JP2008096702A - 光学物品および光学物品の製造方法 - Google Patents

光学物品および光学物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ素系化合物を用いた撥水膜(防汚層)を備えながら十分な耐久性を有する光学物品の製造方法およびこの製造方法により製造された光学物品を提供すること。
【解決手段】基板上に、有機系反射防止層と、防汚層とを有する光学物品の製造方法であって、有機ケイ素化合物と中空シリカ系微粒子との質量比を、有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=70/30〜40/60とする有機系反射防止層形成用組成物を前記基板上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に、前記基板を80〜100℃で焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に、前記有機系反射防止層の上に防汚層形成用組成物を塗布する防汚層形成工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に眼鏡やカメラ等のプラスチックレンズとして使用される光学物品および光学物品の製造方法に関する。
近年では、眼鏡レンズなどの光学物品の表面には、ゴーストおよびちらつきを防止するための反射防止層や、撥水効果を付与するための防汚層が形成されている。
これら光学物品の一般的な構成は、基材表面に、ハードコート層単独、またはプライマー層を介したハードコート層が積層され、この上に反射防止層、そして反射防止層の上に防汚層が形成される。
特許文献1には、有機系反射防止層の表面にフッ素系撥水膜(防汚層)を形成する光学物品が記載され、有機系反射防止層の反射防止機能と優れた外観とを得るために、膜厚ムラをなくす技術が示されている。
特開2005−43572号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているようなフッ素系撥水膜(防汚層)は、濡れ性が小さく、下層の有機系反射防止層との相溶性が悪い。このようなフッ素系撥水膜(防汚層)と有機系反射防止層を備えた眼鏡レンズなどの光学物品は、使用状況によっては撥水膜の剥がれを起こしやすかった。一方、フッ素系化合物以外の物質を用いた撥水膜では、十分な撥水性を発揮することが困難である。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フッ素系化合物を用いた撥水膜(防汚層)を備えながら十分な耐久性を有する光学物品の製造方法およびこの製造方法により製造された光学物品を提供することを目的とする。
前記の課題を解決すべく、本発明の光学物品の製造方法は、基板上に、有機系反射防止層と、防汚層とを有する光学物品の製造方法であって、有機ケイ素化合物と中空シリカ系微粒子との質量比を、有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=70/30〜40/60とする有機系反射防止層形成用組成物を前記基板上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に、前記基板を焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に、前記有機系反射防止層の表面に防汚層形成用組成物を塗布する防汚層形成工程とを備えることを特徴とする。
ここで、有機ケイ素化合物とは、加水分解によりシリカゾルを形成し、焼成により強固なバインダー樹脂層を形成しうる化合物である。また、中空シリカ系微粒子とは、内部空洞を有するシリカ系微粒子であって前記したバインダー樹脂中に均一に分散され、バインダー樹脂層(有機系反射防止層)の屈折率を下げることで反射防止効果を向上させている。
本発明によれば、有機系反射防止層形成用組成物における有機ケイ素化合物と中空シリカ系微粒子との質量比が所定の範囲内にあるため、有機系反射防止層中に中空部分の割合が多くなり、塗布された防汚層形成用組成物が有機系反射防止層の内部に十分に浸透することができるようになる。それ故、最終的に有機系反射防止層と防汚層との密着がよくなり、製造された光学物品を厳しい使用環境下に置いても防汚層が剥がれにくくなる。
本発明では、前記焼成工程における焼成温度が80〜100℃であることが好ましい。
この発明によれば、焼成温度が所定の範囲内であるので有機系反射防止層の十分な焼成が可能であるとともに、焼成温度が高すぎないため硬化反応が進みすぎることもなく有機系反射防止層の架橋密度を適当な範囲に制御できる。それ故、次工程において防汚層形成用組成物が十分に浸透でき、最終的に有機系反射防止層と防汚層との密着性により優れるようになる。
また、焼成時間は1〜2.5時間であることが好ましい。焼成時間がこの範囲であると硬化反応を行うのに十分な時間であるとともに、硬化反応が進みすぎることもなく有機系反射防止層の架橋密度を適当な範囲に制御できる。それ故、次工程において防汚層形成用組成物が十分に浸透でき、最終的に有機系反射防止層と防汚層との密着性により優れるようになる。
なお、焼成工程は、仮焼成工程と本焼成工程の2段階にわかれていてもよい。
本発明では、前記有機ケイ素化合物が下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
SiX 3−n (1)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは0または1である。)
この発明によれば、有機ケイ素化合物として特定の有機シラン化合物を用いているため、有機系反射防止層形成用組成物から形成された透明で強固な膜の中に、内部空洞を有するシリカ系微粒子が均一に分散し、低屈折率でより強固な有機系反射防止層とすることができる。
本発明の光学物品は、上述した何れかの光学物品の製造方法により、製造されたことを特徴とする。
この発明によれば、上述した何れかの光学物品の製造方法により製造されているため、有機系反射防止層と防汚層との密着性がよく、耐久性に優れたものとなっている。また、本発明の光学物品は、眼鏡レンズをはじめ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズなど各種の薄型プラスチックレンズとして幅広く適用することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の光学物品は、眼鏡用のプラスチックレンズであって、プラスチックレンズ基板(以下、単に「レンズ基板」ともいう)と、レンズ基板表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の上面に形成された有機系反射防止層と、この有機系反射防止層の上面に形成された防汚層とを有する。以下、レンズ基板、プライマー層、ハードコート層、有機層および防汚層について説明する。
(1.レンズ基板)
レンズ基板の材質は、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとして、スチレン樹脂、カーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)などのアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。これらの樹脂のうち、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合
物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂が高屈折率のレンズ基材用として好ましい。イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂を用いたレンズ基板の具体例として、例えばセイコースーパーソブリン(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.67)や、セイコースーパールーシャス(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.60)を例示することができる。また分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂を用いた例として、例えばセイコープレステージ(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.74)を例示することができる。
(2.プライマー層)
プライマー層は、レンズ基板の最表面に形成され、レンズ基板と後述するハードコート層双方の界面に存在して、レンズ基板とハードコート層双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。
このようなプライマー層としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子(単独酸化物あるいは複合酸化物)とを含む組成物を用いて形成されることが好ましい。
有機樹脂ポリマーは、レンズ基板とハードコート層の双方に密着性を発現する。金属酸化物微粒子は、フィラーとしてプライマー層の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性や耐光性の向上を図ることができる。上記有機樹脂ポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。この内、硫黄原子を含むレンズ基板に対する密着性とフィラーとなる金属酸化物微粒子の分散性の点から、ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
一方、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子としては、光活性のないルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることが耐光性の観点から好ましい。この金属酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmを用いる。
プライマー層形成用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基板とプライマー被膜の密着性の向上を目的として、レンズ基板の表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理を行うことが効果的である。また、コーティング液の塗布/硬化方法としては、ディッピング法(浸漬法)、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法等によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱/乾燥することにより、プライマー層を形成できる。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生する場合がある。なお、プライマー層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基板の屈折率に合わせることが好ましい。
(3.ハードコート層)
ハードコート層は、レンズ基板表面に形成されたプライマー層上に形成される。ハードコート層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子(単独酸化物あるいは複合酸化物)と、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物とを含む組成物を用いて形成されることが好ましい。
SiX 3−n (1)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは0または1である。)
酸化チタンとしては、プライマー層と同様に、光活性のないルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることが耐光性の観点より好ましい。
式(1)で示される有機ケイ素化合物は、いわゆるシランカップリング剤であり、ハードコート層のバインダー樹脂としての役割を果たす。式(1)中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。Rはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、Xは、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等があげられる。これらの有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。
そして、ハードコート層形成用組成物(コーティング液)を製造する際には、金属酸化物微粒子が分散したゾルと、有機ケイ素化合物とを混合することが好ましい。金属酸化物微粒子の配合量は、ハードコート層の硬度や、屈折率等により決定されるものであるが、コーティング液中の固形分の5〜80質量%、特に10〜60質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐磨耗性が不十分となり、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じることがある。また、ハードコート層を染色する場合には、染色性が低下する場合もある。
なお、ハードコート層には、他に多官能性エポキシ化合物を含有することが非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに−、ハードコート層の耐水性およびプラスチックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、ハードコート層に硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Be(II)、Ce(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、Fe(III)、Al(III)、Ce(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このようにして得られるコーティング液は、必要に応じ、溶剤で希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯
電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング液の塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート被膜を形成する。なお、ハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が実現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生してしまう場合がある。なお、ハードコート層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基板、プライマー層の屈折率に合わせることが好ましい。
(4.有機系反射防止層)
有機系反射防止層は、ハードコート層上に形成され、有機化合物を主成分とする単層の有機薄膜である。この有機系反射防止層は、有機ケイ素化合物と中空シリカ系微粒子との質量比を、有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=70/30〜40/60とする組成物から形成される。
中空シリカ系微粒子を用いるのは、内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、結果的に優れた反射防止効果を付与できるからである。
中空シリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が1〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が1nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、有機薄膜のヘイズが増加するので好ましくない。なお、好ましい平均粒径は、以下の式で計算することができる。
平均粒径=(設計波長(nm)/有機系反射防止層屈折率)×1/4
なお、平均粒径1〜150nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ系微粒子を含む分散ゾルが市販されている(例えば、触媒化成工業(株)製、スルーリア、およびレキューム)。
また、有機ケイ素化合物としては、前記したハードコート層の形成に用いられた式(1)の化合物および下記式(2)により示される少なくともいずれかの化合物であることが好ましい。
3−mSi−Y−SiR 3−m (2)
(式中Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。mは1〜3の整数であるが、好ましくは2又は3とするものであり、特に高硬度な被膜にするにはm=3とするのが好ましい。Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR(Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いた
め、好ましい。
式(2)において、フッ素原子の個数は好ましくは4〜50個、特に好ましくは4〜24個である。反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能を良好に発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましいが、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。従って、Yとしては下記の構造のものが好ましい。
−CHCH(CFCHCH
−C−CF(CF)−(CF−CF(CF)−C
上記構造中のnとしては2〜20の値を満たすことが好ましいが、より好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすのがよい。これより少ないと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
式(2)で示される含フッ素化合物を用いると、フッ素樹脂が本来持つ低屈折率により有機系反射防止層の低屈折率化が一層容易となる。
これらの有機ケイ素化合物は、前記したハードコート層形成に用いられる有機ケイ素化合物と同じように機能する。すなわち、最終的に有機系反射防止層における中空シリカ系微粒子のバインダー剤として働く。
特に、式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物とを併用すると、有機系反射防止層形成用組成物(コーティング液)における相溶性(分散均一性)や加水分解時に使用する水に対する溶解性が向上し、最終的に形成される有機系反射防止層の耐アルカリ性や耐擦傷性がより向上するので好ましい。
中空シリカ系微粒子の配合量は、前記したように有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=70/30〜40/60であることが必要であり、中空シリカ系微粒子がこの割合よりも少ないと、有機系反射防止層と後述する防汚層との密着性が悪くなり、防汚層が剥離しやすくなる。
その理由は必ずしも明確ではないが、有機系反射防止層中に中空部分の割合が少なくなり、塗布された防汚層形成用組成物が有機系反射防止層の内部に十分に浸透することができるようになるためと推定される。
一方、中空シリカ系微粒子がこの割合よりも多いと、有機ケイ素化合物から形成されるバインダー樹脂成分が不足してレンズ基材としての耐擦傷性が低下する。
中空シリカ系微粒子の配合量は、好ましくは、有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=65/35〜35/55である。
有機系反射防止層としては、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系などの樹脂と2種以上併用して成膜した有機薄膜を用いてもよい。このうち特に、プラスチックレンズとしての耐熱性、耐薬品性、耐擦傷性、などの諸特性を考慮した場合は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂を含む低屈折率層とすることが好ましく、この際に、表面硬度の向上や、屈折率の調整のため、微粒子状無機物などを添加することも可能である。添加する微粒子状無機物としては、コロイド状に分散したゾルなどが挙げられ、低屈折率という観点から、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾルなどが挙げられる。
さらに、有機系反射防止層を形成するためのコーティング液には、必要に応じて、少量の硬化触媒(レンズ基板製造用重合触媒)や、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、コーティング液の塗布性の向上や、重合硬化後の被膜性能を改良することができる。
このような有機系反射防止層は、上述したコーティング液を用いて、湿式法によりハードコート層上に低屈折率の有機薄膜として好適に形成することができる。蒸着法やスパッタリング法などの乾式法で形成される無機系反射防止層は、下層の有機薄膜からなるハードコート層やプラスチック基材との大きな熱膨張率差により耐熱性が低いのに対して、湿式法により形成される有機系反射防止層は、ハードコート層やプラスチック基材との熱膨張率差が小さいことから加熱によるクラックの発生が起こり難くなり、耐熱性に優れる。また、湿式法により形成することができるため、真空装置や大型の設備は不要となり、簡便に作製することが可能となる。
湿式法による低屈折率の有機系反射防止層の形成方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの成膜方法のうちで、プラスチックレンズ基板のような曲面形状に膜厚が50〜150nmの薄膜をムラなく成膜することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に低屈折率の有機系反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
有機系反射防止層の具体的な形成工程は、以下の様な手順により行われる。まず、式(1)あるいは式(2)の有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、その後必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行う。さらに、中空シリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した品を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌した後にコーティング液として用いる。
このとき、硬化後の固形分に対して、コーティング液の希釈する濃度は、好ましくは固形分濃度として0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。固形分濃度が15質量%を越えた場合には、ディッピング法で引き上げ速度を遅くしたり、スピンナー法で回転数を高くしても、所定の膜厚を得ることが困難であり、膜厚が必要以上に厚くなってしまう。また、固形分濃度が0.5質量%に満たない場合には、ディッピング法で引き上げ速度を早くしたり、スピンナー法で回転数を遅くしても、膜厚が必要よりも薄くなってしまい所定の膜厚を得ることが困難である。また、速度を速くし過ぎたり、回転数を遅くし過ぎると、レンズ上での塗りムラが大きくなりやすく、界面活性剤等の添加でも対応仕切れなくなってしまう。
コーティング液をレンズ基板に塗布後、焼成工程において加熱(焼成)によって硬化させて有機系反射防止層が得られる。焼成の際の加熱温度は、コーティング液の組成、レンズ基板の耐熱性等を考慮して決定されるが、80〜100℃である必要がある。80℃未満では硬化反応が不十分であり、レンズとしての耐擦傷性が低下する。また、焼成温度が100℃を越えると、硬化反応が進みすぎ架橋密度が高くなりすぎる。架橋密度が高すぎると、次工程において防汚層形成用組成物が十分に浸透できず、最終的に有機系反射防止層と防汚層との密着性が低下して、防汚層の膜剥がれが生じやすくなる。
また、焼成時間は1〜2.5時間であることが好ましい。焼成時間が1時間未満であると硬化反応を行う時間として不十分であり、逆に焼成時間が2.5時間を超えると硬化反応が進みすぎ、前記したような問題を生じる。
なお、焼成工程は、仮焼成工程と本焼成工程の2段階にわかれていてもよい。
得られる有機系反射防止層の膜厚は50〜150nmの範囲が好ましい。この範囲より厚すぎたり薄すぎると十分な反射防止効果が得られないおそれがある。また、有機系反射防止層の屈折率は、反射防止層として機能するために、下層のハードコート層との屈折率
差が0.10以上(有機系反射防止層の屈折率として1.64以下)、好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上とする必要がある。具体的には、有機系反射防止層の屈折率は、1.30〜1.45の範囲とすることが好ましい。
(5.防汚層)
以上のように、レンズ基板上にプライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズには、さらにプラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、有機系反射防止層上にフッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる防汚層が形成される。フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物を好適に使用することができる。
防汚層形成工程においては、含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて有機系反射防止層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法等を用いることができる。なお、撥水処理液を金属ペレットに充填した後、真空蒸着法などの乾式法を用いて防汚層を形成することも可能である。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03μmである。防汚層の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層の厚さが0.03μmより厚くなると反射防止効果が低下するため好ましくない。
以上のような本実施形態の眼鏡用プラスチックレンズは、上述した製造方法により製造されているため、有機系反射防止層と防汚層との密着性がよく、耐久性に優れたものとなっている。
なお、本発明の光学物品の製造方法は、眼鏡用プラスチックレンズ以外にも、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズなど各種の薄型プラスチックレンズとして幅広く適用することができる。
次に、本発明の実施形態に基づく実施例および比較例を説明する。具体的には、以下に示す方法で眼鏡用のプラスチックレンズを製造して、耐熱性など各種の評価を行った。
(実施例1)
(1)プライマー層形成用組成物の調製
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700質量部、水250質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000質量部を投入し、十分に攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−25・G))2800質量部を加え攪拌混合した。次いでポリエステル樹脂2200質量部を加えて攪拌混合した後、更にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7604)2質量部を加えて一昼夜攪拌を続けた後、2μmのフィルターで濾過を行い、プライマー層形成用組成物を得た。
(2)ハードコート層形成用組成物の調製
ステンレス製容器内に、ブチルセロソルブ1000質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/L塩酸水溶液300質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)30質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−25・A17)7300質量部を加えて2時間攪拌混
合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、ナデコールEX−313)250質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、ハードコート層形成用組成物を得た。
(3)有機系反射防止層(低屈折率層)形成用組成物の調製
下記式に示すシラン化合物47.8質量部(0.08モル)にメタノール312.4質量部を加え、さらにエポキシ基含有有機化合物としてγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.7質量部(0.02モル)と、0.1規定(0.1モル/L)塩酸水溶液36質量部を加えて、これを攪拌混合して混合液を得た。この混合液を25℃の恒温槽で2時間攪拌して固形分濃度10質量%のシリコーンレジンを得た。
(CHO)Si−C−C12−C−Si(OCH
このシリコーンレジンと、中空シリカ系微粒子−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)をシリコーンレジン/中空シリカ系微粒子が固形分比70/30となるように配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル935質量部を加えて希釈し、固形分濃度が3質量%である有機系反射防止層形成用組成物を得た。
(4)防汚層形成用組成物の調製
含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名KY−130)を、パーフルオロヘキサンで希釈して固形分濃度0.3質量%の防汚層形成用組成物を調製した。
(5)プライマー層およびハードコート層の形成工程
レンズ基板としては、チオウレタン系プラスチックレンズ基板(セイコースーパーソブリン、屈折率1.67、セイコーエプソン(株)製)を用いた。
このレンズ基板をアルカリ処理(50℃に保たれた2規定の水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた0.5規定の硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(1)で調製したプライマー層形成用組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/minで引き上げた後、80℃で20分間焼成し、レンズ基板表面にプライマー層を形成した。次いで、プライマー層が形成されたレンズ基板を前記(2)で調製したハードコート形成用組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/minで引き上げた後、80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたレンズ基板を得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、ハードコート層の膜厚は2.5μmであった。
(6)有機系反射防止層の形成工程
次に、プライマー層とハードコート層が形成されたレンズ基板をプラズマ処理(大気プラスマ)した後、前記(3)で調製した有機系反射防止層形成用組成物中に浸漬し、引き上げ速度5cm/minで引き上げた後、80℃で30分間予備焼成を行った。さらにこのレンズ基板を、オーブン内で80℃で2時間加熱して本焼成を行い、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたレンズ基板を得た。形成された有機系反射防止層の膜厚は100nmであった。
(7)防汚層の形成工程
続いて、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを前記(4)で調製した防汚層形成用組成物中に浸漬した後、引き上げ速度200mm/minで引き上げた。その後、60℃90%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、1.5時間保持して防汚層を形成し、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(実施例2)
実施例1における有機系反射防止層の形成工程において、90℃に設定したオーブン内で1.5時間加熱した以外は実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(実施例3)
実施例1における有機系反射防止層の形成工程において、100℃に設定したオーブン内で1時間加熱した以外は実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(実施例4)
実施例1の有機系反射防止層形成用組成物において、シリコーンレジン/中空シリカ系微粒子の比率が固形分比で50/50となるように配合を変えた以外は、実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(実施例5)
実施例1の有機系反射防止層形成用組成物において、シリコーンレジン/中空シリカ系微粒子の比率が固形分比で40/60となるように配合を変えた以外は、実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(比較例1)
実施例1における有機系反射防止層の形成工程において、シリコーンレジン/中空シリカ系微粒子の比率が固形分比で75/25となるように配合を変え、70℃に設定したオーブン内で2.5時間加熱(本焼成)した以外は実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(比較例2)
実施例1における有機系反射防止層の形成工程において、シリコーンレジン/中空シリカ系微粒子の比率が固形分比で75/25となるように配合を変え、110℃に設定したオーブン内で2時間加熱(本焼成)した以外は実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(比較例3)
実施例1の有機系反射防止層形成用組成物において、シリコーンレジン/中空シリカ系微粒子の比率が固形分比で30/70となるように配合を変えた以外は、実施例1と同様にしてプラスチックレンズを得た。
(評価方法)
実施例1〜5および比較例1〜3により得られたプラスチックレンズの耐擦傷性と耐薬品性を以下に示す方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)耐擦傷性
レンズ表面に、スチールウール(日本スチールウール製 ボンスター#0000)を荷重1kgfで印加し、3〜4cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を下記のA〜Dの4水準の基準で評価した。
A:ほとんど傷がない
B:1〜5本の傷が確認される
C:6〜10本の傷が確認される
D:11本以上の傷が確認される
(2)耐薬品性(膜密着性)
20℃の0.1規定水酸化ナトリウム水溶液中にレンズを2時間浸漬した。レンズを取
り出して水洗浄を行い、水を拭き取った後、レンズ外観を以下の基準で評価した。
○:レンズ表面から膜剥がれが生じていない
△:レンズ表面から5mm以下の膜剥がれが生じている
×:レンズ表面から5mm越える膜剥がれが生じている
(結 果)
Figure 2008096702
表1の結果から、実施例のプラスチックレンズはいずれも、耐擦傷性および耐薬品性に優れている。すなわち、耐久性に優れている。
一方比較例3は、有機系反射防止層を形成する中空シリカ系微粒子の割合が多すぎるため、バインダー樹脂成分が不足しており、耐擦傷性が低い。
本発明は、プラスチックレンズの製造方法として使用することができる。例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等の光学レンズの製造方法として好適である。

Claims (5)

  1. 基板上に、有機系反射防止層と、防汚層とを有する光学物品の製造方法であって、
    有機ケイ素化合物と中空シリカ系微粒子との質量比を、
    有機ケイ素化合物/中空シリカ系微粒子=70/30〜40/60
    とする有機系反射防止層形成用組成物を前記基板上に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程後に、前記基板を焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程後に、前記有機系反射防止層の表面に防汚層形成用組成物を塗布する防汚層形成工程とを備えることを特徴とする光学物品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
    前記焼成工程における焼成温度が80〜100℃、焼成時間が1〜2.5時間であることを特徴とする光学物品の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
    前記有機ケイ素化合物が下記式(1)で示される化合物であることを特徴とする光学物品の製造方法。
    SiX 3−n (1)
    (式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは0または1である。)
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された光学物品の製造方法により製造されたことを特徴とする光学物品。
  5. 請求項4に記載された光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする光学物品。
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