JP5513720B2 - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線硬化性樹脂成分から形成される樹脂層を有するプラスチックレンズの製造方法に関する。より詳しくは、均一な膜厚の樹脂層を有するプラスチックレンズの製造方法に関する。
眼鏡レンズ等のレンズに各種機能を付与するため、レンズ上に塗布膜を形成することが行われている。塗布膜の形成方法としては、ディップ法およびスピンコート法が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開平5−19103号公報
上記スピンコート法では、レンズ表面上に塗布された塗布液には、遠心力により中心部から周縁部に向けて力が加わるため、レンズ表面上では図5に示すように周縁部に液溜まりが生じやすい。また、ディップ法でも、塗布液に浸漬したレンズを引き上げる際に周縁部の一部に液溜まりが生じる傾向がある。上記塗布液が紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂成分を含むものである場合、塗布後に紫外線照射を行うが、上記液溜まりが生じた状態で紫外線を照射すると、周縁部が厚い樹脂層が形成されてしまう。このように周縁部が厚い樹脂層を有するプラスチックレンズには、以下のような問題がある。
(1)膜厚の均一性に劣りレンズ品質が低下する。
(2)樹脂層の膜厚が不均一な周縁部を除去して製品レンズを製造することになるため、レンズ有効径が減少しコスト増につながる。
(3)樹脂層周縁部が厚いとレンズ外周部に同心円状の帯が目視で確認できる場合があり、外観不良の原因となる。
(4)上記樹脂層にブロックアロイを載せて研磨を行う場合、厚みが不均一であるため均一な研磨ができず研磨不良が起こる場合がある。
そこで本発明の目的は、紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を用いて、塗布面周縁部の液溜まりが低減ないしは解消された樹脂層を有するプラスチックレンズを製造するための手段を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、レンズ表面上に塗布された紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を紫外線照射により硬化させる際、少なくとも紫外線照射開始時にレンズを回転させることにより、周縁部の液溜まりを低減ないしは解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]プラスチックレンズの少なくとも一方の面へ紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を配置し、次いで該塗布液へ紫外線を照射することにより上記面上に樹脂層を形成することを含むプラスチックレンズの製造方法であって、
前記塗布液の配置を、前記面を上方に向けて回転するプラスチックレンズの上方で、前記塗布液を吐出するノズルを水平方向に移動させることにより、前記面の周縁部から中心部に向かって螺旋状の塗布軌跡を描くように、かつ前記面の半径方向において隣り合う塗布軌跡が接触または重なり合うように塗布することにより行い、遠心力により前記塗布液を拡散させ、
前記回転に引き続き前記塗布後のプラスチックレンズを前記面を上方に向けて回転させ、
前記プラスチックレンズが回転している状態で、前記紫外線照射を開始することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法
[2]前記塗布後、前記紫外線照射開始までの間にプラスチックレンズの回転を継続する[1]に記載の製造方法。
]前記紫外線照射開始時、塗布液を塗布した面における周縁部遠心力が重力より大きくなる回転数でプラスチックレンズを回転させる[1]または[2]に記載の製造方法。
]前記塗布液を塗布する面は凸面または凹面である[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法。
]前記プラスチックレンズの回転は、塗布液を塗布した面を鉛直上方に向けて行われる[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法。
]前記紫外線照射中、上記紫外線照射開始から所定期間回転を継続し、次いで回転を停止して紫外線照射を行う[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、レンズ上に膜厚の均一性に優れる樹脂層を形成することができ、これにより高品質なプラスチックレンズを提供することができる。
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、プラスチックレンズの少なくとも一方の面へ紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を塗布し、次いで該塗布液へ紫外線を照射することにより上記面上に樹脂層を形成することを含み、前記レンズが回転している状態で、前記紫外線照射を開始する。本発明のプラスチックレンズの製造方法の操作フローの一例を図6に示す。
従来、レンズ表面上に紫外線硬化型樹脂層を形成するためには、スピンコートにより紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を塗布した後、スピンコーターから紫外線照射装置へレンズを移し、紫外線照射装置内で紫外線照射を行い硬化反応を進行させていた。しかしこの方法では、前述のようにスピンコート中の液溜まりが解消されない状態で硬化反応が進行するため、周縁部が厚い樹脂層が形成されてしまう。
これに対し本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくとも紫外線照射開始時において、紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を塗布したレンズを回転させると、塗布工程で生じた液溜まりが低減ないしは解消され周縁部と中心部との膜厚差の少ない樹脂層が形成できることを新たに見出した。これにより、本発明によれば周縁部と中心部の膜厚の少ない樹脂層を形成することができる。なお、本発明において「樹脂層」とは、樹脂成分を含む層であり、例えば80質量%以上を樹脂成分が占める層をいうものとする。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
塗布液の塗布
プラスチックレンズへの塗布液の塗布は、ディップ法で行ってもよくスピンコート法で行ってもよい。本発明では、少なくとも紫外線照射開始時にレンズを回転させるため塗布工程に引き続きレンズを回転させ得るスピンコート法を用いることが生産性の点で好ましい。
上記塗布液は、プラスチックレンズの少なくとも一方の面に塗布すればよい。上記面は、凸面であっても凹面であってもよいが、凸面であれば液溜まり解消効果をより良好に得ることができる。
スピンコートは、塗布液を塗布した面(塗布面)を鉛直上方に向けたレンズをスピンコーターに配置して行うことができる。以下、レンズ塗布面を鉛直上方に向け塗布を行う態様について説明するが、回転軸が鉛直方向に対して傾斜した状態でレンズを回転させることも可能である。この点については後述する。
塗布液は、回転するレンズ表面中心部に滴下ないしは流下させてもよく、螺旋軌跡を描くようにレンズ表面上に塗布してもよい。図1に、螺旋状の塗布軌跡の概略図を示す。螺旋軌跡を描くように塗布する方法は、塗布液の粘度を問わず塗布の均一性を高めることができるため好ましく、一般に均一塗布が困難な比較的高粘度の塗布液の塗布方法として好適である。塗布液を吐出するノズルの位置および移動軌跡を、特開2005−218994号公報に記載のようにレンズの形状データに基づき決定してもよい、
螺旋状の塗布軌跡を描くためには、回転するレンズ上でノズルを水平方向に移動させればよい。螺旋状の塗布軌跡は、レンズ表面中心部から周縁部に向かって描いてもよく、周縁部から中心部(外側から内側)に向かって描いてもよい。レンズ表面上の外側から内側へ向かって塗布することにより、先に塗布され固化が進行しているレンズ表面周縁部の塗布液が壁の役割を果たし、その後の回転工程において遠心力により拡散する液が、周縁部外へ飛び散ることを防ぐことができる。これにより、紫外線照射前の回転においてレンズ表面上で液を平均的に拡散し、膜厚の均一化および表面平滑化を図ることができる。なお、レンズ表面周縁部とは、例えばレンズの外周端部から10mm程度内方へ至る領域内に含まれるが、特に限定されるものではない。また、レンズ表面中心部とは、例えばレンズの幾何学中心または光学中心もしくは該中心近傍である。
以下に、図面を参照し、塗布工程の具体的態様を説明する。但し、本発明は下記態様に限定されるものではない。
図2に、塗布工程に使用可能な塗布装置の一例を示す。図2に示す装置は、塗布液を供給するディスペンスシステムと、レンズを凸面を鉛直上方に向けて回転させるスピンコーターを含む。ディスペンスシステムは、ディスペンスコントローラー、シリンジ、およびノズルで構成されている。ディスペンスコントローラーは、吐出量によってノズル先端からの塗布液の流下速度を制御することができる。シリンジは、水平方向(X軸方向)およびZ軸方向(鉛直方向)に移動可能である。例えばX軸方向において、レンズの一定半径毎に変速移動が可能である。スピンコーターは、図示しない制御部により制御され、シリンジ水平方向の位置と同期し回転数を変えることができる。
前記塗布液を吐出するノズルを、回転するレンズ凸面上方で、塗布開始位置から終了位置に向かって、水平方向(図3中のX軸方向)に移動させることにより、レンズ凸面上に螺旋状の塗布軌跡を描くことができる。この螺旋状の塗布軌跡は、膜厚の均一性を高めるためには、レンズ半径方向において隣り合う塗布軌跡が接触または重なり合うように形成することが好ましい。図3に、そのような塗布軌跡の説明図を示す。上記隣り合う塗布軌跡が重なることは、図3に示すように「塗布ピッチP≦塗布線幅W」となることを意味する。このように隙間なく塗布が行われたことは、目視で容易に判定することができる。隣り合う塗布軌跡が重複する領域の広さは特に限定されるものではない。ただし、重複する領域が塗布線幅の大部分を占めるようになると塗布効率の点で好ましくないため、効率的な塗布を行うことができるように塗布条件を決定すべきである。
上記のように隣り合う塗布軌跡が接触または重なり合うように塗布軌跡を描くためには、塗布線幅を制御することが好ましい。塗布線幅は主にレンズの回転速度によって変化し、ノズル先端からの塗布液の流下速度が一定であるとすると、レンズ回転速度が速いほど塗布線幅は細く、遅くなるにしたがい太くなる。本発明者らの検討によれば、レンズ表面とノズル先端との距離を変えても塗布線幅はほぼ一定であった。従って、塗布時にはレンズ凸面上でノズルを水平方向(図2に示すX軸方向)で移動させればよく、鉛直方向(図2に示すY軸方向)の位置は制御せず、例えばノズルを鉛直方向では固定し実質的に移動させることなく塗布を行ってもよい。レンズの表面形状が変わればノズル先端との位置が変化するため、レンズ表面形状に応じてノズル移動位置を制御する塗布方法では、レンズ形状毎にノズルの移動位置を決定しなければならない。これに対し、ノズルの鉛直方向の位置を制御する必要がなければ、レンズ表面形状によらずノズルの移動位置を決定できるため、表面形状の異なる複数種のレンズを効率的に生産することができる。
先端から塗布液を吐出するノズルを、レンズ凸面周縁部から中心部に向かって移動させて塗布を行う際、塗布液の吐出速度、レンズ回転速度、およびノズルの移動速度がすべて一定である場合、流下位置が中心に近づくほどレンズの相対速度は遅くなるため、単位面積あたりに塗布される塗布液量は多くなる。本発明では、塗布工程後にレンズを回転させることにより塗布膜厚の均一化を図るため、中心部にいくほど多量の塗布液が塗布されたとしても、その後の回転工程により膜厚を均一にすることができる。しかし、多量の塗布液を塗布することはコスト面で好ましくない。そこで本発明では、前記塗布液のレンズ凸面上における単位面積あたりの塗布量が略平均化されるように、前記塗布液のノズル先端からの吐出量、前記ノズルの移動速度および前記レンズの回転速度からなる群から選ばれる少なくとも1つを制御することが好ましい。これにより、塗布液の使用量を適量とすることができる。更に、中心部は周縁部に比べて遠心力が小さいため、特に、粘度が高い塗布液では、周縁部に対して中心部の膜厚が大きくなりやすい。これに対し、上記のように塗布量を制御すれば、中心部が過度に厚くなることを防ぐことができる。この点は、均一な膜厚の樹脂層を形成する上できわめて有利である。
各塗布条件において塗布線幅を測定し、レンズ回転数、ノズル移動速度等の塗布条件を予めデータベース化しておくこともできる。このデータベースを使用することにより、レンズ形状によらず塗布条件を決定することができる。
レンズの回転が速くノズルとレンズとの相対速度(周速ともいう)が過度に大きくなると、ノズル先端から流下する塗布液がレンズ表面で弾かれてしまい塗布液をレンズ上に載せること(ディスペンス)自体が困難となる場合がある。よって、レンズの回転速度は、ディスペンス可能な限界周速を超えないように設定することが好ましい。ディスペンス可能な限界周速は、予備実験により実験的に求めることができる。通常、良好なディスペンスを行うためには、レンズとノズルとの相対速度(周速)を、400〜3000mm/secの範囲内とすることが好ましい。そしてレンズ回転数は、限界周速を超えないように決定すべきであり、例えば100〜1000rpm程度とすることができる。
塗布工程においてレンズ回転数によって塗布量の平均化を図る場合は、レンズの回転数を増加させればよい。レンズ回転数の増加は連続的に行ってもよく、段階的に行ってもよい。ノズルを所定半径毎に段階的に移動させるのであれば、ノズルの移動とともにレンズの回転数を変化させ、段階的にレンズ回転数を上げることが効果的である。
塗布工程においてノズルの移動速度によって塗布量の平均化を図るのであれば、ノズルの移動速度を増加させればよい。ノズル移動速度は、連続的に増加させてもよく、段階的に増加させてもよいが、確実な制御のためには、所定半径毎に段階的にノズル移動速度を増加させることが好ましい。ただし、ノズルの移動速度が過度に速いと、前述のようにノズルとレンズとの相対速度が過度に大きくなりディスペンス自体が困難となる。よって、ノズルの移動速度は限界周速を超えない範囲でレンズ回転速度を考慮して決定すべきであり、例えば1〜30mm/sec程度とすることができる。なお、前述のように、塗布液を吐出するノズルは、レンズ凸面周縁部上方から中心部上方に向かって移動させることが好ましい。
塗布工程におけるノズル先端からの塗布液の吐出速度が過度に小さいと、流下した塗布液が回転するレンズ表面に弾かれてしまい、安定なディスペンスが困難となる。安定なディスペンスを行うためには、ノズル先端からの塗布液の吐出速度を200mm/sec以上とすることが好ましい。一方、吐出速度が大きすぎると多量の塗布液が塗布されてしまうため適量塗布のためには吐出速度が過度に速いことは好ましくない。適量塗布のためには、吐出速度を5000mm/sec以下とすることが好ましく、4693mm/sec以下とすることが更に好ましい。吐出速度は、より好ましくは1000〜4000mm/sec、更に好ましくは2500〜3500mm/secの範囲である。ノズル先端からの塗布液の吐出速度は、吐出ノズルの内径および吐出量によって制御することができる。吐出ノズルの内径については、例えばノズル先端の内径がφ0.1〜1mm程度であることが好ましく、φ0.1〜0.8mm程度であることが更に好ましい。ノズル径が小さいほど塗布線幅は狭くなる傾向があるため、小径ノズルを使用する場合は隣り合う塗布軌跡が接するか重なるようにノズルの移動速度やレンズの回転数を速くすることが好ましい。吐出量を増やし吐出速度を上げることは経済性の観点からは望ましくないため、ノズル径を細くした上で、流速を確保できるように吐出量を決定することが好ましい。吐出量は、例えば0.05〜0.30g/sec程度とすることができる。吐出速度によって塗布量の平均化を図ることもできるが、精度の点では、前述のようにノズルの移動速度および/またはレンズ回転速度によって塗布量の平均化を図ることが好ましい。
次に、前記塗布工程における塗布条件の設定方法を具体的に説明する。ただし、本発明は下記態様に限定されるものではない。
(a)ディスペンス限界周速を決定する。
使用するノズルおよび塗布する塗布液を決定した後、それらを使用し実際に回転するレンズ凸面上に塗布を行い、ディスペンス限界周速を決定するための予備実験を行い、レンズ周速と塗布線幅との関係を示すグラフを作成する。作成したグラフにおいて塗布線幅が確認できる最大周速をディスペンス限界周速とする。
(b)ディスペンス可能な限界周速より、各半径(例えば5mmピッチ)での回転数を決定する。
本工程では、前述のように、レンズ凸面周縁部から中心部へ向かって塗布が進むほど回転数が大きくなるように、限界周速を考慮し、各半径での回転数を決定する。具体的には、下記式(1)に基づき各半径での回転数を決定することができる。実用上、100rpm単位で切り下げてもよい。
レンズ回転数X(rpm)=滴下限界周速V(mm/sec)×60(sec)/(2π×半径R(mm))
…(1)
例えば、滴下限界周速2000mm/secの場合、レンズ凸面中心から半径40mmの位置におけるレンズ回転数X40は、
レンズ回転数X40(rpm)=2000×60/(2π×40)=477.7(rpm)
と算出される。100rpm単位で切り下げると400rpmと決定される。
(c)各半径におけるレンズ回転数から周速を算出する。
上記(b)にて決定されたレンズ回転数から、下記式(2)により各半径におけるレンズ回転数を決定できる。
周速V(mm/sec)=レンズ回転数X(rpm)/60(sec)×(2π×半径R(mm))…(2)
例えば、レンズ凸面中心から半径40mmの位置におけるレンズ回転数X40(400rpm)から、該位置における周速V40(mm/sec)は、
周速V40(mm/sec)=400/60×(2π×40)≒1674.7(mm/sec)
となり、滴下限界周速2000mm/secを超えない値に設定される。
(d)周速から螺旋ピッチを決定する。
上記(c)で得られた周速から、上記(a)で得たグラフを使用し塗布線幅を求め、隣り合う螺旋状の塗布軌跡が接するか、または重なるように螺旋ピッチを決定する。ここでは上記(a)のグラフから求めた読取値に安全率を掛けてもよい。
(e)ノズル移動速度(水平方向)を決定する。
上記で求めた回転数、螺旋ピッチより各半径でのノズル移動速度(水平方向)を決定する。
以上説明した塗布工程は、生産性を考慮すると、塗布開始から塗布終了までの一連の操作を0.1〜3分程度で行うことが好ましく、0.3〜2.2分程度で行うことが更に好ましい。
更に本発明では、上記のように塗布液をレンズ凸面上に配置した後、凸面を鉛直上方に向けた状態でレンズを回転させることが好ましい。この回転により、レンズ凸面上における塗布量の均一化を図ることができるため塗布後に回転工程を行うことは膜厚制御に有効である。塗布のための回転を一旦停止した後、回転を再開してもよいが生産効率の点では塗布のための回転に引き続き上記回転を行うことが好ましい。
塗布後の回転の回転数は、塗布における回転数と同じまたはそれ以上とすることが好ましく、具体的には、100〜5000rpm程度が好適である。上記回転における回転数は、回転中、一定である必要はなく、段階的または連続的に変更してもよい。上記回転における回転時間は、例えば5〜180秒程度とすることができる。
紫外線照射
上記工程後、レンズ表面に塗布された塗布液へ紫外線を照射する。これにより塗布液に含まれる紫外線硬化性樹脂成分の硬化を進行させ樹脂層を形成することができる。本発明では、塗布液が塗布されたレンズが回転している状態で、紫外線照射を開始する。液溜まりは、スピンコートにおいて回転しているレンズ周縁からレンズ外へ飛ばされた余剰液が表面張力によりレンズ周縁部に戻ることによって生じると考えられる。これに対し、紫外線照射を開始する時点でレンズを回転させておけば、上記表面張力による余剰液の戻りが起こる前に塗布液表面が硬化するため表面張力により余剰液が周縁部上に戻ることができない。このことが、紫外線照射を開始する時点でレンズを回転させることにより、液溜まりを除去できる理由と考えられる。
レンズ回転中に紫外線照射を開始するためには、上部に開閉可能な開口(例えばシャッター)を有するUVランプ部を備え、開口を開けると内部に配置されたスピンコーター上にUV照射を行うことができる紫外線照射装置を使用することが好ましい。上記装置内は、硬化効率を上げるため、紫外線照射前に不活性雰囲気(例えば窒素雰囲気)に置換することが好ましい。
紫外線照射開始時のレンズの回転数は、紫外線照射開始前のレンズ回転数以下であってもよく、同等であってもよく、紫外線照射開始前のレンズ回転数を超える回転数でもよいが、液溜まりを効果的に除去するためには、紫外線照射開始前のレンズの最大回転数の1/3〜5倍の範囲の回転数であることが好ましい。更に、紫外線照射開始時の回転数は、回転によりレンズ塗布面周縁部にかかる遠心力が重力より大きくなるように設定することがより好ましい。この点については後述する。具体的には、100〜1500rpm程度の回転数とすることができる。更に、紫外線照射開始前後0.5秒以上、上記範囲の回転数を維持することが液溜まり除去の観点から好ましい。
塗布液をスピンコートにより塗布する場合、スピンコート後、紫外線照射開始までの間にレンズの回転を一旦停止させてもよく、スピンコート後、紫外線照射開始までの間にレンズの回転を継続してもよい。
本発明では、紫外線照射開始から終了までレンズ回転を継続してもよく、紫外線照射開始から所定期間回転を継続し、次いで回転を停止してもよい。いずれの場合も回転数は、紫外線照射開始時の回転数を維持してもよいが、紫外線照射開始時に最大回転数とし、その後回転数を下げてもよい。膜厚固定のためには、所定時間経過後、回転を停止することが好ましい。さらに、紫外線照射中に回転(以下、「第一回転工程」ともいう)を停止した後、再度回転(以下、「第二回転工程」ともいう)を行うことも好適である。この場合、第一回転工程の回転数が第二回転工程の回転数より大きくなることが好ましい。回転時間については、第一の回転時間に対して第2の回転時間を小さくすることが好適である。
照射する紫外線の波長は、塗布液に含まれる重合開始剤に応じて選択すればよいが、例えば波長200〜380nm程度である。紫外線の光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、無電極ランプ等の公知の光源を使用することができる。光源と塗布液塗布面との距離、照射エネルギー、照射時間は、塗布液の組成や塗布量を考慮して調整することが好ましい。具体的には、照射エネルギーは1〜100J/cm2とすることができ、1〜75J/cm2することが好ましい。例えば、光源と塗布面との距離は100〜300mm、照度は100〜250mW/cm2、照射時間は10〜400秒とすることができる。照射時間に関しては10〜300秒であるとさらに好適である。
プラスチックレンズ
次に、本発明において上記樹脂層を形成するプラスチックレンズについて説明する。
プラスチックレンズとしては、通常プラスチックレンズとして使用される種々の基材を用いることができる。前記レンズ基材としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。上記中、ウレタン系が好適であるが、これらに限定されるものではない。また、前記レンズ基材は、眼鏡用プラスチックレンズ基材であることが好ましい。
前記プラスチックレンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズのいずれであってもよい。レンズ直径は特に限定されるものではないが、過度に大きなレンズでは塗布工程に長時間を要するため、直径が50〜100mm程度のレンズを使用することが好ましい。遠心力により液溜まりを効果的に防止するうえでは凸面を有するレンズであることが好ましい。また、レンズ凸面上に塗布液を安定に保持するためには、レンズ凸面が、表面カーブが−8〜+8の曲面であることが好ましい。
塗布液
前記塗布液は、少なくとも紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液である。形成される塗布液は、例えば、レンズと機能性層との接着性を高める役割を果たす接着層やフォトクロミック色素を含有するフォトクロミック層であることができる。
前記塗布液に含まれる紫外線硬化性樹脂成分は、例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のラジカル重合性基を有する公知の光重合性モノマーやオリゴマー、それらのプレポリマーを用いることができる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイルは、アクリロイルとメタクリロイルの両方を示す。
膜形成後の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、または発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性を良好なものとするため、ラジカル重合性単量体としては、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すもの(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)と、同じく単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すもの(以下、低硬度モノマーと称す場合がある)を併用することがより好ましい。
Lスケールロックウェル硬度とは、JIS−B7726に従って測定される硬度を意味する。各モノマーの単独重合体についてこの測定を行うことにより、前記硬度条件を満足するかどうかを簡単に判断することができる。具体的には、モノマーを重合させて厚さ2mmの硬化体を得、これを25℃の室内で1日保持した後にロックウェル硬度計を用いて、Lスケールロックウェル硬度を測定することにより容易に確認することができる。
また、前記Lスケールロックウェル硬度の測定に供する重合体は、仕込んだ単量体の有す重合性基の90%以上が重合する条件で注型重合して得たものである。このような条件で重合された硬化体のLスケールロックウェル硬度は、ほぼ一定の値として測定される。
前記高硬度モノマーは、硬化後の硬化体の耐溶剤性、硬度、耐熱性等を向上させる効果を有する。これらの効果をより効果的なものとするためには、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が65〜130を示すラジカル重合性単量体が好ましい。
このような高硬度モノマーは、通常2〜15個、好ましくは2〜6個のラジカル重合性基を有する化合物であり、好ましい具体例としては、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R15は3〜6価の有機基であり、fは0〜3の範囲の整数、f’はO〜3の範囲の整数、gは3〜6の範囲の整数である。)
(式中、R16は水素原子またはメチル基であり、Bは3価の有機基であり、Dは2価の有機基であり、hは1〜10の範囲の整数である。)
(式中、R17は水素原子またはメチル基であり、R18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Eは環状の基を含む2価の有機基であり、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数である。)
(式中、R19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。)
(式中、R20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは1〜6の範囲の整数である。)
前記一般式(1)〜(4)における、R13〜R19は、いずれも水素原子またはメチル基であるため、一般式(1)〜(4)で示される化合物は2〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
前記一般式(1)におけるR14は水素原子、メチル基またはエチル基である。
一般式(1)におけるR15は3〜6価の有機基である。この有機基は特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素一炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すためには、R15は、好ましくは炭素数1〜30の有機基であり、より好ましくはエーテル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜15の有機基である。
また、fおよびf’は、それぞれ独立に0〜3の範囲の整数である。また、Lスケールロックウェル硬度を60以上とするためには、fおよびf’の合計が0〜3であることが好ましい。
前記一般式(1)で示される高硬度モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレト、トリメチロールブロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
前記一般式(2)におけるBは3価の有機基であり、Dは2価の有機基である。このBおよびDは特に限定されるものではなく、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上であるためには、Bは炭素数3〜10の直鎖または分枝状の炭化水素から誘導される有機基であると好ましく、Dは炭素数1〜10の直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素から誘導される有機基である。
また単独重合体のLスケールロックウェル硬度を60以上とするために、hは1〜10の範囲の整数であり、好ましくは1〜6の範囲の整数である。
前記一般式(2)で示される高硬度モノマーの具体的としては、分子量2,500〜3,500の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB80等)、分子量6,000〜8,000の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB450等)、分子量45,000〜55,000の6官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB1830等)、分子量10,000の4官能ポリエステルオリゴマー(第一工業製薬社、GX8488B等)等が挙げられる。
前記一般式(3)におけるR18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基である。また式(3)におけるEは環状の基を含む2価の有機基である。この有機基は環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。Eに含まれる環状の基としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環または以下に示す環状の基等が挙げられる。
Eに含まれる環状の基はベンゼン環であることが好ましく、さらにEは下記式:
(Gは、酸素原子、硫黄原子、−S(O2)−、−C(O)−、−CH2−、−CH=CH−、−C(CH32−および−C(CH3)(C65)−から選ばれるいずれかの基であり、R21およびR22は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、lおよびl’は、それぞれ独立に0〜4の範囲の整数である。)で示される基であるとより好ましく、最も好ましいEは下記式:
で示される基である。
前記一般式(3)中、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数である。なお、式(3)で示される化合物は、iおよびjの双方が0である場合を除き、通常iおよびjの異なる複数の化合物の混合物として得られる。それらの単離は困難であるため、iおよびjはi+jの平均値で示される。i+jの平均値は2〜6であることがより好ましい。
一般式(3)で示される高硬度モノマーの具体的としては、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記一般式(4)におけるR19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。この主鎖炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ノニリレン基等が例示される。
一般式(4)で示される高硬度モノマーの具体的としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
前記一般式(5)におけるR20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは2〜6の範囲の整数であり、好ましくはkは3または4である。
一般式(5)で示される高硬度モノマーの具体的としては、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
なお、前記一般式(1)〜(5)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60未満のものがあるが、その場合には、これらの化合物は後述する低硬度モノマーまたは中硬度モノマーに分類される。
また、前記一般式(1)〜(5)で示されない高硬度モノマーもあり、その代表的化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
また、前記低硬度モノマーは、硬化体を強靭なものとし、またフォトクロミック化合物の退色速度を向上させる効果を有する。
このような低硬度モノマーとしては、下記一般式(6):
(式中、R23は水素原子またはメチル基であり、R24およびR25は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、mはR23が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R23がメチル基の場合は7〜70の整数でありそしてm’は0〜70の範囲の整数である。)
または下記一般式(7):
(式中、R26は水素原子またはメチル基であり、R27およびR28は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Iは環状の基を含む2価の有機基であり、i’およびj’は、i’+j’の平均値が8〜40となる整数である。)
で示される2官能モノマーや、下記一般式(8):
(式中、R29は水素原子またはメチル基であり、R30およびR31は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、R32は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基もしくはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、または炭素数2〜25の(メタ)アクリロイル基以外のアシル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、m’’はR29が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R29がメチル基の場合は4〜70の整数であり、m’’’は0〜70の範囲の整数である。)
または下記一般式(9):
(式中、R33は水素原子またはメチル基であり、R34はR33が水素原子の場合には炭素数1〜20のアルキル基であり、R33がメチル基の場合には炭素数8〜40のアルキル基である。)
で示される単官能のモノマーが例示される。
前記一般式(6)〜(9)において、R23、R26、R29およびR33は水素原子またはメチル基である。すなわち、低硬度モノマーは重合性基として、通常2個以下の(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基を有する。
前記一般式(6)におけるR24およびR25は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子である。
一般式(6)においては、R23が水素原子の場合、すなわち重合性基としてアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を有する場合には、mは1〜70の整数であり、一方、R23がメチル基である場合、すなわち重合性基としてメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を有する場合には、mは7〜70の整数である。また、m’は0〜70の範囲の整数である。
一般式(6)で示される低硬度モノマーの具体的としては、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アタリレート類が挙げられる。
前記一般式(7)におけるR26は水素原子、メチル基またはエチル基である。
また、Iは環状の基を含む2価の有機基である。このIとしては前記式(9)に含まれる環状の基であるEとして例示されたものと同様である。式(7)におけるi’およびj’は、i’+j’の平均値が8〜40となる整数、好ましくは9〜30となる整数である。このi’およびj’も前記した式(3)におけるiおよびjと同様の理由で通常は平均値で示される。
一般式(7)で示される低硬度モノマーの具体的としては、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン等を挙げることができる。
前記一般式(8)におけるR29は水素原子またはメチル基であり、R30およびR31は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基である。R32は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基もしくはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、または炭素数2〜25のアクリロイル基以外のアシル基である。
炭素数1〜25のアルキル基またはアルケニル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ノニル基等が挙げられる。また、これらアルキル基またはアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、さらには、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アリール基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
炭素数1〜25のアルコキシアルキル基としては、メトキシブチル基、エトキシブチル基、ブトキシブチル基、メトキシノニル基等が挙げられる。
炭素数6〜25のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、アントラニル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基以外のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、オレイル基等が挙げられる。
一般式(8)におけるm’’は、R29が水素原子の場合、すなわちアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を重合性基として有する場合には1〜70の範囲の整数であり、R29がメチル基の場合、すなわちメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を重合性基として有する場合にはm’’は4〜70の整数であり、またm’’’は0〜70の範囲の整数である。
一般式(8)で示される低硬度モノマーの具体的としては、平均分子量526のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量360のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量475のメチルエテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量375のポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量430のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子量622のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子星620のメチルエーテルポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量566のポリテトラメチレングリコールメタアクリレート、平均分子量2,034のオクチルフェニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量610のノニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量640のメチルエーテルポリエチレンチオグリコールメタクリレート、平均分子量498のパーフルオロヘブチルエチレングリコールメタクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アタリレート等が挙げられる。一般式(8)で示される低硬度モノマーの平均分子量の好ましい範囲は200〜2500、より好ましくは300〜700である。なお、本発明における平均分子量は、質量平均分子量である。
前記一般式(9)におけるR33は水素原子またはメチル基であり、R33が水素原子の場合には、R34は炭素数1〜20のアルキル基であり、R33がメチル基の場合には、R34は炭素数8〜40のアルキル基である。これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
一般式(9)で示される低硬度モノマーの具体的としては、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアタリレート、ブチルアタリレート、ラウリルアクリレート等を挙げることができる。
これら式(6)〜(9)で表される低硬度モノマーの中でも、平均分子量475のメチルエテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートが特に好ましい。
前記式(6)〜(9)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以上を示すものがあるが、その場合には、これらの化合物は前述した高硬度モノマーまたは後述する中硬度モノマーに分類される。
前記高硬度モノマーでも低硬度モノマーでもないモノマー、すなわち、単独硬化体のLスケールロックウェル硬度が40を超え60未満を示すモノマー(中硬度モノマーと称す場合がある)として、例えば、平均分子量650のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、平均分子量1,400のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド等の2官能(メタ)アタリレート;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、アリルジグリコールカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸ビフェニル等のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピロリドン等のビニル化合物;オレイルメタクリレート、ネロールメタクリレート、ゲラニオールメタクリレート、リナロールメタクリレート、ファルネソールメタクリレート等の分子中に不飽和結合を有する炭化水素鎖の炭素数が6〜25の(メタ)アタリレートなどのラジカル重合性単官能単量体等が挙げられる。
これらの中硬度モノマーを使用することも可能であり、前記高硬度モノマー、低硬度モノマーおよび中硬度モノマーは適宜混合して使用できる。硬化性組成物の硬化体の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性のバランスを良好なものとするため、前記ラジカル重合性単量体中、低硬度モノマーは5〜70質量%、高硬度モノマーは5〜95質量%であることが好ましい。さらに、配合される高硬度モノマーとして、ラジカル重合性基を3つ以上有する単量体が、その他のラジカル重合性単量体中少なくとも5質量%以上配合されていることが特に好ましい。
前記塗布液は、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドが好ましい。
これら光重合開始剤は、複数の種類のものを適宜混合して使用することができる。光重合開始剤の塗布液全量に対する配合量としては、前記重合性成分100質量部(ラジカル重合性単量体等)に対して、通常0.001〜5質量部であり、0.1〜1質量部であることが好ましい。
前記塗布液は、レンズ表面との密着性を向上するために、また接着層として使用される場合はレンズと樹脂層との接着性を高めるために、カップリング剤を含むことが好ましい。
前記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の各種カップリング剤を使用することができるが、反応性等の観点からシランカップリング剤を使用することが好ましい。
密着性向上の点で好ましいシランカップリング剤としては、
一般式(I)
1 m Si X1 (4-m) (I)
(式中、R1 は有機基を表し、X1 は−OR2 を表し、R2 はアルキル基を表し、mは1または2の整数である。)
で表される1種又は2種以上のシラン化合物を挙げることができる。
一般式(I) で表されるシラン化合物は、シラン原子に一つまたは二つの有機基が置換し、残りの結合手はすべて、アルコキシ基が置換したものである。有機基R1 の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、メルカプトプロピル基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。X1 で表されるアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。R2 の炭素数は脱離するアルコールの分子量が比較的小さく、除去が容易であり形成される膜の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1〜4の範囲であることが好ましい。
一般式(I)で表されるシランカップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジベンジルトリメトキシシラン、ジベンジルトリエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N'−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N'−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−{(3−トリメトキシシリル)プロピル}エチレンジアミン三酢酸ソーダ塩、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン等が挙げられる。
前記塗布液に含まれるカップリング剤は1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。密着性を効果的に向上するためには、塗布液へのカップリング剤添加濃度は0.1〜49質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることが更に好ましい。
形成される樹脂層がフォトクロミック層である場合、前記塗布液はフォトクロミック色素を含む。塗布液に添加し得るフォトクロミック色素としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物が挙げられ、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を特に制限なく使用することができる。
前記フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物およびクロメン化合物としては、例えば、特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号明細書、WO96/14596号明細書(それらの全記載は、ここに特に開示として援用される)などに記載されている化合物が好適に使用できる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として、例えば、特開2001−114775号公報、特開2001−031670号公報、特開2001−011067号公報、特開2001−011066号公報、特開2000−347346号公報、特開2000−34476号公報、特開2000−3044761号公報、特開2000−327676号公報、特開2000−327675号公報、特開2000−256347号公報、特開2000−229976号公報、特開2000−229975号公報、特開2000−229974号公報、特開2000−229973号公報、特開2000−229972号公報、特開2000−219687号公報、特開2000−219686号公報、特開2000−219685号公報、特開平11−322739号公報、特開平11−286484号公報、特開平11−279171号公報、特開平10−298176号公報、特開平09−218301号公報、特開平09−124645号公報、特開平08−295690号公報、特開平08−176139号公報、特開平08−157467号公報等に開示された化合物も好適に使用することができる。上記公報の全記載は、ここに特に開示として援用される。
これらフォトクロミック化合物の中でも、クロメン系フォトクロミック化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック化合物に比べ高く、さらにフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のフォトクロミック化合物に比べて特に大きいため特に好適に使用することができる。さらに、これらクロメン系フォトクロミック化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、フォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のクロメン系フォトクロミック化合物に比べて特に大きいため好適に使用することができる。
さらに、その発色濃度、退色速度、耐久性等の各種フォトクロミック特性が特に良好なクロメン化合物としては、下記一般式(12)で表されるものが好ましい。
[式中、下記一般式(13):
で示される基は、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の不飽和複素環基であり、R43、R44およびR45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、アラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とピラン環もしくは前記式(13)で示される基の環とが結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素原基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基であり、oは0〜6の範囲の整数であり、
41およびR42は、それぞれ独立に、下記一般式(14)、
(式中、R46は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、R47は、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子であり、pは1〜3の範囲の整数である。)で示される基、下記一般式(15):
(式中、R48は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、p’は1〜3の整数である。)で示される基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、またはアルキル基であるか、あるいはR41とR42とが一緒になって、脂肪族炭化水素環もしくは芳香族炭化水素環を構成していてもよい。]
なお、前記一般式(14)、(15)、前記R41およびR42にて説明した置換アリール基および置換ヘテロアリール基における置換基としては、前記R43〜R44と同様の基が挙げられる。
前記一般式(12)で示されるクロメン化合物のなかでも、発色濃度、退色速度等のフォトクロミック特性および耐久性の点から、下記一般式(16)〜(21)で示される化合物が特に好適である。
(式中、R49およびR50は、それぞれ前記一般式(12)のR41およびR42と同様であり、R51およびR52は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、qおよびq’は、それぞれ1または2である。)
{式中のR53およびR54は、それぞれ前記一般式(12)のR41およびR42と同様であり、R55およびR56は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、Lは下記式:
(上記式中、Pは、酸素原子または硫黄原子であり、R57は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、s、s’およびs’’は、いずれも1〜4の整数である。)で示されるいずれかの基であり、rおよびr’は、それぞれ独立に1または2である。}
(式中、R58およびR59は、それぞれ前記式(12)のR41およびR42と同様であり、R60、R61およびR62は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、vは1または2である。)
(式中、R63およびR64は、それぞれ前記式(12)のR41およびR42と同様であり、R65およびR66は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、wおよびw’は、それぞれ独立に1または2である。)
(式中、R67およびR68は、それぞれ前記式(12)のR41およびR42と同様であり、R69、R70、R71およびR72は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、xおよびx’は、それぞれ独立に1または2である。)
(式中、R73およびR74は、それぞれ前記式(12)のR41およびR42と同様であり、R75、R76およびR77は、それぞれ前記式(12)のR45と同様であり、
は、少なくとも1つの置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であり、y、y’およびy’’は、それぞれ独立に1または2である。]
上記一般式(16)〜(21)で示されるクロメン化合物の中でも、下記構造のクロメン化合物が特に好ましい。
これらフォトクロミック化合物は適切な発色色調を発現させるため、複数の種類のものを適宜混合して使用することができる。
前記塗布液中のフォトクロミック色素の濃度は、前記重合性成分100質量部(ラジカル重合性単量体等)に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることが更に好ましい。
前記液には、例えばフォトクロミック色素の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。
前記界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、重合性単量体への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン系界面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル等である。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用してもよい。界面活性剤の添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用してもよい。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用してもよい。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲が好ましい。
高分子素材については、酸素存在下において、以下のメカニズムにより紫外線、熱等のエネルギーがきっかけとなり酸化劣化するという問題があることが知られている。まず高分子化合物がUV照射などの高エネルギーに暴露されると、高分子中にラジカルが発生する。するとそれが起点となって、新たなラジカルや過酸化物が発生する。一般に過酸化物は不安定なため、熱や光で容易に分解し、さらに新たなラジカルを作り出す。このように、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化が起きるため高分子素材が劣化し機能低下をもたらされる。 このようなメカニズムによって生じる酸化を防止するためには、(1)発生したラジカルを無効化する方法、(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする方法、が考えられる。そこで、高分子素材用の酸化防止剤としては、上記方法(1)により酸化を防止するためにラジカル補足能を有するもの(ラジカル補足剤)を用いることが考えられ、上記方法(2)により酸化を防止するために過酸化物分解能を有するもの(過酸化物分解剤)を用いることが考えられる。本発明では酸化防止剤としてラジカル補足能を有する、過酸化物分解能を有するもののいずれを用いてもよいが、ラジカル補足能を有する化合物を酸化防止剤として用いることが好ましい。フォトクロミック化合物は太陽光からの紫外線を吸収し、分子構造が変化することで着色し、熱や可視光線を吸収することで元の状態に戻る。この変化の経路において酸素存在下では酸素へのエネルギー移動を生じ、酸化力の強い酸素ラジカルが発生する。そこで、ラジカル補足能を有する化合物によってこの酸素ラジカルを補足することで、フォトクロミック膜における酸化を有効に防止することができる。
以上の観点から好ましい添加剤としては、ヒンダートアミン化合物およびヒンダートフェノール化合物が挙げられる。上記化合物はラジカル補足能を発揮し得るため、得られたフォトクロミック膜の酸化を防止し耐久性を向上することができる。更に、前記化合物の添加により、硬化させる際のフォトクロミック色素の劣化を防止することもできる。ヒンダードアミン化合物およびヒンダートフェノール化合物としては、公知の化合物を何ら制限なく用いることができる。ヒンダートアミン化合物の中でも、塗布用に用いる場合、特に、フォトクロミック色素の劣化防止効果を発現する化合物としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、旭電化工業(株)製アデカスタブLA−52、LA−62、LA−77、LA−82等を挙げることができる。また、好ましいヒンダートフェノール化合物としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン酸(BHT)が挙げられる。その添加量は、前記重合性成分100質量部に対し、例えば0.001〜20質量部の範囲であり、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、より好適には、1〜5質量部の範囲である。
なお、前述のラジカル補足能を有する化合物等の各種添加剤は、フォトクロミック液に添加することができるが、フォトクロミック膜形成後に含浸処理等によって添加することも可能である。この場合、ラジカル補足能を有する化合物については、物体側表面から含浸させることが好ましい。
また、フォトクロミック液においては、成膜時の均一性を向上させるために、界面活性剤、レベリング剤等を含有させることが好ましく、特にレベリング性を有するシリコーン系・フッ素系レベリング剤を添加することが好ましい。その添加量としては、特に限定されないが、フォトクロミック液全量に対し、通常0.01〜1.0質量%であり、0.05〜0.5質量%の範囲が好ましい。
本発明において、塗布液の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより行うことができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加してもよいし、モノマー成分のみを予め混合し、重合させる直前にフォトクロミック色素や他の添加剤を添加・混合してもよい。
前記塗布液は、特に限定されないが25℃での粘度が20〜500cpsであることが好ましく、50〜300cpsであることがより好ましく、60〜200cpsであることが特に好ましい。この粘度範囲とすることにより、塗布液の塗布が容易となり、所望の厚さの樹脂層を容易に得ることができる。形成される樹脂層の厚さは特に限定されるものではないが、前述の液溜まりは塗布層が厚くなるほど顕著に発生する。したがって本発明は、比較的厚い樹脂層、例えば6〜60μm程度の厚さの樹脂層を有するプラスチックレンズの製造方法として好適である。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
参考例1]
1.フォトクロミック液の調製
プラスチック製容器にトリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性単量体100質量部に、フォトクロミック色素として下記クロメン1を3質量部、酸化防止剤としてLS765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を0.4質量部、CGI403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド)を0.1質量部添加した。その液に、密着剤として、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)4.8質量部、ラジカル重合性官能基を有する有機ケイ素化合物としてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.6質量部を攪拌しながら滴下した。十分に攪拌した後、N−メチルジエタノールアミン1.4質量部を秤量滴下し、さらに十分に攪拌混合を行った。その後、シリコーン系レベリング剤(ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー)を0.1質量部添加混合した後、自転公転方式攪拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック液を得た。得られた液の粘度は200mpa/sであった。
2.フォトクロミックレンズの形成
プラスチックレンズ基材としてHOYA(株)製 商品名EYAS(中心肉厚2.0mm厚、外径80φ)レンズを使用した。このレンズ基材を60℃、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液にて5分間浸漬処理して十分に純水洗浄、乾燥を行った後、上記1.で調製したフォトクロミック液を用いて、スピンコート法で基材凸面側にコーティングを行った。
シャッター付きUVランプ部を備えたチャンバー内にスピンコーターを配置した装置を使用した。スピンコーター上に、レンズ凸面が鉛直上方になるようにレンズを配置し、図4に示す回転プログラムでレンズを回転させながら塗布液の塗布および紫外線照射を行った。プログラム開始80秒後にチャンバー内を窒素置換し、100秒後シャッターを開ける前後で再度回転を始め、紫外線照射を開始した。
照射時間は165秒で行った。目視で観察したところ、液だまり幅は1.0mm(有効径78φ)で硬化膜の膜厚を測定すると30ミクロンであった。この結果、後述する比較例1に対して光学面としての面積比は11.1%増加した。
参考比較例1]
UV照射を回転が完了した後に行う以外は参考例1と同様の方法で処理を行った結果、液だまりの幅は4mm(有効径72φ)と実施例1に比べて大きくなった。
なお参考例1では塗布面が鉛直方向に向いた状態でレンズを回転させたが、回転軸を鉛直方向に対して傾斜させることも好適である。例えば傾斜の角度は鉛直方向に対して0.5〜90°程度とすることができる。この場合、回転により生ずる遠心力が塗布面にかかる重力の接線方向成分よりも大きくなるように回転数を選択することが好ましい。
遠心力は質量mの粒子を、回転半径r・回転角速度ωで回転すると、遠心加速度rω2が発生し、その粒子には遠心力fが働く。
この遠心力は次の式で表すことができる。
f=mrω2 ………………(1)
m :粒子の質量(g)
r :回転半径(cm)
ω :回転角速度(rad/s)
一般に遠心加速度の単位として、地球の重力加速度との比で表した「相対遠心加速度」(RCF:Rerative Centrifugal Force)が使用される。相対遠心加速度は、通常”G”または”×g”等を付けて表記される。例えば参考例1での遠心力は、回転数と塗布面の回転軸からの距離(塗布面の外径)によって定まり、回転半径(塗布面の外径/2)0.4m、回転数600rpmのとき、遠心力は160.992Gとなり重力の160倍程度の大きさとなる。このように、レンズ塗布面周縁部における遠心力が重力より大きくなるように回転させた状態で紫外線照射を開始することにより、液溜まりを効果的に低減することができる。前記遠心力は、重力の10〜200倍程度であることが液溜まり低減に有効である。
本発明により高品質なプラスチックレンズを製造することができる。上記プラスチックレンズは、高い光学特性が求められる眼鏡レンズとして好適である。
螺旋状の塗布軌跡の概略図である。 塗布工程に使用可能な塗布装置の一例を示す。 図1に示す塗布軌跡の一部拡大模式図である。 参考例1で使用した回転プログラムを示す。 液溜まりの概略図である。 本発明の製造方法の操作フローの一例を示す。

Claims (6)

  1. プラスチックレンズの少なくとも一方の面へ紫外線硬化性樹脂成分を含む塗布液を配置し、次いで該塗布液へ紫外線を照射することにより上記面上に樹脂層を形成することを含むプラスチックレンズの製造方法であって、
    前記塗布液の配置を、前記面を上方に向けて回転するプラスチックレンズの上方で、前記塗布液を吐出するノズルを水平方向に移動させることにより、前記面の周縁部から中心部に向かって螺旋状の塗布軌跡を描くように、かつ前記面の半径方向において隣り合う塗布軌跡が接触または重なり合うように塗布することにより行い、遠心力により前記塗布液を拡散させ、
    前記回転に引き続き前記塗布後のプラスチックレンズを前記面を上方に向けて回転させ、
    前記プラスチックレンズが回転している状態で、前記紫外線照射を開始することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法
  2. 前記塗布後、前記紫外線照射開始までの間にプラスチックレンズの回転を継続する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記紫外線照射開始時、塗布液を塗布した面における周縁部遠心力が重力より大きくなる回転数でプラスチックレンズを回転させる請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記塗布液を塗布する面は凸面または凹面である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記プラスチックレンズの回転は、塗布液を塗布した面を鉛直上方に向けて行われる請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記紫外線照射中、上記紫外線照射開始から所定期間回転を継続し、次いで回転を停止して紫外線照射を行う請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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