JP4397133B2 - 可逆画像記録表示方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示方法および装置に関し、詳しくは、光照射により多色画像の書き込みおよび消去の繰り返しが可能であり、さらに加筆を可能とする画像表示方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ・ネットワークの高度化,高速化に伴い、さまざまな書類処理の電子化が進み、その分量も増加している。これらの電子書類の表示は基本的にはCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイによって行なわれるが、ディスプレイの解像度は紙への印刷物には及ばない。また、ディスプレイでは複数ページにわたる書類全体を一覧することができないことなどの理由から、ペーパーレス化への要求にしたがって利用される電子書類さえも、一旦紙等に印刷されているのが現状であり、紙の使用量の増加の原因となっている。
このような実状から、特にペーパーライクなリライタブル表示メディアへの要求が強まり、開発がさかんに行なわれてきている。このようなリライタブル表示メディアの形態としてペーパーライクなものが好まれるのは、表示品質以外にもやはり手にとって自由な位置で自由な姿勢で閲覧できる点が大きな長所となっているからであり、書類処理の電子化が進んだ今日においてもなお、紙を用いた業務は減少せず、紙の使用量はむしろ増加している。
【0003】
また、このようなペーパーライクなリライタブル表示メディアの使用に当たっては、ペンライクな加筆デバイスによる加筆機能も強く望まれており、これに関する提案もいくつかなされている。その中で、リライタブル表示メディアとして、可逆的に光の透過率や反射率を変化させることができる、シート状の記録表示媒体がいくつか提案されている。例えば、高分子樹脂に有機低分子を分散させ、加熱温度によって透過、散乱を制御して表示記録を行う可逆性感熱記録媒体(特開平7−101161号公報)や高分子液晶の加熱後の冷却速度によって、相分離を制御し、透過、散乱を制御して表示記録をおこなうもの(特開平6−18866号公報)、または、通常無色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる電子受容性化合物とを含有する光透過性可逆性感熱記録フィルム(特開平6−270540号公報)などが知られている。これらの記録表示媒体は通常、サーマルヘッドなどを用いて画素単位の加熱を制御することで記録が行われる。例えば、前者の高分子樹脂に有機低分子を分散させたタイプの記録媒体は、加熱する温度によって加熱印字部分が、白濁状態または透明状態に制御可能であり、可逆OHPシート等への応用が考えられる。これらの可逆画像記録表示媒体に、手書きによって情報を書き加える場合には、熱ペンのような特殊なデバイスが必要になり、さらに前期可逆画像記録表示媒体は記録・表示に必要な加熱条件が複雑であるため、手書き加筆を行なうことは実質的に困難である。
【0004】
さらに、光散乱性の多孔質体に屈折率の近い物質を充填し、その領域を透明化する現象を利用した、可逆的な画像の記録表示方式や記録媒体も知られている。また、十分な機械的強度を有するように粒子を樹脂で結着させた内部に空隙を有する光散乱性のシート媒体に、外部から該粒子の屈折率に近い屈折率を有する透明液体を浸潤させて、画像を形成するとともに、浸潤液体を揮発させて画像を消去する画像性シート材料(特公平4−48349号公報)はその代表的な例である。この屈折率整合を利用した記録媒体では、手書きは液体をペン先から媒体に浸潤させることができるマジックのようなペンで行うことができるが、書き込まれる画像は液体の多孔質内における浸透の広がりによって、通常のペンで書き込むよりも粗い画像になってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上は、いずれも記録表示媒体としては光の透過、散乱を制御して記録・表示を行なうものであり、用途は、可逆OHPシートや、各種カード等に用いられ、使用者への見え方としては、可逆OHPシートでは光を透過させるか否か、各種カードでは基材の色と白(白濁)とを切り替えることで表示を行なう。
また、ロイコ染料/顕色剤系の加熱条件による発色・消色現象を利用して白地に黒発色画像を形成する可逆画像記録表示媒体も提案されており(特開平5−124360号公報)、これにおいては白黒表示が可能であるが、手書きによって情報を書き加える場合には、熱ペンのようなデバイスが必要となるが、記録・表示に必要な加熱条件が複雑であるため、手書き加筆を行なうことは実質的に困難である。このように、これまでなされた提案においては対象とする可逆画像記録表示媒体は、透明状態と光散乱状態(白濁)、あるいは透明状態と黒を切り換えて表示を行なうものであって、いわゆるモノクロ的表示であり、そしてこれらの可逆画像記録表示媒体への手書きによる可逆加筆は実質的には困難なものである。
本発明は、上述の従来技術の状況および問題に鑑みてなされたものであり、ペーパーライクでカラー表示が可能なリライタブル表示メディアに対し、その繰り返し使用機能を損なわずに任意の色で加筆する方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、本発明は、フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端部より紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に発色させる工程、を施すことを特徴とする。かかる発明によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、無色状態の可逆画像記録表示媒体に対し、書き込んだ部分のみを発色状態にして着色させるような使い方や、また、画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体にさらに加筆するように書き込む使い方が可能となる。また、本発明は、感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものであることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、画像形成装置で形成した画像の色と異なる色での加筆が可能となる。また、本発明は、フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に消色させる工程、を施すことを特徴とする。かかる発明によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、発色状態の可逆画像記録表示媒体に対し、書き込んだ部分のみを消色状態にさせて加筆したり、また、予め上述の画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体に対し、着色部を部分的に消色させるような、いわゆる消しゴム的な使い方が可能となる。
【0007】
また、本発明は、感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものであることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、複数色の形成画像に対し、用いる可視光源の発光波長の設定により、対象とするフォトクロミック化合物を選択的に消色したり、あるいはすべてのフォトクロミック化合物を消色することが可能となる。また、本発明は、フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端部より紫外光および可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に発色あるいは消色させる工程、を施すことを特徴とする。かかる発明によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、1つの記録器具で、無色状態の可逆画像記録表示媒体に対して書き込んだ部分のみを発色状態にして着色させるような使い方や、発色状態の可逆画像記録表示媒体に対して書き込んだ部分のみを消色状態にするような使い方が可能となるし、また、画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体に対してさらに加筆するように書き込んだり、着色部を部分的に消色させるような、いわゆる消しゴム的な使い方が可能となる。
【0008】
また、本発明は、感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものであることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、1つの記録器具で、画像形成装置で形成した複数色の形成画像に対し、画像の色と異なる色で加筆したり、特定のフォトクロミック化合物を選択的に消色したり、あるいはすべてのフォトクロミック化合物を消色することが可能となる。また、本発明は、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端中央部より紫外光を照射し、それと同時に該先端中央部の外周部から可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有される特定のフォトクロミック化合物を選択的に、かつ部分的に発色させる工程、を施すことを特徴とする。かかる発明によれば、画像記録表示媒体の表示状態によらず、一定の色による加筆が可能になる。また、本発明は、感光層に含まれる各フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長にそれぞれ対応した可視光を、前記先端中央部の外周部から照射することが可能なペン型の記録器具を用いることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。
【0009】
また、本発明は、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端中央部より紫外光を照射し、それと同時に該先端中央部の外周部から可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有される特定のフォトクロミック化合物を選択的に、かつ部分的に発色させる工程を施すことを特徴とする。かかる発明によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。また、本発明は、前記感光層に含まれる各フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長にそれぞれ対応した可視光を、紫外光を照射する前記先端中央部の外周部から照射することが可能な構造を有することも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。
【0010】
また、本発明は、紫外光の光源から、紫外光を出射する前記先端中央部に至る導光部材と、可視光源から、可視光を出射する前記先端中央部の外周部に至る導光部材との間に遮光部材を設けることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる各フォトクロミック化合物のそれぞれの発色・消色状態の制御、ひいては所望の色の表示が適正に効率よく行なうことができる。また、本発明は、先端部に圧力が印加されないときは紫外光および可視光を照射しない構造とすることも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、紫外光が不用意に使用者あるいは周囲の人の目に入ったりすることを防ぐことが可能となるし、また不要な電力消費が抑えることが可能となる。また、本発明は、紙等の記録媒体に色材を付与することにより記録を行なうような通常の筆記器具の機能も併せ持つことも本発明の有効な手段である。かかる技術手段によれば、1つの記録器具をもつだけで、前記可逆画像記録表示媒体を含む、さまざまな記録媒体を扱う作業に対応でき、利便性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
本発明において用いる可逆記録方法においては、発色状態における極大吸収波長が異なる、つまり発色状態において認識される色が異なる、2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像画像表示媒体に対して、少なくとも、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、および発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所望の領域に照射することにより各フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程を施す。
発色状態における極大吸収波長が異なるということは、つまり認識される“色”が異なるということであるが、この極大吸収波長は、表示に用いたい“色”に対応して設定されればよく、また該フォトクロミック化合物の種類も、表示に用いたい“色”の数に対応して設定されればよい。また、用いるフォトクロミック化合物はすべて同程度の発色エネルギーおよび消色エネルギーを有することが好ましい。
【0012】
また、感光層を構成する材料としては該フォトクロミック化合物のほかに、バインダー材料があるが、該フォトクロミック化合物のフォトクロミズム機能に悪影響を与えることがなく、また該フォトクロミック化合物と相溶性が良く、成膜可能であり、硬化後の透明性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
さらに、支持基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどのような透明材料、および紙などの不透明材料が挙げられる。
また、感光層を形成する方法としては塗布法のほかに蒸着法も挙げられるが、塗布法が簡便であり、該フォトクロミック化合物とバインダー材料をともに溶媒に溶かして、印刷法、スピンコート法などの方法により塗布し、乾燥して成膜すればよい。感光層は単一層または複数層のどちらでもよいが、複数層を形成する場合は、隣り合う層どうしが混合しないように層間に分離層を形成することが好ましい。分離層は感光層中のバインダー材料およびフォトクロミック化合物を溶解しない溶媒を用いた成膜用溶液を塗布することによって形成できる。
また、紫外光を照射する光源としては、水銀ランプやキセノンランプなどに光学フィルタを組み合わせて所望の波長域の紫外光を取り出して用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。例えば書き込み・消去のための光源系をなるべくコンパクトに構成した表示装置を作製するような場合には、LEDなどの発光素子が好ましく、さらに、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイを構成してもよい。
【0013】
また、可視光を照射する光源としては、白色光光源に光学フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。例えば書き込み・消去のための光源系をなるべくコンパクトに構成した表示装置を作製するような場合には、LEDなどの発光素子が好ましく、さらに、微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイを構成してもよい。特に所望の領域にのみ照射するような場合は、前述の光源アレイと、感光層を支持基板上に形成した可逆画像記録表示媒体とを相対的に移動させながら光源アレイの各発光面の照射のオン/オフを制御することによってもそれが可能となる。
また、所望の画像を表示する方法としては、まず画像表示媒体の表示面に紫外光を照射すると、照射された部分の感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物が発色する。ついで、各フォトクロミック化合物の発色状態での可視域吸収帯に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光を照射することにより、対応する特定のフォトクロミック化合物が消色する。この方法を用いて、可逆画像記録表示媒体の表示面上の所望の領域に、いくつかの所望のフォトクロミック化合物の発色状態を生じさせることにより、所望の画像を形成することが可能となる。感光層に含まれる全種類のフォトクロミック化合物が発色した後、同一の領域に複数の波長の可視光を照射する場合には、同時に照射してもよいし、順次別々に照射してもよい。また順次別々に照射する場合、照射する波長の順番はどのようでもよい。
また、感光層が発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するように構成すると、該フォトクロミック化合物の発色状態において認識される“色”はそれぞれ、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに相当し、これらにより3原色が構成されるため、前述の画像表示方法により多色表示が可能となる。
【0014】
発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にある化合物としては、例えば
1,2−ビス(2−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
2,3−ジ(2−メチルベンゾチエニル)マレイン酸ジメチル、
1, 2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチアゾ−ル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
等が挙げられる。
発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にある化合物としては、例えば
1,2−ビス(3−(2−メチル−6−(2−(4−メトキシフェニル)エチニル)ベンゾチエニル))−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−メチル−2−フェニルチアゾ−ル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
等が挙げられる。
発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にある化合物としては、例えば
1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(5−シアノ−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(6−カルボキシル−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−シアノ−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
等が挙げられる。
発色状態における極大吸収波長が大きく異なり、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに認識されるこれらのフォトクロミック化合物は、所定の混合比で均一に混合されてバインダー材料とともに単一層の感光層を形成してもよいし、またそれぞれのフォトクロミック化合物とバインダー材料とからなる感光層を積層して複数層の感光層を形成してもよい。
【0015】
本発明が関するところの、光照射による単色表示あるいは多色表示が可能な可逆画像記録表示方法について、さらに本発明者らは以前に、紫外光照射を画像表示部全面に対して行なった後に,可視光を領域的に選択的に照射して所望の画像を形成する方法、紫外光の照射強度や照射時間を可変として画像濃度を調整する方法、可視光の照射強度や照射時間を可変として中間色を表示する方法、ライン状の紫外光光源および可視光光源を備え、画像表示媒体と光源とを相対的に移動させながら画像を形成する装置、等を提案してきた。最後に挙げた装置について少し説明を加えれば、ライン状というのは厳密に直線状に限られるものではなく、例えば,ある長さの光源ユニットがいわゆる千鳥状に互い違いに配列して全体的にラインを形成しているようなものも含むものであるし、また微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイ等に関しても、同一波長の光源を構成する発光面の配列が一列でなく、複数列であってもよい。また、発光波長が異なるそれぞれの光源アレイが、一つの構造体に組み込まれていてもよいし、独立した構造体として構成されてもよい。
【0016】
図1は、このような光源を備えた装置の構成例を示す断面図である。本構成例には、可逆画像記録表示媒体1を、装置内に導入するための挿入口2が設けられている。そこから可逆画像記録表示媒体1が挿入されると、搬送ローラ3により、可逆画像記録表示媒体1は書き込みのための光源部に搬送されていく。光源部は紫外光光源4と、470nmの発光波長を有するLEDアレイ5、560nmの発光波長を有するLEDアレイ6、660nmの発光波長を有するLEDアレイ7、およびライン状の白色LED8で構成される。本構成例では紫外光光源4は水銀ランプと光学フィルタで構成し、313nm付近の波長域の紫外光と366nm付近の波長域の紫外光を切り替えて照射できるようになっている。また、前記各可視波長を発光するLEDアレイ5〜8は、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できるように構成されている。これらの各光源はその発光強度の調整が可能であり、また可逆画像記録表示媒体1の搬送速度も調整が可能となっている。これらの光源部を通過して画像の書き込みがなされた可逆画像記録表示媒体1は排紙トレー9に排出される。
図2は、もう一つの構成例を示す斜視図である。本構成例は、可逆画像記録表示媒体11を設置するボード12と、書き込みのための光源素子が配設され、可逆画像記録表示媒体11平面に沿って移動する光源アーム部13からなる。
【0017】
図3に光源アーム部13内の光源素子の構成を示す。光源アーム部13には紫外光光源14と、470nmの発光波長を有するLEDアレイ15、560nmの発光波長を有するLEDアレイ16、660nmの発光波長を有するLEDアレイ17、およびライン状の白色LED18で構成される。前記各可視波長を発光するLEDアレイ15〜18は、画素に対応した微小な領域ごとに照射のオン/オフが可能なように構成されており、書き込むべき画像に対応し、光源アームの移動と連動して照射のオン/オフが制御されるようになっている。これらの各光源はその発光強度の調整が可能であり、また光源アーム部13の移動速度も調整可能となっている。本構成例は、画像表示媒体が常に使用者から見える構成であるため、可逆画像記録表示媒体11をボード12に設置したまま、何度も画像を書き換えて通常のモニターのようにも使用できるし、また画像書き換え後に可逆画像記録表示媒体11をボード12から取り外して使用することもできる。
以上では、多色表示用の場合について説明してきたが、本発明に用いられる可逆画像記録表示媒体は単色表示用のものでもよく、その場合感光層に含むフォトクロミック化合物は一種類でよい。
以上、本発明に関わる、光照射による単色表示あるいは多色表示が可能な可逆画像記録表示方法について説明した。本発明は、上述の単色あるいは多色表示が可能な可逆画像記録表示方法を用い、さらに光照射が可能なペン型の記録器具を用いて、手書き等による加筆あるいは消去が可能な可逆画像記録表示方法を提供するものである。
【0018】
1)本発明の特徴の一つは、フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端部より紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に発色させる工程を施すことである。感光層に含まれるフォトクロミック化合物は1種類でも良い。先にその構成例を示した画像形成装置等による画像形成の方法は、上述の通りである。
図4は、本発明の先端部より紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。通常の筆記器具のような形状をした構造体の内部に、電源20と紫外光の光源22、および導光部材23が設けられ、該導光部材23が先端中央部24から露出している。さらに前記構造体の外側に、光源の照射のON/OFFを制御できるスイッチ21が設けられている。また、図には示していないが電源20と紫外光の光源22、およびスイッチ21間は配線により電気的に接続されている。紫外光の光源22に特別な制約はないが、電池等の小型の電源で駆動可能であり、光源自体も小型であることが望ましいため、紫外発光LEDなどが好適に用いられる。導光部材23としては、紫外光をある程度透過するものであればよく、石英ガラスやその他のガラス類のほか、メタクリル樹脂等のプラスティック類等を用いることができる。例えば、感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、このようなペン型の記録器具の使用方法としては、上述の可逆画像記録表示媒体に所定の可視光を照射するなどして感光層に含まれるフォトクロミック化合物を消色状態にしておいて、これに該ペン型の記録器具で紫外光を照射しながら書き込み、書き込んだ部分のみを発色状態にして着色させてもよいし、また、予め上述の画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体にさらに該ペン型の記録器具で加筆するように書き込んでも良い。
【0019】
2)また感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合には、さらに異なった使用方法が可能となる。例えば、用いた2種類のフォトクロミック化合物それぞれの消色体における吸収帯、および発色体における吸収帯が図5のような関係にあれば、画像形成装置に用いる紫外光源の波長を両フォトクロミック化合物の消色体の吸収帯に共通の波長(図5のλ1)に設定して、両フォトクロミック化合物を発色させて画像を形成し、ペン型の記録器具に用いる紫外光源の波長を一方のフォトクロミック化合物のみが消色体の吸収を示す波長(図5のλ2)に設定すればそのフォトクロミック化合物のみを発色させて加筆することができる。また逆に、画像形成装置に用いる紫外光源の波長を一方のフォトクロミック化合物のみが消色体の吸収を示す波長(図5のλ2)に設定して、その両フォトクロミック化合物を発色させて画像を形成し、ペン型の記録器具に用いる紫外光源の波長を両フォトクロミック化合物の消色体の吸収帯に共通の波長(図5のλ1)に設定すれば、両フォトクロミック化合物を発色させて加筆することができる。このように画像形成装置で形成した画像の色と異なる色での加筆が可能となる。
【0020】
3)また、フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に消色させる工程を施すことで、さらに異なった使用方法が可能となる。この場合、感光層に含まれるフォトクロミック化合物は1種類でも良い。画像形成装置等による画像形成の方法は、1)における説明と同様である。先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成は、図4とほぼ同様であり、図4における紫外光の光源22を可視光の光源に置き換えた構成になる。可視光光源に特別な制約はないが、電池等の小型の電源で駆動可能であり、光源自体も小型であることが望ましい。ただし、用いるフォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長に対応した発光波長をもつことが必要である。比較的狭い発光波長域をもつように設計されたLEDなどの発光素子を用いてもよいし、また発光素子に、特定の波長域の光のみを透過するようないわゆるカラーフィルタのような機能を持つ部材を組み合わせて用いてもよい。導光部材としては、可視光を透過するものであればよく、ガラス類のほか、メタクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明プラスティック類等を用いることができる。例えば感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、このようなペン型の記録器具の使用方法としては、上述の可逆画像記録表示媒体に所定の紫外光を照射するなどして感光層に含まれるフォトクロミック化合物を発色状態にしておいて、これに該ペン型の記録器具で可視光を照射しながら書き込み、書き込んだ部分のみを消色状態にさせて加筆してもよいし、また、予め上述の画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体に対し、着色部を部分的に消色させるような、いわゆる消しゴム的に使用してもよい。
【0021】
4)また感光層が、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合には、さらに異なった使用方法が可能となる。上で述べたような方法により、画像形成装置によって複数色の画像形成が可能となるが、ペン型の記録器具で用いる可視光源の発光波長の設定により、対象とするフォトクロミック化合物を選択的に消色することが可能となり、その対象とするフォトクロミック化合物のみが発色状態にある領域においては画像を消去できることになるし、また複数のフォトクロミック化合物が発色状態にある領域においては画像の色を部分的に変えることが可能となる。可視光の発光波長域に関しては、異なる可視発光波長域の光源をもつ複数のペン型の記録器具を用いてもよいし、複数の可視発光波長域の光源を有するペン型の記録器具を用いて適宜波長を切り換えて使用しても良い。
【0022】
図6は、本発明の先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。通常の筆記器具のような形状をした構造体の内部に、電源30と可視光源A32と可視光源B35、および導光部材33が設けられ、該導光部材33が先端中央部34から露出している。さらに前記構造体の外側に、可視光源A32と可視光源B35を切替える切替えスオッチ31が設けられている。また、図には示していないが電源30と可視光源A32と可視光源B35、および切替えスイッチ31間は配線により電気的に接続されている。さらに、用いるフォトクロミック化合物すべての発色状態の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を同時に照射できれば、多色表示の画像に対して、全ての部分(領域を)無色化することができる。
5)また、ペン型の記録器具の構成において、光源として1)で述べたような紫外光の光源、および3)で述べたような可視光の光源の両者を併せ持つように構成し、両者の照射を切り換えられるようなスイッチを設ければ、一つのペン型の記録器具において、紫外光光源を照射して1)および2)で述べたような使用方法も可能であるし、可視光光源を照射して3)および4)で述べたような使用方法も可能となる。
6)さらに本発明の特徴として、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれかと、さらに先端中央部より紫外光を照射し、それと同時に該先端中央部の外周部から可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有される特定のフォトクロミック化合物を選択的に、かつ部分的に発色させる工程、を施すことが挙げられる。
【0023】
図7は、本発明の先端部より可視光と紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。図4に示した構成例では紫外光の光源22と、先端中央部24の間に1つの導光部材23が介在して、紫外光を前記光源22から前記ペン型の記録器具の先端中央部24に導くものであるが、本発明においては、図4での構成に対してさらに、ペン型の記録器具の少なくとも先端部分においては、先端中央部44から露出した紫外光用導光部材42の周囲を囲むように、可視光用導光部材43が配設され、前記ペン型の記録器具の内部においては可視光用導光部材43の他端に可視光光源41が配設される。このような構成の記録器具の可視光の波長域を、感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物のうちのどれかの発色体の極大吸収波長に対応した波長域に設定し、先端部分を記録表示媒体に当接あるいは近接させながら移動させると、前記可逆画像記録表示媒体の軌跡上の各部においては、まず可視光が照射され、その直後に紫外光が照射され、最後に再び可視光が照射される。紫外光が照射されることにより前記可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれるすべてのフォトクロミック化合物が発色状態となり、続いて可視光が照射されることにより、その可視光波長に対応して特定のフォトクロミック化合物のみが消色状態となるため、つまり前記ペン型の記録器具によって書き込まれた部分では、感光層中に含まれる各フォトクロミック化合物のそれぞれの発色・消色状態が一定に調整されることになる。
先に、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体と、紫外光光源および可視光光源からなる光源部とを相対的に移動させながら多色表示画像を形成する方法について説明したが、その書き込みにより、前記可逆画像記録表示媒体がどんな表示状態にあっても、つまり、全ての用いたフォトクロミック化合物が消色状態であって前記可逆画像記録表示媒体が全くの無色状態であっても、あるいはいくつかのフォトクロミック化合物が発色状態にあって、それを反映した色を表示していても、本発明によるペン型の記録器具を用いれば、各フォトクロミック化合物の消色・発色状態が常に一定に保たれ、従って一定の色による加筆が可能になる。
【0024】
7)前記で、可視光の光源を発光波長が異なる複数にし、それぞれの波長域を、前記可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物のそれぞれの発色体の極大吸収波長に対応した波長域に設定し、各可視光光源の照射のON/OFFを切り換えられるようにすることにより、前記ペン型の記録器具により、感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物それぞれの発色・消色状態を任意に制御できるため、前記複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択して加筆が可能となる。
8)また、6)で説明したペン型の記録器具の構成において、図8のように紫外光用導光部材52と可視光用導光部材53の間に遮光部材54を形成することにより、前記両導光部材間で紫外光および可視光が相互に漏れて混じり合い、先端中央部の紫外光照射部から出射されるべき紫外光に可視光が混じり、その周囲の可視光照射部から出射されるべき可視光に紫外光が混じるのを防ぐことが可能となり、感光層中に含まれる各フォトクロミック化合物のそれぞれの発色・消色状態の制御、ひいては所望の色の表示が適正に効率よく行なわれることになる。遮光部材としては可視光および紫外光を透過しにくいものであればよく、充分な遮光性が得られるように材質、厚み等を決めればよいが、前記両導光部材間の空間に形成しやすいものが好ましい。
9)これまで説明してきたペン型の記録器具においては、紫外光あるいは可視光の照射のON/OFFを前記記録器具を構成する構造体外側に設けたスイッチによって使用者が制御する構成例を示して説明してきたが、これらにおいて、先端部に適当な大きさの圧力が加えられているときにのみ紫外光あるいは可視光が照射される構造を設けることにより、前記ペン型の記録器具を手に持ち、可逆画像記録表示媒体に加筆あるいは消去しようとする場合は紫外光あるいは可視光が照射されるが、可逆画像記録表示媒体から前記ペン型の記録器具の先端部が離れると照射されないようにすることが可能となる。これにより、特に紫外光が不用意に使用者あるいは周囲の人の目に入ったりすることを防ぐことが可能となるし、また不要な電力消費が抑えることが可能となる。
【0025】
図9は、先端部に適当な大きさの圧力が加えられているときにのみ紫外光あるいは可視光が照射されるペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。構造としては、例えば図のように、先端部65を含む記録器具の一部69が記録器具長手方向にスライドしうる構造であって、スプリング部材67により伸長方向に一定の力を受けていて、紫外光源60および可視光源61と図示しない電源とを結ぶ電極66と68が遮断されていて電力が供給されないが、縮短方向に適当な圧力が加わると前記電極66と68がつながって電力が供給されるような構造が挙げられる。
10)以上で説明してきたペン型の記録器具に、例えばボールペンや鉛筆、フェルトペンなどの、紙等の記録媒体に色材を付与することにより記録を行なうような通常の筆記器具の機能も併せ持つ構造とすることにより、1つの記録器具をもつだけで、前記可逆画像記録表示媒体を含む、さまざまな記録媒体を扱う作業に対応でき、利便性が向上する。紙等の記録媒体に色材を付与することにより記録を行なうような通常の筆記器具の機能も併せ持つ構造としては、前記ペン型の記録器具の紫外光あるいは可視光を照射する先端部に対し、もう一方の端部に他の筆記器具機能を持たせる構造とし、対象とする記録媒体により持ち替えて使用するのが簡単である。
【0026】
【実施例】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
(参考例1)フォトクロミック化合物として、1、2−ビス(2、4−ジメチル−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3、3、4、4、5、5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下PC1と呼ぶ)を用いた。ポリスチレン100重量部に対しPC1を10重量部添加して溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜(10μm)を作成した。紫外光照射前の吸収スペクトルを測定したところ吸収帯の極大吸収波長は370nm程度であり、無色であった。これらに高圧水銀ランプと光学フィルタにより取り出した366nm付近の紫外光を照射したところ、シアンに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は670nmであった。上と同様の処方によるキャスト膜を感光層として白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成して、可逆画像記録表示媒体を作製した。感光層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と認識された。一方、図4のような構造のペン型の記録器具を作製した。紫外光の光源22としては主発光波長372nmのLEDを用い、外部に露出した構造の電源スイッチ21を介して電池で駆動する構成とした。導光部材23としては先端の径が0.5mmに加工された円柱状の石英ガラスを用いた。このペン型の記録器具を用い、前記可逆画像記録表示媒体上に通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分がシアン色を呈した。さらに、この状態の可逆画像記録表示媒体に白色光を照射すると、ペン型の記録器具により書き込まれてシアン色を呈した部分が消色して可逆画像記録表示媒体全体が再び白色となり、前記ペン型の記録器具により書き込みと消去が繰り返し可能であることを確認した。
(参考例2)参考例1と同様に可逆画像記録表示媒体を作製した。この可逆画像記録表示媒体に、先で説明した図1に示す構成の可逆画像記録表示装置を用いて画像を形成した。形成された画像は基板の色である白と、発色したPC1の色であるシアンからなる画像として認識された。この可逆画像記録表示媒体1上の白部に、参考例1で用いたペン型の記録器具を用いて通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分がシアン色を呈し、前記画像に加筆された。この状態の可逆画像記録表示媒体に再び前記可逆画像記録表示装置を用いて同様の画像を形成したところ、前記ペン型の記録器具により書き込まれた部分は書き込み前の状態と同様になり、再び白部に書き込むとやはり書き込み部がシアン色を呈し、加筆が可能であった。このように繰り返し使用が可能であることが確認された。
【0027】
(参考例3)フォトクロミック化合物として、1、2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチアゾール)−3、3、4、4、5、5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下PC2と呼ぶ)を用いた。ポリスチレン100重量部に対しPC2を10重量部添加して溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜(10μm)を作成した。紫外光照射前の吸収スペクトルを測定したところ吸収帯の極大吸収波長は320nm程度であり、370nm以上ではほとんど吸収を示さず、無色であった。これらに高圧水銀ランプと光学フィルタにより取り出した313nm付近の紫外光を照射したところ、黄〜オレンジ色に発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は470nmであった。上と同様の処方によるキャスト膜を感光層として白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、PVAによる分離膜(2μm)を介して、その上に参考例1と同様の処方によるPC1を含むキャスト膜を形成して可逆画像記録表示媒体を作製した。感光層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と認識された。この可逆画像記録表示媒体に、先で説明した図1に示す構成の可逆画像記録表示装置を用いて画像を形成した。本参考例では紫外光として313nm付近の波長域の紫外光を用い、また可視光としては470nmおよび660nmの発光波長をもつ光源を用い、PC1、PC2をともに消色させるかまたはともに発色させるかにより、つまり感光層が無色となり基板の色が認識された結果の白と、両者が発色した結果の緑から成る画像を形成した。この可逆画像記録表示媒体上の白部に、参考例1で用いたペン型の記録器具を用いて通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分ではPC1のみが発色し、シアン色を呈した。この状態の可逆画像記録表示媒体に再び前記可逆画像記録表示装置を用いて同様の画像を形成したところ、前記ペン型の記録器具により書き込まれた部分は書き込み前の状態と同様になり、再び白部に書き込むとやはり書き込み部がシアン色を呈し、加筆が可能であった。このように繰り返し使用が可能であることが確認された。
【0028】
(参考例4)参考例1と同様の可逆画像記録表示媒体を作製した。この可逆画像記録表示媒体に紫外光を照射して全面をシアン色に発色させた。一方、参考例1と同様に図4のような構造のペン型の記録器具を作製した。ただし本参考例では紫外光の光源の代わりに主発光波長660nmのLEDを用いた。このペン型の記録器具を用い、前記可逆画像記録表示媒体上に通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分のみがPC1が消色して無色となり、基板の色である白が認識された。さらに、この状態の可逆画像記録表示媒体に再び紫外光を照射すると、ペン型の記録器具により書き込まれて無色になった部分が発色して可逆画像記録表示媒体全体が再びシアン色となり、前記ペン型の記録器具により書き込みと消去が繰り返し可能であることを確認した。
(参考例5)参考例4と同様に可逆画像記録表示媒体を作製した。この可逆画像記録表示媒体に、先で説明した図1に示す構成の可逆画像記録表示装置を用いて画像を形成した。形成された画像は基板の色である白と、発色したPC1の色であるシアンからなる画像として認識された。この可逆画像記録表示媒体上のシアン部に、参考例4で用いたペン型の記録器具を用いて通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分のみがPC1が消色して無色となり、基板の色である白が認識され、前記画像に対するシアン部の消去あるいは白色の加筆がなされた。この状態の可逆画像記録表示媒体に再び前記可逆画像記録表示装置を用いて同様の画像を形成したところ、前記ペン型の記録器具により書き込まれた部分は書き込み前の状態と同様になり、再びシアン部に書き込むとやはり書き込み部が白色を呈し、シアン部の消去あるいは白色の加筆が可能であった。このように繰り返し使用が可能であることが確認された。
【0029】
(参考例6)参考例3と同様の可逆画像記録表示媒体を作製した。この可逆画像記録表示媒体に、先で説明した図1に示す構成の可逆画像記録表示装置を用いて画像を形成した。本参考例では紫外光として313nm付近の波長域の紫外光を用い、また可視光としては470nmおよび660nmの発光波長をもつ光源を用い、PC1、PC2の発色、消色の組み合わせにより、ともに消色させたときの基板の色が認識された結果の白と、PC1のみ発色させた場合のシアン、PC2のみ発色させた場合の黄〜オレンジ、両者とも発色させた場合の緑、の4色による画像を形成した。また、参考例4で用いたペン型の記録器具に対し、可視光源としてさらに主発光波長470nmのLEDを追加して設け、2つの可視光源の切り替えができるように外部に露出したスイッチを設けた。このペン型の記録器具を用いて前記4色による画像が形成された可逆画像記録表示媒体に、通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、書き込んだ部分は、可視光源の選択と、書き込み時の可逆画像記録表示媒体の表示状態によって図10(表1)のように変化し、消色(無色化)あるいは色変化による消去あるいは加筆がなされた。これら各状態の可逆画像記録表示媒体に再び前記可逆画像記録表示装置を用いて同様の画像を形成したところ、前記ペン型の記録器具により書き込まれた部分は書き込み前の状態と同様になり、繰り返し使用が可能であることが確認された。
(参考例7)参考例6で用いたペン型の記録器具に対し、光源部にさらに主発光波長372nmのLEDを追加して設け、紫外光源と2つの可視光源それぞれの切り替えができるように外部に露出したスイッチを設けた。これにより、このペン型の記録器具1つで、これまで参考例1〜6に示したようなそれぞれの使用方法がすべて可能となった。
【0030】
(参考例8)フォトクロミック化合物として、1,2−ビス(2−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下PC3と呼ぶ)、1,2−ビス(3−(2−メチル−6−(2−(4−メトキシフェニル)エチニル)ベンゾチエニル))−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下PC4と呼ぶ)、および1−(5−メトキシ−1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(5−シアノ−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン(以下PC5と呼ぶ)を用いた。ポリスチレン100重量部に対しPC3を10重量部添加して溶媒に溶解させ、石英基板上にキャスト膜を作成した。PC4、PC5についても同様に石英基板上にキャスト膜を作成した。これらの光照射前の吸収スペクトルを測定したところ、PC3、PC4、PC5いずれも300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、いずれも無色であった。これらに高圧水銀ランプと光学フィルタにより取り出した366nmの紫外光を照射したところ、PC3、PC4、PC5はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ420nm、565nm、665nmであった。上と同様の処方によるキャスト膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成した。ただし、今度はPC3を含むキャスト膜(10μm)を形成後、PVAによる分離膜(2μm)を介してその上にPC4を含むキャスト膜(10μm)を形成し、やはりPVAによる分離膜(2μm)を介してさらにその上にPC5を含むキャスト膜(10μm)を形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成して可逆画像記録表示媒体を作製した。この積層型の感光層は無色であり、基板の色が白であるため、観察者には白と認識された。この可逆画像記録表示媒体に、先で説明した図1に示す構成の可逆画像記録表示装置を用いて366nmの紫外光を照射したところ、PC3、PC4、PC5すべてが発色し、濃灰色を呈した。その後さらに前記装置を用い、各波長の可視光を照射したところ、照射波長の選択により可逆画像記録表示媒体の表示状態は、図11(表2)のように変化した。
【0031】
一方、ペン型の記録器具としては、図8のような構造のものを作製した。紫外光源50および先端中央部55まで延びた導光部材、電源等は図4に示した参考例1で用いたものと同様であるが、本参考例ではさらに、前記紫外光源50および導光部材を囲むように黒色の樹脂による遮光部材54を設けて、前記紫外光源50および導光部材52,53との光学的干渉を生じないようにして、その周囲に可視光源51と該可視光源用導光部材53を設けた。本参考例では可視光源51としては主発光波長660nmのLEDを用い、可視光源用導光部材53はPMMA製とした。該可視光源用導光部材53の先端部での厚みは0.3mmとした。また紫外光源50および可視光源51はスイッチにより同時に照射するようにした。このペン型の記録器具を用い、図11(表2)に示した種々の表示状態における可逆画像記録表示媒体に、通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、前記表示状態の違いによらず、書き込んだ部分はすべての場合に赤色を呈した。可逆画像記録表示媒体の表示状態に依らない、一定の色での加筆が可能なことを確認した。
【0032】
(参考例9〜14)参考例8で作製したペン型の記録器具に、さらに主発光波長470nmおよび550nmのLEDを設け、紫外光源と同時に照射させる、発光波長が異なる可視光源をスイッチにより任意に選択できるようにした。このペン型の記録器具を用い、紫外光源と同時に照射させる可視光源の発光波長をさまざまに変えながら、参考例8と同様に作製してさらに可逆画像記録表示装置を用いて表2のような種々の表示状態にした可逆画像記録表示媒体に、通常の筆記器具で書き込むのと同様に操作したところ、紫外光源と同時に照射させる可視光源の発光波長を固定した場合は参考例8と同様に、表示状態の違いによらず、書き込んだ部分はすべて一定の色を示した。そして紫外光源と同時に照射させる可視光源の発光波長の選択により、書き込みにより得られた色は、図12(表3)のように変化した。これらから、ペン型の記録器具の、紫外光源と同時に照射させる可視光源の発光波長の設定により、書き込みにより得られる色を選択できることを確認できた。
【0033】
(実施例1)参考例8〜14で用いたペン型の記録器具に対し、図9のように、先端部を含む記録器具の一部69が記録器具長手方向にスライドしうる構造であって、スプリング部材67により伸長方向に一定の力を受けていて、紫外光源60および可視光源61と電源とを結ぶ電極66と68が遮断されていて電力が供給されないが、縮短方向に適当な圧力が加わると前記電極66と68がつながって電力が供給されるような構造に変更した(図では電極と、電源、紫外光源、可視光源、スイッチを結ぶ配線類を省いている)。このペン型の記録器具は、通常の筆記器具で書き込むのと同様に記録表示媒体に軽く押しつけるようにすると紫外光および可視光を照射し、その先端を記録表示媒体から離すと照射しないことを確認した。(実施例2)実施例1で用いたペン型の記録器具の、紫外光および可視光を出射する先端部と反対側の端部に、通常のボールペンの機能を持たせる構造とし、さらにどちらの先端部にでもはめて使用できるキャップ部材を設けた。
【0034】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、無色状態の可逆画像記録表示媒体に対し、書き込んだ部分のみを発色状態にして着色させるような使い方や、また、画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体にさらに加筆するように書き込む使い方が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、画像形成装置で形成した画像の色と異なる色での加筆が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、発色状態の可逆画像記録表示媒体に対し、書き込んだ部分のみを消色状態にさせて加筆したり、また、予め上述の画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体に対し、着色部を部分的に消色させるような、いわゆる消しゴム的な使い方が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、複数色の形成画像に対し、用いる可視光源の発光波長の設定により、対象とするフォトクロミック化合物を選択的に消色したり、あるいはすべてのフォトクロミック化合物を消色することが可能となる。
【0035】
また、可逆画像記録表示媒体の感光層に含まれるフォトクロミック化合物が1種類である場合、1つの記録器具で、無色状態の可逆画像記録表示媒体に対して書き込んだ部分のみを発色状態にして着色させるような使い方や、発色状態の可逆画像記録表示媒体に対して書き込んだ部分のみを消色状態にするような使い方が可能となるし、また、画像形成装置等により画像を形成した可逆画像記録表示媒体に対してさらに加筆するように書き込んだり、着色部を部分的に消色させるような、いわゆる消しゴム的な使い方が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層が、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むものを用いた場合に、1つの記録器具で、画像形成装置で形成した複数色の形成画像に対し、画像の色と異なる色で加筆したり、特定のフォトクロミック化合物を選択的に消色したり、あるいはすべてのフォトクロミック化合物を消色することが可能となる。また、画像記録表示媒体の表示状態によらず、一定の色による加筆が可能になる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。
【0036】
また、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる複数のフォトクロミック化合物の組み合わせによって可能な色を任意に選択しての加筆が可能となる。また、可逆画像記録表示媒体の感光層中に含まれる各フォトクロミック化合物のそれぞれの発色・消色状態の制御、ひいては所望の色の表示が適正に効率よく行なうことができる。また、紫外光が不用意に使用者あるいは周囲の人の目に入ったりすることを防ぐことが可能となるし、また不要な電力消費が抑えることが可能となる。また、1つの記録器具をもつだけで、前記可逆画像記録表示媒体を含む、さまざまな記録媒体を扱う作業に対応でき、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色可逆画像記録表示装置の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の多色可逆画像記録表示装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】本発明の図2の光源アーム部内の光源素子の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の先端部より紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。
【図5】本発明のフォトクロミック化合物の波長と吸光度の関係を表す図である。
【図6】本発明の先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例を示す断面図である。
【図7】本発明の先端部より可視光と紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の先端部より可視光と紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例の一部を示す断面図である。
【図9】本発明の先端部より可視光と紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具の構成例の一部を示す断面図である。
【図10】本発明のペン型の記録器具による書き込み後の表示状態を表す図である。
【図11】本発明の可視光照射波長の選択による可逆画像記録表示媒体の表示状態の変化を表す図である。
【図12】本発明の可視光源の波長選択による書き込みにより得られる色の変化を表す図である。
【符号の説明】
1 可逆画像記録表示媒体
2 挿入口
3 搬送ローラ
4 紫外光光源
5、6,7,8 LEDアレイ
9 排紙トレー
Claims (9)
- フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれか一方と、さらに先端部より紫外光を照射することが可能なペン型の記録器具によって前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に発色させる工程、とを有する可逆画像記録表示方法であって、前記ペン型の記録器具は、スプリング部材及び電極を有し、先端部が記録器具長手方向にスライドしうる構造であり、前記スプリング部材は記録器具を長手方向に伸長させ、かつ紫外光源と電源とを結ぶ電極を遮断するものであり、記録器具縮短方向に圧力が加わり、前記スプリング部材が縮むと前記電極がつながって電力が供給され、紫外光を照射するものであることを特徴とする可逆画像記録表示方法。
- 前記感光層は、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の可逆画像記録表示方法。
- フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれ一方かと、さらに先端部より可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に消色させる工程、とを有する可逆画像記録表示方法であって、前記ペン型の記録器具は、スプリング部材及び電極を有し、先端部が記録器具長手方向にスライドしうる構造であり、前記スプリング部材は記録器具を長手方向に伸長させ、かつ可視光源と電源とを結ぶ電極を遮断するものであり、記録器具縮短方向に圧力が加わり、前記スプリング部材が縮むと前記電極がつながって電力が供給され、可視光を照射するものであることを特徴とする可逆画像記録表示方法。
- 前記感光層は、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の可逆画像記録表示方法。
- フォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれか一方と、さらに先端部より紫外光および可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を部分的に発色あるいは消色させる工程、とを有する可逆画像記録表示方法であって、前記ペン型の記録器具は、スプリング部材及び電極を有し、先端部が記録器具長手方向にスライドしうる構造であり、前記スプリング部材は記録器具を長手方向に伸長させ、かつ紫外光源及び可視光源と電源とを結ぶ電極を遮断するものであり、記録器具縮短方向に圧力が加わり、前記スプリング部材が縮むと前記電極がつながって電力が供給され、紫外光源及び/または可視光源を照射するものであることを特徴とする可逆画像記録表示方法。
- 前記感光層は、消色状態における極大吸収波長および発色状態における極大吸収波長の両者がそれぞれ異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の可逆画像記録表示方法。
- 発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれか一方と、さらに先端中央部より紫外光を照射し、それと同時に該先端中央部の外周部から可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって前記感光層に含有される特定のフォトクロミック化合物を選択的に、かつ部分的に発色させる工程、とを有する可逆画像記録表示方法であって、前記ペン型の記録器具は、スプリング部材及び電極を有し、先端部が記録器具長手方向にスライドしうる構造であり、前記スプリング部材は記録器具を長手方向に伸長させ、かつ紫外光源及び可視光源と電源とを結ぶ電極を遮断するものであり、記録器具縮短方向に圧力が加わり、前記スプリング部材が縮むと前記電極がつながって電力が供給され、紫外光源及び/または可視光源を照射するものであることを特徴とする多色可逆画像記録表示方法。
- 前記感光層に含まれる各フォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長にそれぞれ対応した可視光を、紫外光を照射する先端中央部の外周部から照射することが可能なペン型の記録器具を用いることを特徴とする請求項7に記載の多色可逆画像記録表示方法。
- 発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成してなる可逆画像記録表示媒体に対して、少なくとも、全面に紫外光を照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と発色したフォトクロミック化合物を可視光照射により部分的に消色する工程、あるいは紫外光を部分的に照射して前記感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程と全面に可視光を照射して発色したフォトクロミック化合物を消色する工程、のいずれか一方と、さらに先端中央部より紫外光を照射し、それと同時に該先端中央部の外周部から可視光を照射することが可能なペン型の記録器具によって前記感光層に含有される特定のフォトクロミック化合物を選択的に、かつ部分的に発色させる工程、とを有する可逆画像記録表示方法に用いるペン型の記録器具であって、前記ペン型の記録器具は、スプリング部材及び電極を有し、先端部が記録器具長手方向にスライドしうる構造であり、前記スプリング部材は記録器具を長手方向に伸長させ、かつ紫外光源及び可視光源と電源とを結ぶ電極を遮断するものであり、記録器具縮短方向に圧力が加わり、前記スプリング部材が縮むと前記電極がつながって電力が供給され、紫外光源及び/または可視光源を照射するものであることを特徴とするペン型の記録器具。
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