JP2013180221A - 撥水性被膜の形成方法、撥水性部材及び熱交換器 - Google Patents

撥水性被膜の形成方法、撥水性部材及び熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な形状の被処理物に、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に撥水性被膜を形成することが可能な撥水性被膜の形成方法を提供する。
【解決手段】疎水性樹脂、微粒子、及び前記疎水性樹脂を溶解し且つ沸点が100℃以上である非水溶性溶剤を含むコーティング剤組成物を水面上に展開してコーティング剤組成物の展開膜を形成する工程と、前記展開膜に被処理物を接触させて前記展開膜を前記被処理物の表面に付着させる工程とを含むことを特徴とする撥水性被膜の形成方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥水性被膜の形成方法、撥水性部材及び熱交換器に関する。
疎水性材料から構成されると共に微小凹凸形状を有する表面は、水の接触角が150°を超える極めて高い撥水性を示す。このような撥水性表面を形成する方法としては、シリコーンやフッ素化合物などを撥水性材料として用いると共に、機械的加工、エッチング、微粒子の添加などにより微小凹凸形状を表面に形成する方法が多数提案されている。これらの中でも、撥水性材料に微粒子を添加したコーティング剤組成物を用いる方法は、撥水性が高い表面を容易に形成できるという点で有利である。例えば、特許文献1には、疎水処理が施されたシリカ微粒子と疎水性樹脂とが、揮発後の重量分率でそれぞれ30〜100%、0〜70%となるように含有され、超音波を照射して有機溶媒中に分散させたコーティング剤組成物が開示されている。
撥水性表面は、水滴や汚れなどの付着を抑制することができるため、様々な用途への適用が検討されている。その中でも、撥水性表面は、熱交換器への適用に有効である。熱交換器は、冷媒が通るパイプに多数のフィン(例えば、アルミフィン)が間隔を置いて取り付けられた構造を有しており、このフィンの表面には、凝結水、霜、汚れなどが付着すると、通風抵抗が増大して熱交換効率が低下することがある。そのため、フィンの表面に撥水性被膜を形成することにより、凝結水、霜、汚れなどの除去性を高めて熱交換効率の低下を防止することができる。熱交換器に撥水性被膜を形成する方法として、例えば、特許文献2には、微粒子を添加した有機系塗料を用いて粗面状被膜を形成した後、撥水性被膜を形成する方法が開示されている。また、特許文献3には、熱硬化性樹脂、疎水性シリカ及び撥水化剤を含むコーティング剤組成物をアルミフィンに塗布した後、焼き付ける方法が開示されている。
特開2003−147340号公報 特開平8−323285号公報 特許第2986011号公報
しかしながら、従来の方法は、コーティング剤組成物に可燃性の有機溶剤を用い、一般的な塗布方法(スプレー塗布、浸漬塗布、刷毛塗りなど)で塗布しているため、引火の恐れが高く、これに対応する特別な生産設備が必要になる。
また、従来の塗布方法は、複雑な形状の被処理物に撥水性被膜を形成し難い上、複雑な形状の被処理物に撥水性被膜を形成する場合、多量のコーティング剤組成物を用いなければならず、コーティング剤組成物のロスが多い。実際、熱交換器においては、熱交換器を組み立てた後に熱交換器の表面に撥水性被膜を形成する場合、特定の部分に撥水性被膜を形成し難い。その上、撥水性被膜を形成できたとしても、フィン表面の撥水性被膜が厚くなりすぎる結果、フィンの間隔が狭くなることによって熱交換効率が低下してしまう。
さらに、撥水性被膜は、表面の微小凹凸形状によってその性質が得られるため、表面の摩擦によってその性質が失われ易く、撥水性被膜の形成後の運搬や加工などの取扱いに大きな制約がある。実際、熱交換器においては、フィンなどの部材に撥水性被膜を形成した後に熱交換器を組み立てる場合、組み立て時の部材間の摩擦によって部材表面の撥水性が失われてしまう。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、様々な形状の被処理物に、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に撥水性被膜を形成することが可能な撥水性被膜の形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に形成された撥水性被膜を有する撥水性部材及び熱交換器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の成分を含むコーティング剤組成物を用いると共に、このコーティング剤組成物を水面上に展開させた展開膜を利用して塗布を行うことにより、上記の全ての問題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、疎水性樹脂、微粒子、及び前記疎水性樹脂を溶解し且つ沸点が100℃以上である非水溶性溶剤を含むコーティング剤組成物を水面上に展開してコーティング剤組成物の展開膜を形成する工程と、前記展開膜に被処理物を接触させて前記展開膜を前記被処理物の表面に付着させる工程とを含むことを特徴とする撥水性被膜の形成方法である。
また、本発明は、上記の撥水性被膜の形成方法によって形成された撥水性被膜を有する撥水性部材である。
さらに、本発明は、上記の撥水性被膜の形成方法によって形成された撥水性被膜を有する熱交換器である。
本発明によれば、様々な形状の被処理物に、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に撥水性被膜を形成することが可能な撥水性被膜の形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に形成された撥水性被膜を有する撥水性部材及び熱交換器を提供することができる。
撥水性被膜の形成方法を説明するための図である。 コーティング剤組成物の展開膜の形成方法を説明するための図である。 一般的な熱交換器の斜視図である。 撥水性被膜が形成された熱交換器断面の部分拡大図である。
実施の形態1.
本実施の形態の撥水性被膜の形成方法は、コーティング剤組成物を水面上に展開してコーティング剤組成物の展開膜を形成する工程と、この展開膜に被処理物を接触させて展開膜を被処理物の表面に付着させる工程とを含む。この方法に用いられるコーティング剤組成物は、疎水性樹脂、微粒子及び非水溶性溶剤を含む。
コーティング剤組成物に用いられる疎水性樹脂は、撥水性被膜のマトリックスとなる樹脂膜を与える成分である。ここで、本明細書において「疎水性樹脂」とは、水の接触角が60°以上、好ましくは80°以上の樹脂を意味する。水の接触角が60°未満であると、撥水性被膜の撥水性が十分でなく、水滴や汚れなどの除去性が得られ難い。
疎水性樹脂としては、非水溶性溶剤に溶解するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。疎水性樹脂の例としては、フッ素樹脂、フッ素化シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリオレフィン、ポリスチレン、AS樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリルスチレン、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂に、フッ素化合物やシリコーン化合物の添加剤を混合して用いてもよい。
上記の樹脂の中でも、フッ素樹脂やフッ素化シリコーン樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は、撥水性が高いため、水滴や汚れなどの除去性に優れている。また、これらの樹脂は、紫外線や雨に対する耐久性も高いため、屋外での用途で用いる場合にも適している。フッ素樹脂及びフッ素化シリコーン樹脂の例としては、フルオロエチレンビニルエーテル共重合体(FEVE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、側鎖にフッ化炭素基を有するシリコーン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーティング剤組成物に用いられる微粒子は、撥水性被膜の表面に微小凹凸形状を与える成分である。微粒子としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。微粒子の例としては、樹脂微粒子や無機微粒子などが挙げられる。
樹脂微粒子としては、非水溶性溶剤に溶解し難いものが好ましい。このような樹脂微粒子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。これらの樹脂微粒子は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、非水溶性溶剤に溶解する樹脂微粒子であっても、その表面を架橋などによって不活性化処理すれば使用することができる。非水溶性溶剤に溶解する樹脂微粒子の例としては、フッ素樹脂、フッ素化シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリオレフィン、ポリスチレン、AS樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリルスチレン、アクリルシリコーン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂の微粒子が挙げられる。表面の不活性化処理方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。これらの樹脂微粒子は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機微粒子の例としては、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、チタン、セリウム、スズ、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、アンチモンなどの金属の酸化物や窒化物の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
微粒子の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは5nm以上20μm以下、より好ましくは8nm以上10μm以下である。微粒子の平均粒径が5nm未満であると、所望の撥水性を有する撥水性被膜が得られ難いことがある。一方、微粒子の平均粒径が20μmを超えると、撥水性被膜の表面の凹凸形状が大きくなりすぎてしまい、水滴や汚れなどの除去性が十分に得られ難いことがある。ここで、本明細書において「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における粒子径を意味する。
コーティング剤組成物における疎水性樹脂と微粒子との割合は、特に限定されないが、疎水性樹脂1質量部に対して、微粒子が好ましくは0.5質量部以上12質量部以下、より好ましくは1質量部以上10質量部以下である。微粒子が0.5質量部未満であると、撥水性被膜の表面の微小凹凸形状が少なくなり、所望の撥水性が得られない場合がある。一方、微粒子が12質量部を超えると、撥水性被膜の強度が低下し、実用性のある撥水性被膜が得られない場合がある。
コーティング剤組成物に用いられる非水溶性溶剤は、水面上にコーティング剤組成物の展開膜を形成するために、水に溶解しないことが必要である。また、非水溶性溶剤は、均一な展開膜を形成するために、撥水性被膜のマトリックスとなる疎水性樹脂を溶解し得ることが必要である。さらに、非水溶性溶剤は、水面上に形成したコーティング剤組成物の展開膜を被処理物に付着させ易くするために、沸点が100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは120℃以上320℃未満、最も好ましくは130℃以上250℃未満である必要がある。非水溶性溶剤の沸点が100℃未満であると、非水溶性溶剤の蒸発が速くなりすぎ、水面上に形成したコーティング剤組成物の展開膜が被処理物に付着し難くなる。加えて、非水溶性溶剤の取扱性も低下する。一方、非水溶性溶剤の沸点が320℃以上であると、被処理物に付着させた展開膜の乾燥に時間がかかるため、実用的でないことがある。ここで、本明細書における「沸点」とは、単一の非水溶性溶剤については一般的な定義に基づく温度を意味するが、2種以上の非水溶性溶剤を含む混合溶剤については大気圧下において蒸留した際の留分が30%以上となる温度を意味する。
非水溶性溶剤は、上記のような特性を有するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。このような非水溶性溶剤の例としては、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、芳香族や脂肪族の炭化水素系溶剤(ナフサ、テレピン油、イソパラフィン、ミネラルスピリット、芳香族炭化水素系溶剤と称されるもの)、炭素数4以上のアルコール、エステルやエーテル系の化合物が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーティング剤組成物における非水溶性溶剤の割合は、特に限定されないが、疎水性樹脂及び微粒子の合計1質量部に対して、非水溶性溶剤が好ましくは2質量部以上250質量部以下、より好ましくは4質量部以上150質量部以下である。非水溶性溶剤が2質量部未満であると、水面上における展開膜の伸縮性が低下し、均一な撥水性被膜を形成できないことがある。一方、非水溶性溶剤が250質量部を超えると、所望の撥水性を有する撥水性被膜が得られないことがある。
コーティング剤組成物の調製方法は、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、上記の成分を攪拌混合することによってコーティング剤組成物を得ることができる。このとき、コーティング剤組成物中の微粒子の分散性を向上させるために、コーティング剤組成物に周知の分散処理を行うことが好ましい。これは、微粒子の分散処理を行わない場合、微粒子が凝集して粗大な凝集粒子が形成され易いためである。この粗大な凝集粒子が、そのままの状態で撥水性被膜に取り込まれた場合、疎水性被膜の表面に粗大な凹凸形状が形成される。この粗大な凹凸形状は、撥水性を与える効果があるものの、水滴や汚れなどが凹凸に引っかかり易くなり、水滴や汚れなどの除去性が低下する可能性がある。
分散処理としては、超音波振動子を具備した装置、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、圧力式又はビーズ衝撃式の分散装置などを用いて行うことができる。
コーティング剤組成物は、必要に応じて、分散剤、レベリング剤などの周知の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
以下、上記のコーティング剤組成物を用いて撥水性被膜を形成する方法について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の撥水性被膜の形成方法を説明するための図である。
図1(a)は、水1の表面上にコーティング剤組成物3の展開膜2が形成された図である。コーティング剤組成物3は、水1に溶解しない非水溶性溶剤を溶剤として用いているため、水1に供給した場合、水1中に取り込まれることなく別の相として水面上に展開膜2が形成される。
このコーティング剤組成物3の展開膜2の形成方法としては、上記のコーティング剤組成物3を用いれば特に限定されず、周知の方法を用いることができる。例えば、コーティング剤組成物3を水面上から滴下などによって供給することで展開膜2を簡単に形成することができる。
コーティング剤組成物3の展開膜2の好ましい形成方法としては、図1(a)に示すように、コーティング剤組成物3を水1中から供給する方法がある。この方法によれば、コーティング剤組成物3の水1への供給時に空気と接しないため、非水溶性溶剤の蒸発を抑制することができる。コーティング剤組成物3を水1中から供給する方法としては、周知の方法を用いることができ、例えば、処理槽6の底部に設置した供給口4から供給すればよい。
また、処理槽6の底部に攪拌装置5を設置することも好ましい。特定の場所からコーティング剤組成物3を供給すると、水面上の特定の場所にコーティング剤組成物3が集まり、水面上に形成される展開膜2が不均一になる可能性がある。しかし、攪拌装置5を用いて水1を攪拌することにより、コーティング剤組成物3を水流で強制的に移動させることができるため、均一な展開膜2を安定して形成することができる。また、供給口4から供給されるコーティング剤組成物3の液滴の粒径を制御すれば、均一な展開膜2をより安定して形成することもできる。液滴の粒径を制御する方法としては、特に限定されないが、供給口4の大きさを調整したり、超音波を印加したりすればよい。
コーティング剤組成物3の展開膜2の別の好ましい形成方法としては、図2に示すように、水面と接する位置に設けた供給口4からコーティング剤組成物3を供給する方法がある。この方法であれば、コーティング剤組成物3の供給量を増加させ易く、実用性が高い。コーティング剤組成物3を液滴として供給する場合、液滴に起因するムラが展開膜2に生じる可能性があるが、この方法によれば、供給口4からコーティング剤組成物3を水面上に導入することにより、均一な展開膜2を形成することができる。特に、供給口4の幅を制御したり、処理槽6に複数の供給口4を設けたりすることで、より均一な展開膜2を容易に形成することができる。供給口4の幅は、処理槽6の水面の外周長の1/500以上1/4以下であることが望ましい。供給口4の幅が、処理槽6の水面の外周長の1/500未満であると、コーティング剤組成物3の供給に時間がかかり、実用性が低下する。一方、供給口4の幅が、処理槽6の水面の外周長の1/4を超えると、均一な展開膜2を形成することができないことがある。
水面上に形成される展開膜2の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上5mm以下、より好ましくは1.0μm以上3mm以下である。展開膜2の厚さが0.5μm未満であると、被処理物7に対する展開膜2の付着量が少なくなりすぎ、撥水性被膜にムラが生じ易くなると共に、撥水性が低下することがある。展開膜2の厚さが5mmを超えると、被処理物7に対する展開膜2の付着量が多くなりすぎ、被処理物7の表面において液垂れが発生すると共に、展開膜2が引火する恐れが高くなる。
次に、上記の方法によって形成された展開膜2に被処理物7を接触させて被処理物7の表面に展開膜2を付着させる。具体的には、図1(b)及び(c)に示すように、展開膜2を形成した水面に対して垂直方向に被処理物7を浸漬させた後、引き上げればよい。
展開膜2を形成した水面に対して垂直方向に被処理物7を浸漬させると、その過程で展開膜2が被処理物7に付着する。展開膜2は、自由に伸縮可能であるため、被処理物7の表面形状に応じて伸縮し、被処理物7の表面全体に付着する。
被処理物7の浸漬速度は、展開膜2の厚さ、コーティング剤組成物3の組成、被処理物7の形状などに依存するため、それらに応じて適宜設定する必要があるが、好ましくは0.1mm/秒以上200mm/秒以下、より好ましくは1.0mm/秒以上120mm/秒以下である。被処理物7の浸漬速度が0.1mm/秒未満であると、浸漬に要する時間が長くなり過ぎて実用性がないと共に、非水溶性溶剤の蒸発によって被処理物7への展開膜2の付着が難しくなることがある。一方、被処理物7の浸漬速度が200mm/秒を超えると、展開膜2の付着が不均一になってムラが生じ、所望の撥水性が得られないことがある。
被処理物7としては、特に限定されず、撥水性が要求される各種製品中の部品の基材を用いることができる。撥水性が要求される製品の例としては、熱交換器、エレベータ、冷蔵庫、太陽電池、レドームなどの電気機器が挙げられる。また、基材の例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ASG樹脂などのプラスチック基材や、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属基材、ガラス基材などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水面上の展開膜2の厚さは、被処理物7の浸漬が進むにつれて薄くなる。この状態のまま被処理物7の浸漬を進めると、浸漬が進むにつれて被処理物7に付着する展開膜2が少なくなることがある。これを防止するためには、被処理物7の大きさに応じて形成する展開膜2の厚さを予め厚くしたり、浸漬過程でコーティング剤組成物3を供給して展開膜2の厚さの変動を抑制すればよい。
被処理物7を浸漬した後、引き上げると、その過程でも展開膜2と接触するため、引き上げの条件によっては展開膜2が再付着する。特に、引き上げ時には、浸漬時に展開膜2が付着しなかった部分に展開膜2が付着し易いため、被処理物7の表面に展開膜2を欠陥なく付着させることができる。しかしながら、展開膜2の再付着を望まない場合には、展開膜2が形成されていない水面から引き上げたり、引き上げの速度を高めて展開膜2の再付着を抑制してもよい。
被処理物7の引き上げ速度は、浸漬速度と同じ速度で行うことができる。この方法であれば、浸漬時及び引き上げ時の両方において展開膜2を付着させることができる。ただし、浸漬時においては、乾燥した被処理物7の表面と展開膜2とが接触するため、被処理物7の表面に展開膜2を均一に付着させることができるのに対し、引き上げ時においては、浸漬時に付着した展開膜2の表面に水1が付着しているため、この水1の存在によって展開膜2にムラが生じ易くなる。そのため、引き上げ速度を浸漬速度よりも大きくすることで、展開膜2の再付着を抑制し、ムラの発生を低減することが望ましい。具体的には、引き上げ速度を浸漬速度の2倍以上の速度とすることが好ましい。こうすることで、引き上げ時の展開膜2の再付着が起こり難くなり、被処理物7の表面に形成される展開膜2の均一性及び厚さを制御することができる。
次に、処理槽6から引き上げられた被処理物7(図1(d))は、その表面に付着した展開膜2を乾燥させることによって撥水性被膜とすることができる。乾燥方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、コーティング剤組成物3の種類や製造時間などに応じて、室温放置、オーブン加熱、熱風処理などを適宜選択すればよい。
上記のような方法によれば、被処理物7の表面形状に応じて自由に伸縮可能な展開膜2による塗布が可能となるので、複雑な形状の被処理物7にも撥水性被膜を簡易に形成することができる。また、この方法によれば、従来のスプレー塗布などの塗布方法に比べて少量のコーティング剤組成物3での塗布を行うことができ、特に、非水溶性溶剤として高価なフッ素系溶剤などを用いる場合にはコストの削減に効果的である。さらに、この方法によれば、水面上に形成した展開膜2を用いて塗布を行うため、従来の塗布方法に比べて引火の危険性も少ない。
この方法によって形成された撥水性被膜を有する被処理物7は、疎水性樹脂をベースとし且つ微細凹凸形状を表面に形成することによって撥水性を高めつつ光散乱を防止しているので、撥水性及び透明性の両方に優れている。そのため、この被処理物7は、撥水性部材として様々な用途で用いることができる。
実施の形態2.
上記実施の形態の撥水性被膜の形成方法は、熱交換器に適用することができる。
以下、被処理物7を熱交換器とした場合の撥水性被膜の形成方法について、図面を用いて詳細に説明する。
図3は、一般的な熱交換器の斜視図である。図2に示すように、熱交換器は、冷媒が通るパイプ11に多数のフィン10が間隔を置いて取り付けられている。このような構造を有する熱交換器は、フィンとなる材料(以下、「フィン材」という。)を打ち抜き、プレス成形してフィンを作製した後、フィン10をパイプ11に挿入して接合することによって製造される。一般に、フィン10はアルミニウムや銅から作製され、パイプは銅から作製される。
撥水性被膜は、熱交換器の組み立て段階における損傷を防止する観点から、パイプ11にフィン10を挿入して接合することによって熱交換器を組み立てた後に行うことが好ましい。
コーティング剤組成物3の展開膜2を形成した水面に対して垂直方向に熱交換器を浸漬させると、その過程で展開膜2がフィン10及びパイプ11の表面に付着する。熱交換器の浸漬が進むにつれて展開膜2がフィン10及びパイプ11の表面に付着するため、浸漬部分の増加と共に水面上の展開膜2の厚さが薄くなる。この状態のまま浸漬を進めると、浸漬が進むにつれて付着する展開膜2が少なくなる。図4は、このような状態で展開膜2を付着させた熱交換器の断面の部分拡大図である。図4の熱交換器は、下部のフィン10から順に上部のフィン10まで、展開膜2を形成した水面に対して垂直方向に浸漬させたものであり、下部のフィン10では展開膜2が最も厚くなり、上部のフィン10になるにつれて展開膜2が薄くなっている。
上記のような展開膜2を乾燥させて撥水性被膜とした場合、厚い撥水性被膜を有する下部のフィン10では撥水性が高く、薄い撥水性被膜を有する上部のフィン10は撥水性が低くなる。熱交換器では、使用時に空気の流れに対して風上となる部分に、凝結水、霜、汚れなどが付着し易いため、厚い撥水性被膜が形成された下部のフィン10を空気の流れに対して風上側に配置することにより、凝結水、霜及び汚れなどの付着を防止することができる。他方、使用時に空気の流れに対して風下となる部分は、撥水性が高すぎると、露飛び(水滴が熱交換器から飛び出す現象)が生じてしまう。しかしながら、薄い撥水性被膜が形成された上部のフィン10を空気の流れに対して風下側に配置することにより、この露飛びを抑制することができる。このように、空気の流れに対して風上となる部分に高い撥水性を有する撥水性被膜を形成すると共に、空気の流れに対して風下となる部分に低い撥水性とを有する撥水性被膜を形成することにより、露飛びを防止しつつ、凝結水、霜及び汚れなどの付着を効果的に防止することができる。
また、この方法を用いれば、熱交換器の浸漬の際にコーティング剤組成物3を供給して展開膜2の厚さを保持する必要がないため、コーティング剤組成物3の使用量をより一層低減することができ、コストの削減にも効果的である。
また、空気の流れに対して風下となる上部のフィン10は、上述の通り、撥水性が高いと露飛びが生じるため、撥水性被膜を形成しなくてもよい。従って、下部のフィン10のみに展開膜2に浸漬させて展開膜2を付着させてもよい。このような方法とすれば、熱交換器の浸漬に要する時間や展開膜2の乾燥時間を、より一層短くすることができる。
熱交換器に付着する展開膜2の厚さは、熱交換器の浸漬速度と関係する。一般に、熱交換器に付着する展開膜2の厚さは、熱交換器の浸漬速度が速いほど厚くなり、浸漬速度が遅いほど薄くなる。そのため、熱交換器の浸漬速度は速過ぎると、フィン10に展開膜2が過剰に付着してフィン10の間隔が狭くなり、熱交換効率が低下してしまうことがある。そのため、熱交換器の浸漬速度は、簡易な形状の被処理物7の浸漬速度よりも遅くした方がよい。熱交換器の浸漬速度は、好ましくは0.1mm/秒以上50mm/秒以下、より好ましくは1.0mm/秒以上10mm/秒以下である。熱交換器の浸漬速度が0.1mm/秒未満であると、浸漬に要する時間が長くなり過ぎて実用性がないと共に、非水溶性溶剤の蒸発によって熱交換器への展開膜2の付着が難しくなることがある。
上記のように、熱交換器に付着する展開膜2の厚さは、熱交換器の浸漬速度と関係するため、この特性を利用して熱交換器に形成される展開膜2の厚さを制御することができる。すなわち、空気の流れに対して風上となる部分については浸漬速度を速くすることによって展開膜2を厚く形成し、空気の流れに対して風下となる部分については浸漬速度を遅くすることによって展開膜2を薄く形成することができる。
熱交換器に付着した展開膜2は、フィン10の間に残る水をエアブローで吹き飛ばした後、乾燥することが好ましい。この場合、空気の流れに対して風下となる部分側からエアを吹き付けることによって、展開膜2が風下側に付着することを抑制することができる。また、熱交換器に付着した展開膜2の乾燥は、コーティング剤組成物3の種類や製造時間などに応じて、室温放置、オーブン加熱、熱風処理などを適宜選択すればよい。
このようにして製造される熱交換器は、空気の流れに対して風上となる部分に撥水性の高い撥水性被膜を有すると共に、空気の流れに対して風下となる部分に撥水性の低い撥水性被膜を有するか又は撥水性被膜を有さないため、凝結水、霜及び汚れなどの付着に加えて露飛びを効果的に防止することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
20gのフルオロエチレンビニルエーテル共重合体(疎水性樹脂、旭硝子株式会社製ルミフロン)、50gのヒュームドシリカ(微粒子、平均粒径12nm、日本アエロジル株式会社製アエロジルRX200)、及び500gのキシレン(非水溶性溶剤、沸点140℃)を混合した後、ホモジナイザーで約5分間、分散処理を行うことによってコーティング剤組成物を調製した。
次に、縦300mm×横700mm×深さ400mmの処理槽に25℃の水を入れた後、スポイトを用い、5gのコーティング剤組成物を水面全体に拡がるように滴下することによって展開膜を形成した。形成された展開膜の厚さは約200μmであった。
次に、150mm×500mmのポリプロピレン(PP)板を、長辺を下にして20mm/秒の速度で浸漬した後、引き上げることによって展開膜をPP板に付着させた。その後、展開膜を付着させたPP板を室温(25℃)で乾燥させることにより、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。
(実施例2)
18gのコーティング剤組成物を水面全体に拡がるように滴下して展開膜を形成したこと以外は実施例1と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。なお、形成された展開膜の厚さは約800μmであった。
(比較例1)
実施例1で調製したコーティング剤組成物をPP板にかけ流して塗布を行ったこと以外は実施例1と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。この方法では、コーティング剤組成物をPP板に均一に塗布するために約250gのコーティング剤組成物が必要であった。
(比較例2)
キシレンの代わりにリグロイン(非水溶性溶剤、沸点95℃)を用いて調製したコーティング剤組成物を使用したこと以外は実施例1と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。
上記の実施例及び比較例で得られたPP板上の撥水性被膜について、水の接触角及び膜質を評価した。
水の接触角は、約30mgの水を撥水性被膜上に滴下し、接触角計PD−X(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。接触角は、撥水性被膜の下部、中央部及び上部で測定した。ここで、撥水性被膜の各部分は、浸漬時の順序に応じて3つの部分に分け、浸漬が早い部分を下部、浸漬が遅い部分を上部、その間の部分を中央部とした。
膜質は、その状態を目視にて観察した。
上記の評価結果を表1に示す。
Figure 2013180221
表1に示されているように、実施例1及び2では、PP板の全体にわたって撥水性の高い透明な撥水性被膜を形成することができた。また、実施例1及び2では、PP板全体を処理するのに必要なコーティング剤組成物の量も少なかった。
これに対して比較例1では、撥水性の高い撥水性被膜を形成することができたものの、かけ流し塗布に起因する白い筋が観察された。また、比較例1では、PP板全体を処理するのに約250gという多量のコーティング剤組成物が必要であった。
また、比較例2では、非水溶性溶剤の沸点が低いため、撥水性被膜が白濁し、撥水性も十分ではなかった。これは、水面での非水溶性溶剤の蒸発が速すぎるため、展開膜が十分に付着しなかったことに起因していると考えられる。
(実施例3)
縦300mm×横700mm×深さ400mmの処理槽の底部に内径5mmのポリエチレン管の供給口を設置した。次に、この処理槽に25℃の水を入れた後、供給口から10gのコーティング剤組成物を供給することによって展開膜を形成したこと以外は実施例1と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。なお、形成された展開膜の厚さは約400μmであった。
(実施例4)
縦300mm×横700mm×深さ400mmの処理槽の底部に内径5mmのポリエチレン管の供給口及び直径5cmの攪拌プロペラを設置した。次に、この処理槽に25℃の水を入れた後、攪拌プロペラを300rpmで回転させつつ、供給口から10gのコーティング剤組成物を供給することによって展開膜を形成したこと以外は実施例1と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成したPP板を得た。なお、形成された展開膜の厚さは200μmであった。
上記の実施例及び比較例で得られたPP板上の撥水性被膜について、水の接触角及び膜質を評価した。
水の接触角は、上記と同様の方法を用い、浸漬を始めた部分から5〜45cmの部分で測定した。
また、膜質は、上記と同様の方法を用いて評価した。
上記の評価結果を表2に示す。
Figure 2013180221
表2に示されているように、実施例3及び4では、PP板の全体にわたって撥水性の高い透明な撥水性被膜を形成することができた。実施例3では、浸漬を始めた部分から離れるにつれて撥水性が低下する傾向にあったのに対し、実施例4では、全体的に均一な撥水性を示した。これは、コーティング剤組成物の供給時に攪拌プロペラを用いて攪拌することでコーティング剤組成物の展開膜が均一に形成されたことに起因すると考えられる。
(実施例5)
アルミフィンの間隔が2mm、空気の流れに対して風上となる部分側から見た大きさが縦250mm×横400mm×厚さ80mmの熱交換器を準備した。
次に、10gのフルオロエチレンビニルエーテル共重合体(疎水性樹脂、旭硝子株式会社製ルミフロン)、25gのヒュームドシリカ(微粒子、平均粒径12nm、日本アエロジル株式会社製アエロジルRX200)、及び500gのキシレン(非水溶性溶剤、沸点140℃)を混合した後、ホモジナイザーで約5分間、分散処理を行うことによってコーティング剤組成物を調製した。
次に、縦300mm×横700mm×深さ400mmの処理槽に25℃の水を入れた後、スポイトを用い、25gのコーティング剤組成物を水面全体に拡がるように滴下することによって展開膜を形成した。形成された展開膜の厚さは600μmであった。
次に、上記の熱交換器を、空気の流れに対して風上となる部分から2mm/秒の速度で50mm浸漬させた後、20mm/秒の速度で引き上げた。その後、アルミフィンの間に残る水をエアブローで吹き飛ばした後、室温(25℃)で乾燥させることにより、撥水性被膜を表面に形成した熱交換器を得た。
(実施例6)
熱交換器の浸漬の際に、最初の20mmの浸漬を浸漬速度1mm/秒で行い、20〜50mmの浸漬を浸漬速度5mm/秒で行ったこと以外は実施例5と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成した熱交換器を得た。
(実施例7)
縦300mm×横700mm×深さ400mmの処理槽の底部に内径5mmのポリエチレン管の供給口及び直径5cmの攪拌プロペラを設置した。次に、この処理槽に25℃の水を入れた後、攪拌プロペラを300rpmで回転させつつ、供給口から25gのコーティング剤組成物を供給することによって展開膜を形成したこと以外は実施例5と同様の方法により、撥水性被膜を表面に形成した熱交換器を得た。
(比較例3)
実施例5で調製したコーティング剤組成物を上記の熱交換器にかけ流して塗布を行った後、余剰のコーティング剤組成物を振り落とし、室温で乾燥させることにより、撥水性被膜を表面に形成した熱交換器を得た。この方法によって塗布されたコーティング剤組成物の量を測定したところ38gであった。
次に、上記の実施例及び比較例で得られた熱交換器を切断してアルミフィンを取り出した。取り出したアルミフィン上の撥水性被膜について、水の接触角及び膜質を評価した。
水の接触角は、上記と同様の方法を用い、空気の流れに対して風上となる部分から5cmm〜55mmの間で測定した。
また、膜質は、上記と同様の方法を用いて評価した。
上記の評価結果を表3に示す。
Figure 2013180221
表3に示されているように、実施例5〜7では、空気の流れに対して風上となる部分のみに撥水性の高い透明な撥水性被膜を形成することができた。また、実施例5〜7では、熱交換器を処理するのに必要なコーティング剤組成物の量も少なかった。実施例5では、空気の流れに対して風上となる部分から離れるにつれて撥水性が低下したが、実施例6及び7のように浸漬速度を制御したり、攪拌プロペラを用いて水を攪拌することで、撥水性被膜の撥水性を保持することができた。
これに対して比較例3では、撥水性の高い撥水性被膜を形成することができたが、全体に白濁した不均一な膜であった上、熱交換器を処理するのに必要なコーティング剤組成物の量が多くなった。さらに、空気の流れに対して風上となる部分のみに撥水性被膜を形成することもできなかった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、様々な形状の被処理物に、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に撥水性被膜を形成することが可能な撥水性被膜の形成方法を提供することができる。また、本発明によれば、少量のコーティング剤組成物を用いて簡易且つ安全に形成された撥水性被膜を有する撥水性部材及び熱交換器を提供することができる。
1 水、2 展開膜、3 コーティング剤組成物、4 供給口、5 攪拌装置、6 処理槽、7 被処理物、10 フィン、11 パイプ。

Claims (12)

  1. 疎水性樹脂、微粒子、及び前記疎水性樹脂を溶解し且つ沸点が100℃以上である非水溶性溶剤を含むコーティング剤組成物を水面上に展開してコーティング剤組成物の展開膜を形成する工程と、
    前記展開膜に被処理物を接触させて前記展開膜を前記被処理物の表面に付着させる工程と
    を含むことを特徴とする撥水性被膜の形成方法。
  2. 前記展開膜は、水中に設置した供給口から前記コーティング剤組成物を供給することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の撥水性被膜の形成方法。
  3. 前記展開膜は、水面と接する位置に設置した供給口から前記コーティング剤組成物を供給することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の撥水性被膜の形成方法。
  4. 前記展開膜を形成する際に水を攪拌することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法。
  5. 前記展開膜と前記被処理物との接触は、前記展開膜を形成した水面に対して垂直方向に被処理物を浸漬することにより行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法。
  6. 前記被処理物が熱交換器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法。
  7. 前記熱交換器は、空気の流れ方向に対して風上となる部分から順に、前記展開膜を形成した水面に対して垂直方向に浸漬させることを特徴とする請求項6に記載の撥水性被膜の形成方法。
  8. 前記熱交換器は、空気の流れ方向に対して風下となる部分を浸漬させないことを特徴とする請求項7に記載の撥水性被膜の形成方法。
  9. 前記空気の流れ方向に対して風上となる部分の浸漬速度は、空気の流れ方向に対して風下となる部分の浸漬速度よりも速いことを特徴とする請求項7に記載の撥水性被膜の形成方法。
  10. 前記熱交換器の浸漬速度は、0.1mm/秒以上50mm/秒以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法によって形成された撥水性被膜を有する撥水性部材。
  12. 請求項6〜10のいずれか一項に記載の撥水性被膜の形成方法によって形成された撥水性被膜を有する熱交換器。
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