JP2014205332A - 防汚性部材、熱交換器、空気調和機、並びにコーティング組成物及びその製造方法 - Google Patents

防汚性部材、熱交換器、空気調和機、並びにコーティング組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】親水性及び疎水性の両方の汚れに対して優れた防汚性能を有し、特に、大きな汚れに対する付着防止効果及び汚れ除去効果に優れたコーティング膜を有する防汚性部材を提供することを課題とする。【解決手段】基材と、前記基材上に形成されたコーティング膜とを有する防汚性部材であって、前記コーティング膜が、シリカ粒子及びフッ素樹脂粒子を含む凝集体とフッ素樹脂粒子とが分散し且つ表面に露出して存在する有機樹脂被膜であることを特徴とする防汚性部材とする。【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性部材、熱交換器、空気調和機、並びにコーティング組成物及びその製造方法に関する。
室内外で使用される各種物品の表面には、粉塵、油煙及び煙草のヤニ等の様々な汚れが付着する。そのため、このような汚れの付着を防止する方法、及び付着した汚れの除去を容易にする方法が検討されている。例えば、各種物品の表面に帯電防止剤をコーティングすることにより、粉塵等の親水性の汚れの静電的な付着を防止し得ることが知られている。また、各種物品の表面に撥油性のフッ素樹脂をコーティングすることにより、油煙等の親油性の汚れを除去し易くし得ることが知られている。
しかしながら、上記のような方法では、形成されたコーティング膜が剥離又は劣化し易いため、長期間の防汚性能を維持することができないという問題がある。ここで、本明細書における「防汚性能」とは、汚れが付着し難い性能及び/又は付着した汚れが除去され易い性能のことを意味する。
そこで、親水性部分と疎水性部分とが微小領域で相互に独立して露出するコーティング膜を形成することにより、長期間にわたって防汚性能を維持する方法が試みられている。例えば、このような特徴を有するコーティング膜として、親水性微粒子に由来する親水性部分と、アルコキシシランに由来する疎水性部分とからなるミクロ相分離構造を有する樹脂塗膜が提案されている(特許文献1参照)。
また、各種物品の中でも建物や自動車等に使用される空気調和機の熱交換器では、冷媒が通る流路(パイプ)に取り付けられたフィンに汚れが付着すると、その汚れによって空気の通風路が狭くなり、熱交換器の熱交換効率が低下することがある。また、空気調和機の熱交換器では、冷房時に発生する凝縮水が水滴となり、この水滴が、冷媒が通る流路(パイプ)に取り付けられたフィンの間にブリッジを形成して空気の通風路を狭める結果、熱交換器の熱交換効率を低下させることがある。さらに、この水滴は、空気調和機から水滴が飛び出す露飛びという現象も生じさせる。そのため、これらの問題の原因となる汚れや水滴を付着し難くするコーティング膜を形成することも必要とされている。
そこで、光触媒性酸化物粒子に由来する親水性部分と、撥水性フッ素樹脂に由来する疎水性部分の双方が表面に微視的に分散された構造を有するコーティング膜が提案されている(特許文献2参照)。また、シリコーン樹脂又はシリカに由来する親水性部分と、撥水性フッ素樹脂に由来する疎水性部分の双方が表面に微視的に分散された構造を有し、且つ親水性部分の親水性を恒久的に維持するために光触媒性酸化物粒子を存在させたコーティング膜が提案されている(特許文献3及び4参照)。さらに、シリカ超微粒子に由来する親水性部分と、フッ素樹脂粒子に由来する疎水性部分とが混在したコーティング膜が提案されている(特許文献5参照)。
特開2003−160681号公報 特開平10−47890号公報 特開平10−132483号公報 特開2001−88247号公報 国際公開第2008/087877号
しかしながら、引用文献1〜5のコーティング膜はいずれも、親水性部分と疎水性部分とを表面に露出させた構造を有しているため、親水性及び疎水性の両方の汚れに対する防汚性能を有しているものの、特に、大きな汚れに対する付着防止効果及び汚れ除去効果が十分であるとは言えない。これは、コーティング膜の表面が比較的平滑であり、大きな汚れとコーティング膜の表面との間の接触面積が大きいことに起因している。実際、大きな汚れは、引用文献1〜5のコーティング膜の表面に付着し易く、また一旦付着すると固着してしまうために除去し難い。また、引用文献2〜4のコーティング膜は、光触媒性酸化物による親水化が前提となっているため、光照射が十分でない場合には防汚性能自体が十分に得られないという問題がある。
従って、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、親水性及び疎水性の両方の汚れに対して優れた防汚性能を有し、特に、大きな汚れに対する付着防止効果及び汚れ除去効果に優れたコーティング膜を有する防汚性部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の防汚性能に加えて、熱交換効率の低下及び露飛びが起こり難いコーティング膜を有する熱交換器及び空気調和機を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記の特性を有するコーティング膜を与えるコーティング組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、シリカ粒子及びフッ素樹脂粒子を含む凝集体をフッ素樹脂粒子と共に有機樹脂被膜に含有させることで、従来の平滑なコーティング膜に比べて大きな凹凸構造を有するコーティング膜を形成することができ、大きな汚れとコーティング膜の表面との間の接触面積を低減して大きな汚れに対する付着防止効果を向上させ得ると共に、コーティング膜のベースである有機樹脂被膜の膨潤効果によって汚れ除去効果を向上させ得ることを見出した。
すなわち、本発明は、基材と、前記基材上に形成されたコーティング膜とを有する防汚性部材であって、前記コーティング膜が、シリカ粒子及びフッ素樹脂粒子を含む凝集体とフッ素樹脂粒子とが分散し且つ表面に露出して存在する有機樹脂被膜であることを特徴とする防汚性部材である。
また、本発明は、上記の防汚性部材を備えた熱交換器であって、冷媒が通るパイプと、前記パイプに取り付けられた多数枚のフィンとを具備し、前記パイプ及び前記フィンの少なくともいずれかの表面に前記コーティング膜が形成されていることを特徴とする熱交換器である。
また、本発明は、上記の防汚性部材を備えた空気調和機であって、ファンと、熱交換器と、ベーンと、フラップとを具備し、前記ファン、前記熱交換器、前記ベーン及び前記フラップの少なくともいずれかの表面に前記コーティング膜が形成されていることを特徴とする空気調和機である。
また、本発明は、シリカ粒子、フッ素樹脂粒子、有機樹脂、凝集剤及び溶媒を含むコーティング組成物であって、前記凝集剤によって前記シリカ粒子と前記フッ素樹脂粒子の少なくとも一部との凝集体が形成されていることを特徴とするコーティング組成物である。
さらに、本発明は、上記のコーティング組成物の製造方法であって、前記シリカ粒子及び前記凝集剤を前記溶媒に加えて混合した後、前記フッ素樹脂粒子及び前記有機樹脂をさらに加えて混合することを特徴とするコーティング組成物の製造方法である。
本発明によれば、親水性及び疎水性の両方の汚れに対して優れた防汚性能を有し、特に、大きな汚れに対する付着防止効果及び汚れ除去効果に優れたコーティング膜を有する防汚性部材を提供することができる。また、本発明によれば、上記の防汚性能に加えて、熱交換効率の低下及び露飛びが起こり難いコーティング膜を有する熱交換器及び空気調和機を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記の特性を有するコーティング膜を与えるコーティング組成物及びその製造方法を提供することができる。
実施の形態1の防汚性部材の断面図である。 実施の形態2の熱交換器の斜視図である。 実施の形態3の空気調和機の断面図である。
実施の形態1.
以下、本発明の防汚性部材の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の防汚性部材の断面図である。図1において、本実施の形態の防汚性部材は、基材1と、基材1上に形成されたコーティング膜2とを有する。
コーティング膜2は、凝集体3及びフッ素樹脂粒子5が分散し且つ表面に露出して存在する、有機樹脂ベースの被膜(以下、「有機樹脂被膜6」という)である。また、凝集体3は、シリカ粒子4及びフッ素樹脂粒子5を含む。
このような構造を有するコーティング膜2は、凝集体3の存在により、従来の平滑なコーティング膜に比べて大きな凹凸構造の表面が形成されるため、大きな汚れの接触面積を低減することができる。したがって、このコーティング膜2は、従来のコーティング膜に比べて、大きな汚れに対する付着防止効果が高くなる。ここで、本明細書において「大きな汚れ」とは、15μm以上、好ましくは20μm以上100μm以下の大きさの汚れを意味する。
また、凝集体3は、シリカ粒子4及びフッ素樹脂粒子5の両方が表面に露出しているため、シリカ粒子4に起因する親水性部分と、フッ素樹脂粒子5に起因する疎水性部分とが混在した表面を有する。したがって、凝集体3の表面に、親水性及び疎水性のいずれかの汚れが接触した場合、その汚れは、相反する性質の表面に接触することになるため、凝集体3の表面に安定して付着することができない。したがって、このコーティング膜2は、親水性及び疎水性の両方の汚れに対して優れた防汚性能を有するものとなる。
このコーティング膜2は、有機樹脂被膜6がベースとなっているため、凝集体3及びフッ素樹脂粒子5がコーティング膜2から脱離し難く、コーティング膜2の耐久性が高くなる。また、有機樹脂被膜6は、基材1に対する接着性も良好であるため、基材1とコーティング膜2との間の密着性も向上させることができる
さらに、長期間の使用により、何らかの要因で汚れがコーティング膜2に固着しても、溶媒を用いることで汚れを容易に除去することができる。例えば、有機樹脂被膜6が親水性である場合は水を、有機樹脂被膜6が疎水性である場合はアルコールをそれぞれ用いることで、有機樹脂被膜6が膨潤し、固着した汚れが除去され易くなる。そのため、このコーティング膜2を形成することにより、拭き取り等の作業が不要になる。
凝集体3を構成するシリカ粒子4としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。
また、シリカ粒子4の平均粒径としては、特に限定されないが、5nm以上100nm以下であることが好ましい。この範囲の平均粒径を有するシリカ粒子4であれば、コーティング膜2により反射する光の散乱が小さくなるため、コーティング膜2の透明性が向上し、基材1の色調又は風合いを損なわないようにすることができる。ここで、本明細書における「平均粒径」とは、レーザー光散乱式又は動的光散乱式の粒度分布計で測定した時の平均粒径の値を意味する。
凝集体3を構成するフッ素樹脂粒子5としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。フッ素樹脂粒子5の例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、フルオロエチレン・ビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン・ビニルエステル共重合体、これらの共重合体及び混合物、並びにこれらのフッ素樹脂に他の樹脂を混合したもの等から形成された粒子が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フッ素樹脂粒子5の平均粒径としては、特に限定されないが、好ましくは80nm以上550nm以下、より好ましくは100nm以上500nm以下である。フッ素樹脂粒子5の平均粒径が80nm未満であると、凝集体3の大きさが小さくなり、所望の凹凸構造を表面に形成することが難しくなることがある。一方、フッ素樹脂粒子5の平均粒径が550nmを超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、凹凸部分に汚れが捕捉され易くなる結果、所望の防汚性能が得られないことがある。
凝集体3は、凝集剤を用いてシリカ粒子4及びフッ素樹脂粒子5を凝集させることによって得ることができる。
凝集剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。凝集剤の例としては、塩化物及び高分子凝集剤等が挙げられる。
塩化物の例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の化合物が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子凝集剤は、一般的に、長い鎖状の分子構造を持つ水溶性高分子であり、フロックの結合力を強め、粒径が大きく沈降速度が速い凝集体3を与える。高分子凝集剤の凝集機能は、吸着活性基であるカルボキシル基及びアミド基による粒子への吸着と、粒子間の架橋とによるものであり、無数の活性基によって数多くの粒子を吸着して架橋することができる。また、粒子に吸着した高分子相互の吸着作用によっても凝集を生じさせる。
高分子凝集剤としては、特に限定されず、ノニオン型、アニオン型、カチオン型又は両性型のものを用いることができる。
ノニオン型の高分子凝集剤の例としては、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロビル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダノール及びアリルアミン等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン型の高分子凝集剤の例としては、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アニオン性モノマーの共重合体、アニオン性モノマーとアクリルアミド等のノニオン性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ここで、アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン型の高分子凝集剤は、カチオン性モノマーを必須成分として有するものであり、その例としては、カチオン性モノマーの共重合体、又はカチオン性モノマーと上記のノニオン性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ここで、カチオン性モノマーの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート又はこれらの中和塩、4級塩等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、分子内にアミジン単位を含有するカチオン型の高分子凝集剤も使用可能である。
両性型の高分子凝集剤の例としては、アクリルアミド・アクリル酸アルキルアミノ(メタ)アクリレート4級塩共重合物等が挙げられる。
上記の各種高分子凝集剤は、凝集体3の調製時の溶液のpHに応じて適切な高分子凝集剤を用いればよい。その中でも、ノニオン型の高分子凝集剤は、ナトリウム塩、カリウム塩、塩化物、硫酸塩等のイオン対を有しておらず、本発明の作用効果に与える影響が少ないと考えられるため特に好ましい。
凝集体3の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上8μm以下である。凝集体3の平均粒径が1μm未満であると、大きな汚れの接触面積を効果的に低減し得る程度の凹凸構造を表面に形成することが難しくなることがある。一方、凝集体3の平均粒径が10μmを超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、凹凸部分に汚れが捕捉され易くなる結果、所望の防汚性能が得られないことがある。また、コーティング膜2中にクラック等の欠陥が生じ易くなることがある。ここで、凝集体3の平均粒径は、電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いて測定された凝集体3の粒径の平均値である。
コーティング膜2は、凝集体3に含有されるフッ素樹脂粒子5とは別にフッ素樹脂粒子5を含有する。このフッ素樹脂粒子5としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。このフッ素樹脂粒子5は、凝集体3に含まれるフッ素樹脂粒子5と同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
コーティング膜2は、被膜のベースとして有機樹脂被膜6を有する。有機樹脂被膜6に用いられる有機樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。有機樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、再生セルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン三元共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリエチレン、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ノルボルネン系樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーティング膜2に含有されるシリカ粒子4の量は、特に限定されないが、好ましくは2質量%以上60質量%以下、より好ましくは3質量%以上50質量%以下、最も好ましくは3.5質量%以上40質量%以下である。コーティング膜2に含有されるシリカ粒子4の量が2質量%未満であると、凝集体3の平均粒径が小さくなり、所望の凹凸構造を表面に有するコーティング膜2が得られ難くなることがある。一方、コーティング膜2に含有されるシリカ粒子4の量が60質量%を超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、凹凸部分に汚れが捕捉され易くなる結果、所望の防汚性能が得られないことがある。ここで、コーティング膜2における各成分の質量割合は、120℃で乾燥して水性媒体を十分に除去した後に得られたコーティング膜2において測定した質量割合を意味する。
コーティング膜2に含有されるフッ素樹脂粒子5の量は、特に限定されないが、好ましくは0.5質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、最も好ましくは1.5質量%以上25質量%以下である。コーティング膜2に含有されるフッ素樹脂粒子5の量が0.5質量%未満であると、凝集体3の平均粒径が小さくなり、所望の凹凸構造を表面に有するコーティング膜2が得られ難くなることがある。一方、コーティング膜2に含有されるフッ素樹脂粒子5の量が40質量%を超えると、フッ素樹脂粒子5に起因する疎水性部分が多くなり、疎水性の汚れが付着し易くなることがある。
また、コーティング膜2に含有される全フッ素樹脂粒子5の60質量%以上は、凝集体3中に存在していることが好ましい。凝集体3中に存在するフッ素樹脂粒子5の量が60質量%未満であると、凝集体3の平均粒径が小さくなり、所望の凹凸構造を表面に有するコーティング膜2が得られ難くなることがある。ここで、コーティング膜2に含有される全フッ素樹脂粒子5に対する凝集体3に存在するフッ素樹脂粒子5の質量割合は、コーティング膜2の電子顕微鏡写真(例えば、走査型電子顕微鏡)を基にして算出することがでる。具体的には、走査型電子顕微鏡により撮影した画像(25μm×25μm)から全フッ素樹脂粒子5に対するフッ素樹脂粒子の割合を画像処理にて算出すればよい。
コーティング膜2におけるシリカ粒子4とフッ素樹脂粒子5との質量比は、特に限定されないが、好ましくは50:50〜98:2、より好ましくは70:30〜85:15である。フッ素樹脂粒子5の質量比が上記範囲よりも高いと、コーティング膜2の耐久性が低下してしまうと共に、フッ素樹脂粒子5に起因する疎水性部分が多くなり、疎水性の汚れが付着し易くなることがある。一方、フッ素樹脂粒子5の質量比が上記範囲よりも低いと、フッ素樹脂粒子5に起因する疎水性部分がコーティング膜2の表面に十分に露出しなくなり、親水性の汚れが付着し易くなる。
コーティング膜2に含有される有機樹脂の量は、特に限定されないが、好ましくは20質量%以上98質量%以下、より好ましくは30質量%以上96質量%以下、最も好ましくは40質量%以上95質量%以下である。コーティング膜2に含有される有機樹脂の量が20質量%未満であると、凝集体3及びフッ素樹脂粒子5がコーティング膜2から脱離し易くなったり、基材1とコーティング膜2との間の密着性が低下することがある。一方、コーティング膜2に含有される有機樹脂の量が98質量%を超えると、コーティング膜2中の凝集体3及びフッ素樹脂粒子5の量が少なくなるため、所望の防汚性能が得られ難くなることがある。
コーティング膜2は、図1に示すように、有機樹脂被膜6の表面に、凝集体3及びフッ素樹脂粒子5が分散し且つ表面に露出して存在する。ここで、凝集体3の平均粒径をa(μm)、有機樹脂被膜6の表面に露出した凝集体3の平均高さをb(μm)とした場合に、b/aが好ましくは0.3以上1.2以下、より好ましくは0.5以上1.0以下、最も好ましくは0.6以上0.8以下である。b/aが当該範囲内であると、大きな汚れの接触面積を効果的に低減し得る凹凸構造となり、大きな汚れに対する付着防止効果を安定して得ることができる。ここで、有機樹脂被膜6の表面に露出した凝集体3の平均高さは、表面粗さ測定機を用いて測定された凝集体3の高さの平均値である。
また、凝集体3の平均高さb(μm)は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上8μm以下である。凝集体3の平均高さbが1μm未満であると、表面が平滑すぎるため、所望の防汚性能、特に大きな汚れに対する付着防止効果を十分に得ることができない。一方、凝集体3の平均高さbが10μmを超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、凹凸部分に汚れが捕捉され易くなる結果、所望の防汚性能が得られないことがある。また、コーティング膜2にクラック等の欠陥が生じ易くなり、十分な耐久性が得られないことがある。
コーティング膜2において、凝集体3は、好ましくは0.1μm以上1.5μm以下、より好ましくは0.2μm以上1.0μm以下の平均間隔を置いて分散していることが望ましい。当該範囲の平均間隔を置いて凝集体3が分散していれば、コーティング膜2中に凹凸構造がバランス良く配置されるため、大きな汚れに対する付着防止効果を安定して得ることができる。凝集体3間の平均間隔が0.1μm未満であると、コーティング膜2に閉める凸部の割合が多く、クラック等の欠陥が生じ易くなり、十分な耐久性が得られないことがある。一方、凝集体3間の平均間隔が1.5μmを超えると、コーティング膜2に閉める凸部の割合が少なすぎる結果、所望の防汚性能が得られないことがある。ここで、凝集体3間の平均間隔は、電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いて測定された凝集体3間の間隔の平均値である。
有機樹脂被膜6の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.2μm以上12μm以下、より好ましくは0.5μm以上10μm以下である。当該範囲の厚さを有していれば、凝集体3及びフッ素樹脂粒子5が均一に分散し且つ表面に露出したコーティング膜2を安定して得ることができるため、所望の防汚性能を得ることができる。有機樹脂被膜6の厚さが0.2μm未満であると、有機樹脂被膜6の膨潤効果が小さくなり、汚れ除去効果が十分に得られないことがある。一方、有機樹脂被膜6の厚さが12μmを超えると、有機樹脂被膜6にクラック等の欠陥が生じ易くなる。また、熱交換器のフィン等に適用する場合、厚みによって熱交換効率が低下してしまうことがある。
上記のような特徴を有するコーティング膜2は、上記の成分を含むコーティング組成物を用いて形成することができる。
コーティング膜2を形成するために用いられるコーティング組成物は、シリカ粒子4、フッ素樹脂粒子5、有機樹脂、凝集剤及び溶媒を含む。また、このコーティング組成物において、凝集剤によってシリカ粒子4とフッ素樹脂粒子5の少なくとも一部との凝集体3が形成されている。
コーティング組成物に用いられるシリカ粒子4、フッ素樹脂粒子5、有機樹脂及び凝集剤は、上記で説明した通りである。
コーティング組成物に用いられる溶媒としては、特に限定されず、有機樹脂6の種類に応じて適切なものを用いればよい。例えば、有機樹脂6が水溶性である場合、溶媒として水を用いることができる。また、有機樹脂6が非水溶性である場合、溶媒としてアルコール等の有機溶媒を用いることができる。
コーティング組成物の組成は、特に限定されないが、シリカ粒子4の含有量が、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上8質量%以下であり、フッ素樹脂粒子5の含有量が、好ましくは0.02質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下であり、有機樹脂の含有量が、好ましくは1質量%以上70質量%以下、好ましくは2質量%以上50質量%以下であり、凝集剤の含有量が、好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.015質量%以上0.2質量%以下であり、溶媒の含有量が、好ましくは20質量%以上95質量%以下、より好ましくは30質量%以上90質量%以下である。
コーティング組成物において、シリカ粒子4とフッ素樹脂粒子5の少なくとも一部との凝集体3を形成する方法としては、特に限定されないが、シリカ粒子4及び凝集剤を溶媒に加えて混合した後、フッ素樹脂粒子5及び前記有機樹脂をさらに加えて混合すればよい。
ここで、シリカ粒子4は、それ自体を単独で用いてもよいが、作業性の観点から、各種溶媒に分散させた状態のもの、例えば、コロイダルシリカ等を用いることが好ましい。また、フッ素樹脂粒子5も同様に、それ自体を単独で用いてもよいが、各種溶媒に分散させた状態のものを用いてもよい。さらに、凝集剤についても、特に限定されず、粉末、分散液、ペースト、エマルジョン、又は溶液のものを用いることができる。
コーティング膜2の形成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法に準じて行うことができる。例えば、基材1上にコーティング組成物を塗布した後、乾燥させればよい。
塗布方法としては、特に限定されず、浸漬、噴霧、はけ塗り等の周知の方法を用いることができる。また、乾燥は、室温下で行っても、加熱下で行ってもよい。室温下で乾燥を行う場合、気流を吹き付けることによって乾燥を促進させることができる。また、加熱下で乾燥を行う場合、温風を吹き付けてもよいし、加熱炉中で乾燥させてもよい。
実施の形態2.
本発明の熱交換器は、実施の形態1の防汚性部材を備えている。
以下、本発明の熱交換器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図2は、本実施の形態の熱交換器の斜視図である。図2において、本実施の形態の熱交換器は、冷媒が通るパイプ11と、パイプ11に取り付けられた多数枚のフィン12とから構成されている。そして、パイプ11及びフィン12の少なくともいずれかの表面に、コーティング膜2が形成されている(図示していない)。このコーティング膜2は、防汚性能に優れているため、汚れによる見た目の悪化、並びに汚れを起因とするカビ及び細菌の繁殖等の衛生上の問題や熱交換器の性能低下を防止することができる。さらに、このコーティング膜2は、凝集体3を構成するシリカ粒子4に起因する親水性部分が存在するため、水滴によるフィン12の間のブリッジを防止し、露飛び及び熱交換器の性能低下を防止することもできる。よって、本発明の熱交換器は、特に、室内用の空気調和機において使用するのに最適である。
実施の形態3.
本発明の空気調和機は、実施の形態1の防汚性部材を備えている。
以下、本発明の空気調和機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図3は、本実施の形態の空気調和機の断面図である。図3において、空気調和機は、ファン21と、熱交換器22と、ベーン23と、フラップ24とを具備する。そして、ファン21、熱交換器22、ベーン23、フラップ24の少なくともいずれかの表面にコーティング膜2が形成されている(図示していない)。このコーティング膜2は、防汚性能に優れているため、汚れによる見た目の悪化、並びに汚れを起因とするカビ及び細菌の繁殖等の衛生上の問題や熱交換器の性能低下を防止することができる。さらに、このコーティング膜2は、凝集体3を構成するシリカ粒子4に起因する親水性部分が存在するため、水滴が付着した場合であっても露飛びを防ぐことができる。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、基材として、幅:24mm、長さ:100mm、厚さ:0.1mmのステンレス基材を用いた。
(実施例1)
平均粒径10nmのシリカ粒子を含むコロイダルシリカ(日産化学株式会社製)及び塩化ナトリウムを脱イオン水に加えて撹拌混合した後、平均粒径250nmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製)及びポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製)をさらに加えて撹拌混合することにより、コーティング組成物を調製した。ここで、このコーティング組成物の組成は、シリカ粒子の含有量が2質量%、塩化ナトリウムの含有量が0.01質量%、フッ素樹脂粒子の含有量が1質量%、ポリビニルアルコールの含有量が10質量%、溶媒(脱イオン水等)の含有量が残部となるように設定した。
次に、このコーティング組成物をステンレス基材に塗布した後、60℃の温風を吹き付けて乾燥させることにより、コーティング膜を形成した。
(実施例2)
コーティング組成物におけるシリカ粒子の含有量が5質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例3)
コーティング組成物におけるシリカ粒子の含有量が1質量%、フッ素樹脂粒子の含有量が0.5質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例4)
フッ素樹脂粒子として平均粒径550nmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例5)
コーティング組成物における塩化ナトリウムの含有量が0.002質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例6)
コーティング組成物における塩化ナトリウムの含有量が0.03質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例7)
コーティング組成物におけるポリビニルアルコールの含有量が2質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(実施例8)
コーティング組成物におけるポリビニルアルコールの含有量が50質量%となるように設定したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(比較例1)
塩化ナトリウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(比較例2)
フッ素樹脂粒子を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
(比較例3)
ポリビニルアルコールを用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を用いてステンレス基材上にコーティング膜を形成した。
上記の実施例及び比較例で形成されたコーティング膜について、凹凸構造等の評価を行った。
ここで、コーティング膜に含有される凝集体の平均粒径a及び凝集体間の平均間隔は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製S−3000N)を用いて測定し、その平均を求めた。また、有機樹脂被膜の表面に露出した凝集体の平均高さbは、表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所製サーフコーダSE4000)を用いて測定し、その平均を求めた。
上記の各評価結果を表1に示す。
Figure 2014205332
次に、上記の実施例及び比較例で形成されたコーティング膜について、防汚性能の評価を行った。防汚性能は、各種汚れに対する初期の付着性、及び汚れ除去効果について評価した。
各種汚れに対する初期の付着性については、汚れ物質として、カーボン粉塵(カーボンブラック)、関東ローム粉塵及びナイロンパイル(50μm)を用いた。
カーボン粉塵の付着性は、エアーを用いてカーボン粉塵をコーティング膜に一定量吹き付けた後、黒色のカーボン粉塵によるコーティング膜の着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、カーボン粉塵の付着がほとんどなかったものを1とし、カーボンブラックの付着が多かったものを5と表す。
関東ローム粉塵の付着性は、エアーを用いて関東ローム粉塵をコーティング膜に一定量吹き付けた後、関東ローム粉塵によるコーティング膜の着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、関東ローム粉塵の付着がほとんどなかったものを1とし、関東ローム粉塵の付着が多かったものを5と表す。
ナイロンパイルの付着性は、エアーを用いてナイロンパイルをコーティング膜に一定量吹き付けた後、コーティング膜上のナイロンパイルの付着の程度を目視観察にて五段階評価した。この評価において、ナイロンパイルの付着がほとんどなかったものを1とし、ナイロンパイルの付着が多かったものを5と表す。
汚れ除去効果は、コーティング膜を形成したステンレス基材を、一般家庭から採取した汚れを含むミキサ内中で一週間放置し、コーティング膜に汚れを固着させた。その後、コーティング膜に水道水を10秒間晒して汚れを除去した。汚れ除去後の汚れ付着の程度を目視観察にて五段階評価した。この評価において、ナイロンパイルの付着がほとんどなかったものを1とし、ナイロンパイルの付着が多かったものを5と表す。
上記の各評価結果を表2に示す。
Figure 2014205332
表2に示されているように、実施例1〜8のコーティング膜はいずれも、カーボン粉塵、関東ローム粉塵及びナイロンパイルの付着が少なく、且つ汚れ除去効果も高く、防汚性能に優れることがわかった。特に、実施例1のコーティング膜は、カーボン粉塵、関東ローム粉塵及びナイロンパイルの付着がほとんどなく、汚れ除去効果も優れていた。
これに対して比較例1及び2のコーティング膜は、カーボン粉塵、関東ローム粉塵及びナイロンパイルのいずれかの付着が多く、汚れ除去効果も低かった。また、比較例3のコーティング膜は、カーボン粉塵、関東ローム粉塵及びナイロンパイルの付着が少なかったものの、汚れ除去効果が低かった。
上記の結果について、表1の凹凸構造等の評価結果を基に考察すると、実施例1〜8のコーティング膜は、凝集体がバランス良く配置された凹凸構造を有し、且つ親水性部分及び疎水性部分の両方を表面に露出させているために、防汚性能が向上したものと考えられる。
一方、比較例1のコーティング膜は、凝集体が存在しないため、適切な凹凸構造を有しておらず、防汚性能が低下したものと考えられる。また、比較例2のコーティング膜は、フッ素樹脂粒子が存在していないため、関東ローム粉塵(親水性汚れ)に対する防汚性能が十分でなかったものと考えられる。また、比較例3のコーティング膜は、有機樹脂をベースとしていないため、汚れ除去効果が低かったものと考えられる。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、親水性及び疎水性の両方の汚れに対して優れた防汚性能を有し、特に、大きな汚れに対する付着防止効果及び汚れ除去効果に優れたコーティング膜を有する防汚性部材を提供することができる。
1 基材、2 コーティング膜、3 凝集体、4 シリカ粒子、5 フッ素樹脂粒子、6 有機樹脂被膜、11 パイプ、12 フィン、21 ファン、22 熱交換器、23 ベーン、24 フラップ。

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材上に形成されたコーティング膜とを有する防汚性部材であって、
    前記コーティング膜が、シリカ粒子及びフッ素樹脂粒子を含む凝集体とフッ素樹脂粒子とが分散し且つ表面に露出して存在する有機樹脂被膜であることを特徴とする防汚性部材。
  2. 前記コーティング膜に含有される全フッ素樹脂粒子の60質量%以上が前記凝集体中に存在していることを特徴とする請求項1に記載の防汚性部材。
  3. 前記シリカ粒子の凝集体は、1μm以上10μm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性部材。
  4. 前記シリカ粒子は、5nm以上100nm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚性部材。
  5. 前記凝集体の平均粒径をa(μm)、前記有機樹脂被膜の表面に露出した前記凝集体の平均高さをb(μm)とした場合に、b/aが0.3以上1.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の防汚性部材。
  6. 前記凝集体は、0.1μm以上1.5μm以下の平均間隔を置いて前記コーティング膜中に分散していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防汚性部材。
  7. 前記フッ素樹脂粒子は、80nm以上550nm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の防汚性部材。
  8. 前記有機樹脂被膜の厚さは、0.2μm以上12μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の防汚性部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の防汚性部材を備えた熱交換器であって、
    冷媒が通るパイプと、前記パイプに取り付けられた多数枚のフィンとを具備し、前記パイプ及び前記フィンの少なくともいずれかの表面に前記コーティング膜が形成されていることを特徴とする熱交換器。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の防汚性部材を備えた空気調和機であって、
    ファンと、熱交換器と、ベーンと、フラップとを具備し、前記ファン、前記熱交換器、前記ベーン及び前記フラップの少なくともいずれかの表面に前記コーティング膜が形成されていることを特徴とする空気調和機。
  11. シリカ粒子、フッ素樹脂粒子、有機樹脂、凝集剤及び溶媒を含むコーティング組成物であって、前記凝集剤によって前記シリカ粒子と前記フッ素樹脂粒子の少なくとも一部との凝集体が形成されていることを特徴とするコーティング組成物。
  12. 請求項11に記載のコーティング組成物の製造方法であって、
    前記シリカ粒子及び前記凝集剤を前記溶媒に加えて混合した後、前記フッ素樹脂粒子及び前記有機樹脂をさらに加えて混合することを特徴とするコーティング組成物の製造方法。
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