JP5591289B2 - イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イソシアネートの製造方法に関する。
イソシアネートは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の製造原料として広く用いられている。イソシアネートの主な工業的製造法は、アミン化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン法)であり、全世界の生産量のほぼ全量がホスゲン法により生産されている。しかしながら、ホスゲン法は多くの問題がある。
第1に、原料としてホスゲンを大量に使用することである。ホスゲンは極めて毒性が高く、従業者への暴露を防ぐためにその取扱いには特別の注意を要し、廃棄物を除害するための特別の装置も必要である。
第2に、ホスゲン法においては、腐食性の高い塩化水素が大量に副生するため、該塩化水素を除害するためのプロセスが必要となる上、製造されたイソシアネートには多くの場合加水分解性塩素が含有されることになる。そのため、ホスゲン法で製造されたイソシアネートを使用する場合に、ポリウレタン製品の耐候性、耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。
このような背景から、ホスゲンを使用しないイソシアネート化合物の製造方法が望まれている。ホスゲンを使用しないイソシアネート化合物の製造方法の一つとして、カルバミン酸エステルの熱分解による方法が提案されている。カルバミン酸エステルの熱分解によってイソシアネートとヒドロキシ化合物が得られることは古くから知られている(例えば、非特許文献1参照)。その基本反応は下記式によって例示される。
Figure 0005591289
(式中、Rは、a価の有機残基を表し、
R’は、1価の有機残基を表し、
aは、1以上の整数を表す。)
一方、カルバミン酸エステルの熱分解反応において、カルバミン酸エステルの好ましくない熱変性反応や、該熱分解によって生成するイソシアネートの縮合反応など、種々の不可逆な副反応を併発しやすい。副反応としては、例えば下記式(2)で表される尿素結合を形成する反応や、例えば下記式(3)で表されるカルボジイミド類を生成する反応や、例えば下記式(4)で表されるイソシアヌレート類を生成する反応が挙げられる(非特許文献1、2参照)。
Figure 0005591289
これらの副反応は、目的とするイソシアネートの収率や選択率の低下を招くばかりでなく、特にポリイソシアネートの製造においては、ポリマー状固形物が析出し、反応器を閉塞させるなど長期操業が困難となる場合があった。
ホスゲンを含まない方法によってイソシアネートを製造する方法としては、これまで様々な方法が提案されている。
特許文献1の記載によれば、脂肪族ジウレタンおよび/または脂環式ジウレタンおよび/または脂肪族ポリウレタンおよび/または脂環式ポリウレタンは、脂肪族第1級ジアミンおよび/または脂環式第1級ジアミンおよび/または脂肪族第1級ポリアミンおよび/または脂環式第1級ポリアミンをO−アルキルカルバメートと、アルコールの存在下に、アミンのNH2基:カルバメート:アルコールの比1:0.8〜10:0.25〜50で160℃〜300℃で触媒の存在下または不存在下で反応させ、かつ必要に応じて生じるアンモニアを除去することによって得られる。生じるジウレタンおよび/またはポリウレタンは、必要に応じて、相応するジイソシアネートおよび/または高官能価ポリイソシアネートに変換することができる。熱分解についての詳細な反応条件は、当該特許文献には記載されていない。
特許文献2の記載によれば、芳香族ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートは、次の2工程を経て製造される。第1工程では、芳香族第1級アミンおよび/または芳香族第1級ポリアミンをO−アルキルカルバメートと、触媒の存在下または不存在下、ならびに、尿素およびアルコールの存在下または不存在下で反応させ、アリールジウレタンおよび/またはアリールポリウレタンを生じさせ、生じるアンモニアを必要に応じて除去する。第2工程において、アリールジウレタンおよび/またはアリールポリウレタンの熱分解によって、芳香族イソシアネートおよび/または芳香族ポリイソシアネートを得る。
他の刊行物には、カルボニル含有化合物、例えば、N−置換カルバメートおよび/またはジアルキルカーボネート、またはモノ置換尿素もしくはジ置換尿素またはモノ置換ポリ尿素もしくはジ置換ポリ尿素による、尿素および/またはジアミンの部分的置換に関する記載がある(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)。特許文献8には、(環式)脂肪族ポリアミンを尿素および芳香族ヒドロキシ化合物と反応させることにより脂肪族O−アリールウレタンを製造する方法が記載されている。
(環式)脂肪族および殊に芳香族のモノウレタンおよびジウレタンの熱分解により対応するイソシアネートおよびアルコールを生成する方法は、いくつかが知られており、気相中で高温下において実施する方法や、液相中で比較的に低い温度条件下で実施する方法がある。しかし、これらの方法において、反応混合物が、例えば、上記した副反応を生起し、例えば、反応器および回収装置中で、沈殿物、ポリマー状物質および閉塞物を形成したり、また該物質が反応器壁面へ固着物を形成する場合があり、長い期間に亘ってイソシアネートを製造する場合には経済的効率が悪い。
したがって、ウレタンの熱分解における収量を改善するために、例えば、化学的方法、例えば、特殊な触媒の使用(特許文献9、特許文献10参照)または不活性溶剤との組み合わせ物の触媒(特許文献11参照)が開示されている。
例えば、特許文献12には、ヘキサメチレンジイソシアネートの製造方法として、溶剤として使用されるジベンジルトルエンの存在下、ならびに、メチルトルエンスルホネートおよびジフェニルスズジクロリドからなる触媒混合物の存在下で、ヘキサメチレンジエチルウレタンを熱分解する方法が記載されている。しかし、出発成分の製造、および単離ならびに溶剤および触媒混合物の精製および任意の回収については何も詳細に記載されておらず、したがって、この方法の経済的効率を判断することは不可能であった。
特許文献13の記載の方法によれば、ウレタンは、触媒を使用することなしに炭素含有流動床中でイソシアネートおよびアルコールに容易に分解することができる。また、特許文献14の記載によれば、ヘキサメチレンジアルキルウレタンは、例えば、炭素、銅、黄銅、鋼、亜鉛、アルミニウム、チタン、クロム、コバルトまたは石英からなるガス透過性包装材料の存在下または不存在下で300℃を上回る温度で、ガス相中で、分解することができ、ヘキサメチレンジイソシアネートを生じる。
また、特許文献14の記載によれば、当該方法は、水素ハロゲン化物および/または水素ハロゲン化物供与体の存在下に実施される。しかし、当該方法は、90%以上のヘキサメチレンジイソシアネートの収率を達成することができない。分解生成物は部分的に再結合しウレタン結合を生成するからである。したがって、更に、蒸留によるヘキサメチレンジイソシアネートの精製が必要となり、収率の損失が増大する場合が多い。
更に、特許文献15の記載によれば、モノカルバメートを、比較的に低い温度で、有利に減圧下に触媒および/または安定剤の存在下または不存在下で、溶剤を使用することなく、良好な収率で、分解できることが開示されている。分解生成物(モノイソシアネートおよびアルコール)は、沸騰する反応混合物から蒸留によって除去され、かつ分別縮合によって別々に捕集される。熱分解で形成された副生物を除去するために、反応混合物を部分的に系外に除去する方法が、一般的な形で記載されている。したがって、反応器底部からは副生物を除去することはできるが、前記した反応器壁面に固着する場合に対する課題は依然として残されており、長期運転に対する課題は解決されていない。また、除去された(有用成分が多量に含まれる)反応混合物の工業的使用については何も記載されていない。
特許文献16の記載によれば、脂肪族、脂環式または芳香族ポリカルバメートの熱分解は、150〜350℃および0.001〜20バールで不活性溶剤の存在下、触媒および、助剤としての塩化水素、有機酸塩化物、アルキル化剤または有機スズ塩化物の存在下または不存在下で実施される。生成する副生物は、例えば反応溶液と一緒に反応器から連続的に除去することができ、相応する量の新しい溶剤、または回収された溶剤を、同時に加える。この方法の欠点は、例えば、還流する溶剤の使用により、ポリイソシアネートの空時収量の減少が生じ、その上、例えば、溶剤の回収を含めて大量のエネルギーが必要とされることにある。更に、使用される助剤は反応条件下で揮発性であり、分解生成物の汚染を生じうる。また、生成したポリイソシアネートに対して残分の量が多く、経済的効率および工業的方法の信頼性については疑いの余地がある。
特許文献17の記載によれば、高沸点溶剤の存在下に液状の形で、管状反応器の内面に沿って供給されるカルバメート、例えば、脂環式ジウレタン5−(エトキシカルボニルアミノ)−1−(エトキシカルボニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンを連続的に熱分解する1つの方法が記載されている。この方法は、(環式)脂肪族ジイソシアネートの製造の際に収率が低く、選択性が低いという欠点を有する。また、再結合されたかまたは部分的に分解されたカルバメートの回収を伴う連続的方法については、何も記載されておらず、副生物および触媒を含有する溶剤の後処理についても述べられていない。
特許文献18の記載によれば、相応するジアミンをジウレタンに変換し、かつ、このウレタンを熱分解することによって、(環式)脂肪族ジイソシアネートを製造するための循環方法が開示されている。この方法は、アルコールとの反応後にウレタン分解工程からの生成物をウレタン化工程に再循環させることによって収率の減少を最小にする。再循環不可能な副生物は、ウレタン化生成物の混合物の蒸留による分離によって除去され、この場合、価値のない残分は、底部生成物として生じ、かつジウレタンを含めて比較的に低沸点の全成分は、カラムの塔頂部から除去される。しかしながら、当該方法は、大量のエネルギーを使用するという欠点を有する。それというのも、全てのジウレタンを、触媒の存在下で蒸発させる必要があり、その上、このジウレタンは、ウレタン分解温度の範囲内のある温度水準で蒸発されなければならないからである。有用な生成物中に形成されるイソシアネート基は、残分のウレタン基と反応し、収率を減少させる比較的に高分子量の副生物を形成する場合が多い。
また、特許文献19の記載によれば、ポリウレタンの熱分解をおこなう前に、価値のない副生物を部分的に系外に除去する方法が開示されている。この方法の欠点は、部分的に系外に除去された副生物に、ポリウレタンが含有されてしまうため、イソシアネートの収率が低下することである。また、系外に除去されずに反応器中にとどまっている副生物が加熱されることによって、ポリマー状の化合物を形成し、該化合物が反応器に付着するため、長期に亘る連続的な運転が難しい。
米国特許第4497963号公報 米国特許第4290970号公報 米国特許第4388238号公報 米国特許第4430505号公報 米国特許第4480110号公報 米国特許第4596678号公報 米国特許第4596679号公報 欧州特許出願公開第0320235号公報 米国特許第2692275号公報 米国特許第3734941号公報 米国特許第4081472号公報 米国特許第4388426号公報 米国特許第4482499号公報 米国特許第4613466号公報 米国特許第4386033号公報 米国特許第4388246号公報 米国特許第4692550号公報 欧州特許出願第0355443号公報 日本国特許第3382289号公報 Berchte der Deutechen Chemischen Gesellschaft,第3巻,653頁,1870年 Journal of American Chemical Society,第81巻,2138頁,1959年
上述したように、猛毒のホスゲンを使用せずにイソシアネートを製造する方法については、様々な検討がなされている。しかしながら、高沸点副生物の生成や、該高沸点副生物の反応器への付着により長時間に亘って連続的に製造することが難しいといった課題があり、工業的にはほとんど実施されていないのが実状である。
本発明の目的は、ホスゲンを使用せずイソシアネートを製造するに際し、先行技術にみられるような種々の問題点がなく、高収率でイソシアネートを長期間安定して製造できる方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、活性プロトンを有する特定の化合物共存下で、カルバミン酸エステルもしくはイソシアネートが、上述のような副反応を生じにくいことを見出した。更に、該活性プロトンを有する特定の化合物を使用した場合には、該副反応によって生成する高沸点副生物がほぼ析出せず、反応器への付着や閉塞をもたらさないということを見出した。これは、本発明者らが鋭意検討した結果、該副反応によって生成する高沸点物質は、該活性プロトンを有する特定の化合物に高い溶解度を有し、系外へ容易に除去されることによって達成されていることを突き止めた。また、該活性プロトンを有する特定の化合物の中には、該反応条件において一部、熱変性によると推定される反応を受ける場合があるが、驚くべきことに特定の炭酸誘導体を共存させて、カルバミン酸エステルの熱分解を実施した場合、該熱変性を生じにくくなるだけでなく、イソシアネートの収率が向上することをさらに見出した。イソシアネートの収率が向上する機構については明らかではないが、本発明者らは、特定の炭酸誘導体を共存させることによって活性プロトンを有する化合物が熱変性を生じにくくなるために、熱変性した活性プロトンを有する化合物とカルバミン酸エステルおよび/またはイソシアネートとの反応による高沸物の生成が抑制されるためではないかと推測している。
本発明者らは、以上に記した驚くべき知見をもとに、前記した従来方法の課題を解決し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1] カルバミン酸エステルを分解反応に付してイソシアネートを製造する方法であって、該分解反応を、活性プロトンを有する化合物存在下でおこなうイソシアネートの製造方法、
[2] 該活性プロトンを有する化合物が、ヒドロキシル基を有する化合物である[1]記載の製造方法、
[3] 該ヒドロキシル基を有する化合物が、芳香族ヒドロキシ化合物である[2]記載の製造方法、
[4] 該芳香族ヒドロキシ化合物が、置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物である[3]記載の製造方法、
[5] 該置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(5)で表される化合物である[4]記載の製造方法、
Figure 0005591289
(式中:
環Aは、置換基を有してもよい、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
1は、水素原子以外の基であって、炭素、酸素、窒素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、またはヒドロキシル基を表す。更にR1は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
[6] 該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(6)で表される化合物である[5]記載の製造方法、
Figure 0005591289
(式中:
環AおよびR1は前記した基であり、
2は、炭素、酸素、窒素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、もしくは水素原子、またはヒドロキシル基を表す。更にR2は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
[7] 前記式(6)において、R1とR2を構成する炭素原子の合計数が2〜20である[6]記載の製造方法、
[8] 該芳香族ヒドロキシ化合物の環Aが、ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの構造を含有する構造である[5]〜[7]のいずれか一項に記載の製造方法、
[9] 該カルバミン酸エステルが、カルバミン酸脂肪族エステルである[1]記載の製造方法、
[10] 該カルバミン酸脂肪族エステルが、ポリカルバミン酸脂肪族エステルである[9]記載の製造方法、
[11] 該カルバミン酸脂肪族エステルが、下記式(7)で表される化合物である[9]記載の製造方法、
Figure 0005591289
(式中:
3は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基および炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれる1つの基であって、nに等しい原子価を有する基を表し、
4は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む炭素数1〜20の脂肪族基を表し、
nは、1〜10の整数である。)
[12] 該カルバミン酸脂肪族エステルが、前記式(7)で表される化合物のうち、R3が、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基からなる群から選ばれる1つの基である[11]記載の製造方法、
[13] 該分解反応を、活性プロトンを有する化合物および炭酸誘導体存在下でおこなう[1]記載の製造方法、
[14] 該炭酸誘導体が、下記式(8)で表される化合物である[13]記載の製造方法、
Figure 0005591289
(式中:
XおよびYは、各々独立に、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、もしくは炭素数0〜20のアミノ基を表す。)
[15] 該炭酸誘導体が、炭酸エステルもしくは尿素化合物である[14]記載の製造方法、
[16] 該炭酸誘導体が、下記式(9)で表される炭酸エステルである[15]記載の製造方法、
Figure 0005591289
(式中:
5およびR6は、各々独立に、炭素、酸素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数7〜20のアラルキル基を表す。)
[17] 該尿素化合物が、尿素である[15]記載の製造方法、
[18] 該分解反応が、熱分解反応である[1]記載の製造方法、
[19] 該カルバミン酸エステルが、活性プロトンを有する化合物との混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される[1]記載の製造方法、
[20] 該カルバミン酸エステルが、該炭酸誘導体との混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される[2]に記載の製造方法、
[21] 該カルバミン酸エステルが、該炭酸誘導体と該活性プロトンを有する化合物との混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される[20]記載の製造方法、
[22] 該分解反応によって生成する低沸点成分を、気体成分として該反応器から取り出し、該カルバミン酸エステルおよび/または該活性プロトンを有する化合物を含有する溶液の一部もしくは全部を、該反応器の底部から取り出す[19]〜[21]のいずれか一項に記載の製造方法、
を提供する。
本発明によれば、ホスゲンを使用することなく、収率よくイソシアネートを製造することができる。
本発明の実施例にて使用した炭酸エステルの連続製造装置を示す概念図である。 本発明の実施例にて使用した熱分解反応装置を表す概念図である。 本発明の実施例にて使用した熱分解反応装置を表す概念図である。 本発明の実施例にて使用したイソシアネート製造装置を表す概念図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態におけるイソシアネートの製造方法は、カルバミン酸エステルを分解反応に付してイソシアネートを製造する方法であって、該分解反応を、活性プロトンを有する化合物存在下においておこなうことを含む。更には、該分解反応を、活性プロトンを有する化合物および炭酸誘導体存在下においておこなうことを含む。
まず、本実施の形態におけるイソシアネートの製造方法に使用する化合物について説明する。
本実施の形態において使用される、活性プロトンを有する化合物における「活性プロトン」とは、次に説明する水素原子を指す。
通常、有機化合物の分子内に結合している水素原子のうち、炭素原子に結合している水素原子は、不活性で反応性に乏しい場合が多いが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などと結合している水素原子は反応性が強く、各種の試薬と反応しやすい場合が多い。本実施の形態では、このような水素原子を、活性プロトンと呼称している。このような活性プロトンとしては、例えば、−OH基、−SH基、−NH2基、−COOH基などの原子団に含まれる水素原子を例示することができる。また、電子吸引性の大きな−COOR基、−CN基、−NO2基、−COR基(Rは脂肪族基もしくは芳香族基を表す)等の基が結合した炭素原子上に結合した水素原子も、通常の炭素原子に結合している水素原子に比べて反応性が強く、本実施の形態における活性プロトンとして含まれる。
なお、本実施の形態における活性プロトンを有する化合物は、従来技術(例えば、米国特許第4081472号公報参照)でいう不活性溶媒とは異なる。例えば、該特許文献によれば、不活性溶媒は、カルバミン酸エステルの熱分解によって生成するイソシアネートと反応しない化合物を指すが、これに対して、例えば、文献(Journal of the American Chemical Society,第64巻,2229頁,1942年)に、芳香族ヒドロキシ化合物とフェニルイソシアネートの反応によりウレタンが生成するとの記述があるように、活性プロトンを有する化合物はイソシアネートと反応する。このように、本実施の形態における活性プロトンを有する化合物は、イソシアネートと反応する懸念があるため、従来技術では使用を避け、イソシアネートと反応しない不活性溶媒が使用されてきた。しかし、本発明者らの検討によれば、活性プロトンを有する化合物共存下であってもイソシアネートを有利に回収することができることを見出した。その上、カルバミン酸エステルの熱分解を、活性プロトンを有する化合物の共存下において実施した場合においては、活性プロトンを有する化合物を共存しない場合に比べて、イソシアネートの収率が向上する効果を奏することを見出した。
本実施の形態において使用される、活性プロトンを有する化合物とは、上記した活性プロトンを含有する化合物である。中でも、−OH基、−SH基、−NH2基、−COOH基を有する化合物が好ましく使用されるが、該基の酸性度もしくは塩基性度が大きすぎるもしくは小さすぎる場合は、活性プロトンを有する化合物どうしが強固に会合する傾向が強まり、後述する活性プロトンを有する化合物の効果が発現しにくくなると推定される。本発明者らの検討によれば、イソシアネートの収率を向上させる効果が小さい場合があることから、より好ましくは、ヒドロキシル基を有する化合物が使用され、さらに好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物が使用される。
本実施の形態において使用する芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香環に直接結合しているヒドロキシル基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物である。中でも、ヒドロキシル基に対して少なくとも1つのオルト位に置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であり、下記式(10)で表わされる化合物である。
Figure 0005591289
(式中、環Aは、置換基を有してもよい、炭素数6〜20の単環もしくは複数環である芳香族炭化水素環を表し、
1は、水素原子以外の基であって、炭素、酸素、窒素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、更にR1は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
上記式(10)におけるR1としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(各異性体)、ブチルオキシ基(各異性体)、ペンチルオキシ基(各異性体)、ヘキシルオキシ基(各異性体)、ヘプチルオキシ基(各異性体)、オクチルオキシ基(各異性体)、ノニルオキシ基(各異性体)、デシルオキシ基(各異性体)、ドデシルオキシ基(各異性体)、オクタデシルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルコキシ基;フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ヘプチルフェニル基(各異性体)、オクチルフェニル基(各異性体)、ノニルフェニル基(各異性体)、デシルフェニル基(各異性体)、ビフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、ジブチルフェニル基(各異性体)、ジペンチルフェニル基(各異性体)、ジヘキシルフェニル基(各異性体)、ジヘプチルフェニル基(各異性体)、ターフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、トリプロピルフェニル基(各異性体)、トリブチルフェニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリール基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基(各異性体)、エチルフェノキシ基(各異性体)、プロピルフェノキシ基(各異性体)、ブチルフェノキシ基(各異性体)、ペンチルフェノキシ基(各異性体)、ヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ヘプチルフェノキシ基(各異性体)、オクチルフェノキシ基(各異性体)、ノニルフェノキシ基(各異性体)、デシルフェノキシ基(各異性体)、フェニルフェノキシ基(各異性体)、ジメチルフェノキシ基(各異性体)、ジエチルフェノキシ基(各異性体)、ジプロピルフェノキシ基(各異性体)、ジブチルフェノキシ基(各異性体)、ジペンチルフェノキシ基(各異性体)、ジヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ジヘプチルフェノキシ基(各異性体)、ジフェニルフェノキシ基(各異性体)、トリメチルフェノキシ基(各異性体)、トリエチルフェノキシ基(各異性体)、トリプロピルフェノキシ基(各異性体)、トリブチルフェノキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基(各異性体)、フェニルプロピル基(各異性体)、フェニルブチル基(各異性体)、フェニルペンチル基(各異性体)、フェニルヘキシル基(各異性体)、フェニルヘプチル基(各異性体)、フェニルオクチル基(各異性体)、フェニルノニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキル基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基(各異性体)、フェニルプロピルオキシ基(各異性体)、フェニルブチルオキシ基(各異性体)、フェニルペンチルオキシ基(各異性体)、フェニルヘキシルオキシ基(各異性体)、フェニルヘプチルオキシ基(各異性体)、フェニルオクチルオキシ基(各異性体)、フェニルノニルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキルオキシ基等を例示することができる。
上記式(10)における環Aとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタレン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ビフェニレン環、アセナフチレン環、アセアントリレン環、アセフェナントリレン環等を例示することができ、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環からなる群から選ばれる環である。また、これらの環は、上記のR1以外の置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(各異性体)、ブチルオキシ基(各異性体)、ペンチルオキシ基(各異性体)、ヘキシルオキシ基(各異性体)、ヘプチルオキシ基(各異性体)、オクチルオキシ基(各異性体)、ノニルオキシ基(各異性体)、デシルオキシ基(各異性体)、ドデシルオキシ基(各異性体)、オクタデシルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルコキシ基;フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ヘプチルフェニル基(各異性体)、オクチルフェニル基(各異性体)、ノニルフェニル基(各異性体)、デシルフェニル基(各異性体)、ビフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、ジブチルフェニル基(各異性体)、ジペンチルフェニル基(各異性体)、ジヘキシルフェニル基(各異性体)、ジヘプチルフェニル基(各異性体)、ターフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、トリプロピルフェニル基(各異性体)、トリブチルフェニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリール基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基(各異性体)、エチルフェノキシ基(各異性体)、プロピルフェノキシ基(各異性体)、ブチルフェノキシ基(各異性体)、ペンチルフェノキシ基(各異性体)、ヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ヘプチルフェノキシ基(各異性体)、オクチルフェノキシ基(各異性体)、ノニルフェノキシ基(各異性体)、デシルフェノキシ基(各異性体)、フェニルフェノキシ基(各異性体)、ジメチルフェノキシ基(各異性体)、ジエチルフェノキシ基(各異性体)、ジプロピルフェノキシ基(各異性体)、ジブチルフェノキシ基(各異性体)、ジペンチルフェノキシ基(各異性体)、ジヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ジヘプチルフェノキシ基(各異性体)、ジフェニルフェノキシ基(各異性体)、トリメチルフェノキシ基(各異性体)、トリエチルフェノキシ基(各異性体)、トリプロピルフェノキシ基(各異性体)、トリブチルフェノキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基(各異性体)、フェニルプロピル基(各異性体)、フェニルブチル基(各異性体)、フェニルペンチル基(各異性体)、フェニルヘキシル基(各異性体)、フェニルヘプチル基(各異性体)、フェニルオクチル基(各異性体)、フェニルノニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキル基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基(各異性体)、フェニルプロピルオキシ基(各異性体)、フェニルブチルオキシ基(各異性体)、フェニルペンチルオキシ基(各異性体)、フェニルヘキシルオキシ基(各異性体)、フェニルヘプチルオキシ基(各異性体)、フェニルオクチルオキシ基(各異性体)、フェニルノニルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキルオキシ基、ヒドロキシル基等を挙げることができる。
また、該芳香族ヒドロキシ化合物は、下記式(11)で表される化合物のように、ヒドロキシル基に対して1つのオルト位に置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であっても、2つのオルト位に置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であっても好ましく使用することができる。
Figure 0005591289
(式中、環AおよびR1は前記した基であり、
2は、炭素、酸素、窒素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、または水素原子、もしくはヒドロキシル基を表し、更にR2は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
上記式(11)におけるR2としては、水素原子、ヒドロキシル基、または、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(各異性体)、ブチルオキシ基(各異性体)、ペンチルオキシ基(各異性体)、ヘキシルオキシ基(各異性体)、ヘプチルオキシ基(各異性体)、オクチルオキシ基(各異性体)、ノニルオキシ基(各異性体)、デシルオキシ基(各異性体)、ドデシルオキシ基(各異性体)、オクタデシルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族アルコキシ基;フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ヘプチルフェニル基(各異性体)、オクチルフェニル基(各異性体)、ノニルフェニル基(各異性体)、デシルフェニル基(各異性体)、ビフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、ジブチルフェニル基(各異性体)、ジペンチルフェニル基(各異性体)、ジヘキシルフェニル基(各異性体)、ジヘプチルフェニル基(各異性体)、ターフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、トリプロピルフェニル基(各異性体)、トリブチルフェニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリール基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基(各異性体)、エチルフェノキシ基(各異性体)、プロピルフェノキシ基(各異性体)、ブチルフェノキシ基(各異性体)、ペンチルフェノキシ基(各異性体)、ヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ヘプチルフェノキシ基(各異性体)、オクチルフェノキシ基(各異性体)、ノニルフェノキシ基(各異性体)、デシルフェノキシ基(各異性体)、フェニルフェノキシ基(各異性体)、ジメチルフェノキシ基(各異性体)、ジエチルフェノキシ基(各異性体)、ジプロピルフェノキシ基(各異性体)、ジブチルフェノキシ基(各異性体)、ジペンチルフェノキシ基(各異性体)、ジヘキシルフェノキシ基(各異性体)、ジヘプチルフェノキシ基(各異性体)、ジフェニルフェノキシ基(各異性体)、トリメチルフェノキシ基(各異性体)、トリエチルフェノキシ基(各異性体)、トリプロピルフェノキシ基(各異性体)、トリブチルフェノキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が6〜20のアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基(各異性体)、フェニルプロピル基(各異性体)、フェニルブチル基(各異性体)、フェニルペンチル基(各異性体)、フェニルヘキシル基(各異性体)、フェニルヘプチル基(各異性体)、フェニルオクチル基(各異性体)、フェニルノニル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキル基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基(各異性体)、フェニルプロピルオキシ基(各異性体)、フェニルブチルオキシ基(各異性体)、フェニルペンチルオキシ基(各異性体)、フェニルヘキシルオキシ基(各異性体)、フェニルヘプチルオキシ基(各異性体)、フェニルオクチルオキシ基(各異性体)、フェニルノニルオキシ基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が7〜20のアラルキルオキシ基等を例示することができる。
本実施の形態におけるイソシアネートの製造方法において使用する芳香族ヒドロキシ化合物が、ヒドロキシル基に対して2つのオルト位に置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物である場合は、上記式(11)で表わされる化合物のうち、R1とR2を構成する炭素原子の合計数が2〜20である芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく使用される。R1とR2の組み合わせは、R1とR2を構成する炭素原子の合計数が2〜20となるような組み合わせであれば特に限定されない。
このような芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、下記式(12)で表わされる化合物を例示することができる。
Figure 0005591289
(式中、R1およびR2は前記した基であり、
7、R8およびR9は、各々独立に、水素原子、もしくは、炭素、酸素、窒素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表す。)
中でも、上記式(12)において、R1およびR8が、各々独立に、下記式(13)で表される基であって、R2、R7およびR9が水素原子である芳香族ヒドロキシ化合物、もしくは、上記式(12)において、R1が、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基であり、R2およびR8が、各々独立に、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基である芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく使用される。
Figure 0005591289
(式中、Zは、下記式(14)もしくは(15)で表される構造から選ばれる1つの分岐構造、または単なる結合を表す。)
Figure 0005591289
(式中、R10は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
このような芳香族ヒドロキシ化合物としては、2−エチルフェノール、2−プロピルフェノール(各異性体)、2−ブチルフェノール(各異性体)、2−ペンチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−フェニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジエチルフェノール、2、6−ジエチルフェノール、2,4−ジプロピルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピルフェノール(各異性体)、2,4−ジブチルフェノール(各異性体)、2,4−ジペンチルフェノール(各異性体)、2,4−ジヘキシルフェノール(各異性体)、2,4−ジヘプチルフェノール(各異性体)、2−メチル−6−エチルフェノール、2−メチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−クミルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−エチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−クミルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−エチルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−ブチル−4−クミルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−エチルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−ペンチル−4−クミルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−エチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−ヘプチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−ヘキシル−4−クミルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−メチルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−エチルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−オクチルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2−ヘプチル−4−クミルフェノール(各異性体)、2,4,6−トリメチルフェノール、2,6−ジメチル−4−エチルフェノール、2,6−ジメチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2,6−ジメチル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2,6−ジメチル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2,6−ジメチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2,6−ジメチル−4−フェニルフェノール、2,6−ジメチル−4−クミルフェノール、2,4,6−トリエチルフェノール、2,6−ジエチル−4−メチルフェノール、2,6−ジエチル−4−プロピルフェノール(各異性体)、2,6−ジエチル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2,6−ジエチル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2,6−ジエチル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2,6−ジエチル−4−フェニルフェノール、2,6−ジエチル−4−クミルフェノール、2,4,6−トリプロピルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−エチルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−メチルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−ブチルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−ペンチルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−ヘキシルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−フェニルフェノール(各異性体)、2,6−ジプロピル−4−クミルフェノール(各異性体)、2,4−ジメチル−6−エチルフェノール、2−メチル−4,6−ジエチルフェノール、2−メチル−4−プロピル−6−エチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ブチル−6−エチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ペンチル−6−エチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ヘキシル−6−エチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−フェニル−6−エチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−クミル−6−エチルフェノール(各異性体)、2,4−ジメチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4,6−ジプロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−エチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ブチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ペンチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ヘキシル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−フェニル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−クミル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2,4−ジメチル−6−ブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジブチルフェノール、2−メチル−4−プロピル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−エチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ペンチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ヘキシル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−フェニル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−クミル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2,4−ジメチル−6−ペンチルフェノール、2−メチル−4,6−ジペンチルフェノール、2−メチル−4−プロピル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ブチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−エチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ヘキシル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−フェニル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−クミル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2,4−ジメチル−6−ヘキシルフェノール、2−メチル−4,6−ジヘキシルフェノール、2−メチル−4−プロピル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ブチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−ペンチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−エチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−フェニル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−メチル−4−クミル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−メチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2,4−ジエチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4,6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ブチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ペンチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘキシル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘプチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−オクチル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−フェニル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−クミル−6−プロピルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−メチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2,4−ジエチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4,6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−プロピル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ペンチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘキシル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘプチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−オクチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−フェニル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−クミル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−メチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2,4−ジエチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4,6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ブチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−プロピル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘキシル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘプチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−オクチル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−フェニル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−クミル−6−ペンチルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−メチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2,4−ジエチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4,6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−プロピル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ペンチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ブチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−ヘプチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−オクチル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−フェニル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−エチル−4−クミル−6−ヘキシルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−メチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2,4−ジプロピル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4,6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−エチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ペンチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ヘキシル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−ヘプチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−オクチル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−フェニル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2−プロピル−4−クミル−6−ブチルフェノール(各異性体)、2,4−ジクミルフェノール等を挙げることができる。
本発明者らは、驚くべきことに、カルバミン酸エステルが、上述したヒドロキシ化合物存在下において、上述したような副反応を生起しにくいことを見出した。該ヒドロキシ化合物が副反応を抑制する機構については明らかではないが、本発明者らは、例えば、上記式(2)で表される尿素結合を形成する反応において、カルバミン酸エステルのウレタン結合(−NHCOO−)とヒドロキシ化合物が水素結合を形成することにより、ウレタン結合同士が近接しにくい状態を形成するため、尿素結合を形成する反応を生起しにくいのではないかと推測している。特に、ヒドロキシル基に対してオルト位に置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物である場合は、上述の効果に加えて、ヒドロキシル基に対してオルト位に結合している置換基が、ウレタン結合を立体的に保護する効果によって、別のカルバミン酸エステルのウレタン結合との反応をより大きく阻害する効果を発現するためではないかと推測している。
また、本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに、上述のような置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物は、カルバミン酸エステル、後述する炭酸誘導体、および、副反応により生成する高沸点物質に対する溶解性が良好であることを見出した。すなわち、後述するカルバミン酸エステルの分解において、液相を均一とするために他の溶媒を添加する必要がなく、また、カルバミン酸エステルの分解に際して高沸点物質が生成した場合でも、本実施の形態において使用する芳香族ヒドロキシ化合物が該高沸点物質を溶解するため、反応器への付着や閉塞をもたらさない効果がある。
該ヒドロキシ化合物は、後述するカルバミン酸エステルのエステル基を構成する脂肪族アルコキシ基、アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基に対応するヒドロキシ化合物の標準沸点よりも、高い標準沸点を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることが好ましい。本発明でいう「標準沸点」とは、1気圧下での沸点を指す。
<カルバミン酸エステル>
本実施の形態におけるイソシアネートの製造方法において使用するカルバミン酸エステルとしては、特に限定されないが、好ましくは、カルバミン酸脂肪族エステルが使用される。カルバミン酸脂肪族エステルとしては、下記式(16)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 0005591289
(式中、R3は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む炭素数1〜20の脂肪族基および炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれる1つの基であって、nに等しい原子価を有する基を表し、
4は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む炭素数1〜20の脂肪族基を表し、
nは、1〜10の整数である。)
上記式(16)において、nは、好ましくは2以上の整数より選ばれる数であり、更に好ましくは、nが2であるポリカルバミン酸脂肪族エステルである。
式(16)におけるR3の例としては、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等の直鎖炭化水素基;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビス(シクロヘキシル)アルカン等の無置換の脂環式炭化水素基;メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン(各異性体)、エチルシクロヘキサン(各異性体)、プロピルシクロヘキサン(各異性体)、ブチルシクロヘキサン(各異性体)、ペンチルシクロヘキサン(各異性体)、ヘキシルシクロヘキサン(各異性体)等のアルキル置換シクロヘキサン;ジメチルシクロヘキサン(各異性体)、ジエチルシクロヘキサン(各異性体)、ジブチルシクロヘキサン(各異性体)等のジアルキル置換シクロヘキサン;1,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,5,5−トリエチルシクロヘキサン、1,5,5−トリプロピルシクロヘキサン(各異性体)、1,5,5−トリブチルシクロヘキサン(各異性体)等のトリアルキル置換シクロヘキサン;トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン等のモノアルキル置換ベンゼン;キシレン、ジエチルベンゼン、ジプロピルベンゼン等のジアルキル置換ベンゼン;ジフェニルアルカン、ベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。中でも、ヘキサメチレン、フェニレン、ジフェニルメタン、トルエン、シクロヘキサン、キシレニル、メチルシクロヘキサン、イソホロンおよびジシクロヘキシルメタン基が好ましく使用される。
上記式(16)におけるR4としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基(各異性体)、メトキシプロピル基(各異性体)、メトキシブチル基(各異性体)、メトキシペンチル基(各異性体)、メトキシヘキシル基(各異性体)、メトキシヘプチル基(各異性体)、メトキシオクチル基(各異性体)、メトキシノニル基(各異性体)、メトキシデシル基(各異性体)、メトキシウンデシル基(各異性体)、メトキシドデシル基(各異性体)、メトキシトリデシル基(各異性体)、メトキシテトラデシル基(各異性体)、メトキシペンタデシル基(各異性体)、メトキシヘキサデシル基(各異性体)、メトキシヘプタデシル基(各異性体)、メトキシオクタデシル基(各異性体)、メトキシノナデシル(各異性体)、エトキシメチル基、エトキシエチル基(各異性体)、エトキシプロピル基(各異性体)、エトキシブチル基(各異性体)、エトキシペンチル基(各異性体)、エトキシヘキシル基(各異性体)、エトキシヘプチル基(各異性体)、エトキシオクチル基(各異性体)、エトキシノニル基(各異性体)、エトキシデシル基(各異性体)、エトキシウンデシル基(各異性体)、エトキシドデシル基(各異性体)、エトキシトリデシル基(各異性体)、エトキシテトラデシル基(各異性体)、エトキシペンタデシル基(各異性体)、エトキシヘキサデシル基(各異性体)、エトキシヘプタデシル基(各異性体)、エトキシオクタデシル基(各異性体)、プロピルオキシメチル基(各異性体)、プロピルオキシエチル基(各異性体)、プロピルオキシプロピル基(各異性体)、プロピルオキシブチル基(各異性体)、プロピルオキシペンチル基(各異性体)、プロピルオキシヘキシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプチル基(各異性体)、プロピルオキシオクチル基(各異性体)、プロピルオキシノニル基(各異性体)、プロピルオキシデシル基(各異性体)、プロピルオキシウンデシル基(各異性体)、プロピルオキシドデシル基(各異性体)、プロピルオキシトリデシル基(各異性体)、プロピルオキシテトラデシル基(各異性体)、プロピルオキシペンタデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘキサデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプタデシル基(各異性体)、ブチルオキシメチル基(各異性体)、ブチルオキシエチル基(各異性体)、ブチルオキシプロピル基(各異性体)、ブチルオキシブチル基(各異性体)、ブチルオキシペンチル基(各異性体)、ブチルオキシヘキシル基(各異性体)、ブチルオキシヘプチル基(各異性体)、ブチルオキシオクチル基(各異性体)、ブチルオキシノニル基(各異性体)、ブチルオキシデシル基(各異性体)、ブチルオキシウンデシル基(各異性体)、ブチルオキシドデシル基(各異性体)、ブチルオキシトリデシル基(各異性体)、ブチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ブチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ブチルオキシヘキサデシル基(各異性体)、ペンチルオキシメチル基(各異性体)、ペンチルオキシエチル基(各異性体)、ペンチルオキシプロピル基(各異性体)、ペンチルオキシブチル基(各異性体)、ペンチルオキシペンチル基(各異性体)、ペンチルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンチルオキシヘプチル基(各異性体)、ペンチルオキシオクチル基(各異性体)、ペンチルオキシノニル基(各異性体)、ペンチルオキシデシル基(各異性体)、ペンチルオキシウンデシル基(各異性体)、ペンチルオキシドデシル基(各異性体)、ペンチルオキシトリデシル基(各異性体)、ペンチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ペンチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキシルオキシブチル基(各異性体)、ヘキシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘキシルオキシオクチル基(各異性体)、ヘキシルオキシノニル基(各異性体)、ヘキシルオキシデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシドデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシトリデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシテトラデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシメチル基、ヘプチルオキシエチル基(各異性体)、ヘプチルオキシプロピル基(各異性体)、ヘプチルオキシブチル基(各異性体)、ヘプチルオキシペンチル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘプチルオキシオクチル基(各異性体)、ヘプチルオキシノニル基(各異性体)、ヘプチルオキシデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシドデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシトリデシル基(各異性体)、オクチルオキシメチル基、オクチルオキシエチル基(各異性体)、オクチルオキシプロピル基(各異性体)、オクチルオキシブチル基(各異性体)、オクチルオキシペンチル基(各異性体)、オクチルオキシヘキシル基(各異性体)、オクチルオキシヘプチル基(各異性体)、オクチルオキシオクチル基(各異性体)、オクチルオキシノニル基(各異性体)、オクチルオキシデシル基(各異性体)、オクチルオキシウンデシル基(各異性体)、オクチルオキシドデシル基(各異性体)、ノニルオキシメチル基(各異性体)、ノニルオキシエチル基(各異性体)、ノニルオキシプロピル基(各異性体)、ノニルオキシブチル基(各異性体)、ノニルオキシペンチル基(各異性体)、ノニルオキシヘキシル基(各異性体)、ノニルオキシヘプチル基(各異性体)、ノニルオキシオクチル基(各異性体)、ノニルオキシノニル基(各異性体)、ノニルオキシデシル基(各異性体)、ノニルオキシウンデシル基(各異性体)、デシルオキシメチル基(各異性体)、デシルオキシエチル基(各異性体)、デシルオキシプロピル基(各異性体)、デシルオキシブチル基(各異性体)、デシルオキシペンチル基(各異性体)、デシルオキシヘキシル基(各異性体)、デシルオキシヘプチル基(各異性体)、デシルオキシオクチル基(各異性体)、デシルオキシノニル基(各異性体)、デシルオキシデシル基(各異性体)、ウンデシルオキシメチル基、ウンデシルオキシエチル基(各異性体)、ウンデシルオキシプロピル基(各異性体)、ウンデシルオキシブチル基(各異性体)、ウンデシルオキシペンチル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ウンデシルオキシオクチル基(各異性体)、ウンデシルオキシノニル基(各異性体)、ドデシルオキシメチル基(各異性体)、ドデシルオキシエチル基(各異性体)、ドデシルオキシプロピル基(各異性体)、ドデシルオキシブチル基(各異性体)、ドデシルオキシペンチル基(各異性体)、ドデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ドデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ドデシルデシルオキシオクチル基(各異性体)、トリデシルオキシメチル基(各異性体)、トリデシルオキシエチル基(各異性体)、トリデシルオキシプロピル基(各異性体)、トリデシルオキシブチル基(各異性体)、トリデシルオキシペンチル基(各異性体)、トリデシルオキシヘキシル基(各異性体)、トリデシルオキシヘプチル基(各異性体)、テトラデシルオキシメチル基(各異性体)、テトラデシルオキシエチル基(各異性体)、テトラデシルオキシプロピル基(各異性体)、テトラデシルオキシブチル基(各異性体)、テトラデシルオキシペンチル基(各異性体)、テトラデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンタデシルオキシメチル基、ペンタデシルオキシエチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシプロピル基(各異性体)、ペンタデシルオキシブチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシブチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシメチル基、ヘプタデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシプロピル基(各異性体)、オクタデシルオキシメチル基(各異性体)、オクタデシルオキシエチル基(各異性体)等のアルコキシアルキル基を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数である脂肪族炭化水素基であるアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ジシクロペンチル基(各異性体)、ジシクロヘキシル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が5〜20の整数より選ばれる数であるシクロアルキル基がより好ましく、該アルキル基を構成する炭素原子の数が4〜6の整数から選ばれる数であるアルキル基が更に好ましい。
このようなポリカルバミン酸アルキルとしては、例えば、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジエチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジブチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジペンチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジヘキシルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジオクチルエステル(各異性体)、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジエチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジプロピル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジブチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジペンチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘキシル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘプチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジオクチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、3−(メトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステル、3−(エトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸エチルエステル、3−(プロピルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸プロピルエステル(各異性体)、3−(ブチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ブチルエステル(各異性体)、3−(ペンチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ペンチルエステル(各異性体)、3−(ヘキシルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘキシルエステル(各異性体)、3−(ヘプチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘプチルエステル(各異性体)、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸オクチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジメチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジエチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジプロピルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジブチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジペンチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジヘキシルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジヘプチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジオクチルエステル(各異性体)、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジエチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジプロピルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジブチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジペンチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジヘキシルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジヘプチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジオクチルエステル等のカルバミン酸アルキルを挙げることができる。
これらの中でも、上記式(16)のR3が、炭素数1〜20のアルキル基および炭素数5〜20のシクロアルキル基からなる群から選ばれる1つの基であるカルバミン酸アルキルが好ましく使用される。更に好ましくは、下記式(17)〜(19)で表されるカルバミン酸アルキルである。
Figure 0005591289
(式中、R4は上記した基である。)
式(17)で表されるポリカルバミン酸アルキルの例としては、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジエチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジブチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジペンチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジヘキシルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジオクチルエステル(各異性体)を挙げることができる。また、式(18)で表されるポリカルバミン酸アルキルの例としては、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジエチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジプロピル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジブチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジペンチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘキシル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘプチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジオクチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)を挙げることができる。さらに、式(19)で表されるポリカルバミン酸アルキルの例としては、3−(メトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステル、3−(エトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸エチルエステル、3−(プロピルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸プロピルエステル(各異性体)、3−(ブチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ブチルエステル(各異性体)、3−(ペンチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ペンチルエステル(各異性体)、3−(ヘキシルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘキシルエステル(各異性体)、3−(ヘプチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘプチルエステル(各異性体)、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸オクチルエステル(各異性体)等のポリカルバミン酸アルキルを挙げることができる。
これらのカルバミン酸エステルを製造する方法は、公知の方法を使用することができる。例えば、アミン化合物と一酸化炭素、酸素、および、脂肪族アルコールもしくは芳香族ヒドロキシ化合物を反応させてカルバミン酸エステルを製造してもよいし、炭酸エステルとアミン化合物とを反応させてカルバミン酸エステルを製造してもよいし、アミン化合物を、尿素、および、脂肪族アルコールもしくは芳香族ヒドロキシ化合物と反応させてカルバミン酸エステルを製造してもよい。
例えば、炭酸エステルとアミン化合物との反応によってカルバミン酸エステルを製造する場合は、以下の方法を例示することができる。
炭酸エステルとしては、下記式(20)で表される炭酸エステルを使用することができる。
Figure 0005591289
(式中、R11は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜20の脂肪族基を表す。)
11の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基(各異性体)、メトキシプロピル基(各異性体)、メトキシブチル基(各異性体)、メトキシペンチル基(各異性体)、メトキシヘキシル基(各異性体)、メトキシヘプチル基(各異性体)、メトキシオクチル基(各異性体)、メトキシノニル基(各異性体)、メトキシデシル基(各異性体)、メトキシウンデシル基(各異性体)、メトキシドデシル基(各異性体)、メトキシトリデシル基(各異性体)、メトキシテトラデシル基(各異性体)、メトキシペンタデシル基(各異性体)、メトキシヘキサデシル基(各異性体)、メトキシヘプタデシル基(各異性体)、メトキシオクタデシル基(各異性体)、メトキシノナデシル(各異性体)、エトキシメチル基、エトキシエチル基(各異性体)、エトキシプロピル基(各異性体)、エトキシブチル基(各異性体)、エトキシペンチル基(各異性体)、エトキシヘキシル基(各異性体)、エトキシヘプチル基(各異性体)、エトキシオクチル基(各異性体)、エトキシノニル基(各異性体)、エトキシデシル基(各異性体)、エトキシウンデシル基(各異性体)、エトキシドデシル基(各異性体)、エトキシトリデシル基(各異性体)、エトキシテトラデシル基(各異性体)、エトキシペンタデシル基(各異性体)、エトキシヘキサデシル基(各異性体)、エトキシヘプタデシル基(各異性体)、エトキシオクタデシル基(各異性体)、プロピルオキシメチル基(各異性体)、プロピルオキシエチル基(各異性体)、プロピルオキシプロピル基(各異性体)、プロピルオキシブチル基(各異性体)、プロピルオキシペンチル基(各異性体)、プロピルオキシヘキシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプチル基(各異性体)、プロピルオキシオクチル基(各異性体)、プロピルオキシノニル基(各異性体)、プロピルオキシデシル基(各異性体)、プロピルオキシウンデシル基(各異性体)、プロピルオキシドデシル基(各異性体)、プロピルオキシトリデシル基(各異性体)、プロピルオキシテトラデシル基(各異性体)、プロピルオキシペンタデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘキサデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプタデシル基(各異性体)、ブチルオキシメチル基(各異性体)、ブチルオキシエチル基(各異性体)、ブチルオキシプロピル基(各異性体)、ブチルオキシブチル基(各異性体)、ブチルオキシペンチル基(各異性体)、ブチルオキシヘキシル基(各異性体)、ブチルオキシヘプチル基(各異性体)、ブチルオキシオクチル基(各異性体)、ブチルオキシノニル基(各異性体)、ブチルオキシデシル基(各異性体)、ブチルオキシウンデシル基(各異性体)、ブチルオキシドデシル基(各異性体)、ブチルオキシトリデシル基(各異性体)、ブチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ブチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ブチルオキシヘキサデシル基(各異性体)、ペンチルオキシメチル基(各異性体)、ペンチルオキシエチル基(各異性体)、ペンチルオキシプロピル基(各異性体)、ペンチルオキシブチル基(各異性体)、ペンチルオキシペンチル基(各異性体)、ペンチルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンチルオキシヘプチル基(各異性体)、ペンチルオキシオクチル基(各異性体)、ペンチルオキシノニル基(各異性体)、ペンチルオキシデシル基(各異性体)、ペンチルオキシウンデシル基(各異性体)、ペンチルオキシドデシル基(各異性体)、ペンチルオキシトリデシル基(各異性体)、ペンチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ペンチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキシルオキシブチル基(各異性体)、ヘキシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘキシルオキシオクチル基(各異性体)、ヘキシルオキシノニル基(各異性体)、ヘキシルオキシデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシドデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシトリデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシテトラデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシメチル基(各異性体)、ヘプチルオキシエチル基(各異性体)、ヘプチルオキシプロピル基(各異性体)、ヘプチルオキシブチル基(各異性体)、ヘプチルオキシペンチル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘプチルオキシオクチル基(各異性体)、ヘプチルオキシノニル基(各異性体)、ヘプチルオキシデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシドデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシトリデシル基(各異性体)、オクチルオキシメチル基(各異性体)、オクチルオキシエチル基(各異性体)、オクチルオキシプロピル基(各異性体)、オクチルオキシブチル基(各異性体)、オクチルオキシペンチル基(各異性体)、オクチルオキシヘキシル基(各異性体)、オクチルオキシヘプチル基(各異性体)、オクチルオキシオクチル基(各異性体)、オクチルオキシノニル基(各異性体)、オクチルオキシデシル基(各異性体)、オクチルオキシウンデシル基(各異性体)、オクチルオキシドデシル基(各異性体)、ノニルオキシメチル基(各異性体)、ノニルオキシエチル基(各異性体)、ノニルオキシプロピル基(各異性体)、ノニルオキシブチル基(各異性体)、ノニルオキシペンチル基(各異性体)、ノニルオキシヘキシル基(各異性体)、ノニルオキシヘプチル基(各異性体)、ノニルオキシオクチル基(各異性体)、ノニルオキシノニル基(各異性体)、ノニルオキシデシル基(各異性体)、ノニルオキシウンデシル基(各異性体)、デシルオキシメチル基(各異性体)、デシルオキシエチル基(各異性体)、デシルオキシプロピル基(各異性体)、デシルオキシブチル基(各異性体)、デシルオキシペンチル基(各異性体)、デシルオキシヘキシル基(各異性体)、デシルオキシヘプチル基(各異性体)、デシルオキシオクチル基(各異性体)、デシルオキシノニル基(各異性体)、デシルオキシデシル基(各異性体)、ウンデシルオキシメチル基、ウンデシルオキシエチル基(各異性体)、ウンデシルオキシプロピル基(各異性体)、ウンデシルオキシブチル基(各異性体)、ウンデシルオキシペンチル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ウンデシルオキシオクチル基(各異性体)、ウンデシルオキシノニル基(各異性体)、ドデシルオキシメチル基、ドデシルオキシエチル基(各異性体)、ドデシルオキシプロピル基(各異性体)、ドデシルオキシブチル基(各異性体)、ドデシルオキシペンチル基(各異性体)、ドデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ドデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ドデシルデシルオキシオクチル基(各異性体)、トリデシルオキシメチル基(各異性体)、トリデシルオキシエチル基(各異性体)、トリデシルオキシプロピル基(各異性体)、トリデシルオキシブチル基(各異性体)、トリデシルオキシペンチル基(各異性体)、トリデシルオキシヘキシル基(各異性体)、トリデシルオキシヘプチル基(各異性体)、テトラデシルオキシメチル基(各異性体)、テトラデシルオキシエチル基(各異性体)、テトラデシルオキシプロピル基(各異性体)、テトラデシルオキシブチル基(各異性体)、テトラデシルオキシペンチル基(各異性体)、テトラデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンタデシルオキシメチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシエチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシプロピル基(各異性体)、ペンタデシルオキシブチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシメチル基、ヘキサデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシブチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシプロピル基(各異性体)、オクタデシルオキシメチル基(各異性体)、オクタデシルオキシエチル基(各異性体)等のアルコキシアルキル基を例示することができる。これらの中でも、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数であるアルキル基である。このような炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル(各異性体)、炭酸ジブチル(各異性体)、炭酸ジペンチル(各異性体)、炭酸ジヘキシル(各異性体)、炭酸ジヘプチル(各異性体)、炭酸ジオクチル(各異性体)が例示される。中でも、アルキル基を構成する炭素原子の数が4〜6の整数から選ばれる数である炭酸ジアルキルが好ましく使用される。
アミン化合物としては、下記式(21)で表されるアミン化合物が好ましく使用される。
Figure 0005591289
(式中、R3は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基および炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれる1つの基であって、nに等しい原子価を有する基を表し、
nは、1〜10の整数である。)
上記式(21)において、好ましくは、nは1〜3であり、さらに好ましくは、nが2であるポリアミン化合物が使用される。
このようなポリアミン化合物の例としては、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(各異性体)、シクロヘキサンジアミン(各異性体)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(各異性体)等の脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン(各異性体)、トルエンジアミン(各異性体)4,4’−メチレンジアニリン等の芳香族ジアミンを挙げることができる。中でもヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(各異性体)、シクロヘキサンジアミン(各異性体)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(各異性体)等の脂肪族ジアミンが好ましく使用され、中でも、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが更に好ましく使用される。
反応条件は,反応させる化合物によって異なるが,該アミン化合物のアミノ基に対して該炭酸エステルを化学量論比で、1.1〜1000倍の範囲、反応速度を高め、反応を早期に完結させるためには、炭酸エステルはアミン化合物のアミノ基に対して過剰量が好ましいが、反応器の大きさを考慮すれば、好ましくは2〜100倍の範囲、さらに好ましくは、2.5〜30倍の範囲である。反応温度は、通常、常温(20℃)〜300℃の範囲であり、反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温では好ましくない反応も起こる場合があるので、好ましくは50℃〜150℃の範囲である。反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常20〜1×106 Paの範囲で行われる。反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.1〜5時間である。また、反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによってカルバミン酸アルキルが所望量生成していることを確認して反応を終了することもできる。本実施の形態において、必要に応じて触媒を使用することができ、例えば、スズ、鉛、銅、チタン等の有機金属化合物や無機金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコラートであって、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒等を使用することができる。本実施の形態においては、必ずしも反応溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)等のアルコール類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;フェノール、メチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ジメチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、ジブチルフェノール(各異性体)、ジペンチルフェノール(各異性体)等の芳香族ヒドロキシ化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を反応溶媒として好適に使用する。これらの溶媒は単独でも2種類以上の混合物として使用することもできる。また、アミン化合物のアミノ基に対して過剰量使用される炭酸エステルも、該反応における溶媒として好適に使用される。
当該反応を実施する際に使用する反応装置は、特に制限がなく、公知の反応器が使用できる。例えば、攪拌槽、加圧式攪拌槽、減圧式攪拌槽、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸留器など、従来公知の反応器を適宜組み合わせて使用できる。反応器の材質にも特に制限はなく、公知の材質が使用できる。例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製や、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。
カルバミン酸エステルを製造する方法として、例えば、尿素とヒドロキシ化合物とアミン化合物との反応によってカルバミン酸エステルを製造する場合は、以下の方法を例示することができる。
ヒドロキシ化合物としては、下記式(22)で表されるアルコールを使用することができる。
Figure 0005591289
(式中:
12は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基を表す。)
上記式(22)におけるR12としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基(各異性体)、メトキシプロピル基(各異性体)、メトキシブチル基(各異性体)、メトキシペンチル基(各異性体)、メトキシヘキシル基(各異性体)、メトキシヘプチル基(各異性体)、メトキシオクチル基(各異性体)、メトキシノニル基(各異性体)、メトキシデシル基(各異性体)、メトキシウンデシル基(各異性体)、メトキシドデシル基(各異性体)、メトキシトリデシル基(各異性体)、メトキシテトラデシル基(各異性体)、メトキシペンタデシル基(各異性体)、メトキシヘキサデシル基(各異性体)、メトキシヘプタデシル基(各異性体)、メトキシオクタデシル基(各異性体)、メトキシノナデシル(各異性体)、エトキシメチル基、エトキシエチル基(各異性体)、エトキシプロピル基(各異性体)、エトキシブチル基(各異性体)、エトキシペンチル基(各異性体)、エトキシヘキシル基(各異性体)、エトキシヘプチル基(各異性体)、エトキシオクチル基(各異性体)、エトキシノニル基(各異性体)、エトキシデシル基(各異性体)、エトキシウンデシル基(各異性体)、エトキシドデシル基(各異性体)、エトキシトリデシル基(各異性体)、エトキシテトラデシル基(各異性体)、エトキシペンタデシル基(各異性体)、エトキシヘキサデシル基(各異性体)、エトキシヘプタデシル基(各異性体)、エトキシオクタデシル基(各異性体)、プロピルオキシメチル基(各異性体)、プロピルオキシエチル基(各異性体)、プロピルオキシプロピル基(各異性体)、プロピルオキシブチル基(各異性体)、プロピルオキシペンチル基(各異性体)、プロピルオキシヘキシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプチル基(各異性体)、プロピルオキシオクチル基(各異性体)、プロピルオキシノニル基(各異性体)、プロピルオキシデシル基(各異性体)、プロピルオキシウンデシル基(各異性体)、プロピルオキシドデシル基(各異性体)、プロピルオキシトリデシル基(各異性体)、プロピルオキシテトラデシル基(各異性体)、プロピルオキシペンタデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘキサデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプタデシル基(各異性体)、ブチルオキシメチル基(各異性体)、ブチルオキシエチル基(各異性体)、ブチルオキシプロピル基(各異性体)、ブチルオキシブチル基(各異性体)、ブチルオキシペンチル基(各異性体)、ブチルオキシヘキシル基(各異性体)、ブチルオキシヘプチル基(各異性体)、ブチルオキシオクチル基(各異性体)、ブチルオキシノニル基(各異性体)、ブチルオキシデシル基(各異性体)、ブチルオキシウンデシル基(各異性体)、ブチルオキシドデシル基(各異性体)、ブチルオキシトリデシル基(各異性体)、ブチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ブチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ブチルオキシヘキサデシル基(各異性体)、ペンチルオキシメチル基(各異性体)、ペンチルオキシエチル基(各異性体)、ペンチルオキシプロピル基(各異性体)、ペンチルオキシブチル基(各異性体)、ペンチルオキシペンチル基(各異性体)、ペンチルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンチルオキシヘプチル基(各異性体)、ペンチルオキシオクチル基(各異性体)、ペンチルオキシノニル基(各異性体)、ペンチルオキシデシル基(各異性体)、ペンチルオキシウンデシル基(各異性体)、ペンチルオキシドデシル基(各異性体)、ペンチルオキシトリデシル基(各異性体)、ペンチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ペンチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシメチル基、ヘキシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキシルオキシブチル基(各異性体)、ヘキシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘキシルオキシオクチル基(各異性体)、ヘキシルオキシノニル基(各異性体)、ヘキシルオキシデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシドデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシトリデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシテトラデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシメチル基(各異性体)、ヘプチルオキシエチル基(各異性体)、ヘプチルオキシプロピル基(各異性体)、ヘプチルオキシブチル基(各異性体)、ヘプチルオキシペンチル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘプチルオキシオクチル基(各異性体)、ヘプチルオキシノニル基(各異性体)、ヘプチルオキシデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシドデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシトリデシル基(各異性体)、オクチルオキシメチル基(各異性体)、オクチルオキシエチル基(各異性体)、オクチルオキシプロピル基(各異性体)、オクチルオキシブチル基(各異性体)、オクチルオキシペンチル基(各異性体)、オクチルオキシヘキシル基(各異性体)、オクチルオキシヘプチル基(各異性体)、オクチルオキシオクチル基(各異性体)、オクチルオキシノニル基(各異性体)、オクチルオキシデシル基(各異性体)、オクチルオキシウンデシル基(各異性体)、オクチルオキシドデシル基(各異性体)、ノニルオキシメチル基(各異性体)、ノニルオキシエチル基(各異性体)、ノニルオキシプロピル基(各異性体)、ノニルオキシブチル基(各異性体)、ノニルオキシペンチル基(各異性体)、ノニルオキシヘキシル基(各異性体)、ノニルオキシヘプチル基(各異性体)、ノニルオキシオクチル基(各異性体)、ノニルオキシノニル基(各異性体)、ノニルオキシデシル基(各異性体)、ノニルオキシウンデシル基(各異性体)、デシルオキシメチル基(各異性体)、デシルオキシエチル基(各異性体)、デシルオキシプロピル基(各異性体)、デシルオキシブチル基(各異性体)、デシルオキシペンチル基(各異性体)、デシルオキシヘキシル基(各異性体)、デシルオキシヘプチル基(各異性体)、デシルオキシオクチル基(各異性体)、デシルオキシノニル基(各異性体)、デシルオキシデシル基(各異性体)、ウンデシルオキシメチル基(各異性体)、ウンデシルオキシエチル基(各異性体)、ウンデシルオキシプロピル基(各異性体)、ウンデシルオキシブチル基(各異性体)、ウンデシルオキシペンチル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ウンデシルオキシオクチル基(各異性体)、ウンデシルオキシノニル基(各異性体)、ドデシルオキシメチル基(各異性体)、ドデシルオキシエチル基(各異性体)、ドデシルオキシプロピル基(各異性体)、ドデシルオキシブチル基(各異性体)、ドデシルオキシペンチル基(各異性体)、ドデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ドデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ドデシルデシルオキシオクチル基(各異性体)、トリデシルオキシメチル基(各異性体)、トリデシルオキシエチル基(各異性体)、トリデシルオキシプロピル基(各異性体)、トリデシルオキシブチル基(各異性体)、トリデシルオキシペンチル基(各異性体)、トリデシルオキシヘキシル基(各異性体)、トリデシルオキシヘプチル基(各異性体)、テトラデシルオキシメチル基(各異性体)、テトラデシルオキシエチル基(各異性体)、テトラデシルオキシプロピル基(各異性体)、テトラデシルオキシブチル基(各異性体)、テトラデシルオキシペンチル基(各異性体)、テトラデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンタデシルオキシメチル基、ペンタデシルオキシエチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシプロピル基(各異性体)、ペンタデシルオキシブチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシブチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシプロピル基(各異性体)、オクタデシルオキシメチル基、オクタデシルオキシエチル基(各異性体)等のアルコキシアルキル基を例示することができる。これらの中でも、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)等の、該基を構成する炭素原子の数が1〜20の整数より選ばれる数であるアルキル基である。
アミン化合物としては、上記したアミン化合物を使用することができる。
反応条件は、反応させる化合物によっても異なるが、ヒドロキシ化合物の量は、使用されるアミン化合物のアミノ基に対して化学量論比で1倍〜500倍の範囲である。1倍より少ない量では複雑に置換した尿素化合物が生成しやすくなるため、大過剰のヒドロキシ化合物を使用することが好ましいが、反応器の大きさを考慮すれば、好ましくは1倍〜100倍の範囲、さらに好ましくは5倍〜50倍の範囲である。尿素の量は、ポリアミン化合物のアミノ基に対して化学量論比で0.5倍〜3倍の範囲である。0.5倍より少ない量では、複雑に置換した尿素化合物が生成しやすくなるため、過剰量の尿素を使用することが好ましいが、過剰の尿素を使用した場合でも複雑に置換した尿素化合物が生成しやすくなったり未反応の尿素が残存するため、好ましくは0.8倍〜2倍の範囲である。反応温度は、150℃〜280℃の範囲が好ましい。150℃より低い温度では、ヒドロキシ化合物とアミン化合物や尿素、副生するアンモニアが強く結合するために、反応が遅かったり、反応がほとんど起こらなかったり、あるいは、複雑に置換した尿素化合物が増加したりするため好ましくない。一方、280℃よりも高い温度では、尿素が分解したり、ヒドロキシ化合物が脱水素変性したり、あるいは、生成物であるポリカルバミン酸エステルの分解や変性等が生じやすくなるため、好ましくない。この意味において、より好ましい温度は180℃〜260℃の範囲、さらに好ましくは200℃〜250℃の範囲である。
該反応は平衡反応であり、反応が原系に偏っているため、副生するアンモニアを系外に除去しながら反応をおこなうことが好ましく、その方法としては、反応蒸留法、不活性ガスによる方法、膜分離、吸着分離による方法などをおこなうことができる。例えば、該反応蒸留法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを蒸留によって気体状で分離する方法である。アンモニアの蒸留効率を上げるために、溶媒もしくはヒドロキシ化合物の沸騰下でおこなうこともできる。また、不活性ガスによる方法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを、気体状で不活性ガスに同伴させることによって反応系から分離する方法である。このような不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等を、単独で、あるいは混合して使用し、該不活性ガスを反応系中に導入する方法が好ましい。吸着分離する方法において使用される吸着剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、各種ゼオライト類、珪藻土類等の、当該反応が実施される温度条件下で使用可能な吸着剤が挙げられる。これらのアンモニアを系外に除去する方法は、単独で実施しても、複数種の方法を組み合わせて実施してもよい。
該反応において、例えば、反応速度を高める目的で、触媒を使用することができる。このような触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒、希土類元素、アンチモン、ビスマスの単体およびこれらの元素の酸化物、硫化物および塩類、ホウ素単体およびホウ素化合物、周期律表の銅族、亜鉛族、アルミニウム族、炭素族、チタン族の金属およびこれらの金属酸化物および硫化物、周期律表の炭素を除く炭素族、チタン族、バナジウム族、クロム族元素の炭化物および窒化物が好ましく用いられる。触媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、アミン化合物のアミノ基に対して化学量論比で0.0001〜100倍の範囲で使用することができる。
反応圧力は、反応系の組成、反応温度、アンモニアの除去方法、反応装置等によって異なるが、通常、0.01〜10MPaの範囲で実施されることが好ましく、工業的実施の容易性を考慮すると、0.1〜5MPaの範囲が好ましい。反応時間は、反応系の組成、反応温度、アンモニアの除去方法、反応装置、反応圧力等によって異なるが、通常、0.01〜100時間である。
当該反応において、必ずしも反応溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒、例えば、ペンタン(各異性体)、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル化合物;メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)等のアルコール類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;フェノール、メチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ジメチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、ジブチルフェノール(各異性体)、ジペンチルフェノール(各異性体)等の芳香族ヒドロキシ化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を反応溶媒として好適に使用する。更に、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン等のハロゲン化芳香族炭化水素化合物、クロロヘキサン、クロロシクロヘキサン、トリクロロフルオロエタン、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素化合物あるいはハロゲン化脂環族炭化水素化合物を例示することもできる。
当該反応を実施する際に使用する反応装置は、特に制限がなく、公知の反応器が使用できる。例えば、攪拌槽、加圧式攪拌槽、減圧式攪拌槽、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸留器など、従来公知の反応器を適宜組み合わせて使用できる。反応器の材質にも特に制限はなく、公知の材質が使用できる。例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製や、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。
以上に例示した方法に製造されたカルバミン酸エステルは、そのまま、分解反応に供されてもよいし、カルバミン酸エステルを精製したのち分解反応に供されてもよい。該反応液からカルバミン酸エステルを精製する方法としては、蒸留によって、ヒドロキシ化合物、尿素化合物、炭酸エステル等の低沸点成分を留去する方法、溶媒によって洗浄する方法、晶析による精製等の、公知の方法をおこなうことができる。また、カルバミン酸エステル製造に触媒を使用した場合には、該触媒は場合によってはそのまま熱分解反応の触媒としても使用できるし、あるいは残存させたまま熱分解反応に使用する触媒を加えてもよいし、熱分解反応に触媒を使用しなくてもよい。また、カルバミン酸エステル製造に使用した触媒を除去しても構わない。塩基性触媒を使用した場合には、熱分解反応時に該触媒に由来する反応が起こり、収率が低下する場合もあるので、そのような時には触媒を除去してから熱分解反応を実施する。触媒の除去には公知の方法が使用できる。好ましい方法としては、均一相又は不均一相で有機酸又は無機酸で処理することによって中和する方法である。かかる目的に使用される酸は、好ましくはモノー及びジカルボン酸、イオン交換樹脂形のアルキルまたはアリールスルホン酸及びリン酸である。該触媒の除去は常温から200℃の範囲で実施してよいが、生成したカルバミン酸が固化したり、変性する場合もあるので、カルバミン酸エステルを製造する工程を実施した後に、該カルバミン酸エステル製造工程の反応液から生成したカルバミン酸エステルが析出しない温度を維持したまま引き続いて実施することが好ましい。次いで、過剰量使用した原料を除去した後、(熱)分解反応に供してよい。
<炭酸誘導体>
本実施の形態における炭酸誘導体とは、カルボニル基を有する化合物を指す。本実施の形態においては、中でも、下記式(23)で表される炭酸誘導体が好ましく使用される。
Figure 0005591289
(式中:
XおよびYは、各々独立に、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、もしくは炭素数0〜20のアミノ基を表す。)
上記式(23)で表される化合物としては、炭酸エステル、カルバミン酸エステル、尿素化合物が挙げられる。
炭酸エステルとは、炭酸CO(OH)2の2原子の水素のうち、その1原子あるいは2原子を、アルキル基もしくはアリール基で置換した化合物を指し、本実施の形態においては、下記式(24)で表される化合物が好ましく使用される。
Figure 0005591289
(式中:
5およびR6は、各々独立に、炭素、酸素から選ばれる原子を含む、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数7〜20のアラルキル基を表す。)
上記式(24)におけるR5およびR6としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基(各異性体)、メトキシプロピル基(各異性体)、メトキシブチル基(各異性体)、メトキシペンチル基(各異性体)、メトキシヘキシル基(各異性体)、メトキシヘプチル基(各異性体)、メトキシオクチル基(各異性体)、メトキシノニル基(各異性体)、メトキシデシル基(各異性体)、メトキシウンデシル基(各異性体)、メトキシドデシル基(各異性体)、メトキシトリデシル基(各異性体)、メトキシテトラデシル基(各異性体)、メトキシペンタデシル基(各異性体)、メトキシヘキサデシル基(各異性体)、メトキシヘプタデシル基(各異性体)、メトキシオクタデシル基(各異性体)、メトキシノナデシル(各異性体)、エトキシメチル基、エトキシエチル基(各異性体)、エトキシプロピル基(各異性体)、エトキシブチル基(各異性体)、エトキシペンチル基(各異性体)、エトキシヘキシル基(各異性体)、エトキシヘプチル基(各異性体)、エトキシオクチル基(各異性体)、エトキシノニル基(各異性体)、エトキシデシル基(各異性体)、エトキシウンデシル基(各異性体)、エトキシドデシル基(各異性体)、エトキシトリデシル基(各異性体)、エトキシテトラデシル基(各異性体)、エトキシペンタデシル基(各異性体)、エトキシヘキサデシル基(各異性体)、エトキシヘプタデシル基(各異性体)、エトキシオクタデシル基(各異性体)、プロピルオキシメチル基(各異性体)、プロピルオキシエチル基(各異性体)、プロピルオキシプロピル基(各異性体)、プロピルオキシブチル基(各異性体)、プロピルオキシペンチル基(各異性体)、プロピルオキシヘキシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプチル基(各異性体)、プロピルオキシオクチル基(各異性体)、プロピルオキシノニル基(各異性体)、プロピルオキシデシル基(各異性体)、プロピルオキシウンデシル基(各異性体)、プロピルオキシドデシル基(各異性体)、プロピルオキシトリデシル基(各異性体)、プロピルオキシテトラデシル基(各異性体)、プロピルオキシペンタデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘキサデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプタデシル基(各異性体)、ブチルオキシメチル基(各異性体)、ブチルオキシエチル基(各異性体)、ブチルオキシプロピル基(各異性体)、ブチルオキシブチル基(各異性体)、ブチルオキシペンチル基(各異性体)、ブチルオキシヘキシル基(各異性体)、ブチルオキシヘプチル基(各異性体)、ブチルオキシオクチル基(各異性体)、ブチルオキシノニル基(各異性体)、ブチルオキシデシル基(各異性体)、ブチルオキシウンデシル基(各異性体)、ブチルオキシドデシル基(各異性体)、ブチルオキシトリデシル基(各異性体)、ブチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ブチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ブチルオキシヘキサデシル基(各異性体)、ペンチルオキシメチル基(各異性体)、ペンチルオキシエチル基(各異性体)、ペンチルオキシプロピル基(各異性体)、ペンチルオキシブチル基(各異性体)、ペンチルオキシペンチル基(各異性体)、ペンチルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンチルオキシヘプチル基(各異性体)、ペンチルオキシオクチル基(各異性体)、ペンチルオキシノニル基(各異性体)、ペンチルオキシデシル基(各異性体)、ペンチルオキシウンデシル基(各異性体)、ペンチルオキシドデシル基(各異性体)、ペンチルオキシトリデシル基(各異性体)、ペンチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ペンチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキシルオキシブチル基(各異性体)、ヘキシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘキシルオキシオクチル基(各異性体)、ヘキシルオキシノニル基(各異性体)、ヘキシルオキシデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシドデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシトリデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシテトラデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシメチル基(各異性体)、ヘプチルオキシエチル基(各異性体)、ヘプチルオキシプロピル基(各異性体)、ヘプチルオキシブチル基(各異性体)、ヘプチルオキシペンチル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘプチルオキシオクチル基(各異性体)、ヘプチルオキシノニル基(各異性体)、ヘプチルオキシデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシドデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシトリデシル基(各異性体)オクチルオキシメチル基(各異性体)、オクチルオキシエチル基(各異性体)、オクチルオキシプロピル基(各異性体)、オクチルオキシブチル基(各異性体)、オクチルオキシペンチル基(各異性体)、オクチルオキシヘキシル基(各異性体)、オクチルオキシヘプチル基(各異性体)、オクチルオキシオクチル基(各異性体)、オクチルオキシノニル基(各異性体)、オクチルオキシデシル基(各異性体)、オクチルオキシウンデシル基(各異性体)、オクチルオキシドデシル基(各異性体)、ノニルオキシメチル基(各異性体)、ノニルオキシエチル基(各異性体)、ノニルオキシプロピル基(各異性体)、ノニルオキシブチル基(各異性体)、ノニルオキシペンチル基(各異性体)、ノニルオキシヘキシル基(各異性体)、ノニルオキシヘプチル基(各異性体)、ノニルオキシオクチル基(各異性体)、ノニルオキシノニル基(各異性体)、ノニルオキシデシル基(各異性体)、ノニルオキシウンデシル基(各異性体)、デシルオキシメチル基(各異性体)、デシルオキシエチル基(各異性体)、デシルオキシプロピル基(各異性体)、デシルオキシブチル基(各異性体)、デシルオキシペンチル基(各異性体)、デシルオキシヘキシル基(各異性体)、デシルオキシヘプチル基(各異性体)、デシルオキシオクチル基(各異性体)、デシルオキシノニル基(各異性体)、デシルオキシデシル基(各異性体)、ウンデシルオキシメチル基(各異性体)、ウンデシルオキシエチル基(各異性体)、ウンデシルオキシプロピル基(各異性体)、ウンデシルオキシブチル基(各異性体)、ウンデシルオキシペンチル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ウンデシルオキシオクチル基(各異性体)、ウンデシルオキシノニル基(各異性体)、ドデシルオキシメチル基(各異性体)、ドデシルオキシエチル基(各異性体)、ドデシルオキシプロピル基(各異性体)、ドデシルオキシブチル基(各異性体)、ドデシルオキシペンチル基(各異性体)、ドデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ドデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ドデシルデシルオキシオクチル基(各異性体)、トリデシルオキシメチル基(各異性体)、トリデシルオキシエチル基(各異性体)、トリデシルオキシプロピル基(各異性体)、トリデシルオキシブチル基(各異性体)、トリデシルオキシペンチル基(各異性体)、トリデシルオキシヘキシル基(各異性体)、トリデシルオキシヘプチル基(各異性体)、テトラデシルオキシメチル基(各異性体)、テトラデシルオキシエチル基(各異性体)、テトラデシルオキシプロピル基(各異性体)、テトラデシルオキシブチル基(各異性体)、テトラデシルオキシペンチル基(各異性体)、テトラデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンタデシルオキシメチル基、ペンタデシルオキシエチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシプロピル基(各異性体)、ペンタデシルオキシブチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシブチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシメチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシプロピル基(各異性体)、オクタデシルオキシメチル基(各異性体)、オクタデシルオキシエチル基(各異性体)等のアルコキシアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基等のアリール基;メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ヘプチルフェニル基(各異性体)、オクチルフェニル基(各異性体)、ノニルフェニル基(各異性体)、デシルフェニル基(各異性体)、ウンデシルフェニル基(各異性体)、ドデシルフェニル基(各異性体)、トリデシルフェニル基(各異性体)、テトラデシルフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、メチルエチルフェニル基(各異性体)、メチルプロピルフェニル基(各異性体)、メチルブチルフェニル基(各異性体)、メチルペンチルフェニル基(各異性体)、メチルヘキシルフェニル基(各異性体)、メチルヘプチルフェニル基(各異性体)、メチルオクチルフェニル基(各異性体)、メチルノニルフェニル基(各異性体)、メチルデシルフェニル基(各異性体)、メチルウンデシルフェニル基(各異性体)、メチルドデシルフェニル基(各異性体)、メチルトリデシルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、エチルプロピルフェニル基(各異性体)、エチルブチルフェニル基(各異性体)、エチルペンチルフェニル基(各異性体)、エチルヘキシルフェニル基(各異性体)、エチルヘプチルフェニル基(各異性体)、エチルオクチルフェニル基(各異性体)、エチルノニルフェニル基(各異性体)、エチルデシルフェニル基(各異性体)、エチルウンデシルフェニル基(各異性体)、エチルドデシルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、プロピルブチルフェニル基(各異性体)、プロピルペンチルフェニル基(各異性体)、プロピルヘキシルフェニル基(各異性体)、プロピルヘプチルフェニル基(各異性体)、プロピルオクチルフェニル基(各異性体)、プロピルノニルフェニル基(各異性体)、プロピルデシルフェニル基(各異性体)、プロピルウンデシルフェニル基(各異性体)、ジブチルフェニル基(各異性体)、ブチルペンチルフェニル基(各異性体)、ブチルヘキシルフェニル基(各異性体)、ブチルヘプチルフェニル基(各異性体)、ブチルオクチルフェニル基(各異性体)、ブチルノニルフェニル基(各異性体)、ブチルデシルフェニル基(各異性体)、ジペンチルフェニル基(各異性体)、ペンチルヘキシルフェニル基(各異性体)、ペンチルヘプチルフェニル基(各異性体)、ペンチルオクチルフェニル基(各異性体)、ペンチルノニルフェニル基(各異性体)、ジヘキシルフェニル基(各異性体)、ヘキシルヘプチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルオクチルフェニル基(各異性体)、ジヘプチルフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、ジメチルエチルフェニル基(各異性体)、ジメチルプロピルフェニル基(各異性体)、ジメチルブチルフェニル基(各異性体)、ジメチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジメチルヘキシルフェニル基(各異性体)、ジメチルヘプチ
ルフェニル基(各異性体)、ジメチルオクチルフェニル基(各異性体)、ジメチルノニルフェニル基(各異性体)、ジメチルデシルフェニル基(各異性体)、ジメチルウンデシルフェニル基(各異性体)、ジメチルドデシルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、ジエチルメチルフェニル基(各異性体)、ジエチルプロピルフェニル基(各異性体)、ジエチルブチルフェニル基(各異性体)、ジエチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジエチルヘキシルフェニル基(各異性体)、ジエチルヘプチルフェニル基(各異性体)、ジエチルオクチルフェニル基(各異性体)、ジエチルノニルフェニル基(各異性体)、ジエチルデシルフェニル基(各異性体)、トリプロピルフェニル基(各異性体)、ジプロピルメチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルエチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルブチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルペンチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルヘキシルフェニル基(各異性体)、ジプロピルヘプチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルオクチルフェニル基(各異性体)、トリブチルフェニル基(各異性体)、ジブチルメチルフェニル基(各異性体)、ジブチルエチルフェニル基(各異性体)、ジブチルプロピルフェニル基(各異性体)、ジブチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジブチルヘキシルフェニル基(各異性体)等のアリール基が例示される。
中でも、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基(各異性体)、メトキシプロピル基(各異性体)、メトキシブチル基(各異性体)、メトキシペンチル基(各異性体)、メトキシヘキシル基(各異性体)、メトキシヘプチル基(各異性体)、メトキシオクチル基(各異性体)、メトキシノニル基(各異性体)、メトキシデシル基(各異性体)、メトキシウンデシル基(各異性体)、メトキシドデシル基(各異性体)、メトキシトリデシル基(各異性体)、メトキシテトラデシル基(各異性体)、メトキシペンタデシル基(各異性体)、メトキシヘキサデシル基(各異性体)、メトキシヘプタデシル基(各異性体)、メトキシオクタデシル基(各異性体)、メトキシノナデシル(各異性体)、エトキシメチル基、エトキシエチル基(各異性体)、エトキシプロピル基(各異性体)、エトキシブチル基(各異性体)、エトキシペンチル基(各異性体)、エトキシヘキシル基(各異性体)、エトキシヘプチル基(各異性体)、エトキシオクチル基(各異性体)、エトキシノニル基(各異性体)、エトキシデシル基(各異性体)、エトキシウンデシル基(各異性体)、エトキシドデシル基(各異性体)、エトキシトリデシル基(各異性体)、エトキシテトラデシル基(各異性体)、エトキシペンタデシル基(各異性体)、エトキシヘキサデシル基(各異性体)、エトキシヘプタデシル基(各異性体)、エトキシオクタデシル基(各異性体)、プロピルオキシメチル基(各異性体)、プロピルオキシエチル基(各異性体)、プロピルオキシプロピル基(各異性体)、プロピルオキシブチル基(各異性体)、プロピルオキシペンチル基(各異性体)、プロピルオキシヘキシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプチル基(各異性体)、プロピルオキシオクチル基(各異性体)、プロピルオキシノニル基(各異性体)、プロピルオキシデシル基(各異性体)、プロピルオキシウンデシル基(各異性体)、プロピルオキシドデシル基(各異性体)、プロピルオキシトリデシル基(各異性体)、プロピルオキシテトラデシル基(各異性体)、プロピルオキシペンタデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘキサデシル基(各異性体)、プロピルオキシヘプタデシル基(各異性体)、ブチルオキシメチル基(各異性体)、ブチルオキシエチル基(各異性体)、ブチルオキシプロピル基(各異性体)、ブチルオキシブチル基(各異性体)、ブチルオキシペンチル基(各異性体)、ブチルオキシヘキシル基(各異性体)、ブチルオキシヘプチル基(各異性体)、ブチルオキシオクチル基(各異性体)、ブチルオキシノニル基(各異性体)、ブチルオキシデシル基(各異性体)、ブチルオキシウンデシル基(各異性体)、ブチルオキシドデシル基(各異性体)、ブチルオキシトリデシル基(各異性体)、ブチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ブチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ブチルオキシヘキサデシル基(各異性体)、ペンチルオキシメチル基(各異性体)、ペンチルオキシエチル基(各異性体)、ペンチルオキシプロピル基(各異性体)、ペンチルオキシブチル基(各異性体)、ペンチルオキシペンチル基(各異性体)、ペンチルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンチルオキシヘプチル基(各異性体)、ペンチルオキシオクチル基(各異性体)、ペンチルオキシノニル基(各異性体)、ペンチルオキシデシル基(各異性体)、ペンチルオキシウンデシル基(各異性体)、ペンチルオキシドデシル基(各異性体)、ペンチルオキシトリデシル基(各異性体)、ペンチルオキシテトラデシル基(各異性体)、ペンチルオキシペンタデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシメチル基(各異性体)、ヘキシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキシルオキシブチル基(各異性体)、ヘキシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘキシルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘキシルオキシオクチル基(各異性体)、ヘキシルオキシノニル基(各異性体)、ヘキシルオキシデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシドデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシトリデシル基(各異性体)、ヘキシルオキシテトラデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシメチル基、ヘプチルオキシエチル基(各異性体)、ヘプチルオキシプロピル基(各異性体)、ヘプチルオキシブチル基(各異性体)、ヘプチルオキシペンチル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘキシル基(各異性体)、ヘプチルオキシヘプチル基(各異性体)、ヘプチルオキシオクチル基(各異性体)、ヘプチルオキシノニル基(各異性体)、ヘプチルオキシデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシウンデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシドデシル基(各異性体)、ヘプチルオキシトリデシル基(各異性体)、オクチルオキシメチル基(各異性体)、オクチルオキシエチル基(各異性体)、オクチルオキシプロピル基(各異性体)、オクチルオキシブチル基(各異性体)、オクチルオキシペンチル基(各異性体)、オクチルオキシヘキシル基(各異性体)、オクチルオキシヘプチル基(各異性体)、オクチルオキシオクチル基(各異性体)、オクチルオキシノニル基(各異性体)、オクチルオキシデシル基(各異性体)、オクチルオキシウンデシル基(各異性体)、オクチルオキシドデシル基(各異性体)、ノニルオキシメチル基(各異性体)、ノニルオキシエチル基(各異性体)、ノニルオキシプロピル基(各異性体)、ノニルオキシブチル基(各異性体)、ノニルオキシペンチル基(各異性体)、ノニルオキシヘキシル基(各異性体)、ノニルオキシヘプチル基(各異性体)、ノニルオキシオクチル基(各異性体)、ノニルオキシノニル基(各異性体)、ノニルオキシデシル基(各異性体)、ノニルオキシウンデシル基(各異性体)、デシルオキシメチル基(各異性体)、デシルオキシエチル基(各異性体)、デシルオキシプロピル基(各異性体)、デシルオキシブチル基(各異性体)、デシルオキシペンチル基(各異性体)、デシルオキシヘキシル基(各異性体)、デシルオキシヘプチル基(各異性体)、デシルオキシオクチル基(各異性体)、デシルオキシノニル基(各異性体)、デシルオキシデシル基(各異性体)、ウンデシルオキシメチル基(各異性体)、ウンデシルオキシエチル基(各異性体)、ウンデシルオキシプロピル基(各異性体)、ウンデシルオキシブチル基(各異性体)、ウンデシルオキシペンチル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ウンデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ウンデシルオキシオクチル基(各異性体)、ウンデシルオキシノニル基(各異性体)、ドデシルオキシメチル基(各異性体)、ドデシルオキシエチル基(各異性体)、ドデシルオキシプロピル基(各異性体)、ドデシルオキシブチル基(各異性体)、ドデシルオキシペンチル基(各異性体)、ドデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ドデシルオキシヘプチル基(各異性体)、ドデシルデシルオキシオクチル基(各異性体)、トリデシルオキシメチル基(各異性体)、トリデシルオキシエチル基(各異性体)、トリデシルオキシプロピル基(各異性体)、トリデシルオキシブチル基(各異性体)、トリデシルオキシペンチル基(各異性体)、トリデシルオキシヘキシル基(各異性体)、トリデシルオキシヘプチル基(各異性体)、テトラデシルオキシメチル基(各異性体)、テトラデシルオキシエチル基(各異性体)、テトラデシルオキシプロピル基(各異性体)、テトラデシルオキシブチル基(各異性体)、テトラデシルオキシペンチル基(各異性体)、テトラデシルオキシヘキシル基(各異性体)、ペンタデシルオキシメチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシエチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシプロピル基(各異性体)、ペンタデシルオキシブチル基(各異性体)、ペンタデシルオキシペンチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシメチル基、ヘキサデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシプロピル基(各異性体)、ヘキサデシルオキシブチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシメチル基、ヘプタデシルオキシエチル基(各異性体)、ヘプタデシルオキシプロピル基(各異性体)、オクタデシルオキシメチル基(各異性体)、オクタデシルオキシエチル基(各異性体)等のアルコキシアルキル基が好ましく、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)の、該基を構成する炭素原子の数が1〜8の整数より選ばれる数である脂肪族炭化水素基であるアルキル基が、より好ましく使用される。このような炭酸ジアルキルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル(各異性体)、炭酸ジブチル(各異性体)、炭酸ジペンチル(各異性体)、炭酸ジヘキシル(各異性体)、炭酸ジヘプチル(各異性体)、炭酸ジオクチル(各異性体)が例示される。更に好ましくは、アルキル基を構成する炭素原子の数が4〜6の整数から選ばれる数である炭酸ジアルキルが使用される。
本実施の形態における尿素化合物とは、分子中に尿素結合を少なくとも1つ有する化合物である。好ましくは、尿素結合を1つ有する化合物であり、下記式(25)で表される。
Figure 0005591289
(式中:
13、R14、R15およびR16は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基、もしくは水素原子を表し、R13とR14を構成する炭素原子の数の合計は0〜20の整数であり、R15とR16を構成する炭素原子の数の合計は0〜20の整数である。)
13、R14、R15およびR16としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)、ウンデシル基(各異性体)、ドデシル基(各異性体)、トリデシル基(各異性体)、テトラデシル基(各異性体)、ペンタデシル基(各異性体)、ヘキサデシル基(各異性体)、ヘプタデシル基(各異性体)、オクタデシル基(各異性体)、ノナデシル(各異性体)、エイコシル基(各異性体)のアルキル基である。中でも、上記式(25)において、R13、R14、R15およびR16が水素原子である、尿素が好ましく使用される。
本実施の形態にて、活性プロトンを有する化合物共存下でのカルバミン酸エステルの熱分解において、活性プロトンを有する化合物によっては、該熱分解反応の条件において、一部、熱変性によると推定される反応を受ける場合がある。本発明者らは、驚くべきことに、上記したこれらの炭酸誘導体を共存させて、カルバミン酸エステルの熱分解を実施した場合、該熱変性を生じにくくなるだけでなく、イソシアネートの収率も向上することを見出した。イソシアネートの収率が向上する機構については明らかではないが、本発明者らは、特定の炭酸誘導体を共存させることによって活性プロトンを有する化合物が熱変性を生じにくくなるために、熱変性した活性プロトンを有する化合物とカルバミン酸エステルおよび/またはイソシアネートとの反応による高沸物の生成が抑制されるためではないかと推測している。
<カルバミン酸エステルの分解反応>
本実施の形態におけるカルバミン酸エステルの分解反応について説明する。
本実施の形態における該分解反応は、熱分解反応であって、カルバミン酸エステルから、対応するイソシアネートと、ヒドロキシ化合物(カルバミン酸エステルに由来するアルコールもしくは芳香族ヒドロキシ化合物)を生成させる反応である。
該熱分解反応は、上記した活性プロトンを有する化合物存在下、または活性プロトンを有する化合物および炭酸誘導体存在下において実施される。
反応条件は、使用する化合物によって異なるが、活性プロトンを有する化合物の使用量は、カルバミン酸エステルに対する化学量論比で、1〜100倍が好ましい。上述のような副反応を抑制する点から活性プロトンを有する化合物の使用量は多い方が好ましいが、反応器の大きさ等を考慮すると、より好ましくは、2〜80倍、更に好ましくは、2〜50倍である。また、炭酸誘導体の使用量は、該活性プロトンを有する化合物に対する化学量論比で、0.00001〜0.1倍が好ましい。該活性プロトンを有する特定の化合物の中には、該熱分解反応をさせている間に一部、熱変性によると推定される反応を受ける場合があるが、上記した炭酸誘導体を共存させて、カルバミン酸エステルの熱分解を実施した場合、該熱変性を生じにくくなる効果がある。一方で、該炭酸誘導体の使用量が多い場合には、該活性プロトンを有する特定の化合物と反応してエーテルやアンモニアが発生する場合もある。より好ましくは、0.00005〜0.05倍、更に好ましくは、0.0001〜0.01倍である。上で例示した方法によってカルバミン酸エステルを製造した際に、該カルバミン酸エステルに炭酸誘導体が含有される場合は、該炭酸誘導体をそのまま使用してもよいし、新たに炭酸誘導体をカルバミン酸エステルに加えてもよい。上記した熱変性を受けやすい活性プロトンを有する特定の化合物とは、例えば分岐アルキル基で置換された芳香族ヒドロキシ化合物などで、脱アルケン反応が起こる場合があり、このような場合に該炭酸誘導体を共存させると該アルケン生成が起こりにくくなる。この理由は明らかではないが、該脱アルケン反応は系内の触媒や、反応器の構造材から微量溶出する金属イオンに由来すると推定され、該炭酸誘導体がこれら成分をトラップすることによると推定している。
分岐アルキル基以外の基で置換された芳香族ヒドロキシ化合物などでは、上述のような脱アルケン反応はみられないものの、該芳香族ヒドロキシ化合物共存下でのカルバミン酸エステルの熱分解において、生成するイソシアネートの収率が低下する場合があることから、該芳香族ヒドロキシ化合物も何らかの熱変性を受けて熱変性体を生成し、該熱変性体とカルバミン酸エステルおよび/またはイソシアネートによる副反応が生起していると推測している。このような場合においても、該炭酸誘導体を共存させると、イソシアネートの収率の改善が見られることから、分岐アルキル基で置換された芳香族ヒドロキシ化合物の場合と同様に、分岐アルキル基以外の基で置換された芳香族ヒドロキシ化合物においても、該炭酸誘導体が該芳香族ヒドロキシ化合物の熱変性を起こりにくくする効果を奏すると推定している。
特に熱変性を受けない活性プロトンを有する特定の化合物を使用する場合には、特に該炭酸誘導体を使用しなくても構わない。
反応温度は、通常、100℃〜400℃の範囲であり、反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温ではカルバミン酸エステルおよび/または生成物であるイソシアネートによって、上述したような副反応が引き起こされる場合があるので、好ましくは130℃〜300℃の範囲であり、更に好ましくは150℃〜250℃の範囲である。反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常、20〜1×106 Paの範囲で行われる。反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜100時間、好ましくは0.01〜50時間、より好ましくは0.1〜30時間である。本実施の形態において、触媒を使用することができ、該触媒はカルバミン酸アリールの重量に対して0.01〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%で使用される、該触媒としては、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸鉛、スタナスオクトエートなどの有機金属触媒、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミン類が使用に適し、中でも、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸鉛、スタナオクトエートなどの有機金属触媒が好適である。これらの化合物は単独でも二種類以上の混合物として使用してもよい。
本実施の形態においては、溶媒を使用することもでき、例えば、ペンタン(各異性体)、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル化合物;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を使用することができるが、該ヒドロキシ化合物の分離・回収の際に操作が煩雑となることから、好ましくは溶媒を使用することなく、カルバミン酸エステルの熱分解反応を実施する。
上述したように、本実施の形態における熱分解反応は、該カルバミン酸エステルから、対応するイソシアネートとヒドロキシ化合物を生成する反応であるが、該熱分解反応は平衡反応である。したがって、該熱分解反応において、効率よくイソシアネートを得るためには、該熱分解反応における生成物であるイソシアネートもしくは該ヒドロキシ化合物の、少なくとも一方の化合物を、例えば、蒸留等の方法により、該熱分解反応の系より気体成分として取り出すことが好ましい。該イソシアネートと該ヒドロキシ化合物のどちらを気体成分として取り出すかは、使用する化合物によって任意に決定することができ、例えば、該イソシアネートと該ヒドロキシ化合物の各々の標準沸点を比較して、標準沸点の低い方を気体成分として取り出せばよい。
該熱分解反応は、好ましくは連続法によっておこなわれる。連続法とは、該カルバミン酸エステルを、反応器に連続的に供給して、熱分解反応に付し、生成するイソシアネート、もしくはヒドロキシ化合物の少なくとも一方を気体成分として反応器から取り出し、該カルバミン酸エステルおよび/または活性プロトンを有する化合物を含有する溶液の一部もしくは全部を該反応器の底部から取り出す方法である。
連続法により、該カルバミン酸エステルの熱分解反応がおこなわれる場合、該カルバミン酸エステルは、好ましくは、該炭酸誘導体との混合物として、熱分解反応がおこなわれる反応器に供給される。該カルバミン酸エステルは、更に好ましくは、該炭酸誘導体と該活性プロトンを有する化合物との混合物として、熱分解反応がおこなわれる反応器に供給される。該カルバミン酸エステルは、常温(例えば25℃)において固体である場合が多い。一般的に、反応物を連続的に反応器に供給する場合は、該反応物は液体である方が好ましい。当該熱分解反応においても、該カルバミン酸エステルを連続的に反応器に供給するには、該カルバミン酸エステルは液体であることが好ましく、したがって、該カルバミン酸エステルの融点以上の温度(例えば150℃)に保持された状態で反応器に供給される場合が多い。しかしながら、該カルバミン酸エステルを、かかる温度条件下で長時間保持すると、上記したような副反応が生起して、最終的なイソシアネートの収率低下を招くことがある。
驚くべきことに、本発明者らは、該カルバミン酸エステルを、該活性プロトンを有する化合物との混合物、より好ましくは、該炭酸誘導体と該活性プロトンを有する化合物との混合物とすると、上記のような温度条件下で長時間保持された場合においても、上記したような副反応を生起しにくいことを見出した。これらの活性プロトンを有する化合物が副反応を抑制する機構については明らかではないが、本発明者らは、上述のように、活性プロトンを有する化合物については、例えば、上記式(2)で表される尿素結合を形成する反応において、カルバミン酸エステルのウレタン結合(−NHCOO−)とヒドロキシ化合物が水素結合を形成することにより、ウレタン結合同士が近接しにくい状態を形成するため、尿素結合を形成する反応を生起しにくいのではないかと推測している。
また、本実施の形態において使用される活性プロトンを有する化合物は、上述のように、カルバミン酸エステルに対する溶解性が良好であるため、カルバミン酸エステルを、カルバミン酸エステルと該活性プロトンを有する化合物との均一溶液として、該熱分解反応がおこなわれる反応器に供給することができ、操作を簡便にすることができる。
該カルバミン酸エステルが、該炭酸誘導体と該活性プロトンを有する化合物の混合物として、熱分解反応がおこなわれる反応器に供給される場合、使用する該活性プロトンを有する化合物の全量を、該カルバミン酸エステルと該炭酸誘導体と該活性プロトンを有する化合物の混合物として該反応器に供給しても、予め、使用する該活性プロトンを有する化合物の一部を該反応器に仕込んでおいて、残りを該混合物として該反応器に供給してもよい。
該熱分解反応がおこなわれる反応器及びラインの材質は、該カルバミン酸エステルや生成物であるヒドロキシ化合物、イソシアネートに悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316、SUS316Lなどが安価であり、好ましく使用できる。反応器の形式に特にも制限はなく、公知の槽状、塔状の反応器が使用できる。熱分解反応において生成するイソシアネートもしくはヒドロキシ化合物の少なくとも一方を含む低沸点混合物は、気体成分として反応器から抜き出し、未反応のカルバミン酸エステルや気体成分として抜き出されなかった化合物を含む混合液の一部もしくは全部を反応器下部から液状で抜き出すためのラインを具備しているものが好ましく使用される。このような反応器として、たとえば攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、気泡塔のいずれかを含む反応器を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。低沸点成分を素早く反応系から除去する観点から、薄膜蒸発器、塔状の反応器を用いる方法が好ましく、また生成する低沸点成分を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましい。
該反応器には、カルバミン酸エステルを供給するためのラインと、熱分解反応によって生成するイソシアネートもしくはヒドロキシ化合物の少なくとも一方の化合物を含む気体成分を抜き出すためのラインと、気体成分として取り出されなかった化合物と未反応のカルバミン酸エステルと該活性水素を有する化合物を含む混合液を抜き出すためのラインを備えていることが好ましく、イソシアネートもしくはヒドロキシ化合物の少なくとも一方の化合物を含む気体成分を抜き出すためのラインは、反応器中の気体成分を抜き出せる位置にあり、気体成分として取り出されなかった化合物と未反応のカルバミン酸エステルと該活性水素を有する化合物を含む混合液を抜き出すためのラインが下方にあることが特に好ましい。
また、不活性ガスおよび/または液体状の不活性溶媒を該反応器下方から供給するラインを別途取り付けてもよいし、反応器の底部から抜き出された、未反応のカルバミン酸エステルおよび/または該活性水素を有する化合物を含む混合液の、一部あるいは全部を再度反応器に循環させるラインを取り付けてもよい。それぞれのラインは詰まり等を考慮して、保温、冷却、加熱する設備を付加しても差し支えない。
上記製造方法で得られるイソシアネートは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の製造原料として好適に使用することができる。上記方法によって、猛毒のホスゲンを使用することなくイソシアネートを収率よく製造できるため、本発明は、産業上極めて重要である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1Hおよび13C−NMR分析サンプルの調製
サンプル溶液を約0.3g秤量し、重クロロホルム(米国、アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと内部標準物質としてテトラメチルスズ(日本国、和光純薬工業社製、和光一級)を0.05g加えて均一に混合した溶液をNMR分析サンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
2)液体クロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 LC−10ATシステム
カラム:日本国、東ソー社製 Silica−60カラム 2本直列に接続
展開溶媒:ヘキサン/テトラヒドロフラン=80/20(体積比)の混合液
溶媒流量:2mL/分
カラム温度:35℃
検出器:R.I.(屈折率計)
(1)液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.1g秤量し、テトラヒドロフラン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてビスフェノールA(日本国、和光純薬工業社製、一級)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
3)ガスクロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 GC−2010
カラム:米国、アジレントテクノロジーズ社製 DB−1
長さ30m、内径0.250mm、膜厚1.00μm
カラム温度:50℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温
200℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温
検出器:FID
(1)ガスクロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.05g秤量し、アセトン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてトルエン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
[参考例1] 炭酸ビス(3−メチルブチル)の製造
・工程(I−1):ジアルキルスズ触媒の製造
容積5000mLのナス型フラスコに、ジ−n−ブチルスズオキシド(日本国、三共有機合成社製)625g(2.7mol)および3−メチル−1−ブタノール(日本国、クラレ社製)2020g(22.7mol)を入れた。該フラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を約145℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま大気圧窒素下で約40分間加熱したところで、水を含む3−メチル−1−ブタノールの蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が74〜35kPaの状態で過剰の3−メチル−1−ブタノールを蒸留した。留分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスからあげた。該フラスコが室温(25℃)付近まで冷却されたのち、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を大気圧に戻した。該フラスコには反応液1173gが得られた。119Sn、1H、13C−NMRの分析結果から、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジ−n−ブチルスズオキシドに対して収率99%で得られたことを確認した。同様の操作を12回繰り返し、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを合計10335g得た。
・工程(I−2):炭酸ビス(3−メチルブチル)の製造
図1に示すような連続製造装置において、炭酸ビス(3−メチルブチル)を製造した。充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器102に、移送ライン4から上記で製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)ジスタンオキサンを4388g/hrで供給し、移送ライン2から蒸留塔101で精製された3−メチル−1−ブタノールを14953g/hrで供給した。該反応器内102は液温度が160℃になるようにヒーターおよびリボイラー112によって調整し、圧力が約120kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約17分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む3−メチル−1−ブタノール15037g/hrを、および、供給ライン1を経て3−メチル−1−ブタノール825g/hrを、充填物Metal Gauze CYを充填し、リボイラー111およびコンデンサー121を備えた蒸留塔101に輸送し、蒸留精製を行った。蒸留塔101の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー121によって凝縮され回収ライン3から回収された。精製された3−メチル−1−ブタノールは、蒸留塔101の下部にある移送ライン2を経て塔型反応器102に輸送した。塔型反応器102の下部からジ−n−ブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド触媒組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置103(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置103において3−メチル−1−ブタノールを留去し、コンデンサー123、移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器102に戻した。薄膜蒸発装置103の下部から移送ライン7を経てアルキルスズアルコキシド触媒組成物を輸送し、ジ−n−ブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの流量が約5130g/hrになるように調節しオートクレーブ104に供給した。オートクレーブに移送ライン9より、二酸化炭素を973g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約4時間に調整し、二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド触媒組成物との反応を行い、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む反応液を得た。該反応液を移送ライン10と調節バルブを介して除炭槽105に移送し残存二酸化炭素を除去し、移送ライン11から二酸化炭素を回収した。その後、該反応液を、移送ライン12を経て約142℃、約0.5kPaとした薄膜蒸発装置106(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に移送し、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)―ジスタンオキサンの流量が約4388g/hrになるように調節し供給して、炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分を得、一方で蒸発残渣を移送ライン13と移送ライン4を介して、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの流量が約4388g/hrになるように調節し塔型反応器102に循環した。炭酸ビス(3−メチルブチル)を含む留分はコンデンサー126および移送ライン14を経て、充填物Metal Gauze CYを充填しリボイラー117およびコンデンサー127を備えた蒸留塔107に959g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、回収ライン16から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を944g/hrで得た。移送ライン13のアルキルスズアルコキシド触媒組成物を119Sn,1H,13C−NMRによって分析したところ、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)ジスタンオキサンが含まれており、ジ−n−ブチル−ビス(3−メチルブチルオキシ)スズは含まれていなかった。上記連続運転を約240時間行った後、抜き出しライン16からアルキルスズアルコキシド触媒組成物を18g/hrで抜き出し、一方で供給ライン17から上記方法で製造した1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ビス(3−メチルブチルオキシ)ジスタンオキサンを18g/hrで供給した。
[参考例2] 炭酸ジブチルの製造
・工程(II−1):ジアルキルスズ触媒の製造
容積3000mLのナス型フラスコに、ジ−n−ブチルスズオキシド692g(2.78mol)および1−ブタノール(日本国、和光純薬工業社製)2000g(27mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバスと真空ポンプと真空コントローラーを接続したエバポレーターに取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を126℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を8時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスからあげた。反応液は透明な液になっていた。その後、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液952gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジ−n−ブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を12回繰り返し、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを合計11480g得た。
・工程(II−2):炭酸ジブチルの製造
図1に示すような連続製造装置において、炭酸エステルを製造した。充填物Mellapak 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填した、内径151mm,有効長さ5040mmの塔型反応器に供給ライン4から工程(II−1)で製造した1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサン4201g/hrで、供給ライン2から蒸留塔101で精製した1−ブタノールを24717g/hrで、塔型反応器102に供給した。該反応器内は液温度が160℃になるようにヒーターおよびリボイラー112によって調整し、圧力が約250kPa−Gになるように圧力調節バルブによって調整した。該反応器内の滞留時間は約10分であった。反応器上部から移送ライン6を経て水を含む1−ブタノール24715g/hrおよび供給ライン1を経て1−ブタノール824g/hrを、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー111およびコンデンサー121を備えた蒸留塔101に輸送し、蒸留精製を行った。蒸留塔101の上部では高濃度の水を含む留分がコンデンサー121によって凝縮され移送ライン3から回収された。蒸留塔101の下部にある移送ライン2を経て精製された1−ブタノールを輸送した。塔型反応器102の下部からジ−n−ブチルスズ−ジ−n−ブトキシドと1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含むアルキルスズアルコキシド触媒組成物を得、移送ライン5を経て薄膜蒸発装置103(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に供給した。薄膜蒸発装置103において1−ブタノールを留去し、コンデンサー123、移送ライン8および移送ライン4を経て塔型反応器102に戻した。薄膜蒸発装置103の下部から移送ライン7を経てアルキルスズアルコキシド触媒組成物を輸送し、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの活性成分の流量が約4812g/hrになるように調節しオートクレーブ104に供給した。オートクレーブに供給ライン9を介し二酸化炭素を973g/hrで供給し、オートクレーブ内圧を4MPa−Gに維持した。オートクレーブにおける温度を120℃に設定し、滞留時間を約4時間に調製し、二酸化炭素とアルキルスズアルコキシド触媒組成物との反応を行い、炭酸ジブチルを含む反応液を得た。該反応液を移送ライン10と調節バルブを介して除炭槽105に移送し残存二酸化炭素を除去し、移送ライン11から二酸化炭素を回収した。その後、該反応液を、移送ライン12を経て140℃、約1.4kPaとした薄膜蒸発装置106(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に輸送し、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの流量が約4201g/hrになるように調節し供給して炭酸ジブチルを含む留分を得、一方で蒸発残渣を移送ライン13と移送ライン4を介して、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサン流量が約4201g/hrになるように調節し塔型反応器102に循環する。炭酸ジブチルを含む留分はコンデンサー126および移送ライン14を経て、充填物Metal Gauze CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd.社製)を充填しリボイラー117およびコンデンサー127を備えた蒸留塔107に830g/hrで供給して、蒸留精製を行った後、移送ライン16から99wt%の炭酸ビス(3−メチルブチル)を814g/hr得た。移送ライン13のアルキルスズアルコキシド触媒組成物を119Sn,1H,13C−NMRによる分析を行ったところ、1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンが含まれており、ジ−n−ブチルスズ−ジ−n−ブトキシドは含まれていなかった。上記連続運転を約600時間行った後、抜き出しライン16からアルキルスズアルコキシド触媒組成物を16g/hrで、一方でフィードライン17から工程(II−1)で製造した1,1,3,3−テトラ−n−ブチル−1,3−ジ(n−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを16g/hrで供給した。
[実施例1]
・工程(1−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)2121g(10.5mol)とヘキサメチレンジアミン(米国Aldrich社製)243.6g(2.1mol)を入れ、攪拌子を入れ、ジムロート冷却器および三方コックを取り付けた。系内を窒素置換した後、4つ口フラスコを80℃に加熱したオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)に浸漬し、ナトリウムメトキシド(日本国、和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)40.5gを添加し、反応を開始した。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、ヘキサメチレンジアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。得られた溶液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(3−メチルブチル)エステルを、該溶液中に29.9wt%含有する溶液であった。該液を、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって65℃に保温したカラムに供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこなった溶液を得た。
・工程(1−2):低沸成分の留去
工程(1−1)で得られた溶液を、三方コック、冷却器、留出液受器及び温度計を備えた内容積5Lのフラスコにいれ、該フラスコ内を真空−窒素置換した。該フラスコを、約130℃に加熱したオイルバスに浸漬した。装置内を徐々に減圧しながら蒸留をおこない、最終的に、装置内を0.02kPaとした。留出物が1640g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)77.6wt%と3−メチル−1−ブタノール22.2wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを93.9wt%含有されていた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物には、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.010の炭酸ビス(3−メチルブチル)が含有されていた。
・工程(1−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(1−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール(日本国、東京化成社製)2450g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ(日本国、和光純薬工業社製、化学用)66.1gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0020の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、図2に示すような反応装置において、熱分解反応を実施した。
伝熱面積0.2m2の薄膜蒸留装置202(日本国、神鋼環境ソリューション社製)を220℃に加熱し、該薄膜蒸留装置内の圧力を約1.3kPaとした。上記で調製した溶液を、フィードタンク201に投入し、ライン21を介して、約980g/hrで該薄膜蒸留装置に供給した。薄膜蒸留装置202の底部に具備されたライン23より、液体成分を抜き出し、ライン24を介してフィードタンク201に戻した。薄膜蒸留装置203の上部に具備されたライン22より、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1−ブタノールおよび2,4−ジ−tert−アミルフェノールを含む気体成分を抜き出した。該気体成分を、蒸留塔203に導入し、3−メチル−1−ブタノールを分離し、高沸成分の一部は、蒸留塔203の底部に具備されたライン26を介し、ライン24を経由してフィードタンク201に戻した。蒸留塔203に具備されたライン27より、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,4−ジ−tert−アミルフェノールを含有する気体成分を抜き出し、蒸留塔204に導入した。該蒸留塔204において、ヘキサメチレンジイソシアネートを分離した。13時間反応をおこなったところ、ライン32より330gの溶液を回収し、該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は93.5%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例2]
・工程(2−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2158g(10.7mol)、ヘキサメチレンジアミン225.4g(1.94mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)3.7gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを、該溶液中に27.9wt%含有する溶液を得た。
・工程(2−2):低沸成分の留去
工程(2−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1707g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)80.2wt%と3−メチル−1−ブタノール19.7wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを98.2wt%含有されていた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.012の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(2−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(2−2)で得られた残留物に、2,6−ジメチルフェノールを1177g、ジラウリン酸ジブチルスズを60.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,6−ジメチルフェノールに対して化学量論比で0.0024の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、図3に示すような反応装置において、熱分解反応を実施した。
伝熱面積0.2m2の薄膜蒸留装置402(日本国、神鋼環境ソリューション社製)を220℃に加熱し、該薄膜蒸留装置内の圧力を約1.3kPaとした。上記で調製した溶液を、フィードタンク401に投入し、ライン41を介して、約980g/hrで該薄膜蒸留装置に供給した。薄膜蒸留装置402の底部に具備されたライン43より、液体成分を抜き出し、ライン44を介してフィードタンク401に戻した。薄膜蒸留装置402の上部に具備されたライン42より、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1−ブタノールおよび2,6−ジメチルフェノールを含む気体成分を抜き出した。該気体成分を、蒸留塔403に導入し、3−メチル−1−ブタノールを分離し、高沸成分の一部は、蒸留塔403の底部に具備されたライン46を介し、ライン44を経由してフィードタンク401に戻した。蒸留塔403に具備されたライン47より、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,6−ジメチルフェノールを含有する気体成分を抜き出し、蒸留塔404に導入した。該蒸留塔404において、2,6−ジメチルフェノールを分離し、ライン52より2,6−ジメチルフェノールを回収した。蒸留塔404に具備されたライン54よりヘキサメチレンジイソシアネートを含有する気体成分を抜き出し、蒸留塔405に導入した。該蒸留塔405において、ヘキサメチレンジイソシアネートを蒸留分離し、ライン57よりヘキサメチレンジイソシアネートを回収した。13時間反応をおこなったところ、ライン57より304gの溶液を回収し、該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は93.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,6−ジメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例3]
・工程(3−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1777g(10.2mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン237.0g(2.04mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)19.7gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを31.6wt%含有する溶液を得た。
・工程(3−2):低沸成分の留去
工程(3−1)で得られた溶液を、工程(3−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1354g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル78.0wt%とn−ブタノール21.9wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを96.3wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.008の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(3−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(3−2)で得られた残留物に、2,4,6−トリメチルフェノール(米国、Aldrich社製)を1919g、ジラウリン酸ジブチルスズを63.6g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4,6−トリメチルフェノールに対して化学量論比で0.0011の炭酸ジブチルを含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より314gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は91.8%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4,6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例4]
・工程(4−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2251g(11.0mol)、ヘキサメチレンジアミン244.3g(2.10mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)40.5gを使用し、イオン交換樹脂による中和処理をおこなわなかった以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを28.4wt%含有する溶液を得た。
・工程(4−2):低沸成分の留去
工程(4−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1765g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)79.2wt%と3−メチル−1−ブタノール20.8wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを93.6wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.015の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(4−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(4−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2544g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ66.0gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0029の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を17時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より312gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は88.5%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例5]
・工程(5−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2355g(11.6mol)、ヘキサメチレンジアミン225.4g(1.94mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)11.2gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを25.7wt%含有する溶液を得た。
・工程(5−2):低沸成分の留去
工程(5−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1775g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)81.0wt%と3−メチル−1−ブタノール18.9wt%を含有する溶液であった。
該フラスコ内に得られた残留物をn−ヘキサン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)5.6Lで洗浄し白色固体を濾別した。該白色固体について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを99.8wt%含有していた。また、該白色固体についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体中に残存する炭酸ビス(3−メチルブチル)は検出されなかった。
・工程(9−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(9−2)で得られた該白色固体に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2018g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ54.4gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を80℃に加熱されたフィードタンク201に150時間貯蔵したのち、反応時間を16時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より266gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は86.2%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかったが、低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンが検出された。
[実施例6]
・工程(6−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1829.5g(10.5mol)、ヘキサメチレンジアミン244.0g(2.10mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)40.5gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを34.1wt%含有する溶液を得た。
・工程(6−2):低沸成分の留去
工程(6−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1458g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル74.9wt%とn−ブタノール25.0wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを93.4wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.020の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(6−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(6−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2496g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ66.0gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を17時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より324gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は92.0%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例7]
・工程(7−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1916g(11.0mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン255.5g(2.20mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)42.4gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを34.1wt%含有する溶液を得た。
・工程(7−2):低沸成分の留去
工程(7−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1524g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル74.8wt%と1−ブタノール25.1wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを93.1wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.032の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(7−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(7−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール2331g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ68.7gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を18時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より336gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は90.9%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2,4−ジ−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例8]
・工程(8−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル(米国、Aldrich社製)1241g(13.8mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン290.5g(2.50mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)24.1gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを37.2wt%含有する溶液を得た。
・工程(8−2):低沸成分の留去
工程(8−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が949g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル83.3wt%とメタノール16.6wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを95.7wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物からは炭酸ジメチルが検出されなかった。
・工程(8−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(8−2)で得られた該残留物に、2,4,6−トリメチルフェノール1692g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ78.5g加え、炭酸ジメチルを2,4,6−トリメチルフェノールに対してモル比で0.004添加し、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を18時間とした以外は実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より384gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は91.4%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2,4,6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例9]
・工程(9−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル1355g(15.0mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン290.5g(2.50mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)24.1gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを34.7wt%含有する溶液を得た。
・工程(9−2):低沸成分の留去
工程(9−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1062g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル85.0wt%とメタノール14.9wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを95.7wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物からは炭酸ジメチルは検出されなかった。
・工程(9−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(9−2)で得られた残留物に、2−tert−ブチルフェノール(米国、Aldrih社製)を1865g、ジラウリン酸ジブチルスズを78.5g加え、炭酸ジメチルを2−tert−ブチルフェノールに対してモル比で0.002添加し、均一な溶液とした。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より396gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は94.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンは検出されなかった。
[実施例10]
・工程(10−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル1463g(16.2mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン313.7g(2.70mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)26.0gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを34.7wt%含有する溶液を得た。
・工程(10−2):低沸成分の留去
工程(10−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1146g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル85.0wt%とメタノール14.8wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルを95.6wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物からは炭酸ジメチルは検出されなかった。
・工程(10−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジメチルエステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(10−2)で得られた残留物に、2−tert−ブチルフェノールを1865g、ジラウリン酸ジブチルスズを78.5g加え、均一な溶液とした。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より388gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は85.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかったが、低沸点成分に2−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンが検出された。
[実施例11]
・工程(11−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積10Lの4つ口フラスコに、還流器、温度計、撹拌器、ガス導入管を取り付け、ヘキサメチレンジアミン304.5g(2.62mol)、尿素(日本国、和光純薬工業社製)313.2g(5.22mol)、3−メチル−1−ブタノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)4611gを入れた。該フラスコを予め155℃に加熱したオイルバス(増田理科工業社製、OBH−24)に浸漬し、反応器の底まで達したボールフィルターから窒素ガスを20L/hrで導入しながら反応をおこなった。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、ヘキサメチレンジアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。還流器上部よりアンモニアを含む溶液が留出した。
該フラスコを、温度調節器のついたオイルバス(増田理科工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(岡野製作所社製、VC−10S)を接続したロータリーエバポレーター(柴田科学社製、R−144)に取り付け、オイルバス温度を130℃として、0.02kPaで低沸成分を留去し、該フラスコ内に残留物を得た。残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを99.0wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.005の尿素を含有していた。
・工程(11−2):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(11−1)で得られた残留物に、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(日本国、和光純薬工業社製)を1787g、ジラウリン酸ジブチルスズを54.7g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0010の尿素を含有していた。該溶液を、80℃に加熱されたフィードタンク201に150時間貯蔵した以外は、実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より273gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は92.0%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンは検出されなかった。
[実施例12]
・工程(12−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2326g(11.5mol)、ヘキサメチレンジアミン267.3g(2.30mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)44.4gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを29.9wt%含有する溶液を得た。
・工程(12−2):低沸成分の留去
工程(12−1)で得られた溶液を、工程(3−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1781g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)78.2wt%と3−メチル−1−ブタノール21.2wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを92.4wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.010の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(12−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(12−2)で得られた残留物に、2−エトキシフェノール(米国、Aldrich社製)を1801g、ジラウリン酸ジブチルスズを72.3g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2−エトキシフェノールに対して化学量論比で0.0018の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より350gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は90.5%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2−エトキシフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例13]
・工程(13−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)1913.7g(9.50mol)、ヘキサメチレンジアミン255.6g(2.20mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)42.4gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを34.2wt%含有する溶液を得た。
・工程(13−2):低沸成分の留去
工程(13−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1401g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)72.5wt%と3−メチル−1−ブタノール27.3wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを93.3wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.023の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(13−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(13−2)で得られた該残留物に、2,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノール3593g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ68.7gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を17時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より332gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は89.9%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例14]
・工程(14−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2124g(10.5mol)、ヘキサメチレンジアミン244.0g(2.10mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)40.5gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを29.9wt%含有する溶液を得た。
・工程(14−2):低沸成分の留去
工程(14−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1631g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)77.6wt%と3−メチル−1−ブタノール22.4wt%を含有する溶液であった。
該フラスコ内に得られた残留物をn−ヘキサン6.3Lで洗浄し白色固体を濾別した。該白色固体について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを99.8wt%含有していた。また、該白色固体についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体中に残存する炭酸ビス(3−メチルブチル)は検出されなかった。
・工程(14−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(14−2)で得られた白色固体に、2−フェニルフェノール(米国、Aldrich社製)1762g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ65.4gを加え、さらに、2−フェニルフェノールに対してモル比で0.030の炭酸ビス(3−メチルブチル)を添加し、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を19時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より290gの溶液を回収した。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は、82.4%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2−フェニルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった
[実施例15]
・工程(15−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)2427g(12.0mol)、ヘキサメチレンジアミン232.4g(2.0mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)38.6gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを25.5wt%含有する溶液を得た。
・工程(15−2):低沸成分の留去
工程(15−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1969g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)77.6wt%と3−メチル−1−ブタノール22.4wt%を含有する溶液であった。
該フラスコ内に得られた残留物をn−ヘキサン6.3Lで洗浄し白色固体を濾別した。該白色固体について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを99.8wt%含有していた。また、該白色固体についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体中に残存する炭酸ビス(3−メチルブチル)は検出されなかった。
・工程(15−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(15−2)で得られた白色固体に、2−フェニルフェノール1762g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ65.4gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を19時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より253gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は、75.5%であった。反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。また、低沸点成分に2−フェニルフェノールの変性に由来すると想定される化合物が検出された
[実施例16]
・工程(16−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1916g(11.0mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン255.6g(2.20mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)21.2gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを31.4wt%含有する溶液を得た。
・工程(16−2):低沸成分の留去
工程(16−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1473g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル78.4wt%とn−ブタノール21.6wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを95.8wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.006の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(16−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(16−2)で得られた該残留物に、ノニルフェノール(米国、Aldrich社製)2397g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ68.7gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、ノニルフェノールに対して化学量論比で0.0012の炭酸ジブチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より282gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は76.1%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分にノニルフェノールの変性に由来すると想定されるノネンは検出されなかった。
[実施例17]
・工程(17−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1964g(11.3mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン267.3g(2.30mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)22.2gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを32.0wt%含有する溶液を得た。
・工程(17−2):低沸成分の留去
工程(17−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1506g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル77.6wt%とn−ブタノール22.2wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを96.7wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物からは、炭酸ジブチルが検出されなかった。
・工程(17−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(17−2)で得られた該残留物に、ノニルフェノール2509g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ72.0gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より264gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は68.3%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分にノニルフェノールの変性に由来すると想定されるノネンが検出された。
[実施例18]
・工程(18−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1777g(10.2mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン237.0g(2.04mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)19.7gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを27.1wt%含有する溶液を得た。
・工程(18−2):低沸成分の留去
工程(18−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1631g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル82.8wt%とn−ブタノール17.2wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを98.1wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.006の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(18−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(18−2)で得られた残留物に、フェノール(日本国、和光純薬工業社製、核酸抽出用)を1451g、ジラウリン酸ジブチルスズを60.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、フェノールに対して化学量論比で0.00075の炭酸ジブチルを含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より259gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は79.5%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分にフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例19]
・工程(19−1):3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)2080g(10.3mol)と3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(米国、Aldrich社製)318.5g(1.87mol)を入れ、攪拌子を入れ、ジムロート冷却器および三方コックを取り付けた。系内を窒素置換した後、4つ口フラスコを100℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)18.0gを添加し、反応を開始した。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。得られた溶液を、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって65℃に保温したカラムに供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこなった溶液を得た。該液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルを30.7wt%含有する溶液であった。
・工程(19−2):低沸成分の留去
工程(19−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1640g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)80.3wt%と3−メチル−1−ブタノール19.6wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルを96.4wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.001の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(19−3):3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるイソホロンジイソシアネートの製造
工程(19−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2171g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ58.6gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0020の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を13時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より378gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、イソホロンジイソシアネートを99wt%含有していた。3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は91.2%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例20]
・工程(11−1):3−((n−ブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1521g(8.7mol)を使用し、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン330.4g(1.94mol)とナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を11.2g使用した以外は、実施例19の工程(19−1)と同様の方法をおこない、3−((n−ブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(n−ブチル)エステルを37.8wt%含有する溶液を得た。
・工程(20−2):低沸成分の留去
工程(20−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1142g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル75.0wt%と1−ブタノール24.5wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、3−((n−ブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(n−ブチル)エステルを97.8wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、3−((n−ブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.007の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(20−3):3−((n−ブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(n−ブチル)エステルの熱分解によるイソホロンジイソシアネートの製造
工程(20−2)で得られた該残留物に、2,6−ジメチルフェノール1156g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ59.8gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,6−ジメチルフェノールに対して化学量論比で0.0014の炭酸ジブチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を13時間とした以外は実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より387gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、イソホロンジイソシアネートを99wt%含有していた。3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は89.8%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,6−ジメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例21]
・工程(21−1):3−(メチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル975g(10.8mol)、および、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン306.5g(1.80mol)とナトリウムメトキシド(和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)を6.9g使用し、イオン交換樹脂による中和処理をおこなわなかった以外は、実施例19の工程(19−1)と同様の方法をおこない、3−(メチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステルを39.9wt%含有する溶液を得た。
・工程(21−2):低沸成分の留去
工程(21−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が764g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル85.1wt%とメタノール14.8wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、3−(メチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステルを98.2wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物からは炭酸ジメチルは検出されなかった。
・工程(21−3):3−(メチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステルの熱分解によるイソホロンジイソシアネートの製造
工程(21−2)で得られた該残留物に、2,4,6−トリメチルフェノール1219g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ56.6gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を16時間とした以外は実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より362gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、イソホロンジイソシアネートを99wt%含有していた。3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は90.5%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4,6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例22]
・工程(22−1):3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積10Lの4つ口フラスコに、還流器、温度計、撹拌器、ガス導入管を取り付け、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン301.4g(1.77mol)、尿素212.4g(3.4mol)、3−メチル−1−ブタノール3120gを入れた。該フラスコを予め155℃に加熱したオイルバスに浸漬し、反応器の底まで達したボールフィルターから窒素ガスを20L/hrで導入しながら反応をおこなった。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。還流器上部よりアンモニアを含む溶液が留出した。
該フラスコを、温度調節器のついたオイルバスと真空ポンプと真空コントローラーを接続したロータリーエバポレーターに取り付け、オイルバス温度を130℃として、0.02kPaで低沸成分を留去し、該フラスコ内に残留物を得た。残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルを99.0wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.005の尿素を含有していた。
・工程(22−2):3−((3−メチルブチル)オキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるイソホロンジイソシアネートの製造
工程(22−1)で得られた残留物に、2−tert−ブチルフェノールを1305g、ジラウリン酸ジブチルスズを54.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2−tert−ブチルフェノールに対して化学量論比で0.0010の尿素を含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より347gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は88.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンは検出されなかった。
[実施例23]
・工程(23−1):ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの製造
内容積5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)2124g(10.5mol)と4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(米国、Aldrich社製)368.1g(1.75mol)を入れ、攪拌子を入れ、ジムロート冷却器および三方コックを取り付けた。系内を窒素置換した後、4つ口フラスコを100℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド6.8gを添加し、反応を開始した。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)が検出されなくなった時点で反応を停止した。得られた溶液を、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって65℃に保温したカラムに供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこなった溶液を得た。該液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを30.6wt%含有する溶液であった。
・工程(23−2):低沸成分の留去
工程(23−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1658g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)82.2wt%と3−メチル−1−ブタノール17.8wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを98.3wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートに対してモル比で0.012の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(23−2):ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの熱分解による4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)の製造
工程(23−1)で得られた残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノールを1305g、ジラウリン酸ジブチルスズを54.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0022の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より404gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−メチレン−ジ(シクロヘキシルイソシアネート)を99wt%含有していた。4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は88.2%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例24]
・工程(24−1):ビス(n−ブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル2090g(12.0mol)を使用し、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)420.7g(2.0mol)とナトリウムメトキシド11.6gを使用した以外は、実施例23の工程(23−1)と同様の方法をおこない、ビス(n−ブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを32.4wt%含有する溶液を得た。
・工程(24−2):低沸成分の留去
工程(24−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1683g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル82.7wt%と1−ブタノール17.2wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、ジ(n−ブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを97.6wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、ジ(n−ブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートに対してモル比で0.007の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(24−2):ジ(n−ブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの熱分解による4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)の製造
工程(24−1)で得られた残留物に、2,6−キシレノールを1215g、ジラウリン酸ジブチルスズを62.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,6−キシレノールに対して化学量論比で0.0014の炭酸ジブチルを含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より470gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−メチレン−ジ(シクロヘキシルイソシアネート)を99wt%含有していた。4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は89.6%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,6−キシレノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例25]
・工程(25−1):ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル1390g(15.4mol)を使用し、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)462.8g(2.2mol)とナトリウムメトキシド8.5gを使用し、イオン交換樹脂による中和処理をおこなわなかった以外は、実施例23の工程(23−1)と同様の方法をおこない、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを38.5wt%含有する溶液を得た。
・工程(25−2):低沸成分の留去
工程(25−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1134g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル87.6wt%とメタノール12.3wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを98.6wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートに対してモル比で0.002の炭酸ジメチルを含有していた。
・工程(25−3):ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの熱分解による4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)の製造
工程(25−2)で得られた残留物に、2,4,6−トリメチルフェノールを1487g、ジラウリン酸ジブチルスズを69.0g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4,6−トリメチルフェノールに対して化学量論比で0.00040の炭酸ジメチルを含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より487gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−メチレン−ジ(シクロヘキシルイソシアネート)を99wt%含有していた。4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は84.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4,6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例26]
・工程(26−1):ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの製造
内容積10Lの4つ口フラスコに、還流器、温度計、撹拌器、ガス導入管を取り付け、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)420.7g(2.0mol)、尿素240g(2.0mol)、3−メチル−1−ブタノール3526gを入れた。該フラスコを予め155℃に加熱したオイルバス(増田理科工業社製、OBH−24)に浸漬し、反応器の底まで達したボールフィルターから窒素ガスを20L/hrで導入しながら反応をおこなった。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)が検出されなくなった時点で反応を停止した。還流器上部よりアンモニアを含む溶液が留出した。
該フラスコを、温度調節器のついたオイルバスと真空ポンプと真空コントローラーを接続したロータリーエバポレーターに取り付け、オイルバス温度を130℃として、0.02kPaで低沸成分を留去し、該フラスコ内に残留物を得た。残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートを99.0wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートに対してモル比で0.004の尿素を含有していた。
・工程(26−2):ビス(3−メチルブチル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメートの熱分解によるイソホロンジイソシアネートの製造
工程(26−1)で得られた残留物に、2−tert−ブチルフェノールを1765g、ジラウリン酸ジブチルスズを61.9g加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2−tert−ブチルフェノールに対して化学量論比で0.00067の尿素を含有していた。該溶液を使用して、実施例2の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より452gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−メチレン−ジ(シクロヘキシルイソシアネート)を99wt%含有していた。4,4’−メチレン−ジ(シクロヘキシルアミン)に対する収率は86.1%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンは検出されなかった。
[実施例27]
・工程(27−1):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)2791g(13.8mol)と2,4−トルエンジアミン(米国、Aldrich社製)281g(2.3mol)を入れ、攪拌子を入れ、ジムロート冷却器および三方コックを取り付けた。系内を窒素置換した後、4つ口フラスコを80℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)13.3gを添加し、反応を開始した。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、2,4−トルエンジアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。得られた溶液を、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって80℃に保温したカラムに供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこなった溶液を得た。該液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを、該溶液中に25.6wt%含有する溶液であった。
・工程(27−2):低沸成分の留去
工程(27−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が2268g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)82.6wt%と3−メチル−1−ブタノール17.1wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを96.7wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.010の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(27−3):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるトルエン−2,4−ジイソシアネートの製造
工程(27−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2639g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ71.2gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0020の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を14時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より368gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、トルエン−2,4−ジイソシアネートを99wt%含有していた。2,4−トルエンジアミンに対する収率は92.1%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例28]
・工程(28−1):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1655g(9.5mol)を使用し、2,4−トルエンジアミン232g(1.9mol)とナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)3.7gを使用した以外は、実施例27の工程(27−1)と同様の方法をおこない、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを、該溶液中に32.1wt%含有する溶液を得た。
・工程(28−2):低沸成分の留去
工程(28−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1273g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル78.3wt%と1−ブタノール21.7wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを98.3wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.007の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(28−3):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるトルエン−2,4−ジイソシアネートの製造
工程(28−2)で得られた該残留物に、2,6−ジメチルフェノール1148g、および、酢酸コバルト59.4gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,6−ジメチルフェノールに対して化学量論比で0.0014の炭酸ジブチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を16時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より297gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、トルエン−2,4−ジイソシアネートを99wt%含有していた。2,4−トルエンジアミンに対する収率は90.0%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,6−ジメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例29]
・工程(29−1):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジメチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸メチル1137g(12.6mol)を使用し、2,4−トルエンジアミン256.6g(2.10mol)とナトリウムメトキシド(和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)8.1gを使用し、イオン交換樹脂による中和処理をおこなわなかった以外は、実施例27の工程(27−1)と同様の方法をおこない、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジメチルエステルを、該溶液中に35.3wt%含有する溶液を得た。
・工程(29−2):低沸成分の留去
工程(29−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が895g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル85.1wt%とメタノール14.8wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジメチルエステルを97.9wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジメチルエステルに対してモル比で0.001の炭酸ジメチルを含有していた。
・工程(29−3):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジメチルエステルの熱分解によるトルエン−2,4−ジイソシアネートの製造
工程(29−2)で得られた該残留物に、2,4,6−トリメチルフェノール1413g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ65.6gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4,6−トリメチルフェノールに対して化学量論比で0.00020の炭酸ジメチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より321gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、トルエン−2,4−ジイソシアネートを99wt%含有していた。2,4−トルエンジアミンに対する収率は88.0%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4,6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例30]
・工程(30−1):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積10Lの4つ口フラスコに、還流器、温度計、撹拌器、ガス導入管を取り付け、2,4−トルエンジアミン232.1g(1.9mol)、尿素239.4g(4.0mol)、3−メチル−1−ブタノール3349.7gを入れた。該フラスコを予め155℃に加熱したオイルバスに浸漬し、反応器の底まで達したボールフィルターから窒素ガスを20L/hrで導入しながら反応をおこなった。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、2,4−トルエンジアミンが検出されなくなった時点で反応を停止した。還流器上部よりアンモニアを含む溶液が留出した。
該フラスコを、温度調節器のついたオイルバスと真空ポンプと真空コントローラーを接続したロータリーエバポレーターに取り付け、オイルバス温度を130℃として、0.02kPaで低沸成分を留去し、該フラスコ内に残留物を得た。残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを99.0wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.003の尿素を含有していた。
・工程(30−2):トルエン−2,4−ジカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるトルエン−2,4−ジイソシアネートの製造
工程(30−1)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2613、および、ジラウリン酸ジブチルスズ58.7gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.00050の尿素を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を14時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より285gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、トルエン−2,4−ジイソシアネートを99wt%含有していた。2,4−トルエンジアミンに対する収率は86.1%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例31]
・工程(31−1):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)2184g(10.8mol)と4,4’−メチレンジアニリン(米国、Aldrich社製)357g(1.8mol)を入れ、攪拌子を入れ、ジムロート冷却器および三方コックを取り付けた。系内を窒素置換した後、4つ口フラスコを80℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)17.4gを添加し、反応を開始した。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、4,4’−メチレンジアニリンが検出されなくなった時点で反応を停止した。得られた溶液を、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって80℃に保温したカラムに供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこなった溶液を得た。該液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを、該溶液中に29.7wt%含有する溶液であった。
・工程(31−2):低沸成分の留去
工程(31−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1772g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ビス(3−メチルブチル)82.3wt%と3−メチル−1−ブタノール17.7wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを96.6wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.014の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(31−3):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解による4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの製造
工程(31−2)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−アミルフェノール2086g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ56.3gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0028の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より423gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートアネートを99wt%含有していた。4,4’−メチレンジアニリンに対する収率は94.0%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[実施例32]
・工程(32−1):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1820g(10.5mol)を使用し、4,4’−メチレンジアニリン(米国、Aldrich社製)376.7g(1.9mol)とナトリウムメトキシド(和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)7.3gを使用した以外は、実施例31の工程(31−1)と同様の方法をおこない、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを、該溶液中に34.2wt%含有する溶液を得た。
・工程(32−2):低沸成分の留去
工程(32−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が1435g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル80.6wt%と1−ブタノール19.1wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを98.1wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.012の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(32−3):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解による4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの製造
工程(32−2)で得られた該残留物に、2,6−ジメチルフェノール2310g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ59.8gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,6−ジメチルフェノールに対して化学量論比で0.0012の炭酸ジブチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より430gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを99wt%含有していた。4,4’−メチレンジアニリンに対する収率は90.6%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,6−ジメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例33]
・工程(33−1):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジメチル957g(10.6mol)を使用し、4,4’−メチレンジアニリン396.5g(2.0mol)とナトリウムメトキシド(和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)3.9gを使用し、イオン交換樹脂による中和処理をおこなわなかった以外は、実施例31の工程(31−1)と同様の方法をおこない、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステルを、該溶液中に34.2wt%含有する溶液を得た。
・工程(33−2):低沸成分の留去
工程(33−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−1)と同様の方法により低沸成分の留去をおこなったところ、留出物が724g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジメチル82.4wt%とメタノール17.5wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステルを99.1wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステルに対してモル比で0.002の炭酸ジメチルを含有していた。
・工程(33−3):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジメチルエステルの熱分解による4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの製造
工程(33−2)で得られた該残留物に、2,4、6−トリメチルフェノール2714g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ63.4gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4,6−トリメチルフェノールに対して化学量論比で0.0020の炭酸ジメチルを含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より448gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを99wt%含有していた。4,4’−メチレンジアニリンに対する収率は89.7%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4、6−トリメチルフェノールの変性に由来すると想定される化合物は検出されなかった。
[実施例34]
・工程(34−1):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの製造
内容積10Lの4つ口フラスコに、還流器、温度計、撹拌器、ガス導入管を取り付け、4,4’−メチレンジアニリン376.3g(1.9mol)、尿素250.8g(4.2mol)、3−メチル−1−ブタノール3684gを入れた。該フラスコを予め155℃に加熱したオイルバスに浸漬し、反応器の底まで達したボールフィルターから窒素ガスを20L/hrで導入しながら反応をおこなった。適宜、反応液をサンプリングしてNMR分析をおこない、4,4’−メチレンジアニリンが検出されなくなった時点で反応を停止した。還流器上部よりアンモニアを含む溶液が留出した。
該フラスコを、温度調節器のついたオイルバスと真空ポンプと真空コントローラーを接続したロータリーエバポレーターに取り付け、オイルバス温度を130℃として、0.02kPaで低沸成分を留去し、該フラスコ内に残留物を得た。残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを98.4wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルに対してモル比で0.007の尿素を含有していた。
・工程(34−2):N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解による4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの製造
工程(34−1)で得られた該残留物に、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール2304g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ58.8gを加え、均一な溶液とした。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0012の尿素を含有していた。
該溶液を使用して、反応時間を15時間とした以外は実施例1の工程(2−3)と同様の方法をおこない、ライン57より419gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを99wt%含有していた。4,4’−メチレンジアニリンに対する収率は88.2%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−ブチルフェノールの変性に由来すると想定されるブテンは検出されなかった。
[実施例35]
図4に示すような反応装置において、ヘキサメチレンジイソシアネートの製造をおこなった。
・工程(35−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(3−メチルブチル)エステル製造工程
撹拌槽601(内容積10L)を80℃に加熱した。ライン62を閉じた状態で、撹拌槽601に、80℃に予熱した炭酸ビス(3−メチルブチル)をライン60より589g/hrで移送し、同時に、ヘキサメチレンジアミンと3−メチル−1−ブタノールとナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)の混合溶液(混合比:ヘキサメチレンジアミン50部/3−メチル−1−ブタノール50部/ナトリウムメトキシド4.2部)をライン61より128g/hrで移送した。5時間後、ライン63を閉じた状態でライン62を開き、水分を除去して調整した酸性スルホン酸イオン交換樹脂(Amberlyst−15(球状):ROHM&HAAS社製)を収容し、かつ外部ジャケットによって80℃に保温したイオン交換樹脂塔613に供給し、ナトリウムメトキシドの中和をおこない、ライン81を通して反応液をタンク602に移送した。該反応液からの固形分の析出を防ぐために、ライン62、ライン81は80℃に保温した。
タンク602に移送された反応液について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該反応液に含有されるN,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(3−メチルブチル)エステルは25.4wt%であった。
・工程(35−2):低沸成分留去工程
薄膜蒸留装置603(日本国、神鋼環境ソリューション社製、伝熱面積0.2m2)を150℃に加熱し、装置内の圧力を約0.02kPaとした。
タンク602に貯蔵された溶液を、ライン63より717g/hrで薄膜蒸留装置603に移送し、該溶液に含まれる低沸成分の留去をおこなった。留去された低沸成分は、ライン64より薄膜蒸留装置603から抜き出された。一方、高沸成分を、150℃に保温されたライン65より薄膜蒸留装置603から抜き出し、120℃に保温された撹拌槽604に移送した。同時に、2,4−ジ−tert−アミルフェノールをライン66より618g/hrで撹拌槽604に移送し、ジラウリン酸ジブチルスズをライン67より16.7g/hrで撹拌槽604に移送した。
撹拌槽604で調製された混合液は、ライン69を閉じた状態で、ライン68よりタンク605に移送され、該タンク605に貯蔵された。該タンク605に貯蔵された溶液について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液にはN,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(3−メチルブチル)エステルが22.2wt%含有されていた。また、ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該溶液は、2,4−ジ−tert−アミルフェノールに対して化学量論比で0.0024の炭酸ビス(3−メチルブチル)を含有していた。
・工程(35−3): N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネート製造工程
200℃に加熱し、装置内の圧力を約1.3kPaとした薄膜蒸留装置606(日本国、神鋼環境ソリューション社製、伝熱面積0.2m2)に、タンク605に貯蔵された溶液を、ライン69より818/hrで供給した。薄膜蒸留装置606の上部に具備されたライン73より、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソアミルアルコールおよび2,4−ジ−tert−アミルフェノールを含む気体成分を抜き出した。該気体成分を、蒸留塔607に導入し、イソアミルアルコールを分離し、高沸成分の一部は、蒸留塔606の底部に具備されたライン70を介し、ライン71を経由して薄膜蒸留装置606に戻した。蒸留塔607に具備されたライン77より、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,4−ジ−tert−アミルフェノールを含有する気体成分を抜き出し、蒸留塔610に導入した。該蒸留塔610において、ヘキサメチレンジイソシアネートを分離した。12時間反応をおこなったところ、ライン78より965gの溶液を回収し、該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は90.6%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に付着物は見られなかった。低沸点成分に2,4−ジ−tert−アミルフェノールの変性に由来すると想定されるペンテンは検出されなかった。
[比較例1]
・工程(A−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル2012g(11.6mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン244.0g(2.10mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)20.3gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを28.9wt%含有する溶液を得た。
・工程(A−2):低沸成分の留去
工程(A−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1527g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル81.0wt%とn−ブタノール19.1wt%を含有する溶液であった。また、該フラスコ内に得られた残留物について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを95.3wt%含有していた。また、該残留物についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該残留物中は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルに対してモル比で0.006の炭酸ジブチルを含有していた。
・工程(A−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(A−2)で得られた該残留物に、フタル酸ベンジルブチル(日本国、和光純薬工業社製、一級)2430g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ63.1gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を13時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より208gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は59.0%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に黒色の付着物が見られた。
[比較例2]
・工程(B−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ビス(3−メチルブチル)の代わりに炭酸ジブチル1986g(11.4mol)を使用し、ヘキサメチレンジアミン22.8g(1.90mol)およびナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)18.3gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを26.7wt%含有する溶液を得た。
・工程(B−2):低沸成分の留去
工程(B−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1606g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル82.8wt%とn−ブタノール17.1wt%を含有する溶液であった。
該フラスコ内に得られた残留物をn−ヘキサン6.3Lで洗浄し白色固体を濾別した。該白色固体について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを99.8wt%含有していた。また、該白色固体についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体中に残存する炭酸ジブチルは検出されなかった。
・工程(B−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(B−2)で得られた該残留物に、フタル酸ベンジルブチル(日本国、和光純薬工業社製、一級)2430g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ63.1gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を使用して、反応時間を13時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より173gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は54.4%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に黒色の付着物が見られた。
[比較例3]
・工程(C−1):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの製造
炭酸ジブチル1955g(11.2mol)、ヘキサメチレンジアミン217.3g(1.87mol)およびナトリウムメトキシド(日本国、和光純薬工業社製、28%メタノール溶液)18.0gを使用した以外は、実施例1の工程(1−1)と同様の方法をおこない、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを、該溶液中に26.7wt%含有する溶液を得た。
・工程(C−2):低沸成分の留去
工程(C−1)で得られた溶液を、工程(1−1)で得られた溶液の代わりに使用し、実施例1の工程(1−2)と同様の方法をおこなったところ、留出物が1600g得られた。ガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該留出物は、炭酸ジブチル82.8wt%とn−ブタノール17.1wt%を含有する溶液であった。
該フラスコ内に得られた残留物をn−ヘキサン5.9Lで洗浄し白色固体を濾別した。該白色固体について液体クロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体は、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルを99.8wt%含有していた。また、該白色固体についてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、該白色固体中に残存する炭酸ジブチルは検出されなかった。
・工程(C−3):N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(n−ブチル)エステルの熱分解によるヘキサメチレンジイソシアネートの製造
工程(C−2)で得られた該残留物に、フタル酸ベンジルブチル(日本国、和光純薬工業社製、一級)2430g、および、ジラウリン酸ジブチルスズ63.1gを加え、均一な溶液とした。
該溶液を80℃に加熱されたフィードタンク201に150時間貯蔵し、反応時間を13時間とした以外は実施例1の工程(1−3)と同様の方法をおこない、ライン32より159gの溶液を回収した。該溶液の1Hおよび13C−NMR分析の結果、該溶液は、ヘキサメチレンジイソシアネートを99wt%含有していた。ヘキサメチレンジアミンに対する収率は50.7%であった。また、反応後、該薄膜蒸発装置内に黒色の付着物が見られた。
本発明によるイソシアネートの製造方法は、猛毒のホスゲンを使用することなく、効率よくイソシアネートを製造することができるため、本発明の製造方法は産業上大いに有用であり商業的価値が高い。
(図1)
101,107:蒸留塔、102:塔型反応器、103,106:薄膜蒸発装置、104:オートクレーブ、105:除炭槽、111,112,117:リボイラー、121,123,126,127:コンデンサー、1,9:供給ライン、2,4,5,6,7,8,10,11,12,13,14:移送ライン、3,15:回収ライン、16:抜き出しライン、17:フィードライン
(図2)
201:フィードタンク、202:薄膜蒸留装置、203、204:蒸留塔、205、207:コンデンサー、206、208:リボイラー、21,22,23,24,25,26,27,28,29、30、31、32、33:移送ライン
(図3)
401:フィードタンク、402:薄膜蒸留装置、403、404、405:蒸留塔、406、408、410:リボイラー、407、409、411:コンデンサー、41、42、43、44、45、56、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58:移送ライン
(図4)
601,604 撹拌槽:602,605:タンク、603:薄膜蒸留装置、613:イオン交換樹脂塔、607,610:蒸留塔、608、611:コンデンサー、609、612:リボイラー、61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80、81:移送ライン

Claims (16)

  1. カルバミン酸エステルを分解反応に付してイソシアネートを製造する方法であって、
    該反応を、置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物および炭酸誘導体の存在下でおこない、
    該置換基が、水素原子以外の基であって、酸素と窒素のいずれかを含んでもよい、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、またはヒドロキシル基であり、
    該炭酸誘導体が、尿素化合物である、イソシアネートの製造方法。
  2. 該置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(1)で表される化合物である請求項1記載の製造方法。
    Figure 0005591289
    (式中:
    環Aは、置換基を有してもよい、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
    1は、水素原子以外の基であって、酸素と窒素のいずれかを含んでもよい、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、またはヒドロキシル基を表す。更にR1は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
  3. 該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(2)で表される化合物である請求項2記載の製造方法。
    Figure 0005591289
    (式中:
    環AおよびR1は前記した基であり、
    2は、酸素と窒素のいずれかを含んでもよい、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数1〜20の脂肪族アルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、もしくは水素原子、またはヒドロキシル基を表す。更にR2は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
  4. 前記式(2)において、R1とR2を構成する炭素原子の合計数が2〜20である請求項3記載の製造方法。
  5. 該芳香族ヒドロキシ化合物の環Aが、ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの構造を含有する構造である請求項2〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 該カルバミン酸エステルが、カルバミン酸脂肪族エステルである請求項1記載の製造方法。
  7. 該カルバミン酸脂肪族エステルが、ポリカルバミン酸脂肪族エステルである請求項6記載の製造方法。
  8. 該カルバミン酸脂肪族エステルが、下記式(3)で表される化合物である請求項6記載の製造方法。
    Figure 0005591289
    (式中:
    3は、酸素を含んでもよい、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれる1つの基であって、nに等しい原子価を有する基を表し、
    4は、炭素、酸素から選ばれる原子を含む炭素数1〜20の脂肪族基を表し、
    nは、1〜10の整数である。)
  9. 該カルバミン酸脂肪族エステルが、前記式(3)で表される化合物のうち、R3が、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基からなる群から選ばれる1つの基である請求項8記載の製造方法。
  10. 該炭酸誘導体が、下記式(25)で表される化合物である請求項1記載の製造方法。
    Figure 0005591289
    (式中:
    13 、R 14 、R 15 およびR 16 は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基、もしくは水素原子を表し、R 13 とR 14 を構成する炭素原子の数の合計は0〜20の整数であり、R 15 とR 16 を構成する炭素原子の数の合計は0〜20の整数である。)
  11. 該尿素化合物が、尿素である請求項1記載の製造方法。
  12. 該分解反応が、熱分解反応である請求項1記載の製造方法。
  13. 該カルバミン酸エステルが、該置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物との混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される請求項1記載の製造方法。
  14. 該カルバミン酸エステルが、炭酸誘導体との混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される請求項1記載の製造方法。
  15. 該カルバミン酸エステルが、該炭酸誘導体と該置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物の混合物として、分解反応がおこなわれる反応器に供される請求項14記載の製造方法。
  16. 該分解反応によって生成する低沸点成分を、気体成分として該反応器から取り出し、該カルバミン酸エステルおよび/または該置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物を含有する溶液の一部もしくは全部を、該反応器の底部から取り出す請求項1315のいずれか一項に記載の製造方法。
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