JP5041440B2 - 微粒子分散液の製造方法、及び微粒子分散液 - Google Patents

微粒子分散液の製造方法、及び微粒子分散液 Download PDF

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Description

本発明は、分散性、保存安定性等に優れる、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子が特定の混合溶媒に分散されている微粒子分散液の製造方法、及び微粒子分散液に関する。
ナノサイズ(粒径が1μm以下)の金属微粒子は、バルク材料にはない様々な特異な特性を持つことが知られている。そしてこの特性を生かした様々な工学的応用が、現在、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー等の各分野で、大いに期待されている。
中でも、銅、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、銀等の工業的な汎用金属及びそれらの合金からなるナノサイズの金属微粒子は、導電回路、バンプ、ビア、パッド等の実装部品の形成材料、高密度磁気記憶媒体やアンテナ用の磁性素子、ガス改良フィルタや燃料電池電極用の触媒材料として、大いに期待されている。
このようなナノサイズの金属微粒子を製造する方法としては、大きく気相合成法と液相合成法の2種類の製法が知られている。ここで気相合成法とは、気相中に導入した金属蒸気から固体の金属微粒子を形成する方法であり、他方、液相合成法とは、溶液中に分散させた金属イオンを還元することにより金属微粒子を析出させる方法である。
また、液相合成法においては、一般にその金属イオンを還元するための還元剤を使用する方法と、電気化学的にカソード電極上で還元を行う方法とが知られている。
また、最近では、金属微粒子を含有するインクを使用して、配線パターンをインクジェットプリンタにより印刷し、焼成して配線を形成する技術が注目されている。しかし、インクジェットプリンタのインクとして、金属微粒子を含有するインクを使用する場合、インク中において分散性を長期間保つことが重要である。そのため、インク中において分散性を長期間保つ金属微粒子の製造方法が提案されている。
また、金属微粒子分散液を乾燥後に焼成して金属薄膜又は金属細線を得る方法として下記の特許文献が公開されている。
特許文献1には、銅微粒子を得る方法として、核生成のためのパラジウムイオンを添加すると共に、分散剤としてポリエチレンイミンを添加してポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中でパラジウムを含有する粒径50nm以下の銅微粒子を形成し、ついでこの銅微粒子分散液を用いて、基板上にパターン印刷を行い、4%H−N気流中において250℃で3時間の熱処理を行うことによって、微細な銅の導電膜を形成することが開示されている。
特許文献2には、一次粒径が100nm以下である金属酸化物微粒子を含むインクジェット用インクをインクジェット法により基板上に塗布した後、水素ガス雰囲気下で350℃/1時間の熱処理を施して、酸化第一銅の還元を行い、金属配線のパターンを得ることが開示されている。
特許文献3には、金属の周りに分散剤として有機金属化合物が付着している金属ナノ粒子をスピンコート法により、基板(ガラス)上に塗布し、100℃で乾燥し、250℃での焼成により銀の薄膜を作製することが開示されている。
また、特許文献4には、ジエチレングリコール中に懸濁された、二次粒子の平均粒径500nmの酢酸銅を濃度が30重量%になるように濃縮し、さらに超音波処理を施して、導電性インクとした後、スライドガラス上に塗布して、還元雰囲気で350℃、1時間加熱して銅薄膜を得ることが開示されている。
特開2005−330552号公報 特開2004−277627号公報 特開2005−81501号公報 特開2004−323568号公報
前記した金属イオンを、有機物保護被膜を溶解させた水溶液の中で還元剤の使用により有機物保護被膜で被覆された金属微粒子を形成し、これに凝集促進剤を添加して粒子成分を分離・回収すると共に洗浄して、分子中に1つ以上の水酸基を有するアルコール溶媒に再分散する、金属微粒子分散液の製造方法では、溶媒中への金属微粒子の分散性等になお改良の余地があった。
上記した特許文献1、2をはじめ、特許文献3及び特許文献4における従来の製造方法では、金属粒子の周りに分散剤として有機金属化合物を付着させるか、250〜350℃程度の比較的高温で熱処理をするか、又は熱処理のときに水素ガス等の還元性ガス雰囲気下で行わなければ導電性の金属部材を得ることができないという問題点があった。
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、少なくとも表面の一部が水溶性分散剤で覆われている金属等の微粒子を有機溶媒に分散させる際に、(i)ドナー数(DN)が18以上のアミン系化合物、(ii)特定のアルコールもしくは多価アルコール、及び(iii)特定アクセプター数の有機溶媒もしくは高誘電率の化合物を含む混合有機溶媒を使用すると、分散性と長期保存安定性に優れ、該微粒子分散液を基板上に配置して乾燥後に焼成して金属薄膜、金属細線等を得る際に、還元性ガス雰囲気を必要とせず、比較的低温で焼成が可能であり、得られる金属薄膜、金属細線等は優れた導電性と基板密着性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1の態様は、(1)金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
(a)前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子を、該微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)を含む水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた分散状態で形成する工程(工程a)、次いで
(b)前記水溶液中に凝集促進剤(F)を添加して該微粒子を凝集又は沈殿させて回収する工程(工程b)、
(c)前記回収した該微粒子を前記混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散する工程(工程c)、
を含むことを特徴とする、微粒子分散液の製造方法、に関する。
第1の態様においては、更に下記(2)ないし(9)に記載の態様とすることが出来る。
(2)前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)である、前記(1)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(3)前記有機溶媒(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−nオクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−nオクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−nオクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、および2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上であるアミン系化合物式(A1)である、前記(1)又は(2)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(4)前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、前記(1)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(5)前記有機溶媒(C)がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸から選択されるフッ素化合物(C4)、
又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、前記(1)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(6)前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(1)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(7)前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(8)前記凝集促進剤(F)がエチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(9)前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、前記(1)ないし(8)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
また、本発明の第2の態様は、(10)金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて、
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトレヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
少なくとも下記工程1ないし3を含むことを特徴とする、微粒子分散液の製造方法、に関する。
(a)工程1
少なくとも1種の金属イオンと、前記微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)とを溶解させた水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が分散された水溶液を形成する工程、
(b)工程2
前記微粒子が分散する水溶液中に凝集促進剤(F)又は酸化性物質(G)を添加して撹拌し、該金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を凝集又は沈殿させた後、(i)該凝集もしくは沈殿物を分離すると共に洗浄溶剤により洗浄して回収し、又は(ii)該凝集もしくは沈殿物を分離・回収後に洗浄溶剤により洗浄して、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を得る工程、
(c)工程3
前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)に再分散して、該微粒子が混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)にそれぞれ分散されている微粒子分散液を得る工程。
第2の態様においては、更に下記(11)ないし(20)に記載の態様とすることが出来る。
(11)前記工程1における前記金属イオンが銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上の金属の金属イオンである、前記(10)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(12)前記工程1における前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(10)又は(11)に記載の微粒子分散液の製造方法。
(13)前記工程1における前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、及びトリメチルアミノボランの中から選択される1種又は2種以上である、前記(10)ないし(12)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(14)前記工程2における前記凝集促進剤(F)がエチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(10)ないし(13)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(15)前記工程2で使用する洗浄溶剤が、水、及び/又は分子中に少なくとも1以上の水酸基を有する炭素数1〜6のアルコール又は多価アルコールである、前記(10)ないし(14)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(16)前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、及び芳香族アミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)である、前記(10)ないし(15)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(17)前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、前記(10)ないし(15)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(18)前記有機溶媒(C)が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)、
又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、前記(10)ないし(15)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(19)前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(10)ないし(15)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
(20)前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、前記(10)ないし(19)のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
更に、本発明の第3の態様は、(21)金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて、
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトレヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする、微粒子分散液に関する。
第3の態様においては、更に下記(22)ないし(28)に記載の態様とすることが出来る。
(22)前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)である、前記(21)に記載の微粒子分散液。
(23)前記有機溶媒(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−nオクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−nオクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−nオクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、および2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上であるアミン系化合物式(A1)である、
前記(21)又は(22)に記載の微粒子分散液。
(24)前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、前記(21)に記載の微粒子分散液。
(25)前記有機溶媒(C)がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)、
又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、前記(21)に記載の微粒子分散液。
(26)前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(21)に記載の微粒子分散液。
(27)前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、前記(21)ないし(26)のいずれかに記載の微粒子分散液。
(28)前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、前記(21)ないし(27)のいずれかに記載の微粒子分散液。
本発明の第1の態様のおける「微粒子分散液の製造方法」においては、水溶性分散剤(E)存在下に電解還元、無電解還元等の液相還元により、その表面の少なくとも一部が水溶性分散剤(E)で覆われた、一次粒子の粒径が小さくかつ2次凝集性の少ない微粒子分散液を得た後に、凝集促進剤(F)を添加することにより、該微粒子を凝集又は沈殿させた状態で、ろ過等の操作により分散に寄与しない溶液中に分散している水溶性分散剤(E)を不純物と共に除去することが可能になる。また、回収された微粒子分散液を本発明の特定の混合有機溶媒に再分散することにより、分散性、保存安定性、凝集再分散性等に優れた、微粒子分散液を製造することができる。
また、本発明の第2の態様のおける「微粒子分散液の製造方法」においては、前記第1の態様に加えて、前記凝集又は沈殿させてろ過等で回収した微粒子を洗浄することにより該微粒子中の微量の不純物をより効率よく除去された微粒子分散液を得ることが可能になる。更に、前記方法等により得られる、本発明の第3の態様のおける微粒子分散液は、インクジェット用のインク組成物に使用すると分散性と保存安定性に優れるのでインクジェットヘッドにおけるに微粒子金属の詰まりを防止できる。このような微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して乾燥後に焼成すると、優れた導電性、基板密着性等を有する金属薄膜、金属細線等を得ることができる。
〔1〕第1の態様である「微粒子分散液の製造方法」について
本発明の第1の態様である、「微粒子分散液の製造方法」は、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトレヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
(a)前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子を、該微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)を含む水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた分散状態で形成する工程(工程a)、次いで
(b)前記水溶液中に凝集促進剤(F)を添加して該微粒子を凝集又は沈殿させて回収する工程(工程b)、
(c)前記回収した該微粒子を前記混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散する工程(工程c)、
を含むことを特徴とする。
以下、第1の態様である「微粒子分散液の製造方法」について、詳細に説明する。
(1)金属、合金、及び金属化合物
本発明の第1の態様の「金属、合金、及び金属化合物」は、特に制限されるものではなく、前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択された金属の1種又は2種以上、これらの金属の2種以上からなる合金、及びこれらの金属の1種又は2種以上の金属化合物である。尚、本発明の微粒子を製造する際に金属及び合金の酸化物が含まれてくる場合が多いので、上記金属化合物には、金属及び合金の酸化物も含まれる。
上記金属のうち、Cu、Ag、及びAu等の金属から選ばれた1種もしくは2種以上の金属、又はこれらの金属の2種以上からなる合金が好ましい。
以下に第1の態様の「微粒子分散液の製造方法」に係る工程a〜cについて説明する。
(2)工程a
工程aは、前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子を、該微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)を含む水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた分散状態で形成する工程である。
工程aで使用可能な金属イオンの金属は、第1の態様で例示したと同様の金属のイオンである。
前記金属イオンは、イオン性化合物を使用して形成することができ、該イオン性化合物としては酢酸金属塩、硝酸金属塩、ハロゲン化金属、シアン化金属、ピロリン酸塩、硫酸塩等が挙げられるが、例えば酢酸塩、具体的には酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)等が好適に使用できる。還元反応溶液中の金属イオン濃度は、特に制限はないが、好ましい金属イオン濃度は0.01〜4.0モル/リットル程度が好ましい。
上記液相還元としては、一次粒子の平均粒径が1〜150nmの微粒子が形成できれば電解還元と無電解還元のいずれをも採用することができ、該電解還元と無電解還元方法は、公知の方法を採用することができる。使用した金属イオンは、液相還元されて水溶性分散剤(E)で少なくともその表面の一部が覆われた金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子)として水溶液中に分散して存在する。上記金属、合金、及び金属化合物は第1の態様に記載した金属、合金、及び金属化合物と同様である。
尚、無電解還元の場合に使用する好ましい還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン等が挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。前記還元剤を用いた公知の液相還元により、水溶性分散剤(E)ですこなくとも表面の一部が覆われた微粒子が形成される。
電解還元の場合には、金属イオンを含む水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることによりカソード付近に、下記水溶性分散剤(E)で覆われた微粒子が形成される。
還元反応溶液中で前記微粒子を覆う水溶性分散剤(E)として好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子;ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子;ポリアクリルアミド等のアクリルアミド;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
上記例示した水溶性分散剤(E)の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
上記かっこ内にそれぞれの高分子化合物の数平均分子量を示すが、このような分子量範囲にあるものは水溶性を有するので、本発明の有機物保護被膜として好適に使用できる。尚、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
尚、上記例示した高分子系分散剤の他に、金属配位型分散剤としてチオールが提示でき、界面活性剤型分散剤として、ドデシルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム等が例示できる。
また、水溶性分散剤(E)の添加量は、還元反応溶液に存在する金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上(以下、金属等ということがある。)に対する質量比([(水溶性分散剤(E))/(金属等)]質量比)として0.01〜30が好ましい。水溶性分散剤(E)の添加量比が前記30を超えると溶液の粘性が高くなる場合があり、還元反応終了後の粒子精製に支障をきたす場合がある。一方、前記0.01未満では粒子が粗大化したり、もしくは架橋効果により粒子同士が強固な凝集体を形成したりする場合がある。より好ましい上記添加量比は0.5〜10である。
上記金属イオンの液相還元により生成される微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜150nmであるが、実用的に平均粒径2〜20nmの微粒子を形成することが可能である。
ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する個々の金属等の微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。
尚、微粒子の一次粒子の平均粒径の制御は、金属イオン、水溶性分散剤(E)、還元剤の種類と配合濃度の調整、及び金属イオンを還元反応させる際の、かく拌速度、温度、時間、pH等の調整により行うことが可能である。具体的には、例えば、無電解の液相還元の場合には、水溶液中で、ポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)の存在下に金属イオン(酢酸第二銅等)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する際に、還元温度が80℃程度であれば、一次粒子の平均粒径が100nmの銅微粒子を得ることが可能である。
(3)工程b
工程bは、前記水溶液中に凝集促進剤(F)を添加して該微粒子を凝集又は沈殿させて回収する工程である。
工程bで使用可能な、凝集促進剤(F)は、ハロゲン系炭化水素が好ましく、その具体例として、エチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタン等の中から選択された少なくとも1種が例示できる。
このような凝集促進剤(F)の添加量は、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子質量に対して、([凝集促進剤(mol)]/[金属等質量(g)])比で、0.01〜10が好ましく、0.1〜1.0がより好ましい。
工程bにおいて、微粒子が分散されている水溶液に凝集促進剤(F)を添加して、撹拌した後に静置する場合、例えば凝集促進剤(F)として比重が水よりも大きいクロロホルム等を使用した場合には、撹拌後に、水相からなる上相と、凝集促進剤(F)からなる下相の2相に分離し、金属微粒子は上相である水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する。上記した凝集促進剤(F)の中でもクロロホルムを使用した場合に、特に、金属微粒子表面の化学反応が少なく、かつ被膜が剥離し易いという顕著な効果を得ることができる。
尚、凝集促進剤(F)の比重が水よりも小さい場合には、撹拌後に上相が凝集促進剤相で下相が水相となり、この場合にも金属微粒子は水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する場合がある。
工程bにおける、凝集促進剤(F)添加撹拌後の凝集又は沈殿状態には上記のような水相の下部に微粒子が濃縮されて浮遊状態で存在しているものも含まれる。
尚、凝集促進剤(F)の添加のみでは微粒子から水溶性分散剤(E)のすべては剥離せずに一部は、微粒子を覆う状態で残存して、微粒子が本発明の混合有機溶媒中に再分散された場合に分散性を向上する作用を発揮する。
(4)工程c
工程cは、前記回収した該微粒子を前記混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散する工程である。
再分散方法は、該微粒子を前記混合有機溶媒に添加して、公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズが小さくなる傾向にある。
第1の態様で再際分散に使用する「混合有機溶媒」は、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は(iii)混合有機溶媒(S3)である。
(i)混合有機溶媒(S1)について
混合有機溶媒(S1)は、有機溶媒(A)1〜45体積%、及び有機溶媒(B)55〜99体積%以上含む混合溶媒である。
(i-1)有機溶媒(A)
有機溶媒(A)は、常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である。
常圧における沸点が20℃未満では、揮発性が高いので操作上の不都合を生ずる。
ドナー数は、18以上である、ドナー数が18未満であると水より電子供与性が低くなり、本発明の混合溶媒中に不純物として水が混入した場合、金属粒子と水の相互作用が強くなり粒子の酸化反応が生ずるおそれがある。
混合有機溶媒中(S1)において、有機溶媒(A)は、電子供与性が高いので混合溶媒中で溶媒分子間の相互作用を低下させ、分散粒子の溶媒に対する親和性を向上する作用を発揮して、混合溶媒中で分散性と保存安定性を向上すると考えられる。
ここでドナー数とは、溶媒分子がルイス塩基として作用する際の電子対供与性を表す尺度の一つである。1,2−ジクロロエタン中で10−3mol/L(リットル)のSbClと、溶媒分子とが反応する際のエンタルピーをkcal/mol単位で表したときの絶対値を意味する。
常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、好ましい有機溶媒(A)として、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)が挙げられる。
また、有機溶媒(A)の具体例として、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン(55)、ジエチルアミン、トリエチルアミン(61)、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン(57)、エチレンジアミン(55)、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−nオクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−nオクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−nオクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、および2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上であるアミン系化合物(A1)をあげることができる(上記化合物名の後の括弧内の数字は、代表的な化合物のドナー数を示す)。
(i-2)有機溶媒(B)
有機溶媒(B)は、炭素数が3〜8のアルコール及び/もしくは分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる。
有機溶媒(B)は、混合有機溶媒中で分散性を向上させると共に、時間の経過により微粒子同士が接合するのを抑制する作用を有する。また有機溶媒(B)を混合有機溶媒中に存在させると、その微粒子分散液を基板上に塗布、焼結させる際に、比較的焼結温度が低い温度でも、その焼結膜の均一性が向上し、導電性の高い焼成膜を得ることが出来る。
有機溶媒(B)の具体例として、
イソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、トレハロース等が例示できるが、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
(i-3)混合有機溶媒(S1)の組成について
混合有機溶媒(S1)は、少なくとも有機溶媒(A)1〜45体積%、及び有機溶媒(B)55〜99体積%含む混合溶媒である。有機溶媒(A)は前記1体積%以上で本発明の電子供与性の効果が有効に発揮され、また、前記45体積%以下で有機溶媒(B)との相互作用が強くなるのを抑制して分散性を良好に保つことが出来る。また、有機溶媒(B)が前記55体積%以上で上記微粒子同士が接合するのを効果的に抑制して、上記焼結の再に導電性の高い焼成膜を得ることが可能であり、前記99体積%以下で分散性を向上することができる。
「混合有機溶媒(S1)は、「少なくとも有機溶媒(A)1〜45体積%、及び有機溶媒(B)55〜99体積%含む混合溶媒」とは、混合有機溶媒(S1)が有機溶媒(A)、及び有機溶媒(B)から前記配合割合で100体積%となるように配合されていてもよく、また前記配合割合の範囲内で更に、本発明の効果を損なわない範囲で他の有機溶媒成分を配合してもよいことを意味するが、この場合、有機溶媒(A)、及び有機溶媒(B)からなる成分が90体積%以上含まれていることが好ましく、95体積%以上がより好ましい。
上記以外の他の有機溶媒成分を配合する場合には、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、スルホラン、等の極性有機溶媒が使用できる。
上記した特徴をより効果的に発揮するためには、混合有機溶媒(S1)中の有機溶媒(A)の配合量は、1〜15体積%がより好ましく、また、有機溶媒(B)の配合量は、85〜99体積%がより好ましい。
混合有機溶媒(S1)における、有機溶媒(A)と有機溶媒(B)は、混合後に均一溶液を形成する組み合わせを選択する必要があり、好ましい組み合わせとして、下記(イ)〜(ニ)が例示できる。
(イ)トリエチルアミン+エチレングリコール
(ロ)プロピルアミン+エチレングリコール
(ハ)プロピレンジアミン+エチレングリコール
(ニ)トリエチルアミン+イソプロピルアルコール
(ii)混合有機溶媒(S2)について
混合有機溶媒(S2)は、少なくとも有機溶媒(A)1〜20体積%、有機溶媒(B)40〜80体積%、及び有機溶媒(C)5〜59体積%含む混合溶媒である。
混合有機溶媒(S2)は、混合有機溶媒(S1)に更に有機溶媒(C)が混合されるので、分散性等がより一層向上する。
(ii-1)有機溶媒(A)
有機溶媒(A)の成分は、混合有機溶媒(S1)に記載したのと同様であり、基本的に同様の作用を有している。
(ii-2)有機溶媒(B)
有機溶媒(B)の成分は、混合有機溶媒(S1)に記載したのと同様であり、基本的に同様の作用を有している。
(ii-3)有機溶媒(C)
有機溶媒(C)は、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上である。
有機溶媒(C)は、有機混合溶媒中で分散性を向上する補助的な作用を有すると共に、混合溶媒の粘性と沸点の調整のために添加される。
「アクセプター数を0〜18」とするのは、有機溶媒(A)の電子対供与効果を打ち消すことなく溶媒の粘性や沸点の調整ができるためである。
ここでアクセプター数とは、溶媒の電子受容性を表す尺度の一つである。本発明において、ヘキサンを一方の標準としてこれを0とし、1,2−ジクロロエタン溶液中に(C3PO・SbClを1×10−3mol/Lの濃度で含有するもう一方の標準としてこれを100として、測定する溶媒中におけるトリエチルホスフィンオキシド中の31Pの相対的な化学シフトとして与えられる無次元の数を意味する。
前記有機溶媒(C)として、
n-ヘキサン(0)、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
ベンゼン(8.2)、ニトロベンゼン(14.8)、及びベンゾニトリル(15.5)の中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
四塩化炭素(8.6)、1,2-ジクロロエタン(16.7)、炭酸ジクロロエチレン(16.7)、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
テトラフルオロエチレン、又はトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)
及び、テトラヒドロフラン(8)、2-メチルテトラヒドロフラン、及び3-メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)等が例示でき(上記化合物名の後の括弧内の数字は、代表的な化合物のアクセプター数を示す)、更には酢酸エチル(9.3)、ジグリム(9.9)、ジグライム(10.2)、ジオキサン(10.8)、アセトン(12.5)、モルホリン(17.5)が例示できる(上記化合物名の後の括弧内の数字は、アクセプター数を示す)。これらの化合物を2種以上混合して使用することもできる。
(ii-4)混合有機溶媒(S2)の組成について
「少なくとも有機溶媒(A)1〜20体積%、有機溶媒(B)40〜80体積%、及び有機溶媒(C)5〜59体積%含む混合溶媒である。」とは、有機溶媒(S2)が有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(C)から前記配合割合で100体積%となるように配合されていてもよく、また前記配合割合の範囲内で更に、本発明の効果を損なわない範囲で他の有機溶媒成分を配合してもよいことを意味するが、この場合、有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(C)からなる成分が90体積%以上含まれていることが好ましく、95体積%以上がより好ましい。
上記以外の他の有機溶媒成分を配合する場合には、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、スルホラン、等の極性有機溶媒が使用できる。
上記した特徴をより効果的に発揮するには、混合有機溶媒(S2)中の有機溶媒(A)の配合量は、5〜10体積%がより好ましく、有機溶媒(B)の配合量は、50〜75体積%がより好ましく、また、有機溶媒(C)の配合量は、20〜40体積%がより好ましい。
混合有機溶媒(S2)における、有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(C)は混合後に均一溶液を形成する組み合わせを選択する必要があり、好ましい組み合わせとして、下記(イ)〜(ニ)が例示できる。
(イ)トリエチルアミン+エチレングリコール+テトラヒドロフラン
(ロ)プロピルアミン+エチレングリコール+テトラヒドロフラン
(ハ)プロピレンジアミン+エチレングリコール+テトラヒドロフラン
(ニ)トリエチルアミン+エチレングリコール+ヘキサン
(iii)混合有機溶媒(S3)について
混合有機溶媒(S3)は、少なくとも有機溶媒(A)1〜20体積%、有機溶媒(B)40〜80体積%、及び有機溶媒(D)5〜59体積%含む混合溶媒である。
混合有機溶媒(S3)は、混合有機溶媒(S1)に更に有機溶媒(D)が混合されるので、分散性等がより一層向上する。
(iii-1)有機溶媒(A)
有機溶媒(A)の成分は、混合有機溶媒(S1)に記載したのと同様であり、基本的に同様の作用を有している。
(iii-2)有機溶媒(B)
有機溶媒(B)の成分は、混合有機溶媒(S1)に記載したのと同様であり、基本的に同様の作用を有している。
(iii-3)有機溶媒(D)
有機溶媒(D)は、有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒である。比誘電率が30以上であるのは、主に保存安定性と、微粒子分散液を基板上に塗布して焼成した場合に導電性及び基板密着性を向上するためである。
前記有機溶媒(D)として、
N−メチルプロピオンアミド(176)、N−メチルホルムアミド(182.4)、N−メチルアセトアミド(191.3)、N,N-ジメチルアセトアミド(37.8)、アセトアミドエタノール(96.6)、アセトニトリル(38)、N,N-ジメチルホルムアミド(38.3)、1-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチルプロピレンウレア(36.1)、N,N'-ジメチルエチレンウレア(37.6)、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(37.6)、の中から選択される1種又は2種以上を混合して使用することもできる(上記化合物名の後の括弧内の数字は、20〜25℃における主な化合物の誘電率を示す)。
本発明において、「誘電率」とは、常温での溶媒中の誘電率と真空中の誘電率との比である比誘電率を意味する。比誘電率が大きい溶媒ほど蓄える電気量が大きく、金属粒子間の静電反発効果を向上し分散安定性に寄与する。
(iii-4)混合有機溶媒(S3)の組成について
「少なくとも有機溶媒(A)1〜20体積%、有機溶媒(B)40〜80体積%、及び有機溶媒(D)1〜59体積%含む混合溶媒である。」とは、有機溶媒(S3)が有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(D)から前記配合割合で100体積%となるように配合されていてもよく、また前記配合割合の範囲内で更に、本発明の効果を損なわない範囲で他の有機溶媒成分を配合してもよいことを意味するが、この場合、有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(D)からなる成分が90体積%以上含まれていることが好ましく、95体積%以上がより好ましい。
上記以外の他の有機溶媒成分を配合する場合には、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、スルホラン、等の極性有機溶媒が使用できる。
上記した特徴をより効果的に発揮するには、混合有機溶媒(S3)中の有機溶媒(A)の配合量は、5〜10体積%がより好ましく、有機溶媒(B)の配合量は、50〜75体積%がより好ましく、また、有機溶媒(D)の配合量は、20〜40体積%がより好ましい。
混合有機溶媒(S3)における、有機溶媒(A)、有機溶媒(B)及び有機溶媒(D)は、混合後に均一溶液を形成する組み合わせを選択する必要があり、好ましい組み合わせとして、下記(イ)〜(ニ)が例示できる。
(イ)トリエチルアミン+エチレングリコール+N−メチルプロピオンアミド
(ロ)トリエチルアミン+エチレングリコール+アセトアミドエタノール
(ハ)プロピルアミン+エチレングリコール+アセトアミドエタノール
(ニ)プロピレンジアミン+エチレングリコール+アセトアミドエタノール
(5)金属、合金、及び金属化合物の形状
有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)及び混合有機溶媒(S3)中に分散されている微粒子の平均粒径は、金属薄膜、金属細線等の使用目的を考慮すると1〜150nmが望ましい。このような微粒子は後述する第2と第3の態様に記載するような金属イオンの液相還元反応、又は公知の還元反応により形成することができる。また、本発明の混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)及び混合有機溶媒(S3)は、微粒子の分散性に優れているので、これらの微粒子からなる2次凝集粒子の平均2次凝集サイズを500nm以下、好ましくは300nm以下とすることは容易に可能である。
尚、該二次凝集サイズは、動的光散乱型粒度分布測定装置(シスメックス(株)(Sysmex Corporation )製、型式:ゼータサイザーナノシリーズ(Zetasizer Nano Series) Nano-ZS等を使用した粒度分布測定で評価することができる。
(6)かくして得られた混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)に、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が分散されている微粒子分散液は、分散性と保存安定性に優れ、更に該微粒子分散液を基板に塗布して乾燥後、加熱焼成すると優れた基板密着性を発揮するので、優れた基板密着性と導電性を有する金属薄膜、金属細線等を得ることができる。
〔2〕第2の態様である「微粒子分散液の製造方法」について
本発明の第2の態様である「微粒子分散液の製造方法」は、
金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて、
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
少なくとも下記工程1ないし3を含むことを特徴とする。
(a)工程1
少なくとも1種の金属イオンと、前記微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)とを溶解させた水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が分散された水溶液を形成する工程、
(b)工程2
前記微粒子が分散する水溶液中に凝集促進剤(F)又は酸化性物質(G)を添加して撹拌し、該金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を凝集又は沈殿させた後、(i)該凝集もしくは沈殿物を分離すると共に洗浄溶剤により洗浄して回収し、又は(ii)該凝集もしくは沈殿物を分離・回収後に洗浄溶剤により洗浄して、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を得る工程、
(c)工程3
前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)に再分散して、該微粒子が混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)にそれぞれ分散されている微粒子分散液を得る工程。
以下に第2の態様の「微粒子分散液の製造方法」に係る工程1〜3について説明する。
(1)工程1
工程1は、少なくとも1種の金属イオンと、前記微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)とを溶解させた水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が分散された水溶液を形成する工程である。
工程1で使用可能な金属イオンの金属は、第1の態様で例示したと同様の金属のイオンであり、還元反応で形成される微粒子表面の少なくとも一部を覆う水溶性分散剤(E)とその配合割合は、第1の態様の工程aで説明したのと同様である。
また、液相還元反応、還元反応により生成する、水溶性分散剤(E)で覆われた金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子も第1の態様の工程aで説明したのと同様であり、還元反応により、水溶性分散剤(E)で少なくともその表面の一部が覆われた、一次粒子の平均粒径が1〜150nmの金属等微粒子を形成する。
(2)工程2
工程2は、前記微粒子が分散する水溶液中に凝集促進剤(F)又は酸化性物質(G)を添加して撹拌し、該金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を凝集又は沈殿させた後、(i)該凝集もしくは沈殿物を分離すると共に洗浄溶剤により洗浄して回収し、又は(ii)該凝集もしくは沈殿物を分離・回収後に洗浄溶剤により洗浄して、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を得る工程である。
工程2で使用可能な、凝集促進剤(F)は、ハロゲン系炭化水素であり、その具体例として、エチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタン等の中から選択された少なくとも1種が例示できる。
このような凝集促進剤(F)の添加量は、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子質量に対して、([凝集促進剤(mol)]/[金属等質量(g)])比で、0.01〜10が好ましく、0.1〜1.0がより好ましい。
また、酸化性物質(G)として、前記水溶液中に酸素ガスを吹き込んで該微粒子を凝集又は沈殿させて回収することも可能である。
工程2において、微粒子が分散されている水溶液に凝集促進剤(F)を添加して、撹拌した後に静置する場合、例えば凝集促進剤(F)として比重が水よりも大きいクロロホルム等を使用した場合には、撹拌後に、水相からなる上相と、凝集促進剤(F)からなる下相の2相に分離し、金属微粒子は上相である水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する。尚、凝集促進剤(F)の比重が水よりも小さい場合には、撹拌後に上相が凝集促進剤相となり、下相が水相となり、この場合にも金属微粒子は水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する場合がある。
工程2における、凝集促進剤添加撹拌後の凝集又は沈殿状態には上記のような水相の下部に微粒子が濃縮されて浮いている状態も含まれる。
尚、凝集促進剤を添加する前の微粒子が分散している水溶液には、添加した水溶性分散剤(E)が存在していてそのうちの一部は微粒子を覆っている状態で存在していると推定される。上記した凝集促進剤(F)の中でもクロロホルムを使用した場合に、特に、金属微粒子表面の化学反応が少なく、かつ被膜が剥離し易いという顕著な効果を得ることができる。
尚、凝集促進剤(F)の添加のみでは微粒子から保護被膜のすべては剥離せず、その後の微粒子を分離した後の洗浄溶剤による洗浄で剥離が更に進行すると推定される。
また、工程2で使用可能な酸化性物質(G)として、酸素ガス、過酸化水素、硝酸等が例示できる。上記酸化性物質(G)の添加により、水溶性分散剤(E)の分散作用が低下して水溶液中の一次微粒子の二次凝集が進行し、凝集又は沈殿物となる。尚、この場合、水溶性分散剤(E)は二次凝集粒子の表面を覆うように存在していると推定され、混合有機溶媒に再分散した際の二次凝集程度が低いことから、酸化性物質(G)の添加による微粒子表面からの水溶性分散剤(E)の脱離は少ないものと推定される。
前記凝集又は沈殿物は遠心分離等の操作によりろ過して回収される。液相還元で還元剤を使用した場合等、不純物を除去する必要がある場合には、水又はアルコールによる洗浄を行い、不純物を除去して水溶性分散剤(E)でその表面が覆われた微粒子を得ることができる。
工程2における(i)「該凝集又は沈殿物を分離すると共に洗浄溶剤により洗浄して回収」する操作は、例えば遠心分離機に該凝集又は沈殿物を供給すると共に、洗浄溶剤でリンスすることにより微粒子を回収できる。
また、(ii)「該凝集又は沈殿物を分離・回収後に溶剤により洗浄」する操作は、ろ過、遠心分離操作等により微粒子を分離・回収した後に洗浄溶剤により洗浄し、その後更にろ過、遠心分離操作等により微粒子を回収できる。
このような洗浄に使用可能な好ましい洗浄溶剤として、水、及び/又は分子中に少なくとも1以上の水酸基を有する炭素数1〜6のアルコール又は多価アルコールが挙げられ、溶剤洗浄により、後述する工程3において、分散性と低温焼結性に優れた該微粒子分散液を得ることができる。
工程2の操作の一例をあげると、工程1で得られた、水溶性分散剤(E)で少なくともその表面の一部が覆われた、一次粒子の平均粒径1〜150nmの該微粒子を含む水溶液中に、クロロホルムを凝集促進剤(F)として添加して撹拌後に粒子成分を凝集又は沈殿させる。該凝集又は沈殿物を遠心分離機等の使用により粒子成分を回収する。回収された粒子成分を上記洗浄溶剤を用いた複数回の洗浄により、還元剤、沈殿凝集剤等を除去する。
(3)工程3
工程3は、前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散して、該微粒子がこれらの混合溶媒に分散されている微粒子分散液を得る工程である。
第3の態様における、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)にそれぞれ使用する溶媒種とその配合割合は、第1の態様に記載したのと同様である。
上記微粒子を混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散する方法としては、公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均2次凝集サイズが小さくなる傾向にある。
(4)微粒子分散液
上記再分散された微粒子分散液は、製造後使用されるまで保管されるが、本発明の微粒子分散液は保存安定性に優れているのが特徴である。
かくして得られた一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に分散されている微粒子分散液は、例えば200℃程度の比較的低温でかつ水素ガス等の還元剤を使用することなくインクジェットにより基板上に配置して、乾燥後焼成して、導電性を有する金属含有薄膜又は金属含有細線を形成することが可能である。
上記基板は特に制限はなく使用目的等により、ガラス、ポリイミド等が使用でき、乾燥と焼成は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われる。乾燥条件は、使用する極性溶媒にもよるが例えば100〜200℃で15〜30分程度であり、焼成条件は、塗布厚みにもよるが例えば190〜250℃で20〜40分間程度、好ましくは190〜220℃で20〜40分間程度である。
このようにして得られる金属含有薄膜又は金属含有細線は、導電性を有しており、その電気抵抗値は、1.0Ωcm以下で例えば、1.0×10−5Ωcm〜10×10−4Ωcm程度を達成することが可能である。更に、上記金属含有薄膜は、基板密着性にも優れている。
〔3〕第3の態様である「微粒子分散液」について
本発明の第3の態様である「微粒子分散液」は、
金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて
(i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
(ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
炭素原子数6〜10、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
(iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
に分散されていること特徴とする。
(1)金属、合金、及び金属化合物
第3の態様の「金属、合金、及び金属化合物」は、第1の態様に記載した金属、合金、及び金属化合物と同様である。
(2)混合有機溶媒(S1)、(S2)、及び(S3)
第1の態様に記載したと同様である。
(3)水溶性分散剤(E)
水溶性分散剤(E)は、第1の態様に記載したと同様である。
微粒子は、一次粒子の平均粒径が1〜150nmであり、二次凝集している微粒子の少なくとも表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われているものである。
該分散液中で微粒子表面を覆っている水溶性分散剤(E)の量は、上記工程において、微粒子の混合有機溶媒等への分散後に微粒子(P)との重量比(D/P)が0.001〜10とする必要があるが、上記した操作を行うことにより、微粒子(P)を混合有機溶媒等に分散した場合に、上記重量比(D/P)は0.001〜10とすることが可能であり、微粒子(P)は混合有機溶媒等に良好に分散される。
(4)金属、合金、及び金属化合物の形状
混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)及び混合有機溶媒(S3)中に分散されている微粒子の平均粒径は、金属薄膜、金属細線等の使用目的を考慮すると1〜150nmが望ましい。このような微粒子は後述する第1と第2の態様に記載するような金属イオンの液相還元反応、又は公知の還元反応により形成することができる。また、本発明の混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)及び混合有機溶媒(S3)は、微粒子の分散性に優れているので、これらの微粒子からなる2次凝集粒子の平均2次凝集サイズを500nm以下、好ましくは300nm以下とすることは容易に可能である。
(5)第3の態様である微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して、乾燥後、加熱焼成すると、優れた基板密着性と導電性を有する金属薄膜、金属細線等を得ることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に記載される方法に限定されるものではない。
尚、以下の実施例、比較例における評価方法を以下に記載する。
(1)微粒子分散液中の1次粒子の平均粒径
透過電子顕微鏡による観察から求めた。
(2)透過度分散性
微粒子分散液をフィルタを通して、透過した分散液の中の微粒子量を、透過前の微粒子分散液中の微粒子量で除して得られた「透過度」から2次凝集性を評価した。
すなわち、後述する撹拌が終了してから30分経過後に、網目20μmのフィルタを用いて、調製した微粒子分散液を透過させ、透過した微粒子分散液中の微粒子量を測定した。2次凝集性が大きくなると、凝集した微粒子は網目20μmのフィルタを透過する量が少なくなるので、透過度は低下する。
「透過度」の具体的な評価は下記の方法によった。
まず、フィルタ透過前の分散溶液4mlをホットプレート上で加熱し液体を完全に蒸発させ固形分のみの重量(x)を測定した。そしてフィルタを透過させた後の分散溶液4mlをホットプレート上で加熱し液体を完全に蒸発させ固形分のみの重量(y)を測定した。
(y/x)×100(%)が透過度である。
◎:透過度90%以上
○:透過度80%以上、90%未満
△:透過度70%以上、80%未満
×:透過度70%未満
(3)焼成膜の電気抵抗
焼成膜の電気抵抗値は、直流四端子法(使用測定機:Keithley社製、デジタルマルチメータDMM2000型(四端子電気抵抗測定モード))を用いて測定した。
電気抵抗値の評価は下記の方法によった。
◎:10×10-5[Ω・cm]未満
○:10×10-5[Ω・cm]以上、5×10-4[Ω・cm]未満
△:5×10-4[Ω・cm]以上、10×10-4[Ω・cm]未満
×:1×10[Ω・cm]以上
[実施例1、比較例1]
本願発明の混合有機溶媒(S1)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
始めに水溶性分散剤で少なくともその表面の一部が覆われた銅微粒子を次の手順で調製した。
先ず、銅微粒子の原料として酢酸銅((CHCOO)Cu・1HO)0.2gを蒸留水10mlに溶解させた酢酸銅水溶液10mlと、金属イオン還元剤として5.0mol/リットル(l)となるように水素化ホウ素ナトリウムと蒸留水とを混合した水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlを調製した。その後、上記水素化ホウ素ナトリウム水溶液に、水溶性分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)0.5gを添加して、攪拌溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で、上記酢酸銅水溶液10mlを滴下した。
この混合液を約60分間よく攪拌しながら反応させた結果、銅微粒子が水溶液中に分散した微粒子分散液が得られた。
次に、上記方法で得られた銅微粒子が分散した分散液100mlに、凝集促進剤としてクロロホルムを5ml添加してよく攪拌した。数分間攪拌した後、反応液を遠心分離機に入れ、銅微粒子を沈殿回収した。その後、得られた粒子と30mlの蒸留水とを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく攪拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収する水洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と30mlの1−ブタノールとを入れよく攪拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収するアルコール洗浄を3回行った。
以上の工程により回収された銅微粒子を、本発明の有機溶媒(A)としてトリエチルアミン(ドナー数:61)と、有機溶媒(B)としてエチレングリコールとを、表1の実施例1−1〜4に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させ、さらに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えることで、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミンとエチレングリコールとを、表1に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
上記で得られた微粒子分散液中の微粒子の平均粒径(1次粒子)を透過電子顕微鏡による観察により測定したところ15μmであった。またその2次凝集サイズを、フィルタを通した後の微粒子分散液の濃淡により評価した結果を表1に示す。この結果、実施例1−1〜5、および比較例1−1〜2ともに、その微粒子の平均粒径は15nmから20nmと大きく変化しないものの、その凝集性およびその分散効率は大きく異なり、実施例1−1〜5において銅微粒子を本発明の有機溶媒(A)と有機溶媒(B)からなる混合溶媒(混合有機溶媒(S1))に分散させることで、分散性の高い微粒子分散液が得られることが確認された。
一方、比較例1−1、2では分散性が低かった。
上記で調製した銅ナノ粒子分散液を撹拌が終了後60分経過後に、それぞれガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上に塗布後、170℃で60分間乾燥した後、窒素雰囲気中210℃で1時間熱処理することによって焼成膜を得た。得られた焼成膜に対し、その電気抵抗を測定した。
実施例1−1〜5において優れた電気抵抗が得られたが、比較例1−2では電気抵抗は劣っていた。
また、比較例1−3として、(株)アルバック製、銅ナノ粒子分散液(商品名:Cuナノメタルインク「Cu1T」)を同様にガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上に塗布した後、窒素雰囲気中210℃で1時間熱処理することによって焼成膜を得てその電気抵抗を測定したところ、絶縁的であった。
Figure 0005041440
[実施例2、比較例2]
本願発明の混合有機溶媒(S2)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A)としてトリエチルアミン、有機溶媒(B)としてエチレングリコール、及び有機溶媒(C)としてテトラヒドロフランを、表2の実施例2−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン(ドナー数:61)、エチレングリコール及びテトラヒドロフラン(アクセプター数:8)とを、表3に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例2−1〜7の結果を纏めて表2に示す。又、比較例2−1〜6の結果を纏めて表3に示す。
実施例2−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例2−1〜6においてはいずれも分散性が低かった。
実施例2−1〜7において優れた電気抵抗が得られたが、比較例2−3〜5においては焼結膜の電気抵抗は劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440
[実施例3、比較例3]
本願発明の混合有機溶媒(S3)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A)としてトリエチルアミン(ドナー数:61)、有機溶媒(B)としてエチレングリコール、及び有機溶媒(D)としてN−メチルプロピオンアミド(20℃における誘電率:176)を、表4の実施例3−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン、エチレングリコール及びN−メチルプロピオンアミドとを、表5の比較例3−1〜6に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例3−1〜7の結果を纏めて表4に示す。又、比較例3−1〜6の結果を纏めて表5に示す。
実施例3−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例3−1〜6においては少なくとも分散性と電気抵抗のいずれかが劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440
[実施例4]
実施例1で得られた銅微粒子が分散した分散液100mlに酸素ガスを5分間吹き込んだ後、ガラス製容器にいれ、室温下で24時間静置することにより、銅微粒子が沈殿した水溶液を得た。該水溶液を遠心分離機に入れ、銅微粒子を回収した。その後、試験管に回収した微粒子と蒸留水30mlを入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく攪拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収する洗浄操作を1度行うことで、水溶性分散剤でその表面が覆われた銅微粒子を得た。
表6に示す、有機溶媒(A1)としてトリエチルアン、有機溶媒(B)としてエチレングリコール、及び有機溶媒(C5)としてテトラヒドロフランからなる混合有機溶媒(S2)に相当する溶媒に実施例1に記載する方法で再分散させ、実施例1に記載する分散性と電気抵抗について評価を行った。
評価結果を表6に示す。実施例4−1〜2ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。
Figure 0005041440
[実施例5、比較例4]
本願発明の混合有機溶媒(S3)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A1)としてトリエチルアミン(ドナー数:61)、有機溶媒(B)としてエチレングリコール、及び有機溶媒(D)としてN−メチルアセトアミド(20〜25℃における誘電率:191.3)を、表7の実施例5−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例4として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン、エチレングリコール及びN−メチルアセトアミドとを表8の比較例4−1〜6に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例5−1〜7の結果を纏めて表7に示す。又、比較例4−1〜6の結果を纏めて表8に示す。
実施例5−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例4−1〜6においては少なくとも分散性と電気抵抗のいずれかが劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440
[実施例6、比較例5]
本願発明の混合有機溶媒(S1)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A1)としてトリエチルアミン(ドナー数:61)とトリエタノールアミン、及び有機溶媒(B)としてエチレングリコールを、表9の実施例6−1〜4に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例5として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン、トリエタノールアミン及びエチレングリコールとを表9の比較例5−1〜3に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例6−1〜4の結果を纏めて表9に示す。又、比較例5−1〜3の結果を纏めて表9に示す。
実施例6−1〜4ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例5−1〜3においては分散性と電気抵抗のいずれも劣るものであった。
Figure 0005041440
[実施例7、比較例6]
本願発明の混合有機溶媒(S3)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A1)としてトリエタノーアミン、有機溶媒(B)としてエチレングリコール、及び有機溶媒(C)としてテトラヒドロフランを、表10の実施例7−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。また比較例6として、上述の銅微粒子を、トリエタノーアミン、エチレングリコール及びテトラヒドロフランとを表11の比較例6−1〜6に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例7−1〜7の結果を纏めて表10に示す。又、比較例6−1〜6の結果を纏めて表11に示す。
実施例7−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例6−1〜6においては少なくとも分散性と電気抵抗のいずれかが劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440
[実施例8、比較例7]
本願発明の混合有機溶媒(S3)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A1)としてトリエチルアミン、他の有機溶媒としてエタノール、有機溶媒(B)としてグリセリン、及び有機溶媒(D)としてN−メチルアセトアミドを、表12の実施例8−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。また比較例7して、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン、エタノール、グリセリン、及びN−メチルアセトアミドとを表13の比較例7−1〜6に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例8−1〜7の結果を纏めて表12に示す。又、比較例7−1〜6の結果を纏めて表13に示す。
実施例8−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例7−1〜6においては少なくとも分散性と電気抵抗のいずれかが劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440
[実施例9、比較例8]
本願発明の混合有機溶媒(S2)に相当する混合溶媒を使用した実施例及びその比較例を、銅微粒子分散液の分散性と、微粒子分散液をインクジェットにより基板上に配置して焼成した際の導電性の評価を以下の通りに行った。
(1)銅微粒子分散液の調製
本発明の有機溶媒(A1)としてトリエチルアミン、有機溶媒(B)としてグリセリン、及び有機溶媒(C)としてテトラヒドロフランを、表14の実施例9−1〜7に示す体積割合で混合した混合有機溶媒を使用した以外は実施例1に記載したと同様の方法により、本発明の微粒子分散液を得た。
また比較例8として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミン、グリセリン、及びテトラヒドロフランとを表15の比較例8−1〜6に示す体積割合で混合した溶媒10mlにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた微粒子分散液も調製した。
(2)銅微粒子分散液の分散効率性の評価
得られた微粒子分散液について、実施例1、比較例1に記載したと同様の方法で評価した。
実施例9−1〜7の結果を纏めて表14に示す。又、比較例8−1〜6の結果を纏めて表15に示す。
実施例9−1〜7ではいずれも、分散性と焼結膜の電気抵抗に優れた効果を有することが確認された。一方、比較例8−1〜6においては少なくとも分散性と電気抵抗のいずれかが劣るものであった。
Figure 0005041440
Figure 0005041440

Claims (28)

  1. 金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて
    (i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
    並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
    (ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
    並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
    炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
    炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)
    及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
    の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
    (iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
    に分散されていることを特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
    (a)前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子を、該微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)を含む水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた分散状態で形成する工程(工程a)、次いで
    (b)前記水溶液中に凝集促進剤(F)を添加して該微粒子を凝集又は沈殿させて回収する工程(工程b)、
    (c)前記回収した該微粒子を前記混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)、又は混合有機溶媒(S3)に再分散する工程(工程c)、
    を含むことを特徴とする、微粒子分散液の製造方法。
  2. 前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)である、請求項1に記載の微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記有機溶媒(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−nオクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−nオクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−nオクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、および2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上であるアミン系化合物式(A1)である
    請求項1又は2に記載の微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の微粒子分散液の製造方法。
  5. 前記有機溶媒(C)がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
    ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
    四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
    テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)、
    又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、請求項1に記載の微粒子分散液の製造方法。
  6. 前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記凝集促進剤(F)がエチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  10. 金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて、
    (i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
    並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
    (ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
    並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
    炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
    炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
    及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
    の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
    (iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
    に分散されていること特徴とする、微粒子分散液の製造方法であって、
    少なくとも下記工程1ないし3を含むことを特徴とする、微粒子分散液の製造方法。
    (a)工程1
    少なくとも1種の金属イオンと、前記微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤(E)とを溶解させた水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により金属イオンを還元して、該水溶性分散剤(E)で覆われた、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が分散された水溶液を形成する工程、
    (b)工程2
    前記微粒子が分散する水溶液中に凝集促進剤(F)又は酸化性物質(G)を添加して撹拌し、該金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を凝集又は沈殿させた後、(i)該凝集もしくは沈殿物を分離すると共に洗浄溶剤により洗浄して回収し、又は(ii)該凝集もしくは沈殿物を分離・回収後に洗浄溶剤により洗浄して、金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を得る工程、
    (c)工程3
    前記金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子を、混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)に再分散して、該微粒子が混合有機溶媒(S1)、混合有機溶媒(S2)又は混合有機溶媒(S3)にそれぞれ分散されている微粒子分散液を得る工程。
  11. 前記工程1における前記金属イオンが銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上の金属の金属イオンである、請求項10に記載の微粒子分散液の製造方法。
  12. 前記工程1における前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項10又は11に記載の微粒子分散液の製造方法。
  13. 前記工程1における前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、及びトリメチルアミノボランの中から選択される1種又は2種以上である、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  14. 前記工程2における前記凝集促進剤(F)がエチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項10ないし13のいずれかに記載の微粒子分散液の製造方法。
  15. 前記工程2で使用する洗浄溶剤が、水、及び/又は分子中に少なくとも1以上の水酸基を有する炭素数1〜6のアルコール又は多価アルコールである、請求項10ないし14のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  16. 前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、及び芳香族アミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)、である、請求項10ないし15のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  17. 前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、請求項10ないし15のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  18. 前記有機溶媒(C)がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−クタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
    ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
    四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
    テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)、
    又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、
    請求項10ないし15のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  19. 前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項10ないし15のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  20. 前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、請求項10ないし19のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法。
  21. 金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである微粒子が、少なくともその表面の一部が水溶性分散剤(E)で覆われて
    (i)常圧における沸点が20℃以上でかつドナー数が18以上である、アミン系化合物(A1)の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(A)1〜45体積%、
    並びに、炭素数が3〜8のアルコール及び/又は分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコールからなる有機溶媒(B)55〜99体積%を含む混合有機溶媒(S1)、
    (ii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、
    並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除くアクセプター数が0〜18である、
    炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素(C1)、
    炭素原子数6〜10の、置換基を有しない、又はアルキル基、アリール基、ニトロ基、もしくはニトリル基を有する芳香族炭化水素(C2)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子で置換された、又は酸素原子を有する塩素化合物(C3)、
    炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素の水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された、又は酸素原子を有するフッ素化合物(C4)、
    及び、テトラヒドロフラン系化合物(C5)、
    の中から選択される1種又は2種以上の有機溶媒(C)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S2)、又は
    (iii)前記有機溶媒(A)1〜20体積%、前記有機溶媒(B)40〜80体積%、並びに、前記有機溶媒(A)及び有機溶媒(B)を除く20℃における比誘電率が30以上の有機溶媒(D)5〜59体積%を含む混合有機溶媒(S3)、
    に分散されていること特徴とする、微粒子分散液。
  22. 前記有機溶媒(A)が脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン系化合物(A1)である、請求項21に記載の微粒子分散液。
  23. 前記有機溶媒(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−nオクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−nオクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−nオクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、および2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上であるアミン系化合物式(A1)である、
    請求項21又は22に記載の微粒子分散液。
  24. 前記有機溶媒(B)がイソプロピルアルコール、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上である、請求項21に記載の微粒子分散液。
  25. 前記有機溶媒(C)がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びi−オクタンの中から選択される1種又は2種以上である脂肪族炭化水素(C1)、
    ベンゼン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルの中から選択される1種又は2種以上である芳香族炭化水素(C2)、
    四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、炭酸ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロアセトン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及びトリフルオロ酢酸の中から選択される1種又は2種以上である塩素化合物(C3)、
    テトラフルオロエチレン、もしくはトリフルオロ酢酸であるフッ素化合物(C4)、
    又は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、及び3−メチルテトラヒドロフランの中から選択される1種又は2種以上であるテトラヒドロフラン系化合物(C5)である、請求項21に記載の微粒子分散液。
  26. 前記有機溶媒(D)がN−メチルプロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N,N’−ジメチルエチレンウレア、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン中から選択される1種又は2種以上である、請求項21に記載の微粒子分散液。
  27. 前記水溶性分散剤(E)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項21ないし26のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
  28. 前記金属が、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上、前記合金が前記金属の2種以上からなる合金、並びに前記金属化合物が前記金属及び合金の酸化物である、請求項21ないし27のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
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