンタの色相を示す第2のフォトクロミック化合物と、シアンの色相を示す第3のフォトクロミック化合物とを表示層中に含むことを特徴とする請求項3に記載の画像表示媒体。
  6. 前記表示層が、前記第1のフォトクロミック化合物のみを含む表示層と、前記第2のフォトクロミック化合物のみを含む表示層と、前記第3のフォトクロミック化合物のみを含む表示層が積層された構造であることを特徴とする請求項5に記載の画像表示媒体。
  7. 請求項3乃至6のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項3乃至6のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、選択された領域に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色安定化に必要な第一の所定温度に表示層を昇温する加熱手段と、消色に必要な第二の所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項3乃至6のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射する可視光照射手段と、発色安定化に必要な所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項3乃至6のいずれかに記載の画像表示媒体に対し、表示層に紫外光を照射する紫外光照射手段と、発色状態における各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を選択された領域に照射する可視光照射手段と、発色安定化に必要な第一の所定温度に表示層を昇温する加熱手段と、消色に必要な第二の所定温度に表示層を昇温する加熱手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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