JP5584728B2 - 音叉型圧電振動片および振動デバイス - Google Patents
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Description
上記構成によれば、第1および第2の振動腕が基部よりも薄い。振動腕の厚みは周波数振動数によって凡その大きさが決まるので、逆に言えば、基部が振動腕に比べて厚いことを意味する。基部が厚いため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、パッケージされた圧電振動子であっても、衝撃・振動に強くなる。
上記構成によれば、基部の第1厚さが、振動腕の第2厚さよりも5パーセント程度厚いため、振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。基部の第1厚さが振動腕の第2厚さより厚くなればなるほど基部の体積が大きくなり、振動腕の漏れ振動を基部で緩和することができる。
基部の第1厚さが厚くなればなるほど、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、振動腕の漏れ振動を基部で緩和することができるが、基部の第1厚さと振動腕の第2厚さとの差異が大きくなると、無駄にする圧電材料が増えるとともに、製造時間、たとえば、圧電材料のエッチング時間がかかることになる。このため、第1厚さが第2厚さの5倍以内であれば、製造コストの観点から適している。
振動腕の先端部または中間部が厚い第3厚さを有していれば、振動腕の重量が増すことで、振動腕が振動しやすくなる。このため所定の振動周波数を得るために必要な振動腕の腕長さを短くすることができる。したがって、さらに小型化の音叉型圧電振動片を提供できることになる。
振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。
振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。また、幅の狭い切り込み部が形成されていても、基部の厚みが厚いため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、パッケージされた圧電振動子であっても、衝撃・振動に強くなる。
上記構成によれば、音叉型圧電振動片の振動腕の腕長さを短くしても、CI値の上昇およびCI値のばらつきを抑えることができる。
図1(b)に示すように基部29の両面と振動腕21の両面とに段差を形成するには、露光(リソグラフィ)工程とエッチング工程とを行う際には、表面と裏面とに位置ズレなくフォトマスクを露光する必要がある。一方、図3(b)のように基部49の片面と振動腕41の片面のみに段差を形成するには、片面のみを露光してエッチングすれば、基部の第二面と振動腕の第二面とを異なる高さにすることができる。露光しない基部の第一面と振動腕の第一面とは同一面となるが、基部の第1厚さが振動腕の第2厚さより厚くなるため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくい。それでありながら、露光工程の際に両面を露光する必要が無く製造が簡単になる。
振動デバイスとしても、衝撃または振動に強くなる。
振動腕を基部の厚さより薄くするために第1フォトマスクと第2フォトマスクを使用することで正確な位置調整ができるとともに厚さ調整が可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
<<実施形態1>>
図1(a)は、第1の音叉型水晶振動片20の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。(c)は、音叉型水晶振動片20の一本の振動腕21のC−C断面図である。第1の音叉型水晶振動片20の母材は、水晶単結晶ウエハ10で形成されている。図1(a)に示すように、第1の音叉型水晶振動片20は、第1基部29−1と第2基部29−2とから構成される基部29と、この第1基部29−1から図1において上方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕21を備えている。以下、本実施形態では一対の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片で説明するが、3本または4本の振動腕21を備えた水晶振動片であってもよい。
図2は、別の実施形態である第2の音叉型水晶振動片30である。(a)は、第2の音叉型水晶振動片30の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。実施形態で示した第1の音叉型水晶振動片20と異なる部分のみ符号が異なり、同じ部分には同じ符号を付している。第2の音叉型水晶振動片30も、たとえば32.768KHzで信号を発信する振動片ある。
振動腕31の長さL3は、1.20mmから1.50mmであり、基部39の長さL2は0.50mmから0.70mm程度であり、第2の音叉型水晶振動片30の全体の長さが1.70mmから2.20mm程度である。振動腕31の幅W3は0.08mmから0.13mm程度である。図2(b)に示すように、振動腕31の厚さD1は、0.08mmから0.13mmである。但し、振動腕31の先端部32の厚さD3は、0.085mmから0.50mmである。この先端部32の長さL4は、0.10mmから0.70mm程度である。先端部32の長さL4が0.70mmのときには、溝部311の先端とほぼ接する程度にまで、先端部の厚さD3が厚いことになる。
図3は、別の実施形態である第3の音叉型水晶振動片40である。(a)は、第3の音叉型水晶振動片40の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。実施形態で示した第1の音叉型水晶振動片20と異なる部分のみ符号が異なり、同じ部分には同じ符号を付している。第3の音叉型水晶振動片40も、たとえば32.768KHzで信号を発信する振動片ある。
図では示さないが、図3に示した第3の音叉型水晶振動片40の振動腕41に、図2に示した実施形態2の厚い先端部32を形成したり、一本の振動腕41の表面に1つの溝部311を形成したりしてもよい。また、第3の音叉型水晶振動片40の基部49に、図2に示した切れ込み形状の第3基部39−3を形成してもよい。
本発明では、振動腕21、31および41よりも、基部29、39および49が厚い。このため、音叉型水晶振動片の製造途中において破損することが少なくなり、また、音叉型水晶振動片は衝撃や振動に対して強くなる。
図4(a)は、本実施形態に係るセラミックパケージ音叉型振動子50を示す図である。
このセラミックパケージ音叉型振動子50は、上述の第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40を使用している。図4(a)は、セラミックパケージ音叉型振動子50の構成を示す概略断面図である。セラミックパケージ音叉型振動子50は、その内側に空間を有する箱状のパッケージ52を有している。このパッケージ52には、その底部にベース部54を備えている。このベース部54は、酸化アルミニウム質の混練物からなるセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層し、焼結して形成されている。
図4(b)は、音叉水晶発振器60を示す図である。このデジタル音叉水晶発振器60は、上述のセラミックパケージ音叉型振動子50と多くの部分で構成が共通している。したがって、セラミックパケージ音叉型振動子50と同じ構成、作用等については、同一符号を付する等して、その説明を省略する。
図4(c)は、シリンダータイプ音叉振動子70を示す概略図である。このシリンダータイプ音叉振動子70は、上述の第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40を使用している。
シリンダータイプ音叉振動子70は、その内部に音叉型水晶振動片20を収容するための金属製のキャップ75を有している。このキャップ75は、ステム73に対して圧入され、その内部が真空状態に保持されるようになっている。また、キャップ75に収容された音叉型水晶振動片20を保持するためのリード71が2本配置されている。
図5ないし図8は、図1で示した第1の音叉型水晶振動片20を使って図4(a)に示したセラミックパケージ音叉型振動子50を製造する工程を示したフローチャートである。音叉型水晶発振器60またはシリンダータイプ音叉振動子70の製造工程は、大筋は同じである。
<<水晶振動片の外形形成の工程>>
図5は、音叉型水晶振動片の外形形成の工程のフローチャートと、水晶振動片の外形形成に使用される外形フォトマスク91の一部を示した図である。
ステップS112では、水晶単結晶ウエハ10の全面に、耐蝕膜をスパッタリングもしくは蒸着などの手法により形成する。すなわち、圧電材料としての水晶単結晶ウエハ10を使用する場合に、金(Au)や銀(Ag)等を直接成膜することは困難なため、下地としてクロム(Cr)やチタン(Ti)等を使用する。つまり、この実施形態では、耐蝕膜としてクロム層の上に金層を重ねた金属膜を使用する。
図6は、振動腕の厚さを薄くする工程のフローチャートと、基部と振動腕とに段差を形成する段差用フォトマスク92の一部を示した図である。
ステップS122では、第1の音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、水晶単結晶ウエハ10の全面に、クロム層の上に金層を重ねた金属膜をスパッタリングもしくは蒸着などの手法により形成する。
ステップS124では、クロム層および金層が形成された水晶単結晶ウエハ10に、フォトレジストをスピンコートまたはスプレーなどの手法で均一に塗布する。
また図2に示した第2の音叉型水晶振動片30の場合には、先端部32をエッチングしないように遮光した段差用フォトマスク92を用意する。
ステップS130では、不要となったフォトレジスト層と耐蝕膜を除去することによりに、振動腕21の厚みが薄くなった第1の音叉型水晶振動片20が形成される。
図7は、振動腕に溝部を形成する工程のフローチャートと、溝部を形成する溝部フォトマスク93の一部を示した図である。
ステップS132では、音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、音叉型水晶振動片20の全面に溝部27を形成するための金属膜を形成する。
ステップS134では、スプレーを使って全面にフォトレジストを塗布する。音叉型水晶振動片20の形状が形成されているため、スプレーを使って側面にもフォトレジストを塗布する。
溝部フォトマスク93は、マスク枠93−1と溝部パターン93−2とが石英ガラスの上にクロムで描かれている。溝部パターン93−2は、図1で示した溝部211の外形と一致する。
続いて、ステップS140でフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、音叉型水晶振動片20に溝部27が正確な位置に形成される。
図8は、電極パターンおよびパッケージングの工程のフローチャートである。
ステップS142では、音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、音叉型水晶振動片20の全面に駆動電極としての励振電極などを形成するための金属膜を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。
ステップS146では、電極パターンと対応した不図示のフォトマスクを用意して、電極パターンをフォトレジスト層が塗布された水晶単結晶ウエハ10を露光する。この電極パターンは第1の音叉型水晶振動片20の両面に形成する必要があるため、音叉型水晶振動片20の両面を露光する。
次いで、電極となる金属膜のエッチングを行う。すなわち、電極パターンと対応したフォトレジスト層から露出した金層をたとえば、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液でエッチングし、次にクロム層をたとえば硝酸第2セリウムアンモニウムと酢酸との水溶液でエッチングする。続いて、ステップS150でフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、第1の音叉型水晶振動片20に電極23、25などが正確な位置および電極幅で形成される。
ステップS152では、第1の音叉型水晶振動片20の連結部28を折り、水晶単結晶ウエハ10から第1の音叉型水晶振動片20を切り取る。
これまでの工程により、電極が形成された音叉型水晶振動片20が得られたため、ステップS154では、図4(a)に示したセラミック製のパッケージ52に音叉型水晶振動片20を導電接着剤で接着する。具体的には、音叉型水晶振動片20の基部29の電極部23a、25aを塗布した導電性接着剤の上に載置して、導電性接着剤を仮硬化させる。次に、硬化炉で導電性接着剤を本硬化する。さらに、音叉型水晶振動片20の振動腕21にレーザ光を照射して、振動腕21の錘金属を蒸散・昇華させ、質量削減方式による周波数調整を行う。
図7は、原板である外形フォトマスク91、段差用フォトマスク92または溝部フォトマスク93の所定のパターンを露光基板である水晶単結晶ウエハ10に露光する際に用いられる近接(プロキシミティ)露光装置100の構成例を示す側面図である。この近接露光装置100は、短波長の光線、たとえば365nmの露光光ILを照射する露光光源101と、露光光源101から照射された露光光ILを露光マスク91に対して平行光を導く、コンデンサーレンズ103L1および103L2からなる露光光学系103を有している。
20 … 第1の音叉型水晶振動片、30 … 第2の音叉型水晶振動片,40 … 第3の音叉型水晶振動片
21,31,41 … 振動腕
29,39,49 … 基部
23 … 第1電極パターン
25 … 第2電極パターン
50 … セラミックパケージ音叉型振動子
60 … 音叉型水晶発振器
70 … シリンダータイプ音叉振動子
91,92,93 … フォトマスク
Claims (5)
- 第1厚さの基部と、
前記第1厚さよりも薄い第2厚さで前記基部の一端部より突出する第1および第2の振動腕と、を有し、
前記第1および第2の振動腕の第2厚さの部分には、前記振動腕の延びる方向に延びた溝部が形成されるとともにその溝部に導電パターンが形成され、
前記第1および第2の振動腕の先端と前記溝部の先端との中間部に、前記第1厚さと同じ厚さの箇所が形成され、その箇所から前記第1および第2の振動腕の先端までが前記第2厚さであることを特徴とする音叉型圧電振動片。 - 前記基部の一端部は第1幅を有し、前記基部の他端部は前記第1幅よりも幅の広い第2幅を有することを特徴とする請求項1に記載の音叉型圧電振動片。
- 前記基部の一端部と他端部との間に、前記第1幅よりも狭い第3幅の切り込み部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の音叉型圧電振動片。
- 前記基部の第1面と前記振動腕の第1面とは同一面であり、前記基部の第2面と前記振動腕の第2面とが異なる高さであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の音叉型圧電振動片。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の音叉型圧電振動片と、
前記音叉型圧電振動片を真空封止するパッケージと、
を有する圧電デバイス。
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