以下、本発明のヘッド加圧機構およびテープ印刷装置の一実施形態であるテープ印刷装置について説明する。なお、以下の図面では、各部の配置関係を明確にするために、XYZ直交座標系を表示するが、それが本発明を何ら限定するものではないことは、言うまでもない。
図1に基づいて、テープ印刷装置Aの概略構成について説明する。テープ印刷装置Aは、操作パネル1と、ディスプレー2と、カバー3と、カートリッジ装着部4と、サーマルヘッド5と、プラテン軸6と、繰出し軸7と、巻取り軸8と、カッター9とを備えている。
操作パネル1には、文字ボタンおよび印刷ボタンなどの各種ボタンが設けられており、文字の入力操作および印刷実行の指示操作などの各種操作を受け付ける。ディスプレー2は、操作パネル1から入力された文字等を表示する。
カバー3は、+Y側の端部を中心として回転可能に設けられており、ユーザーがカートリッジ装着部4に対してテープカートリッジ100を着脱する際などに、開閉される。カバー3は、図示しないカバーロック機構により、閉じた状態にロックされる。そして、カバーボタン11が押されると、カバーロック機構がアンロック状態となり、カバー3が開かれる。
カートリッジ装着部4には、+Z側から、テープカートリッジ100が着脱可能に装着される。なお、以下では、テープカートリッジ100の装着方向を、単に「装着方向」という。テープカートリッジ100は、テープコア101と、リボン繰出しコア102と、リボン巻取りコア103と、プラテンローラー104と、これらを収容したカートリッジケース105とを備えている。テープコア101には、テープTがロール状に巻かれている。リボン繰出しコア102には、インクリボンRがロール状に巻かれている。
カートリッジケース105は、第1壁部111と、第2壁部112と、第3壁部113(図2参照)とを備えている。第1壁部111は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部4に装着された状態で、カバー3が閉められた場合に、カバー3側を向く壁部である。すなわち、テープカートリッジ100は、第1壁部111が+Z側を向く姿勢で、カートリッジ装着部4に装着される。第2壁部112は、第1壁部111および第3壁部113の周縁部に設けられている。すなわち、第2壁部112は、カートリッジケース105の周壁部を構成している。第3壁部113は、第1壁部111と対向している。
カートリッジ装着部4には、サーマルヘッド5、プラテン軸6、繰出し軸7および巻取り軸8が、それぞれカートリッジ装着部4の底面から+Z側に突出して設けられている。
サーマルヘッド5は、プラテン軸6に対し、-Y側に設けられている。サーマルヘッド5は、カートリッジ装着部4にテープカートリッジ100が装着され、さらにカバー3が閉じられると、プラテンローラー104との間で、テープTおよびインクリボンRを挟持する。この状態で、サーマルヘッド5が発熱することにより、インクリボンRのインクがテープTに転写される。なお、サーマルヘッド5は、後述するヘッド加圧機構20(図4等参照)により、プラテンローラー104に対して加圧される。
カートリッジ装着部4にテープカートリッジ100が装着されると、プラテン軸6、繰出し軸7および巻取り軸8に対し、プラテンローラー104、リボン繰出しコア102およびリボン巻取りコア103がそれぞれ挿入される。さらにカバー3が閉じられた状態で、送りモーター13(図12等参照)が回転すると、プラテンローラー104が回転することにより、プラテンローラー104とサーマルヘッド5との間に挟持されたテープTおよびインクリボンRが送られる。
テープ印刷装置Aは、送りモーター13の回転方向を制御することにより、テープTおよびインクリボンRの正送りと逆送りとを切り替えて行うことができる。すなわち、送りモーター13が正方向に回転すると、プラテンローラー104が正方向に回転すると共にリボン巻取りコア103が巻取り方向に回転する。これにより、テープTおよびインクリボンRの正送りが行われる。すなわち、テープTがテープコア101から繰り出されてテープ排出口12に向けて送られると共に、インクリボンRがリボン繰出しコア102から繰り出されてリボン巻取りコア103に巻き取られる。一方、送りモーター13が逆方向に回転すると、プラテンローラー104が逆方向に回転すると共にリボン繰出しコア102が巻戻し方向に回転する。これにより、テープTおよびインクリボンRの逆送りが行われる。すなわち、テープ排出口12から排出されたテープTが引き戻されると共に、インクリボンRがリボン繰出しコア102に巻き戻される。
カッター9は、カートリッジ装着部4とテープ排出口12との間に設けられている。カッター9は、カッターモーター(図示省略)により切断動作を行い、カートリッジ装着部4に装着されたテープカートリッジ100からテープ排出口12へ送られたテープTを、テープTの幅方向に切断する。これにより、テープTの印刷済み部分が切り離され、テープ排出口12から排出される。
このように構成されたテープ印刷装置Aでは、ユーザーにより操作パネル1から所望の文字が入力され、印刷実行の指示が行われると、テープTおよびインクリボンRの正送りが行われると共に、サーマルヘッド5が発熱する。これにより、テープTに対して、入力された文字が印刷される。印刷終了後、カッター9が切断動作を行い、テープTの印刷済み部分が切り離される。その後、テープTおよびインクリボンRの逆送りが行われる。これにより、テープTの先端が、サーマルヘッド5とプラテンローラー104との挟持位置の近傍、すなわち印刷位置の近傍にくるまで、テープTが引き戻される。このため、次に印刷されるテープTにおいて、サーマルヘッド5とカッター9との離間距離に起因してテープTの長さ方向前方に生じる余白を、短くすることができる。
図2および図3に基づいて、テープカートリッジ100の種類について説明する。テープカートリッジ100には、テープTの幅が異なる第1テープカートリッジ100a(図2参照)と第2テープカートリッジ100b(図3参照)とが用意されている。第1テープカートリッジ100aには、第1テープ幅W1(例えば36mm)の第1テープTaが収容され、第2テープカートリッジ100bには、第1テープ幅W1よりも広い第2テープ幅W2(例えば50mm)の第2テープTbが収容されている。
さらに、第1テープカートリッジ100aと第2テープカートリッジ100bとでは、テープTの幅の違いに応じて、プラテンローラー104の長さ、インクリボンRの幅およびカートリッジケース105の厚さが異なっている。すなわち、第1テープカートリッジ100aには、第1ローラー長L1の第1プラテンローラー104aと、第1リボン幅M1の第1インクリボンRaとが、第1ケース厚N1の第1カートリッジケース105aに収容されている。第2テープカートリッジ100bには、第1ローラー長L1よりも長い第2ローラー長L2の第2プラテンローラー104bと、第1リボン幅M1よりも広い第2リボン幅M2の第2インクリボンRbとが、第1ケース厚N1よりも厚い第2ケース厚N2の第2カートリッジケース105bに収容されている。
なお、プラテンローラー104は、ローラー軸106と、ローラー本体107とを備えている。ローラー軸106は、その両端部において、カートリッジケース105の第1壁部111および第3壁部113に回転可能に支持されている。ローラー軸106は、円筒状のローラー本体107に挿入されている。ローラー本体107は、テープTおよびインクリボンRを介してサーマルヘッド5と接し、サーマルヘッド5からの加圧を受ける箇所である。ここで、プラテンローラー104の長さとは、プラテンローラー104の軸方向(Z方向)におけるローラー本体107の寸法を意味する。また、カートリッジケース105の厚さとは、プラテンローラー104の軸方向(Z方向)におけるカートリッジケース105の寸法を意味する。
図4ないし図6に基づいて、ヘッド加圧機構20について説明する。ヘッド加圧機構20は、カートリッジ装着部4に装着されたテープカートリッジ100に収容されたプラテンローラー104に対して、サーマルヘッド5を加圧する。
ヘッド加圧機構20は、ヘッド支持軸21と、ヘッドホルダー22と、ヘッド加圧バネ23と、ヘッドリリースバネ24(図12等参照)とを備えている。
ヘッド支持軸21は、ベースフレーム27に固定されており、ベースフレーム27から+Z側に突出している。ヘッド支持軸21は、ヘッドホルダー22を回転可能に支持している。
ヘッドホルダー22は、ホルダー部221と、アーム部222とを備えている。ホルダー部221の+Y側の面には、サーマルヘッド5が保持されている。アーム部222は、ホルダー部221の-Z側の端部から、+X側に延びている。アーム部222の+X側の端部であるアーム先端部223には、ヘッド加圧バネ23の+Y側の端部が掛止めされている。
ヘッド加圧バネ23は、サーマルヘッド5をプラテンローラー104に対して加圧するための弾性体である。ヘッド加圧バネ23は、アーム先端部223から-Y側に設けられている。ヘッド加圧バネ23の-Y側の端部は、後述するヘッド加圧レバー25に掛止めされている。ヘッド加圧バネ23は、ヘッド加圧レバー25に引っ張られて伸長すると、アーム先端部223に対し-Y側に力を付与し、ヘッドホルダー22に対しヘッド加圧方向に、すなわち図示時計回りに力を付与する(図5参照)。なお、ヘッド加圧バネ23としては、例えば、引っ張りコイルバネを用いることができる。
ヘッドリリースバネ24は、サーマルヘッド5をプラテンローラー104から離間させるための弾性体である。ヘッドリリースバネ24は、ヘッド支持軸21に巻かれたねじりコイルバネであり、ヘッドホルダー22に対し、ヘッド加圧バネ23によるヘッド加圧方向とは反対のヘッドリリース方向に、すなわち図示反時計回りに力を付与する(図6参照)。なお、ヘッドリリースバネ24としては、ねじりコイルバネのほか、例えば、アーム先端部223からヘッド加圧バネ23とは反対側(+Y側)に設けられた引っ張りコイルバネを用いてもよい。
このように構成されたヘッド加圧機構20は、カバー3の開閉と連動して、サーマルヘッド5がプラテンローラー104に加圧された状態と、サーマルヘッド5がプラテンローラー104から離間した状態と、を切り替えることができる。
すなわち、カバー3が閉められると、詳細は後述するが、ヘッド加圧バネ23がヘッド加圧レバー25に引っ張られて伸長することで、ヘッド加圧バネ23の弾性力が、ヘッドリリースバネ24の弾性力を上回り、ヘッドホルダー22がヘッド加圧方向に回転する(図5参照)。これにより、プラテンローラー104に対してサーマルヘッド5が加圧され、プラテンローラー104とサーマルヘッド5との間にテープTおよびインクリボンRが挟持された状態、すなわち印刷可能な状態となる。
一方、カバー3が開かれると、詳細は後述するが、ヘッド加圧バネ23が収縮することで、ヘッドリリースバネ24の弾性力が、ヘッド加圧バネ23の弾性力を上回り、ヘッドホルダー22がヘッドリリース方向に回転する(図6参照)。これにより、サーマルヘッド5がプラテンローラー104(或いはプラテン軸6)から離間した状態となり、ユーザーは、カートリッジ装着部4に対するテープカートリッジ100の着脱操作を容易に行うことができる。
図7ないし図11に基づいて、ヘッド加圧機構20について、さらに詳細に説明する。ヘッド加圧機構20は、上記のヘッド支持軸21、ヘッドホルダー22、ヘッド加圧バネ23およびヘッドリリースバネ24のほか、ヘッド加圧レバー25と、ヘッド加圧リブ26とを備えている。
ヘッド加圧レバー25は、X方向に延びるレバー支持軸(図示省略)に回転可能に支持されている。ヘッド加圧レバー25が、ヘッド加圧バネ23が収縮した状態(図11参照)から図示時計回りに回転すると、ヘッド加圧バネ23が伸長する。一方、ヘッド加圧レバー25が、図示反時計回りに回転すると、ヘッド加圧バネ23が収縮する。
ヘッド加圧レバー25は、レバー軸穴251と、加圧バネ掛止穴252と、係合領域253とを備えている。
レバー軸穴251は、略三角形の板状に形成されたヘッド加圧レバー25の3つの角部のうち、ヘッド加圧バネ23が収縮した状態では最も-Y側に位置する角部に設けられている(図11参照)。レバー軸穴251には、レバー支持軸が挿入されており、ヘッド加圧レバー25は、レバー軸穴251を中心に(換言すれば、レバー支持軸を中心に)回転する。
加圧バネ掛止穴252は、略三角形の板状に形成されたヘッド加圧レバー25の3つの角部のうち、ヘッド加圧バネ23が収縮した状態では最も-Z側に位置する角部に設けられている(図11参照)。加圧バネ掛止穴252には、ヘッド加圧バネ23の-Y側の端部が掛止めされている。
係合領域253は、略三角形の板状に形成されたヘッド加圧レバー25の三辺のうち、加圧バネ掛止穴252が設けられた角部に対向する辺により、構成されている。係合領域253は、カバー3が閉められる際に、ヘッド加圧リブ26と係合する領域である。より具体的には、係合領域253は、レバー軸穴251に近い方から順に、第1係合領域253aと、第2係合領域253bとを備えている。第2係合領域253bは、ヘッド加圧リブ26から離れる方向に屈曲するようにして、第1係合領域253aに連なっている。第1係合領域253aには、第1テープカートリッジ100aが装着された場合に、カバー3が閉められた状態でヘッド加圧リブ26と係合する第1係合部位255が含まれる(図9参照)。第2係合領域253bには、第2テープカートリッジ100bが装着された場合に、カバー3が閉められた状態でヘッド加圧リブ26と係合する第2係合部位256が含まれる(図10参照)。
詳細は後述するが、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2テープカートリッジ100bが装着された場合とでは、ヘッド加圧レバー25の位置(具体的には回転角度位置)が異なる。これにより、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2テープカートリッジ100bが装着された場合とで、ヘッド加圧バネ23の弾性変形量(具体的には伸長量)が異なるようになっている。すなわち、ヘッド加圧レバー25は、第1テープカートリッジ100aが装着された場合にカバー3が閉められると、ヘッド加圧バネ23の弾性変形量が第1変形量となるようにヘッド加圧バネ23を弾性変形させる第1弾性位置に位置する(図9参照)。また、ヘッド加圧レバー25は、第2テープカートリッジ100bが装着された場合にカバー3が閉められると、ヘッド加圧バネ23の弾性変形量が第1変形量よりも大きい第2変形量となるようにヘッド加圧バネ23を弾性変形させる第2弾性位置に位置する(図10参照)。なお、ヘッド加圧レバー25は、カバー3が開けられると、ヘッド加圧バネ23が収縮した第3弾性位置に位置する(図11参照)。
ヘッド加圧リブ26は、カバー3に回転可能に(換言すれば、揺動可能に)設けられている。すなわち、ヘッド加圧リブ26は、カバー3に設けられたX方向に延びるリブ支持軸(図示省略)に、回転可能に支持されている。
ヘッド加圧リブ26は、リブ軸穴261と、接続部262と、レバー側係合部263と、カートリッジ側係合部264と、ストッパー側係合部265とを備えている。
リブ軸穴261は、接続部262の-Y側の端部に設けられている。リブ軸穴261には、リブ支持軸が挿入されており、ヘッド加圧リブ26は、リブ軸穴261を中心に(換言すれば、リブ支持軸を中心に)回転する。
接続部262は、Y方向に延び、レバー側係合部263と、カートリッジ側係合部264とを接続している。すなわち、接続部262の-Y側の端部には、レバー側係合部263が設けられ、接続部262の+Y側の端部には、カートリッジ側係合部264が設けられている。
レバー側係合部263は、接続部262の-Y側の端部から-Z側に突出している。レバー側係合部263は、カバー3が閉められる際に、ヘッド加圧レバー25の係合領域253と係合(具体的には当接)する。
カートリッジ側係合部264は、リブ軸穴261に対してレバー側係合部263とは反対側の端部から、すなわち接続部262の+Y側の端部から、-X側に突出している。カートリッジ側係合部264は、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態では、カバー3が閉められた際に、第1テープカートリッジ100aと係合しない(図9参照)。一方、カートリッジ側係合部264は、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態では、カバー3が閉められた際に、第2テープカートリッジ100bの第1壁部111と係合(具体的には当接)する(図10参照)。これは、上述したように、カートリッジケース105の厚さ(Z方向の寸法)が、第1カートリッジケース105aでは第1ケース厚N1であるのに対し、第2カートリッジケース105bでは第1ケース厚N1よりも大きい第2ケース厚N2であり、第2テープカートリッジ100bの方が厚いためである。
また、カートリッジ側係合部264は、第2テープカートリッジ100bの第1壁部111と係合する際に、第1壁部111の+X側の周縁部を含めて係合する(図8参照)。これにより、カバー3が閉められた場合に、第2テープカートリッジ100bに対するヘッド加圧リブ26からの加圧が、第1壁部111の周縁部に設けられた第2壁部112によって受けられる。このため、ヘッド加圧リブ26からの加圧によって第1壁部111が撓むことを抑制することができる。
ストッパー側係合部265は、接続部262の-Y側の端部の+Z側の面により構成されている。ストッパー側係合部265は、カバー3が閉められた際に、ストッパー部31と係合(具体的には当接)する。ストッパー部31は、カバー3の内側の面、すなわちカバー3が閉められた状態において-Z側を向く面、に設けられている。
詳細は後述するが、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2テープカートリッジ100bが装着された場合とでは、カバー3が閉められた状態におけるヘッド加圧リブ26の位置(具体的には回転角度位置)が異なる。これにより、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2テープカートリッジ100bが装着された場合とで、ヘッド加圧レバー25の位置が異なるようになっている。すなわち、第1テープカートリッジ100aが装着された場合には、ヘッド加圧リブ26は、カバー3が閉められると、ストッパー側係合部265がストッパー部31と係合した第1係合位置に位置する(図9参照)。この場合、ヘッド加圧リブ26は、レバー側係合部263において係合したヘッド加圧レバー25を、第3弾性位置から第1弾性位置へ位置させる。一方、第2テープカートリッジ100bが装着された場合には、ヘッド加圧リブ26は、カバー3が閉められると、カートリッジ側係合部264が第2テープカートリッジ100bと係合した第2係合位置に位置する(図10参照)。この場合、ヘッド加圧リブ26は、レバー側係合部263において係合したヘッド加圧レバー25を、第3弾性位置から第2弾性位置へ位置させる。なお、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置に位置する場合、ストッパー側係合部265は、ストッパー部31から離れている。
なお、ヘッド加圧リブ26は、カバー3が閉められると、ストッパー側係合部265がストッパー部31に近づく方向に、すなわち図9の図示時計回りに、弾性変形したヘッド加圧バネ23によりヘッド加圧レバー25を介して力が付与される。
図9および図10に基づいて、カバー3が閉められる際のヘッド加圧機構20の各部の動きについて、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と第2テープカートリッジ100bが装着された場合とを比較して説明する。
図9に示すように、第1テープカートリッジ100aが装着された状態では、カバー3が閉められる際に、ヘッド加圧リブ26のレバー側係合部263が、第3弾性位置にあるヘッド加圧レバー25と係合し、レバー側係合部263がヘッド加圧レバー25によって相対的に+Z側へ押されることにより、ストッパー側係合部265がストッパー部31に近づく方向にヘッド加圧リブ26が回転する。そして、ストッパー側係合部265がストッパー部31と係合することにより、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置に位置する。
この状態で、カバー3がさらに閉められると、ヘッド加圧レバー25の係合領域253がヘッド加圧リブ26に-Z側に押され、ヘッド加圧レバー25が第3弾性位置から第1弾性位置に向けて回転する。そして、カートリッジ側係合部264が第1テープカートリッジ100aと係合することなく、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置に位置したまま、カバー3が完全に閉められ、カバーロック機構によりカバー3がロックされる。このとき、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置に位置していることにより、ヘッド加圧レバー25は、第1弾性位置に位置する。このため、ヘッド加圧バネ23の弾性変形量は、第1変形量となる。そして、第1変形量に弾性変形したヘッド加圧バネ23により、サーマルヘッド5が、第1プラテンローラー104aに対して、第1ヘッド加圧力で加圧される。
なお、第1テープカートリッジ100aよりもさらに、プラテンローラー104の長さが短く、カートリッジケース105の厚さが薄いテープカートリッジ100が装着された場合にも、カートリッジ側係合部264が第1テープカートリッジ100aと係合しない。このため、この場合も、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と同様に、サーマルヘッド5が、プラテンローラー104に対して、第1ヘッド加圧力で加圧される。
一方、図10に示すように、第2テープカートリッジ100bが装着された状態では、カバー3が閉められる際に、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と同様に、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置に位置した後、ヘッド加圧リブ26と係合したヘッド加圧レバー25が第3弾性位置から第1弾性位置に向けて回転する。そして、カバー3が完全に閉められる前に、カートリッジ側係合部264が第2テープカートリッジ100bと係合する。これにより、カートリッジ側係合部264が第2テープカートリッジ100bによって相対的に+Z側に押され、ヘッド加圧リブ26が、ストッパー側係合部265がストッパー部31から離れる方向に回転し、第2係合位置に位置する。なお、ヘッド加圧リブ26は、第1係合位置に位置する前に、すなわちストッパー側係合部265がストッパー部31と係合する前に、カートリッジ側係合部264が第2テープカートリッジ100bと係合し、第2係合位置に位置する構成でもよい。
この状態で、カバー3が完全に閉められ、カバーロック機構によりカバー3がロックされる。このとき、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置に位置していることにより、ヘッド加圧レバー25は、第1弾性位置を超えてさらに回転して第2弾性位置に位置する。このため、ヘッド加圧バネ23の弾性変形量は、第1変形量よりも大きい第2変形量となる。そして、第2変形量に弾性変形したヘッド加圧バネ23により、サーマルヘッド5が、第2プラテンローラー104bに対して、第1ヘッド加圧力よりも大きい第2ヘッド加圧力で加圧される。
ここで、ヘッド加圧レバー25は、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置から第2係合位置に回転する際に、ヘッド加圧リブ26との係合部位を第1係合部位255から第2係合部位256へずらしながら、第1弾性位置から第2弾性位置へ回転する。このとき、ヘッド加圧レバー25が第1係合領域253aにおいてヘッド加圧リブ26と係合する場合には、ヘッド加圧レバー25は、ヘッド加圧リブ26の単位回転量(例えば1°)に対して第1回転量で回転する。これに対し、ヘッド加圧レバー25が第2係合領域253bにおいてヘッド加圧リブ26と係合する場合には、ヘッド加圧レバー25は、ヘッド加圧リブ26の単位回転量に対して、第1回転量よりも小さい第2回転量で回転する。これは、上述したように、第2係合領域253bは、ヘッド加圧リブ26から離れる方向に屈曲するようにして、第1係合領域253aに連なっているためである。換言すれば、第2係合領域253bは、ヘッド加圧リブ26のレバー側係合部263の移動軌跡に沿った形状に形成されている。このため、ヘッド加圧リブ26の位置が、第2係合領域253bにおいてヘッド加圧レバー25と係合する範囲で異なっても、ヘッド加圧レバー25の位置はほとんど変わらない。
このため、ヘッド加圧リブ26が、第2テープカートリッジ100bと係合した後、摩擦等の影響により、第2係合位置の手前までしか回転しなかった場合、すなわち、第2係合領域253bのうち第2係合部位256よりも手前側においてヘッド加圧レバー25と係合する位置までしか回転しなかった場合にも、ヘッド加圧レバー25が、第2弾性位置、或いは第2弾性位置の近傍に位置する。その結果、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置の手前までしか回転しなかった場合の第2変形量と、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置まで回転した場合の第2変形量との差が小さくなる。したがって、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置の手前までしか回転しなかった場合の第2ヘッド加圧力と、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置まで回転した場合の第2ヘッド加圧力との差を小さくすることができる。なお、第2係合位置の手前までしか回転しなかった場合のヘッド加圧リブ26を、図10に二点鎖線で示す。
以上のように、本実施形態のヘッド加圧機構20によれば、カートリッジ装着部4に、第1ローラー長L1の第1プラテンローラー104aが収容された第1テープカートリッジ100aが装着された場合に、サーマルヘッド5を、第1プラテンローラー104aに対して第1ヘッド加圧力で加圧する。一方、カートリッジ装着部4に、第2ローラー長L2の第2プラテンローラー104bが収容された第2テープカートリッジ100bが装着された場合に、サーマルヘッド5を、第2プラテンローラー104bに対して第1ヘッド加圧力よりも大きい第2ヘッド加圧力で加圧する。
この構成によれば、第1プラテンローラー104aまたは第2プラテンローラー104bに対してサーマルヘッド5を加圧するヘッド加圧力が、第1プラテンローラー104aが収容された第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2プラテンローラー104bが収容された第2テープカートリッジ100bが装着された場合とで、第1ヘッド加圧力と第1ヘッド加圧力よりも大きい第2ヘッド加圧力とに異なることになる。したがって、プラテンローラー104の長さが異なる場合にも、プラテンローラー104がサーマルヘッド5から受ける圧力のばらつきを小さくすることができる。これにより、テープ印刷装置Aは、印刷濃度のばらつきを抑えて、印刷を行うことができる。
ここで、本実施形態の比較例として、第1テープカートリッジ100aが装着された場合および第2テープカートリッジ100bが装着された場合のいずれも、サーマルヘッド5が第1プラテンローラー104aまたは第2プラテンローラー104bに対して第2ヘッド加圧力で加圧される構成を想定する。この比較例では、第1テープカートリッジ100aが装着された場合に、第1プラテンローラー104aは、ローラー長さが第1ローラー長L1と短く受圧面積が小さいため、第1プラテンローラー104aがサーマルヘッド5から受ける圧力が過大となり、印刷濃度が濃くなりすぎてしまう。これに対し、本実施形態によれば、上述したように、プラテンローラー104の長さに見合ったヘッド加圧力でサーマルヘッド5がプラテンローラー104に対して加圧されるため、プラテンローラー104の長さが異なる場合にも、プラテンローラー104がサーマルヘッド5から受ける圧力を所望の範囲に収めることができ、印刷濃度を所望の範囲に収めることができる。
さらに、上記の比較例のように、第1テープカートリッジ100aが装着された場合に、第1プラテンローラー104aがサーマルヘッド5から受ける圧力が過大となると、第1テープTaおよび第1インクリボンRaが逆送りされた場合に、第1インクリボンRaが、サーマルヘッド5のエッジ部分で破れるおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、第1テープカートリッジ100aが装着された場合にも、第1プラテンローラー104aがサーマルヘッド5から受ける圧力が過大となることが抑制されるため、第1テープTaおよび第1インクリボンRaが逆送りされた場合に、第1インクリボンRaが破れることを抑制することができる。
なお、ヘッド加圧バネ23は、本発明の「弾性体」の一例である。ヘッド加圧レバー25は、本発明の「弾性側部材」の一例である。ヘッド加圧リブ26は、本発明の「カバー側部材」の一例である。
本発明は、上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。
ヘッド加圧レバー25が第3弾性位置から回転して第2弾性位置に達した際に、ヘッド加圧レバー25が係合(具体的には当接)するストッパーを、ヘッド加圧レバー25の回転範囲内に設けてもよい。これにより、ヘッド加圧レバー25を第2弾性位置に位置規制することができる。
ヘッド加圧レバー25は、回転することにより、第1弾性位置と第2弾性位置とに位置する構成に限定されるものではなく、例えば、ヘッド加圧バネ23の伸縮方向にスライドすることにより、第1弾性位置と第2弾性位置とに位置する構成でもよい。
ヘッド加圧機構20は、サーマルヘッド5をプラテンローラー104に加圧するヘッド加圧力を、第1ヘッド加圧力と第2ヘッド加圧力との2段階に切り替える構成に限定されるものではなく、3段階以上に切り替える構成であってもよい。
ヘッド加圧機構20は、カバー3が閉められることに連動して、サーマルヘッド5をプラテンローラー104に加圧する構成に限定されるものではない。例えば、カートリッジ装着部4に、装着されたテープカートリッジ100と係合する作動部材を設けることにより、テープカートリッジ100が装着されることに連動して(換言すれば、カバー3が閉められる前に)、サーマルヘッド5をプラテンローラー104に加圧する構成でもよい。この場合、作動部材を、第1テープカートリッジ100aが装着された場合と、第2テープカートリッジ100bが装着された場合とで、作動の仕方が異なるようにする。これにより、第1テープカートリッジ100aが装着された際に、第1ヘッド加圧力でサーマルヘッド5をプラテンローラー104に加圧し、第2テープカートリッジ100bが装着された際に、第2ヘッド加圧力でサーマルヘッド5をプラテンローラー104に加圧することができる。
サーマルヘッド5をプラテンローラー104に対して加圧するための弾性体としては、ヘッド加圧バネ23のような引っ張りコイルバネに限らず、例えば、圧縮コイルバネを用いてよい。また、弾性体としては、バネに限らず、例えば、ゴムを用いてもよい。
図12ないし図16に基づいて、ヘッド加圧機構20の変形例であるヘッド加圧機構20Aについて説明する。以下では、ヘッド加圧機構20Aについて、ヘッド加圧機構20と同様に構成された部分は適宜説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
ヘッド加圧機構20Aは、ヘッド支持軸21と、第1ヘッド機構40aと、第2ヘッド機構40bと、ヘッドリリースバネ24と、ヘッド加圧リブ26と、リブ加圧バネ28とを備えている。
ヘッド支持軸21は、後述する第1ヘッドフレーム22aおよび第2ヘッドフレーム22bを回転可能に支持している。
第1ヘッド機構40aは、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められた際に、第1プラテンローラー104aに対してサーマルヘッド5を加圧する。また、第2ヘッド機構40bは、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められた際に、第2プラテンローラー104bに対してサーマルヘッド5を加圧する。
第1ヘッド機構40aは、第1ヘッドフレーム22aと、第1ヘッド加圧バネ23aと、第1ヘッド加圧レバー25aとを備えている。
第1ヘッドフレーム22aは、ヘッド支持軸21に回転可能に支持されている。第1ヘッドフレーム22aは、第1フレーム部221aと、第1アーム部222aとを備えている。
第1フレーム部221aは、後述する第2フレーム部221bと第2フレーム部221bに保持されたサーマルヘッド5との間に位置して、Z方向に延びている。第1フレーム部221aの+Z側の端部には、プラテン軸6側(+Y側)に突出した2つの加圧部224a(図12等では1つのみ示す)が設けられている。加圧部224aの先端部は、X方向から見て略円弧状に形成されている。
第1アーム部222aは、第1フレーム部221aの-Z側の端部から、+X側に延びている。第1アーム部222aの+X側の端部である第1アーム先端部223aには、第1ヘッド加圧バネ23aの+Y側の端部が掛止めされている。
第1ヘッド加圧バネ23aは、第1ヘッドフレーム22aを介してサーマルヘッド5を第1プラテンローラー104aに対して加圧するための弾性体である。第1ヘッド加圧バネ23aは、第1アーム先端部223aから-Y側に設けられている。第1ヘッド加圧バネ23aの-Y側の端部は、第1ヘッド加圧レバー25aに掛止めされている。第1ヘッド加圧バネ23aは、第1ヘッド加圧レバー25aに引っ張られて伸長すると、第1アーム先端部223aに対して-Y側に向けて力を付与し、第1ヘッドフレーム22aをヘッド加圧方向に、すなわち図13の図示時計回り方向に回転させる。なお、第1ヘッド加圧バネ23aとしては、例えば、引っ張りコイルバネを用いることができる。
第1ヘッド加圧レバー25aは、X方向に延びる第1レバー支持軸(図示省略)に回転可能に支持されている。第1ヘッド加圧レバー25aが、第1ヘッド加圧バネ23aが収縮した状態から図14の図示反時計回りに回転すると、第1ヘッド加圧バネ23aが伸張する。一方、第1ヘッド加圧レバー25aが、図14の図示時計回りに回転すると、第1ヘッド加圧バネ23aが収縮する。
第1ヘッド加圧レバー25aは、第1レバー軸穴251aと、第1加圧バネ掛止穴252aと、第1係合箇所254aとを備えている。第1レバー軸穴251aには、第1レバー支持軸が挿入されており、第1ヘッド加圧レバー25aは、第1レバー軸穴251aを中心に回転する。第1加圧バネ掛止穴252aには、第1ヘッド加圧バネ23aの-Y側の端部が掛止めされている。第1係合箇所254aは、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められる際に、ヘッド加圧リブ26と係合する箇所である。
第2ヘッド機構40bは、第2ヘッドフレーム22bと、第2ヘッド加圧バネ23bと、第2ヘッド加圧レバー25bとを備えている。
第2ヘッドフレーム22bは、ヘッド支持軸21に回転可能に支持されており、サーマルヘッド5を揺動可能に保持している。第2ヘッドフレーム22bは、第2フレーム部221bと、第2アーム部222bとを備えている。
第2フレーム部221bは、Z方向に延びており、そのプラテン軸6側(+Y側)には、サーマルヘッド5が保持されている。すなわち、第2フレーム部221bのZ方向略中間部には、プラテン軸6側に突出した2つの連結部224b(図12等では1つのみ示す)が設けられており、連結部224bには、サーマルヘッド5が、連結部224bを揺動中心として揺動可能に連結されている。このため、プラテンローラー104に対してサーマルヘッド5が加圧された際に、サーマルヘッド5が、プラテンローラー104の傾きに応じて揺動し、プラテンローラー104に倣った状態となる。これにより、プラテンローラー104に対してサーマルヘッド5が均一に加圧される。
第2アーム部222bは、第2フレーム部221bの-Z側の端部から、+X側に延びている。第2アーム部222bは、第1アーム部222aよりも+Z側に設けられている。第2アーム部222bの+X側の端部である第2アーム先端部223bには、第2ヘッド加圧バネ23bの+Y側の端部が掛止めされている。第2アーム先端部223bは、第1アーム先端部223aよりも-X側に位置している。
第2ヘッド加圧バネ23bは、第2ヘッドフレーム22bを介してサーマルヘッド5をプラテンローラー104に対して加圧するための弾性体である。第2ヘッド加圧バネ23bは、第2アーム先端部223bから-Y側に設けられている。第2ヘッド加圧バネ23bの-Y側の端部は、第2ヘッド加圧レバー25bに掛止めされている。第2ヘッド加圧バネ23bは、第2ヘッド加圧レバー25bに引っ張られて伸長すると、第2アーム先端部223bに対して-Y側に向けて力を付与し、第2ヘッドフレーム22bをヘッド加圧方向に、すなわち図13の図示時計回り方向に回転させる。第2ヘッド加圧バネ23bは、第1ヘッド加圧バネ23aよりも、バネ定数が大きい。なお、第2ヘッド加圧バネ23bとしては、例えば、引っ張りコイルバネを用いることができる。
第2ヘッド加圧レバー25bは、第1ヘッド加圧レバー25aよりも-X側に設けられている。第2ヘッド加圧レバー25bは、X方向に延びる第2レバー支持軸(図示省略)に回転可能に支持されている。第2ヘッド加圧レバー25bが、第2ヘッド加圧バネ23bが収縮した状態から図14の図示反時計回りに回転すると、第2ヘッド加圧バネ23bが伸張する。一方、第2ヘッド加圧レバー25bが、図14の図示時計回りに回転すると、第2ヘッド加圧バネ23bが収縮する。
第2ヘッド加圧レバー25bは、第2レバー軸穴251bと、第2加圧バネ掛止穴252bと、第2係合箇所254bとを備えている。第2レバー軸穴251bには、第2レバー支持軸が挿入されており、第2ヘッド加圧レバー25bは、第2レバー軸穴251bを中心に回転する。第2加圧バネ掛止穴252bには、第2ヘッド加圧バネ23bの-Y側の端部が掛止めされている。第2係合箇所254bは、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められる際に、ヘッド加圧リブ26と係合する箇所である。
ヘッドリリースバネ24は、サーマルヘッド5をプラテンローラー104から離間させるための弾性体である。ヘッドリリースバネ24は、ヘッド支持軸21に巻かれたねじりコイルバネであり、第2ヘッドフレーム22bに対して、ヘッド加圧方向とは反対のヘッドリリース方向に、すなわち図13の図示反時計回りに、力を付与する。
ヘッド加圧リブ26は、カバー3に回転可能に設けられている。ヘッド加圧リブ26は、リブ軸突起266と、接続部262と、レバー側係合部263と、カートリッジ側係合部264と、バネ取付部267とを備えている。
リブ軸突起266は、カバー3に設けられた軸取付部(図示省略)と係合している。ヘッド加圧リブ26は、リブ軸突起266を中心に回転する。接続部262は、Y方向に延び、レバー側係合部263と、カートリッジ側係合部264とを接続している。
レバー側係合部263は、接続部262の-Y側の端部から-Z側に突出している。レバー側係合部263は、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態では、カバー3が閉められた際に、第1ヘッド加圧レバー25aと係合し、第2ヘッド加圧レバー25bとは係合しない(図15参照)。また、レバー側係合部263は、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態では、カバー3が閉められた際に、第1ヘッド加圧レバー25aとは係合せず、第2ヘッド加圧レバー25bと係合する(図16参照)。なお、カートリッジ装着部4にテープカートリッジ100を装着しない状態でカバー3が閉められた際、レバー側係合部263は、第1テープカートリッジ100aが装着された際と同様に、第1ヘッド加圧レバー25aと係合し、第2ヘッド加圧レバー25bとは係合しない(図14参照)。
カートリッジ側係合部264は、接続部262の+Y側の端部から-X側に突出している。カートリッジ側係合部264は、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態では、カバー3が閉められる際に、第1テープカートリッジ100aと係合しない(図15参照)。一方、カートリッジ側係合部264は、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態では、カバー3が閉められる途中で、第2テープカートリッジ100bと係合する(図16参照)。これは、上述したように、第1テープカートリッジ100aよりも、第2テープカートリッジ100bの方が厚いためである。
なお、図17に示すように、カートリッジ側係合部264には、1または複数(図17では2個)の係合凸部268が設けられていてもよい。係合凸部268は、第2テープカートリッジ100bの第1壁部111或いは第2壁部112に設けられた係合凹部(図示省略)と係合する。これにより、第2テープカートリッジ100bがカートリッジ装着部4の奥まで適切に装着されていない場合にも、カバー3が閉められた際に、係合凸部268が係合凹部と係合した状態で、ヘッド加圧リブ26により第2テープカートリッジ100bを装着方向の奥側に効果的に押し込むことができる。係合凸部268は、本発明の「第1係合部」の一例であり、係合凹部は、本発明の「第2係合部」の一例である。カートリッジ側係合部264に設けられる第1係合部の形状は、凸状に限定されず、第2テープカートリッジ100bに設けられる第2係合部と相補的な形状であればよい。例えば、第1係合部が凹状で、第2係合部が凸状でもよい。
また、カートリッジ側係合部264は、第2テープカートリッジ100bの第1壁部111のうち、第2テープカートリッジ100bの重心に近い領域、例えば、第2テープカートリッジ100bの長さ方向(Y方向)においてテープコア101の中心とプラテンローラー104の中心との間の領域、と係合することが好ましい。これによれば、第2テープカートリッジ100bを傾けることなく、カートリッジ装着部4の奥まで適切に押し込むことができる。
図12ないし図16に戻り、バネ取付部267は、接続部262の+Y側の端部の+Z側の面に突出している。バネ取付部267には、リブ加圧バネ28が取り付けられている。
リブ加圧バネ28は、一端がバネ取付部267に取り付けられ、他端がカバー3の内側の面に取り付けられている。リブ加圧バネ28は、ヘッド加圧リブ26に対し、カートリッジ側係合部264がカートリッジ装着部4の底面側(-Z側)に近づく方向に、すなわち図14の図示反時計回りに、力を付与する。リブ加圧バネ28としては、例えば、圧縮コイルバネを用いることができる。なお、リブ加圧バネ28としては、リブ軸突起266に設けたねじりコイルバネを用いてもよい。
図15に示すように、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態では、上述したように、カバー3が閉められる際に、カートリッジ側係合部264が第1テープカートリッジ100aと係合しないため、ヘッド加圧リブ26は、リブ加圧バネ28により図示反時計回り方向に回転した状態となる。このとき、レバー側係合部263は、第1ヘッド加圧レバー25aと係合して第2ヘッド加圧レバー25bとは係合しない。このように、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められると、ヘッド加圧リブ26は、レバー側係合部263が第1ヘッド加圧レバー25aと係合する第1係合位置に位置する。
一方、図16に示すように、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態では、上述したように、カバー3が閉められる途中で、カートリッジ側係合部264が第2テープカートリッジ100bと係合するため、ヘッド加圧リブ26は、第1係合位置からリブ加圧バネ28に抗して図示時計回り方向に回転した状態となる。この状態で、カバー3がさらに閉められると、レバー側係合部263は、第1ヘッド加圧レバー25aとは係合せず第2ヘッド加圧レバー25bと係合する。このように、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められると、ヘッド加圧リブ26は、レバー側係合部263が第2ヘッド加圧レバー25bと係合する第2係合位置に位置する。
図18に基づいて、カートリッジ装着部4に装着されたテープカートリッジ100におけるプラテンローラー104と、連結部224bおよび加圧部224aとの位置関係について説明する。なお、図18では、説明の便宜上、プラテン軸6と、第1プラテンローラー104aと、第2プラテンローラー104bとを、並べて図示する。
ここで、プラテン軸6の軸方向(Z方向)において、カートリッジ装着部4に装着された第1テープカートリッジ100aにおける第1プラテンローラー104aの中心箇所(厳密には、第1プラテンローラー104aのローラー本体107の中心箇所)を、第1中心箇所120aという。また、プラテン軸6の軸方向において、カートリッジ装着部4に装着された第2テープカートリッジ100bにおける第2プラテンローラー104bの中心箇所(厳密には、第2プラテンローラー104bのローラー本体107の中心箇所)を、第2中心箇所120bという。プラテン軸6の軸方向において、第1中心箇所120aは、第2中心箇所120bよりも、カートリッジ装着部4の底面側(換言すれば、装着方向の奥側)に位置している。
加圧部224aは、プラテン軸6の軸方向において、第2中心箇所120bよりも、第1中心箇所120aの近くに設けられている。すなわち、プラテン軸6の軸方向において、加圧部224aと第1中心箇所120aとの距離は、加圧部224aと第2中心箇所120bとの距離よりも短い。なお、加圧部224aは、プラテン軸6の軸方向において、第1中心箇所120aと一致する位置に設けられていることが、より好ましい。
連結部224bは、プラテン軸6の軸方向において、第1中心箇所120aよりも、第2中心箇所120bの近くに設けられている。すなわち、プラテン軸6の軸方向において、連結部224bと第2中心箇所120bとの距離は、連結部224bと第1中心箇所120aとの距離よりも短い。なお、連結部224bは、プラテン軸6の軸方向において、第2中心箇所120bと一致する位置に設けられていることが、より好ましい。
図19に基づいて、カバー3が開かれた場合における、ヘッド加圧機構20Aの各部の動きについて説明する。なお、図19では、第1ヘッド加圧レバー25a、第2ヘッド加圧レバー25bおよびヘッド加圧リブ26等を省略して示す。
第2ヘッドフレーム22bは、上述したように、ヘッドリリースバネ24により、ヘッドリリース方向に向けて力が付与されている。このため、カバー3が開かれると、第2ヘッドフレーム22bは、第2ストッパー(図示省略)に当たるまで、ヘッドリリース方向に回転し、所定の第2リリース位置に位置する。このとき、第2ヘッドフレーム22bに保持されたサーマルヘッド5により、第1ヘッドフレーム22aの加圧部224aが押される。このため、第1ヘッドフレーム22aは、第1ストッパー(図示省略)に当たるまで、第2ヘッドフレーム22bに従動してヘッドリリース方向に回転し、所定の第1リリース位置に位置する。
第1ヘッドフレーム22aが第1リリース位置に位置し、第2ヘッドフレーム22bが第2リリース位置に位置した状態では、第1ヘッドフレーム22aの加圧部224aが、第2ヘッドフレーム22bの連結部224bよりもプラテン軸6に近い位置で、サーマルヘッド5の裏側(-Y側)に接している。また、上述したように、加圧部224aは、連結部224bよりも装着方向の奥側(-Z側)に位置している。
このため、カバー3が開かれると、連結部224bに揺動可能に連結されたサーマルヘッド5は、装着方向の奥側(-Z側)の端部がプラテン軸6に近づき、装着方向の手前側(+Z側)の端部がプラテン軸6から離れた傾斜姿勢をとる。これにより、サーマルヘッド5がプラテン軸6と平行な姿勢をとる場合に比べ、装着方向の手前側におけるサーマルヘッド5の端部とプラテン軸6との間隔が広くなる。したがって、カートリッジ装着部4にテープカートリッジ100が着脱される際に、装着方向の手前側におけるサーマルヘッド5の端部にテープTやインクリボンRが引っ掛かることが抑制される。このため、ユーザーは、カートリッジ装着部4に対するテープカートリッジ100の着脱操作を容易に行うことができる。また、インクリボンRの皺の発生を抑制し、印字品質を安定させることができる。
このように、加圧部224aは、本発明の「ヘッド接触部」として機能する。なお、加圧部224aに代えて、連結部224bよりも装着方向の奥側に位置し、カバー3が開かれたときに、サーマルヘッド5と接することで、サーマルヘッド5を、装着方向の奥側の端部がプラテン軸6に近づき、装着方向の手前側の端部がプラテン軸6から離れた傾斜姿勢とする部材(例えば、外装に設けた突起)を、本発明の「ヘッド接触部」として機能させてもよい。
図15に基づいて、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着された状態で、カバー3が閉められた場合における、ヘッド加圧機構20Aの各部の動きについて説明する。
第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められると、上述したように、ヘッド加圧リブ26が第1係合位置に位置するため、レバー側係合部263が第1ヘッド加圧レバー25aと係合する。これにより、第1ヘッド加圧レバー25aが図15の図示反時計回り方向に回転し、第1ヘッド加圧バネ23aが伸張する。このため、第1ヘッドフレーム22aがヘッド加圧方向に回転し、第1ヘッドフレーム22aの加圧部224aが第2ヘッドフレーム22bに連結されたサーマルヘッド5を押すことで、サーマルヘッド5が第1プラテンローラー104aに対して加圧される。
ここで、加圧部224aは、上述したように、プラテン軸6の軸方向において、第2中心箇所120bよりも、第1中心箇所120aの近くに設けられている(図18参照)。このため、加圧部224aにより、第1中心箇所120aの近くを加圧中心として、サーマルヘッド5が第1プラテンローラー104aに対して加圧される。また、加圧部224aは、上述したように、先端部が略円弧状に形成されているため、サーマルヘッド5の揺動角度によらず、サーマルヘッド5を均一に加圧することができる。
なお、第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められた際に、第2ヘッドフレーム22bに連結されたサーマルヘッド5が第1ヘッドフレーム22aの加圧部224aによって押されるため、第2ヘッドフレーム22bが第1ヘッドフレーム22aに従動してヘッド加圧方向に回転する。
図16に基づいて、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着された状態で、カバー3が閉められた場合における、ヘッド加圧機構20Aの各部の動きについて説明する。
第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められると、上述したように、ヘッド加圧リブ26が第2係合位置に位置するため、レバー側係合部263が第2ヘッド加圧レバー25bと係合する。これにより、第2ヘッド加圧レバー25bが図16の図示反時計回り方向に回転し、第2ヘッド加圧バネ23bが伸張する。このため、第2ヘッドフレーム22bがヘッド加圧方向に回転し、第2ヘッドフレーム22bの連結部224bに連結されたサーマルヘッド5が第2プラテンローラー104bに対して加圧される。
ここで、連結部224bは、上述したように、プラテン軸6の軸方向において、第1中心箇所120aよりも、第2中心箇所120bの近くに設けられている(図18参照)。このため、連結部224bにより、第2中心箇所120bの近くを加圧中心として、サーマルヘッド5が第2プラテンローラー104bに対して加圧される。
なお、第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められた際に、第2フレーム部221bとサーマルヘッド5との間に設けられた第1フレーム部221aが第2フレーム部221bによって押されるため、第1ヘッドフレーム22aが第2ヘッドフレーム22bに従動してヘッド加圧方向に回転する。このとき、第1フレーム部221aに設けられた加圧部224aは、サーマルヘッド5の裏側と接触しない。
ここで、第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められた際の第1ヘッド加圧バネ23aの弾性変形量と、第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められた際の第2ヘッド加圧バネ23bの弾性変形量とは、略同等であるが、上述したように、第2ヘッド加圧バネ23bは、第1ヘッド加圧バネ23aよりもバネ定数が大きい。このため、第1テープカートリッジ100aが装着されたときには、サーマルヘッド5が、第1プラテンローラー104aに対して、第1ヘッド加圧力で加圧され、第2テープカートリッジ100bが装着されたときには、サーマルヘッド5が、第2プラテンローラー104bに対して、第1ヘッド加圧力よりも大きい第2ヘッド加圧力で加圧される。
なお、第1ヘッド加圧バネ23aのバネ定数と第2ヘッド加圧バネ23bのバネ定数とは、同じでもよく、この場合は、第1テープカートリッジ100aが装着された状態でカバー3が閉められた際の第1ヘッド加圧バネ23aの弾性変形量よりも、第2テープカートリッジ100bが装着された状態でカバー3が閉められた際の第2ヘッド加圧バネ23bの弾性変形量を大きくすればよい。これにより、第1テープカートリッジ100aが装着されたときには、サーマルヘッド5が、第1プラテンローラー104aに対して、第1ヘッド加圧力で加圧され、第2テープカートリッジ100bが装着されたときには、サーマルヘッド5が、第2プラテンローラー104bに対して、第1ヘッド加圧力よりも大きい第2ヘッド加圧力で加圧される。
以上のように、変形例のヘッド加圧機構20Aは、第1ヘッド機構40aと、第2ヘッド機構40bとを備えている。第1ヘッド機構40aは、加圧部224aを有する。第1ヘッド機構40aは、カートリッジ装着部4に第1テープカートリッジ100aが装着されたときに、加圧部224aによりサーマルヘッド5を第1プラテンローラー104aに対して加圧する。第2ヘッド機構40bは、サーマルヘッド5が連結され、プラテン軸6の軸方向において加圧部224aとは異なる位置に設けられた連結部224bを有する。第2ヘッド機構40bは、カートリッジ装着部4に第2テープカートリッジ100bが装着されたときに、連結部224bによりサーマルヘッド5を第2プラテンローラー104bに対して加圧する。
この構成によれば、第1テープカートリッジ100aが装着された場合には、加圧部224aを加圧中心として、サーマルヘッド5が第1プラテンローラー104aに対して加圧される。また、第2テープカートリッジ100bが装着された場合には、プラテン軸6の軸方向において加圧部224aとは異なる位置に設けられた連結部224bを加圧中心として、サーマルヘッド5が第2プラテンローラー104bに対して加圧される。したがって、第1プラテンローラー104aに対するサーマルヘッド5の加圧中心と、第2プラテンローラー104bに対するサーマルヘッド5の加圧中心とを、適切に切り替えることができる。
また、ヘッド加圧機構20Aによれば、加圧部224aは、プラテン軸6の軸方向において、第2中心箇所120bよりも、第1中心箇所120aの近くに設けられている。連結部224bは、プラテン軸6の軸方向において、第1中心箇所120aよりも、第2中心箇所120bの近くに設けられている。
この構成によれば、第1プラテンローラー104aが装着された場合には、加圧部224aにより、第1中心箇所120aの近くを加圧中心として、サーマルヘッド5が第1プラテンローラー104aに対して加圧される。これにより、第1プラテンローラー104aに対するサーマルヘッド5の加圧力がプラテン軸6の軸方向において片寄ることが抑制される。また、第2プラテンローラー104bが装着された場合には、連結部224bにより、第2中心箇所120bの近くを加圧中心として、サーマルヘッド5が第2プラテンローラー104bに対して加圧される。これにより、第2プラテンローラー104bに対するサーマルヘッド5の加圧力がプラテン軸6の軸方向において片寄ることが抑制される。
なお、第1ヘッド加圧バネ23aは、本発明の「第1弾性体」の一例である。第2ヘッド加圧バネ23bは、本発明の「第2弾性体」の一例である。第1ヘッド加圧レバー25aは、本発明の「第1弾性側部材」の一例である。第2ヘッド加圧レバー25bは、本発明の「第2弾性側部材」の一例である。