JP4542005B2 - 画像表示媒体 - Google Patents

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JP4542005B2 JP2005271000A JP2005271000A JP4542005B2 JP 4542005 B2 JP4542005 B2 JP 4542005B2 JP 2005271000 A JP2005271000 A JP 2005271000A JP 2005271000 A JP2005271000 A JP 2005271000A JP 4542005 B2 JP4542005 B2 JP 4542005B2
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
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本発明の少なくとも一つの態様は、画像表示媒体に関する。
カラー画像を形成するための技術としては、電子写真法、インクジェット法、感熱記録法、及び転写型感熱記録法のような方法が、提案され、実用化されている。
しかしながら、これらの方法は、複雑な装置を必要とすることに加えて、カラー画像を形成するに必要な色材の数だけ画像形成操作を繰り返すことが必要とされる。さらに、現像及び定着の操作が必要であるため、カラー画像を簡便な操作で得ることができないという欠点がある。また、これらの方法によって形成される画像は、永久画像であり、画像を記録するための記録媒体に、繰り返し画像を形成及び消去することができない。
一方、他のカラー画像形成方法として、光を照射することにより、可逆的な色の変化を示すフォトクロミック化合物を用いた書き換え型の画像表示媒体に関する技術が、特公昭53−23699号公報(特許文献1特開昭59−215382号公報(特許文献2、及び特開平6−95291号公報(特許文献3に提案されている。
しかしながら、これらの特許文献に提案される方法では、優れたフルカラー画像を得ることはできず、繰り返し使用性にも問題がある。
特開平7−199401号公報(特許文献4は、イエロー、マゼンタ、及びシアンを示す三種類のフォトクロミック性を有するフルギド化合物を用いたカラー画像材料及びカラー画像形成方法を提案しており、簡便な操作で、カラー画像材料を製造することができると共に画像形成処理をすることが可能であるが、特許文献4に提案されている化合物を用いたカラー画像材料を繰り返し使用することができる回数は、最大で30回程度であり、繰り返し使用に対するカラー画像材料の耐久性が低く、特許文献4に提案されている化合物を用いたカラー画像材料は、実用的でない。
このように、フルカラー画像を何度も書き換えることが可能である実用的な多色画像表示媒体は、現状では、まだ提案されていない。
特公昭53−23699号公報 特開昭59−215382号公報 特開平6−95291号公報 特開平7−199401号公報
本発明の一つの目的は、画像表示媒体を提供することである。
本発明の一つの態様は、画像を表示することが可能な画像表示媒体において、消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005
で表される少なくとも三種類の化合物を含み、該少なくとも三種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、該少なくとも三種類の化合物の各々におけるR 、R 、R 、R 、R 、R 、及びR の各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、該三種類の化合物は、発色状態において、それぞれ、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長、及び600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有することを特徴とする、画像表示媒体である。
本発明の一つの態様によれば、画像表示媒体を提供することが可能になる。
本発明の実施形態は、画像表示媒体に関する。
本発明の実施形態の目的は、画像の繰り返しの表示に関して、より高い耐久性を備えた画像表示媒体を提供することである。
本発明の一つの実施形態は、画像を表示することが可能な画像表示媒体において、消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005
で表される単数又は複数種類の化合物を含み、該単数又は複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、該単数又は複数種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であることを特徴とする画像表示媒体である。
本発明の一つの実施形態によれば、画像の繰り返しの表示に関して、より高い耐久性を備えた画像表示媒体を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態(実施形態)を図面と共に説明する。
本発明による第一の実施形態は、画像を表示することが可能な画像表示媒体であって、消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005
で表される単数又は複数種類の化合物を含み、該単数又は複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、該単数又は複数種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基である。
ここで、画像表示媒体は、画像を表示することが可能な媒体であり、画像表示媒体の形態は、特に限定されない。また、画像を表示することは、画像を書き込むこと及び画像を消去することの両方を含むものとする。
なお、消色状態において一般式(1)で表される単数又は複数種類の化合物(群)であって、単数又は複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、単数又は複数種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基である、単数又は複数種類の化合物(群)を、本明細書においては、本発明の実施形態におけるフルギド化合物と呼ぶことにする。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、いわゆるフォトクロミック化合物であり、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に光及び/又は熱のようなエネルギーを加えると、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の構造が、開環体と閉環体との間で変化する。本発明の実施形態におけるフルギド化合物の開環体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の共役系が相対的に短く、消色状態における構造を意味する。なお、一般式(1)は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の開環体を示しており、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の消色状態における構造式である。一方、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の閉環体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の共役系が相対的に短く、発色状態における構造を意味する。本発明の実施形態におけるフルギド化合物の閉環体は、一般式(1)において、Rが結合する炭素原子又はRが結合する炭素原子とR及びRが結合する炭素原子との間で結合が形成されたような環構造を有する。ここで、発色状態とは、可視光の波長領域における少なくとも一つの波長の可視光を吸収する状態であることを意味する。また、消色状態とは、可視光の波長領域における波長の可視光を吸収しない状態、又は、可視光の波長領域における少なくとも一つの波長の可視光を、発色状態におけるよりも弱く吸収する状態であることを意味する。
画像表示媒体は、単数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含んでもよく、複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含んでもよい。
単数又は複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子である。本発明の実施形態におけるフルギド化合物におけるXが、酸素原子である場合には、本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、フリル基を含む。本発明の実施形態におけるフルギド化合物におけるXが、硫黄原子である場合には、本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、チエニル基を含む。本発明の実施形態におけるフルギド化合物におけるXが、窒素原子である場合には、本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、ピロリル基を含む。
単数又は複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々が、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を含む。また、アルキル基は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を含み、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルコキシ基は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を含み、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基である。アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜11の直鎖又は分岐鎖のアルコキシカルボニル基を含み、好ましくは、炭素数2〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシカルボニル基である。アシル基は、炭素数2〜11の直鎖若しくは分岐鎖又は環を有するアシル基を含み、好ましくは、炭素数2〜7の直鎖又は分岐鎖のアシル基である。アリール基は、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の環を有する化合物を含み、好ましくは、フェニル基又はナフタレニル基である。アリールオキシ基は、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の環を有する化合物を含み、好ましくは、フェノキシ基又はナフタレンオキシ基である。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物の消色状態と発色状態との間の変化、すなわち、画像表示媒体に対する画像の書き込み又は消去は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に紫外光及び可視光のような光を照射すること、又は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に熱を加えることなど、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に所定のエネルギーを加えることによって、達成することができる。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物の消色状態から発色状態への変化、すなわち、画像表示媒体に対する画像の書き込みは、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に紫外光を照射することによって、達成してもよい。本発明の実施形態におけるフルギド化合物に照射する紫外光は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の消色状態から発色状態への変化を引き起こすことが可能な波長以下の波長を含む紫外光であればよい。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物に紫外光を照射するための光源としては、水銀ランプ又はキセノンランプ等に所望の波長域の紫外光を取り出すことが可能な光学フィルターを組み合わせた光源を用いてもよく、LED又はLD等のような特定の紫外光の波長域における波長を備えた光を発光する発光素子を用いてもよい。例えば、画像表示媒体に画像を書き込むための光源系を小型にする場合には、紫外光を発光するLEDのような発光素子を用いることが好ましい。また、画像表示媒体における部分的な領域(例えば、微小領域)毎における紫外光の照射を制御するために、光源の発光面が連続して並べられた光源アレイを用いてもよい。特に、画像表示媒体における所望の領域のみに紫外光を照射する場合には、光源アレイと画像表示媒体との相対的な位置を調整すると共に、光源アレイの各発光面から発光する紫外光の照射を制御してもよい。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色状態から消色状態への変化、すなわち、画像表示媒体に対する画像の消去は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に可視光を照射することによって、達成してもよい。本発明の実施形態におけるフルギド化合物に照射する可視光は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色状態から消色状態への変化を引き起こすことが可能な波長を含む可視光であればよいが、発色状態における本発明の実施形態におけるフルギド化合物の可視光の波長領域における吸収スペクトルにおいて、本発明の実施形態におけるフルギド化合物による可視光の極大吸収波長を含む可視光であることが好ましい。ここで、本発明の実施形態におけるフルギド化合物による可視光の極大吸収波長は、発色状態における本発明の実施形態におけるフルギド化合物の可視光の波長領域における吸収スペクトルにおいて、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に起因する吸収ピークの極大に対応する可視光の波長を意味する。本発明の実施形態におけるフルギド化合物による可視光の極大吸収波長を含む可視光を、発色状態における本発明の実施形態におけるフルギド化合物に照射する場合には、本発明の実施形態におけるフルギド化合物を、発色状態から消色状態へ効率的に変化させることができる。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物に可視光を照射するための光源としては、水銀ランプ又はキセノンランプのような白色光を放出する白色光源に所望の波長域の可視光を取り出すことが可能な光学フィルターを組み合わせた光源を用いてもよく、LED又はLD等のような特定の可視光の波長域における波長を備えた光を発光する発光素子を用いてもよい。例えば、画像表示媒体に表示された画像を消去するための光源系を小型にする場合には、可視光を発光するLEDのような発光素子を用いることが好ましい。また、画像表示媒体における部分的な領域(例えば、微小領域)毎における可視光の照射を制御するために、光源の発光面が連続して並べられた光源アレイを用いてもよい。特に、画像表示媒体における所望の領域のみに可視光を照射する場合には、光源アレイと画像表示媒体との相対的な位置を調整すると共に、光源アレイの各発光面から発光する可視光の照射を制御してもよい。
本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、発色状態と消色状態との間の可逆的な変化を繰り返すことができるため、単数種類又は複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含む画像表示媒体においては、画像の書き込み及び画像の消去を繰り返すことができる。特に、本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、発色状態と消色状態との間の変化の繰り返しに対して、より高い耐久性を備える。よって、本発明による第一の実施形態は、画像を表示することが可能な画像表示媒体であって、本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含むため、本発明による第一の実施形態によれば、画像の繰り返しの表示に関して、より高い耐久性を備えた画像表示媒体を提供することができる。すなわち、画像の書き込み及び消去の繰り返しに関して、より高い耐久性を有し、画像の書き込み及び消去を、より多数回行うことができる画像表示媒体を提供することが可能となる。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記化合物は、消色状態において一般式(1)で表される複数種類の化合物を含み、該複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、該複数種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、該複数種類の化合物のうち少なくとも二種類は、発色状態において、互いに異なる極大吸収波長を有する。言い換えれば、本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含み、複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも二種類は、発色状態において、互いに異なる極大吸収波長を有する。
この場合には、複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも二種類が、発色状態において、互いに異なる色相の色を呈するので、互いに異なる複数の色相の色及びそれらの色の組み合わせを表示することが可能となる。その結果、互いに異なる複数の色相の色及びそれらの色の組み合わせを備えた画像を表示することが可能な画像表示媒体を提供することができる。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記複数種類の化合物は、消色状態において一般式(1)で表される少なくとも三種類の化合物を含み、該少なくとも三種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、該少なくとも三種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、該三種類の化合物は、発色状態において、それぞれ、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長、及び600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する。言い換えれば、本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、少なくとも三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含み、三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、発色状態において、それぞれ、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長、及び600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する。
発色状態において、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物の呈する色は、おおむね、イエロー色であり、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物の呈する色は、おおむね、マゼンタ色であり、600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物の呈する色は、おおむね、シアン色である。よって、画像表示媒体は、これらの三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含むことによって、おおむね色の三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)の各色及びそれらの組み合わせの色を表示することが可能となる。すなわち、より広範囲の色相の色を表示することが可能となり、その結果、より広範囲の色相の色及びそれらの色の組み合わせを備えた画像を表示する(より多色の画像を表示する)ことが可能な画像表示媒体を提供することができる。
これらの三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、それぞれの発色状態における各フルギド化合物の可視光の波長領域における吸収スペクトルにおいて、吸収帯又は吸収ピークの重なりが無いことが好ましい。吸収帯又は吸収ピークの重なりが大きい場合には、三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物のうち、特定の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を発色又は消色させる際に、そのフルギド化合物に起因する吸収帯と大きく重なる吸収帯を有する他のフルギド化合物も同時に発色又は消色させることになるため、三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色及び消色によって所望の色を表示することが困難になることがある。逆に、吸収帯又は吸収ピークの重なりが小さい又は無い場合には、これらの三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を実質的に独立に発色又は消色させることができるため、三種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色及び消色によって所望の色を表示することが容易となる。
発色状態において、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物としては、例えば、2−[1−(2,4,5−トリメチル−3−フリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミドが挙げられる。
発色状態において、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物としては、例えば、2−[1−(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミドが挙げられる。
発色状態において、600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する本発明の実施形態におけるフルギド化合物としては、例えば、2−[1−(2,4,5−トリメチル−1−フェニル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミドが挙げられる。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を含む。すなわち、画像表示媒体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を含む。
ここで、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を、感光層と呼ぶことにする。感光層は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を独立に含み、本発明の実施形態におけるフルギド化合物以外にバインダー材料を含んでもよい。感光層に含まれるバインダー材料は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物のフォトクロミズムの性質(発色状態と消色状態との間における変化の性質)に悪影響を及ぼさないことが好ましい。また、感光層に含まれるバインダー材料は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物に対して良好な相溶性を有することが好ましい。さらに、感光層に含まれるバインダー材料は、感光層を成膜することが可能であり、成膜した感光層の透明性に優れる材料であることが好ましい。このようなバインダー材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどの樹脂材料が挙げれられる。
画像表示媒体が、感光層を含む場合には、感光層を基板等の基体に設けることができ、この場合には、感光層を基体によって支持して、感光層の耐久性を向上させることができる。また、感光層を基体上に容易に作製することができる。基板のような基体の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等のような透明材料及び紙などの不透明材料が挙げられる。
感光層を形成する方法としては、塗布法及び蒸着法が挙げられる。しかしながら、塗布法は、簡便な方法であり、単数種類又は複数種類の本発明の実施形態によるフルギミド化合物及び必要に応じてバインダー材料を、溶媒に溶解させ、得られた溶液を、印刷法、スピンコート法などの方法を用いて、基板のような基体又は既に形成された感光層などに塗布し、乾燥して、感光層を成膜すればよい。感光層は、単一の層であってもよく、複数の層からなるものでもよい。感光層が、複数の層からなる場合には、隣り合う複数の層が互いに混合することがないように、複数の層の間に分離層を設けることが、好ましい。このような分離層は、感光層に含まれるバインダー材料を、本発明の実施形態によるフルギミド化合物を溶解しない溶媒に溶解させた成膜用溶液を、感光層における複数の層に塗布することによって、形成され得る。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記化合物の少なくとも二種類を含む単一の層を含む。すなわち、画像表示媒体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも二種類を含む単一の層を含む。
画像表示媒体に含まれる単一の層が、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも二種類を含むため、画像表示媒体に要求される少なくとも二種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を、画像表示媒体における単一の層に提供すればよく、画像表示媒体により簡便に作製することができる。その結果、画像表示媒体を作製するためのコストを低減することが可能となる。単一の層に含まれる本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも二種類は、所定の混合比で混合されて、必要に応じてバインダー材料と共に、画像表示媒体における単一の層として提供される。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記化合物の少なくとも一種類を含む第一の層及び該第一の層に含まれる該化合物の少なくとも一種類と異なる種類の前記化合物を含む第二の層を含む。すなわち、画像表示媒体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む第一の層及び第一の層に含まれる本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類と異なる種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含む第二の層を含む。
この場合には、第一の層及び第二の層の各々に含まれる本発明の実施形態におけるフルギド化合物に適切なバインダー材料を選択して、本発明の実施形態におけるフルギド化合物及びそれに適切なバインダー材料を含む第一の層及び第二の層を有する画像表示媒体を提供することができる。第一の層及び第二の層は、互いに隣接していてもよく、すなわち、積層されていてもよい。また、第一の層と第二の層との間に本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含まない層を設けてもよい。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体において、好ましくは、前記層を保護する保護層をさらに含む。すなわち、画像表示媒体は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を保護する保護層をさらに含む。保護層は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層の上に直接的に設けてもよく、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層と保護層との間に別の層が設けられていてもよい。
保護層の材料としては、高い透明性及び高い硬度を有する、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、及びPVA(ポリビニルアルコール)等が好適に用いられる。画像表示媒体が、保護層を有するときには、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層(感光層)は、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層を構成する成分が、水分及び特定のガス等による悪影響を受けることを、低減することが可能となる。また、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層の機械的損傷も有効に低減し、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の少なくとも一種類を含む層の耐久性を向上させることが可能となり、より高い信頼性を有する画像表示媒体を提供することができる。
本発明による第二の実施形態は、本発明による第一の実施形態である画像表示媒体に光を照射する又は本発明による第一の実施形態である画像表示媒体を加熱することによって、その画像表示媒体に画像を表示することを含む。
本発明による第一の実施形態である画像表示媒体に画像を表示することは、画像表示媒体に光を照射する、及び、画像表示媒体を加熱するなどの、画像表示媒体にエネルギーを与えることによって、達成することができる。例えば、画像表示媒体に光を照射することによって、画像表示媒体に画像を表示することは、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の消色状態から発色状態への変化を引き起こすことが可能な波長以下の波長を含む紫外光を画像表示媒体に照射することによって、画像表示媒体に画像を書き込むことを含む。また、画像表示媒体に光を照射することによって、画像表示媒体に画像を表示することは、本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色状態から消色状態への変化を引き起こすことが可能な波長を含む可視光を画像表示媒体に照射することによって、画像表示媒体に書き込まれた画像を消去することを含む。本発明の実施形態におけるフルギド化合物の発色状態から消色状態への変化を引き起こすことが可能な波長を含む可視光は、発色状態における本発明の実施形態におけるフルギド化合物の可視光の波長領域における吸収スペクトルにおいて、本発明の実施形態におけるフルギド化合物による可視光の極大吸収波長を含む可視光であることが好ましい。なお、画像表示媒体に紫外光及び可視光などのような光を照射するとき、同時に又は別々に、画像表示媒体を加熱してもよい。
図1(a)及び(b)は、本発明の実施形態による画像表示媒体を説明する図である。
図1(a)は、単数種類又は複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を含む単一の感光層を備えた画像表示媒体の例を説明する図である。図1(a)に示す画像表示媒体は、基板10、基板10に設けられた感光層20、及び感光層20に設けられ且つ感光層20を保護する保護層30を有する。感光層20は、発色状態において400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第一の本発明の実施形態におけるフルギド化合物、発色状態において500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第二の本発明の実施形態におけるフルギド化合物、発色状態において600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物、及びバインダー材料を含む。第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、互いに異なる。感光層20は、第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物及びバインダー材料を溶剤に溶解させた溶液を基板10に塗布することによって、形成される。
図1(b)は、単数種類又は複数種類の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を独立に含む複数の感光層を備えた画像表示媒体の例を説明する図である。図1(b)に示す画像表示媒体は、基板10、基板10に設けられた第一の感光層20a、及び第一の感光層20aに設けられた第二の感光層20b、第二の感光層20bに設けられた第三の感光層20c、第三の感光層20cに設けられ且つ第一、第二、及び第三の感光層20a、20b、20cを保護する保護層30を有する。ここで、第一、第二、及び第三の感光層20a、20b、20cは、基板10上に互いに隣接して積層されている。第一の感光層20aは、発色状態において400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第一の本発明の実施形態におけるフルギド化合物及び第一のバインダー材料を含む。第二の感光層20bは、発色状態において500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第二の本発明の実施形態におけるフルギド化合物及び第二のバインダー材料を含む。第三の感光層20cは、発色状態において600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物及び第三のバインダー材料を含む。第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物は、互いに異なる。第一、第二、及び第三の感光層20a、20b、20cは、それぞれ、第一、第二、又は第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物及びバインダー材料を溶剤に溶解させた溶液を順次塗布することによって、形成される。
図2は、本発明の実施形態による画像表示方法を説明する図である。図2に示す画像形成方法は、図1(a)又は(b)に示すような画像表示媒体に画像を形成する方法であり、ステップS1、S2−1、S2−2、S2−3、及びS3を含む。
まず、ステップS1において、図1(a)又は(b)に示すような画像表示媒体に含まれる第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物を発色させる光(紫外光)を、画像表示媒体の所望の位置に照射する。このとき、画像表示媒体を加熱してもよい。その結果、第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物が、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアンの色を発色し、画像表示媒体における紫外光が照射された部分は、黒色を呈する。
次に、ステップS2−1において、画像表示媒体における黒色を呈した部分における所望の位置に、400nm以上500nm未満の範囲における第一の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の極大吸収波長を含む可視光を照射する。このとき、画像表示媒体を加熱してもよい。その結果、画像表示媒体における黒色を呈する部分における可視光を照射した部分において、第一の本発明の実施形態におけるフルギド化合物のイエロー色を消色する。
次に、ステップS2−2において、画像表示媒体における黒色を呈した部分における所望の位置に、500nm以上600nm未満の範囲における第二の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の極大吸収波長を含む可視光を照射する。このとき、画像表示媒体を加熱してもよい。その結果、画像表示媒体における黒色を呈した部分における可視光を照射した部分において、第二の本発明の実施形態におけるフルギド化合物のマゼンタ色を消色する。
次に、ステップS2−3において、画像表示媒体における黒色を呈した部分における所望の位置に、600nm以上700nm未満の範囲における第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物の極大吸収波長を含む可視光を照射する。このとき、画像表示媒体を加熱してもよい。その結果、画像表示媒体における黒色を呈した部分における可視光を照射した部分において、第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物のシアン色を消色する。
このようにして、画像表示媒体におおむねフルカラーの画像を書き込むことが可能となる。
そして、ステップS3において、画像表示媒体に白色光を照射する。このとき、画像表示媒体を加熱してもよい。その結果、画像表示媒体における白色光を照射した部分において、第一、第二、及び第三の本発明の実施形態におけるフルギド化合物のイエロー、マゼンタ、シアンの色を消色し、画像表示媒体に書き込まれた画像を消去する。そして、画像が消去された画像表示媒体は、繰り返し使用される。
[実施例1]
フォトクロミック化合物として、2−[1−(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミド(PC1)を用いた。100重量部のポリスチレンに対して10重量部のPC1を添加した混合物を溶媒に溶解させ、得られた溶液を用いて、石英基板上に感光層としてのキャスト膜を作製した。紫外光の照射前におけるPC1を含むキャスト膜の吸収スペクトルを測定したところ、300nm〜400nmの波長範囲に吸収帯が認められ、紫外光の照射前におけるキャスト膜の色は、無色であった。この膜に高圧水銀ランプから取り出した波長366nmの紫外光を照射したところ、PC1は、マゼンタに発色し、紫外光の照射後における膜の吸収スペクトルの極大吸収波長は、555nmであった。
上と同様の処方によって得られたキャスト膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板上に形成した。白色PET基板上に形成したPC1を含む膜に、紫外光及び可視光を交互に照射して、PC1の発色及び消色を繰り返したところ、フォトクロミック化合物の劣化率は、100回の繰り返し回数で0.6%であり、200回の繰り返し回数で1%であり、300回の繰り返し回数で2%であった。この結果より、PC1の発色及び消色を300回繰り返しても、PC1は、優れたフォトクロミック特性を示した。
図3は、フォトクロミック化合物の劣化率を説明する図である。図3の横軸は、フォトクロミック化合物を含む膜に照射する光の波長(nm)を示し、図3の縦軸は、フォトクロミック化合物を含む膜の反射率を示す。すなわち、図3は、フォトクロミック化合物を含む膜の反射スペクトルを示す。図3において、aは、フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長(ボトム波長)についての、初期における膜の消色状態での反射率と初期における膜の発色状態での反射率との差であり、bは、フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長(ボトム波長)についての、紫外光及び可視光の照射を所定の繰り返し回数だけ繰り返したときにおける膜の発色状態での反射率と初期における膜の発色状態での反射率との差である。そして、フォトクロミック化合物の劣化率は、b/a×100で定義される値であり、紫外光及び可視光の照射を所定の繰り返し回数だけ繰り返したときに、発色状態と消色状態との間でのフォトクロミック化合物の色の変化量における減少を意味する。すなわち、フォトクロミック化合物の劣化率が小さいほど、紫外光及び可視光の照射を所定の繰り返し回数だけ繰り返したとき、フォトクロミック化合物の劣化が小さく、フォトクロミック化合物の耐久性が高い。
[比較例1]
フォトクロミック化合物として、2−[1−(2,5−ジメチル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミドを用いて、実施例1と同様の薄膜を作製した。その薄膜に、紫外光及び可視光を交互に照射して、フォトクロミック化合物の発色及び消色を繰り返したところ、フォトクロミック化合物の劣化率は、100回の繰り返し回数で28%であり、200回の繰り返し回数で46%であり、300回の繰り返し回数で99%であった。
[実施例2]
フォトクロミック化合物として、2−[1−(2,4,5−トリメチル−3−フリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミド(PC2)及び2−[1−(2,4,5−トリメチル−1−フェニル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミド(PC3)を用いた。100重量部のポリメタクリル酸メチルに対して10重量部のPC2及び10重量部のPC3を添加した混合物を溶媒に溶解させ、得られた溶液を用いて、石英基板上に感光層としてのキャスト膜を作製した。紫外光の照射前におけるPC2及びPC3を含むキャスト膜の吸収スペクトルを測定したところ、300nm〜400nmの波長範囲に吸収帯が認められ、紫外光の照射前におけるキャスト膜の色は、無色であった。この膜に高圧水銀ランプから取り出した波長366nmの紫外光を照射したところ、PC2及びPC3は、イエロー及びシアンに発色し、紫外光の照射後における膜の吸収スペクトルの極大吸収波長は、それぞれ、485nm及び635nmであった。
100重量部のポリスチレンに対して5重量部のPC1、5重量部のPC2、及び5重量部のPC3を添加した混合物をトルエンに溶解させ、得られた溶液を用いて、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(厚さ125μm)上に感光層としてのキャスト膜(厚さ20μm)を形成し、そのキャスト膜上に保護層としてのPVA膜(厚さ2μm)をさらに形成した。紫外光の照射前における感光層としてのキャスト膜及び保護層としてのPVA膜の色は、無色であり、基板の色が、白色であるため、観察者には、紫外光の照射前における画像表示媒体の色は、白色であると認識された。キャスト膜の全面に波長366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC2、及びPC3の全てが発色し、キャスト膜は、黒色を呈した。
また、以下の実施例3〜18に示すように、感光層としてのキャスト膜における黒色を呈した部分に波長470nm、560nm、及び660nmの光を発光するLEDを用いて、それぞれの光の照射量を調整すると共に膜に対する光の照射処理を行うことによって、良好なレッド、グリーン、ブルー、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色の表示が可能であった。
[実施例3]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の一部分にLEDを用いて波長470nmの光を照射したところ、キャスト膜における波長470nmの光を照射した部分が、青紫色を呈した。
[実施例4]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の別の部分にLEDを用いて波長560nmの光を照射したところ、キャスト膜における波長560nmの光を照射した部分が、緑色を呈した。
[実施例5]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の別の部分にLEDを用いて波長660nmの光を照射したところ、キャスト膜における波長660nmの光を照射した部分が、赤色を呈した。
[実施例6]
実施例3における感光層としてのキャスト膜における青紫色を呈した部分にLEDを用いて波長560nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の青紫色を呈した部分における波長560nmの光を照射した部分が、シアン色を呈した。
[実施例7]
実施例3における感光層としてのキャスト膜における青紫色を呈した部分にLEDを用いて波長660nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の青紫色を呈した部分における波長660nmの光を照射した部分が、マゼンタ色を呈した。
[実施例8]
実施例4における感光層としてのキャスト膜における緑色を呈した部分にLEDを用いて波長470nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の緑色を呈した部分における波長470nmの光を照射した部分が、シアン色を呈した。
[実施例9]
実施例4における感光層としてのキャスト膜における緑色を呈した部分にLEDを用いて波長660nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の緑色を呈した部分における波長660nmの光を照射した部分が、イエロー色を呈した。
[実施例10]
実施例5における感光層としてのキャスト膜における赤色を呈した部分にLEDを用いて波長470nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の赤色を呈した部分における波長470nmの光を照射した部分が、マゼンタ色を呈した。
[実施例11]
実施例5における感光層としてのキャスト膜における赤色を呈した部分にLEDを用いて波長560nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜の赤色を呈した部分における波長560nmの光を照射した部分が、イエロー色を呈した。
[実施例12]
実施例6及び8における感光層としてのキャスト膜におけるシアン色を呈した部分にLEDを用いて波長660nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜のシアン色を呈した部分における波長660nmの光を照射した部分が、無色となり、基板の色である白色が観察された。
[実施例13]
実施例7及び10における感光層としてのキャスト膜におけるマゼンタ色を呈した部分にLEDを用いて波長560nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜のマゼンタ色を呈した部分における波長560nmの光を照射した部分が、無色となり、基板の色である白色が観察された。
[実施例14]
実施例9及び11における感光層としてのキャスト膜におけるイエロー色を呈した部分にLEDを用いて波長470nmの光をさらに照射したところ、キャスト膜のイエロー色を呈した部分における波長470nmの光を照射した部分が、無色となり、基板の色である白色が観察された。
[実施例15]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の一部分にLEDを用いて波長470nmの光及び波長560nmの光を同時に照射したところ、キャスト膜における波長470nm及び波長560nmの光を照射した部分が、シアン色を呈した。
[実施例16]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の一部分にLEDを用いて波長470nmの光及び波長660nmの光を同時に照射したところ、キャスト膜における波長470nm及び波長660nmの光を照射した部分が、マゼンタ色を呈した。
[実施例17]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の一部分にLEDを用いて波長560nmの光及び波長660nmの光を同時に照射したところ、キャスト膜における波長560nm及び波長660nmの光を照射した部分が、イエロー色を呈した。
[実施例18]
実施例2における感光層としてのキャスト膜の一部分にLEDを用いて波長470nmの光、波長560nmの光、及び波長660nmの光を同時に照射したところ、キャスト膜における波長470nm、波長560nm、及び波長660nmの光を照射した部分が、無色となり、基板の色である白色が観察された。
[実施例19]
フォトクロミック化合物として、2−[1−(2,4,−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸−N−フェニルイミド(PC4)を用いた。100重量部のポリスチレンに対して10重量部のPC4を添加した混合物を溶媒に溶解させ、得られた溶液を用いて、石英基板上に感光層としてのキャスト膜を作製した。紫外光の照射前におけるPC4を含むキャスト膜の吸収スペクトルを測定したところ、300nm〜400nmの波長範囲に吸収帯が認められ、紫外光の照射前におけるキャスト膜の色は、無色であった。この膜に高圧水銀ランプから取り出した波長366nmの紫外光を照射したところ、PC4は、マゼンタに発色し、紫外光の照射後における膜の吸収スペクトルの極大吸収波長は、570nmであった。
100重量部のポリスチレンに対して5重量部のPC1、5重量部のPC3、5重量部のPC4を添加した混合物をトルエンに溶解させ、得られた溶液を用いて、白色のPET基板上に感光層としてのキャスト膜を形成し、そのキャスト膜上に保護層としてのPVA膜をさらに形成した。紫外光の照射前における感光層としてのキャスト膜及び保護層としてのPVA膜の色は、無色であった。キャスト膜の全面に波長366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC3、及びPC4の全てが発色し、キャスト膜は、青緑色を呈した。
なお、感光層としてのキャスト膜における青緑色を呈した部分に、実施例2と同様に、LEDを用いて波長470nm、560nm、及び660nmの光を照射して、種々の色の表示を試みたところ、グリーン、ブルー、マゼンタ、及びシアンの色の表示は可能であったが、レッド、イエロー、及びブラックの表示はできなかった。
[実施例20]
実施例19における感光層としてのキャスト膜における青紫色を呈した部分にLEDを用いて波長560nmの光をさらに照射したところ、PC1及びPC4が選択的に消色され、キャスト膜の青紫色を呈した部分における波長560nmの光を照射した部分が、シアン色を呈した。
[実施例21]
実施例19における感光層としてのキャスト膜における青紫色を呈した部分にLEDを用いて波長660nmの光をさらに照射したところ、PC3のみが選択的に消色され、キャスト膜の青紫色を呈した部分における波長660nmの光を照射した部分が、マゼンタ色を呈した。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
[付記]
付記(1):画像を表示することが可能な画像表示媒体において、
消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005


で表される単数又は複数種類の化合物を含み、
該単数又は複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、
該単数又は複数種類の化合物の各々におけるR 、R 、R 、R 、R 、R 、及びR の各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基である
ことを特徴とする画像表示媒体。
付記(2):前記化合物は、消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005
で表される複数種類の化合物を含み、
該複数種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、
該複数種類の化合物の各々におけるR 、R 、R 、R 、R 、R 、及びR の各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、
該複数種類の化合物のうち少なくとも二種類は、発色状態において、互いに異なる極大吸収波長を有する
ことを特徴とする、付記(1)に記載の画像表示媒体。
付記(3):前記複数種類の化合物は、消色状態において一般式(1)
Figure 0004542005
で表される少なくとも三種類の化合物を含み、
該少なくとも三種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、
該少なくとも三種類の化合物の各々におけるR 、R 、R 、R 、R 、R 、及びR の各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、
該三種類の化合物は、発色状態において、それぞれ、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長、及び600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する
ことを特徴とする、付記(2)に記載の画像表示媒体。
付記(4):
前記化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を含む
ことを特徴とする、付記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の画像表示媒体。
付記(5):
前記化合物の少なくとも二種類を含む単一の層を含む
ことを特徴とする、付記(2)又は(3)に記載の画像表示媒体。
付記(6):
前記化合物の少なくとも一種類を含む第一の層及び該第一の層に含まれる該化合物の少なくとも一種類と異なる種類の前記化合物を含む第二の層を含む
ことを特徴とする、付記(2)又は(3)に記載の画像表示媒体。
付記(7):
前記層を保護する保護層をさらに含む
ことを特徴とする、付記(4)乃至(6)のいずれか一つに記載の画像表示媒体。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の実施形態による画像表示媒体を説明する図である。 図2は、本発明の実施形態による画像表示方法を説明する図である。 図3は、フォトクロミック化合物の劣化率を説明する図である。
10 基板
20 感光層
20a 第一の感光層
20b 第二の感光層
20c 第三の感光層
30 保護層

Claims (5)

  1. 画像を表示することが可能な画像表示媒体において、
    消色状態において一般式(1)
    Figure 0004542005
    で表される少なくとも三種類の化合物を含み、
    該少なくとも三種類の化合物の各々におけるXは、独立して、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選択される原子であり、
    該少なくとも三種類の化合物の各々におけるR、R、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される基であり、
    該三種類の化合物は、発色状態において、それぞれ、400nm以上500nm未満の範囲における極大吸収波長、500nm以上600nm未満の範囲における極大吸収波長、及び600nm以上700nm未満の範囲における極大吸収波長を有する
    ことを特徴とする画像表示媒体。
  2. 請求項1に記載の画像表示媒体において、
    前記化合物の少なくとも一種類を独立に含む少なくとも一つの層を含む
    ことを特徴とする画像表示媒体。
  3. 請求項1に記載の画像表示媒体において、
    前記化合物の少なくとも二種類を含む単一の層を含む
    ことを特徴とする画像表示媒体。
  4. 請求項1に記載の画像表示媒体において、
    前記化合物の少なくとも一種類を含む第一の層及び該第一の層に含まれる該化合物の少なくとも一種類と異なる種類の前記化合物を含む第二の層を含む
    ことを特徴とする画像表示媒体。
  5. 請求項1から4までのうちいずれか一項に記載の画像表示媒体において、
    前記層を保護する保護層をさらに含む
    ことを特徴とする画像表示媒体。
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