JP2003177491A - 多色画像表示方法および装置 - Google Patents

多色画像表示方法および装置

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JP2003177491A JP2001374685A JP2001374685A JP2003177491A JP 2003177491 A JP2003177491 A JP 2003177491A JP 2001374685 A JP2001374685 A JP 2001374685A JP 2001374685 A JP2001374685 A JP 2001374685A JP 2003177491 A JP2003177491 A JP 2003177491A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外光源を必要としない、光書き込みによ
る、書き換え型の多色画像表示方法および装置を提供す
る。 【解決手段】 発色状態における極大吸収波長が異な
る、2種類以上の逆フォトクロミック性を示すフォトク
ロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してな
る画像表示媒体(1)に対して、少なくとも、加熱する
ことにより感光層に含有される全種類のフォトクロミッ
ク化合物を発色させる工程と、発色した各々のフォトク
ロミック化合物の極大吸収波長に対応する波長域の可視
光を画像信号に応じて照射することにより各フォトクロ
ミック化合物を選択的に消色させる工程とを施すことに
よって、画像表示媒体(1)に画像を表示する多色画像
表示方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像表示方法およ
び装置に関し、詳しくは、加熱及び/又は光照射により
カラー画像の書き込みおよび消去の繰り返しが可能な多
色画像表示方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光照射により可逆的な色変化を示すフォ
トクロミック化合物を用いた書き換え型の表示媒体に関
する提案は以前からなされてはいるが、フルカラー画像
を何度も書き換えできる実用的な方法および装置に関す
る提案は見あたらない。
【0003】フォトクロミック化合物を用いてカラー画
像を形成する方法としては、例えば特開平5−2716
49号公報に開示されているように、254nmの紫外
光照射で黄橙色、313nmの紫外光照射で赤色、36
5nmの紫外光照射で青紫色に発色するフォトクロミッ
ク性ジアリールエテン化合物を3種類混合して、それぞ
れの波長の紫外光を照射する方法が提案されている。フ
ルカラー画像を形成するためには、3原色(青、緑、赤
またはイエロー、マゼンタ、シアン)を発色する3種類
以上のフォトクロミック化合物を用い、3種類の紫外光
波長域により各化合物の発色の有無を選択できることが
必要である。つまり、紫外域での吸収帯に重なりがない
3種類以上のフォトクロミック化合物であって、さらに
それらの化合物が発色状態において上記3原色を示さな
ければならないが、そのような化合物の系は実際には見
あたらない。
【0004】また、特開平7−199401号公報にお
いては、発色状態でイエロー、マゼンタ、シアンを示す
3種類のフォトクロミック性フルギド化合物に対して、
366nmの紫外光で全フォトクロミック化合物を発色
させた後にカラーポジフィルム越しに白色光を照射して
各化合物を選択的に消色する方法が提案されている。こ
の方法では、紫外光が1種類だけであるという利点があ
るが、366nmの紫外光で使用する全ての化合物を発
色させる必要があるという点で、材料選択の幅がせばま
る。
【0005】このように、従来の方法では、用いる紫外
光源の発光波長分布特性と、使用する各フォトクロミッ
ク化合物の消色状態における吸収特性のマッチングを考
慮する必要がある。すなわち、用いる紫外光源の発光強
度が充分に確保できる波長域と、使用する各フォトクロ
ミック化合物の消色状態における吸収帯(吸収を示す波
長域)とが重なりを持つように設定する必要があり、例
えば前者(特開平5−271649号公報)では消色状
態における吸収帯がかなり離れた3つの材料それぞれに
対応した発光波長をもつ紫外光源が必要となるし、後者
(特開平7−199401号公報)では1種類の紫外光
源で対応するために、消色状態における吸収帯が、その
光源の発光波長域と重なりを持つような材料を選択する
必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術の状況および問題を鑑みてなされたものであり、紫
外光源を必要としない、光書き込みによる、書き換え型
の多色画像表示方法および装置を提供することを課題と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、発色状態における極大吸
収波長が異なる、2種類以上の逆フォトクロミック性を
示すフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上
に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくとも、加
熱することにより感光層に含有される全種類のフォトク
ロミック化合物を発色させる工程(発色工程)と、発色
した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対
応する波長域の可視光を画像信号に応じて照射すること
により各フォトクロミック化合物を選択的に消色させる
工程(消色工程)とを施すことによって、画像表示媒体
に画像を表示する多色画像表示方法とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、発色状態におけ
る極大吸収波長が異なる、2種類以上の逆フォトクロミ
ック性を示すフォトクロミック化合物と、ナフタロシア
ニン系色素及びシアニン系色素のうち少なくとも一種と
を含む感光層を支持基板上に形成してなる画像表示媒体
に対して、少なくとも、赤外光を照射することにより感
光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発
色させる工程(発色工程)と、発色した各々のフォトク
ロミック化合物の極大吸収波長に対応する波長域の可視
光を画像信号に応じて照射することにより各フォトクロ
ミック化合物を選択的に消色する工程(消色工程)とを
施すことによって、画像表示媒体に画像を表示する多色
画像表示方法とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、前記フォトクロ
ミック化合物が、その発色状態における極大吸収波長が
400nm以上500nm未満の範囲にある化合物と、
500nm以上600nm未満の範囲にある化合物と、
600nm以上700nm未満の範囲にある化合物とを
含有する請求項1又は2に記載の多色画像表示方法とす
る。請求項4に記載の発明は、前記発色工程における画
像表示媒体への加熱もしくは赤外線の照射が画像表示部
全面に対して行なわれる請求項1又は2に記載の多色画
像表示方法とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、前記発色工程に
おける画像表示媒体の加熱温度が可変である請求項1又
は3又は4に記載の多色画像表示方法とする。請求項6
に記載の発明は、前記発色工程における画像表示媒体の
加熱時間が可変である請求項1又は3又は4に記載の多
色画像表示方法とする。
【0011】請求項7に記載の発明は、前記発色工程に
おける画像表示媒体へ照射される赤外光の強度が可変で
ある請求項2ないし4のいずれかに記載の多色画像表示
方法とする。請求項8に記載の発明は、前記発色工程に
おける画像表示媒体へ照射される赤外光の照射時間が可
変である請求項2ないし4のいずれかに記載の多色画像
表示方法とする。
【0012】請求項9に記載の発明は、前記消色工程に
おける各波長の可視光の照射強度が可変である請求項1
ないし8のいずれかに記載の多色画像表示方法とする。
請求項10に記載の発明は、前記消色工程おける各波長
の可視光の照射時間が可変である請求項1ないし8のい
ずれかに記載の多色画像表示方法とする。
【0013】請求項11に記載の発明は、前記消色工程
で用いる各波長の可視光光源は、白色光光源と光学フィ
ルターから構成される請求項1ないし10のいずれかに
記載の多色画像表示方法とする。請求項12に記載の発
明は、前記消色工程で用いる各波長の可視光光源は、そ
れぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子から構成され
る請求項1ないし10のいずれかに記載の多色画像表示
方法とする。請求項13に記載の発明は、白色光を画像
表示部全面に照射する工程を含む請求項1ないし12に
記載の多色画像表示方法とする。請求項14に記載の発
明は、前記感光層は、表面に保護層が形成されたものを
用いる請求項1ないし3のいずれかに記載の多色画像表
示方法とする。
【0014】請求項15に記載の発明は、ライン状の加
熱素子および可視光光源を備え、これら光源系と画像表
示媒体とを相対的に移動させながら、請求項1又は3な
いし6又は9ないし14のいずれかに記載の多色画像表
示方法を用いて画像を表示する多色画像表示装置とす
る。請求項16に記載の発明は、ライン状の赤外光光源
および可視光光源を備え、これら光源系と画像表示媒体
とを相対的に移動させながら、請求項2ないし4又は7
ないし14のいずれかに記載の多色画像表示方法を用い
て画像を表示する多色画像表示装置とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。本発明の第一の実施形態である多色画像表示方法
は、支持基板上に感光層を形成してなる画像表示媒体に
対して、少なくとも、加熱することにより感光層に含有
される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工
程(発色工程)と、発色した各々のフォトクロミック化
合物の極大吸収波長に対応する波長域の可視光を画像信
号に応じて照射することにより各フォトクロミック化合
物を選択的に消色させる工程(消色工程)とを含むもの
である。
【0016】まず、画像表示媒体について説明する。画
像表示媒体の感光層は、発色状態における極大吸収波長
が異なる、2種類以上の逆フォトクロミック性を示すフ
ォトクロミック化合物を含んでいる。発色状態における
極大吸収波長が異なるということは、つまり認識され
る”色”が異なるということであるが、この極大吸収波
長は、表示に用いたい”色”に対応して設定されればよ
い。また、多色の画像表示を行うために、フォトクロミ
ック化合物は2種類以上必要であるが、その種類につい
ても、表示に用いたい”色”の数に対応して設定されれ
ばよい。逆フォトクロミック性を示すフォトクロミック
化合物は、消色状態よりも発色状態の方が熱的に安定で
あり、消色状態から発色状態への変化は、紫外光照射に
よっても生じるが、加熱によっても生じることを特徴と
する。このような化合物を複数種類含む感光層におい
て、全ての化合物を発色させようとした場合、消色状態
における吸収帯が各化合物でかなり異なっていても、加
熱により容易に全ての化合物を発色状態に変化させるこ
とができる。
【0017】好ましくは、フォトクロミック化合物は、
その発色状態における極大吸収波長が、400nm以上
500nm未満の範囲にある化合物と、500nm以上
600nm未満の範囲にある化合物と、600nm以上
700nm未満の範囲にある化合物とを含有することが
よい。これらのフォトクロミック化合物の発色状態にお
いて認識される色は、それぞれイエロー、マゼンタ、シ
アンに概ね相当し、これらにより3原色が構成されるた
め、フルカラーの画像表示が可能となる。更には、これ
らのフォトクロミック化合物は、それぞれの可視域にお
ける吸収帯の重なりが小さいことが好ましい。重なりが
大きい場合には、特定のフォトクロミック化合物を消色
しようとした際に他のフォトクロミック化合物もある程
度消色してしまうため、所望の色が得られにくくなるか
らである。
【0018】発色状態における極大吸収波長が400n
m以上500nm未満の範囲にある、逆フォトクロミッ
ク性を有するフォトクロミック化合物としては、例え
ば、
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】 等が挙げられる。
【0021】発色状態における極大吸収波長が500n
m以上600nm未満の範囲にある、逆フォトクロミッ
ク性を有するフォトクロミック化合物としては、例え
ば、
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】 等が挙げられる。
【0025】発色状態における極大吸収波長が600n
m以上700nm未満の範囲にある、逆フォトクロミッ
ク性を有するフォトクロミック化合物としては、例え
ば、
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】 等が挙げられる。
【0028】感光層を構成する材料としては、上記のフ
ォトクロミック化合物のほかに、バインダー材料がある
が、フォトクロミック化合物のフォトクロミズム機能に
悪影響を与えることがなく、またフォトクロミック化合
物と相溶性が良く、成膜可能であり、硬化後の透明性に
優れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材
料としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポ
リメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢
酸ビニルなどが挙げられる。また、支持基板としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォ
ン、ポリカーボネートなどのような透明材料、および紙
などの不透明材料を用いることができる。
【0029】支持基板上に感光層を形成する方法として
は、塗布法、蒸着法等が挙げられるが、塗布法が簡便で
あり、フォトクロミック化合物及びバインダー材料をと
もに溶媒に溶かして、印刷法、スピンコート法などの方
法により塗布し、乾燥して成膜すればよい。複数のフォ
トクロミック化合物は、所定の混合比で均一に混合され
てバインダー材料とともに単一層の感光層を形成しても
よいし、またそれぞれのフォトクロミック化合物とバイ
ンダー材料とからなる感光層を積層して複数層の感光層
を形成してもよい。複数層を形成する場合は、隣り合う
層どうしが混合しないように層間に分離層を形成するこ
とが好ましい。分離層は感光層中のバインダー材料及び
フォトクロミック化合物を溶解しない溶媒を用いた成膜
用溶液を塗布することによって形成できる。
【0030】加えて、画像表示媒体の感光層の表面は、
保護層が形成されていることが望ましい。保護層を形成
することにより、水分や特定のガス等によって、感光層
を構成するフォトクロミック化合物のフォトクロミズム
機能発現に関わる反応が阻害されることを防ぎ、また機
械的損傷についても有効に保護することができ、画像表
示媒体の耐久性が向上する。保護層の材料としては、透
明性が高く、硬度が高い点でシリコーン樹脂またはアク
リル樹脂が好適に用いられる。
【0031】本発明の多色画像表示方法は、上記のよう
にして構成される画像表示媒体に対して、第一に、加熱
により感光層に含有される全種類のフォトクロミック化
合物を発色させる工程(発色工程)を含む。画像表示媒
体を加熱する方法としては、各種の加熱素子あるいはそ
れにより加熱された部材を、画像表示媒体に接触させる
方法や、接触させずに放射熱を用いる方法、加熱素子に
より加熱された他の媒体(例えば空気など)を画像表示
媒体に送り込んで加熱する方法などが用いられる。
【0032】本発明の多色画像表示方法は、第二に、画
像表示媒体に対して、発色した各々のフォトクロミック
化合物の極大吸収波長に対応する波長域の可視光を画像
信号に応じて照射することにより、各々のフォトクロミ
ック化合物を選択的に消色させる工程(消色工程)を含
む。可視光を照射する光源としては、白色光光源に光学
フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用いてもよ
いし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光
素子を用いてもよい。可視光光源の各波長は、使用する
フォトクロミック化合物の発色体の極大吸収波長に対応
させて設定されるが、光反応収率の波長依存性を考慮し
たり、または他のフォトクロミック化合物の発色体が吸
収する波長域との関係を考慮して、より短波長側、ある
いはより長波長側に設定することがある。このように可
視光光源の好ましい波長の設定は、使用するフォトクロ
ミック化合物によって異なる。可視光光源を白色光光源
と光学フィルターから構成すれば、光学フィルターの形
成条件、または交換設置等により、波長の調整が容易に
できる。また、可視光光源をLEDやLD等のようなそ
れぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子から構成する
ことで、光の利用効率が高く、照射強度の確保も容易に
なり、消費エネルギーの低減も可能となる。
【0033】上記の可視光光源を用い、画像表示媒体の
画像表示面に画像信号に応じて可視光を照射し、各々の
フォトクロミック化合物を選択的に消色させることで、
所望の領域における所望のフォトクロミック化合物を発
色状態とし、所望の画像を形成することが可能となる。
尚、発色工程の後に、同一の領域に複数の波長の可視光
を照射する場合には、同時に照射してもよいし、順次別
々に照射してもよい。また順次別々に照射する場合、照
射する波長の順番はどのようでもよい。
【0034】また、本発明の多色画像表示方法は、発色
工程における画像表示媒体への加熱が、画像表示部全面
に対して行われることを特徴とする。表示しようとする
画像における“白”部(感光層が無色になるべき部分)
については、加熱による発色工程も、可視光照射による
消色工程も施さない方法があるが、この場合、選択した
領域にのみ加熱を行うこととなり、画素に対応した微小
な領域ごとに加熱できるアレイ状のヘッドなどが必要に
なる。また、画像表示前に必ず、感光層に含まれる全種
類のフォトクロミック化合物を消色させるために、画像
表示部全面に可視光を照射する工程が必要になる。そこ
で、本発明により、画像表示媒体に対する加熱を画像表
示部全面に対して行うことで、微小領域の加熱に対応で
きる部材を必要とせず、工程数も少なくすることができ
る。画像表示部全面を加熱する手段としては、例えば電
子写真プリンターなどの電子写真装置に用いられる熱ロ
ーラなどを用いることができる。
【0035】更に、前記発色工程における画像表示媒体
の加熱は、印加される熱量が可変であることが望まし
い。感光層に含有されるフォトクロミック化合物の発色
の程度は、印加される熱量により変化する。従って、画
像表示媒体に印加する熱量を変えることで、積極的に発
色の程度を調整することが可能となる。例えば、画像全
体の濃度調整や、あるいは表示すべき画像において必要
とされる最大の発色濃度が、予め画像信号の読み取りな
どからわかっている場合は、その画像濃度におけるフォ
トクロミック化合物の発色に必要十分な熱量を印加すれ
ばよい。発色工程における画像表示媒体の加熱温度を調
節して印加する熱量を制御することにより、可視光照射
による消色の程度を最小限にすることができるので、消
費エネルギーが低減できる。また、フォトクロミック化
合物の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利
になる。感光層に印加する熱量の制御は、第一に、加熱
素子の加熱温度を変化させることで可能となる。例え
ば、加熱素子として電力を用いた抵抗加熱によるものを
使用する場合、供給する電力により加熱素子の加熱温度
を制御することにより感光層に印加する熱量を制御する
ことができる。第二に、加熱素子による加熱時間を変化
させることによっても可能となる。例えば、加熱素子お
よび可視光光源系からなる書き込み系と、画像表示媒体
とを相対的に移動させながら画像を形成する方法におい
ては、双方の相対的な移動速度を調整することにより加
熱時間を制御して、印加する熱量を制御することができ
る。上記第一及び第二の制御手段は、どちらか一方のみ
の制御であっても、双方を組み合わせた制御であっても
よい。制御機構を簡単にするためには、どちらか一方と
するのがよい。いずれであっても、フォトクロミック化
合物の発色と消色のバランスを保ちながら、全体の画像
濃度の調整を行うことが好ましい。
【0036】本発明の第二の実施形態である多色画像表
示方法は、支持基板上に感光層を形成してなる画像表示
媒体に対して、少なくとも、赤外光を照射することによ
り感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物
を発色させる工程(発色工程)と、発色した各々のフォ
トクロミック化合物の極大吸収波長に対応する波長域の
可視光を画像信号に応じて照射することにより各フォト
クロミック化合物を選択的に消色させる工程(消色工
程)とを含むものである。
【0037】まず、画像表示媒体について説明する。画
像表示媒体の感光層は、発色状態における極大吸収波長
が異なる、2種類以上の逆フォトクロミック性を示すフ
ォトクロミック化合物を含んでいることは、第一の実施
形態と同様である。また、バインダー材料についても第
一の実施形態と同様の材料を用いることができる。第二
の実施形態においては、感光層を構成する材料として上
記の他に、色素を含有する。色素としては、赤外域に吸
収があるナフタロシアニン系色素、シアニン系色素のう
ち少なくとも一種を含むものとする。これらの色素は、
700nm以上の赤外域に吸収を持つので、780nm
または830nmのLDに対しても感度を有する。支持
基板として用いる材料、支持基板上に感光層を形成する
方法についは、第一の実施形態と同様である。また、第
一の実施の形態と同様、感光層の表面に保護層を設ける
ことが一層好ましい。
【0038】第二の実施形態である多色画像表示方法
は、上記のようにして構成される画像表示媒体に対し
て、赤外光の照射により感光層に含有される全種類のフ
ォトクロミック化合物を発色させる工程(発色工程)を
含む。赤外光を照射する光源としては、赤外ランプと不
要な波長域の光をカットするための光学フィルターを組
み合わせた構成のランプ類を用いてもよいし、LEDや
LDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いても
よい。画像表示媒体の画像表示面に赤外光を照射するこ
とにより、照射された部分の感光層に含まれるナフタロ
シアニン系色素またはシアニン系色素が赤外光を吸収し
て熱を発生するため、その領域の全種類のフォトクロミ
ック化合物が発色する。次いで、第一の実施形態と同
様、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収
波長に対応する波長域の可視光を画像信号に応じて照射
することにより、各々のフォトクロミック化合物を選択
的に消色させる工程(消色工程)を施す。用いる可視光
光源およびその照射の仕方は、第一の実施形態と同様で
ある。画像信号に応じて各々のフォトクロミック化合物
を選択的に消色させることで、所望の領域における所望
のフォトクロミック化合物を発色状態とし、所望の画像
を形成することが可能となる。
【0039】また、前記発色工程における画像表示媒体
への赤外線の照射は、第一の実施形態の発色工程におい
て施す加熱と同様、画像表示部全面に対して行われるこ
とが好ましい。理由は、第一の実施形態の説明で述べた
通りである。
【0040】更に、前記発色工程における画像表示媒体
に印加される熱量を制御するために、照射する赤外線の
強度、又は照射時間を可変とすることが望ましい。第二
の実施形態においては、画像表示媒体に印加する熱量は
赤外光の照射量に依存して決まるため、赤外光の強度、
又は照射時間を制御することで、用いるフォトクロミッ
ク化合物の発色濃度を調整することが可能となる。ま
た、発色工程において印加する熱量を制御することによ
り、可視光照射による消色の程度を最小限にすることが
できるので、消費エネルギーが低減できる。更には、フ
ォトクロミック化合物の発色・消色の繰り返し耐久性の
点においても有利になる。尚、赤外光の強度又は照射時
間の制御は、どちらか一方の制御であっても、双方を組
み合わせた制御であってもよい。制御機構を簡単にする
ためには、どちらか一方とするのがよい。いずれであっ
ても、フォトクロミック化合物の発色と消色のバランス
を保ちながら、全体の画像濃度の調整を行うことが好ま
しい。
【0041】更に、上述の第一及び第二の実施形態にお
いて、消色工程での可視光の照射量は可変であることが
好ましい。可視光の照射量により感光層に含有されるフ
ォトクロミック化合物の消色の程度は変化する。従っ
て、可視光の照射量を制御することにより、対応する各
フォトクロミック化合物の発色濃度を調整して、各色の
階調表示が可能となり、各色の組み合わせによる多色表
示が可能となる。可視光の照射量を制御する手段として
は、照射強度又は照射時間を可変とする。例えば、前述
のアレイ光源を用い、光源系と画像表示媒体とを相対的
に移動させながら画像を形成する方法においては、各単
位発光面の照射のオン/オフを制御することにより照射
時間を制御して、照射量を制御することができる。可視
光の照射強度、照射時間の制御は、どちらか一方であっ
ても、双方の組み合わせであってもよい。制御機構を簡
単にするためには、どちらか一方とするのがよい。
【0042】本発明の第三の実施形態である多色画像表
示方法は、上記の発色工程及び消色工程に加えて、白色
光を画像表示部全面に照射する工程を含む。第一及び第
二の実施形態において、画像表示部全面にわたって発色
させた全種類のフォトクロミック化合物を全て消色して
全消去したい場合、各フォトクロミック化合物の発色状
態での極大吸収波長に対応する波長の光を照射するアレ
イ光源を用い、光照射による消色を、全種類のフォトク
ロミック化合物について行うことになる。一方、第三の
実施形態に示すように、白色光光源を設けて表示部全面
に白色光を照射する工程を加えることにより、短時間で
の表示画像の全消去が可能となる。白色光光源として
は、例えば画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン
/オフが制御できる発光部を連続して並べて形成した光
源アレイなどである必要はなく、安価なランプ光源を用
いることができる。このようにランプ光源を用いるほう
がコスト的にも有利であるし、照射強度の確保も容易で
ある。
【0043】次に、本発明の多色画像表示装置の構成に
ついて説明する。図1は、本発明の多色画像表示装置の
第一の構成を示す図である。多色画像表示装置には、画
像表示媒体(1)を装置内に導入するための挿入口
(2)が設けられている。また、挿入された画像表示媒
体(1)に画像の書き込みを行うための加熱素子(4)
および可視光光源(5)が設けられ、更に、画像表示媒
体(1)を搬送するための搬送ローラ(3)が設けら
れ、画像の書き込みがなされた画像表示媒体(1)は排
紙トレー(9)に排出される構成となっている。
【0044】加熱素子(4)および可視光光源(5)
は、ライン状であり、これらと画像表示媒体(1)とを
相対的に移動させながら画像を形成する。ここで、ライ
ン状というのは厳密に直線状に限られるものではなく、
特に可視光光源に関して言えば、例えばある長さの光源
ユニットがいわゆる千鳥状に互い違いに配列して全体的
にラインを形成しているようなものも含む。また、微小
な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連
続して並べて形成する光源アレイ等に関しても、同一波
長の光源を構成する発光面の配列が一列でなく、複数列
であってもよい。更に、発光波長が異なるそれぞれの光
源アレイが一つの構造体に組み込まれていてもよいし、
独立した構造体として構成されていてもよい。ライン状
の加熱素子(4)および可視光光源(5)を画像表示媒
体(1)と相対的に移動する方法は、固定された画像表
示媒体(1)の画像表示面に沿って加熱素子(4)およ
び可視光光源(5)が移動するか、加熱素子(4)およ
び可視光光源(5)が固定され、画像表示媒体(1)が
移動するか、いずれも可能である。図1は、後者の例を
示している。
【0045】加熱素子(4)は、通電による抵抗加熱で
熱を発生する熱ローラで構成されている。この熱ローラ
は温度が制御でき、さらに熱ローラに当接しながら通過
する画像表示媒体(1)の搬送速度が制御できるように
構成されている。可視光光源(5)は、白色光光源と光
学フィルターから構成されるものであっても、LEDあ
るいはLDなどの発光素子を用いるものであってもよ
い。図1では、470nmの発光波長を有するLEDア
レイ(5a)、560nmの発光波長を有するLEDア
レイ(5b)、660nmの発光波長を有するLEDア
レイ(5c)による構成を示している。これらの可視光
光源(5)は、画素に対応した微小な領域ごとに照射の
オン/オフが制御できるように構成されている。また、
その発光強度の調整が可能であり、画像表示媒体(1)
の搬送速度も調整が可能となっている。更には、図1に
示すように、管状の白色ランプ(8)を設けてもよい。
【0046】図2は、本発明の多色画像表示装置の第二
の構成を示す図である。多色画像表示装置には、画像表
示媒体(1)を装置内に導入するための挿入口(2)が
設けられている。また、挿入された画像表示媒体(1)
に画像の書き込みを行うための赤外線ランプ(6)およ
び可視光光源(5)が設けられ、更に、画像表示媒体
(1)を搬送するための搬送ローラ(3)が設けられ、
画像の書き込みがなされた画像表示媒体(1)は排紙ト
レー(9)に排出される構成となっている。
【0047】赤外線ランプ(6)および可視光光源
(5)は、ライン状であり、これらと画像表示媒体
(1)とを相対的に移動させながら画像を形成する。こ
こで、ライン状というのは厳密に直線状に限られるもの
ではなく、千鳥状であってもよいことは、図1に示す多
色画像表示装置の場合と同様である。また、可視光光源
の光源アレイに関しても、前述と同様である。ライン状
の赤外線ランプ(6)および可視光光源(5)を画像表
示媒体(1)と相対的に移動する方法は、固定された画
像表示媒体(1)の画像表示面に沿って赤外線ランプ
(6)および可視光光源(5)が移動するか、赤外線ラ
ンプ(6)および可視光光源(5)が固定され、画像表
示媒体(1)が移動するか、いずれも可能である。図2
は、後者の例を示している。
【0048】可視光光源(5)は、白色光光源と光学フ
ィルターから構成されるものであっても、LEDあるい
はLDなどの発光素子を用いるものであってもよい。図
2では、470nmの発光波長を有するLEDアレイ
(5a)、560nmの発光波長を有するLEDアレイ
(5b)、660nmの発光波長を有するLEDアレイ
(5c)による構成を示している。これらの可視光光源
(5)は、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン
/オフが制御できるように構成されている。また、赤外
線ランプ(6)、可視光光源(5)は、その発光強度の
調整が可能であり、画像表示媒体(1)の搬送速度も調
整が可能となっている。更には、図2に示すように、管
状の白色ランプ(8)を設けてもよい。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に
説明する。 (実施例1)ポリスチレン100重量部に対し、化11
に示すフォトクロミック化合物(以下、「PC1」と称
す。)を10重量部添加して溶媒に溶解させ、ガラス基
板上にキャスト膜を作製した。化12に示すフォトクロ
ミック化合物(以下、「PC2」と称す。)、化13に
示すフォトクロミック化合物(以下、「PC3」と称
す。)についても同様にガラス基板上にキャスト膜を作
製した。これらを加熱して発色状態にしたところ、PC
1、PC2、PC3はそれぞれイエロー、マゼンタ、シ
アンに発色し、測定した吸収スペクトルの極大吸収波長
はそれぞれ440nm、550nm、630nmであった。
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】
【化13】
【0053】(実施例2)実施例1と同様の処方による
キャスト膜を厚み125μmの白色PET(ポリエチレ
ンテレフタレート)基板上に形成した。ただし、PC1
を含むキャスト膜(膜厚5μm)を形成後、PVA(ポ
リビニルアルコール)による分離膜(膜厚2μm)を介
してその上にPC2を含むキャスト膜(膜厚5μm)を
形成し、やはりPVAによる分離膜(膜厚2μm)を介
してさらにその上にPC3を含むキャスト膜(膜厚5μ
m)を形成し、さらに保護層としてPVA膜(膜厚2μ
m)を形成した。このようにして形成した積層型の感光
層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には
白と認識された。感光層全面を80℃のホットプレート
上で10秒間加熱したところ、PC1、PC2、PC3
すべてが発色し、黒色を呈した。この状態の感光層に、
470nm、560nm、660nmの各波長のLED
を用いて可視光を照射したところ、照射部には様々な色
の変化が生じた。その様子を以下の表1に示す。尚、表
1は、照射した光の波長の隣に、その時に呈した基板の
色を示す。2回目、3回目と表記しているのは、それぞ
れ1回目、2回目の光の照射に引き続き、照射した光の
波長とその時に呈した基板の色を示している。また、
「白色」とは基板の色であり、すべてのフォトクロミッ
ク化合物が消色したことを示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1では、各波長の光を個別に照射した
が、470nmの光と560nmの光を同時に照射して
も個別に照射したのと同様、シアン色を呈することを確
認した。また、この他の波長の組合せについても同様で
あった。更に、470nm、560nm、660nmの
光を同時に照射したところ、照射部は無色となり、基板
の白色が見えた。
【0056】(実施例3)ポリスチレン100重量部に
対しPC1、PC2、PC3をそれぞれ5重量部添加し
てトルエンに溶解させ、厚み125μmの白色PET基
板上にキャスト膜(膜厚10μm)を形成し、さらに保
護層としてPVA膜(膜厚2μm)を形成した。このよ
うにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白で
あるため、観察者には白と認識された。感光層全面を8
0℃のホットプレート上で10秒間加熱したところ、P
C1、PC2、PC3すべてが発色し、黒色を呈した。
この状態の感光層に、実施例2と同様の条件でLEDに
より各波長の可視光の照射したところ、それぞれ表1に
示したのと同様の色の変化が観察された。
【0057】(実施例4)実施例2と同様の感光層を作
製した。ただし、感光層の加熱については加熱条件を変
更し、50℃のホットプレート上で10秒間加熱したと
ころ、感光層は灰色を呈した。この感光層に、LEDに
より各波長の可視光を照射した結果、以下の表2のよう
になった。
【0058】
【表2】
【0059】(実施例5)実施例2と同様の感光層を作
製した。ただし、感光層の加熱については加熱条件を変
更し、80℃のホットプレート上で3秒間加熱したとこ
ろ、感光層は灰色を呈した。この感光層に、LEDによ
り各波長の可視光を照射した結果、表2に示したのと同
様の色の変化が観察された。
【0060】(実施例6)実施例2と同様の感光層を作
製し、感光層の加熱も同条件で行った。感光層は全面、
黒色を呈した。この感光層に、実施例2と同様にしてL
EDにより470nmの光と560nmの光を同時に照
射した。ただし、470nmの光のみ、LEDの駆動電
流を実施例2の場合の半分にして明るさを低下させて照
射を行った。照射部は緑とシアンの中間的な色を呈し
た。以下、同様にして異なる波長の光を組み合わせて同
時に照射し、その一方の光の強度を半分とした結果、表
3に示す結果となった。尚、表3においては、強度を半
分にした波長につき*印を付けて示した。
【0061】
【表3】
【0062】(実施例7)実施例2と同様の感光層を作
製し、感光層の加熱も同条件で行った。感光層は全面、
黒色を呈した。この感光層に、実施例2と同様にしてL
EDにより470nmの光と560nmの光を同時に照
射した。ただし、470nmの光のみ、照射時間を実施
例2の場合の半分にして照射を行った。照射部は緑とシ
アンの中間的な色を呈した。以下、同様にして異なる波
長の光を組み合わせて同時に照射し、その一方の光の照
射時間を半分とした結果、表4に示す結果となった。
尚、表4においては、照射時間を半分にした波長につき
**印を付けて示した。
【0063】
【表4】
【0064】(実施例8)ポリスチレン100重量部に
対し、PC1を10重量部、化14に示すナフタロシア
ニン系色素(以下、「D1」と称す。)を5重量部添加
して溶媒に溶解させ、ガラス基板上にキャスト膜を作製
した。PC2、PC3についてもPC1と同様にガラス
基板上にキャスト膜を作製した。これらに赤外線ランプ
(13169/98;PHILIPS社製)を用いて、
印加電圧100Vで10秒間赤外光を照射して発色状態
にしたところ、PC1、PC2、PC3を含むキャスト
膜は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンに発色し、
測定した吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ44
0nm、550nm、630nmであった。
【0065】
【化14】
【0066】(実施例9)実施例8と同様の処方による
キャスト膜を厚み125μmの白色PET基板上に形成
した。ただし、PC1を含むキャスト膜(膜厚5μm)
を形成後、PVAによる分離膜(膜厚2μm)を介して
その上にPC2を含むキャスト膜(膜厚5μm)を形成
し、やはりPVAによる分離膜(膜厚2μm)を介して
さらにその上にPC3を含むキャスト膜(膜厚5μm)
を形成し、さらに保護層としてPVA膜(膜厚2μm)
を形成した。このようにして形成した積層型の感光層は
無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と
認識された。感光層全面に実施例8と同様にして赤外線
ランプで赤外光を照射したところ、PC1、PC2、P
C3すべてが発色し、黒色を呈した。この状態の感光層
に、470nm、560nm、660nmの各波長のL
EDを用いて可視光を照射したところ、照射部には様々
な色の変化が生じた。その様子を以下の表5に示す。
尚、表5は、照射した光の波長の隣に、その時に呈した
基板の色を示す。2回目、3回目と表記しているのは、
それぞれ1回目、2回目の光の照射に引き続き、照射し
た光の波長とその時に呈した基板の色を示している。ま
た、「白色」とは基板の色であり、すべてのフォトクロ
ミック化合物が消色したことを示す。
【0067】
【表5】
【0068】表5では、各波長の光を個別に照射した
が、470nmの光と560nmの光を同時に照射して
も個別に照射したのと同様、シアン色を呈することを確
認した。また、この他の波長の組合せについても同様で
あった。更に、470nm、560nm、660nmの
光を同時に照射したところ、照射部は無色となり、基板
の白色が見えた。
【0069】(実施例10)ポリスチレン100重量部
に対しPC1、PC2、PC3をそれぞれ5重量部、さ
らにD1を7.5重量部添加してトルエンに溶解させ、
厚み125μmの白色PET基板上にキャスト膜(膜厚
10μm)を形成し、さらに保護層としてPVA膜(膜
厚2μm)を形成した。このようにして形成した感光層
は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白
と認識された。感光層全面に実施例9と同様にして赤外
光を照射したところ、PC1、PC2、PC3すべてが
発色し、黒色を呈した。この状態の感光層に、実施例9
と同様の条件でLEDにより各波長の可視光の照射した
ところ、それぞれ表5に示したのと同様の色の変化が観
察された。
【0070】(実施例11)実施例9と同様の感光層を
作製した。ただし、感光層への赤外光の照射条件を変更
し、赤外線ランプに印加する電圧を50Vとして10秒
間照射したところ、感光層は灰色を呈した。この感光層
に、LEDにより各波長の可視光を照射した結果、以下
の表6のようになった。
【0071】
【表6】
【0072】(実施例12)実施例9と同様の感光層を
作製した。ただし、感光層への赤外光の照射条件を変更
し、赤外ランプに印加する電圧を100Vとして5秒間
照射したところ、感光層は灰色を呈した。この感光層
に、LEDにより各波長の可視光を照射した結果、表6
に示したのと同様の色の変化が観察された。
【0073】(実施例13)実施例9と同様の感光層を
作製し、感光層への赤外光の照射も同条件で行った。感
光層は全面、黒色を呈した。この感光層に、実施例9と
同様にしてLEDにより470nmの光と560nmの
光を同時に照射した。ただし、470nmの光のみ、L
EDの駆動電流を実施例9の場合の半分にして明るさを
低下させて照射を行った。照射部は緑とシアンの中間的
な色を呈した。以下、同様にして異なる波長の光を組み
合わせて同時に照射し、その一方の光の強度を半分とし
た結果、表7に示す結果となった。尚、表7において
は、強度を半分にした波長につき*印を付けて示した。
【0074】
【表7】
【0075】(実施例14)実施例9と同様の感光層を
作製し、感光層への赤外光の照射も同条件で行った。感
光層は全面、黒色を呈した。この感光層に、実施例9と
同様にしてLEDにより470nmの光と560nmの
光を同時に照射した。ただし、470nmの光のみ、照
射時間を実施例9の場合の半分にして照射を行った。照
射部は緑とシアンの中間的な色を呈した。以下、同様に
して異なる波長の光を組み合わせて同時に照射し、その
一方の光の照射時間を半分とした結果、表8に示す結果
となった。尚、表8においては、照射時間を半分にした
波長につき**印を付けて示した。
【0076】
【表8】
【0077】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によ
り、感光層を構成するフォトクロミック化合物の発色を
加熱もしくは赤外光の照射によって行うことで、紫外光
を必要としない光書き込みによる、書き換え型の多色画
像表示方法及び装置を提供することができる。これによ
り、従来の紫外光により発色させる方法において必要と
された、紫外光源の発光波長分布特性と使用する各フォ
トクロミック化合物の消色状態における吸収特性のマッ
チングを考慮する必要がなく、その点においてフォトク
ロミック化合物の選択の制約を低減することができる。
【0078】また、画像表示媒体への加熱もしくは赤外
光の照射を画像表示部全面にわたって行い全種類のフォ
トクロミック化合物を発色させ、その後画像信号に応じ
た可視光の照射により、特定のフォトクロミック化合物
を消色させることで、工程も少なく、かつ精度のよい画
像表示を行うことが可能となる。更には、加熱の熱量や
赤外光の照射量を制御することで、画像濃度を調整する
ことができ、また、可視光の照射量を制御することで、
各色の発色濃度が調整できるため、階調表示が可能とな
り、画像表示媒体上に多色の表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色画像表示装置の第一の構成を示す
図である。
【図2】本発明の多色画像表示装置の第二の構成を示す
図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体 2 挿入口 3 搬送ローラ 4 加熱素子 5 可視光光源 6 赤外光ランプ 8 白色ランプ 9 排紙トレー

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発色状態における極大吸収波長が異な
    る、2種類以上の逆フォトクロミック性を示すフォトク
    ロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してな
    る画像表示媒体に対して、 少なくとも、加熱することにより感光層に含有される全
    種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程(発色
    工程)と、 発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長
    に対応する波長域の可視光を画像信号に応じて照射する
    ことにより各フォトクロミック化合物を選択的に消色さ
    せる工程(消色工程)とを施すことによって、画像表示
    媒体に画像を表示する多色画像表示方法。
  2. 【請求項2】 発色状態における極大吸収波長が異な
    る、2種類以上の逆フォトクロミック性を示すフォトク
    ロミック化合物と、 ナフタロシアニン系色素及びシアニン系色素のうち少な
    くとも一種と を含む感光層を支持基板上に形成してなる画像表示媒体
    に対して、 少なくとも、赤外光を照射することにより感光層に含有
    される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工
    程(発色工程)と、 発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長
    に対応する波長域の可視光を画像信号に応じて照射する
    ことにより各フォトクロミック化合物を選択的に消色す
    る工程(消色工程)とを施すことによって、画像表示媒
    体に画像を表示する多色画像表示方法。
  3. 【請求項3】 前記フォトクロミック化合物は、 その発色状態における極大吸収波長が、 400nm以上500nm未満の範囲にある化合物と、 500nm以上600nm未満の範囲にある化合物と、 600nm以上700nm未満の範囲にある化合物とを
    含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多色
    画像表示方法。
  4. 【請求項4】 前記発色工程は、画像表示媒体への加熱
    もしくは赤外線の照射が画像表示部全面に対して行なわ
    れることを特徴とする請求項1又は2に記載の多色画像
    表示方法。
  5. 【請求項5】 前記発色工程は、画像表示媒体の加熱温
    度が可変であることを特徴とする請求項1又は3又は4
    に記載の多色画像表示方法。
  6. 【請求項6】 前記発色工程は、画像表示媒体の加熱時
    間が可変であることを特徴とする請求項1又は3又は4
    に記載の多色画像表示方法。
  7. 【請求項7】 前記発色工程は、画像表示媒体へ照射さ
    れる赤外光の強度が可変であることを特徴とする請求項
    2ないし4のいずれかに記載の多色画像表示方法。
  8. 【請求項8】 前記発色工程は、画像表示媒体へ照射さ
    れる赤外光の照射時間が可変であることを特徴とする請
    求項2ないし4のいずれかに記載の多色画像表示方法。
  9. 【請求項9】 前記消色工程は、各波長の可視光の照射
    強度が可変であることを特徴とする請求項1ないし8の
    いずれかに記載の多色画像表示方法。
  10. 【請求項10】 前記消色工程は、各波長の可視光の照
    射時間が可変であることを特徴とする請求項1ないし8
    のいずれかに記載の多色画像表示方法。
  11. 【請求項11】 前記消色工程で用いる各波長の可視光
    光源は、白色光光源と光学フィルターから構成されるこ
    とを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の
    多色画像表示方法。
  12. 【請求項12】 前記消色工程で用いる各波長の可視光
    光源は、それぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子か
    ら構成されることを特徴とする請求項1ないし10のい
    ずれかに記載の多色画像表示方法。
  13. 【請求項13】 白色光を画像表示部全面に照射する工
    程を含むことを特徴とする請求項1ないし12に記載の
    多色画像表示方法。
  14. 【請求項14】 前記感光層は、表面に保護層が形成さ
    れたものを用いることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の多色画像表示方法。
  15. 【請求項15】 ライン状の加熱素子および可視光光源
    を備え、これら光源系と画像表示媒体とを相対的に移動
    させながら、請求項1又は3ないし6又は9ないし14
    のいずれかに記載の多色画像表示方法を用いて画像を表
    示することを特徴とする多色画像表示装置。
  16. 【請求項16】 ライン状の赤外光光源および可視光光
    源を備え、これら光源系と画像表示媒体とを相対的に移
    動させながら、請求項2ないし4又は7ないし14のい
    ずれかに記載の多色画像表示方法を用いて画像を表示す
    ることを特徴とする多色画像表示装置。
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