JP2013006157A - 塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】密で、かつ物理的特性を維持することのできる塗膜を提供すること。
【解決手段】レンズ基板100上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分11と、シリカ系微粒子12とを有する塗膜1であって、シリカ系微粒子12が凝集してなるシリカ系二次粒子12’に起因して塗膜1の表面から突出し、シリカ系二次粒子12’部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部13が、1mmあたり200個以下である。また、バインダー成分11は、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーおよびリニア型のシロキサンオリゴマーを含み、シリカ系微粒子12は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化している。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗膜に関する。
例えば、メガネレンズ等のプラスチックレンズの表面に有機系の反射防止膜を形成する技術が広く知られている。また、有機系の反射防止膜を成膜するための塗布液として、例えば、特許文献1に記載の塗布液が知られている。
特許文献1に記載の塗布液は、次のようにして製造される。まず、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、さらに、そこにエポキシ基を有する有機ケイ素化合物を添加する。その後、必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解縮重合を行う。次に、平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した分散液を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し十分に撹拌する。以上のようにして塗布液が製造される。
しかしながら、本発明者らが、この塗布液を用いて成膜した反射防止膜について観察や試験を行ったところ、反射防止膜中でシリカ系微粒子が凝集していることを発見した。このようなシリカ系微粒子の凝集が生じると、密な塗膜を形成することが困難となり、耐水性、耐薬品性、耐熱性、耐傷性が低下するという問題がある。また、凝集により形成されるシリカ系二次粒子に起因して膜表面に凸部が形成される。そして、汚れを除去するため等に、反射防止膜の表面を布等を用いて拭くと、凸部にあるシリカ系二次粒子が反射防止膜から剥がれ落ちる場合があり、そこに凹部が形成される。このような凹部は、クラックの起点となったり、水分の侵入口となったりし、反射防止膜の物理的特性を低下させる原因となる。
特開2007−102096号公報
本発明の目的は、密で、かつ物理的特性を維持することのできる塗膜を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の塗膜は、基材上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分と、シリカ系微粒子とを有する塗膜であって、
前記シリカ系微粒子が凝集してなる二次粒子に起因して前記塗膜の表面から突出した二次粒子部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部が、1mmあたり200個以下であることを特徴とする。
これにより、凸部を少なくすることができ、密で、かつ物理的特性を維持することのできる塗膜を提供することができる。
本発明の塗膜では、前記バインダー成分は、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーおよびリニア型のシロキサンオリゴマーを含み、
前記シリカ系微粒子は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化していることが好ましい。
これにより、シリカ系微粒子の凝集を防止または抑制することができる。そのため、凸部の数をより少なくすることができる。
本発明の塗膜では、少なくとも鎖状のシロキサンオリゴマーを含む液体にシリカ系微粒子を加え、pH5.0〜7.0の環境下で前記液体中に含まれる前記鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合して得られる成膜用塗布液を前記基材上に塗布し乾燥することにより形成されることが好ましい。
これにより、シリカ系微粒子の凝集を防止または抑制することができる。そのため、凸部の数をより少なくすることができる。
本発明の塗膜では、屈折率は、1.4以下であることが好ましい。
これにより、反射防止膜として優れた性能を発揮することができる。
本発明の塗膜では、前記シリカ系微粒子は、中空シリカ粒子であることが好ましい。
これにより、塗膜の屈折率を簡単に低くすることができる。
本発明の塗膜では、前記シリカ系微粒子の平均粒径は、5nm以上、200nm以下であることが好ましい。
これにより、シリカ系微粒子の屈折率を低くすることができるとともに、凸部の発生を抑制することができる。
本発明の塗膜では、厚さは、50nm以上、200nm以下であることが好ましい。
これにより、塗膜の薄型化を図りつつ、凸部の発生を防止または抑制することができる。
本発明の塗膜では、前記基材の熱膨張係数と等しい熱膨張係数を有することが好ましい。
これにより、熱膨張に起因する塗膜の破損を効果的に防止または抑制することができる。
本発明の塗膜では、前記基材のヤング率よりも大きいヤング率を有することが好ましい。
これにより、基材が外力によって変形しても、その変形に追従して塗膜も変形することができるため、塗膜の破損を防止または抑制することができる。
本発明の第1実施形態にかかる塗膜を示す模式的断面図である。 図1に示す塗膜の拡大断面図である。 シリカゾルのpH値と反応速度との関係を示したグラフである。
以下、本発明の塗膜を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる塗膜を示す模式的断面図、図2は、図1に示す塗膜の拡大断面図、図3は、シリカゾルのpH値と反応速度との関係を示したグラフである。なお、以下では、説明の便宜上、図1、図2中の上側を「上」と言い、下側を「下」と言う。
1.塗膜
図1に示すように、塗膜1は、例えば、メガネレンズ等のレンズ基板(プラスチックレンズ)100に形成され、反射防止性能を有する反射防止膜として用いられる。本実施形態のレンズ基板100は、レンズ生地101と、レンズ生地101の表面に形成されたプライマー層102と、プライマー層102の表面に形成されたハードコート層103とを有しており、ハードコート層103の表面に塗膜1が形成されている。
なお、レンズ基板100としては、これに限定されず、プライマー層102およびハードコート層103をそれぞれ省略してもよい。
[レンズ基板100]
(レンズ生地101)
レンズ生地101としては、特に限定されず、各種プラスチックレンズを用いることができる。より具体的には、レンズ生地101としては、例えば、チオウレタン系プラスチックレンズ基板(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコースーパーソブリン生地」、屈折率1.67)を用いることができる。
(プライマー層102)
プライマー層102は、レンズ生地101とハードコート層103との間に介在し、これらの密着性を向上させるための層である。このプライマー層102は、例えば、レンズ生地101とハードコート層103の双方に密着性を有する(A)成分と、プライマーの屈折率を発現するとともに、フィラーとしてプライマー層102の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性の向上させるための(B)成分とを含む組成物をレンズ生地101上にコーティングすることで形成することができる。
(A)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂材料を用いることができる。一方、(B)成分としては、例えば、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を用いることができ、その平均粒径は、例えば、1nm〜200nm程度である。
(ハードコート層103)
ハードコート層103は、レンズ生地101の表面を保護するための層である。このようなハードコート層103としては、特に限定されないが、下記の(C)成分および(D)成分を含む組成物をプライマー層102上にコーティングすることで形成することができる。
(C)成分としては、酸化チタンを含有する金属酸化物粒子を用いることができ、その平均粒径は、例えば、1nm〜200nm程度である。また、金属酸化物粒子に含まれる酸化チタンは、ルチル型の結晶構造を有しているのが好ましい。一方、(D)成分としては、一般式:RSiX で示される有機ケイ素化合物(式中、Rは重合可能な反応器を有する炭素数が2以上の有機基、Xは、加水分解基を表わす。)を用いることができる。
以上、レンズ基板100の一例について説明した。なお、レンズ基板100上に塗膜1を形成する前に、レンズ基板100に対してプラズマ処理(大気プラズマ)を施すのが好ましい。
[塗膜1]
図2に示すように、塗膜1は、バインダー(バインダー成分)11と、バインダー11に保持されたシリカ系微粒子12とを有している。
(バインダー11)
バインダー11は、少なくとも、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーと、リニア型のシロキサンオリゴマーとを含んでいる。なお、特に限定されないが、バインダー11中には、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーの方が、リニア型のシロキサンオリゴマーよりも多く含まれているのが好ましい。具体的には、重量比にて、(架橋構造を有するシロキサンオリゴマー):(リニア型のシロキサンオリゴマー)が7:3〜9.5:0.5程度であるのが好ましい。これにより、緻密な塗膜1が得られる。
(シリカ系微粒子12)
シリカ系微粒子12は、内部に空洞を有する中空シリカ粒子である。この中空シリカ粒子は、SiOで構成されている。このような中空シリカ粒子は、屈折率が低いため、塗膜1の屈折率を充分に低くすることができ、反射防止膜として好適に利用することができる。また、このような中空シリカ粒子は、コロイド領域の微粒子であり分散性に優れているので、シリカ系微粒子12が凝集してなる二次粒子の発生を、効果的に防止または抑制することができる。
シリカ系微粒子12の平均粒子径は、特に限定されないが、5nm以上、200nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、100nm以下であるのがより好ましい。シリカ系微粒子12の平均粒径が前記最小値よりも小さいと、屈折率の低い微粒子を得ることが困難であり、塗膜1の反射防止性能が不充分となる場合がある。反対に、シリカ系微粒子12の平均粒径が前記最大値を超えると、塗膜1の表面に不要な凹凸(後述する凸部13)が多く形成され、塗膜1のヘーズ値が高くなるおそれがある。
シリカ系微粒子12の屈折率は、低い程よく、具体的には、1.40以下程度であるのが好ましく、1.35以下であるのがより好ましい。これにより、塗膜1は、より優れた反射防止性能を発揮することができる。
塗膜1中のシリカ系微粒子12の含有量は、特に限定されないが、固形分として5.0重量%以上、30.0重量%以下程度であるのが好ましく、10.0重量%以上、20.0重量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、塗膜1の反射率を低くすることができ、充分な反射防止性能を発揮することができる。
このようなシリカ系微粒子12の表面には、鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化しているのが好ましい。これにより、シリカ系微粒子12の凝集を効果的に抑制することができる。そのため、塗膜1の表面への不要な凹凸(凸部13)の発生を効果的に防止または抑制することができる。
以上、塗膜1を構成する各部について説明した。
塗膜1の厚さは、特に限定されないが、50nm以上、200nm以下程度であるのが好ましく、80nm以上、120nm以下程度であるのがより好ましく、100nm程度であるのがさらに好ましい。このような厚さとすることにより、塗膜1の薄型化を図りつつ、表面への不要な凹凸(凸部13)の発生を効果的に防止または抑制することができる。
また、塗膜1の熱膨張係数は、レンズ生地(基材)101の熱膨張係数とほぼ等しいのが好ましい。これにより、塗膜1が形成されたレンズ基板100が昇温した際に、レンズ生地101および塗膜1が同程度膨張するため、塗膜1に不本意な応力が加わるのを抑制することができる。そのため、塗膜1の破損、具体的には、クラックの発生を効果的に防止または抑制することができる。
また、塗膜1のヤング率は、レンズ生地101のヤング率よりも大きいことが好ましい。これにより、外力によってレンズ生地101が撓んだ際、塗膜1も、レンズ生地101の撓みに倣って容易に撓むことができるため、塗膜1に不本意な応力が加わるのを抑制することができる。そのため、塗膜1の破損、具体的には、クラックの発生を効果的に防止または抑制することができる。
また、塗膜1の屈折率としては、特に限定されないが、1.40以下であるのが好ましい。これにより、優れた反射防止性能を発揮することができる。
図2に示すように、塗膜1には、その表面(上面)から突出する凸部13が形成される場合がある。この凸部13は、シリカ系微粒子12が凝集してなるシリカ系二次粒子12’に起因して形成されるものである。すなわち、シリカ系二次粒子12’の粒径が比較的大きく、シリカ系二次粒子12’が塗膜1の表面から突出するように位置することにより凸部13が形成される。
このような凸部13が存在すると、次のような問題が発生する。例えば、塗膜1の表面に汚れが付着し、その汚れを除去するために布で塗膜1を擦ると、凸部13に存在するシリカ系二次粒子が塗膜1から剥がれ落ち、その結果、剥がれ落ちた部分に凹部が形成される。このような凹部が生じると、この凹部が起点となって、塗膜1にクラックが生じたり、破損したりする。また、凹部から塗膜1内に水分が侵入し易くなり、塗膜1のハードコート層103に対する密着性が低下し、塗膜1がハードコート層103から剥離し易くなってしまう。このように、凹部が生じると、塗膜1の物理的性質が低下するおそれがある。
したがって、塗膜1の単位面積当たりの凸部13の数は、少ないほど好ましく、これにより、塗膜1の物理的性質の低下を抑制することができる。なお、凸部13とは、突出した二次粒子部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12なる関係を満たす凸部を意味し、2/3πabc≧1.0×10−12なる関係を満たさない、すなわち2/3πabc<1.0×10−12なる関係を満たす凸部は、凸部13に含まれない。これは、2/3πabc≧1.0×10−12なる関係を満たさない凸部13では、シリカ系二次粒子12’の大半が塗膜1内に埋まっているため、前述のような剥がれ落ちが生じる可能性が低いためである。
塗膜1では、1mmにおける凸部13の数が200個以下であるのが好ましく、100個以下であるのがより好ましく、0個であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような塗膜1の物理的性質の低下を防止または抑制することができ、所望の物理的特性を発揮することのできる塗膜1となる。
2.塗膜1を形成するための成膜用塗布液
次いで、塗膜1を形成するための成膜用塗布液の製造方法について説明する。
成膜用塗布液の製造方法は、下記の第1工程と第2工程とを有している。
[第1工程]
第1工程は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物と、下記一般式(2)で表わされるハロゲン化シランとを含むシランカップリング剤に酸性加水分解触媒を加え、pH3.0〜5.0の酸性環境化で、シラン化合物およびハロゲン化シランをそれぞれ加水分解・縮重合することにより、鎖状のシロキサンオリゴマーを含有する液体Aを得る工程である。
SiZ4−(n+p)・・・・・・(1)
(式中、R、Rは、炭素数1〜16の有機基で少なくとも一方がエポキシ基を含む。Zは加水分解性基。n、pは、0〜2の整数であって、1≦n+p≦3である。)
3−mSi−Y−SiR 3−m・・・・・・(2)
(式中、Rは、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Yは、フッ素原子を1個以上含有する二価の有機基を表し、Xは、加水分解性基を表す。また、mは、1〜3の整数である。)
前記式(1)で表される化合物としては、基材への付着性、得られる塗膜の硬度および低反射性、組成物の寿命等の目的に応じて適宜選択されるが、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、前記式(1)で表されるシラン化合物としては、n+p=1であるもの、すなわち、(−SiZ基)を3つ有する3官能型のシラン化合物であるのが好ましい。これにより、後述する鎖状のシロキサンオリゴマーを効率的に生成することができる。
シラン化合物の含有量は、シランカップリング剤全量に対して0.1重量%以上、50.0重量%以下であるのが好ましく、4.0重量%以上、15.0重量%以下であるのがより好ましい。これにより、塗膜1は、より優れた反射防止性、防汚性、撥水性、耐擦傷性、耐薬品性等を発揮することができる。
前記式(2)で表されるハロゲン化シランとしては、特に限定されないが、フッ素原子の個数が4個以上50個以下であるのが好ましく、4個以上24個以下であるのがより好ましい。これにより、成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜は、優れた反射防止性、防汚性、撥水性、耐擦傷性、耐薬品性等を発揮することができる。
前記式(2)で表わされるハロゲン化シランに含まれるフッ素原子の数が前記下限値未満である場合は、ハロゲン化シランの含有量等によっては、上述した効果を充分に発揮することができないおそれがある。反対に、フッ素原子の数が前記上限値を超えると、ハロゲン化シランの含有量等によっては、塗膜の密度が低下するおそれがある。
前記式(2)中のYとしては、例えば、下記の構造のものが好ましい。
−CHCH(CFCHCH
−C−CF(CF)−(CF−CF(CF)−C
(nは、2〜20の整数である。)
また、前記式(2)中のRとしては、炭素数1〜6のアルキル基であればよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。これらの中でも、Rは、優れた耐擦傷性を得る目的から、メチル基であるのが好ましい。
また、前記式(2)中のmは、1〜3の整数であるが、2または3であるのが好ましく、3であるのがより好ましい。これにより、塗膜1をより高硬度なものとすることができる。
また、前記式(2)中のXは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、ORX(RXは、炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などが挙げられる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。このようなXとしては、例えば、下記の構造のものが挙げられる。
(CHO)Si−C−C−C−Si(OCH
(CHO)Si−C−C12−C−Si(OCH
(CHO)Si−C−C16−C−Si(OCH
(CO)Si−C−C−C−Si(OC
(CO)Si−C−C12−C−Si(OC
(CO)(CH)Si−C−C12−C−Si(CH)(OC
このようなハロゲン化シランの含有量は、シランカップリング剤全量に対して50.0重量%以上、99.9重量%以下であるのが好ましく、85.0重量%以上、96.0重量%以下であるのがより好ましい。これにより、成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜は、より優れた反射防止性、防汚性、撥水性、耐擦傷性、耐薬品性等を発揮することができる。
酸性加水分解触媒は、前記式(1)で表されるシラン化合物と前記式(2)で表わされるハロゲン化シランとを加水分解・縮重合するために加えられる。このような酸性加水分解触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、乳酸等の有機酸を用いることができる。
前記式(1)で表されるシラン化合物と前記式(2)で表わされるハロゲン化シランとを加水分解・縮重合すると、鎖状のシロキサンオリゴマーと、環状のシロキサンオリゴマーとが生成され、これらを含む液体Aが得られる。この液体A中には、鎖状のシロキサンオリゴマーの方が環状のシロキサンオリゴマーよりも多く含まれているのが好ましい。
なお、第1工程における加水分解・縮重合の反応時間は、特に限定されないが、室温で100時間以上150時間以下程度であるのが好ましく、120時間程度であるのがより好ましい。
[第2工程]
第2工程は、第1工程で得られた液体Aにシリカ系微粒子12を加え、pH5.0〜7.0の環境下で液体A中に含まれる鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合する工程である。
このようなシリカ系微粒子12は、分散媒に分散させた状態で液体Aに加えることができる。これにより、シリカ系微粒子12の凝集を効果的に防止することができるとともに、分散媒との相互効果によって、液体Aとの混合物のpHを5.0〜7.0へ整えることができる。
シリカ系微粒子12を分散する分散媒としては、特に限定されないが、中性または塩基性であることが好ましい。これにより、比較的簡単に、液体Aとの混合物のpHを5.0〜7.0とすることができる。
このような分散媒としては、例えば、水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒が挙げられる。具体的には、純水、超純水、イオン交換水などの水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類、アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などが挙げられる。
シリカ系微粒子12が分散する分散液のpHとしては、液体Aと混合した際にその混合物のpHを5.0〜7.0とすることができれば特に限定されないが、pH7.0程度であるのが好ましい。
このような分散液を液体Aに加えることにより、液体A中にシリカ系微粒子を供給するとともに、液体Aと分散液との混合物のpHを5.0〜7.0とし、この環境下で、液体Aに含まれる鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合する。これにより、複数の鎖状のシロキサンオリゴマーが結合してなる架橋構造を有するシロキサンオリゴマーやリニア型のシロキサンオリゴマー等のバインダー成分と、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化したシリカ系微粒子とを含む液体Bが得られる。特に、架橋構造のシロキサンオリゴマーをより多く生成することができる。
以下、第2工程により液体Bが得られる理由について述べる。
図3は、シリカゾルのpH値と反応速度との関係を示したグラフである(表面技術50巻2号161〜164頁、「ゾル−ゲル法のやさしい概要とその用途」、土岐元幸著、参照)。
図3に示すように、pH5.0〜7.0の領域では、縮重合反応速度の方が加水分解反応速度よりも速い。そのため、前記加水分解・縮重合によって、複数の鎖状のシロキサンオリゴマーが結合してなる架橋構造を有するシロキサンオリゴマーやリニア型のシロキサンオリゴマー等のバインダー成分と、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化したシリカ系微粒子とが生成される。
なお、加水分解・縮重合について、加水分解反応の速度としては特に限定されないが、縮重合反応の速度の30%以下であるのが好ましい。
また、加水分解・縮重合の反応時間は、特に限定されないが、0℃以上、20℃以下の低温で20時間以上、30時間以下程度であるのが好ましく、10℃で24時間程度であるのがより好ましい。前述したように、pH5.0〜7.0の環境下では、シロキサンオリゴマーの縮重合反応が比較的早いため、上記のような時間とすることにより、上記の反応を確実かつ充分に行うことができる。
次に、例えば、液体Bに必要に応じて溶媒を混合することにより、塗膜1を形成するための成膜用塗布液が得られる。
以上説明したように、鎖状のシロキサンオリゴマーをグラフト化し、シリカ系微粒子12の表面を処理することにより、シリカ系微粒子12のバインダー成分や溶媒に対する親和性を高くすることができ、分散性を高めることができるため、シリカ系微粒子12を成膜用塗布液中で均一に分散することができる。したがって、このような成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜1は、密なものとなり、密着性、膜強度、耐擦傷性に優れたものとなる。
また、バインダー成分として架橋構造を有するシロキサンオリゴマーを含むため、このような成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜1は、密着性、膜強度、耐擦傷性に優れたものとなる。
3.成膜用塗布液を用いた塗膜1の形成方法
塗膜1は、例えば、下記のように形成することができる。
[塗布工程]
まず、レンズ基板100(ハードコート層103)上に成膜用塗布液を塗布する。塗布方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコーター法、転写法等の塗布方法を用いることができる。この中でも、スピンコート法を用いるのが好ましく、これにより、塗布膜の膜厚の均一性や低発塵性が優れたものとなる。
[焼成]
次に、レンズ基板100上に塗布された成膜用塗布液を、90℃〜110℃程度の温度で1分〜10分程度仮焼成する。仮焼成は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。
次に、仮焼成された成膜用塗布液を本焼成する。本焼成は、110℃〜130℃程度の温度で1時間〜2時間程度行う。本焼成は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。
以上の工程により、成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜1が形成される。
以上、本発明の塗膜について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.成膜用塗布液の製造
(実施例1)
ステンレス製容器内に、下記式(A)で表されるシラン化合物(アルコキシシラン)2.8重量部に、下記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1×10−3モル/Lの硝酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが4.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
Figure 2013006157
この液体と、中空シリカ−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製;固形分濃度20重量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)を液体/中空シリカが固形分比70/30となるように配合し、これをよく混合し、25℃でのpHが5.5の混合液を得た。この混合液を10℃で24時間攪拌して固形分6.3重量%の成膜用塗布液を得た。
(実施例2)
ステンレス製容器内に、上記式(A)で表されるシラン化合物2.8重量部に、上記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1×10−3モル/Lの硝酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが4.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
この液体と、中空シリカ−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製;固形分濃度20重量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)を液体/中空シリカが固形分比70/30となるように配合し、これをよく混合し、25℃でのpHが7.0の混合液を得た。この混合液を60℃で72時間攪拌して固形分6.3重量%の成膜用塗布液を得た。
(比較例1)
ステンレス製容器内に、上記式(A)で表されるシラン化合物2.8重量部に、上記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1モル/Lの塩酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが1.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
この液体と、中空シリカ−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製;固形分濃度20重量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)を液体/中空シリカが固形分比70/30となるように配合し、これをよく混合し、25℃でのpHが1.0の混合液を得た。この混合液を25℃で24時間攪拌して固形分6.3重量%の成膜用塗布液を得た。
2.塗膜の成膜
上述した実施例1および比較例1の成膜用塗布液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル420部を加えて希釈してコーティング液を得た。次に、コーティング液をスピンコート法によりレンズ基板上に塗布し、これを100℃で10分間、大気中で仮焼成した。次に、120℃で1時間半、大気中で本焼成した。これにより塗膜を形成した。この塗膜の厚さ(平均厚さ)は、100nmであった。
なお、レンズ基板は、次のようにして得た。
(1)プライマー組成物の調製
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700重量部、水250重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000重量部を投入し、十分に攪拌したのち、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(アナターゼ型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20重量%、触媒化成工業(株)、商品名オプトレイク1120Z U−25・A8)2800重量部を加え撹拌混合した。次いでポリウレタン樹脂2200重量部を加えて攪拌混合した後、さらにシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7604)2重量部を加えて一昼夜撹拌を続けた後、2μmのフィルターでろ過を行い、プライマー組成物を得た。
(2)ハードコート組成物の調製
ステンレス製容器内にブチルセロソルブ1000重量部を取り、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200重量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸300重量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製;商品名L−7001)30重量部を加えて1時間撹拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製;商品名オプトレイク1120Z 8RU−25、A17)7300重量部を加え2時間撹拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名デナコールEX−313)250重量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20重量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターでろ過を行い、ハードコート組成物を得た。
(3)プライマー層、ハードコート層の形成
チオウレタン系プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名セイコースーパーソブリン生地、屈折率1.67)を準備した。そして、準備したレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2.0規定水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後に純水洗浄を行い、次いで25℃に保たれた0.5規定硫酸に1分間浸漬して中和する)し、純水洗浄及び乾燥、放冷を行った。そして、(1)において調製したプライマー組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/min.で引き上げて80℃で20分焼成し、レンズ基材表面にプライマー層を形成した。そして、プライマー層が形成されたレンズ基材を、(2)において調製したハードコート組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/min.で引き上げて80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に設定したオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、ハードコート層の膜厚は2.5μmであった。
そして、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを、プラズマ処理(大気プラズマ)したものを前記レンズ基板として用いた。
3.評価
(3−1)シリカ系微粒子凝集性
実施例1、2および比較例1の成膜用塗布液で成膜された塗膜を光学顕微鏡(オリンパス株式会社製 システム生物顕微鏡 BX50)を用いて観察し、塗膜1mm当たりの凸部13の数を求めた。具体的には、塗膜を平面視にて観察し、存在する凸部の位置を把握したのち、各凸部の断面を観察することにより、各凸部の突出高さを求めた。そして、その高さが基準値(前述した2/3πabc≧1.0×10−12)以上の凸部のみを凸部13として、凸部13の数を求めた。その結果、実施例1の塗膜中に発生した凸部13が174個であり、実施例2の塗膜中に発生した凸部13が4個であり、比較例1の塗膜中に発生した凸部13が1069個であった。
(3−2)耐温水性
レンズ基板上に形成した実施例1、2および比較例1の塗膜を、眼鏡フレーム形状に合わせて玉摺り加工した後、60℃の温水中に20日間浸漬させた。その後レンズ基板を温水中から取り出して水冷し、水滴を擦り取った後、目視で塗膜の膜剥がれの状態を下記のA〜Dの基準で評価した。その結果を下記の表1に示す。
A:全く膜剥がれがない(剥がれの面積率0%)
B:ほとんど膜剥がれがない(剥がれの面積率1〜19%)
C:やや剥がれが発生(剥がれの面積率20〜49%)
D:膜剥がれが発生(剥がれの面積率50%以上)
Figure 2013006157
表1から明らかなように、実施例1、2の塗膜は、ともに比較例1の塗膜よりも耐温水性に優れることとなった。これは、比較例1の塗膜では、摺り加工によって、凸部13からシリカ系二次粒子12’が塗膜から剥がれ落ち、この剥がれ落ちによって生じた凹部からクラックが入ったり、水分が侵入したりした結果であると考えられる。これにより、実施例1の塗膜(本発明の塗膜)が比較例1の塗膜(従来の塗膜)に比べて緻密な膜であることが明らかである。
1…塗膜 11…バインダー 12…シリカ系微粒子 12’…シリカ系二次粒子 13…凸部 100…レンズ基板 101…レンズ生地 102…プライマー層 103…ハードコート層

Claims (9)

  1. 基材上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分と、シリカ系微粒子とを有する塗膜であって、
    前記シリカ系微粒子が凝集してなる二次粒子に起因して前記塗膜の表面から突出した二次粒子部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部が、1mmあたり200個以下であることを特徴とする塗膜。
  2. 前記バインダー成分は、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーおよびリニア型のシロキサンオリゴマーを含み、
    前記シリカ系微粒子は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化している請求項1に記載の塗膜。
  3. 少なくとも鎖状のシロキサンオリゴマーを含む液体にシリカ系微粒子を加え、pH5.0〜7.0の環境下で前記液体中に含まれる前記鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合して得られる成膜用塗布液を前記基材上に塗布し乾燥することにより形成される請求項1または2に記載の塗膜。
  4. 屈折率は、1.4以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の塗膜。
  5. 前記シリカ系微粒子は、中空シリカ粒子である請求項1ないし4のいずれかに記載の塗膜。
  6. 前記シリカ系微粒子の平均粒径は、5nm以上、200nm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の塗膜。
  7. 厚さは、50nm以上、200nm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の塗膜。
  8. 前記基材の熱膨張係数と等しい熱膨張係数を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の塗膜。
  9. 前記基材のヤング率よりも大きいヤング率を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の塗膜。
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