JP4136628B2 - 可逆画像表示媒体及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆画像表示媒体に関し、さらに詳しくは、リライタブルメディア、デジタルペーパー等に利用できる光照射によりカラー情報の書き込み及び消去の繰返しが可能な可逆画像表示媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフィスにおける紙の消費の増大にともない、紙に替わるメディアとして、画像の記録・消去が繰り返しできる可逆画像表示媒体に関する研究が注目されている。この中で、多色画像の書き換えが可能であるカラー可逆画像表示媒体においてもいくつかの報告がなされている。
【0003】
本発明の従来例として、書き換え可能なカラー画像記録媒体及びそれを用いた画像形成方法であって、分子量が2000以下で、ガラス転移温度が35度以上のコレステリック液晶化合物またはその混合物からなる記録材料において、コレステリック液晶状態より急冷することにより、その反射色を常温で長期間保存でき、さらに、液晶状態に戻せば繰り返し記録することが出来るという技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
又、光照射により可逆的な色変化を起こすマルチカラーフォトクロミック組成物として、吸収波長域の異なる3種類の黄橙色、赤色、青紫色を発色するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を混合してフォトクロミック性ジアリールエテン化合物から成る組成物に3種の異なる紫外光を照射してマルチカラー可逆表示媒体を作成する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、カラー画像材料およびこれを用いるカラー画像形成方法として、イエロー、マゼンタ、シアンを発色する3種類のフォトクロミック性フルギド化合物を用いたカラー可逆画像表示媒体に、1種類の紫外光で全色発色させた後に可視光で選択的に消色することでカラー画像表示をおこなうという技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−24027号公報
【特許文献2】
特開平5−271649号公報
【特許文献3】
特開平7−199401号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−271649号公報や特開平7−199401号公報で提案されている光の吸収によって色を表示するフォトクロミック化合物を用いる上記従来技術は、特開平11−24027号公報で提案されている光の選択反射によって色を表示するコレステリック液晶化合物を用いる方式に比べ白反射率が高い、表示色の濃度が高いなど画像表示特性として優れた特徴を持つ。
【0008】
しかしながら3種類のフォトクロミック化合物を特定波長の紫外線によって独立に発色させるとしている特開平5−271649号公報の方式は以下の問題点がある。即ち、フォトクロミック化合物の消色状態から発色状態へ変化させる波長領域中で最も波長の長い光、言いかえるとフォトクロミック化合物の消色状態における光吸収が生じる閾値波長はフォトクロミック化合物によって異なる。しかし閾値波長よりも短い波長の光に対してはどの波長の光に対しても光照射によって発色する場合がほとんどである。したがって特定の紫外線波長領域だけで発色することを利用する特開平5−271649号公報で示された方式は現実的でない。
【0009】
一方一種類の紫外光で全色発色させた後に可視光で選択的に消色する特開平7−199401号公報で提案されている方式においては上記の問題はないが、例えば紙の代替として使用する場合、オフィスで作成される文書の多くは白地に黒文字で書かれており、平均的な原稿率(紙面全体に占める文字面積の割合)は10%以下であるため、全面発色させた媒体のほとんどの領域に可視光を照射して消色させる事になる。そのため画像を表示させるためのエネルギーの無駄が多い。
【0010】
上記のエネルギーの無駄を回避する方法として、紫外線による全面発色ではなく画像を表示する画素だけを紫外線で選択的に発色させ、その後画素の色濃度に応じて画素毎に消色させるための可視光をフォトクロミック化合物毎の感度波長領域の光で順次照射する方法が考えられる。しかしこの方法においても画像の背景を特定の色にしてその上に文字を表示させるような場合、媒体を全面発色させた後にほとんどの領域に背景色以外の可視光を照射して消色させる必要があるためエネルギーの無駄が多いという問題がある。
【0011】
そこで本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、選択的に光を透過または遮光する遮光層は1種類だけで済み、また選択発色させるための光源も2種類の光源だけで済むカラー可逆画像表示媒体及び光照射方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、発色の色相が異なる複数種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、上記複数種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は、光吸収により消色状態から発色状態に遷移するフォトクロミック化合物への照射光の発色閾値波長を、前記一種類の感光層への外部からの刺激により可逆的に変化できる感光層材料から構成する可逆画像表示媒体を最も主要な特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、発色の色相が異なる複数種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、積層された最下部の感光層とその上に位置する感光層との間または最上部の感光層とその下に位置する感光層との間に、紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられていることを特徴とする可逆画像表示媒体を最も主要な特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項2において前記複数種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は消色状態において請求項1に記載の発色閾値波長が外部からの刺激により可逆的に変化できる感光層材料から構成の感光層である可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明では、前記可逆画像表示媒体において、最下部の感光層への照射光の発色閾値波長λ1は最上部への感光層の発色閾値波長λ3よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には波長λ1とλ3の中間の波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過し、波長λ3よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられ、また最上部と最下部の感光層の中間部に位置する感光層は、外部からの刺激により、波長がλ3より長く、波長λ1より短い波長X1に対し、波長X1より長い発色閾値波長の状態と波長X1より短い発色閾値波長の状態との間で可逆的に変化させることが可能な感光層である請求項1から3のいずれか1項に記載の可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項4において、前記中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記波長X1よりも長い状態にしておいて、最下部の感光層と中間部に位置する偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X1よりも短い状態にしておいて前記紫外線偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ3よりも短い波長領域の光X2を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させる画像形成方法を主要な特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明では、請求項1から3に記載の可逆画像表示媒体において、最下部の感光層の発色閾値波長λ1は中間部に位置する感光層の発色閾値波長λ2よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間にはλ1よりも短くλ2よりも長い波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過しλ2よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、また最上部に位置する感光層はλ2よりも波長が短い波長X3に対して発色閾値波長がX3より長い状態とX3より短い状態の間を外部からの刺激により可逆的に変化する可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明では、請求項6において、前記最上部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X3よりも短い状態にしておいて、前記偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X3の光を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記最上部に位置する感光層の発色閾値波長が前記X3よりも長い状態にしておいて、前記紫外線偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X3より短い紫外線を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ1よりも短くまたλ2よりも長い波長領域の光X4を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させる画像形成方法を主要な特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明では、請求項1から7に使用する前記発色閾値波長が可逆的に変化する特徴を有するフォトクロミック化合物を含んだ感光層中には外部からの刺激によりフォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物が含まれている可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明では、請求項8において、前記フォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物は電子受容性化合物または電子供与性化合物である可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明では、請求項8において、前記フォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物は電子受容性化合物または電子供与性化合物である可逆画像表示媒体を主要な特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。光照射エネルギーの少ないカラー可逆画像表示を行う手段として、本出願人は先に特願2002−171415号で発色の色相が異なる3種類フォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させる技術を出願している。
【0023】
特願2002−171415号は、発色の色相が異なる3種類フォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、3種類の消色状態のフォトクロミック化合物は発色状態に遷移する閾値波長がそれぞれ異なり、かつ積層された最下部の感光層とその上に位置する感光層との間、および最上部の感光層とその下に位置する感光層との間にフォトクロミック化合物を発色させるための光を遮光する遮光層が設けられている事を特徴としている。
【0024】
先ず先願である特願2002−171415号発明の原理を図1及び図2を用いて説明することとする。発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(1)、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(2)、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(3)とする。
【0025】
このとき化合物(1)、(2)、(3)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の発色閾値波長はそれぞれ異なり、化合物(1)の発色閾値波長λ1は化合物(2)の発色閾値波長λ2よりも長く、化合物(2)の発色閾値波長λ2は化合物(3)の発色閾値波長λ3よりも長いとする。
【0026】
ここで消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の発色閾値波長とは、消色状態のフォトクロミック化合物に照射して発色状態に遷移する波長の光の内、最も波長の長い光の波長と定義する。つまり発色閾値波長よりも波長の短い光をフォトクロミック化合物の消色状態に照射するとフォトクロミック化合物は発色状態に遷移し、発色閾値波長よりも波長の長い光をフォトクロミック化合物の消色状態に照射してもフォトクロミック化合物は発色状態に遷移しない。光吸収により消色状態から発色状態に遷移する光の波長に対しては消色状態においてフォトクロミック化合物は光吸収を持ち、一方光吸収により発色状態から消色状態に遷移する光の波長に対しては発色状態においてフォトクロミック化合物は光吸収を持つことは言うまでもない。
【0027】
先願の画像表示媒体の構成を図1に示す。多層感光層を保持する基板1上にフォトクロミック化合物(1)を含んだ感光層2が形成され、その上部に後述する工程15の波長の光を遮光する遮光層3が形成される。さらにその上部にフォトクロミック化合物(2)を含んだ感光層4が形成され、その上に後述する工程16の波長の光を遮光する遮光層5が形成され、さらにその上部にフォトクロミック化合物(3)を含んだ感光層6が形成される。
【0028】
上記の構成の媒体に対して選択発色させるためのプロセスを図2で説明する。フォトクロミック化合物(1)の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも短くλ2よりも長い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に最表面である感光層6側から照射する工程14を最初に行う。この工程によりフォトクロミック化合物(1)に対して所望の発色濃度を与える。工程14で用いた波長の光に対してはフォトクロミック化合物(2)及び(3)は発色感度を持たないため感光層6、4を通過しても発色しない。
【0029】
次にフォトクロミック化合物(2)の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ2よりも短くλ3よりも長く、且つ遮光層3で吸収される波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程15を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(2)に対して所望の発色濃度を与える。工程15で用いた波長の光に対してはフォトクロミック化合物(3)は発色感度を持たないため発色しない。またフォトクロミック化合物(1)は工程15の光が遮光層3によって遮光されるため影響を受けず発色しない。
【0030】
最後にフォトクロミック化合物(3)の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ3よりも短く、且つ遮光層5で吸収される波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程16を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(3)に対して所望の発色濃度を与える。フォトクロミック化合物(1)及び(2)は工程16の光が遮光層5によって遮光されるため発色しない。
【0031】
上記の特徴を持つフォトクロミック化合物の構成、及び発色させるための工程により、3種の異なる色相を有するフォトクロミック化合物を選択的に発色させることができ、画像形成を行う際に消色過程が必要無いためエネルギーの無駄の少ない画像の形成が実現できる。
【0032】
以上、先願の構成、画像形成方法を説明したが、先願の課題として以下の2つのことが挙げられる。一つは3種類の感光層の間に選択的に光を透過または遮光する2種類の遮光層を設けることにある。遮光層は一般的に特定の光を吸収する有機分子を塗布して設けるが、有機分子が吸収するスペクトル波長の半値幅は小さな材料でも20nm程度の広がりを持つ。従って2種類の遮光層にそれぞれ別個の吸収波長を持たせ感光層を選択的に発色させる場合、少なくても照射する光の中心波長は30nm以上異なる必要がある。
【0033】
この事から波長の異なる3種類の光を照射して選択的に発色させる場合、先願の構成では最も波長の長い光と最も波長の短い光の波長の差は60nm以上必要となる。つまりフォトクロミック化合物の消色状態において可視光領域での色づきが無いことを想定すると発色光源として波長400nm以下の紫外線を用いる必要があるため、最も波長の長い光源の組み合わせを考えても340nm、370nm、400nmの3種類の紫外線光源が必要となる。
【0034】
近年半導体レーザーの開発が進展し紫外線を発振する半導体レーザーも報告されているが、350nm以下の発振波長を有する半導体レーザーの実用化はまだなされていない。従って、光源として安価な半導体レーザーを用いる場合、先願の構成においては光源に関して課題が多い。
【0035】
先願の他の課題は上記に述べたように、選択的に感光層を発色させる際に波長の異なる3種類の光源を必要とする点が上げられる。光源としてはなるべく種類が少ないほうが安価な装置が構成できることは明らかである。
【0036】
本発明では発色の色相が異なる3種類フォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、2種類の消色状態のフォトクロミック化合物は発色状態に遷移する閾値波長がそれぞれ異なり、残りの1種類のフォトクロミック化合物は消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の発色閾値波長が熱などの外部からの刺激により可逆的に変化する事を特徴としている。
【0037】
また積層された3種類の感光層間の一箇所には異なる波長の光を選択的に透過または遮光するための遮光層が設けられ、感光層間の他の箇所には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層が設けらていることを特徴としている。
【0038】
次に、本発明の構成の一例を図3及び図4を用いて説明する。発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(1)、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(2)、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(3)とする。
【0039】
このとき化合物(1)及び(3)の発色閾値波長はそれぞれ異なり、化合物(1)の発色閾値波長λ1は化合物(3)の発色閾値波長λ3よりも長いとする。またフォトクロミック化合物(2)はλ3より波長が長くλ1よりも波長が短い波長X1に対して、発色閾値波長がX1より長い状態αとX1より短い状態βの間を外部からの刺激により可逆的に変化することを特徴とする。
【0040】
本発明の画像表示媒体の構成を図3に示す。感光層を保持する基板上にフォトクロミック化合物(1)を含んだ感光層が形成され、その上部に中間感光層の発色時に最下層感光層が影響を受けないように、紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層が設けらている。さらにその上部に可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(2)を含んだ発色閾値可変の中間感光層8が形成され、その上にX1の波長の光を透過し後述するX2の波長の光を遮光する遮光層19が形成され、さらにその上部にフォトクロミック化合物(3)を含んだ感光層が形成される。
【0041】
上記の構成の媒体に対して選択発色させるためのプロセスを図4で説明する。中間層のフォトクロミック化合物層17の発色閾値波長を照射波長X1より短い状態にしておいて、フォトクロミック化合物(1)の最終的な発色後の濃度に応じた光量で、フィルター層があっても光が通過するように、紫外偏光フィルター層の偏光面と平行な偏光面を有する波長X1の光を画像表示媒体の画素毎に照射する第一の工程を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(1)に対して所望の発色濃度を与える。第一の工程で用いた波長の光に対しては中間感光層及び最上層のフォトクロミック化合物は、発色感度を持たないため発色しない。
【0042】
次に中間感光層のフォトクロミック化合物の発色閾値波長を照射波長X1より長い状態にしておいて、中間感光層フォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じた光量で紫外偏光フィルター層の偏光面と直交する偏光面を有する波長X1の光を画像表示媒体の画素毎に照射する第二の工程を行う。この工程により中間感光層のフォトクロミック化合物に対して所望の発色濃度を与える。第二の工程で用いた波長の光に対しては紫外偏光フィルターによりフォトクロミック化合物(1)には光が照射されないためフォトクロミック化合物(1)は影響を受けない。またフォトクロミック化合物(3)は発色感度を持たないため発色しない。
【0043】
最後にフォトクロミック化合物(3)の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ3よりも短く、且つ遮光層19で吸収される波長X2の光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(3)に対して所望の発色濃度を与える。フォトクロミック化合物(1)及び(2)は波長X2の光が遮光層19によって遮光されるため発色しない。
【0044】
上記の特徴を持つフォトクロミック化合物の構成、及び発色させるための工程により、用いる遮光層が一種類で済むとともに、3種の異なる色相を有するフォトクロミック化合物を2種類の光で選択的に発色させることができる。
【0045】
本発明の別の構成例を図5及び図6を用いて説明する。発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(1)、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(2)、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(3)とする。
【0046】
このとき化合物(1)及び(2)の発色閾値波長はそれぞれ異なり、化合物(1)の発色閾値波長λ1は化合物(2)の発色閾値波長λ2よりも長いとする。またフォトクロミック化合物(3)は、発色閾値波長がX3より長い状態γと発色閾値波長がX3より短い状態δの間を外部からの刺激により可逆的に変化する事を特徴とする。
【0047】
本発明の画像表示媒体の構成を図5に示す。感光層を保持する基板上にフォトクロミック化合物(1)を含んだ感光層2が形成され、その上部に前記X4の波長の光を透過しX3の波長の光を遮光する遮光層20が設けられている。さらにその上部にフォトクロミック化合物(2)を含んだ感光層4が形成され、その上に紫外線の特定の偏光面を持つ光のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層7が形成され、さらにその上部に可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(3)を含んだ発色閾値可変の感光層9が形成される。
【0048】
上記の構成の媒体に対して選択発色させるためのプロセスを図6で説明する。発色閾値波長を可逆的に変化できるフォトクロミック化合物を含む感光層9をその発色閾値波長が照射波長X3より短いで波長で発色するに状態しておいて、フォトクロミック化合物(2)の最終的な発色後の濃度に応じた光量で紫外偏光フィルター層の偏光面と平行する偏光面を有する波長X3の光を画像表示媒体の画素毎に照射する第一の照射工程を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(2)に対して所望の発色濃度を与える。第一の照射工程で用いた波長の光に対しては、発色閾値波長を可逆的に変化できるフォトクロミック化合物を含む感光層9は発色感度を持たないような状態にしてあるため発色しない。また遮光層20によりフォトクロミック化合物(1)には光が照射されないためフォトクロミック化合物(1)は発色しない。
【0049】
次に発色閾値波長を可逆的に変化できるフォトクロミック化合物を含む感光層9の発色閾値波長が照射波長X3より長い波長で発色する状態にしておいて、感光層9の最終的な発色後の濃度に応じた光量で紫外偏光フィルター層の偏光面と直交する偏光面を有する波長X3の光を画像表示媒体の画素毎に照射する第二の照射工程を行う。この工程により感光層9に対して照射が行われるが、フォトクロミック化合物(1)、(2)には偏光フィルターにより光が照射されないのでフォトクロミック化合物(1)、(2)には影響しない。
【0050】
最後にフォトクロミック化合物(1)の最終的な発色後の濃度に応じた光量で波長X4の光を照射する第三の照射工程を行う。この工程によりフォトクロミック化合物(1)に対して所望の発色濃度を与える。フォトクロミック化合物(2)及び感光層9は波長X4の光に対して発色感度を持たないため発色しない。
【0051】
上記の特徴を持つフォトクロミック化合物の構成、及び発色させるための工程により、3種の異なる色相を有するフォトクロミック化合物を2種類の光で選択的に発色させることがでる。
【0052】
上記の2つの構成の説明においては3回の光照射工程を順次行った場合の例をあげているが、工程の順番を入れ替えても良い。その場合も本発明の範囲に含まれる。
【0053】
オフィスで使われる文書には白黒文字のみの文書または白黒文字の多い文書が多い。このような文書の場合、先に述べた3つの工程を重ね合わせて黒発色を行うよりも一回の光照射工程で3つの感光層を同時に発色させたほうが、工程の数も少なくまた3色の色ずれの心配も少ない。その目的で前記3回の光照射工程とは別の工程として遮光層を透過し全てのフォトクロミック化合物に発色感度を有する短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する事により3つの感光層を同時に発色させる工程を行っても良い。
【0055】
今回本出願人は、先願記載のフォトクロミック化合物及び電子受容性化合物を含む感光層において検討した結果、発色閾値波長についても加熱処理の仕方によって可逆的に変化することを見出した。本発明に用いる発色状態に遷移する光の発色閾値波長が外部からの刺激により可逆的に変化する感光層としては先願記載のフォトクロミック化合物及び電子受容性化合物を含む材料を用いることが出来る。
【0056】
また先願には記載は無いが、フォトクロミック化合物と相互作用を行う物質は電子受容性化合物だけでとは限らず、電子供与性化合物であっても構わない事は言うまでも無い。
【0057】
本発明のカラー可逆画像表示媒体としては、以下に記すような構成のものが挙げられる。反射率の高い白色表示のために支持基板は表面が白色であることが好ましい。しかしながら、用途に応じて着色していても構わない。また、支持基板は紙やフィルムなどの比較的薄い媒体が好ましいがこれに限定されない。
【0058】
支持基板上の感光層には、紫外光照射により発色状態となり、可視光照射により消色状態になるフォトクロミック化合物が含まれる。フォトクロミック化合物には、発色状態が熱に安定であり光のみによって色変化を起こすP型化合物と、発色状態が熱に不安定であり光だけでなく熱によっても色変化を起こすT型化合物とがあるが、本発明ではP型化合物を用いることが特に望ましい。P型化合物の代表的なものとしてはフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物などがある。
【0059】
フルカラー画像を記録したい場合は3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンを発色する化合物が重要であるが、イエロー発色化合物としては、例えば、
「2−[1−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(2−フェニル−5−メチル−4−オキサゾリル)ステアリリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は430nm〜460nm程度である。
【0060】
また、マゼンタ発色化合物としては、例えば、
「2−[1−(2,5−ジメチル−1−フェニルピラゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(3−メトキシ−5−メチル−1−フェニル−4−ピラゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(2−メチル−5−スチリル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は550nm〜560nm程度である。
【0061】
また、シアン発色化合物としては、例えば、
「2−[1−(1,2,5−トリメチル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[2,6−ジメチル−3,5−ビス(p−ジメチルアミノスチリル)ベンジリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は600nm〜650nm程度である。
【0062】
感光層内のフォトクロミック化合物は、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂等の樹脂に分散されていてもよいし、マイクロカプセル中に封入されていてもよい。
【0063】
感光層間に設けられる遮光に含まれる物質としては例えば2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、インドール系色素などがあげられる。
【0064】
紫外偏光フィルターとしてはアゾ系やアントラキノン系の2色性色素で染色したポリビニルアルコール(PVA)を一軸延伸した材料があげられる。
【0065】
また感光層の表面に感光層の劣化を防止する保護膜としてポリビニルアルコールの薄膜などを形成した画像表示媒体も本発明に含まれることは言うまでも無い。
【0066】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例で用いるフォトクロミック化合物として発色状態でシアンの発色を示すフォトクロミック化合物(1)、発色状態でマゼンタの発色を示すフォトクロミック化合物(2)、発色状態でイエローの発色を示すフォトクロミック化合物(3)を用いた。
【0067】
具体的にはフォトクロミック化合物(1)として2−[1−(1,2,5−トリメチル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC1と呼ぶ)、フォトクロミック化合物(2)として2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC2と呼ぶ)、フォトクロミック化合物(3)として2−[1−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC3と呼ぶ)を用いた。
【0068】
フォトクロミック化合物(1)の発色閾値波長は400nm、フォトクロミック化合物(2)の発色閾値波長は380nm、フォトクロミック化合物(3)の発色閾値波長は360nmであった。
【0069】
フォトクロミック化合物(2)の発色閾値を可逆的に変化させる目的で、フォトクロミック化合物(2)とテトラデシルホスホン酸を1:10のモル比で混合した。混合した物質(以下PS1と呼ぶ)が熱処理温度により発色閾値が変化するかどうか調べた。その結果、110℃に加熱してから室温に冷却した状態では発色閾値が340nmにシフトすることが判った。またこの後、70℃に加熱してから室温に冷却した状態では発色閾値が380nmと元に戻り、発色閾値を印加温度の違いにより可逆的に変化出来ることを確認した。
【0070】
フォトクロミック化合物(3)の可逆的に変化させる目的で、フォトクロミック化合物(3)とテトラデシルホスホン酸を1:10のモル比で混合した。混合した物質(以下PS2と呼ぶ)が熱処理温度により発色閾値が変化するかどうか調べた。その結果、110℃に加熱してから室温に冷却した状態では発色閾値が320nmにシフトすることが判った。またこの後、70℃に加熱してから室温に冷却した状態では発色閾値が360nmと元に戻り、発色閾値を印加温度の違いにより可逆的に変化出来ることを確認した。
【0071】
実施例1
実施例1として図3に示す構造を以下の手順で形成した。
遮光層に含まれる遮光物質として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(以下S1と略す)を用いた。S1は波長350nmの紫外線を透過しない性質を有する。紫外線偏光フィルターとしては紫外線領域に吸収ピークを持つアゾベンゼン系の2色性色素(Direct Yellow8)をPVAに溶かし、一軸延伸してして作成したしたフィルム(以下P1と呼ぶ)を用いた。
【0072】
まず始めにPC1をポリスチレン中に10wt%分散し、白色ポリエチレンテレフタレート基板1(厚さ0.5mm)上に2μm厚みにスピンコートした。その上にP1を光硬化樹脂を用いて接着し、さらにその上にPS1、S1、PC3をそれぞれポリスチレン中に10wt%分散した材料をこの順番で2μm厚づつスピンコートした。最後に感光層の表面に保護膜としてポリビニルアルコールの薄膜(2μm)を塗布して、可逆画像表示媒体を作製した。この状態で70℃に加熱してから室温に戻した。
【0073】
実施例2
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長370nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を偏光フィルターに透過させた後、紫外線偏光フィルター層の偏光面と直交する偏光を有する光を100秒間照射したところマゼンタ色になった。これはPS1が選択的に発色したためと思われる。
【0074】
実施例3
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長350nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を100秒間照射したところイエロー色になった。これはPC3が選択的に発色したためと思われる。
【0075】
実施例4
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態を110℃に加熱してから室温に戻した。これに対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長370nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を偏光フィルターを透過させた後、紫外線偏光フィルター層の偏光面と平行な偏光を有する光を100秒間照射したところシアン色になった。これはPC1が選択的に発色したためと思われる。
【0076】
実施例5
実施例5として図5の構造を以下の手順で形成した。
PC1、S1、PC2をそれぞれポリスチレン中に10wt%分散し、この順番で白色ポリエチレンテレフタレート基板(厚さ0.5mm)上に2μm厚づつスピンコートした。その上にP1を光硬化樹脂を用いて接着し、さらにその上にPS2をポリスチレン中に10wt%分散した材料をスピンコートした。最後に感光層の表面に保護膜としてポリビニルアルコールの薄膜(2μm)を塗布して、可逆画像表示媒体を作製した。この状態で70℃に加熱してから室温に戻した。
【0077】
実施例6
実施例5で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長350nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を偏光フィルターに透過させた後、紫外線偏光フィルター層の偏光面と直交する偏光を有する光を100秒間照射したところイエロー色になった。これはPS2が選択的に発色したためと思われる。
【0078】
実施例7
実施例5で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長390nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を100秒間照射したところシアン色になった。これはPC1が選択的に発色したためと思われる。
【0079】
実施例8
実施例5で作製した可逆画像表示媒体の消色状態を110℃に加熱してから室温に戻した。これに対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長350nm半値幅5nmの光(1mW/cm2)を偏光フィルターを透過させた後、紫外線偏光フィルター層の偏光面と平行な偏光を有する光を100秒間照射したところマゼンタ色になった。これはPC2が選択的に発色したためと思われる。
【0080】
以上の実施例により、1種類の遮光層と2種類の光源を用いて、それぞれ発色の色相が異なる3種類のフォトクロミック化合物を含む感光層を、独立に発色出来ることが確認できた。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、発色の色相が異なる複数種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、上記複数種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は、光吸収により消色状態から発色状態に遷移するフォトクロミック化合物への照射光の発色閾値波長を、前記一種類の感光層への外部からの刺激により可逆的に変化できる感光層材料から構成することを特徴とする可逆画像表示媒体により、一つの波長の光に対して発色する状態と発色しない状態の2つの状態を持たせることが出来るため、3種類の感光層を独立に発色させる場合においても発色に用いる光源の種類を少なくすることができる。
【0082】
請求項2によれば、発色の色相が異なる複数種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、積層された最下部の感光層とその上に位置する感光層との間または最上部の感光層とその下に位置する感光層との間に、紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられていることを特徴とする可逆画像表示媒体により、入射する光の偏光面の角度の回転で、光の透過を制御できるため、3種類の感光層を独立に発色させる場合においても用いる遮光層が一種類で済み、特定の感光層を発色させる自由度を増すことが可能となる。
【0083】
請求項3によれば、請求項2において前記複数種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は消色状態において請求項1に記載の発色閾値波長が外部からの刺激により可逆的に変化できる感光層材料から構成の感光層であることをことを特徴とする可逆画像表示媒体により、3種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は消色状態において請求項1に記載の発色閾値波長が外部からの刺激により可逆的に変化する事を特徴とすることにより、一つの波長の光に対して発色する状態と発色しない状態の2つの状態を持たせることが出来るとともに、入射する光の偏光面の違いにより、光の透過を制御できるため、3種類の感光層を独立に発色させる場合においても発色に用いる光源の種類を少なくすることが出来るとともに、用いる遮光層が一種類で済むことが可能となる。
【0084】
請求項4によれば、前記可逆画像表示媒体において、最下部の感光層への照射光の発色閾値波長λ1は最上部への感光層の発色閾値波長λ3よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には波長λ1とλ3の中間の波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過し、波長λ3よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられ、また最上部と最下部の感光層の中間部に位置する感光層は、外部からの刺激により、波長がλ3より長く、波長λ1より短い波長X1に対し、波長X1より長い発色閾値波長の状態と波長X1より短い発色閾値波長の状態との間で可逆的に変化させることが可能な感光層であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可逆画像表示媒体により、遮光層を一層しか設けない構成においても、3種類の感光層を独立に発色させることが出来ると共に、発色に用いる光源の種類を少なくすることが可能となる。
【0085】
請求項5によれば、請求項4において、前記中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記波長X1よりも長い状態にしておいて、最下部の感光層と中間部に位置する偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X1よりも短い状態にしておいて前記紫外線偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ3よりも短い波長領域の光X2を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させることを特徴とする画像形成方法により、請求項4の構成において3種類の感光層を独立に発色させることが可能となる。
【0086】
請求項6によれば、請求項1から3に記載の可逆画像表示媒体において、最下部の感光層の発色閾値波長λ1は中間部に位置する感光層の発色閾値波長λ2よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間にはλ1よりも短くλ2よりも長い波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過しλ2よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、また最上部に位置する感光層はλ2よりも波長が短い波長X3に対して発色閾値波長がX3より長い状態とX3より短い状態の間を外部からの刺激により可逆的に変化することを特徴とする可逆画像表示媒体により、遮光層を一層しか設けない構成においても、3種類の感光層を独立に発色させることが出来ると共に、発色に用いる光源の種類を少なくすることが可能となる。
【0087】
請求項7によれば、請求項6において、前記最上部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X3よりも短い状態にしておいて、前記偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X3の光を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記最上部に位置する感光層の発色閾値波長が前記X3よりも長い状態にしておいて、前記紫外線偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X3より短い紫外線を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ1よりも短くまたλ2よりも長い波長領域の光X4を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させることを特徴とする画像形成方法により、請求項6の構成において3種類の感光層を独立に発色させることがが可能となる。
【0088】
請求項8によれば、請求項1から7に使用する前記発色閾値波長が可逆的に変化する特徴を有するフォトクロミック化合物を含んだ感光層中には外部からの刺激によりフォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物が含まれていることを特徴とする可逆画像表示媒体を用いることにより、複雑な構造を持たす事無く、3種類の感光層を独立に発色させる場合においても発色に用いる光源の種類を少なくすることが出来るとともに用いる遮光層が一種類で済むことが可能となる。
【0089】
請求項9によれば、請求項8において、前記フォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物は電子受容性化合物または電子供与性化合物であることを特徴とする可逆画像表示媒体により、大きな発色閾値の変化が起こり、一つの波長の光を用いても発色しない状態と発色する状態の2つの状態を作ることが容易に可能となる。
【0090】
請求項10によれば、請求項8において、前記外部からの刺激は熱的刺激であることを特徴とする画像形成方法により、外部からの刺激は熱的刺激であることにより、ヒートローラーなど安価な部品で外部刺激を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に示された画像表示媒体の構成を示す断面図である。
【図2】従来例の画像表示媒体の各層の発色プロセスを説明するための説明図である。
【図3】本発明の可逆画像表示媒体の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の可逆画像表示媒体の各層の発色プロセスを説明する説明図である。
【図5】本発明の可逆画像表示媒体の構成の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の可逆画像表示媒体の各層の発色プロセスの他の例の説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 フォトクロミック化合物(1)を含む感光層
3 遮光層
4 フォトクロミック化合物(2)を含む感光層
5 遮光層
6 フォトクロミック化合物(3)を含む感光層
7 偏光フィルター層
8 可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(2)を含む感光層
9 可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(3)を含む感光層
11 フォトクロミック化合物(1)
12 フォトクロミック化合物(2)
13 フォトクロミック化合物(3)
14 工程14
15 工程15
16 工程16
17 可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(2)感光層
18 可逆的発色閾値波長を有するフォトクロミック化合物(3)感光層
19 遮光層
20 遮光層
Claims (9)
- 発色の色相が異なる複数種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を積層し多色表示を行う可逆画像表示媒体において、上記複数種類の感光層の内、少なくとも一種類の感光層は、光吸収により消色状態から発色状態に遷移するフォトクロミック化合物への照射光の発色閾値波長を、前記一種類の感光層への外部からの熱の刺激により可逆的に変化できる感光層材料から構成することを特徴とする可逆画像表示媒体。
- 積層された最下部の感光層とその上に位置する感光層との間または最上部の感光層とその下に位置する感光層との間に、紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられている請求項1に記載の可逆画像表示媒体。
- 前記可逆画像表示媒体において、最下部の感光層への照射光の発色閾値波長λ1は最上部への感光層の発色閾値波長λ3よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には波長λ1とλ3の中間の波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過し、波長λ3よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する偏光フィルター層が設けられ、また最上部と最下部の感光層の中間部に位置する感光層は、外部からの刺激により、波長がλ3より長く、波長λ1より短い波長X1に対し、波長X1より長い発色閾値波長の状態と波長X1より短い発色閾値波長の状態との間で可逆的に変化させることが可能な感光層であることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の可逆画像表示媒体。
- 請求項3において、中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記波長X1よりも長い状態にしておいて、最下部の感光層と中間部に位置する偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記中間部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X1よりも短い状態にしておいて前記紫外線偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X1の紫外線を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ3よりも短い波長領域の光X2を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1から2に記載の可逆画像表示媒体において、最下部の感光層の発色閾値波長λ1は中間部に位置する感光層の発色閾値波長λ2よりも波長が長く、最上部の感光層と中間部に位置する感光層の間には紫外線の特定の偏光面のみを透過する機能を有する紫外偏光フィルター層が設けられ、最下部の感光層と中間部に位置する感光層の間にはλ1よりも短くλ2よりも長い波長領域内の少なくとも一部の波長の光を透過しλ2よりも短い波長領域の少なくとも一部の波長の光を遮光する特性を有する遮光層が設けられ、また最上部に位置する感光層はλ2よりも波長が短い波長X3に対して発色閾値波長がX3より長い状態とX3より短い状態の間を外部からの刺激により可逆的に変化することを特徴とする可逆画像表示媒体。
- 請求項5において、最上部に位置する感光層の発色閾値波長を前記X3よりも短い状態にしておいて、前記偏光フィルター層を透過する偏光面を有する波長X3の光を照射することにより前記中間部に位置する感光層のみを発色させる第一の光照射工程、前記最上部に位置する感光層の発色閾値波長が前記X3よりも長い状態にしておいて、前記紫外線偏光フィルター層を透過しない偏光面を有する波長X3より短い紫外線を照射することにより前記最上部に位置する感光層のみを発色させる第二の光照射工程、前記λ1よりも短くまたλ2よりも長い波長領域の光X4を照射することにより前記最下部に位置する感光層のみを発色させる第三の光照射工程の3つの光照射工程により、3種類のフォトクロミック化合物を個別に含んだ感光層を選択的に発色させることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1から6に使用する前記発色閾値波長が可逆的に変化する特徴を有するフォトクロミック化合物を含んだ感光層中には外部からの刺激によりフォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物が含まれていることを特徴とする可逆画像表示媒体。
- 請求項7において、前記フォトクロミック化合物と化学的相互作用を起こす化合物は電子受容性化合物または電子供与性化合物であることを特徴とする可逆画像表示媒体。
- 請求項7において、前記外部からの刺激は熱的刺激であることを特徴とする画像形成方法。
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