JP5567002B2 - フォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズの製造プログラム、及び、フォトクロミックレンズの製造プログラムが記録された記録媒体 - Google Patents

フォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズの製造プログラム、及び、フォトクロミックレンズの製造プログラムが記録された記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、フォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズの製造プログラム、及び、フォトクロミックレンズの製造プログラムが記録された記録媒体に関する。
近年、有機フォトクロミック染料を応用したプラスチック製フォトクロミックレンズ(調光レンズともいう)が眼鏡用として市販されている。これらは明るい屋外で発色して高濃度のカラーレンズと同様な防眩効果を有し、室内に移ると高い透過率を回復するものである。フォトクロミックレンズには、所定の光が入射するとすばやく応答して高濃度で発色し、かつ上記光がない環境下に置かれると速やかに退色することが求められる。
フォトクロミックレンズとしては、レンズ基板上にフォトクロミック色素を含むコーティング、即ちフォトクロミック膜を設けたレンズやフォトクロミック色素をプラスチックレンズ基板に直接混練させたレンズが広く用いられている。フォトクロミック膜については、優れた光応答性(反応速度及び発色濃度)、発色時の色調、及び、レンズ基板やハードコート層との密着性に優れたフォトクロミックレンズを得るための製造方法が種々検討されている。
ところで、使用者の視力を矯正するプラスチックレンズは、処方の種類によって複雑な光学設計が要求され、複雑な光学面を有するレンズを生産しなければならない。例えば、複雑な処方の一例として、遠方視と近方視の屈折力が徐々に変化するように設計される累進屈折力レンズがあげられる。このようなレンズは受注生産になるため、使用者の手元に届くまでの時間を要することになる。この他、受注生産を採用するレンズとして、プリズムレンズ等があげられる。
受注生産のレンズにおいて、受注から出荷までの時間を短縮するために、例えば凸面側のみに光学面を有する半製品(セミフィニッシュドレンズ)を予め用意しておく場合がある。セミフィニッシュドレンズを用いて生産する時には、処方どおりに凹面成形可能な凸面形状と凹面の削り代分の厚みを有するセミフィニッシュドレンズを選択し、その後、凹面側の光学面を形成してレンズを完成させることになる。受注生産のフォトクロミックレンズに関しても、フォトクロミック機能(調光機能ともいう)が既に付与されたセミフィニッシュドレンズを選択し、凹面加工を施す手法が採用されている。
フォトクロミックレンズは、通常のレンズと比較して注文量が少ない。しかし、フォトクロミックレンズを受注してから生産し素早く発注側に出荷するためには、フォトクロミック機能が付与されたセミフィニッシュドレンズを多数用意しておく必要がある。また、フォトクロミック機能の付与をフォトクロミック染料メーカーに委託する場合には、受注して適切な片面光学面を有するセミフィニッシュドレンズを選択してから、染料メーカーに搬送してフォトクロミック機能を付与することとなる。このため、納期までの期間がかかりすぎてしまう。また、フォトクロミック膜は軟質であるため、染料メーカーからの搬送時に損傷を受ける恐れもある。さらに、フォトクロミック機能を付与した状態で長時間保管しておくと、発色時の色調が当初のものと変化してしまったり、発色と消色の速度が変化してしまったりすることがある。
このような事態を回避するために、フォトクロミック膜の表面に保護膜を付与する技術がある。例えば、特許文献1及び特許文献2には、フォトクロミック膜の上面にアクリル樹脂系の保護膜を付与する技術が開示されている。これらの技術は、フォトクロミック膜を保護することによって、フォトクロミック膜の耐衝撃性及び保管特性を改善させるものである。
一方、染料メーカーへの委託等、フォトクロミック機能付与に係る搬送を避け、工場一括製造する技術として、特許文献3の技術が開示されている。特許文献3の技術は、フォトクロミック染料が混練可能とされたプラスチック樹脂と無色透明なプラスチック樹脂を金型内で結合してフォトクロミックレンズを作製する技術である。
特表2007−520757号公報 特表2005−514647号公報 特表平9−506560号公報
特許文献1及び特許文献2により提案されているような保護膜をフォトクロミック膜の表面に設けることで、搬送中等のフォトクロミック膜の損傷や劣化は抑制される。しかしながら、プラスチックレンズにおいて、このようなフォトクロミック膜上の保護膜はプラスチックレンズに新規の機能を付与するものではない。またこの保護膜を付与することにより、保護膜の劣化防止や、フォトクロミック染料の保護膜への浸潤防止や、フォトクロミック膜と保護膜の密着性や保護膜とハードコートの密着性の確保といった、技術的な課題は増加してしまう。
特許文献3に開示の技術によれば、フォトクロミック機能付与のための外部への搬送は回避できることとなるが、金型内で2種類の樹脂を結合するのは容易ではない。
このため、受注生産でフォトクロミックレンズを製造する場合、出荷までの時間をできるだけ短縮できるように、フォトクロミック機能を付した状態のセミフィニッシュドレンズを保管する方法も有効である。しかしながら、種々の処方に対応できるよう、種々の種類のセミフィニッシュドレンズを保有すると、その在庫量は膨大な数になる。また、在庫品の状態で保有していると、フォトクロミック機能の低下や、レンズ基板そのものの劣化も開始してしまう。また、新規のフォトクロミックレンズを開発すると、新規レンズへの切り替え時に旧仕様のレンズを処分しなければならない。このような事態が好ましくない事は明らかである。
また両面光学面の加工がなされた状態で保管されるいわゆるフィニッシュドレンズにおいても同様に、受注後にフォトクロミック機能を付して出荷するまでの時間をより短縮することが望まれている。しかしながらセミフィニッシュドレンズと同様に、染料メーカーに委託すると保護膜の問題が生じ、金型で2種の材料を結合することも難しい。種々の処方に対応するフィニッシュドレンズにフォトクロミック機能を付与して大量保管することもフォトクロミック機能の低下等の問題が依然として残る。
本発明は上記問題に鑑みて、フォトクロミック機能を備えたレンズを受注生産する場合において、フォトクロミック機能付のセミフィニッシュドレンズやフィニッシュドレンズを保有することなく、製品を比較的短時間で出荷可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によるフォトクロミックレンズ製造システムは、発注側コンピュータと製造側コンピュータとが通信回線によって接続され、製造側に配置されて前記製造側コンピュータにより制御されるフォトクロミック膜形成装置及び硬質膜形成装置を用いて、フォトクロミックレンズを製造するフォトクロミックレンズ製造システムであって、発注側コンピュータは、レンズの基板材料に関するレンズ基板データと、レンズの光学面に関する光学面データと、フォトクロミック膜に関するデータと、硬質膜に関するデータとを通信回線を介して製造側コンピュータに送信する。
そして、製造側コンピュータは、受信したレンズ基板データと光学面データとに基づき、適合するレンズ基板材料に適合する光学面が形成されたレンズ基板を選択するレンズ基板選択手段と、フォトクロミック膜に関するデータに基づき、少なくともフォトクロミック膜の形成データを選択して、フォトクロミック膜形成装置に出力するフォトクロミック膜形成データ選択手段と、硬質膜に関するデータに基づき、少なくとも硬質膜の形成データを選択して、硬質膜形成装置に出力する硬質膜形成データ選択手段と、を備える。そしてフォトクロミック膜形成装置は、製造側コンピュータからのフォトクロミック膜に関するデータに基づいて、レンズ基板にフォトクロミック膜を形成するとともに、硬質膜形成装置は、製造側コンピュータからの前記硬質膜に関するデータに基づいて、レンズ基板に硬質膜を形成する。
このように本発明のフォトクロミックレンズ製造システムによれば、製造側コンピュータにおいて選択されたフォトクロミック膜の形成データと、硬質膜の形成データとを、フォトクロミック膜形成データ選択手段及び硬質膜形成データ選択手段とによって、フォトクロミック膜形成装置及び硬質膜形成装置に出力して各膜を一連の工程として形成することで、レンズ基板にフォトクロミック機能を付与した後に生じるフォトクロミック機能の低下を抑制しつつ、より迅速にフォトクロミックレンズを製造することが可能となる。
なお、本発明のフォトクロミックレンズ製造システムにおいて、フォトクロミック膜形成装置は、湿式成膜装置であることが好ましい。例えば眼鏡レンズに適用する場合、処方に応じて選択されたフィニッシュドレンズやセミフィニッシュドレンズに、フォトクロミック機能を付与する場合、フォトクロミック色素を練り込んだプラスチック材料での成型や、染色済みのプラスチック材料を無色透明なプラスチック材料に貼り合わせる方法もあるが、湿式成膜による場合は、短時間にフォトクロミック機能を有するレンズを得ることができる。このため、受注後フォトクロミックレンズをより迅速に製造することが可能となる。
この湿式成膜は、スピンコート法による塗布装置であることが好ましい。他の湿式成膜装置である例えば浸漬装置の場合は、両面にフォトクロミック液が塗布されるが、片面を後で光学面形成する場合は、結果的にその面の塗布膜は除去されてしまうので、フォトクロミック液の使用量が無駄に増加することとなってしまう。スピンコート法による場合は、片面のみにフォトクロミック膜を効率よく、また均一に形成することが可能となる。
またこのようにスピンコート法による場合は、より塗布膜厚を均一にすることができるので、色味の濃淡が生じにくく、即ちフォトクロミック機能をより均一に保つことが可能となる。更に、スピンコート法によれば、他の湿式成膜に比べてフォトクロミック液の使用量を削減することができる。
また同様に、硬質膜形成装置も湿式成膜装置であることが好ましく、特にスピンコート法による塗布装置であることがより好ましい。湿式成膜装置、特にスピンコート法による塗布装置とすることにより、迅速に硬質膜を形成し、フォトクロミックレンズの製造の迅速化、生産性の向上を図ることが可能となる。
また、本発明のフォトクロミックレンズ製造システムにおいては、フォトクロミック膜に関するデータに少なくとも色と濃度のいずれかが含まれることが好ましい。この場合製造側コンピュータは、フォトクロミック膜の形成データとしてフォトクロミック膜の色に対応するフォトクロミック液の種類と、フォトクロミック膜の濃度に対応する塗布膜厚の少なくともいずれかを選択して、フォトクロミック膜形成装置に出力する機能を有することが好ましい。例えばレンズ店等において発注側コンピュータにフォトクロミックレンズの性能に関するこれらのデータを入力し、レンズメーカーやレンズ店自体の製造側コンピュータでこれらのデータを用いてレンズを製造することで、より迅速に、使用者の求める性能を備えたフォトクロミックレンズを製造することが可能となる。またこのように色や濃度の注文内容に対応してフォトクロミック膜を形成することで、フォトクロミック機能を有するレンズ基板を保有、保管するコストを抑制することが可能である。
更に、本発明のフォトクロミックレンズ製造システムにおいて、レンズ基板のフォトクロミック膜が形成された面とは異なる光学面を形成する光学面形成装置を有すると共に、製造側コンピュータが、レンズの光学面に関するデータから光学面形成データを選択し、光学面形成装置に出力する光学面形成データ選択手段を更に有してもよい。このように光学面形成装置及び光学面形成データ選択手段を有することで、例えばセミフィニッシュドレンズなどの半完成品であるレンズ基板を用いて製造する場合においても、迅速にフォトクロミックレンズを製造し、受注側に供給することが可能となる。
また更に、本発明のフォトクロミックレンズ製造システムにおいて、複数種のレンズ基板を保管するレンズ基板保管装置を更に有してもよい。この場合、製造側コンピュータのレンズ基板選択手段は、選択したレンズ基板の種類に関するデータをレンズ基板保管装置に出力すると共に、レンズ基板保管装置は、レンズ基板の種類に関するデータに該当するレンズ基板を選択してフォトクロミック膜形成装置に搬送する搬送手段を有してもよい。
このように、複数種のレンズ基板を保管するレンズ基板保管装置を有し、製造側コンピュータがレンズ基板データと光学面データに基づいて、複数種のレンズ基板から適切なレンズ基板、すなわち例えば特定の屈折率及び紫外線透過率を有するレンズ基板材料に片面又は両面に特定の光学面が形成された、セミフィニッシュドレンズ又はフィニッシュドレンズを選択し、フォトクロミック膜形成装置に自動制御で搬送することによって、レンズ基板の選択とフォトクロミック膜形成装置へのレンズ基板の取り付けを迅速化し、よりフォトクロミックレンズの生産性の向上を図ることができる。
なお、硬質膜の上面に反射防止膜を更に形成する場合には、発注側コンピュータから送信されるデータに反射防止膜に関するデータが含まれると共に反射膜形成装置も備え、製造側コンピュータはそのデータに基づいて、反射防止膜の形成データを選択すると共に、反射膜形成装置に出力する反射防止膜データ選択手段を有してもよい。この場合、反射防止膜形成装置は、真空機器を使用した乾式成膜装置であってもよく、スピンコート法などで成膜する湿式成膜装置であってもよい。反射防止膜形成装置の形態は、製造施設の規模等種々の条件により設定することが好ましい。
ォトクロミックレンズ製造装置は、製造するレンズに係る情報を格納するデータ格納ユニットと、フォトクロミック膜形成等の表面処理を行う表面処理ユニットと、その表面処理ユニットの作業を制御する制御ユニットから構成されている。
そしてデータ格納ユニットには、製造するレンズの光学面に関する光学面データと、レンズ基板材料に関するレンズ基板データと、少なくともフォトクロミック膜に関するフォトクロミックデータを含む表面処理データとが入力される。
表面処理ユニットには、光学面データとレンズ基板データに基づいて選択された少なくとも凸面側に光学面を有するレンズ基板に、フォトクロミックデータに基づいてフォトクロミック膜を形成するフォトクロミック膜形成手段と、硬質膜を形成する硬質膜形成手段と、が含まれる。
表面処理ユニットは、制御ユニットにより制御される。制御ユニットは、光学面データとレンズ基板データとフォトクロミックデータとに基づいてフォトクロミック膜の成膜条件を設定する第一の成膜制御装置と、レンズ基板データに基づいて硬質膜の成膜条件を設定する第二の成膜制御装置とが含まれる。
ォトクロミックレンズ製造装置においては、データ格納ユニットに納められた光学面の形状に関する光学面データや、レンズ基板の材質等に関するレンズ基板データにより、第一の成膜制御装置が適切な成膜条件の設定を制御ユニットで行う。また、フォトクロミックデータにより、フォトクロミック色素の選定やコーティング液の選定等も制御ユニットで行って、例えばフォトクロミック膜形成装置内でフォトクロミック膜材料を調合することができる。本製造装置を用いることにより、光学面データやレンズ基板材料、またフォトクロミック材料に関する知識やコーティングに関する知識に乏しい人(例えばレンズ店員)であっても、使用者が所望するフォトクロミックレンズを好適に製造することができる。
好ましい製造装置は、フォトクロミック膜形成手段がスピンコート機であることを特徴とする。この場合、スピンコート機は、フォトクロミック膜を形成する光学面である被塗布面を上にして載置する回転可能な架台と、ノズルからフォトクロミック液を前記被塗布面に滴下する滴下手段とから構成されている。また、格納ユニットに納められる光学面データには、光学面の曲面カーブに関するカーブデータと外形寸法に関する寸法データが含まれており、制御ユニットの第一の成膜制御装置は、カーブデータに基づいて被塗布面とノズルの間隔を制御すると共に、寸法データに基づいてノズルの移動軌跡を制御することを特徴とする。
フォトクロミック膜を成膜するコーティング液は一般的に粘性が高い。このため、フォトクロミック膜形成手段において、コーティング液を被塗布面に供給する場所と供給する高さを明確に制御する必要がある。しかしながら、プラスチックレンズの場合、単焦点であったり、累進屈折力レンズであったり、その曲面形状は多岐にわたる。これに対し、フォトクロミックレンズ製造装置は、レンズの寸法データから供給位置を選定し、曲面データから滴下高さを調整することができるので、いかなる曲面形状の光学面であっても、所望のフォトクロミック膜を形成することができる。従って、いかなる曲面形状の光学面を有するレンズであっても、膜厚のばらつきを抑えてフォトクロミックレンズを製造することができる。
また、ォトクロミックレンズ製造装置において、フォトクロミックデータに少なくとも色と濃度のいずれかが含まれ、第一の成膜制御装置は、フォトクロミック膜の成膜条件として、フォトクロミック膜の色に対応するフォトクロミック液の種類と、フォトクロミック膜の濃度に対応する塗布膜厚との少なくともいずれかを選択して、フォトクロミック形成手段に出力する機能を有することが好ましい。
このような機能が含まれることにより、特別な知識を有さないオペレータが作業をした場合であっても、使用者が所望するフォトクロミック機能を有するフォトクロミックレンズを製造することができる。
また、ォトクロミックレンズ製造装置は、凹面側光学面を形成する機能を有していてもよい。この場合、フォトクロミックレンズ製造装置には、光学面形成ユニットが含まれる。そして、光学面データには、凹面側光学面形成データが含まれており、制御ユニットには、基板データと凹面側光学面形成データに基づいて凹面側光学面の形成に係る光学面形成ユニットの光学面形成装置を制御する光学面形成制御装置が含まれていることが好ましい。
ォトクロミックレンズ製造装置によれば、光学特性が使用者個人の視力の状態に合わせて個別に製作されるレンズ(いわゆる特注レンズ)にフォトクロミック機能を付与したレンズも、迅速に、かつ、高品質に製造することができる。
また、本発明は、上述したフォトクロミックレンズ製造システムにおける製造側コンピュータに組み込まれるフォトクロミックレンズの製造プログラム、及びそのプログラムが記録された記録媒体であり、フォトクロミックレンズ製造装置に組み込まれ、データ格納ユニットを備えるフォトクロミックレンズ製造コンピュータに、
(a)レンズ基板の光学面に関する光学面データをデータ格納ユニットから選択する機能と、
(b)レンズ基板材料に関するレンズ基板データをデータ格納ユニットから選択する機能と、
(c)フォトクロミック膜に関するフォトクロミックデータをデータ格納ユニットから選択する機能と、
(d)硬質膜に関するデータを含む表面処理データをデータ格納ユニットから選択する機能と、
(e)光学面データに基づいて適合する光学面が形成されたレンズ基板を選択するレンズ基板選択機能と、
(f)フォトクロミックデータに基づき、少なくともフォトクロミック膜の形成データを選択して、フォトクロミック膜形成装置に出力するフォトクロミック膜形成データ選択機能と、
(g)硬質膜に関するデータに基づき、少なくとも硬質膜の形成データを選択して、硬質膜形成装置に出力する硬質膜形成データ選択機能と、
を実現させるものである。
このような機能を有するフォトクロミックレンズ製造プログラムをフォトクロミックレンズ製造コンピュータで実行させることによって、上述した本発明によるフォトクロミックレンズ製造システムにおける製造側コンピュータを好ましく動作させることが可能となる。
また、ォトクロミックレンズ製造方法は、
(1)少なくとも一方の面に光学面が形成されたレンズ基板を選択するレンズ基板選択工程と、
(2)この光学面が形成された面にフォトクロミック機能を付与するフォトクロミック膜形成工程と、
(3)少なくともフォトクロミック膜を形成した面に硬質膜を付与する硬質膜形成工程と、
を含む。そして、これらレンズ基板選択工程とフォトクロミック膜形成工程と硬質膜形成工程とを一連の工程として行うことを特徴とする。
このように、レンズ基板選択工程と、フォトクロミック膜形成工程と、硬質膜形成工程とを一連の工程として行うことで、例えば受注したデータに応じた光学面を有するレンズを選択し、続いてその面にフォトクロミック膜を形成し、更に連続して硬質膜を形成することで、フォトクロミック機能付の多種多様なレンズを迅速に製造することが可能となる。また、例えば眼鏡レンズの処方に対応したフィニッシュドレンズやセミフィニッシュドレンズにフォトクロミック膜を形成したレンズを多量に用意して保管しておく必要がない。したがって、時間短縮に加えコストの面においても、無駄なく使用者の要求に合わせたフォトクロミックレンズを製造することができる。さらに、少なくともフォトクロミック膜の上にハードコート等の硬質膜を連続して形成することにより、フォトクロミック膜用の保護膜等の不要な膜をフォトクロミック膜上に追加形成する必要がない。このため、フォトクロミック機能の品質劣化と染料メーカーへの往復搬送等によるレンズ自身の物理的劣化を抑制することができる。
更に、保管時の耐擦傷性を向上させるためにレンズ基板の表面に既に硬質膜が形成されている場合は、その硬質膜の上面にフォトクロミック膜を形成してもよい。この場合は、フォトクロミック膜形成後にあらためて硬質膜が形成される。光学面の形状から得られる光学特性、及び、フォトクロミック膜により得られる調光特性の両特性が実現されればよく、両者の間の他の層の有無に限定されるものではない。
また、例えばセミフィニッシュドレンズを用いて製造する場合は、フォトクロミック膜形成工程の直後に、このフォトクロミック膜が形成される面とは異なる他方の面に光学面を形成する片面光学面形成工程を含んでもよい。この場合は、フォトクロミック膜形成工程と片面光学面形成工程と硬質膜形成工程とをこの順に連続して行ってもよい。この場合、硬質膜形成は、少なくともフォトクロミック膜が形成されている面に行われるが、他方の光学面にも形成されると好ましい。
更に、フォトクロミック膜形成工程と硬質膜形成工程と片面光学面形成工程とをこの順に連続して行ってもよい。この場合、片面光学面形成後の光学面(フォトクロミック膜が形成されていない面)に、更に硬質膜を形成するとよい。硬質膜により、他方の面の耐擦傷性が向上する。このようにすることで、片面光学面形成工程を含む場合においても、フォトクロミック膜上に不要な保護膜等を追加することなく、フォトクロミック機能の品質劣化を抑制することができる。
また、上述した片面光学面形成工程においては、光学研磨による光学面形成を行うことが望ましい。光学研磨による場合は、他の面に形成されているフォトクロミック膜の品質劣化を生じることなく、良好に光学面形成が可能である。
なお、フォトクロミック膜とレンズ基板との間に下地層、いわゆるプライマー層を形成する工程を更に含んでもよい。このように下地層を形成すると、フォトクロミック膜の重合時にかかる収縮が下地層によって緩和される。この結果、レンズ基板の表面とフォトクロミック膜の接合状態が改善され、フォトクロミック膜の剥がれが抑制される。さらに、レンズ基板とフォトクロミック膜の密着性がよくなるため、外部衝撃のポイントが起点となるフォトクロミック膜の剥がれも抑制されるという効果が得られる。このため、より品質の優れたフォトクロミックレンズを製造することが可能となる。
なお、下地層形成工程の前後、すなわちレンズ基板と下地層との間又は下地層とフォトクロミック膜との間、更にはフォトクロミック膜形成工程後の硬質膜形成工程の前に、フォトクロミック形成時のフォトクロミック膜材料成分の移動を抑える材料層を形成する工程を含んでもよい。更に、フォトクロミック膜形成工程後に、硬質膜の密着性を改善するための下地層を形成する工程を含んでもよい。
本発明によれば、フォトクロミック膜を有するレンズやレンズ基板を大量に、また長期間保有することなく、注文を受けてから出荷まで必要な時間を短くすることができ、且つ、フォトクロミック機能の低下を抑制してフォトクロミックレンズを製造することができる。
本発明の実施の形態に係るフォトクロミックレンズ製造システムのブロック構成図である。 図1に示すフォトクロミックレンズ製造システムの製造側コンピュータの機能を示すブロック図である。 フォトクロミックレンズ製造装置の制御の系統の一例を示す構成図である。 フォトクロミック膜形成装置の一例を示す概略構成図である。 図4に示すフォトクロミック膜形成装置におけるディスペンサとレンズ基板との位置関係を示す概略構成図である。 図4に示すフォトクロミック膜形成装置におけるディスペンサによるレンズ塗布面でのコーティング液の滴下状態を示す平面図である。 光学面形成ユニットの一例の構成図である。 本発明の実施の形態に係るフォトクロミックレンズ製造方法を説明するフローチャートを示す図である。 図8に示すフォトクロミックレンズ製造方法を説明するフローチャートにおけるフォトクロミック膜形成工程を説明するフローチャートを示す図である。 レンズ基板とフォトクロミック膜形成後のレンズ基板とにおける片面光学面形成後の中心肉厚に対する曲率半径変化量を示す図である。 フォトクロミック膜(ブラウン系)を形成したレンズ基板における保管前後の色座標を示す図である。 フォトクロミック膜(グレー系)を形成したレンズ基板における保管前後の色座標を示す図である。 実施例によるフォトクロミックレンズ(ブラウン系)の製造後の発色分光透過率曲線を示す図である。 実施例によるフォトクロミックレンズ(グレー系)の製造後の発色分光透過率曲線を示す図である。
以下本発明の実施の形態に係るフォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズ製造装置、フォトクロミックレンズ製造方法の実施の形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、下記の各実施の形態においては眼鏡用のフォトクロミックレンズを製造する例について説明するが、眼鏡用以外の目的でフォトクロミック機能を付与する各種の光学レンズを製造する際にも適用可能である。説明は以下の順序で行う。
1.フォトクロミックレンズ製造システムの実施の形態
2.フォトクロミックレンズ製造装置の実施の形態
3.フォトクロミックレンズ製造方法の実施の形態
〔1〕フォトクロミックレンズの材料
〔2〕フォトクロミック膜の形成方法
〔3〕光学面形成方法
〔4〕製造工程
4.実施例及び比較例の評価
1.フォトクロミックレンズ製造システムの実施の形態
図1は、本発明のフォトクロミックレンズ製造システムを適用したフォトクロミックレンズを供給する全体のシステムの一実施形態を示すブロック構成図である。図1に示すように、レンズ店や眼科医等の発注元100には、発注側コンピュータ101が設置され、無線LAN通信やインターネット等の通信回線300を介して、レンズ加工設備200に設けられた製造側コンピュータ201と通信可能に接続される。レンズ加工設備200は、発注元100であるレンズ店や眼科医等に備えられて例えば発注元100に隣接していてもよく、または遠隔地に設けられていてもよい。発注元100には図示しないがその他使用者の視力等を測定する測定器が設けられ、発注側コンピュータ101に接続されていてもよい。またレンズ加工設備200には、その他フォトクロミック膜形成装置202、硬質膜形成装置203、光学面形成装置204が設けられる。フィニッシュドレンズのみを用いてフォトクロミックレンズを製造するシステムでは、光学面形成装置204が省略されていてもよい。
そして製造側コンピュータ201は、図2に示すように、データ入力部211、レンズ基板選択部212、フォトクロミック膜形成データ選択部213、硬質膜形成データ選択部214、光学面形成データ選択部215を有する。更に、フォトクロミック膜形成データ出力部216、硬質膜形成データ出力部217、光学面形成データ出力部218を備える。そして、フォトクロミック膜形成データ出力部216から出力されるデータがフォトクロミック膜形成装置202に入力されるように、例えば無線等を含む通信回線を介してフォトクロミック膜形成装置202に送信される。同様に、硬質膜形成データ出力部217から出力されるデータが硬質膜形成装置203に送信され、光学面形成データ出力部218から出力されるデータが光学面形成装置204に送信される。なお、フィニッシュドレンズを用いてフォトクロミックレンズを製造するシステムにおいては、光学面形成データ選択部215及び光学面形成データ出力部218が省略されていてもよい。また、光学面に関するデータからフィニッシュドレンズを用いるかセミフィニッシュドレンズを用いるか判断して、必要に応じてこれらの機能を動作させるようにしてもよい。
このような製造システムにおいて、フォトクロミックレンズが発注されてから製造者側が受注、製造してレンズ店側に供給される手順について次に説明する。なお、製造者がレンズ店自体である場合も同様である。先ず、発注元100の発注側コンピュータ101に、フォトクロミックレンズに関する必要なデータが入力される。この入力データには、例えば眼鏡の処方に関するデータ、使用者の眼球間隔等の顔の形状に関するデータ、眼鏡フレームの形状等の眼鏡装用状態に関するデータ、レンズ基板材料等の種類、すなわち屈折率や紫外線透過率等の違いによって選択されるレンズ基板材料名やレンズ径、厚さ、ベースカーブ等に関するデータ、またフォトクロミック膜に関するデータ、硬質膜に関するデータ等が含まれる。フォトクロミック膜に関するデータとしては、フォトクロミック膜の色及び濃度、また発色と退色(消色)に要する時間等の入力が可能である。硬質膜に関するデータとしては、例えばその種類の入力が可能である。
次に、レンズ加工設備200における製造側コンピュータ201の図2に示すデータ入力部211に、これらのデータが通信回線300を介して入力される。そして上述した眼鏡の処方に関するデータ、顔の形状に関するデータ、眼鏡装用状態に関するデータ等から、レンズの光学面に関するデータが選択される。この光学面に関するデータと、レンズ基板材料等に関するデータから、先ずレンズ基板選択部212によりレンズ基板が選択される。選択されたレンズ基板の種類は、例えばレンズ基板表示部220等に出力される。レンズ加工設備200ではこの結果を基にレンズ基板が選択される。なお、レンズ基板保管装置221を設ける場合は、レンズ基板表示部220からレンズ基板保管装置221にレンズ基板の種類に関するデータが送られ、このデータを基に自動制御でレンズ基板を選択して取り出し、フォトクロミック膜形成装置202に搬送するようにしてもよい。そして、光学面に関するデータからセミフィニッシュドレンズを用いて製造することが選択された場合は、光学面形成データ選択部215により未加工の面に関する光学面形成データが選択されて、光学面形成データ出力部218から光学面形成装置204に必要なデータが出力される。
一方、データ入力部211に入力されたフォトクロミック膜に関するデータから、フォトクロミック膜形成データ選択部213により、フォトクロミック膜を構成する材料の種類や、フォトクロミック膜の厚さのフォトクロミック膜形成データが選択され、フォトクロミック膜形成データ出力部216からフォトクロミック膜形成装置202にこれらのデータが出力される。これらのデータに基づいて、フォトクロミック膜形成装置202の例えばスピンコート槽において、フォトクロミック膜を塗膜形成する調合液や、塗布膜厚を決定する回転数、塗布時間等の塗布条件、また重合硬化する場合は重合条件等が適宜選定され、注文内容に対応したフォトクロミック膜が形成される。
また、データ入力部211に入力された硬質膜に関するデータから、硬質膜形成データ選択部214によって、発注された硬質膜に対応する種類の硬質膜形成データが選定され、硬質膜形成データ出力部217から硬質膜形成装置203に出力される。硬質膜の構成材料や重合条件等の形成条件が入力されることで、注文内容に対応した硬質膜が形成される。
以上のように構成されたフォトクロミックレンズ製造システムによれば、レンズ基板の選択、フォトクロミック膜の形成、硬質膜の形成を一連の連続した工程とすることが可能である。またレンズ基板としてセミフィニッシュドレンズが選択される場合においても、フォトクロミック膜の形成、光学面の形成、硬質膜の形成を一連の連続した工程とすることができる。また、フォトクロミック膜の形成、硬質膜の形成、光学面の形成を一連の連続した工程として、フォトクロミックレンズを製造することが可能である。
2.フォトクロミックレンズ製造装置の実施の形態
次に、本発明によるフォトクロミックレンズ製造装置の実施の形態について説明する。
図3は、本発明のフォトクロミックレンズ製造装置における制御の系統の一例を簡易的に示した構成図である。このフォトクロミックレンズ製造装置500は、作製するレンズに関する情報を格納するデータ格納ユニット510と、レンズ表面の処理制御に係る制御ユニット501と、レンズ表面を加工する表面処理ユニット520から構成されている。
データ格納ユニット510には、被塗布面のカーブデータやレンズ径などの寸法データなどを収容する光学面データ格納部511と、レンズ基板を構成する材料に関する材質データや被塗布面の硬質膜の有無に関する最表面材料データを格納するレンズ基板データ格納部512と、成膜するフォトクロミック膜の色調や濃度などの調光性能を入力するフォトクロミックデータ格納部513から構成されている。
制御ユニット501は、データ格納ユニット510から必要なデータを取り出して条件を算出しフォトクロミック膜の成膜制御を行う第一の成膜制御装置502と、同様にデータを取り出して条件を算出し硬質膜の成膜制御を行う第二の成膜制御装置503から構成されている。
表面処理ユニット520は、フォトクロミック膜を成膜するためのフォトクロミック膜形成装置530(フォトクロミック形成手段)と硬質膜を形成する硬質膜形成装置540(硬質膜形成手段)から構成されている。
各ユニットについて詳述する。
データ格納ユニット510は、使用者から注文を受けた情報をオペレータが入力し、その情報を記憶(格納)しておく手段である。その中で、レンズの形状のデータは、光学面データ格納部511に格納される。具体的なデータとしては、レンズのベースカーブデータ、レンズの外形データ、レンズの厚みデータ等が必須で格納される。さらに、累進屈折力レンズの場合、近用屈折力中心と遠用屈折力中心で曲面の曲率が異なる場合がある。このような形状の場合には、その曲面の三次元データが格納される。
レンズ基板データ格納部512には、材質データ、最表面材料データが格納される。プラスチックレンズの屈折率は、レンズ基板を構成する材料に依存する。この屈折率により、硬質膜の材質が決定され、反射防止膜を形成する場合には、反射防止膜の構成が決定される。材質データは、硬質膜の成膜制御等を行う上で重要な要素となる。
また、最表面材料データは、フォトクロミック膜を形成する上で必須の要素となる。最表面に硬質膜が塗布されている場合と塗布されていない場合では、異なる条件を設定する必要がある。最表面材料データは、フォトクロミック膜の成膜制御を行う上で重要な要素となる。
フォトクロミックデータ格納部513には、使用者が所望する発色時の色調、濃度など、フォトクロミック膜の意匠に関する情報が格納される。
制御ユニット501は、フォトクロミック膜の成膜制御を行う第一の成膜制御装置502と硬質膜の成膜制御を行う第二の成膜制御装置503から構成されている。第一の成膜制御装置502は、データ格納ユニット510に格納されている、作製するレンズの光学面データ、レンズ基板データ、フォトクロミックデータに基づいて、表面処理ユニット520のフォトクロミック膜形成装置530(図2に示すフォトクロミック膜形成装置202に対応)を制御する。具体的な制御方法については、フォトクロミック膜形成装置530に関する事項とともに詳述する。制御ユニット501に含まれる第二の成膜制御装置503は、データ格納ユニット510のレンズ基板データと光学面データに基づいて硬質膜形成装置540(図2に示す硬質膜形成装置203に対応)を制御する。
次に、表面処理ユニット520に含まれるフォトクロミック膜形成装置530の詳細について説明する。図4はフォトクロミック膜形成装置530の一例の概略構成図であり、図5はその要部を拡大した概略構成図である。
図4及び図5に示すフォトクロミック膜形成装置530は、レンズ基板1を保持するスピンホルダ11と、レンズ基板1における凸面としての被塗布面2(図5)へ、コーティング液9(図5)を滴下する滴下装置としてのディスペンサ12とから構成されている。フォトクロミック膜形成装置530は、制御ユニット501の第一の成膜制御装置502に接続されており、この第一の成膜制御装置502が、レンズ基板1の光学面データを格納したデータ格納ユニット510に通信ケーブルや無線LAN等の通信回線24を介して接続されている。
ディスペンサ12に注入されるコーティング液9は、データ格納ユニット510のフォトクロミックデータとレンズ基板データに基づいて選定される。コーティング液9は、注文のフォトクロミック膜の意匠的性質(例えば、色調、濃度、及び、発退色速度)と被塗布面2の情報に基づいて選択・調合される。第一の成膜制御装置502により、コーティング液9の条件が導出され、その条件に従ってフォトクロミック膜形成装置530又はオペレータがコーティング液9を選択・調整する。
上記レンズ基板1は、図5に示すように、被塗布面2となる表面が例えば上に凸の曲面形状(凸面形状)に形成されている。そしてこのレンズ基板1の例えば凹面形状の裏面3に、スピンホルダ11(図4)のOリング15(図5)が接触し、このスピンホルダ11に図示しない排気手段を設けることで、Oリング15を用いてレンズ基板1を負圧によりスピンホルダ11に吸着保持する。一方、ディスペンサ12は、図4に示すように、レンズ基板1に対応して少なくとも1台設置される。図4においてはディスペンサ12を2台設置する例を示すが、この限りではない。ディスペンサ12は、ディスペンサモータ17の駆動により、スピンホルダ11に保持されたレンズ基板1に対し、図4中矢印aで示すように、例えば鉛直方向に昇降可能に設けられる。ディスペンサ12は、スライドモータ18の駆動により、図4中矢印bで示すように、スピンホルダ11に保持されたレンズ基板1の直径方向の例えば水平方向に移動可能に設けられる。スピンホルダ11は、スピンモータ16の駆動により、図4中矢印cで示すように、回転可能に設けられる。更に、スピンホルダ11が、スライドモータ19により、図4中矢印eで示すように、例えば水平方向に移動可能に設けられていてもよい。
これらスピンモータ16、ディスペンサモータ17、スライドモータ18及び19は、第一の成膜制御装置502に通信回線24により接続され、これらスピンモータ16、ディスペンサモータ17及びスライドモータ18及び19の作動が制御される。また、ディスペンサ12には、シリンダモータ21が設けられて、同様に第一の成膜制御装置502に通信回線24により接続されてシリンダモータ21の作動が制御される。これにより、ディスペンサ12から滴下されるコーティング液9の滴下量をコーティング液9の粘度に応じて制御する。
紫外線を含む光の照射により変色するフォトクロミック機能を有する液体であるコーティング液9は、一般のコーティング液に比べて粘性が高く、25℃で25〜500cpsである。このように粘性の高いコーティング液9であっても、上述の構成のフォトクロミック膜形成装置530を用いることで、レンズ基板1の凸面形状の被塗布面2(図4参照)に数10μm(例えば30μm)程度の膜厚に制御してコーティングすることができ、膜厚むらを抑えたフォトクロミック膜(不図示)を形成することができる。
上述のフォトクロミック膜形成装置530を用いてレンズ基板1の凸面形状の被塗布面2にフォトクロミック膜を塗布するには、第一の成膜制御装置502の制御により行われる。具体的な制御は、スピンホルダ11にレンズ基板1を保持し、このスピンホルダ11を回転させながら、ディスペンサ12のノズル20からフォトクロミック色素等を有するコーティング液9を滴下させて行われる。この間、ディスペンサ12のノズル20をレンズ基板1に接触させない状態で、レンズ基板1の外周近傍からレンズ基板1の幾何学中心または光学中心方向へ向かって直線移動させる。このスピンホルダ11によるレンズ基板1の回転とノズル20の移動動作によって、被塗布面2には螺旋状にコーティング液9が滴下されることになる。なお、図6に示すように、外周近傍でリング状に滴下軌跡25を形成し、滴下軌跡25の内側に螺旋状の滴下軌跡26を形成してもよい。このように形成することにより、粘性の高いコーティング液9によるコーティングでも均質な膜厚のフォトクロミック膜を形成することができる。
レンズ基板1の被塗布面2にコーティング液9を滴下するときのディスペンサ12におけるノズル20の移動軌跡は、データ格納ユニット510に格納されたレンズ基板1の形状データ(寸法データと面形状データ)に基づいて第一の成膜制御装置502が決定する。
次いで、フォトクロミック膜形成装置530は、スピンモータ16を駆動してスピンホルダ11を回転させる。この回転により、コーティング液9は被塗布面2上において平滑化される。回転数や回転時間などの条件は、データ格納ユニット510のレンズ基板データ(例えば最表面の材質のデータ)や光学面の寸法データに基づいて第一の成膜制御装置502により設定・制御される。回転数は、終始一定の回転数でもよく、複数の段階を経て回転数を上下させる設定であってもよい。
平滑化処理が完了した後、レンズ基板1をスピンホルダ11から解除する。レンズ基板1は、移送装置により乾燥工程へ移送される。なお、上記乾燥工程では、レンズ基板1の被塗布面2にコーティングされたフォトクロミック膜が、窒素ガス雰囲気で、紫外線の照射により硬化されて乾燥される。乾燥の条件としては、基板材料の熱的性質やフォトクロミック膜の重合にかかる紫外線の最適波長、および照射時間などが設定される。したがって、この条件設定は、レンズ基板データ(材料)とフォトクロミックデータ(コーティング液等)に基づいて第一の成膜制御装置502により設定・制御される。
レンズ基板1がセミフィニッシュドレンズの場合、ついで凹面側光学面形成が行われる。凹面側光学面形成は、光学面形成装置にて行われる。図7はこの光学面形成装置550の制御系統の一例を示す構成図である。光学面形成装置550は、光学面創成装置553と光学面研磨装置554より構成され、それぞれ光学面形成制御装置552によって作動条件が設定され制御される。また、光学面形成装置550は、凹面側データ格納部551を有する。この凹面側データ格納部551には、図3に示すデータ格納ユニット510の光学面データ格納部511に格納されている凹面側データと、レンズ基板データ格納部512に格納されている材料データとが、通信ケーブルや無線LAN送信等の通信回線(不図示)により送信されて格納され、これらのデータに基づいて凹面側切削の条件を設定する。光学面形成制御装置552は、この凹面側切削条件に基づき光学面創成装置553に凹面側光学面を切削創成する制御信号を出力し、光学面研磨装置554に切削面を鏡面研磨する制御信号を出力する。凹面側光学面に係る処理に関しては、フォトクロミックレンズの製造方法にかかる形態にて詳述する。
なお、本形態において、光学面形成に係る装置及び制御装置は前述のフォトクロミックレンズ製造装置500から独立している装置として記載したが、フォトクロミックレンズ製造装置500に光学面形成ユニットとして設け、一つの製造装置として使用することができる。この場合は、光学面形成ユニットに凹面側データ格納部551を設けずに、データ格納ユニット510から光学面形成制御装置552に直接各データが送信される構成としてもよい。また、光学面形成制御装置552は制御ユニット501に含まれていてもよく、制御ユニット501から光学面形成ユニットの光学面創成装置553や光学面研磨装置554に、直接制御信号が出力される構成であってもよい。このような構成とする場合は、データ格納ユニット510内に凹面側データ格納部551を、また制御ユニット501内に光学面形成制御装置552を共通化することができるため、データ処理を簡略化することができる。
凹面側光学面形成を終了した後、再びレンズ基板1をフォトクロミックレンズ製造装置500に戻し、硬質膜を形成する。
まず、データ格納ユニット510に収容されている基板材料データに基づいて、硬質膜の成膜を制御する第二の成膜制御装置503は、基板の屈折率に近い屈折率の膜を成膜可能なコーティング液(ハードコート液)を導出する。導出されたハードコート液は、硬質膜形成装置540かオペレータにより選択又は調整される。そして、硬質膜形成装置540に含まれる塗布装置により、硬質膜が形成される。
コーティングにかかる条件設定や硬質膜形成装置540の制御は、第二の成膜制御装置503によって行われる。硬質膜形成装置540に含まれる塗布装置がディッピング法を採用している場合、第二の成膜制御装置503は、レンズ基板を浸漬する時間、引き上げ速度、乾燥条件、及び、硬化条件などを設定し、各条件に基づいて硬質膜形成装置540を制御する。また、塗布装置がスピンコーティング法を採用している場合、第二の成膜制御装置503は、塗布時におけるコーティング液の供給条件や回転条件、乾燥条件、及び、硬化条件などを設定し、各条件に基づいて硬質膜形成装置540を制御する。
なお、各装置間のレンズ基板の搬送は、制御ユニット501からの制御信号により自動的に行う構成とすることが好ましい。この場合、別途設ける不図示のレンズ基板搬送装置から表面処理ユニット501のフォトクロミック膜形成装置530へレンズ基板が自動的に搬送され、また、フォトクロミック膜形成装置530から光学面形成装置550(又は光学面形成ユニット)の光学面創成装置553又は光学面研磨装置554に同様に自動的に搬送される構成であることが好ましい。更に、この光学面創成装置553又は光学面研磨装置554から硬質膜形成装置540へ、或いは相互の装置間への搬送を自動的に行う構成とすることが好ましく、各装置間全てにレンズ基板の搬送手段を設けることがより好ましい。
以上のように構成されたフォトクロミックレンズ製造装置500によれば、フォトクロミック膜等のコーティングについての特別な知識を有さなくても、レンズ基板の選択、フォトクロミック膜の形成、硬質膜の形成をすることができる。またレンズ基板としてセミフィニッシュドレンズが選択される場合においても、フォトクロミック膜の形成、光学面の形成、硬質膜の形成を一連の連続した工程とすることができ、又は、フォトクロミック膜の形成、硬質膜の形成、光学面の形成を一連の連続した工程として、フォトクロミックレンズを製造することが可能である。
3.フォトクロミックレンズ製造方法の実施の形態
次に、本発明によるフォトクロミックレンズ製造方法の実施の形態について説明する。
〔1〕フォトクロミックレンズの材料
先ず、本発明のフォトクロミックレンズ製造方法に適用可能なレンズ基板、フォトクロミック膜、硬質膜の材料について説明する。
(1)レンズ基板
本発明のフォトクロミックレンズ製造方法に適用可能なレンズ基板としてはフィニッシュドレンズやセミフィニッシュドレンズが挙げられる。そのうちセミフィニッシュドレンズは、一方の面、例えば凸面側のみに光学面が形成されており、他方の面、例えば凹面側に光学面を形成できるものであれば特に限定されない。フィニッシュドレンズ、セミフィニッシュドレンズ共に、レンズ基板の構成材料やその製造方法などは特に限定されず、注文の処方に応じて適宜選択される。
レンズ基板の材料としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。これら材料に、必要に応じて各種添加剤が含まれていてもよい。また、セミフィニッシュドレンズの成形方法は、前記材料に合わせて射出成形、注型成形等を選択されたものを適用することができる。
(2)フォトクロミック膜のコーティング液
フォトクロミック膜は、フォトクロミック色素を有するコーティング液をレンズ基板の一方の面、例えばフィニッシュドレンズやセミフィニッシュドレンズの凸面側に塗布及び硬化することにより成膜される。
コーティング液は、硬化性成分、フォトクロミック色素、重合開始剤、及び、任意に添加される添加剤から構成することができる。コーティング液の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより行うことができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加してもよいし、モノマー成分のみを予め混合し、重合させる直前にフォトクロミック色素や他の添加剤を添加・混合してもよい。
前記コーティング液は、25℃での粘度が20〜500cpであることが好ましく、50〜300cpであることがより好ましく、60〜200cpであることが特に好ましい。この粘度範囲とすることにより、コーティング液の塗布が容易となり、所望の厚さのフォトクロミック膜を容易に得ることができる。
以下、コーティング液の各成分について詳述する。
(2−1)硬化性成分
フォトクロミック膜形成のために使用可能な硬化性成分は、特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリール基、スチリル基等のラジカル重合性基を有する公知の光重合性モノマーやオリゴマー、それらのプレポリマーを用いることができる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性のよさから(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイルは、アクリロイルとメタクリロイルの両方を示す。
具体的な硬化性成分としては、特開2008−33223号公報、特開2007−77327号公報等に記載されている成分を使用することができる。
(2−2)フォトクロミック色素化合物
フォトクロミック色素化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック色素化合物が挙げられ、本発明においては、これらのフォトクロミック色素化合物を特に制限なく使用することができる。
前記フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物及びクロメン化合物としては、例えば、特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号明細書、WO96/14596号明細書などに記載されている化合物が好適に使用できる。
優れたフォトクロミック性を有する化合物として、例えば、特開2001−114775号公報、特開2001−031670号公報、特開2001−011067号公報、特開2001−011066号公報、特開2000−347346号公報、特開2000−344762号公報、特開2000−344761号公報、特開2000−327676号公報、特開2000−327675号公報、特開2000−256347号公報、特開2000−229976号公報、特開2000−229975号公報、特開2000−229974号公報、特開2000−229973号公報、特開2000−229972号公報、特開2000−219687号公報、特開2000−219686号公報、特開2000−219685号公報、特開平11−322739号公報、特開平11−286484号公報、特開平11−279171号公報、特開平10−298176号公報、特開平09−218301号公報、特開平09−124645号公報、特開平08−295690号公報、特開平08−176139号公報、特開平08−157467号公報等に開示された化合物も好適に使用することができる。
これらフォトクロミック色素化合物の中でも、クロメン系フォトクロミック色素化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック色素化合物に比べ高く、さらにフォトクロミック特性の発色濃度及び退色速度の向上が他のフォトクロミック色素化合物に比べて特に大きいため特に好適に使用することができる。さらに、これらクロメン系フォトクロミック色素化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、本発明によるフォトクロミック特性の発色濃度及び退色速度の向上が他のクロメン系フォトクロミック色素化合物に比べて特に大きいため好適に使用することができる。
さらに、その発色濃度、退色速度、耐久性等の各種フォトクロミック特性が特に良好なクロメン化合物としては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 0005567002
一般式(1)中、下記一般式(2)で示される基は、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは非置換の不飽和複素環基である。
Figure 0005567002
一般式(1)中、R43、R44及びR45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、アラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とピラン環もしくは前記式(2)で示される基の環とが結合する置換もしくは非置換の複素環基、又は該複素原基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基である。また、oは0〜6の整数である。
一般式(1)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、下記一般式(3)、一般式(4)で示される基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又はアルキル基であるか、あるいはR41とR42とが一緒になって、脂肪族炭化水素環もしくは芳香族炭化水素環を構成していてもよい。
Figure 0005567002

(式中、R46は、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、R47は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子であり、pは1〜3の整数である。)
Figure 0005567002

(式中、R48は、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、p’は1〜3の整数である。)
なお、前記一般式(3)、(4)、前記R41及びR42にて説明した置換アリール基及び置換ヘテロアリール基における置換基としては、前記R43〜R44と同様の基が挙げられる。
前記一般式(1)で示されるクロメン化合物のなかでも、発色濃度、退色速度等のフォトクロミック特性及び耐久性の点から、下記一般式(5)〜(10)で示される化合物が特に好適である。
Figure 0005567002

(式中、R49及びR50は、それぞれ前記一般式(1)のR41及びR42と同様であり、R51及びR52は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、q及びq’は、それぞれ1〜2の整数である。)
Figure 0005567002

〔式中のR53及びR54は、それぞれ前記一般式(1)のR41及びR42と同様であり、R55及びR56は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、Lは下記式、
Figure 0005567002

(上記式中、Pは、酸素原子又は硫黄原子であり、R57は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、s、s’及びs’’は、いずれも1〜4の整数である。)で示されるいずれかの基であり、r及びr’は、それぞれ独立に1又は2である。〕
Figure 0005567002

(式中、R58及びR59は、それぞれ前記式(1)のR41及びR42と同様であり、R60、R61及びR62は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、vは1又は2である。)
Figure 0005567002

(式中、R63及びR64は、それぞれ前記式(1)のR41及びR42と同様であり、R65及びR66は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、w及びw’は、それぞれ独立に1又は2である。)
Figure 0005567002

(式中、R67及びR68は、それぞれ前記式(1)のR41及びR42と同様であり、R69、R70、R71及びR72は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、x及びx’は、それぞれ独立に1又は2である。)
Figure 0005567002

(式中、R73及びR74は、それぞれ前記式(1)のR41及びR42と同様であり、R75、R76及びR77は、それぞれ前記式(1)のR45と同様であり、
Figure 0005567002

は、少なくとも1つの置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であり、y、y’及びy’’は、それぞれ独立に1又は2である。)
上記一般式(5)〜(10)で示されるクロメン化合物の中でも、下記構造のクロメン化合物が特に好ましい。
Figure 0005567002
これらフォトクロミック色素化合物は適切な発色色調を発現させるため、複数の種類のものを適宜混合して使用することができ、フォトクロミック色素化合物の硬化性組成物全量に対する配合量としては、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜20重量部であり、0.1〜10重量部であると好ましい。
(2−3)光重合開始剤
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドが好ましい。
これら光重合開始剤は、複数の種類のものを適宜混合して使用することができ、成分(6)の光重合開始剤の硬化性組成物全量に対する配合量としては、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、通常0.001〜5重量部であり、0.1〜1重量部であると好ましい。
なお、光重合以外の方法で硬化させる場合には、例えば、熱重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルオキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’−アゾピスイソプチロニトリル、2,2’−アゾピス(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
これら熱重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、重合性単量体の種類や組成によって異なるが、通常、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。上記熱重合開始剤は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
(2−4)添加剤
コーティング液には、フォトクロミック色素の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
前記界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できる。コーティング液への溶解性を考慮するとノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。
酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用してもよい。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用してもよい。
安定剤の中でも、硬化させる際のフォトクロミック色素の劣化防止、または得られたフォトクロミック膜の耐久性向上の観点から好ましい安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン光安定剤としては、公知の化合物を何ら制限なく用いることができる。
また、コーティング液においては、成膜時の均一性を向上させるために、界面活性剤、レベリング剤等を含有させることが好ましく、特にレベリング性を有するシリコーン系・フッ素系レベリング剤を添加することが好ましい。
さらに、コーティング液に、密着性を向上させるためにカップリング剤等の密着剤、またはカップリング剤の重合触媒を添加してもよい。
(3)フォトクロミック膜:下地層
レンズ基板とフォトクロミック膜の間に、下地層を設けると好ましい。下地層は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、又は、ポリウレタンアクリレート樹脂を使用することができる。下地層の形成方法は特に限定されないが、下地層を形成可能なコーティング液を調製して凸面に塗布した後に硬化処理を施すことによって得ることができる。塗布方法は特に限定されず、ディップ法又はスピン法での塗布が利用可能であるが、フォトクロミック膜は一方の面に形成されるので、一方の面のみ成膜可能なスピン法が好ましい。
下地層の厚みは、レンズ基板の凸面とフォトクロミック膜の接合状態を改善できる厚みであればよく、特に限定されない。好ましい膜厚は、1μm〜20μであり、3〜10μmがより好ましい。膜厚が0.5μmよりも薄くなるとフォトクロミック膜と凸面の密着性を確保しにくい。下地層の厚みが25μmを超えると、フォトクロミック膜を含めた膜構成が軟質になってしまう。
更に、この下地層の下層又は上層、すなわちレンズ基板と下地層との間、又は下地層とフォトクロミック膜との間に、シリカ系無機材料やアクリル系樹脂等より成る材料層を形成してもよい。フォトクロミック膜の加熱重合や光重合等による形成の際に、フォトクロミック膜材料の一部の成分が下地層やレンズ基板に移動する場合がある。このため、下地層形成前、又は下地層形成後に、このような成分の移動を抑えるシリカ系無機材料を形成してもよい。または、このような成分を吸収することも可能な有機材料、例えばアクリル系樹脂層を形成してもよい。これらの材料層は、下地層形成、フォトクロミック膜形成と一連の工程で行うために、スピンコート法等の塗布法による成膜、及び過熱や紫外線等の照射による重合によって硬化形成することが好ましい。
更に、フォトクロミック膜形成後に、このようなシリカ系無機材料やアクリル系樹脂等の材料層を形成してもよい。フォトクロミック膜上には後述する硬質膜を形成するが、フォトクロミック膜中の比較的分子量の小さい成分、例えば光安定化材等が、硬質膜形成時の重合工程等において硬質膜中に移動する場合がある。上述したような材料層をフォトクロミック膜と硬質膜との間に介在させることで、このような不要な成分の硬質膜への混入を抑えることが可能となる。
(4)硬質膜
本発明において、フォトクロミック膜の上面には、硬質膜として例えばハードコート層が形成される。ハードコート層の材料としては、特に限定されず、公知の有機ケイ素化合物及び金属酸化物コロイド粒子よりなるコーティング液を使用することができる。コーティング液を塗布した後、硬化処理によってハードコート層を得ることができる。
前記有機ケイ素化合物としては、例えば下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物が挙げられる。
[化14]
(R91a’(R93b’Si(OR924−(a’+b’)・・・(I)
(式中、R91は、グリシドキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタアクリルオキシ基、アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、フェニル基等を有する有機基、R92は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基、R93は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、a’及びb’はそれぞれ0又は1の整数を示す。)
前記R92の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、直鎖又は分岐のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
前記R92の炭素数1〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記R92の炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
前記R93の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、直鎖又は分岐のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
前記R93の炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
金属酸化物コロイド粒子としては、例えば、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタニウム(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化スズ(SnO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb)等が挙げられ、単独又は2種以上を併用することができる。
前記コーティング液をフォトクロミック膜上へ塗布する方法としては、例えば、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法等が通常行われる方法として適用されるが、組成物の粘性、面精度の面からディッピング法やスピンコート法が好ましい。特に、フォトクロミック膜上に硬質膜としてハードコート層を形成し、その後他の面の光学面を形成する場合は、片面への塗布が可能なスピンコート法が好ましい。また、硬質膜を形成するよりも前に他の面の光学面形成を行う場合には、両面への塗布が可能なディッピング法を適用することが好ましい。コーティング液をフォトクロミック膜上へ塗布する前に、酸、アルカリ、各種有機溶媒による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理を行うことによってフォトクロミック膜とハードコート層との密着性等を向上させることができる。
なお、フォトクロミック膜とハードコート層との間に、耐衝撃性を向上させるプライマー層を形成してもよい。プライマー層の材料は特に限定されるものではなく、ハードコートの密着性を損なうことなく耐衝撃性を向上させるものであればよい。また、上述したように、このプライマー層の下層又は上層に、シリカ等の無機材料、又はアクリル系樹脂等より成る材料層を設け、フォトクロミック膜からの不要な成分の混入を抑える構成としてもよい。
(5)反射防止膜
本発明においては、ハードコート層の上に反射防止膜を形成することも可能である。前記反射防止膜の材質及び形成方法は特には限定されず、公知の無機酸化物により成る単層、多層膜を使用することができる。
この無機酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ニオブ(Nb)酸化イットリウム(Y)等が挙げられる。
また、有機ケイ素化合物と無機微粒子によって構成され、無機微粒子の種類により屈折率が調整される単層又は多層の有機反射防止膜も使用することができる。
〔2〕フォトクロミック膜の形成方法
前記したフォトクロミック膜材料を構成するコーティング液をレンズ基板の片面、例えば凸面に塗布する方法としては、例えば、スピン法、スプレー法等が通常行われる方法として適用することができる。組成物の粘性、面精度の面からスピンコート法が好ましい。スピンコート法による場合は特に、膜厚をより精度よく制御できる点や、レンズ基板に塗膜する場合は片面のみに塗膜されるため他方の面を光学研磨してもコーティング液に無駄が生じないという利点を有する。
また、レンズ基板の一方の面にコーティング液を塗布する前に、前述した密着性向上の下地層や、フォトクロミック膜の一部の成分の移動を抑える材料層を形成すると好ましい。また、前記凸面を酸、アルカリ、オゾン等の酸化還元処理及び各種有機溶媒による化学的処理、プラズマ、紫外線等の物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理を行うことによってレンズ基板とフォトクロミック膜の密着性等を向上させることができる。
コーティングの硬化条件は特に限定されず、用いるラジカル重合性単量体の種類に応じた公知の重合方法を採用することができる。重合開始手段としては、熱、もしくは紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができ、好ましくは紫外線を照射し、硬化させた後、さらに加熱硬化させることが好ましい。
前記紫外線による硬化に用いる光源としては公知の光源を何ら制限なく用いることができ、具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、無電極ランプ等が挙げられる。
また、光照射時間は紫外線重合開始剤の種類、吸収波長、感度、さらには所望のフォトクロミック膜の膜厚等によって適宜決めることができる。
フォトクロミック膜の膜厚は、発色時の濃度、耐久性及び耐熱性、及び膜の均一性を考慮すると、10μm〜100μmであると好ましく、20μm〜50μmであるとさらに好ましい。
〔3〕光学面形成方法
レンズ基板の光学面を構成する曲面、凸面や凹面の創成加工は、カーブジェネレータを用いることができる。カーブジェネレータは、創成目的の曲面形状に沿って切削刃位置をコンピュータ制御することにより、加工目的の曲面形状を創成するNC(数値制御)切削加工装置である。このような切削加工装置としては例えば特開2004−82324号公報に記載された研削装置を利用することができる。研削加工後、必要に応じて研磨装置にて研磨が行われる。
研磨装置としては、例えば被研磨物を保持する保持具と、流体圧によってドーム状に膨らまされる可撓性シートを有する研磨治具と、この可撓性シートの表面に貼付けられる研磨パッドとを備える研磨装置が利用可能である。このような研磨装置として、特開2000−1177604号公報や特開2003−266287号公報に記載された研磨装置が挙げられる。この装置においては、保持具の左右および前後往復運動と、研磨治具の首振り旋回運動により研磨の軌跡が1周毎に少しずつずれる無軌道研磨軌跡で被研磨物の被研磨面を、研磨パッドと被研磨面との間に供給される研磨剤とによって研磨するようにしている。このような研磨装置によれば、研磨治具として例えばバルーン部材を用い、その内圧を変化させることで、ドームの曲率を変化させながら研磨することができる。このため、被研磨面の曲率に応じてドームの曲率を変更するために格別な部品や手段を設ける必要がなく、研磨治具の種類を大幅に削減することができ、また確実に研磨することができる。
なお、研磨装置としてはこれに限定されるものではなく、その他種々の研磨装置を利用することが可能である。
なおこの光学面形成工程は、前述したフォトクロミック膜形成工程後に行うものであるが、フォトクロミック膜を保護してレンズ基板の反対側の面の加工を行うには、例えば特開2003−334748号公報等に記載されたレンズ保持具やヤトイを用いてレンズ基板を固定し、また例えば特開2004−330327号公報に記載されたような、装着・脱着性に優れる可撓性シート状のレンズ固定部材等を利用してフォトクロミック膜側を固定することが好ましい。このように、フォトクロミック膜への影響を抑えるシート状等の固定部材を用いることによって、フォトクロミック膜を変形、変質させることなく良好に他の面の創成加工を行うことができる。この第2の光学面形成工程におけるフォトクロミック膜形成側の面の保持方法や保持具の材料・構成等については、その他フォトクロミック膜の変形・変質を生じない形態であればよく、上記の例に限定されるものではない。
〔4〕製造工程
次に、本発明の実施の形態に係るフォトクロミックレンズの製造方法における製造工程について説明する。図8は、本実施の形態に係るフォトクロミックレンズ製造方法の各工程を示すフローチャートである。この例においては、例えば累進屈折力レンズを形成する場合等において、予め一方の面、例えば凸面を光学面として形成し、他方の面、例えば凹面を未加工面としたいわゆるセミフィニッシュドレンズをレンズ基板として用いてフォトクロミックレンズを製造する場合を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。図8に示すように、先ずフォトクロミックレンズを受注し(ステップS1)、受注したデータを上述の図3において説明したフォトクロミックレンズ製造装置500のデータ格納ユニット510に格納する。そして、受注データのうちレンズ光学面に関する光学面データとレンズ基板の材料に関するデータに基づいてレンズ基板を選択する(ステップS2)。ここでは光学面両面に関するデータから、レンズ基板としてセミフィニッシュドレンズを選択し、更に多数のセミフィニッシュドレンズのうち、完成している片面光学面のデータが受注データの一方の光学面データと合致するレンズ基板を選択する。もちろん、受注内容によってはフィニッシュドレンズを選択する場合もある。
次に、選択されたレンズ基板にフォトクロミック膜を形成する(ステップS3)。このフォトクロミック膜形成工程の詳細については後述する。そしてフォトクロミック膜を形成した後、レンズ基板がセミフィニッシュドレンズである場合は、片面光学面形成を行う(ステップS4)。この光学面形成の際には通常のプラスチックレンズの光学面形成方法及び装置が利用可能であるが、上述した可撓性シート状レンズ保持具等を用いてフォトクロミック膜形成面を保持することが特に好ましい。このような保持具を用いることで、フォトクロミック膜の変形や変質を生じることなく良好に切削及び研磨を行うことが可能である。その間形成したフォトクロミック膜を特別に保護膜等で覆う必要はない。なお、レンズ基板としてフィニッシュドレンズを用いる場合は、光学面形成工程を省略する。
そして、光学面形成工程の後、硬質膜を形成する(ステップS5)。この場合、硬質膜はフォトクロミック膜形成面及び光学面形成面を含め全面的に形成することが可能である。一方、図示しないが、硬質膜形成工程を片面光学面形成工程の前に行うことも可能である。この場合は、硬質膜はフォトクロミック膜形成面、すなわち眼鏡レンズにおける外側の凸面のみに形成されることとなる。この場合、後に凹面側に更にハードコート等の硬質膜を形成してもよい。また、上述したように、硬質膜形成前に密着性を高めるためのプライマー層、また、フォトクロミック膜材料の成分が硬質膜に混入することを防ぐ材料層を形成する工程を、硬質膜形成工程の前に行ってもよい。
以上のステップS1〜S5を経ることでフォトクロミックレンズ膜の形成工程が終了するが、本実施の形態においては、これらのうち特にフォトクロミック膜形成工程(ステップS3)から片面光学面形成工程(ステップS4)を経て、硬質膜形成工程(ステップS5)に至るまでの工程を、連続した一連の連続工程S11として行う。
その後、既述の各種材料による反射防止膜を形成し(ステップS6)、例えば眼鏡フレーム等の枠入れ用に周縁加工を行うか判断する(ステップS7)。周縁加工を行う場合(ステップS7のYES)は周縁加工工程に進む(ステップS8)。周縁加工を行わない場合(ステップS7のNO)は、集荷前検査工程に進み(ステップS9)、検査後に出荷(ステップS10)、すなわち発注元への完成品提供となる。図1に示す発注元100がレンズ加工設備200を備えている場合、以上の一連の工程を発注元100において行うことが可能である。
次に、図9を参照して上述した本実施の形態に係るフォトクロミックレンズ製造方法におけるフォトクロミック膜形成工程(ステップS3)について詳細に説明する。
この場合、図9に示すように、レンズ基板の選択(ステップS2)を行った後、フォトクロミック膜形成のための前処理を行う(ステップS30)。この前処理としては、例えばレンズ基板表面の塵埃等を拭い取るとか、洗浄、冷却等が挙げられる。前処理としてはフォトクロミック膜やプライマー層の密着性を高める等の理由でその他種々の処理を追加することが可能である。例えば、上述したフォトクロミック膜材料中の一部の成分がレンズ基板に混入しないための、シリカやアクリル系樹脂等の材料層を形成する処理を行ってもよい。次に、フォトクロミック膜の下地層であるプライマー層を形成する場合は、プライマー層の材料液をスピンコート法等の塗布等により成膜し(ステップS31)、その後加熱等によりプライマー層の硬化処理を行う(ステップS32)。なお、このプライマー層塗膜工程及び硬化工程は省略することも可能である。また、プライマー層を形成する場合、上述したフォトクロミック膜材料における一部の成分の移動を抑える材料層を形成する処理を、プライマー層硬化処理の後に行ってもよい。
一方、これらの工程の流れとは別に、前述した各種材料から受注に応じて選択された材料より成るフォトクロミック膜を構成するフォトクロミック液を別途調合しておく(ステップS50)。そして調製されたフォトクロミック液をプライマー層上、又はプライマー層を設けない場合はレンズ基板上に、スピンコート法等により塗膜する(ステップS33)。その後、紫外線照射や加熱等によりフォトクロミック膜を形成、すなわち重合、硬化する(ステップS34)。
その後、このフォトクロミック膜の検査を行う(ステップS35)。検査は例えば実際に紫外光を照射して発色状態、退色状態を目視等にて確認する方法でもよく、又は透過率分光特性等を測定する等の方法が挙げられる。検査に不合格となった場合(ステップS35のNO)は、例えばフォトクロミック膜を剥がして再生することが好ましい(ステップS36)。フォトクロミック膜を剥がす方法はアルカリ洗浄等種々の方法を採用できる。
検査に合格となった場合は(ステップS35のYES)、後処理として例えば加熱を行い(ステップS37)、フォトクロミック膜形成工程(ステップS3)が終了する。この後、光学面形成を行うセミフィニッシュドレンズの場合は光学面形成工程(図8のステップS4)、フィニッシュドレンズの場合は硬質膜形成工程(図8のステップS5)に進む。
以上説明したフォトクロミック膜形成工程は一例であり、上述したようにプライマー層形成工程を省略することができ、又、その他フォトクロミック膜の性能自体に関係する他の工程を追加するものであってもよい。
以上のフォトクロミック膜形成工程のあとに、続いて片面光学面形成工程、又は硬質膜形成工程を行うことで、安定した性能のフォトクロミックレンズを製造することが可能となる。
4.実施例及び比較例の評価
次に、本発明のフォトクロミックレンズ製造方法によって製造したフォトクロミックレンズの評価を行った結果を説明する。
(1)レンズ基板及びフォトクロミック膜形成レンズ基板の曲率半径変化の評価
この例においては、レンズ基板として屈折率nが1.669のレンズ基板(HOYA(株)製EYNOA)を用意し、フォトクロミック膜を形成せずに凹面光学面形成したものと、フォトクロミック膜を形成した後凹面光学面を形成し、続いて硬質膜形成を行ったものとを用意した。レンズ基板の径は80mm、ベースカーブBCは0.80とした。なお、フォトクロミック膜の材料及び形成条件は下記の通りである。
(A)フォトクロミックコーティング液の調製
プラスチック製容器に、トリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性単量体100質量部に、フォトクロミック色素としてクロメン系化合物を1.5〜6質量部の例えば3質量部、光安定化剤LS765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)を5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製IRGANOX(登録商標)245)を5質量部、紫外線重合開始剤(BASF社製CGI−1870)0.8質量部を添加して、十分に撹拌混合を行った。
混合して得られた組成物に、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM503)3質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM403)3質量部、を、撹拌しながら滴下した。
その後、さらに、アミン触媒であるN−メチルジエタノールアミン2質量部、シリコーン系レベリング剤としてポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン コポリマー(東レダウコーニング(株)製Y−7006)を0.1質量部添加混合した後、自転公転方式撹拌脱泡装置((株)シンキー製AR−250)にて2分間脱泡することで、フォトクロミック性を有するコーティング液を得た。
(B)フォトクロミック膜の形成
レンズ基板上のプライマー層の上に、上記(A)の工程で調製された硬化性組成物を、スピンコート法でコーティングした。スピンコートは、特開2005−218994号公報に記載された方法(レンズ材料を保持するスピンホルダ及びコーティング液を供給するディスペンサを備えた塗布装置を使用した方法)で行った。
その後、このレンズを窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)にて、フュージョン製UVランプ(Dバルブ)波長405nmの紫外線積算光量で1800mJ/cm(100mW/cm、3分)照射し、さらに、100℃、90分間硬化を行い、フォトクロミック膜を形成した。
このようにしてフォトクロミック膜を形成したレンズ基板と、フォトクロミック膜を形成しないレンズ基板とについて、凹面加工後の中心肉厚に対する曲率半径変化量を測定した。この結果を図10に示す。測定は反射式レンズメータ(FOCOVISION SR-1)を用いた。
図10の結果から、凹面加工後の中心肉厚が小さい、即ち中心部が薄くなるほど、曲率変化量が大きい傾向があることがわかる。しかしながら本発明のフォトクロミックレンズ製造方法により製造したフォトクロミックレンズの場合は、フォトクロミック膜を形成しないで形成したレンズと比べて、曲率半径変化量が抑えられていることがわかる。したがって、本発明により製造したフォトクロミックレンズは曲率変化について問題がないことがわかる。
(2)保管促進試験による評価
次に、上述したコーティング液におけるフォトクロミック色素として、2種類(ブラウン系及びグレー系)の材料をそれぞれ用いて作製したフォトクロミックレンズに対して、フォトクロミック膜及び硬質膜形成直後の状態と、その後に保管条件40℃、相対湿度90%RHの環境下における促進試験を行い、2週間保管後と4週間保管後とにおいて、色座標が変化する様子を測定した。
上記ブラウン系及びグレー系の各例における視感透過率、YI値,L,a,bの測定結果を、それぞれ下記の表1及び表2に示す。
Figure 0005567002
Figure 0005567002
また、ブラウン系のフォトクロミックレンズにおける色座標の変化、グレー系のフォトクロミックレンズにおける色座標の変化をそれぞれ図11及び図12に示す。
同様の保管促進条件において、発色分光透過率曲線の測定も行った。ブラウン系のフォトクロミックレンズの測定結果を図13、グレー系のフォトクロミックレンズの測定結果を図14に示す。図11、図12、図13及び図14の結果から、製造直後のものと製造後4週間経過したものとを並べて比較すると、色調の違いを判別することができる。したがって、異なる製造時期に作成された2つのレンズをペアとして一つのフレームに枠入れすると、色調が微妙に異なる2つのレンズが嵌め込まれている印象になり、美観が損なわれる。このような僅かな色調の変化を抑制するためには、特殊な包装等を施して厳格な温湿度管理をする必要がある。しかしながら、本発明によるフォトクロミックレンズ製造方法による場合には、このような課題は生じない。
以上説明したように、本発明のフォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズ製造装置及びフォトクロミックレンズ製造方法によれば、一連の工程においてレンズ基板にフォトクロミック膜を形成した後硬質膜形成を行うか、又は光学面形成と硬質膜形成を行うことで、従来と比べてより短期間で、受注されたフォトクロミックレンズを製造し、発注元に提供することが可能となる。またこのようにフォトクロミック膜形成に続いて硬質膜形成、又は光学面形成及び硬質膜形成を行うことで、フォトクロミック膜形成のみの段階で搬送等を行う場合に要する保護膜などの不要な処理を省略することができる。また更に、レンズメーカー内でフォトクロミック膜を形成済みのレンズ基板を保管する必要がなくなるので、通常のレンズと比べて発注数の比較的少ないフォトクロミックレンズを迅速に供給するために行う保管の手間や費用、設備投資等を削減又は省略することが可能となる。このため、コストの低減化を図ることが可能である。また、染色を他のメーカー等に依頼する際に、搬送時の物理的な影響を避けるために設ける保護膜や特殊な包装等が全く不要となり、その面でのコスト削減も可能となる。
また、一つのフレームに納める2つのフォトクロミックレンズを同時期に製造することができるので、2つのレンズが異なる色調で発色する事態が生じない。また、2つのフォトクロミックレンズ間で発色・退色に係る調光時間に差が生じない。このため、色調、調光の特性が等しい2つレンズを一つのフレームに嵌め込むことができ、理想的な美観を確保することができる。
なお、本発明は上述した実施の形態において説明した例に限定されるものではなく、例えばフォトクロミック膜、硬質膜、反射防止膜に加えて撥水膜等の他の機能を有する膜を設ける場合においても適用可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。
1.レンズ基板、2.被塗布面、3.裏面、100.発注元、101.発注側コンピュータ、200.レンズメーカー、201.製造側コンピュータ、202.フォトクロミック膜形成装置、203.硬質膜形成装置、204.光学面形成装置、300.通信回線、500.フォトクロミックレンズ製造装置、501.制御ユニット、502.第一の成膜制御装置、503.第二の成膜制御装置、550.光学面形成装置、510.データ格納ユニット、511.光学面データ格納部、512.レンズ基板データ格納部、513.フォトクロミックデータ格納部、520.表面処理ユニット、530.フォトクロミック膜形成装置、540.硬質膜形成装置、550.光学面形成装置、541.凹面側データ格納部、542.光学面形成制御装置、543.光学面創成装置、544.光学面研磨装置

Claims (6)

  1. 発注側コンピュータと製造側コンピュータとが通信回線によって接続され、製造側に配置されて前記製造側コンピュータにより制御されるフォトクロミック膜形成装置及び硬質膜形成装置を用いて、フォトクロミックレンズを製造するフォトクロミックレンズ製造システムであって、
    前記発注側コンピュータは、レンズの基板材料に関するレンズ基板データと、レンズの光学面に関する光学面データと、フォトクロミック膜に関するデータと、硬質膜に関するデータとを前記通信回線を介して前記製造側コンピュータに送信し、
    前記製造側コンピュータは、
    受信した前記レンズ基板データと前記光学面データに基づき、適合するレンズ基板材料に適合する光学面が形成されたレンズ基板を選択するレンズ基板選択手段と、
    前記フォトクロミック膜に関するデータに基づき、少なくとも前記フォトクロミック膜の形成データを選択して、前記フォトクロミック膜形成装置に出力するフォトクロミック膜形成データ選択手段と、
    前記硬質膜に関するデータに基づき、少なくとも前記硬質膜の形成データを選択して、前記硬質膜形成装置に出力する硬質膜形成データ選択手段と、を備え、
    前記フォトクロミック膜形成装置は、前記製造側コンピュータからの前記フォトクロミック膜に関するデータに基づいて、前記レンズ基板にフォトクロミック膜を形成するとともに、
    前記硬質膜形成装置は、前記製造側コンピュータからの前記硬質膜に関するデータに基づいて、前記レンズ基板に硬質膜を形成する
    ことを特徴とするフォトクロミックレンズ製造システム。
  2. 前記フォトクロミック膜に関するデータに少なくとも色と濃度のいずれかが含まれ、
    前記製造側コンピュータの前記フォトクロミック膜形成データ選択手段は、
    前記フォトクロミック膜の形成データとして、前記フォトクロミック膜の色に対応するフォトクロミック液の種類と、前記フォトクロミック膜の濃度に対応する塗布膜厚との少なくともいずれかを選択して、前記フォトクロミック膜形成装置に出力する請求項1に記載のフォトクロミックレンズ製造システム。
  3. 前記レンズ基板の前記フォトクロミック膜を形成する面とは異なる光学面を形成する光学面形成装置を更に有し、
    前記製造側コンピュータは、前記光学面データから光学面形成データを選択し、前記光学面形成装置に出力する光学面形成データ選択手段を更に有する請求項1又は2に記載のフォトクロミックレンズ製造システム。
  4. 複数種のレンズ基板を保管するレンズ基板保管装置を更に有し、
    前記製造側コンピュータの前記レンズ基板選択手段は、選択したレンズ基板の種類に関するデータを前記レンズ基板保管装置に出力し、
    前記レンズ基板保管装置は、前記レンズ基板の種類に関するデータに該当するレンズ基板を選択して前記フォトクロミック膜形成装置に搬送する搬送手段を有する請求項1〜3のいずれかに記載のフォトクロミックレンズ製造システム。
  5. フォトクロミックレンズ製造装置に組み込まれ、データ格納ユニットを備える製造側コンピュータに、
    レンズ基板の光学面に関する光学面データを前記データ格納ユニットから選択する機能と、
    レンズ基板材料に関するレンズ基板データを前記データ格納ユニットから選択する機能と、
    フォトクロミック膜に関するフォトクロミックデータを前記データ格納ユニットから選択する機能と、
    硬質膜に関するデータを含む表面処理データを前記データ格納ユニットから選択する機能と、
    前記光学面データに基づいて、適合する光学面が形成されたレンズ基板を選択するレンズ基板選択機能と、
    前記フォトクロミックデータに基づき、少なくとも前記フォトクロミック膜の形成データを選択して、フォトクロミック膜形成装置に出力するフォトクロミック膜形成データ選択機能と、
    前記硬質膜に関するデータに基づき、少なくとも前記硬質膜の形成データを選択して、硬質膜形成装置に出力する硬質膜形成データ選択機能と、
    を実現させる、フォトクロミックレンズの製造プログラム。
  6. 請求項5に記載されたフォトクロミックレンズの製造プログラムが記録された記録媒体。
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