JP2004262835A - 芳香族イソシアネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、工業的規模で実施可能であり、先行技術の製造法における欠点のない簡単且つ経済的な方法によって、ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応により、芳香族ウレタンを合成し、引き続き熱分解反応を行うことで、芳香族イソシアネートを得ることである。
【課題手段】高収率、高選択率でウレタン化合物を合成する方法において、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとを、ルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成することである。
【効果】芳香族アミンとジアリールカーボネートから高い反応収率で効率的に芳香族イソシアネート化合物を製造する方法を提供できる。
【選択図】なし
【課題手段】高収率、高選択率でウレタン化合物を合成する方法において、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとを、ルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成することである。
【効果】芳香族アミンとジアリールカーボネートから高い反応収率で効率的に芳香族イソシアネート化合物を製造する方法を提供できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、芳香族イソシアネートの製造法に関する。更に詳しくは、ジアリールカーボネートおよび式(I−III) で表される芳香族アミンを、ルイス酸触媒存在下で反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する方法に関する。
従来、イソシアネートは第一級アミンとホスゲンの反応により製造されているが、この方法は猛毒性のホスゲンを使用すること、腐食性の塩化水素ガスが副生することなどの欠点を有しており、ホスゲンを使用しないイソシアネートの工業的製法の確立が強く求められている。
芳香族ウレタン化合物は、熱分解反応により芳香族イソシアネートとヒドロキシ化合物に分解されることが公知であり、ホスゲンを使用しないルートで芳香族ウレタン化合物を合成し、引き続き熱分解反応を行うことで、実質的にホスゲンを使用しない芳香族イソシアネート合成ルートが実現される。
特に、工業的に重要な芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)等であり、これら芳香族イソシアネートの製造原料として、4,4’−メチレンジフェニルジウレタンおよび2,4−トルエンジウレタン等が挙げられる。
芳香族ウレタン化合物の製造方法として、適当な触媒の存在下で、下記のスキームにしたがって、有機炭酸エステルで芳香族アミンをウレタン化する方法が公知である。
【0001】
R−NH2 + (R’O)2CO → R−NHCOOR’+ R’OH
例えば、特開昭57−188558号公報には、有機炭酸エステルと芳香族モノまたはジアミンの反応において、亜鉛やスズ化合物を触媒として使用するモノまたはジウレタン化合物の製造法が開示されているが、当該公報は実質的にジアルキルカーボネートと芳香族アミンの反応に関するものであり、ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応に関しては記述されていない。また、この製造法によるジアルキルカーボネートと芳香族アミンの反応によるウレタン化合物の収率は、モノウレタン化合物に関して約92%に達するものの、ジイソシアネートの原料として重要なジウレタン化合物に関しては最高で58%程度に止まる。
特開平10−316645号公報には、ジアリールカーボネートとアミンをプロトン酸の存在下で反応させるジウレタン化合物の製造法が開示されているが、工業的に実施するにはジウレタン化合物の収率が未だ十分とは言えず、且つ副反応を抑制するために低温で反応を行う必要があり、反応時間が長くなるという欠点を有する。
特開昭52−136147号公報には、ジアリールカーボネートと芳香族ポリアミンを2−ヒドロキシピリジン等の複素環第3級アミンの存在下に反応させる方法が記載されている。この方法は、高価な触媒が反応基質に対して等モル以上必要である上、反応速度が低いという問題を抱えている。
特公昭51−33095号公報には、ルイス酸触媒の存在下において有機炭酸エステルをアミンと反応させるウレタン化合物の製造法が開示されている。しかしこれらの条件下では、目的とするウレタン化合物の収率は約20%であり、工業的に実施するには十分とは言えない。
また、ウレタン化合物の熱分解反応でイソシアネートを合成する方法としては、特開平6−172292号公報にジメチルカーボネートをアルカリ触媒の存在下ジアミンと反応させてウレタン化合物を合成し、引き続き熱分解することでジイソシアネートを製造する方法が記載されている。この方法では、ジアミンとジメチルカーボネートの反応で使用するアルカリ触媒が、後段のウレタン化合物の熱分解反応においては重合触媒として作用するために、アルカリ触媒の除去の除去が必要である。アルカリ触媒の除去にはウレタン化合物をりん酸で処理した後に水で洗浄する方法(特開平6−172292号公報、特開平6−166670号公報)、酸型陽イオン交換樹脂を使用する方法(特開平2−67261号公報)が提案されているが、工程として非常に複雑化する上に、排水へのウレタン化合物のロスが大きく、特開平6−145133号公報に記載されているように、排水からのウレタン化合物の回収工程も必要となる。
ウレタン化合物の熱分解反応における副反応である重合反応を抑制するために、特開昭51−13745号公報、特開昭51−19721号公報及び特開昭51−29445号公報には、炭化水素、エーテル、エステル、ケトンなどの不活性溶媒を使用した熱分解法が開示されている。熱分解反応において溶媒を使用することで重合反応は大幅に抑制できるが、工程内に存在しない熱分解反応専用の溶媒を使用すること自体、コスト的には不利であり、また、溶媒中に蓄積してくる重合物を分離して反応系外に排出する工程が必要なため、設備が複雑化する。
【0002】
【特許文献1】
特開平10−316645号公報
【0003】
【特許文献2】
特開2000−344730号公報
【0004】
【特許文献3】
特開平11−5773号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業的規模で実施可能であり、先行技術の製造法における欠点のない簡単且つ経済的な方法によって、ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応により、芳香族ウレタンを合成し、引き続き熱分解反応を行うことで、芳香族イソシアネートを得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高収率、高選択率でウレタン化合物を合成する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとを、ルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成することにより、その目的が容易に達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(a)ジアリールカーボネートを、式(I)−(III)
(式中、Rは水素、ハロゲン、または炭素数8までのアルキル基であり、Aは炭素数1〜6の2価の炭化水素基であり、nは0または1の値を有し、xは1〜6の値を有する)を有する芳香族アミンと、ルイス酸触媒の存在下において温度140〜230℃で反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解する芳香族イソシアネートの合成方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】
式(I)−(III) を有する芳香族アミンの例としては、4,4’−メチレンジアニリン、2,4’−メチレンジアニリンまたはこれら2種類の異性体の混合物、2,4−ジアミノトルエン(TDA)、2,6−ジアミノトルエンまたはこれら2種類の異性体の混合物、1,3−ジアミノベンゼン、1,5−ジアミノナフタレンまたは重合体状メチレンジアニリン(式(III)を有し、x=1、2、3および4である異性体の混合物)があるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法で使用することができるジアリールカーボネートとしては、同一のアリール基または異なるアリール基を有するジアリールカーボネートである。前記のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基や、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基や、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基や、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基などが挙げられる。なお、これらのアリール基はo−、m−、p−の各異性体を含み、アリール基に結合している置換基はn−、i−、t−等の各異性体を含む。
前記のジアリールカーボネートとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。無置換のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−1−ナフチルカーボネートなどが挙げられ、アルキル基で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−トリル)カーボネート、ビス(3−トリル)カーボネート、ビス(4−トリル)カーボネートなどが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(3−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,6−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(4−ブロモフェニル)カーボネートなどが挙げられる。
また、ニトロ基で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(3−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジニトロフェニル)カーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートの中では、同一のアリール基を有するカーボネートが好適で、その中でも、ジフェニルカーボネートが好適である。ジアリールカーボネートは公知の方法により製造することができる。
本発明の製造法では、芳香族アミンのアミノ基に対して過剰量のアリールカーボネートを使用することが好ましい。
本発明ではルイス酸触媒の存在下、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとの反応による芳香族ウレタン化合物の合成及び熱分解反応を行う。ルイス酸触媒としては、亜鉛、鉛、錫、チタンまたはジルコニウムの塩、または化合物、例えば塩化亜鉛(II)、酢酸亜鉛(II)、及び他のカルボン酸亜鉛(II)、酢酸鉛(II)及びその他のカルボン酸鉛、酢酸錫(II)及び他のカルボン酸錫(II)等が使用できるが、特に酢酸亜鉛の無水物または二水和物を使用するのが好ましい。触媒量は、アミン(I)−(III) 1モルあたり30〜0.1モル%、好ましくは20〜0.5モル%、でよい。
本発明の製造法では溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類などを好適に挙げることができるが、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド、スルホランなどの使用も可能である。また、反応で用いるアリールカーボネートを溶媒として過剰量使用することもできる。
芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応温度は140〜230℃の範囲である。より好ましくは180〜200℃の範囲である。芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する方法における反応温度は140〜300℃の範囲である。より好ましくは170〜250℃の範囲である。
芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応圧力は、使用するアリールカーボネート種、アリールカーボネート量、溶媒量、溶媒種、反応原料、組成や反応温度で一義的に決定される。
芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する方法における反応圧力は、任意に設定することができるが、減圧下に実施することが好ましい。より好ましくは、0.1torrから100torr(絶対圧力)の圧力範囲である。
反応時間は操作条件により異なるが、芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応時間は2〜6時間の範囲で、芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する際の反応時間は1〜2時間である。
本発明の方法におけるジアリールカーバメートと芳香族アミンとの反応には、特殊な装置は必要なく、反応装置としては通常の攪拌槽でよい。また、攪拌槽の材質も例えばステンレススチールのような一般的なものでよい。また、芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する反応は、生成物であるヒドロキシル化合物及び/もしくは芳香族イソシアネートを蒸気として分離しながら実施することが好ましい。この意味で、精留カラムやコンデンサーを備えた反応蒸留形式で熱分解反応を実施することが好ましい。
本発明の方法は、バッチ式、連続式または半連続式で行なうことができる。原料、触媒や溶媒は、反応原料に一括して仕込むことも、反応中に連続的或いは断続的に供給することもできる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
留出管を備えた100mlフラスコに2,4−トリレンジアミン(TDA)7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、160℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、フェノールを留出させながら、2時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)が0.3mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率4.1%)。
[実施例2]
反応温度を180℃にした以外は実施例1と同様の操作で反応を実施した。反応液には2,4−TDI0.9mmolが生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率12.3%)。
[実施例3]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが4.1mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率56.1%)。
[実施例4]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸鉛3水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが3.5mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率47.9%)。
[実施例5]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸錫(II)0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが3.8mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率52.0%)。
[実施例6]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−メチレンジアニリン(以後、4,4’−MDAと称す)7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以降、4,4’−MDIと称す)が4.3mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率58.9%)。
[実施例7]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−MDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸鉛3水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−MDIが4.0mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率54.7%)。
[実施例8]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−MDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸錫(II)0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−MDIが4.1mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率56.1%)。
[比較例1](低温での反応)
100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、90℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、2時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIの生成は認められなかった。
[比較例2](無触媒での反応)
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIの生成は認められなかった。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族アミンとジアリールカーボネートから簡易な反応装置で、特殊な溶媒を使用することなく、容易に芳香族イソシアネートを製造することができる。
従来、イソシアネートは第一級アミンとホスゲンの反応により製造されているが、この方法は猛毒性のホスゲンを使用すること、腐食性の塩化水素ガスが副生することなどの欠点を有しており、ホスゲンを使用しないイソシアネートの工業的製法の確立が強く求められている。
芳香族ウレタン化合物は、熱分解反応により芳香族イソシアネートとヒドロキシ化合物に分解されることが公知であり、ホスゲンを使用しないルートで芳香族ウレタン化合物を合成し、引き続き熱分解反応を行うことで、実質的にホスゲンを使用しない芳香族イソシアネート合成ルートが実現される。
特に、工業的に重要な芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)等であり、これら芳香族イソシアネートの製造原料として、4,4’−メチレンジフェニルジウレタンおよび2,4−トルエンジウレタン等が挙げられる。
芳香族ウレタン化合物の製造方法として、適当な触媒の存在下で、下記のスキームにしたがって、有機炭酸エステルで芳香族アミンをウレタン化する方法が公知である。
【0001】
R−NH2 + (R’O)2CO → R−NHCOOR’+ R’OH
例えば、特開昭57−188558号公報には、有機炭酸エステルと芳香族モノまたはジアミンの反応において、亜鉛やスズ化合物を触媒として使用するモノまたはジウレタン化合物の製造法が開示されているが、当該公報は実質的にジアルキルカーボネートと芳香族アミンの反応に関するものであり、ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応に関しては記述されていない。また、この製造法によるジアルキルカーボネートと芳香族アミンの反応によるウレタン化合物の収率は、モノウレタン化合物に関して約92%に達するものの、ジイソシアネートの原料として重要なジウレタン化合物に関しては最高で58%程度に止まる。
特開平10−316645号公報には、ジアリールカーボネートとアミンをプロトン酸の存在下で反応させるジウレタン化合物の製造法が開示されているが、工業的に実施するにはジウレタン化合物の収率が未だ十分とは言えず、且つ副反応を抑制するために低温で反応を行う必要があり、反応時間が長くなるという欠点を有する。
特開昭52−136147号公報には、ジアリールカーボネートと芳香族ポリアミンを2−ヒドロキシピリジン等の複素環第3級アミンの存在下に反応させる方法が記載されている。この方法は、高価な触媒が反応基質に対して等モル以上必要である上、反応速度が低いという問題を抱えている。
特公昭51−33095号公報には、ルイス酸触媒の存在下において有機炭酸エステルをアミンと反応させるウレタン化合物の製造法が開示されている。しかしこれらの条件下では、目的とするウレタン化合物の収率は約20%であり、工業的に実施するには十分とは言えない。
また、ウレタン化合物の熱分解反応でイソシアネートを合成する方法としては、特開平6−172292号公報にジメチルカーボネートをアルカリ触媒の存在下ジアミンと反応させてウレタン化合物を合成し、引き続き熱分解することでジイソシアネートを製造する方法が記載されている。この方法では、ジアミンとジメチルカーボネートの反応で使用するアルカリ触媒が、後段のウレタン化合物の熱分解反応においては重合触媒として作用するために、アルカリ触媒の除去の除去が必要である。アルカリ触媒の除去にはウレタン化合物をりん酸で処理した後に水で洗浄する方法(特開平6−172292号公報、特開平6−166670号公報)、酸型陽イオン交換樹脂を使用する方法(特開平2−67261号公報)が提案されているが、工程として非常に複雑化する上に、排水へのウレタン化合物のロスが大きく、特開平6−145133号公報に記載されているように、排水からのウレタン化合物の回収工程も必要となる。
ウレタン化合物の熱分解反応における副反応である重合反応を抑制するために、特開昭51−13745号公報、特開昭51−19721号公報及び特開昭51−29445号公報には、炭化水素、エーテル、エステル、ケトンなどの不活性溶媒を使用した熱分解法が開示されている。熱分解反応において溶媒を使用することで重合反応は大幅に抑制できるが、工程内に存在しない熱分解反応専用の溶媒を使用すること自体、コスト的には不利であり、また、溶媒中に蓄積してくる重合物を分離して反応系外に排出する工程が必要なため、設備が複雑化する。
【0002】
【特許文献1】
特開平10−316645号公報
【0003】
【特許文献2】
特開2000−344730号公報
【0004】
【特許文献3】
特開平11−5773号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業的規模で実施可能であり、先行技術の製造法における欠点のない簡単且つ経済的な方法によって、ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応により、芳香族ウレタンを合成し、引き続き熱分解反応を行うことで、芳香族イソシアネートを得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高収率、高選択率でウレタン化合物を合成する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとを、ルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成することにより、その目的が容易に達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(a)ジアリールカーボネートを、式(I)−(III)
(式中、Rは水素、ハロゲン、または炭素数8までのアルキル基であり、Aは炭素数1〜6の2価の炭化水素基であり、nは0または1の値を有し、xは1〜6の値を有する)を有する芳香族アミンと、ルイス酸触媒の存在下において温度140〜230℃で反応させてウレタン化合物を合成し、引き続きウレタン化合物の合成で使用したジアリールカーボネート溶媒中で該ウレタン化合物を熱分解する芳香族イソシアネートの合成方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】
式(I)−(III) を有する芳香族アミンの例としては、4,4’−メチレンジアニリン、2,4’−メチレンジアニリンまたはこれら2種類の異性体の混合物、2,4−ジアミノトルエン(TDA)、2,6−ジアミノトルエンまたはこれら2種類の異性体の混合物、1,3−ジアミノベンゼン、1,5−ジアミノナフタレンまたは重合体状メチレンジアニリン(式(III)を有し、x=1、2、3および4である異性体の混合物)があるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法で使用することができるジアリールカーボネートとしては、同一のアリール基または異なるアリール基を有するジアリールカーボネートである。前記のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基や、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基や、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基や、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基などが挙げられる。なお、これらのアリール基はo−、m−、p−の各異性体を含み、アリール基に結合している置換基はn−、i−、t−等の各異性体を含む。
前記のジアリールカーボネートとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。無置換のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−1−ナフチルカーボネートなどが挙げられ、アルキル基で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−トリル)カーボネート、ビス(3−トリル)カーボネート、ビス(4−トリル)カーボネートなどが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(3−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,6−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(4−ブロモフェニル)カーボネートなどが挙げられる。
また、ニトロ基で置換されたアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(3−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジニトロフェニル)カーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートの中では、同一のアリール基を有するカーボネートが好適で、その中でも、ジフェニルカーボネートが好適である。ジアリールカーボネートは公知の方法により製造することができる。
本発明の製造法では、芳香族アミンのアミノ基に対して過剰量のアリールカーボネートを使用することが好ましい。
本発明ではルイス酸触媒の存在下、ジアリールカーボネートと芳香族アミンとの反応による芳香族ウレタン化合物の合成及び熱分解反応を行う。ルイス酸触媒としては、亜鉛、鉛、錫、チタンまたはジルコニウムの塩、または化合物、例えば塩化亜鉛(II)、酢酸亜鉛(II)、及び他のカルボン酸亜鉛(II)、酢酸鉛(II)及びその他のカルボン酸鉛、酢酸錫(II)及び他のカルボン酸錫(II)等が使用できるが、特に酢酸亜鉛の無水物または二水和物を使用するのが好ましい。触媒量は、アミン(I)−(III) 1モルあたり30〜0.1モル%、好ましくは20〜0.5モル%、でよい。
本発明の製造法では溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類などを好適に挙げることができるが、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド、スルホランなどの使用も可能である。また、反応で用いるアリールカーボネートを溶媒として過剰量使用することもできる。
芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応温度は140〜230℃の範囲である。より好ましくは180〜200℃の範囲である。芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する方法における反応温度は140〜300℃の範囲である。より好ましくは170〜250℃の範囲である。
芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応圧力は、使用するアリールカーボネート種、アリールカーボネート量、溶媒量、溶媒種、反応原料、組成や反応温度で一義的に決定される。
芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する方法における反応圧力は、任意に設定することができるが、減圧下に実施することが好ましい。より好ましくは、0.1torrから100torr(絶対圧力)の圧力範囲である。
反応時間は操作条件により異なるが、芳香族アミンとジアリールカーボネートをルイス酸触媒の存在下に反応させてウレタン化合物を合成する際の反応時間は2〜6時間の範囲で、芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する際の反応時間は1〜2時間である。
本発明の方法におけるジアリールカーバメートと芳香族アミンとの反応には、特殊な装置は必要なく、反応装置としては通常の攪拌槽でよい。また、攪拌槽の材質も例えばステンレススチールのような一般的なものでよい。また、芳香族ウレタン化合物を熱分解して芳香族イソシアネートを合成する反応は、生成物であるヒドロキシル化合物及び/もしくは芳香族イソシアネートを蒸気として分離しながら実施することが好ましい。この意味で、精留カラムやコンデンサーを備えた反応蒸留形式で熱分解反応を実施することが好ましい。
本発明の方法は、バッチ式、連続式または半連続式で行なうことができる。原料、触媒や溶媒は、反応原料に一括して仕込むことも、反応中に連続的或いは断続的に供給することもできる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
留出管を備えた100mlフラスコに2,4−トリレンジアミン(TDA)7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、160℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、フェノールを留出させながら、2時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)が0.3mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率4.1%)。
[実施例2]
反応温度を180℃にした以外は実施例1と同様の操作で反応を実施した。反応液には2,4−TDI0.9mmolが生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率12.3%)。
[実施例3]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが4.1mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率56.1%)。
[実施例4]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸鉛3水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが3.5mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率47.9%)。
[実施例5]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸錫(II)0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIが3.8mmol生成していた(2,4−TDA基準2,4−TDI収率52.0%)。
[実施例6]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−メチレンジアニリン(以後、4,4’−MDAと称す)7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以降、4,4’−MDIと称す)が4.3mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率58.9%)。
[実施例7]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−MDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸鉛3水和物0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−MDIが4.0mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率54.7%)。
[実施例8]
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに4,4’−MDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸錫(II)0.7mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、4,4’−MDIが4.1mmol生成していた(4,4’−MDA基準4,4’−MDI収率56.1%)。
[比較例1](低温での反応)
100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmol、酢酸亜鉛2水和物0.7mmolを仕込み、90℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、2時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIの生成は認められなかった。
[比較例2](無触媒での反応)
留出管、凝縮器及びコールドトラップを直列に連結した100mlフラスコに2,4−TDA7.3mmol、ジフェニルカーボネート182mmolを仕込み、200℃において4時間反応させた。引き続き、同温度で10torrまで減圧にして、発生した蒸気を留出させながら2時間反応させた。凝縮器では70℃での凝縮成分を、コールドトラップでは−60℃での凝縮成分を捕集した。70℃の凝縮成分を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2,4−TDIの生成は認められなかった。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族アミンとジアリールカーボネートから簡易な反応装置で、特殊な溶媒を使用することなく、容易に芳香族イソシアネートを製造することができる。
Claims (15)
- Aが炭素数1〜4の2価の炭化水素基である、請求項1に記載の方法。
- Rが炭素数4までのアルキル基である、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートである、請求項1に記載の方法。
- 芳香族アミンが、4,4’−メチレンジアニリン、2,4’−メチレンジアニリン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンまたは2種類の異性体の混合物、1,3−ジアミノベンゼン、2,6−ジアミノナフタレンまたはポリメリックメチレンジアニリンから選択される、請求項1に記載の方法。
- ルイス酸触媒が酢酸亜鉛の無水物または二水和物、酢酸鉛の無水物または三水和物である、請求項1に記載の方法。
- 触媒の量が、アミン(I)−(III)1モルあたり30〜0.1モル%である、請求項1に記載の方法。
- 触媒の量が、アミン(I)−(III)1モルあたり20〜0.5モル%である、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応が温度140〜230℃で行なわれる、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネートと芳香族アミンの反応が温度180〜200℃で行なわれる、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネート中におけるウレタン化合物の熱分解反応を140℃〜300℃で実施する、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネート中におけるウレタン化合物の熱分解反応を170℃〜250℃で実施する、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネート溶媒中でのウレタン化合物の熱分解反応を減圧下で実施する、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネート溶媒中でのウレタン化合物の熱分解反応を0.1torrから100torr(絶対圧力)の圧力下で実施する、請求項1に記載の方法。
- ジアリールカーボネート溶媒中でのウレタン化合物の熱分解反応を、蒸留カラムを備えた熱分解反応蒸留設備を使用して実施する、請求項1に記載の方法。
【0001】
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