JP2019178400A - 銀被覆金属粉末およびその製造方法、銀被覆金属粉末を含む導電性ペースト、並びに導電性ペーストを用いた導電膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この銀被覆金属粉末の製造方法において、前記金属粉末は、銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、銅合金粉末であってもよい。また前記金属粉末は、銅及び不可避不純物からなる銅粉末であってもよい。さらに前記金属粉末は、銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、銅合金粉末であってもよい。
別の態様として、前記銀被覆工程を、前記キレート剤及び前記金属粉末が水に分散した水系分散液に非酸化性ガスを吹き込みながら、前記水系分散液に銀イオンを含有する水溶液を添加することにより実施する態様が挙げられる。この態様において、水系分散液のpHが高い場合には、前記水系分散液にpH調整剤を添加して前記水系分散液のpHを2.6以下としてから、前記水系分散液に前記銀イオンを含有する水溶液を添加することが好ましい。
前記金属コア粒子は銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記コア粒子における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%であるものであってもよい。また前記金属コア粒子は、銅及び不可避不純物からなるものであってもよい。さらに前記金属コア粒子は、銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%であるものであってもよい。
本発明の銀被覆金属粉末の製造方法の一実施形態では、銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法において、前記混合液がキレート剤を含み、前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する。以下、本実施形態の各構成について説明する。
前記金属粉末は、銅の質量割合が80質量%以上の金属粉末であれば特に限定されるものではなく、銅及び(1000ppm以下の)不可避不純物からなる銅粉末であってもよいし、銅と他の金属元素を含む銅合金粉末であってもよい。前記不可避不純物の例としては、鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、パラジウム、マグネシウム、酸素、炭素、窒素、リン、ケイ素、塩素が挙げられる。なお前記不可避不純物は、所与の目的を達成するために1000ppm以下程度のレベルで含有させられる微量添加元素を包含するものとする。
本実施の形態の銀被覆金属粉末の製造方法における銀被覆工程では、銀イオンとキレート剤と液状媒体を含む混合液が使用され、この混合液中で金属粉末に対して銀被覆反応を実施する。より具体的には金属粉末を含む混合液を撹拌することで、金属粉末の粒子表面の銅と銀の置換反応が起こり、銀被覆層が形成される。なお銀被覆層の形成においてはキレート剤などの薬剤が共存するため、銀被覆層は不可避不純物としてこれらやこれらの反応物などを内包しうる。
以上説明した銀被覆工程の他に、当該工程で得られた、銀被覆金属粉末を含むスラリーに対して濾過等の固液分離工程を実施してもよい。さらに銀被覆金属粉末に対して洗浄工程や乾燥工程を実施してもよく、また、解砕工程や篩別工程を実施して銀被覆金属粉末の粒度を整えてもよい。
次に、本発明の銀被覆金属粉末について説明する。本発明の銀被覆金属粉末の一実施形態は、銅の質量割合が80質量%以上である金属コア粒子と、該金属コア粒子を被覆する銀からなる銀被覆層とを有する銀被覆金属粉末であって、前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定した比表面積から算出した真球換算の粒子径(DBET)に対するレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である、銀被覆金属粉末である。この銀被覆金属粉末は、本発明の一実施形態に係る銀被覆金属粉末の製造方法により製造することができる。以下、この銀被覆金属粉末の各構成について説明する。
本実施の形態における金属コア粒子は、本実施の形態の銀被覆金属粉末の製造方法において説明した金属粉末に対応するものである。すなわち、この金属コア粒子は銅の質量割合が80質量%以上であればその金属組成は特に限定されず、銅及び不可避不純物からなる銅コア粒子であってもよいし、銅と他の金属元素を含む銅合金コア粒子であってもよい。前記不可避不純物は、本発明の一実施形態に係る銀被覆金属粉末の製造方法における金属粉末において説明したのと同様である。なお、金属コア粒子の表面には銀被覆層が形成されており、この銀被覆金属粉末においては、経時的に元素の拡散が起こる場合がある。そのため金属コア粒子は微量の銀を含有している場合がある。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態においては、以上説明した金属コア粒子の表面に銀被覆層が形成されている。この銀被覆層は実質的に銀からなるが、製造工程や原料に由来する不可避不純物を含みうる。そして金属コア粒子の構成元素が銀被覆層へ拡散し、銀被覆層がこれらの元素を含んでいる場合がありうる。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態においては、粒子径(DBET)に対する累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である。D50はいわゆる凝集粒子径であり、DBETは一次粒子径にあたる。そのためこれらの比は粉末の凝集の程度の指標となり、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、これが1.65以下と小さく、粒子同士の凝集が抑制されている。凝集抑制の観点から、銀被覆金属粉末の比(D50/DBET)は1.58以下であることが好ましく、1.45以下であることがより好ましい(なお、通常D50/DBETは1.00以上である)。
なお、DBETは下記式(1)で求められる。
DBET=6/(ρ×BET)・・・(1)
式(1)中、ρは銀被覆金属粉末の各構成金属元素(不可避不純物に該当するものを除く)の比重並びに組成比(各構成金属元素の質量割合の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm3)である。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態について、この粉末5gをpH0の硫酸水溶液45gに30分間浸漬したときの銅イオン溶出量が、好ましくは450mg/L以下である。この溶出試験の詳細については実施例で後述する。このように銅イオン溶出量の小さな銀被覆金属粉末は、これを使用して導電性ペーストを製造したときに、そのペーストの経時的な粘度の上昇が小さい。この点から、銅イオン溶出量は、420mg/L以下であることがより好ましく、390mg/L以下であることがさらに好ましい(なお、通常20mg/L以上である)。なお銅イオン溶出量は、溶出試験で得られる溶出液について誘導結合プラズマ発光分光分析を実施して、銅イオンに対応する量の銅の重量として求められる。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のD50とBET比表面積(BET)との積(BET×D50)は、好ましくは1.07(m2・μm/g)以下である。BETは銀被覆金属粉末の表面形状により影響を受け、粉末を構成する粒子表面に凹凸など真球から離れた形状の部分が多ければその値は大きくなる。またBETは銀被覆金属粉末の粒子径によっても変わり、粒子径が小さければBETは大きくなる。そこで、BETとD50との積をとることで、粒子径による影響を除いて、銀被覆金属粉末の粒子表面の形状の指標とすることができる。銅の質量割合が80%以上である金属コア粒子は酸化されやすく、銀被覆されても、その酸化物が表面に残存している場合があり、この場合にはBETが大きくなる。例えば本発明の銀被覆金属粉末の製造方法の実施の形態で製造される、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、銀被覆が均一になされ、また金属コア粒子表面の酸化物が少ないと考えられ、積(BET×D50)が小さい。積(BET×D50)は、より好ましくは0.95(m2・μm/g)以下である(なお、通常0.40(m2・μm/g)以上である)。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の酸素含有量(O)とD50との積(O×D50)は、好ましくは0.38(質量%・μm)以下である。粉末の粒子径が小さくなると酸素含有量は多くなるので、これらの積をとることで、粒子径による変動を除いた銀被覆金属粉末の酸素含有量が得られる。例えば本発明の銀被覆金属粉末の製造の実施の形態で製造される、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、金属コア粒子表面の酸化物の量が少ないと考えられ、積(O×D50)が小さく、導電性に優れる。この導電性の観点から、積(O×D50)は、より好ましくは0.37(質量%・μm)以下である(なお、通常0.10(質量%・μm)以上である)。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、導電性ペーストに使用した場合の細線描画や薄い導電膜を形成する観点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、0.8〜8.0μmであることがより好ましく、1.2〜6.0μmであることがさらに好ましい。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の酸素含有量は、導電性の観点から、好ましくは0.40質量%以下であり、より好ましくは0.07〜0.25質量%である。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のBET1点法により測定した比表面積(BET)は、良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは0.08〜1.50m2/gであり、より好ましくは0.10〜1.00m2/gであり、特に好ましくは0.15〜0.80m2/gである。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のタップ密度は、粉末の充填密度を高めて良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは3.0〜8.5g/cm3であり、より好ましくは4.0〜7.0g/cm3である。
本発明の銀被覆金属粉末の炭素含有量は、好ましくは0.05〜0.40質量%であり、より好ましくは0.08〜0.25質量%である。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の形状に特に制限はなく、球状や略球状でもよいし、粒状でもよいし、薄片状(フレーク状)でもよいし、不定形でもよい。
次に、本発明の導電性ペーストの実施の形態について説明する。この導電性ペーストは、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態と、溶剤及び/又は樹脂バインダーとを含む。導電性ペーストには高温での焼成によりペースト中の溶剤や樹脂成分を分解、揮発させ、そして金属粉末同士を焼結させる焼結型導電性ペーストと、焼結型より低温での加熱により樹脂成分を硬化させ、この硬化時の樹脂の収縮により金属粉末同士を接触させて導通を図る樹脂硬化型とがある。本発明の導電性ペーストの実施の形態はいずれの導電性ペーストとしても使用可能である。
銀被覆金属粉末93gと、熱硬化性樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂8.2gと、三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.41gと、溶剤としてブチルカルビトールアセテート2.5gと、オレイン酸0.1gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させることによって導電性ペーストを得る。この導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのパターンを持つ厚み20μmのスクリーン版で)印刷した後、大気中において200℃で40分間焼成して硬化させることによって導電膜を形成する。この導電膜の体積抵抗率を求める。
<銅コア粒子の粉末の製造>
95質量部の銅及び5質量部の亜鉛を大気雰囲気中において1200℃に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気雰囲気中において高圧水を吹き付けて急冷凝固させ、得られたスラリーを固液分離し、固形物を水洗し、乾燥し、解砕、分級して銅−亜鉛合金粉末を得た。
このようにして得られた銅−亜鉛合金粉末の合金組成および粒度分布を求めたところ、銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合は95.10質量%であり、亜鉛の質量割合は4.90質量%であり、累積50%粒子径(D50)は1.7μmであった。
なお銅−亜鉛合金粉末の合金組成は以下のようにして測定した。銅−亜鉛合金粉末(約2.5g)を塩化ビニル製リング(内径3.2mm×厚さ4mm)内に敷き詰めた後、錠剤型成型圧縮機(株式会社前川試験製作所製の型番BRE−50)により100kNの荷重をかけてペレットを作製し、このペレットをサンプルホルダー(開口径3.0cm)に入れて蛍光X線分析装置(株式会社リガク製のRIX2000)内の測定位置にセットし、測定雰囲気を減圧下(8.0Pa)とし、X線出力を50kV、50mAとした条件で測定した結果から、装置に付属のソフトウェアで各金属元素の割合を自動計算した。この計算結果から、銅と亜鉛の質量割合の合計を100質量%としたときの、それぞれの質量割合を求めた。
また銅−亜鉛合金粉末の累積50%粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで体積基準の累積50%粒子径(D50)として測定した。
キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(キレストHC、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)16.2kgとpH調整剤・緩衝剤として酒石酸36.8kgを純水369kgに溶解した溶液を撹拌しながら、67kgの上記で得られた銅−亜鉛合金粉末をこの溶液に加え、銅−亜鉛合金粉末の水系分散液を作製した。この水系分散液の液温は25℃であり、この温度でのpHは2.5であった。なおpH測定にあたっては、JISZ8802:2011「pH測定方法」に従い、pH標準液によるゼロ校正及びスパン校正を行った。
このように温度とpHを調整した水系分散液中に窒素ガスを吹き込みながら(吹込みは置換反応終了まで継続)、硝酸銀水溶液291.2kg(硝酸銀(東洋化学工業(株)製)26.2kgを純水265kgに溶解したもの。)を60分かけて連続的に添加し、得られた混合液(反応液)を撹拌して置換反応を行った。この反応において反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpHは1.7(25℃)であった。なお、置換反応の終了は、反応液の表面近傍をスポイトで分取し、分取した液をフィルター濾過して得られたろ液にヨウ化カリウムを添加し、AgIの沈殿が生成しないことをもって判断した。
置換反応が終了した反応液をろ過し、残渣(固形物)を水洗し、乾燥し、解砕して銀被覆銅合金粉末を得た。
以上の銀被覆銅合金粉末の製造条件及びコア粒子の粉末の累積50%粒子径(D50)を下記表1にまとめる。なお、後述する実施例2〜7、比較例1及び2についても併せて示した。
ここで求められたBET比表面積より、銀被覆銅合金粉末のDBETを下記式(1)より算出した。
DBET=6/(ρ×BET)・・・(1)
ここで、銀被覆銅合金粉末の密度ρは以下のようにして求めた。まず銀量を下記で説明する方法で測定し、この質量割合を100質量%から差し引く(得られた値を値Aとする)。そして銀被覆銅合金粉末における銅と亜鉛の合計におけるそれぞれの質量割合を下記で説明する方法により求める。これらそれぞれの質量割合に値Aをかける。このようにして求められた、銀被覆銅合金粉末における銀、銅及び亜鉛の各質量割合に、それぞれの密度を掛けて足し合わせることで、銀被覆銅合金粉末の密度ρを求めた。具体的には以下の計算式となる。
ρ=10.49(g/cm3)×22.3%+8.94(g/cm3)×(100%−22.3%)×95.1%+7.14(g/cm3)×(100%−22.3%)×4.9%
=9.22(g/cm3)
銀被覆銅合金粉末における銅と亜鉛の合計におけるそれぞれの質量割合:上記銅−亜鉛合金粉末における場合と同様に求めた。
銀被覆工程において、使用するキレート剤をニトリロ三酢酸(キレストNT、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)1.6kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤として酒石酸11.0kg及び酒石酸ナトリウム1.9kgを使用した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.4(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.4であった。
銀被覆工程において、キレート剤の使用量を32.4kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤(酒石酸)の使用量を73.6kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、銅95.00質量%と亜鉛5.00質量%(及び不可避不純物)の合金組成の、累積50%粒子径(D50)が2.9μmの銅合金粉末(分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(キレストHA、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)23.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸9.2kgと酒石酸ナトリウム4.7kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、累積50%粒子径(D50)が3.6μmの銅粉末(銅の溶湯として、分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造した)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をキレストHA 23.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸9.2kgと酒石酸ナトリウム4.7kgに変更し、硝酸銀水溶液を、硝酸銀11.7kgを純水118kgに溶解した溶液に変更してその添加時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.4(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、累積50%粒子径(D50)が2.0μmの銅粉末(銅の溶湯として、分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をキレストNT 1.6kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸11.0kgと酒石酸ナトリウム1.9kgに変更し、硝酸銀水溶液を、硝酸銀11.7kgを純水118kgに溶解した溶液に変更してその硝酸銀水溶液の添加時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.1(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
銀被覆工程における反応液の温度を20℃とした以外は、実施例3と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
銀被覆工程において、使用するキレート剤をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)31.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤をフタル酸水素カリウム16.7kgに変更し、硝酸銀水溶液の添加時間を135分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは4.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は2.8であった。
銀被覆工程において、キレート剤を使用せず、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸1.9kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.6(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの抵抗評価、導電性ペーストの粘度変化率を求めた。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
Claims (21)
- 銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法であって、
前記混合液がキレート剤を含み、
前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する、
銀被覆金属粉末の製造方法。 - 前記金属粉末が銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記金属粉末が銅及び不可避不純物からなる銅粉末である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記金属粉末が銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記銀イオンが前記混合液中に、銀としての質量換算で、前記金属粉末100質量部に対して0.1〜100質量部存在する、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記銀被覆工程において、前記混合液に非酸化性ガスを吹き込みながら前記銀被覆層を形成する、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記銀被覆工程を、前記キレート剤及び前記金属粉末が水に分散した水系分散液に非酸化性ガスを吹き込みながら、前記水系分散液に銀イオンを含有する水溶液を添加することにより実施する、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記水系分散液にpH調整剤を添加して前記水系分散液のpHを2.6以下としてから、前記水系分散液に前記銀イオンを含有する水溶液を添加する、請求項8に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 前記金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10.0μmである、請求項1〜9のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
- 銅の質量割合が80質量%以上である金属コア粒子と、該コア金属粒子を被覆する銀からなる銀被覆層とを有する銀被覆金属粉末であって、
前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定した比表面積から算出した真球換算の粒子径(DBET)に対するレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である、
銀被覆金属粉末。 - 前記金属コア粒子が銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
- 前記金属コア粒子が銅及び不可避不純物からなる、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
- 前記金属コア粒子が銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
- 前記銀被覆金属粉末5gをpH0の硫酸水溶液45gに30分間浸漬したときの銅イオン溶出量が450mg/L以下である、請求項11〜14のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
- 前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定したBET比表面積(BET)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(BET×D50)が、1.07(m2・μm/g)以下である、請求項11〜15のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
- 前記銀被覆金属粉末の、酸素含有量(O)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(O×D50)が、0.38(質量%・μm)以下である、請求項11〜16のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
- レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10.0μmである、請求項11〜17のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
- 前記銀被覆金属粉末における銀被覆層の質量割合が0.1〜50質量%である、請求項11〜18のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
- 請求項11〜19のいずれかに記載の銀被覆金属粉末が溶剤及び/又は樹脂バインダー中に分散した、導電性ペースト。
- 請求項20に記載の導電性ペーストを基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成することにより基板上に導電膜を形成する、導電膜の製造方法。
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