JP2013006157A - 塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズ基板100上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分11と、シリカ系微粒子12とを有する塗膜1であって、シリカ系微粒子12が凝集してなるシリカ系二次粒子12’に起因して塗膜1の表面から突出し、シリカ系二次粒子12’部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部13が、1mm2あたり200個以下である。また、バインダー成分11は、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーおよびリニア型のシロキサンオリゴマーを含み、シリカ系微粒子12は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化している。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の塗布液は、次のようにして製造される。まず、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、さらに、そこにエポキシ基を有する有機ケイ素化合物を添加する。その後、必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解縮重合を行う。次に、平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した分散液を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し十分に撹拌する。以上のようにして塗布液が製造される。
本発明の塗膜は、基材上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分と、シリカ系微粒子とを有する塗膜であって、
前記シリカ系微粒子が凝集してなる二次粒子に起因して前記塗膜の表面から突出した二次粒子部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部が、1mm2あたり200個以下であることを特徴とする。
これにより、凸部を少なくすることができ、密で、かつ物理的特性を維持することのできる塗膜を提供することができる。
前記シリカ系微粒子は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化していることが好ましい。
これにより、シリカ系微粒子の凝集を防止または抑制することができる。そのため、凸部の数をより少なくすることができる。
これにより、シリカ系微粒子の凝集を防止または抑制することができる。そのため、凸部の数をより少なくすることができる。
これにより、反射防止膜として優れた性能を発揮することができる。
本発明の塗膜では、前記シリカ系微粒子は、中空シリカ粒子であることが好ましい。
これにより、塗膜の屈折率を簡単に低くすることができる。
本発明の塗膜では、前記シリカ系微粒子の平均粒径は、5nm以上、200nm以下であることが好ましい。
これにより、シリカ系微粒子の屈折率を低くすることができるとともに、凸部の発生を抑制することができる。
本発明の塗膜では、厚さは、50nm以上、200nm以下であることが好ましい。
これにより、塗膜の薄型化を図りつつ、凸部の発生を防止または抑制することができる。
これにより、熱膨張に起因する塗膜の破損を効果的に防止または抑制することができる。
本発明の塗膜では、前記基材のヤング率よりも大きいヤング率を有することが好ましい。
これにより、基材が外力によって変形しても、その変形に追従して塗膜も変形することができるため、塗膜の破損を防止または抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる塗膜を示す模式的断面図、図2は、図1に示す塗膜の拡大断面図、図3は、シリカゾルのpH値と反応速度との関係を示したグラフである。なお、以下では、説明の便宜上、図1、図2中の上側を「上」と言い、下側を「下」と言う。
図1に示すように、塗膜1は、例えば、メガネレンズ等のレンズ基板(プラスチックレンズ)100に形成され、反射防止性能を有する反射防止膜として用いられる。本実施形態のレンズ基板100は、レンズ生地101と、レンズ生地101の表面に形成されたプライマー層102と、プライマー層102の表面に形成されたハードコート層103とを有しており、ハードコート層103の表面に塗膜1が形成されている。
なお、レンズ基板100としては、これに限定されず、プライマー層102およびハードコート層103をそれぞれ省略してもよい。
(レンズ生地101)
レンズ生地101としては、特に限定されず、各種プラスチックレンズを用いることができる。より具体的には、レンズ生地101としては、例えば、チオウレタン系プラスチックレンズ基板(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコースーパーソブリン生地」、屈折率1.67)を用いることができる。
プライマー層102は、レンズ生地101とハードコート層103との間に介在し、これらの密着性を向上させるための層である。このプライマー層102は、例えば、レンズ生地101とハードコート層103の双方に密着性を有する(A)成分と、プライマーの屈折率を発現するとともに、フィラーとしてプライマー層102の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性の向上させるための(B)成分とを含む組成物をレンズ生地101上にコーティングすることで形成することができる。
ハードコート層103は、レンズ生地101の表面を保護するための層である。このようなハードコート層103としては、特に限定されないが、下記の(C)成分および(D)成分を含む組成物をプライマー層102上にコーティングすることで形成することができる。
以上、レンズ基板100の一例について説明した。なお、レンズ基板100上に塗膜1を形成する前に、レンズ基板100に対してプラズマ処理(大気プラズマ)を施すのが好ましい。
図2に示すように、塗膜1は、バインダー(バインダー成分)11と、バインダー11に保持されたシリカ系微粒子12とを有している。
(バインダー11)
バインダー11は、少なくとも、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーと、リニア型のシロキサンオリゴマーとを含んでいる。なお、特に限定されないが、バインダー11中には、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーの方が、リニア型のシロキサンオリゴマーよりも多く含まれているのが好ましい。具体的には、重量比にて、(架橋構造を有するシロキサンオリゴマー):(リニア型のシロキサンオリゴマー)が7:3〜9.5:0.5程度であるのが好ましい。これにより、緻密な塗膜1が得られる。
シリカ系微粒子12は、内部に空洞を有する中空シリカ粒子である。この中空シリカ粒子は、SiO2で構成されている。このような中空シリカ粒子は、屈折率が低いため、塗膜1の屈折率を充分に低くすることができ、反射防止膜として好適に利用することができる。また、このような中空シリカ粒子は、コロイド領域の微粒子であり分散性に優れているので、シリカ系微粒子12が凝集してなる二次粒子の発生を、効果的に防止または抑制することができる。
塗膜1中のシリカ系微粒子12の含有量は、特に限定されないが、固形分として5.0重量%以上、30.0重量%以下程度であるのが好ましく、10.0重量%以上、20.0重量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、塗膜1の反射率を低くすることができ、充分な反射防止性能を発揮することができる。
以上、塗膜1を構成する各部について説明した。
また、塗膜1の屈折率としては、特に限定されないが、1.40以下であるのが好ましい。これにより、優れた反射防止性能を発揮することができる。
塗膜1では、1mm2における凸部13の数が200個以下であるのが好ましく、100個以下であるのがより好ましく、0個であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような塗膜1の物理的性質の低下を防止または抑制することができ、所望の物理的特性を発揮することのできる塗膜1となる。
次いで、塗膜1を形成するための成膜用塗布液の製造方法について説明する。
成膜用塗布液の製造方法は、下記の第1工程と第2工程とを有している。
[第1工程]
第1工程は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物と、下記一般式(2)で表わされるハロゲン化シランとを含むシランカップリング剤に酸性加水分解触媒を加え、pH3.0〜5.0の酸性環境化で、シラン化合物およびハロゲン化シランをそれぞれ加水分解・縮重合することにより、鎖状のシロキサンオリゴマーを含有する液体Aを得る工程である。
(式中、R1、R2は、炭素数1〜16の有機基で少なくとも一方がエポキシ基を含む。Zは加水分解性基。n、pは、0〜2の整数であって、1≦n+p≦3である。)
XmR3 3−mSi−Y−SiR3 3−mXm・・・・・・(2)
(式中、R3は、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Yは、フッ素原子を1個以上含有する二価の有機基を表し、Xは、加水分解性基を表す。また、mは、1〜3の整数である。)
シラン化合物の含有量は、シランカップリング剤全量に対して0.1重量%以上、50.0重量%以下であるのが好ましく、4.0重量%以上、15.0重量%以下であるのがより好ましい。これにより、塗膜1は、より優れた反射防止性、防汚性、撥水性、耐擦傷性、耐薬品性等を発揮することができる。
前記式(2)で表わされるハロゲン化シランに含まれるフッ素原子の数が前記下限値未満である場合は、ハロゲン化シランの含有量等によっては、上述した効果を充分に発揮することができないおそれがある。反対に、フッ素原子の数が前記上限値を超えると、ハロゲン化シランの含有量等によっては、塗膜の密度が低下するおそれがある。
−CH2CH2(CF2)nCH2CH2−
−C2H4−CF(CF3)−(CF2)n−CF(CF3)−C2H4−
(nは、2〜20の整数である。)
また、前記式(2)中のR3としては、炭素数1〜6のアルキル基であればよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。これらの中でも、R3は、優れた耐擦傷性を得る目的から、メチル基であるのが好ましい。
また、前記式(2)中のmは、1〜3の整数であるが、2または3であるのが好ましく、3であるのがより好ましい。これにより、塗膜1をより高硬度なものとすることができる。
(CH3O)3Si−C2H4−C6F12−C2H4−Si(OCH3)3
(CH3O)3Si−C2H4−C8F16−C2H4−Si(OCH3)3
(C2H5O)3Si−C2H4−C4F8−C2H4−Si(OC2H5)3
(C2H5O)3Si−C2H4−C6F12−C2H4−Si(OC2H5)3
(C2H5O)2(CH3)Si−C2H4−C6F12−C2H4−Si(CH3)(OC2H5)2
なお、第1工程における加水分解・縮重合の反応時間は、特に限定されないが、室温で100時間以上150時間以下程度であるのが好ましく、120時間程度であるのがより好ましい。
第2工程は、第1工程で得られた液体Aにシリカ系微粒子12を加え、pH5.0〜7.0の環境下で液体A中に含まれる鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合する工程である。
このようなシリカ系微粒子12は、分散媒に分散させた状態で液体Aに加えることができる。これにより、シリカ系微粒子12の凝集を効果的に防止することができるとともに、分散媒との相互効果によって、液体Aとの混合物のpHを5.0〜7.0へ整えることができる。
シリカ系微粒子12を分散する分散媒としては、特に限定されないが、中性または塩基性であることが好ましい。これにより、比較的簡単に、液体Aとの混合物のpHを5.0〜7.0とすることができる。
シリカ系微粒子12が分散する分散液のpHとしては、液体Aと混合した際にその混合物のpHを5.0〜7.0とすることができれば特に限定されないが、pH7.0程度であるのが好ましい。
図3は、シリカゾルのpH値と反応速度との関係を示したグラフである(表面技術50巻2号161〜164頁、「ゾル−ゲル法のやさしい概要とその用途」、土岐元幸著、参照)。
図3に示すように、pH5.0〜7.0の領域では、縮重合反応速度の方が加水分解反応速度よりも速い。そのため、前記加水分解・縮重合によって、複数の鎖状のシロキサンオリゴマーが結合してなる架橋構造を有するシロキサンオリゴマーやリニア型のシロキサンオリゴマー等のバインダー成分と、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化したシリカ系微粒子とが生成される。
また、加水分解・縮重合の反応時間は、特に限定されないが、0℃以上、20℃以下の低温で20時間以上、30時間以下程度であるのが好ましく、10℃で24時間程度であるのがより好ましい。前述したように、pH5.0〜7.0の環境下では、シロキサンオリゴマーの縮重合反応が比較的早いため、上記のような時間とすることにより、上記の反応を確実かつ充分に行うことができる。
次に、例えば、液体Bに必要に応じて溶媒を混合することにより、塗膜1を形成するための成膜用塗布液が得られる。
また、バインダー成分として架橋構造を有するシロキサンオリゴマーを含むため、このような成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜1は、密着性、膜強度、耐擦傷性に優れたものとなる。
塗膜1は、例えば、下記のように形成することができる。
[塗布工程]
まず、レンズ基板100(ハードコート層103)上に成膜用塗布液を塗布する。塗布方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコーター法、転写法等の塗布方法を用いることができる。この中でも、スピンコート法を用いるのが好ましく、これにより、塗布膜の膜厚の均一性や低発塵性が優れたものとなる。
次に、レンズ基板100上に塗布された成膜用塗布液を、90℃〜110℃程度の温度で1分〜10分程度仮焼成する。仮焼成は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。
次に、仮焼成された成膜用塗布液を本焼成する。本焼成は、110℃〜130℃程度の温度で1時間〜2時間程度行う。本焼成は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。
以上の工程により、成膜用塗布液を用いて成膜された塗膜1が形成される。
以上、本発明の塗膜について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
ステンレス製容器内に、下記式(A)で表されるシラン化合物(アルコキシシラン)2.8重量部に、下記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1×10−3モル/Lの硝酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが4.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
ステンレス製容器内に、上記式(A)で表されるシラン化合物2.8重量部に、上記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1×10−3モル/Lの硝酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが4.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
ステンレス製容器内に、上記式(A)で表されるシラン化合物2.8重量部に、上記式(B)で表わされるハロゲン化シラン27.8重量部と、0.1モル/Lの塩酸水溶液152.9重量部とを加え、これをよく混合し、25℃でのpHが1.0の混合液を得た。この混合液を25℃で120時間攪拌して固形分10.0重量%の液体を得た。
上述した実施例1および比較例1の成膜用塗布液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル420部を加えて希釈してコーティング液を得た。次に、コーティング液をスピンコート法によりレンズ基板上に塗布し、これを100℃で10分間、大気中で仮焼成した。次に、120℃で1時間半、大気中で本焼成した。これにより塗膜を形成した。この塗膜の厚さ(平均厚さ)は、100nmであった。
なお、レンズ基板は、次のようにして得た。
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700重量部、水250重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000重量部を投入し、十分に攪拌したのち、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(アナターゼ型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20重量%、触媒化成工業(株)、商品名オプトレイク1120Z U−25・A8)2800重量部を加え撹拌混合した。次いでポリウレタン樹脂2200重量部を加えて攪拌混合した後、さらにシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7604)2重量部を加えて一昼夜撹拌を続けた後、2μmのフィルターでろ過を行い、プライマー組成物を得た。
ステンレス製容器内にブチルセロソルブ1000重量部を取り、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200重量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸300重量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製;商品名L−7001)30重量部を加えて1時間撹拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製;商品名オプトレイク1120Z 8RU−25、A17)7300重量部を加え2時間撹拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名デナコールEX−313)250重量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20重量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターでろ過を行い、ハードコート組成物を得た。
チオウレタン系プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名セイコースーパーソブリン生地、屈折率1.67)を準備した。そして、準備したレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2.0規定水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後に純水洗浄を行い、次いで25℃に保たれた0.5規定硫酸に1分間浸漬して中和する)し、純水洗浄及び乾燥、放冷を行った。そして、(1)において調製したプライマー組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/min.で引き上げて80℃で20分焼成し、レンズ基材表面にプライマー層を形成した。そして、プライマー層が形成されたレンズ基材を、(2)において調製したハードコート組成物中に浸漬し、引き上げ速度30cm/min.で引き上げて80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に設定したオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、ハードコート層の膜厚は2.5μmであった。
そして、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを、プラズマ処理(大気プラズマ)したものを前記レンズ基板として用いた。
(3−1)シリカ系微粒子凝集性
実施例1、2および比較例1の成膜用塗布液で成膜された塗膜を光学顕微鏡(オリンパス株式会社製 システム生物顕微鏡 BX50)を用いて観察し、塗膜1mm2当たりの凸部13の数を求めた。具体的には、塗膜を平面視にて観察し、存在する凸部の位置を把握したのち、各凸部の断面を観察することにより、各凸部の突出高さを求めた。そして、その高さが基準値(前述した2/3πabc≧1.0×10−12)以上の凸部のみを凸部13として、凸部13の数を求めた。その結果、実施例1の塗膜中に発生した凸部13が174個であり、実施例2の塗膜中に発生した凸部13が4個であり、比較例1の塗膜中に発生した凸部13が1069個であった。
レンズ基板上に形成した実施例1、2および比較例1の塗膜を、眼鏡フレーム形状に合わせて玉摺り加工した後、60℃の温水中に20日間浸漬させた。その後レンズ基板を温水中から取り出して水冷し、水滴を擦り取った後、目視で塗膜の膜剥がれの状態を下記のA〜Dの基準で評価した。その結果を下記の表1に示す。
A:全く膜剥がれがない(剥がれの面積率0%)
B:ほとんど膜剥がれがない(剥がれの面積率1〜19%)
C:やや剥がれが発生(剥がれの面積率20〜49%)
D:膜剥がれが発生(剥がれの面積率50%以上)
Claims (9)
- 基材上に形成され、少なくとも有機ケイ素化合物を含むバインダー成分と、シリカ系微粒子とを有する塗膜であって、
前記シリカ系微粒子が凝集してなる二次粒子に起因して前記塗膜の表面から突出した二次粒子部分を半楕円球状と仮定したとき、長半径をa、短半径をb、突出高さをcとしたとき2/3πabc≧1.0×10−12となる関係を満足する凸部が、1mm2あたり200個以下であることを特徴とする塗膜。 - 前記バインダー成分は、架橋構造を有するシロキサンオリゴマーおよびリニア型のシロキサンオリゴマーを含み、
前記シリカ系微粒子は、表面に鎖状のシロキサンオリゴマーがグラフト化している請求項1に記載の塗膜。 - 少なくとも鎖状のシロキサンオリゴマーを含む液体にシリカ系微粒子を加え、pH5.0〜7.0の環境下で前記液体中に含まれる前記鎖状のシロキサンオリゴマーを加水分解・縮重合して得られる成膜用塗布液を前記基材上に塗布し乾燥することにより形成される請求項1または2に記載の塗膜。
- 屈折率は、1.4以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の塗膜。
- 前記シリカ系微粒子は、中空シリカ粒子である請求項1ないし4のいずれかに記載の塗膜。
- 前記シリカ系微粒子の平均粒径は、5nm以上、200nm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の塗膜。
- 厚さは、50nm以上、200nm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の塗膜。
- 前記基材の熱膨張係数と等しい熱膨張係数を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の塗膜。
- 前記基材のヤング率よりも大きいヤング率を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の塗膜。
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