JP4956386B2 - 導電部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高分子分散剤の存在下に金属イオンの還元により還元反応水溶液中で形成された、金属の微粒子が存在している還元反応水溶液に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤を添加して該微粒子を凝集させて回収後、その表面が高分子分散剤で覆われた状態の微粒子を有機溶媒中に分散して得られた微粒子分散溶液を、基材上に配置した後、焼成することを特徴とする導電部材の製造方法に関する。
ナノサイズ(粒径が1μm以下)の金属、合金等の微粒子は、バルク材料にはない様々な特異な特性を持つことが知られている。そしてこの特性を生かした様々な工学的応用が、現在、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー等の各分野で、大いに期待されている。
中でも、銅、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、銀等の汎用金属及びこれらの合金からなるナノサイズの金属微粒子は、導電回路、バンプ、ビア、パッド等の実装部品の形成材料、高密度磁気記憶媒体やアンテナ用の磁性素子、ガス改質フィルタや燃料電池電極用の触媒材料として、大いに期待されている。
また、最近では、金属微粒子を含有するインクを使用して、配線パターンをインクジェットプリンタ法により形成し、焼成して配線を形成する技術が注目されている。しかし、インクジェットプリンタ法に使用するインクとして、金属微粒子を含有するインクを使用する場合、インク中において分散性が長期間保たれることが重要である。そのため、インク中において粒子分散性を長期間保つ金属等の微粒子分散溶液、及び該微粒子分散溶液の製造方法が提案されている。
特許文献1では、銅の酸化物、水酸化物または塩をポリエチレングリコールまたは1,2−エタンジオール(エチレングリコール)溶液中で、核生成のためのパラジウムイオンと、分散剤としてのポリエチレンイミンを添加して、加熱還元することにより、液相中で銅微粒子を合成する方法が提案されている。
また、特許文献2では、アルキルアミンを分散剤に使用して、アミン化合物で覆われた金属微粒子を製造する方法及び該金属微粒子分散溶液が提案されている。また、特許文献3には、セルロース誘導体を含む水溶液中で金属イオンを還元することにより、セルロース誘導体で覆われた金属微粒子を製造する方法及び該微粒子分散溶液が提案されている。
一方、上述のインクジェット回路形成技術のように金属微粒子の焼成により導電性の金属部材を形成する場合や、微粒子焼成体をガス改質フィルタに使用する場合などには、焼成後の粒子焼成体において、微粒子自体が表面に露出して粒子同士が直接接合している必要がある。そのため、これらの技術に使用される微粒子については、その表面を覆っている分散剤が、熱処理時に容易に分解除去される必要があった。
特開2005−330552号公報 特開2002−121606号公報 特開2001−093414号公報
上記したように、微粒子分散インクのパターニングと焼成とにより、導電性配線パターンやフィルタを形成する場合、分散性の良好な溶媒を選択する必要があり、また分散性向上のために使用した高分子分散剤が熱処理時に容易に分解除去される必要がある。しかしながら、上述の金属微粒子では250℃以上の高温で熱処理をしなければ、高分子分散剤を分解除去して導電性の良好な導電性配線等を得ることができないという問題点があった。
また、上記したような高温での熱処理を行うと、粒子をパターニングした基板(例えば、汎用樹脂基板)に設置されている他の部品が壊れたり、更に基板自体が溶融もしくは変形したりしてしまうという問題点もあった。
一方、高分子分散剤で覆われていない、微粒子分散溶液を使用した場合、分散溶液中で互いに凝集した微粒子がインクジェットプリンタのノズルを閉塞させるという問題があった。また、焼結時に粒子同士が不均一に凝集して焼結性が不均一になるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決し、分散溶液中で微粒子の分散性が高微粒子分散溶液を基材上に配置して乾燥後、焼成の際に水素ガス等の還元性雰囲気下を必ずしも必要とせず、不活性ガス雰囲気下、250℃以下の比較的低温で焼成しても導電性に優れる導電部材を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上述した従来の問題点について鋭意研究を重ねた結果、
高分子分散剤の存在下に金属イオンの還元により還元反応水溶液中で形成された、金属等の微粒子が存在している還元反応水溶液に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤を添加して該微粒子を凝集させて回収後、高分子分散剤で覆われた金属等の微粒子を少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオールを含む有機溶媒に分散させた微粒子分散溶液を使用すると、分散溶液中での粒子分散性が向上して、250℃以下の比較的低温で焼成しても導電性に優れる導電部材を得ることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、(1)高分子分散剤(D)の存在下に金属イオンの無電解還元または電解還元により還元反応水溶液中で形成された、一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子(P)が存在している還元反応水溶液に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を添加して微粒子(P)を凝集させて回収後、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた状態の微粒子(P)を、少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)中に分散させ、得られた微粒子分散溶液を、基材上に配置した後、焼成することを特徴とする導電部材の製造方法に関する。
上記「(1)導電部材の製造方法」においては、更に下記(2)ないし(10)に記載の態様とすることが出来る。
)前記ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)が炭素原子数1の塩素化合物である、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、及び四塩化炭素;炭素原子数2の塩素化合物である、塩化エチル、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1−ジクロルエチレン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、四塩化アセチレン、及びエチレンクロロヒドリン;炭素原子数3の塩素系化合物である、1,2−ジクロルプロパン、及び塩化アリル;炭素原子数4の塩素系化合物である、クロロプレン;芳香族系塩素系化合物である、クロルベンゼン、塩化ベンジル、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、α−クロルナフタリン、及びβ−クロルナフタリン;並びに臭素系化合物である、ブロモホルム、及びブロムベンゾールから選択された1種又は2種以上である。
)前記有機溶媒(S)が20℃における誘電率(ε)が25以上の極性溶媒である。
)前記ポリオール(S1)が、
1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、又はオクタンジオールであるポリオール(S11)、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、又は1,2,3−ヘキサントリオールであるポリオール(S12)、
及び、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、又はオクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1又は2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S13)、
の中から選択された1種または2種以上からなるポリオールである。
)前記ポリオール(S1)が少なくとも主鎖の両末端の炭素原子にヒドロキシル基が結合しているポリオールであることを特徴とする。
)前記()に記載のポリオール(S1)が、
1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールであるポリオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、又はジプロピレングリコールであるポリオール、
及び1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1または2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオール、
の中から選択された1種または2種以上からなるポリオールである。
)前記高分子分散剤(D)が分子中に1もしくは2以上のカルボニル基を有する化合物、又は分子中に1もしくは2以上の窒素原子(N)を有する化合物である。
)前記()に記載の高分子分散剤(D)が、水溶性を有する、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
)前記微粒子(P)が銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上の金属の金属イオンを還元して得られる金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子である。
10)前記微粒子(P)の一次粒子の平均粒径が1〜500nmである。
本発明によれば、
分子分散剤(D)の存在下に金属イオンの無電解還元または電解還元により還元反応水溶液中で形成された、一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子(P)が存在している還元反応水溶液に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を添加して微粒子(P)を凝集させて回収することにより、還元反応水溶液から高分子分散剤(D)、還元剤を使用する場合に未反応の還元剤及び還元剤の反応副生物等も容易に除去することが可能になる。
また、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた金属等からなる微粒子(P)を少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)中に分散させることにより、凝集性が低く分散性に優れた微粒子分散溶液を得ることができる。
このような微粒子分散溶液を基材上に配置して乾燥後、250℃以下の比較的低温で焼成しても導電性に優れる導電部材を得ることができる。更に、焼成の際に水素ガス等の還元性雰囲気下を必ずしも必要とせず、不活性ガス雰囲気下で焼成を行うことが可能である。
〔1〕「微粒子分散溶液」について
「微粒子分散溶液」は、一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子(P)が有機溶媒(S)中に分散されている微粒子分散溶液であって、微粒子(P)がその表面を高分子分散剤(D)で覆われた状態で分散しており、かつ、有機溶媒(S)には少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)が含まれている。
(1)微粒子(P)について
本発明における微粒子(P)を形成する「金属、合金、及び金属化合物」は、特に制限されるものではなく、目的・用途に合わせて適宜選定することが可能であり、例えば、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、バナジウム、チタン等の中から選択された金属の1種又は2種以上、これらの金属の2種以上からなる合金、及びこれらの金属の1種又は2種以上の金属化合物等から選定することが可能である。
尚、上記金属化合物には、金属及び合金の酸化物も含まれる。本発明の微粒子を製造する際に金属及び合金の酸化物が含まれてくる場合が多い、特に銅をはじめとする遷移金属粒子の場合に酸化物がまったく含まれないものは少ないといえる。この場合の酸化レベルは微粒子生成時および保管時の雰囲気、温度、保持時間によりさまざまであり、微粒子の最表面だけ薄く酸化されて内側は金属のままの場合、微粒子が殆ど酸化されている場合もある。本発明でいう「金属化合物」はこのようなさまざまな酸化状態の粒子をすべて含有する。
上記金属の中でも、Cu、Ag、及びAu等の金属から選ばれた1種もしくは2種以上の金属、又はこれらの金属の2種以上からなる合金が好ましい。
上記微粒子(P)の一次粒子の平均粒径は、ナノサイズ(1μm以下)である。ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する個々の金属等の微粒子(P)における一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。
(2)微粒子(P)の一次粒子の平均粒径
前記液相還元により、生成される微粒子(P)の一次粒子の平均粒径は、1μm以下、好ましくは1〜150nm、より好ましくは1〜100nmである。
一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物とは、一次粒子の平均粒径が1μm以下であることをいう。好ましい一次粒子の平均粒径は1〜150nmであるが、製造と取り扱い等の実用的な面からは、1〜100nmの微粒子(P)がより好ましい。尚、微粒子(P)の一次粒子の平均粒径の制御については後述する。
(3)有機溶媒(S)
本発明に使用する有機溶媒(S)は、少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒である。有機溶媒(S)中にポリオール(S1)が存在することにより、その表面が高分子分散剤(D)で覆われている状態の微粒子(P)を均一に安定的に分散させると共に、このような微粒子分散溶液を基材上に配置して乾燥後、250℃以下の比較的低温で焼成しても導電性に優れ、かつ基材密着性に優れる導電部材を得ることができる。
本発明におけるこのような効果は、有機溶媒(S)中にポリオール(S1)が1体積%以上含有される場合でも発揮されうる。
本発明において、「ポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)」とは、その効果が有効に発揮される点からは、有機溶媒(S)中にポリオール(S1)が少なくとも1体積%以上含まれていることを意味するが、実用的な面からは、有機溶媒(S)中のポリオール(S1)含有量は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上である。
有機溶媒(S)中のポリオール(S1)濃度の上限範囲は特に制限されるものではなく、微粒子の種類、粒径範囲、高分子分散剤の種類、他の有機溶媒との組合せなどにより適宜設定することができる。
また、有機溶媒(S)は、極性を有する溶媒であることが好ましい。有機溶媒(S)が極性を有することにより、その表面が高分子分散剤(D)で覆われている状態の微粒子(P)をより均一に安定的に分散させる作用を発揮する。
本発明において、「極性を有する溶媒」とは誘電率(ε)が25(20℃)以上であることをいう。有機溶媒(S)の誘電率が上記範囲であると、金属等の微粒子の分散性が向上して、基板に塗布後、乾燥、焼成して導電性を有する塗膜を形成する際に比較的低温での焼成が可能になる。より好ましい誘電率(ε)は30〜200(20℃)であり、特に好ましい誘電率(ε)は85〜150(20℃)である。
ポリオール(S1)は、主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオールであれば特に制限されるものではないが、ヒドロキシル基の結合位置から、主鎖の両末端の炭素原子にヒドロシキル基を有するポリオール、いわゆるα、ω−ジヒドロキシ型のポリオールが好ましい。
ポリオール(S1)として、下記ポリオール(S11)、(S12)、及び(S13)のポリオールが例示できる。
(i)ポリオール(S11)
ジオールタイプである、ポリオール(S11)としては、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、及びオクタンジオールが例示できる。
これらの中でも、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールからなるポリオールがより好ましい。
尚、上記した「ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、及びオクタンジオール」は、主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するものに限定されず、それぞれの異性体を含む「ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、及びオクタンジオール類」を意味する。
(ii)ポリオール(S12)
ポリオール(S12)としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2,3−ヘキサントリオールが例示できる。
これらの中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなるポリオールがより好ましい。
(iii)ポリオール(S13)
ポリオール(S13)としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、又はオクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1又は2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオールが例示できる。
これらの中でも、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1または2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオールがより好ましい。この場合、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオールにおいて、2つのヒドロキシル基は主鎖の両末端の位置(α、ω−位置)以外のヒドロキシル基の位置は、特に限定されるものではない。また、ポリオール中の炭素原子数およびヒドロキシル基の数が共に数が増えると、融点がより高くなるが、操作温度を制御すれば使用可能である。
尚、上記に例示した殆どのポリオールの誘電率(ε)は、25〜60(20℃)の範囲である。
一般に、ジオールよりもトリオールの方が微粒子(P)の分散性に優れる傾向があり、ポリオールの融点を考慮すると特に好ましいのは、1,3−プロパンジオールの中央の炭素原子に結合する水素原子(H)がヒドロキシル基(OH)に置換された化合物である1,2,3−プロパントリオール(グリセリン)である。
また、ジオールの中では、炭素原子数が偶数である、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の分散性のほうが、炭素原子数が奇数である、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール等の分散性よりも優れる傾向がある。
尚、本発明の有機溶媒(S)の成分は上記したポリオール(S1)以外の他の有機溶媒(S2)として、アミド基を有する有機溶媒(S21)、一般式R−O−R(R、Rは、それぞれ独立にアルキル基で、炭素原子数は1〜4である。)で表されるエーテル系化合物(S22)、一般式R−C(=O)−R(R、Rは、それぞれ独立にアルキル基で、炭素原子数は1〜2である。)で表されるケトン系化合物(S23)、一般式R−(N-R)−R(R、R、Rは、それぞれ独立にアルキル基、又は水素原子で、炭素原子数は0〜2である。)で表されるアミン系化合物(S24)等が好適に使用可能である。
以下に他の有機溶媒(S2)の具体例を記載する。
アミド基を有する有機溶媒(S21)として、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
エーテル系化合物(S22)として、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、t-アミルメチルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びアリルエーテルの中から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
ケトン系化合物(S23)として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト等が例示できる。
アミン系化合物(S24)として、トリエチルアミン、ジエチルアミン等が例示できる。
本発明の有機溶媒(S)として、ポリオール(S1)単独、又はポリオール(S1)と他の有機溶媒(S2)を適宜混合した混合溶媒として使用することができる。より好ましい混合溶媒としては、以下の組合せが挙げられる。
(i)ポリオール(S1)及びアミド基を有する有機溶媒(S21)からなる混合溶媒
この場合、混合溶媒中のポリオール(S1)濃度は好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。
(ii)ポリオール(S1)、アミド基を有する有機溶媒(S21)、並びに、エーテル系化合物(S22)、ケトン系化合物(S23)及びアミン系化合物(S24)から選択された1種又は2種以上、からなる混合溶媒
この場合、混合溶媒中のポリオール(S1)濃度は好ましくは1体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。
上記したように混合溶媒中でのポリオール(S1)が低濃度でもその分散効果を発揮しうるのは、ポリオール(S1)の一部は、混合有機溶媒(S)中で微粒子(P)表面を覆うようにして存在しているためと推定される。
上記混合有機溶媒は、撹拌により優れた分散性を有するが、一般的に有機溶媒において時間の経過により微粒子同士が接合する傾向がある。しかし、混合有機溶媒中にポリオール(S1)を存在させるとこのような接合をより効果的に抑制して、分散液の一層の長期安定化を図ることが可能になる。
(4)高分子分散剤(D)
本発明において、微粒子(P)は、高分子分散剤(D)に覆われた状態で有機溶媒(S)中に分散している。
高分子分散剤(D)は、有機溶媒(S)中で微粒子(P)の凝集を防止して分散性を良好に維持する作用を有する。尚、この場合の「高分子分散剤(D)が微粒子(P)の表面を覆うように存在」における「覆う」は、当該技術分野において、「被覆され」、「囲まれた」、「保護された」等の記載表現が使用されることもある。従って、本発明における「高分子分散剤で覆われている」は、例えば「有機物保護皮膜で被覆されている」と実質的に同じ意味内容である。
また、上記「高分子分散剤(D)が微粒子(P)の表面を覆う」とは、微粒子(P)の全表面が高分子分散剤(D)で覆われていなくとも、その一部が覆われていても分散効果は顕著に発揮される。
本発明の高分子分散剤(D)は上記作用を有し、かつ本発明の混合有機溶媒中で、金属等の微粒子(P)の凝集を抑制して分散作用を奏するものであれば、特に制限されるものではない。
このような高分子分散剤(D)が金属等の微粒子(P)を分散させるメカニズムは完全に解明されているものではないが、例えば高分子分散剤(D)に存在する官能基の非共有電子対を有する原子部分が金属等の微粒子(P)の表面に吸着して、高分子の分子層を形成し、互いに金属等の微粒子(P)同士の接近をさせない、斥力が発生していることが予想される。
高分子分散剤(D)としては、分子中に1もしくは2以上のカルボニル基を有する化合物、又は分子中に1もしくは2以上の窒素原子(N)を有する化合物であることが好ましい。
また、高分子分散剤(D)は、水に対して溶解性を有するものが望ましい。
例えば、微粒子(P)を還元反応により形成する場合に、還元反応水溶液中に高分子分散剤(D)を予め添加しておくと、還元反応で形成された金属等の微粒子(P)の表面を覆うように存在して、金属等の微粒子(P)の凝集を防止して分散性を良好に維持する作用を有する。
高分子分散剤(D)は、その化学構造にもよるが分子量が100〜100,000程度の、水に対して溶解性を有し、かつ水溶液で金属イオンから還元反応で析出した金属等の微粒子を良好に分散させることが可能なものであればいずれも使用可能である。
分子中に1又は2以上の窒素原子(N)を有する高分子分散剤(D)としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子、分子中に1又は2以上のカルボニル基を有する高分子分散剤(D)としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子、その他、ポリアクリルアミド等のアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上が例示できる。
上記例示した高分子分散剤(D)化合物の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
上記かっこ内にそれぞれの高分子分散剤(D)の数平均分子量を示すが、このような分子量範囲にあるものは水溶性を有するので、本発明において好適に使用できる。尚、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
その他、チオール、カルボン酸、アミド、カルボニトリル、エステル類が挙げられる。また、極性基を有するポリマーとしてポリメチルビニルエーテル等を例示できる。
高分子分散剤(D)を微粒子(P)を形成する際に還元反応水溶液に添加する量は、還元反応水溶液から生成する金属等の微粒子(P)の濃度にもよるが、該金属等の微粒子(P)100重量部に対して、1〜5000重量部が好ましく、5〜1000重量部がより好ましい。高分子分散剤(D)の添加量が前記1未満では凝集を抑制する効果が十分に得られない場合があり、一方、前記5000重量部を超える場合には、還元反応終了後に後述する凝集促進剤を添加して高分子分散剤(D)を除去する際に不都合が生ずる場合がある。
該分散液中で微粒子(P)表面を覆っている高分子分散剤(D)と微粒子(P)との重量比(D/P)は0.001以上が好ましく、実用的な面からは10以下である。
重量比(D/P)が0.001未満では、微粒子(P)同士の凝集を抑制する効果が十分に発揮されない場合がある。また、重量比(D/P)が10を超える場合には、分散上に支障がなくとも、微粒子分散液を塗布後、乾燥・焼成時に、過剰の高分子分散剤(D)が、金属等の微粒子(P)の焼結を阻害して、膜質の緻密さを低下する場合があると共に、高分子分散剤(D)の焼成残渣が、金属被膜中に残存して、導電性を低下するおそれがある。
尚、分散溶液中において前記重量比が(D/P)0.001〜10の範囲であることについては、微粒子分散溶液から、高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を遠心分離等の操作により回収して定量分析により、確認することが可能である。
その具体的例として、微粒子分散溶液をサンプリングして、遠心分離操作により高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を分析用サンプルとして回収し、酸化性の溶液中で、高分子分散剤D)が反応しない条件下で銅粒子を溶解した溶液を調製し、該溶液を液体クロマトグラフィー等により定量分析すれば、重量比(D/P)を測定することができる。
また、前記微粒子(P)分析用サンプルを、微粒子(P)から高分子分散剤(D)を溶剤中に抽出した後に、必要がある場合には蒸発等の濃縮操作を行い、液体クロマトグラフィー、又は高分子分散剤(D)中の特定の元素(窒素、イオウ等)をX線光電子分光(XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy))、オージェ電子分光分析(AES(Auger Electron Spectroscopy))等の分析により行うことが可能である。
(5)微粒子分散溶液
本発明の微粒子分散溶液は、表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を有機溶媒(S)に分散させることにより得ることが出来る。微粒子分散溶液の製造方法は後述するが、後述する微粒子分散溶液は例示であり、本発明の微粒子分散溶液は後述する方法で得られるものに限定されるものではない。
尚、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を有機溶媒(S)中に分散する物理的手法は微粒子(P)の二次粒子に物理エネルギーを加える公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズ(二次粒子径)は小さくなる傾向にある。
本発明の微粒子分散溶液は、分散性と保存安定性に優れているので、インクジェット用インク、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電性ペースト、導電性インク、導電フィルム等に広く用いることができる。特に、本発明の微粒子分散溶液は、例えば、インクジェット法等により基材上に配置して、乾燥後、焼成して金属含有薄膜又は金属含有細線等の導電部材として使用するのに適している。
本発明の微粒子分散溶液を使用すると、従来よりも低い焼成温度、例えば250℃以下、更に220℃以下の比較的低温でも焼成することが可能となり、また、水素ガス等の還元性ガスを必ずしも使用する必要がなく、不活性ガス中における焼成を採用しても、導電性と基板密着性に優れる導電部材を形成することが可能となる。上記基材は特に制限はなく使用目的等により、ガラス、ポリイミド等が使用でき、乾燥と焼成は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
〔2〕「微粒子分散溶液の製造方法」について
「微粒子分散溶液の製造方法」には、一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子(P)が少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)中に分散されている微粒子分散溶液製造する際に、
該有機溶媒(S)中に、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を分散する工程まれる
(1)微粒子の形成方法
微粒子(P)の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばイオンの液相還元等により、金属等のナノサイズの微粒子(P)を形成することが可能である。
液相還元には、電解還元と還元剤を使用した無電解還元があり、水溶液中で金属イオンの液相還元等により、金属等のナノサイズの微粒子(P)を形成することが可能である。
電解還元の場合には、例えば、金属イオンを含む水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることによりカソード付近に、高分子分散剤(D)でその表面が覆われた微粒子(P)を形成することができる。無電解還元は、例えば、高分子分散剤(D)と金属イオンとを含む水溶液中に還元剤を添加して還元反応を行い、高分子分散剤(D)でその表面が覆われた微粒子(P)を形成することができる。還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン等が挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。尚、液相還元水溶液には、反応溶媒として水以外の親水性溶液を配合してもよい。
前記液相還元は、高分子分散剤(D)が溶解している水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元による金属イオンの還元であることが好ましい。
ここで、本発明における「高分子分散剤(D)が溶解している水溶液中」とは、高分子分散剤(D)を予め溶解した反応系中に、金属イオンと還元剤とを添加してもよく、高分子分散剤(D)、金属イオン、及び還元剤をそれぞれ別の容器で水溶液に溶解させ、更に他の反応容器にそれぞれを添加して還元反応を行ってもよい。本発明における高分子分散剤(D)は微粒子(P)の分散安定性を向上させ、金属等の微粒子(P)生成の収率を向上する効果があるので、微粒子(P)が形成される際に反応系に存在している
「金属イオン」は、前記した金属の金属イオンである。該金属イオンを形成する金属塩は、特に制限がないが、例えば、塩化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、酢酸塩等の金属塩が挙げられる。
微粒子(P)の一次粒子の平均粒径の制御は、例えば還元反応により微粒子(P)を形成する場合には、還元反応に使用する金属イオン、高分子分散剤(D)、還元剤の種類と配合濃度の調整、及び金属イオンを還元反応させる際の、かく拌速度、温度、時間、pH等の調整により行うことが可能である。具体的には、例えば、無電解の液相還元の場合には、水溶液中で、ポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)の存在下に金属イオン(酢酸第二銅等)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する際に、還元温度が80℃程度であれば、一次粒子の平均粒径が約100nmの銅微粒子を得ることが可能である。
上記還元反応終了後に、反応水溶液中に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を添加して高分子分散剤(D)の分散作用を減じ、粗微粒子を該水溶液中で沈殿させると共に必要により水、又はアルコール溶液等で洗浄して回収、又は粗微粒子を該水溶液中で沈殿させて回収後に必要により水、又はアルコール溶液等で洗浄して、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を得ることが出来る。以下に、前記した凝集促進剤(F)について説明する。
(2)凝集促進剤(F)
ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)は、水溶液中で高分子分散剤(D)の分散作用を減じる効果を有するものであり、以下に例示するように、水に対する溶解性が低く、常温又は操作温度で液状であることが好ましい。尚、気体状の凝集促進剤(F)で水溶液中に吹き込む操作により微粒子を凝集させる作用を有するものは、常温又は操作温度で気体状のものも使用可能である。
また、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)は、還元反応後に還元反応水溶液に添加して微粒子(P)を凝集させ、還元反応水溶液から微粒子(P)を分離、回収する際に高分子分散剤(D)を析出させないで、かつ固体として析出しないものが望ましい。このような凝集促進剤(F)を使用することにより、還元反応水溶液から微粒子(P)を効率よく分離、回収することができる。
従来、アルカリ性水溶液に対し溶解性の高い分散剤を使用して、水溶液中で還元反応を行い、還元反応後pHを中性にして、分散剤を析出して粒子と共に回収して溶媒置換する操作は知られていたが、水溶液中で高分子分散剤(D)を析出させないで、高分子分散剤(D)の分散作用を著しく減ずる、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を使用して、微粒子(P)を凝集させることができる。ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を使用することにより、還元反応水溶液から高分子分散剤(D)の除去が可能になると共に、無電解反応で還元剤を使用する場合に未反応の還元剤及び還元剤の反応副生物等も容易に除去することが可能になる。
凝集促進剤(F)としてはハロゲン系炭化水素が使用される。その具体例として、塩化メチル(CHCl)、塩化メチレン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、四塩化炭素(CCl)等の炭素原子数1の塩素化合物、
塩化エチル(CCl)、1,1−ジクロルエタン(CCl)、1,2−ジクロルエタン(CCl)、1,1−ジクロルエチレン(CCl)、1,2−ジクロルエチレン(CCl)、トリクロルエチレン(CHCl)、四塩化アセチレン(CCl)、エチレンクロロヒドリン(OH−CH−CHCl)等の炭素原子数2の塩素化合物、
1,2−ジクロルプロパン(CHCHClCHCl)、塩化アリル(CH=CHCHOH)等の炭素原子数3の塩素系化合物、
クロロプレン(CH=CClCH=CH)等の炭素原子数4の塩素系化合物、
クロルベンゼン(CCl)、塩化ベンジル(CCHCl)、o−ジクロルベンゼン(CCl)、m−ジクロルベンゼン(CCl)、p−ジクロルベンゼン(CCl)、α−クロルナフタリン(C10Cl)、β−クロルナフタリン(C10Cl)等の芳香族系塩素系化合物、
ブロモホルム(CHBr)、ブロムベンゾール(CBr)等の臭素系化合物、
が挙げられるが、これらの中から選択された1種又は2種以上を使用することができる。
(3)微粒子分散溶液の製造方法
上記した、表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を有機溶媒(S)に分散させることにより、微粒子の凝集サイズが小さく、かつ、比較的凝集サイズの大きさが揃った微粒子分散溶液を得ることが出来る。尚、高分子分散剤(D)として分子中にカルボニル基を有する高分子分散剤を使用すると、更に、二次粒子の微粒子の粒径が小さく、かつ、大きさの揃った微粒子分散溶液を生成することができる。
その表面が高分子分散剤(D)で覆われた微粒子(P)を有機溶媒(S)中に分散させる物理的手法は微粒子(P)が凝集して形成される二次粒子に、物理エネルギーを加える公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集(二次粒子)サイズは小さくなる傾向にある。
〔3〕導電部材の製造方法
高分子分散剤で覆われた金属等の微粒子(P)を少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)に分散させた微粒子分散溶液は、分散溶液中での粒子分散性が向上して、250℃以下の比較的低温で焼成しても導電性に優れる導電部材を製造することが可能である。
前記銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布したものを、不活性ガス雰囲気中で、焼成し、その後ゆっくり室温まで冷却して、導電部材である焼結膜が得られる。得られた焼結膜は電気抵抗値の測定結果から、良好な電気伝導性を示す焼結膜であることを確認することができる。上記銅微粒子分散溶液を使用することにより、200℃程度の比較的低温での焼成時でも、水素ガス等の還元性ガスを使用することなく、良好な電気伝導性を示す焼結膜が得られる。
次に、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
水溶液中で酢酸銅中の銅イオン(Cu2+)の無電解還元により、高分子分散剤で覆われた銅微粒子を調製し、実施例1として、1,2−エタンジオール(誘電率(ε):38.7(20℃))、1,4−ブタンジオール(誘電率(ε):32.9(15℃))、1,2−プロパンジオール(誘電率(ε):32.0(20℃))、及び1,2−ブタンジオール(誘電率(ε):30(20℃))、比較例1として1−ブタノール(誘電率(ε):17.5(25℃))に前記銅微粒子をそれぞれ再分散して、2次粒子の平均凝集サイズを測定した。
(1)銅微粒子分散溶液の調製方法
カルボニル基を有する高分子分散剤で覆われた銅微粒子を以下の操作により調製した。
銅微粒子の原料として酢酸第二銅((CHCOO)Cu・1HO)0.2gを蒸留水10mlに溶解させた酢酸銅水溶液10mlと、金属イオンの還元剤濃度が5.0mol/リットル(l)となるように水素化ホウ素ナトリウムと蒸留水とを混合した水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlを調製した。その後、上記水素化ホウ素ナトリウム水溶液に、高分子分散剤としてカルボニル基を有するポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)0.5gを添加して、攪拌溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で、上記酢酸第二銅水溶液10mlを滴下した。
この混合液を約60分間よく攪拌しながら還元反応させた結果、高分子分散剤で覆われた銅微粒子が水溶液中に分散している微粒子分散溶液を得た。
上記微粒子分散溶液を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、型式:JEM-310)を用いて観察したところ、得られた銅微粒子の一次粒子の平均粒径は表1に示す通り、ナノサイズの微粒子であることが確認された。
(2)還元水溶液から銅微粒子分の回収
次に、上記方法で得られた高分子分散剤で覆われた銅微粒子の分散水溶液100mlに、凝集促進剤としてクロロホルムを5ml添加してよく攪拌した。数分間攪拌した後、静置すると上相である水相の下部に銅微粒子が凝集した。この水相を遠心分離機に供給し、銅微粒子を分離、回収した。その後、得られた銅粒子と30mlの蒸留水とを試験管に入れ、超音波ホモジナイザー(Martin Walter製、型式:P200)を用いてよく攪拌した後、遠心分離機で銅微粒子成分を回収する水洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と30mlの1−ブタノールとを添加してよく攪拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収するためのアルコール洗浄を3回行った。洗浄後の銅微粒子成分を遠心分離により回収した。上記操作によりポリビニルピロリドンで覆われた銅微粒子を得た。
(3)銅微粒子の有機溶媒への再分散(1回目の分散)
上記方法によって得られた、ポリビニルピロリドンで覆われた銅微粒子0.29gを、実施例1−1〜4として1,2−エタンジオール10ml、1,4−ブタンジオール10ml、1,2−プロパンジオール10ml、及び1,2−ブタンジオール10ml溶液中にそれぞれ添加し、また比較例1として1−ブタノール10ml溶液中に添加して、前記超音波ホモジナイザーを用いて20分間撹拌し、銅微粒子分散溶液を得た。
得られた銅微粒子分散溶液を、上記撹拌が終了してから20分後にカーボン蒸着された銅メッシュ上にそれぞれ塗布後、乾燥し、動的光散乱型粒度分布測定装置(シスメックス(株)製、型式:ゼータサイザーナノシリーズ Nano-ZS)を用いて、微粒子分散溶液中の微粒子の平均凝集サイズを測定した。測定結果を表1に1回目の分散後の平均凝集サイズとして、まとめて示す。
(4)平均凝集サイズの測定結果
表1に示すように、カルボニル基を有する高分子分散剤であるポリビニルピロリドンで覆われた銅微粒子を、主鎖の両末端の炭素原子にヒドロキシル基を有するジオール、及び主鎖の末端の一方の炭素原子にのみヒドロキシル基を有する1,2−ブタンジオールに分散させた場合は、主鎖末端の炭素原子にヒドロキシル基を一つだけ有するアルコールである1−ブタノールに分散させた場合と比較して分散性のより高い微粒子分散溶液が得られることが確認できた。
また、ヒドロキシル基の配位状態のみが異なるジオールを対比すると、1,4−ブタンジオールの平均凝集サイズ(180nm)は、1,2−ブタンジオールの平均凝集サイズ(520nm)とを比較して約1/3であり、主鎖の両末端の炭素原子にヒドロキシル基が結合しているジオールは特に分散性に優れていることが観察された。
(5)超音波分散機による再分散(2回目の分散)
1回目の超音波ホモジナイザーによる分散が終了してから20分後に、これらの微粒子分散溶液を、超音波分散機((株)エムエステー製、型式:UH600S)により更に10分間分散させた。超音波分散機による分散が終了してから20分後に、上記と同様に前記動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて、微粒子分散溶液中の微粒子の平均凝集サイズを測定した。
測定結果を表1に2回目の分散後の平均凝集サイズとして、まとめて示す。
表1の結果から、実施例1における、主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するジオール(1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール)、及び主鎖の末端の一方にのみヒドロキシル基を有するジオール(1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール)に分散された微粒子は、超音波分散機による分散によりいずれも平均凝集サイズが該分散前の1/2程度になっているが、一方、比較例1における、主鎖末端にヒドロキシル基を一つだけ有するアルコール(1−ブタノール)に分散された微粒子は、超音波分散機による分散によりいずれも平均凝集サイズが該分散前の4/5程度であり、顕著な分散効果は観察されなかった。
Figure 0004956386
[実施例2、比較例2]
実施例2においてカルボニル基を有する高分子分散剤である、ポリビニルピロリドンで覆われた銅微粒子の分散性、比較例2においてカルボニル基及び窒素原子を有しない高分子分散剤である、ポリエチレングリコールで覆われた銅微粒子の分散性をそれぞれ評価した。
実施例2−1、2において、実施例1に記載したと同様に、銅微粒子0.29gをそれぞれ1,2−エタンジオール10ml、1,2−ブタンジオール10mlに添加して前記超音波ホモジナイザーにより20分間撹拌し、微粒子分散溶液を調製した。
また、比較例2−1、2において高分子分散剤としてポリビニルピロリドンの代わりにポリエチレングリコール(PEG、分子量約6000)0.5gを使用し、ポリオールとして、それぞれ1,2−エタンジオール10ml、1,2−ブタンジオール10mlを用いた以外は実施例1に記載したと同様に、銅微粒子0.29gをそれぞれこれらの有機溶媒に添加して前記超音波ホモジナイザーを用いて20分間撹拌し、微粒子分散溶液を調製した。
実施例2−1、2における、ポリビニルピロリドンで覆われた銅微微粒子の微粒子分散溶液と、比較例2−1、2におけるポリエチレングリコールで覆われた銅微微粒子の微粒子分散溶液をそれぞれ前記動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて、上記撹拌が終了してから20分後に微粒子分散溶液中の銅微微粒子の平均凝集サイズを測定した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、1,2−エタンジオール、1,2−ブタンジオール中にそれぞれ分散しているポリビニルピロリドンで覆われた銅微微粒子は、ともに、ポリエチレングリコールで覆われた銅微微粒子の微粒子分散溶液よりも、平均凝集サイズが小さい値であった。特に、1,2−エタンジオールに分散した銅微微粒子の平均凝集サイズが最も小さい値であった。
従って、高分子分散剤としてカルボニル基を有する高分子分散剤で覆われた銅微粒子の方が、カルボニル基及び窒素原子を有しない高分子分散剤であるポリエチレングリコールで覆われた銅微粒子よりも、極性有機溶媒の中に分散させたときに、凝集サイズが低減し、分散性に優れた微粒子分散溶液が得られることが観察された。
Figure 0004956386
[実施例3、比較例3]
実施例1と同様の方法で得られたポリビニルピロリドンで覆われた銅微粒子0.29gを、実施例3−1〜6において、ポリオール、アミド基を有する溶媒であるN−メチルアセトアミド、及びジメチルエーテルからなる混合溶媒10ml中へ分散させ(表3参照)、比較例3−1において同様に1−ブタノール、N−メチルアセトアミド、及びジメチルエーテルからなる混合溶媒10ml中へ分散させた(表4参照)。
更に比較例3−2、3において、比較例2に記載したと同様の方法で得られた、ポリエチレングリコール(PEG)で覆われた微粒子0.29gを実施例3−1、2で使用したのと同様の混合溶媒10ml中へ分散させた(表4参照)。上記分散は、いずれも前記超音波ホモジナイザーを用いて20分間撹拌することにより行った。
前記動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて、上記撹拌が終了してから20分後に微粒子分散溶液中の銅微微粒子の平均凝集サイズを測定した。その測定結果を表3、4に示す。表3、4に示す平均凝集サイズの測定値から、カルボニル基を有する高分子分散剤であるポリビニルピロリドンに覆われた微粒子を、主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオールを含む混合溶媒に分散させると優れた分散性が得られることが確認された。
Figure 0004956386
Figure 0004956386
[実施例4、比較例4]
実施例4−1〜4として、実施例1に記載した方法により(i)1,2−エタンジオール10ml、(ii)1,2−ブタンジオール10ml、(iii)1,2−エタンジオール、N−メチルアセトアミド、及びジメチルエーテルからなる混合溶媒を表5に示す割合で調製した混合溶媒10mlに、実施例1と同様の方法で得た銅微粒子0.29gを添加後、前記超音波ホモジナイザーを用いて20分間撹拌し、分散させた銅微粒子分散溶液を調製し、比較例4として、比較例1に記載した方法により1−ブタノール10mlに実施例1と同様の方法で得た銅微粒子0.29gを同様に分散させた銅微粒子分散溶液を調製した。
これらの銅微粒子分散溶液を上記撹拌が終了してから20分後にガラス基板上に塗布したものを、アルゴンガス雰囲気中、約140℃で30分間保持して塗膜を乾燥させた後、同じくアルゴンガス中で、200℃で1時間焼成し、その後ゆっくり室温まで冷却し、得られた焼結膜の電気抵抗値を測定した。
電気抵抗値の測定には、直流四端子法(使用測定機:ケースレー社製、デジタルマルチメータDMM2000型(四端子電気抵抗測定モード))を用いた。
測定結果を表5に示す。
実施例4−1〜4に示す電気抵抗値の測定結果から、本発明の微粒子分散溶液を基板上に塗布後、乾燥、焼成した場合、200℃程度の比較的低温での焼成時でも、水素ガス等の還元性ガスを使用することなく、良好な電気伝導性を示す焼結膜が得られることが確認された。
一方、比較例4で、有機溶媒として主鎖の末端炭素原子にヒドロキシル基を一つだけ有するアルコール(1−ブタノール)を用いた場合、得られた焼結膜の電気抵抗値の測定を行ったところ、電気伝導性を示さなかった。
Figure 0004956386

Claims (10)

  1. 高分子分散剤(D)の存在下に金属イオンの無電解還元または電解還元により還元反応水溶液中で形成された、一次粒子の平均粒径がナノサイズの金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子(P)が存在している還元反応水溶液に、ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)を添加して微粒子(P)を凝集させて回収後、その表面が高分子分散剤(D)で覆われた状態の微粒子(P)を、少なくとも主鎖に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S1)を含む有機溶媒(S)中に分散させ、得られた微粒子分散溶液を、基材上に配置した後、焼成することを特徴とする導電部材の製造方法。
  2. 前記ハロゲン系炭化水素からなる凝集促進剤(F)が炭素原子数1の塩素化合物である、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、及び四塩化炭素;炭素原子数2の塩素化合物である、塩化エチル、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1−ジクロルエチレン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、四塩化アセチレン、及びエチレンクロロヒドリン;炭素原子数3の塩素系化合物である、1,2−ジクロルプロパン、及び塩化アリル;炭素原子数4の塩素系化合物である、クロロプレン;芳香族系塩素系化合物である、クロルベンゼン、塩化ベンジル、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、α−クロルナフタリン、及びβ−クロルナフタリン;並びに臭素系化合物である、ブロモホルム、及びブロムベンゾールから選択された1種又は2種以上であることを特徴とする請求項に記載の導電部材の製造方法。
  3. 前記有機溶媒(S)が20℃における誘電率(ε)が25以上の極性溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電部材の製造方法。
  4. 前記ポリオール(S1)が、
    1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、又はオクタンジオールであるポリオール(S11)、
    ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、又は1,2,3−ヘキサントリオールであるポリオール(S12)、
    及び、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、又はオクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1又は2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオール(S13)、
    の中から選択された1種または2種以上からなるポリオールであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
  5. 前記ポリオール(S1)が少なくとも主鎖の両末端の炭素原子にヒドロキシル基が結合しているポリオールであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
  6. 前記ポリオール(S1)が、
    1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールであるポリオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、又はジプロピレングリコールであるポリオール;及び1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、又は1,8−オクタンジオールの分子中の炭素原子に結合している1または2以上の水素原子(H)がヒドロキシル基で置換されている、分子中に3以上のヒドロキシル基を有するポリオール、
    の中から選択された1種または2種以上からなるポリオールであることを特徴とする請求項に記載の導電部材の製造方法。
  7. 前記高分子分散剤(D)が分子中に1もしくは2以上のカルボニル基を有する化合物、又は分子中に1もしくは2以上の窒素原子(N)を有する化合物であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
  8. 前記高分子分散剤(D)が、水溶性を有する、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
  9. 前記微粒子(P)が銅、銀、金、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、スズ、アルミニウム、ビスマス、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、バナジウム、及びチタンの中から選択される1種又は2種以上の金属の金属イオンを還元して得られる金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
  10. 前記微粒子(P)の一次粒子の平均粒径が1〜500nmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の導電部材の製造方法。
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