JP4146661B2 - 可逆画像表示媒体及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆画像表示媒体に関し、詳しくは、光照射によりカラー情報の書き込み及び消去の繰返しが可能な可逆画像表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスにおける紙の消費の増大にともない、紙に替わるメディアとして、画像の記録・消去が繰り返しできる可逆画像表示媒体に関する研究が注目されている。この中で、多色画像の書き換えが可能であるカラー可逆画像表示媒体においてもいくつかの提案がなされている。
例えば、特開平11−24027号公報では、コレステリック液晶化合物を用いる方法を提案している。コレステリック液晶化合物は、螺旋状分子配列に起因した選択反射色を示すため、この公報では加熱温度に応じて様々な色を発現させる方法を提案している。
また、特開平5−271649号公報では、光照射により可逆的な色変化を起こすフォトクロミック化合物を用いたカラー可逆画像表示媒体を提案している。この公報では、黄橙色、赤色、青紫色を発色する3種類のフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を混合して、紫外光を照射することで画像表示をする方法を提案している。
さらに、特開平7−199401号公報では、イエロー、マゼンタ、シアンを発色する3種類のフォトクロミック性フルギド化合物を用いたカラー可逆画像表示媒体を提案している。
【0003】
特開平5−271649号公報や特開平7−199401号公報で提案されている、光の吸収によって色を表示するフォトクロミック化合物を用いる方法は、特開平11−24027号公報で提案されている、光の選択反射によって色を表示するコレステリック液晶化合物を用いる方法に比べて、白反射率が高い、表示色の濃度が高いなど画像表示特性として優れた特徴を持つ。
しかしながら3種類のフォトクロミック化合物を特定波長の紫外線によって独立に発色させるとしている特開平5−271649号公報の方法は以下の問題点がある。フォトクロミック化合物の消色状態から発色状態へ変化させる紫外線領域中で最も波長の長い紫外線、言いかえるとフォトクロミック化合物の消色状態で光吸収が生じる閾値波長は、フォトクロミック化合物によって異なる。しかし、閾値波長よりも短い波長の紫外線に対してはどの波長の紫外線に対しても光照射によって発色する場合がほとんどである。したがって、特定の紫外線波長領域だけで発色することを利用する特開平5−271649号公報の方法は現実的でない。
一方、一種類の紫外光で全色発色させた後に可視光で選択的に消色する特開平7−199401号公報の方法においては上記の問題はないが、例えば紙の代替として使用する場合、オフィスで作成される文書の多くは白地に黒文字で書かれており、紙面全体に占める平均的な文字面積の割合である原稿率は10%以下であるため、全面発色させた媒体のほとんどの領域に可視光を照射して消色させる事になる。そのため画像を表示させるためのエネルギーの無駄が多い。
【0004】
上記のエネルギーの無駄を回避する方法として、紫外線による全面発色ではなく画像を表示する画素だけを紫外線で選択的に発色させ、その後画素の色濃度に応じて画素毎に消色させるための可視光をフォトクロミック化合物毎の感度波長領域の光で順次照射する方法が考えられる。しかし、この方法においても画像の背景を特定の色にしてその上に文字を表示させるような場合、媒体を全面発色させた後にほとんどの領域に背景色以外の可視光を照射して消色させる必要があるため、エネルギーの無駄が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、カラー表示ができ、かつ画像表示させるための光照射エネルギーの少ない可逆画像表示媒体及び画像形成方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、3種類のフォトクロミック化合物を含有する感光層からなる可逆画像表示媒体において、前記3種類のフォトクロミック化合物は、発色状態での極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物と、500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物と、600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物であり、前記3種類のフォトクロミック化合物は、消色状態から光吸収により発色状態に遷移する閾値波長が、それぞれ異なる値であり、発色状態での極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物が消色状態から光吸収により発色状態に遷移する閾値波長は、発色状態での極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物の、発色状態から光吸収により消色状態に遷移する光の波長領域に含まれることを特徴とする可逆画像表示媒体とする。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の可逆画像表示媒体に光を照射して画像を形成する画像形成方法において、消色状態から光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長が最も短いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ1、次に短いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ2、最も長いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ3としたとき、λ1の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程1と、λ2の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ、発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも長くλ2よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程2と、λ3の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ、発色後の濃度に応じた光量でλ2よりも長くλ3よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程3と、λ2の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ、最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程4、と、λ3の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ、最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程5とを施すことを特徴とする画像形成方法とする。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、蛍光管を含む光源を用いることを特徴とする画像形成方法とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、白色光源と光学フィルタから構成される光学要素を含む光源を用いることを特徴とする画像形成方法とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、レーザを含む光源を用いることを特徴とする画像形成方法とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、発光ダイオードを含む光源を用いることを特徴とする画像形成方法とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、工程1の前工程として、白色光を画像表示媒体の画像表示部全面に照射することによりフォトクロミック化合物を消色状態にする工程を施すことを特徴とする画像形成方法とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項2ないし7のいずれかに記載の画像表示方法を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成装置とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下より、本発明の実施の形態について図に基づき説明する。
画像表示させるための光照射エネルギーの少ないカラー可逆画像表示を行う手段として、本発明では3種類のフォトクロミック化合物を含む感光層からなる可逆画像表示媒体において、消色状態における3種類のフォトクロミック化合物の、光吸収により発色状態に遷移する閾値波長が、それぞれ異なる値を持つ事を特徴としている。
図1は本発明の可逆画像表示媒体に含まれる3種類のフォトクロミック化合物の、吸光度と閾値波長との関係を示すグラフである。
発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(1)、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(2)、発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物を化合物(3)とする。このとき、化合物(1)、(2)、(3)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長はそれぞれ異なる。化合物(1)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長λ1は、化合物(2)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長λ2よりも短く、閾値波長λ2は、化合物(3)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長λ3よりも短いとする。
【0010】
ここで、消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長とは、消色状態のフォトクロミック化合物に照射して発色状態に遷移する波長の光の内、最も波長の長い光の波長と定義する。つまり、閾値波長よりも波長の短い光をフォトクロミック化合物の消色状態に照射するとフォトクロミック化合物は発色状態に遷移し、閾値波長よりも波長の長い光をフォトクロミック化合物の消色状態に照射してもフォトクロミック化合物は発色状態に遷移しない。
光吸収により消色状態から発色状態に遷移する光の波長に対しては、フォトクロミック化合物は消色状態で光吸収を持ち、一方光吸収により発色状態から消色状態に遷移する光の波長に対しては、フォトクロミック化合物は発色状態で光吸収を持つことは言うまでもない。
【0011】
フォトクロミック化合物(1)の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程1を最初に行う。この工程によりフォトクロミック化合物(1)に対しては最終的な発色濃度が得られる。
次にフォトクロミック化合物(2)の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも長くλ2よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程2を行う。この工程により、工程1の光照射ではフォトクロミック化合物(2)の発色後の濃度が足りない画素に対しては最終的な発色後の濃度が得られる。フォトクロミック化合物(1)は工程2の光照射による消色状態から発色状態への遷移、または発色状態から消色状態への遷移は起こらないため、工程2による発色濃度の影響は受けない。
次にフォトクロミック化合物(3)の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ発色後の濃度に応じた光量でλ2よりも長くλ3よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程3を行う。この工程により工程1及び工程2の光照射ではフォトクロミック化合物(3)の発色後の濃度が足りない画素に対しては最終的な発色後の濃度が得られる。フォトクロミック化合物(1)および(2)は工程2の光照射による消色状態から発色状態への遷移、または発色状態から消色状態への遷移は起こらないため、工程3による発色濃度の影響は受けない。
【0012】
次にフォトクロミック化合物(2)の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程4を行う。この工程により全ての画素においてフォトクロミック化合物(2)の最終的な発色濃度が得られる。
最後に、フォトクロミック化合物(3)の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程5を行う。この工程により全ての画素においてフォトクロミック化合物(3)の最終的な発色濃度が得られる。
【0013】
上記の特徴を持つフォトクロミック化合物の構成、及び発色させるための工程により、エネルギーの無駄の少ない画像の形成が実現できる。
例えば薄い青を背景とした黒色文字文書の画像を形成する場合、本発明においては工程1において文字を形成する画素にのみ強い紫外線を照射し、フォトクロミック化合物(1)、(2)、(3)を同時に発色させる。次に工程2において背景となる領域に弱い紫外線を照射しフォトクロミック化合物(2)を薄いマゼンタ濃度で発色させ、最後に工程3において背景となる領域に弱い紫外線を照射しフォトクロミック化合物(3)を薄いシアン濃度で発色させ、これにより薄い青の背景画像を形成する。工程4及び5はこの画像においては省略できる。
【0014】
一方、従来技術で提案されている方法では、全面を黒色に発色させた後に青の背景部分の画像を作るために400nm以上500nm未満の波長範囲の光を照射し、フォトクロミック化合物(1)を消色する。但しこのままでは背景色が濃い青になっているため、背景色を薄い青にするために500nm以上600nm未満の波長範囲の光と600nm以上700nm未満の波長範囲の光とを適切な光強度で照射し、フォトクロミック化合物(2)及びフォトクロミック化合物(3)の発色濃度を低減させる。
仮に黒文字の原稿率が10%、消色感度と発色感度が等しいと仮定した場合、画像形成に必要なエネルギーは本発明に比べ20倍以上になる。
【0015】
また、上記のエネルギーの無駄を回避する方法として、紫外線による全面発色ではなく画像を表示する画素だけを紫外線で選択的に発色させ、その後画素の色濃度に応じて画素毎に消色させるための可視光をフォトクロミック化合物毎の感度波長領域の光で順次照射する方法もあるが、薄い青の背景を得るためにはフォトクロミック化合物(1)、(2)、(3)ともに弱く発色させ背景を薄いグレーに発色させた後に400nm以上500nm未満の波長範囲の光を照射することによりフォトクロミック化合物(1)を消色する必要がある。したがって本発明に比べ画像形成に必要なエネルギーは多くなる。
【0016】
尚、上記の説明では工程1から工程5までを順次行った場合の例をあげているが、工程1〜3は工程の順番を入れ替えても良く、また工程4と5は順番を入れ替えても良い。
以上、本発明によれば従来の方法に比べて少ない光照射エネルギーで画像を形成できることを述べたが、本発明の別の効果として、フォトクロミック化合物(3)の消色状態において光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長が、フォトクロミック化合物(1)の発色状態において光吸収により消色状態に遷移する光の波長領域に含まれていても良いことがあげられる。
【0017】
一般的に、発色状態において600nm以上700nm未満に光吸収があるフォトクロミック化合物(3)は、消色状態において光吸収を生じる閾値波長が可視領域に近接または可視領域に存在することが多い。この場合、従来の方法の様に3種類のフォトクロミック化合物を全て発色させてからそれぞれのフォトクロミック化合物を選択的に消色しようとすると、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(1)を消色する際にフォトクロミック化合物(3)を発色させてしまう事がある。
しかし本発明には、上記工程1〜5にフォトクロミック化合物(1)を消色する工程は存在しない。したがって、フォトクロミック化合物(3)の消色状態から光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長が、フォトクロミック化合物(1)の発色状態から光吸収により消色状態に遷移する光の波長領域に含まれていても、工程1によりフォトクロミック化合物(1)の発色濃度を独立に制御できる。
【0018】
本発明の可逆画像表示媒体としては、以下に記すような構成のものが挙げられる。
感光層を支持する支持基板は、反射率の高い白色表示のためには表面が白色であることが好ましい。しかしながら、用途に応じて着色していても構わない。また、支持基板は紙やフィルムなどの比較的薄い媒体が好ましいがこれに限定されない。
支持基板上の感光層には、紫外光照射により発色状態となり、可視光照射により消色状態になるフォトクロミック化合物が含まれる。フォトクロミック化合物には、発色状態が熱に安定であり光のみによって色変化を起こすP型化合物と、発色状態が熱に不安定であり光だけでなく熱によっても色変化を起こすT型化合物とがあるが、本発明ではP型化合物を用いることが特に望ましい。P型化合物の代表的なものとしてはフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物などがある。
感光層内のフォトクロミック化合物は、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂等の樹脂に分散されていてもよいし、マイクロカプセル中に封入されていてもよい。
【0019】
フルカラーの可逆画像表示媒体には、3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンを発色する化合物が重要である。
イエロー発色化合物としては、例えば、「2−[1−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(2−フェニル−5−メチル−4−オキサゾリル)ステアリリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は430nm〜460nm程度である。
また、マゼンタ発色化合物としては、例えば、「2−[1−(2,5−ジメチル−1−フェニルピラゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(3−メトキシ−5−メチル−1−フェニル−4−ピラゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[1−(2−メチル−5−スチリル−3−チエニル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は550nm〜560nm程度である。
また、シアン発色化合物としては、例えば、「2−[1−(1,2,5−トリメチル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」、「2−[2,6−ジメチル−3,5−ビス(p−ジメチルアミノスチリル)ベンジリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物」などが挙げられる。これらの化合物の発色状態での極大吸収波長は640nm程度である。
【0020】
本発明の可逆画像表示媒体を照射するための光源としては、蛍光管を用いることができる。蛍光管は照射光の照度や照射時間を調整しやすく、色濃度を変化させることが容易なので、中間階調の制御が可能である。
または、白色光源と光学フィルターからなる可視光光源を用いることができる。白色光源と光学フィルターからなる可視光光源は、光学フィルターの形成条件や交換設置等により、照射波長の調整が容易にできる。
また、レーザーや発光ダイオードを用いた場合は、光学フィルター等の光吸収部材が不必要で光の利用効率が高いため、書き込みエネルギーの低減、書き込み時間の短縮が可能となる。また小型・高出力の光源を用いた画像表示方法であるため、高解像度、高速書き込みおよび装置の小型化が可能である。
さらに、各フォトクロミック化合物を選択的に消色させるための光源とは別に全消去用の白色光光源を設けてもよい。可逆画像表示媒体の画像表示部全面に白色光を照射する工程を加えることにより、短時間での表示画像の全消去が可能となる。
【0021】
さらに、画像形成装置に上記画像形成方法を用いることで、カラー表示に加えてコントラストが高い白黒画像も表示でき、画像形成エネルギーの少ない書き換え型の画像形成装置を実現することが可能である。
【0022】
【実施例】
以下より本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
フォトクロミック化合物(1)として、1,2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチアゾール)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン[以下PC1と略す]、フォトクロミック化合物(2)として、1,2−ジシアノ−1,2−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)エテン[以下PC2と略す]、フォトクロミック化合物(3)として、1,2−ビス(6−(4−N,N−ジエチルアミノフェニルアゾ)−2−メチルベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン[以下PC3と略す]を用いた。PC1、PC2、PC3の発色状態における極大吸収波長はそれぞれ475nm、540nm、610nmであった。
上記のフォトクロミック化合物の消色状態において、ピーク波長450nm半値幅20nmの光を照射すると、PC3は発色反応を示したが、PC1、PC2はほとんど発色反応を示さなかった。また上記のフォトクロミック化合物の消色状態においてピーク波長400nm半値幅20nmの光を照射すると、PC2、PC3は発色反応を示したが、PC1はほとんど発色反応を示さなかった。また水銀灯の365nmの輝線を照射すると、全てのフォトクロミック化合物が発色反応を示した。
PC1〜PC3のフォトクロミック化合物をそれぞれポリスチレン中に10wt%分散し、PC1〜PC3の順番で白色ポリエチレンテレフタレート基板(厚さ0.5mm)上にスピンコートすることで、積層型の感光層を作製した。形成した感光層の厚みは約60μmであった。感光層の表面に保護膜としてポリビニルアルコールの薄膜(2μm)を塗布して、可逆画像表示媒体を作製した。
【0023】
(実施例2)
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、水銀灯の365nmの輝線(10mW/cm2)を10秒間照射したところ、濃黒色になった。これはPC1〜PC3まで全て発色したためと思われる。
(実施例3)
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長450nm半値幅20nmの光(1mW/cm2)を100秒間照射したところ、濃いシアン色になった。これはPC3が選択的に発色したためと思われる。
(実施例4)
実施例1で作製した可逆画像表示媒体の消色状態に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出したピーク波長400nm半値幅20nmの光(1mW/cm2)を100秒間照射したところ、濃い青色になった。これはPC2及びPC3が選択的に発色したためと思われる。
【0024】
(実施例5)
実施例2で黒色に発色させた可逆画像表示媒体に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出した主波長530nmの可視光(1mW/cm2)を500秒間照射したところ、濃い緑色になった。これはPC2が選択的に消色したためと思われる。
(実施例6)
実施例2で黒色に発色させた可逆画像表示媒体に対して、キセノンランプと干渉フィルターから抽出した主波長670nmの可視光(1mW/cm2)を500秒間照射したところ、濃い赤色になった。これはPC3が選択的に消色したためと思われる。
(実施例7)
実施例2で黒色に発色させた可逆画像表示媒体に対してキセノンランプの400nm以上の波長の光(100000ルクス)を100秒間照射したところ、全ての化合物が消色状態となった。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、3種類のフォトクロミック化合物の消色状態から光吸収により発色状態に遷移する閾値波長がそれぞれ異なる値を持つことで、必要に応じて選択的に特定の色を発色させることができ、画像形成に必要な光照射エネルギーを低減させることが可能な可逆画像表示媒体を提供することができる。
また、請求項2に記載の本発明によれば、前記3種類のフォトクロミック化合物の発色状態における極大吸収波長を規定することで、フルカラーの画像表示が可能な可逆画像表示媒体を提供できる。
さらに、請求項3に記載の本発明によれば、発色状態での極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物が消色状態から光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長が、発色状態での極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物の発色状態において光吸収により消色状態に遷移する光の波長領域に含まれていても、400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物の発色濃度を独立に制御可能な可逆画像表示媒体を提供することができる。
【0026】
さらに、請求項4に記載の本発明によれば、請求項1〜3に記載の特徴を持つフォトクロミック化合物を工程1〜5により光照射することで、画像形成に必要な光照射エネルギーを低減させた画像形成方法を提供することができる。
さらに、請求項5または6に記載の本発明によれば、照射光の照度または照射時間を変えて色濃度を変化させることができるので、中間階調の制御が容易な画像形成方法を提供することができる。
さらに、請求項7または8に記載の本発明によれば、小型・高出力の光源を用いることで、光の利用効率が高くなり、書き込みエネルギーの低減、書き込み時間の短縮、高解像度、高速書き込みおよび装置の小型化が可能な画像形成方法を提供することができる。
さらに、請求項9に記載の本発明によれば、各フォトクロミック化合物を選択的に消色させるための可視光光源とは別に全消去用の白色光光源を設け、画像表示部全面に白色光を照射する工程を加えることにより、短時間での表示画像の全消去が可能な画像形成方法を提供することができる。
さらに、請求項10に記載の本発明によれば、小型化で画像形成エネルギーの少ない書き換え型の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆画像表示媒体に含まれるフォトクロミック化合物の、吸光度と閾値波長との関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 3種類のフォトクロミック化合物を含有する感光層からなる可逆画像表示媒体において、
前記3種類のフォトクロミック化合物は、発色状態での極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物と、500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物と、600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物であり、
前記3種類のフォトクロミック化合物は、消色状態から光吸収により発色状態に遷移する閾値波長が、それぞれ異なる値であり、
発色状態での極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物が消色状態から光吸収により発色状態に遷移する閾値波長は、発色状態での極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物の、発色状態から光吸収により消色状態に遷移する光の波長領域に含まれる
ことを特徴とする可逆画像表示媒体。 - 請求項1に記載の可逆画像表示媒体に光を照射して画像を形成する画像形成方法において、
消色状態から光吸収により発色状態に遷移する光の閾値波長が最も短いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ1、次に短いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ2、最も長いフォトクロミック化合物の閾値波長をλ3としたとき、
λ1の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程1と、
λ2の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ、発色後の濃度に応じた光量でλ1よりも長くλ2よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程2と、
λ3の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が足りない画素に対してだけ、発色後の濃度に応じた光量でλ2よりも長くλ3よりも短い波長の光線を画像表示媒体の画素毎に照射する工程3と、
λ2の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ、最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程4、と、
λ3の閾値を持つフォトクロミック化合物の最終的な発色後の濃度に応じ、前記工程1及び2の光照射では発色後の濃度が超過した画素に対してだけ、最終的に必要な濃度に応じた光量で消色のための光を画像表示媒体の画素毎に照射する工程5とを施す
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、蛍光管を含む光源を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、白色光源と光学フィルタから構成される光学要素を含む光源を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、レーザを含む光源を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
フォトクロミック化合物に光を照射する手段として、発光ダイオードを含む光源を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
工程1の前工程として、白色光を画像表示媒体の画像表示部全面に照射することによりフォトクロミック化合物を消色状態にする工程を施す
ことを特徴とする画像形成方法。 - 請求項2ないし7のいずれかに記載の画像表示方法を用いて画像を形成する
ことを特徴とする画像形成装置。
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