JP5578211B2 - 金属ナノ粒子保護ポリマー、金属コロイド溶液及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメントと親水性セグメントとを含有するポリマー、又はこれに更に疎水性セグメントを含有するポリマーを金属ナノ粒子の保護剤として用いる、金属コロイド溶液、その製造方法、並びに当該ポリマーとその製造方法に関する。
金属ナノ粒子は1〜数百ナノメートルの粒径を有するナノ粒子であり、その比表面積が著しく大きいことから、多分野から着目され、電子材料、触媒、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用が期待されている。
プリント配線板や半導体デバイスの製造は、専らフォトリソグラフプロセスを経て製造されているが、煩雑な多段階の製造工程を有していることから、近年開発が進んでいる金属ナノ粒子を、何らかの媒体に分散させてインキ配合物とし、これを各種の印刷方法でパターニングして、デバイスとして組上げる塗布型電子デバイスの製造技術に注目が集まっている。
このような技術をプリンテッドエレクトロニクスと呼ぶが、この手法は電子回路パターンや半導体素子を、roll−to−rollで大量生産できる可能性があること、オンデマンド性、工程の単純化と省資源化による経済性が期待されており、表示デバイス、発光デバイス、ICタグ(RFID)等の安価な製造方法に発展するとして期待されているものである。このプリンテッドエレクトロニクスに用いる導電材料インクとしては、金、銀、白金、銅などの金属ナノ粒子を成分とした導電性インクが用いられることが可能であるが、経済性と取扱の容易さから銀ナノ粒子及びそのインキが先行して開発されている。
銀ナノ粒子の金属がナノサイズまで小さくなると、バルク銀に比べて比表面積が格段に高くて表面エネルギーが増大するため、相互に融着して表面エネルギーを低下させようとする傾向が強い。その結果、バルク銀の融点よりはるかに低い温度で粒子相互が融着する。これを量子サイズ効果(久保効果)と呼ぶことがあるが、ここに銀ナノ粒子を導電材料とするメリットがある。しかし反面、その金属ナノ粒子同士の融着し易さが金属ナノ粒子の安定化を損ない、保存安定性が悪くなるため、金属ナノ粒子を安定化させるためには、該融着を防止するために保護剤で保護する必要がある。
一般的に、ナノ材料(ナノメートルオーダーの大きさを有する化合物一般)は、その大きさゆえに特殊なプロセスを経て製造されることから高価になりがちで、これが普及を妨げる一因となっている。金属ナノ粒子についても低コストに製造するためには、真空プロセスのような特殊な装置を必要としない液相還元法が有利である。液相還元法は、金属化合物を溶媒中で還元剤と反応させて還元して金属ナノ粒子を得る方法であるが、その際、生成する金属ナノ粒子の形状及び粒径の制御、かつ安定な分散状態を形成させるため、分散安定剤又は保護剤とも呼ばれる化合物の存在下で還元を行なう技術が開示されている。その保護剤は専ら、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、塩基性窒素原子を有する複素環、ヒドロキシ基、カルボキシル基など、金属粒子に配位することができる官能基を持つように設計された高分子化合物であることが多い(例えば、特許文献1参照)。
前述の如く、良好な低温融着現象が期待される金属ナノ粒子を製造するためには、適切な金属ナノ粒子の形状及び粒径の制御、分散安定性などが得られる保護剤を用いることになる。しかし、保護剤は融着したバルク金属に対しては抵抗成分として導電性能を低下させるため、使用量によっては、良好な低温焼成性(金属ナノ粒子含有導電インキを塗布した薄膜を100〜150℃で焼成して得られる比抵抗が、10-6Ωcmオーダーを示す性能)が発現しにくくなってしまうという問題がある。このように、導電材料の設計という観点からは、保護剤には、粒子を小さく製造する能力、更にこれを安定分散させる能力、焼結時には速やかに粒子表面から離脱して金属ナノ粒子相互の融着障害にならない能力、が必要であると共に、金属ナノ粒子の製造の観点からは、生成された金属ナノ粒子を容易に精製分離できる能力という複数の性質を同時に具備させる必要がある。このような保護剤としての使用が可能として、ソルスパース(ゼネカ社商標)やフローレン(共栄社化学社商標)などの市販の高分子顔料分散剤や、顔料親和性基(アミン)を主鎖/側鎖に持ち、かつ複数の溶媒和部分を有する高分子や、ポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分を有する共重合体の高分子を用いる技術が提供されているが、これだけではこれらを同時に実現することは困難であり、さらなる改良が必要である(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開2004−346429号公報 特開平11−080647号公報 特開2006−328472号公報 特開2008−037884号公報
本発明が解決しようとする課題は、良好な金属ナノ粒子制御能力、高い分散安定性、良好な低温焼成性、および金属ナノ粒子の容易な精製分離性という複数の性質を意図的に付加・調節して、より実用的な導電性を発現できる金属ナノ粒子保護ポリマー、金属コロイド溶液、並びにそれらの製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、ポリエチレンイミンを含むポリアルキレンイミンセグメントとポリオキシアルキレン鎖を含む親水性セグメントが結合した二元系高分子、又は前記の二元系高分に更にエポキシ樹脂などの疎水性セグメントが結合した三元系高分子が、金属ナノ粒子の製造に有効であることを既に開示している(前記特許文献4等)。しかしながら、この技術では、高度なレベルで前記性能を兼備できるものではなかったことにより、更に鋭意検討した結果、ポリアルキレンイミンセグメント中の窒素原子に対し、これを酸化処理してなるポリマーを用いることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、1分子中に、ポリアルキレンイミン中の窒素原子が酸化されてなるポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と、親水性セグメント(B)とを有することを特徴とする金属ナノ粒子保護ポリマー、その製造方法、およびこれを保護剤としてなる金属ナノ粒子含有複合体が媒体中に分散してなる金属コロイド溶液、およびその製造方法を提供するものである。
本発明で得られる金属コロイド溶液は、良好な低温焼成性を示す。このような低温での良好な導電性能は、本発明で使用する保護ポリマーが低温で速やかに金属ナノ粒子の表面から離脱しやすくなったことによるものである。また、この特定の保護ポリマーの存在下で得られる金属ナノ粒子の粒子径は充分に小さく、単分散粒径で粒径分布も狭く、良好な保存安定性を示す。これは、保護ポリマーにおけるN−オキシド構造部分の金属への高い配位結合力等によって、金属ナノ粒子を保護すると共に、媒体への分散性をポリマー中の親水性セグメント又は疎水性セグメントとによって発現されるものであり、分散体としての分散安定性を損なうことがなく、溶媒中で長期に渡り安定な分散状態を保持するものである。
本発明において、金属コロイド溶液を製造する場合、金属ナノ粒子を還元によって得たのち、不純物を取り除く精製分離方法工程においては、生成された金属ナノ粒子と保護ポリマーとからなる複合体の分散液に貧溶剤を加える簡単な操作のみで当該複合体が容易に沈降分離するが、これは保護ポリマーの強い会合力によるものであり、複雑な工程や緻密な条件設定等をほとんど必要としないため、工業的製法として優位性が高いものである。
また本発明で得られる金属コロイド溶液における金属ナノ粒子は、比表面積が大きい、表面エネルギーが高い、プラズモン吸収を有する等の金属ナノ粒子としての特徴、さらに自己組織化高分子分散体が有する分散安定性、保存安定性等の性質を効率よく発現でき、導電性ペースト等として求められる、種々の化学的、電気的、磁気的性能を兼備し、多岐にわたる分野、例えば触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用が可能である。
本発明の金属ナノ粒子保護ポリマーは、ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と、親水性セグメント(B)とを有する高分子化合物、又はポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と、親水性セグメント(B)と、疎水性セグメント(C)とを有する高分子化合物である。このような構造を有する保護ポリマーで保護されてなる金属ナノ粒子の分散体(金属コロイド溶液)は、分散安定性、導電特性に優れ、金属ナノ粒子が有する発色、触媒、電気的機能等、様々な金属含有機能性分散体としての能力を有している。
本発明における保護ポリマー中のポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)は、該セグメント中のアルキレンイミンN−オキシド単位が金属又は金属イオンと配位結合可能であることから、金属をナノ粒子として固定化できるセグメントである。本発明で得られる金属ナノ粒子が当該保護ポリマーで保護されてなる複合体を親水性溶媒中で製造或いは保存する場合には、該溶媒中で親水性を示すポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と親水性セグメント(B)とを有することで、得られる金属コロイド溶液に特に優れた分散安定性と保存安定性を発現させることができる。
工業的な製法の観点からは、金属化合物を媒体中に溶解あるいは分散させ、これを還元して生成される金属ナノ粒子を前記保護ポリマーで保護してなる複合体の簡単な精製分離方法は重要であり、反応後の溶液に貧溶剤のアセトンなどを加えて沈降分離する方法を採用することが好ましい。本発明の保護ポリマーのアルキレンイミンN−オキシド単位は、高い極性から貧溶剤環境下、速やかに金属ナノ粒子含有複合体同士の会合を進行させる働きがあり、大きい会合集団のブロックを作りながら、容易に沈降分離する。
また、金属ナノ粒子含有複合体の分散液である金属コロイド溶液そのもの、あるいはこの溶液を導電性インキに調整してなる導電材料を、基材上に印刷や塗布した後の焼結過程では、保護ポリマー中のアルキレンイミンN−オキシド単位は4級アミンと同様に、その結合力が弱いことから、低温でも容易に金属ナノ粒子表面からデキャップリングされることになり、この結果として良好な低温焼成性を示すものである。
本発明の金属コロイド溶液における分散体(複合体)の粒径は、用いる保護ポリマーの分子量やポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)の重合度だけではなく、該保護ポリマーを構成する各成分、即ち、ポリアルキレンイミンN−オキシド鎖(A)、後述する親水性セグメント(B)、後述する疎水性セグメント(C)の構造や組成比によっても影響を受ける。
前記ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)の重合度としては特に限定されるものではないが、低すぎると、保護ポリマーとしての金属ナノ粒子の保護能力が不十分になることがあり、高すぎると金属ナノ粒子と保護ポリマーとからなる複合体粒子の粒子径が大きくなることがあり、保存安定性に支障をきたすこととなる。従って、金属ナノ粒子の固定化能力や、分散体粒子の巨大化を防ぐ能力等がより優れたものとするためには、前記ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)のアルキレンイミンユニット数(重合度)としては通常1〜10,000の範囲であり、5〜2,500の範囲であることが好ましく、5〜300の範囲であることが最も好ましい。
前記ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)は、その前駆体構造である、ポリアルキレンイミンセグメント中のアルキレンイミン部分を酸化することで簡単に得られ、具体的には酸化剤との接触によって得ることができる。当該ポリアルキレンイミンからなるセグメントは一般的に市販、又は合成可能なものであれば、特に限定されることなく使用することができるが、工業的な入手の容易さ等から、分岐状ポリエチレンイミン、分岐状ポリプロピレンイミンであることが好ましく、特に分岐状ポリエチレンイミンからなるものであることが好ましい。
本発明の保護ポリマーを構成する親水性セグメント(B)は、金属コロイド溶液として水等の親水性媒体を用いるものである場合には、溶媒との高い親和性を有し、コロイド溶液の保存安定性を保持するセグメントである。また疎水性溶媒を用いる場合には、該親水性セグメント(B)の分子内又は分子間相互の強い会合力により、分散体粒子のコアを形成する役割を有する。親水性セグメント(A)の重合度としては特に限定されるものではないが、親水性溶媒を用いる場合は、重合度が低すぎると保存安定性が悪化し、高すぎると凝集してしまう可能性が考えられ、また疎水性溶媒を用いる場合には、重合度が低すぎると分散体粒子の会合力が乏しくなり、高すぎると溶媒との親和性を保持できなくなる。これらの観点から、親水性セグメント(B)の重合度としては通常1〜10,000であり、3〜3,000であることが好ましく、製造方法の容易さ等の点から5〜1,000であることがより好ましい。さらに親水性セグメントがポリオキシアルキレン鎖である場合の重合度としては5〜500であることが特に好ましい。
親水性セグメント(B)は一般的に市販、又は合成可能な親水性のポリマー鎖からなるものであれば特に限定されることなく使用することができる。特に親水性溶媒を用いる場合では、安定性に優れたコロイド溶液が得られる点から、ノニオン性のポリマーからなるものであることが好ましい。
親水性セグメント(B)としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類からなるポリマー鎖、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の水溶性のポリ(メタ)アクリル酸エステル類からなるポリマー鎖、ポリアセチルエチレンイミン、ポリアセチルプロピレンイミン、ポリプロピオニルエチレンイミン、ポリプロピオニルプロピレンイミン等の親水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン鎖、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のポリアクリルアミド類からなるポリマー鎖等を挙げることができ、これらの中でも、安定性に特に優れたコロイド溶液が得られ、また、工業的入手が容易である点から、ポリオキシアルキレン鎖であることが好ましい。
本発明においては、保護ポリマー中に更に疎水性セグメント(C)を有していてもよい。特に金属コロイド溶液として媒体を有機溶剤とする場合には、疎水性セグメント(C)を有するポリマーを保護剤として用いることが好ましい。
疎水性セグメント(c)は一般的に市販、又は合成可能な疎水性の化合物の残基からなるものであれば特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリクロロメチルスチレン、ポリブロモメチルスチレン等のポリスチレン類、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルエステル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシルエステル等の非水溶性のポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリベンゾイルエチレンイミン、ポリベンゾイルプロピレンイミン、ポリ(メタ)アクリロイルエチレンイミン、ポリ(メタ)アクリロイルプロピレンイミン、ポリ〔N−{3−(パーフルオロオクチル)プロピオニル}エチレンイミン〕、ポリ〔N−{3−(パーフルオロオクチル)プロピオニル}プロピレンイミン〕等の疎水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン類のポリマーの残基や、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート等の樹脂の残基等が挙げられ、単独の化合物の残基でも、2種以上の異なる化合物を予め反応させて得られる化合物の残基であっても良い。これらの中でも、保護ポリマーの合成が工業的に容易である観点、並びに得られた金属コロイド溶液を印刷や塗布する際の基材との密着性に優れる観点より、エポキシ樹脂由来の構造からなるもの、特には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂由来の構造からなる疎水性セグメント(C)であることが好ましい。
また、疎水性セグメント(C)の重合度としては特に限定されるものではないが、通常1〜10,000であり、ポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、疎水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン類等の場合には3〜3,000であることが好ましく、10〜1,000であることがより好ましい。また、エポキシ樹脂、ポリウレタン類、ポリカーボネート類等の樹脂の残基からなる場合は、その重合度としては通常1〜50であり、1〜30であることが好ましく、特に1〜20であることが好ましい。
本発明の金属ナノ粒子保護ポリマーの製造方法は、その前駆体化合物(I)として、ポリアルキレンイミンセグメントと親水性セグメント(B)を有する化合物、あるいは、ポリアルキレンイミンセグメントと親水性セグメント(B)と疎水性セグメント(C)とを有する化合物を用い、これを酸化剤で処理する方法である。このような方法を用いることにより、設計通りの保護ポリマーを容易に得ることができる。前駆体化合物(I)の製法については、前記特許文献4及び、特開2006−213887号公報に記載されている方法をそのまま使用することができる。
このような前駆体化合物(I)を得てから、その中に含まれるポリアルキレンイミンセグメント中の窒素原子を酸化処理する。酸化は、上記前駆体化合物(I)の水溶液にペルオキシド構造(−O−O−、−N−O−)を有する化合物、例えば過酸化水素、金属過酸化物、無機過酸及びその塩、有機ペルオキシ化合物並びに有機過酸及びその塩などの過酸化物を加えることでなされる。
過酸化水素は、通常30〜50%の過酸化水素水として工業的に供給されるものを使うことができる。金属過酸化物の例としては、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛などが入手しやすく、同様に用いることが出来る。無機過酸及びその塩としては、過硫酸、過炭酸、過リン酸、次過塩素素酸、オキソン(デュポン社登録商標、過硫酸水素カリウムを主体とする酸化剤)、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過炭酸ナトリウム等を使用することができる。有機ペルオキシ化合物並びに有機過酸及びその塩としては、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ安息香酸、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、1,2−ジメチルジオキシラン、デービス試薬(2−(フェニルスルフォニル)−3−アリールオキサジリジン)などが挙げられ、これらも使用することができる。これらの酸化剤のうち、とりわけ好適に用いることができるのは、入手と取り扱いが容易で、安価な30%過酸化水素水、過硫酸アンモニウム、オキソン、過酢酸である。
上記に挙げた酸化剤は、1個の窒素原子に対して酸素原子1個を与えることが出来る。第3級及び第2級アミンとは1対1での反応を想定すればよい。第1級アミンとの反応には複雑さが想定され、酸化剤1分子との反応にとどまらず、さらに次の酸化剤との反応が考えられる。このようなことを念頭に置き、酸化剤の量を検討した結果、前駆体化合物(I)中のポリアルキレンイミンセグメント中の全ての窒素原子数の10.5〜100%、に対応する酸化剤を添加したときに、良好な導電性、分散安定性及び容易な精製分離性を示す保護ポリマーが得られることが分かった。
特にポリアルキレンイミンセグメントが、分岐状ポリアルキレンイミン化合物に基づくものである場合には、第一級、第二級及び第三級のアミンが均等かつランダムに含まれており、これらに酸化剤を反応させた場合、第三級アミンはアミンオキシド(C−N+(O)(−C)−C)のみへ、第二級アミンは、アミンオキシド(C−HN+(O)−C)と反応条件によって更に反応が進み、ヒドロキシルアミン(C−N(OH)−C)、及びその酸化体であるニトロン(C=C−N+(O)−C)へ、第一級アミンはヒドロキシルアミン(C−NH(OH))、ニトロソ(C−NO)、ニトロ(C−NO)への可能性から、得られる保護ポリマーには少量ながら以上の構造も含みうると推定される。このような複雑な酸化状態であることは、得られる保護ポリマーの保護能力に少なからず影響を与えるものではあるが、ことさら混合状態について配慮し、単独構造にする必要はなく、むしろ、このような混合状態をとりうる分岐状ポリアルキレンイミンセグメントを酸化処理したものであることが、得られる金属コロイド溶液の保存安定性やこれを用いて得られる塗膜の低温焼結性の観点から好ましいものである。
本発明の金属ナノ粒子保護ポリマーは、金属ナノ粒子を安定に存在させることが出来るポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)とは別に、親水性セグメント(B)又は、更に疎水性セグメント(C)を有する。上記したように、親水性セグメント(B)は、疎水性溶媒中で強い会合力を示し、親水性溶媒中では溶媒と高い親和性を示し、また、疎水性セグメント(C)は親水性溶媒中で強い会合力を示し、疎水性溶媒中では溶媒と高い親和性を示す。さらには、疎水性セグメント(C)中に芳香環を有する場合には、該芳香環の有するπ電子が金属と相互作用することによって、さらに金属ナノ粒子を安定化することに寄与するとも考えられる。
本発明の金属ナノ粒子保護ポリマー中のポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と親水性セグメント(B)の各成分の鎖を構成するポリマーのモル比(A):(B)としては特に限定されるものではないが、得られるコロイド溶液の分散安定性及び保存安定性に優れる点から、通常1:(1〜100)の範囲であり、特に1:(1〜30)が好ましい。また、疎水性セグメント(C)をも有するポリマーの場合、ポリアルキレンイミンN−オキシドセグメント(A)と親水性セグメント(B)、疎水性セグメント(C)の各成分の鎖を構成するポリマーのモル比(A):(B):(C)としては特に限定されるものではないが、得られるコロイド溶液の分散安定性及び保存安定性に優れる点から、通常1:(1〜100):(1〜100)の範囲であり、特に1:(1〜30):(1〜30)が好ましい。以上のことから本発明の金属ナノ粒子保護ポリマーの重量平均分子量は1,000〜500,000の範囲であることが好ましく、1,000〜100,000の範囲であることが特に好ましい。
本発明の保護ポリマーは、各種媒体に分散又は溶解して金属コロイド溶液の製造に用いる。媒体として用いる事ができるものは、限定されるものではなく、分散体がO/W系であっても、W/O系のいずれも場合でもよい。金属コロイド溶液の製造方法や得られる金属コロイド溶液の使用目的等に応じて親水性溶媒、疎水性溶媒、またはその混合溶媒、或いは後述するようなその他の溶媒を併用する混合溶媒を種々選択して用いる事ができる。混合溶媒を用いる場合は混合比をO/W系の時は親水性溶媒を多く、W/O系の時は疎水性溶媒を多くして用いる。混合比は用いる種類によって異なるので、一概に限定することはできないが、一般的な目安として例を挙げるとO/W系の時は疎水性溶媒の5倍容量以上の親水性溶媒を用い、W/O系の時は親水性溶媒の5倍容量以上の疎水性溶媒を用いることが好ましい。
親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルフォンオキシド、ジオキシラン、N−メチルピロリドン等を挙げることができ、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
疎水性溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ブタノール、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、メトキシベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
親水性溶媒、或いは疎水性溶媒と混合して用いることができるその他の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
前記金属ナノ粒子保護ポリマーを媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではなく、通常、室温で静置、又は攪拌によって、容易に得ることが出来るが、必要に応じて超音波処理、過熱処理等を行ってもよい。また保護ポリマーの結晶性等により、媒体とのなじみが低い場合には、例えば、保護ポリマーを少量の良溶媒で、溶解又は膨潤させた後、目的とする媒体中へ分散させる方法でもよい。このとき、超音波処理又は過熱処理を行うとより効果的である。
親水性溶媒と疎水性溶媒を混合して用いる場合は、その混合方法、混合順序等特に制限を加える必要はなく、種々の方法で行ってよい。用いる保護ポリマーの種類や組成等によって各種溶媒との親和性、分散性に違いが生じることがあるので、目的に応じて、溶媒の混合比、混合順序、混合方法、混合条件等を適宜選択することが好ましい。
本発明の金属コロイド溶液の製造方法は、前述の保護ポリマーの溶液あるいは分散液中で、金属イオンを還元して金属ナノ粒子とするものであり、金属イオンのソースとしては、金属の塩又は金属のイオン溶液が挙げられる。金属イオンのソースとしては、水溶性金属化合物であればよく、金属カチオンと酸基アニオンとの塩類のもの、あるいは金属が酸基のアニオン中に含まれるものなどを用いることができ、遷移金属等の金属種を有する金属イオンを好ましく使用できる。
遷移金属系イオンとしては、それが遷移金属カチオン(Mn+)であっても、またはハロゲン類結合からなるアニオン(ML n−)であっても、錯体状態で好適に配位させることができる。なお、本明細書において遷移金属とは、周期表第4〜12族で第4〜6周期にある遷移金属元素を指す。
遷移金属カチオンとしては、下記の遷移金属のカチオン(Mn+)、例えば、Cr,Co,Ni,Cu,Pd,Ag,Pt,Au等の一価、二価、三価または四価のカチオンなどが挙げられる。これら金属カチオンの対アニオンは、Cl,NO,SO、またはカルボン酸類の有機アニオンのいずれであってもよい。
さらに、下記の金属が含まれたアニオン(ML n−)、例えば、AgNO、AuCl,PtCl,CuF等の、金属がハロゲンに配位されたアニオンも好適に錯体状態で配位させることができる。
これら金属イオンの中でも、特に銀、金、白金の金属イオンは、室温または加熱状態で自発的に還元され、非イオン性の金属ナノ粒子に変換されるため好ましい。また、得られる金属コロイド溶液を導電材料として用いる場合には、導電性の発現能力や、印刷・塗装して得られる被膜の酸化防止性の観点により、銀のイオンを用いることが好ましい。
また含有させる金属種を2種類以上とすることも可能である。この場合は、多種の金属の塩またはイオンを同時に、または別々に加えることによって、媒体中で多種の金属イオンが還元反応をおこし、多種の金属粒子が生成するため、多種金属を含有するコロイド溶液を得ることが出来る。
本発明においては、更に還元剤により、金属イオンを還元させてもよい。
前記還元剤としては、種々の還元剤を用いる事ができ、特に限定されるものではなく、得られる金属コロイド溶液の使用用途や、含有させる金属種等により還元剤を選択することが好ましい。用いる事ができる還元剤としては、例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニウム等のホウ素化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類、アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム等の酸類、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン等のアミン類、ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン類等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手のし易さ、取扱い面等からより好ましいものとしては、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール等である。
本発明の金属コロイド溶液の製造方法において、保護ポリマーと金属イオンのソースとの使用割合としては、特に限定されるものではないが、該保護ポリマー中のポリアルキレンイミンN−オキシドセグメントを形成する全窒素原子数を100molとしたとき、金属として通常1〜20,000molの範囲であり、1〜10,000molの範囲であることが好ましく、特に、50〜7,000molであることが好ましい。
本発明の金属コロイド溶液の製造方法において、保護ポリマーが分散又は溶解している媒体と、金属の塩又はイオン溶液とを混合する方法としては、特に限定されるものではなく、該保護ポリマーが分散又は溶解している媒体に金属の塩又はイオン溶液を加える方法、その逆の方法、或いは別の容器に同時に投入しながら混合する方法でもよい。攪拌等の混合方法についても、特に限定されない。
また、還元剤の添加方法は限定されるものではなく、例えば、還元剤をそのまま、又は水溶液やその他の溶媒に溶解、分散させて混合させることができる。また還元剤を加える順序についても限定されることはなく、予め保護ポリマーの溶液又は分散液に還元剤を添加しておいても、金属の塩又はイオン溶液を混合するときに同時に還元剤を加えてもよく、さらには、保護ポリマーの溶液又は分散液と金属の塩又はイオン溶液とを混合した後、数日或いは数週間経過した後、還元剤を混合する方法であってもよい。
本発明の製造方法で使用する金属の塩またはそのイオン溶液を、保護ポリマーが分散又は溶解している媒体中に加える時は、O/W系またはW/O系にかかわらず、そのまま、または水溶液に調整して加えるとよい。銀、金、パラジウム、白金等の金属イオンはポリマー中のアルキレンイミンN−オキシド単位に配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため、そのまま室温または加温して、静置または攪拌により、金属ナノ粒子となり、これが保護ポリマーで保護された複合体の分散液である金属コロイド溶液を得ることが出来るが、前述のように金属イオンの還元を効率的に行なうために、還元剤を用いることが好ましく、室温または加温して、静置または攪拌により、金属コロイド溶液が得られる。このとき、還元剤はそのまま、又は水溶液に調整しておくことが好ましい。加温する場合の温度としては、保護ポリマーの種類や使用する金属、媒体、還元剤の種類等によって異なるが、一般的には100℃以下、好ましくは80℃以下である。
上述のように、金属イオンを還元することにより、金属ナノ粒子が析出すると共に、この粒子の表面を前記保護ポリマーで保護して安定化するものである。この還元反応後の溶液には、還元剤、金属イオンのカウンターイオン、金属ナノ粒子の保護に関与していない保護ポリマーなどの不純物が含まれており、このままでは導電材料として十分な性能を発現させることができない。したがって、前記不純物等を除去する精製工程が必要であるが、本願発明の保護ポリマーはその保護能力が高いことにより、反応液に貧溶媒を加えて、金属ナノ粒子が保護ポリマーで保護されてなる複合体を効率よく沈殿させることが可能である。沈殿した複合体は、遠心分離等の工程を用いて濃縮あるいは単離することもできる。濃縮した後は、金属コロイド溶液の用途等に応じて、所望の媒体で不揮発分(濃度)を調製し、種々の用途へ適用する。
本発明で得られる金属コロイド溶液中の金属ナノ粒子の含有量としては、特に限定されるものではないが、含有量が少なすぎるとコロイド溶液としての金属ナノ粒子の特性が現れにくく、また多すぎるとコロイド溶液中の金属ナノ粒子の相対重量が増し、その相対重量と保護ポリマーの分散力との兼ね合いによって、コロイド溶液の安定性が不足することが予想される観点、ならびに、保護ポリマー中のアルキレンイミンN−オキシド単位による、還元能力や配位能力等の観点から、該金属コロイド溶液中の不揮発分含有率としては、10〜80質量%の範囲であることが好ましく、特に20〜70質量%の範囲であることが好ましい。その不揮発分中における金属ナノ粒子の含有率としては、コロイド溶液を導電材料として使用する際の導電性の発現能力等の観点より、93質量%以上であることが好ましく、特に95質量%以上であることが好ましい。
本発明で得られる金属コロイド溶液における不揮発分に含まれる金属ナノ粒子の粒子径としては、特に限定されるものではないが、金属コロイド溶液がより高い分散安定性を有するためには、該金属ナノ粒子の粒子径は1〜70nmの微粒子であることが好ましく、5〜50nmの範囲であることがより好ましい。
一般に数十nmのサイズ領域にある金属ナノ粒子は、その金属種に応じて、表面プラズモン励起に起因する特徴的な光学吸収を有する。従って、本発明で得られる金属コロイド溶液のプラズモン吸収を測定することによって、該溶液中には、金属がナノメートルオーダーの微粒子として存在していることを確認することが出来、更には、該溶液をキャストして得られる膜のTEM(透過電子顕微鏡)写真等にて、その平均粒径や分布幅等を観測することも可能である。
本発明で得られる金属コロイド溶液は、あらゆる媒体中で長期間安定に分散しているため、その用途としては限定されるものではなく、例えば、触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等の非常に幅広い分野で使用可能である。含有させうる金属種やその割合も、容易に調整可能である点から、目的に応じた効果を効率的に発現可能である。更に、長期にわたり安定に分散している点からも、長期使用・長期保存に対応できるものであって、有用性が高い。また本発明の金属コロイド溶液の製造方法は、複雑な工程や緻密な条件設定等をほとんど必要としないため、工業的製法として優位性が高いものである。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断わりがない限り「%」は「質量%」を表わす。
以下の実施例中、用いた機器類及び測定方法については下記のとおりである。
H−NMR:日本電子株式会社製、AL300、300Hz
粒子径測定:大塚電子株式会社製、FPAR−1000
プラズモン吸収スペクトル:日立製作所株式会社製、UV−3500
H−NMRによる保護ポリマーの構造確認
保護ポリマーの溶液約3mLを濃縮し、十分減圧乾燥した後、残渣を例えば、0.03%テトラメチルシラン含有重クロロホルムなどのNMR測定用溶剤の約0.8mLに溶かし、これを外径5mmのガラス製NMR測定用サンプル管に入れ、JEOL JNM−LA300型核磁気共鳴吸収スペクトル測定装置によりH−NMRスペクトルを取得した。化学シフト値δは、テトラメチルシランを基準物質として表わした。
動的光散乱法による粒子径測定
金属コロイド溶液の一部を精製水で希釈し、FPAR−1000型濃厚系粒径アナライザー(大塚電子株式会社製)により、粒子径分布、平均粒子径を測定した。
熱重量分析による不揮発物中の金属含有量測定
金属コロイド溶液約1mLをガラスサンプル瓶にとり、沸騰水浴上で窒素気流下加熱濃縮し、残渣を更に50℃、8時間以上真空乾燥して不揮発物を得た。この不揮発物2〜10mgを熱重量分析用アルミパンに精密にはかり、EXSTAR TG/DTA6300型示差熱重量分析装置(セイコーインスツル株式会社製)に載せ、空気気流下、室温から500℃まで毎分10℃の割合で昇温して、加熱に伴う重量減少率を測定した。不揮発物中の銀含量は以下の式で計算した。
金属含有量(%)=100−重量減少率(%)
金属コロイド溶液から得られる金属薄膜の抵抗率測定
金属コロイド溶液を、2.5×5cmの清浄なガラス板の上部に約0.5mL滴下し、バーコーター8番を用いて塗膜とした。作製した塗膜を風乾後、125℃及び180℃の熱風乾燥機中で30分間加熱して焼成塗膜とした。得られた焼成塗膜の厚みを、オプテリクスC130型リアルカラーコンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製)を用いて計測し、続いて表面抵抗率(Ω/□)をロレスタ−EP MCP−T360型低抵抗率計(三菱化学(株)製)を用いて、JIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験」に準拠して測定した。塗膜厚みは、上記条件によればほぼ0.3μmの一定値を示し、この厚みと表面抵抗率(Ω/□)から体積抵抗率(Ωcm)を次式により算出した。
体積抵抗率(Ωcm)=表面抵抗率(Ω/□)×厚み(cm)
合成例1 トシル化ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの合成
窒素雰囲気下、メトキシポリエチレングリコール[Mn=2,000]20.0g(10.0mmol)、ピリジン8.0g(100.0mmol)、クロロホルム20mlの混合溶液に、p−トルエンスルホン酸クロライド9.6g(50.0mmol)を含むクロロホルム(30ml)溶液を、氷冷撹拌しながら30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度40℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム50mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、5%塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、そして飽和食塩水溶液100mlで順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をヘキサンで数回洗浄した後、濾過、80℃で減圧乾燥して、トシル化された生成物22.0gを得た。
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm)=7.8(d,2H,J=7.8Hz,トシル基)、7.3(d,2H,J=7.8,トシル基)、4.2(t,2H,J=4.2Hz,スルホン酸エステル隣接位)、3.6−3.5(m,PEGMメチレン)、3.4(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)2.4(s,3H,トシル基メチル).
合成例2 保護ポリマー(1)の前駆体:ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の合成
上記合成例1で得られたトシル化ポリエチレングリコール19.3g(9.0mmol)と、分岐状ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、エポミン SP200)30.0g(3.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド270mlに溶かし、炭酸カリウム0.18gを加え、窒素雰囲気下で100℃、6時間攪拌した。反応終了後、固形物を除去した後、70℃で減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル200mlとヘキサン600mlの混合物を加えて沈殿物を得た。該沈殿物をクロロホルム120mlに溶解し、再度酢酸エチル200mlヘキサン600mlの混合溶媒を加えて再沈させた。これを濾過分離し、減圧下で乾燥すると淡黄色の固形物が47.1g得られた(収率97%)。
得られた生成物のH−NMR、13C−NMR、15N−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm)=3.60(m,PEGMメチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.70〜2.40(m,分岐PEIエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=39.0(m)、46.0(m)、48.0(m)、51.0(m)、53.0(m)、56.0(m)(以上分岐PEIエチレン)、59.0(s)、70.0(m)、71.5(m)(以上PEGMメチレン及び末端メトキシ基).
15N−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=16.0(m)、27.0〜33.0(m)
元素分析の測定結果:C(53.9%)、H(10.4%)、N(18.2%)
合成例3 保護ポリマー(2)の前駆体:ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール−b−ビスフェノールA型エポキシ樹脂の合成
EPICLON AM−040−P(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量933)37.4g(20mmol)、4−フェニルフェノール2.72g(16mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解後、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムのエタノール溶液0.52mLを加え、窒素雰囲気下、120℃で6時間反応させた。放冷後、多量の水中に滴下し、得られた沈殿物を多量の水で洗浄した。残渣を減圧乾燥し、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収率は98%であった。H−NMR測定を行いエポキシ基の積分比を考察した結果、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1分子にエポキシ環は0.95個残っており、生成物がビスフェノールA骨格を有する単官能性のエポキシ樹脂であることを確認した。
得られた単官能性のエポキシ樹脂のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.55〜6.75(m),4.40〜3.90(m),3.33(m),2.89(m),2.73(m),1.62(s)
合成例2で得られたポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体20g(0.8mmol)のメタノール(150mL)溶液に、上記変性エポキシ樹脂3.2g(1.6mmol)のアセトン(50mL)溶液を窒素雰囲気下で滴下後、50℃で2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、さらに減圧乾燥することにより、ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール−b−ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。収率は100%であった。
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm)=7.55〜6.75(m),4.40〜3.90(m),3.60(m),3.25(s),2.70〜2.40(m),1.62(s).
実施例1 保護ポリマー(1)の前駆体の酸化1(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の酸化反応1):保護ポリマー(1−1)の合成
合成例2で得られた保護ポリマー(1)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体36.6g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水5.68g(58.4mmol、11mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントとを有する保護ポリマー(1−1)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMR及び13C−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=3.6(m,PEGMメチレン)、3.3〜3.2(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン)、2.7〜2.4(m,分岐PEIエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=36.0(m,N−オキシドエチレン)、39.0(m)、43.0(m,N−オキシドエチレン)、46.0(m)、48.0(m)、51.0(m)、53.0(m)、56.0(m)、59.0(s)、63.0〜68.0(m,N−オキシドエチレン)、70.0(m)、71.5(s).
元素分析の測定結果:C(52.9%)、H(10.0%)、N(17.5%)
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピークが減り、その積分比は小さくなったが、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンのピークはほぼ変化しなかった。13C−NMR測定結果も同様に51.0〜56.0ppmの3級アミンピークは減ったが、39.0〜51.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークはほぼ変化しなかった。又、元素分析及びNMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)の約11.0〜15.0%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例2 保護ポリマー(1)の前駆体の酸化2(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の酸化反応2):保護ポリマー(1−2)の合成
合成例2で得られた保護ポリマー(1)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体36.6g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水15.5g(159.3mmol、30mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントとを有する保護ポリマー(1−2)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMR及び13C−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=3.6(m,PEGMメチレン)、3.3〜3.2(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン)、2.7〜2.4(m,分岐PEIエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=36.0(m,N−オキシドエチレン)、39.0(m)、43.0(m,N−オキシドエチレン)、46.0(m)、48.0(m)、51.0(m)、53.0(m)、56.0(m)、59.0(s)、63.0〜68.0(m,N−オキシドエチレン)、70.0(m)、71.5(s).
元素分析の測定結果:C(52.5%)、H(10.1%)、N(16.2%)
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピークはほぼ無くなり、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンピークは減り、その積分比は小さくなった。13C−NMR測定結果も同様に51.0〜56.0ppmの3級アミンピークはほぼ無くなり、39.0〜51.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークは小さくなった。又、元素分析及びNMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)の約30.0〜39.0%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例3 保護ポリマー(1)の前駆体の酸化3(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の酸化反応3):保護ポリマー(1−3)の合成
合成例2で得られた保護ポリマー(1)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体36.6g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水25.8g(265.5mmol、50mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントとを有する保護ポリマー(1−3)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMR、13C−NMR及び15N−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=3.6(m,PEGMメチレン)、3.3〜3.2(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン)、2.7〜2.5(m,分岐PEIエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=36.0(m,N−オキシドエチレン)、39.0(m)、43.0(m,N−オキシドエチレン)、46.0(m)、48.0(m)、51.0(m)、53.0(m)、59.0(s)、63.0〜68.0(m,N−オキシドエチレン)、70.0(m)、71.5(s).
15N−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=15.0(m)、20.0〜30.0(m)、112.0〜120.0(m,N−オキシドエチレン)、128.0〜132.0(m,N−オキシドエチレン).
元素分析の測定結果:C(50.9%)、H(9.8%)、N(15.9%)
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピークは無くなり、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンピークは減り、その積分比は小さくなった。13C−NMR測定結果も同様に51.0〜56.0ppmの3級アミンピークは無くなり、39.0〜51.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークは小さくなった。15N−NMR測定結果も同様に30.0〜33.0ppmの3級アミンピークは無くなり、20.0〜30.0ppm及び15.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークは小さくなった。又、元素分析及びNMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)の約50.0〜61.0%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例4 保護ポリマー(1)の前駆体の酸化4(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の酸化反応4):保護ポリマー(1−4)の合成
合成例2で得られた保護ポリマー(1)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体36.6g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水36.1g(371.7mmol、70mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントとを有する保護ポリマー(1−4)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMR及び13C−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=3.6(m,PEGMメチレン)、3.3〜3.2(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン)、2.70〜2.55(m,分岐PEIエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=36.0(m,N−オキシドエチレン)、39.0(m)、43.0(m,N−オキシドエチレン)、46.0(m)、48.0(m)、51.0(m)、59.0(s)、63.0〜68.0(m,N−オキシドエチレン)、70.0(m)、71.5(s).
元素分析の測定結果:C(49.6%)、H(9.3%)、N(15.1%)
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピークは無くなり、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンピークはほぼ無くなった。13C−NMR測定結果も同様に51.0〜56.0ppmの3級アミンピークは無くなり、39.0〜51.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークはほぼ無くなった。又、元素分析及びNMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)の約70.0〜76.0%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例5 保護ポリマー(1)の前駆体の酸化5(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体の酸化反応5):保護ポリマー(1−5)の合成
合成例2で得られた保護ポリマー(1)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール共重合体36.6g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水51.6g(531.0mmol、100mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントとを有する保護ポリマー(1−5)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMR及び13C−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)及び元素分析の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=3.6(m,PEGMメチレン)、3.3〜3.2(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,3H,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン).
13C−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=36.0(m,N−オキシドエチレン)、43.0(m,N−オキシドエチレン)、48.0(m)、59.0(s)、63.0〜68.0(m,N−オキシドエチレン)、70.0(m)、71.5(s).
元素分析の測定結果:C(48.0%)、H(8.8%)、N(14.1%)
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピーク、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンピークは無くなった。13C−NMR測定結果も同様に51.0〜56.0ppmの3級アミンピーク、39.0〜51.0ppmの2級アミン及び1級アミンのピークも無くなった。又、元素分析及びNMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)のほぼ100%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例6 保護ポリマー(2)の前駆体の酸化(ポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール−b−ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物の酸化反応):保護ポリマー(2−1)の合成
合成例3で得られた保護ポリマー(2)の前駆体であるポリエチレンイミン−b−ポリエチレングリコール−b−ビスフェノールA型エポキシ樹脂42.5g(N当量、531mmol)を純水100mLに溶かした後、攪拌しながら氷浴下、35%過酸化水素水25.8g(265.5mmol、50mol%対N当量)を徐々に加えて酸化反応を5時間行い、生成物であるポリエチレンイミンN−オキシド鎖と、親水性セグメントと疎水性セグメントを有する保護ポリマー(2−1)が定量的に得られた。
得られた生成物のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d)測定結果:
δ(ppm)=7.55〜6.75(m)、4.40〜3.90(m)、3.6(m,PEGMメチレン)、3.30〜3.20(m,N−オキシドエチレン)、3.25(s,PEGM鎖末端メトキシ基)、2.9(m,N−オキシドエチレン)、2.70〜2.50(m,分岐PEIエチレン),1.62(s).
H−NMR測定で2.40〜2.70ppmの分岐PEIエチレンの中でより高磁場の2.40〜2.55ppmの3級アミンピークは無くなり、2.55〜2.60ppmの2級アミン及び2.60〜2.70ppmの1級アミンピークは減り、その積分比は小さくなった。NMR測定の積分比から前駆体化合物の全窒素(N)の約50.0〜55.0%のNが酸化されてN−オキシドになったと考えられる。
実施例7 実施例1の保護ポリマー(1−1)による銀コロイド溶液の合成
1Lの反応釜に純水180g、上記の実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5g、N,N−ジメチルアミノエタノール113g(1.27mol)を順に加えて攪拌して、保護ポリマーと還元剤との混合溶液を調製した。別に硝酸銀72.0g(0.424mol)を純水120gに溶かして、調整した硝酸銀水溶液を、室温で約30分かけて滴下し、その後、40℃で4時間攪拌した。反応を終了して冷却した後、貧溶剤のアセトン1.4L(反応混合液の約3容積倍)を加えて5分間攪拌した。約1時間静置より銀ナノ粒子と保護ポリマーとの複合体は沈降分離した。上澄みを除去した後、生成した沈降物を遠心分離した。遠心分離した糊状の沈殿物に純水80gを加えて良く分散した後、脱溶剤より残留アセトンを留去するとともに不揮発物が約60%になるまで減圧濃縮して、銀コロイド水溶液77.0gが得られた(不揮発物として46.0g、収率96%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は96.0%であった。
実施例8 実施例2の保護ポリマー(1−2)による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の実施例2で得られた保護ポリマー(1−2)の水溶液14.5gを用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液73.0gが得られた(不揮発物として45.6g、収率95%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は96.2%であった。
実施例9 実施例3の保護ポリマー(1−3)による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の実施例3で得られた保護ポリマー(1−3)の水溶液15.5gを用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液74.0gが得られた(不揮発物として46.0g、収率96%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は95.8%であった。
実施例10 実施例4の保護ポリマー(1−4)による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の実施例4で得られた保護ポリマー(1−4)の水溶液16.4gを用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液75.0gが得られた(不揮発物として45.1g、収率94%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は96.3%であった。
実施例11 実施例5の保護ポリマー(1−5)による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の実施例5で得られた保護ポリマー(1−5)の水溶液17.9gを用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液70.0gが得られた(不揮発物として44.1g、収率92%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は96.5%であった。
実施例12 実施例6の保護ポリマー(2−1)による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の実施例6で得られた保護ポリマー(2−1)の水溶液16.5gを用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液76.0gが得られた(不揮発物として45.6g、収率95%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は95.8%であった。
比較例1 合成例2の化合物による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の合成例2で得られた前駆体化合物3.5gを純水9.5g溶解して調整した水溶液を用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液74.0gが得られた(不揮発物として45.6g、収率95%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は96.1%であった。
比較例2 合成例3の化合物による銀コロイド溶液の合成
実施例1で得られた保護ポリマー(1−1)の水溶液13.5gの代わりに、上記の合成例3で得られた前駆体化合物4.1gを純水9.5g溶解して調整した水溶液を用いた他には、実施例7と同様にして不揮発物が約60%の銀コロイド水溶液77.0gが得られた(不揮発物として46.0g、収率96%)。熱分析(Tg/DTA)の結果、不揮発物中の銀含有量は95.7%であった。
実施例7〜12及び比較例1〜2で得られた銀コロイド溶液を用いて、前記に従い金属薄膜の抵抗値及び平均粒子径を測定した。また、合成時におけるアセトンでの沈降処理において処理にかかった使用量と時間を下記表中に示した。更に、得られた銀コロイド溶液を室温(25〜35℃)で1週間静置保存した際の外観から、その安定性を評価した。結果を表1〜2に示す。なお、表1におけるO.L.はオーバースケールを表す。
Figure 0005578211
Figure 0005578211

Claims (2)

  1. 1分子中に、ポリエチレンイミン中の窒素原子が酸化されてなるポリエチレンイミンN−オキシドセグメント(A)と、親水性セグメント(B)とを有するポリマーの存在下、媒体中で金属イオンを還元して金属ナノ粒子とすることを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法。
  2. 前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子である請求項記載の金属コロイド溶液の製造方法。
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