以下、本発明に係るサーマルプリンタの具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態としてのサーマルプリンタ100を示す外観図であり、通常の使用時の状態を示すものである。このサーマルプリンタ100は、図2に示すように、本体11の後端部を回転中心として上方から後方に回動して開放される蓋体12を備えている。
この蓋体12は、図示を略したコイルバネにより図2に示す開位置に付勢されており、図示を略した本体11のフックが蓋体12に引っ掛けられることによって、蓋体12はコイルバネによる付勢力に抗して、図1に示した閉位置に保持される。
この本体11のフックは、蓋体に設けられたレバー13を図1の矢印方向(図1において上方向)に押すことにより、蓋体12から外れ、これにより蓋体12はコイルバネの付勢力で図2の開位置に変位する。
蓋体12が開位置に移動した図2に示すように、このサーマルプリンタ100の用紙収容部14(用紙収容室)には、このサーマルプリンタ100によって印刷される媒体である、ロール状に巻回された感熱紙200(用紙)が収容されている。図3は、この感熱紙200を取り除いた状態を示す図である。
用紙収容部14の幅方向の所定位置には、着脱可能の略半円板状の仕切り板16(図3において二点鎖線で表示)を配設保持する仕切り板保持溝15が形成されている。
この仕切り板保持溝15に仕切り板16を配設保持させた状態においては、用紙収容部14は、一方の側壁面14aから仕切り板16の対向面14cまでの狭い幅W2(図3参照)となって、この狭い幅W2の感熱紙200を用いることができ、一方、仕切り板保持溝15に仕切り板16を配設保持させない状態においては、用紙収容部14は、一方の側壁面14aから他方の側壁面14bまでの広い幅W1(図3参照)となって、この広い幅W1の感熱紙200を用いることができる。
すなわち、このサーマルプリンタ100の用紙収容部14は、仕切り板16の着脱に応じて、2つの種類の紙幅W1,W2の感熱紙200のうちいずれか一方の紙幅W1,W2の感熱紙200を選択的に収容可能とされている。
また、この用紙収容部14は、用紙収容部14の幅を規定する両側壁面14a,14bのうち一方の側壁面14aが、収容する(用いる)感熱紙200の紙幅の広狭に拘わらず、収容状態での感熱紙200の幅方向の基準となって、感熱紙200の一方の側端縁200a(図2参照)が、この一方の側壁面14aに略接するように、感熱紙200を一方の側壁面14a側に偏って収容するものとなっている。
これを上方から視た平面的な模式図で表すと、図3Aに示すものとなり、幅広の紙幅W1の感熱紙200を用紙収容部14に収容するときは、同図(a)に示すように、用紙収容部14の両側壁面14a,14bがそれぞれ、収容された感熱紙200の、対応する側端縁200a,200bに略接する状態となるが、幅狭の紙幅W2の感熱紙200を用紙収容部14に収容するときは、同図(b)に示すように、感熱紙200の一方の側端縁200aを用紙収容部14の一方の側壁面14aに略当接させるように感熱紙200を収容させる。このとき、感熱紙200の他方の側端縁200bと用紙収容部14の他方の側壁面14bとの間には、大きな隙間(=W1−W2)が生じて、感熱紙200の収容状態が安定しないため、一方の側壁面14aからの距離がW2となる位置に設けられた仕切り板保持溝15に仕切り板16を配設保持させることで、感熱紙200の他方の側端縁200bと仕切り板16の面14cとが略接する程度まで近づき、感熱紙200の収容状態を安定させることができる。
また、本体11には、プラテンローラユニット20とカッターユニット30とが、それぞれ本体11に対して着脱可能に設けられている。
これらプラテンローラユニット20およびカッターユニット30は、いずれも矢印方向(図3において上方(蓋体12の閉位置からの移動方向に一致する方向))に引き上げられることにより、本体11から取り外される。なお、プラテンローラユニット20の詳細な取り付け状態については後述する。
一方、蓋体12には、サーマルプリントヘッドユニット40とヘッドカバーダンパーユニット50とが、蓋体12に対して着脱可能に設けられている。
そして、蓋体12を閉位置に移動させた状態において、サーマルプリントヘッドユニット40の発熱素子列42(後述)がプラテンローラユニット20のプラテンローラ21(後述)に接し、蓋体12を閉位置から開位置方向に移動させた状態において発熱素子列42とプラテンローラ21とが離れるように構成されている。
ここで、本実施形態のサーマルプリンタ100は、その外装が樹脂によって形成されているが、その骨格部は金属のフレームで形成されており、サーマルプリントヘッドユニット40およびヘッドカバーダンパーユニット50は、蓋体12の骨格部であるカバーフレーム17に、工具無しの手作業で着脱可能に取り付けられている。
すなわち、図4に示すように、カバーフレーム17にサーマルプリントヘッドユニット40が取り付けられて、そのサーマルプリントヘッドユニット40の一部を覆うように、ヘッドカバーダンパーユニット50がカバーフレーム17に取り付けられている。
ヘッドカバーダンパーユニット50は、サーマルプリントヘッドユニット40のサーマルプリントヘッド41の一部を覆って保護するヘッドカバー部51と、感熱紙200にテンションを与えるダンパー部52とが一体的に構成されたものであり、ヘッドカバー部51両側部にそれぞれ形成された弾性腕部51a,51aの各突起51b,51bが、カバーフレーム17の所定位置にそれぞれ形成された係止孔17a,17aにそれぞれ嵌ることにより、ヘッドカバーダンパーユニット50はカバーフレーム17に取り付けられている。
ここで、両弾性腕部51a,51aをヘッドカバーダンパーユニット50の幅方向内側に向けて弾性変形されると、各係止孔17a,17aから各突起51b,51bが離脱し、これにより、ヘッドカバーダンパーユニット50はカバーフレーム17から取り外され(図5参照)、工具無しの手作業だけでの取り外しが可能となっている。
取り外されたヘッドカバーダンパーユニット50は、図6に示すように、ダンパー部52のダンパー板52aと支持板52cとの間にバネ52bが介装されていて、このバネ52bにプレロードがかけられている状態(図6(b)参照)からバネ52bが縮められた状態(図6(c))までの間の状態に応じた弾性復元力が付勢力としてダンパー板52aを図示下方に押圧している。
そして、この下方に押圧される付勢力が、ダンパー部52の下面側に接する感熱紙200(図6において図示省略)にテンションを付与している。
なお、バネ52bの中心部に設けられている円弧状の芯柱52dは、バネ52bが意図しない方向に屈曲するのを防止するガイド棒である。
一方、ヘッドカバーダンパーユニット50のヘッドカバー部51には、光を検出するフォトセンサ51cと用紙検出レバー逃がし孔51d (図5(b)参照)とが設けられている。
ここで、本体11には、蓋体12が閉じられた状態のとき、フォトセンサ51cに対向する部分に光源11aが設けられ、用紙検出レバー逃がし孔51dに対向する部分に用紙検出レバー11bが設けられている。
用紙検出レバー11bは、図3に示すように突出した状態に付勢されているが、その付勢力に抗した、上方から下方に向けた荷重が作用すると、下方に回動変位し、この回動変位の有無に応じて感熱紙200の有無を判定するものである。
すなわち、蓋体12が閉じられた状態のとき、この用紙検出レバー11bの上に感熱紙200が存在するときは、用紙検出レバー11bが、その感熱紙200によって下方に向け押圧され、この押圧による荷重が付勢力に抗して用紙検出レバー11bを下方に回動変位させ、これにより、感熱紙200が存在することを検出することができる。
一方、この用紙検出レバー11bの上に感熱紙200が存在しないときは、用紙検出レバー11bは、これに対向して形成された用紙検出レバー逃がし孔51dに突入した状態となっていて、付勢力に抗する荷重を受けないため、下方に回動変位されず、これにより、感熱紙200が存在しないことを検出することができる。
また、光源11aとフォトセンサ51cとは、両者(光源11a、フォトセンサ51c)の間を進行する用紙が、台紙の一部に印刷対象となるラベル(感熱紙)が貼り付けられたような用紙である場合に、その両者の間に位置している用紙の部分が、台紙の部分であるのか、またはラベルの部分であるのか、を識別するための機能部である。
すなわち、光源11aから出射された光の一部は用紙を透過してフォトセンサ51cに達し、フォトセンサ51cが検出した透過光の強度が予め設定された閾値(台紙を透過したときの光強度とラベルを透過したときの光強度とを峻別しうる値)以上であれば、両者の間に位置している用紙の部分は、台紙の部分であると判定し、フォトセンサ51cが検出した透過光の強度が予め設定された閾値未満であれば、両者の間に位置している用紙の部分は、ラベルの部分であると判定することができる。
したがって、台紙にラベルが貼り付けられている用紙を用いて、ラベルの部分に感熱印刷を行う場合に、これら光源11bとフォトセンサ51cとによって得られた情報に基づいて、台紙の部分ではなくラベルの部分に確実に印刷をおこなうことができる。
なお、上述したようにカバーフレーム17から取り外されるヘッドカバーダンパーユニット50は、両弾性腕部51a,51aをヘッドカバーダンパーユニット50の幅方向内側に向けて弾性変形させ、各突起51b,51bをカバーフレーム17の各係止孔17a,17aに嵌め合わせることにより、カバーフレーム17に取り付けられ(図4参照)、工具無しの手作業だけでの取り付けが可能となっている。
しかも、このヘッドカバーダンパーユニット50は、感熱紙200にテンションを付与するダンパー部52が、サーマルプリントヘッド41の一部を覆うヘッドカバー部51と一体的に構成されたものであるため、サーマルプリントヘッド41の至近の位置で感熱紙200にテンションを付与することができ、サーマルプリントヘッド41から遠く離れた位置で感熱紙200にテンションを付与するものに比べて、サーマルプリントヘッド41を通過する感熱紙200に対して、適切にテンションを付与することができる。
また、図5に示すように、サーマルプリントヘッドユニット40は、発熱素子列42よりも前方に位置する前端に、カバーフレーム17に形成された、後方に突出する3つの爪17b,17c,17dに引っ掛けられる引掛け部44が形成され、発熱素子列42よりも後方の部分のうち幅方向の略中央に、カバーフレーム17から下方(蓋体12が閉位置にあるとき)に延びた段付きピン60の下端部に形成された段付き部61に引っ掛けられるピン係合切欠き部45が形成されている。
すなわち、サーマルプリントヘッドユニット40は、図7に示すように、その引掛け部44が各爪17b,17c,17dから取り外され、そのピン係合切欠き部45が段付きピン60の段付き部61から取り外される、という工具無しの手作業だけで、カバーフレーム17から取り外される。なお、サーマルプリントヘッドユニット40の左右2箇所に設けられた端子47a,47b(同図(b))には、電気信号等を供給する電気コネクタ48a,48b(同図(a))がそれぞれ接続されているが、これら端子47a,47bと電気コネクタ48a,48bとの接続も、手作業だけで取り外すことができる。
ここで、サーマルプリントヘッドユニット40は、詳しくは図7(b)に示すように、サーマルプリントヘッド41に、支持するヘッドフレーム43が取り付けられたものであり、引掛け部44およびピン係合切欠き部45は、いずれもヘッドフレーム43に形成されている。
このヘッドフレーム43に形成されているピン係合切欠き部45は、その切欠きの幅W3が、段付きピン60のピン部62の直径よりもわずかに大きく、かつ段付きピン60の段付き部61の直径よりも小さい。したがって、段付きピン60のピン部62はピン係合切欠き部45を通過するが、段付き部61は通過しないため、ピン係合切欠き部45の周囲の部分が段付き部61に乗り上げた状態で引っ掛けられる。
また、爪17b,17c,17dに引っ掛けられる引掛け部44も、これらの爪17b,17c,17d乗り上げた状態で引っ掛けられており、ヘッドフレーム43とカバーフレーム17との間には、引掛け部44を爪17b,17c,17dに押し付け、ピン係合切欠き部45の周囲の部分を段付き部61に押し付ける方向に付勢力を作用させる4つのバネ19a,19b,19c,19d(付勢部材)が介装されている。
これら4つのバネ19a,19b,19c,19dは、カバーフレーム17にサーマルプリントヘッドユニット40が取り付けられている状態において、発熱素子列42の背部に位置するように配設されていて、蓋体12が閉じた状態においては、サーマルプリントヘッド41の発熱素子列42を、後述するプラテンローラ21に押し付けるように、サーマルプリントヘッド41を付勢している。
しかも、これら4つのバネ19a,19b,19c,19dは、感熱紙200の幅方向に沿って等間隔L1に配置されている。そして、この間隔L1は、前述した紙幅の異なる感熱紙200を用いた場合にも、発熱素子列42が幅方向に沿って略均一な密着力を実現するような間隔として設定されている。
すなわち、本実施形態のサーマルプリンタ100に設けられているバネ19a,19b,19c,19dの数(4個)は、このサーマルプリンタ100で使用可能とされている2種類の紙幅W1,W2のうち最大の紙幅W1を、これら2種類の紙幅W1,W2間での略最大公約数Mで除して得られた値Nの数に一致する数量として設定されたものであり、これら4つのバネ19a,19b,19c,19d間の間隔L1は、上述した略最大公約数Mに等しく設定されている。
例えば、紙幅W1,W2が、販売時点情報管理(POSシステム(Point of sale system))に用いられるサーマルプリンタにおいて一般的に使用される用紙に対応して、それぞれ約80[mm](=3[インチ])、約60[mm](=2[インチ])であるとき、両紙幅W1,W2間での略最大公約数Mの値は約20[mm](=1[インチ])となる。
そして、2つの紙幅W1(=約80[mm]),W2(=約60[mm])のうち最大の紙幅W1を、これら2種類の紙幅W1,W2間での略最大公約数M(=約20[mm])で除して得られた値N(=4)に一致する数量である4個のバネ19a,19b,19c,19dが設けられている。
そして、この最大公約数M(=約20[mm])に一致する値が、間隔L1(=約20[mm])として設定されている。
しかも、これら4個のバネ19a,19b,19c,19dのうち、使用可能とされた2種類の紙幅W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅の範囲の外側に配置されるバネについては、カバーフレーム17から着脱が可能となるように構成されている。
すなわち、4個のバネ19a,19b,19c,19dのうち図7において最も図示右側に設けられているバネ19dは、カバーフレーム17から手作業で容易に着脱可能にカバーフレーム17に取り付けられていて、図7A(a)に示すように、2種類の紙幅W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅が幅広の場合(紙幅W1)は、感熱紙200の紙幅W1の範囲の外側に位置するバネに該当するものはないため、4個全てのバネ19a,19b,19c,19dが取り付けられた状態で使用される。
一方、図7A(b)に示すように、2種類の紙幅W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅が幅狭の場合(紙幅W2)は、感熱紙200の紙幅W2の範囲の外側に位置するバネとしてバネ19dが該当し、このバネ19dはカバーフレーム17から取り外されて、3個のバネ19a,19b,19cが取り付けられた状態で使用される。
この結果、幅広の紙幅W1の感熱紙200を用いるときは(図7A(a))、4つのバネ19a,19b,19c,19dにより、サーマルプリントヘッド41が紙幅W1の幅方向に沿って略均等に感熱紙200に押圧され、これにより幅方向に沿って略均一な品位の印刷を実現することができる。
一方、幅狭の紙幅W2の感熱紙200を用いるときは(図7A(b))、4つのバネ19a,19b,19c,19dのうち紙幅W2の範囲の外側のバネ19dが存在しないため、そのバネ19dによる付勢力がサーマルプリントヘッド41に作用せずに、紙幅W2の範囲内に位置する3つのバネ19a,19b,19cによってのみ、サーマルプリントヘッド41が感熱紙200に押圧され、このことは、幅狭の感熱紙200に対しては、幅方向に沿って略均一な押圧力となるため、この場合も、幅方向に沿って略均一な品位の印刷を実現することができる。
したがって、本実施形態のサーマルプリンタ100によれば、紙幅の差異に拘わらず、感熱紙200の幅方向に沿って略均一な押圧力を用紙に作用させて、略均一な品位の印刷を実現することができる。
しかも、使用される感熱紙200の紙幅の範囲内に配置されているバネ19a,19b,19cに対しては何ら操作を行うことなく、使用される感熱紙200の紙幅の範囲の外側に配置されているバネ19dだけを手作業で着脱するだけの簡単な操作で、サーマルプリントヘッド41を押圧する付勢力を調整することができるため、調整作業を容易化することができる。
なお、本実施形態のサーマルプリンタ100は、付勢部材であるバネ19dを着脱することにより、そのバネ19dによる付勢力の作用有無を切り替える構成であるが、例えば、このバネ19dによる付勢力がサーマルプリントヘッド41に作用しなくなるように、このバネ19dを覆う覆い部材を設けて、この覆い部材でバネ19dを覆った状態と覆い部材を取り外して覆わない状態とを切り替えることで、バネ19dによるサーマルプリントヘッド41に対する付勢力の作用有無を切り替える構成を採用してもよい。
この場合、覆い部材自体は、カバーフレーム17等に着脱自在であってもよいし、カバーフレーム17等と一体的に設けられていてもよい。
また、上述のサーマルプリンタ100は、2[インチ]と3[インチ]との2種類の紙幅にのみに対応したものであるが、本発明のサーマルプリンタは、この形態に限定されるものではなく、例えば、2[インチ]、3[インチ]、4[インチ](約100[mm])という3種類の紙幅の感熱紙200に対応したものであってもよいし、3[インチ]と4[インチ]という2種類の紙幅の感熱紙200に対応したものであってもよいし、その他の複数種類の紙幅の感熱紙200に対応したものであってもよい。
なお、一例として、2[インチ]、3[インチ]、4[インチ]という3種類の紙幅の感熱紙200に対応したものの場合は、図7Bに示すように、3つの紙幅W0(=約100[mm]),W1(=約80[mm]),W2(=約60[mm])のうち最大の紙幅W0を、これら3種類の紙幅W0,W1,W2間での略最大公約数M(=約20[mm])で除して得られた値N(=5)に一致する数量である5個のバネ19a,19b,19c,19d,19eを設け、この最大公約数M(=約20[mm])に一致する値L1(=約20[mm])の等間隔で、これら5個のバネ19a,19b,19c,19d,19eを配置する。
そして、これら5個のバネ19a,19b,19c,19d,19eのうち、使用可能とされた3種類の紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅の範囲の外側に配置されるバネについては、カバーフレーム17から着脱可能となるように構成される。
すなわち、5個のバネ19a,19b,19c,19d,19eのうちバネ19d,19eは、カバーフレーム17から手作業で容易に着脱可能にカバーフレーム17に取り付けられていて、図7B(a)に示すように、3種類の紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅が最大の場合(紙幅W0)は、感熱紙200の紙幅W0の範囲の外側に位置するバネに該当するものはないため、5個全てのバネ19a,19b,19c,19d,19eが取り付けられた状態で使用される。
一方、図7B(b)に示すように、3種類の紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅が2番目に広い場合(紙幅W1)は、感熱紙200の紙幅W1の範囲の外側に位置するバネとしてバネ19eが該当し、このバネ19eはカバーフレーム17から取り外されて、4個のバネ19a,19b,19c,19dが取り付けられた状態で使用される。
さらに、図7B(c)に示すように、3種類の紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のうち実際に使用される感熱紙200の紙幅が幅狭の場合(紙幅W2)は、感熱紙200の紙幅W2の範囲の外側に位置するバネとしてバネ19d,19eが該当し、これらのバネ19d,19eはカバーフレーム17から取り外されて、3個のバネ19a,19b,19cが取り付けられた状態で使用される。
この結果、最も幅広の紙幅W0の感熱紙200を用いるときは(図7B(a))、5つのバネ19a,19b,19c,19d,19eにより、サーマルプリントヘッド41が紙幅W0の幅方向に沿って略均等に感熱紙200に押圧され、これにより幅方向に沿って略均一な品位の印刷を実現することができる。
次に、幅広の紙幅W1の感熱紙200を用いるときは(図7B(b))、5つのバネ19a,19b,19c,19d,19eのうち紙幅W1の範囲の外側のバネ19eが存在しないため、そのバネ19eによる付勢力がサーマルプリントヘッド41に作用せずに、紙幅W1の範囲内に位置する4つのバネ19a,19b,19c,19dによってのみ、サーマルプリントヘッド41が感熱紙200に押圧され、このことは、幅広の感熱紙200に対しては、幅方向に沿って略均一な押圧力となるため、この場合も、幅方向に沿って略均一な品位の印刷を実現することができる。
さらに、幅狭の紙幅W2の感熱紙200を用いるときは(図7B(c))、5つのバネ19a,19b,19c,19d,19eのうち紙幅W2の範囲の外側のバネ19d,19eが存在しないため、そのバネ19d,19eによる付勢力がサーマルプリントヘッド41に作用せずに、紙幅W2の範囲内に位置する3つのバネ19a,19b,19cによってのみ、サーマルプリントヘッド41が感熱紙200に押圧され、このことは、幅狭の感熱紙200に対しては、幅方向に沿って略均一な押圧力となるため、この場合も、幅方向に沿って略均一な品位の印刷を実現することができる。
したがって、このような形態のサーマルプリンタ100によっても、紙幅の差異に拘わらず、感熱紙200の幅方向に沿って略均一な押圧力を用紙に作用させて、略均一な品位の印刷を実現することができる。
なお、本実施形態のサーマルプリンタ100における4つのバネ19a,19b,19c,19d(追加説明した図7Bに示した5つのバネを有する形態のものでは、5つのバネ19a,19b,19c,19d,19e)のうち幅方向の最も外側に配置された2つのバネ19a,19d(図7Bの形態では、バネ19a,19e)が、対応可能の紙幅のうち最大幅W1(図7Bの形態では、紙幅W0)から、最大公約数Mの半分(=M/2)の長さだけ幅方向の内側の位置に配置されている。
このように構成されていることにより、幅方向の最外側の2つのバネ19a,19d(図7Bの形態では、バネ19a,19e)は、それぞれ、感熱紙200の両側端縁200a,200bから等距離(=L1/2)の部分に相当するサーマルプリントヘッド41の背面側に配置されるため、感熱紙200の両側端縁200a,200bにおける押圧力(付勢力)も略均等に設定することができる。
また、図7に示した実施形態のサーマルプリンタ100のように、3種類の紙幅に対応可能なものでは、用紙収容部14の一方の側壁面14aを全ての紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のセットの基準とする(感熱紙200の一方の側端縁200aを用紙収容部14の一方の側壁面14aに略接するようにして収容させる)とすることに限定するものではない。
すなわち、例えば、紙幅W0,W1の感熱紙200に対しては用紙収容部14の一方の側壁面14aを全ての紙幅W0,W1,W2の感熱紙200のセットの基準としつつ、紙幅W0の感熱紙200は、他方の側端縁200bも用紙収容部14の他方の側壁面14bに略接するものとし、紙幅W1の感熱紙200に対しては、他方の側端縁200bの側に仕切り板(図3における形態での仕切り板16に相当)を配置して、他方の側端縁200bがこの仕切り板の面(図3における形態での仕切り板16の面14cに相当)に略接するものとし、紙幅W2の感熱紙200に対しては、この仕切り板の面をセットの基準とし(感熱紙200の他方の側端縁200bを仕切り板の面に略接するようにして収容させ)つつ、一方の側端縁200aの側にもう一つ仕切り板を配置して、一方の側端縁200aがこの追加の仕切り板の面に略接するように配置する。
そして、幅狭の紙幅W2の感熱紙200を用いるときは、5つのバネ19a,19b,19c,19d,19eのうち紙幅W2の範囲の外側のバネとしては、バネ19a,19eが該当し、これら2つのバネ19a,19eを着脱可能として、取り外した状態で用いることで、上述した実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
ヘッドフレーム43の両側面であって発熱素子列42の略延長線上には、後述するプラテンローラユニット20と係合する位置決め部としての突起46,46がそれぞれ形成されている。
次に、カバーフレーム17へのサーマルプリントヘッドユニット40の着脱の構造について図8を用いて説明する。
図7(b)に示したサーマルプリントヘッドユニット40を同図(b)に示したカバーフレーム17に取り付ける構造は、図8(a),(b)に示すように、ピン係合切欠き部45を段付きピン60のピン部62に通して、ピン係合切欠き部45の周囲の部分を段付き部61に引っ掛け、この状態から同図(b),(c)に示すように、ヘッドフレーム43の背面(発熱素子列42の背部)に接するバネ19a,19b,19c,19dを押し縮めつつ、引掛け部44を爪17b,17c,17dの背面側まで移動させ、その後、同図(d)に示すように、サーマルプリントヘッドユニット40の全体を爪17b,17c,17dの付け根側まで移動させて、引掛け部44を爪17b,17c,17dに引っ掛ける。
これにより、サーマルプリントヘッドユニット40は、引掛け部44を爪17b,17c,17dに引っ掛けられ、ピン係合切欠き部45が段付きピン60の段付き部61に引っ掛けられて、カバーフレーム17に取り付けられる。
一方、カバーフレーム17からサーマルプリントヘッドユニット40を取り外す場合は、上記取り付けの手順と反対の手順を行えばよい。
このように、本実施形態のサーマルプリンタ100は、サーマルプリントヘッドユニット40を、工具無しの手作業でカバーフレーム17に着脱することができる。
また、カバーフレーム17に取り付けられているサーマルプリントヘッドユニット40は、バネ19a,19b,19c,19dにより、図8において図示左方向(蓋体12が閉位置にあるとき、プラテンローラ21に近づく方向)に付勢されているが、発熱素子列42よりも上方の部分(前端の部分)も下方の部分(後端の部分)も、図示右方向(蓋体12が閉位置にあるとき、プラテンローラ21から離れる方向)には移動可能であるため、蓋体12が閉位置にあって通常の使用状態にあるとき、サーマルプリントヘッドユニット40は感熱紙200の進行方向に沿って上下に傾き可能である。
なお、ピン係合切欠き部45は、 ヘッドフレーム43の後端縁から前方に向けて、爪17b,17c,17dと引掛け部44との前後方向(図8においては上下方向)に沿った引掛かり代よりも長く切り欠かれているため、サーマルプリントヘッドユニット40をカバーフレーム17に取り付ける際は、まず、ピン係合切欠き部45を段付きピン60の段付き部61に乗り上げさせて引っ掛け、ピン係合切欠き部45に段付きピン60を通した(引っ掛けた)ままの状態で、段付きピン60がピン係合切欠き部45の切り欠かれた根本に位置するようにサーマルプリントヘッドユニット40を後方(図8において下方)に移動させ、その後にサーマルプリントヘッドユニット40の前端(図8において上端)を、カバーフレーム17の爪17b,17c,17dの背面側(図8において右側)に移動させ、サーマルプリントヘッドユニット40を、爪17b,17c,17dとの引掛かり代分だけ前方(図8において上方)に移動させることで、サーマルプリントヘッドユニット40を、前端で爪17b,17c,17dに引っ掛け、後部を段付きピン60に引っ掛けた状態で、サーマルプリントヘッドユニット40を、工具を用いない手作業だけで簡単にカバーフレーム17に取り付けることができる。
また、上記操作と反対の操作により、サーマルプリントヘッドユニット40を、工具を用いない手作業だけで簡単にカバーフレーム17から取り外すことができる。
さらに、このサーマルプリントヘッドユニット40は、図9(a),(b)に示すように、その後方の部分が幅方向の略中央1箇所(ピン係合切欠き部45)のみで引っ掛けられて支持されているため、この支持されている部分(段付き部に乗り上げている幅方向の略中央部)を中心として、同図(c),(d)に示すように、サーマルプリントヘッドユニット40の幅方向に関して上下に揺動する自由度を有している。
したがって、サーマルプリントヘッドユニット40の発熱素子列42が接触するプラテンローラ21が幅方向において、その摩耗程度に差が生じる等して例えば円錐台状に摩耗しても、サーマルプリントヘッドユニット40が幅方向に関して傾くことで、その幅方向の不均一な摩耗による差を吸収し、発熱素子列42とプラテンローラ21との幅方向における接触を略均一なものとすることができる。
図10は、蓋体12が閉位置にある状態で、蓋体12の外装カバーをカバーフレーム17から除去した状態を示す図である。
このカバーフレーム17には、サーマルプリントヘッドユニット40のピン係合切欠き部45が引っ掛けられている段付きピン60を、その軸方向に変位させて段付き部61の位置を上下に変位させる段付きピン調整部70が設けられている。
この段付きピン調整部70は、図11に示すように、概略五角形の形状を呈し、ピン72により軸支された一頂部回りに回動可能に設けられた可動板71(可動調整部材)であって、この可動板71には、その回動方向に沿って延びた、段付きピン60が通過する長孔73が形成されており、段付きピン60が通過した状態で長孔73の延びた方向に沿って変位可能とされている。
そして、この長孔73の縁部には、長孔73の中央から一方の可動範囲の部分(図11(a)において右側の範囲)において、可動板71の厚さよりも厚い縁取り73aが形成され、長孔73の中央を含む他方の可動範囲の部分(図11(a)において左側の範囲)において、可動板71の厚さのままとされており、この厚さの違いによるカムを構成している。
なお、説明の便宜のために、長孔73の縁部のうち可動板71の厚さのままとされている部分を薄い縁取り73bと称するものとする。
また、可動板71の長孔73の近傍には、裏面(カバーフレーム17に向いた面)に突起75が形成された舌片が形成されており、長孔73を段付きピン60が通った状態で可動板71を可動範囲(回動範囲)で変位させたとき、可動範囲の両端において、カバーフレーム17に形成された凹部17f,17gに突起75が嵌り、これにより可動板71を回動させる操作を行ったときの、両端に達した感触(操作の節度感)を与えるとともに、突起75がいずれかの凹部17f,17gに嵌った状態から、可動板71が不用意に動くのを防止している。
さらに、図7および図11(a)の裏面からの図である同図(b)に示すように、カバーフレーム17の可動板71の外周部分に相当する部分には、この可動板71の外周部分の裏面をカバーフレーム17の内側に露出させる、可動板71の回動範囲に沿って延びた操作窓17eが開口されていて、この操作窓17eから露出した可動板71の外周部分の裏面には、この操作窓17eを介して露出した可動板71をピン72回りに回動させる操作の際に指が掛けられる操作突起74が形成されている。
一方、段付きピン60の、長孔73から突出した上端部には、段付きピン60の外径よりも大きな径の、長孔73の縁取り73a,73b(縁部)すなわちカムに乗り上がる平ワッシャ63(大径部)が設けられていて、可動板71が回動して平ワッシャ63が薄い縁取り73bに乗り上げたときは変化がないのに対して、平ワッシャ63が厚い縁取り73aに乗り上げたときは、その厚い縁取り73aと薄い縁取り73bとの厚さの差分だけ、平ワッシャ63が図12(a)の紙面手前側に引き上げられ、これにより、平ワッシャ63が連結された段付きピン60も紙面手前側すなわち段付きピン60の軸方向に沿って変位する。
この作用を図12,13を参照して説明すると、まず、図12(b)に示すように、操作窓17eからカバーフレーム17の内側に露出した操作突起74に指を掛けて、操作突起74を操作窓17eの図示右端側に変位させると、同図(a)に示すように、可動板71はピン72を中心にして図示左側に回動し、このとき、長孔73を貫通している段付きピン60の平ワッシャ63は、長孔73の厚い縁取り73aに乗り上げる。
同時に、カバーフレーム17に形成された凹部17fに突起75が嵌り、これにより可動板71を回動させる操作を行ったときの操作の節度感が与えられるとともに、可動板71が、その位置から不用意に変位するのを抑制する。
このとき、厚い縁取り73aと薄い縁取り73bとの厚さの差分だけ、平ワッシャ63が図12(c)(蓋体12が閉位置にある状態を示す図)の上方向に移動され、これにより、平ワッシャ63が連結された段付きピン60も上方向に移動される。
すると、段付きピン60の下端部(図12(c)において下端部)に形成された段付き部61も上方向に移動し、これにより、段付き部61に引っ掛けられているサーマルプリントヘッドユニット40のピン係合切欠き部45が上方向に移動し、サーマルプリントヘッドユニット40は、ピン係合切欠き部45が上方向に移動した分だけ、その姿勢が図示の反時計回り方向に傾斜する。
一方、図13(b)に示すように、操作窓17eからカバーフレーム17の内側に露出した操作突起74に指を掛けて、操作突起74を操作窓17eの図示左端側に変位させると、同図(a)に示すように、可動板71はピン72を中心にして図示右側に回動し、このとき、長孔73を貫通している段付きピン60の平ワッシャ63は、長孔73の薄い縁取り73bに乗り上げる。
同時に、カバーフレーム17に形成された凹部17gに突起75が嵌り、これにより可動板71を回動させる操作を行ったときの操作の節度感が与えられるとともに、可動板71が、その位置から不用意に変位するのを抑制する。
このとき、厚い縁取り73aと薄い縁取り73bとの厚さの差分だけ、平ワッシャ63が図13(c)(蓋体12が閉位置にある状態を示す図)の下方向に移動され(図12(c)を基準としたとき)、これにより、平ワッシャ63が連結された段付きピン60も下方向に移動される。
すると、段付きピン60の下端部(図13(c)において下端部)に形成された段付き部61も下方向に移動し、これにより、段付き部61に引っ掛けられているサーマルプリントヘッドユニット40のピン係合切欠き部45が下方向に移動し、サーマルプリントヘッドユニット40は、ピン係合切欠き部45が下方向に移動した分だけ、その姿勢が図示の時計回り方向に傾斜する。
この後のサーマルプリントヘッドユニット40の姿勢の変化については、次に説明するプラテンローラユニット20と連携したものとなるため、プラテンローラユニット20の説明の後に詳述する。
プラテンローラユニット20は、図3に示したように本体11に配設されているが、図14に示す本体11の骨格部である本体フレーム18に取り付けられている。
そして、本体フレーム18から取り外された状態のプラテンローラユニット20は、図15に示すように、プラテンローラ21と、プラテンローラ21の両端から突出した回転軸21aをそれぞれ回転自在に支持する支持部材22,23と、プラテンローラ21の両端から突出した回転軸21aと支持部材22,23に取り付けられ、このプラテンローラ21の、感熱紙200の送り方向上流側および下流側に、回転軸と平行に延びた用紙分離枠24とを備えた構成である。
用紙分離枠24は、プラテンローラ21とサーマルプリントヘッド41との間を上流側から送られた感熱紙200が、プラテンローラ21の周面に巻き付いたまま予期しない方向に送られないように、感熱紙200をプラテンローラ21から引き剥がして下流側に送るガイドの機能を果たす。
2つの支持部材22,23は互いに同じものであり、それぞれ樹脂部材22a,23aと金属板22h,23hとから構成されている。
ここで、各支持部材22,23の樹脂部材22a,23aには、図16に示すように、プラテンローラ21よりも上方の部分に、本体フレーム18に組み付けられている状態(図3参照)からプラテンローラユニット20の全体を上方(蓋体12の閉位置からの移動方向に一致する方向)に引き上げて本体11からプラテンローラユニット20を取り外す際の手がかりとなる指掛け部22b,23bが形成されている。
また、樹脂部材22a,23aは、その指掛け部22b,23bの下方がプラテンローラ21の幅方向について二股に分岐して形成されている。
そして、図16(b)に示すように、これら二股に分岐して形成された2つの脚部23c(22c),23d(22d)のうち幅方向の内側に位置する脚部23d(22d)は、幅方向の外側に位置する脚部23c(22c)よりも長く形成されているとともに、さらに図16(a)に示すように、二股に分岐して2つの脚23e(22e),23f(22f)を形成している。
プラテンローラ21の回転軸21aは、プラテンローラ21の両端から突出して、その突出した部分は、それぞれ幅方向の外内2つの脚部23c(22c),23d(22d)を貫通しており、その回転軸21aの、両脚部23c(22c),23d(22d)の間の空間を通過する範囲の部分には、プラテンローラ21の回転軸21aを回転自在に支持する軸受26(25)が配設されている。
一方、本体フレーム18の幅方向の両側壁には、図14,16(a)に示すように、切欠き幅D1の切欠き18b(18a)(ローラ係合切欠き)が形成されており、この切欠き幅D1は、軸受26(25)の直径(外径)D2(図17(b)参照)と同じか、またはわずかに大きい(D2≦D1)。
また、両脚部23c(22c),23d(22d)の間の幅は、本体フレーム18の厚さよりもわずかに広く、しかも、一方の脚部23c,23dの間の空間から他方の脚部22c,22dの間の長さM2(図17(a)参照)は、図14に示した本体フレーム18の幅方向の両側壁間の距離M1と略等しく、これにより、プラテンローラユニット20は、一方の脚部23c,23d間の空間に本体フレーム18の幅方向の一方の側壁が、他方の脚部22c,22d間の空間に本体フレーム18の幅方向の他方の側壁が、それぞれ挿通されて、プラテンローラユニット20は本体フレーム18に取り付けられている。
このとき、脚部23c,23d間の空間を通過する回転軸21aの軸受26が、本体フレーム18の側壁の切欠き18bに係合し、脚部22c,22d間の空間を通過する回転軸21aの軸受25が、本体フレーム18の側壁の切欠き18aに係合することで、本体フレーム18に対するプラテンローラユニット20の前後方向の位置および上下方向の位置が固定される。
また、幅方向内側に位置する脚部23d(22d)の、二股に分岐した2つの脚23e(22e),23f(22f)は、図16(a)に示すように、その間に、最下部において幅d3の隙間を有し、最下部よりも上方の部分において幅d3よりも広い幅d4(d3<d4)の隙間を有している。
さらに、支持部材22,23の各金属板22h,23hは、図16(b)に示すように、内側の脚部23d(22d)の、幅方向内側の面に密着して設けられていて、この各金属板22h,23hは、回転軸21aが貫通した部分よりも下方の部分において、脚部23d(22d)と同様に二股に分岐されており、この二股の間の隙間の幅d2は、幅d3より大きく、かつ幅d4より小さい(d3<d2<d4)。
なお、金属板23h(22h)の二股間の隙間の中心と脚23e(22e),23f(22f)間の隙間の中心とは一致し、これらの中心の上方への延長線上に、回転軸21a(あるいは軸受26(25))の中心が位置するように構成されている。
一方、本体フレーム18の両側壁の、各切欠き18a,18bの下方であって、各切欠き18a,18bの下縁から、プラテンローラユニット20の軸受25,26の下面から脚23e(22e),23f(22f)間の隙間が幅d4となる位置までの距離に相当する部分には、これら本体フレームの各側壁から幅方向内側に向けて突出した、直径d1のボス18c,18dが形成されている。
そして、これらボス18c,18dの直径d1は、支持部材22,23の金属板22h,23hの二股の間の幅d2と同じか、わずかに小さく設定されており、また、これらボス18c,18dの中心の鉛直線上に切欠き18a,18bの中心が位置するように形成されている。
このように構成されている支持部材22,23と本体フレーム18とによると、プラテンローラユニット20の軸受26が本体フレーム18の側壁の切欠き18bに係合するように、かつ、軸受25が本体フレーム18の側壁の切欠き18aに係合するように、プラテンローラユニット20を本体フレーム18に対して鉛直下方に移動させて、プラテンローラユニット20が本体フレーム18に取り付けられるが、この下方への移動の際に、図18に示すように、支持部材23(22)の両脚23e(22e),23f(22f)の間の隙間にボス18d(18c)が割り込む。
ここで、ボス18d(18c)の直径d1は、支持部材23(22)の両脚23e(22e),23f(22f)間の最下部における隙間の幅d2より大きいため、この隙間へのボス18d(18c)の進入が進むにしたがって、両脚23e(22e),23f(22f)は、これら両脚23e(22e),23f(22f)間の隙間が拡げられるように、それぞれ外側に弾性変形する。これは、脚23e(22e),23f(22f)が弾性変形しやすい樹脂製であることによるが、本発明においては樹脂製に限定されるものではなく、厚さの薄い金属製であってもよい。
一方、支持部材23(22)のうち金属板23h(22h)が二股に分岐した間の隙間の幅d2は、ボス18d(18c)の直径d1と等しいか、わずかに大きいため、ボス18d(18c)は金属板23h(22h)間の隙間を拡げることなく、この隙間に案内されるように進行する。
プラテンローラユニット20がさらに下方に移動されると、図19に示すように、プラテンローラユニット20の軸受26が本体フレーム18の側壁の切欠き18bに嵌合し、かつ、軸受25が本体フレーム18の側壁の切欠き18aに係合して、下方への移動は停止する。
このとき、本体フレーム18の側壁の切欠き18bはプラテンローラユニット20の軸受26の外径と等しいか、またはわずかに大きいだけであり、また、本体フレーム18の側壁の切欠き18aはプラテンローラユニット20の軸受25の外径と等しいか、またはわずかに大きいだけであるため、本体フレーム18に取り付けられた状態での本体フレーム18に対するプラテンローラ21のがたつきを抑制することができる。
さらに、支持部材23(22)の両脚23e(22e),23f(22f)の間の隙間を進んだボス18d(18c)は、両脚23e(22e),23f(22f)間の隙間のうち、幅d2(≒d1)の金属板23h(22h)間の隙間よりも広い幅d4に形成された部分に到達する。
そして、この幅d4の隙間部分は、ボス18d(18c)の直径d1よりも大きいため、両脚23e(22e),23f(22f)が外側に拡げられた弾性変形は解消する。この結果、ボス18d(18c)の下方は、ボス18d(18c)の直径d1よりも狭い幅d2の隙間(両脚23e(22e),23f(22f)間の隙間)で閉じられた状態となり、プラテンローラユニット20を上方に移動させる際には、ボス18d(18c)によって、この狭い幅d2の隙間を押し拡げる必要があり、この押し拡げるのに必要な荷重が、プラテンローラユニット20を上方に移動させるのに対向する抵抗力となり、プラテンローラユニット20が本体フレーム18から不用意に脱落するのを防止する。
しかも、プラテンローラユニット20が本体フレーム18に取り付けられている状態(軸受25,26がそれぞれ本体フレーム18の切欠き18a,18に係合している状態)で、支持部材22,23が軸受25,26を中心にして回動するのを防止することもできる。
もちろん、使用者が、プラテンローラユニット20の指掛け部22b,23bに指を掛けて、この抵抗力に逆らって上方に引き上げることにより、プラテンローラユニット20を本体フレーム18から取り外すことは可能であり、このプラテンローラユニット20着脱操作にも、工具を必要とせずに、手作業だけで行うことができる。
なお、ボス18d(18c)が配置される金属板23h(22h)間の隙間(ボス係合切欠き部)は、剛性の高い金属部材である金属板23h(22h)によってその両縁部が規定されて形成されているため、この隙間とボス18d(18c)の外径との間の隙間を精度良く管理することができ、一方、ボス18d(18c)を挟持する両脚23e(22e),23f(22f)(脚部)については弾性力を有する樹脂部材23aによって形成されていることにより、ボス18d(18c)を挟持した状態と弾性力に抗しての挟持状態からの離脱とを容易に切り替えることができる。
また、このプラテンローラユニット20には、上述した本体フレーム18との係合を実現する構造の他、蓋体12に取り付けられたサーマルプリントヘッドユニット40との位置関係を規定する位置決め部も形成されている。
すなわち、図15に示すように、プラテンローラユニット20の支持部材22の金属板22hの上部に位置決め切欠き22i(位置決め部)が形成されている。他方の金属板23hにも、金属板22hと同様の位置決め切欠き23i(位置決め部)が、その上部に形成されている。
これらの位置決め切欠き22i,23iは、蓋体12を閉位置に移動させた状態(図1、図10参照)において、図4および図7(b)に示すサーマルプリントヘッドユニット40のヘッドフレーム43の両側面に形成された突起46,46とそれぞれ係合して、サーマルプリントヘッドユニット40の発熱素子列42とプラテンローラ21との相対的な動きを規制している。
ここで、各金属板22h,23hに形成された位置決め切欠き22i,23iは、図20の要部透視図に示すように、回転軸21aの中心と金属板22h,23hの二股に分岐した間の隙間の中心とを結んだ直線上に、その中心が位置するように形成されている。
したがって、蓋体12が閉位置にあるとき、本体フレーム18の一方の側壁側では、サーマルプリントヘッドユニット40の突起46と回転軸21aの中心と本体フレーム18のボス18cとが一直線上に並び(図20)、本体フレーム18の他方の側壁側では、サーマルプリントヘッドユニット40の突起46と回転軸21aの中心と本体フレーム18のボス18dとが一直線上に並ぶ。
プラテンローラユニット20は、蓋体12の閉位置から移動方向に一致する方向(図示上方)に沿って引き上げることで、本体11から取り外すことができるが、蓋体12が閉位置にあるとき、プラテンローラユニット20の位置決め切欠き22i,23iには、蓋体12に取り付けられたサーマルプリントヘッドユニット40の突起46,46が上方から下方に向けて係合しているため、蓋体12が閉じている状態では、プラテンローラユニット20が誤って外れることがなく、プラテンローラユニット20を本体11に強固に固定しておくことができる。
ここで、サーマルプリントヘッドユニット40は、図12,13に示したように、段付きピン調整部70の可動板71を操作して段付きピン60の段付き部61の位置を変化させることにより、サーマルプリントヘッド41の傾き(前後方向(感熱紙200の送り方向)に対する姿勢)を変更することができる。
ただし、図12,13における説明では、サーマルプリントヘッドユニット40の動きは、カバーフレーム17による拘束(爪17b,17c,17dと段付きピン60とバネ19a,19b,19c,19dとによる拘束)条件下での動きであったが、蓋体12が閉位置にある状態においては、サーマルプリントヘッドユニット40の突起46,46がプラテンローラユニット20の位置決め切欠き22i,23iに係合して拘束されるとともに、発熱素子列42とプラテンローラ21とが接触することで、サーマルプリントヘッドユニット40の発熱素子列42がバネ19a,19b,19c,19dの付勢力に抗して上方(バネ19a,19b,19c,19dを縮める方向)に変位する。
このときのサーマルプリントヘッドユニット40の変位の中心は、段付き部61に乗り上がっているピン係合切欠き部45の周囲の部分であるが、さらに、サーマルプリントヘッドユニット40の突起46,46とプラテンローラユニット20の位置決め切欠き22i,23iとの係合により、サーマルプリントヘッドユニット40は、この突起46,46回りの回転と位置決め切欠き22i,23iの延びた上方への動きに規制された動きとなる。
したがって、サーマルプリントヘッドユニット40全体としては、後部の上下方向の位置(ピン係合切欠き部45の周囲の部分の位置)が段付きピン調整部70による段付き部61の位置により規定されつつ、突起46,46回りでの回転変位として規定された姿勢(傾き)となる。
図21は、プラテンローラ21とサーマルプリントヘッドユニット40と爪17b,17c,17dと段付きピン60と段付きピン調整部70との関係を示す要部透視図であり、同図(a)は図13相当の図、すなわち段付きピン調整部70によってサーマルプリントヘッドユニット40の図示右側(感熱紙200の送り方向の上流側)が下げられた傾きとなった状態を示す図であり、同図(b)は図12相当の図、すなわち段付きピン調整部70によってサーマルプリントヘッドユニット40の図示右側(感熱紙200の送り方向の上流側)が引き上げられた傾きとなった状態を示す図である。
ここで、図21(a)におけるプラテンローラ21とサーマルプリントヘッド41の発熱素子列42との詳しい位置関係を図22(a)に示し、図21(b)におけるプラテンローラ21とサーマルプリントヘッド41の発熱素子列42との詳しい位置関係を図22(b)に示す。
前述したように、サーマルプリントヘッドユニットの突起46,46は発熱素子列42の略延長線上に設けられていて、この突起46,46に係合する位置決め切欠き22i,23iは、プラテンローラ21の中心を通る鉛直線K上に形成されているため、プラテンローラ21と発熱素子列42とが接触する点Pは、サーマルプリントヘッド41の傾きの如何に拘わらず、常に前述した鉛直線K上に位置する。
ここで、図22(a)の状態は、厚さの厚い感熱紙200(例えば、厚さN1)に対応した状態であり、この厚さN1の感熱紙200がプラテンローラ21と発熱素子列42との間に送られて来ると、サーマルプリントヘッドユニット40が、バネ19a,19b,19c,19dの付勢力に抗して、感熱紙200の厚さN1分だけ図示上方に持ち上げられるが、このときのサーマルプリントヘッドユニット40の変位は、ピン係合切欠き部45の周囲の部分を中心とした回動と鉛直線K上での平行移動となり、図示の二点鎖線から実線で示す状態となる。
そして、感熱紙200と発熱素子列42との接点は図23(a)に示す点P2となる。
一方、図22(b)の状態は、厚さの薄い感熱紙200(例えば、厚さN2(<N1))に対応した状態であり、この厚さN2の感熱紙200がプラテンローラ21と発熱素子列42との間に送られて来ると、サーマルプリントヘッドユニット40が、バネ19a,19b,19c,19dの付勢力に抗して、感熱紙200の厚さN2分だけ図示上方に持ち上げられるが、このときのサーマルプリントヘッドユニット40の変位も、ピン係合切欠き部45の周囲の部分を中心とした回動と鉛直線K上での平行移動となり、図示の二点鎖線から実線で示す状態となる。
そして、感熱紙200と発熱素子列42との接点は図23(b)に示す点P1となる。
つまり、厚さの厚い感熱紙200が接する発熱素子列42の点P2は、厚さの薄い感熱紙200が接する発熱素子列42の点P1よりも、感熱紙200の送り方向に沿った上流側となる。
ここで、厚さの厚い感熱紙200は厚さの薄い感熱紙200よりも剛性(腰)が強い。そして、図23(a)に示すように、感熱紙200は一見、点Pの直上である点P2において発熱素子列42と密着するはずであるが、実際は、上述した剛性の強さの影響で、接しているプラテンローラ21の周表面(弾性を有する)を、本来の円弧状から直線状に変形させるため、点P2における密着性は弱いか、あるいは密着せず、点P2よりも下流側の点P1において、より適正な強さの密着が得られている。
一方、厚さの薄い感熱紙200は厚さの厚い感熱紙200よりも剛性(腰)が弱く、図23(b)に示すように、感熱紙200は、点P2よりも下流側である点P1において、その見た目通り、発熱素子列42と適正な密着が得られている。
このように、本実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、感熱紙200の厚さが厚いものであっても薄いものであっても、発熱素子列42の同一の部分(点P1)で良好な密着を得ることができ、感熱紙200の厚さの如何に関わらず高品位な印刷を実現することができる。
なお、本実施形態のサーマルプリンタ100は、サーマルプリントヘッド41とプラテンローラ21とが分離された構造を有しているため、蓋体12を閉じる(閉位置に移動させる)だけの簡単な操作によって、感熱紙200のセッティングを完了することができる。
また、このサーマルプリンタ100は、工具無しの簡単な手作業により、サーマルプリントヘッドユニット40をカバーフレーム17に着脱することができ、サーマルプリントヘッドユニット40の簡単な交換作業を実現している。
一方、プラテンローラユニット20も、工具無しの簡単な手作業により、本体フレーム18に着脱することができ、プラテンローラユニット20の簡単な交換作業を実現している。