JP2008136095A - 音叉型圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents

音叉型圧電振動片および圧電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 音叉型圧電振動片の製造途中において破損しにくくするとともに、音叉型圧電振動子を衝撃または振動に強くした音叉型圧電振動片または音叉型圧電振動子を提供する。
【解決手段】 音叉型圧電振動片(20)は、第1厚さ(D2)の基部(29)と、第1厚さよりも薄い第2厚さ(D1)で基部の一端部より突出して形成される第1および第2の振動腕と(21)、を有する。また、この音叉型圧電振動片を利用した圧電振動子(50)を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電材料よりなる音叉型の圧電振動片、この圧電振動片を有する圧電デバイスに関する。より詳細には強度を増した音叉型圧電振動片に関する。
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話などのクロック源等において、音叉型圧電振動片や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。そして、これら製品の小型化の要求に伴って、音叉型圧電振動片などの小型化がさらに求められている。
たとえば、特許文献1に開示されるような溝部付の音叉型圧電振動片が提案されている。溝部付の音叉型圧電振動片は、振動片の大きさを小型化しても、振動腕の振動損失が低くCI値(クリスタルインピーダンスまたは等価直列抵抗)も低く抑えることができるという特性を有する。このため、溝部付の音叉型圧電振動片は、たとえば特に小型でも高精度な性能が求められる振動子に適用されている。溝部付の音叉型圧電振動片の大きさとしては、振動腕の長さが1.644mm、振動腕の幅が0.1mmとなっており、この振動腕に幅0.07mmの幅で溝が形成されている。さらに、基部は縦方向の長さが0.56mmとなり、全体として小型化された音叉型圧電振動片である。
特開2001−261575号公報
このような音叉型圧電振動片は非常に小さいものであり、製造途中において破損してしまうことがある。また、このような音叉型圧電振動片をパッケージングした音叉型圧電振動子を、実際に電子機器等に使用すると、使用者の不注意等により電子機器等が落下し、この落下等により音叉型圧電振動子も衝撃を受けることになる。この衝撃で音叉型圧電振動片が発振する周波数が大きく変化すると、音叉型圧電振動片および圧電デバイスの不良の原因となる。さらに、音叉型圧電振動片の基部を小さくすると、振動腕に垂直方向成分を有した振動が生じた際に、振動腕の振動が基部へ漏れ、その振動を抑えることができない。
本発明の目的は、音叉型圧電振動片の製造途中において破損しにくくするとともに、音叉型圧電振動子を衝撃または振動に強くした音叉型圧電振動片または音叉型圧電振動子を提供することである。
第1の観点の音叉型圧電振動片は、第1厚さの基部と、第1厚さよりも薄い第2厚さで基部の一端部より突出して形成される第1および第2の振動腕と、を有する。
上記構成によれば、第1および第2の振動腕が基部よりも薄い。振動腕の厚みは周波数振動数によって凡その大きさが決まるので、逆に言えば、基部が振動腕に比べて厚いことを意味する。基部が厚いため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、パッケージされた圧電振動子であっても、衝撃・振動に強くなる。
第2の観点の音叉型圧電振動片は、第1厚さは、第2厚さよりも5パーセント以上厚い。
上記構成によれば、基部の第1厚さが、振動腕の第2厚さよりも5パーセント程度厚いため、振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。基部の第1厚さが振動腕の第2厚さより厚くなればなるほど基部の体積が大きくなり、振動腕の漏れ振動を基部で緩和することができる。
第3の観点の音叉型圧電振動片は、第1厚さは、第2厚さの5倍以内である。
基部の第1厚さが厚くなればなるほど、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、振動腕の漏れ振動を基部で緩和することができるが、基部の第1厚さと振動腕の第2厚さとの差異が大きくなると、無駄にする圧電材料が増えるとともに、製造時間、たとえば、圧電材料のエッチング時間がかかることになる。このため、第1厚さが第2厚さの5倍以内であれば、製造コストの観点から適している。
第4の観点の感光剤塗布方法は、振動腕の先端部または中間部において第2厚さよりも厚い第3厚さを有する。
振動腕の先端部または中間部が厚い第3厚さを有していれば、振動腕の重量が増すことで、振動腕が振動しやすくなる。このため所定の振動周波数を得るために必要な振動腕の腕長さを短くすることができる。したがって、さらに小型化の音叉型圧電振動片を提供できることになる。
第5の観点の音叉型圧電振動片は、基部の一端部は第1幅を有し、基部の他端部は第1幅よりも幅の広い第2幅を有する。
振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。
第6の観点の音叉型圧電振動片によれば、基部の一端部と他端部との間に、第1幅よりも狭い第3幅の切り込む部が形成されている。
振動腕が振動する際に図1(a)に示すようなX方向成分だけでなく、Z方向の成分を有した振動を生じても、振動腕のZ方向成分の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。また、幅の狭い切り込み部が形成されていても、基部の厚みが厚いため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくく、また、パッケージされた圧電振動子であっても、衝撃・振動に強くなる。
第7の観点の音叉型圧電振動片は、第1および第2の振動腕には、溝部が形成されるとともにその溝部に導電パターンが形成される。
上記構成によれば、音叉型圧電振動片の振動腕の腕長さを短くしても、CI値の上昇およびCI値のばらつきを抑えることができる。
また第8の観点の音叉型圧電振動片は、基部の第一面と振動腕の第一面とは同一面であり、基部の第二面と振動腕の第二面とが異なる高さである。
図1(b)に示すように基部29の両面と振動腕21の両面とに段差を形成するには、露光(リソグラフィ)工程とエッチング工程とを行う際には、表面と裏面とに位置ズレなくフォトマスクを露光する必要がある。一方、図3(b)のように基部49の片面と振動腕41の片面のみに段差を形成するには、片面のみを露光してエッチングすれば、基部の第二面と振動腕の第二面とを異なる高さにすることができる。露光しない基部の第一面と振動腕の第一面とは同一面となるが、基部の第1厚さが振動腕の第2厚さより厚くなるため、音叉型圧電振動片が製造過程において破損しにくい。それでありながら、露光工程の際に両面を露光する必要が無く製造が簡単になる。
また第9の観点の圧電デバイスは、第1の観点ないし第9の観点の音叉型圧電振動片と、音叉型圧電振動片を真空封止するパッケージとを備える。
圧電デバイスとしても、衝撃または振動に強くなる。
また第10の観点の音叉型圧電振動片の製造方法は、第1フォトマスクを使用して音叉型圧電振動片の外形形状を形成する工程と、第1フォトマスクと異なる第2フォトマスクを使用して、第1および第2の振動腕の厚みを薄くする工程と、を有する
振動腕を基部の厚さより薄くするために第1フォトマスクと第2フォトマスクを使用することで正確な位置調整ができるとともに厚さ調整が可能となる。
本発明によれば、非常に小さな音叉型圧電振動片が、製造途中において破損してしまうおそれを少なくするとともに、このような音叉型圧電振動片をパッケージングした音叉型圧電振動子が衝撃または振動を受けた際にも、安定した周波数振動を行うことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
<音叉型水晶振動片20の構成>
<<実施形態1>>
図1(a)は、第1の音叉型水晶振動片20の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。(c)は、音叉型水晶振動片20の一本の振動腕21のC−C断面図である。第1の音叉型水晶振動片20の母材は、ATカットに加工された水晶単結晶ウエハ10で形成されている。図1(a)に示すように、第1の音叉型水晶振動片20は、第1基部29−1と第2基部29−2とから構成される基部29と、この第1基部29−1から図1において上方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕21を備えている。以下、本実施形態では一対の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片で説明するが、3本または4本の振動腕21を備えた水晶振動片であってもよい。
第1の音叉型水晶振動片20は、たとえば32.768kHzで信号を発信する振動片で、極めて小型の振動片となっている。図1(a)において、振動腕21の長さL1は、1.50mmから1.70mmであり、基部29の長さL2は0.50mmから0.70mm程度であり、第1の音叉型水晶振動片20の全体の長さが2.00mmから2.40mm程度である。第1基部29−1の幅W1は0.34mmから0.50mm、第2基部29−2の幅W2は0.40mmから0.60mm程度である。振動腕21の幅W3は0.08mmから0.13mm程度である。図1(b)に示すように、振動腕21の厚さD1は、0.08mmから0.13mmであり、基部29の厚さD2は0.085mmから0.50mm程度である。基部の厚さD2の方が少なくとも振動腕21の厚さD1より5μm以上厚い。つまり約5パーセント程度厚くなっており、振動腕21が振動する際に垂直方向成分を有した振動が生じても、振動腕21の振動が基部へ漏れる振動を緩和することができる。また基部の厚さD2は、0.5mmよりも薄く、つまり5倍以内としている。振動腕21との厚さの違いが大きくなるとウェットエッチングなどの工程で時間がかかり、また無駄になる水晶の量が多くなる。このため、製造コストを考えて0.5mmよりも小さくしている。0.5mmよりも小さくしている。
振動腕21の厚さD1から基部29の厚さD2へ厚くなるため、振動腕21が振動する際に垂直方向成分を有した振動が生じても、振動腕21の振動が第2基部29−2へ漏れる振動を緩和することができる。さらに、基部の厚さD2が厚いため、製造途中において破損することが少なくなり、また、衝撃や振動にも強くなる。
音叉型水晶振動片20の振動腕21の表裏面には、溝部211が形成されている。一本の振動腕21の表面に2つの溝部211が形成されており、振動腕21の裏面側にも同様に2つの溝部211が形成されている。つまり、一対の振動腕21には4箇所の溝部211が形成される。溝部211の深さは、振動腕21の厚さの約35〜45%である。溝部211の幅W4は、振動腕21の幅W3の約65〜85%である。表裏面に溝部211があるため、図1(c)に示すように、溝部211の断面は、H型に形成されている。溝部211は、小型化が進むとCI値が上昇するので、CI値を下げるために設けられている。
第1の音叉型水晶振動片20の基部29は、その全体が板状に形成されている。第1基部29−1の幅W1と第2基部29−2の幅W2との差異があるため、振動腕21が振動する際に垂直方向成分を有した振動が生じても、振動腕21の振動が第2基部29−2へ漏れる振動を緩和することができる。第1の音叉型水晶振動片20の基部29には、連結部28が2箇所設けられている。連結部28は、水晶単結晶ウエハ10から、図1に示す音叉形状をフォトリソグラフィおよびウェットエッチングで形成する際に、水晶単結晶ウエハ10と第1の音叉型水晶振動片20とを連結する部分である。
音叉型水晶振動片20の振動腕21および基部29には、第1電極パターン23と第2電極パターン25とが形成されている。第1電極パターン23と第2電極パターン25とはともに、150オングストローム〜700オングストロームのクロム(Cr)層の上に400オングストローム〜2000オングストロームの金(Au)層が形成された構成である。クロム(Cr)層の代わりに、チタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。また、一層からなる場合もあり、このときは、たとえばAl(アルミ)層が用いられる。
第1の音叉型水晶振動片20の基部29には、図1(a)に示すように、第1基部電極23aと第2基部電極25aとが形成され、腕部21の溝部211には、第1溝電極23d,第2溝電極25dがそれぞれ形成される。また、図1(c)に示すように、(a)の左側の腕部21の両側面には、第2側面電極25cが形成されている。図示しない右側の腕部21の両側面には、第1側面電極23cが形成されている。
<<実施形態2>>
図2は、別の実施形態である第2の音叉型水晶振動片30である。(a)は、第2の音叉型水晶振動片30の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。実施形態で示した第1の音叉型水晶振動片20と異なる部分のみ符号が異なり、同じ部分には同じ符号を付している。第2の音叉型水晶振動片30も、たとえば32.768KHzで信号を発信する振動片ある。
実施形態2の第2の音叉型水晶振動片30が、第1の音叉型水晶振動片20と大きく異なるところは、振動腕31の先端部32も厚くなっている点である。また、音叉型水晶振動片30の振動腕31には、一本の振動腕31の表面に1つの溝部311が形成されており、振動腕31の裏面側にも同様に1つの溝部311が形成されている点が異なり、また、基部39が第3基部39−3を有している点が異なる。
第2の音叉型水晶振動片30は、第1の音叉型水晶振動片20の振動腕21と先端形状が異なる振動腕31を有し、また、基部29と異なる形状の基部39を有している。
振動腕31の長さL3は、1.20mmから1.50mmであり、基部39の長さL2は0.50mmから0.70mm程度であり、第2の音叉型水晶振動片30の全体の長さが1.70mmから2.20mm程度である。振動腕31の幅W3は0.08mmから0.13mm程度である。図2(b)に示すように、振動腕31の厚さD1は、0.08mmから0.13mmである。但し、振動腕31の先端部32の長さL4は、厚さD3は、0.085mmから0.50mmである。この先端部32の長さL3は、0.10mmから0.70mm程度である。先端部32の長さL3が0.70mmのときには、溝部311の先端とほぼ接する程度にまで、先端部の厚さD3が厚いことになる。
この振動腕31の先端部32は、振動腕31の根元側よりも厚みが厚いため重たくなっており、振動腕31が振動しやすくなっている。このため、振動腕31の長さL3は、実施形態1の振動腕21の長さL1よりも短くなっている。このため、実施形態2の振動腕31は、衝撃などの強度の確保とともに音叉型水晶振動片30の小型化を図ることができる。
図示しないが、第1電極パターン23と第2電極パターン25とは絶縁された金属膜を形成し、振動腕31の先端部32をより重たくしてもよい。また、振動腕31の厚い箇所は先端部32ではなく、振動腕31の先端と溝部311の先端との中間部に設けてもよい。
基部39は、第1基部39−1、第2基部39−2および第3基部39−3から構成される。第1基部39−1の幅W1は0.34mmから0.50mm、第2基部39−2の幅W2は0.40mmから0.60mm、第3基部39−3の幅W5は0.25mmから0.40mm程度である。基部39の厚さD2は0.085mmから0.50mm程度である。すなわち、第3基部39−3は、第1基部39−1と第2基部39−2との間で、切れ込み部を形成している。この切れ込み部は、振動腕31が振動する際に垂直方向成分を有した振動が生じても、振動腕31の振動が第2基部39−2へ漏れる振動を緩和することができる。また、第3基部39−3の幅W5は細くなっても、基部39の厚さD2が厚いので、製造途中において破損することが少なくなり、また、衝撃や振動にも強くなる。
<<実施形態3>>
図3は、別の実施形態である第3の音叉型水晶振動片40である。(a)は、第3の音叉型水晶振動片40の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。実施形態で示した第1の音叉型水晶振動片20と異なる部分のみ符号が異なり、同じ部分には同じ符号を付している。第3の音叉型水晶振動片40も、たとえば32.768KHzで信号を発信する振動片ある。
実施形態3の第3の音叉型水晶振動片40が、第1の音叉型水晶振動片20または第2の音叉型水晶振動片30と大きく異なるところは、(b)の側面図から理解できるように、振動腕41の片面と基部49の片側とは同一面で、基部49の他方の片側のみ厚くなっているところである。
第3の音叉型水晶振動片40は、第1の音叉型水晶振動片20と平面形状は同じであり、側面のみ形状が異なる。このため、図3(a)に示す第3の音叉型水晶振動片40の寸法は、第1の音叉型水晶振動片20と同じである。一方、図3(b)に示すように、振動腕31の厚さD1は、0.08mmから0.13mmである。基部49の厚さD4は0.085mmから0.50mm程度である。基部の厚さD2の方が少なくとも振動腕41の厚さD1より5μm以上厚く、また基部の厚さD2は、0.5mmよりも小さくしている。振動腕21との厚さの違いが大きくなるとウェットエッチングなどの工程で時間がかかり、また無駄になる水晶の量が多くなる。このため、製造コストを考えて0.5mmよりも小さくしている。0.5mmよりも小さくしている。
第3の音叉型水晶振動片40の基部49は、その全体が板状に形成されている。第1基部49−1の幅W1と第2基部49−2の幅W2との差異があるため、振動腕41が振動する際に垂直方向成分を有した振動が生じても、振動腕41の振動が第2基部49−2へ漏れる振動を緩和することができる。
<<他の実施形態>>
図では示さないが、図3に示した第3の音叉型水晶振動片40の振動腕41に、図2に示した実施形態2の厚い先端部32を形成したり、一本の振動腕41の表面に1つの溝部311を形成したりしてもよい。また、第3の音叉型水晶振動片40の基部49に、図2に示した切れ込み形状の第3基部39−3を形成してもよい。
本発明では、振動腕21、31および41よりも、基部29、39および49が厚い。このため、音叉型水晶振動片の製造途中において破損することが少なくなり、また、音叉型水晶振動片は衝撃や振動に対して強くなる。
<セラミックパケージ音叉型振動子の構成>
図4(a)は、本実施形態に係るセラミックパケージ音叉型振動子50を示す図である。
このセラミックパケージ音叉型振動子50は、上述の第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40を使用している。図4(a)は、セラミックパケージ音叉型振動子50の構成を示す概略断面図である。セラミックパケージ音叉型振動子50は、その内側に空間を有する箱状のパッケージ52を有している。このパッケージ52には、その底部にベース部54を備えている。このベース部54は、酸化アルミニウム質の混練物からなるセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層し、焼結して形成されている。
ベース部54の上には、封止材58が設けられており、この封止材58は、蓋体56と同様の材料から形成されている。また、この封止材58の上には蓋体56が載置され、これらベース部54、封止材58および蓋体56で、中空の箱体を形成することになる。コバール等の金属材料で形成される場合には、蓋体56はシーム溶接等の手法により、ベース部54に対して固定される。
このように形成されているパッケージ52のベース部54上にはパッケージ側電極59が設けられている。このパッケージ側電極の上には導電性接着剤59を介して第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40の基部電極23a、25aが電気的に接続される。パッケージ側電極は、パーケージの外側に形成されたタングステンメタライズ上にニッケルメッキおよび金メッキが施された電極部に接続される。
この第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40は、電極部から一定の電流が与えられると振動するようになっている。このとき、基部29、基部39または基部49が振動腕よりも厚いため、音叉型水晶振動片が衝撃や振動に対して強くなる。
<音叉水晶発振器の構成>
図4(b)は、音叉水晶発振器60を示す図である。このデジタル音叉水晶発振器60は、上述のセラミックパケージ音叉型振動子50と多くの部分で構成が共通している。したがって、セラミックパケージ音叉型振動子50と同じ構成、作用等については、同一符号を付する等して、その説明を省略する。
図4(b)に示す音叉型水晶発振器60は、図4(a)に示すセラミックパッケージ音叉振動子50のベース部54の上に集積回路61を配置したものである。すなわち、音叉水晶発振器60では、その内部に配置された、第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40が振動すると、その振動は、集積回路61に入力され、その後、所定の周波数信号を取り出すことで、発振器として機能することになる。
<シリンダータイプ音叉水晶発振器の構成>
図4(c)は、シリンダータイプ音叉振動子70を示す概略図である。このシリンダータイプ音叉振動子70は、上述の第1の音叉型水晶振動片20、第2の音叉型水晶振動片30または第3の音叉型水晶振動片40を使用している。
シリンダータイプ音叉振動子70は、その内部に音叉型水晶振動片20を収容するための金属製のキャップ75を有している。このキャップ75は、ステム73に対して圧入され、その内部が真空状態に保持されるようになっている。また、キャップ75に収容された音叉型水晶振動片20を保持するためのリード71が2本配置されている。
<セラミックパケージ音叉型振動子50の製造工程>
図5ないし図8は、図1で示した第1の音叉型水晶振動片20を使って図4(a)に示したセラミックパケージ音叉型振動子50を製造する工程を示したフローチャートである。音叉型水晶発振器60またはシリンダータイプ音叉振動子70の製造工程は、大筋は同じである。
<<水晶振動片の外形形成の工程>>
図5は、音叉型水晶振動片の外形形成の工程のフローチャートと、水晶振動片の外形形成に使用される外形フォトマスク91の一部を示した図である。
ステップS112では、水晶単結晶ウエハ10の全面に、耐蝕膜をスパッタリングもしくは蒸着などの手法により形成する。すなわち、圧電材料としての水晶単結晶ウエハ10を使用する場合に、金(Au)や銀(Ag)等を直接成膜することは困難なため、下地としてクロム(Cr)やチタン(Ti)等を使用する。つまり、この実施形態では、耐蝕膜としてクロム層の上に金層を重ねた金属膜を使用する。
ステップS114では、クロム層および金層が形成された水晶単結晶ウエハ10に、フォトレジスト層を全面にスピンコートなどの手法で均一に塗布する。フォトレジスト層としては、たとえば、ノボラック樹脂によるポジフォトレジストを使用できる。
次に、ステップS116では、図9に示す露光装置100を用いて、外形フォトマスク91のパターン91−2をフォトレジスト層が塗布された水晶単結晶ウエハ10に露光する。水晶単結晶ウエハ10の両面からウェットエッチングができるように水晶単結晶ウエハ10の両面に露光する。
外形フォトマスク91は、フォトレジスト層がポジフォトレジストの場合には、マスク枠91−1と音叉型振動片パターン91−2とは、石英ガラスの上にクロムで描かれている。斜線部91−3は透過領域で透明な石英ガラスのままである。フォトレジスト層がポジフォトレジストの場合には、逆に、斜線部91−3がクロムで遮光された状態になっている。本実施形態では以下、ポジフォトレジストを前提として説明する。音叉型振動片パターン91−2は、図1で示した第1の音叉型水晶振動片20の一対の振動腕21および基部29の外形と一致する。
ステップS118では、水晶単結晶ウエハ10のフォトレジスト層を現像して、感光したフォトレジスト層を除去する。さらに、フォトレジスト層から露出した金層をたとえば、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液を用いて、金層をエッチングする。次いで、金層が除去されて露出したクロム層を、たとえば硝酸第2セリウムアンモニウムと酢酸との水溶液でエッチングする。水溶液の濃度、温度および水溶液に浸している時間を調整して余分な箇所が侵食されないようにする。これで耐蝕膜を除去することができる。次に、フッ酸溶液をエッチング液として、フォトレジスト層および耐蝕膜から露出した水晶材料を、音叉型水晶振動片20の外形になるようにウェットエッチングを行う。このウェットエッチングは、フッ酸溶液の濃度や種類、温度等により時間が変化するが、約6時間ないし約15時間かかる。
ステップS120では、不要となったフォトレジスト層と耐蝕膜を除去することによりに、図1示した第1の音叉型水晶振動片20が形成される。ただし、水晶単結晶ウエハ10と第1の音叉型水晶振動片20とは、連結部28で連結された状態であり、第1の音叉型水晶振動片20は個々に切り取られていない。
<<振動腕の厚さを薄くする工程>>
図6は、振動腕の厚さを薄くする工程のフローチャートと、基部と振動腕とに段差を形成する段差用フォトマスク92の一部を示した図である。
ステップS122では、第1の音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、水晶単結晶ウエハ10の全面に、クロム層の上に金層を重ねた金属膜をスパッタリングもしくは蒸着などの手法により形成する。
ステップS124では、クロム層および金層が形成された水晶単結晶ウエハ10に、フォトレジストをスピンコートまたはスプレーなどの手法で均一に塗布する。
次に、ステップS126では、図9に示す露光装置100を用いて、段差用フォトマスク92のパターン92−2をフォトレジスト層が塗布された第1の音叉型水晶振動片20に合わせて露光する。水晶単結晶ウエハ10の両面からウェットエッチングができるように水晶単結晶ウエハ10の両面に露光する。なお、図3に示した第3の音叉型水晶振動片40の場合には、片側からのみウェットエッチングを行うので、段差用フォトマスク92のパターン92−2を水晶単結晶ウエハ10の片面のみに露光する。
段差用フォトマスク92は、マスク枠92−1と振動腕パターン92−2とが石英ガラスの上にクロムで描かれている。振動腕パターン92−2は、図1で示した第1の音叉型水晶振動片20の一対の振動腕21の外形と一致する。なお、すでに外形が形成された第1の音叉型水晶振動片20に対して露光するので、基部29の方に広がらなければ、振動腕21よりも大きなパターンであっても支障はない。
また図2に示した第2の音叉型水晶振動片30の場合には、先端部32をエッチングしないように遮光した段差用フォトマスク92を用意する。
ステップS128では、水晶単結晶ウエハ10のフォトレジスト層を現像して、感光したフォトレジスト層を除去する。さらに、フォトレジスト層から露出した金層をエッチングする。次いで、金層が除去されて露出したクロム層をエッチングする。このウェットエッチングは、振動腕21の厚さを薄くするためのものであるので、途中までエッチングを行ういわゆるハーフエッチングを行う。フッ酸溶液の濃度や種類、温度等により、エッチング時間は変化する。
ステップS130では、不要となったフォトレジスト層と耐蝕膜を除去することによりに、振動腕21の厚みが薄くなった第1の音叉型水晶振動片20が形成される。
<<溝部の形成の工程>>
図7は、振動腕に溝部を形成する工程のフローチャートと、溝部を形成する溝部フォトマスク93の一部を示した図である。
ステップS132では、音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、音叉型水晶振動片20の全面に溝部27を形成するための金属膜を形成する。
ステップS134では、スプレーを使って全面にフォトレジストを塗布する。音叉型水晶振動片20の形状が形成されているため、スプレーを使って側面にもフォトレジストを塗布する。
ステップS136では、溝部27に対応した溝部フォトマスク93を用意して、溝部パターン93−2をフォトレジスト層が塗布された水晶単結晶ウエハ10を露光する。溝部27は振動腕21の両面に形成する必要があるため、ステップS126では、365nmのi線の露光光を用いて音叉型水晶振動片20の両面を露光する。
溝部フォトマスク93は、マスク枠93−1と溝部パターン93−2とが石英ガラスの上にクロムで描かれている。溝部パターン93−2は、図1で示した溝部211の外形と一致する。
ステップS138では、フォトレジスト層を現像後、感光したフォトレジストを除去する。次いで、溝部211のエッチングを行う。すなわち、溝部211と対応したフォトレジスト層から露出した水晶材料を、溝部27の外形になるようにウェットエッチングを行う。溝部27が貫通孔にならないように途中でエッチングを終了するハーフエッチングを行う。
続いて、ステップS140でフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、音叉型水晶振動片20に溝部27が正確な位置に形成される。
<<電極の形成の工程>>
図8は、電極パターンおよびパッケージングの工程のフローチャートである。
ステップS142では、音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、音叉型水晶振動片20の全面に駆動電極としての励振電極などを形成するための金属膜を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。
ステップS144では、全面にフォトレジストをスプレーにより塗布する。
ステップS146では、電極パターンと対応した不図示のフォトマスクを用意して、電極パターンをフォトレジスト層が塗布された水晶単結晶ウエハ10を露光する。この電極パターンは第1の音叉型水晶振動片20の両面に形成する必要があるため、音叉型水晶振動片20の両面を露光する。
ステップS148では、フォトレジスト層を現像後、感光したフォトレジストを除去する。残るフォトレジストは電極パターンと対応したフォトレジストになる。
次いで、電極となる金属膜のエッチングを行う。すなわち、電極パターンと対応したフォトレジスト層から露出した金層をたとえば、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液でエッチングし、次にクロム層をたとえば硝酸第2セリウムアンモニウムと酢酸との水溶液でエッチングする。続いて、ステップS150でフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、第1の音叉型水晶振動片20に電極23、25などが正確な位置および電極幅で形成される。
ステップS152では、第1の音叉型水晶振動片20の連結部28を折り、水晶単結晶ウエハ10から第1の音叉型水晶振動片20を切り取る。
<<周波数調整およびパッケージングの工程>>
これまでの工程により、電極が形成された音叉型水晶振動片20が得られたため、ステップS154では、図4(a)に示したセラミック製のパッケージ52に音叉型水晶振動片20を導電接着剤で接着する。具体的には、音叉型水晶振動片20の基部29の電極部23a、25aを塗布した導電性接着剤の上に載置して、導電性接着剤を仮硬化させる。次に、硬化炉で導電性接着剤を本硬化する。さらに、音叉型水晶振動片20の振動腕21にレーザ光を照射して、振動腕21の錘金属を蒸散・昇華させ、質量削減方式による周波数調整を行う。
次に、ステップS156で、真空チャンバ内などに水晶振動片20を収容したパッケージ51を移し、封止材58により蓋体59を封止する。続いてステップS158で、最後に音叉型振動子50の駆動特性などの検査を行い、音叉型振動子50を完成させる。
<近接露光装置100の構成>
図7は、原板である外形フォトマスク91、段差用フォトマスク92または溝部フォトマスク93の所定のパターンを露光基板である水晶単結晶ウエハ10に露光する際に用いられる近接(プロキシミティ)露光装置100の構成例を示す側面図である。この近接露光装置100は、短波長の光線、たとえば365nmの露光光ILを照射する露光光源101と、露光光源101から照射された露光光ILを露光マスク91に対して平行光を導く、コンデンサーレンズ103L1および103L2からなる露光光学系103を有している。
さらに、近接露光装置100は、外形フォトマスク91、段差用フォトマスク92または溝部フォトマスク93を保持しXY平面で移動可能なマスクステージ105と、水晶単結晶ウエハ10を真空吸着する真空チャック114、この真空チャック114を備えるウエハステージ112とを有している。ウエハステージ112は、使用者の操作によって、ベース110上のXY平面でX軸方向、Y軸方向およびZ軸を中心とした回転方向に移動することが可能である。ウエハステージ112は、Z方向にも移動可能であり、水晶単結晶ウエハ10と外形フォトマスク91などとの間隔を微調整できる。具体的には、1ミクロンから十数ミクロンにまで近接できるように調整可能である。水晶単結晶ウエハ10を真空チャック114に真空吸着したり真空開放したりして、水晶単結晶ウエハ10は着脱可能になっている。
上記実施形態では、音叉型水晶振動片で説明してきたがこれに限定されることはなく、水晶以外にニオブ酸リチウム等の様々な圧電単結晶材料を用いることができる。
本実施形態では、振動腕の厚さを薄くする工程の後に、溝部を形成する工程を行った。しかし、溝部を形成する工程の後に振動腕の厚さを薄くする工程にしてもよい。また、溝部を形成する工程の後に振動腕の厚さを薄くする工程の際には、図5のステップS118で、音叉型水晶振動片20の外形になるように水晶材料のウェットエッチングをしなくてもよい。残ったフォトレジスト層を除去し新たなフォトレジストを塗布した後、溝部のパターンを露光する。それから、音叉型水晶振動片20の外形のウェットエッチングをしてもよい。この詳細は、特開2002−76806に開示されている。
(a)は、第1の音叉型水晶振動片20の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その即面図である。(c)は、一本の振動腕21のC−C断面図である。 (a)は、第2の音叉型水晶振動片30の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。 (a)は、第3の音叉型水晶振動片40の全体構成を示した平面図であり、(b)は、その側面図である。 音叉型水晶振動片20などを使ったセラミックパケージ音叉型振動子50、音叉型水晶発振器60およびシリンダータイプ音叉振動子70を示した図である。 セラミックパケージ音叉型振動子50の製造の工程のうちの音叉型水晶振動片の外形形状を形成する工程のフローチャート、外形フォトマスク91の図である。 セラミックパケージ音叉型振動子50の製造の工程のうちの振動腕21を薄くする段差工程のフローチャート、段差用フォトマスク92の図である。 セラミックパケージ音叉型振動子50の製造の工程のうちの振動腕の溝部211を形成する工程のフローチャート、溝部フォトマスク93を示した図である。 セラミックパケージ音叉型振動子50の製造の工程のうちの導電パターン、パッケージングの工程を示すフローチャートである。 近接露光装置100の構成例を示す側面図である。
符号の説明
10 … 水晶単結晶ウエハ
20 … 第1の音叉型水晶振動片、30 … 第2の音叉型水晶振動片,40 … 第3の音叉型水晶振動片
21,31,41 … 振動腕
29,39,49 … 基部
23 … 第1電極パターン
25 … 第2電極パターン
50 … セラミックパケージ音叉型振動子
60 … 音叉型水晶発振器
70 … シリンダータイプ音叉振動子
91,92,93 … フォトマスク

Claims (10)

  1. 第1厚さの基部と、
    前記第1厚さよりも薄い第2厚さで前記基部の一端部より突出して形成される第1および第2の振動腕と、
    を有することを特徴とする音叉型圧電振動片。
  2. 前記第1厚さは、前記第2厚さよりも5パーセント以上厚いことを特徴とする請求項1に記載の音叉型圧電振動片。
  3. 前記第1厚さは、前記第2厚さの5倍以内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音叉型圧電振動片。
  4. 前記振動腕の先端部または中間部において前記第2厚さよりも厚い第3厚さを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の音叉型圧電振動片。
  5. 前記基部の一端部は第1幅を有し、前記基部の他端部は前記第1幅よりも幅の広い第2幅を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の音叉型圧電振動片。
  6. 前記基部の一端部と他端部との間に、前記第1幅よりも狭い第3幅の切り込む部が形成されていることを特徴とする5に記載の音叉型圧電振動片。
  7. 前記第1および第2の振動腕には、溝部が形成されるとともにその溝部に導電パターンが形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の音叉型圧電振動片。
  8. 前記基部の第1面と前記振動腕の第1面とは同一面であり、前記基部の第2面と前記振動腕の第2面とが異なる高さであることを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の音叉型圧電振動片。
  9. 請求項1ないし請求項8に記載の音叉型圧電振動片と、
    前記音叉型圧電振動片を真空封止するパッケージと、
    を有する圧電デバイス。
  10. 基部と、前記基部の一端部より突出して形成される第1および第2の振動腕とを有する音叉型圧電振動片の製造方法において、
    第1フォトマスクを使用して前記音叉型圧電振動片の外形形状を形成する工程と、
    第1フォトマスクと異なる第2フォトマスクを使用して、前記第1および第2の振動腕の厚みを薄くする工程と、
    を有することを特徴とする音叉型圧電振動片の製造方法。
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