JP5340937B2 - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月25日出願の日本特願2007−192920号、2007年8月31日出願の日本特願2007−226833号および2007年8月31日出願の日本特願2007−226892号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、フォトクロミック膜等の機能性膜を基材上に有するプラスチックレンズの製造方法に関する。
眼鏡レンズ等の光学レンズとして使用されるプラスチックレンズの製造工程では、一般に、レンズ内部の歪除去のためにレンズ基材のガラス転移温度以上の温度で加熱処理が行われる。例えば、特開2004−262141号公報、その全記載は、ここに特に開示として援用される、には、プラスチックレンズ基材にハードコートを塗布した後、基材のガラス転移温度以上の温度で加熱処理を行うことが記載されている。
しかし、ガラス転移温度以上ではプラスチックの流動性が高くなるため、特開2004−262141号公報に記載の方法のようにコーティング膜形成後に基材のガラス転移温度以上に加熱すると、コーティング膜が剛直な場合、基材の変形により塗布膜と基材との密着性が低下することがある。一方、コーティング膜が基材との界面近傍で適度な流動性を有するならば基材の変形に追従し密着性を確保することはできる。しかし、この場合はレンズ表面形状が設計値から大きく変動することとなるため、レンズの表面屈折力を制御することが困難となる。そこで、加熱処理温度をレンズ基材のガラス転移温度より低く設定することが考えられるが、これではレンズ基材内部の歪みを効果的に除去することは困難である。
発明の開示
そこで本発明の目的は、コーティング膜と基材との密着性と光学特性を両立したプラスチックレンズを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
レンズ基材の変形による密着性低下を防ぎ、かつレンズ表面屈折力の制御を容易にするために、コーティング膜塗布前にレンズ基材をガラス転移温度以上で加熱処理し、基材内部の歪を予め除去しておくことが考えられる。しかし、この場合には以下の新たな課題があることが判明した。
従来、レンズ基材内部の歪のみが問題とされていたが、コーティング膜の厚さが厚くなるほど、コーティング膜内部の歪もレンズ全体の光学特性に大きく影響を及ぼすようになる。特に、光重合は加熱重合と比べて急激に重合反応が進行するため、コーティング膜中に歪が残り易い。コーティング膜を形成した後に、基材内部の歪除去やコーティング液の硬化のためにレンズ全体を加熱処理する方法であれば、この加熱処理によりコーティング膜内部の歪も除去することができる。しかし、コーティング膜形成前にレンズ基材の歪除去のための加熱処理を完了し、かつコーティング液の硬化を光重合により行う場合には、基材に塗布されたコーティング液は通常加熱下に置かれることがないため、コーティング膜中の歪を除去することができない。
このように、コーティング膜と基材との密着性と光学特性(表面屈折率制御および歪除去)とを両立することはきわめて困難であった。
そこで本発明者らは更に検討を重ね、コーティング膜塗布前にレンズ基材をガラス転移温度以上に加熱した後に光重合によりコーティング膜を形成し、その後、レンズ基材のガラス転移温度未満であってコーティング膜のガラス転移温度以上の温度でレンズ全体を加熱処理することにより、上記課題を解決できることを新たに見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
本発明は、プラスチックレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に硬化膜を有するプラスチックレンズの製造方法であって、
プラスチックレンズ基材を、該基材のガラス転移温度以上の温度に加熱すること、
前記加熱後のレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に、光硬化性組成物を塗布すること、
前記基材上に塗布された光硬化性組成物に対して光を照射し、前記組成物の少なくとも一部を硬化させ硬化膜を形成すること、および、
前記硬化膜が形成されたプラスチックレンズを、前記基材のガラス転移温度未満であって、かつ前記硬化膜のガラス転移温度以上の温度で加熱処理すること、
を含む、前記製造方法
に関する。
一態様によれば、前記光硬化性組成物は、フォトクロミック色素および光硬化性成分を含むフォトクロミック液であることができる。
一態様によれば、前記光硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を更に含むことができる。
一態様によれば、前記硬化膜の厚さは10〜60μmの範囲であることができる。
一態様によれば、前記プラスチックレンズ基材の加熱および/または前記加熱処理を、対向する面の一方が下向きになるように配置されたプラスチックレンズ基材の端面を、支持具によって支持しながら行うことができる。
一態様によれば、前記プラスチックレンズ基材の端面は、前記下向きに配置された面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含むことができる。
一態様によれば、前記テーパー面は、同一の頂点を共有する円錐側面の一部を形成することができる。
一態様によれば、前記支持を、前記下向きに配置された面と支持具とが非接触の状態で行うことができる。
一態様によれば、前記対向する一対の面は、一方が光学面、他方が非光学面であることができ、前記下向きに配置された面は、上記光学面であることができる。
一態様によれば、前記下向きに配置された面は、累進面または累進要素を有する非球面を含むことができる。
一態様によれば、前記対向する一対の面は、一方が凸面、他方が凹面であることができ、前記下向きに配置された面は、上記凸面であることができる。
一態様によれば、前記対向する一対の面は、いずれも中心対称性のない面形状を有することができる。
一態様によれば、前記支持具は、前記プラスチックレンズ端面と嵌合する面を内周に有するリング状部材であることができ、該面を前記プラスチックレンズ端面と嵌合することにより前記支持を行うことができる。
一態様によれば、前記加熱処理において前記支持を行い、かつ該支持において前記硬化膜を有する面を下向きに配置することができる。
一態様によれば、前記光硬化性組成物はカップリング剤を含むことができる。
一態様によれば、前記光硬化性組成物の塗布前に、プラスチックレンズ基材の該組成物が塗布される面に、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理を施すことができる。
一態様によれば、前記表面処理は、アルカリ処理、研磨処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電、プライマー層塗布および溶剤処理からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
本発明によれば、レンズ基材とコーティング膜との密着性と光学特性を両立した高品質なプラスチックレンズを得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、プラスチックレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に硬化膜を有するプラスチックレンズの製造方法に関する。本発明のプラスチックレンズの製造方法(以下、「態様I」ともいう)は、以下の工程を含む。
(第一工程)
プラスチックレンズ基材を、該基材のガラス転移温度以上の温度に加熱する。
(第二工程)
前記加熱後のレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に、光硬化性組成物を塗布する。
(第三工程)
前記基材上に塗布された光硬化性組成物に対して光を照射し、前記組成物の少なくとも一部を硬化させ硬化膜を形成する。
(第四工程)
前記硬化膜が形成されたプラスチックレンズを、前記基材のガラス転移温度未満であって、かつ前記硬化膜のガラス転移温度以上の温度で加熱処理する。
以下に、上記各工程の詳細を順次説明する。
第一工程(第一加熱工程)
本工程は、コーティング膜形成前のレンズ基材を、基材のガラス転移温度以上の温度に加熱する工程である。基材のガラス転移温度以上に加熱することにより、基材内部の歪を効果的に除去することができる。
プラスチックレンズ基材を構成するプラスチック材料としては、通常プラスチックレンズ材料として使用される種々の材料を用いることができる。プラスチックレンズ材料としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。上記中、ポリウレタンはガラス転移温度Tg前後での弾性率変化が大きいため、コーティング膜形成後にレンズ全体をポリウレタンのガラス転移温度以上に加熱処理する場合には基材の変形によって密着性が低下したり表面屈折力の制御が困難になることがあるが、本発明ではコーティング膜形成後のレンズ全体の加熱処理を、基材のTg未満の温度で行うため、基材の変形に起因する上記問題を回避することができる。よって、本発明は、ポリウレタンレンズへの適用に好適である。ポリウレタンレンズは、例えばポリイソシアネートとポリオールおよび/またはポリチオールとを重合させることにより得ることができる。また、目的に応じて上記ポリウレタン材料に第三の成分を加えてもよい。ポリウレタンレンズの詳細については、例えば特開昭63−46213号公報、特開平3−284715号公報等を参照することができる。また、プラスチックレンズの成形は、注型重合、射出成形等の公知の方法で行うことができる。レンズ基材の厚さは、一般に、幾何中心部で1mm〜50mm程度である。
基材のガラス転移温度および後述するコーティング膜(硬化膜)のガラス転移温度については、製造条件決定のための予備実験により、ガラス転移温度測定用サンプルのガラス転移温度を測定しておくことが好ましい。例えば、ポリウレタンレンズのガラス転移温度は、第三成分の有無やその添加量によっても変動するが、一般に100℃〜120℃程度である。
本発明におけるガラス転移温度は、レンズ基材については、熱機械分析装置(TMA)の針入モードを用いて測定した値をいうものとする。一方、硬化膜のガラス転移温度とは、動的粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”の比であるE’/E”(tanδ)が最大となる温度をいうものとする。
レンズ基材の加熱は、特にレンズ面形状が中心対称形状ではない場合等には、レンズ基材の対向する一対の面の一方が下向きになるように基材を支持具上に配置する際、レンズ基材端面を支持具によって支持する方法を用いることが好ましい。この場合、支持具によって支持されるプラスチックレンズ端面は、前記下向きに配置された面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含む形状とする。このように支持具上で下向きに配置される面(以下、「レンズ下面」または「下面」ともいう)に対して逆テーパー形状となるように端面を設計することにより、加熱処理時にレンズを端面で支持することが可能となる。従来の加熱処理は、レンズ下面の一部(例えば周縁端部等)をレンズ載置台と接触させることによりレンズを支持しながら行われていた。しかし上記方法では、レンズを安定に支持するためには、レンズ下面を球面形状等の中心対称形状または周縁端部が同一平面上にある円となる形状に設計しなければならない。また、従来、レンズ端面は円柱側面の一部であったため、重力を利用した載置は不可能であった。よって、このような形状のレンズを端面で支持するためには端面を一定の圧力で挟み込むことになる。しかしこれでは必然的にレンズにストレスがかかるため、ストレスの方向へレンズが変形しやすくなり形状制御が困難となる。これに対し、前述のようにレンズ端面を下面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含む形状とすることにより、端面による支持が可能となる。
以下に、前記加熱方法について更に詳細に説明する。
前記方法によりレンズ基材の加熱処理を行う場合、基材端面を、加熱処理時に下向きに配置される面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含むように設計する。このようなプラスチックレンズ基材は、例えば、プラスチックを注型重合法、射出成形法等の公知の成形方法によりレンズ形状に加工した後、端面にテーパー加工を施すことにより得ることができる。前記テーパー加工は、例えば研削装置を用いて行うことができる。また、端面がテーパー形状のレンズを形成可能な成形型を使用すれば、成形後のテーパー加工なしに上記形状のレンズを得ることもできる。例えば、凸面側の成形型外径(Ma)と凹面型成形型外径(Mb)との関係がMa<Mbとなる成形型を用意し、樹脂製ガスケットとでレンズ鋳型を組付ける。MaとMbとを制御することでレンズ端面のテーパー形状を制御することができる。なおMb−Maは0.1〜0.5mmが好適である。または、予め樹脂製ガスケットにテーパー構造を形成することでもレンズ端面にテーパー構造を形成することも好適である。
こうして得られるプラスチックレンズの支持具への載置例を図1に示す。
以下、図1に基づきレンズ形状について更に詳細に説明する。
図1に示すレンズは、一方の面が凸面、他方の面が凹面のメニスカスレンズである。ただし本発明においてレンズ基材の形状は、メニスカスレンズに限られず、両凸レンズ、両凹レンズ、一方の面が凸面または凹面、他方の面が平面のレンズであってもよい。なお、図1にはレンズ凸面を下向きに載置する例を示したが、本発明では凸面を上向きに載置することも好適である。
前記支持方法では、レンズ基材は、例えば図1に示すように、対向する一方の面のいずれかが下向きとなるように配置される。加熱処理時に下向きに配置されるレンズ下面は、加熱炉内壁からの異物落下等により異物が付着するおそれがない。そのため、異物付着を回避すべき面を下向きに配置することが好ましい。例えばセミフィニッシュレンズは、一方の面が光学面、他方の面が非光学面であり、受注を受けた後に非光学面に研削および研磨加工を施し製品レンズとして供給される。このようなセミフィニッシュレンズは、光学面を下向きに配置することにより加熱処理時に光学面が異物で汚染されることを回避することができる。また、メニスカスレンズについては、凹面を上向きとすると、上部からレンズより大きな物が落下した場合、落下物に最初に接触するのは端部となるので凹面の中央部が落下物により損傷されることを回避することができる。他方、凸面を上向きに配置した場合には上部からの落下物によりレンズ中央部が損傷を受けてしまう。上記のように損傷を受けた部分が端部であれば、損傷した部分は研削等により容易に除去することができるが、中央部が損傷を受けてしまうと製品レンズとして出荷することは困難となる。そのため、特に両面が光学面であるフィニッシュレンズの場合、メニスカスレンズについては、凸面が下向きとなるように配置することが好ましい。
また本発明において製造されるレンズは、両面が中心対称性を有する面(例えば両面球面)であってもよいが、いずれか一方が中心対称性のない面形状を有してもよく、両面とも中心対称性のない面形状を有してもよい。特に前記支持方法によれば、両面とも中心対称性のない面形状を有するレンズの端面を支持具で支持することにより安定に保持して加熱処理を施すことができるため、前記支持方法はそのようなレンズへの適用に適する。そのようなレンズとしては、両面に累進要素を有する両面非球面型累進屈折力レンズ、いずれか一方の面に累進面を有し、他方の面にトーリック面を有する累進屈折力レンズ、両面にトーリック成分を配分した単焦点レンズ、単焦点レンズの光学中心(累進屈折力レンズの遠用測定位置を含む)が円形レンズの幾何中心より偏心された加工される眼鏡レンズ等を挙げることができる。これらレンズは従来の下面を載置台と接触させて支持する方法では、安定に支持することが困難であった。これに対し、前記支持方法では端面を支持するため、面形状によらず安定な保持が可能となる。これにより、レンズ設計においていずれか一方の面に中心対称性を持たせる必要がなくなるため、自由な面形状設計が可能となり、レンズ両面に所望の光学性能を付与することができる。
なお、累進屈折力レンズは、老視用累進屈折力レンズとして用いられるレンズである。累進屈折力レンズは老視用眼鏡レンズでありながら外見上は容易に老眼鏡と察知されない利点や、遠距離から近距離まで切れ目なく連続的に明視しうる利点などの理由から、一般に広く利用されている。しかしながら、限られたレンズ面積の中に境界線を介入させることなく、遠方を見るための視野と近方を見るための視野、更にはそれらの中間的な距離を見るための視野といった複数の視野を配置する。本発明により製造可能な累進屈折力レンズとしては、例えば、第1には物体側表面である第1の屈折表面と眼球側表面である第2の屈折表面の何れかに累進面を有する片面累進屈折力レンズ、第2には物体側表面である第1の屈折表面と眼球側表面である第2の屈折表面とに分割配分されている累進屈折力作用を備え、前記第1の表面と前記第2の表面とを合わせて処方値に基づいた遠用度数と加入度数を与える構成となっている両面非球面型累進屈折力レンズを挙げることができる。累進屈折力レンズは、例えば図2〜図5の度数分布、または図6aもしくは図6bの断面を有する。前記支持方法によれば、このような複雑な面形状を有するレンズであっても加熱処理時に安定に保持することができる。特に前記支持方法は、レンズ下面が累進面または累進要素を有する非球面を含むレンズであって、従来の方法では安定な載置が困難な形状のレンズへの適用に適する。
また、後述する第四工程での加熱処理も、前記支持方法によりレンズを支持しながら行うことが好ましい。この場合、コーティング膜を形成した面を下向きに配置することが好ましい。これにより前述のようにレンズ最表面に位置する膜への異物付着を回避することができる。また、前記支持方法では、加熱処理時に端面を支持するため、レンズ下面を支持具と非接触状態で加熱処理を施すことができる。この点は、例えばコーティング膜が完全に硬化していない状態で加熱処理を施す場合のようにコーティング膜が支持具との接触によりダメージを受けやすい場合に有利である。未硬化の膜と支持具とが接触すると、膜の平滑性が低下するだけでなく、加熱処理後に支持具からレンズを取り外す際に膜の一部が損傷し、または潜在的な密着性低下を引き起こすことがある。また、レンズ下面周縁部を支持して加熱処理を施す方法では、周縁部において塗布膜が支持具に押され、該部分が薄くなることがある。このように膜の一部が薄くなることは膜とレンズとの密着低下の原因となる。特にレンズ下面周縁部において密着低下が起こると、膜が剥がれ易くなるきっかけとなり、結果的に膜全体の密着性が低下することがある。これに対し前記支持方法によれば、レンズ下面と支持具を非接触の状態としてレンズを支持することができるため、上記問題なく加熱処理を行うことができる。なお、加熱処理では、通常、レンズ上面は、支持具と非接触状態にある。なお、前記支持方法では加熱処理時にレンズ下面と支持具が非接触状態であることは必須ではなく、例えば下面にコーティング膜が形成されていない第一工程では、レンズ下面の一部が支持具と接触することにより、より安定な支持を行うことができる場合もある。
次に、前記支持方法において支持具によって支持されるレンズ端面について説明する。
前記レンズ端面は、前記下向きに配置される面に対して逆テーパー形状のテーパー面である。なお、前記支持方法では、上記形状のテーパー面を含むものであればよく、必ずしも端面全体がテーパー面を構成しなくてもよい。ただし、載置の安定性や加工の容易性の観点からは、例えば図1に示すように端面全体がテーパー面であることが好ましい。
前記テーパー面の傾斜角度は特に限定されるものではないが、例えば0.01〜5°程度の小さな角度でもレンズを保持することが可能であり、5〜45°程度の傾斜角度とすることにより、さらに確実なレンズ保持を行うことができる。特に前記テーパー面は、図1下図に示すように、同一の頂点を共有する円錐側面の一部を形成することが好ましい。これにより、レンズ下面と支持具とが非接触な状態でレンズを端面において安定に支持することができる。
次に、前述の形状を有するプラスチックレンズを支持する支持具について説明する。
前記支持方法において加熱処理時にレンズを支持する支持具は、前記レンズ端面(テーパー面)を支持することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えばリング状部材であることができる。前記レンズ端面は、数点(好ましくは3点以上の多点)を点によって支持してもよい。この場合、例えば内周に突起を有するリング状部材を支持具として用いることができる。安定な支持のためには、例えば図1に示すように、前記テーパー面と嵌合する面を内周に有するリング状部材を支持具として使用し、該面を前記テーパー面と嵌合することによりレンズの支持を行うことが好ましい。支持具の開口部下面の内径は、レンズ下面側のレンズ外径と略同一であるか、レンズ下面側のレンズ外径より大きく、かつレンズ上面側のレンズ外径より小さくすることができる。レンズ下面と支持具を非接触の状態に維持するためには、後者が好ましい。
レンズ支持具は、軽量性と耐熱性を有する素材から製造することが好ましい。そのような素材としては、プラスチック、セラミックス、アルミニウム合金等の金属材料を挙げることができる。
以上、加熱処理時のレンズ基材の支持に好適な支持方法について説明したが、例えば特許第2783499号明細書、その全記載は、ここに特に開示として援用される、に記載の方法等の公知の方法によりレンズ基材を支持することももちろん可能である。
レンズ基材の加熱は、基材のガラス転移温度Tg以上の温度、好ましくはTg以上かつTg+10℃以下程度で、基材内部の歪が除去できる程度の時間行えばよい。例えば、レンズ基材表面の温度が設定温度に達した後、該温度に30〜120分間程度保持することが好ましい。設定温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、レンズ基材を構成するプラスチック材料の熱的特性も考慮し決定すべきであり、例えば1.3〜1.7℃/分程度とすることができる。また、加熱処理後のレンズ基材は放冷により冷却してもよいが、冷却時の熱履歴も光学特性に影響を及ぼすことがあるため、徐冷炉等を使用し、冷却速度を制御することが好ましい。冷却速度は、例えば2〜5℃/分程度とすることができる。前記加熱処理は、例えば加熱炉内で、熱、紫外線、赤外線、電子線、マイクロ波等を用いて行うことができる。
こうして加熱処理を施し、内部の歪を除去ないしは低減したレンズ基材には、次いで塗布膜が形成される。
ところで、プラスチックレンズ基材上に塗布膜を形成した後、レンズ全体を高温で加熱処理すると、レンズ基材を構成するポリマーと塗布膜中の成分との間で結合が形成され、密着性を向上できる場合がある。これに対し本発明では、塗布膜形成後にレンズに施される加熱処理における加熱温度は、基材のTg未満に設定されるため比較的低い。このように加熱温度が低いことにより密着性低下が懸念される場合は密着性を向上させるために、プラスチックレンズ基材の塗布膜を形成する面(以下、「被塗布面」ともいう)に、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理を施すとともに、光硬化性組成物にカップリング剤を添加し、この光硬化性組成物を前記表面処理を施した面上に塗布することが好ましい。上記表面処理は、前述の基材Tg以上の加熱処理前に行うことが好ましい。
前記表面処理は、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理である。これら表面処理により、その後の加熱工程の温度を基材のガラス転移温度未満と比較的低温に設定しても塗布膜と基材との密着性を高めることができる。表面清浄処理によって密着性が高まる理由は定かではないが、該処理によって被塗布面上の異物が除去され密着性が高まるか、または被塗布面に適度な表面粗さが付与されることによりアンカー効果によって密着性が向上するのではないかと推察している。また表面活性化処理は、被塗布面の反応性を高めることにより塗布膜中のカップリング剤と基材との間に強固な結合を形成できると考えられる。表面積増大処理は、被塗布面に適度な表面粗さが付与されることによりアンカー効果によって密着性を高める効果があると考えられる。また表面被膜塗布処理は、接着層としての被膜を形成することによりレンズ基材表面と塗布膜との密着性を高める効果がある。
前記表面清浄処理としては、アルカリ処理、研磨処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電からなる群から選ばれる表面処理を挙げることができる。また、前記表面活性化処理としては、アルカリ処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電からなる群から選ばれる表面処理を挙げることができる。表面積増大処理としては、研磨処理による表面処理を挙げることができる。また、前記表面被膜処理はプライマー層(下塗り層)塗布による表面処理を挙げることができる。プライマー液としては、樹脂成分および水系溶媒を含有する水系塗布液が好適である。樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル、エチレンビニル共重合体であるオレフィン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系のエマルジョン等が挙げられる。前記プライマー液は、例えば上述の樹脂成分を水系溶媒(例えば、水、または水とアルコール、ケトン、セロソルブ等との混合溶媒)に分散させたエマルジョンであることが好ましい。中でも、レンズ基材表面との密着性発現に有利な極性官能基を有するウレタン系エマルジョンを使用することが好ましい。プライマー液は、スピンコート法、ディップ法等の塗布方法によりレンズ基材の被塗布面上に塗布することができる。上記水系プライマー液は溶媒除去により固化する性質を有するため、重合性組成物と異なり被膜形成に高温処理を要さない。そのためプライマー形成のための熱処理によってレンズ基材の変形を起こすおそれがない点で有利である。前記塗布液の固形分濃度は、液安定性および膜厚確保の点から、20〜50質量%の範囲であることが好ましい。
前記表面処理は、好ましくは、アルカリ処理、研磨処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電、プライマー層塗布および溶剤処理からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。また、レンズ基材のガラス転移温度が比較的低く(例えば100℃以下)、後述する塗布膜形成後の熱処理温度が比較的低温に設定される場合、2種以上の表面処理を組み合わせることが好ましい。例えば、アルカリ処理後のレンズ基材を必要に応じて風乾等により乾燥させた後、研磨処理を施すことができる。
前記表面処理は、いずれも公知の方法で行うことができる。例えばアルカリ処理は、公知のアルカリ溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等にレンズ基材全体または被塗布面を含むレンズ基材の一部を浸漬する方法によって行うことができる。前記アルカリ溶液中のアルカリ濃度は、例えば5〜20質量%、好ましくは8〜11質量%程度である。アルカリ溶液の温度および浸漬時間は、塗布液中のカップリング剤の含有量等を考慮し設定すればよく特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ溶液温度は50〜70℃程度、浸浸時間は200〜800秒程度とすることができる。例えば、研磨処理は、レンズ基材表面と研磨パッドを相対的に摺動および回転させることにより行うことができる。このときの回転速度は適宜設定することができ、例えば400〜600rpm程度とすることが好ましい。更に研磨パッドは、眼鏡レンズの主経線方向に揺動させることが好ましい。研磨パッドの揺動は、1秒に一回〜数回程度の周期で行うことができる。研磨パッドは、発泡ポリウレタン、フェルト、または不織布等の繊維性の布や合成樹脂等を材料とするものを使用することができる。また、オゾン暴露では、レンズ基材表面をオゾン雰囲気下に配置することにより表面処理を行う。一般に240nm以下の波長のUVは酸素を分解し、172nmと185nm線は酸素からオゾンを生成する。オゾンによる表面処理では表面エネルギーを増加させ親水性を高め、親水性に依存する密着(接着力)を向上させる作用があると考えられる。オゾン暴露を行う場合、レンズ基材はアリル系を除くプラスチック材料からなるものが好ましい。オゾン発生のためのUV照射時間は、例えば前記装置により60〜180秒程度とすることができる。
第二工程
本工程では、第一工程において加熱処理が施されたレンズ基材の少なくともいずれか一方の面上に光硬化性組成物を塗布する。光硬化性組成物は、レンズ基材の少なくとも一方の面に塗布すればよく、両面に塗布してもよいが、光照射の容易性を考慮すると片面のみ塗布することが好ましい。
上記光硬化性組成物としては、レンズに調光性能を付与するための機能性膜を形成するためのコーティング液(フォトクロミック液)を挙げることができる。フォトクロミック膜は、一般に厚膜であるため膜内部の歪が光学特性に及ぼす影響が大きく、しかも光重合、特にラジカル重合により硬化反応を行う場合には重合反応が急速に進行するため内部に歪が発生しやすい。これに対し、本発明では後述する第四工程において膜のTg以上の温度で加熱処理を行うため、膜内部の歪も効果的に除去することができ、基材、膜ともに歪が除去されたレンズを得ることができる。よって本発明は、硬化膜としてフォトクロミック膜を有するプラスチックレンズの製造方法として好適である。
フォトクロミック液は、少なくともフォトクロミック色素および光硬化性成分を含み、更に任意に重合開始剤および添加剤を含む。以下に、各成分について説明する。
(i)硬化性成分
フォトクロミック膜形成のために使用可能な硬化性成分は、光硬化性成分であればよく特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のラジカル重合性基を有する公知の光重合性モノマーやオリゴマー、それらのプレポリマーを用いることができる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイルは、アクリロイルとメタクリロイルの両方を示す。
フォトクロミック膜とレンズ基材との界面での混ざり合い防止、硬度調整の容易さ、膜形成後の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、または発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性を良好なものとするため、ラジカル重合性単量体としては、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すもの(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)を使用することが好ましい。また、高硬度モノマーとともに、同じく単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すもの(以下、低硬度モノマーと称す場合がある)を併用することもできる。低硬度モノマーの添加は、硬化体を強靭なものとし、またフォトクロミック化合物の退色速度を向上させる効果がある。
Lスケールロックウェル硬度とは、JIS−B7726に従って測定される硬度を意味する。各モノマーの単独重合体についてこの測定を行うことにより、前記硬度条件を満足するかどうかを簡単に判断することができる。具体的には、モノマーを重合させて厚さ2mmの硬化体を得、これを25℃の室内で1日保持した後にロックウェル硬度計を用いて、Lスケールロックウェル硬度を測定することにより容易に確認することができる。
また、前記Lスケールロックウェル硬度の測定に供する重合体は、仕込んだ単量体の有す重合性基の90%以上が重合する条件で注型重合して得たものである。このような条件で重合された硬化体のLスケールロックウェル硬度は、ほぼ一定の値として測定される。
前記高硬度モノマーは、硬化後の硬化体の耐溶剤性、硬度、耐熱性等を向上させる効果を有する。これらの効果をより効果的なものとするためには、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が65〜130を示すラジカル重合性単量体が好ましい。
このような高硬度モノマーは、通常2〜15個、好ましくは2〜6個のラジカル重合性基を有する化合物であり、好ましい具体例としては、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R15は3〜6価の有機基であり、fは0〜3の範囲の整数、f’はO〜3の範囲の整数、gは3〜6の範囲の整数である。)
(式中、R16は水素原子またはメチル基であり、Bは3価の有機基であり、Dは2価の有機基であり、hは1〜10の範囲の整数である。)
(式中、R17は水素原子またはメチル基であり、R18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Eは環状の基を含む2価の有機基であり、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数である。)
(式中、R19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。)
(式中、R20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは1〜6の範囲の整数である。)
前記一般式(1)〜(4)における、R13〜R19は、いずれも水素原子またはメチル基であるため、一般式(1)〜(4)で示される化合物は2〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
前記一般式(1)におけるR14は水素原子、メチル基またはエチル基である。
一般式(1)におけるR15は3〜6価の有機基である。この有機基は特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素一炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すためには、R15は、好ましくは炭素数1〜30の有機基であり、より好ましくはエーテル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜15の有機基である。
また、fおよびf’は、それぞれ独立に0〜3の範囲の整数である。また、Lスケールロックウェル硬度を60以上とするためには、fおよびf’の合計が0〜3であることが好ましい。
前記一般式(1)で示される高硬度モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレト、トリメチロールブロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
前記一般式(2)におけるBは3価の有機基であり、Dは2価の有機基である。このBおよびDは特に限定されるものではなく、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上であるためには、Bは炭素数3〜10の直鎖または分枝状の炭化水素から誘導される有機基であると好ましく、Dは炭素数1〜10の直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素から誘導される有機基である。
また単独重合体のLスケールロックウェル硬度を60以上とするために、hは1〜10の範囲の整数であり、好ましくは1〜6の範囲の整数である。
前記一般式(2)で示される高硬度モノマーの具体的としては、分子量2,500〜3,500の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB80等)、分子量6,000〜8,000の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB450等)、分子量45,000〜55,000の6官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB1830等)、分子量10,000の4官能ポリエステルオリゴマー(第一工業製薬社、GX8488B等)等が挙げられる。
前記一般式(3)におけるR18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基である。また式(3)におけるEは環状の基を含む2価の有機基である。この有機基は環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。Eに含まれる環状の基としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環または以下に示す環状の基等が挙げられる。
Eに含まれる環状の基はベンゼン環であることが好ましく、さらにEは下記式:
(Gは、酸素原子、硫黄原子、−S(O2)−、−C(O)−、−CH2−、−CH=CH−、−C(CH32−および−C(CH3)(C65)−から選ばれるいずれかの基であり、R21およびR22は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、lおよびl’は、それぞれ独立に0〜4の範囲の整数である。)で示される基であるとより好ましく、最も好ましいEは下記式:
で示される基である。
前記一般式(3)中、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数である。なお、式(3)で示される化合物は、iおよびjの双方が0である場合を除き、通常iおよびjの異なる複数の化合物の混合物として得られる。それらの単離は困難であるため、iおよびjはi+jの平均値で示される。i+jの平均値は2〜6であることがより好ましい。
一般式(3)で示される高硬度モノマーの具体的としては、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記一般式(4)におけるR19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。この主鎖炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ノニリレン基等が例示される。
一般式(4)で示される高硬度モノマーの具体的としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
前記一般式(5)におけるR20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは2〜6の範囲の整数であり、好ましくはkは3または4である。
一般式(5)で示される高硬度モノマーの具体的としては、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
なお、前記一般式(1)〜(5)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60未満のものがあるが、その場合には、これらの化合物は低硬度モノマーまたは中硬度モノマーに分類される。
また、前記一般式(1)〜(5)で示されない高硬度モノマーもあり、その代表的化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
(ii)フォトクロミック色素
フォトクロミック液に添加し得るフォトクロミック色素としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物が挙げられ、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を特に制限なく使用することができる。
前記フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物およびクロメン化合物としては、例えば、特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号明細書、WO96/14596号明細書、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される、などに記載されている化合物が好適に使用できる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として、例えば、特開2001−114775号公報、特開2001−031670号公報、特開2001−011067号公報、特開2001−011066号公報、特開2000−347346号公報、特開2000−34476号公報、特開2000−3044761号公報、特開2000−327676号公報、特開2000−327675号公報、特開2000−256347号公報、特開2000−229976号公報、特開2000−229975号公報、特開2000−229974号公報、特開2000−229973号公報、特開2000−229972号公報、特開2000−219687号公報、特開2000−219686号公報、特開2000−219685号公報、特開平11−322739号公報、特開平11−286484号公報、特開平11−279171号公報、特開平10−298176号公報、特開平09−218301号公報、特開平09−124645号公報、特開平08−295690号公報、特開平08−176139号公報、特開平08−157467号公報等に開示された化合物も好適に使用することができる。上記公報の全記載は、ここに特に開示として援用される。
これらフォトクロミック化合物の中でも、クロメン系フォトクロミック化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック化合物に比べ高く、さらにフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のフォトクロミック化合物に比べて特に大きいため特に好適に使用することができる。さらに、これらクロメン系フォトクロミック化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、本発明によるフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のクロメン系フォトクロミック化合物に比べて特に大きいため好適に使用することができる。
これらフォトクロミック化合物は適切な発色色調を発現させるため、複数の種類のものを適宜混合して使用することができる。
フォトクロミック液中のフォトクロミック色素の濃度は、前記重合性成分100質量部(ラジカル重合性単量体等)に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることが更に好ましい。
(iii)重合開始剤
フォトクロミック液に添加する重合開始剤は、重合方法に応じて、公知の光重合開始剤から適宜選択することができる。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドが好ましい。前述のように本発明は、光ラジカル重合開始剤を使用し、ラジカル重合によりフォトクロミック膜を形成する場合であっても、基材、膜ともに歪が除去された光学特性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。よって本発明は、重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を含む光硬化性組成物から硬化膜を形成する際、特に好適である。
これら光重合開始剤は、複数の種類のものを適宜混合して使用することができる。光重合開始剤のフォトクロミック液全量に対する配合量としては、前記重合性成分100質量部(ラジカル重合性単量体等)に対して、通常0.001〜5質量部であり、0.1〜1質量部であると好ましい。
(iv)添加剤
フォトクロミック液には、フォトクロミック色素の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。また密着性向上のための成分を添加してもよい。これら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。
前記界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、重合性単量体への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン系界面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル等である。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用してもよい。界面活性剤の添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用してもよい。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用してもよい。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲が好ましい。
高分子素材については、酸素存在下において、以下のメカニズムにより紫外線、熱等のエネルギーがきっかけとなり酸化劣化するという問題があることが知られている。まず高分子化合物がUV照射などの高エネルギーに暴露されると、高分子中にラジカルが発生する。するとそれが起点となって、新たなラジカルや過酸化物が発生する。一般に過酸化物は不安定なため、熱や光で容易に分解し、さらに新たなラジカルを作り出す。このように、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化が起きるため高分子素材が劣化し機能低下をもたらされる。このようなメカニズムによって生じる酸化を防止するためには、(1)発生したラジカルを無効化する方法、(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする方法、が考えられる。そこで、高分子素材用の酸化防止剤としては、上記方法(1)により酸化を防止するためにラジカル補足能を有するもの(ラジカル補足剤)を用いることが考えられ、上記方法(2)により酸化を防止するために過酸化物分解能を有するもの(過酸化物分解剤)を用いることが考えられる。本発明では酸化防止剤としてラジカル補足能を有する、過酸化物分解能を有するもののいずれを用いてもよいが、ラジカル補足能を有する化合物を酸化防止剤として用いることが好ましい。フォトクロミック化合物は太陽光からの紫外線を吸収し、分子構造が変化することで着色し、熱や可視光線を吸収することで元の状態に戻る。この変化の経路において酸素存在下では酸素へのエネルギー移動を生じ、酸化力の強い酸素ラジカルが発生する。そこで、ラジカル補足能を有する化合物によってこの酸素ラジカルを補足することで、フォトクロミック膜における酸化を有効に防止することができる。
以上の観点から好ましい添加剤としては、ヒンダートアミン化合物およびヒンダートフェノール化合物が挙げられる。上記化合物はラジカル補足能を発揮し得るため、得られたフォトクロミック膜の酸化を防止し耐久性を向上することができる。更に、前記化合物の添加により、硬化させる際のフォトクロミック色素の劣化を防止することもできる。ヒンダードアミン化合物およびヒンダートフェノール化合物としては、公知の化合物を何ら制限なく用いることができる。ヒンダートアミン化合物の中でも、塗布用に用いる場合、特に、フォトクロミック色素の劣化防止効果を発現する化合物としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等を挙げることができる。また、好ましいヒンダートフェノール化合物としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン酸(BHT)が挙げられる。その添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、例えば0.001〜20質量部の範囲であり、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、より好適には、1〜5質量部の範囲である。
なお、前述のラジカル補足能を有する化合物等の各種添加剤は、フォトクロミック液に添加することができるが、フォトクロミック膜形成後に含浸処理等によって添加することも可能である。この場合、ラジカル補足能を有する化合物については、物体側表面から含浸させることが好ましい。
また、フォトクロミック液においては、成膜時の均一性を向上させるために、界面活性剤、レベリング剤等を含有させることが好ましく、特にレベリング性を有するシリコーン系・フッ素系レベリング剤を添加することが好ましい。その添加量としては、特に限定されないが、フォトクロミック液全量に対し、通常0.01〜1.0質量%であり、0.05〜0.5質量%の範囲が好ましい。
前記光硬化性組成物は、カップリング剤を含むこともできる。カップリング剤を含むことによりプラスチックレンズ基材と塗布膜の密着性を向上することができる。密着性をよりいっそう向上するためには、前述のように、カップリング剤を含む光硬化性組成物(以下、「カップリング剤含有塗布液」ともいう)の塗布前に、被塗布面に、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理を施すことが好ましい。
前記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の各種カップリング剤を使用することができるが、反応性等の観点からシランカップリング剤を使用することが好ましい。
密着性向上の点で好ましいシランカップリング剤としては、
一般式(I)
1 m Si X1 (4-m) (I)
(式中、R1 は有機基を表し、X1 は−OR2 を表し、R2 はアルキル基を表し、mは1または2の整数である。)
で表される1種又は2種以上のシラン化合物を挙げることができる。
一般式(I) で表されるシラン化合物は、シラン原子に一つまたは二つの有機基が置換し、残りの結合手はすべて、アルコキシ基が置換したものである。有機基R1 の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、メルカプトプロピル基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。X1 で表されるアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。R2 の炭素数は脱離するアルコールの分子量が比較的小さく、除去が容易であり形成される膜の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1〜4の範囲であることが好ましい。
一般式(I) で表されるシランカップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジベンジルトリメトキシシラン、ジベンジルトリエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N'−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N'−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−{(3−トリメトキシシリル)プロピル}エチレンジアミン三酢酸ソーダ塩、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン等が挙げられる。
光硬化性組成物に含まれるカップリング剤を添加する場合、添加するカップリング剤は1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。光硬化性組成物中のカップリング剤の含有量については、密着性を効果的に向上するためには、カップリング剤添加濃度は0.1〜49質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましい。
本発明において、フォトクロミック液の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより行うことができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加してもよいし、モノマー成分のみを予め混合し、重合させる直前にフォトクロミック色素や他の添加剤を添加・混合してもよい。
前記フォトクロミック液は、25℃での粘度が20〜500cpsであることが好ましく、50〜300cpsであることがより好ましく、60〜200cpsであることが特に好ましい。この粘度範囲とすることにより、フォトクロミック液の塗布が容易となり、所望の厚さのフォトクロミック膜を容易に得ることができる。
本発明における光硬化性組成物のレンズ基材表面への塗布は、スピンコート法、ディップ法等の公知の塗布方法によって行うことができる。
第三工程
本工程では、第二工程でレンズ基材上に塗布した光硬化性組成物に対して光を照射することにより、組成物の少なくとも一部を硬化させ、硬化膜を形成する。レンズ基材上に塗布した光硬化性組成物に対して光を照射することにより、組成物の少なくとも一部を硬化させ硬化膜を形成することができる。例えば紫外線硬化型組成物の場合、UVランプ下に塗布面を上にしてレンズを配置し、塗布面に対して紫外線を照射すればよい。なお、本発明における「硬化膜」とは、硬化性成分の少なくとも一部が硬化していればよく、硬化性成分が完全に硬化せず一部が未硬化の状態で残存している膜も含むものとする。塗布膜は表面のみが硬化し、内部は未硬化であることが好ましい。これは膜硬化によるレンズ基材への応力蓄積を回避するためである。よって前記光照射は、光硬化性組成物に含まれる成分の種類に応じて適切な重合度での硬化反応を行うことができるように条件を設定することが好ましい。
形成される硬化膜の厚さは特に限定されるものではないが、例えばフォトクロミック膜の場合、良好な調光性能を発現するためには、その厚さは10μm以上であることが好ましく、10〜60μmであることが更に好ましく、20〜60μmであることがよりいっそう好ましい。本発明では、上記のような比較的厚膜の硬化膜内部の歪を、後述する第四工程において効果的に除去することができる。
第四工程
本工程では、第三工程で形成した硬化膜を含むレンズ全体に加熱処理を施す。前記加熱処理は、前記基材のガラス転移温度未満の温度であって、かつ硬化膜のガラス転移温度以上の温度で行われる。これにより、基材の変形を起こすことなく、膜内部の歪を除去ないしは低減することができる。
前記加熱処理時の温度は、基材のガラス転移温度未満であって、かつ硬化膜のガラス転移温度以上の温度であれば特に限定されるものではないが、膜の歪を効果的に除去するためには、硬化膜のガラス転移温度Tg以上Tg+10℃以下の範囲の温度で行うことが好ましく、また、レンズ基材の変形をより効果的に防止するためには、レンズ基材のガラス転移温度から10〜50℃程度低い温度で行うことが好ましい。フォトクロミック膜のガラス転移温度は、含有成分の種類にもよるが、一般に50〜70℃程度である。前記加熱処理は、例えば加熱炉内で、熱、紫外線、赤外線、電子線、マイクロ波等を用いて行うことができる。また、昇温速度、設定温度での保持時間および冷却速度については、先に第一工程について説明した条件に準じて設定すればよい。
第四工程後のレンズ基材は、そのまま製品レンズとして出荷してもよく、更にハードコート膜、反射防止膜等を設けてもよい。ただし、前記硬化膜上に更に機能性膜を形成する場合、それら機能性膜内部の歪がレンズの光学特性に影響を及ぼさないように薄膜とすることが好ましい。また、前記塗布膜上に更に機能性膜を形成する場合、レンズ基材の変形を防止するために、基材のTg以上の温度で加熱処理を行わないことが好ましく、また塗布膜の変形をも防止するためには塗布膜のTg以上の温度で加熱処理を行わないことが好ましい。また、先に説明したようにレンズ基材端面をテーパー状とした場合には、通常、製品として出荷する前にテーパー面を研削、研磨等により除去する。但し、用途によってはテーパー面を除去せず使用することもできる。
レンズ基材がセミフィニッシュ用レンズ基材の場合、レンズ裏面(硬化膜を形成した面とは反対の面)に切削研磨(一般に、CG加工と呼ばれる)により光学面を創成してもよい。レンズ基材内部に歪が残留していると、CG加工により潜在していた歪によって変形が表面化することがあった。また、CG加工された裏面は、鏡面加工のために研磨処理が施されるが、この研磨処理は加工形状毎に異なることが一般的である。従って、加熱処理によりレンズ基材が変形し表面形状が変化してしまうと、研磨条件を変更しなければならなかった。これに対し、前述のように本発明によれば、レンズ基材の変形防止と歪除去を両立できるため、レンズ基材がセミフィニッシュ用レンズ基材の場合に従来生じていた上記問題を回避することができる。
本発明によれば、基材、硬化膜とも内部歪が除去され、しかもレンズ基材の変形が防止された高品質なプラスチックレンズを得ることができる。本発明の製造方法は、高度な光学特性が要求される光学レンズ、特に眼鏡レンズとしてのプラスチックレンズの製造方法として好適である。
[参考態様A]
先に説明した本発明における適用が好適な加熱処理時のプラスチックレンズの支持方法は、本発明のプラスチックレンズの製造方法に限らず適用することができる。
上記支持方法を採用したプラスチックレンズの製造方法(参考態様A)は、
対向する一対の面と、該一対の面の周縁を取り囲む端面とからなるレンズ形状に成形されたプラスチックレンズを、支持具によって支持しながら加熱処理することを含むプラスチックレンズの製造方法であって、
前記支持を、前記対向する一対の面の一方が下向きになるように配置されたプラスチックレンズを、前記端面を支持具によって支持することによって行うこと、および、
前記支持されるプラスチックレンズ端面は、前記下向きに配置された面に対して逆テーパー形状のテーパー面であること、
を特徴とするプラスチックレンズの製造方法
である。
前記支持は、前記下向きに配置された面と支持具とが非接触の状態で行うことができる。
前記テーパー面は、同一の頂点を共有する円錐側面の一部を形成することができる。
前記対向する一対の面は、いずれも中心対称性のない面形状を有することができる。
前記対向する一対の面は、一方が光学面、他方が非光学面であることができ、前記下向きに配置された面は、上記光学面であることができる。
前記下向きに配置された面は、累進面または累進要素を有する非球面を含むことができる。
前記対向する一対の面は、一方が凸面、他方が凹面であることができ、前記下向きに配置された面は、上記凸面であることができる。
前記支持具は、前記プラスチックレンズ端面と嵌合する面を内周に有するリング状部材であることができ、該面を前記プラスチックレンズ端面と嵌合することにより前記支持を行うことができる。
前記一対の面のいずれか一方は塗布膜および/または蒸着膜を有することができ、該膜を有する面を前記支持において下向きに配置することができる。
前記加熱処理は、前記プラスチックレンズを、該レンズを構成するプラスチックのガラス転移点以上の温度に加熱することを含むことができる。
プラスチックレンズは、一般に注型重合法や射出成形法により製造される。通常、レンズ形状に成形されたプラスチックレンズには、必要に応じてハードコート膜、反射防止膜、フォトクロミック膜などの塗布膜や蒸着膜が形成された後、または上記膜形成前に、加熱処理が施される。この加熱処理は、レンズ内の歪除去、未反応モノマーの硬化促進、塗布膜の硬化等のために行われる。
上記加熱処理は、一般に、レンズを載置台に載せ、円形の保持リングや載置面によってレンズ下面を保持した状態で行われる(例えば特許第2783499号明細書、特開2001−232691号公報、特許第3428062号明細書および特許第2909573号明細書参照、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される)。これにより、加熱処理時にレンズを安定に支持することができるため、レンズが変形しやすい温度(例えばガラス転移点以上)に加熱する場合であっても、レンズ形状を保持しつつ加熱処理を行うことができる。
従来の眼鏡レンズは、少なくとも一方の面が、球面形状等の中心対称形状または周縁端部が同一平面上にある円となる形状となるように設計されていた。これは、上記加熱処理時の安定な載置を可能にするためであった。しかし、このことが眼鏡レンズ設計において大きな制約となっていた。これに対し、上記参考態様Aによれば、レンズ形状によらず加熱処理時にレンズを安定に載置することにより高品質なプラスチックレンズを提供することができる。参考態様Aによれば、レンズ設計(光学設計)において選択可能なレンズ形状の幅が広がり、レンズ両面に所望の光学性能を付与することが可能となる。
以下、上記参考態様Aについて更に詳細に説明する。
前述のように、従来の加熱処理は、レンズ下面の一部(例えば周縁端部等)をレンズ載置台と接触させることによりレンズを支持しながら行われていた。しかし上記方法では、レンズを安定に支持するためには、レンズ下面を球面形状等の中心対称形状または周縁端部が同一平面上にある円となる形状に設計しなければならない。
そこで参考態様Aでは、加熱処理を施されるレンズの端面を、加熱処理時に下向きに配置される面(以下、「レンズ下面」または「下面」ともいう)に対して逆テーパー形状のテーパー面を含む形状とする。これにより加熱処理時にレンズを端面で支持することが可能となり、レンズ両面を所望の形状に自由に設計することができる。
レンズ成形
参考態様Aにおいて加熱処理に付されるレンズは、対向する一対の面と、該一対の面の周縁を取り囲む端面とからなるレンズ形状に成形されたプラスチックレンズである。前記端面は、加熱処理時に下向きに配置される面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含む。このようなプラスチックレンズは、例えば、プラスチックを注型重合法、射出成形法等の公知の成形方法によりレンズ形状に加工した後、端面にテーパー加工を施すことにより得ることができる。その詳細は、先に説明した通りである。こうして得られるプラスチックレンズの支持具への載置例としては、図1に示す態様を挙げることができる。
参考態様Aにおいて加熱処理に付されるプラスチックレンズを構成するプラスチック材料としては、通常プラスチックレンズ材料として使用される種々の材料を用いることができる。プラスチックレンズ材料としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、エピチオ化合物の重合体、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。上記中、ポリウレタンはガラス転移点Tg前後での弾性率変化が大きいため、ガラス転移点以上に加熱処理する場合に安定に保持しなければ形状変化をもたらすおそれがあるが、参考態様Aによれば、レンズを安定に保持しつつ加熱処理を施すことができる。よって、参考態様Aは、ポリウレタンレンズへの適用に好適である。ポリウレタンレンズは、例えばポリイソシアネートとポリオールおよび/またはポリチオールとを重合させることにより得ることができる。また、目的に応じて上記ポリウレタン材料に第三の成分を加えてもよい。ポリウレタンレンズの詳細については、例えば特開昭63−46213号公報、特開平3−284715号公報等を参照することができる。また、プラスチックレンズの成形は、注型重合、射出成形等の公知の方法で行うことができる。
加熱処理を施されるレンズは、例えば図1に示すように、対向する一方の面のいずれかが下向きとなるように配置される。加熱処理時に下向きに配置されるレンズ下面は、加熱炉内壁からの異物落下等により異物が付着するおそれがない。そのため、異物付着を回避すべき面を下向きに配置することが好ましい。例えばセミフィニッシュレンズは、一方の面が光学面、他方の面が非光学面であり、受注を受けた後に非光学面に研削および研磨加工を施し製品レンズとして供給される。このようなセミフィニッシュレンズは、光学面を下向きに配置することにより加熱処理時に光学面が異物で汚染されることを回避することができる。また、メニスカスレンズについては、凹面を上向きとすると、上部からレンズより大きな物が落下した場合、落下物に最初に接触するのは端部となるので凹面の中央部が落下物により損傷されることを回避することができる。他方、凸面を上向きに配置した場合には上部からの落下物によりレンズ中央部が損傷を受けてしまう。上記のように損傷を受けた部分が端部であれば、損傷した部分は研削等により容易に除去することができるが、中央部が損傷を受けてしまうと製品レンズとして出荷することは困難となる。そのため、特に両面が光学面であるフィニッシュレンズの場合、メニスカスレンズについては、凸面が下向きとなるように配置することが好ましい。
また、参考態様Aにおいて加熱処理を施されるレンズは、両面が中心対称性を有する面(例えば両面球面)であってもよいが、いずれか一方が中心対称性のない面形状を有してもよく、両面とも中心対称性のない面形状を有してもよい。特に参考態様Aによれば、両面とも中心対称性のない面形状を有するレンズの端面を支持具で支持することにより安定に保持して加熱処理を施すことができるため、参考態様Aはそのようなレンズの製造方法として好適である。
また、参考態様Aにおいて、いずれか一方の面にハードコート膜、反射防止膜、フォトクロミック膜等の塗布膜や蒸着膜を形成した後に加熱処理を施す場合、塗布膜を形成した面を下向きに配置することが好ましい。これにより前述のようにレンズ最表面に位置する膜への異物付着を回避することができる。また、参考態様Aでは加熱処理時に端面を支持するため、レンズ下面を支持具と非接触状態で加熱処理を施すことができる。この点は、例えば塗布膜が完全に硬化していない状態で加熱処理を施す場合のように塗布膜が支持具との接触によりダメージを受けやすい場合に有利である。未硬化の膜と支持具とが接触すると、膜の平滑性が低下するだけでなく、加熱処理後に支持具からレンズを取り外す際に膜の一部が損傷し、または潜在的な密着性低下を引き起こすことがある。また、レンズ下面周縁部を支持して加熱処理を施す方法では、周縁部において塗布膜が支持具に押され、該部分が薄くなることがある。このように膜の一部が薄くなることは膜とレンズとの密着低下の原因となる。特にレンズ下面周縁部において密着低下が起こると、膜が剥がれ易くなるきっかけとなり、結果的に膜全体の密着性が低下することがある。これに対し参考態様Aによれば、レンズ下面と支持具を非接触の状態としてレンズを支持することができるため、上記問題なく加熱処理を行うことができる。なお、加熱処理では、通常、レンズ上面は、支持具と非接触状態にある。また、塗布膜および蒸着膜は、公知の方法により形成することができる。なお、参考態様Aでは加熱処理時にレンズ下面と支持具が非接触状態であることは必須ではなく、例えば下面に塗布膜を有さない場合には、レンズ下面の一部が支持具と接触することにより、より安定な支持を行うことができる場合もある。
参考態様Aにおいて加熱処理を施されるレンズおよびレンズ支持方法のその他の詳細は、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。
加熱処理
プラスチックレンズには、前記支持具によって端面を支持した状態で加熱処理が施される。前述のように、参考態様Aはプラスチックレンズを構成するプラスチックのガラス転移点以上に加熱する加熱処理を含む場合に好適である。但し、上記加熱処理はレンズを構成するプラスチックのガラス転移点以上の温度で行われるものに限定されるものではなく、ガラス転移点未満に加熱する加熱処理を含むプラスチックレンズの製造方法としても、参考態様Aは好適である。参考態様Aにおける加熱処理は、レンズ内の未反応モノマーの硬化、レンズの重合の促進、レンズ内部の歪除去のための徐冷(アニール)、レンズ表面に塗布した塗布膜の硬化、塗布膜上に蒸着膜を形成する際の前処理等のいずれの加熱処理であってもよい。加熱条件は、目的に応じて適宜設定すればよい。これらの加熱処理は、例えば加熱炉内で、熱、紫外線、赤外線、電子線、マイクロ波等を用いて行うことができる。例えばポリウレタンレンズのアニールの場合、加熱温度は20〜130℃程度、加熱温度は1〜12時間程度とすることができる。
支持具によって支持した状態で加熱処理を施したプラスチックレンズは、通常、加熱処理後に端面のテーパー面が研削、研磨等により除去される。但し、用途によってはテーパー面を除去せず使用することもできる。
参考態様Aによれば、加熱処理による形状変化を起こすことなく高品質なプラスチックレンズを提供することができる。本発明の製造方法は、高い光学特性が要求される眼鏡レンズの製造方法として特に適している。
[参考態様B]
先に説明した本発明において適用可能な表面処理およびカップリング剤の使用を含む密着向上方法は、本発明のプラスチックレンズの製造方法に限らず適用することができる。
上記方法を採用したプラスチックレンズの製造方法(参考態様B)は、
プラスチックレンズ基材の対向する一対の面のいずれか一方の面上に塗布膜を有するプラスチックレンズの製造方法であって、
少なくともプラスチックレンズ基材の対向する一対の面のいずれか一方の面に、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理を施すこと、
前記表面処理を施した面上に、カップリング剤を含む塗布液を塗布することにより塗布膜を形成すること、および、
前記塗布膜が形成されたプラスチックレンズを、前記基材のガラス転移温度未満の温度で加熱処理すること、
を含む、前記製造方法
である。
前記表面処理前のプラスチックレンズ基材を、該基材のガラス転移温度以上の温度で加熱処理することができる。
前記表面処理は、アルカリ処理、研磨処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電、プライマー層塗布および溶剤処理からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
前記塗布液は、光硬化性塗布液であることができ、前記塗布後に光照射により塗布液を硬化させることを更に含むことができる。
前記塗布液は、フォトクロミック色素を更に含むことができる。
前記塗布液は、光ラジカル重合開始剤を更に含むことができる。
前記塗布膜の厚さは、10〜60μmの範囲であることができる。
眼鏡レンズ等の光学レンズとして使用されるプラスチックレンズは、一般に、レンズ基材により所望の屈折率を実現した上で、基材上に設けられるコーティング膜により各種性能(調光性能、反射防止能、耐久性向上等)が付与される(例えば特開2005−246265号公報またはその英語ファミリーメンバーEP 1 721 680 A1および「眼鏡」メディカル葵出版、1986年5月22日発行 p.81〜83参照、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される)。
一般に、レンズ基材両面にコーティング膜を形成する場合、コーティング膜の収縮が両面でバランスするためレンズ基材の形状変化や密着性低下の問題が顕在化することは少ない。これに対し、レンズ基材の片面のみにコーティング膜を形成する場合、コーティング膜の収縮による影響が一方の面上で顕著に現れるため、コーティング膜とレンズ基材との密着性低下やコーティング膜形成後の基材の形状変化が製品レンズの性能に重大な影響を及ぼすことがある。レンズ基材の形状変化を防ぐためには、コーティング膜形成後の加熱処理温度を下げることが考えられる。一方、レンズ基材とコーティング膜との密着性を高めるためには、コーティング膜塗布後にレンズ全体を加熱することにより、レンズ基材を構成するポリマー成分とコーティング液中の成分との結合形成等を行うことが考えられる。しかし、加熱温度によってはレンズ基材が変形し、表面屈折力の制御が困難になるという問題がある。他方、加熱温度を下げると十分な密着性向上効果を得ることが困難となる。このように、密着性向上と形状保持はトレードオフの関係にあり、両者を両立することはきわめて困難であった。
これに対し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
前述のように、コーティング膜形成後の加熱処理温度によってはプラスチックレンズ基材の変形が生じることがある。特にプラスチックはガラス転移温度を境界としてその流動性が大きく変化するため、加熱温度がレンズ基材のガラス転移温度以上になると、レンズ表面の屈折力制御が困難となるほどレンズ基材が変形することがある。しかし、加熱温度を下げることは密着性向上効果の点ではマイナスである。そこで本発明者らは更に検討を重ね、コーティング液に密着性向上成分としてカップリング剤を添加するとともに、コーティング液塗布前のレンズ基材表面にアルカリ処理を施すことにより、加熱温度を比較的低温とすることによる密着性向上効果低減を補うことができることを新たに見出した。参考態様Bによれば、基材の変形を抑制ないしは防止しつつレンズ基材とコーティング膜との密着性を高めることができ、これにより高品質なプラスチックレンズを得ることができる。
以下、上記参考態様Bについて更に詳細に説明する。
参考態様Bは、以下の工程を含む。
(工程1)
少なくともプラスチックレンズ基材の対向する一対の面のいずれか一方の面を表面処理する。
(工程2)
前記表面処理を施した面上に、カップリング剤を含む塗布液を塗布することにより塗布膜を形成する。
(工程3)
前記塗布膜が形成されたプラスチックレンズを、前記基材のガラス転移温度未満の温度で加熱処理する。
以下に、上記各工程の詳細を順次説明する。
(工程1)
本工程は、レンズ基材の塗布膜を形成する面(被塗布面)に表面処理を施す工程である。前記表面処理は、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理である。その詳細は、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。
参考態様Bにおいて処理されるプラスチックレンズ基材を構成するプラスチック材料としては、通常プラスチックレンズ材料として使用される種々の材料を用いることができる。プラスチックレンズ材料としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。上記中、ポリウレタンはガラス転移温度Tg前後での弾性率変化が大きいため、コーティング膜形成後にレンズ全体をポリウレタンのガラス転移温度以上に加熱処理する場合には基材の変形によって密着性が低下したり表面屈折力の制御が困難になることがあるが、参考態様Bではコーティング膜形成後のレンズ全体の加熱処理を、基材のTg未満の温度で行うため、基材の変形に起因する上記問題を回避することができる。よって、参考態様Bは、ポリウレタンレンズへの適用に好適である。ポリウレタンレンズは、例えばポリイソシアネートとポリオールおよび/またはポリチオールとを重合させることにより得ることができる。また、目的に応じて上記ポリウレタン材料に第三の成分を加えてもよい。ポリウレタンレンズの詳細については、例えば特開昭63−46213号公報、特開平3−284715号公報等を参照することができる。また、プラスチックレンズの成形は、注型重合、射出成形等の公知の方法で行うことができる。レンズ基材の厚さは、一般に幾何中心部で、約1mm〜50mm程度である。参考態様Bにおいて処理されるプラスチックレンズ基材のその他の詳細は、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。
基材のガラス転移温度および後述するコーティング膜(硬化膜)のガラス転移温度については、製造条件決定のための予備実験により、ガラス転移温度測定用サンプルのガラス転移温度を測定しておくことが好ましい。例えば、ポリウレタンレンズのガラス転移温度は、第三成分の有無やその添加量によっても変動するが、一般に100〜120℃程度である。
参考態様Bにおけるガラス転移温度も、本発明のプラスチックレンズの製造方法と同様、レンズ基材については、熱機械分析装置(TMA)の針入モードを用いて測定した値をいうものとする。一方、塗布膜のガラス転移温度とは、動的粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”の比であるE’/E”(tanδ)が最大となる温度をいうものとする。
レンズ基材は内部に光学歪が残存していることがあり、これにより製品レンズの光学特性が低下することがある。そこで参考態様Bでは、塗布膜形成前のレンズ基材を加熱処理し基材内部の歪を低減ないしは除去することが好ましい。この目的で行う加熱処理は、レンズ基材のガラス転移温度以上の温度で行うことが好ましい。また、前記表面処理の効果を効果的に得るためには、前記表面処理前のレンズ基材に上記加熱処理を施すことが好ましい。
レンズ基材の加熱は、特にレンズ面形状が中心対称形状ではない場合等には、レンズ基材の対向する一対の面の一方が下向きになるように基材を支持具上に配置する際、レンズ基材端面を支持具によって支持する方法を用いることが好ましく、参考態様Aを適用することがより好ましい。また、後述する工程3での加熱処理も、参考態様Aによりレンズを支持しながら行うことが好ましい。この場合、塗布膜を形成した面を下向きに配置することが好ましい。これにより前述のようにレンズ最表面に位置する膜への異物付着を回避することができる。ただし、参考態様Bでは、例えば特許第2783499号明細書、その全記載は、ここに特に開示として援用される、に記載の方法等の公知の方法によりレンズ基材を支持することももちろん可能である。
レンズ基材の加熱は、基材のガラス転移温度Tg以上の温度、好ましくはTg以上かつTg+10℃以下程度で、基材内部の歪が除去できる程度の時間行えばよい。例えば、レンズ基材表面の温度が設定温度に達した後、該温度に30〜120分間程度保持することができる。設定温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、レンズ基材を構成するプラスチック材料の熱的特性も考慮し決定すべきであり、例えば1.3〜1.7℃/分程度とすることができる。また、加熱処理後のレンズ基材は放冷により冷却してもよいが、冷却時の熱履歴もレンズ特性に影響を及ぼすことがあるため、徐冷炉等を使用し、冷却速度を制御することが好ましい。冷却速度は、例えば2〜5℃/分程度とすることができる。前記加熱処理は、例えば加熱炉内で、熱、紫外線、赤外線、電子線、マイクロ波等を用いて行うことができる。
工程2
本工程では、前記表面処理を施した基材表面上に、カップリング剤を含む塗布液を塗布することにより塗布膜を形成する。ここでレンズ基材表面に塗布される塗布液にカップリング剤を添加するとともに、前述のようにレンズ基材の被塗布面に表面処理を施すことにより、後述するように加熱処理温度を基材のTg未満と比較的低温にしても塗布膜と基材との密着性に優れたレンズを得ることができる。
前記塗布液は、熱重合により硬化し得る熱硬化性組成物でもよく、光重合により硬化する光硬化性組成物でもよい。加熱による基材の変形を効果的に防止するためには、硬化反応のための加熱処理を必要としない光硬化性組成物を塗布液として使用することが好ましい。塗布液は、レンズ基材のいずれか一方の面に塗布される。
前記光硬化性組成物としては、一般にフォトクロミック膜または調光膜と呼ばれ、レンズに調光性能を付与するための機能性膜を形成するためのコーティング液(フォトクロミック液)を挙げることができる。フォトクロミック膜は、一般に厚膜であるため重合時の収縮により基材との密着性が低下しやすく、しかも光重合、特にラジカル重合により硬化反応を行う場合には重合反応が急速に進行し塗膜が急激に収縮するため密着性が低下しやすい。これに対し、参考態様Bではカップリング剤使用とレンズ基材表面(被塗布面)の表面処理によりレンズ基材と塗布膜の密着性を高めることができる。よって参考態様Bは、硬化膜としてフォトクロミック膜を有するプラスチックレンズの製造方法として好適である。
フォトクロミック液は、少なくともフォトクロミック色素および光硬化性成分を含み、更に任意に重合開始剤および添加剤を含む。それらの詳細は、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。また、前記カップリング剤の詳細も、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。
参考態様Bにおけるレンズ基材表面への塗布液の塗布は、スピンコート法、ディップ法等の公知の塗布方法によって行うことができる。参考態様Bにおける塗布膜およびその形成方法のその他の詳細は、先に本発明のプラスチックレンズの製造方法の説明において記載した通りである。
工程3
本工程は、工程2において塗布膜を形成したレンズ全体に加熱処理を施す工程である。この加熱処理は、レンズ基材と塗布膜との密着性を高める作用がある。本発明ではこの加熱処理を基材のTg未満と比較的低温で行うが、前述のようにカップリング剤の使用および表面処理により、加熱温度が比較的低温であってもレンズ基材と塗布膜との密着性を効果的に高めることができる。また、前記基材のガラス転移温度未満の温度で加熱処理を行うため、加熱処理により基材が変形することを防ぐことができる。
前記加熱処理時の温度は、基材のガラス転移温度未満の温度であればよいが、本発明のプラスチックレンズの製造方法と同様、塗布膜のガラス転移温度以上の温度で行うことが好ましい。本工程の好ましい態様は、本発明のプラスチックレンズの製造方法における第四工程と同様である。
工程3後のレンズ基材は、そのまま製品レンズとして出荷してもよく、更にハードコート膜、反射防止膜等を設けてもよい。前記塗布膜上に更に機能性膜を形成する場合、レンズ基材の変形を防止するためには、基材のTg以上の温度で加熱処理を行わないことが好ましく、また塗布膜の変形をも防止するためには塗布膜のTg以上の温度で加熱処理を行わないことが好ましい。ただし、工程3後のレンズは塗布膜とレンズ基材とが強固に密着しているため、工程3後の塗布膜上に機能性膜を成膜する際、レンズ基材のTg以上の温度で加熱処理を行っても密着性を維持することができる。また、先に説明したようにレンズ基材端面をテーパー状とした場合には、通常、製品として出荷する前にテーパー面を研削、研磨等により除去する。但し、用途によってはテーパー面を除去せず使用することもできる。
参考態様Bによれば、基材と塗布膜の密着性に優れ、しかもレンズ基材の変形が防止された高品質なプラスチックレンズを得ることができる。参考態様Bは、高度な光学特性が要求される光学レンズ、特に眼鏡レンズとしてのプラスチックレンズの製造方法として好適である。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
1.レンズ基材の製造
以下の方法により、図1下図に示すプラスチックレンズ基材を成形した。
m−キシレンジイソシアネート484質量部、ペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート305質量部、モノチオグリセロール90質量部、ジブチルスズジウラレート0.3質量部および紫外線吸収剤として2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.5質量部を混合し十分に攪拌した後、1mmHgの真空下で60分脱気を行った。
次に、遠用屈折力+3.00(D)、乱視屈折力+1.00(D)、加入屈折力+1.00(D)、遠用屈折力測定位置と加入度屈折力定位置との距離を示す累進帯長が11mm、レンズ外径60Φ、中心肉厚4.2mmの処方となる両面非球面型累進屈折力レンズを得るための、上下ガラス製レンズ型(外径68.5mm)を用意し、樹脂製ガスケットとでレンズ鋳型を組付け、その鋳型中に前記混合液を注入し、25℃〜120℃まで連続的に20時間かけて昇温し、さらに120℃で2時間保持して重合を行って、レンズを成形した。ガスケットを除去し、下型モールドと成形されたレンズとの間に楔を打ち込んで両者を剥離し、さらにレンズから上型モールドを剥がしてポリウレタン系レンズを取り出した。そして取り出したレンズを、外径がおよそ68.55mmから60mmになるように周縁部を切削加工した。その際レンズの端面に図1下図に示すテーパー構造を形成した。前記テーパー形状はレンズ幾何中心を通る法線方向の直線上に頂点を有する仮想の円錐側面とし、レンズ幾何中心を通る法線方向となす角度は45°とした。なおテーパー形状の角度はレンズ凹面側(眼球側)が広くなる方向にとし、前記仮想の円錐頂点はレンズ凸面側(物体側)に配置される。
2.レンズ基材のガラス転移温度の測定
上記1.と同様の方法でガラス転移温度測定用のレンズ基材を製造し、熱機械分析装置(TMA)の針入モードにてレンズ基材のガラス転移温度を測定したところ、100℃であった。
3.第一加熱工程(第一工程)
次いで、第一工程のため、上記1.で得られたレンズ基材を図1下図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面は支持装置と非接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が63〜70Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して45°とした。このように支持された状態で上記レンズ基材凸面および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から目標温度110℃まで60分かけて昇温(約1.4℃/分)し、レンズ表面温度が110℃になった後、この温度で100分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
4.フォトクロミック膜の形成(第二、第三工程)
プラスチック製容器にトリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性単量体100質量部に、フォトクロミック色素として下記クロメン1を3質量部、酸化防止剤としてLS765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を0.4質量部、CGI403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド)を0.1質量部添加した。その液に、密着剤として、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)4.8質量部、ラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物としてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.6質量部を攪拌しながら滴下した。十分に攪拌した後、N−メチルジエタノールアミン1.4質量部を秤量滴下し、さらに十分に攪拌混合を行った。その後、シリコーン系レベリング剤Y−7006(ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー)を0.1質量部添加混合した後、自転公転方式攪拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック液を得た。得られた液の粘度は140mPa・sであった。
上記1.で加熱処理を施したレンズ基材を60℃、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液にて5分間浸漬処理して十分に純水洗浄、乾燥を行った後、調製したフォトクロミック液をスピンコート法で基材凸面側に塗布した。
その後、窒素雰囲気中でUVランプ(波長150〜380nm)にてレンズの凸面側から光照射し、フォトクロミック膜の硬化処理を行った。照射距離は330mm、照射時間は165秒で行った。硬化膜の膜厚を測定すると30μmであった。
4.フォトクロミック膜のガラス転移温度測定
上記と同様の方法でレンズ基材上にフォトクロミック膜を形成したレンズサンプルを作製し、このサンプル上のフォトクロミック膜のガラス転移温度を以下の方法により測定したところ、約55〜60℃であった。
動的粘弾性測定装置により貯蔵弾性率(弾性)と損失弾性率(粘性)を測定し、損失弾性率(粘性)/貯蔵弾性率(弾性)を算出し、ピークとなる温度をTgとして特定した。
5.第二加熱工程(第四工程)
硬化膜を形成したレンズを、第一加熱工程と同様に、硬化膜が下向きとなるように支持具上に載置した状態で、硬化膜表面および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から目標温度80℃まで60分かけて昇温(約0.9℃/分)し、硬化膜表面温度が80℃になった後、この温度で120分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
得られたフォトクロミックレンズの光学特性をLOH社製フォコビジョンによって評価したところ、内部歪もなく優れた光学特性を有していた。更にレンズ基材の変形をLOH社製フォコビジョンによって評価したところ、屈折力に換算して±0.03D以内であり、表面屈折力に影響を及ぼすほど大きな変形は観察されなかった。
また、クロスハッチ試験によりレンズ基材とフォトクロミック膜との密着性を評価したところ、100/100で良好な結果が得られた。
[比較例1]
実施例1において硬化膜形成前の加熱処理を行わず、硬化膜形成後にレンズ全体を加熱炉内で、室温(24℃)から目標温度110℃まで60分かけて昇温(約1.4℃/分)し、レンズ表面(硬化膜表面)温度が110℃になった後、この温度で100分間保持し加熱処理を行い、加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミックレンズを製造した。
得られたレンズについて、レンズ基材の変形をLOH社製フォコビジョンによって評価したところ、屈折力に換算して±0.14D(平均値の絶対値0.09D)となる大きな変形が発生した。
[実施例2、3、比較例2、3(態様I、参考態様B)]
1.レンズ基材の製造
実施例1と同様の方法により、図1下図に示すプラスチックレンズ基材(ガラス転移温度100℃)を成形した。
2.第一加熱工程
次いで、上記1.で得られたレンズ基材を図1下図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面は支持装置と非接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が63〜70Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して45°とした。このように支持された状態で上記レンズ基材凸面の温度および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から目標温度110℃まで60分かけて昇温(約1.4℃/分)し、レンズ表面温度が110℃になった後、この温度で100分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
3.フォトクロミック膜の形成
プラスチック製容器にトリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性単量体100質量部に、フォトクロミック色素として実施例1で使用したクロメン1を3質量部、酸化防止剤としてLS765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を0.4質量部、CGI403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド)を0.1質量部添加した。その液に、シランカップリング剤として、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)4.8質量部、ラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物としてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.6質量部を攪拌しながら滴下した。十分に攪拌した後、N−メチルジエタノールアミン1.4質量部を秤量滴下し、さらに十分に攪拌混合を行った。その後、シリコーン系レベリング剤(ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー)を0.1質量部添加混合した後、自転公転方式攪拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック液を得た。得られた液の粘度は140mPa・sであった。
上記1.で加熱処理を施したレンズ基材を60℃、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液にて5分間浸漬処理して十分に純水洗浄、乾燥を行った。次いで、レンズ基材凸面と研磨パッドを相対的に摺動および回転させて研磨処理を行った。このときの回転速度は400〜600rpm程度とした。同時に、研磨パッドは、眼鏡レンズの主経線方向に揺動させた。研磨パッドの揺動は、1秒に一回程度の周期で行った。研磨パッドは、発泡ポリウレタン、フェルト、または不織布等の繊維性の布や合成樹脂等を材料とする厚さ1mm程度のシート状のものを使用した。研磨後、調製したフォトクロミック液をスピンコート法で基材凸面側に塗布した。
その後、窒素雰囲気中で東芝ライラック製UVランプ(波長150〜380nm)にてレンズの凸面側から光照射し、フォトクロミック膜の硬化処理を行った。照射距離は330mm、照射時間は165秒で行った。硬化膜の膜厚を測定すると30μmであった。
4.フォトクロミック膜のガラス転移温度測定
上記と同様の方法でレンズ基材上にフォトクロミック膜を形成したレンズサンプルを作製し、このサンプル上のフォトクロミック膜のガラス転移温度を以下の方法により測定したところ、約55〜60℃であった。
動的粘弾性測定装置により貯蔵弾性率(弾性)と損失弾性率(粘性)を測定し、損失弾性率(粘性)/貯蔵弾性率(弾性)を算出し、ピークとなる温度をTgとして特定した。
5.第二加熱工程
硬化膜を形成したレンズを、第一加熱工程と同様に、硬化膜が下向きとなるように支持具上に載置した状態で、硬化膜表面および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から表1に示す目標温度まで30分かけて昇温し、硬化膜表面温度が目標温度に達した後、この温度で60分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
実施例2、3、比較例2、3で得られたフォトクロミックレンズの光学特性をLOH社製フォコビジョンによって評価したところ、いずれも内部歪もなく優れた光学特性を有していた。更にレンズ基材の変形をLOH社製フォコビジョンによって評価した結果およびクロスハッチ試験によりレンズ基材とフォトクロミック膜との密着性を評価した結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例2、3、比較例2、3ともレンズ基材と硬化膜との密着性は良好であったものの、比較例2、3では表面屈折力に大きな影響を及ぼすほどの形状変化が観察された。これは硬化膜形成後、レンズ基材のガラス転移温度以上の温度で熱処理を行ったため、レンズ基材が大きく変形したことに起因するものと考えられる。
[実施例4、比較例4(態様I、参考態様B)]
1.レンズ基材の製造
レンズ原料液の処方を変更した以外は実施例1と同様の方法でレンズ基材を作製した。
2.レンズ基材のガラス転移温度の測定
上記1.と同様の方法でガラス転移温度測定用のレンズ基材を製造し、熱機械分析装置(TMA)の針入モードにてレンズ基材のガラス転移温度を測定したところ、118℃であった。
3.第一加熱工程
次いで、上記1.で得られたレンズ基材を図1下図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面は支持装置と非接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が63〜70Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して45°とした。このように支持された状態で上記レンズ基材凸面および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から目標温度120℃まで60分かけて昇温(約1.6℃/分)し、レンズ表面温度が118℃になった後、この温度で100分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
4.フォトクロミック膜の形成
上記1.で加熱処理を施したレンズ基材を60℃、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液にて5分間浸漬処理して十分に純水洗浄、乾燥を行った後、上記と同様の方法で調製したフォトクロミック液をスピンコート法で基材凸面側に塗布した。
その後、窒素雰囲気中でUVランプ(波長150〜380nm)にてレンズの凸面側から光照射し、フォトクロミック膜の硬化処理を行った。照射距離は330mm、照射時間は165秒で行った。硬化膜の膜厚を測定すると30μmであった。この硬化膜のガラス転移温度を前述の同様の方法で測定したところ、約55〜60℃であった。
5.第二加熱工程
硬化膜を形成したレンズを、第一加熱工程と同様に、硬化膜が下向きとなるように支持具上に載置した状態で、硬化膜および加熱炉内部の温度を熱電対によってモニターしながら、加熱炉内で室温(24℃)から表2に示す目標温度まで30分かけて昇温し、硬化膜表面温度が目標温度に達した後、この温度で60分間保持し加熱処理を行った。加熱処理終了後、2.87℃/分の徐冷速度で室温まで冷却した。
実施例4、比較例4で得られたフォトクロミックレンズの光学特性をLOH社製フォコビジョンによって評価したところ、いずれも内部歪もなく優れた光学特性を有していた。更にレンズ基材の変形をLOH社製フォコビジョンによって評価した結果およびクロスハッチ試験によりレンズ基材とフォトクロミック膜との密着性を評価した結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例4、比較例4ともレンズ基材と硬化膜との密着性は良好であったものの、比較例4は表面屈折力に大きな影響を及ぼすほどの形状変化が観察された。これは硬化膜形成後、レンズ基材のガラス転移温度以上の温度で熱処理を行ったため、レンズ基材が大きく変形したことに起因するものと考えられる。
態様Iおよび参考態様Bは、フォトクロミック膜等の機能性膜を有する眼鏡レンズの製造方法として好適である。
[参考例1(参考態様A)]
以下の方法により、図1上図に示す形状のプラスチックレンズを成形した。
m−キシレンジイソシアネート100質量部、ペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート142質量部、リン酸ジ−n−ブチル6質量部、ジブチルスズジウラレート0.25質量部および紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.5質量部を混合し充分に攪拌したのち、1mmHgの真空下で60分脱気を行った。
次に、遠用屈折力+3.00(D)、乱視屈折力+1.00(D)、加入屈折力+1.00(D)、遠用屈折力測定位置と加入屈折力測定位置との距離を示す累進帯長が11mm、レンズ外径65Φ、中心肉厚5.6mmの処方となる両面非球面型累進屈折力レンズを得るための、上下ガラス製レンズ型(外径73.5mm)を用意し、テープ式樹脂製ガスケットとでレンズ鋳型を組付け、その鋳型中に前記混合液を注入し、25℃〜120℃まで連続的に20時間かけて昇温し、更に120℃で2時間保持して重合を行った。テープを除去し、下型モールドと成形されたレンズとの間に楔を打ち込んで両者を剥離させ、さらにレンズから上型モールドを剥がしてレンズを取り出した。そして取り出したレンズを、外径がおよそ73.5mmから65mmになるように周縁部を切削加工した。その際レンズの端面に、図1上図に示す形状のテーパー構造を形成した。前記テーパー形状はレンズ幾何中心を通る法線方向の直線上に頂点を有する仮想の円錐側面とし、レンズ幾何中心を通る法線方向となす角度は0.01°とした。なおテーパー形状の角度はレンズ凹面側(眼球側)が広くなる方向とし、前記仮想の円錐頂点はレンズ凸面側(物体側)に配置される。
次いで、アニール工程のため、得られたレンズを図1上図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面凸部が支持装置と接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が63〜70Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して89.99°とした。このように保持された状態で上記レンズを、20℃〜115℃の条件下でアニールした。上記加熱温度域にはレンズを構成するポリウレタンのガラス転移点(100℃)が含まれるが、得られたレンズは光学歪みも加熱処理による変形もなく優れたレンズ物性を示していた。
[参考例2(参考態様A)]
実施例1と同様の方法により、図1下図に示すプラスチックレンズを成形した。
次いで、アニール工程のため、得られたレンズを図1下図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面は支持装置と非接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が63〜70Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して45°とした。このように保持された状態で上記レンズを、20℃〜115℃の条件下でアニールした。上記加熱温度域にはレンズを構成するポリウレタンのガラス転移点(100℃)が含まれるが、得られたレンズは光学歪みも加熱処理による変形もなく優れたレンズ物性を示していた。
[参考例3(参考態様A)]
遠用屈折力−4.00(D)、乱視屈折力−1.00(D)、加入屈折力+1.00(D)、遠用屈折力測定位置と加入屈折力測定位置との距離を示す累進帯長が14mm、レンズ外径75Φ、中心肉厚0.8mmの処方となる凸面(物体側)に累進面を、凹面(眼球側)に乱視屈折力を有する累進屈折力レンズを得るための、上下ガラス製レンズ型(外径83.5mm)を用意し、テープ式樹脂製ガスケットとでレンズ鋳型を組付け、その鋳型中に、実施例1と同様のモノマー混合液を注入し、25℃〜120℃まで連続的に20時間かけて昇温し、更に120℃で2時間保持して重合を行った。テープを除去し、下型モールドと成形されたレンズとの間に楔を打ち込んで両者を剥離させ、さらにレンズから上型モールドを剥がしてレンズを取り出した。そして取り出したレンズを、外径がおよそ83.5mmから75mmになるように周縁部を切削加工した。その際レンズの端面に図1上図に示すテーパー構造を形成した。前記テーパー形状はレンズ幾何中心を通る法線方向の直線上に頂点を有する仮想の円錐側面とし、レンズ幾何中心を通る法線方向となす角度は5°とした。なおテーパー形状の角度はレンズ凹面側(眼球側)が広くなる方向にとし、前記仮想の円錐頂点はレンズ凸面側(物体側)に配置される。
次いで、アニール工程のため、得られたレンズを図1上図に示すレンズ支持装置に配置した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が72〜80Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して85°とした。このように保持された状態で上記レンズを、20℃〜115℃の条件下でアニールした。得られたレンズは光学歪みも加熱処理による変形もなく優れたレンズ物性を示していた。
[参考例4(参考態様A)]
平均屈折力−4.00(D)、乱視屈折力−1.00(D)、レンズ外径80Φ、中心肉厚1.0mmの処方となる凹凸両面に乱視屈折力を配分した単焦点屈折力レンズを得るために、レンズ母材の両面、または片面をカーブジェネレータにより切削加工した。片面のみを切削加工する場合は成形により予め片面に光学面を有するセミフィニッシュドレンズ(外径83.5mm)を用いた。そして光学面創成後、外径がおよそ83.5mmから80mmとなるようにレンズ周縁部を切削加工した。その際レンズの端面に図1上図に示すテーパー構造を形成した。前記テーパー形状はレンズ幾何中心を通る法線方向の直線上に頂点を有する仮想の円錐側面とし、レンズ幾何中心を通る法線方向となす角度は5°とした。なおテーパー形状の角度はレンズ凹面側(眼球側)が広くなる方向にとし、前記仮想の円錐頂点はレンズ凸面側(物体側)に配置される。
アニール工程のため、得られたレンズを図1上図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面凸部が支持装置と接触)した。レンズ支持装置はアルミニウム合金製であり、レンズ収容凹部は内径が79〜81Φであった。また、レンズ載置部のテーパー面の傾斜は、平面に対して85°とした。このように保持された状態で上記レンズを、20℃〜115℃の条件下でアニールした。その他の条件は実施例3と同様に行った。得られたレンズは光学歪みも加熱処理による変形もなく優れたレンズ物性を示していた。
[参考例5(参考態様A)]
マグネッティックスターラーを備えたガラス製の容器に、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン142質量部を加え、攪拌しながら、0.01規定塩酸1.4質量部、水32質量部を滴下した。滴下終了後、24時間攪拌を行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物を得た。次に酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体ゾル(メタノール分散、全金属酸化物31.5質量%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)460質量部、エチルセロソルブ300質量部、さらに滑剤としてシリコーン系界面活性剤0.7質量部、硬化剤として、アルミニウムアセチルアセトネート8質量部を、上記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物中に加え、充分に攪拌した後、濾過を行ってコーティング液を作製した。アルカリ水溶液で処理したプラスチックレンズ(参考例1で得られたポリウレタン系レンズ)を充分に洗浄した後、上記コーティング液の中に浸漬させ、ディップ法(引き上げ速度14cm/分)によりコーティング液をレンズ凸面に塗布した。
浸漬終了後、プラスチックレンズを図1下図に示すレンズ支持装置に配置(レンズ下面と支持装置は非接触)し、130℃で2時間加熱して硬化膜(ハードコート膜)を形成した。前記ハードコート膜形成後のレンズには、硬化による加熱でレンズに若干の変形や歪みがみられたので、再び同様のレンズ支持装置に配置し、80℃〜120℃で2時間アニールした。得られたレンズは、変形、光学歪みがとれ優れたレンズ物性を示していた。
参考態様Aは、高度な光学特性が求められるプラスチックレンズ、特に眼鏡レンズの製造方法として好適である。
端面にテーパー面を有するプラスチックレンズのレンズ支持具への載置例を示す。 累進多焦点レンズのS度数(平均度数)分布図である。 累進多焦点レンズのC度数(円柱度数)分布図である。 図2のS度数分布に対応する鳥瞰図である。 図3のC度数分布に対応する鳥瞰図である。 累進屈折力プラスチックレンズの断面を表す図である。 累進屈折力プラスチックレンズの断面を表す図である。

Claims (15)

  1. プラスチックレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に硬化膜を有するプラスチックレンズの製造方法であって、
    プラスチックレンズ基材を、該基材のガラス転移温度以上の温度に加熱すること、
    前記加熱後のレンズ基材の対向する一対の面の少なくとも一方の面上に、光硬化性組成物を塗布すること、
    前記基材上に塗布された光硬化性組成物に対して光を照射し、前記組成物の少なくとも一部を硬化させ硬化膜を形成すること、および、
    前記硬化膜が形成されたプラスチックレンズを、前記基材のガラス転移温度未満であって、かつ前記硬化膜のガラス転移温度以上の温度で加熱処理すること、
    を含む、前記製造方法。
  2. 前記光硬化性組成物は、フォトクロミック色素および光硬化性成分を含むフォトクロミック液であり、前記硬化膜はフォトクロミック膜である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記光硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を更に含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記硬化膜の厚さは10〜60μmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記プラスチックレンズ基材の加熱および/または前記加熱処理を、対向する面の一方が下向きになるように配置されたプラスチックレンズ基材の端面を、支持具によって支持しながら行い、かつ前記プラスチックレンズ基材の端面は、前記下向きに配置された面に対して逆テーパー形状のテーパー面を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記テーパー面は、同一の頂点を共有する円錐側面の一部を形成する請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記支持は、前記下向きに配置された面と支持具とが非接触の状態で行われる請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記対向する一対の面は、一方が光学面であり他方が非光学面であって、
    前記下向きに配置された面は、上記光学面である請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記下向きに配置された面は、累進面または累進要素を有する非球面を含む請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記対向する一対の面は、一方が凸面であり他方が凹面であって、
    前記下向きに配置された面は、上記凸面である請求項5〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記対向する一対の面は、いずれも中心対称性のない面形状を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記支持具は、前記プラスチックレンズ端面と嵌合する面を内周に有するリング状部材であり、該面を前記プラスチックレンズ端面と嵌合することにより前記支持を行う請求項5〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記加熱処理において前記支持を行い、かつ該支持において前記硬化膜を有する面を下向きに配置する請求項5〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記光硬化性組成物はカップリング剤を含み、かつ前記光硬化性組成物の塗布前に、プラスチックレンズ基材の該組成物が塗布される面に、表面清浄処理、表面活性化処理、表面積増大処理および表面被膜塗布処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面処理を施す請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記表面処理は、アルカリ処理、研磨処理、オゾン暴露、コロナ放電、紫外線照射、プラズマ放電、プライマー層塗布および溶剤処理からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む請求項14に記載の製造方法。
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