JP4029225B2 - イソシアネート化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカルバミン酸エステル化合物を熱分解して対応するイソシアネート化合物を製造する方法に関するものであり、更に詳しくは該製造方法において、反応工程や精製工程等の装置内に付着して安定操業を阻害するポリマー状固形物を効率的に除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イソシアネート化合物は、極めて反応性に富む物質であり、ポリウレタンフォーム、エラストマー、塗料、接着剤、グラビアインキ、眼鏡レンズ等、広い製品分野で製造原料として用いられている。
イソシアネート化合物は、工業的にはアミン化合物とホスゲンとの反応で製造されている。しかしながら、ホスゲン法は、毒性の強いホスゲンの取り扱いや大量に副生する塩酸の処理、装置の腐食等に課題がある。またホスゲン法によって製造されたイソシアネート化合物には、通常、数百ppmの加水分解性塩素が含まれており、ポリウレタン及びポリウレア製品の耐候性、耐熱性、対黄変性等の物性に悪影響を与えることが知られている。
【0003】
近年、このような背景から、ホスゲン法に代わるイソシアネート化合物の製造法の開発が望まれている。ホスゲンを用いないイソシアネート化合物の製造方法としては、カルバミン酸エステル化合物を熱分解して対応するイソシアネート化合物と有機ヒドロキシ化合物とを得る方法が提案されている。
この方法は、(1)カルバミン酸エステル化合物を反応器内で加熱して対応するイソシアネート化合物と有機ヒドロキシ化合物とを得る反応工程及び(2)この粗製イソシアネート化合物を蒸留塔を用いて精留し高純度のイソシアネート化合物を分離回収する蒸留精製工程から構成される。また(1)の反応工程で不活性溶媒を使用する場合には、反応器内での副生物の蓄積を防ぐ為に溶媒を連続的又は間欠的に抜き出し蒸発器等を用いて副生物を取り除いた後、反応器にリサイクルする溶媒再生工程が必要となる。
【0004】
カルバミン酸エステル化合物を熱分解する方法には、気相法と液相法とがあるが、通常、液相法が採用されている。反応は可逆反応であり、その平衡は高温側程イソシアネート化合物の生成に有利となる。したがって、過酷な反応条件となるため種々の不可逆的な副反応が同時に起こり、例えばアロファネート類、尿素類、カルボジイミド類、ウレチジオン類、イソシアヌレート類等が生成する。これらの副生成物は、反応装置内にポリマー状固形物として付着し易い為装置の閉塞を招く等、安定操業を阻害する要因となっている。そこで、カルバミン酸エステル化合物の熱分解反応を促進させ、且つ副反応を抑制する方法として、不活性溶媒、触媒、安定剤等の使用が種々提案されている。
【0005】
例えば、特公昭57−45736号には、元素の周期律表IB、IIB、 IIIA、IVA、IVB、VB及びVIII族の金属原子より成る群から選ばれた1種又は2種以上の金属又はそれらの化合物を不活性溶媒中に溶解させた触媒が開示されている。特開平7−258194号には、有機スルホン酸及びその塩を触媒として用いる方法が記載されている。
安定剤を用いる方法としては、例えば特開昭57−123159号には、カルボン酸クロライド、スルホン酸エステル等のアルキル化剤が提案されている。特開平1−125359号には、亜リン酸トリエステルを安定剤として用いる方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如くカルバミン酸エステル化合物の熱分解反応を促進させ、且つ副反応を抑制するために種々の方法が提案されているが、これらの技術を適用しても副反応は完全に抑制することはできず、該反応装置内にポリマー状固形物が付着する現象は避けられない。また粗製イソシアネート化合物の蒸留精製工程及び溶媒再生工程においてもイソシアネート化合物自体が不安定なためにポリマー化が起こり、蒸留塔及び蒸発器内に固形物が徐々に付着する。
このように反応装置、蒸留塔及び蒸発器の伝熱面に付着したポリマー状固形物は、熱効率を低下させ、場合によっては装置閉塞の原因となるので、これを除去することが必要となる。しかしながら、これらの固形物は熱履歴を受けてポリマー化が進み、通常の溶媒洗浄では取り除くことが困難であるので、定期的に操業を停止し、装置を解放して機械的に除去する方法が行われている。
【0007】
カルバミン酸エステル化合物を熱分解してイソシアネート化合物を得る方法では、上記のように製造装置内に付着したポリマー状固形物を取り除くのに有効な手段がないので、定期的に操業を停止して機械的に除去しなければならず、このため操業率が低下し、またコストが嵩む原因となっている。
本発明の目的は、カルバミン酸エステル化合物の熱分解によるイソシアネート化合物の製造装置において、装置内に付着したポリマー状固形物を短時間で容易に取り除き、該装置の操業率を高め、イソシアネー化合物を経済的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、カルバミン酸エステル化合物の熱分解によりイソシアネート化合物を製造する方法における上記の如き課題について鋭意検討を重ねた結果、溶媒としてアミン化合物を用い熱時洗浄することにより、製造装置内に付着したポリマー状固形物を装置を開放せずに容易に除去することができ、該装置の操業率を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、カルバミン酸エステル化合物を熱分解して対応するイソシアネート化合物を製造する方法において、各工程の装置内に付着したポリマー状固形物をアミン化合物を用いて熱時洗浄することを特徴とするイソシアネート化合物の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明方法を具体的に使用する。カルバミン酸エステル化合物を熱分解して対応するイソシアネート化合物を製造する方法の工程として、前述の如く、(1)カルバミン酸エステル化合物を反応器内で加熱して対応するイソシアネート化合物と有機ヒドロキシ化合物とを得る反応工程、(2)この粗製イソシアネート化合物を蒸留塔を用いて精留し高純度のイソシアネート化合物を分離回収する蒸留精製工程があり、また反応工程で不活性溶媒を使用する場合には、(3)反応器内での副生物の蓄積を防ぐ為に溶媒を連続的又は間欠的に抜き出し蒸発器等を用いて副生物を取り除いた後、反応器にリサイクルする溶媒再生工程等がある。
【0010】
(1)の反応工程では、通常、反応槽、分離塔及び冷却器からなる装置が使用される。カルバミン酸エステル化合物は、無溶媒又はイソシアネート化合物に対して不活性な溶媒存在下、200〜300℃の温度に加熱し、反応で生成したイソシアネート化合物と有機ヒドロキシ化合物との蒸気は反応系から分離した後、塔頂冷却部で分縮させて別々に回収される。この反応は無触媒で進行するが、反応速度の促進及び副反応の抑制を目的として触媒及び安定剤が用いられる。
【0011】
本発明において原料として用いられるカルバミン酸エステル化合物は、次式で表される。
R1 (NHCOOR2 )n
(R1 及びR2 は、飽和又は不飽和の脂肪族基、脂環族基、芳香族基及びアラルキル基から選ばれた有機基であり、R1 及びR2 は同一でも互いに異なっていても良い。nは1〜4の整数を表す。)で示される化合物である。
このカルバミン酸エステルを熱分解することにより、R1 (NCO)n で示されるイソシアネートと、R2 OHで示される有機ヒドロキシ化合物が生成し、各々分離回収される。
【0012】
カルバミン酸エステルの具体例としては、例えば、1,4-ビス(メトキシカルボニルアミノ)ブタン、1,6-ビス(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン、1,8-ビス(メトキシカルボニルアミノ)オクタン等の脂肪族カルバミン酸エステル化合物、1,3-及び1,4-ビス(メトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1,3-及び1,4-ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン、3-メトキシカルボニルアミノメチル-3,5,5-トリメチル-1- メトキシカルボニルアミノシクロヘキサン、ビス(4-メトキシカルボニルアミノシクロヘキシル)メタン、1-メチル-2,4- ビス(メトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1-メチル-2,6- ビス(メトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン等の脂環族カルバミン酸エステル化合物、1,3-又は1,4-ビス(メトキシカルボニルアミノ)ベンゼン、1-メチル-2,4- ビス(メトキシカルボニルアミノ)ベンゼン、1-メチル-2,6- ビス(メトキシカルボニルアミノ)ベンゼン、2,4,- 又は4,4,- ビス(メトキシカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4,- ビス(メトキシカルボニルアミノ)ビフェニル、1,5-又は2,6-ビス(メトキシカルボニルアミノ)ナフタレン等の芳香族カルバミン酸エステル化合物、1,3-又は1,4-ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン、1,5-又は2,6-ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ナフタレン等のアラルキルカルバミン酸エステル化合物、及び各化合物のメトキシカルボニルアミノ置換基に代えてエトキシカルボニルアミノ置換基又はフェノキシカルボニルアミノ置換基を有するカルバミン酸エステル等化合物が挙げられる。
これらのカルバミン酸エステル化合物は単独でも2種類以上の混合物としても使用できる。
【0013】
(1)の反応工程において用いられ不活性溶媒には、通常、脂肪族、脂環族及び芳香族の置換又は非置換の炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類等である。具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、 デカン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ベンジルトルエン、ジベンジルトルエン、ピレン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ベンゼンナフタレン、ベンジルナフタレン等の芳香族炭化水素、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は単独、又は2種以上の混合物でも用いられる。
溶媒の使用量は、カルバミン酸エステル化合物に対して0.05〜20重量倍の範囲、好ましくは0.1〜10重量倍の範囲である。
【0014】
(1)の反応工程における触媒には、周期律表IB、IIA、IIB、 IIIA、 IIIB、VIA、VIB、VA、VB、及びVIII族の金属原子より成る群から選ばれた1種又は2種以上の金属又はそれらの化合物などが用いられる。金属成分としては、銅、亜鉛、アルミニウム、錫、チタニウム、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、バナジウムが好適に用いられる。触媒として使用される金属化合物としては、有機カルボン酸、スルホン酸又は無機酸の金属塩、金属アルコラート又はフェノキシレート、金属キレート等である。また有機スルホン酸化合物等も使用できる。
触媒量は、カルバミン酸エステル化合物に対して、0.0001〜10重量%の範囲、好ましくは0.001〜1重量%の範囲で用いられる。
【0015】
この反応工程に用いられる安定剤には、例えば、カルボン酸クロライド類、スルホン酸クロライド類、スルホン酸エステル類、亜リン酸トリエステル類、スルホンアミド類等である。具体例としては、アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド、p-トルエンスルホン酸メチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル、p-トルエンスルホンアミド等が挙げられる。
このような安定剤は、カルバミン酸エステル化合物に対して、0.0001〜10重量%の範囲、好ましくは0.001〜1重量%の範囲で用いられる。
【0016】
カルバミン酸エステル化合物を熱分解する反応温度は、150〜350℃の範囲、好ましくは200〜300℃の範囲である。この範囲より反応温度が低い場合には反応速度が小さい、またこの範囲より高い場合には副反応が増大するので好ましくない。反応圧力は、通常、減圧下で実施されるが、必要に応じて常圧、又は加圧下でも実施される。反応時間は、反応温度、反応圧力及び反応形式等によって異なるが、通常は0.2〜10時間の範囲である。
【0017】
(1)の反応工程においてカルバミン酸エステル化合物を熱分解する反応操作は槽型又は管型反応器を用い回分式によっても実施できるが、工業的には流通式が有利である。流通式では、例えば、外部還流型又は内部還流型の多段式蒸留塔を反応装置として用いる反応蒸留形式で実施が好ましい。例えば、撹拌機を備えた蒸留釜の反応槽に溶媒を仕込み、減圧下で加熱し沸騰状態に維持する。カルバミン酸エステル化合物は原料槽から定量ポンプ等を用いて反応槽へ連続的に供給する。カルバミン酸エステル化合物が固体の場合は、原料層で溶融状態とする必要があるが、加熱温度はカルバミン酸エステル化合物の融点付近とし、原料槽内での滞留時間を短くして変質を避けることが望ましい。触媒及び安定剤を使用する場合は、溶媒又はイソシアネート化合物に溶解させて反応槽又は多段塔の頂部へ連続的又は間欠的に供給される。
【0018】
反応槽で発生した蒸気には、例えば二官能基を有するカルバミン酸エステル化合物の場合、有機ヒドロキシ化合物、ジイソシアネート化合物、中間体のモノイソシアネート化合物、及び溶媒が含まれるが、外部還流型又は内部還流型の多段塔を経ることにより、有機ヒドロキシ化合物とジイソシアネート化合物とに富んだ蒸気に濃縮される。この蒸気は先ず有機ヒドロキシ化合物の沸点以上で且つジイソシアネート化合物の沸点以下の温度に維持された凝縮器に導入しジイソシアネート化合物を回収する。続いて、有機ヒドロキシ化合物の沸点以下の温度に維持された凝縮器に導入し有機ヒドロキシ化合物を回収する。
【0019】
(2)の蒸留精製工程では、上記の最初の凝縮器で回収された粗製イソシアネート化合物を蒸留精製することにより高純度イソシアネート化合物が分離回収される。この精製工程の蒸留操作は、通常、蒸留塔として充填塔、棚段塔等を用い、回分式又は連続式で行われる。
【0020】
(3)の溶媒再生工程では、反応工程で不活性溶媒を使用する場合に、反応器内での副生物の蓄積を防ぐ為に溶媒を連続的又は間欠的に抜き出し蒸発器等を用いて副生物を取り除いた後、反応器にリサイクルする。すなわち反応槽内には、副反応により高沸物が存在するが、その蓄積を避ける為に反応槽内の溶媒を連続的又は間欠的に抜き出し高沸物を取り除く必要がある。このため溶媒再生工程で、蒸発器又は蒸留塔を用い、反応槽からの溶媒をフラッシュ蒸発させ、高沸物は釜残として分離する。一方、イソシアネート化合物、未反応カルバミン酸エステル化合物、及び溶媒からなる蒸気は凝縮させて反応槽へ循環される。
【0021】
以上の如くカルバミン酸エステル化合物の熱分解によりイソシアネート化合物を製造する方法は、反応工程、蒸留精製工程、及び溶媒再生工程から構成されるが、カルバミン酸エステル化合物の熱分解に伴う副反応及び生成したイソシアネート化合物自体のポリマー化により各工程の装置内に固形物が付着する。
このポリマー状固形物が付着し易い箇所は、例えば、(1)の反応工程では、反応槽及び多段塔内、(2)の蒸留精製工程では、蒸留釜、リボイラー及び多段塔内、(3)の溶媒再生工程で薄膜式蒸発器を使用する場合は、蒸発面及びブレード部分等が挙げられる。また各工程で使用されているポンプ、弁、配管等の各種機器内でもポリマー状固形物が付着する。
【0022】
本発明において、製造装置内に付着したポリマー状固形物を取り除く為に用いられるアミン化合物は、脂肪族、脂環族、芳香族及びアラルキルのモノ及びポリアミン化合物である。例えば、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン、2,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物類、シクロヘキシルアミン、1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3-アミノメチル-3,5,5- トリメチル-1- アミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1-メチル-2,4- ジアミノシクロヘキサン、1-メチル-2,6-ジアミノシクロヘキサン等の脂環族アミン化合物類、アニリン、メタ及びパラトルイジン、ナフチルアミン、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、1-メチル-2,4- ジアミノベンゼン、1-メチル-2,6- ジアミノベンゼン、2,4,- 及び 4,4,-ジアミノジフェニルメタン、 4,4,-ジアミノビフェニル、1,5-及び2,6-ナフタレンジアミン等の芳香族アミン化合物類、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,5-及び2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン等のアラルキルアミン化合物類である。
【0023】
本発明に使用されるカルバミン酸エステル化合物は、通常、対応するアミン化合物の還元カルボニル化反応、酸化カルボニル化反応、又はアミン化合物と炭酸ジエステルとの反応によって製造される。従って工業的にはカルバミン酸エステル化合物の出発原料であるアミン化合物が調達し易く、好適に用いられる。
アミン化合物の使用量は装置の形状によって異なるので、一義的に限定されないが、装置に付着しているポリマー状固形物がアミン化合物に接触するに十分な量が必要である。通常、アミン化合物がポリマー状固形物を溶解するに必要な量は、ポリマー状固形物に対して0.1〜100重量倍である。
【0024】
本発明方法において装置内に付着したポリマー状固形物をアミン化合物を用いて洗浄し除去するには処理温度が極めて重要である。その作用機構は明らかでないが、装置内に付着しポリマー化が進行した固形物はある温度以上に保持されたアミン化合物に接触するとポリマー状固形物の装置表面から剥離が起こり、次いでアミン化合物と反応又はアミン化合物に溶解して均一溶液となる。このアミン化合物により熱時洗浄する温度は100以上、好ましくは150〜300℃の範囲である。この温度以下では、アミン化合物による洗浄効果は少なく、またこれ以上の温度ではアミン化合物自体の変質が起こるので好ましくない。
【0025】
本発明方法においてアミン化合物によりポリマー状固形物を熱時洗浄する実施態様を具体的に示すと、例えば反応工程及び蒸留精製工程では、反応槽及び蒸留釜にアミン化合物を仕込み、上記温度範囲で沸騰するように操作圧力を調整して全還流状態を保持する。これにより反応槽、蒸留釜、多段塔に付着したポリマー状固形物を完全に取り除くことができる。溶媒再生工程で蒸発器を用いる場合は、器内をアミン化合物で満たして上記温度範囲に加熱することにより目的を達成できる。また、ポンプ、弁、配管内に付着したポリマー状固形物は、上記温度範囲に保持されたアミン化合物を循環させることにより除去することができる。このアミン化合物による熱時洗浄時間は0.1〜5時間の範囲、通常は0.5〜2時間の範囲である。ここで得られる洗浄処理溶液は蒸留塔又は蒸発器を用いてアミン化合物と高沸物とに分離できる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0027】
実施例1
流通反応により 1,3- ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン(以後、1,3-BUCと略称する。)の熱分解実験を行った。充填塔(充填剤:ディクソンパッキン、段数:8段)、原料供給ノズル、反応器液抜き出しノズル、熱電対保護管及び熱媒循環用ジャケットを備えた内容積500mlの電磁撹拌式オークレーブを反応装置に用いた。反応装置の材質は全てステンレス製(SUSー304)とした。充填塔頂部、凝縮器、ドライアイスで冷却したコルードトラップ、真空ポンプ及び廃ガス用ベントを配管で連結した。反応器液抜き出しノズル、電磁式調節弁、受器、トラップ、真空ポンプ及び排ガス用ベントを配管で連結した。充填塔頂部の凝縮器ジャケットには60℃の温水を循環させた。外部還流比は1の条件に設定した。実験終了後、反応槽内へのポリマー状固形物付着状況を調べる為に28.335gのステンレス製(SUSー304、線径0.37φm/m 、16メッシュ)金網を設置した。
【0028】
140℃に保持した原料槽に、1,3-BUC及び安定剤としてpートルエンスルホンアミド(以後、p−TSAと略称する。)を仕込んだ。p−TSAは 1,3- BUCに対して400ppmとした。溶媒槽には、溶媒としてバーレルサーム400(主成分:ジベンジルトルエン)及び触媒としてジラウリン酸ジブチル錫を仕込んだ。1,3-BUCに対して溶媒は1重量比、触媒は50ppmとした。反応器には、p−TSA400ppm及びジラウリン酸ジブチル錫50ppmを含む溶媒300mlを仕込んだ。反応器を撹拌し、内溶液の温度を250℃、系内の圧力を20mmHgに保持しながら、原料液及び溶媒を各々の定量ポンプを用いて反応器へ連続供給した。原料液及び溶媒の供給速度は34.0g/hr及び68.0g/hrとした。
反応で生成した 1,3- ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以後、1,3-BICと略称する。)は凝縮器に接続した受器、及びメタノールはコールドトラップで各々捕集した。反応器液抜き出しラインは、圧力10mmHgに保持した。反応器滞留液量が340mlを維持するように、電磁式調節弁を用いて滞留液を受器に抜き出した。
【0029】
反応開始後、一時間毎に各受器及びコールドトラップ内に溜まった液量を測定すると共に、液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフを用いて内部標準法で各々の組成分析を行った。定常状態においてデータを解析した結果、1,3-BUC転化率99.3%において、1,3-BIC選択率は93.8%、中間体のモノイソシアネート化合物は1.32%となった。
この流通実験を24時間継続した後、原料液及び溶媒の供給を停止し、系内のイソシアネート化合物を全量留出させた。反応器滞留液は高温を維持したまま全量抜き出した。
次に反応器にアセトン300gを仕込み、全還流状態で反応器及び充填塔内を洗浄した後に、アセトンを抜き出し、反応装置内を真空乾燥させた。反応器を開放した結果、器壁はポリマー状固形物でコーテングされていた。また金網には、ポリマー状固形物が0.032g付着していた。
反応器内に金網を設置した後、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以後、1,3-BACと略称する。)300gを仕込み密閉した。反応器を撹拌しながら、内溶液温度を220℃まで昇温した後、1時間保持して内溶液を全量抜き出した。次に反応器にアセトン300gを仕込み、全還流状態で反応器及び充填塔内を洗浄した後、アセトンを抜き出し、反応装置内を真空乾燥した。反応器を開放した結果、器壁に金属面が現れ、また金網の重量を調べた結果、ポリマー状固形物は完全に除去されていた。
【0030】
実施例2
原料のカルバミン酸エステルを1,3-ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン(以後、MXDUと略称する。)とした以外は、実施例1と同様な方法で行った。反応器内には、29.952gの金網を設置した。
その結果、MXDU転化率99.4%において、メタキシリレンジイソシアネ−ト(以後、MXDIと略称する)選択率は90.2%となり、中間体のモノイソシアネート選択率2.11%となった。金網へのポリマー状固形物付着量は0.128gであった。
次に、反応器内に金網を設置した後、メタキシリレンジアミン300gを仕込み密閉し、反応器を撹拌しながら、内溶液温度を220℃まで昇温した後、1時間保持して内溶液を全量抜き出した。反応器内にアセトン300gを仕込み、全還流状態で反応器及び充填塔内を洗浄した後、全量を抜き出し、反応装置内を真空乾燥した。反応器を開放し、金網の重量を測定した結果、ポリマー状固形物は完全に除去されていた。
【0031】
実施例3
ガラス製の充填塔(蒸留釜:1000ml、充填物:SUS−304製スルーザパック、理論段数:14段)を使用し、実施例1で得た粗製 1,3- BIC800mlの回分蒸留(操作圧力:2〜5mmHg、還流比:5)を行い、純度が99.9%以上の 1,3- BICを分離回収した。また実施例2で得た粗製MXDIの回分蒸留を行い、純度が99.9%以上のMXDIを分離回収した。
同じ蒸留塔を用い、実施例1と同様な実験で得た粗製 1,3- BICおよび実施例2と同様な実験で得た粗製MXDIの精留実験を繰り返し行った結果、実験開始後約500時間を経過時点より充填塔上部に褐色のポリマー状固形物が付着し始め、その後付着物は徐々に増加した。
約550時間を経過した時点で、1,3-BACにより熱時洗浄を行った。すなわち、蒸留塔に 1,3- BAC500gを仕込み、常圧下、全還流状態(蒸留釜温度:250℃)とし、30分間保持した。その結果、ガラス管内壁及び充填物に付着していたポリマー状固形物は完全に取り除かれ、蒸留釜内は薄褐色に均一溶液となった。
【0032】
実施例4
ガラス製の単蒸留装置(フラスコ釜:100ml)を使用し、実施例1で得た缶出液80mlから 1,3- BIC、中間体のモノイソシアネート、未反応 1,3- BUC及び溶媒を全量留出(操作圧力:2mmHg、釜温度:200〜230℃)させた。冷却後、フラスコ釜内を調べた結果、高沸点副生物が0.58gがポリマー状固形物として硬く付着していた。
次にフラスコ釜に 1,3- BAC40gを仕込み、温度80℃で30分間保持したが、固形物はそのままの状態であった。そこで、温度180℃まで昇温して30分間保持した結果、ポリマー状固形物は剥離して溶解し均一溶液となった。
【0033】
実施例5
実施例4において、アミン化合物として 1,3- BACの代わりにアニリン、ヘキサメチレンジアミン、又はイソホロンジアミンを用いた以外は、同様な方法でフラスコ釜内に付着したポリマー状固形物の熱時洗浄テストを行った。その結果、いずれのアミン化合物の場合も温度180℃で30分保持することによりポリマー状固形物が完全に除去された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、カバミン酸エステル化合物の熱分解によりイソシアネート化合物を製造する方法において、反応器、蒸留塔等の製造装置内に付着したポリマー状固形物をアミン化合物を用いた熱時洗浄によって短時間に、且つ低コストで除去することができる。
従って本発明により、イソシアネート化合物を高い操業率で経済的に有利に製造できるようになり、本発明の工業的な意義は大きい。
Claims (2)
- カルバミン酸エステル化合物を熱分解して対応するイソシアネート化合物を製造する方法において、各工程の装置内に付着したポリマー状固形物をアミン化合物を用いて熱時洗浄することを特徴とするイソシアネート化合物の製造方法。
- 熱時洗浄を100℃以上の温度で行う請求項1記載のイソシアネート化合物の製造方法。
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