JP2019178400A - 銀被覆金属粉末およびその製造方法、銀被覆金属粉末を含む導電性ペースト、並びに導電性ペーストを用いた導電膜の製造方法 - Google Patents

銀被覆金属粉末およびその製造方法、銀被覆金属粉末を含む導電性ペースト、並びに導電性ペーストを用いた導電膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子同士の凝集が抑制され、導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末及びその製造方法を提供すること。【解決手段】銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法であって、前記混合液がキレート剤を含み、前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する、銀被覆金属粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、所定条件で銅粉末などの金属粉末を銀コートする、銀被覆金属粉末の製造方法、及び例えばそのような方法で製造された銀被覆金属粉末、銀被覆金属粉末を含む導電性ペースト、並びに導電性ペーストを用いた導電膜の製造方法に関する。
従来、印刷法などにより電子部品の電極や配線を形成するために、銀粉や銅粉などの導電性の金属粉末に溶剤、樹脂、分散剤などを配合して作成した導電性ペーストが使用されている。銀粉は導電性や耐酸化性に優れる一方、コストが高い、マイグレーションを起こしやすいなどの問題を有している。一方銅粉は導電性やコストに優れ、マイグレーションを起こしにくいが、耐酸化性が悪いという問題を有している。
そこで銀粉及び銅粉のメリットを享受しようと、銀被覆銅粉が開発されている。この銀被覆銅粉の製造方法として特許文献1には、酸性溶液(pH2〜5)中に銅粉を分散し、該銅粉分散液にキレート化剤を加えて銅粉スラリーを作製した後に緩衝剤を添加してpHを約4に調整し、該銅粉スラリーに銀イオン溶液を連続的に添加することで置換反応により銅粉表面へ銀層を形成することが開示されている。このようにすることで、大気雰囲気中に放置しても、導電性の経時変化が少ない銀コート銅粉が得られるとされている。
また特許文献2には、粒子同士が焼結し難く且つ導電ペーストに使用した場合にその導電ペーストの粘度の経時的な増大を抑制することができる銀被覆金属粉末を製造するため、銅または銅合金の粉末を銀含有層により被覆した後、銀含有層で被覆した銅または銅合金の粉末を還元性雰囲気下において60〜160℃で0.5〜50時間加熱して表面改質を行うことを開示している。また特許文献2には、このようにして製造された銀被覆銅(合金)粉末の銅溶出量や導電ペーストの粘度変化率、D50/DBET(DBETはBET比表面積から算出した粒子径)について開示されている。
特開2004−52044号公報 特開2016−176093号公報
しかし、特許文献1のようにpH約4の銅粉スラリーに銀イオン溶液を添加して銀被覆反応を実施すると、銅の酸化物が生じて銀被覆銅粉の導電性に悪影響するおそれがある。銅のpH−電位図において、pH4では酸化銅が生成しうるからである。その結果として、得られる銀被覆銅粉において粉末の凝集が生じるおそれもある。
特許文献2ではD50/DBETの小さい、粒子同士の焼結や凝集が抑制された銀被覆銅(合金)粉末が提供されたが、近年の電子部品の小型化、高性能化などの要求から、細線描画や、薄く平滑な導電膜の形成を可能とするため、さらなる凝集抑制の改善が求められる。また、凝集を抑制すると、一般的に粉末の充填性が高まり、導電性が向上する。
以上から本発明の課題は、更に粒子同士の凝集が抑制され、導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、銀イオンを含む液状媒体中で銅(合金)粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆反応を実施するにあたって、銀被覆反応における反応液内にキレート剤を存在させ、かつ反応液のpHを2.6以下(銅のpH−電位図において酸化銅が生成しない領域)に保持して当該反応を実施することで、酸化銅の生成を抑制しつつ銅(合金)粒子の表面に均一に銀被覆を行うことができ、これにより粒子同士の凝集が抑制され、導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法であって、前記混合液がキレート剤を含み、前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する、銀被覆金属粉末の製造方法である。
この銀被覆金属粉末の製造方法において、前記金属粉末は、銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、銅合金粉末であってもよい。また前記金属粉末は、銅及び不可避不純物からなる銅粉末であってもよい。さらに前記金属粉末は、銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、銅合金粉末であってもよい。
また、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態において、前記銀イオンが前記混合液中に、銀としての質量換算で、前記金属粉末100質量部に対して0.1〜100質量部存在することが好ましい。前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
また、銀被覆金属粉末の製造方法の一態様として、前記銀被覆工程において、前記混合液に非酸化性ガスを吹き込みながら前記銀被覆層を形成する態様が挙げられる。
別の態様として、前記銀被覆工程を、前記キレート剤及び前記金属粉末が水に分散した水系分散液に非酸化性ガスを吹き込みながら、前記水系分散液に銀イオンを含有する水溶液を添加することにより実施する態様が挙げられる。この態様において、水系分散液のpHが高い場合には、前記水系分散液にpH調整剤を添加して前記水系分散液のpHを2.6以下としてから、前記水系分散液に前記銀イオンを含有する水溶液を添加することが好ましい。
また、銀被覆金属粉末の製造方法において、銀被覆層で被覆される前記金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、0.1〜10.0μmであることが好ましい。
例えば以上の銀被覆金属粉末の製造方法により製造できる本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、銅の質量割合が80質量%以上である金属コア粒子と、該金属コア粒子を被覆する銀からなる銀被覆層とを有する銀被覆金属粉末であって、前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定した比表面積から算出した真球換算の粒子径(DBET)に対するレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である。
前記金属コア粒子は銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記コア粒子における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%であるものであってもよい。また前記金属コア粒子は、銅及び不可避不純物からなるものであってもよい。さらに前記金属コア粒子は、銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%であるものであってもよい。
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態5gをpH0の硫酸水溶液45gに30分間浸漬したときの銅イオン溶出量は、好ましくは450mg/L以下である。またこの銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定したBET比表面積(BET)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(BET×D50)は、好ましくは1.07(m・μm/g)以下である。銀被覆金属粉末の、酸素含有量(O)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(O×D50)は、好ましくは0.38(質量%・μm)以下である。また銀被覆金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、好ましくは0.1〜10.0μmである。銀被覆金属粉末における銀被覆層の質量割合は、好ましくは0.1〜50質量%である。
本発明の導電性ペーストの実施の形態は、以上の銀被覆金属粉末が溶剤及び/又は樹脂バインダー中に分散してなるものである。この導電性ペーストを基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成することにより基板上に導電膜を形成する、導電膜の製造方法も、本発明の実施の形態の一つである。
本発明によれば、粒子同士の凝集が抑制され、導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末及びその製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書においては、個々の「粒子」が「粉末」を構成し、「粉末」は「粒子」の集合を指すものとする。以下の説明においては原則として、粉末を構成する個々のものに着目している場合は「粒子」という言葉を、粒子の集合という全体に着目している場合は「粉末」又は「粒子の粉末」という言葉を使用する。なお、厳密に個々の粒子とその集合である粉末とを区別しようとするものではない。
[銀被覆金属粉末の製造方法]
本発明の銀被覆金属粉末の製造方法の一実施形態では、銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法において、前記混合液がキレート剤を含み、前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する。以下、本実施形態の各構成について説明する。
<金属粉末>
前記金属粉末は、銅の質量割合が80質量%以上の金属粉末であれば特に限定されるものではなく、銅及び(1000ppm以下の)不可避不純物からなる銅粉末であってもよいし、銅と他の金属元素を含む銅合金粉末であってもよい。前記不可避不純物の例としては、鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、パラジウム、マグネシウム、酸素、炭素、窒素、リン、ケイ素、塩素が挙げられる。なお前記不可避不純物は、所与の目的を達成するために1000ppm以下程度のレベルで含有させられる微量添加元素を包含するものとする。
銅合金粉末の例としては、銅及び亜鉛並びに(1000ppm以下の)不可避不純物からなる銅合金粉末が挙げられる。これを銀被覆することで、耐酸化性に優れた銀被覆金属粉末が得られる。この銅合金粉末における銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する各々の質量割合は、前記の特性の点から、銅が85.00〜99.50質量%で亜鉛が0.50〜15.00質量%であることが好ましく、銅が88.00〜98.50質量%で亜鉛が1.50〜12.00質量%であることがより好ましい。
また銅合金粉末の他の例としては、銅、ニッケル及び亜鉛並びに(1000ppm以下の)不可避不純物からなる銅合金粉末が挙げられる。これを銀被覆することで、耐酸化性に優れた銀被覆金属粉末が得られる。この銅合金粉末における銅、ニッケル及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する各々の質量割合は、前記の特性の点から、銅が80.00〜99.50質量%でニッケルが0.10〜10.00質量%で亜鉛が0.40〜19.90質量%であることが好ましく、銅が88.00〜97.50質量%でニッケルが0.15〜10.00質量%で亜鉛が2.00〜11.80質量%であることがより好ましい。
金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、製造される銀被覆金属粉末を導電性ペーストに使用した場合の細線描画や薄い導電膜を形成する観点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、0.8〜8.0μmであることがより好ましく、1.2〜6.0μmであることがさらに好ましい。
以上説明した金属粉末は、水溶液中で銅イオンを還元することにより銅粒子を析出させる湿式還元法や、溶湯を落下させながら、これにガスや水などの流体を衝突させて粉末とするアトマイズ法などの、公知の方法により製造することができる。金属粉末として市販品を使用してもよい。
<銀被覆工程>
本実施の形態の銀被覆金属粉末の製造方法における銀被覆工程では、銀イオンとキレート剤と液状媒体を含む混合液が使用され、この混合液中で金属粉末に対して銀被覆反応を実施する。より具体的には金属粉末を含む混合液を撹拌することで、金属粉末の粒子表面の銅と銀の置換反応が起こり、銀被覆層が形成される。なお銀被覆層の形成においてはキレート剤などの薬剤が共存するため、銀被覆層は不可避不純物としてこれらやこれらの反応物などを内包しうる。
前記混合液を構成する液状媒体は、銀イオンが安定に存在できることから水であることが好ましく、水と、アルコールなどの少量の極性溶媒との混合溶媒であってもよい。前記アルコールとしては、極性の点から炭素数1〜5のアルコールが好ましく、炭素数1〜3のアルコールがより好ましい。また前記混合溶媒における水の割合は、銀イオンが安定に存在し銀被覆が良好になされる観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
混合液中の銀イオンは、通常銀イオン源を液状媒体に溶解させることによって供給される。銀イオン源としては銀塩(例えば硝酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、シュウ化銀、炭酸銀)が挙げられ、水溶性が高いことやコストの点から硝酸銀が好ましい。混合液中の銀イオンの量は、目的とする金属粉末の銀被覆割合に応じて適宜変更すればよいが、銀としての質量換算で、通常金属粉末100質量部に対して0.1〜100質量部とされ、好ましくは5〜70質量部であり、より好ましくは8〜50質量部である。
本実施の形態において、混合液はさらにキレート剤を含む。キレート剤は、混合液中に投入された金属粉末の粒子表面の酸化膜を除去する機能を発揮して銀被覆が良好になされるようにする機能を有する。またキレート剤は、銀被覆反応(置換めっき反応)において金属粉末から溶出した銅イオンを錯体化で捕捉することによって、銅イオンの銅粒子上での再析出のような、銀被覆反応の進行の妨害反応を抑制する。
キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸及びこれらの塩が挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお前記塩の例としてはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられ、これらの具体例としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
例えば、キレート剤及び金属粉末が液状媒体に分散した分散液に、銀イオンを含有する水溶液を添加して(水溶液を一挙に添加してもよく、連続的に添加してもよい)、得られる混合液を撹拌することで金属粉末に対して銀被覆反応を実施するが、この反応において、混合液(反応液)のpHを2.6以下に保持する。このように混合液のpHを銅のpH−電位図において酸化銅が生成しない領域に保持して銀被覆反応を実施することで、酸化銅の生成を抑制しつつ金属粉末の粒子表面に均一に銀被覆を行うことができる。なおpHが酸性であるため、金属粉末の粒子表面からの銅の溶出が起こるが、これもキレート剤により捕捉され、銅イオンによる銀被覆反応の進行の妨害反応が抑制される。この銀被覆反応において、前記混合液の電位は特に限定されるものではないが、通常0〜1.0V(対標準電極電位)である。また、本明細書において、混合液のpHは、これを分取し、25℃で測定するものとする。
また、pHが2.6以下という酸性であるために、銀被覆反応は比較的緩やかに進行するため、均一な銀被覆反応がなされる。なお、反応の均一性の点から、銀被覆反応の開始時点と終了時点の混合液のpHの差は、1.4以下であることが好ましい。銀被覆反応の開始時点は、混合液中で銀イオンと金属粉末が共存するようになった瞬間であり、銀被覆反応の終了時点は、混合液の表面近傍をスポイトで分取し、分取した液をフィルター濾過して得られたろ液にヨウ化カリウム等のハロゲン化物を添加した際に、銀のハロゲン化物の生成反応が起こらなくなった時点である。
さらに、本実施の形態においては、好ましくは混合液に非酸化性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガス)を吹き込みながら銀被覆反応を実施して銀被覆層を形成する。混合液が酸性であるために、混合液中で銅が溶解しやすく凝集の原因となる場合があるが、非酸化性ガスを吹き込んで混合液中の酸素を極力減らすことで、銅の溶解を防止し、得られる銀被覆金属粉末を分散したものとすることができる。
なお、本実施の形態において例えば、キレート剤及び金属粉末が液状媒体に分散した、pH3.0の分散液に、銀イオンを含有するpH1.5の水溶液を添加する場合のように、銀被覆反応開始の瞬間のようなわずかな時間において混合液のpHが2.6以下でなくとも、その後の反応においてpH2.6以下が保持されればよい。このような銀被覆反応の工程を実施して得られた銀被覆金属粉末が、後記で説明する本発明の実施の形態の銀被覆金属粉末に該当すれば、その態様は本発明の銀被覆金属粉末の製造方法に該当するものとする。
また、混合液中の成分によって混合液のpHが2.6より大きい場合、混合液にpH調整剤を添加してpHを2.6以下としてから銀被覆反応を実施することが、凝集が抑制され導電性に優れた銀被覆金属粉末を得られることから望ましい。pH調整剤の例としては、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸およびそれらの塩が挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは銀被覆反応時のpHの変化(特にアルカリ性側への変動)を防止するための緩衝剤としても機能する。なお前記塩の例としてはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられ、これらの具体例としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
また、本実施形態の好ましい態様として、キレート剤及び金属粉末が水に分散した水系分散液に非酸化性ガスを吹き込みながら、前記水系分散液に銀イオンを含有する水溶液を添加して銀被覆反応を実施する態様が挙げられる。水は安価でありまた銀被覆反応を良好に進行させることができる。この態様において前記水系分散液のpHが2.6を超える場合には、pH調整剤を添加して水系分散液のpHを2.6以下としてから、そこに銀イオンを含有する水溶液を添加することが好ましい。
以上説明した銀被覆工程における銀被覆反応の反応温度は特に制限されるものではなく、例えば室温(1〜30℃)や加温条件(30℃を超え70℃以下)下で銀被覆反応を実施することができる。銀被覆を均一に行う観点からは、反応温度は15〜50℃であることが好ましい。
<その他の工程>
以上説明した銀被覆工程の他に、当該工程で得られた、銀被覆金属粉末を含むスラリーに対して濾過等の固液分離工程を実施してもよい。さらに銀被覆金属粉末に対して洗浄工程や乾燥工程を実施してもよく、また、解砕工程や篩別工程を実施して銀被覆金属粉末の粒度を整えてもよい。
[銀被覆金属粉末]
次に、本発明の銀被覆金属粉末について説明する。本発明の銀被覆金属粉末の一実施形態は、銅の質量割合が80質量%以上である金属コア粒子と、該金属コア粒子を被覆する銀からなる銀被覆層とを有する銀被覆金属粉末であって、前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定した比表面積から算出した真球換算の粒子径(DBET)に対するレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である、銀被覆金属粉末である。この銀被覆金属粉末は、本発明の一実施形態に係る銀被覆金属粉末の製造方法により製造することができる。以下、この銀被覆金属粉末の各構成について説明する。
(金属コア粒子)
本実施の形態における金属コア粒子は、本実施の形態の銀被覆金属粉末の製造方法において説明した金属粉末に対応するものである。すなわち、この金属コア粒子は銅の質量割合が80質量%以上であればその金属組成は特に限定されず、銅及び不可避不純物からなる銅コア粒子であってもよいし、銅と他の金属元素を含む銅合金コア粒子であってもよい。前記不可避不純物は、本発明の一実施形態に係る銀被覆金属粉末の製造方法における金属粉末において説明したのと同様である。なお、金属コア粒子の表面には銀被覆層が形成されており、この銀被覆金属粉末においては、経時的に元素の拡散が起こる場合がある。そのため金属コア粒子は微量の銀を含有している場合がある。
前記銅合金コア粒子の例としては、銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金コア粒子が挙げられる。この金属コア粒子の表面に銀被覆層が形成された銀被覆金属粉末は、耐酸化性に優れる。この銅合金コア粒子における銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%における各元素の質量割合は、前記の特性の点から、銅が85.00〜99.50質量%で亜鉛が0.50〜15.00質量%であることが好ましく、銅が88.00〜98.50質量%で亜鉛が1.50〜12.00質量%であることがより好ましい。
また銅合金コア粒子の他の例としては、銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金コア粒子が挙げられる。この金属コア粒子の表面に銀被覆層が形成された銀被覆金属粉末は、耐酸化性に優れる。この銅合金コア粒子における銅、ニッケル及び亜鉛の質量割合の合計100質量%における各元素の質量割合は、前記の特性の点から、銅が80.00〜99.50質量%でニッケルが0.10〜10.00質量%で亜鉛が0.40〜19.90質量%であることが好ましく、銅が88.00〜97.50質量%でニッケルが0.15〜10.00質量%で亜鉛が2.30〜11.80質量%であることがより好ましい。
(銀被覆層)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態においては、以上説明した金属コア粒子の表面に銀被覆層が形成されている。この銀被覆層は実質的に銀からなるが、製造工程や原料に由来する不可避不純物を含みうる。そして金属コア粒子の構成元素が銀被覆層へ拡散し、銀被覆層がこれらの元素を含んでいる場合がありうる。
また銀被覆層は金属コア粒子の表面全体に形成されている必要はなく、後述する良好な導電性を示す程度に形成され、金属コア粒子の表面を被覆していればよい。またそのような被覆がなされている一つの指標として、銀被覆金属粉末における銀被覆層の質量割合が0.1〜50質量%であることが好ましい。良好な導電性の観点からは、銀被覆層の質量割合は1〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。一方銀被覆金属粉末の製造コストの観点からは、銀被覆層の質量割合は2〜12質量%であることが好ましい。なお、銀被覆層の質量割合は、銀被覆金属粉末の銀量を測定することによって求めるものとする。
(DBETに対するD50の比(D50/DBET))
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態においては、粒子径(DBET)に対する累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である。D50はいわゆる凝集粒子径であり、DBETは一次粒子径にあたる。そのためこれらの比は粉末の凝集の程度の指標となり、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、これが1.65以下と小さく、粒子同士の凝集が抑制されている。凝集抑制の観点から、銀被覆金属粉末の比(D50/DBET)は1.58以下であることが好ましく、1.45以下であることがより好ましい(なお、通常D50/DBETは1.00以上である)。
なお、DBETは下記式(1)で求められる。
BET=6/(ρ×BET)・・・(1)
式(1)中、ρは銀被覆金属粉末の各構成金属元素(不可避不純物に該当するものを除く)の比重並びに組成比(各構成金属元素の質量割合の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm)である。
(銅イオン溶出量)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態について、この粉末5gをpH0の硫酸水溶液45gに30分間浸漬したときの銅イオン溶出量が、好ましくは450mg/L以下である。この溶出試験の詳細については実施例で後述する。このように銅イオン溶出量の小さな銀被覆金属粉末は、これを使用して導電性ペーストを製造したときに、そのペーストの経時的な粘度の上昇が小さい。この点から、銅イオン溶出量は、420mg/L以下であることがより好ましく、390mg/L以下であることがさらに好ましい(なお、通常20mg/L以上である)。なお銅イオン溶出量は、溶出試験で得られる溶出液について誘導結合プラズマ発光分光分析を実施して、銅イオンに対応する量の銅の重量として求められる。
(BET比表面積と平均粒子径(D50)との積(BET×D50
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のD50とBET比表面積(BET)との積(BET×D50)は、好ましくは1.07(m・μm/g)以下である。BETは銀被覆金属粉末の表面形状により影響を受け、粉末を構成する粒子表面に凹凸など真球から離れた形状の部分が多ければその値は大きくなる。またBETは銀被覆金属粉末の粒子径によっても変わり、粒子径が小さければBETは大きくなる。そこで、BETとD50との積をとることで、粒子径による影響を除いて、銀被覆金属粉末の粒子表面の形状の指標とすることができる。銅の質量割合が80%以上である金属コア粒子は酸化されやすく、銀被覆されても、その酸化物が表面に残存している場合があり、この場合にはBETが大きくなる。例えば本発明の銀被覆金属粉末の製造方法の実施の形態で製造される、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、銀被覆が均一になされ、また金属コア粒子表面の酸化物が少ないと考えられ、積(BET×D50)が小さい。積(BET×D50)は、より好ましくは0.95(m・μm/g)以下である(なお、通常0.40(m・μm/g)以上である)。
(酸素含有量(O)と平均粒子径(D50)との積(O×D50))
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の酸素含有量(O)とD50との積(O×D50)は、好ましくは0.38(質量%・μm)以下である。粉末の粒子径が小さくなると酸素含有量は多くなるので、これらの積をとることで、粒子径による変動を除いた銀被覆金属粉末の酸素含有量が得られる。例えば本発明の銀被覆金属粉末の製造の実施の形態で製造される、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、金属コア粒子表面の酸化物の量が少ないと考えられ、積(O×D50)が小さく、導電性に優れる。この導電性の観点から、積(O×D50)は、より好ましくは0.37(質量%・μm)以下である(なお、通常0.10(質量%・μm)以上である)。
(平均粒子径(D50))
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、導電性ペーストに使用した場合の細線描画や薄い導電膜を形成する観点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、0.8〜8.0μmであることがより好ましく、1.2〜6.0μmであることがさらに好ましい。
(酸素含有量)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の酸素含有量は、導電性の観点から、好ましくは0.40質量%以下であり、より好ましくは0.07〜0.25質量%である。
(BET比表面積)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のBET1点法により測定した比表面積(BET)は、良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは0.08〜1.50m/gであり、より好ましくは0.10〜1.00m/gであり、特に好ましくは0.15〜0.80m/gである。
(タップ密度)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のタップ密度は、粉末の充填密度を高めて良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは3.0〜8.5g/cmであり、より好ましくは4.0〜7.0g/cmである。
(炭素含有量)
本発明の銀被覆金属粉末の炭素含有量は、好ましくは0.05〜0.40質量%であり、より好ましくは0.08〜0.25質量%である。
(形状)
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の形状に特に制限はなく、球状や略球状でもよいし、粒状でもよいし、薄片状(フレーク状)でもよいし、不定形でもよい。
[導電性ペースト]
次に、本発明の導電性ペーストの実施の形態について説明する。この導電性ペーストは、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態と、溶剤及び/又は樹脂バインダーとを含む。導電性ペーストには高温での焼成によりペースト中の溶剤や樹脂成分を分解、揮発させ、そして金属粉末同士を焼結させる焼結型導電性ペーストと、焼結型より低温での加熱により樹脂成分を硬化させ、この硬化時の樹脂の収縮により金属粉末同士を接触させて導通を図る樹脂硬化型とがある。本発明の導電性ペーストの実施の形態はいずれの導電性ペーストとしても使用可能である。
本発明の導電性ペーストの実施の形態においては、本発明の銀被覆金属粉末に該当する、粒径や形状その他の点で種類の異なる2種以上の銀被覆金属粉末を組み合わせて使用してもよい。導電性ペーストにおける銀被覆金属粉末の含有量は、適切な導電性の導電膜を形成する観点から、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。
本発明の導電性ペーストの実施の形態には、求められる特性に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、銅粉、銀粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、亜鉛粉、錫粉、ビスマス粉及びリン粉などの、本発明の銀被覆金属粉末以外の金属粉末を添加してもよい。導電性ペースト中の前記金属粉末の含有量は、好ましくは1〜48質量%である。また、前記金属粉末は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
導電性ペースト中における、銀被覆金属粉末と金属粉末の合計含有量は、適切な導電性の導電膜を形成する観点から、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。
本発明の導電性ペーストの実施の形態は、溶剤及び/又は樹脂バインダーを含んでいる。前記溶剤としては本発明の効果を損なわない限り公知の溶剤を特に制限なく使用可能であるが、その例としては、テキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート)、ターピネオール、カルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、エチレングリコール、ジブチルアセテートやジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の極性溶剤が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また前記樹脂バインダーは本発明の効果を損なわない限り公知の樹脂バインダーを特に制限なく使用可能であるが、その例としては、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ロジン、フェノキシ樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の導電性ペーストの実施の形態における溶剤の含有量は、0.5〜49質量%であることが好ましく、1〜28質量%であることがより好ましい。本発明の導電性ペーストの実施の形態における樹脂バインダーの含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の導電性ペーストには、必要に応じて、界面活性剤、分散剤、安定化剤、可塑剤や、金属酸化物粉末などの添加剤を添加してもよい。
また、導電性ペーストが樹脂硬化型の導電性ペーストである場合には、当該ペーストは硬化性樹脂を含む。これは上記の樹脂バインダーを兼ねることができる。硬化性樹脂には熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂があり、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂及び(メタ)アクリル樹脂などが挙げられ、光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂などが挙げられる。これらの硬化性樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。硬化性樹脂の導電性ペーストにおける含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の導電性ペーストの実施の形態には、当該ペーストを加熱により硬化させる場合、硬化させるため又は硬化を促進するため、熱重合開始剤を添加してもよい。また、硬化を促進するため、ポリアミン、酸無水物、三ハロゲン化ホウ素化合物、三ハロゲン化ホウ素化合物のアミン錯塩などの硬化剤を添加してもよい。
また、本発明の導電性ペーストの実施の形態を光重合させる場合には、導電性ペースト中に光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤や光カチオン重合開始剤が用いられる。また、導電性ペーストに光増感剤を添加することもできる。
以上説明した本発明の導電性ペーストの実施の形態の調製方法は特に制限されるものではないが、例えば、各構成要素を計量して所定の容器に入れ、混練脱泡機、らいかい機、万能攪拌機、ニーダーなどを用いて予備混練した後、3本ロールで本混練することによって調製することができる。また、必要に応じて、その後、溶剤を添加して、導電性ペーストの粘度調整を行ってもよい。
本発明の導電性ペーストの実施の形態は導電性に優れた導電膜を形成可能である。具体的には、以下のようにして導電膜を形成した時に、その導電膜の体積抵抗率が好ましくは1.5×10−5Ω・cm〜5.5×10−5Ω・cmであり、より好ましくは2.0×10−5Ω・cm〜4.2×10−5Ω・cmである。この抵抗の評価方法の詳細については、実施例にて説明する。
銀被覆金属粉末93gと、熱硬化性樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂8.2gと、三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.41gと、溶剤としてブチルカルビトールアセテート2.5gと、オレイン酸0.1gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させることによって導電性ペーストを得る。この導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのパターンを持つ厚み20μmのスクリーン版で)印刷した後、大気中において200℃で40分間焼成して硬化させることによって導電膜を形成する。この導電膜の体積抵抗率を求める。
以下、本発明を実施例及び比較例によってより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<銅コア粒子の粉末の製造>
95質量部の銅及び5質量部の亜鉛を大気雰囲気中において1200℃に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気雰囲気中において高圧水を吹き付けて急冷凝固させ、得られたスラリーを固液分離し、固形物を水洗し、乾燥し、解砕、分級して銅−亜鉛合金粉末を得た。
このようにして得られた銅−亜鉛合金粉末の合金組成および粒度分布を求めたところ、銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合は95.10質量%であり、亜鉛の質量割合は4.90質量%であり、累積50%粒子径(D50)は1.7μmであった。
なお銅−亜鉛合金粉末の合金組成は以下のようにして測定した。銅−亜鉛合金粉末(約2.5g)を塩化ビニル製リング(内径3.2mm×厚さ4mm)内に敷き詰めた後、錠剤型成型圧縮機(株式会社前川試験製作所製の型番BRE−50)により100kNの荷重をかけてペレットを作製し、このペレットをサンプルホルダー(開口径3.0cm)に入れて蛍光X線分析装置(株式会社リガク製のRIX2000)内の測定位置にセットし、測定雰囲気を減圧下(8.0Pa)とし、X線出力を50kV、50mAとした条件で測定した結果から、装置に付属のソフトウェアで各金属元素の割合を自動計算した。この計算結果から、銅と亜鉛の質量割合の合計を100質量%としたときの、それぞれの質量割合を求めた。
また銅−亜鉛合金粉末の累積50%粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで体積基準の累積50%粒子径(D50)として測定した。
<銀被覆>
キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(キレストHC、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)16.2kgとpH調整剤・緩衝剤として酒石酸36.8kgを純水369kgに溶解した溶液を撹拌しながら、67kgの上記で得られた銅−亜鉛合金粉末をこの溶液に加え、銅−亜鉛合金粉末の水系分散液を作製した。この水系分散液の液温は25℃であり、この温度でのpHは2.5であった。なおpH測定にあたっては、JISZ8802:2011「pH測定方法」に従い、pH標準液によるゼロ校正及びスパン校正を行った。
このように温度とpHを調整した水系分散液中に窒素ガスを吹き込みながら(吹込みは置換反応終了まで継続)、硝酸銀水溶液291.2kg(硝酸銀(東洋化学工業(株)製)26.2kgを純水265kgに溶解したもの。)を60分かけて連続的に添加し、得られた混合液(反応液)を撹拌して置換反応を行った。この反応において反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpHは1.7(25℃)であった。なお、置換反応の終了は、反応液の表面近傍をスポイトで分取し、分取した液をフィルター濾過して得られたろ液にヨウ化カリウムを添加し、AgIの沈殿が生成しないことをもって判断した。
置換反応が終了した反応液をろ過し、残渣(固形物)を水洗し、乾燥し、解砕して銀被覆銅合金粉末を得た。
以上の銀被覆銅合金粉末の製造条件及びコア粒子の粉末の累積50%粒子径(D50)を下記表1にまとめる。なお、後述する実施例2〜7、比較例1及び2についても併せて示した。
得られた銀被覆銅合金粉末について、BET比表面積(BET)、タップ密度、酸素含有量(O)、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。具体的な測定等の方法は以下の通りである。
BET比表面積(BET):BET比表面積測定器(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。
ここで求められたBET比表面積より、銀被覆銅合金粉末のDBETを下記式(1)より算出した。
BET=6/(ρ×BET)・・・(1)
ここで、銀被覆銅合金粉末の密度ρは以下のようにして求めた。まず銀量を下記で説明する方法で測定し、この質量割合を100質量%から差し引く(得られた値を値Aとする)。そして銀被覆銅合金粉末における銅と亜鉛の合計におけるそれぞれの質量割合を下記で説明する方法により求める。これらそれぞれの質量割合に値Aをかける。このようにして求められた、銀被覆銅合金粉末における銀、銅及び亜鉛の各質量割合に、それぞれの密度を掛けて足し合わせることで、銀被覆銅合金粉末の密度ρを求めた。具体的には以下の計算式となる。
ρ=10.49(g/cm)×22.3%+8.94(g/cm)×(100%−22.3%)×95.1%+7.14(g/cm)×(100%−22.3%)×4.9%
=9.22(g/cm
タップ密度:特開2007−263860号公報に記載された方法と同様に、銀被覆銅合金粉末を内径6mm×高さ11.9mmの有底円筒形のダイに容積の80%まで充填して銀被覆銅合金粉末層を形成し、この銀被覆銅合金粉末層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加えて、この圧力で銀被覆銅合金粉末がこれ以上密に充填されなくなるまで銀被覆銅合金粉末を圧縮した後、銀被覆銅合金粉末層の高さを測定し、この銀被覆銅合金粉末層の高さの測定値と、充填された銀被覆銅合金粉末の重量とから、銀被覆銅合金粉末の密度を求め、これをタップ密度とした。
酸素含有量(O):酸素・窒素分析装置(LECO社製のTC−436型)により測定した。
炭素含有量:炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−22V)により測定した。
粒度分布:レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで体積基準の累積10%粒子径(D10)、累積25%粒子径(D25)、累積50%粒子径(D50)、累積75%粒子径(D75)、累積90%粒子径(D90)及び累積99%粒子径(D99)を求めた。
銀被覆層の質量割合(銀量):銀被覆銅合金粉末を硝酸で溶解した後、塩酸を添加して生成した塩化銀(AgCl)の沈殿を乾燥し、重量を測定することにより求めた。
銀被覆銅合金粉末における銅と亜鉛の合計におけるそれぞれの質量割合:上記銅−亜鉛合金粉末における場合と同様に求めた。
硫酸による銅の溶出量:液温25℃でpH計の指示値が0の硫酸水溶液45gと銀被覆銅合金粉末5gを容量100mlのポリ広口ビンに入れ、高周波出力200Wの超音波洗浄機にて超音波を30分印加した。超音波印加後のスラリーを0.2μmのフィルターで固液分離し、得られた溶出液中の銅イオン量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により求めた。
導電性ペーストの抵抗評価:銀被覆銅合金粉末93gと、熱硬化性樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4901E)8.2gと、三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.41gと、溶剤としてブチルカルビトールアセテート2.5gと、オレイン酸0.1gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させることによって導電性ペーストを得た。導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのパターンを持つ厚み20μmのスクリーン版で)印刷した後、大気中において200℃で40分間焼成して硬化させることによって導電膜を形成し、得られた導電膜の体積抵抗率を算出した。導電膜の体積抵抗率は、得られた導電膜のライン抵抗をデジタルマルチメーター(エーディーシー社製 AD7451A)により測定し、膜厚を表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製のサーフコム1500DX型)により測定して、体積抵抗率(Ω・cm)=ライン抵抗(Ω)×膜厚(cm)×線幅(cm)/線長(cm)の式より算出した。
導電性ペーストの粘度変化率:エチルセルロース(エトセル100cps:The Dow Chemical Company製)を4gとヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(信越化学製HP−55S)5gをテルピネオール91gに溶解することで、ビヒクルを作製した。このビヒクル5gに銀被覆銅合金粉末5gを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させることによって導電性ペーストを得た。ペースト粘度は粘度計(Brookfield社製DV−III粘度計、CP−52コーン)を用い、1rpm(ずり速度2sec-1)での25℃における粘度を測定した。ペースト作製直後に測定した粘度をη1、25℃恒温で4日間放置した後に測定した25℃における粘度をη2とし、(η2−η1)/η1×100(%)を粘度変化率とした。
以上の結果を下記表2及び3に示す。なお、後述する実施例2〜6、比較例1及び2の結果も示した。
[実施例2]
銀被覆工程において、使用するキレート剤をニトリロ三酢酸(キレストNT、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)1.6kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤として酒石酸11.0kg及び酒石酸ナトリウム1.9kgを使用した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.4(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.4であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[実施例3]
銀被覆工程において、キレート剤の使用量を32.4kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤(酒石酸)の使用量を73.6kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[実施例4]
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、銅95.00質量%と亜鉛5.00質量%(及び不可避不純物)の合金組成の、累積50%粒子径(D50)が2.9μmの銅合金粉末(分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(キレストHA、中部キレスト(株)製・キレスト(株)販売)23.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸9.2kgと酒石酸ナトリウム4.7kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[実施例5]
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、累積50%粒子径(D50)が3.6μmの銅粉末(銅の溶湯として、分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造した)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をキレストHA 23.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸9.2kgと酒石酸ナトリウム4.7kgに変更し、硝酸銀水溶液を、硝酸銀11.7kgを純水118kgに溶解した溶液に変更してその添加時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.4(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
得られた銀被覆銅粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[実施例6]
銀被覆される金属コア粒子の粉末を、累積50%粒子径(D50)が2.0μmの銅粉末(銅の溶湯として、分級条件を変更した以外は実施例1と同様に水アトマイズ法で製造)に変更し、銀被覆工程において、キレート剤をキレストNT 1.6kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸11.0kgと酒石酸ナトリウム1.9kgに変更し、硝酸銀水溶液を、硝酸銀11.7kgを純水118kgに溶解した溶液に変更してその硝酸銀水溶液の添加時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.1(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
得られた銀被覆銅粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの粘度変化率を求め、導電性ペーストの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[実施例7]
銀被覆工程における反応液の温度を20℃とした以外は、実施例3と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.7であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50を求め、導電性ペーストとしたときの抵抗評価を行った。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[比較例1]
銀被覆工程において、使用するキレート剤をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)31.7kgに変更し、pH調整剤・緩衝剤をフタル酸水素カリウム16.7kgに変更し、硝酸銀水溶液の添加時間を135分に変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは4.3(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は2.8であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの抵抗評価、導電性ペーストの粘度変化率を求めた。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
[比較例2]
銀被覆工程において、キレート剤を使用せず、pH調整剤・緩衝剤を酒石酸1.9kgに変更した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅合金粉末を製造した。なお水系分散液のpHは2.6(25℃)であり、銀被覆(置換)反応の進行に伴い反応液のpHは徐々に低下し、置換反応終了時のpH(25℃)は1.5であった。
得られた銀被覆銅合金粉末について、実施例1と同様にして、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆層の質量割合(銀量)、銅及び亜鉛の質量割合の合計100質量%に対するそれぞれの質量割合、DBET、D50/DBET、BET×D50、O×D50、硫酸による銅の溶出量、導電性ペーストとしたときの抵抗評価、導電性ペーストの粘度変化率を求めた。その結果は上記表2及び3に示した通りである。
表3に示すように、銀被覆反応の際、混合液のpHを2.6以下に保持しなかった比較例1では、得られた銀被覆金属粉末のD50/DBETが1.79と実施例1〜7の銀被覆金属粉末のD50/DBETより大きく、実施例の銀被覆金属粉末よりも凝集が多いと考えられる。また、実施例1〜7と比べて酸素含有量が高くなるばかりか、Cu溶出量も高くなり、導電性ペーストにおいては粘度変化率が大きいことが確認された。さらに、この銀被覆金属粉末を含む導電性ペーストを硬化させて得られる導電膜では、体積抵抗率が実施例1〜7のものよりも高く、導電性が低いことが確認された。
また、混合液にキレート剤を添加しなかった比較例2では、比較例1と同様に、銀被覆金属粉末のD50/DBETが1.70と実施例1〜7の銀被覆金属粉末のD50/DBETより大きく、凝集が多いと考えられる。また、比較例1と同様に、酸素含有量およびCu溶出量が高く、導電性も低くなることが確認された。

Claims (21)

  1. 銀イオンと液状媒体を含む混合液中で、銅の質量割合が80質量%以上である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を有する銀被覆金属粉末の製造方法であって、
    前記混合液がキレート剤を含み、
    前記混合液のpHを2.6以下に保持しながら前記銀被覆工程を実施する、
    銀被覆金属粉末の製造方法。
  2. 前記金属粉末が銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  3. 前記金属粉末が銅及び不可避不純物からなる銅粉末である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  4. 前記金属粉末が銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなる銅合金粉末であって、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対する銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  5. 前記銀イオンが前記混合液中に、銀としての質量換算で、前記金属粉末100質量部に対して0.1〜100質量部存在する、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  6. 前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  7. 前記銀被覆工程において、前記混合液に非酸化性ガスを吹き込みながら前記銀被覆層を形成する、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  8. 前記銀被覆工程を、前記キレート剤及び前記金属粉末が水に分散した水系分散液に非酸化性ガスを吹き込みながら、前記水系分散液に銀イオンを含有する水溶液を添加することにより実施する、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  9. 前記水系分散液にpH調整剤を添加して前記水系分散液のpHを2.6以下としてから、前記水系分散液に前記銀イオンを含有する水溶液を添加する、請求項8に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  10. 前記金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10.0μmである、請求項1〜9のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  11. 銅の質量割合が80質量%以上である金属コア粒子と、該コア金属粒子を被覆する銀からなる銀被覆層とを有する銀被覆金属粉末であって、
    前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定した比表面積から算出した真球換算の粒子径(DBET)に対するレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)の比(D50/DBET)が1.65以下である、
    銀被覆金属粉末。
  12. 前記金属コア粒子が銅及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅と亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が85.00〜99.50質量%であり、亜鉛の質量割合が0.50〜15.00質量%である、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
  13. 前記金属コア粒子が銅及び不可避不純物からなる、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
  14. 前記金属コア粒子が銅、ニッケル及び亜鉛並びに不可避不純物からなり、前記金属コア粒子における銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計100質量%に対して、銅の質量割合が80.00〜99.50質量%であり、ニッケルの質量割合が0.10〜10.00質量%であり、亜鉛の質量割合が0.40〜19.90質量%である、請求項11に記載の銀被覆金属粉末。
  15. 前記銀被覆金属粉末5gをpH0の硫酸水溶液45gに30分間浸漬したときの銅イオン溶出量が450mg/L以下である、請求項11〜14のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
  16. 前記銀被覆金属粉末の、BET1点法により測定したBET比表面積(BET)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(BET×D50)が、1.07(m・μm/g)以下である、請求項11〜15のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
  17. 前記銀被覆金属粉末の、酸素含有量(O)とレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(O×D50)が、0.38(質量%・μm)以下である、請求項11〜16のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
  18. レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10.0μmである、請求項11〜17のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
  19. 前記銀被覆金属粉末における銀被覆層の質量割合が0.1〜50質量%である、請求項11〜18のいずれかに記載の銀被覆金属粉末。
  20. 請求項11〜19のいずれかに記載の銀被覆金属粉末が溶剤及び/又は樹脂バインダー中に分散した、導電性ペースト。
  21. 請求項20に記載の導電性ペーストを基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成することにより基板上に導電膜を形成する、導電膜の製造方法。
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