JP4368539B2 - 多色画像表示方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示方法および装置に関し、詳しくは、光照射によりカラー画像の書き込みおよび消去の繰り返しが可能な画像表示方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光照射により可逆的な色変化を示すフォトクロミック化合物を用いた書き換え型の表示媒体に関する提案は以前からなされてはいるが、フルカラー画像を何度も書き換えできる実用的な方法および装置に関する提案は見あたらない。
【0003】
フォトクロミック化合物を用いてカラー画像を形成する方法としては、例えば特開平5−271649号公報において、254nmの紫外光照射で黄橙色、313nmの紫外光照射で赤色、365nmの紫外光照射で青紫色に発色するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を3種類混合して基板上に感光層を形成し、それぞれの波長の紫外光を照射する方法が提案されている。フルカラー画像を形成するためには、3原色(青、緑、赤またはイエロー、マゼンタ、シアン)を発色する3種類以上のフォトクロミック化合物の消・発色を光で制御しなければならないが、上記の方法では3種類の紫外光波長域により各材料の発色の有無が選択できることが必要であり、つまり紫外域での吸収帯に重なりがない3種類以上のフォトクロミック化合物が必要であり、更に、それらの化合物が発色状態において上記3原色を示さなければならないが、そのような化合物の系は実際には見当たらない。また、実用化には発色特性だけではなく、繰り返し耐久性、熱・湿安定性なども考慮しなければならず、これらの全てを満たす材料を開発するのは大変困難であると思われる。
【0004】
また、特開平7−199401号公報においては、発色状態でイエロー、マゼンタ、シアンを示す3種類のフォトクロミック性フルギド化合物を用いて基板上に感光層を形成し、366nmの紫外光で全フォトクロミック化合物を発色させた後に、感光層に特定の波長の光を照射して特定の材料を選択的に消色させる方法が提案されている。この方法では、紫外光が1種類だけであるという利点があるものの、例えばマゼンタ発色材料を消色させるために照射された光によって、イエロー発色材料およびシアン発色材料も少なからず消色されてしまい、所望の色が正確には得られない場合が多いという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述の従来技術の状況および問題を鑑みてなされたものであり、所望の色を忠実に表示できる高表示品質の、書き換え型の多色表示方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態における極大吸収波長が他とは異なるものを含む2種類以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支持基板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくとも、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色した各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程、および所望の領域を加熱することにより熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程を施すことを特徴とする多色画像表示方法」、(2)「感光層が、発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の多色画像表示方法」、(3)「発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型であることを特徴とする前記第(2)項に記載の多色画像表示方法」、(4)「感光層の表面に保護層を形成したことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(5)「紫外光照射が画像表示部全面に対して行なわれることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(6)「紫外光の照射強度を可変とすることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(7)「紫外光の照射時間を可変とすることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(8)「可視光の照射強度および加熱温度を可変とすることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(9)「可視光の照射時間および加熱時間を可変とすることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(10)「白色光を画像表示部全面に照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(11)「各波長の可視光光源が、白色光源と光学フィルターから構成されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(12)「各波長の可視光光源が、それぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子から構成されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」により達成される。
【0007】
また、上記課題は、本発明の(13)「ライン状の紫外光光源および可視光光源、そしてサーマルヘッドおよび全面加熱手段を備え、画像表示媒体と前記光源類及び加熱手段類とを相対的に移動させながら、前記第(1)項乃至第(12)項の何れか1に記載の方法を用いて画像を形成することを特徴とする多色画像表示装置」により達成される。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第(1)の特徴は、熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態における極大吸収波長が他とは異なる、つまり発色状態において認識される色が他とは異なるものを含む2種類以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支持基板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくとも、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色した各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程、および所望の領域を加熱することにより熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程を施すことである。
【0009】
フォトクロミック化合物は、熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱可逆型フォトクロミック化合物とに分類される。熱不可逆型は、発色状態から消色状態への消色反応が光照射によってのみ生じ、熱的にはほとんど全く生じない。一方、熱可逆型は、消色反応が光照射によってもある程度生じるが、熱によって大きく進む。したがって、例えば両者を含む感光層において両者の発色状態における極大吸収波長がほぼ同じあっても、加熱することにより、熱可逆型フォトクロミック化合物のみを選択的に消色させることができるし、前記極大吸収波長に対応する領域の可視光を照射すれば熱不可逆型フォトクロミック化合物をある程度選択的に消色させることができる。さらに、前記発色状態における極大吸収波長がある程度異なる場合には、熱不可逆型フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長に対応する領域の可視光の照射により、その化合物のみを選択的に消色させることができる。
【0010】
用いる複数のフォトクロミック化合物の消色状態における吸収帯(紫外域)は、重なりが大きい方が都合がよい。その場合、紫外光光源の発光波長域がかなり狭くても、その波長が前記吸収帯の重なり部にあれば感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させることができる。また、消色状態における吸収帯(紫外域)の重なりが小さいかまたは重なりがない場合でも、紫外光光源が使用する全てのフォトクロミック化合物の発色反応を誘起するに充分な分光特性を有していればよい。
発色状態における極大吸収波長が異なるということは、つまり認識される”色”が異なるということであるが、この極大吸収波長は、表示に用いたい”色”に対応して設定されればよく、また、該フォトクロミック化合物の種類も、表示に用いたい”色”の数以上に設定されればよい。
【0011】
また、用いるフォトクロミック化合物は、すべて同程度の発色感度および消色感度を有することが好ましい。
感光層を構成する材料としては、該フォトクロミック化合物のほかに、バインダー材料があるが、該フォトクロミック化合物のフォトクロミズム機能に悪影響を与えることがなく、また該フォトクロミック化合物と相溶性が良く、成膜可能であり、硬化後の透明性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0012】
支持基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどのような透明材料、および紙などの不透明材料が挙げられる。
【0013】
感光層を形成する方法としては、塗布法のほかに蒸着法も挙げられるが、塗布法が簡便であり、該フォトクロミック化合物とバインダー材料を共に溶媒に溶かして、印刷法、スピンコート法などの方法により塗布し、乾燥して成膜すればよい。感光層は、単一層または複数層のどちらでもよいが、複数層を形成する場合は、隣り合う層同士が混合しないように層間に分離層を形成することが好ましい。分離層は、感光層中のバインダー材料およびフォトクロミック化合物を溶解しない溶媒を用いた成膜用溶液を塗布することによって形成できる。
【0014】
紫外光を照射する光源としては、水銀ランプやキセノンランプなどに光学フィルターを組み合わせて所望の波長域の紫外光を取り出して用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。例えば書き込み・消去のための光源系をなるべくコンパクトに構成した表示装置を作製するような場合には、LEDなどの発光素子が好ましく、さらに、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイを構成してもよい。
【0015】
可視光を照射する光源としては、白色光光源に光学フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。例えば、書き込み・消去のための光源系をなるべくコンパクトに構成した表示装置を作製するような場合には、LEDなどの発光素子が好ましく、さらに、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイを構成してもよい。特に所望の領域にのみ照射するような場合は、前述の光源アレイと、感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体とを相対的に移動させながら光源アレイの各発光面の照射のオン/オフを制御することによってもそれが可能となる。
【0016】
加熱の手段としては、特定の領域のみ加熱するような場合は、例えばサーマルプリンタ等に用いられるサーマルヘッド、広く全面に加熱するような場合には、例えば電子写真プリンタ等に用いられるような熱ローラ等を用いることができる。
【0017】
本発明において所望の画像を表示する方法としては、まず、画像表示媒体の表示面に紫外光を照射すると、照射された部分の感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物が発色する。ついで、各熱不可逆型フォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光を照射することにより、対応する特定の熱不可逆型フォトクロミック化合物が消色する。さらに、画像表示媒体の表示面の特定の領域を加熱することにより、その領域の熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する。この方法を用いて、画像表示媒体の表示面上の所望の領域に、いくつかの所望のフォトクロミック化合物の発色状態を生じさせることにより、所望の画像を形成することが可能となる。感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物が発色した後、同一の領域に複数の波長の可視光を照射する場合には、同時に照射してもよいし、順次別々に照射してもよい。また、順次別々に照射する場合、照射する波長の順番はどのようにしてもよい。また、可視光の照射と加熱の順番もどのようにしてもよい。
【0018】
本発明の第(2)の特徴は、感光層が、発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するものであることである。
【0019】
前記各フォトクロミック化合物の発色状態において認識される”色”は、それぞれ、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに相当し、これらにより3原色が構成されるため、前述の画像表示方法により多色表示が可能となる。
【0020】
発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物として、熱不可逆型としては、例えば
1,2−ビス(2−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2,3−ジ(2−メチルベンゾチエニル)マレイン酸ジメチル、
1,2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2−[1−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物
等が、
熱可逆型としては、例えば、
【0021】
【化1】
等が挙げられる。
【0022】
発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物として、熱不可逆型としては、例えば、
1,2−ビス(3−(2−メチル−6−(2−(4−メトキシフェニル)エチニル)ベンゾチエニル))−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−メチル−2−フェニルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2−[1−(2,5−ジメチル−1−フェニルピラゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物等が、
熱可逆型としては例えば
【0023】
【化2】
等が挙げられる。
【0024】
発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物として、熱不可逆型としては、例えば、
1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(5−シアノ−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(6−カルボキシル−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−シアノ−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2−[1−(1,2,5−トリメチル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物
等が、
熱可逆型としては、例えば、
【0025】
【化3】
等が挙げられる。
【0026】
発色状態における極大吸収波長が大きく異なり、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに認識されるこれらのフォトクロミック化合物は、所定の混合比で均一に混合されてバインダー材料と共に単一層の感光層を形成してもよいし、また、それぞれのフォトクロミック化合物とバインダー材料とからなる感光層を積層して複数層の感光層を形成してもよい。
【0027】
本発明の第(3)の特徴は、発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物を熱不可逆型とし、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物を熱可逆型とし、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物を熱不可逆型としたことである。
【0028】
例えば、全て熱不可逆型のフォトクロミック化合物を用いて感光層を形成した場合、それぞれの化合物の可視域における吸収帯の重なりがある程度大きい場合、可視光の照射によって特定のフォトクロミック化合物を消色しようとした際に、他のフォトクロミック化合物もある程度消色してしまうため、所望の色が得られにくくなってしまう。
これに対し、本発明における熱不可逆型と熱可逆型の組み合わせでフォトクロミック化合物を用いて感光層を形成した場合、可視光によって消色すべき、発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物の可視域における吸収帯の重なりはほとんどないため、上述のような問題が生じない。発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物については、加熱により選択的に消色できる。
【0029】
本発明の第(4)の特徴は、感光層の表面に保護層を形成したことである。
保護層の材料としては、透明性が高く、硬度が高い点でシリコーン樹脂またはアクリル樹脂が好適に用いられる。保護層を形成することにより、感光層は水分や特定のガス等による、感光層を構成する化合物の、必要な機能の発現に関わる反応に対する悪影響を低減することが可能となり、また、機械的損傷からも有効に保護されて耐久性が向上する。
【0030】
本発明の第(5)の特徴は、紫外光照射が画像表示部全面に対して行なわれることである。
画像表示媒体に紫外光照射を行なう場合、表示しようとする画像における“白”部(感光層が無色になるべき部分)には、紫外光照射による発色も、そして可視光照射や加熱による消色も行なわず、それ以外の部分に紫外光を選択的に照射する方法もあるが、この場合には、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光部を連続して並べて形成した紫外光源アレイなどが必要になるし、そしてその前に表示部全面に、感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物を消色させるために可視光を照射する工程が必要になる。一方、紫外光照射を画像表示部全面に対して行なう場合、紫外光を照射する光源としては、例えば画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光部を連続して並べて形成した光源アレイなどである必要はなく、例えば安価なランプ光源を用いることができる。このようにランプ光源を用いるほうがコスト的にも有利であるし、照射強度の確保も容易である。また、感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物を消色させるために、表示部全面に可視光を照射する工程も不要になる。
【0031】
本発明の第(6)の特徴は、紫外光の照射強度を可変とすることである。
紫外光の照射量により、感光層に含有されるフォトクロミック化合物の発色の程度は変化する。つまり、紫外光の照射量により、積極的に発色の程度を調整することが可能である。したがって、画像全体の濃度を調整したい場合や、あるいは表示すべき画像において必要とされる最大の発色濃度が、予め画像信号の読みとりなどからわかっていれば、必要な画像濃度に必要充分な発色を生じさせるだけの照射量で紫外光を照射することにより、可視光照射による消色の程度を最小限にすることができるので、消費エネルギーの低減が可能となるし、また、材料の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利になる。紫外光光源自体の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の外部において、光源から照射された紫外光の強度を調整する方法等により、紫外光の照射強度を可変として照射量を調整することにより、照射時間に関する条件は任意に設定できるため、例えば光源系と画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法においては、前記移動の速度の制御が最も簡単になるように設定できるため(例えば一定速度、2つの速度の単純繰り返し等)、光源系と画像表示媒体との相対的移動に関するメカニカルな機構構成および制御が容易になる。
【0032】
本発明の第(7)の特徴は、紫外光の照射時間を可変とすることである。
紫外光の照射量により、感光層に含有されるフォトクロミック化合物の発色の程度は変化する。つまり、紫外光の照射量により、積極的に発色の程度を調整することが可能である。したがって、画像全体の濃度を調整したい場合や、あるいは表示すべき画像において必要とされる最大の発色濃度が、予め画像信号の読み取りなどからわかっていれば、必要な画像濃度に必要充分な発色を生じさせるだけの照射量で紫外光を照射することにより、可視光照射による消色の程度を最小限にすることができるので、消費エネルギーの低減が可能となるし、また材料の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利になる。例えば光源系と画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法においては、前記相対的な移動速度を調整することにより照射時間を制御して結果として照射量を調整することになる。例えば画像濃度を小さめに調整したい場合、前記相対的な移動速度を大きくすることで照射時間を短くすると、紫外光照射による発色濃度が小さくなるが、同様に可視光による消色の程度も小さくなり、発色と消色のバランスを保ちつつ全体の画像濃度の調整が可能となる。照射強度は一定にすればよいため、紫外光光源自体の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の外部において、光源から照射された紫外光の強度を調整する部材等を設ける必要がなく、構成が容易になる。
【0033】
本発明の第(8)の特徴は、可視光の照射強度および加熱温度を可変とすることである。
すでに説明したが、画像表示媒体の表示面に紫外光を照射すると、照射された部分の感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物が発色する。次いで、各熱不可逆型フォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光の照射および加熱により、対応する特定のフォトクロミック化合物を消色させて、画像表示媒体の表示面上の所望の領域に、用いたフォトクロミック化合物の発色の有無の組み合わせによる複数の色が得られる。これにおいて、前記可視光の照射量により感光層に含有される熱不可逆型フォトクロミック化合物の消色の程度は変化し、また、加熱の程度によって熱可逆型フォトクロミック化合物の消色の程度は変化する。つまり、可視光の照射量および加熱した熱量により対応する各熱不可逆型フォトクロミック化合物、および熱可逆型フォトクロミック化合物の発色濃度を調整することが可能となり、各色の階調表示が可能となって、各色の組み合わせにより多色表示が可能となる。可視光の照射強度および加熱温度を可変として照射量を調整することにより、照射時間および加熱時間に関する条件は任意に設定できるため、例えば光源系および加熱手段と画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法においては、前記移動の速度の制御が最も簡単になるように設定できるため(例えば一定速度、2つの速度の単純繰り返し等)、光源系および加熱手段と画像表示媒体との相対的移動に関するメカニカルな機構構成および制御が容易になる。
【0034】
本発明の第(9)の特徴は、可視光の照射時間および加熱時間を可変とすることである。
上記で説明したように、可視光の照射量および加熱した熱量により対応する各熱不可逆型フォトクロミック化合物および熱可逆型フォトクロミック化合物の発色濃度を調整することが可能となり、各色の階調表示が可能となって、各色の組み合わせにより多色表示が可能となる。例えば前述のアレイ光源およびサーマルヘッドを用い、これらと画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法においては、各単位発光面の照射のオン/オフおよび各単位発熱部のオン/オフを制御することにより、照射時間を制御して結果として照射量を調整することになる。照射強度および加熱温度は一定にすればよいため、発光強度を制御するための制御機構を設ける必要がなく、構成が容易になる。
【0035】
本発明の第(10)の特徴は、白色光を画像表示部全面に照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程を含むことである。
発色させた全種類のフォトクロミック化合物を、画像表示部全面にわたってすべて消色して全消去したい場合、各熱不可逆型フォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対応した波長の光を照射するアレイ光源およびサーマルヘッドを用い、光照射による消色を各熱不可逆型フォトクロミック化合物の全種類分、そして、熱可逆型フォトクロミック化合物についてはサーマルヘッドによる加熱を行なうことになるが、白色光光源を設けて表示部全面に白色光を照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程を加えることにより、短時間での表示画像の全消去が可能となる。該白色光光源は、例えば画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光部を連続して並べて形成した光源アレイなどである必要はなく、安価なランプ光源を用いることができるし、画像表示部全面に加熱する手段としては熱ローラ等を用いることができる。このようにランプ光源および熱ローラ等を用いるほうがコスト的にも有利であるし、照射強度および熱量のの確保も容易である。
【0036】
本発明の第(11)の特徴は、各波長の可視光光源が、白色光源と光学フィルターから構成されることである。
可視光光源の各波長は、使用する熱不可逆型フォトクロミック化合物の発色体の可視域吸収帯に対応させて設定されるが、さらに詳細には、極大吸収波長付近に設定したり、あるいは光反応収率の波長依存を考慮したり、または他のフォトクロミック化合物の発色体の可視域吸収帯の波長域との関係を考慮して、より短波長側にあるいはより長波長側に設定することがある。このように可視光光源の好ましい波長の設定は、使用するフォトクロミック化合物により様々であるが、可視光光源を白色光源と光学フィルターから構成すれば、光学フィルターの形成条件、または交換設置等により、波長の調整が容易にできる。
【0037】
本発明の第(12)の特徴は、各波長の可視光光源が、例えばLEDやLD等のような、それぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子から構成されることである。
この場合は、光の利用効率が高く、照射強度の確保も容易になるし、消費エネルギーの低減も可能となる。
【0038】
本発明の第(13)の特徴は、ライン状の紫外光光源および可視光光源、そしてサーマルヘッドおよび全面加熱手段を備え、画像表示媒体と前記光源類及び加熱手段類とを相対的に移動させながら、画像を形成する装置を構成することである。
ここで、ライン状というのは厳密に直線状に限られるものではなく、例えばある長さの光源ユニットおよびサーマルヘッドがいわゆる千鳥状に互い違いに配列して全体的にラインを形成しているようなものも含むものであるし、また、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイ等に関しても、同一波長の光源を構成する発光面の配列が一列でなく、複数列であってもよい。また、発光波長が異なるそれぞれの光源アレイが一つの構造体に組み込まれていてもよいし、独立した構造体として構成されてもよい。
【0039】
本発明の多色画像表示方法を用いて画像表示装置を作製する場合は、光源の種類や構成などにより様々な構成を考えることができ、用途に応じて適宜選択すればよい。ただし、高解像度・高速書き込み・小型化・低コストなどが要求される場合は、各光源類および加熱手段をライン状に構成、配置し、これらと画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法がより好ましい。
【0040】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
【実施例】
(実施例1)
フォトクロミック化合物として、熱不可逆型である、2−[1−(2−メチル−5−ジエチルアミノスチリル−3−チエニル)メチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下、PC1と呼ぶ)、および熱可逆型である
【0041】
【化4】
(以下、PC2と呼ぶ)
を用いた。ポリスチレン100重量部に対し、PC1を10重量部添加して溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜を作成した。PC2についても同様に石英基板上にキャスト膜を作成した。これらの光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、PC1、PC2いずれも300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、いずれも無色であった。これらに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC2はそれぞれ青紫、マゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ595nm、530nmであった。
【0042】
上記と同様の処方によるキャスト膜をそれぞれ白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(125μm)上に形成した。また、これらとは別に、PC1を含むキャスト膜(10μm)を形成後、PVAによる分離膜(2μm)を介してその上にPC2を含むキャスト膜(10μm)を形成した。PC1のみを含む感光層、PC2のみを含む感光層、そして両者を積層させて形成した感光層はいずれも無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と認識された。
積層感光層全面に366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC2の両者が発色し、両者が単独で発色した色の中間的な色を呈した。この状態の積層感光層を加熱したところ、PC1のみが発色したのと同様の青紫色を呈した。また、これに再び366nmの紫外光を照射した後、LEDにより600nmの光を照射したところ、PC2のみが発色したのと同様のマゼンタ色を呈した。
【0043】
(比較例1)
フォトクロミック化合物として、PC2の代わりに熱不可逆型である、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノスチリル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下、PC3と呼ぶ)を用い、実施例1と同様の操作を行なった。PC3の吸収スペクトルの極大吸収波長は、PC2と同様で530nmであった。実施例1と同様に形成した積層感光層全面に366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC3の両者が発色し、両者が単独で発色した色の中間的な色を呈した。この状態の積層感光層にLEDにより600nmの光を照射したところ、PC3のみが発色したのと同様のマゼンタ色にはならなかった。
【0044】
フォトクロミック化合物として、熱不可逆型である1,2−ビス(2−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下、PC4と呼ぶ)、熱可逆型である前出のPC2、および熱不可逆型である1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(5−シアノ−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下、PC5と呼ぶ)を用いた。ポリスチレン100重量部に対し、PC4を10重量部添加して溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜を作成した。PC2、PC5についても同様に石英基板上にキャスト膜を作成した。これらの光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、PC4、PC2、PC5のいずれも300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、いずれも無色であった。これらに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ、PC4、PC2、PC5はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ420nm、530nm、665nmであった。
【0045】
上記同様の処方によるキャスト膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(125μm)上に形成した。ただし、今度はPC4を含むキャスト膜(10μm)を形成後、PVAによる分離膜(2μm)を介してその上にPC2を含むキャスト膜(10μm)を形成し、やはり、PVAによる分離膜(2μm)を介してさらにその上にPC3を含むキャスト膜(10μm)を形成し、さらに、保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した積層型の感光層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と認識された。感光層全面に366nmの紫外光を照射したところ、PC4、PC2、PC5のすべてが発色し、濃灰色を呈した。この状態の感光層に、各波長の可視光を照射したり加熱したりしたところ、様々な色の変化が生じたが、その様子を以下に示す。
【0046】
(実施例2)
感光層の一部分にLEDにより470nmの光を照射したところ、照射部が青紫色を呈した。
【0047】
(実施例3)
感光層の別の部分を熱ローラで加熱したところ、加熱部が緑色を呈した。
【0048】
(実施例4)
感光層の別の部分にLEDにより660nmの光を照射したところ、照射部が赤色を呈した。
【0049】
(実施例5)
実施例2で青紫色を呈した部分をさらに熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアン色を呈した。
【0050】
(実施例6)
実施例3で緑色を呈した部分にさらにLEDにより660nmの光を照射したところ、照射部が黄色を呈した。
【0051】
(実施例7)
実施例2で青紫色を呈した部分にさらにLEDにより660nmの光を照射したところ、照射部がマゼンタ色(赤紫色)を呈した。
【0052】
(実施例8)
実施例7でマゼンタ色(赤紫色)を呈した部分をさらに熱ローラで加熱したところ、加熱部が無色になり、基板の白色が見えた。
【0053】
実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を作製した。但し、366nmの紫外光を照射する際、実施例2〜8で用いた感光層の場合と照射時間は同一だが、半分の照度において照射を行なったところ、感光層は灰色を呈した。
【0054】
(実施例9)
この感光層の一部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射したところ、照射部が淡い青紫色を呈した。
【0055】
(実施例10)
この感光層の別の部分を実施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部が淡い緑色を呈した。
【0056】
(実施例11)
この感光層の別の部分にLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部が淡い赤色を呈した。
【0057】
実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を作製した。但し、366nmの紫外光を照射する際、実施例2〜8で用いた感光層の場合と照度は同一だが、半分の照射時間において照射を行なったところ、感光層は灰色を呈した。
【0058】
(実施例12)
この感光層の一部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射したところ、照射部が淡い青紫色を呈した。
【0059】
(実施例13)
この感光層の別の部分を実施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部が淡い緑色を呈した。
【0060】
(実施例14)
この感光層の別の部分にLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部が淡い赤色を呈した。
【0061】
実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を作製し、さらに366nmの紫外光の照射も同一の条件で行なった。感光層は全面、濃灰色を呈した。
【0062】
(実施例15)
この感光層の一部にLEDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照度で照射し(照射時間は同様)、その部分をさらに実施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアンと緑の中間的な色を呈した。
【0063】
(実施例16)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、その部分をさらに実施例3の場合の半分の熱量になるように熱ローラの温度を低下させて加熱したところ、加熱部がシアンと緑の中間的な色を呈した。
【0064】
(実施例17)
この感光層の別の部分を実施例3の場合の半分の熱量になるように熱ローラの温度を低下させて加熱し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部がオレンジ色を呈した。
【0065】
(実施例18)
この感光層の別の部分に実施例3と同様に熱ローラで加熱し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照度で照射(照射時間は同様)したところ、照射部が黄緑色を呈した。
【0066】
(実施例19)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照度で照射(照射時間は同様)し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部が赤とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0067】
(実施例20)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照度で照射(照射時間は同様)したところ、照射部が青紫とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0068】
(実施例21)
この感光層の一部にLEDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照射時間で照射し(照度は同様)、その部分をさらに実施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアンと緑の中間的な色を呈した。
【0069】
(実施例22)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、、の部分をさらに熱ローラで実施例3の場合の半分の加熱時間で加熱(温度は同様)したところ、加熱部がシアンと緑の中間的な色を呈した。
【0070】
(実施例23)
この感光層の別の部分を熱ローラで実施例3の場合の半分の加熱時間で加熱(温度は同様)し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部がオレンジ色を呈した。
【0071】
(実施例24)
この感光層の別の部分に実施例3と同様に熱ローラで加熱し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照射時間で照射(照度は同様)したところ、照射部が黄緑色を呈した。
【0072】
(実施例25)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照射時間で照射(照度は同様)し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射部が赤とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0073】
(実施例26)
この感光層の別の部分にLEDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照射時間で照射(照度は同様)したところ、照射部が青紫とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0074】
(実施例27)
上述の実施例1〜26で用いたような画像表示媒体に対して画像の書き込みを行なう画像表示装置を作製した。図1にその構成の概要を示す。
実施例27において作製した装置には、画像表示媒体(1)を装置内に導入するための挿入口(2)が設けられている。そこから画像表示媒体(1)が挿入されると、搬送ローラ(3)により、画像表示媒体は書き込みのための光源部に搬送されていく。光源部は紫外光光源(4)と、470nmの発光波長を有するLEDアレイ(5)、560nmの発光波長を有するLEDアレイ(6)、660nmの発光波長を有するLEDアレイ(7)、ライン状の白色LED(8)、サーマルヘッド(9)および熱ローラ(10)で構成される。実施例27では、紫外光光源は水銀ランプと光学フィルタで構成し、366nm付近の波長の紫外光を照射できるようになっている。また、前記各可視波長を発光するLEDアレイは、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できるように構成されている。これらの各光源は、その発光強度の調整が可能であって、また、サーマルヘッドおよび熱ローラの加熱温度の調整も可能であり、さらに画像表示媒体の搬送速度も調整が可能となっている。これらの光源部を通過して画像の書き込みがなされた画像表示媒体は、排紙トレー(11)に排出される。
【0075】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明からなように、本発明の請求項1により、発色状態における極大吸収波長が大きく異ならず、吸収帯の重なりが大きな2つのフォトクロミック化合物間においても、消色の選択性が向上する。
また、本発明の請求項2により、カラー表示に必要な3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)が得られるため、画像信号に従い、画像表示媒体上の所望の位置に所定の波長の光を照射し、および所望の位置を加熱することにより、多色表示が可能となる。
また、本発明の請求項3により、イエロー発色化合物/マゼンタ発色化合物間、およびマゼンタ発色化合物/シアン発色化合物間では、発色状態における極大吸収波長が比較的近く、吸収帯の重なりがある場合が多いが、光と熱により良好な選択性をもって消色が可能となり、またイエロー発色化合物/シアン発色化合物間では、発色状態における極大吸収波長が離れており、吸収帯の重なりはほとんどない場合が多いので、やはり良好な選択性をもって消色が可能となる。したがって、所望の色が忠実に表示され、表示品質が高い多色表示が可能となる。
また、本発明の請求項4により、水分や特定のガス等による、感光層を構成する化合物の必要な機能の発現に関わる反応に対する悪影響を低減することが可能となり、耐久性が向上し、信頼性が高い多色画像表示方法が得られる。
また、本発明の請求項5により、紫外光の光源として、画素サイズに対応した微細なスポット単位での照射は不要となり、光源素子の構成が容易になり、コスト的にも有利になる。
また、本発明の請求項6により、発色の程度が調整できるので、表示すべき画像において必要とされる発色濃度に必要充分な発色を生じさせることにより、可視光照射および加熱による消色の程度を低減することができるので、消費エネルギーの低減が可能となるし、材料の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利になる。
また、本発明の請求項7により、発色の程度が調整できるので、表示すべき画像において必要とされる発色濃度に必要充分な発色を生じさせることにより、可視光照射による消色の程度を低減することができるので、消費エネルギーの低減が可能となるし、また材料の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利になる。紫外光の照射時間を可変として制御することにより、照射強度は一定にすればよいため、紫外光光源自体の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の外部において、光源から照射された紫外光の強度を調整する部材等を設ける必要がなく、構成が容易になる。
また、本発明の請求項8により、各色について発色濃度の調整が可能となり、したがって階調表示が可能となり、画像表示媒体上の画像としては多色表示が可能となる。可視光の照射時間および加熱時間に関する条件は任意に設定できるため、例えば光源系および加熱手段と画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法においては、前記移動の速度の制御が最も簡単になるように設定できるため(例えば一定速度、2つの速度の単純繰り返し等)、前記移動に関するメカニカルな機構構成および制御が容易になる。
また、本発明の請求項9により、各色について階調表示が可能となり、画像表示媒体上の画像としては多色表示が可能となる。可視光の照射時間および加熱時間を可変として制御することにより、照射強度および加熱温度は一定にすればよいため、可視光光源自体の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の外部において、光源から照射された可視光の強度を調整する部材等を設ける必要がなく、構成が容易になる。
また、本発明の請求項10により、各フォトクロミック材料を選択的に消色させるための各波長の可視光光源およびサーマルヘッドとは別に、白色光光源を設けて表示部全面に白色光を照射する工程と、表示部全面を加熱する手段を備えることにより、短時間での表示画像の全消去が可能となる。
また、本発明の請求項11により、白色光源と光学フィルターにより、各フォトクロミック材料を選択的に消色させるための可視光光源を構成するため、光学フィルターの形成条件、または交換設置等により、波長の調整が容易にできる。また、本発明の請求項12により、特定の発光波長域をもつ発光素子を用いる場合は、光の利用効率が高く、照射強度の確保も容易になるし、消費エネルギーの低減も可能となる。
また、本発明の請求項13により、所望の色を忠実に表示できる高表示品質の書き換え型の多色表示装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いた画像表示装置の構成の概略図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体
2 挿入口
3 搬送ローラ
4 紫外光光源
5 LEDアレイ
6 LEDアレイ
7 LEDアレイ
8 白色LED
9 サーマルヘッド
10 熱ローラ
11 排紙トレー
Claims (13)
- 熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態における極大吸収波長が他とは異なるものを含む2種類以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支持基板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくとも、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色した各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程、および所望の領域を加熱することにより熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程を施すことを特徴とする多色画像表示方法。
- 感光層が、発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の多色画像表示方法。
- 発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型であることを特徴とする請求項2に記載の多色画像表示方法。
- 感光層の表面に保護層を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 紫外光照射が画像表示部全面に対して行なわれることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 紫外光の照射強度を可変とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 紫外光の照射時間を可変とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 可視光の照射強度および加熱温度を可変とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 可視光の照射時間および加熱時間を可変とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 白色光を画像表示部全面に照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 各波長の可視光光源が、白色光源と光学フィルターから構成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- 各波長の可視光光源が、それぞれが特定の発光波長域をもつ発光素子から構成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1に記載の多色画像表示方法。
- ライン状の紫外光光源および可視光光源、そしてサーマルヘッドおよび全面加熱手段を備え、画像表示媒体と前記光源類及び加熱手段類とを相対的に移動させながら、請求項1乃至12の何れか1に記載の方法を用いて画像を形成することを特徴とする多色画像表示装置。
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