JP2004104365A - 圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 - Google Patents
圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004104365A JP2004104365A JP2002262139A JP2002262139A JP2004104365A JP 2004104365 A JP2004104365 A JP 2004104365A JP 2002262139 A JP2002262139 A JP 2002262139A JP 2002262139 A JP2002262139 A JP 2002262139A JP 2004104365 A JP2004104365 A JP 2004104365A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion
- wafer
- layer
- resistant film
- etching
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Abstract
【解決手段】圧電振動片の主面に設けられる凹み領域の異なる深さの数に対応したn層(n≧2:整数)の耐蝕膜をウエハ両面に積層する。耐蝕膜各層は、互いにエッチング選択比が大きい例えばCr/Au膜のような2種以上の金属材料で構成する。耐蝕膜を振動片外形にフォトエッチングした後、最も浅い凹み領域以外の凹み領域の平面形状を深さ順に耐蝕膜にパターニングする。ウエハを貫通エッチングして振動片外形を加工した後、耐蝕膜最上層を最も浅い凹み領域の平面形状にパターニングして、振動片の表面形状に対応する立体構造の耐蝕膜を完成させる。耐蝕膜の露出部分を1層ずつ除去しながら、ウエハ露出面を順次ハーフエッチングする。
【効果】所望の外形及び表面形状の圧電素子片を、より一層の小型化に対応しつつ、エッチング不良無く、高い形状精度で製造できる。
【選択図】 図1
【効果】所望の外形及び表面形状の圧電素子片を、より一層の小型化に対応しつつ、エッチング不良無く、高い形状精度で製造できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な電子機器について圧電振動子や角速度センサ等として使用される圧電デバイスの製造方法に関し、特に水晶等の圧電材料からなるウエハをフォトエッチングすることにより圧電素子片を所望の形状に加工する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に圧電振動片や角速度センサは、フォトリソグラフィ技術を利用して水晶等の圧電材料のウエハをエッチングし、所望の外形を加工して多数の圧電素子片を形成し、かつその表面に成膜した電極材料をパターニングすることにより製造される。他方最近は、小型化・薄型化の要求に対応しつつ電界効率の向上及びCI値の低下を実現するために、振動腕の主面に設けた溝の内面に駆動電極を形成する構造の音叉型圧電振動片や、厚みすべりモードを主振動とする圧電振動片の主面に薄肉励振部を凹設した所謂逆メサ構造が開発されている。
【0003】
通常このように主面に凹みを有する圧電振動片を製造する場合、振動片の外形を加工した後で、更にウエハ表面をフォトエッチングすることにより所望の凹みを形成する工程が追加される。即ち、先ずウエハ全面に耐蝕膜を形成し、その上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に振動片の外形を転写し、露出したウエハ表面をエッチングして振動片の外形を加工する。次に、残存する耐蝕膜を剥離した後、新たに耐蝕膜を前記ウエハ表面に形成し、同様にその上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に凹み、例えば音叉振動腕の溝の形状を転写し、露出したウエハ表面をハーフエッチングする。
【0004】
また、本願出願人は、特開2002−76806号公報において、その主面に溝を設けたH型断面の振動腕を有する音叉型圧電振動片の製造方法を開示している。この方法では、先ず水晶ウエハの両面に耐蝕膜を形成し、その上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に振動片の外形を転写する。次に、残存するフォトレジスト層を剥離した後、新たにフォトレジスト層を前記ウエハ表面に形成し、振動片の外形及び振動腕の溝形状をパターニングする。露出したウエハ表面を十分に貫通エッチングして、厚み方向にヒレ状突起が残らないように振動片の外形を加工する。更に、露出した耐蝕膜をエッチングしかつそれにより露出したウエハ表面をハーフエッチングして、振動腕に溝を加工する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近は、図9に例示する音叉型水晶振動片1のように、振動腕2の上下主面に溝3を有すると共に、パッケージに片持ちに固定される基端部4の厚さを、その振動腕側に段差5を設けて厚くすることによって、より一層の薄型化と十分な支持強度の確保とを同時に図り得る構造が提案されている。このように異なる複数の深さの凹凸領域を有する表面形状の振動片を製造するために、上述した従来の方法では、ウエハに振動片の外形形成後に振動片表面に異なる深さの凹みを形成する毎に、新たに耐蝕膜を形成しかつフォトエッチングする追加工程を更に追加することになる。
【0006】
この追加工程は、先に外形や凹みを形成したウエハ表面に新たに耐蝕膜及びフォトレジスト層を成膜するので、外形の角や凹みの角及び隅で膜厚が薄くなったり切れたりし、エッチング不良が起こるという問題がある。これを防止するためには、耐蝕膜全体を通常よりも厚く成膜しなければならず、却って膜の耐蝕性が低下したりフォトレジスト層を露光したときのパターン精度が低下する虞がある。この問題は、振動片及び加工するパターンが微小化するほど深刻になる。
【0007】
また、同じウエハ表面に何度も耐蝕膜を形成すると、膜材料でウエハ表面が汚染され易く、後から形成する耐蝕膜に欠陥が生じて、同様に耐蝕性の低下を招くことになる。更に、振動片の外形加工後は、フォトレジスト層をスピンコートではなくスプレー塗布等で形成することになるが、塗布面積が小さいのでピンホール等の膜欠陥を生じ易い。そのために、エッチング不良や品質低下を来す虞がある。しかも、振動片の外形加工後におけるフォトマスクの位置合わせや露光・現像等の作業はウエハの取扱いが難しく、簡単に割れたり破損する虞があり、作業性を低下させる。また、フォトマスクのアライメントマークは、最初に振動片の外形をフォトエッチングする際にウエハ表面に凹みが設けられるが、その後エッチングする毎にその表面形状が僅かに変形し、次第に正確なマスク合わせが困難になって、形状精度が低下する虞がある。
【0008】
他方、特開2002−76806号公報に記載の方法は、振動片の表面に同じ1つの深さの凹みだけを形成するのには適しているが、異なる2以上の深さの凹凸領域を加工することは困難であり、同様に新たに耐蝕膜を形成してフォトエッチングしなければならない。
【0009】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電材料のウエハをフォトエッチングすることにより、所望の外形と異なる複数の深さの領域を含む表面形状とを備えた圧電素子片を加工する場合に、ウエハに形成する耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無く、高品質で形状精度の高い加工が可能で、作業性が良く、しかも圧電素子片の微小化に対応し得る圧電素子片の加工方法を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、特に所望の外形と異なる複数の深さの領域を含む表面形状とを備えた圧電振動片を製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的を達成するために、例えば水晶等の圧電材料のウエハの表面にn(n≧2:整数)層の耐蝕膜を積層する工程と、該耐蝕膜の上にフォトレジスト層を形成し、フォトマスクを用いてパターニングし、露出した耐蝕膜の全n層をエッチングにより除去して、ウエハの表面を露出させる第1エッチング工程と、残存する前記フォトレジスト層を除去した後、ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングし、前記耐蝕膜の露出した1層をエッチングにより除去する第2エッチング工程と、該第2エッチング工程を、前記耐蝕膜の最下層が露出するまで繰り返し行う工程と、残存するフォトレジスト層を除去した後、ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングすることにより、前記耐蝕膜の最上層の上にレジストパターンを形成し、かつ第1エッチング工程において露出させたウエハ表面を再度露出させる工程と、この再度露出させたウエハ表面を貫通エッチングし、圧電素子片の外形を形成する工程と、前記耐蝕膜の露出している各1層をエッチングにより除去し、かつそれにより露出したウエハ表面を所定量ハーフエッチングする工程と、該ハーフエッチング工程を、前記レジストパターンを形成した領域を除いたウエハの表面がハーフエッチングされるまで繰り返し行い、圧電素子片の表面形状を加工する工程と、前記レジストパターン及びその下側の耐蝕膜を完全に除去する工程とからなることを特徴とする圧電素子片の加工方法が提供される。
【0012】
このようにウエハに圧電素子片の外形を加工する前に、異なる複数の深さの領域毎に各層をパターニングした多層構造の耐蝕膜を使用し、圧電素子片の外形加工後に、耐蝕膜の露出する各1層を順次剥離しつつそれにより露出するウエハ表面を順次ハーフエッチングするので、上述した従来技術のように圧電素子片の外形及び表面形状の加工後に再度耐蝕膜又はフォトレジスト層を形成する必要が無く、従って耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無い。しかも、最初に圧電素子片外形をパターニングするためのエッチングで耐蝕膜にアライメントマークを形成すると、これは、その後に耐蝕膜各層をパターニングする際にそのまま利用でき、耐蝕膜各層のエッチングにより再度エッチングされて変形する虞が無いので、各フォトマスクのアライメント精度が高く、圧電素子片の微小化に対しても、常に安定して高い形状精度を達成することができる。
【0013】
また、フォトマスクの位置合わせや露光・現像等の作業は圧電素子片の外形加工前に行われ、圧電素子片の外形加工後は耐蝕膜及びウエハのエッチング加工だけとなるので、ウエハの取扱いが容易である。そのため、圧電素子片が微小化されても、外形加工後にウエハに割れや損傷を起こる可能性が低くなる。
【0014】
或る実施例では、前記耐蝕膜がウエハの両面に形成され、それにより圧電素子片の各種面にそれぞれ必要に応じて同じ又は異なる表面形状を加工することができ、最終的に要求される圧電デバイスの様々な表面形状に柔軟かつ簡単に対応することが可能である。
【0015】
また、或る実施例では、前記耐蝕膜の各層の上面及び下面を、エッチング選択比の大きい異なる金属材料で形成する。これにより、耐蝕膜の隣接するいずれの2層間においても、エッチング選択比を大きく設定できるので、表面形状のエッチング工程において、既にパターニングされている耐蝕膜の露出している各1層のみを確実に選択して剥離することができる。
【0016】
例えば、このような耐蝕膜の各層は、各種圧電デバイスの電極膜に多用されているCr/Au膜から構成することができ、エッチング選択比が大きいので好都合である。この場合、前記耐蝕膜の最上層は1種の金属材料で十分であり、Cr膜のみで構成することができる。また、前記ウエハが水晶からなる場合、耐蝕膜の最下層がウエハ表面に被着されるCr、Al又はNi膜を有すると、これらの金属材料は水晶との密着性が高いので好都合である。
【0017】
更に、本発明の別の側面によれば、上述した本発明の方法を用いて、振動腕の一方又は両方の主面に長手方向溝を有しかつ基端部の振動腕側に段差を設けて基端側の厚さを厚くした音叉型圧電振動片のための圧電素子片を形成し、該圧電素子片の各主面及び側面、前記長手方向溝の内面に電極膜を形成しかつパターニングすることを特徴とする圧電振動片の製造方法が提供される。これにより、より一層の小型化の要求に対応しつつ、エッチング不良を起こすことなく高品質で形状精度の高い圧電振動片を簡単に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の好適な実施例である圧電振動片の製造方法を示すフロー図である。最初に、例えば水晶である圧電材料のウエハの両面にn層(n≧2:整数)の多層構造からなる耐蝕膜を積層する(ステップS1)。耐蝕膜は、通常前記ウエハのエッチング液に対して十分な耐蝕性を有する金属材料で形成する。耐蝕膜各層は、いずれもウエハ全面に成膜するので、その工程は比較的簡単で、かつ各金属膜を実質的に欠陥が無い好ましい厚さ、例えば100nm以下の良質の膜にすることができる。この耐蝕膜の層数nは、振動片の各主面に加工しようとする凹み領域の異なる深さの数により決定される。
【0019】
前記耐蝕膜の各層は、第一に、その隣接するいずれの2層の組み合わせにおいてもエッチング選択比が互いに大きくなるように構成する。更に前記耐蝕膜は、上側の層がパターニングされて下側の層が露出しているとき、この下側の層の露出部分及び上側の層の露出部分が、各1層分だけ同じエッチング液で同時に除去されるようにする。そのために、前記耐蝕膜各層は、その上面と下面とが、互いに使用するエッチング液によってエッチング選択比が大きい金属膜で形成される2膜又はそれ以上の多膜構造で構成することができる。このような耐蝕膜層として、例えば従来から圧電デバイスの電極膜として多用されているCr/Au膜が好ましい。
【0020】
前記耐蝕膜の上にはフォトレジスト層を、例えばスピンコートによりウエハ全面に形成する。このフォトレジスト層に、形成しようとする振動片の外形に対応する露光パターンを有する第1フォトマスクを用いて、振動片外形をパターニングする(ステップS2)。これにより露出した前記耐蝕膜の第1〜第n全層をウエットエッチングで除去し、ウエハ表面を露出させることにより、前記耐蝕膜に所望の振動片の外形を転写する(ステップS3)。このとき、前記耐蝕膜の余白部分即ち圧電振動片を形成しない枠の領域に、以後のマスク合わせに使用するためのアライメントマークを形成する。
【0021】
次に、残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。振動片の主面に形成される最も深い凹み領域の平面形状に対応する露光パターンを有する第2フォトマスクを用いて、この新たなフォトレジスト層に前記凹み領域の平面形状をパターニングする(ステップS4)。これにより露出した前記耐蝕膜の最上第n層の部分を該1層だけウエットエッチングし、その直ぐ下の第(n−1)層を露出させる(ステップS5)。
【0022】
n≧3の場合には、ステップS4、S5を(n−2)回繰り返し実行する(ステップS6)。即ち、同様に残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。次にこのフォトレジスト層を、振動片の主面に形成される2番目に深い凹み領域の平面形状に対応する露光パターンを有する第3フォトマスクを用いてパターニングする。これにより、先にパターニングされた前記耐蝕膜の最上の第n層をマスクとして、前記最も深い凹み領域の平面形状が直ぐ下側の第(n−1)層に転写されると同時に、前記2番目に深い凹み領域の平面形状が前記耐蝕膜の第n層にパターニングされる。更に3番目に深い凹み領域の平面形状を前記耐蝕膜第n層にパターニングしたとき、最も深い凹み領域及び2番目に深い凹み領域の平面形状は、それぞれ第(n−2)層及び第(n−1)層に転写される。
【0023】
このようにステップS4、S5を繰り返し実行することにより、最も浅い凹み領域を除く各凹み領域の平面形状を、その深さ毎にその順で前記耐蝕膜の第n層にパターニングすると同時に、先に前記第n層にパターニングした各凹み領域の平面形状をそれぞれ下側の耐蝕膜各層に転写していく。この繰り返し工程を、2番目に浅い凹み領域の平面形状が第n層にパターニングされ、前記最も深い凹み領域の平面形状が第2層に転写されて前記耐蝕膜の最下第1層が露出するまで行う。
【0024】
n=2の場合には、最も深い凹み領域が同時に2番目に浅い凹み領域となるので、ステップS4、S5を繰り返す必要が無く、ステップS5の終了後、直ちに次のステップS7に進めばよい。
【0025】
再び、残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。このフォトレジスト層を、振動片主面の最も浅い深い凹み領域の平面形状及び振動片の外形に対応する露光パターンを有する第(n+1)フォトマスクを用いてパターニングする(ステップS7)。これにより、最終的にエッチングしない振動片の表面領域に対応する前記耐蝕膜第n層の部分を残して、前記耐蝕膜の表面及びウエハ表面を露出させる。尚、この工程及び上記ステップS4において繰り返し形成される各フォトレジスト層は、いずれも前記ウエハに振動片外形を加工する前であるので、例えばスピンコートにより簡単にかつ良好な状態で設けることができる。
【0026】
次に、露出した前記ウエハ表面を適当なエッチング液で貫通エッチングして、所望の振動片外形を形成する(ステップS8)。この後、前記耐蝕膜第n層の上にレジストパターンを残したまま、前記耐蝕膜の露出している部分を各1層だけウエットエッチングし、前記最も深い凹み領域に対応するウエハ表面を露出させると同時に、それより浅い前記各凹み領域の平面形状をそれぞれ直ぐ下側の前記耐蝕膜各層に、かつ前記最も浅い深い凹み領域の平面形状を第n層に転写する(ステップS9)。これは、前記耐蝕膜各層を例えば上述したCr/Au膜のような互いにエッチング選択比の大きい2膜構造にし、各膜をそれぞれ異なるエッチング液で選択的に除去することによって容易に行われる。これにより、全ての凹み領域の平面形状をその深さ順に組み込んだ、最終的に加工しようとする振動片の表面形状に対応する立体構造の耐蝕膜が、振動片外形を加工した前記ウエハ表面に完成する。
【0027】
露出した前記ウエハ表面は、適当なエッチング液で最終的な深さより浅い所定量だけハーフエッチングする(ステップS10)。次にステップS9と同様に、現在露出している前記耐蝕膜の表面各1層だけをエッチングにより除去し、前記2番目に深い凹み領域の平面形状に対応するウエハ表面を露出させると同時に、それより浅い前記各凹み領域の平面形状をそれぞれ直ぐ下側の前記耐蝕膜各層に転写する(ステップS11)。そして、ここで露出した前記ウエハ表面を、同様に適当なエッチング液で所望の深さより浅い所定量だけハーフエッチングする(ステップS12)。このとき、先にステップ10でウエハ表面に形成した前記最も深い凹み領域に対応する凹みも、同じ量だけ更にハーフエッチングされる。
【0028】
n≧3の場合には、ステップS11、S12を(n−2)回繰り返し実行する(ステップS13)。即ち、前記耐蝕膜各層の露出している部分を1層ずつエッチングで剥離し、かつその度毎に新たに露出するウエハ表面を所定量ハーフエッチングすると同時に、先にウエハ表面に形成した凹みをそれぞれ同じ量だけ更にハーフエッチングする。この繰り返し工程を、最後に前記耐蝕膜の第n層上に前記レジストパターンを形成した部分のみがウエハ表面に残るまで行うことによって、前記ウエハ表面に所望の全ての凹み領域が形成される。前記各ハーフエッチングは、この最終時点で各凹み領域の深さが所望の値又は範囲内にあるように調整・制御する。
【0029】
n=2の場合には、上述したように最も深い凹み領域が同時に2番目に浅い凹み領域となるので、ステップS11、S12を繰り返す必要が無く、ステップS12の終了後、直ちに次のステップS14に進めばよい。
【0030】
最後に、残存する前記レジストパターン及びその下の前記耐蝕膜全層を完全に除去すると、所望の外形及び表面形状即ち凹み領域を有する圧電素子片が完成する(ステップS14)。この圧電素子片の表面に公知技術を用いて電極膜をパターニングする(ステップS15)ことにより、所望の圧電振動片が得られる。各圧電振動片は、通常前記ウエハから個々に分離され、かつ所定のパッケージに搭載される。
【0031】
次に、上述した図1及び図2の方法を適用して、図9の音叉型水晶振動片に使用する水晶素子片を製造する過程を、図3乃至図8を用いて具体的に工程順に説明する。図3・図4は、水晶ウエハ10の上面を部分的に示す平面図で、想像線10´は形成しようとする水晶振動片1個分の領域である。図5・図6は、図9の水晶振動片1の基端部2及び振動腕3の長手方向即ちI−I線に沿う断面を、図7・図8は、図9の振動腕3の横断方向即ちII−II線に沿う断面をそれぞれ示している。
【0032】
図9の水晶振動片1はその主面に、振動腕2の深い溝5と基端部2から先端側の浅い段差5との2つの異なる深さの凹み領域が形成される。そこで、最初にステップS1で水晶ウエハ10の両面に、図3(A)、図5(A)、図7(A)に示すような2層構造の耐蝕膜11を全面に形成する。本実施例の耐蝕膜各層11a、11bは、それぞれスパッタリング又は蒸着でウエハ表面に積層したCr/Au膜で構成される。Cr/Au膜は従来から圧電デバイスの電極膜として広く使用されており、特にAu膜は、水晶用エッチング液に対する耐蝕性は良いが、水晶との密着性に劣ることから、水晶との密着性に優れたCr膜を下地層に用いることが好ましい。水晶への密着性が良い他の耐蝕性金属材料としては、Ni、Al等があり、これらをAu膜と組み合わせて用いることもできる。
【0033】
次にステップS2で、耐蝕膜11上にフォトレジスト層12をスピンコートによりウエハ全面に形成し、第1フォトマスクを用いて振動片1の外形を図3(B)、図5(B)、図7(B)のようにパターニングして、耐蝕膜11表面を露出させる。このとき、振動片の基端部2に対応する部分には水晶ウエハの枠部分に連結するための部分13が、前記水晶ウエハ枠部分にはマスク合わせのためのアライメントマーク(図示せず)が、併せてパターニングされる。ステップS3により、耐蝕膜11の露出した部分をウエットエッチングで完全に除去し、図3(C)、図5(C)、図7(C)に示すように水晶ウエハ10表面を露出させる。
【0034】
図3(D)〜(F)、図5(D)〜(F)、図7(D)〜(F)はステップS4を示しており、残存するフォトレジスト層12を完全に除去した後、新たにフォトレジスト層14をスピンコートによりウエハ全面に形成する。フォトレジスト層14は、第2フォトマスクを用いて最も深い凹み領域である溝4に対応する平面形状をパターニングし、耐蝕膜11表面を露出させる。次にステップS5において、露出した耐蝕膜11の上側第2層11bをウエットエッチングで図3(G)、図5(G)、図7(G)のように除去する。Cr膜とAu膜とは、それぞれ適当なエッチング液を用いることによって選択的に除去できるので、耐蝕膜11各層を露出している1層だけエッチングすることは容易である。
【0035】
本実施例では、凹み領域の異なる高さの数nが2であるので、ステップS4、S5を繰り返すステップS6の工程は省略する。図3(H)〜図4(J)、図5(H)〜図6(J)、図7(H)〜図8(J)はステップS7を示しており、残存するフォトレジスト層14を完全に除去した後、新たにフォトレジスト層15をスピンコートによりウエハ全面に形成する。フォトレジスト層15は、第3フォトマスクを用いて振動片1の外形と最も浅い凹み領域である段差5に対応する平面形状とをパターニングし、水晶ウエハ10表面及び耐蝕膜11表面を露出させる。
【0036】
水晶ウエハ10の露出面は、ステップS8により適当なエッチング液で貫通エッチングし、図4(K)、図6(K)、図8(K)に示すように連結部分13を含む振動片1の外形を形成する。次に耐蝕膜11は、ステップS9により第1層11a及び第2層11bの各露出部分をそれぞれ1層分だけウエットエッチングする。これにより、図4(L)、図6(L)、図8(L)に示すように、振動腕3の溝4に対応するパターンが耐蝕膜第2層11bから第1層11aに転写されて水晶ウエハ10表面を露出させ、かつ段差5に対応するパターンがフォトレジスト層15から耐蝕膜第2層11bに転写される。
【0037】
次に図4(M)、図6(M)、図8(M)において、ステップS10により水晶ウエハ10露出面を適当なエッチング液で所定量だけハーフエッチングし、振動腕3の溝4を所望の深さより浅く加工する。更に、露出した耐蝕膜第2層11bを、ステップS11に従ってウエットエッチングにより除去し、図4(N)、図6(N)、図8(N)に示すように水晶ウエハ10表面を露出させる。水晶ウエハ10の露出面は、ステップS12により所定量ハーフエッチングし、図4(O)、図6(O)、図8(O)に示すように段差5を所望の深さに形成する。このとき同時に、先に加工された溝4は、同じ量だけ更にハーフエッチングされ、その結果所望の深さが得られる。
【0038】
上述したように本実施例では、凹み領域の異なる高さの数nが2であるので、ステップS11、S12を繰り返すステップS13の工程は省略し、次のステップS14に進む。残存するフォトレジスト層15及びその下側の耐蝕膜11全層を完全に除去すると、図4(P)、図6(P)、図8(P)に示すように所望の外形及び表面形状を有する水晶素子片16が完成する。更にこの水晶素子片16は、連結部分13により前記ウエハ枠部分に結合された状態のまま、その表面に必要な電極膜をパターニングすることにより、図9の音叉型水晶振動片1が完成する。
【0039】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はその技術的範囲において上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。例えば、上記実施例では、ウエハの両面に同じ多層耐蝕膜を形成して同じ表面形状を加工する場合を説明したが、その片面にのみ耐蝕膜を設けて表面形状を加工したり、各面に異なる構造の耐蝕膜を形成しかつ/又は異なるパターニングを行って、異なる表面形状を加工することもできる。また、耐蝕膜の第2層11bはCr膜のみ又は他の適当な1種の金属膜で形成することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、上述したように圧電素子片の外形加工前に、異なる複数の深さの領域毎に各層をパターニングした多層構造の耐蝕膜をウエハ表面に形成し、圧電素子片の外形加工後は、耐蝕膜の露出する各1層を剥離しつつそれにより露出するウエハ表面をハーフエッチングする工程を繰り返して、所望の圧電素子片の外形及び表面形状を加工することによって、第1に耐蝕膜が比較的簡単に成膜でき、かつ実質的に欠陥の無い良好な膜が得られると共に、より正確にフォトエッチングすることができる。そのため、従来技術のような耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無い。しかも、アライメントマークがその形成後のエッチングにより変形する虞が無いので、マスク合わせの精度が高い。従って、複雑な表面形状であっても、より一層の小型化が要求されても、工数を大幅に増やすことなく低コストで、常に高品質で形状精度の高い圧電素子片及び圧電振動片を製造することができる。また、外形加工後のウエハの取扱いが容易で不良品の発生が少ないので、歩留まり及び生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電振動片の製造方法の一部工程を示すフロー図。
【図2】図1に続く工程を示す同様のフロー図。
【図3】本発明の方法を適用して図9に示す形状の音叉型水晶素子片を加工する工程を、その上面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる平面図。
【図4】図3に続く工程を工程順に示す同様の平面図。
【図5】図3に対応する工程を、図9のI−I断面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる断面図。
【図6】図5に続く工程を工程順に示す同様の断面図。
【図7】同じく図3に対応する工程を、図9のII−II断面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる振動腕の断面図。
【図8】図7に続く工程を工程順に示す同様の断面図。
【図9】振動腕の主面に溝を有しかつ基端部から振動腕側に段差を設けた音叉型水晶振動片を、その電極膜を省略して示す概略斜視図。
【符号の説明】
1 水晶振動片、2 振動腕、3 溝、4 基端部、5 段差、10 水晶ウエハ、10´ 領域、11 耐蝕膜、11a 第1層、11b 第2層、12、14、15 フォトレジスト層、13 連結部分、16 水晶素子片
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な電子機器について圧電振動子や角速度センサ等として使用される圧電デバイスの製造方法に関し、特に水晶等の圧電材料からなるウエハをフォトエッチングすることにより圧電素子片を所望の形状に加工する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に圧電振動片や角速度センサは、フォトリソグラフィ技術を利用して水晶等の圧電材料のウエハをエッチングし、所望の外形を加工して多数の圧電素子片を形成し、かつその表面に成膜した電極材料をパターニングすることにより製造される。他方最近は、小型化・薄型化の要求に対応しつつ電界効率の向上及びCI値の低下を実現するために、振動腕の主面に設けた溝の内面に駆動電極を形成する構造の音叉型圧電振動片や、厚みすべりモードを主振動とする圧電振動片の主面に薄肉励振部を凹設した所謂逆メサ構造が開発されている。
【0003】
通常このように主面に凹みを有する圧電振動片を製造する場合、振動片の外形を加工した後で、更にウエハ表面をフォトエッチングすることにより所望の凹みを形成する工程が追加される。即ち、先ずウエハ全面に耐蝕膜を形成し、その上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に振動片の外形を転写し、露出したウエハ表面をエッチングして振動片の外形を加工する。次に、残存する耐蝕膜を剥離した後、新たに耐蝕膜を前記ウエハ表面に形成し、同様にその上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に凹み、例えば音叉振動腕の溝の形状を転写し、露出したウエハ表面をハーフエッチングする。
【0004】
また、本願出願人は、特開2002−76806号公報において、その主面に溝を設けたH型断面の振動腕を有する音叉型圧電振動片の製造方法を開示している。この方法では、先ず水晶ウエハの両面に耐蝕膜を形成し、その上に形成したフォトレジスト層をパターニングしかつエッチングして前記耐蝕膜に振動片の外形を転写する。次に、残存するフォトレジスト層を剥離した後、新たにフォトレジスト層を前記ウエハ表面に形成し、振動片の外形及び振動腕の溝形状をパターニングする。露出したウエハ表面を十分に貫通エッチングして、厚み方向にヒレ状突起が残らないように振動片の外形を加工する。更に、露出した耐蝕膜をエッチングしかつそれにより露出したウエハ表面をハーフエッチングして、振動腕に溝を加工する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近は、図9に例示する音叉型水晶振動片1のように、振動腕2の上下主面に溝3を有すると共に、パッケージに片持ちに固定される基端部4の厚さを、その振動腕側に段差5を設けて厚くすることによって、より一層の薄型化と十分な支持強度の確保とを同時に図り得る構造が提案されている。このように異なる複数の深さの凹凸領域を有する表面形状の振動片を製造するために、上述した従来の方法では、ウエハに振動片の外形形成後に振動片表面に異なる深さの凹みを形成する毎に、新たに耐蝕膜を形成しかつフォトエッチングする追加工程を更に追加することになる。
【0006】
この追加工程は、先に外形や凹みを形成したウエハ表面に新たに耐蝕膜及びフォトレジスト層を成膜するので、外形の角や凹みの角及び隅で膜厚が薄くなったり切れたりし、エッチング不良が起こるという問題がある。これを防止するためには、耐蝕膜全体を通常よりも厚く成膜しなければならず、却って膜の耐蝕性が低下したりフォトレジスト層を露光したときのパターン精度が低下する虞がある。この問題は、振動片及び加工するパターンが微小化するほど深刻になる。
【0007】
また、同じウエハ表面に何度も耐蝕膜を形成すると、膜材料でウエハ表面が汚染され易く、後から形成する耐蝕膜に欠陥が生じて、同様に耐蝕性の低下を招くことになる。更に、振動片の外形加工後は、フォトレジスト層をスピンコートではなくスプレー塗布等で形成することになるが、塗布面積が小さいのでピンホール等の膜欠陥を生じ易い。そのために、エッチング不良や品質低下を来す虞がある。しかも、振動片の外形加工後におけるフォトマスクの位置合わせや露光・現像等の作業はウエハの取扱いが難しく、簡単に割れたり破損する虞があり、作業性を低下させる。また、フォトマスクのアライメントマークは、最初に振動片の外形をフォトエッチングする際にウエハ表面に凹みが設けられるが、その後エッチングする毎にその表面形状が僅かに変形し、次第に正確なマスク合わせが困難になって、形状精度が低下する虞がある。
【0008】
他方、特開2002−76806号公報に記載の方法は、振動片の表面に同じ1つの深さの凹みだけを形成するのには適しているが、異なる2以上の深さの凹凸領域を加工することは困難であり、同様に新たに耐蝕膜を形成してフォトエッチングしなければならない。
【0009】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電材料のウエハをフォトエッチングすることにより、所望の外形と異なる複数の深さの領域を含む表面形状とを備えた圧電素子片を加工する場合に、ウエハに形成する耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無く、高品質で形状精度の高い加工が可能で、作業性が良く、しかも圧電素子片の微小化に対応し得る圧電素子片の加工方法を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、特に所望の外形と異なる複数の深さの領域を含む表面形状とを備えた圧電振動片を製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的を達成するために、例えば水晶等の圧電材料のウエハの表面にn(n≧2:整数)層の耐蝕膜を積層する工程と、該耐蝕膜の上にフォトレジスト層を形成し、フォトマスクを用いてパターニングし、露出した耐蝕膜の全n層をエッチングにより除去して、ウエハの表面を露出させる第1エッチング工程と、残存する前記フォトレジスト層を除去した後、ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングし、前記耐蝕膜の露出した1層をエッチングにより除去する第2エッチング工程と、該第2エッチング工程を、前記耐蝕膜の最下層が露出するまで繰り返し行う工程と、残存するフォトレジスト層を除去した後、ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングすることにより、前記耐蝕膜の最上層の上にレジストパターンを形成し、かつ第1エッチング工程において露出させたウエハ表面を再度露出させる工程と、この再度露出させたウエハ表面を貫通エッチングし、圧電素子片の外形を形成する工程と、前記耐蝕膜の露出している各1層をエッチングにより除去し、かつそれにより露出したウエハ表面を所定量ハーフエッチングする工程と、該ハーフエッチング工程を、前記レジストパターンを形成した領域を除いたウエハの表面がハーフエッチングされるまで繰り返し行い、圧電素子片の表面形状を加工する工程と、前記レジストパターン及びその下側の耐蝕膜を完全に除去する工程とからなることを特徴とする圧電素子片の加工方法が提供される。
【0012】
このようにウエハに圧電素子片の外形を加工する前に、異なる複数の深さの領域毎に各層をパターニングした多層構造の耐蝕膜を使用し、圧電素子片の外形加工後に、耐蝕膜の露出する各1層を順次剥離しつつそれにより露出するウエハ表面を順次ハーフエッチングするので、上述した従来技術のように圧電素子片の外形及び表面形状の加工後に再度耐蝕膜又はフォトレジスト層を形成する必要が無く、従って耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無い。しかも、最初に圧電素子片外形をパターニングするためのエッチングで耐蝕膜にアライメントマークを形成すると、これは、その後に耐蝕膜各層をパターニングする際にそのまま利用でき、耐蝕膜各層のエッチングにより再度エッチングされて変形する虞が無いので、各フォトマスクのアライメント精度が高く、圧電素子片の微小化に対しても、常に安定して高い形状精度を達成することができる。
【0013】
また、フォトマスクの位置合わせや露光・現像等の作業は圧電素子片の外形加工前に行われ、圧電素子片の外形加工後は耐蝕膜及びウエハのエッチング加工だけとなるので、ウエハの取扱いが容易である。そのため、圧電素子片が微小化されても、外形加工後にウエハに割れや損傷を起こる可能性が低くなる。
【0014】
或る実施例では、前記耐蝕膜がウエハの両面に形成され、それにより圧電素子片の各種面にそれぞれ必要に応じて同じ又は異なる表面形状を加工することができ、最終的に要求される圧電デバイスの様々な表面形状に柔軟かつ簡単に対応することが可能である。
【0015】
また、或る実施例では、前記耐蝕膜の各層の上面及び下面を、エッチング選択比の大きい異なる金属材料で形成する。これにより、耐蝕膜の隣接するいずれの2層間においても、エッチング選択比を大きく設定できるので、表面形状のエッチング工程において、既にパターニングされている耐蝕膜の露出している各1層のみを確実に選択して剥離することができる。
【0016】
例えば、このような耐蝕膜の各層は、各種圧電デバイスの電極膜に多用されているCr/Au膜から構成することができ、エッチング選択比が大きいので好都合である。この場合、前記耐蝕膜の最上層は1種の金属材料で十分であり、Cr膜のみで構成することができる。また、前記ウエハが水晶からなる場合、耐蝕膜の最下層がウエハ表面に被着されるCr、Al又はNi膜を有すると、これらの金属材料は水晶との密着性が高いので好都合である。
【0017】
更に、本発明の別の側面によれば、上述した本発明の方法を用いて、振動腕の一方又は両方の主面に長手方向溝を有しかつ基端部の振動腕側に段差を設けて基端側の厚さを厚くした音叉型圧電振動片のための圧電素子片を形成し、該圧電素子片の各主面及び側面、前記長手方向溝の内面に電極膜を形成しかつパターニングすることを特徴とする圧電振動片の製造方法が提供される。これにより、より一層の小型化の要求に対応しつつ、エッチング不良を起こすことなく高品質で形状精度の高い圧電振動片を簡単に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の好適な実施例である圧電振動片の製造方法を示すフロー図である。最初に、例えば水晶である圧電材料のウエハの両面にn層(n≧2:整数)の多層構造からなる耐蝕膜を積層する(ステップS1)。耐蝕膜は、通常前記ウエハのエッチング液に対して十分な耐蝕性を有する金属材料で形成する。耐蝕膜各層は、いずれもウエハ全面に成膜するので、その工程は比較的簡単で、かつ各金属膜を実質的に欠陥が無い好ましい厚さ、例えば100nm以下の良質の膜にすることができる。この耐蝕膜の層数nは、振動片の各主面に加工しようとする凹み領域の異なる深さの数により決定される。
【0019】
前記耐蝕膜の各層は、第一に、その隣接するいずれの2層の組み合わせにおいてもエッチング選択比が互いに大きくなるように構成する。更に前記耐蝕膜は、上側の層がパターニングされて下側の層が露出しているとき、この下側の層の露出部分及び上側の層の露出部分が、各1層分だけ同じエッチング液で同時に除去されるようにする。そのために、前記耐蝕膜各層は、その上面と下面とが、互いに使用するエッチング液によってエッチング選択比が大きい金属膜で形成される2膜又はそれ以上の多膜構造で構成することができる。このような耐蝕膜層として、例えば従来から圧電デバイスの電極膜として多用されているCr/Au膜が好ましい。
【0020】
前記耐蝕膜の上にはフォトレジスト層を、例えばスピンコートによりウエハ全面に形成する。このフォトレジスト層に、形成しようとする振動片の外形に対応する露光パターンを有する第1フォトマスクを用いて、振動片外形をパターニングする(ステップS2)。これにより露出した前記耐蝕膜の第1〜第n全層をウエットエッチングで除去し、ウエハ表面を露出させることにより、前記耐蝕膜に所望の振動片の外形を転写する(ステップS3)。このとき、前記耐蝕膜の余白部分即ち圧電振動片を形成しない枠の領域に、以後のマスク合わせに使用するためのアライメントマークを形成する。
【0021】
次に、残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。振動片の主面に形成される最も深い凹み領域の平面形状に対応する露光パターンを有する第2フォトマスクを用いて、この新たなフォトレジスト層に前記凹み領域の平面形状をパターニングする(ステップS4)。これにより露出した前記耐蝕膜の最上第n層の部分を該1層だけウエットエッチングし、その直ぐ下の第(n−1)層を露出させる(ステップS5)。
【0022】
n≧3の場合には、ステップS4、S5を(n−2)回繰り返し実行する(ステップS6)。即ち、同様に残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。次にこのフォトレジスト層を、振動片の主面に形成される2番目に深い凹み領域の平面形状に対応する露光パターンを有する第3フォトマスクを用いてパターニングする。これにより、先にパターニングされた前記耐蝕膜の最上の第n層をマスクとして、前記最も深い凹み領域の平面形状が直ぐ下側の第(n−1)層に転写されると同時に、前記2番目に深い凹み領域の平面形状が前記耐蝕膜の第n層にパターニングされる。更に3番目に深い凹み領域の平面形状を前記耐蝕膜第n層にパターニングしたとき、最も深い凹み領域及び2番目に深い凹み領域の平面形状は、それぞれ第(n−2)層及び第(n−1)層に転写される。
【0023】
このようにステップS4、S5を繰り返し実行することにより、最も浅い凹み領域を除く各凹み領域の平面形状を、その深さ毎にその順で前記耐蝕膜の第n層にパターニングすると同時に、先に前記第n層にパターニングした各凹み領域の平面形状をそれぞれ下側の耐蝕膜各層に転写していく。この繰り返し工程を、2番目に浅い凹み領域の平面形状が第n層にパターニングされ、前記最も深い凹み領域の平面形状が第2層に転写されて前記耐蝕膜の最下第1層が露出するまで行う。
【0024】
n=2の場合には、最も深い凹み領域が同時に2番目に浅い凹み領域となるので、ステップS4、S5を繰り返す必要が無く、ステップS5の終了後、直ちに次のステップS7に進めばよい。
【0025】
再び、残存する前記フォトレジスト層を完全に剥離した後、新たなフォトレジスト層をウエハ全面に形成する。このフォトレジスト層を、振動片主面の最も浅い深い凹み領域の平面形状及び振動片の外形に対応する露光パターンを有する第(n+1)フォトマスクを用いてパターニングする(ステップS7)。これにより、最終的にエッチングしない振動片の表面領域に対応する前記耐蝕膜第n層の部分を残して、前記耐蝕膜の表面及びウエハ表面を露出させる。尚、この工程及び上記ステップS4において繰り返し形成される各フォトレジスト層は、いずれも前記ウエハに振動片外形を加工する前であるので、例えばスピンコートにより簡単にかつ良好な状態で設けることができる。
【0026】
次に、露出した前記ウエハ表面を適当なエッチング液で貫通エッチングして、所望の振動片外形を形成する(ステップS8)。この後、前記耐蝕膜第n層の上にレジストパターンを残したまま、前記耐蝕膜の露出している部分を各1層だけウエットエッチングし、前記最も深い凹み領域に対応するウエハ表面を露出させると同時に、それより浅い前記各凹み領域の平面形状をそれぞれ直ぐ下側の前記耐蝕膜各層に、かつ前記最も浅い深い凹み領域の平面形状を第n層に転写する(ステップS9)。これは、前記耐蝕膜各層を例えば上述したCr/Au膜のような互いにエッチング選択比の大きい2膜構造にし、各膜をそれぞれ異なるエッチング液で選択的に除去することによって容易に行われる。これにより、全ての凹み領域の平面形状をその深さ順に組み込んだ、最終的に加工しようとする振動片の表面形状に対応する立体構造の耐蝕膜が、振動片外形を加工した前記ウエハ表面に完成する。
【0027】
露出した前記ウエハ表面は、適当なエッチング液で最終的な深さより浅い所定量だけハーフエッチングする(ステップS10)。次にステップS9と同様に、現在露出している前記耐蝕膜の表面各1層だけをエッチングにより除去し、前記2番目に深い凹み領域の平面形状に対応するウエハ表面を露出させると同時に、それより浅い前記各凹み領域の平面形状をそれぞれ直ぐ下側の前記耐蝕膜各層に転写する(ステップS11)。そして、ここで露出した前記ウエハ表面を、同様に適当なエッチング液で所望の深さより浅い所定量だけハーフエッチングする(ステップS12)。このとき、先にステップ10でウエハ表面に形成した前記最も深い凹み領域に対応する凹みも、同じ量だけ更にハーフエッチングされる。
【0028】
n≧3の場合には、ステップS11、S12を(n−2)回繰り返し実行する(ステップS13)。即ち、前記耐蝕膜各層の露出している部分を1層ずつエッチングで剥離し、かつその度毎に新たに露出するウエハ表面を所定量ハーフエッチングすると同時に、先にウエハ表面に形成した凹みをそれぞれ同じ量だけ更にハーフエッチングする。この繰り返し工程を、最後に前記耐蝕膜の第n層上に前記レジストパターンを形成した部分のみがウエハ表面に残るまで行うことによって、前記ウエハ表面に所望の全ての凹み領域が形成される。前記各ハーフエッチングは、この最終時点で各凹み領域の深さが所望の値又は範囲内にあるように調整・制御する。
【0029】
n=2の場合には、上述したように最も深い凹み領域が同時に2番目に浅い凹み領域となるので、ステップS11、S12を繰り返す必要が無く、ステップS12の終了後、直ちに次のステップS14に進めばよい。
【0030】
最後に、残存する前記レジストパターン及びその下の前記耐蝕膜全層を完全に除去すると、所望の外形及び表面形状即ち凹み領域を有する圧電素子片が完成する(ステップS14)。この圧電素子片の表面に公知技術を用いて電極膜をパターニングする(ステップS15)ことにより、所望の圧電振動片が得られる。各圧電振動片は、通常前記ウエハから個々に分離され、かつ所定のパッケージに搭載される。
【0031】
次に、上述した図1及び図2の方法を適用して、図9の音叉型水晶振動片に使用する水晶素子片を製造する過程を、図3乃至図8を用いて具体的に工程順に説明する。図3・図4は、水晶ウエハ10の上面を部分的に示す平面図で、想像線10´は形成しようとする水晶振動片1個分の領域である。図5・図6は、図9の水晶振動片1の基端部2及び振動腕3の長手方向即ちI−I線に沿う断面を、図7・図8は、図9の振動腕3の横断方向即ちII−II線に沿う断面をそれぞれ示している。
【0032】
図9の水晶振動片1はその主面に、振動腕2の深い溝5と基端部2から先端側の浅い段差5との2つの異なる深さの凹み領域が形成される。そこで、最初にステップS1で水晶ウエハ10の両面に、図3(A)、図5(A)、図7(A)に示すような2層構造の耐蝕膜11を全面に形成する。本実施例の耐蝕膜各層11a、11bは、それぞれスパッタリング又は蒸着でウエハ表面に積層したCr/Au膜で構成される。Cr/Au膜は従来から圧電デバイスの電極膜として広く使用されており、特にAu膜は、水晶用エッチング液に対する耐蝕性は良いが、水晶との密着性に劣ることから、水晶との密着性に優れたCr膜を下地層に用いることが好ましい。水晶への密着性が良い他の耐蝕性金属材料としては、Ni、Al等があり、これらをAu膜と組み合わせて用いることもできる。
【0033】
次にステップS2で、耐蝕膜11上にフォトレジスト層12をスピンコートによりウエハ全面に形成し、第1フォトマスクを用いて振動片1の外形を図3(B)、図5(B)、図7(B)のようにパターニングして、耐蝕膜11表面を露出させる。このとき、振動片の基端部2に対応する部分には水晶ウエハの枠部分に連結するための部分13が、前記水晶ウエハ枠部分にはマスク合わせのためのアライメントマーク(図示せず)が、併せてパターニングされる。ステップS3により、耐蝕膜11の露出した部分をウエットエッチングで完全に除去し、図3(C)、図5(C)、図7(C)に示すように水晶ウエハ10表面を露出させる。
【0034】
図3(D)〜(F)、図5(D)〜(F)、図7(D)〜(F)はステップS4を示しており、残存するフォトレジスト層12を完全に除去した後、新たにフォトレジスト層14をスピンコートによりウエハ全面に形成する。フォトレジスト層14は、第2フォトマスクを用いて最も深い凹み領域である溝4に対応する平面形状をパターニングし、耐蝕膜11表面を露出させる。次にステップS5において、露出した耐蝕膜11の上側第2層11bをウエットエッチングで図3(G)、図5(G)、図7(G)のように除去する。Cr膜とAu膜とは、それぞれ適当なエッチング液を用いることによって選択的に除去できるので、耐蝕膜11各層を露出している1層だけエッチングすることは容易である。
【0035】
本実施例では、凹み領域の異なる高さの数nが2であるので、ステップS4、S5を繰り返すステップS6の工程は省略する。図3(H)〜図4(J)、図5(H)〜図6(J)、図7(H)〜図8(J)はステップS7を示しており、残存するフォトレジスト層14を完全に除去した後、新たにフォトレジスト層15をスピンコートによりウエハ全面に形成する。フォトレジスト層15は、第3フォトマスクを用いて振動片1の外形と最も浅い凹み領域である段差5に対応する平面形状とをパターニングし、水晶ウエハ10表面及び耐蝕膜11表面を露出させる。
【0036】
水晶ウエハ10の露出面は、ステップS8により適当なエッチング液で貫通エッチングし、図4(K)、図6(K)、図8(K)に示すように連結部分13を含む振動片1の外形を形成する。次に耐蝕膜11は、ステップS9により第1層11a及び第2層11bの各露出部分をそれぞれ1層分だけウエットエッチングする。これにより、図4(L)、図6(L)、図8(L)に示すように、振動腕3の溝4に対応するパターンが耐蝕膜第2層11bから第1層11aに転写されて水晶ウエハ10表面を露出させ、かつ段差5に対応するパターンがフォトレジスト層15から耐蝕膜第2層11bに転写される。
【0037】
次に図4(M)、図6(M)、図8(M)において、ステップS10により水晶ウエハ10露出面を適当なエッチング液で所定量だけハーフエッチングし、振動腕3の溝4を所望の深さより浅く加工する。更に、露出した耐蝕膜第2層11bを、ステップS11に従ってウエットエッチングにより除去し、図4(N)、図6(N)、図8(N)に示すように水晶ウエハ10表面を露出させる。水晶ウエハ10の露出面は、ステップS12により所定量ハーフエッチングし、図4(O)、図6(O)、図8(O)に示すように段差5を所望の深さに形成する。このとき同時に、先に加工された溝4は、同じ量だけ更にハーフエッチングされ、その結果所望の深さが得られる。
【0038】
上述したように本実施例では、凹み領域の異なる高さの数nが2であるので、ステップS11、S12を繰り返すステップS13の工程は省略し、次のステップS14に進む。残存するフォトレジスト層15及びその下側の耐蝕膜11全層を完全に除去すると、図4(P)、図6(P)、図8(P)に示すように所望の外形及び表面形状を有する水晶素子片16が完成する。更にこの水晶素子片16は、連結部分13により前記ウエハ枠部分に結合された状態のまま、その表面に必要な電極膜をパターニングすることにより、図9の音叉型水晶振動片1が完成する。
【0039】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はその技術的範囲において上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。例えば、上記実施例では、ウエハの両面に同じ多層耐蝕膜を形成して同じ表面形状を加工する場合を説明したが、その片面にのみ耐蝕膜を設けて表面形状を加工したり、各面に異なる構造の耐蝕膜を形成しかつ/又は異なるパターニングを行って、異なる表面形状を加工することもできる。また、耐蝕膜の第2層11bはCr膜のみ又は他の適当な1種の金属膜で形成することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、上述したように圧電素子片の外形加工前に、異なる複数の深さの領域毎に各層をパターニングした多層構造の耐蝕膜をウエハ表面に形成し、圧電素子片の外形加工後は、耐蝕膜の露出する各1層を剥離しつつそれにより露出するウエハ表面をハーフエッチングする工程を繰り返して、所望の圧電素子片の外形及び表面形状を加工することによって、第1に耐蝕膜が比較的簡単に成膜でき、かつ実質的に欠陥の無い良好な膜が得られると共に、より正確にフォトエッチングすることができる。そのため、従来技術のような耐蝕膜及びフォトレジスト層の欠陥やそれによるエッチング不良を起こす虞が無い。しかも、アライメントマークがその形成後のエッチングにより変形する虞が無いので、マスク合わせの精度が高い。従って、複雑な表面形状であっても、より一層の小型化が要求されても、工数を大幅に増やすことなく低コストで、常に高品質で形状精度の高い圧電素子片及び圧電振動片を製造することができる。また、外形加工後のウエハの取扱いが容易で不良品の発生が少ないので、歩留まり及び生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電振動片の製造方法の一部工程を示すフロー図。
【図2】図1に続く工程を示す同様のフロー図。
【図3】本発明の方法を適用して図9に示す形状の音叉型水晶素子片を加工する工程を、その上面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる平面図。
【図4】図3に続く工程を工程順に示す同様の平面図。
【図5】図3に対応する工程を、図9のI−I断面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる断面図。
【図6】図5に続く工程を工程順に示す同様の断面図。
【図7】同じく図3に対応する工程を、図9のII−II断面において工程順に示す(A)〜(H)図からなる振動腕の断面図。
【図8】図7に続く工程を工程順に示す同様の断面図。
【図9】振動腕の主面に溝を有しかつ基端部から振動腕側に段差を設けた音叉型水晶振動片を、その電極膜を省略して示す概略斜視図。
【符号の説明】
1 水晶振動片、2 振動腕、3 溝、4 基端部、5 段差、10 水晶ウエハ、10´ 領域、11 耐蝕膜、11a 第1層、11b 第2層、12、14、15 フォトレジスト層、13 連結部分、16 水晶素子片
Claims (8)
- 圧電材料のウエハの表面にn(n≧2:整数)層の耐蝕膜を積層する工程と、
前記耐蝕膜の上にフォトレジスト層を形成し、フォトマスクを用いてパターニングし、露出した前記耐蝕膜の全n層をエッチングにより除去して、前記ウエハの表面を露出させる第1エッチング工程と、
残存する前記フォトレジスト層を除去した後、前記ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングし、前記耐蝕膜の露出した1層をエッチングにより除去する第2エッチング工程と、
前記第2エッチング工程を、前記耐蝕膜の最下層が露出するまで繰り返し行う工程と、
残存する前記フォトレジスト層を除去した後、前記ウエハ全面に新たにフォトレジスト層を形成し、別のフォトマスクを用いてパターニングすることにより、前記耐蝕膜の最上層の上にレジストパターンを形成し、かつ前記第1エッチング工程において露出させた前記ウエハ表面を再度露出させる工程と、
再度露出させた前記ウエハ表面を貫通エッチングし、圧電素子片の外形を形成する工程と、
前記耐蝕膜の露出している各1層をエッチングにより除去し、かつそれにより露出した前記ウエハ表面を所定量ハーフエッチングする工程と、
前記ハーフエッチング工程を、前記レジストパターンを形成した領域を除いた前記ウエハの表面がハーフエッチングされるまで繰り返し行い、圧電素子片の表面形状を加工する工程と、
前記レジストパターン及びその下側の前記耐蝕膜を完全に除去する工程とからなることを特徴とする圧電素子片の加工方法。 - 前記耐蝕膜を前記ウエハの両面に形成することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子片の加工方法。
- 前記圧電材料が水晶であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子片の加工方法。
- 前記耐蝕膜の各層の上面及び下面が、エッチング選択比の大きい異なる金属材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電素子片の加工方法。
- 前記耐蝕膜の各層がCr/Au膜からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電素子片の加工方法。
- 前記耐蝕膜の最上層がCr膜からなることを特徴とする請求項5に記載の圧電素子片の加工方法。
- 前記耐蝕膜の最下層が、前記ウエハ表面に被着されるCr、Al又はNi膜を有することを特徴とする請求項3に記載の圧電素子片の加工方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法を用いて、振動腕の一方又は両方の主面に長手方向溝を有しかつ基端部の振動腕側に段差を設けて基端側の厚さを厚くした音叉型圧電振動片のための圧電素子片を形成し、
前記圧電素子片の各主面及び側面、前記長手方向溝の内面に電極膜を形成しかつパターニングすることを特徴とする圧電振動片の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002262139A JP2004104365A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002262139A JP2004104365A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004104365A true JP2004104365A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32262264
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002262139A Withdrawn JP2004104365A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004104365A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006229271A (ja) * | 2005-02-15 | 2006-08-31 | Citizen Watch Co Ltd | 振動体デバイスの製造方法 |
JP2008136095A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-12 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および圧電デバイス |
JP2009016988A (ja) * | 2007-07-02 | 2009-01-22 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 圧電デバイス及び圧電振動片 |
JP2009253622A (ja) * | 2008-04-04 | 2009-10-29 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および圧電デバイス |
JP2010074257A (ja) * | 2008-09-16 | 2010-04-02 | Citizen Finetech Miyota Co Ltd | 圧電振動片の製造方法 |
JP2011250478A (ja) * | 2011-09-02 | 2011-12-08 | Seiko Epson Corp | 振動基板の製造方法 |
JP2012161104A (ja) * | 2012-05-18 | 2012-08-23 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および振動デバイス |
-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002262139A patent/JP2004104365A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006229271A (ja) * | 2005-02-15 | 2006-08-31 | Citizen Watch Co Ltd | 振動体デバイスの製造方法 |
JP4664700B2 (ja) * | 2005-02-15 | 2011-04-06 | シチズンホールディングス株式会社 | 振動体デバイスの製造方法 |
JP2008136095A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-12 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および圧電デバイス |
JP2009016988A (ja) * | 2007-07-02 | 2009-01-22 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 圧電デバイス及び圧電振動片 |
JP2009253622A (ja) * | 2008-04-04 | 2009-10-29 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および圧電デバイス |
JP2010074257A (ja) * | 2008-09-16 | 2010-04-02 | Citizen Finetech Miyota Co Ltd | 圧電振動片の製造方法 |
JP2011250478A (ja) * | 2011-09-02 | 2011-12-08 | Seiko Epson Corp | 振動基板の製造方法 |
JP2012161104A (ja) * | 2012-05-18 | 2012-08-23 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 音叉型圧電振動片および振動デバイス |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1647803B1 (en) | Angular speed sensor and method for fabricating the same | |
US7901587B2 (en) | Manufacturing method for vibrator | |
JP2004104365A (ja) | 圧電素子片の加工方法、及び圧電振動片の製造方法 | |
US20100141100A1 (en) | Method of manufacturing piezoelectric oscillating pieces, piezoelectric oscillating piece, and piezoelectric resonator | |
GB1600706A (en) | Subminiature quartz crystal vibrator and method for manufacturing the same | |
JP4010218B2 (ja) | 圧電振動片の製造方法 | |
JP5769557B2 (ja) | 水晶振動子片の製造方法 | |
JP2007142795A (ja) | 圧電振動片の製造方法およびアライメントマーカーの形成方法 | |
JP2008169414A (ja) | 成膜用治具 | |
JP2559768B2 (ja) | クロム膜のテーパーエッチング方法 | |
JP5038078B2 (ja) | 圧電振動子の製造方法 | |
US20230188109A1 (en) | Method For Manufacturing Vibrator Element | |
JP2010183208A (ja) | ウエットエッチング方法及び音叉型圧電素子片の加工方法 | |
JPH10270967A (ja) | 水晶振動子の製造方法 | |
US20230139098A1 (en) | Method for Manufacturing Vibration Element | |
US20230155564A1 (en) | Method for Manufacturing Vibration Element | |
JP3442517B2 (ja) | 水晶振動子の製造方法 | |
JP2009231484A (ja) | 圧電型memsおよび圧電型memsの製造方法 | |
JP2017169008A (ja) | 音叉型圧電振動片の製造方法 | |
JPH1167716A (ja) | 酸化ケイ素を主成分とする基板のエッチング方法 | |
JP6424076B2 (ja) | 圧電振動子の製造方法 | |
JP2009088753A (ja) | 圧電振動子の製造方法 | |
JP2008252769A (ja) | 水晶振動子の製造方法 | |
JP4016695B2 (ja) | 圧電振動デバイスの製造方法及びその製造方法により製造された圧電振動デバイス | |
JPS61185930A (ja) | 両面マスク合せ用アラインメントマ−クを有する半導体基板およびその製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050114 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070220 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070423 |