JP5596609B2 - 金属コロイド溶液及びそれを用いた塗料 - Google Patents
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Description
pHを5以下にして金属コロイド粒子を凝集させ、濾別する第二の工程、濾別した金属コロイド粒子をpHが8〜14の範囲の分散媒中に分散させる第三の工程を含んでいる金属コロイド溶液の製造方法である。
実施例
1.第一の工程
50ミリモル/lの濃度の硝酸銀水溶液1000mlを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸3.0gを添加した後、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として400ミリモル/lの濃度の水素化ホウ素ナトリウム水溶液50mlを急速に添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する銀コロイド粒子を溶液中で生成させた。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、銀コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、銀コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した銀コロイド粒子の湿ケーキを濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の銀コロイド溶液(試料A)を得た。
実施例1の第一の工程において、還元剤として用いた水素化ホウ素ナトリウム水溶液を800ミリモル/lの濃度のヒドラジン水溶液50mlに代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料B)を得た。
実施例1の第一の工程において、低分子量の硫黄化合物として用いたメルカプト酢酸を3−メルカプトプロピオン酸3.0gに代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料C)を得た。
実施例1の第一の工程において、低分子量の硫黄化合物として用いたメルカプト酢酸を2−メルカプトエタノール3.0gに代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料D)を得た。
実施例1の第三の工程において、pH調整剤の塩基性物質として用いたアンモニア水を2−アミノエタノールに代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料E)を得た。
実施例1の第三の工程において、pH調整剤の塩基性物質として用いたアンモニア水を水酸化ナトリウム水溶液(10%)に代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料F)を得た。
実施例1の第三の工程において、分散媒として用いた水をエタノール(25%)と水の混合液に代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料G)を得た。
実施例1の第三の工程において、分散媒として用いた水を2−プロパノール(25%)と水の混合液に代えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料H)を得た。
1.第一の工程
50ミリモル/lの濃度の塩化パラジウム水溶液1000mlを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸3.0gを添加した後、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として800ミリモル/lの濃度のヒドラジン水溶液50mlを急速に添加することにより還元反応を行い3−メルカプトプロピオン酸を粒子表面に有するパラジウムコロイド粒子を溶液中で生成させた。尚、塩化パラジウム水溶液は、塩化パラジウム1重量部に対し、0.8重量部の塩化ナトリウムを加えて水に溶解させた。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を塩酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、パラジウムコロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、パラジウムコロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別したパラジウムコロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明のパラジウムコロイド溶液(試料I)を得た。
1.第一の工程
25ミリモル/lの濃度の塩化白金酸水溶液1000mlを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸1.5gを添加した後、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として1600ミリモル/lの濃度のヒドラジン水溶液50mlを急速に添加することにより還元反応を行い3−メルカプトプロピオン酸を粒子表面に有する白金コロイド粒子を溶液中で生成させた。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を塩酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、白金コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、白金コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した白金コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の白金コロイド溶液(試料J)を得た。
1.第一の工程
25ミリモル/lの濃度の塩化金酸水溶液1000mlを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸1.5gを添加した後、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として1200ミリモル/lの濃度のヒドラジン水溶液50mlを急速に添加することにより還元反応を行い3−メルカプトプロピオン酸を粒子表面に有する金コロイド粒子を溶液中で生成させた。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を塩酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、金コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、金コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した金コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の金コロイド溶液(試料K)を得た。
1.第一の工程
50ミリモル/lの濃度の酢酸銅水溶液1000mlを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸3.0gを添加した後、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として800ミリモル/lの濃度の水素化ホウ素ナトリウム水溶液50mlを急速に添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する銅コロイド粒子を溶液中で生成させた。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、銅コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、銅コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した銅コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の銅コロイド溶液(試料L)を得た。
1.第一の工程
還元剤として水素化ホウ素ナトリウム3.8gを水3000mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整した後、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸2.5gを添加し、還元剤と低分子量の硫黄化合物との混合水溶液を調製した。硝酸銀20.0gを水2000mlに溶解し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整した後、室温下、前記の混合水溶液を撹拌しながら30分間かけ全量を添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する銀コロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の硝酸銀に対するモル比は0.85である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、銀コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、銀コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した銀コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の銀コロイド溶液(試料M)を得た。
1.第一の工程
還元剤として80%の濃度のヒドラジン一水和物12.5gを水3000mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整して、還元剤の水溶液を調製した。塩化パラジウム20.8gを、塩化ナトリウム6.6gと共に、水3000mlに溶解し、低分子量の硫黄化合物として3−メチルメルカプトプロピオン酸2.5gを添加し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを10.0に調整した後、室温下、前記の水溶液を撹拌しながら30分間かけ全量を添加することにより還元反応を行い3−メチルメルカプトプロピオン酸を粒子表面に有するパラジウムコロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の塩化パラジウムに対するモル比は1.70である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を塩酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、パラジウムコロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、パラジウムコロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別したパラジウムコロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらアンモニア水(26%)にてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明のパラジウムコロイド溶液(試料N)を得た。
実施例1の第一の工程において、水素化ホウ素ナトリウムを添加することに代え、SHL−100UV型高圧水銀ランプ(東芝製)を用いて3時間光照射し、還元反応を行った以外は実施例1と同様にして本発明の銀コロイド溶液(試料O)を得た。
1.第一の工程
還元剤として水素化ホウ素ナトリウム10.0gを水1500mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整して、還元剤の水溶液を調製した。硝酸銀170.0gを水2000mlに溶解し、低分子量の硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸10.8gを添加し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを13.0に調整した後、室温下、前記の還元剤水溶液を撹拌しながら60分間かけ全量を添加することにより還元反応を行い3−メルカプトプロピオン酸を粒子表面に有する銀コロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の硝酸銀に対するモル比は0.26である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、銀コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、銀コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した銀コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらn−ブチルアミンにてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の銀コロイド溶液(試料P)を得た。
1.第一の工程
還元剤として水素化ホウ素ナトリウム20.0gを水1500mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整して、還元剤の水溶液を調製した。塩化パラジウム177.3gを水2000mlに溶解し、低分子量の硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸10.6gを添加し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを13.0に調整した後、室温下、前記の還元剤水溶液を撹拌しながら60分間かけ全量を添加することにより還元反応を行い3−メルカプトプロピオン酸を粒子表面に有するパラジウムコロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の塩化パラジウムに対するモル比は0.53である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、パラジウムコロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、パラジウムコロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別したパラジウムコロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらn−ブチルアミンにてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明のパラジウムコロイド溶液(試料Q)を得た。
1.第一の工程
還元剤として水素化ホウ素ナトリウム30.0gを水1500mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整して、還元剤の水溶液を調製した。塩化金酸4水和物412.0gを水2000mlに溶解し、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸19.7gを添加し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを13.0に調整した後、室温下、前記の還元剤水溶液を撹拌しながら60分間かけ全量を添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する金コロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の塩化金酸に対するモル比は0.79である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、金コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、金コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した金コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらn−ブチルアミンにてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の金コロイド溶液(試料R)を得た。
1.第一の工程
還元剤として水素化ホウ素ナトリウム40.0gを水1500mlに溶解させ、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを11.0に調整して、還元剤の水溶液を調製した。塩化白金酸6水和物518.0gを水2000mlに溶解し、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸19.5gを添加し、アンモニア水(26%)にて水溶液のpHを13.0に調整した後、室温下、前記の還元剤水溶液を撹拌しながら60分間かけ全量を添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する白金コロイド粒子を溶液中で生成させた。還元剤の塩化白金酸に対するモル比は1.06である。
2.第二の工程
第一の工程で得られた溶液を硝酸(20%)を用いてpHを3.0に調整し、白金コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、白金コロイド粒子の湿ケーキを得た。
3.第三の工程
第二の工程で濾別した白金コロイド粒子の湿ケーキを、濃度が10%になるように水に添加し、撹拌しながらn−ブチルアミンにてpHを9.0に調整して再分散させ、本発明の白金コロイド溶液(試料S)を得た。
実施例1の第一の工程において、メルカプト酢酸を用いなかったこと以外は実施例1と同様に処理したところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散させることができず銀コロイド溶液は得られなかった。
実施例1の第一の工程において、メルカプト酢酸に代え酢酸3.0gを用いたこと以外は実施例1と同様に処理したところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散せず銀コロイド溶液は得られなかった。
実施例1の第一の工程において、メルカプト酢酸に代えクエン酸一水和物3.0gを用いたところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、銀コロイド溶液が得られたが、この溶液には黒色の沈殿物も生成していた。得られた溶液から沈殿物を濾別し、硝酸(20%)にてpHを3.0に調整したが、銀コロイド粒子は沈殿せず、濾別できなかった。
比較例3において、クエン酸一水和物の添加量を50gにしたところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、銀コロイド溶液が得られた。この溶液を硝酸(20%)にてpHを3.0に調整したが、銀コロイド粒子は沈殿せず、濾別できなかった。
実施例9の第一の工程において、3−メルカプトプロピオン酸を用いなかったこと以外は実施例9と同様に処理したところ、ヒドラジン水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散せずパラジウムコロイド溶液は得られなかった。
実施例10の第一の工程において、3−メルカプトプロピオン酸を用いなかったこと以外は実施例10と同様に処理したところ、ヒドラジン水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散せず白金コロイド溶液は得られなかった。
実施例11の第一の工程において、3−メルカプトプロピオン酸を用いなかったこと以外は実施例11と同様に処理したところ、ヒドラジン水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散せず金コロイド溶液は得られなかった。
実施例12の第一の工程において、メルカプト酢酸を用いなかったこと以外は実施例12と同様に処理したところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散せず銅コロイド溶液は得られなかった。
実施例1の第一の工程において、アンモニア水をモノエタノールアミンに代えて用いたこと、メルカプト酢酸を用いなかったこと以外は実施例1と同様に処理したところ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えると、黒色の沈殿物が生成したが、この沈殿物は再分散させることができず銀コロイド溶液は得られなかった。
実施例1の第三の工程において、pH調整を行わなかったこと以外は実施例1と同様に処理したところ、溶液のpHは6.5となり、銀コロイド粒子は再分散せずコロイド溶液が得られなかった。
評価1
実施例1〜19で得られた金属コロイド溶液(試料A〜S)の分散安定性を評価した。評価は金属コロイド溶液中の金属コロイド粒子の初期と、室温にて3ヶ月間貯蔵した後の粒子径を、マイクロトラックUPA9340型粒度分布測定装置(日機装製)を用いて測定することで行った。粒子径は50%個数基準による平均粒子径として表した。また、目視により外観状の変化や沈降物の生成を合わせて確認した。
結果を表1に示す。本発明の金属コロイド溶液は、貯蔵前後でも金属コロイド粒子の分散状態が変わらず、分散安定性に優れたものであることがわかった。また、3ヵ月間貯蔵した後でも、いずれの試料も外観上の変化や沈降物の生成は認められなかった。
実施例16で得られた試料Pを用い、以下の処方をディスパーにより混合して、第一液と第二液からなる本発明の二液性導電性塗料(試料a)を得た。尚、第一液中の水100重量部に対し、アセトアミドの配合量は24重量部である。
第一液
試料P 4.0 g
水 25.0 g
エチレングリコールモノブチルエーテル 5.0 g
アセトアミド 6.0 g
第二液
メチルシリケート51(コルコート社製) 4.6 g
エタノール 9.0 g
2−プロパノール 46.8 g
1−メトキシ−2−プロパノール 173.0 g
水 1.0 g
20%塩酸 0.03g
実施例20において、アセトアミドをジメチルスルホキシドに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料b)を得た。
実施例20において、アセトアミドをN−メチルホルムアミドに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料c)を得た。
実施例20において、アセトアミドをエチレングリコールに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料d)を得た。
実施例20において、アセトアミドを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料e)を得た。
実施例20において、アセトアミドを4−ブチロラクトンに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料f)を得た。
実施例20において、試料Pを実施例17で得られた試料Qに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料g)を得た。
実施例20において、試料Pを実施例18で得られた試料Rに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料h)を得た。
実施例20において、試料Pを実施例19で得られた試料Sに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料i)を得た。
実施例20において、試料Pを試料P3.84gと試料Q0.16gとの混合液に代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料j)を得た。
実施例20において、試料Pを試料P3.84gと試料R0.16gとの混合液に代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料k)を得た。
実施例20において、第一液の処方を下記のものに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料l)を得た。尚、第一液中の水100重量部に対し、アセトアミドの配合量は24.5重量部である。
第一液
試料P 3.2 g
水 25.4 g
スノーテックスN
(日産化学社製、SiO220%含有コロイダルシリカ) 0.4 g
エチレングリコールモノブチルエーテル 5.0 g
アセトアミド 6.0 g
実施例20において、第一液の処方を下記のものに代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料m)を得た。尚、第一液中の水100重量部に対し、アセトアミドの配合量は23.7重量部である。
第一液
試料P 3.2 g
水 25.33g
SN−100S
(石原産業社製、アンチモンドープ酸化錫水分散体) 0.47g
エチレングリコールモノブチルエーテル 5.0 g
アセトアミド 6.0 g
実施例20において、アセトアミドをホルムアミド(表面張力:57×10−3N/m)に代えたこと以外は実施例20と同様にして本発明の二液性導電性塗料(試料n)を得た。
実施例20においてアセトアミドを1−ブタノール(比誘電率:18、表面張力:25×10−3N/m)に代えたこと以外は実施例20と同様にしたところ、第一液に黒色の凝集物が生成し、導電性塗料は得られなかった。
評価2
1片75mm、厚さ3mmの正方形のガラス基板を、50℃の大気中にてスピンコーターにセットし、実施例20〜33で得られた二液性導電性塗料(試料a〜n)の第一液1mlを滴下した後、120rpmで100秒間回転させることで、導電層を塗工した。その後、第二液を同じ条件でスピンコートし、オーブンで大気雰囲気下120℃、30分間で加熱して透明導電性塗膜を得た。得られた塗膜の表面抵抗を表面抵抗計(ロレスタGP型、三菱化学社製)を用い、ヘーズおよび透過率をヘーズメーター(DH−300A型、日本電色工業社製)を用いて計測した。また、塗膜の外観を色ムラにより目視評価した。
表面抵抗、ヘーズ、透過率、塗膜外観の評価結果を表2に示す。得られた塗膜はいずれも導電性が優れ、透明性の高い塗膜であることがわかった。また、塗膜の外観もほぼ良好であり、表面張力が50×10−3N/m以下の非水溶媒を用いると色ムラの認められない良好な外観となることがわかった。
1. 低分子量の硫黄化合物を粒子表面に有する金属コロイド粒子と分散媒とを少なくとも含み、前記金属コロイド粒子を1重量%以上含み、溶液のpHが8〜14の範囲であることを特徴とする金属コロイド溶液。
2. 2〜50重量%の範囲の金属コロイド粒子を含有していることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
3. 金属コロイド粒子を構成する金属が周期表8族及び1B族に属する金属群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
4. 金属コロイド粒子を構成する金属が金、銀、白金、パラジウム、銅から選ばれる少なくとも一種の金属であることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
5. 金属コロイド粒子1重量部に対して0.05〜1.5重量部の範囲の硫黄化合物を有していることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
6. 硫黄化合物が34〜200の範囲の分子量を有する化合物であることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
7. 硫黄化合物がチオール系化合物であることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
8. 硫黄化合物がメルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする1記載の金属コロイド溶液。
9. 低分子量の硫黄化合物を粒子表面に有する金属コロイド粒子を溶液中で生成させる第一の工程、溶液のpHを5以下にして金属コロイド粒子を凝集させ、濾別する第二の工程、濾別した金属コロイド粒子をpHが8〜14の範囲の分散媒中に分散させる第三の工程を含んでいることを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法。
10. 第一の工程が、金属化合物を含んでいる溶液のpHが8〜14の範囲で、低分子量の硫黄化合物の存在下、金属化合物を還元して、金属コロイド粒子を生成する工程であることを特徴とする9記載の金属コロイド溶液の製造方法。
11. 第一の工程が、金属化合物を含んでいる溶液のpHが8〜14の範囲で、低分子量の硫黄化合物を添加し、金属化合物を還元して、金属コロイド粒子を生成する工程であることを特徴とする9記載の金属コロイド溶液の製造方法。
12. 金属コロイド粒子1重量部に対して0.05〜1.5重量部の範囲の硫黄化合物を用いることを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
13. 還元剤を用いて、金属化合物を還元することを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
14. 金属化合物1モルに対して0.2〜50モルの範囲の還元剤を用いることを特徴とする13記載の金属コロイド溶液の製造方法。
15. 金属化合物に光照射して、還元することを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
16. 34〜200の範囲の分子量を有する硫黄化合物を用いることを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
17. 硫黄化合物としてチオール系化合物を用いることを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
18. 硫黄化合物としてメルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールから選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする9〜11のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
19. 1〜8のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液と硬化性樹脂成分を少なくとも含んでいることを特徴とする塗料。
20. 1〜8のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液を少なくとも含んでいる第一液、硬化性樹脂成分を少なくとも含んでいる第二液からなることを特徴とする二液性塗料。
21. 第一液が、水及び35以上の比誘電率を有し、100℃以上の沸点を有する非水溶媒を含んでいることを特徴とする20記載の二液性塗料。
22. 非水溶媒が、50×10 −3 N/m以下の表面張力を有する化合物であることを特徴とする21記載の二液性塗料。
23. 非水溶媒が、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、4−ブチロラクトン、アセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする21記載の二液性塗料。
24. 第一液に含まれる水100重量部に対して15〜900重量部の範囲の非水溶媒を含んでいることを特徴とする21記載の二液性塗料。
25. 20〜24のいずれか一項に記載の二液性塗料の第一液を基材に塗付し金属コロイド粒子を含む層を形成させた後、その上に第二液を塗布し硬化性樹脂成分を硬化させることを特徴とする塗膜の形成方法。
26. 20〜24のいずれか一項に記載の二液性塗料の第一液を物品の表面に塗付し金属コロイド粒子を含む層を形成させた後、その上に第二液を塗布し硬化性樹脂成分を硬化させることを特徴とする塗膜を有する物品の製造方法。
Claims (5)
- メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールから選ばれる少なくとも一種の硫黄化合物を粒子表面に有し、金属コロイド粒子を構成する金属が金、銀、白金、パラジウム、銅から選ばれる少なくとも一種である金属コロイド粒子と、水分散媒とを少なくとも含み、前記金属コロイド粒子を5〜50重量%の範囲で含み、溶液のpHが8〜14の範囲であり、室温で3ヶ月貯蔵した後において粒子径の増大が14.1%以下であることを特徴とする金属コロイド溶液。
- 2〜50重量%の範囲の金属コロイド粒子を含有していることを特徴とする請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 金属コロイド粒子1重量部に対して0.05〜1.5重量部の範囲の硫黄化合物を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金属コロイド溶液。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属コロイド溶液と硬化性樹脂成分を少なくとも含んでいることを特徴とする塗料。
- 塗料が前記金属コロイドを少なくとも含んでいる第一液、及び硬化性樹脂成分を少なくとも含んでいる第二液からなる二液性塗料である、請求項4に記載の塗料。
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