JP2018104820A - 銀被覆合金粉末及びその製造方法、導電性ペースト及びその製造方法、電子部品、並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m2/g)で除した値が2.5(質量%・g/m2)以下である、銀被覆合金粉末及びその関連技術を提供する。なお、比表面積Smは比表面積Sm=6/(ρ×D50)で求めたものである。
【選択図】なし
Description
なお、前記比表面積Smは以下の式(1)
比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
で求めたものであり、ρは、前記銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(前記銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm3)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により前記銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。
前記合金コア粒子における銅及びニッケルの合計100質量%中において、銅の割合が40〜95質量%であり、ニッケルの割合が5〜60質量%である。
前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、前記銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m2/g)で除した値が1.50(質量%・g/m2)以下である。
前記銀被覆合金粉末における銀の質量割合が、1〜40質量%である。
前記銀被覆合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10μmである。
前記銀被覆合金粉末の酸素量が0.05〜0.40質量%である。
前記導電性ペースト中の硬化性樹脂の含有割合が0.5〜49質量%である。
前記硬化性樹脂が、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
前記導電性ペースト中の銀被覆合金粉末の含有量が、50〜98質量%である。
前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着している。
銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末の製造方法であって、
前記合金コア粒子の粉末、又は前記合金コア粒子の表面に前記被覆層が形成された後の前記銀被覆合金粉末に対し、酸素低減処理を行う工程を有する、銀被覆合金粉末の製造方法である。
前記合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う工程と、
前記工程後に、前記合金コア粒子の表面に前記被覆層を形成する工程と、
を有する。
前記酸素低減処理は、水素を含む雰囲気下での水素還元である。
第14〜第16のいずれかの態様の製造方法により得られた銀被覆合金粉末と硬化性樹脂とを混合する工程を有する、導電性ペーストの製造方法である。
<銀被覆合金粉末の構成>
本発明の銀被覆合金粉末は、銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀(銀または銀化合物)を含む被覆層を有している。銀を含む被覆層(以下、銀被覆層)は銀被覆合金粉末(を含む導電性ペースト)から形成される外部電極の優れた導電性と半田濡れ性に寄与し、また、合金コア粒子は銅を含むために耐酸化性に劣るので、銀被覆層により合金コア粒子の耐酸化性が高まっている。銀被覆層は好ましくは実質的に銀のみからなり、また、合金コア粒子を良好に被覆しているが、必ずしも合金コア粒子の表面全体を覆っている必要はなく、合金コア粒子の一部が露出していてもよい。上記合金コア粒子において、銅は銀被覆合金粉末の優れた導電性に寄与する。ニッケルは銀被覆合金粉末に優れた半田食われ耐性を付与し、具体的には銀被覆合金粉末の表面の銀被覆層は半田に食われるが、合金コア粒子がニッケルを有することで、合金コア粒子の部分で半田食われ現象を止めるものと考えられる。
なお、比表面積Smは以下の式(1)
比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
で求めたものであり、ρは、銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm3)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。なお、式(1)とρの詳しい算出方法は実施例の項目にて後述する。
このO/Smは、半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極を形成可能な観点から、0.8〜2.2であることが好ましく、1.35〜2.0であることがより好ましく、1.5〜2.0であることがさらに好ましい。
その理由としては、比表面積BETが銀被覆合金粉末の酸素量に依存して変動してしまうことがある。そうなると、仮にO/BETにて規定を設けようとした場合、分母が分子に依存してしまうことになる。それよりは、D50から比表面積Smを求めることにより銀被覆合金粉末のSmの酸素量への依存性を減らした上で銀被覆合金粉末の酸素量と比表面積Smとの比の規定を設けた方がよいと本発明者らは考えた。
上記の理由を鑑みた結果、本発明では銀被覆合金粉末の酸素量に関して、O/Smという規定を行い、これを所定の範囲とすることで、上記課題を解決し得る銀被覆合金粉末としている。
次に、本発明の銀被覆合金粉末の製造方法について説明する。
まず合金コア粒子の製造方法について説明する。本発明では、好ましくは合金コア粒子は水アトマイズ法により製造する。銅及びニッケルを溶解した溶湯をタンディッシュから落下させながら、所定の水圧の高圧水を吹き付けて溶湯を急冷凝固させることで、合金コア粒子を製造することができる。なお、銅−ニッケル合金と銅を溶解することもできる。
本実施形態においては、上記のように作製した合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う。この酸素低減処理は、合金コア粒子の表面の酸素(代表的には酸化膜の形態で存在する)の少なくとも一部を除去するためのものである。この酸素低減処理を行うことにより、後述の実施例の項目が示すように、より少ない層構成でありながら半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れた外部電極(更には導電性に優れた外部電極)を形成可能な導電性ペーストに利用可能な金属粉末を実現できる。
まず、後述の比較例1が示すように、酸素低減処理を行わない場合、銀被覆合金粉末における半田濡れ性は良好ではない。これは、銀被覆合金粉末においては合金コア粒子に対して銀(半田濡れ性に優れる)による被覆が十分に行われていないことによるのではないかと推察される。
その一方、合金コア粒子の粉末を酸素低減処理することにより、合金コア粒子の表面に存在する酸素の少なくとも一部を除去することが可能となる。そうすることにより、合金コア粒子の表面に存在する酸素によって銀被覆が阻害されにくくなり、銀被覆がより良好に行われ、結果として銀被覆合金粉末における半田濡れ性、更には半田食われ耐性が向上するのではないかと考えられる。
上記のようにして酸素低減処理した合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層(銀被覆層)を形成する。この被覆層を形成する方法として、合金コア粒子の構成金属と銀の置換反応を利用した置換法や、還元剤を用いる還元法により、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を使用することができる。上記置換法では、例えば、溶媒中に合金コア粒子と銀または銀化合物を含む溶液を攪拌することで、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を採用できる。さらに、溶媒中に合金コア粒子および有機物(例えば後述のキレート化剤)を含む溶液と、溶媒中に銀または銀化合物および有機物(例えば後述のキレート化剤)を含む溶液とを混合して攪拌することで、合金コア粒子の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を採用できる。
例えば以上説明したようにして銀被覆反応を実施して銀被覆合金粉末を得た後、上述のように酸素低減処理を施してもよい。
本発明の銀被覆合金粉末には、前述のとおり外部電極の導電性を向上させるなどのために、表面処理を施してもよい。表面処理は銀含有層で被覆した合金粉末と表面処理剤とを混合して行ってもよいし、銀含有層で被覆した合金粉末のスラリーに表面処理剤を添加、混合して行ってもよい。
次に、本発明の銀被覆合金粉末を含む、導電性ペーストについて説明する。当該導電性ペーストは上記銀被覆合金粉末に加えて硬化性樹脂を含む。導電性ペースト(中の硬化性樹脂)を硬化させて形成される導電膜は半田濡れ性及び半田食われ耐性に優れており、さらに導電性にも優れているので、(半田接続される)外部電極の形成材料として好適である。また本発明の導電性ペーストは、その他の電極、回路、接合層等の形成に用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂は、光により架橋反応を起こす不飽和結合を1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、その具体例としては、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。
次に、本発明の導電性ペーストを利用して製造できる電子部品について説明する。電子部品は、外部電極を有するものであれば、特に限定されるものではない。その中でも、外部電極を有し、半田により他の電気素子と接続されるものであればなお良い。その具体例として、コンデンサ(例えば積層セラミックコンデンサー:MLCC(Multi-Layered Ceramic Capacitor))、キャパシタ、インダクタ、積層配線板(例えばプリント配線基板)、圧電体素子、バリスタ、サーミスタ及び抵抗が挙げられる。また、半導体チップなども挙げられる。
このため、半田濡れ性を定量表記する場合、前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着しているのが好ましい。また、半田食われ耐性を定量表記する場合、前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に30秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、60面積%以上にはんだが付着しているのが好ましい。これらのより詳細な観察方法は実施例にて説明する。
本発明の電子部品が備える外部電極は、上述の通り半田濡れ性、半田食われ耐性及び導電性に優れているため、他の電気素子と良好に半田接続することができる。本発明の電子機器は、基板と、基板上に形成された電気素子と、基板上に実装された電子部品と、上記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える構成であり、必要に応じてその他の部材や素子を備えてもよい。なお、上記電子機器としてはMLCC,MLCI、無線ICタグ等が挙げられる。また、上記電気素子としては、例えば配線、リード、端子、アンテナ回路のような電気回路及び電極が挙げられる。
なお、以下に述べる製造実施例1においては、合金粉末に対して銀を被覆する前に、合金粉末に対して還元処理(すなわち酸素を除去する酸素低減処理)を行った。そして、銀被覆処理、表面処理をこの順に行った。
また、製造実施例2においては、合金粉末に対して銀を被覆した後に、銀被覆合金粉末に対して表面処理、酸素低減処理をこの順に行った。
また、製造実施例3においては、合金粉末に対して銀を被覆した後に、銀被覆合金粉末に対して酸素低減処理を行い、更にパルミチン酸にて表面処理を行った。
その一方、製造比較例1においては酸素低減処理を行わなかった。
まとめると各製造例の工程の順番の違いは以下のようになる。
製造実施例1:酸素低減処理→銀被覆処理 →表面処理
製造実施例2:銀被覆処理 →表面処理 →酸素低減処理
製造実施例3:銀被覆処理 →酸素低減処理→表面処理
製造比較例1:銀被覆処理 →表面処理
<合金コア粒子の製造>
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で銅28kgとニッケル12kgを1300℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:70MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて急冷凝固させ、得られた合金粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕して、合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
このようにして得られた合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を、水素雰囲気(水素100%)中において350℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末b(銅−ニッケル粉末b)を得た。
EDTA−2Na二水和物0.17kgと炭酸アンモニウム0.17kgを純水1.9kgに溶解した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物0.37kgと炭酸アンモニウム0.18kgを純水1.5kgに溶解した溶液に、硝酸銀0.06kgを純水0.19kgに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を用意した。
次に、窒素雰囲気下において、被覆する合金コア粒子の粉末として、得られた上記合金粉末b0.35kgを溶液1に加えて、攪拌しながら25℃まで昇温させた。この合金粉末bが分散した溶液に溶液2を加えて1時間攪拌した後、ろ過し、水洗し、乾燥して、銀により被覆された合金粉末を得た。
次に、得られた銀被覆合金粉末80gとパルミチン酸0.24g(表面処理されていない銀被覆合金粉末100質量部に対して0.3質量部)をカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応を行った。
銀被覆反応後の銀被覆合金粉末に対し、製造実施例1と同様の手法で表面処理を行った。そして、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
本例においては、このようにして得られた銀被覆合金粉末を、水素雰囲気(水素100%)中において200℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末80gをカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、銀被覆合金粉末を得た。
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応を行った。
本例においては、このようにして得られた銀被覆合金粉末を、水素雰囲気(水素100%)中において200℃で10時間加熱して、水素還元した合金粉末80gをカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、銀被覆合金粉末を得た。
次に、得られた銀被覆合金粉末80gとパルミチン酸0.24g(銀被覆合金粉末に対して0.3質量%)をカッターミルに入れ、20秒間の解砕を2回行うことによって、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
<合金コア粒子の製造>
製造実施例1と同様の手法で合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)を得た。
合金粉末a(銅−ニッケル粉末a)に対し、製造実施例1と同様の手法で銀被覆反応及び表面処理を行い、パルミチン酸で表面処理された略球状の銀被覆合金粉末を得た。
なお、本例においては酸素低減処理は、合金コア粒子の製造後においても銀被覆反応後においても行わなかった。
上記製造実施例1〜3及び製造比較例1で得られた各金属粉末について、金属粉末全体における銀の質量割合、金属粉末における(銀と)銅とニッケルの合計に対する各金属元素の質量割合、比表面積BET、TAP密度、酸素量、炭素量、粒度分布を求めた。より詳細には、以下のようにして各特性の測定を行った。
(銀と)銅とニッケルの合計に対する各金属元素の質量割合:金属粉末(約2.5g)を塩化ビニル製リング(内径3.2cm×厚さ4mm)内に敷き詰めた後、錠剤型成型圧縮機(株式会社前川試験製作所製の型番BRE−50)により、100kNの荷重をかけて金属粉末のペレットを作製し、このペレットをサンプルホルダー(開口径3.0cm)に入れて蛍光X線分析装置(XRF)(株式会社リガク製のRIX2000)内の測定位置にセットし、測定雰囲気を減圧下(8.0Pa)とし、X線出力を50kV、50mAとした条件で測定した結果から、装置に付属のソフトウェアで自動計算することによって測定を実施した。
そして、ここで求めた金属元素の質量割合から、銅及びニッケルの合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合へと換算した値(換算値1)を求めた。さらに、重量法で求めた銀の質量割合を100質量%から差し引き、残分を銅及びニッケルに、前記換算値1の比率で割り振ることで、これら3元素の合計を100質量%とした場合のそれぞれ(銅、ニッケル及び銀)の質量割合へと換算した値も求めた。
比表面積Sm=6/(ρ×D50) ・・・(1)
なお、式(1)は以下のように算出した。まず、ある物体を真球状と仮定し、その体積をV、密度をρ(組成割合により算出)、表面積をSとすると、比表面積Smは、
で求められる。
この式より物体の直径をDとすると、
となり、レーザー回折式粒度分布測定装置にて求めたD50を式(3)のDに代入することで、比表面積Smを求めた。
ρ=(Cuの比重)×(Cuの組成比)+(Niの比重)×(Niの組成比)+(Agの比重)×(Agの組成比)
=8.94(g/cm3)×0.622+8.908(g/cm3)×0.275+10.49(g/cm3)×0.103
=9.09(g/cm3)
<実施例1〜3及び比較例1の導電性ペーストの調製>
製造実施例1〜3及び製造比較例1で得られた各金属粉末9.3gと、熱硬化型樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4901E)0.82gと、硬化剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.041gと、溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0.25gと、分散剤としてオレイン酸0.01gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させ、得られた混練物に対してジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを添加、混合して25℃における粘度をおよそ100Pa・sに調整し、実施例1〜2及び比較例1の各導電性ペーストを得た。
この導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのパターン状に)印刷した後、大気中において200℃で40分間加熱して硬化させることによって導電膜(膜厚およそ20μm)を形成し、得られた導電膜の体積抵抗率(初期抵抗)の算出を行った。
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1の導電性ペーストから形成されたアルミナ基板上の(抵抗評価時にスクリーン印刷により同時に形成した)2mm角の導電膜について、以下のようにして半田濡れ性及び半田食われ耐性を評価した。
先に記載したアルミナ基板上に形成した導電膜を、ESR−250T4(フラックス、千住金属工業株式会社製)に浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(エコソルダーM705(Sn96.5Ag3Cu0.5半田、千住金属工業株式会社製))槽に1秒浸漬させた後、アルミナ基板を引き上げ、はんだ付けを行った。
そして、2mm角の導電膜上に乗ったはんだについて、レーザー式顕微鏡VK−9710(KEYENCE社製)を用いてその表面形状を測定した。得られた高さデータを用いて、付属のソフトを用いて凹凸部計測を行い、高さ閾値が基板から40μm以上の部分をはんだが付着しているとし、その、導電膜上面の面積全体に対する面積割合(%)を求めた。
ただし、実施例2については、浸漬時間10秒まで面積割合が上昇したため、10秒での面積割合を濡れ性として評価した。
鉛フリーはんだ槽に10秒又は30秒浸漬させる以外は、はんだ濡れ性の評価と同様にして、はんだが付着している面積割合を求めた。
以上の半田濡れ性及び半田食われ耐性の評価結果を、上記の抵抗評価結果とあわせて下記表3に示す。
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で銅34.0kgとニッケル2.0kgと亜鉛4.0kgとを1200℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて急冷凝固させ、得られた合金粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕して、銅−ニッケル−亜鉛合金粉末を得た。
Claims (17)
- 銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末であり、前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、比表面積Sm(m2/g)で除した値が2.5(質量%・g/m2)以下である、銀被覆合金粉末。
なお、前記比表面積Smは以下の式(1)
比表面積Sm=6/(ρ×D50)・・・(1)
で求めたものであり、ρは、前記銀被覆合金粉末の銅、ニッケル及び銀の比重並びに組成比(前記銀被覆合金粉末において銅、ニッケル及び銀の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合)から計算される密度(g/cm3)であり、D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により前記銀被覆合金粉末を測定して得られた体積基準の累積50%粒子径(μm)である。 - 前記合金コア粒子における銅及びニッケルの合計100質量%中において、銅の割合が40〜95質量%であり、ニッケルの割合が5〜60質量%である、請求項1に記載の銀被覆合金粉末。
- 前記銀被覆合金粉末の酸素量(質量%)を、前記銀被覆合金粉末のBET1点法により測定した比表面積BET(m2/g)で除した値が1.50(質量%・g/m2)以下である、請求項1又は2に記載の銀被覆合金粉末。
- 前記銀被覆合金粉末における銀の質量割合が、1〜40質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
- 前記銀被覆合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜10μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
- 前記銀被覆合金粉末の酸素量が0.05〜0.40質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆合金粉末。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む導電性ペースト。
- 前記導電性ペースト中の硬化性樹脂の含有割合が0.5〜49質量%である、請求項7に記載の導電性ペースト。
- 前記硬化性樹脂が、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項7又は8に記載の導電性ペースト。
- 前記導電性ペースト中の銀被覆合金粉末の含有量が、50〜98質量%である、請求項7〜9のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 外部電極を備える電子部品であって、前記外部電極が、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆合金粉末及び硬化性樹脂を含む、電子部品。
- 前記外部電極をフラックスに浸漬させた後、260℃の鉛フリーはんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5の金属組成を有する)槽に1秒浸漬させ、次いで前記外部電極を引き上げ、レーザー式顕微鏡を用いて観察したとき、外部電極上面全体のうち、65面積%以上にはんだが付着している、請求項11に記載の電子部品。
- 基板と、該基板上に形成された電気素子と、該基板上に実装された請求項11又は12に記載の電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える電子機器。
- 銅、ニッケル及び不可避不純物を含む合金コア粒子の表面に銀を含む被覆層を有する銀被覆合金粉末の製造方法であって、
前記合金コア粒子の粉末、又は前記合金コア粒子の表面に前記被覆層が形成された後の前記銀被覆合金粉末に対し、酸素低減処理を行う工程を有する、銀被覆合金粉末の製造方法。 - 前記合金コア粒子の粉末に対し、酸素低減処理を行う工程と、
前記工程後に、前記合金コア粒子の表面に前記被覆層を形成する工程と、
を有する、請求項14に記載の銀被覆合金粉末の製造方法。 - 前記酸素低減処理は、水素を含む雰囲気下での水素還元である、請求項14又は15に記載の銀被覆合金粉末の製造方法。
- 請求項14〜16のいずれかに記載の製造方法により得られた銀被覆合金粉末と硬化性樹脂とを混合する工程を有する、導電性ペーストの製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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