JP2002341485A - 多色画像表示方法および装置 - Google Patents

多色画像表示方法および装置

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JP2002341485A JP2001142490A JP2001142490A JP2002341485A JP 2002341485 A JP2002341485 A JP 2002341485A JP 2001142490 A JP2001142490 A JP 2001142490A JP 2001142490 A JP2001142490 A JP 2001142490A JP 2002341485 A JP2002341485 A JP 2002341485A
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の色を忠実に表示できる高表示品質の、
書き換え型の多色表示方法および装置を提供すること。 【解決手段】 熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱
可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態
における極大吸収波長が他とは異なるものを含む2種類
以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支持基
板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくと
も、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフ
ォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色し
た各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長
に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射
して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消
色する工程、および所望の領域を加熱することにより熱
可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程
を施すことを特徴とする多色画像表示方法。。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像表示方法およ
び装置に関し、詳しくは、光照射によりカラー画像の書
き込みおよび消去の繰り返しが可能な画像表示方法およ
び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光照射により可逆的な色変化を示すフォ
トクロミック化合物を用いた書き換え型の表示媒体に関
する提案は以前からなされてはいるが、フルカラー画像
を何度も書き換えできる実用的な方法および装置に関す
る提案は見あたらない。
【0003】フォトクロミック化合物を用いてカラー画
像を形成する方法としては、例えば特開平5−2716
49号公報において、254nmの紫外光照射で黄橙
色、313nmの紫外光照射で赤色、365nmの紫外
光照射で青紫色に発色するフォトクロミック性ジアリー
ルエテン化合物を3種類混合して基板上に感光層を形成
し、それぞれの波長の紫外光を照射する方法が提案され
ている。フルカラー画像を形成するためには、3原色
(青、緑、赤またはイエロー、マゼンタ、シアン)を発
色する3種類以上のフォトクロミック化合物の消・発色
を光で制御しなければならないが、上記の方法では3種
類の紫外光波長域により各材料の発色の有無が選択でき
ることが必要であり、つまり紫外域での吸収帯に重なり
がない3種類以上のフォトクロミック化合物が必要であ
り、更に、それらの化合物が発色状態において上記3原
色を示さなければならないが、そのような化合物の系は
実際には見当たらない。また、実用化には発色特性だけ
ではなく、繰り返し耐久性、熱・湿安定性なども考慮し
なければならず、これらの全てを満たす材料を開発する
のは大変困難であると思われる。
【0004】また、特開平7−199401号公報にお
いては、発色状態でイエロー、マゼンタ、シアンを示す
3種類のフォトクロミック性フルギド化合物を用いて基
板上に感光層を形成し、366nmの紫外光で全フォト
クロミック化合物を発色させた後に、感光層に特定の波
長の光を照射して特定の材料を選択的に消色させる方法
が提案されている。この方法では、紫外光が1種類だけ
であるという利点があるものの、例えばマゼンタ発色材
料を消色させるために照射された光によって、イエロー
発色材料およびシアン発色材料も少なからず消色されて
しまい、所望の色が正確には得られない場合が多いとい
う問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上述の従来技術の状況および問題を鑑みてなされた
ものであり、所望の色を忠実に表示できる高表示品質
の、書き換え型の多色表示方法および装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明の
(1)「熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱可逆型
フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態におけ
る極大吸収波長が他とは異なるものを含む2種類以上の
フォトクロミック化合物からなる感光層を支持基板上に
形成してなる画像表示媒体に対して、少なくとも、紫外
光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロ
ミック化合物を発色させる工程、および発色した各熱不
可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応し
た波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射して各熱
不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工
程、および所望の領域を加熱することにより熱可逆型フ
ォトクロミック化合物を選択的に消色する工程を施すこ
とを特徴とする多色画像表示方法」、(2)「感光層
が、発色状態における極大吸収波長が400〜500n
mの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態に
おける極大吸収波長が500〜600nmの範囲にある
フォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収
波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミッ
ク化合物をすべて含有するものであることを特徴とする
前記第(1)項に記載の多色画像表示方法」、(3)
「発色状態における極大吸収波長が400〜500nm
の範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型であ
り、発色状態における極大吸収波長が500〜600n
mの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱可逆型であ
り、発色状態における極大吸収波長が600〜700n
mの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱不可逆型で
あることを特徴とする前記第(2)項に記載の多色画像
表示方法」、(4)「感光層の表面に保護層を形成した
ことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れ
か1に記載の多色画像表示方法」、(5)「紫外光照射
が画像表示部全面に対して行なわれることを特徴とする
前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の多色
画像表示方法」、(6)「紫外光の照射強度を可変とす
ることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何
れか1に記載の多色画像表示方法」、(7)「紫外光の
照射時間を可変とすることを特徴とする前記第(1)項
乃至第(5)項の何れか1に記載の多色画像表示方
法」、(8)「可視光の照射強度および加熱温度を可変
とすることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項
の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(9)「可視
光の照射時間および加熱時間を可変とすることを特徴と
する前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の
多色画像表示方法」、(10)「白色光を画像表示部全
面に照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程
を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項
の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(11)「各
波長の可視光光源が、白色光源と光学フィルターから構
成されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(1
0)項の何れか1に記載の多色画像表示方法」、(1
2)「各波長の可視光光源が、それぞれが特定の発光波
長域をもつ発光素子から構成されることを特徴とする前
記第(1)項乃至第(10)項の何れか1に記載の多色
画像表示方法」により達成される。
【0007】また、上記課題は、本発明の(13)「ラ
イン状の紫外光光源および可視光光源、そしてサーマル
ヘッドおよび全面加熱手段を備え、画像表示媒体と前記
光源類及び加熱手段類とを相対的に移動させながら、前
記第(1)項乃至第(12)項の何れか1に記載の方法
を用いて画像を形成することを特徴とする多色画像表示
装置」により達成される。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
第(1)の特徴は、熱不可逆型フォトクロミック化合物
と熱可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色
状態における極大吸収波長が他とは異なる、つまり発色
状態において認識される色が他とは異なるものを含む2
種類以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支
持基板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なく
とも、紫外光照射によって感光層に含有される全種類の
フォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色
した各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波
長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照
射して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に
消色する工程、および所望の領域を加熱することにより
熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工
程を施すことである。
【0009】フォトクロミック化合物は、熱不可逆型フ
ォトクロミック化合物と熱可逆型フォトクロミック化合
物とに分類される。熱不可逆型は、発色状態から消色状
態への消色反応が光照射によってのみ生じ、熱的にはほ
とんど全く生じない。一方、熱可逆型は、消色反応が光
照射によってもある程度生じるが、熱によって大きく進
む。したがって、例えば両者を含む感光層において両者
の発色状態における極大吸収波長がほぼ同じあっても、
加熱することにより、熱可逆型フォトクロミック化合物
のみを選択的に消色させることができるし、前記極大吸
収波長に対応する領域の可視光を照射すれば熱不可逆型
フォトクロミック化合物をある程度選択的に消色させる
ことができる。さらに、前記発色状態における極大吸収
波長がある程度異なる場合には、熱不可逆型フォトクロ
ミック化合物の発色状態における極大吸収波長に対応す
る領域の可視光の照射により、その化合物のみを選択的
に消色させることができる。
【0010】用いる複数のフォトクロミック化合物の消
色状態における吸収帯(紫外域)は、重なりが大きい方
が都合がよい。その場合、紫外光光源の発光波長域がか
なり狭くても、その波長が前記吸収帯の重なり部にあれ
ば感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物
を発色させることができる。また、消色状態における吸
収帯(紫外域)の重なりが小さいかまたは重なりがない
場合でも、紫外光光源が使用する全てのフォトクロミッ
ク化合物の発色反応を誘起するに充分な分光特性を有し
ていればよい。発色状態における極大吸収波長が異なる
ということは、つまり認識される”色”が異なるという
ことであるが、この極大吸収波長は、表示に用いたい”
色”に対応して設定されればよく、また、該フォトクロ
ミック化合物の種類も、表示に用いたい”色”の数以上
に設定されればよい。
【0011】また、用いるフォトクロミック化合物は、
すべて同程度の発色感度および消色感度を有することが
好ましい。感光層を構成する材料としては、該フォトク
ロミック化合物のほかに、バインダー材料があるが、該
フォトクロミック化合物のフォトクロミズム機能に悪影
響を与えることがなく、また該フォトクロミック化合物
と相溶性が良く、成膜可能であり、硬化後の透明性に優
れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材料
として、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメ
タクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビ
ニルなどが挙げられる。
【0012】支持基板の材料としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネ
ートなどのような透明材料、および紙などの不透明材料
が挙げられる。
【0013】感光層を形成する方法としては、塗布法の
ほかに蒸着法も挙げられるが、塗布法が簡便であり、該
フォトクロミック化合物とバインダー材料を共に溶媒に
溶かして、印刷法、スピンコート法などの方法により塗
布し、乾燥して成膜すればよい。感光層は、単一層また
は複数層のどちらでもよいが、複数層を形成する場合
は、隣り合う層同士が混合しないように層間に分離層を
形成することが好ましい。分離層は、感光層中のバイン
ダー材料およびフォトクロミック化合物を溶解しない溶
媒を用いた成膜用溶液を塗布することによって形成でき
る。
【0014】紫外光を照射する光源としては、水銀ラン
プやキセノンランプなどに光学フィルターを組み合わせ
て所望の波長域の紫外光を取り出して用いてもよいし、
LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を
用いてもよい。例えば書き込み・消去のための光源系を
なるべくコンパクトに構成した表示装置を作製するよう
な場合には、LEDなどの発光素子が好ましく、さら
に、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発
光面を連続して並べて形成した光源アレイを構成しても
よい。
【0015】可視光を照射する光源としては、白色光光
源に光学フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用
いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発
する発光素子を用いてもよい。例えば、書き込み・消去
のための光源系をなるべくコンパクトに構成した表示装
置を作製するような場合には、LEDなどの発光素子が
好ましく、さらに、微小な領域ごとに照射のオン/オフ
が制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレ
イを構成してもよい。特に所望の領域にのみ照射するよ
うな場合は、前述の光源アレイと、感光層を支持基板上
に形成した画像表示媒体とを相対的に移動させながら光
源アレイの各発光面の照射のオン/オフを制御すること
によってもそれが可能となる。
【0016】加熱の手段としては、特定の領域のみ加熱
するような場合は、例えばサーマルプリンタ等に用いら
れるサーマルヘッド、広く全面に加熱するような場合に
は、例えば電子写真プリンタ等に用いられるような熱ロ
ーラ等を用いることができる。
【0017】本発明において所望の画像を表示する方法
としては、まず、画像表示媒体の表示面に紫外光を照射
すると、照射された部分の感光層に含まれる全種類のフ
ォトクロミック化合物が発色する。ついで、各熱不可逆
型フォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯
に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光を
照射することにより、対応する特定の熱不可逆型フォト
クロミック化合物が消色する。さらに、画像表示媒体の
表示面の特定の領域を加熱することにより、その領域の
熱可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する。
この方法を用いて、画像表示媒体の表示面上の所望の領
域に、いくつかの所望のフォトクロミック化合物の発色
状態を生じさせることにより、所望の画像を形成するこ
とが可能となる。感光層に含まれる全種類のフォトクロ
ミック化合物が発色した後、同一の領域に複数の波長の
可視光を照射する場合には、同時に照射してもよいし、
順次別々に照射してもよい。また、順次別々に照射する
場合、照射する波長の順番はどのようにしてもよい。ま
た、可視光の照射と加熱の順番もどのようにしてもよ
い。
【0018】本発明の第(2)の特徴は、感光層が、発
色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範
囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における
極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォト
クロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が
600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合
物をすべて含有するものであることである。
【0019】前記各フォトクロミック化合物の発色状態
において認識される”色”は、それぞれ、ほぼイエロ
ー、マゼンタ、シアンに相当し、これらにより3原色が
構成されるため、前述の画像表示方法により多色表示が
可能となる。
【0020】発色状態における極大吸収波長が400〜
500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物とし
て、熱不可逆型としては、例えば1,2−ビス(2−フ
ェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール)−3,
3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2,3−ジ(2−メチルベンゾチエニル)マレイン酸ジ
メチル、1,2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチア
ゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシ
クロペンテン、2−[1−(3,5−ジメチル−4−イ
ソオキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデン
コハク酸無水物等が、熱可逆型としては、例えば、
【0021】
【化1】 等が挙げられる。
【0022】発色状態における極大吸収波長が500〜
600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物とし
て、熱不可逆型としては、例えば、1,2−ビス(3−
(2−メチル−6−(2−(4−メトキシフェニル)エ
チニル)ベンゾチエニル))−3,3,4,4,5,5
−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2−ビス(5−
メチル−2−フェニルチアゾール)−3,3,4,4,
5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1−(1,2
−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−メチル−3
−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサ
フルオロシクロペンテン、2−[1−(2,5−ジメチ
ル−1−フェニルピラゾリル)エチリデン]−3−イソ
プロピリデンコハク酸無水物等が、熱可逆型としては例
えば
【0023】
【化2】 等が挙げられる。
【0024】発色状態における極大吸収波長が600〜
700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物とし
て、熱不可逆型としては、例えば、1−(5−メトキシ
−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(5−シ
アノ−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,
4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1−
(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)
−2−(6−カルボキシル−2−メチル−3−ベンゾチ
エニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシ
クロペンテン、1−(6−シアノ−2−メチル−3−ベ
ンゾチエニル)−2−(5−メトキシ−1,2−ジメチ
ル−3−インドリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキ
サフルオロシクロペンテン、2−[1−(1,2,5−
トリメチル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプ
ロピリデンコハク酸無水物等が、熱可逆型としては、例
えば、
【0025】
【化3】 等が挙げられる。
【0026】発色状態における極大吸収波長が大きく異
なり、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに認識されるこ
れらのフォトクロミック化合物は、所定の混合比で均一
に混合されてバインダー材料と共に単一層の感光層を形
成してもよいし、また、それぞれのフォトクロミック化
合物とバインダー材料とからなる感光層を積層して複数
層の感光層を形成してもよい。
【0027】本発明の第(3)の特徴は、発色状態にお
ける極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフ
ォトクロミック化合物を熱不可逆型とし、発色状態にお
ける極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフ
ォトクロミック化合物を熱可逆型とし、発色状態におけ
る極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォ
トクロミック化合物を熱不可逆型としたことである。
【0028】例えば、全て熱不可逆型のフォトクロミッ
ク化合物を用いて感光層を形成した場合、それぞれの化
合物の可視域における吸収帯の重なりがある程度大きい
場合、可視光の照射によって特定のフォトクロミック化
合物を消色しようとした際に、他のフォトクロミック化
合物もある程度消色してしまうため、所望の色が得られ
にくくなってしまう。これに対し、本発明における熱不
可逆型と熱可逆型の組み合わせでフォトクロミック化合
物を用いて感光層を形成した場合、可視光によって消色
すべき、発色状態における極大吸収波長が400〜50
0nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状
態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲に
あるフォトクロミック化合物の可視域における吸収帯の
重なりはほとんどないため、上述のような問題が生じな
い。発色状態における極大吸収波長が500〜600n
mの範囲にあるフォトクロミック化合物については、加
熱により選択的に消色できる。
【0029】本発明の第(4)の特徴は、感光層の表面
に保護層を形成したことである。保護層の材料として
は、透明性が高く、硬度が高い点でシリコーン樹脂また
はアクリル樹脂が好適に用いられる。保護層を形成する
ことにより、感光層は水分や特定のガス等による、感光
層を構成する化合物の、必要な機能の発現に関わる反応
に対する悪影響を低減することが可能となり、また、機
械的損傷からも有効に保護されて耐久性が向上する。
【0030】本発明の第(5)の特徴は、紫外光照射が
画像表示部全面に対して行なわれることである。画像表
示媒体に紫外光照射を行なう場合、表示しようとする画
像における“白”部(感光層が無色になるべき部分)に
は、紫外光照射による発色も、そして可視光照射や加熱
による消色も行なわず、それ以外の部分に紫外光を選択
的に照射する方法もあるが、この場合には、画素に対応
した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発
光部を連続して並べて形成した紫外光源アレイなどが必
要になるし、そしてその前に表示部全面に、感光層に含
まれる全種類のフォトクロミック化合物を消色させるた
めに可視光を照射する工程が必要になる。一方、紫外光
照射を画像表示部全面に対して行なう場合、紫外光を照
射する光源としては、例えば画素に対応した微小な領域
ごとに照射のオン/オフが制御できる発光部を連続して
並べて形成した光源アレイなどである必要はなく、例え
ば安価なランプ光源を用いることができる。このように
ランプ光源を用いるほうがコスト的にも有利であるし、
照射強度の確保も容易である。また、感光層に含まれる
全種類のフォトクロミック化合物を消色させるために、
表示部全面に可視光を照射する工程も不要になる。
【0031】本発明の第(6)の特徴は、紫外光の照射
強度を可変とすることである。紫外光の照射量により、
感光層に含有されるフォトクロミック化合物の発色の程
度は変化する。つまり、紫外光の照射量により、積極的
に発色の程度を調整することが可能である。したがっ
て、画像全体の濃度を調整したい場合や、あるいは表示
すべき画像において必要とされる最大の発色濃度が、予
め画像信号の読みとりなどからわかっていれば、必要な
画像濃度に必要充分な発色を生じさせるだけの照射量で
紫外光を照射することにより、可視光照射による消色の
程度を最小限にすることができるので、消費エネルギー
の低減が可能となるし、また、材料の発色・消色の繰り
返し耐久性の点においても有利になる。紫外光光源自体
の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の
外部において、光源から照射された紫外光の強度を調整
する方法等により、紫外光の照射強度を可変として照射
量を調整することにより、照射時間に関する条件は任意
に設定できるため、例えば光源系と画像表示媒体とを相
対的に移動させながら画像を形成する方法においては、
前記移動の速度の制御が最も簡単になるように設定でき
るため(例えば一定速度、2つの速度の単純繰り返し
等)、光源系と画像表示媒体との相対的移動に関するメ
カニカルな機構構成および制御が容易になる。
【0032】本発明の第(7)の特徴は、紫外光の照射
時間を可変とすることである。紫外光の照射量により、
感光層に含有されるフォトクロミック化合物の発色の程
度は変化する。つまり、紫外光の照射量により、積極的
に発色の程度を調整することが可能である。したがっ
て、画像全体の濃度を調整したい場合や、あるいは表示
すべき画像において必要とされる最大の発色濃度が、予
め画像信号の読み取りなどからわかっていれば、必要な
画像濃度に必要充分な発色を生じさせるだけの照射量で
紫外光を照射することにより、可視光照射による消色の
程度を最小限にすることができるので、消費エネルギー
の低減が可能となるし、また材料の発色・消色の繰り返
し耐久性の点においても有利になる。例えば光源系と画
像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する
方法においては、前記相対的な移動速度を調整すること
により照射時間を制御して結果として照射量を調整する
ことになる。例えば画像濃度を小さめに調整したい場
合、前記相対的な移動速度を大きくすることで照射時間
を短くすると、紫外光照射による発色濃度が小さくなる
が、同様に可視光による消色の程度も小さくなり、発色
と消色のバランスを保ちつつ全体の画像濃度の調整が可
能となる。照射強度は一定にすればよいため、紫外光光
源自体の発光強度を制御するための制御機構、あるいは
光源の外部において、光源から照射された紫外光の強度
を調整する部材等を設ける必要がなく、構成が容易にな
る。
【0033】本発明の第(8)の特徴は、可視光の照射
強度および加熱温度を可変とすることである。すでに説
明したが、画像表示媒体の表示面に紫外光を照射する
と、照射された部分の感光層に含まれる全種類のフォト
クロミック化合物が発色する。次いで、各熱不可逆型フ
ォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対
応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光の照射
および加熱により、対応する特定のフォトクロミック化
合物を消色させて、画像表示媒体の表示面上の所望の領
域に、用いたフォトクロミック化合物の発色の有無の組
み合わせによる複数の色が得られる。これにおいて、前
記可視光の照射量により感光層に含有される熱不可逆型
フォトクロミック化合物の消色の程度は変化し、また、
加熱の程度によって熱可逆型フォトクロミック化合物の
消色の程度は変化する。つまり、可視光の照射量および
加熱した熱量により対応する各熱不可逆型フォトクロミ
ック化合物、および熱可逆型フォトクロミック化合物の
発色濃度を調整することが可能となり、各色の階調表示
が可能となって、各色の組み合わせにより多色表示が可
能となる。可視光の照射強度および加熱温度を可変とし
て照射量を調整することにより、照射時間および加熱時
間に関する条件は任意に設定できるため、例えば光源系
および加熱手段と画像表示媒体とを相対的に移動させな
がら画像を形成する方法においては、前記移動の速度の
制御が最も簡単になるように設定できるため(例えば一
定速度、2つの速度の単純繰り返し等)、光源系および
加熱手段と画像表示媒体との相対的移動に関するメカニ
カルな機構構成および制御が容易になる。
【0034】本発明の第(9)の特徴は、可視光の照射
時間および加熱時間を可変とすることである。上記で説
明したように、可視光の照射量および加熱した熱量によ
り対応する各熱不可逆型フォトクロミック化合物および
熱可逆型フォトクロミック化合物の発色濃度を調整する
ことが可能となり、各色の階調表示が可能となって、各
色の組み合わせにより多色表示が可能となる。例えば前
述のアレイ光源およびサーマルヘッドを用い、これらと
画像表示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成す
る方法においては、各単位発光面の照射のオン/オフお
よび各単位発熱部のオン/オフを制御することにより、
照射時間を制御して結果として照射量を調整することに
なる。照射強度および加熱温度は一定にすればよいた
め、発光強度を制御するための制御機構を設ける必要が
なく、構成が容易になる。
【0035】本発明の第(10)の特徴は、白色光を画
像表示部全面に照射する工程および画像表示部全面を加
熱する工程を含むことである。発色させた全種類のフォ
トクロミック化合物を、画像表示部全面にわたってすべ
て消色して全消去したい場合、各熱不可逆型フォトクロ
ミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対応した波
長の光を照射するアレイ光源およびサーマルヘッドを用
い、光照射による消色を各熱不可逆型フォトクロミック
化合物の全種類分、そして、熱可逆型フォトクロミック
化合物についてはサーマルヘッドによる加熱を行なうこ
とになるが、白色光光源を設けて表示部全面に白色光を
照射する工程および画像表示部全面を加熱する工程を加
えることにより、短時間での表示画像の全消去が可能と
なる。該白色光光源は、例えば画素に対応した微小な領
域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光部を連続し
て並べて形成した光源アレイなどである必要はなく、安
価なランプ光源を用いることができるし、画像表示部全
面に加熱する手段としては熱ローラ等を用いることがで
きる。このようにランプ光源および熱ローラ等を用いる
ほうがコスト的にも有利であるし、照射強度および熱量
のの確保も容易である。
【0036】本発明の第(11)の特徴は、各波長の可
視光光源が、白色光源と光学フィルターから構成される
ことである。可視光光源の各波長は、使用する熱不可逆
型フォトクロミック化合物の発色体の可視域吸収帯に対
応させて設定されるが、さらに詳細には、極大吸収波長
付近に設定したり、あるいは光反応収率の波長依存を考
慮したり、または他のフォトクロミック化合物の発色体
の可視域吸収帯の波長域との関係を考慮して、より短波
長側にあるいはより長波長側に設定することがある。こ
のように可視光光源の好ましい波長の設定は、使用する
フォトクロミック化合物により様々であるが、可視光光
源を白色光源と光学フィルターから構成すれば、光学フ
ィルターの形成条件、または交換設置等により、波長の
調整が容易にできる。
【0037】本発明の第(12)の特徴は、各波長の可
視光光源が、例えばLEDやLD等のような、それぞれ
が特定の発光波長域をもつ発光素子から構成されること
である。この場合は、光の利用効率が高く、照射強度の
確保も容易になるし、消費エネルギーの低減も可能とな
る。
【0038】本発明の第(13)の特徴は、ライン状の
紫外光光源および可視光光源、そしてサーマルヘッドお
よび全面加熱手段を備え、画像表示媒体と前記光源類及
び加熱手段類とを相対的に移動させながら、画像を形成
する装置を構成することである。ここで、ライン状とい
うのは厳密に直線状に限られるものではなく、例えばあ
る長さの光源ユニットおよびサーマルヘッドがいわゆる
千鳥状に互い違いに配列して全体的にラインを形成して
いるようなものも含むものであるし、また、微小な領域
ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して
並べて形成した光源アレイ等に関しても、同一波長の光
源を構成する発光面の配列が一列でなく、複数列であっ
てもよい。また、発光波長が異なるそれぞれの光源アレ
イが一つの構造体に組み込まれていてもよいし、独立し
た構造体として構成されてもよい。
【0039】本発明の多色画像表示方法を用いて画像表
示装置を作製する場合は、光源の種類や構成などにより
様々な構成を考えることができ、用途に応じて適宜選択
すればよい。ただし、高解像度・高速書き込み・小型化
・低コストなどが要求される場合は、各光源類および加
熱手段をライン状に構成、配置し、これらと画像表示媒
体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法がよ
り好ましい。
【0040】以下、実施例により、本発明を具体的に説
明する。
【実施例】(実施例1)フォトクロミック化合物とし
て、熱不可逆型である、2−[1−(2−メチル−5−
ジエチルアミノスチリル−3−チエニル)メチリデン]
−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下、PC1
と呼ぶ)、および熱可逆型である
【0041】
【化4】 (以下、PC2と呼ぶ)を用いた。ポリスチレン100
重量部に対し、PC1を10重量部添加して溶媒に溶解
させ、石英基板上にキャスト膜を作成した。PC2につ
いても同様に石英基板上にキャスト膜を作成した。これ
らの光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、PC
1、PC2いずれも300nm〜400nm弱の範囲に
吸収帯が認められ、いずれも無色であった。これらに高
圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射
したところ、PC1、PC2はそれぞれ青紫、マゼンタ
に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ5
95nm、530nmであった。
【0042】上記と同様の処方によるキャスト膜をそれ
ぞれ白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板
(125μm)上に形成した。また、これらとは別に、
PC1を含むキャスト膜(10μm)を形成後、PVA
による分離膜(2μm)を介してその上にPC2を含む
キャスト膜(10μm)を形成した。PC1のみを含む
感光層、PC2のみを含む感光層、そして両者を積層さ
せて形成した感光層はいずれも無色であり、基板の色が
白であるため、観察者には白と認識された。積層感光層
全面に366nmの紫外光を照射したところ、PC1、
PC2の両者が発色し、両者が単独で発色した色の中間
的な色を呈した。この状態の積層感光層を加熱したとこ
ろ、PC1のみが発色したのと同様の青紫色を呈した。
また、これに再び366nmの紫外光を照射した後、L
EDにより600nmの光を照射したところ、PC2の
みが発色したのと同様のマゼンタ色を呈した。
【0043】(比較例1)フォトクロミック化合物とし
て、PC2の代わりに熱不可逆型である、2−[1−
(5−メチル−2−p−ジメチルアミノスチリル−4−
オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコ
ハク酸無水物(以下、PC3と呼ぶ)を用い、実施例1
と同様の操作を行なった。PC3の吸収スペクトルの極
大吸収波長は、PC2と同様で530nmであった。実
施例1と同様に形成した積層感光層全面に366nmの
紫外光を照射したところ、PC1、PC3の両者が発色
し、両者が単独で発色した色の中間的な色を呈した。こ
の状態の積層感光層にLEDにより600nmの光を照
射したところ、PC3のみが発色したのと同様のマゼン
タ色にはならなかった。
【0044】フォトクロミック化合物として、熱不可逆
型である1,2−ビス(2−フェニル−4−トリフルオ
ロメチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキ
サフルオロシクロペンテン(以下、PC4と呼ぶ)、熱
可逆型である前出のPC2、および熱不可逆型である1
−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリ
ル)−2−(5−シアノ−2,4−ジメチル−3−チエ
ニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシク
ロペンテン(以下、PC5と呼ぶ)を用いた。ポリスチ
レン100重量部に対し、PC4を10重量部添加して
溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜を作成した。
PC2、PC5についても同様に石英基板上にキャスト
膜を作成した。これらの光照射前の吸収スペクトルを測
定したところ、PC4、PC2、PC5のいずれも30
0nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、いず
れも無色であった。これらに高圧水銀ランプから取り出
した366nmの紫外光を照射したところ、PC4、P
C2、PC5はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンに
発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ42
0nm、530nm、665nmであった。
【0045】上記同様の処方によるキャスト膜を白色P
ET(ポリエチレンテレフタレート)基板(125μ
m)上に形成した。ただし、今度はPC4を含むキャス
ト膜(10μm)を形成後、PVAによる分離膜(2μ
m)を介してその上にPC2を含むキャスト膜(10μ
m)を形成し、やはり、PVAによる分離膜(2μm)
を介してさらにその上にPC3を含むキャスト膜(10
μm)を形成し、さらに、保護層としてPVA膜(2μ
m)を形成した。このようにして形成した積層型の感光
層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には
白と認識された。感光層全面に366nmの紫外光を照
射したところ、PC4、PC2、PC5のすべてが発色
し、濃灰色を呈した。この状態の感光層に、各波長の可
視光を照射したり加熱したりしたところ、様々な色の変
化が生じたが、その様子を以下に示す。
【0046】(実施例2)感光層の一部分にLEDによ
り470nmの光を照射したところ、照射部が青紫色を
呈した。
【0047】(実施例3)感光層の別の部分を熱ローラ
で加熱したところ、加熱部が緑色を呈した。
【0048】(実施例4)感光層の別の部分にLEDに
より660nmの光を照射したところ、照射部が赤色を
呈した。
【0049】(実施例5)実施例2で青紫色を呈した部
分をさらに熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアン
色を呈した。
【0050】(実施例6)実施例3で緑色を呈した部分
にさらにLEDにより660nmの光を照射したとこ
ろ、照射部が黄色を呈した。
【0051】(実施例7)実施例2で青紫色を呈した部
分にさらにLEDにより660nmの光を照射したとこ
ろ、照射部がマゼンタ色(赤紫色)を呈した。
【0052】(実施例8)実施例7でマゼンタ色(赤紫
色)を呈した部分をさらに熱ローラで加熱したところ、
加熱部が無色になり、基板の白色が見えた。
【0053】実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を
作製した。但し、366nmの紫外光を照射する際、実
施例2〜8で用いた感光層の場合と照射時間は同一だ
が、半分の照度において照射を行なったところ、感光層
は灰色を呈した。
【0054】(実施例9)この感光層の一部分にLED
により470nmの光を実施例2と同様に照射したとこ
ろ、照射部が淡い青紫色を呈した。
【0055】(実施例10)この感光層の別の部分を実
施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部が淡
い緑色を呈した。
【0056】(実施例11)この感光層の別の部分にL
EDにより660nmの光を実施例4と同様に照射した
ところ、照射部が淡い赤色を呈した。
【0057】実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を
作製した。但し、366nmの紫外光を照射する際、実
施例2〜8で用いた感光層の場合と照度は同一だが、半
分の照射時間において照射を行なったところ、感光層は
灰色を呈した。
【0058】(実施例12)この感光層の一部分にLE
Dにより470nmの光を実施例2と同様に照射したと
ころ、照射部が淡い青紫色を呈した。
【0059】(実施例13)この感光層の別の部分を実
施例3と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部が淡
い緑色を呈した。
【0060】(実施例14)この感光層の別の部分にL
EDにより660nmの光を実施例4と同様に照射した
ところ、照射部が淡い赤色を呈した。
【0061】実施例2〜8で用いたのと同様の感光層を
作製し、さらに366nmの紫外光の照射も同一の条件
で行なった。感光層は全面、濃灰色を呈した。
【0062】(実施例15)この感光層の一部にLED
により470nmの光を実施例2の場合の半分の照度で
照射し(照射時間は同様)、その部分をさらに実施例3
と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアンと
緑の中間的な色を呈した。
【0063】(実施例16)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、
その部分をさらに実施例3の場合の半分の熱量になるよ
うに熱ローラの温度を低下させて加熱したところ、加熱
部がシアンと緑の中間的な色を呈した。
【0064】(実施例17)この感光層の別の部分を実
施例3の場合の半分の熱量になるように熱ローラの温度
を低下させて加熱し、その部分にさらにLEDにより6
60nmの光を実施例4と同様に照射したところ、照射
部がオレンジ色を呈した。
【0065】(実施例18)この感光層の別の部分に実
施例3と同様に熱ローラで加熱し、その部分にさらにL
EDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照
度で照射(照射時間は同様)したところ、照射部が黄緑
色を呈した。
【0066】(実施例19)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照
度で照射(照射時間は同様)し、その部分にさらにLE
Dにより660nmの光を実施例4と同様に照射したと
ころ、照射部が赤とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0067】(実施例20)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、
その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例
4の場合の半分の照度で照射(照射時間は同様)したと
ころ、照射部が青紫とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0068】(実施例21)この感光層の一部にLED
により470nmの光を実施例2の場合の半分の照射時
間で照射し(照度は同様)、その部分をさらに実施例3
と同様に熱ローラで加熱したところ、加熱部がシアンと
緑の中間的な色を呈した。
【0069】(実施例22)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2と同様に照射
し、、の部分をさらに熱ローラで実施例3の場合の半分
の加熱時間で加熱(温度は同様)したところ、加熱部が
シアンと緑の中間的な色を呈した。
【0070】(実施例23)この感光層の別の部分を熱
ローラで実施例3の場合の半分の加熱時間で加熱(温度
は同様)し、その部分にさらにLEDにより660nm
の光を実施例4と同様に照射したところ、照射部がオレ
ンジ色を呈した。
【0071】(実施例24)この感光層の別の部分に実
施例3と同様に熱ローラで加熱し、その部分にさらにL
EDにより660nmの光を実施例4の場合の半分の照
射時間で照射(照度は同様)したところ、照射部が黄緑
色を呈した。
【0072】(実施例25)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2の場合の半分の照
射時間で照射(照度は同様)し、その部分にさらにLE
Dにより660nmの光を実施例4と同様に照射したと
ころ、照射部が赤とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0073】(実施例26)この感光層の別の部分にL
EDにより470nmの光を実施例2と同様に照射し、
その部分にさらにLEDにより660nmの光を実施例
4の場合の半分の照射時間で照射(照度は同様)したと
ころ、照射部が青紫とマゼンタの中間的な色を呈した。
【0074】(実施例27)上述の実施例1〜26で用
いたような画像表示媒体に対して画像の書き込みを行な
う画像表示装置を作製した。図1にその構成の概要を示
す。実施例27において作製した装置には、画像表示媒
体(1)を装置内に導入するための挿入口(2)が設け
られている。そこから画像表示媒体(1)が挿入される
と、搬送ローラ(3)により、画像表示媒体は書き込み
のための光源部に搬送されていく。光源部は紫外光光源
(4)と、470nmの発光波長を有するLEDアレイ
(5)、560nmの発光波長を有するLEDアレイ
(6)、660nmの発光波長を有するLEDアレイ
(7)、ライン状の白色LED(8)、サーマルヘッド
(9)および熱ローラ(10)で構成される。実施例2
7では、紫外光光源は水銀ランプと光学フィルタで構成
し、366nm付近の波長の紫外光を照射できるように
なっている。また、前記各可視波長を発光するLEDア
レイは、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/
オフが制御できるように構成されている。これらの各光
源は、その発光強度の調整が可能であって、また、サー
マルヘッドおよび熱ローラの加熱温度の調整も可能であ
り、さらに画像表示媒体の搬送速度も調整が可能となっ
ている。これらの光源部を通過して画像の書き込みがな
された画像表示媒体は、排紙トレー(11)に排出され
る。
【0075】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明から
なように、本発明の請求項1により、発色状態における
極大吸収波長が大きく異ならず、吸収帯の重なりが大き
な2つのフォトクロミック化合物間においても、消色の
選択性が向上する。また、本発明の請求項2により、カ
ラー表示に必要な3原色(イエロー、マゼンタ、シア
ン)が得られるため、画像信号に従い、画像表示媒体上
の所望の位置に所定の波長の光を照射し、および所望の
位置を加熱することにより、多色表示が可能となる。ま
た、本発明の請求項3により、イエロー発色化合物/マ
ゼンタ発色化合物間、およびマゼンタ発色化合物/シア
ン発色化合物間では、発色状態における極大吸収波長が
比較的近く、吸収帯の重なりがある場合が多いが、光と
熱により良好な選択性をもって消色が可能となり、また
イエロー発色化合物/シアン発色化合物間では、発色状
態における極大吸収波長が離れており、吸収帯の重なり
はほとんどない場合が多いので、やはり良好な選択性を
もって消色が可能となる。したがって、所望の色が忠実
に表示され、表示品質が高い多色表示が可能となる。ま
た、本発明の請求項4により、水分や特定のガス等によ
る、感光層を構成する化合物の必要な機能の発現に関わ
る反応に対する悪影響を低減することが可能となり、耐
久性が向上し、信頼性が高い多色画像表示方法が得られ
る。また、本発明の請求項5により、紫外光の光源とし
て、画素サイズに対応した微細なスポット単位での照射
は不要となり、光源素子の構成が容易になり、コスト的
にも有利になる。また、本発明の請求項6により、発色
の程度が調整できるので、表示すべき画像において必要
とされる発色濃度に必要充分な発色を生じさせることに
より、可視光照射および加熱による消色の程度を低減す
ることができるので、消費エネルギーの低減が可能とな
るし、材料の発色・消色の繰り返し耐久性の点において
も有利になる。また、本発明の請求項7により、発色の
程度が調整できるので、表示すべき画像において必要と
される発色濃度に必要充分な発色を生じさせることによ
り、可視光照射による消色の程度を低減することができ
るので、消費エネルギーの低減が可能となるし、また材
料の発色・消色の繰り返し耐久性の点においても有利に
なる。紫外光の照射時間を可変として制御することによ
り、照射強度は一定にすればよいため、紫外光光源自体
の発光強度を制御するための制御機構、あるいは光源の
外部において、光源から照射された紫外光の強度を調整
する部材等を設ける必要がなく、構成が容易になる。ま
た、本発明の請求項8により、各色について発色濃度の
調整が可能となり、したがって階調表示が可能となり、
画像表示媒体上の画像としては多色表示が可能となる。
可視光の照射時間および加熱時間に関する条件は任意に
設定できるため、例えば光源系および加熱手段と画像表
示媒体とを相対的に移動させながら画像を形成する方法
においては、前記移動の速度の制御が最も簡単になるよ
うに設定できるため(例えば一定速度、2つの速度の単
純繰り返し等)、前記移動に関するメカニカルな機構構
成および制御が容易になる。また、本発明の請求項9に
より、各色について階調表示が可能となり、画像表示媒
体上の画像としては多色表示が可能となる。可視光の照
射時間および加熱時間を可変として制御することによ
り、照射強度および加熱温度は一定にすればよいため、
可視光光源自体の発光強度を制御するための制御機構、
あるいは光源の外部において、光源から照射された可視
光の強度を調整する部材等を設ける必要がなく、構成が
容易になる。また、本発明の請求項10により、各フォ
トクロミック材料を選択的に消色させるための各波長の
可視光光源およびサーマルヘッドとは別に、白色光光源
を設けて表示部全面に白色光を照射する工程と、表示部
全面を加熱する手段を備えることにより、短時間での表
示画像の全消去が可能となる。また、本発明の請求項1
1により、白色光源と光学フィルターにより、各フォト
クロミック材料を選択的に消色させるための可視光光源
を構成するため、光学フィルターの形成条件、または交
換設置等により、波長の調整が容易にできる。また、本
発明の請求項12により、特定の発光波長域をもつ発光
素子を用いる場合は、光の利用効率が高く、照射強度の
確保も容易になるし、消費エネルギーの低減も可能とな
る。また、本発明の請求項13により、所望の色を忠実
に表示できる高表示品質の書き換え型の多色表示装置が
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いた画像表示装置の構成の概
略図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体 2 挿入口 3 搬送ローラ 4 紫外光光源 5 LEDアレイ 6 LEDアレイ 7 LEDアレイ 8 白色LED 9 サーマルヘッド 10 熱ローラ 11 排紙トレー

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱不可逆型フォトクロミック化合物と熱
    可逆型フォトクロミック化合物とを含み、かつ発色状態
    における極大吸収波長が他とは異なるものを含む2種類
    以上のフォトクロミック化合物からなる感光層を支持基
    板上に形成してなる画像表示媒体に対して、少なくと
    も、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフ
    ォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色し
    た各熱不可逆型フォトクロミック化合物の極大吸収波長
    に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射
    して各熱不可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消
    色する工程、および所望の領域を加熱することにより熱
    可逆型フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程
    を施すことを特徴とする多色画像表示方法。
  2. 【請求項2】 感光層が、発色状態における極大吸収波
    長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック
    化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜6
    00nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色
    状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲
    にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の多色画像表示方
    法。
  3. 【請求項3】 発色状態における極大吸収波長が400
    〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が熱
    不可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が50
    0〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が
    熱可逆型であり、発色状態における極大吸収波長が60
    0〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物が
    熱不可逆型であることを特徴とする請求項2に記載の多
    色画像表示方法。
  4. 【請求項4】 感光層の表面に保護層を形成したことを
    特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の多色画像
    表示方法。
  5. 【請求項5】 紫外光照射が画像表示部全面に対して行
    なわれることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に
    記載の多色画像表示方法。
  6. 【請求項6】 紫外光の照射強度を可変とすることを特
    徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表
    示方法。
  7. 【請求項7】 紫外光の照射時間を可変とすることを特
    徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の多色画像表
    示方法。
  8. 【請求項8】 可視光の照射強度および加熱温度を可変
    とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記
    載の多色画像表示方法。
  9. 【請求項9】 可視光の照射時間および加熱時間を可変
    とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記
    載の多色画像表示方法。
  10. 【請求項10】 白色光を画像表示部全面に照射する工
    程および画像表示部全面を加熱する工程を含むことを特
    徴とする請求項1乃至9の何れか1に記載の多色画像表
    示方法。
  11. 【請求項11】 各波長の可視光光源が、白色光源と光
    学フィルターから構成されることを特徴とする請求項1
    乃至10の何れか1に記載の多色画像表示方法。
  12. 【請求項12】 各波長の可視光光源が、それぞれが特
    定の発光波長域をもつ発光素子から構成されることを特
    徴とする請求項1乃至10の何れか1に記載の多色画像
    表示方法。
  13. 【請求項13】 ライン状の紫外光光源および可視光光
    源、そしてサーマルヘッドおよび全面加熱手段を備え、
    画像表示媒体と前記光源類及び加熱手段類とを相対的に
    移動させながら、請求項1乃至12の何れか1に記載の
    方法を用いて画像を形成することを特徴とする多色画像
    表示装置。
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