JP4707706B2 - 眼鏡レンズ供給方法 - Google Patents

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本発明は、特に、度数等の処方が左右眼で所定以上異なる場合にも、見栄えと光学性能とを両立させることが可能な眼鏡レンズを得ることができる眼鏡レンズ製造方法及び眼鏡レンズ並びに眼鏡レンズ供給方法に関する。
眼の屈折異常を矯正するために用いられる眼鏡レンズの第一面の屈折面(装用状態における眼と反対側の面すなわち前方屈折面;第一屈折面)には、通常球面が用いられている。一方、第二面の屈折面(装用状態における眼側の面すなわち後方屈折面;第二屈折面)には球面の他に、乱視矯正のためにトーリック面等が採用されている。一般に、眼鏡レンズの屈折力(度数)は、近似的に第一屈折面の屈折力と第二屈折面の屈折力との和であって、ディオプター(以下Dで示す)という単位で表される。第一屈折面及び第二屈折面の屈折力(面屈折力)は、その面の曲率ρ(単位は1/m、曲率半径R=1/ρ)とレンズの素材の屈折率nとにより以下の式のように定義される。
面屈折力=(n−1)×ρ=(n−1)/R…(1)
なお、眼鏡レンズの第一屈折面の屈折力は特にベースカーブと呼ばれる。
ところで、被検眼の視力を矯正する眼鏡レンズを処方するに当たって、左右眼が同じ視力を有する場合には同じ屈折力(度数)のレンズを用いて処方するので、第一屈折面及び第二屈折面の曲率も同じとなり、非点収差、像面湾曲、歪曲収差等の光学性能も同じものとなる。しかしながら、左右眼の視力が異なる場合は当然に異なる屈折力(度数)のレンズを用いて処方することになる。
ここで、眼鏡レンズの非点収差を除去する数学的解として、チュルニング(Tscherning)が見いだしたチュルニングの楕円によれば、レンズ度数によって、非点収差を除去するために最適なベースカーブ(第一屈折面の屈折力)が異なる。それゆえ、視力が左右で異なる場合には、チェルニングの楕円に従えば、左右のレンズのベースカーブを異なるものにする必要がある。
したがって、チェルニングの楕円に従って設計した場合、左右の視力が大幅に異なるときは、左右のベースカーブが著しく異なることになる。このことは、眼鏡を外部からみたときに、左右の眼鏡レンズの曲面形状が著しくアンバランスに見えることを意味する。それゆえ、光学性能は良いが見栄えが著しく悪いということになる。しかも、個々のレンズ毎に各面の曲面形状が異なるので、製造コスト上においても不利であった。
一方、製造コストを下げるため、所定の度数の範囲でベースカーブを共通化することも行われている。しかし、この方法で製造したレンズは、最適ベースカーブから少なからずずれたベースカーブのものもあるので、どうしても光学性能が劣ることになるという問題がある。また、当然ながら、見栄えを良くするために、単純に左右のベースカーブを一致させると、光学性能を著しく悪化させる場合がある。
このように、レンズの光学性能を重視すると、コスト高と共に見栄えが悪化する場合がある。一方、見栄えを良くしようとすると、光学性能が悪化する場合があるという問題がある。
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、光学性能を許容範囲に確保しつつ
、同時に見栄えを良好なものにすることが可能な眼鏡レンズ製造方法及び眼鏡レンズ並びに眼鏡レンズ供給方法を提供することを目的とする。
本発明は、度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上である場合において、これら左右の眼鏡レンズの第一屈折面及び第二屈折面の曲面の曲率を設計する際に、前記左右の眼鏡レンズが度数を含む処方条件をそれぞれ満たすようにし、かつ、各レンズの光学性能が許容範囲内に収まるようにした上で、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が所定の範囲内に収まるように、前記左右の眼鏡レンズのうちの少なくとも一方の第一屈折面及び第二屈折面の曲率を選定する等の両眼視バランス設計を行うことを特徴とするもので、これにより、光学性能を許容範囲に確保しつつ、同時に見栄えが良好な眼鏡レンズを得ることができる眼鏡レンズ製造方法及び眼鏡レンズ並びに眼鏡レンズ供給方法を得ているものである。
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
度数を含む処方が左右眼で異なる眼鏡を構成する左右の眼鏡レンズを設計して製造する眼鏡レンズ製造方法において、
前記度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上である場合において、
前記左右の眼鏡レンズの前方側の屈折面を第一屈折面とし、眼側の屈折面を第二屈折面としたとき、これら左右の眼鏡レンズの第一屈折面及び第二屈折面の曲面の曲率を設計する際に、前記左右の眼鏡レンズが度数を含む処方条件をそれぞれ満たすようにし、かつ、各レンズの光学性能が許容範囲内に収まるようにした上で、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が所定の範囲内に収まるように、前記左右の眼鏡レンズのうちの少なくとも一方の第一屈折面及び第二屈折面の曲率を選定することを特徴とする眼鏡レンズ製造方法である。
第2の手段は、
前記度数を含む処方のうちの度数の処方が、プラス度数を含む場合においては左右眼の度数の違いが0.5D以上であり、前記度数の処方がマイナス度数を含む場合においては左右眼の度数の違いが1D以上であるとともに、前記左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が1D以下であることを特徴とする第1の手段にかかる眼鏡レンズ製造方法である。
第3の手段は、
前記光学性能は、非点収差、像面湾曲、歪曲収差のうちの少なくとも一つであることを特徴とする第1の手段かかる眼鏡レンズ製造方法である。
第4の手段は、
前記左右の眼鏡レンズのうちの少なくとも一方の第一屈折面の曲率の選定は、この曲面が非球面になる選定であることを特徴とする第1の手段にかかる眼鏡レンズ製造方法である。
第5の手段は、
前記眼鏡レンズの左眼用及び右眼用のレンズの少なくとも一つがトーリック面或いはまたアトーリック面を有することを特徴とする第1の手段にかかる眼鏡レンズ製造方法。
第6の手段は、
度数を含む処方が左右眼で異なる眼鏡を構成する左右の眼鏡レンズにおいて、 前記度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上であり、
前記左右の眼鏡レンズの前方側の屈折面を第一屈折面とし、眼側の屈折面を第二屈折面としたとき、前記左右の眼鏡レンズが度数を含む処方条件を満たし、かつ、各レンズの光学性能が許容範囲にあると同時に、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が所定の範囲内であることを特徴とする眼鏡レンズである。
第7の手段は、
前記度数を含む処方のうちの度数の処方が、プラス度数を含む場合においては左右眼の
度数の違いが0.5D以上であり、前記度数の処方がマイナス度数を含む場合においては左右眼の度数の違いが1D以上であるとともに、前記左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が1D以下であることを特徴とする第6の手段にかかる眼鏡レンズである。
第8の手段は、
眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、この発注側コンピュータに情報交換可能に接続された製造側コンピュータとを備え、前記発注側コンピュータと製造側コンピュータとは所定の入力操作に応じて演算処理を行い、互いに情報交換しながら眼鏡レンズの発注及び/又は受注処理に必要な処理を行って眼鏡レンズを供給する眼鏡レンズの供給方法であって、
前記製造側コンピュータに、前記発注側コンピュータにより、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報、処方値、レイアウト情報、加工指定情報等の加工に必要とされる加工条件データが送信されたとき、前記製造側のコンピュータに組み込まれたレンズ設計プログラムでは、前記送信された眼鏡レンズ情報のデータに基づき、予め用意されているレンズ設計データにより左眼、右眼の光学性能を含む因子を比較検討し、両眼視のバランス調整が必要かどうかを判断して、バランス調整を必要と判断した場合、左眼、右眼の光学性能を含む因子が同等になるように、その顧客に適した光学レンズ設計を行い、左右の処方レンズを決定することを特徴とする眼鏡レンズの供給方法である。
第9の手段は、
眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、この発注側コンピュータに情報交換可能に接続された製造側コンピュータとを備え、前記発注側コンピュータと製造側コンピュータとは所定の入力操作に応じて演算処理を行い、互いに情報交換しながら眼鏡レンズの発注及び/又は受注処理に必要な処理を行って眼鏡レンズを供給する眼鏡レンズの供給方法において、
前記製造側コンピュータに、前記発注側コンピュータにより、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報、処方値、レイアウト情報、加工指定情報等の加工に必要とされる加工条件データが送信された時、製造側のコンピュータに備えられたレンズ設計プログラムは、前記送信された眼鏡レンズ情報のデータに基づき、予め用意されたレンズ設計テーブルから左右眼レンズを選択するステップと、
前記選択された左右眼レンズの凸面ベースカーブ差の比較を行うステップと、
そのベースカーブ差が予め設定された基準以上ある場合に、凸面カーブを、非点収差がほぼ同等となるように、凸面カーブをもう一方のレンズの凸面カーブに非球面形状で近似させる再レンズ設計を行うステップを備えていることを特徴とする眼鏡レンズ供給方法である。
第10の手段は、
前記カーブを揃える前のレンズ形状とこのレンズの処方データを含むデータ、カーブを揃えた後のレンズ形状とこのレンズの処方データを含むデータを比較するための表示手段を眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータに転送し表示することを特徴とする第8又は第9の手段にかかる眼鏡レンズの供給方法である。
第11の手段は、
度数を含む処方が左右眼で異なる眼鏡を構成する左右の眼鏡レンズにおいて、
前記度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上であり、
前記左右の眼鏡レンズの前方側の屈折面を第一屈折面とし、眼側の屈折面を第二屈折面としたとき、前記左右の眼鏡レンズの第一屈折面及び第二屈折面の曲面の曲率を設計する際に、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率を、両者の中間値を採用することにより、ベースカーブの調整を行い、かつ前記左右の眼鏡レンズの度数を含む処方条件を満たすように第二屈折面を決定することを特徴とする眼鏡レンズ製造方法である。
上述の第1〜第3の手段によれば、度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上(例えば、1D以上)である場合において、度数を含む処方条件及び光学性能の差が左右で許容範囲内に収まるようにした上で、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が所定の範囲内
(例えば、1D以下)に収まるように、前記左右の眼鏡レンズのうちの少なくとも一方の第一屈折面及び第二屈折面の曲率を選定するようにしたことにより、光学性能を確保した上で見栄えもよい眼鏡を構成する眼鏡レンズを得ることができる。
ここで、眼鏡レンズにおける最適なベースカーブを示すチェルニングの楕円の形状を考えると、マイナス度数を有するレンズでは、レンズの度数が強くなるにつれてベースカーブの曲率が比較的ゆるくなる傾向になる。一方、プラス度数を有するレンズではレンズ度数が強くなるにつれてベースカーブの曲率がだんだん強くなる傾向にある。これは、チェルニングの楕円の傾斜から分かるように、マイナスレンズでは、傾斜がだんだんゆるくなり、プラスレンズではレンズその傾斜がだんだん強くなる傾向にあるからである。
したがって、マイナス度数を含む処方においては、度数の違いが左右眼で1D以上である場合に、左右眼の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率差が1D以下になるようにし、一方、プラス度数を含む処方においては、左右の度数の違いが0.5D以上の場合において、左右眼の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率差が1D以下になるようにすることが望ましい。
眼鏡レンズの光学性能としては、非点収差・像面湾曲・歪曲収差等があるが、これらのうち少なくとも一つが許容範囲内であれば、眼鏡レンズとして十分な性能を発揮し、かつ、両眼レンズが許容範囲内であれば、互いの性能の差もほぼ同等とみることもできるので、両眼の見え味のバランスも取れて、眼鏡としての性能も十分なものとなる。例えば、非点収差をほぼ同等にすれば、網膜上での結像状態を左右眼で同等のものとすることができ、両眼視がし易くなる。像面湾曲はm(メリディオナル)像面とs(サジタル)像面の平均値であるから、これをほぼ同等にすることによって周辺視したときの調節量が同等のものとなり、両眼視がし易くなる。歪曲収差は網膜上での像の歪みであるからこれをほぼ同等にすることによって周辺視したときの像の歪みが同等のものとなり、両眼視がし易くなる。これらの収差を同時に同等にすることが望ましいが眼鏡レンズが2面しかないことから困難である。
また、第4の手段によれば、少なくとも第一屈折面を非球面にすることにより、光学性能的により優れたものを実現するだけでなく、左右のレンズの第一屈折面の曲率差をより少なくして見栄えがさらに良いレンズを実現することが可能となったものである。なお、第一屈折面を球面としていた従来の設計手法では、光学性能と見栄えとを両立させることは極めて困難であった。
さらに、第5の手段によれば、眼鏡レンズの左眼用及び右眼用のレンズの少なくとも一つがトーリック面或いはまたアトーリック面を有するようにしたことにより、乱視矯正用としても適用できる眼鏡レンズを得ることができる。
また、第6〜第7の手段によれば、光学性能と見栄えとの双方に優れ、かつ、左右のバランスもよいので、優れた眼鏡を構成できる眼鏡レンズを得ることができる。
第8〜第10の手段によれば、非点収差や凸面ベースカーブ(第一屈折面)等の光学性能を含む因子を、左右のレンズについて比較検討し、両眼視のバランス調整が必要かどうかを判断して、バランス調整を必要と判断した場合、左眼、右眼の光学性能を含む因子が同等になるように、その顧客に適した光学レンズ設計を行って眼鏡レンズを供給するようにしているので、光学性能と見栄えとの双方に優れ、かつ、左右のバランスもよい、優れた眼鏡を構成できる眼鏡レンズを供給することができる。
第11の手段によれば、度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上である場合に、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率を、両者の中間値を採用することにより、ベースカーブの調整を行い、かつ前記左右の眼鏡レンズの度数を含む処方条件を満たすように第二屈折面を決定するようにしたことにより、極めて簡単に、左右のバランスがとれて見栄えが良くかつ所定の性能を有する眼鏡レンズを得ることができる。
図1は本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法を実施するためのシステムの全体構成図、図2〜図4は本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法の流れを示すフロチャート図、図5はレンズの種類の指定を行うオーダーエントリー画面を示す図、図6
はプラスレンズの球面設計のレンズ設計表の例を示す図、図7は球面設計によるレンズの非点収差図であって図7(a)が左眼で図7(b)が右眼の場合を示す図、図8は光線追跡法の原理説明図、図9は再設計後のレンズの曲率半径等を表にした図、図10は再設計後のレンズの非点収差図、図11は再設計前後のレンズの曲面形状を示す図、図12はマイナスレンズの球面設計のレンズ設計表の例を示す図、図13は球面設計によるレンズの非点収差図であって図13(a)が左眼で図13(b)が右眼の場合を示す図、図14は再設計後のレンズの曲率半径等を表にした図、図15は再設計後のレンズの非点収差図、図16は再設計前後の後のレンズ曲面形状を示す図である。以下、これらの図面に基づいて、実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法、眼鏡レンズ製造方法及び眼鏡レンズを説明する。
図1において、発注側である眼鏡店100とレンズ加工側であるレンズメーカの工場200とは公衆通信回線300で接続されている。図では眼鏡店を1つしか示さないが、実際には複数の眼鏡店が工場200に接続される。また、この通信回線は、眼鏡店のほかに、眼科医1001、或いは個人1002にも接続するようにしてもよい。
眼鏡店100には、オンライン用の端末コンピュータ101およびフレーム形状測定器102が設置される。端末コンピュータ101はキーボード入力装置やCRT画面表示装置を備えるとともに、公衆通信回線300に接続されている。公衆通信回線300は、眼科医及び個人はインターネットを利用するものであってもよい。端末コンピュータ101へは、加工に必要な条件データを送信し、フレームデータにおいては、フレームメーカーの型式などの識別番号あるいはフレーム形状測定器102から眼鏡枠実測値が入力されて演算処理が行われる。キーボード入力装置からその他の眼鏡レンズ情報、処方値等が入力される。
そして、端末コンピュータ101の出力データは、公衆通信回線300を介して工場200のメインフレーム201にオンラインで転送される。なお、端末コンピュータ101とメインフレーム201との間に、中継局を設けるようにしてもよし、インターネットの場合ではブラウザーがその機能を有することとなる。また、端末コンピュータ101の設置場所については眼鏡店100に限定されるものではない。
メインフレーム201は眼鏡レンズ加工設計プログラム、ヤゲン加工設計プログラム等を備え、入力されたデータに基づき、ヤゲン形状を含めたレンズ形状を演算し、その演算結果を、公衆通信回線300を介して端末コンピュータ101に戻して画面表示装置に表示させるとともに、その演算結果を工場200の各端末コンピュータ210,220,230,240,250にLAN202を介して送るようにする。
端末コンピュータ220には、レンズメータ221と肉厚計222とが接続され、端末コンピュータ220は、レンズメータ221と肉厚計222とで得られた測定値と、メインフレーム201から送られた演算結果とを比較して、曲面仕上げが完了したレンズの受入れ検査を行うとともに、合格レンズには光学中心を示すマーク(3点マーク)を施す。
端末コンピュータ230には、マーカ231と画像処理機232とが接続され、端末コンピュータ230は、メインフレーム201から送られた演算結果に従い、レンズの縁摺りおよびヤゲン加工をする際にレンズをブロック(保持)すべきブロッキング位置を決定し、また、ブロッキング位置マークを施すことに使用される。このブロッキング位置マークに従い、ブロック用の治工具がレンズに固定される。
端末コンピュータ240には、マシニングセンタからなるNC制御のレンズ研削装置241とチャックインタロック242とが接続され、端末コンピュータ240は、メインフ
レーム201から送られた演算結果に従い、レンズの縁摺り加工およびヤゲン加工を行う。
端末コンピュータ250には、ヤゲン頂点の形状測定器251が接続され、端末コンピュータ250は、この形状測定器251が測定したヤゲン加工済のレンズの形状を、メインフレーム201から送られた演算結果と比較して加工の合否判定を行う。
以上のような構成のシステムにおいて、眼鏡レンズが供給されるまでの処理の流れを、以下、図2〜図5を参照して説明する。なお、この処理の流れには、「問い合わせ」と「注文」との2種類があり、「問い合わせ」は、ヤゲン加工を含めたレンズ加工の完了時のレンズ予想形状を報知するように、眼鏡店100が工場200に求めることであり、また、「注文」は、縁摺り加工前のレンズまたはヤゲン加工済のレンズを送るように、眼鏡店100が工場200に求めることである。
図2は、眼鏡店100での最初の入力処理の流れを示すフローチャートである。図中、Sに続く数字はステップ番号を表す。
〔S1〕 スタート操作により、眼鏡店100の端末コンピュータ101のレンズ注文問い合わせ処理プログラムが起動され、オーダエントリ画面が画面表示装置に表示される。眼鏡店100のオペレータは、オーダエントリ画面を見ながら、キーボード入力装置により、注文あるいは問い合わせの対象となるレンズの種類の指定を行う。
図5はこのレンズの種類の指定に使用されるオーダエントリ画面の一例を示す図である。すなわち、欄61でレンズの種類を指定する。つまり、メーカ側の商品区分記号が入力され、これによりレンズ材質、屈折率、コーティング、レンズカラー、レンズ表面の光学設計外径等が指定できるようになっている。問い合わせの場合には2種類のレンズを指定できる。欄65の「形態」で、注文あるいは問い合わせをするレンズが、ヤゲン加工済のレンズ(HELP)なのか、または縁摺り加工とヤゲン加工とが施されないレンズなのかを指定する。また、欄65の「METS加工」で、レンズの厚さを必要最小値になるように指定する加工指定や、マイナスレンズのコバを目立たなくする面取りおよびその部分の研磨仕上げを指定する加工指定を行う。
欄62では、「両眼視バランス設計」の指定を行うかどうかを入力する。ここで、「両眼視バランス設計」とは、左右のレンズが処方条件を所定範囲内で満たすようにすることは勿論であるが、左右のレンズの光学性能の差を所定範囲内に収めた上で、さらに、左右のレンズの第1面(第一屈折面)の曲率(ベースカーブ)の差を所定範囲内に収めて、眼鏡を装用したときの外観上においても左右のバランスをとり、見栄えをよくすることを意味する。なお、図示しないが、図5のオーダエントリ画面の下部に、ソフトキーメニューが表示される。ここでは、画面に登録したデータを送信するための送信キー、画面入力したデータを登録する登録キー、画面をオーダー画面に切り換えるオーダーキー、クリアキー、頁指定キー、および登録の終了を示す終了キーが表示される。これらのソフトキーは、端末コンピュータ101のキーボード上にあるファンクションキーにより選択指定される。
〔S2〕 図5の欄61で、レンズのカラーの指定を行う。
〔S3〕 図5の欄62の左欄で左右眼の球面屈折力、円柱屈折力、乱視軸、加入度等のレンズの処方値を入力し、同様に、欄62の右欄でレンズの加工指定値を、欄63で眼鏡枠(フレーム)の情報を、欄64でレイアウト情報、例えばPD、NPD(近用PD)、SEG(SEGMENT柱位置)、ET(最小コバ厚値)、EP(アイポイント)等、ヤゲンモード、ヤゲン位置を含めたヤゲン形状を入力する。レイアウト情報は、眼鏡枠上の瞳孔位置であるアイポイント位置を指定するものである。
眼鏡枠の情報は、フレーム測定装置のないインターネットでの個人の端末からのオーダーに対応できるように、メーカの商品区分記号(フレーム番号)の入力方式の場合と、直接フレームを測定し、そのデータを入力する場合とが選択できるようになっている。その他、フレームサイズ、フレーム素材、色、形状、玉型種類等のフレーム情報の一切が入力できるようになっており、「問い合わせ」の場合には、ステップS1でのレンズの種類の指定が1種類であれば、眼鏡枠を2種類まで指定することができる。
オーダエントリ画面で、「加工1」〜「加工3」とあるのは、一般的な加工指定を入力する部分であり、レンズの加工指定値として、レンズ厚さ、コバ厚さ、プリズム、偏心、外径、およびレンズ表カーブ(ベースカーブ)等の各指定値が入力できる。更に、「両眼視バランス設計」の指定を行うかどうかを「あり」、「なし」で入力する。
ヤゲンモードは、レンズコバのどこにヤゲンを立てるかによって、「1:1」、「1:2」、「凸ならい」、「フレームならい」、および「オートヤゲン」のモードがあり、それらの中から選択して入力する。「凸ならい」とは、レンズ表面(前面)に沿ってヤゲンを立てるモードである。
ヤゲン位置の入力は、ヤゲンモードが「凸ならい」、「フレームならい」、および「オートヤゲン」のときに限り有効であり、ヤゲン表面側底の位置をレンズ前面からどれだけ後面方向に位置させるかを指定するもので、0.5mm単位で指定する。眼鏡枠が厚く、枠前面からヤゲン溝までの距離が長い場合でも、このヤゲン位置の入力で、レンズ前面が枠前面に沿う用にヤゲン頂点を位置付けることができる。
ヤゲン形状は、「標準ヤゲン」「コンビ用ヤゲン(コンビネーションフレーム用ヤゲン)」、「溝摺り」、「平摺り」から選択して入力する。「コンビ用ヤゲン」は眼鏡枠に装飾部材が設けられ、レンズが装飾部材に当たるような場合に指定する。「溝摺り」、「平摺り」もここで指定する。
〔S4〕 欄63に指定した眼鏡枠に対し、図1のフレーム形状測定機102による眼鏡枠形状の測定が既に完了しているか(形状データを持っているかどうか)否かを判別する。完了していればステップS7へ進み、完了していなければステップS5へ進む。
〔S5〕 まず、眼鏡店100の端末コンピュータ101において、レンズ注文問い合わせ処理プログラムからフレーム形状測定プログラムへ処理が渡される。そして、これから形状測定される眼鏡枠に付された測定番号を入力する。また、眼鏡枠の材質(メタル、プラスティック等)を指定し、さらに、フレーム曲げの可不可の指定を行う。眼鏡枠の材質は、レンズを眼鏡枠に枠入れする際に、眼鏡枠にレンズが嵌合するように材質に応じてヤゲン頂点の周長を補正するためのパラメータとしてステップS12の演算に使用される。フレーム曲げが不可の指定がある場合、眼鏡枠を曲げずにレンズを枠入れすることができないときには、注文を受けないようにするため、眼鏡店100の端末コンピュータ101の画面表示装置にエラー表示を出すようにする。
〔S6〕 測定すべき眼鏡枠をフレーム形状測定器102に固定して測定を開始する。フレーム形状測定器102は、眼鏡枠の左右枠のヤゲン溝に測定子を接触させ、その測定子を所定点を中心に回転させてヤゲン溝の形状の円筒座標値(Rn,θn,Zn)(n=1,2,・・・,N)を3次元的に検出し、データを端末コンピュータ101に送る。端末コンピュータ101では、場合によっては、それらのデータのスムージングを行い(スムージングを必要としない場合もある)、トーリック面の中心座標(a,b,c)、ベース半径RB、クロス半径RC、トーリック面の回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)
、またはフレームカーブCV(眼鏡枠が球面上にあると見做せるときのその球面の曲率)、ヤゲン溝の周長FLN、フレームPD(瞳孔間距離)FPD、フレーム鼻幅DBL、眼鏡枠左右および上下の最大幅であるAサイズおよびBサイズ、有効径ED(最大動径の2倍の値)、左右眼鏡枠のなす角度である傾斜角TILTを算出する。
〔S7〕 既に眼鏡枠形状データがある場合には、そのデータを読み出すために、眼鏡枠の商品区分番号を入力する。
〔S8〕 商品区分番号に従い、該当する眼鏡枠についての記憶された眼鏡枠形状情報をメインフレームのフレームデータの中から読み出す。
以上のステップS1〜S8により、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報、処方値、レイアウト情報、加工指示情報の必要とされる加工条件データが送信される。
〔S9〕 図5のオーダエントリ画面の欄60に、「問い合わせ」か、「注文」かの指定をする。以上のステップの実行によって得られたレンズ情報、処方値、眼鏡枠情報等のデータが、公衆通信回線300を介して工場200のメインフレーム201に送られる。眼鏡枠情報は、2次元の極座標値(Rn,θn)(n=1,2,・・・,N)、トーリック面の中心座標(a,b,c)、ベース半径RB、クロス半径RC、トーリック面の回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)、またはフレームカーブCV、ヤゲン溝の周長FLN、フレームPD(瞳孔間距離)FPD、フレーム鼻幅DBL、AサイズおよびBサイズ、有効径ED、傾斜角TILT等である。
図3は、工場200での処理の流れ、ならびに工場200からの転送により眼鏡店100で行われる確認およびエラー表示のステップを示すフローチャートである。
〔S11〕 工場200のメインフレーム201には、眼鏡レンズ受注システムプログラム、眼鏡レンズ加工設計プログラム、およびヤゲン加工設計プログラムが備えられている。レンズ情報、処方値、眼鏡枠情報、レイアウト情報、ヤゲン情報等の加工条件データが、公衆通信回線300を介して送られると、眼鏡レンズ受注システムプログラムを経て眼鏡レンズ加工設計プログラムが起動し、レンズ加工設計演算が行われる。
まず、眼鏡枠の形状情報、処方値、およびレイアウト情報に基づき、指定レンズの外径が不足していないかを確認する。レンズの外径が不足している場合には、ボクシングシステムでの不足方向、不足量を算出し、眼鏡店100の端末コンピュータ101に表示するために、眼鏡レンズ受注システムプログラムに処理を戻す。
次に、レンズ加工設計を実行する。以下、レンズ加工設計の実行内容を説明する。なお、ここでは、上述の図5のオーダエントリ画面の欄62において、「両眼視バランス設計」が指定されている場合について説明する。また、物点が無限遠にある場合として設計する。まず、プラスレンズの場合について説明する。すなわち、例えば、左眼が+1D、右眼が+3Dの処方がなされているとする。既存のレンズ設計プログラムでは、あらかじめ処方に応じて作成されてある球面設計のレンズの設計表(レンズデータテーブル)が選択され、その表の値を用いた設計がなされる。図6は球面設計のレンズの設計表(レンズデータテーブル)の例を示す図である。なお、表中の総高とはレンズを平面において横から見たときのレンズ全体の高さのことをいう。
上記表の値で設計した左右のレンズの非点収差図は、それぞれ図7(a)、(b)に示すとおりである。この図の縦軸は視野の角度(単位:°)を、横軸は光軸上の屈折力を基準とした非点収差(単位:D、メリディオナル方向(m)とサジタル方向(s)との差分(m−s))をそれぞれ示す。この図を見ると良好に光学補正されていることが分かる。
ところで、眼鏡レンズにおいてレンズの形状を表す場合、曲率半径と共にカーブ(面屈
折力)という概念が良く用いられることは上述のとおりである。このカーブは上述の(1)式で計算される。なお、(1)式において、Rは曲率半径で単位はm(メートル)、nはレンズの屈折率を示す。(1)式を用いてそれぞれの第1面(第一屈折面)のカーブを計算すると5.46D、8.05Dである。この例の場合、左右のレンズで、第1面(第一屈折面)のカーブ差が、2.59Dである。
眼鏡の見栄え(美感)という観点から検討すると、個人差はあるものの、左右のレンズのカーブ差がおおむね1Dを越えると、左右のレンズに外観上の相違のあることが認識され、左右のアンバランスを感ずる度合いが高くなることが分かった。そこで、本実施の形態では、これ以上のカーブ差があれば、光学性能のバランスが異常なものとして、再設計のプログラムを実行するようにしてある。
この再設計は、カーブ差をなくすために、+3D側のレンズに以下の指標を満足するように、第一屈折面と第二屈折面との曲面形状の決定を行う。
(a)設計の基準は、第一屈折面を近似カーブで非球面設計にすること。
(b)光学性能として非点収差の性能を損なわないこと。
上記条件を満たす曲率を有する曲面を求める手法として、Spencerの式及び光線追跡法を利用した手法を用いる。図8は光線追跡法の原理説明図である。図8は、遠視用レンズで、物体は有限距離にある場合を例にしての説明図である。回旋点CRから、光軸Aとθの角度をなす光線lを逆向きに送って、レンズLの第一屈折面L1の頂点O1から前方に距離aにある物体平面を貫く点Pの位置を定める。この光線lを主光線と呼ぶ。次に、P点を発し、上記主光線lについて、レンズLを屈折した後のサジタル方向の像位置sと、メリディナル方向の像位置mとを算出し、非点収差(m−s)の量を計算する(詳しくは、応用物理 第26巻 第5号 1957 第206〜210頁参照)。この場合、回旋点CRとレンズLの第二屈折面L2の頂点O2との距離bを25mmとする。なお、bの値は、欧米では27mmが用いられる。
レンズの曲面を求める設計式は、下記のSpencerの式(詳しくは、「J.Opt.Soc.Am.52(1962)672」を参照)を用いる。
Figure 0004707706
ただし、
n:2以上の整数
X:光軸からの距離がρである非球面上の1点から、非球面頂点の接平面に下ろした垂線の距離
C:非球面頂点での基準球面の曲率(C=1/R R:頂点曲率半径)
ρ:光軸からの距離
K:円錐係数
An:ρ2nの項の非球面係数
上記手法により、左右のレンズのベースカーブをほぼ同等にするとともに、第2屈折面
の曲率半径及び中心厚を求めた後、収差最適化手法により、非点収差が所定量以下になるようにK、Anを決める。図9は再設計して得たレンズ(右眼)の曲率半径等を示す表である。表において、非球面である第一面曲率半径は、第一面の頂点曲率半径を示す。非球面におけるレンズカーブの計算は、頂点曲率半径を用いて計算する(以下の例でも同じである)。この表から明らかなように、この再設計レンズは、第1面(第一屈折面)に対して、レンズ形状に非球面設計を使用して、92.242mm(5.42D)にしており、レンズカーブも1カーブ以内に修正されている。また、図10は再設計して得たレンズ(右眼)の非点収差図である。図10から明らかなように、光学性能的を再設計前のものとほぼ同程度に維持しつつ、外観上の見栄えを著しく改善できたことがわかる。図11は再設計前後のレンズの曲面形状を比較した図である。図11から、再設計によって、第1面(第一屈折面)の曲率が左右でほぼ同じになったことが分かる。
上記例において、右眼用レンズに非球面を採用したが、左眼用レンズに用いても良いのは言うまでもない。また非点収差を同等になるようにしたが、非点収差・像面湾曲・歪曲収差のうち少なくとも一つがほぼ同等であるようにしても良い。眼鏡レンズにおいてザイデルの5収差のうち瞳径が眼鏡レンズと比べて小さく、眼鏡レンズの焦点距離が長いため(すなわちFナンバーが大きい暗い光学系であるため)及び眼の限界解像角が約1′とあまり小さくないことから球面収差及びコマ収差は度の強いレンズを除いて、考慮する必要はないことがわかる。
次に、マイナスレンズの場合について説明する。すなわち、例えば、左眼が−1D、右眼が−3Dの処方がなされているとする。既存のレンズ設計プログラムでは、あらかじめ処方に応じて作成されてある球面設計のレンズの設計表が選択され、その表の値を用いた設計がなされる。図12は球面設計のレンズの設計表の例を示す図である。
図13は図12の表の設計値によるレンズの非点収差図である。この図を見ると良好に非点収差の補正がされていることが分かる。プラスレンズの場合と同様に(1)式を用いてそれぞれの第一面のカーブを計算すると5.50D、4.25Dである。この例の場合、カーブ差が、1.25Dもあるため外観上見栄えが良くないのは容易に理解される。そこで上記と同様にして、カーブ差をなくすための設計を−1D側(左眼)のレンズに行う。
図14は再設計して得たレンズ(左眼)の曲率半径等を示す表である。この表から明らかなように、この再設計レンズは、第1面(第一屈折面)レンズカーブも1カーブ以内に修正されている。また、図15は再設計して得たレンズ(左眼)の非点収差図である。図15から明らかなように、光学性能的を再設計前のものとほぼ同程度に維持しつつ、外観上の見栄えを著しく改善できたことがわかる。図16は再設計前後のレンズの曲面形状を比較した図である。図16から、再設計によって、第1面(第一屈折面)の曲率が左右でほぼ同じになったことが分かる。
上記2つの例においては、左右のレンズのベースカーブを浅いほうのカーブに合わせたが、必ずしも浅いほうを常に基準とする必要はない。ただし、上記例から分かるように浅いカーブに合わせた方が総高が低くなりレンズの薄型化・軽量化が可能となるという効果がある。さらにレンズの薄型化、低カーブ化のため左右のレンズに非球面を用いても良いのは言うまでもない。
また、乱視の処方のためレンズの第二面にトーリック面或いはアトーリック面を採用する場合があるが本発明はこれらの処方も含むのは言うまでもない。なおトーリック面とは直交する2つの主経線を有し、各主経線は球面形状で構成されているものをいい、アトーリック面とはその各主経線が非球面形状で構成されているものをいう。
また、上記例においては、予め用意されたレンズデータテーブルが球面設計の左右眼レンズであったが、このレンズデータテーブルは非球面設計のものであってもかまわない。また、上記例において、予め用意されたレンズデータテーブルが単焦点の左右眼レンズであったが、このレンズデータテーブルは多焦点レンズあるいは累進焦点レンズであってもかまわない。というのは、例えば遠用部(遠方視するときに使う部分)のカーブを左右のレンズで揃え、光学性能を同等にすることも可能である。
また、単に、凸面側の外観的な見栄えのみの要求であれば、左右眼レンズのベースカーブを揃えて眼鏡としての光学性能を2次的なものとし、単に凸面カーブを一致、或いは近似させて、一方の凹面側を再設計するベースカーブ調整方法も用いることができる。この場合は、上述の第2図のオーダーエントリー画面の「加工」の欄で発注側から「レンズ表カーブ指定」がなされた場合に実施する。
さらには、左右の眼鏡レンズの第一屈折面及び第二屈折面の曲面の曲率を設計する際に、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率を、両者のベースカーブの中間の値のベースカーブを採用することにより、ベースカーブ調整を行い、かつ左右の眼鏡レンズの度数を含む処方条件をそれぞれ満たすようにしながら、第二屈折面のカーブを決定することもできる。
以上により、縁摺り加工前のレンズの全体形状が決定する。ここで、眼鏡枠各方向の動径毎に全周のコバの厚さを調べて、必要なコバ厚さを下回る箇所がないかを確認する。そして、レンズの加工のために必要となる、工場200の端末コンピュータ210に対する指示値を算出する。
以上の演算は、端末コンピュータ210、荒擦り機211、および砂掛け研磨機212によって、縁摺り加工前のレンズ研磨加工が行われる場合に必要なものであり、算出された種々の値が次のステップに渡される。
〔S12〕 次に、メインフレーム201では、眼鏡レンズ受注システムプログラムを経てヤゲン加工設計プログラムが起動し、ヤゲン加工設計演算が行われる。ヤゲン加工を行うためにレンズを保持する際に基準となる加工原点および回転軸である加工軸を決め、この加工座標に今までのデータを座標変換する。そして3次元のヤゲン加工の設計演算を行う。
〔S13〕 図2のステップS9での指定が「注文」ならばステップS15へ進み、一方、「問い合わせ」ならば、問い合わせの結果を公衆通信回線300を介して眼鏡店100の端末コンピュータ101へ送り、ステップS14へ進む。
〔S14〕 このステップは、工場200のメインフレーム201から送られてきた問い合わせの結果に基づき、端末コンピュータ101が両眼視バランス設計やヤゲン加工完了時のレンズの予想形状を画面表示装置に表示し、変更や確認に供するためにある。
両眼視バランス設計では、前記カーブを揃える前のレンズ形状とデータ、カーブを揃えた後のレンズ形状とデータを比較するための表示手段を備える。こうして、眼鏡店100では、この表示画面によりヤゲン形状や再設計のレンズ表面の出っ張り具合やコバ厚さ等の全体を確認して必要に応じて指定変更する。
〔S15〕 図2のステップS9での指定が「注文」ならば、このステップを実行し、図3のステップS11およびステップS12での加工設計演算においてエラーが発生したか否かを判別する。エラーが発生していれば、その結果を公衆通信回線300を介して眼鏡店100の端末コンピュータ101へ送り、ステップS17へ進む。一方、エラーが発生していなければ、その結果を公衆通信回線300を介して眼鏡店100の端末コンピュー
タ101へ送り、ステップS16へ進むとともに、ステップS18以降(図4)に進み、実際の加工を実行する。
〔S16〕 眼鏡店100の端末端末コンピュータ101の画面表示装置に「注文を受け付けた」旨の表示を行う。これにより、眼鏡枠に確実に枠入れ可能な縁摺り加工前またはヤゲン加工後のレンズを発注できたことが確認できる。
〔S17〕 注文のレンズは、レンズ加工設計演算またはヤゲン加工設計演算においてエラーが発生していて加工のできないレンズであるから、「注文を受け付けられない」旨の表示を行う。
図4は、工場200で行われるレンズ裏面の研磨加工、レンズの縁摺り加工、およびヤゲン加工等の実際の工程を示すフローチャートである。
〔S18〕 ステップS9で「注文」が指定されていて、しかもレンズまたはヤゲンの加工設計演算においてエラーが発生していなかった場合は、このステップが実行される。すなわち、予め、ステップS11でのレンズ加工設計演算結果が図1の端末コンピュータ210に送られており、荒擦り機211と砂掛け研磨機212とにより、送られた演算結果に従い、レンズ裏面の曲面仕上げを行う。さらに、図示がない装置により、染色や表面処理が行われ、縁摺り加工前までの加工が行われる。なお、在庫レンズが指定されたときは、このステップはスキップされる。
〔S19〕ステップS18の実行で縁摺り加工前まで加工された眼鏡レンズに対して光学性能、外観性能の品質検査を行う。この検査には、図1の端末コンピュータ220、レンズメータ221、肉厚計222が利用され、光学中心を示す3点マークが施される。なお、縁摺り加工前までのレンズを眼鏡店100から注文された場合には、上記品質検査を行った後、そのレンズを眼鏡店100へ出荷する。
〔S20〕 ステップS12で演算された結果に基づき、図1の端末コンピュータ230、マーカ231、画像処理機232等により、レンズ保持用のブロック治工具をレンズの所定の位置に固定する。
〔S21〕 ブロック治工具に固定されたレンズを、図1のレンズ研削装置241に装着する。そして、レンズ研削装置241に装着された状態でのレンズの位置(傾斜)を把握するために、予め指定された、レンズ表面または裏面の少なくとも3点の位置を測定する。ここで得られた測定値は、ステップS22で演算データとして使用されるために記憶される。
〔S22〕 図1のメインフレーム201がステップS12のヤゲン加工設計演算と同様の演算を行う。ただし、実際の加工では、計算上で把握したレンズの位置と実際のレンズの位置とに誤差が生じる場合があるので、加工座標への座標変換が終了した時点で、この誤差の補正を行う。他はステップS12のヤゲン加工設計演算と同様の演算を行い、最終的な3次元ヤゲン先端形状を算出する。そして、この算出された3次元ヤゲン先端形状を基に、所定の半径の砥石で研削加工する際の加工座標上の3次元加工軌跡データを算出する。
〔S23〕 ステップS22で算出された加工軌跡データが端末コンピュータ240を介してNC制御のレンズ研削装置241に送られる。レンズ研削装置241は、Y軸方向(スピンドル軸方向に垂直方向)に移動制御されてレンズの縁摺りやヤゲン加工を行う研削用の回転砥石を有し、また、レンズを固定するブロック治工具の回転角制御(スピンドル軸回転方向)と、Z軸方向(スピンドル軸方向)に砥石またはレンズを移動制御してヤゲン加工を行うZ軸制御との、少なくとも3軸制御が可能なNC制御の研削装置であり、送
られたデータに従い、レンズの縁摺りおよびヤゲン加工を行う。
〔S25〕 ヤゲン加工完了のレンズのヤゲン位置を含むヤゲン形状を、ステップS12で演算された結果に基づいて作成された加工指示書に打ち出されているヤゲン位置の図面と比較してヤゲンの品質を検査する。また、縁摺り加工によってレンズに傷、バリ、欠け等が発生していないかの外観検査を行う。
〔S26〕以上のようにして出来上がったヤゲン加工上がりレンズを眼鏡店100へ出荷する。
なお、左右眼のいずれかが破損した場合片眼だけ受注するが、この場合残った方のレンズの光学性能さえ分かれば、そのデータから破損した方のレンズの設計ができるので、供給が可能である。また、レンズ設計の手法としては、物点を無限遠として設計してもよいし、それ以外の近距離で設計してもよいことは勿論である。
本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法を実施するためのシステムの全体構成図である。 本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法の流れを示すフロチャート図である。 本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法の流れを示すフロチャート図である。 本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズ供給方法の流れを示すフロチャート図である。 レンズの種類の指定を行うオーダーエントリー画面を示す図である。 プラスレンズの球面設計のレンズ設計表の例を示す図である。 球面設計によるレンズの非点収差図であって図7(a)が左眼で図7(b)が右眼の場合を示す図である。 光線追跡法の原理説明図である。 再設計後のレンズの曲率半径等を表にした図である。 再設計後のレンズの非点収差図である。 再設計前後のレンズの曲面形状を示す図である。 マイナスレンズの球面設計のレンズ設計表の例を示す図である。 球面設計によるレンズの非点収差図であって図13(a)が左眼で図13(b)が右眼の場合を示す図である。 再設計後のレンズの曲率半径等を表にした図である。 再設計後のレンズの非点収差図である。 再設計前後のレンズの曲面形状を比較した図である。

Claims (3)

  1. 眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、
    この発注側コンピュータに情報交換可能に接続された製造側コンピュータと、
    を備え、
    前記発注側コンピュータと製造側コンピュータとは所定の入力操作に応じて演算処理を行い、互いに情報交換しながら眼鏡レンズの発注及び/又は受注処理に必要な処理を行って眼鏡レンズを供給する眼鏡レンズの供給方法において、
    前記製造側コンピュータに、前記発注側コンピュータにより、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報、処方値、レイアウト情報、加工指定情報等の加工に必要とされる加工条件データが送信された時、
    製造側のコンピュータに備えられたレンズ設計プログラムは、前記送信された眼鏡レンズ情報のデータに基づき、予め用意されたレンズ設計テーブルから左右眼レンズを選択するステップと、
    前記選択された左右眼レンズの凸面ベースカーブ差の比較を行うステップと、
    そのベースカーブ差が予め設定された基準以上ある場合に凸面カーブをもう一方のレンズの凸面カーブと一致又は近似させる再レンズ設計を行うステップと、
    を備えていることを特徴とする眼鏡レンズ供給方法。
    但し、ここでいう「一致又は近似」とは、前記選択された左右眼レンズに対して非球面設計を行うことにより左右眼レンズの凸面を非球面形状に設計する際、前記非球面形状の凸面を有する左右眼レンズの凸面ベースカーブ差が所定の値以下になるように、且つ、前記非球面形状の凸面を有する左右眼レンズの非点収差が左右眼レンズの間でほぼ同等となるように、左右眼レンズの凸面を設計することを指す。
  2. 前記カーブを揃える前のレンズ形状とこのレンズの処方データを含むデータ、カーブを揃えた後のレンズ形状とこのレンズの処方データを含むデータを比較するための表示手段を眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータに転送し表示することを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ供給方法。
  3. 前記非球面形状の設計及び非点収差の計算には光線追跡法が用いられ、前記非球面形状の設計には更に下記式が用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ供給方法。
    Figure 0004707706
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