JP2009081520A - 水晶振動片および水晶デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 溝部の位置を表裏で変化させることで、表面側と裏面側とのバランスを改善する音叉型水晶振動片を提供する。
【解決手段】 表面と裏面とを有する基部(29)と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕(21)とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部(27)を有する音叉型の水晶振動片である。そして、表面側の溝部と裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、裏面側の溝部が基部側に第1距離(d)ずれている。
【選択図】図4
【解決手段】 表面と裏面とを有する基部(29)と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕(21)とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部(27)を有する音叉型の水晶振動片である。そして、表面側の溝部と裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、裏面側の溝部が基部側に第1距離(d)ずれている。
【選択図】図4
Description
本発明は水晶基板を用いて、溝部を有する音叉型の水晶振動片の技術に関する。
従来、時計や家電製品、各種情報・通信機器やOA機器等の民生・産業用電子機器には、その電子回路のクロック源として水晶振動子、水晶振動片とICチップとを同一パッケージ内に封止した水晶発振子やリアルタイムクロックモジュール等の水晶デバイスが広く使用されている。
特に最近、これら水晶デバイスは、それを搭載する電子機器の小型化・薄型化に伴い、より一層の小型化・薄型化が要求されている。また、低いCI(クリスタルインピーダンス)値を確保して、高品質で安定性に優れた水晶デバイスが要求されている。CI値を低く保持するために、たとえば振動腕構造を有する音叉型水晶振動片が開発され、さらに振動腕に溝部を形成して振動効率を高めたものが用いられている。
特許文献1によれば、図7(a)に示すようにこの音叉型水晶振動片は基部129に振動腕121が設けられ、各振動腕121には溝部127がそれぞれ設けられている。これらの溝部127は電界効率を大幅に向上させCI値を低く抑制する効果がある。
また、図7(b)は図7(a)の溝部127の基部129よりのA−A断面を示す。この溝部127の形成は単結晶水晶ウエハ10をエッチング液であるフッ酸を用いたウェットエッチングを行うことで形成される。理想的な溝部127の形状は図7(c)に示す形状だが、水晶のエッチングの異方性により表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとでは大きく形状が異なり図7(b)の形状になる。ただし、図7は図を分かりやすくするため電極を表示していない。
溝部127の表面側と裏面側との形状の違いは剛性の違いを生じ、図7(b)のX方向の振動がZ方向に変位する。このため、溝部127の表面側と裏面側との形状の違いはCI値が大きくなる問題がある。特許文献1では、図7(d)に示すように裏面側の溝部127を基部側に延長することにより上記の問題を解消していた。なお、図7(b)ないし(d)では、表面と裏面とを理解し易いように断面図の斜線図を変えて表現している。
特開2002−261575
上記のように音叉型水晶振動片の溝部の形成では水晶のエッチングの異方性により表面側と裏面側とで形状が異なるために表裏でバランスが異なる。このバランスの違いは音叉型水晶振動片の振動が基部に漏れ、歪みエネルギーの損失を生じる可能性がある。歪みエネルギーの損失の増加は固有振動数のばらつきを増加させている。また、溝部を形成した複雑な音叉型水晶振動片の場合は裏面側の溝部を基部側に延長するだけでは十分な効果を出すことができない。
本発明の目的は、溝部を形成した音叉型水晶振動子において、溝部の位置を変化させることで、表面側と裏面側とのバランスを改善することである。
上記目的を達成するために、第1の観点の水晶振動片は、表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片である。そして、表面側の溝部と裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、裏面側の溝部が基部側に第1距離ずれている。
この構成によれば、水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
この構成によれば、水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
第2の観点の水晶振動片は、表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片である。そして、基部からの振動腕の表面側の長さよりも裏面側の長さが短く第1距離ずれており、表面側の溝部と裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、表面側の溝部は振動腕の表面先端から所定距離であり、裏面側の溝部は振動腕の裏面先端から所定距離である。
この構成によれば、振動腕の先端から溝部までの距離が同じで且つ振動腕の溝部の長さが同じであっても水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
この構成によれば、振動腕の先端から溝部までの距離が同じで且つ振動腕の溝部の長さが同じであっても水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
第3の観点の水晶振動片は、表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片である。そして、水晶振動片の表面側の外形及び溝部が裏面側の外形及び溝部よりもY軸方向に第1距離ずれている。
この構成によれば、表裏とも同じフォトマスクを使用していながら、水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
この構成によれば、表裏とも同じフォトマスクを使用していながら、水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
第4の観点の水晶振動片では、第1距離は振動腕の長さの0.2パーセントから0.006パーセントである。
小型化している水晶振動片においては、表裏のバランスを取るためには振動腕の長さに対してこの程度の距離が良い。例えば振動腕の長さが1600μm程度であれば、3μmから1000オングストローム(Å)程度である。
小型化している水晶振動片においては、表裏のバランスを取るためには振動腕の長さに対してこの程度の距離が良い。例えば振動腕の長さが1600μm程度であれば、3μmから1000オングストローム(Å)程度である。
第5の観点の水晶振動片は、溝部は振動腕の表面側に2以上及び裏面側に2以上形成されている。
振動腕の剛性を高めるために、2以上の溝部を形成する場合であっても水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
振動腕の剛性を高めるために、2以上の溝部を形成する場合であっても水晶のエッチングの異方性による溝部の表裏バランスのずれを小さくするとともに、歪みエネルギーの損失を小さくすることができる。
第6の観点の水晶デバイスは、第1ないし第5の観点のいずれかの水晶振動片と、水晶振動片を収納するパッケージと、を備える。
第6の観点の水晶デバイスは、上記構成により上記水晶振動片を使っているため、振動漏れが少ないため、歪みエネルギーの損失も少なく固有振動数のばらつきが小さくなる。
第6の観点の水晶デバイスは、上記構成により上記水晶振動片を使っているため、振動漏れが少ないため、歪みエネルギーの損失も少なく固有振動数のばらつきが小さくなる。
本発明によれば、表裏でバランスのとれた音叉型水晶振動片を提供できることで、高品質で安定性に優れた水晶デバイスを製造することが可能となる。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
<音叉型水晶振動片20の構成>
図1(a)は、1つの振動腕21に4箇所の溝部27を持つ音叉型水晶振動片20の全体構成を示した平面図であり、図1(b)は、音叉型水晶振動片20の一本の振動腕21のB−B断面図である。
音叉型水晶振動片20の母材は、Z板に加工された水晶単結晶ウエハ10で形成されている。小型で必要な性能を得るために、図1(a)に示すように、音叉型水晶振動片20は、基部29と、この基部29の一端部から図1において上方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕21を備えている。一対の振動腕21の根元26は、テーパー部を設けることによって、周囲温度の変化に起因する共振周波数の変動やバラツキを抑えている。根元26のテーパー部の形状はU字形状でもV字形状などでもよい。以下、本実施形態では一対の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片20で説明するが、3本または4本の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片20であってもよい。
図1(a)は、1つの振動腕21に4箇所の溝部27を持つ音叉型水晶振動片20の全体構成を示した平面図であり、図1(b)は、音叉型水晶振動片20の一本の振動腕21のB−B断面図である。
音叉型水晶振動片20の母材は、Z板に加工された水晶単結晶ウエハ10で形成されている。小型で必要な性能を得るために、図1(a)に示すように、音叉型水晶振動片20は、基部29と、この基部29の一端部から図1において上方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕21を備えている。一対の振動腕21の根元26は、テーパー部を設けることによって、周囲温度の変化に起因する共振周波数の変動やバラツキを抑えている。根元26のテーパー部の形状はU字形状でもV字形状などでもよい。以下、本実施形態では一対の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片20で説明するが、3本または4本の振動腕21を備えた音叉型水晶振動片20であってもよい。
音叉型水晶振動片20は、たとえば32.768kHzで信号を発信する振動片で、極めて小型の振動片となっており、全体の長さが2.2mm程度、幅0.5mm程度であり、振動腕21の長さが1.6mm程度である。音叉型水晶振動片20の振動腕21の表裏両面には、溝部27が形成されている。一本の振動腕21の表面には2箇所の溝部27が形成されており、振動腕21の裏面側にも同様に2箇所の溝部27が形成されている。つまり、一対の振動腕21には表裏で8箇所の溝部27が形成される。溝部27の深さは、水晶単結晶ウエハ10の厚さの約35〜45%であり、表裏両面に溝部27があるため、図1(b)に示すように、溝部27の断面は、略H型に形成されている。溝部27は、CI値の上昇を抑えるために設けられている。本実施形態では、たとえば水晶単結晶ウエハ10の厚さが120μmであり、溝部27の深さが表裏で100μm程度となる。
音叉型水晶振動片20の基部29は、その全体が略板状に形成されている。振動腕21に対する基部29の長さは、約36%となっている。音叉型水晶振動片20の基部29の一端で且つ一対の振動腕21の根元には、連結部28が2箇所設けられている。連結部28は、水晶単結晶ウエハ10から、図1に示す音叉形状をフォトリソグラフィおよびウェットエッチングで形成する際に、水晶単結晶ウエハ10と音叉型水晶振動片20とを連結する部分である。
音叉型水晶振動片20の振動腕21および基部29には、第一電極パターン23と第二電極パターン25とが形成されている。第一電極パターン23と第二電極パターン25とはともに、150オングストローム〜5000オングストロームのクロム(Cr)層の上に100オングストローム〜5000オングストロームの金(Au)層が形成された構成になっている。すなわち、第一層と第二層とを合わせると、250オングストローム〜10000オングストロームの電極パターンの厚さになる。また、クロム(Cr)層の代わりに、タングステン(W)層、ニッケル(Ni)層、ニッケルタングステン層またはチタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。また、一層からなる場合もあり、このときは、たとえばアルミ(Al)層、銅(Cu)層またはケイ素(Si)層が用いられる。
音叉型水晶振動片20の基部29には、図1(a)に示すように、第一基部電極23aと第二基部電極25aとが形成され、腕部21の溝部27には、第一溝電極23d,第二溝電極25dがそれぞれ形成される。また、図1(b)に示すように、(a)の左側の腕部21の両側面には、第二側面電極25cが形成されている。図示しない右側の腕部21の両側面には、第一側面電極23cが形成されている。
<単結晶水晶ウエハの構成>
図2は、図3のステップS115のウェットエッチングを終えて、音叉型水晶振動片の外形を形成した水晶単結晶ウエハを示す平面図である。
図2は、図3のステップS115のウェットエッチングを終えて、音叉型水晶振動片の外形を形成した水晶単結晶ウエハを示す平面図である。
図2(a)は、円形の水晶単結晶ウエハ10である。この円形の水晶単結晶ウエハ10は、たとえば厚さ120μmの人工水晶からなり、円形の水晶単結晶ウエハ10の直径は3インチまたは4インチである。さらに、円形の水晶単結晶ウエハ10の軸方向が特定できるように、水晶単結晶ウエハ10の周縁部の一部には、水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラット10cが形成されている。
また、図2(b)は、矩形の水晶単結晶ウエハ15である。この矩形の水晶単結晶ウエハ15も、たとえば厚さ120μmの人工水晶からなり、その矩形の水晶単結晶ウエハ15の一辺は2インチである。そして、矩形の水晶単結晶ウエハ15の軸方向が特定できるように、矩形の水晶単結晶ウエハ15の周縁部の一部には、水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラット15cが形成されている。
図2(a)の円形の水晶単結晶ウエハ10および図2(b)の矩形の水晶単結晶ウエハ15は、工程管理およびウエハ強度との関係で、複数の窓部18が設けられ、その窓部に複数の音叉型水晶振動片20が形成されている。各窓部18において、水晶ウエハ10と音叉型水晶振動片20とを接続するため接続部28が形成されている。
<音叉型水晶振動デバイスの製造工程>
図3は音叉型水晶振動片20の外形および溝部27を形成するための代表的な製造工程のフローチャートである。なお、図3の右図は図1のA−A断面部分についての単結晶水晶ウエハ10を示している。
図3は音叉型水晶振動片20の外形および溝部27を形成するための代表的な製造工程のフローチャートである。なお、図3の右図は図1のA−A断面部分についての単結晶水晶ウエハ10を示している。
図3のステップS111では、図3(a)で示すように研磨洗浄された単結晶水晶ウエハ10にスパッタ法で金属膜32を形成する。この金属膜32はたとえばクロム(Cr)の下地膜に金(Au)を積層したものが用いられる。
ステップS112では、金属膜32の上にフォトレジストをたとえばスプレー法で全体を均一に塗布しレジスト膜36を形成する(図3(b))。ステップS113において音叉型水晶振動片20の外形を成す水晶振動片のパターンを露光及び現像して、音叉型水晶振動片20の外形のレジスト膜36を形成する(図3(c))。
ステップS114では、エッチングによりレジスト膜36で覆われていない金属膜32の部分を除去する。この工程は第1金属膜エッチング工程とする。次に、単結晶水晶ウエハ10に残るレジスト膜36をすべて剥離する(図3(d))。
ステップS115では、単結晶水晶ウエハ10の全面に再度フォトレジストをたとえばスプレー法で塗布し、振動腕21に溝部27を含んだ音叉型水晶振動片20のパターンを露光し、また、露光されたフォトレジスト42は、現像して除去する(図3(e))。ステップS116において、音叉型水晶振動片20の外形と溝部27とのレジスト膜36を剥離する。(図3(f))
ステップS117では、図3(g)で示すように単結晶水晶ウエハ10を音叉型水晶振動片20の形状にするためにエッチング液であるフッ酸を用いウェットエッチングすることで外形を形成する。これまでの作業により振動腕21の外形が形成される。この工程は第1水晶エッチング工程とする。
ステップS118では、ウェットエッチングを行うことで溝部27の金属膜32を除去する(図3(h))。この工程は第2金属膜エッチング工程とする。
ステップS119では、図3(i)で示すように単結晶水晶ウエハ10をウェットエッチングすることで溝部27を形成する。この工程は第2水晶エッチング工程とする。
ステップS120では、レジスト膜と金属膜32を除去することにより、溝部27を持つ音叉型水晶振動片20を形成することができる(図3(j))。
以上のように、溝部27を持つ音叉型水晶振動片20はステップS117の第1水晶エッチング工程とステップS119の第2水晶エッチング工程とで形成される。
≪実施例1≫
図4(a)は上記の音叉型水晶振動片20のC−C断面図を示す。また図4(e)は図4(a)の点線で囲まれた溝部27と溝部27との隔壁部A1の拡大図を示している。また図4(e)で示すように図中のZ方向である音叉型水晶振動片20の厚みの中心線より表面の水晶領域はUAとし、裏面の水晶領域はLAとする。なお、図4(e)ないし(h)では、表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとを理解し易いように断面図の斜線図を変えて表現している。また第2水晶エッチング工程により形成される溝部27はエッチングの異方性により図4(e)の27aと27bと27cと27dとで表すような傾斜面ができる。
図4(a)は上記の音叉型水晶振動片20のC−C断面図を示す。また図4(e)は図4(a)の点線で囲まれた溝部27と溝部27との隔壁部A1の拡大図を示している。また図4(e)で示すように図中のZ方向である音叉型水晶振動片20の厚みの中心線より表面の水晶領域はUAとし、裏面の水晶領域はLAとする。なお、図4(e)ないし(h)では、表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとを理解し易いように断面図の斜線図を変えて表現している。また第2水晶エッチング工程により形成される溝部27はエッチングの異方性により図4(e)の27aと27bと27cと27dとで表すような傾斜面ができる。
この傾斜面は表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとで非対称となりアンバランスな状態になる。このアンバランスは音叉型水晶振動片20のX方向の振動が基部に漏れることとなり、歪みエネルギーの損失を生じる可能性がある。この歪みエネルギーの損失の増加は固有振動数のばらつきを増加させている。
本発明はこのアンバランスな状態を解消するために、以下の方法を取る。
図4(b)は図3のステップS115の工程で水晶振動子20の外形が表面と同じで溝部27を基部側にずらした裏面用のフォトマスクを用意して第1、第2水晶エッチングを行った場合の音叉型水晶振動片20の断面を示す。このずらし量は1000Åから3μmとする。振動腕21の長さを基準とするとそのずらし量は0.2パーセントから0.006パーセント程度である。
図4(b)は図3のステップS115の工程で水晶振動子20の外形が表面と同じで溝部27を基部側にずらした裏面用のフォトマスクを用意して第1、第2水晶エッチングを行った場合の音叉型水晶振動片20の断面を示す。このずらし量は1000Åから3μmとする。振動腕21の長さを基準とするとそのずらし量は0.2パーセントから0.006パーセント程度である。
図4(f)は溝部27と溝部27との隔壁部A2を拡大した図を示す。図4(f)の状態は図3のステップS116からの工程を順に続けることで形成される。この結果、耐衝撃性のために設置された表面の水晶領域UAの27aと27bとで挟まれた隔壁部の中心は、裏面の水晶領域LAの27cと27dとで挟まれた隔壁部の中心とで距離dだけずれることになる。但し、溝部27のY軸方向の長さは表裏面とも同じである。
溝部27を基部側にずらすことは図4(f)で示すように傾斜面27aと傾斜面27cとで囲まれる表面の水晶領域UAの重心Ugと傾斜面27bと傾斜面27dとで囲まれる裏面の水晶領域LAの重心Lgとが揃うことでZ方向の歪みを解消することができる。
≪実施例2≫
実施例2の音叉型水晶振動子20は、振動腕21の表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとの溝部27がずれているとともに、振動腕21の表面と裏面との外形形状もY軸方向にずらしている。図3のステップS113及びS115の工程で、振動腕21の表面外形がY軸方向に延びており裏面外形がY軸方向に短くなったフォトマスクを用意する。そして、そのフォトマスクでは表面の溝部27と裏面の基部27とがY軸方向にずれている。第2水晶エッチングを行った場合の音叉型水晶振動片20の断面を示す。
実施例2の音叉型水晶振動子20は、振動腕21の表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとの溝部27がずれているとともに、振動腕21の表面と裏面との外形形状もY軸方向にずらしている。図3のステップS113及びS115の工程で、振動腕21の表面外形がY軸方向に延びており裏面外形がY軸方向に短くなったフォトマスクを用意する。そして、そのフォトマスクでは表面の溝部27と裏面の基部27とがY軸方向にずれている。第2水晶エッチングを行った場合の音叉型水晶振動片20の断面を示す。
つまり、この音叉型水晶振動片20のC−C断面図は、図4(c)に示すように振動腕21の表面と裏面とが距離d1ずれており、そして裏面の溝部27が基部側にずらしている。溝部27と溝部27との隔壁部A3の拡大図は図4(g)に示すようなる。実施例2では、溝部27のずれか第1実施例よりも小さくてもよい。振動腕21の表面と裏面とがずれている分だけ重心がずれているからである。図4(g)に示すように、傾斜面27aと傾斜面27cとで囲まれる表面の水晶領域UAの重心Ugと傾斜面27bと傾斜面27dとで囲まれる裏面の水晶領域LAの重心Lgとが一致する。
≪実施例3≫
実施例1又は実施例2では裏面用のフォトマスクを用意したが、本実記例3では表面と同じフォトマスクを用いて振動腕21の表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとでずれのある音叉型水晶振動片20を形成することができる。
実施例1又は実施例2では裏面用のフォトマスクを用意したが、本実記例3では表面と同じフォトマスクを用いて振動腕21の表面の水晶領域UAと裏面の水晶領域LAとでずれのある音叉型水晶振動片20を形成することができる。
この音叉型水晶振動片20の作成方法は図3のステップS113及びS115の工程で表面と同じ形状のフォトマスクを基部側にずらして露光し、現像して除去する。音叉型水晶振動片20は図3のステップS116からからの工程を順に続けることで形成される。
つまり、この音叉型水晶振動片20のC−C断面図は図4(d)に示すように表面と同じ裏面のフォトマスクを基部側に距離d1ずらすことにより平行四辺形の形状になる。溝部27と溝部27との隔壁部A3の拡大図は図4(f)に示すようなる。図4(f)は傾斜面27aと傾斜面27cとで囲まれる表面の水晶領域UAの重心Ugと傾斜面27bと傾斜面27dとで囲まれる裏面の水晶領域LAの重心Lgとが一致する。振動腕21の先端部30の裏面は基部側にずれ、根元26でも裏面はずれているために、重心Ugと重心Lgとが上下で揃うことになる。これにより音叉型水晶振動片20はZ方向の歪みを解消することができる。これらのずらし量は0.1μmから3μmとなる。
本実施例は、想定する効果が得られない場合においても裏面側のフォトマスク位置を変化させるだけで簡便に表裏のバランスの調整を行うことができる
さらに、図7(d)に示すように基部側の溝部27もずれることで、表裏の剛性が均一となる。このため溝部27の基部付近においても表裏のバランスを取ることができ、音叉型水晶振動片20の全体で安定性に優れた水晶デバイスを形成することができる。
さらに、図7(d)に示すように基部側の溝部27もずれることで、表裏の剛性が均一となる。このため溝部27の基部付近においても表裏のバランスを取ることができ、音叉型水晶振動片20の全体で安定性に優れた水晶デバイスを形成することができる。
本実施形態では、一本の振動腕21の表面と裏面に2箇所の溝部27が形成されている場合で述べたが、一本の振動腕21の表面と裏面に3箇所以上の溝部を持つ複雑な音叉型水晶振動片20でも同様な効果がある。
<電極の形成及び周波数調整及びパッケージングの工程>
実施形態1及び実施形態2で作成した音叉型水晶振動片20は次に電極を形成し、周波数調整行いパッケージングする。図5はその工程のフローチャートを示す。
実施形態1及び実施形態2で作成した音叉型水晶振動片20は次に電極を形成し、周波数調整行いパッケージングする。図5はその工程のフローチャートを示す。
ステップS141では、音叉型水晶振動片20を純水で洗浄し、音叉型水晶振動片20の全面に駆動電極としての励振電極などを形成するための金属膜32を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。
ステップS142では、スプレーを使って全面にフォトレジストを塗布する。音叉型水晶振動片20には溝部27などが形成されているため、溝部27にも均一にフォトレジストを塗布する。
ステップS142では、スプレーを使って全面にフォトレジストを塗布する。音叉型水晶振動片20には溝部27などが形成されているため、溝部27にも均一にフォトレジストを塗布する。
ステップS143では、電極パターンと対応したフォトマスクを用意して、電極パターンをフォトレジスト層が塗布された水晶単結晶ウエハ10に露光する。電極パターンは音叉型水晶振動片20の両面に形成する必要があるため、音叉型水晶振動片20の両面を露光する。
ステップS144では、フォトレジスト層を現像後、感光したフォトレジスト層を除去する。残るフォトレジストは電極パターンと対応したフォトレジスト層になる。さらに電極となる金属膜32のエッチングを行う。すなわち、電極パターンと対応したフォトレジスト層から露出した金層をたとえば、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液でエッチングし、次にクロム層をたとえば硝酸第2セリウムアンモニウムと酢酸との水溶液でエッチングする。
続いて、ステップS145で、残ったフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、音叉型水晶振動片20には励振電極などが正確な位置および電極幅で形成される。
続いて、ステップS145で、残ったフォトレジストを除去する。これらの工程を経て、音叉型水晶振動片20には励振電極などが正確な位置および電極幅で形成される。
これまでの工程により、電極パターン23、電極パターン25および溝部27が形成された音叉型水晶振動片20が得られた。
そこで、ステップS146では、図6(b)で示すセラミック製のパッケージ51に音叉型水晶振動片20を導電性接着剤31で接着する。具体的には、音叉型水晶振動片20の基部29を、配線層81に塗布した導電性接着剤31の上に載置して、導電性接着剤31を仮硬化させる。次に、硬化炉で導電性接着剤31を本硬化することにより音叉型水晶振動片20を端子電極82に対して接合する。
そこで、ステップS146では、図6(b)で示すセラミック製のパッケージ51に音叉型水晶振動片20を導電性接着剤31で接着する。具体的には、音叉型水晶振動片20の基部29を、配線層81に塗布した導電性接着剤31の上に載置して、導電性接着剤31を仮硬化させる。次に、硬化炉で導電性接着剤31を本硬化することにより音叉型水晶振動片20を端子電極82に対して接合する。
ステップS147では、さらに、音叉型水晶振動片20の振動腕21の先端にレーザー光を照射して、振動腕21の錘金属層の一部を蒸散・昇華させ、質量削減方式による周波数調整を行う。
次に、ステップS148で、真空チャンバ内などに図6(b)で示す音叉型水晶振動片20を収容したパッケージ51を移し、蓋体71を封止材57により接合する。
続いてステップS149で、最後に水晶振動デバイス50の駆動特性などの検査を行い、水晶振動デバイス50を完成させる。
次に、ステップS148で、真空チャンバ内などに図6(b)で示す音叉型水晶振動片20を収容したパッケージ51を移し、蓋体71を封止材57により接合する。
続いてステップS149で、最後に水晶振動デバイス50の駆動特性などの検査を行い、水晶振動デバイス50を完成させる。
<水晶振動デバイス50の構成>
上記の水晶振動デバイス50について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる水晶振動デバイス50の概略図を示している。図6(a)は全体斜視図であり、図6(b)は断面図であり、図6(c)は金属蓋体71を取り外した上面図である。
上記の水晶振動デバイス50について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる水晶振動デバイス50の概略図を示している。図6(a)は全体斜視図であり、図6(b)は断面図であり、図6(c)は金属蓋体71を取り外した上面図である。
表面実装型の水晶振動デバイス50は、絶縁性のセラミックパッケージ51と水晶振動デバイス50のパッケージを覆う金属蓋体71とからなる。金属蓋体71は、コバール(鉄(Fe)/ニッケル(Ni)/コバルト(Co)合金)製である。セラミックパッケージ51は、アルミナを主原料とするセラミック粉末およびバインダ等を含むスラリーを用いたグリーンシートからプレス抜きされた底面用セラミック層51a、壁用セラミック層51bおよび台座用底面用セラミック層51cからなる。パッケージを構成するセラミックパッケージ51の材料として、アルミナを主原料とするセラミック粉末の代わりにガラスセラミックを使用したり、無収縮ガラスセラミック基板を用いたりしてもよい。図6(b)から理解されるように、これら複数のセラミック層51a〜51cから構成されたパッケージは、キャビティ58を形成し、このキャビティ58内に、音叉型水晶振動片20を実装する。
基部29の配線パターンは、導電性接着剤31と導通接続する接着領域を有している。音叉型水晶振動片20は、底面用セラミック層51aと水平になるように導電性接着剤31で接着されて、所定の振動を発生する。台座用セラミック層51cの上面の一部には、音叉型水晶振動片20の接着領域と導通を取る配線層81が形成されている。セラミックパッケージ51の下面に形成された少なくとも2つの端子電極82は、不図示のプリント基板に表面実装された際の外部端子である。また、内部配線83は配線層81、端子電極82を接続する電気的導通部である。壁用セラミック層51bの上端にはメタライズ層があり、金属蓋体71の接合のために、メタライズ層上に形成された低温金属ろう材からなる封止材57が形成されている。壁用セラミック層51bと金属蓋体71は、封止材57を介して溶着されている。
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
10 … 円形の単結晶水晶ウエハ
15 … 矩形の水晶単結晶ウエハ
18 … 窓部
20 … 音叉型水晶振動片
21 … 振動腕
23 … 第一電極
25 … 第二電極
26 … 根元(テーパー部)
27 … 第一溝部
28 … 連結部
29 … 基部
30 … 振動腕先端部
31 … 導電性接着剤
32 … 金属膜
36 … フォトレジスト層
42 … 露光されたフォトレジスト
50 … 水晶振動デバイス
51 … セラミックパッケージ
57 … 封止材
58 … キャビティ
71 … 蓋体
81 … 配線層
82 … 端子電極
83 … 内部配線
15 … 矩形の水晶単結晶ウエハ
18 … 窓部
20 … 音叉型水晶振動片
21 … 振動腕
23 … 第一電極
25 … 第二電極
26 … 根元(テーパー部)
27 … 第一溝部
28 … 連結部
29 … 基部
30 … 振動腕先端部
31 … 導電性接着剤
32 … 金属膜
36 … フォトレジスト層
42 … 露光されたフォトレジスト
50 … 水晶振動デバイス
51 … セラミックパッケージ
57 … 封止材
58 … キャビティ
71 … 蓋体
81 … 配線層
82 … 端子電極
83 … 内部配線
Claims (6)
- 表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片であって、
前記表面側の溝部と前記裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、前記裏面側の溝部が前記基部側に第1距離ずれていることを特徴とする水晶振動片。 - 表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片であって、
前記基部からの前記振動腕の表面側の長さよりも前記裏面側の長さが短く第1距離ずれており、
前記表面側の溝部と前記裏面側の溝部とは同じY軸方向の長さで、前記表面側の溝部は前記振動腕の表面先端から所定距離であり、前記裏面側の溝部は前記振動腕の裏面先端から所定距離であることを特徴とする水晶振動片。 - 表面と裏面とを有する基部と、この基部から水晶の結晶軸方位に関してY軸方向に延びる一対の振動腕とを有し、各振動腕の表面と裏面とにY軸方向に延び且つZ軸方向にエッチングされた溝部を有する音叉型の水晶振動片であって、
前記水晶振動片の表面側の外形及び溝部が裏面側の外形及び溝部よりもY軸方向に第1距離ずれていることを特徴とする水晶振動片。 - 前記第1距離は振動腕の長さの0.2パーセントから0.006パーセントであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水晶振動片。
- 前記溝部は振動腕の表面側に2以上及び裏面側に2以上形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の水晶振動片。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片と、
前記水晶振動片を収納するパッケージと、
を備えることを特徴とする水晶デバイス。
Priority Applications (1)
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JP2007247384A JP2009081520A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | 水晶振動片および水晶デバイス |
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US8987978B2 (en) | 2012-09-18 | 2015-03-24 | Sii Crystal Technology Inc. | Piezoelectric vibrating piece, piezoelectric vibrator, oscillator, electronic apparatus and radio timepiece |
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-
2007
- 2007-09-25 JP JP2007247384A patent/JP2009081520A/ja active Pending
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