JP2003140095A - 眼鏡レンズの設計方法及び装置 - Google Patents

眼鏡レンズの設計方法及び装置

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JP2003140095A JP2001342886A JP2001342886A JP2003140095A JP 2003140095 A JP2003140095 A JP 2003140095A JP 2001342886 A JP2001342886 A JP 2001342886A JP 2001342886 A JP2001342886 A JP 2001342886A JP 2003140095 A JP2003140095 A JP 2003140095A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 披検眼の処方値が左右で異なる場合等であっ
ても、眼鏡の総重量を増やすこと無く、眼鏡レンズの重
量バランスを良好にする。 【解決手段】 眼鏡レンズ設計装置31は先ず、発注端
末21から取得した仕様情報に基づいて左右一対の眼鏡
レンズを予備設計する。次いで、予備設計による各眼鏡
レンズ同士の重量差が所定値を上回るか否かを判定し、
重量差が所定値を上回ると判定した場合には、各眼鏡レ
ンズ同士において重量差が第1の値以下となり、且つア
ッベ数差が第2の値以下となる様に、少なくとも予備設
計の際のレンズ素材を変更し、当該変更内容で眼鏡レン
ズを再設計する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼鏡レンズを設計
する技術に関し、特に被検眼の処方値が左右で異なる場
合等であっても眼鏡レンズの重量バランスを良好に保つ
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】被検眼の視力を矯正する眼鏡レンズを処
方するに当たって、被検者の視力が左右で略等しい場
合、各眼の視力を矯正する眼鏡レンズの曲率半径や中心
厚等も略等しく設計されるので、左右一対の眼鏡レンズ
の重量バランスが崩れることは無い。しかし、被検眼の
視力が左右で著しく異なる場合は、各眼の視力を矯正す
る眼鏡レンズの曲率半径や中心厚が左右で異なってくる
ので、当該各眼鏡レンズの重量も左右で異なってしま
う。
【0003】左右で重量の異なる眼鏡レンズをフレーム
に枠入れして作成した眼鏡では、装用した際にその眼鏡
の重量がパッドやテンプルを介して鼻や耳に左右均等に
加わらないので、装用者に不快感を与えてしまう。ま
た、眼鏡レンズの左右での重量差が甚だしい場合には、
これらをフレームに枠入れして作成した眼鏡の重量バラ
ンスが大きく崩れてしまい、装用した際に眼鏡が傾いて
しまうこともある。
【0004】そこで従来、重い方の眼鏡レンズの周縁部
を大きく面取りすることにより削り取って軽くしたり、
或いは、軽い方の眼鏡レンズの中心厚を厚くすることに
よりこれを重くして、左右一対の眼鏡レンズの重量バラ
ンスを改善することが行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、面取り
によってレンズを軽量化することには限界があり、大き
な効果を得ることが難しい。また、大きな面取りをする
と、ある程度の軽量化は可能であるが、そのレンズにお
ける光学的に有効なレンズ径が減少する等の弊害を生じ
る。更に、このような大きな面取りを行うのは手作業と
なるので製造上困難であると共に、その分の製造工数が
増えるので、このことが眼鏡のコストを高くする要因と
なっていた。
【0006】一方、軽い方の眼鏡レンズの中心厚を厚く
する場合は、仮に左右一対の眼鏡レンズの重量バランス
を改善できたとしても、眼鏡全体としての総重量が増え
てしまい、結局装用者に大きな重量負荷を与える。従っ
て、レンズの中心厚を増すことが必ずしも有効な手段で
あるとは云い難い場合がある。
【0007】また、眼鏡店等のレンズ発注側や処方を決
定する医者の側では、レンズの設計情報がないため、こ
のような問題を解決することは難しい。また、現存する
オンラインの眼鏡の受注・発注システムは、眼鏡レンズ
店等の発注側からレンズ製造業者にレンズを指定して、
注文するための供給システムであって、ここシステムの
中に上記の問題を解決するような設計システムは組み込
まれていなかった。
【0008】本発明は、上記の課題を解決すべく成され
たものであり、被験眼の処方値が左右で異なる場合等で
あっても、眼鏡の総重量を増やさずに、眼鏡レンズの左
右での重量差を最小限に抑える技術を提供することを目
的とする。また、本発明は良好な掛け心地を有する眼鏡
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、眼鏡レンズの
素材自体を変更することを基本的着想として上記課題を
解決しようとするものである。但し、本願発明者は、こ
の発明を成す過程において、単に眼鏡レンズの素材を変
更するのみでは、仮に左右での重量バランスが改善でき
ても眼鏡装用者に何らかの違和感を与えてしまう場合の
あることを研究により知得した。そして、本願発明者
は、更なる研究の結果、かかる弊害が、眼鏡レンズが有
する種々の光学特性のうち特に色収差に起因すると共
に、この弊害を除去するに当ってはレンズ素材のアッベ
数が重要なパラメータとなることに想到し、かくして本
発明が成されたものである。
【0010】すなわち、本発明の第1の態様によれば、
左右一対の眼鏡レンズの処方情報に基づいて、当該処方
に適合する眼鏡レンズを設計する眼鏡レンズの設計方法
であって、前記処方情報に基づいて前記各眼鏡レンズの
予備設計データを採択し若しくは作成する予備設計工程
と、採択し若しくは作成した前記予備設計データによる
各眼鏡レンズ同士の重量差が所定値を上回るか否かを判
定する判定工程と、前記重量差が前記所定値を上回る場
合に、各眼鏡レンズ同士において重量差及びアッベ数差
が所定基準値以下となる様に、少なくとも前記予備設計
の際のレンズ素材を変更して再設計した再設計データを
採択し若しくは作成する再設計工程と、を含むことを特
徴とする眼鏡レンズの設計方法が提供される。
【0011】また、本発明の第2の態様によれば、左右
一対の眼鏡レンズの処方情報を取得して、当該処方に適
合する眼鏡レンズを設計する眼鏡レンズ設計装置であっ
て、前記処方情報に基づいて前記各眼鏡レンズの予備設
計データを採択し若しくは作成する予備設計手段と、こ
の予備設計手段によって採択し若しくは作成された前記
予備設計データによる各眼鏡レンズ同士の重量差が所定
値を上回るか否かを判定する判定手段と、この判定手段
によって前記重量差が前記所定値を上回ると判定された
場合に、各眼鏡レンズ同士において重量差及びアッベ数
差が所定基準値以下となる様に、少なくとも前記予備設
計の際のレンズ素材を変更して再設計した再設計データ
を採択し若しくは作成する再設計手段と、を備えること
を特徴とする眼鏡レンズの設計装置が提供される。
【0012】ここで、前記重量差の基準値は、眼鏡レン
ズの左右での重量差に基づく違和感を装用者に対して実
質的に与えないような値とするのが好ましい。また、ア
ッベ数差の基準値は、眼鏡レンズの左右で色収差に基づ
く違和感を装用者に対して実質的に与えないような値と
するのが好ましい。
【0013】また、本発明の第3の態様によれば、第2
の態様による眼鏡レンズ設計装置に於いて、前記再設計
手段は、各眼鏡レンズ同士のアッベ数差が10パーセン
ト以下となるよう前記予備設計の内容を変更する機能を
有することを特徴とする眼鏡レンズ設計装置が提供され
る。
【0014】また、本発明の第4の態様によれば、第2
又は第3の態様による眼鏡レンズ設計装置に於いて、前
記再設計手段は、前記予備設計の際における各眼鏡レン
ズの少なくとも何れか一方の曲面を非球面に変更する機
能を更に有することを特徴とする眼鏡レンズ設計装置が
提供される。
【0015】また、本発明の第5の態様によれば、第2
乃至第4の何れかの態様による眼鏡レンズ設計装置に於
いて、前記再設計手段は、各眼鏡レンズ同士の重量差が
10パーセント以下となるまで、前記予備設計の内容を
変更する処理を繰り返し行う機能を更に有することを特
徴とする眼鏡レンズ設計装置が提供される。
【0016】また、本発明の第6の態様によれば、第2
乃至第5の何れかの態様による眼鏡レンズ設計装置に於
いて、前記再設計手段は、軽い方の眼鏡レンズの中心厚
を増す変更を行う機能を更に有することを特徴とする眼
鏡レンズ設計装置が提供される。
【0017】また、本発明の第7の態様によれば、第2
乃至6の何れかの態様による眼鏡レンズ設計装置におい
て、前記再設計手段は、設計変更前と再設計後とで、左
右眼鏡レンズの総重量の変動が15パーセント以内とな
るよう前記予備設計の内容を変更する機能を有すること
を特徴とする眼鏡レンズ設計装置が提供される。
【0018】本発明の第1の態様、及び第2の態様によ
れば、予備設計の際における眼鏡レンズ同士の重量差が
所定値を上回ると判定された場合に、各眼鏡レンズ同士
において重量差及びアッベ数差が所定基準値以下となる
様に、少なくとも予備設計の際のレンズ素材を変更する
ので、被検眼の処方に適合する範囲内で、眼鏡の総重量
を増やさずに眼鏡レンズの左右での重量差を低減できる
と共に、再設計後の眼鏡レンズが装用者に対して色収差
に基づく違和感を与えてしまうのを回避できる。再設計
手段によって採択し若しくは作成される再設計データは
再設計されたものであるから、レンズ素材の変更等によ
って眼鏡レンズの光学性能が著しく損なわれることは無
い。
【0019】第3の態様による眼鏡レンズ設計装置によ
れば、再設計手段が、各眼鏡レンズ同士のアッベ数差が
10パーセント以下となるよう予備設計の内容を変更す
る機能を有するので、色収差に基づく違和感を装用者に
与えることのない掛け心地の良好な眼鏡を実現できる。
【0020】第4の態様による眼鏡レンズ設計装置によ
れば、再設計手段が、予備設計の際における各眼鏡レン
ズの少なくとも何れか一方の曲面を非球面に変更する機
能を有するので、眼鏡レンズの光学性能を向上できると
共に、その外観を良好にできると云った相乗効果を得
る。
【0021】第5の態様による眼鏡レンズ設計装置によ
れば、再設計手段が、各眼鏡レンズ同士の重量差が10
パーセント以下となるまで、予備設計の内容を変更する
処理を繰り返し行う機能を有するので、眼鏡レンズの左
右での重量バランスを確実に改善できる。これにより、
掛け心地の良い眼鏡が実現される。
【0022】第6の態様による眼鏡レンズ設計装置によ
れば、再設計手段が、軽い方の眼鏡レンズの中心厚を増
す変更、及び重い方の眼鏡レンズを面取りする変更、の
少なくとも何れか一方を行う機能を有するので、レンズ
素材の変更等と相まって左右一対の眼鏡レンズ同士の重
量差を一層低減できる。
【0023】第7の態様による眼鏡レンズ設計装置によ
れば、左右一対の眼鏡レンズの総重量と、その重量差と
の兼ね合いを考慮した最適な設計が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明が適
用された眼鏡レンズの供給システムについて説明する。
図1は、供給システムの全体構成を示す。この供給シス
テム1では、発注端末21と眼鏡レンズ設計装置31と
が通信回線4を介して接続されている。発注端末21
は、発注元としての眼鏡店2に配置されている。眼鏡レ
ンズ設計装置31は、眼鏡の製造メーカ側としての工場
3に配置されている。工場3側において、眼鏡レンズ設
計装置31にはLAN32を介して製造装置33が接続
されている。
【0025】尚、図1には便宜上、発注元としての眼鏡
店2を1つのみ示した。実際には複数の眼鏡店が工場3
に接続される。また、発注元としては、眼鏡店2の他に
眼科医院や個人等が挙げられる。また、通信回線4は、
インタネツトその他の公衆回線であってもよいし、WA
Nその他の専用回線であってもよい。更に、発注端末2
1とレンズ設計装置31との間に中継局を設けてもよ
い。
【0026】発注端末21は、表示部、入力部、及び通
信制御部等を備える。表示部は、眼鏡レンズを発注する
際に必要となる各種のデータの入力を支援する案内画面
を表示する。入力部は、案内画面に従って、披検眼の処
方データ等を入力する為のものである。通信制御部は、
眼鏡レンズ設計装置31との間におけるデータ通信を制
御する。尚、入力部と表示部とで、タッチスクリーンを
構成してもよい。表示部は、熟練者でなくとも所要の入
力を行える様なGUIを含むのが好ましい。
【0027】眼鏡レンズ設計装置31は、発注端末21
から眼鏡レンズの処方情報等を取得して、当該処方に適
合するよう眼鏡レンズの設計を行う。この眼鏡レンズ設
計装置31は、記憶部、演算制御部、及び通信部等を備
える。記憶部には、設計プログラムや加工データ生成プ
ログラム等が格納されている。設計プログラムは、コン
ピュータに、左右一対の眼鏡レンズの処方情報を取得す
る機能と、取得した処方情報に基づいて各眼鏡レンズの
予備設計データを採択し若しくは作成する重量バランス
仮計算機能と、採択し若しくは作成した予備設計データ
による各眼鏡レンズ同士の重量差が所定値を上回るか否
かを判定する重量検討機能と、重量差が所定値を上回る
場合に、各眼鏡レンズ同士において重量差及びアッベ数
差が所定基準値以下となる様に、少なくとも予備設計の
際のレンズ素材を変更して再設計した再設計データを採
択し若しくは作成する再設計機能と、を実現させる。加
工データ生成プログラムは、コンピュータに、設計プロ
グラムによって採択し若しくは作成された予備設計デー
タ又は再設計データに基づいて、製造装置33が実際の
レンズ加工を行う際に必要となる加工データを生成する
機能を実現させる。
【0028】演算制御部は、上記設計プログラム等を実
行することにより、重量バランス仮計算処理(図2のス
テップS3参照)、重量判定処理(図2のステップS4
参照)、再設計処理(図2のステップS5参照)等を実
行する。また、演算制御部は、上記加工データ生成プロ
グラムを実行することにより、製造装置33の制御情報
としての加工データを生成すると共に、生成した加工デ
ータを製造装置33に送信する制御を行う。通信部は、
演算制御部による制御の下、発注端末21及び製造装置
33との間でデータの送受信を行う。
【0029】製造装置33は、LAN32を介して眼鏡
レンズ設計装置31から取得する加工データに基づい
て、実際に眼鏡レンズを製造する。図1では便宜上、製
造装置33を1つのブロックで示した。この製造装置3
3としては、カーブジェネレータ、砂掛け研磨機、レン
ズメータ、肉厚計、マシニングセンタから成るNC制御
のレンズ研削装置、チャックインタロック、ヤゲン頂点
の形状測定器等が挙げられる。尚、製造装置33と眼鏡
レンズ設計装置31との間に、当該各装置間のデータ授
受を媒介して製造装置33を制御する端末コンピュータ
を配置してもよい。
【0030】以下、図2に示すフローチャートを参照し
て、供給システム1における動作について説明する。先
ず、眼鏡店2において発注端末21の表示部には入力画
面が表示される。販売員等は、その入力画面の案内に従
って、顧客の被検眼の処方データ、フレーム玉型データ
その他のレンズ設計に必要な眼鏡レンズの仕様情報を入
力する(ステップS1)。
【0031】ここで、仕様情報には、ヤゲン種、ヤゲン
位置、3次元フレーム形状情報、反射防止膜の種類、レ
ンズカラーの種類、眼鏡レンズの種類を特定する商品コ
ード等が含まれる。また、処方データには、顧客の左右
眼の球面屈折力、円柱屈折力、乱視軸、加入度、瞳孔間
距離、裸眼視力等が含まれる。
【0032】仕様情報等の入力が確定すると、発注端末
21の表示部には、重量バランス選択メニューが表示さ
れる。ここで、販売員は、メーカ3に重量バランス設計
を依頼する場合は、入力部を用いてその選択メニューを
指定する。次いで、発注端末21は、入力された仕様情
報等を眼鏡レンズ設計装置31に送信する。このとき、
発注端末21は、販売員によって選択メニューが指定さ
れた場合には、重量バランス設計を依頼する旨の情報も
併せて眼鏡レンズ設計装置31に送信する。
【0033】眼鏡レンズ設計装置31は、発注端末21
から仕様情報等を取得すると、取得した当該情報に基づ
いて、重量バランス設計を行うか否かを判定する(ステ
ップS2)。そして、眼鏡レンズ設計装置31は、重量
バランス設計を行わないと判定した場合は(ステップS
2;NO)、後述するステップS7に移行し、その仕様
情報に基づいて実際の眼鏡の加工を行う。
【0034】一方、眼鏡レンズ設計装置31は、重量バ
ランス設計を行うと判定した場合には(ステップS2;
YES)、重量バランス仮計算処理を行う(ステップS
3)。重量バランス仮計算処理において、眼鏡レンズ設
計装置31の演算制御部は、仕様情報に基づいて、左右
一対の眼鏡レンズを、夫々基準素材を用いて予備設計す
る。詳細には、演算制御部は、仕様情報に基づいて左右
一対の眼鏡レンズの予備設計データを作成する。
【0035】次いで、演算制御部は、重量バランス仮計
算による予備設計結果である予備設計データに基づいて
重量判定処理を行う。即ち、演算制御部は、重量バラン
ス仮計算による予備設計の内容で実際に製造した場合に
おける当該各レンズの重量差を算出し、その算出結果が
所定値を上回るか否かを判定する(ステップS4)。
【0036】そして、演算制御部は、各レンズの重量差
が所定値を上回らないと判定した場合は(ステップS
4;NO)、その旨を発注端末21に通知すると共に、
後述するステップS7に移行し、予備設計の内容でレン
ズ加工を行う。
【0037】ここで所定値とは、装用者が違和感を感じ
ない程度の重量差に相当する値を云う。所定値は、特に
限定されないが、予備設計データに基づく眼鏡レンズの
総重量の10パーセント以下とするのが好ましい。本発
明者の研究によれば、左右の眼鏡レンズの重量差が10
パーセント以内であれば、装用者が重量のアンバランス
を感じないことが判明している。
【0038】一方、演算制御部は、重量差が所定値を上
回ると判定した場合には(ステップS4;YES)、再
設計処理を実行することにより、予備設計の内容を変更
し、当該変更内容で再設計された設計データを作成する
(ステップS5)。再設計処理では、眼鏡レンズの処方
を満足する範囲内において重量差を低減するように予備
設計の内容を変更する。
【0039】再設計処理の具体的内容は次の通りであ
る。即ち、演算制御部は、各眼鏡レンズ同士において重
量差及びアッベ数差が所定の基準値以下となる様に、少
なくとも予備設計の際のレンズ素材を変更する。その過
程で、演算制御部は先ず、予備設計の際における重い方
のレンズの素材よりも比重の小さい軽量素材を決定す
る。
【0040】ここで、所定の基準値とは、眼鏡レンズの
左右での重量差に基づく違和感を装用者に対して実質的
に与えないような値である。好ましくは、眼鏡レンズの
左右での重量差は10パーセント以下である。また、眼
鏡レンズの左右で色収差に基づく違和感を装用者に対し
て実質的に与えないような値である。
【0041】ここで、色収差について説明する。一般に
色収差には軸上色収差と倍率色収差がある。軸上色収差
は光軸上での色収差であり像の結ばれる位置が色によっ
て異なる場合をいい、一方倍率色収差は像の大きさ(眼
視光学系において視野角)が色によって異なる場合をい
う。倍率色収差は像の濃淡の境界部分で色がにじむ現象
として認められる。一般に眼視光学系を設計するにあた
って色収差を計算する場合は、設計基準波長(本発明に
おいてd線)の他にC線、F線が用いられ、計算される。
【0042】軸上色収差は眼鏡レンズを薄肉レンズとす
ると以下の式で求めることができる。先ず、各波長での
眼鏡レンズのパワーをPd、PC、PF、各波長での屈折
率をnd、nC、nFとし、両面の曲率半径をr1,r2
すると各波長での眼鏡レンズのパワーは下式のようにな
る。
【式1】 そこで、軸上の色収差はC線とF線のパワー差と考える
と下式のようになる。
【式2】 この式から必要なパワーPdが決まれば曲率半径には無
関係になる。色分散値を表すアッベ数は、
【式3】 であるから(1)式は次のように表すことができる。
【式4】 この(2)式より、軸上色収差は屈折率ndにも関係な
く、屈折力とアッベ数で決まることがわかる。
【0043】次に倍率色収差の求め方を説明する。この
場合光線追跡を行って求める必要があり、以下に説明す
る。眼鏡レンズ設計光学モデルを図7に示す。図7中、
符号Lは遠視用レンズであり、物体は有限距離にある例
を示している。設計手法は光線追跡法による。すなわ
ち、回旋点CRから光軸Aとθの角度をなす光線Iを逆
向きに送って、レンズLの第一面L1における頂点O1
前方aの距離にある物体平面を貫く点Pの位置を定め
る。この光線を主光線と呼ぶ。つぎにP点を発し、上記
主光線について、レンズを屈折後のサジタル方向の像位
置s、メリディオナル方向の像位置mを算出し、非点収
差(m−s)の量を計算する(応用物理 第26巻 第
5号、1957参照)。なお回旋点CRとレンズの第二
面頂点O2との距離bは25[mm]として計算した
が、欧米では27[mm]としている。
【0044】以上が通常の光線追跡のやり方である。こ
の方法を用いて倍率色収差の求め方を説明する。図7に
おいて回旋点CRから光軸Aとθの角度をなす光線Iは
レンズLを通過した後、光軸Aとθ'の角度をなす光線
となってPに向かっている。これは設計基準波長(例え
ばd線)によるものである。各波長での光軸Aとθの角
度をなす光線IがレンズLを通過した後、光軸Aとのな
す角度を求める。そして基準光に対する色収差が計算さ
れる。C線とF線の差が倍率色収差になる。なお、眼側
から光線を追っているが逆に物体側から追っても構わな
い。このように、色収差には、軸上色収差と倍率色収差
とが存在する。
【0045】次に、一方の眼鏡レンズのアッベ数を3
0、他方の眼鏡レンズのアッベ数を60とした場合につ
いて具体的に説明する。この場合、軸上色収差を−6.
00Dレンズについて計算すると、一方の眼鏡レンズで
は0.20D、他方の眼鏡レンズでは0.10Dとな
る。また、倍率色収差を、視野角を30度として−6.
00Dレンズについて計算すると、一方の眼鏡レンズで
は14′、他方の眼鏡レンズでは7′となる。以上の具
体例においては、人間の眼の軸上色収差が1Dであるこ
とを考慮すると、問題のない数値であり、装用者は軸上
色収差を感じないと云える。一方、倍率色収差について
は、装用者に違和感を与える懸念がある。そこで、本発
明者の研究によれば、眼鏡レンズの左右でのアッベ数の
差が、10パーセント以下になるよう当該軽量素材決定
すると、装用者が軸上色収差及び倍率色収差による違和
感を感じないことが判明している。
【0046】次いで、演算制御部は、決定した軽量素材
で以って当該重い方のレンズの素材を変更する。このと
き、当該重い方のレンズ表面を非球面に変更してもよ
い。そして、演算制御部は、その変更内容で再設計され
た眼鏡レンズの設計データを作成する。次いで、演算制
御部は、更に眼鏡レンズの設計変更を行うか否かを判定
し(ステップS6)、更に設計変更する場合は(ステッ
プS6;YES)、再びステップS3に戻る。即ち、ス
テップS3、ステップS4、ステップS5の処理は、繰
り返し(ループ)処理である。演算制御部は、原則とし
て各眼鏡レンズ同士の重量差が10パーセント以下とな
るまで再設計処理を繰り返し行う。この繰り返し処理
は、ステップS4において、重量差が所定値以下と判定
された場合等に終了する。
【0047】尚、ステップS6の判定の基準は、特に限
定されない。例えばステップS3〜5の繰り返し回数に
基づいて判定を行う様にしてもよい。また、ステップS
5における再設計の結果を眼鏡レンズ設計装置31或い
は発注端末21に表示する様にし、当該表示内容に基づ
いてオペレータが判定する様にしてもよい。ステップS
3〜S5の繰り返し回数は、眼鏡レンズの重量バランス
と、総重量との兼ね合いを比較考量して定めるのが好ま
しい。
【0048】二回目以降のステップS3において、演算
制御部は、再設計データによる眼鏡レンズの左右での重
量差を算出する。また、演算制御部は、二回目以降のス
テップS4において、当該重量差が所定値を超えるか否
を判定する。尚、所定値の値は一回目と二回目以降とで
変えてもよい。
【0049】また、演算制御部は、二回目のステップS
6において、左右一対の眼鏡レンズの重量差を更に小さ
くするよう当該各レンズのうち少なくとも何れか一方の
設計を更に変更し、その変更内容で設計データを作成す
る。そして、その作成した設計データでもって前のステ
ップで作成した再設計データを更新する。具体的には、
演算制御部は、当該各眼鏡レンズのうち軽い方のレンズ
の中心厚を増す設計を実行する。
【0050】このとき、演算制御部は、当該各眼鏡レン
ズの少なくとも何れか一方に非球面を形成する設計を行
ってもよい。また、二回目以降のステップS6におい
て、重い方の眼鏡レンズの素材を更に比重の小さい軽量
素材に変更してもよい。また、基準素材を用いて設計し
た場合における眼鏡レンズの総重量を超えない範囲であ
れば、重量バランスを良好にする為に、軽い方のレンズ
の素材を若干比重の大きい素材に変更してもよい。
【0051】さて、演算制御部は、ステップS6におい
て設計変更を行わないと判定した場合(ステップS6;
NO)、又はステップS4においてレンズ同士の重量差
が所定値を下回ると判定した場合(ステップS4;N
O)は、最新の再設計データに基づいて加工データを生
成する。また、演算制御部は、ステップS2において重
量バランス設計を行わないと判定した場合は(ステップ
S2;NO)、仕様情報に基づいて加工データを生成す
る。
【0052】次いで、演算制御部は、生成した加工デー
タを、LAN32を介して製造装置31に送信する。製
造装置31は、眼鏡レンズ設計装置31から取得した加
工データに基づいて、実際に眼鏡レンズを製造する(ス
テップS7)。そして、製造装置33によって製造され
た眼鏡レンズ或いは眼鏡は、メーカ3から眼鏡店2発注
元に納入される(ステップS8)。かくして、納入され
た眼鏡は眼鏡店2を介して顧客に供給される。
【0053】以下、図2のステップS3乃至6における
処理について具体例を挙げて説明する。 [プラスレンズの場合]図3は、演算制御部による重量バ
ランス仮計算の設計結果すなわち予備設計データを、便
宜上3種類のプラスレンズ(+1D,+2D,+3D)
について同時に示したものである。この場合において、
屈折率n=1.56、アッベ数νd=40、比重ρ=
1.27を有する素材を基準素材とした。同図に示す様
に、重量バランス仮計算では、眼鏡レンズの形状が、第
1面曲率半径、第2面曲率半径、中心厚、外径、縁厚、
重量などの各項目別に演算される。尚、第1面とは、眼
鏡装用状態における眼と反対側の面、即ち前方屈折面を
指す。第2面とは、眼鏡装用状態における眼側の面、即
ち後方屈折面を指す。
【0054】(A)+1Dと+2Dの組み合わせ 先ず、+1Dのレンズと、+2Dのレンズを組み合わせ
る場合を想定する。図3(a)に示す予備設計データに
よれば、+1Dのレンズと+2Dのレンズの総重量は
8.47[g]であり、各レンズの重量差は0.77[g]
である。そこで、眼鏡レンズ設計装置31の演算制御部
は、この重量差を低減する設計を行う。左右レンズの重
量比は1.2であり、20%の相違がある。
【0055】さて、演算制御部は、再設計処理におい
て、重量差を低減する為、比重が小さく、アッベ数差が
10%以下の軽量素材を採用し、採用した軽量素材を用
いて当該重い方のレンズ(+2D)を再設計する。演算
制御部による再設計の結果すなわち再設計データが図3
(b)に示されている。この場合において、演算制御部
は、屈折率n=1.53、アッベ数νd=44、比重ρ
=1.105を有する軽量素材を採用した。図3(b)
に示す様に、再設計後の+2Dレンズの重量は、3.7
3[g]であり、全体として0.89[g]の軽量化が図
れた。
【0056】尚、基準素材よりも比重の小さい軽量素材
としては複数の候補があり、それら複数種の軽量素材の
データは例えばデータベース等の形態で眼鏡レンズ設計
装置31の記憶部に格納されている。演算制御部は、少
なくとも各眼鏡レンズ同士の重量差及びアッベ数差がそ
れぞれ所定の基準値を超えないように、そのデータベー
スから最適な軽量素材を選定する。
【0057】更に、演算制御部は、重量のバランスをと
る為に、+1Dレンズの重量を増やす設計を行う。具体
的には、演算制御部は、+1Dレンズの中心厚を増す設
計を実行する。その設計結果が図3(c)に示されてい
る。再設計後の+1Dレンズと、素材変更した+2Dレ
ンズの総重量は、トータルで7.67[g]である。かく
して、一対の眼鏡レンズ+1D,+2Dの総重量を減少
させることができ、しかも重量バランスが良好になっ
た。また、設計変更前と再設計後で左右眼鏡レンズの総
重量の変動が15%以内であることが好ましく、バランス
のとれた眼鏡レンズが提供できる。尚、しかる後更に、
総重量を軽くし或いは重量バランスを良好にする為に、
演算制御部が、+1Dレンズ或いは+2Dレンズの素材
を変更したり、或いはレンズ表面に非球面を形成する設
計を実行する様にしてもよい。
【0058】(B)+1Dと+3Dの組み合わせ 次に、+1Dのレンズと、+3Dのレンズを組み合わせ
る場合を想定する。図3(a)に示す予備設計データに
よれば、+1Dのレンズと+3Dのレンズの総重量は
9.28[g]であり、各レンズの重量差は1.58[g]
である左右レンズの重量比は、1.41であり、41%
の相違がある。
【0059】そこで、演算制御部は、光学設計におい
て、重量差を低減する為、比重が小さく、アッベ数差が
10%以下の軽量素材を採用し、採用した軽量素材を用
いて当該重い方のレンズ(+3D)を再設計する。演算
制御部による再設計の結果すなわち再設計データが図4
(a)に示されている。この場合において、演算制御部
は、屈折率n=1.53、アッベ数νd=44、比重ρ
=1.105を有する軽量素材を採用した。図4(a)
に示す様に、再設計後の+3Dレンズの重量は、4.4
7[g]であり、全体として0.96[g]の軽量化が図
れた。
【0060】更に、演算制御部は、重量のバランスをと
る為に、+1Dレンズの重量を増やす設計を行う。具体
的には、演算制御部は、+1Dレンズの中心厚を増す設
計を実行する。その設計結果が図4(c)に示されてい
る。再設計後の+1Dレンズと、素材変更した+3Dレ
ンズの総重量は、トータルで9.00[g]である。かく
して、一対の眼鏡レンズ+1D,+2Dの総重量を減少
させることができ、しかも重量バランスが良好になっ
た。尚、しかる後更に、総重量を軽くし或いは重量バラ
ンスを良好にする為に、演算制御部が、+1Dレンズ或
いは+3Dレンズの素材を変更したり、或いはレンズ表
面に非球面を形成する設計を実行する様にしてもよい。
【0061】[マイナスレンズの場合]図5は、演算制御
部による重量バランス仮計算の設計結果すなわち予備設
計データを、便宜上3種類のマイナスレンズ(−1D,
−2D,−3D)について同時に示したものである。こ
の場合において、屈折率n=1.56、アッベ数νd=
40、比重ρ=1.27を有する素材を基準素材とし
た。
【0062】(C)−1Dと−2Dの組み合わせ 先ず、−1Dのレンズと、−2Dのレンズを組み合わせ
る場合を想定する。図5(a)に示す予備設計データに
よれば、−1Dのレンズと−2Dのレンズの総重量は
7.15[g]であり、各レンズの重量差は0.71[g]
である。そこで、演算制御部は、この重量差を低減す
る。尚、左右レンズの重量比は1.22であり、22%
の相違がある。
【0063】さて、演算制御部は、再設計処理におい
て、重量差を低減する為、比重が小さく、アッベ数差が
10%以下の軽量素材を採用し、採用した軽量素材を用
いて当該重い方のレンズ(−2D)を再設計する。演算
制御部による再設計の結果が図5(b)に示されてい
る。この場合において、演算制御部は、屈折率n=1.
53、アッベ数νd=44、比重ρ=1.105を有す
る軽量素材を採用した。図5(b)に示す様に、再設計
後の−2Dレンズの重量は、3.34[g]であり、全
体として0.59[g]の軽量化が図れた。
【0064】更に、演算制御部は、重量のバランスをと
る為に、−1Dレンズの重量を増やす設計を行う。具体
的には、演算制御部は、−1Dレンズの中心厚を増す設
計を実行する。その設計結果が図5(c)に示されてい
る。再設計後の−1Dレンズと、素材変更した−2Dレ
ンズの総重量は、トータルで6.81[g]である。かく
して、一対の眼鏡レンズ−1D,−2Dの総重量を減少
させることができ、しかも重量バランスが良好になっ
た。尚、しかる後更に、総重量を軽くし或いは重量バラ
ンスを良好にする為に、演算制御部が、−1Dレンズ或
いは−2Dレンズの素材を変更したり、或いはレンズ表
面に非球面を形成する設計を実行する様にしてもよい。
【0065】(D)−1Dと−3Dの組み合わせ 次に、−1Dのレンズと、−3Dのレンズを組み合わせ
る場合を想定する。図5(a)に示す予備設計データに
よれば、−1Dのレンズと−3Dのレンズの左右レンズ
の重量比は1.44であり、44%の相違がある。
【0066】そこで、演算制御部は、再設計において、
重量差を低減する為、比重が小さく、アッベ数差が10
%以下の軽量素材を採用し、採用した軽量素材を用いて
当該重い方のレンズ(−3D)を再設計する。演算制御
部による再設計の結果すなわち再設計データが図6
(a)に示されている。この場合において、演算制御部
は、屈折率n=1.53、アッベ数νd=44、比重ρ
=1.105を有する軽量素材を採用した。図6(a)
に示す様に、再設計後の−3Dレンズの重量は、3.9
7[g]であり、全体として0.48[g]の軽量化が図
れた。
【0067】更に、演算制御部は、重量のバランスをと
る為に、−1Dレンズの重量を増やす設計を行う。具体
的には、演算制御部は、−1Dレンズの中心厚を増す設
計を実行する。その設計結果が図6(c)に示されてい
る。再設計後の−1Dレンズと、素材変更した−3Dレ
ンズの総重量は、トータルで7.69[g]である。かく
して、一対の眼鏡レンズ−1D,−3Dの総重量を減少
させることができ、しかも重量バランスが良好になっ
た。尚、しかる後更に、総重量を軽くし或いは重量バラ
ンスを良好にする為に、演算制御部が、−1Dレンズ或
いは−2Dレンズの素材を変更したり、或いはレンズ表
面に非球面を形成する設計を実行する様にしてもよい。
【0068】また、上記4つのケース(A)〜(D)で
は、何れもレンズの外径を50φとした。実際の眼鏡レ
ンズはフレームに合った形状で嵌められる為、レンズの
総重量が更に軽くなるのは云うまでもない。
【0069】本実施の形態によれば、次の様な効果が得
られる。 (1)眼鏡レンズ設計装置31は、重量バランス仮計算
の算出結果が所定値を上回ると判定した場合に、基準素
材よりも比重の小さい軽量素材を決定し、決定した軽量
素材を用いて重い方のレンズを再設計するので、当該重
い方のレンズが軽量化されて眼鏡レンズの左右での重量
バランスが図られる。その際、重い方のレンズは再設計
されるので、素材変更に起因して光学性能が損なわれる
ことは無い。かくして、被検眼の処方値が左右で異なる
場合等であっても、眼鏡の総重量を増やさずに、眼鏡レ
ンズの左右での重量差を最小限に抑えることが実現され
る。
【0070】(2)眼鏡レンズ設計装置31は、基準素
材のアッベ数と軽量素材のアッベ数との差が10パーセ
ント以下となるよう当該軽量素材を決定するので、左右
で色収差の差を感じることの無い良好な掛け心地を有す
る眼鏡が実現される。
【0071】(3)重量判定処理における閾値は、重量
バランス仮計算において設計した各眼鏡レンズの重量差
の10パーセント以下の値であるので、左右で重量アン
バランスを感じることの無い良好な掛け心地を有する眼
鏡が実現される。
【0072】(4)眼鏡レンズ設計装置31は、眼鏡レ
ンズの表面に非球面を設計する機能を有するので、眼鏡
レンズを軽量化できると共にその光学性能を向上でき
る。
【0073】(5)眼鏡レンズ設計装置31は、眼鏡レ
ンズ同士の重量差が所定値を下回るまで再設計を繰り返
し行うので、眼鏡レンズの左右での重量差を確実に低減
できる。
【0074】以上、本発明の好適な実施の形態について
説明した。本発明の技術思想はこれに限られない。例え
ば、演算制御部によって作成された再設計データ或いは
加工データを、顧客別に記憶手段に格納することもでき
る。そうすると、眼鏡レンズの何れか一方のみが破損し
その破損した方のレンズだけを発注場合に、顧客情報か
ら当該破損した方のレンズの再設計データ或いは加工デ
ータを迅速に得ることができる。また、破損していない
方のレンズ素材や光学性能から、当該破損した方のレン
ズの再設計データ或いは加工データを容易に特定でき
る。
【0075】また、本発明は、球面度数のレンズのみな
らず、トーリック面或いはアトーリック面が用いられる
乱視レンズの設計にも適用できる。また、本発明は、累
進多焦点レンズその他の多焦点レンズにも適用できる。
【0076】また、実施の形態では、眼鏡レンズ設計装
置31の演算制御部が予備設計データや設計データを作
成することとした。演算制御部は、これら予備設計デー
タや設計データを採択することもできる。この場合は、
眼鏡レンズ設計装置31の記憶部その他の記憶手段に、
眼鏡レンズの仕様情報と、当該仕様に適合する設計デー
タ(予備設計データ)とを対応付けて予め格納しておく
とよい。好ましくは記憶手段にデータベースを構築して
おくとよい。
【0077】また、眼鏡レンズ設計装置31の配置箇所
は、特に限定されない。眼鏡レンズ設計装置31の機能
を通信回線4及びLAN32を含むネットワーク上に分
散配置して眼鏡レンズ設計システムを構成してもよい。
また、設計プログラムや加工データ生成プログラム等を
配信し、これらプログラムを当該配信先のコンピュータ
にインストールすることもできる。この場合は、そのコ
ンピュータが眼鏡レンズ設計装置31の機能を有するこ
ととなる。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、被験眼の処方値が左右
で異なる場合等であっても、眼鏡の総重量を増やすこと
無く、眼鏡レンズの左右での重量差を最小限に抑えるこ
とが実現される。本発明によれば、良好な掛け心地を有
する眼鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された眼鏡レンズの供給システム
を示す構成図である。
【図2】供給システムにおける処理の流れを示すフロー
チャートである。
【図3】眼鏡レンズ設計装置の処理内容を説明する為に
当該設計結果の具体的数値をテーブルにした図である。
【図4】眼鏡レンズ設計装置の別の処理内容を説明する
為に当該設計結果の具体的数値をテーブルにした図であ
る。
【図5】眼鏡レンズ設計装置の更に別の処理内容を説明
する為に当該設計結果の具体的数値をテーブルにした図
である。
【図6】眼鏡レンズ設計装置の更に別の処理内容を説明
する為に当該設計結果の具体的数値をテーブルにした図
である。
【図7】眼鏡レンズの光学設計モデルを説明する為の図
である。
【符号の説明】
1 供給システム 2 眼鏡店 3 メーカ 4 通信回線 21 発注端末 31 眼鏡レンズ設計装置 32 LAN 33 製造装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】左右一対の眼鏡レンズの処方情報に基づい
    て、当該処方に適合する眼鏡レンズを設計する眼鏡レン
    ズの設計方法であって、 前記処方情報に基づいて前記各眼鏡レンズの予備設計デ
    ータを採択し若しくは作成する予備設計工程と、 採択し若しくは作成した前記予備設計データによる各眼
    鏡レンズ同士の重量差が所定値を上回るか否かを判定す
    る判定工程と、 前記重量差が前記所定値を上回る場合に、各眼鏡レンズ
    同士において重量差及びアッベ数差が所定の基準値以下
    となる様に、少なくとも前記予備設計の際のレンズ素材
    を変更して再設計した再設計データを採択し若しくは作
    成する再設計工程と、 を含むことを特徴とする眼鏡レンズの設計方法。
  2. 【請求項2】左右一対の眼鏡レンズの処方情報を取得し
    て、当該処方に適合する眼鏡レンズを設計する眼鏡レン
    ズ設計装置であって、 前記処方情報に基づいて前記各眼鏡レンズの予備設計デ
    ータを採択し若しくは作成する予備設計手段と、 この予備設計手段によって採択し若しくは作成された前
    記予備設計データによる各眼鏡レンズ同士の重量差が所
    定値を上回るか否かを判定する判定手段と、 この判定手段によって前記重量差が前記所定値を上回る
    と判定された場合に、各眼鏡レンズ同士において重量差
    及びアッベ数差が所定の基準値以下となる様に、少なく
    とも前記予備設計の際のレンズ素材を変更して再設計し
    た再設計データを採択し若しくは作成する再設計手段
    と、 を備えることを特徴とする眼鏡レンズの設計装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の眼鏡レンズ設計装置に於い
    て、 前記再設計手段は、各眼鏡レンズ同士のアッベ数差が1
    0パーセント以下となるよう前記予備設計の内容を変更
    する機能を有することを特徴とする眼鏡レンズ設計装
    置。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の眼鏡レンズ設計装置
    に於いて、 前記再設計手段は、前記予備設計の際における各眼鏡レ
    ンズの少なくとも何れか一方の曲面を非球面に変更する
    機能を更に有することを特徴とする眼鏡レンズ設計装
    置。
  5. 【請求項5】請求項2乃至4の何れか記載の眼鏡レンズ
    設計装置に於いて、 前記再設計手段は、各眼鏡レンズ同士の重量差が10パ
    ーセント以下となるまで、前記予備設計の内容を変更す
    る処理を繰り返し行う機能を更に有することを特徴とす
    る眼鏡レンズ設計装置。
  6. 【請求項6】請求項2乃至5の何れか記載の眼鏡レンズ
    設計装置に於いて、 前記再設計手段は、軽い方の眼鏡レンズの中心厚を増す
    変更を行うことを特徴とする眼鏡レンズ設計装置。
  7. 【請求項7】請求項2乃至6の何れか記載の眼鏡レンズ
    設計装置において、 前記再設計手段は、設計変更前と再設計後とで、左右眼
    鏡レンズの総重量の変動が15パーセント以内となるよ
    う前記予備設計の内容を変更する機能を有することを特
    徴とする眼鏡レンズ設計装置。
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