JP2018104820A - 銀被覆合金粉末及びその製造方法、導電性ペースト及びその製造方法、電子部品、並びに電子機器 - Google Patents

銀被覆合金粉末及びその製造方法、導電性ペースト及びその製造方法、電子部品、並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末を提供することを目的とする。
【解決手段】銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m/g)で除した値が2.5(質量%・g/m)以下である、銀被覆合金粉末及びその関連技術を提供する。なお、比表面積Smは比表面積Sm=6/(ρ×D50)で求めたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の外部電極の形成材料として好適な銀被覆合金粉末及びその製造方法、それを含む導電性ペースト及びその製造方法、その導電性ペーストを使用して形成される外部電極を有する電子部品、及び当該電子部品を備える電子機器に関する。
電子機器を構成する電子部品として、コンデンサ、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、サーミスタなどの外部電極を有するものがある。これらのうちコンデンサ、キャパシタやインダクタは、例えば、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体と、この積層体の側面に形成されて内部電極と接続される外部電極を備えた構造をとっている。
電子部品は基板上に実装され、その他の電気素子と接続される。接続の代表的な手段としては半田接続が挙げられる。例えば、電子部品(の外部電極)と電気素子とが接続されるように半田ペーストを印刷し、200〜350℃程度の温度でリフローすることで接続が行われる。
半田接続が適切に行われるためには、第一に溶融した半田が外部電極に十分に濡れ、半田と外部電極との接合が十分に行われる必要がある(半田濡れ性)。第二に、溶融した半田に外部電極が溶け出してしまうことで起こると考えられている半田食われが生じないことが求められる(半田食われ耐性)。
外部電極は例えば銅などの導電性フィラーを含む焼成型導電性ペーストから形成されているが、良好な半田接続を行い、また信頼性を高めるために、上記ペーストから形成された導電膜にNi(ニッケル)メッキ及びSn(錫)メッキを行って外部電極とすることが一般的に行われている(例えば特許文献1)。また、導電性フィラーとして銀(Ag)を被覆したニッケル−銅(Ni−Cu)合金の粉末を使用することも知られている(例えば特許文献2〜3)。
特開2014−84267号公報 特開2015−156083号公報 特開2003−224028号公報
しかしながら、導電膜、Niメッキ層、Snメッキ層という3層構成ではコスト、製造効率の点から改善の余地があり、また隣接する層(誘電体層と内部電極層との積層体などと導電膜、導電膜とNiメッキ層、Niメッキ層とSnメッキ層)どうしの密着性や接触抵抗なども考慮する必要があるので、このような3層構成により外部電極を形成するよりも、より少ない層構成とするのが望ましい。また、近年の電子機器の小型化の流れから外部電極の薄膜化が望まれるので、この点からみても、そのような層構成が望ましい。さらに、コンデンサやキャパシタなどの用途においては導電性も重要である。
そこで本発明は、より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、まず特許文献2や3に開示の従来の銀被覆ニッケル−銅合金粉末について検討したところ、これらは半田特性に劣ることがわかった。さらに検討を進めた結果、銀被覆合金粉末を構成する粒子、更には銀被覆合金粉末を作製する前の合金コア粒子に付着した酸素が、半田濡れ性及び半田食われ耐性に大きく影響を与えていることを突き止めた。この知見に基づき創出されたのが以下の態様である。
すなわち第1の態様は、銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m/g)で除した値が2.5(質量%・g/m)以下である、銀被覆合金粉末である。
なお、前記比表面積Smは以下の式(1)
比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
で求めたものであり、ρは、前記銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(前記銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により前記銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。
第2の態様は、第1の態様であって、
前記合金コア粒子における銅及びニッケルの合計100質量%中において、銅の割合が40〜95質量%であり、ニッケルの割合が5〜60質量%である。
第3の態様は、第1又は第2の態様であって、
前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、前記銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m/g)で除した値が1.50(質量%・g/m)以下である。
第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様であって、
前記銀被覆合金粉末における銀の質量割合が、1〜40質量%である。
第5の態様は、第1〜第4のいずれかの態様であって、
前記銀被覆合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10μmである。
第6の態様は、第1〜第5のいずれかの態様であって、
前記銀被覆合金粉末の酸素量が0.05〜0.40質量%である。
第7の態様は、第1〜第6のいずれかの態様に記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む導電性ペーストである。
第8の態様は、第7の態様であって、
前記導電性ペースト中の硬化性樹脂の含有割合が0.5〜49質量%である。
第9の態様は、第7又は第8の態様であって、
前記硬化性樹脂が、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
第10の態様は、第7〜第9のいずれかの態様であって、
前記導電性ペースト中の銀被覆合金粉末の含有量が、50〜98質量%である。
第11の態様は、外部電極を備える電子部品であって、前記外部電極が、第1〜第6の態様のいずれかに記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む、電子部品である。
第12の態様は、第11の態様であって、
前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着している。
第13の態様は、基板と、該基板上に形成された電気素子と、該基板上に実装された第11又は第12の態様に記載の電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える電子機器である。
第14の態様は、
銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末の製造方法であって、
前記合金コア粒子の粉末、又は前記合金コア粒子の表面に前記被覆層が形成された後の前記銀被覆合金粉末に対し、酸素低減処理を行う工程を有する、銀被覆合金粉末の製造方法である。
第15の態様は、第14の態様であって、
前記合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う工程と、
前記工程後に、前記合金コア粒子の表面に前記被覆層を形成する工程と、
を有する。
第16の態様は、第14又は第15の態様であって、
前記酸素低減処理は、水素を含む雰囲気下での水素還元である。
第17の態様は、
第14〜第16のいずれかの態様の製造方法により得られた銀被覆合金粉末と硬化性樹脂とを混合する工程を有する、導電性ペーストの製造方法である。
本発明によれば、より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末(銀被覆合金粉末)及びその製造方法が提供される。また、この銀被覆合金粉末を利用した、導電性ペースト及びその製造方法、電子部品、並びに電子機器も提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下を指す。
[銀被覆合金粉末]
<銀被覆合金粉末の構成>
本発明の銀被覆合金粉末は、銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀(銀または銀化合物)を含む被覆層を有している。銀を含む被覆層(以下、銀被覆層)は銀被覆合金粉末(を含む導電性ペースト)から形成される外部電極の優れた導電性と半田濡れ性に寄与し、また、合金コア粒子は銅を含むために耐酸化性に劣るので、銀被覆層により合金コア粒子の耐酸化性が高まっている。銀被覆層は好ましくは実質的に銀のみからなり、また、合金コア粒子を良好に被覆しているが、必ずしも合金コア粒子の表面全体を覆っている必要はなく、合金コア粒子の一部が露出していてもよい。上記合金コア粒子において、銅は銀被覆合金粉末の優れた導電性に寄与する。ニッケルは銀被覆合金粉末に優れた半田食われ耐性を付与し、具体的には銀被覆合金粉末の表面の銀被覆層は半田に食われるが、合金コア粒子がニッケルを有することで、合金コア粒子の部分で半田食われ現象を止めるものと考えられる。
このような銀被覆合金粉末における銀の含有量(質量割合)は、良好な導電性及び半田濡れ性の観点から、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは8〜30質量%である。なお、銀被覆合金粉末の製造コスト等の観点からは、銀の含有量は2〜12質量%であることが好ましい。また、合金コア粒子について、銅及びニッケルの合計100質量%中において、銅の割合は、良好な導電性の観点から、好ましくは40〜95質量%であり、より好ましくは65〜90質量%である。上記合計100質量%中において、ニッケルの割合は、良好な半田食われ耐性の観点から、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜35質量%である。
銀被覆合金粉末の形状に特に制限はなく、球状や略球状でもよいし、粒状でもよいし、薄片状(フレーク状)でもよいし、不定形でもよい。フレーク状の銀被覆合金粉末は、当該粉末の製造条件を適宜調整することで製造できるし、また、球状の銀被覆合金粉末をボールミルなどで機械的に塑性変形させて扁平化することにより製造することもできる。
銀被覆合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、導電性や薄い外部電極の形成を可能とする観点から、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは1〜9μmであり、特に好ましくは2〜6.5μmである。
銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m/g)は、良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは0.08〜1.0m/gであり、より好ましくは0.08〜0.50m/gであり、特に好ましくは0.08〜0.30m/gである。
銀被覆合金粉末のTAP密度は、粉末の充填密度を高めて良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは3.0〜7.5g/cmであり、より好ましくは4.6〜6.5g/cmであり、さらに好ましくは5.2〜6.4g/cmである。
銀被覆合金粉末における合金コア粒子はその製造原料や製造工程に使用される装置・物質の影響などで微量の不可避不純物を含み得るが、その例としては、鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、パラジウム、マグネシウム、酸素、炭素、窒素、リン、ケイ素、塩素が挙げられる。
これらの中でも酸素は銀被覆合金粉末の導電性に悪影響を与えるものと考えられる。この点から、銀被覆合金粉末の酸素量(銀被覆合金粉末を酸素・窒素分析装置で分析して求められる(単位は質量%)。以降同様。)は好ましくは0.05〜0.40質量%であり、より好ましくは0.15〜0.30質量%である。
本実施形態においては、先に挙げた銀被覆合金粉末の酸素量に関し、以下の所定の範囲に調整することにより、後述の実施例の項目にて示すように、より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極(更には導電性に優れた外部電極)を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末を実現できる。以下、該規定について詳述する。
本実施形態の銀被覆合金粉末は、銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m/g)で除した値(以降、O/Smとも称する。)が2.5(質量%・g/m)以下となっている(以降、O/Smの単位は省略することもある)。
なお、比表面積Smは以下の式(1)
比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
で求めたものであり、ρは、銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。なお、式(1)とρの詳しい算出方法は実施例の項目にて後述する。
このO/Smは、半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極を形成可能な観点から、0.8〜2.2であることが好ましく、1.35〜2.0であることがより好ましく、1.5〜2.0であることがさらに好ましい。
ちなみに、本実施形態においてはレーザー回折式粒度分布測定装置により得たD50から比表面積Smを求めており、この比表面積Smを利用してO/Smを得ている。ここで銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m/g)を採用していないのには理由がある。
その理由としては、比表面積BETが銀被覆合金粉末の酸素量に依存して変動してしまうことがある。そうなると、仮にO/BETにて規定を設けようとした場合、分母が分子に依存してしまうことになる。それよりは、D50から比表面積Smを求めることにより銀被覆合金粉末のSmの酸素量への依存性を減らした上で銀被覆合金粉末の酸素量と比表面積Smとの比の規定を設けた方がよいと本発明者らは考えた。
上記の理由を鑑みた結果、本発明では銀被覆合金粉末の酸素量に関して、O/Smという規定を行い、これを所定の範囲とすることで、上記課題を解決し得る銀被覆合金粉末としている。
なお、O/BETについて規定を行った場合、以下のようになる。すなわち、銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m/g)で除した値が1.50(質量%・g/m)以下であることが好ましく、1.40(質量%・g/m)以下であることがより好ましく、1.00(質量%・g/m)以下であることが更に好ましい。なお、O/BETは通常0.20(質量%・g/m)以上である。
また、炭素は(熱)硬化の際に二酸化炭素などのガスの発生源となり、外部電極とそれが接する層の密着性が悪化する場合があるので、銀被覆合金粉末における炭素量は少ないことが好ましく、具体的には、好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.35質量%以下である。なお、炭素量は、銀被覆合金粉末を炭素・硫黄分析装置で分析して求める。
本発明の銀被覆合金粉末には、後述する導電性ペースト中での分散性を向上させることでTAP密度を高めて、外部電極の導電性を高めるとともに、耐酸化性を付与して、導電性の経時変化を低下させるために、表面処理が施されていてもよい。表面処理剤は、脂肪酸またはトリアゾール化合物であるのが好ましい。この脂肪酸として、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カブリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などを使用することができるが、パルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸を使用するのが好ましい。上記トリアゾール化合物の例としては、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
表面処理剤の添加量は、(表面処理されていない)銀被覆合金粉末100質量部に対して、0.1〜7質量部であるのが好ましく、0.3〜6質量部であるのがさらに好ましく、0.3〜5質量部であるのが最も好ましい。
次に、本発明の銀被覆合金粉末のL*値(SCEモードで測定)は、銀被覆の均一性の尺度となり得るものであり、粒度分布が同様な銀粉のL*値に近いことが好ましい。具体的には、上記銀被覆合金粉末のL*値は、45〜81.6であることが好ましく、63〜81.6であることがより好ましい。
<銀被覆合金粉末の製造方法>
次に、本発明の銀被覆合金粉末の製造方法について説明する。
(合金コア粒子の製造方法)
まず合金コア粒子の製造方法について説明する。本発明では、好ましくは合金コア粒子は水アトマイズ法により製造する。銅及びニッケルを溶解した溶湯をタンディッシュから落下させながら、所定の水圧の高圧水を吹き付けて溶湯を急冷凝固させることで、合金コア粒子を製造することができる。なお、銅−ニッケル合金と銅を溶解することもできる。
上記溶湯の温度は好ましくは1100〜1700℃であり、より好ましくは1200〜1700℃である。溶湯の温度を高くすると、粒子径の小さい合金コア粒子が得られる傾向にあり、これを銀被覆することで、粒子径の小さな銀被覆合金粉末を製造することができる。
水アトマイズは大気中や、アルゴン、窒素、一酸化炭素、水素などの非酸化性雰囲気中において実施することができる。非酸化性雰囲気で水アトマイズを実施すると、酸化を受けやすい銅の酸化を防止することができると考えられる。また、溶湯の調製も、大気中で行っても非酸化性雰囲気中で行ってもよい。さらに、合金コア粒子中の酸素量を低下させるために、溶湯にカーボンブラックや木炭などの還元剤を添加してもよい。
水アトマイズに使用する高圧水の水圧は好ましくは30〜200MPaであり、水圧を高くすると粒子径の小さい合金コア粒子を得ることができる。また高圧水としては純水、(pH5.0〜6.5程度の)弱酸性水や(pH8〜12程度の)アルカリ水を使用することができる。
水アトマイズ法によって溶湯から合金コア粒子を製造する際に、溶湯中の各構成金属の仕込み量(あるいは銅−ニッケル合金と銅の仕込み量)を調整することによって、合金コア粒子中の銅及びニッケルの割合を調整することができる。
また、溶湯を落下させながら高圧水を吹き付けて急冷凝固させることで、水中に合金コア粒子が分散したスラリーが得られるが、これを固液分離し、得られた固形物を乾燥して合金コア粒子を得ることができる。なお、必要に応じて、固液分離して得られた固形物を乾燥する前に水洗してもよいし、乾燥した後に解砕したり、分級して粒度を調整してもよい。
(酸素低減処理による酸素の除去)
本実施形態においては、上記のように作製した合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う。この酸素低減処理は、合金コア粒子の表面の酸素(代表的には酸化膜の形態で存在する)の少なくとも一部を除去するためのものである。この酸素低減処理を行うことにより、後述の実施例の項目が示すように、より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極(更には導電性に優れた外部電極)を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末を実現できる。
なお、その理由としては、推察ではあるが以下のものが考えられる。
まず、後述の比較例1が示すように、酸素低減処理を行わない場合、銀被覆合金粉末における半田濡れ性は良好ではない。これは、銀被覆合金粉末においては合金コア粒子に対して銀(半田濡れ性に優れる)による被覆が十分に行われていないことによるのではないかと推察される。
その一方、合金コア粒子の粉末を酸素低減処理することにより、合金コア粒子の表面に存在する酸素の少なくとも一部を除去することが可能となる。そうすることにより、合金コア粒子の表面に存在する酸素によって銀被覆が阻害されにくくなり、銀被覆がより良好に行われ、結果として銀被覆合金粉末における半田濡れ性、更には半田食われ耐性が向上するのではないかと考えられる。
また、後述の実施例2が示すように、銀による被覆が行われる前の合金コア粒子に対して酸素低減処理を行うのみならず、銀による被覆が行われた後の銀被覆合金粉末に対して上記の酸素低減処理を行った場合にも本発明の効果を奏する。以下においては合金コア粒子の粉末を酸素低減処理する例について述べる。
ここでの酸素低減処理の具体的な手法としては、合金コア粒子又は銀被覆合金粉末の表面の酸素の少なくとも一部を除去可能な処理であれば公知の手法を採用することができる。例えば水素を含む雰囲気における水素還元処理、他の気体(例えば一酸化炭素)を用いた還元処理、更には酸性液体を用いた酸洗等を適用しても構わないが、合金コア粒子又は銀被覆合金粉末の変質を抑えるという観点から見ると気体を用いた還元処理が好ましく、炭素を含有させないという観点から見ると水素還元処理を行うのが好ましい。
(銀による被覆)
上記のようにして酸素低減処理した合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層(銀被覆層)を形成する。この被覆層を形成する方法として、合金コア粒子の構成金属と銀の置換反応を利用した置換法や、還元剤を用いる還元法により、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を使用することができる。上記置換法では、例えば、溶媒中に合金コア粒子と銀または銀化合物を含む溶液を攪拌することで、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を採用できる。さらに、溶媒中に合金コア粒子および有機物(例えば後述のキレート化剤)を含む溶液と、溶媒中に銀または銀化合物および有機物(例えば後述のキレート化剤)を含む溶液とを混合して攪拌することで、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を採用できる。
置換法や還元法に使用する溶媒としては、水、有機溶媒またはこれらを混合した溶媒を使用することができる。水と有機溶媒を混合した溶媒を使用する場合には、室温(20〜30℃)において液体になる有機溶媒を使用する必要があるが、水と有機溶媒の混合比率は、使用する有機溶媒により適宜調整することができる。また、溶媒として使用する水は、不純物が混入するおそれがなければ、蒸留水、イオン交換水、工業用水などを使用することができる。
銀被覆層(銀または銀化合物からなる被覆層)の原料として、銀イオンを溶液中に存在させる必要があるため、水や多くの有機溶媒に対して高い溶解度を有する硝酸銀を使用するのが好ましい。また、銀被覆反応をできるだけ均一に行うために、固体の硝酸銀ではなく、硝酸銀を溶媒(水、有機溶媒またはこれらを混合した溶媒)に溶解した硝酸銀溶液を使用するのが好ましい。なお、使用する硝酸銀溶液の量、硝酸銀溶液中の硝酸銀の濃度および有機溶媒の量は、目的とする銀被覆層の量に応じて決定することができる。
銀被覆層をより均一に形成するために、溶液中にキレート化剤を添加してもよい。キレート化剤としては、銀イオンと合金コア粒子との置換反応により副生成する銅イオンなどが再析出しないように、銅イオンなどに対して錯安定度定数が高いキレート化剤を使用するのが好ましい。特に、銀被覆合金粉末の合金コア粒子は主構成要素として銅を含んでいるので、銅との錯安定度定数に留意してキレート化剤を選択するのが好ましい。具体的には、キレート化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミンおよびこれらの塩からなる群から選ばれたキレート化剤を使用することができる。
銀被覆反応を安定かつ安全に行うために、溶液中にpH緩衝剤を添加してもよい。このpH緩衝剤として、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウムなどを使用することができる。
銀被覆反応の際には、銀塩を添加する前に溶液中に合金コア粒子を入れて攪拌し、合金コア粒子が溶液中に十分に分散している状態で、銀塩を含む溶液を添加するのが好ましい。この銀被覆反応の際の反応温度は、反応液が凝固または蒸発する温度でなければよいが、好ましくは15〜80℃、さらに好ましくは20〜75℃、最も好ましくは20〜70℃の範囲で設定する。また、反応時間は、銀または銀化合物の被覆量や反応温度によって異なるが、1分〜5時間の範囲で設定することができる。
例えば以上説明したようにして銀被覆反応を実施して銀被覆合金粉末を得た後、上述のように酸素低減処理を施してもよい。
(表面処理)
本発明の銀被覆合金粉末には、前述のとおり外部電極の導電性を向上させるなどのために、表面処理を施してもよい。表面処理は銀含有層で被覆した合金粉末と表面処理剤とを混合して行ってもよいし、銀含有層で被覆した合金粉末のスラリーに表面処理剤を添加、混合して行ってもよい。
[導電性ペースト]
次に、本発明の銀被覆合金粉末を含む、導電性ペーストについて説明する。当該導電性ペーストは上記銀被覆合金粉末に加えて硬化性樹脂を含む。導電性ペースト(中の硬化性樹脂)を硬化させて形成される導電膜は半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れており、さらに導電性にも優れているので、(半田接続される)外部電極の形成材料として好適である。また本発明の導電性ペーストは、その他の電極、回路、接合層等の形成に用いることができる。
本発明の導電性ペーストにおいては、本発明の銀被覆合金粉末に該当する、粒径や形状その他の点で種類の異なる2種以上の銀被覆合金粉末を組み合わせて使用してもよい。導電性ペーストにおける銀被覆合金粉末の含有量は、適切な半田濡れ性、半田食われ耐性及び導電性を有する外部電極とする観点から、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。
導電性ペーストに使用される硬化性樹脂には熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂がある。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂は、光により架橋反応を起こす不飽和結合を1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、その具体例としては、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。
これらの硬化性樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、導電性ペースト中の硬化性樹脂の含有割合は、十分に硬化して外部電極を形成し、同時に半田濡れ性、半田食われ耐性及び導電性を適切に発現する観点から、好ましくは0.5〜49質量%であり、より好ましくは1〜29質量%である。
本発明の導電性ペーストには、求められる特性に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、銅粉、銀粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、亜鉛粉、錫粉、ビスマス粉及びリン粉などの、本発明の銀被覆合金粉末以外の金属粉末を添加してもよい。導電性ペースト中の上記金属粉末の含有量は、好ましくは1〜48質量%であり、より好ましくは1〜28質量%である。また、上記金属粉末は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の導電性ペースト中における、銀被覆合金粉末と金属粉末の合計含有量は、適切な半田濡れ性、半田食われ耐性及び導電性を発揮する観点から、好ましくは51〜99質量%であり、より好ましくは71〜98質量%である。
本発明の導電性ペーストには、当該ペーストを加熱により硬化させる場合、硬化させるため又は硬化を促進するため、熱重合開始剤を添加してもよい。熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、又はケトンパーオキサイドが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、硬化を促進するため、ポリアミン、酸無水物、三ハロゲン化ホウ素化合物、三ハロゲン化ホウ素化合物のアミン錯塩、イミダゾール化合物、芳香族ジアミン系化合物、カルボン酸系化合物などの硬化剤を添加してもよい。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の導電性ペーストを光重合させる場合には、導電性ペースト中に光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤や光カチオン重合開始剤が用いられる。これらの光重合開始剤は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が使用可能である。
上記光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの放射線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、その例として、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩及び芳香族アンモニウム塩が挙げられる。
さらに、光カチオン重合開始剤の他にも、重合性モノマーを硬化させるための硬化剤を導電性ペーストに添加してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体が挙げられる。
また、導電性ペーストに光増感剤を添加することもできる。光増感剤の具体例としては、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントンおよびベンゾフラビンが挙げられる。
さらに、本発明の導電性ペーストには、必要に応じて、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ロジン、フェノキシ樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂を添加することができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の導電性ペーストには、必要に応じて、界面活性剤、分散剤、安定化剤、可塑剤や、金属酸化物粉末などの添加剤を添加してもよい。
以上説明した導電性ペーストの調製方法は特に制限されるものではないが、例えば、各構成要素を計量して所定の容器に入れ、混練脱泡機、らいかい機、万能攪拌機、ニーダーなどを用いて予備混練した後、3本ロールで本混練することによって調製することができる。また、必要に応じて、その後、有機溶剤(例えばテキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート)、ターピネオール、カルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、エチレングリコール、ジブチルアセテート又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)を添加して、粘度調整を行ってもよい。
本発明の導電性ペーストのE型粘度計により測定した25℃における粘度は、導電性ペーストの印刷性等の観点から、80〜200Pa・sであることが好ましい。
[電子部品]
次に、本発明の導電性ペーストを利用して製造できる電子部品について説明する。電子部品は、外部電極を有するものであれば、特に限定されるものではない。その中でも、外部電極を有し、半田により他の電気素子と接続されるものであればなお良い。その具体例として、コンデンサ(例えば積層セラミックコンデンサー:MLCC(Multi-Layered Ceramic Capacitor))、キャパシタ、インダクタ、積層配線板(例えばプリント配線基板)、圧電体素子、バリスタ、サーミスタ及び抵抗が挙げられる。また、半導体チップなども挙げられる。
本発明の導電性ペーストは、電子部品を構成する部材の外部電極を形成すべき個所に塗布され、硬化性樹脂が硬化する条件で処理することにより、外部電極となる。導電性ペーストは、例えばディッピングや、スクリーン印刷及び転写捺染などの印刷方法により塗布される。電子部品を構成する部材は、例えば電子部品がコンデンサやキャパシタであれば、誘電体層と極性の異なる内部電極層とが交互に積層されてなる積層体の構成であり、この積層体の、内部電極層が交互に引き出される両端部に外部電極が形成される。
塗布された導電性ペーストについて、例えば熱硬化させる場合には、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃の温度で、好ましくは10〜120分、より好ましくは15〜90分、さらに好ましくは20〜60分間加熱される。
導電性ペーストを光硬化させる場合には、硬化に際して照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、硬化性樹脂の組成及び光重合開始剤の種類及び量に応じて、波長200〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1〜200J/cmの範囲で照射する。放射線は、複数回に分割して照射してもよい。なお、使用する光源ランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプがある。なお、重合をすみやかに完了させる目的で、上述したような光重合と熱重合を同時に行ってもよい。
以上説明した熱硬化又は光硬化により導電性ペースト中の硬化性樹脂を硬化させると、当該樹脂は硬化物を形成し、内部に含まれる銀被覆合金粉末は樹脂の硬化収縮により互いに接触して導通するようになり、外部電極となる。なお、導電性ペースト中に有機溶剤などの揮発性物質が含まれている場合には、硬化反応においてその少なくとも一部が揮散する。以上のようにして、外部電極を備える電子部品が得られる。
形成された外部電極において、銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂(の硬化物)の合計における銀被覆合金粉末の割合は、導電性ペーストにおける割合とほぼ同様であり、好ましくは60〜99質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。同様に、外部電極において、上記の合計における硬化性樹脂(の硬化物)の割合は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは3〜30質量%である。
外部電極の、半田と接することになる表面には銀被覆合金粉末が多く存在すると考えられる。前記銀被覆合金粉末はO/Smが所定の範囲にあり、その製造において合金コア粒子に酸素低減処理を施した場合はこの銀被覆合金粉末においては銀被覆が良好になされているものと考えられ、銀被覆合金粉末に対して酸素低減処理を施した場合には理由は不明であるが、外部電極は半田濡れ性に優れる。さらに銀被覆層の内部の合金コア粒子は半田食われ耐性に優れているため、半田食われ現象によって表面の銀被覆層が食われても、合金コア粒子の部分で一定程度止められるものと考えられ、外部電極は半田食われ耐性に優れている。さらに外部電極は、銀被覆層や合金コア粒子の銅の存在により、導電性にも優れている。
このため、半田濡れ性を定量表記する場合、前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着しているのが好ましい。また、半田食われ耐性を定量表記する場合、前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に30秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、60面積%以上にはんだが付着しているのが好ましい。これらのより詳細な観察方法は実施例にて説明する。
[電子機器]
本発明の電子部品が備える外部電極は、上述の通り半田濡れ性、半田食われ耐性及び導電性に優れているため、他の電気素子と良好に半田接続することができる。本発明の電子機器は、基板と、基板上に形成された電気素子と、基板上に実装された電子部品と、上記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える構成であり、必要に応じてその他の部材や素子を備えてもよい。なお、上記電子機器としてはMLCC,MLCI、無線ICタグ等が挙げられる。また、上記電気素子としては、例えば配線、リード、端子、アンテナ回路のような電気回路及び電極が挙げられる。
電気素子は基板上に直接形成されてもよいし、例えば電気素子と基板との密着性を高めるための中間層を介して形成されていてもよい。電子部品は通常、半田部材によって電気素子に接続されることで、基板上に実装される。
上記基板は特に制限されるものではないが、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、ポリマーフィルム、ガラス基板又はセラミック基板(低温焼成セラミック基板を含む)であることが好ましい。
上記半田部材の材質は特に制限されるものではないが、例えば半田部材は、錫、鉛、銀、銅、亜鉛、ビスマス、インジウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む。また、近年環境負荷の問題から鉛フリーの半田が望ましいとされていることから、半田部材は鉛を実質的に含まないことが好ましい。鉛フリーの半田部材としては、Sn/Ag/Cu半田、Sn/Zn/Bi半田、Sn/Cu半田、Sn/Ag/In/Bi半田やSn/Zn/Al半田が挙げられる。
このような半田を含む半田ペーストを、例えば電気素子上に印刷し、電子部品を印刷された半田ペースト上に配置する(電気素子及び電子部品に対しては、必要に応じてフラックス洗浄を行ってもよいし、半田ペーストにフラックスを含有させてもよい)。そしてリフロープロセスにより200〜350℃程度の温度で加熱することで、半田が溶融し、電気素子と電子部品とが電気的及び物理的に接続される。このようにして本発明の電子機器が製造され、必要に応じてその他の部材や素子を基板上に形成ないし実装することが行われる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって、より詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下に述べる製造実施例1においては、合金粉末に対して銀を被覆する前に、合金粉末に対して還元処理(すなわち酸素を除去する酸素低減処理)を行った。そして、銀被覆処理、表面処理をこの順に行った。
また、製造実施例2においては、合金粉末に対して銀を被覆した後に、銀被覆合金粉末に対して表面処理、酸素低減処理をこの順に行った。
また、製造実施例3においては、合金粉末に対して銀を被覆した後に、銀被覆合金粉末に対して酸素低減処理を行い、更にパルミチン酸にて表面処理を行った。
その一方、製造比較例1においては酸素低減処理を行わなかった。
まとめると各製造例の工程の順番の違いは以下のようになる。
製造実施例1:酸素低減処理→銀被覆処理 →表面処理
製造実施例2:銀被覆処理 →表面処理 →酸素低減処理
製造実施例3:銀被覆処理 →酸素低減処理→表面処理
製造比較例1:銀被覆処理 →表面処理
[製造実施例1]
<合金コア粒子の製造>
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で銅28kgとニッケル12kgを1300℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:70MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて急冷凝固させ、得られた合金粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕して、合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
<酸素低減処理>
このようにして得られた合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を、水素雰囲気(水素100%)中において350℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末b(銅−ニッケル粉末b)を得た。
<銀被覆反応>
EDTA−2Na二水和物0.17kgと炭酸アンモニウム0.17kgを純水1.9kgに溶解した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物0.37kgと炭酸アンモニウム0.18kgを純水1.5kgに溶解した溶液に、硝酸銀0.06kgを純水0.19kgに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を用意した。
次に、窒素雰囲気下において、被覆する合金コア粒子の粉末として、得られた上記合金粉末b0.35kgを溶液1に加えて、攪拌しながら25℃まで昇温させた。この合金粉末bが分散した溶液に溶液2を加えて1時間攪拌した後、ろ過し、水洗し、乾燥して、銀により被覆された合金粉末を得た。
<表面処理>
次に、得られた銀被覆合金粉末80gとパルミチン酸0.24g(表面処理されていない銀被覆合金粉末100質量部に対して0.3質量部)をカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
[製造実施例2]
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
<銀被覆反応>
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応を行った。
<表面処理>
銀被覆反応後の銀被覆合金粉末に対し、製造実施例1と同様の手法で表面処理を行った。そして、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
<酸素低減処理>
本例においては、このようにして得られた銀被覆合金粉末を、水素雰囲気(水素100%)中において200℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末80gをカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、銀被覆合金粉末を得た。
[製造実施例3]
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
<銀被覆反応>
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応を行った。
<酸素低減処理>
本例においては、このようにして得られた銀被覆合金粉末を、水素雰囲気(水素100%)中において200℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末80gをカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、銀被覆合金粉末を得た。
<表面処理>
次に、得られた銀被覆合金粉末80gとパルミチン酸0.24g(銀被覆合金粉末に対して0.3質量%)をカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
[製造比較例1]
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
<銀被覆反応>
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応及び表面処理を行い、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
なお、本例においては酸素低減処理は、合金コア粒子の製造後においても銀被覆反応後においても行わなかった。
[特性評価]
上記製造実施例1〜3及び製造比較例1で得られた各金属粉末について、金属粉末全体における銀の質量割合、金属粉末における(銀と)銅とニッケルの合計に対する各金属元素の質量割合、比表面積BET、TAP密度、酸素量、炭素量、粒度分布を求めた。より詳細には、以下のようにして各特性の測定を行った。
銀の質量割合(重量法):金属粉末を硝酸で溶解した後、塩酸を添加して生成した塩化銀(AgCl)の沈殿を乾燥し、重量を測定することにより求めた。
(銀と)銅とニッケルの合計に対する各金属元素の質量割合:金属粉末(約2.5g)を塩化ビニル製リング(内径3.2cm×厚さ4mm)内に敷き詰めた後、錠剤型成型圧縮機(株式会社前川試験製作所製の型番BRE−50)により、100kNの荷重をかけて金属粉末のペレットを作製し、このペレットをサンプルホルダー(開口径3.0cm)に入れて蛍光X線分析装置(XRF)(株式会社リガク製のRIX2000)内の測定位置にセットし、測定雰囲気を減圧下(8.0Pa)とし、X線出力を50kV、50mAとした条件で測定した結果から、装置に付属のソフトウェアで自動計算することによって測定を実施した。
そして、ここで求めた金属元素の質量割合から、銅及びニッケルの合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合へと換算した値(換算値1)を求めた。さらに、重量法で求めた銀の質量割合を100質量%から差し引き、残分を銅及びニッケルに、前記換算値1の比率で割り振ることで、これら3元素の合計を100質量%とした場合のそれぞれ(銅、ニッケル及び銀)の質量割合へと換算した値も求めた。
比表面積BET:BET測定器(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。
TAP密度:特開2007−263860号公報に記載された方法と同様に、内径6mm×高さ11.9mmの有底円筒形のダイにその容積の80%まで金属粉末を充填して金属粉末層を形成し、この金属粉末層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加えてこれ以上金属粉末が密に充填されなくなるまで圧縮した後、金属粉末層の高さを測定し、この金属粉末層の高さの測定値と、充填された金属粉末の重量とから、金属粉末の密度を求めて、この密度を金属粉末のTAP密度とした。
酸素量:酸素・窒素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA−920)により測定した。
炭素量:炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−220V)により測定した。
粒度分布(D10,D50,D90):レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで測定した。
比表面積Sm:以下の式(1)にて求めた。
比表面積Sm=6/(ρ×D50) ・・・(1)
なお、式(1)は以下のように算出した。まず、ある物体を真球状と仮定し、その体積をV、密度をρ(組成割合により算出)、表面積をSとすると、比表面積Smは、
Figure 2018104820
・・・(2)
で求められる。
この式より物体の直径をDとすると、
Figure 2018104820
・・・(3)
となり、レーザー回折式粒度分布測定装置にて求めたD50を式(3)のDに代入することで、比表面積Smを求めた。
銀被覆合金粉末の密度ρ:銅、ニッケル及び銀の比重(室温時)並びに組成比(銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)を基に、以下のように求めた。例えば製造実施例1においてはρは以下のように求められる。
ρ=(Cuの比重)×(Cuの組成比)+(Niの比重)×(Niの組成比)+(Agの比重)×(Agの組成比)
=8.94(g/cm)×0.622+8.908(g/cm)×0.275+10.49(g/cm)×0.103
=9.09(g/cm
本例である製造実施例1〜3及び製造比較例1において、上記の装置又は手法にて求めた各種パラメータをまとめたものが以下の表1及び表2である。表1は、合金コア粒子の粉末についての各種パラメータをまとめた表である。表2は、銀被覆合金粉末についての各種パラメータをまとめた表である。なお、表2においては表中の比較対象のし易さを考慮し、比較例1を上に配置している。
Figure 2018104820
Figure 2018104820
[抵抗評価]
<実施例1〜3及び比較例1の導電性ペーストの調製>
製造実施例1〜3及び製造比較例1で得られた各金属粉末9.3gと、熱硬化型樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4901E)0.82gと、硬化剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.041gと、溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0.25gと、分散剤としてオレイン酸0.01gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させ、得られた混練物に対してジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを添加、混合して25℃における粘度をおよそ100Pa・sに調整し、実施例1〜2及び比較例1の各導電性ペーストを得た。
<抵抗評価>
この導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのパターン状に)印刷した後、大気中において200℃で40分間加熱して硬化させることによって導電膜(膜厚およそ20μm)を形成し、得られた導電膜の体積抵抗率(初期抵抗)の算出を行った。
[半田濡れ性及び半田食われ耐性の評価]
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1の導電性ペーストから形成されたアルミナ基板上の(抵抗評価時にスクリーン印刷により同時に形成した)2mm角の導電膜について、以下のようにして半田濡れ性及び半田食われ耐性を評価した。
<半田濡れ性>
先に記載したアルミナ基板上に形成した導電膜を、ESR−250T4(フラックス、千住金属工業株式会社製)に浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(エコソルダーM705(Sn96.5Ag3Cu0.5半田、千住金属工業株式会社製))槽に1秒浸漬させた後、アルミナ基板を引き上げ、はんだ付けを行った。
そして、2mm角の導電膜上に乗ったはんだについて、レーザー式顕微鏡VK−9710(KEYENCE社製)を用いてその表面形状を測定した。得られた高さデータを用いて、付属のソフトを用いて凹凸部計測を行い、高さ閾値が基板から40μm以上の部分をはんだが付着しているとし、その、導電膜上面の面積全体に対する面積割合(%)を求めた。
ただし、実施例2については、浸漬時間10秒まで面積割合が上昇したため、10秒での面積割合を濡れ性として評価した。
<半田食われ耐性>
鉛フリーはんだ槽に10秒又は30秒浸漬させる以外は、はんだ濡れ性の評価と同様にして、はんだが付着している面積割合を求めた。
<結果>
以上の半田濡れ性及び半田食われ耐性の評価結果を、上記の抵抗評価結果とあわせて下記表3に示す。
Figure 2018104820
上記の表3が示すように、実施例1〜3は比較例1に比べ、半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れており、更には初期抵抗においても好適な値を示していた。特に実施例1においてはこれらの特性を顕著に発揮した。
[参考例:銀被覆銅−ニッケル−亜鉛合金粉末]
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で銅34.0kgとニッケル2.0kgと亜鉛4.0kgとを1200℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて急冷凝固させ、得られた合金粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕して、銅−ニッケル−亜鉛合金粉末を得た。
このようにして得られた銅−ニッケル−亜鉛合金粉末に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応を行い、溶液2を加えて1時間撹拌後の反応液にステアリン酸を、銀被覆銅−ニッケル−亜鉛合金粉末100質量部に対して0.3質量部の割合で添加し、40分撹拌した後、ろ過し、水洗し、乾燥した。これにより、ステアリン酸で表面処理された略球状の銀被覆銅−ニッケル−亜鉛合金粉末を得た。
この銀被覆銅−ニッケル−亜鉛合金粉末について、上記実施例と同様に、粉末における銀と銅とニッケルと亜鉛の合計に対する各金属元素の質量割合、比表面積BET、TAP密度、酸素量、炭素量、粒度分布を求め、さらに抵抗評価と半田濡れ性の評価を行った。粉体特性については、上記の銅−ニッケル−亜鉛合金粉末についても測定を行った。
その結果、銅−ニッケル−亜鉛合金粉末について、比表面積BETは0.69m/gであり、TAP密度は4.4g/cmであり、酸素量は0.59質量%であり(このためO/BETは0.85質量%・g/mと計算される)、炭素量は0.01質量%であり、D10は0.8μmであり、D50は1.9μmであり、D90は3.3μmであった。
銀被覆銅−ニッケル−亜鉛合金粉末について、比表面積BETは0.38m/gであり、TAP密度は5.7g/cmであり、酸素量は0.15質量%であり(このためO/BETは0.39質量%・g/mと計算される)、炭素量は0.19質量%であり、D10は0.9μmであり、D50は2.3μmであり、D90は4.1μmであった。銅、ニッケル及び亜鉛の合計に対する、銅の割合は85.8質量%であり、ニッケルの割合は5.5質量%であり、亜鉛の割合は8.7質量%であり、銅、ニッケル、亜鉛及び銀の合計に対する、銅の割合は76.6質量%であり、ニッケルの割合は4.9質量%であり、亜鉛の割合は7.8質量%であり、銀の割合は10.7質量%であり、体積抵抗率は120μΩ・cmであり、半田濡れ性は浸漬時間1秒で86面積%であった。

Claims (17)

  1. 銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m/g)で除した値が2.5(質量%・g/m)以下である、銀被覆合金粉末。
    なお、前記比表面積Smは以下の式(1)
    比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
    で求めたものであり、ρは、前記銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(前記銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により前記銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。
  2. 前記合金コア粒子における銅及びニッケルの合計100質量%中において、銅の割合が40〜95質量%であり、ニッケルの割合が5〜60質量%である、請求項1に記載の銀被覆合金粉末。
  3. 前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、前記銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m/g)で除した値が1.50(質量%・g/m)以下である、請求項1又は2に記載の銀被覆合金粉末。
  4. 前記銀被覆合金粉末における銀の質量割合が、1〜40質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
  5. 前記銀被覆合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
  6. 前記銀被覆合金粉末の酸素量が0.05〜0.40質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む導電性ペースト。
  8. 前記導電性ペースト中の硬化性樹脂の含有割合が0.5〜49質量%である、請求項7に記載の導電性ペースト。
  9. 前記硬化性樹脂が、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項7又は8に記載の導電性ペースト。
  10. 前記導電性ペースト中の銀被覆合金粉末の含有量が、50〜98質量%である、請求項7〜9のいずれかに記載の導電性ペースト。
  11. 外部電極を備える電子部品であって、前記外部電極が、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む、電子部品。
  12. 前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着している、請求項11に記載の電子部品。
  13. 基板と、該基板上に形成された電気素子と、該基板上に実装された請求項11又は12に記載の電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える電子機器。
  14. 銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末の製造方法であって、
    前記合金コア粒子の粉末、又は前記合金コア粒子の表面に前記被覆層が形成された後の前記銀被覆合金粉末に対し、酸素低減処理を行う工程を有する、銀被覆合金粉末の製造方法。
  15. 前記合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う工程と、
    前記工程後に、前記合金コア粒子の表面に前記被覆層を形成する工程と、
    を有する、請求項14に記載の銀被覆合金粉末の製造方法。
  16. 前記酸素低減処理は、水素を含む雰囲気下での水素還元である、請求項14又は15に記載の銀被覆合金粉末の製造方法。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の製造方法により得られた銀被覆合金粉末と硬化性樹脂とを混合する工程を有する、導電性ペーストの製造方法。


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