JPWO2017213097A1 - 防汚被覆膜および防汚被覆体 - Google Patents

防汚被覆膜および防汚被覆体 Download PDF

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Abstract

防汚被覆膜は、被覆対象物の表面に形成され、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である。有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、防汚被覆膜が形成されない表面での塵埃付着面積に対する、防汚被覆膜上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、防汚被覆膜の塵埃付着率は15%以下である。

Description

本発明は、塵埃等の「乾性」の汚れの付着を良好に防止または抑制する防汚被覆膜と、当該防汚被覆膜により表面が被覆された防汚被覆体に関する。
日常的に用いられる種々の物品は、当該物品の設置場所が屋内であるとしても、経時的に様々な汚れが付着する。代表的な汚れとしては、親水性の汚れ(ウェットな汚れ)、並びに、親油性の汚れ(オイリーな汚れ)が挙げられる。これらの汚れは、いずれも、水または油等の「液体」を媒体(溶媒または分散媒等)とする「湿性」の汚れである。
そのため、これらの汚れを防止する手法(防汚手法)としては、従来から、媒体である水または油を付着させにくくするために、物品の表面に撥水性または撥油性を付与することが行われている。例えば、特許文献1には、親水性の汚れおよび親油性の汚れの双方を防止するために、15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子とを含む、これらを所定の質量比で配合したコーティング組成物が開示されている。
ところで、物品の表面に付着する汚れは、前記のような「湿性」の汚れだけでなく、塵埃のように、水または油等の媒体を介さない「乾性」の汚れ(ドライな汚れ)も存在する。このような乾性の汚れを防止する防汚手法としては、代表的には、帯電防止性の付与が挙げられる。例えば、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂組成物の帯電防止性の持続性を優れたものとするために、特定の炭素数の脂肪酸を有するアミノエチルエタノールアミンの脂肪酸アミドを用いることが開示されている。
国際公開第2008/087877号パンフレット 特開2011−256293号公報
しかしながら、前述した従来の技術では、塵埃等の乾性の汚れを十分に防止または抑制することが困難となっている。
例えば、特許文献1に開示されているコーティング組成物は、湿性の汚れの防止を目的としており、親油性の汚れとして油煙または煙草のヤニを例示しているが、親水性の汚れとして粉塵を例示している(実施例では、関東ローム粉塵を用いている)。粉塵または塵埃には、親水性の汚れ(湿性の汚れ)としての側面だけでなく、乾性の汚れとしての側面が存在するので、特許文献1では、乾性の汚れの防止については十分に検討されていないことになる。また、特許文献2に挙げられるような帯電防止性の付与は、特に樹脂成形物等の分野で従来から広く用いられているが、乾性の汚れをより一層良好に防止または抑制する観点では、未だ検討の余地がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、乾性の(ドライな)汚れをより一層良好に防止または抑制することが可能な防汚手法を提供することを目的とする。
本発明者らが前記の課題に鑑み鋭意検討した結果、乾性の(ドライな)汚れの付着を防止するためには、帯電防止による静電引力の抑制に加えて、物品の表面におけるファンデルワールス力等を考慮する必要があることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本開示に係る防汚被覆膜は、前記の課題を解決するために、被覆対象物の表面に形成され、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である被覆膜であり、さらに、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、前記被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記被覆膜上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、当該塵埃付着率が15%以下である構成である。
また、本開示に係る防汚被覆体は、前記の課題を解決するために、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である防汚被覆膜により、被覆対象物における防汚対象となる表面を被覆してなり、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、前記防汚被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記防汚被覆膜により構成される被覆表面上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、当該塵埃付着率が15%以下である構成である。
本発明では、以上の構成により、乾性の(ドライな)汚れをより一層良好に防止または抑制することが可能な防汚手法を提供することができる、という効果を奏する。
本開示に係る防汚被覆膜に対して塵埃が付着している状態を示す概略模式図である。 本開示の実施例および比較例の結果であって、防汚被覆膜の凸部の曲率半径と塵埃付着率との関係を示すグラフである。
本開示に係る防汚被覆膜は、被覆対象物の表面に形成され、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である被覆膜であり、さらに、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、前記被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記被覆膜上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、当該塵埃付着率が15%以下である構成である。
前記構成によれば、防汚被覆膜は、基本的にナノ粒子で構成されているとともに、凸部の曲率半径が塵埃のファンデルワールス力または液架橋力を小さくするような値になっている。そのため、前述した混合模擬塵埃による塵埃付着率が15%以下に抑えられるので、帯電防止剤を用いる従来の一般的な防汚手法に比べて塵埃付着率を大幅に低減することができる。その結果、乾性の(ドライな)汚れをより一層良好に防止または抑制することが可能な防汚手法を実現することができる。
前記構成の防汚被覆膜においては、前記凸部の曲率半径が5nm以上である構成であってもよい。
前記構成の防汚被覆膜においては、隣接する前記凸部の頂点同士の間隔に対する前記凸部の高さの比をアスペクト比としたときに、当該アスペクト比が1.0以下である構成であってもよい。
また、前記構成の防汚被覆膜においては、前記ナノ粒子が、金属ナノ粒子、無機酸化物ナノ粒子、無機窒化物ナノ粒子、無機カルコゲン化物ナノ粒子、(メタ)アクリル系樹脂ナノ粒子、フッ素樹脂ナノ粒子からなる群より選択される少なくとも1種である構成であってもよい。
本開示に係る防汚被覆体は、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である防汚被覆膜により、被覆対象物における防汚対象となる表面を被覆してなり、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、前記防汚被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記防汚被覆膜により構成される被覆表面上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、当該塵埃付着率が15%以下である構成である。
前記構成によれば、防汚被覆体の表面には、基本的にナノ粒子で構成され、凸部の曲率半径が塵埃のファンデルワールス力または液架橋力を小さくするような値に制御され、さらに、前述した混合模擬塵埃による塵埃付着率が15%以下抑えられた構成の防汚被覆膜が設けられている。これにより、帯電防止剤を用いる従来の一般的な防汚手法に比べて塵埃付着率を大幅に低減することができる。その結果、乾性の(ドライな)汚れをより一層良好に防止または抑制することが可能な防汚手法を実現することができる。
前記構成の防汚被覆体においては、前記防汚被覆膜の前記曲率半径が30nm以下であり、前記被覆表面における前記塵埃付着率が10%以下である構成であってもよい。
前記構成の防汚被覆体においては、前記防汚被覆膜の前記凸部の曲率半径が5nm以上である構成であってもよい。
また、前記構成の防汚被覆体は、前記混合模擬塵埃が、無機系の模擬塵埃であるけい砂と、有機系の模擬塵埃である、コットンリンタおよびコーンスターチとの3種で構成され、予め前記被覆表面を除電してから前記混合模擬塵埃を付着させる構成であってもよい。
また、前記構成の防汚被覆体においては、前記被覆対象物が、家電製品またはその部品である構成であってもよい。
以下、本開示の代表的な構成例について、具体的に説明する。
[防汚被覆膜]
本開示に係る防汚被覆膜は、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有する膜である。防汚被覆膜を構成するナノ粒子は特に限定されないが、代表的には、金属ナノ粒子、無機酸化物ナノ粒子、無機窒化物ナノ粒子、無機カルコゲン化物ナノ粒子(無機酸化物ナノ粒子を除く)、(メタ)アクリル系樹脂ナノ粒子、フッ素樹脂ナノ粒子等を挙げることができる。
具体的には、例えば、金属ナノ粒子としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄白金(FePt)等の周期表第11族元素またはその合金;ニッケル(Ni,第10族元素)、スズ(Sn,第14族元素)等の周期表第11族元素以外のメッキ用金属元素等を挙げることができる。また、無機酸化物ナノ粒子としては、シリカ(酸化ケイ素、SiO2 )、酸化イットリウム(Y23)、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化チタン(TiO2 )、酸化インジウム(In23)等を挙げることができる。無機窒化物ナノ粒子としては、窒化ガリウム(GaN)等を挙げることができる。無機カルコゲン化物ナノ粒子としては、セレン化カドミウム(CdSe)等を挙げることができる。(メタ)アクリル系樹脂ナノ粒子としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等を挙げることができる。フッ素樹脂ナノ粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。
これらナノ粒子は、基本的には、1種類のみで防汚被覆膜を構成するが、複数種類が組み合わせられて防汚被覆膜を構成することもできる。これらの中でも、汎用性、コスト、後述する曲率半径の調整のしやすさ等から、シリカナノ粒子が特に好ましく用いられる。また、防汚被覆膜は、基本的には、ナノ粒子のみで構成されるが、防汚被覆膜による防汚性能を妨げない限りでナノ粒子以外の成分を含んでもよい。例えば、防汚被覆膜は、ナノ粒子に加えて帯電防止剤を含んでもよい。
ナノ粒子の粒径は、特に限定されず、本実施の形態では、数nm〜数百nmの範囲内であればよい。ナノ粒子の粒径の測定方法は特に限定されず、公知の方法(拡散法、慣性法、沈降法、顕微鏡法、光散乱回折法等)を好適に用いることができる。本実施の計値では、公知の方法で測定された粒径がナノレベルにあればよい。
防汚被覆膜は、微細な凹凸を含んでいれば、それ以外の具体的構成は特に限定されない。例えば、防汚被覆膜の膜厚は特に限定されないが、一般的には、10nm〜10μm(10,000nm)の範囲内であればよく、透明性を得る場合には、10〜200nmの範囲内であることが好ましい。なお、膜厚の測定方法は特に限定されないが、本実施の形態では、後述する実施例で説明するように、電子顕微鏡により被覆断面を観察し、複数の観察画像から測定した膜厚の平均値を算出している。
防汚被覆膜の具体的な形成方法(製造方法)は特に限定されず、ナノ粒子による微細な凹凸を形成することが可能であれば、公知のさまざまな方法を用いることができる。代表的な形成方法としては、ゾルゲル法、ナノインプリント、陽極酸化金型を用いた転写、サンドブラスト、セラミックスの自己組織化等を挙げることができる。
防汚被覆膜が有する微細な凹凸形状は、その凸部の曲率半径が100nm以下であればよく、望ましくは30nm以下であればよい。ここでいう「凸部の曲率半径」は、複数の凸部の曲率半径の平均値である。凸部の曲率半径が100nmを超えると、防汚被覆膜は良好な防汚性能を発揮できなくなるおそれがある。
また、防汚被覆膜における凸部の曲率半径の上限は、前記の通り100nm以下であるが、下限については特に限定されない。好ましい下限としては、5nm以上を挙げることができる。凸部の曲率半径が5nm未満であれば、防汚被覆膜の具体的な構成、被覆対象物の種類、被覆対象物の表面状態等といった諸条件にもよるが、表面の凸部が小さくなりすぎて良好な防汚性能を発揮できない場合がある。
なお、凸部の曲率半径の測定方法は特に限定されないが、本実施の形態では、後述する実施例で説明するように、断面を顕微鏡等で観察することにより測定している。なお、防汚被覆膜が球状粒子で構成されている場合には、その球状粒子の半径を凸部の曲率半径としている。
凸部の曲率半径の上限は、乾性の汚れとしての塵埃(乾性塵埃)の付着要因に基づき導き出すことができる。乾性塵埃の付着要因は、一般的には、下記式(1)に示すように、液架橋力FL 、ファンデルワールス力FV および静電引力FE の和が、重力よりも大きくなることである。
Figure 2017213097

従来では、乾性塵埃の付着要因としては、静電引力FE に重点が置かれており、液架橋力FL またはファンデルワールス力FV についてはほとんど考慮されていなかった。それゆえ、例えば特許文献2に例示されるように、物品に付与される帯電防止性の向上が検討されていた。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、微細な乾性塵埃においては、液架橋力FL およびファンデルワールス力FV が無視できない影響を与えることを独自に見出した。
ファンデルワールス力FV は、固体表面で生じる付着または吸着等の現象を支配する要因であり、下記式(2)に示すように、乾性塵埃の相対半径Rs を用いて表すことができる。なお、式(2)におけるAは、ハマカー(Hamaker)定数であり、異なる固体間に作用するファンデルワールス力を決定する定数であり、dは、異なる固体間の距離である。乾性塵埃が物品の表面に付着(接触)している状態では、dは、カットオフ距離(0.15nm)となる。
Figure 2017213097

液架橋力FL は、固体同士の接触部位におけるごく狭い空間に液体が存在すると発生する力であり、下記式(3)に示すように、ファンデルワールス力FV と同様に、乾性塵埃の相対半径Rs を用いて表すことができる。なお、式(3)におけるγL は、液体の表面張力であり、θ1 およびθ2 は接触角である。
Figure 2017213097

ここで、従来では、相対半径Rs は、乾性塵埃が平坦な面に接触している場合には乾性塵埃の半径R1 に等しいと見なされ(Rs =R1 )、乾性塵埃同士が接触している場合には、2つの乾性塵埃の半径の積(R12 )を、2つの乾性塵埃の半径の和(R1 +R2 )で除算した値(Rs =R12 /(R1 +R2 ))として算出されていた。これに対して、防汚被覆膜をナノ粒子で構成した場合には、相対半径Rs は、防汚被覆膜の凸部の曲率半径に支配される可能性が高いことが本発明者らにより独自に見出された。
この点について、図1を参照して説明する。図1では、乾性塵埃10および防汚被覆体20を模式的に図示している。防汚被覆体20は、被覆対象物22の表面に防汚被覆膜21が形成された構成であり、防汚被覆膜21には、複数の凸部23が形成されている。この複数の凸部23により乾性塵埃10の付着が抑制されることになる。
ここで、乾性塵埃10を半径R1 の球と見なし、防汚被覆膜21の凹凸が、曲率半径rを有する理想的な凸部23により形成されているとすれば、相対半径Rs は、乾性塵埃10の半径R1 と曲率半径rとの積(R1 r)を、乾性塵埃10の半径R1 と曲率半径rとの和(R1 +r)で除算した値(Rs =R1 r/(R1 +r))として算出することができる。これにより、乾性塵埃10の半径R1 に対して相対半径Rs を小さくするように曲率半径rを調整すれば、乾性塵埃10の付着性を大幅に低減させることが可能となる。
さらに、防汚被覆膜21においては、凸部23を構成するナノ粒子のアスペクト比を好適な範囲内に限定することで、乾性塵埃10の付着性をより低減することが可能となる。本実施の形態では、アスペクト比は、図1に示すように、隣接する凸部23の頂点同士の間隔をWとし、凸部23の高さ(凹部の底から凸部23の頂点までの間隔)をHとしたときに、凸部23の頂点同士の間隔Wに対する凸部23の高さHの比(アスペクト比=H/W)で定義される。なお、図1におけるTは、防汚被覆膜21の膜厚であり、凸部23の高さHは膜厚Tよりも小さな値となる。
アスペクト比は、1.0以下であればよく、望ましくは0.5以下であればよい。アスペクト比が1.0を超えると、凸部23の曲率半径が100nmを超えるおそれがあり、防汚被覆膜21は良好な防汚性能を発揮できなくなるおそれがある。また、凸部23の高さHおよび凸部23同士の間隔Wの計測方法は特に限定されず、膜厚Tと同様に、電子顕微鏡により被覆断面を観察し、複数の観察画像から測定した高さHおよび間隔Wの平均値を算出すればよい。
また、防汚被覆膜21においては、その表面粗さは特に限定されないものの、2.5〜100nmの範囲内であることが好ましく、5〜50nmの範囲内であることがより好ましい。表面粗さがこの範囲内であれば、防汚被覆膜21は良好な防汚性能を発揮することができる。なお、表面粗さの測定(評価)方法は特に限定されず、例えば、レーザ顕微鏡または原子間力顕微鏡(AFM)を用いて算術平均粗さRaを測定(評価)し、JIS B0601に基づいて算出すればよい。
[防汚被覆膜の塵埃付着率]
前記構成の防汚被覆膜は、その塵埃付着率が15%以下となっている。ここで、本開示における塵埃付着率とは、防汚被覆膜が形成されない被覆対象物の表面(被覆前表面)における模擬塵埃の付着量に対する、防汚被覆膜が形成された被覆対象物の表面(防汚被覆膜により構成される被覆表面)における模擬塵埃の付着量として算出される。
塵埃付着率の算出に用いられる模擬塵埃は、本開示においては、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃が好適に用いられる。有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃の具体的な種類は特に限定されないが、JIS(日本工業規格)等のような各種規格で定められる試験用粉体等を好適に用いることができる。また、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃は、いずれも1種類であってもよいが、2種類以上が組み合わせて用いられることが好ましい。
本開示では、後述する実施例に示すように、無機系の模擬塵埃として2種のけい砂を用いるとともに、有機系の模擬塵埃として、コットンリンタおよびコーンスターチを用いている。具体的なけい砂としては、JIS Z 8901に規定される1種けい砂および3種けい砂の2種類が用いられる。コットンリンタとしては、公益社団法人日本空気清浄協会(JACA)により試験用粉体の1種として販売されるものが用いられる。コーンスターチは市販のものである。けい砂は無機系塵埃の付着を評価するために用いられ、コットンリンタは有機系塵埃のうち繊維系塵埃の付着を評価するために用いられ、コーンスターチは有機系塵埃のうち粉体系塵埃(粉塵、粒系塵埃)の付着を評価するために用いられる。
特許文献1の実施例および比較例では、模擬塵埃として、関東ローム粉塵またはカーボンブラックをそれぞれ単独で用いて、塵埃の付着性(防汚性能)を評価している。しかしながら、通常、生活空間に存在する塵埃は多種多様なものが混在しているため、本開示のように、乾性の汚れの防汚性能を評価する上では、単独種の塵埃をそれぞれ用いて付着性(防汚性能)を評価しても、十分な評価結果を得ることができない。また、関東ローム粉塵は、親水性の汚れの評価用に用いられており、カーボンブラックは、親油性の汚れの評価用に用いられている。
これに対して、本開示では、乾性の汚れとして、単独の模擬塵埃を用いずに、生活空間に存在する実際の塵埃をモデル化し、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を用いている。そのため、乾性の汚れの防汚性能を良好に評価することができる。また、乾性の汚れである粉体系塵埃の中には、関東ローム粉塵のように親水性を呈するものも含まれるが、本開示の混合模擬塵埃では、有機系の模擬塵埃として、繊維径塵埃であるコットンリンタに加えて、粉体系塵埃として、親水性であるコーンスターチを用いている。コーンスターチは、乾燥状態では乾性の汚れとして振る舞うが、湿気が存在すると、吸水して親水性の汚れとしても振る舞い得る。粉体系塵埃として、このような特性を有するコーンスターチを用いることで、実際の塵埃に対する防汚性能を良好に評価することが可能となる。
塵埃付着率は、前述したように、被覆対象物における防汚被覆膜の被覆前表面における混合模擬塵埃の付着量に対する、防汚被覆膜による構成される被覆表面における混合模擬塵埃の付着量の比率として定義される。本開示では、被覆前表面または被覆表面における混合模擬塵埃の付着量は、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する混合模擬塵埃の面積比率として算出される。なお、この面積比率を塵埃付着面積とする。被覆前表面での塵埃付着面積をA0 とし、被覆表面での塵埃付着面積をA1 としたときに、塵埃付着率AR は、次式(4)で算出することができる。
Figure 2017213097

防汚被覆膜の塵埃付着率は15%以下であればよいが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。塵埃付着率が15%以下であれば、目視による塵埃の付着が目立たないため、十分な防汚性能が得られていると判断することができる。
塵埃付着率を算出する際には、被覆対象物として種々の材質の断片を用いることができ、この被覆対象物の表面に防汚被覆膜を形成することで、塵埃付着率を評価するための評価用サンプルとする。評価用サンプルにおいて、防汚被覆膜が形成された表面を「被覆表面」としたときに、混合模擬塵埃は、この被覆表面に付着させることになるが、混合模擬塵埃を付着させる前に、評価用サンプルを除電することが好ましい。
また、評価用サンプルに混合模擬塵埃を付着させる方法、並びに、付着した混合模擬塵埃をふるい落す方法も特に限定されず、種々の方法を好適に用いることができる。例えば、後述する実施例では、混合模擬塵埃を被覆表面に所定量堆積させてから、評価用サンプルを垂直に傾けて落下させることにより、混合模擬塵埃をふるい落している。また、光学顕微鏡による被覆表面の画像撮影についても特に限定されず、混合模擬塵埃を観察可能な倍率で複数の画像を撮影すればよい。撮影した画像の二値化処理についても特に限定されず、公知の画像処理ソフトウェア等を用いればよい。
[防汚被覆体]
本開示に係る防汚被覆体は、被覆対象物の表面を前述した防汚被覆膜で被覆して成るものであればよい。前記の通り、防汚被覆膜は、凸部の曲率半径が100nm以下、望ましくは30nm以下であるとともに、望ましくは凸部の曲率半径が5nm以上であり、塵埃付着率が15%以下に抑えられているので、優れた防汚性能を発揮できるものとなっている。
本開示に係る防汚被覆体の具体的な種類または具体的な構成については特に限定されず、防汚性能を付与したい物品を被覆対象物として、前述した防汚被覆膜を被覆すればよい。代表的な被覆対象物としては、家電製品またはその部品を挙げることができる。家電製品またはその部品に対して防汚被覆膜を形成することにより、家電製品に乾性の汚れが付着しにくくなり、掃除の頻度を減らすことができる。また、特定の場所に設置された家電製品であれば、乾性の汚れとして、浮遊する塵埃が当該家電製品の上面に堆積することがあるが、当該上面に本開示に係る防汚被覆膜を形成しておけば、軽くふき取る程度の掃除で、堆積した塵埃を容易に除去することができる。
具体的な家電製品としては、例えば、エアコン(空気調和機)、扇風機、掃除機、空気清浄機、換気扇、ドライヤー等のように、使用時に風を生成する家電製品;テレビ、冷蔵庫、電子レンジ等のように、特定の場所に設置して使用する家電製品;等を挙げることができる。
風を生成する家電製品の場合、風の生成機構に塵埃が蓄積されて乾性の汚れとして付着しやすいため、本開示に係る防汚被覆膜を形成することで、風の生成機構に乾性の汚れが付着することを有効に抑制することができる。例えば、エアコンでは、熱交換器、ルーバー、クロスフローファン等に塵埃が蓄積されやすいが、これら部品に防汚被覆膜を形成することで、乾性の汚れの付着を有効に防止することができる。言い換えれば、本開示に係る防汚被覆体は、エアコンという完成した家電製品だけでなく、エアコンを構成する熱交換器、ルーバー、クロスフローファン等といった家電製品の部品も含まれる。なお、防汚被覆体としての部品は、家電製品の種類および構造等により異なるため、エアコンの熱交換器等に限定されないことは言うまでもない。
このように、本開示によれば、防汚被覆膜は、基本的にナノ粒子で構成されているとともに、凸部の曲率半径が塵埃のファンデルワールス力または液架橋力を小さくするような値になっている。そのため、混合模擬塵埃による塵埃付着率が15%以下に抑えられるので、帯電防止剤を用いる従来の一般的な防汚手法に比べて塵埃付着率を大幅に低減することができる。その結果、乾性の(ドライな)汚れをより一層良好に防止または抑制することが可能な防汚手法を実現することができる。
本発明について、実施例、比較例、および参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例、比較例、および参考例における凸部の曲率半径の測定、膜厚の測定、塵埃付着率の評価は次に示すようにして行った。
(膜厚および凸部の曲率半径の測定方法)
電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ、製品名:S−5500)により、観察倍率10,000〜200,000倍の範囲内で、0.2〜60μm2 の範囲で被覆断面を観察し、当該被覆断面の画像を5箇所撮影した。膜厚は、得られた5つの画像からそれぞれ膜厚寸法を測定し、その平均値を用いた。また、曲率半径は、これら画像から断面の凸部の曲率半径の寸法を測定して、その平均値を用いた。
(塵埃付着率の評価方法)
静電気測定器(シムコジャパン(株)製、商品名FMX−004)により評価用サンプルの帯電電位を測定しながら、イオナイザー((株)島津製作所製、商品名STABLO−EX)を用いて、当該評価用サンプルを除電し、帯電電位を0±0.1kVの範囲内に調整した。次に、混合模擬塵埃を約0.3g/cm2 の量となるように、評価用サンプルの被覆表面に堆積させた。その後、評価用サンプルを傾けて垂直状態に立設させ、この垂直状態を維持したまま、1cmの高さから机上に落下させ、付着した混合模擬塵埃をふるい落とした。この垂直状態の落下によるふるい落としは3回繰り返した。
その後、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、製品名:SZX7)により、観察倍率10〜20倍の範囲内で、1〜4cm2 の範囲内で被覆表面を観察し、当該被覆表面の画像を5箇所撮影した。得られた5つの画像を、画像処理ソフト(製品名ImageJ[オープンソース、パブリックドメインのフリーソフトウェア]、または、商品名Adobe Photoshop[Adobe Systems Incorporated製])により二値化した。これにより、被覆表面の塵埃付着面積A1 を算出した。
防汚被覆膜を形成しない評価用サンプルの表面(被覆前表面)についても、同様にして塵埃付着面積A0 を算出し、これら塵埃付着面積A0 およびA1 から、前述した式(4)により塵埃付着率AR を算出した。
(実施例1)
混合模擬塵埃としては、前述したように、3種けい砂、1種けい砂、コットンリンタ、およびコーンスターチをそれぞれ同量で混合したものを用いた。
被覆対象物(基材)としてスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、製品名:白縁磨No.1)を用い、このスライドガラスの表面に、ゾルゲル法によりシリカナノ粒子で構成される防汚被覆膜を形成し、実施例1の評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルにおける防汚被覆膜の凸部の曲率半径は21nmであり、その膜厚は130nmであり、塵埃付着率AR は1.3%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、横軸が凸部の曲率半径で縦軸が塵埃付着率のグラフ(曲率半径−塵埃付着率グラフ)に黒丸のシンボルでプロットした。
(参考例)
公知の帯電防止剤を添加したABS樹脂の板片を、参考評価用サンプルとした、この参考評価用サンプルの表面には、実質的な凹凸は生じておらず平坦であった。帯電防止剤を添加しないABS樹脂の板片を準備して、実施例1と同様にして塵埃付着面積A0 を算出するとともに、参考評価用サンプルの塵埃付着面積A1 を算出し、前述した式(4)により塵埃付着率AR を算出した。その結果は89%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、曲率半径−塵埃付着率グラフに三角形のシンボルでプロットした。
(比較例1)
被覆対象物(基材)であるスライドガラスの表面に、市販のフッ素樹脂膜(ダイキン工業株式会社製、製品名:オプツールDSX)を形成し、比較例1の評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルにおけるフッ素樹脂膜には、実質的な凹凸は生じておらず平坦であった。この評価用サンプルの塵埃付着率AR は17%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、曲率半径−塵埃付着率グラフに菱型のシンボルでプロットした。
(比較例2)
市販のシーリングライト(パナソニック株式会社製、製品名LGBZ1142)に用いられている防汚被覆膜について、実施例1と同様に凸部の曲率半径を測定し、塵埃付着率AR を評価した。防汚被覆膜であるシリカ粒子膜が形成されたシーリングライトのカバー部分の一部を切り取り、比較例2の評価用サンプルとした。この評価用サンプルにおけるシリカ粒子膜の凸部の曲率半径は200nmであり、塵埃付着率AR は17%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、曲率半径−塵埃付着率グラフに白丸のシンボルでプロットした。
(比較例3)
市販のダクト用換気扇(シロッコファン、三菱電機株式会社製、VD−15ZLX9−IN)に用いられる防汚被覆膜について、実施例1と同様に凸部の曲率半径を測定し、塵埃付着率AR を評価した。防汚被覆膜であるシリカ粒子膜が形成された換気扇のファン部分の一部を切り取り、比較例3の評価用サンプルとした。この評価用サンプルにおけるシリカ粒子膜の凸部の曲率半径は300nmであり、塵埃付着率ARは17%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、曲率半径−塵埃付着率グラフに白丸のシンボルでプロットした。
(比較例4)
市販のダクト用換気扇(シロッコファン、三菱電機株式会社製、VD−15ZLX10−IN)に用いられる防汚被覆膜について、実施例1と同様に凸部の曲率半径を測定し、塵埃付着率AR を評価した。防汚被覆膜であるシリカ粒子膜が形成された換気扇のファン部分の一部を切り取り、比較例4の評価用サンプルとした。この評価用サンプルにおけるシリカ粒子膜の凸部の曲率半径は500nmであり、塵埃付着率ARは28%であった。また、算出された塵埃付着率AR の値を、図2に示すように、曲率半径−塵埃付着率グラフに白丸のシンボルでプロットした。
(実施例、参考例および比較例の対比)
図2に示すように、実施例1の評価用サンプルでは、凸部の曲率半径は100nm以下(21nm)であり、塵埃付着率は1.3%であるのに対して、従来のフッ素樹脂を被覆した比較例1の評価用サンプル、並びに、従来のシリカ粒子膜を被覆した比較例2〜4の評価用サンプルは、いずれも塵埃付着率が17%以上となっていた。
また、参考例では、防汚被覆膜を形成する代わりに、帯電防止性を付与した構成であるが、この参考例では、塵埃付着率が非常に高い。これら結果により、本開示に係る防汚被覆膜であれば、従来の防汚被覆膜に比べて、乾性の汚れの付着を有効に防止または抑制できること、並びに、帯電防止性の付与では、塵埃付着率を有効に低減できないことがわかる。
さらに、図2において、実施例1、参考例、比較例1〜3の結果の対比から、凸部の曲率半径が100nm以下であればよいことがわかるが、より好ましい範囲としては、例えば、5nm以上30nm以下の範囲内であればよいことがわかる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、乾性の汚れの付着を防止または抑制する分野において広く好適に用いることができる。
10 乾性塵埃
20 防汚被覆体
21 防汚被覆膜
22 被覆対象物
23 凸部

Claims (9)

  1. 被覆対象物の表面に形成され、少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である被覆膜であり、
    さらに、有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、
    前記被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記被覆膜上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、
    当該塵埃付着率が15%以下であることを特徴とする、
    防汚被覆膜。
  2. 前記凸部の曲率半径が5nm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の防汚被覆膜。
  3. 隣接する前記凸部の頂点同士の間隔に対する前記凸部の高さの比をアスペクト比としたときに、当該アスペクト比が1.0以下であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の防汚被覆膜。
  4. 前記ナノ粒子が、金属ナノ粒子、無機酸化物ナノ粒子、無機窒化物ナノ粒子、無機カルコゲン化物ナノ粒子、(メタ)アクリル系樹脂ナノ粒子、フッ素樹脂ナノ粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の防汚被覆膜。
  5. 少なくともナノ粒子により構成され、凹凸を有するとともに、凸部の曲率半径が100nm以下である防汚被覆膜により、被覆対象物における防汚対象となる表面を被覆してなり、
    有機系の模擬塵埃および無機系の模擬塵埃を混合した混合模擬塵埃を付着させてふるい落とした後に、光学顕微鏡で撮影した画像を二値化処理することにより算出される、残存する前記混合模擬塵埃の面積比率を、塵埃付着面積とし、
    前記防汚被覆膜が形成されない前記表面での塵埃付着面積に対する、前記防汚被覆膜により構成される被覆表面上での塵埃付着面積の比率を塵埃付着率としたときに、
    当該塵埃付着率が15%以下であることを特徴とする、
    防汚被覆体。
  6. 前記防汚被覆膜の前記曲率半径が30nm以下であり、
    前記被覆表面における前記塵埃付着率が10%以下であることを特徴とする、
    請求項5に記載の防汚被覆体。
  7. 前記防汚被覆膜の前記凸部の曲率半径が5nm以上であることを特徴とする、
    請求項5または6に記載の防汚被覆体。
  8. 前記混合模擬塵埃が、無機系の模擬塵埃であるけい砂と、有機系の模擬塵埃である、コットンリンタおよびコーンスターチとの3種で構成され、
    予め前記被覆表面を除電してから前記混合模擬塵埃を付着させることを特徴とする、
    請求項5から7のいずれか1項に記載の防汚被覆体。
  9. 前記被覆対象物が、家電製品またはその部品であることを特徴とする、
    請求項5から8のいずれか1項に記載の防汚被覆体。
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