JP2013166942A - コーティング組成物の製造方法、熱交換器及び空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水中に15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子を添加及び混合することによってシリカ超微粒子分散液を調製する工程と、水中に50〜500nmの平均粒径を有するフッ素樹脂粒子を添加及び混合することによってフッ素樹脂粒子分散液を調製する工程と、水中に20〜200nmの平均粒径を有するシリカ微粒子を添加及び混合することによってシリカ微粒子分散液を調製する工程と、前記シリカ超微粒子分散液と前記フッ素樹脂粒子分散液とを混合した後、前記シリカ微粒子分散液をさらに添加し、この混合物において、前記シリカ超微粒子の含有量を0.1〜5質量%、前記水の含有量を30〜99.5質量%、前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比を70:30〜95:5、且つ前記シリカ微粒子の含有量を前記シリカ超微粒子及び前記シリカ微粒子の合計100質量部に対して0.1〜20質量部にする工程とを含むことを特徴とするコーティング組成物の製造方法とする。
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記のような様々な汚れの付着を抑制する方法では、コーティング膜の剥離や劣化によって長期間の防汚性能が維持できないという問題があった。
従って、熱交換器の衛生上の問題や性能低下を防止するためには、熱交換器を親水化するだけでは十分でなく、様々な汚れの付着も抑制しなければならない。
また、本発明は、防汚性能に優れ且つ露飛びが生じない熱交換器及び空気調和機を提供することを目的とする。
さらに、本発明の空気調和機は、ファンと、熱交換器と、ベーンと、フラップとを具備する空気調和機であって、15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子及び20〜200nmの平均粒径を有するシリカ微粒子からなるシリカ膜に50〜500nmの平均粒径を有するフッ素樹脂粒子が点在し、前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比が70:30〜95:5であり、且つ前記シリカ超微粒子及び前記シリカ微粒子の合計100質量部に対して前記シリカ微粒子が0.1〜20質量部であるコーティング膜が、前記ファン、前記熱交換器、前記ベーン及び前記フラップの少なくともいずれかの表面に形成されていることを特徴とする。
また、本発明によれば、防汚性能に優れ且つ露飛びが生じない熱交換器及び空気調和機を提供することができる。
本発明のコーティング組成物は、シリカ超微粒子とシリカ微粒子とフッ素樹脂粒子と水とを含む。
本発明のコーティング組成物から形成されるコーティング膜において、シリカ超微粒子は、微細な空隙を有する緻密なシリカ膜となる。このシリカ膜は、シリケート法やゾルゲル法等から形成されるシリカ膜等に比べて汚れの付着が少ない。
シリカ超微粒子の平均粒径は、光散乱法により測定した場合、15nm以下、好ましくは4nm〜12nmである。この範囲の平均粒径を有するシリカ超微粒子をコーティング組成物に含有させることで、乾燥させた際にシリカ超微粒子同士が凝集し易くなり、コーティング組成物の固化が容易になる。また、コーティング組成物中で平衡して溶存するシリカ成分が増えるため、特別なバインダーを配合しなくても比較的高強度のコーティング膜を得ることができる。さらに、シリカ超微粒子の光散乱が少なくなるため、得られるコーティング膜の透明性が向上し、物品表面の色調や風合いの変化を抑制することができる。シリカ超微粒子の平均粒径が15nmを超える場合、得られるコーティング膜が十分な強度を有さない。また、シリカ超微粒子の平均粒径が4nm未満の場合、コーティング組成物の安定性が低下したり、得られるコーティング膜の強度や防汚特性が低下することがある。
本発明のコーティング組成物では、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との質量比を上記範囲とすることにより、図1に示すように、親水性部分(シリカ超微粒子からなるシリカ膜1)に疎水性部分(フッ素樹脂粒子2)が適度に分散し、親水性の汚れが安定して付着し得る大きさの親水性部分がほとんどないコーティング膜が形成されるため、親水基同士の静電的な結合による親水性の汚れの付着を防止することができる。そして、このコーティング膜では、親水性の汚れが親水性部分に付着した場合であっても、親水性部分に近接する疎水性部分の表面又は疎水性部分の突起による物理的阻害により、親水性の汚れが親水性部分と十分に付着できないため、親水性の汚れが固着し難い。また、コーティング膜中の親水性部分は、シリカ超微粒子からなる多孔性のシリカ膜1であるため、水等による液架橋が生じても、乾燥工程においてシリカ超微粒子間の水がシリカ膜表面から迅速に除去され易い。なお、本発明のコーティング組成物は、バインダーや有機高分子等を構成成分としていないので、液架橋が解消された後に、バインダーや有機高分子等がコーティング膜表面に析出等してコーティング膜表面の状態を変化させることもない。さらに、シリカ超微粒子からなるシリカ膜1は、ごく微小な空隙を有し且つ密度が小さい膜であるため、分子間力による親水性の汚れの付着も小さい。
本発明のコーティング組成物では、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との質量比を上記範囲とすることにより、図1に示すように、親水性部分(シリカ超微粒子からなるシリカ膜1)に疎水性部分(フッ素樹脂粒子2)が適度に分散したコーティング膜を与えるため、コーティング膜表面の親水性基や、その表面に吸着した水の存在により、疎水性の汚れの付着を防止することができる。
界面活性剤としては、特に限定されることはないが、各種のアニオン系又はノニオン系の界面活性剤が挙げられる。かかる界面活性剤の中でも、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマーやポリカルボン酸型アニオン系界面活性剤等の起泡性の低い界面活性剤が、使用し易いため好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されることはないが、各種のアルコール系、グリコール系、エステル系、エーテル系等のものが挙げられる。
シラン化合物としては、特に限定されることはないが、トリフルオロプロピルトリメトキシランやメチルトリクロロシラン等のハロゲン含有物、ジメチルジメトキシシランやメチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有物、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物、メチルメトキシシロキサン等のオリゴマー等が挙げられる。
これらの成分の含有量は、本発明のコーティング組成物の特性を損なわない範囲であれば特に限定されることはなく、選択した成分にあわせて適宜調整すればよい。
ただし、コーティング膜が水に曝される環境下で使用される場合には、不純物としてのアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)が少ない方が好ましい。本発明のコーティング組成物にアルカリ金属が多く含まれている場合、コーティング膜から水中に溶け出すシリカ成分の量が多くなり、コーティング膜における親水性部分と疎水性部分とのバランスが変化して防汚性能が低下してしまうことがある。また、本発明のコーティング組成物にアルカリ金属が多く含まれている場合、有機物蒸気がコーティング膜に吸着され易い傾向にあるため、吸着された悪臭が温度変化等により開放されて消費者に不快感を与えたり、吸着された有機酸等が、コーティングした物品に腐食や変色を生じさせることがある。このような問題は、コーティング組成物の組成を調節したり、コーティング膜を予め水に曝しておく等の処置により防止することができる。しかし、かかる処置は手間がかかるため、不純物としてのアルカリ金属を予め少なくしておくことが好ましい。不純物としてのアルカリ金属の量を低減させる方法としては、特に限定されることはなく、例えば、イオン交換樹脂等を用いればよい。
本発明のコーティング組成物では、シリカ成分100質量部に対して、不純物として含まれるアルカリ金属が0.5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以下であることがより好ましい。ここで、シリカ成分とは、コーティング組成物がシリカ微粒子を含まない場合にはシリカ超微粒子のみを意味し、コーティング組成物がシリカ微粒子を含む場合にはシリカ超微粒子及びシリカ微粒子を意味する。
ここで、シリカ超微粒子の分散液は、15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子が水等の極性溶媒中に分散されたものであればよく、市販のコロイダルシリカを用いることもできる。かかる分散液では、シリカ超微粒子の体積比率が、20%以下であることが好ましい。この体積比率が20%を超えると、分散液の安定性が低下してしまうことがあるので好ましくない。
また、フッ素樹脂粒子の分散液は、フッ素樹脂粒子が水に分散されたものを用いることが好ましい。なお、かかる分散液では、フッ素樹脂粒子を均一に分散させるために界面活性剤が配合されているものを用いてもよい。
また、シリカ超微粒子の分散液と、フッ素樹脂粒子の分散液とを混合する際には、シリカ超微粒子が凝集するのを防止する観点から、両者の分散液のpHを同程度にすることが好ましい。
本発明のコーティング組成物を用いるのに好適なコーティング方法としては、コーティング組成物を物品表面に適用した後、余分なコーティング組成物を気流により除去することで物品表面にコーティング膜を形成する方法である。特に、余分なコーティング組成物を気流により除去することで、シリカ膜中にフッ素樹脂粒子が均一に分散した薄いコーティング膜を迅速に得ることができる。また、かかる方法により得られるコーティング膜は、0.05〜1μm程度の厚さの透明性の高い薄膜であるため、物品表面の色調や色合いを損なうこともない。さらに、かかる方法によれば、特殊な工程や設備等も要求されないため、コーティングに要するコストの削減も可能となる。
余分なコーティング組成物を気流により除去しない場合には、余分なコーティング組成物が物品表面に滞留し、その部分に形成されるコーティング膜が厚くなることがある。そうすると、コーティング膜にクラックが入り、強度が低下したり、白濁したりすることがある。また、コーティング膜の乾燥に時間がかかることもある。さらに、乾燥に時間がかかる結果、フッ素樹脂粒子が空気界面に集中してコーティング膜表面の疎水性が高くなり、所望の防汚性能が得られないこともある。
コーティング組成物を除去するための気流としては、特に限定されることはなく、例えば、空気を用いることができる。
コーティング組成物を除去するための気流の速度としては、物品の形状や大きさ等に依存するため特に限定されないが、一般に5m/秒以上であり、好ましくは10m/秒以上である。また、微小の隙間や穴を有する物品をコーティング対象とする場合には、隙間や穴からコーティング組成物を除去するために、15m/秒以上であることが好ましい。
コーティング組成物を除去するための気流の温度の上限としては、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。温度が100℃を超えると、シリカ膜が変質したり、コーティング膜の疎水性が高くなりすぎる等の問題が生じることがある。また、コーティング組成物を除去するための気流の温度の下限は、15℃以下が好ましい。温度が15℃未満であると、乾燥時間が長くなり、コーティング膜の疎水性が高くなって所望の防汚性能が得られないことがある。
コーティング組成物を除去するための気流を吹き付ける時間としては、気流の温度、及び物品の形状や大きさ等に依存するため特に限定されないが、一般に2〜60秒である。また、微小の隙間や穴を有する物品をコーティング対象とする場合には、隙間や穴からコーティング組成物を除去するために、5〜150秒であることが好ましい。
例えば、浸漬の場合は、コーティング組成物に物品を浸漬させた後、物品をゆっくり引上げることにより、コーティング組成物の流れ落ちによるコーティング膜のムラを防ぐことができる。また、浸漬又は塗布の場合は、コーティング組成物を浸漬又は塗布によって物品に適用した後、物品を回転させる等して、余分なコーティング組成物を振り切って除去することができる。
なお、より確実にコーティング膜のムラをなくしたり、コーティング膜の厚さを大きくする場合には、上記のコーティング方法を繰返し行ってもよい。
また、コーティングを施す物品によっては、本発明のコーティング組成物の濡れ性やコーティング膜の密着性を向上させる観点から、コロナ処理、UV処理等の前処理を物品表面に施すこともできる。
このような本発明のコーティング方法は、シリカ超微粒子が乾燥のみで固化するため、加熱などを必要とせず、フッ素樹脂粒子をコーティング膜表面に固着することが可能となる。
本発明の熱交換器は、上記コーティング組成物により形成されたコーティング膜を有する。すなわち、本発明の熱交換器は、15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子と、フッ素樹脂粒子とを含むコーティング膜であって、前記シリカ超微粒子の含有量が0.1〜5質量%であり、且つ前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比が70:30〜95:5であるコーティング膜を有する。
図3に、本実施の形態における熱交換器の斜視図を示す。図3において、熱交換器は、冷媒が通るパイプ3と、パイプ3に取り付けられた多数枚のフィン4とから構成されている。そして、パイプ3及び/又はフィン4の表面に、本発明のコーティング組成物によるコーティング膜が形成されている。このコーティング膜は、防汚性能及び耐久性に優れているため、汚れによる見た目の悪化や、汚れを起因とするカビや細菌の繁殖等の衛生上の問題や熱交換器の性能低下を防止することができる。さらに、このコーティング膜は、膜全体としてみれば親水性であるため、水滴によるフィン4の間のブリッジを防止し、露飛びや熱交換器の性能低下を防止することもできる。よって、本発明の熱交換器は、特に、室内用の空気調和機において使用することができる。
本発明の空気調和機は、上記コーティング組成物により形成されたコーティング膜を有する部品を具備する。すなわち、本発明の空気調和機は、15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子と、フッ素樹脂粒子とを含むコーティング膜であって、前記シリカ超微粒子の含有量が0.1〜5質量%であり、且つ前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比が70:30〜95:5であるコーティング膜を有する部品を具備する。
ここで、部品とは、特に限定されることはなく、汚れや水滴等が付着する部品が挙げられる。かかる部品としては、熱交換器、ファン、ベーン、フラップ等の風路に存在する部品等が挙げられる。これらの中でも、上述の理由から、熱交換器が好ましい。
[実施例1〜4]
純水及び平均粒径6nmのシリカ超微粒子を含むコロイダルシリカと、平均粒径250nmのPTFE粒子を含むPTFEディスパージョンとを撹拌混合した後、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエステル)をさらに加えて撹拌混合することにより、表1の組成を有するコーティング組成物を調製した。なお、コーティング組成物中の非イオン系界面活性剤の含有量は、0.1質量%であった。
実施例1〜4で得られたコーティング組成物に、平均粒径70nmのシリカ微粒子を含むコロイダルシリカをさらに加えて撹拌混合することにより表1の組成を有するコーティング組成物を調製した。
比較例1及び2では、平均粒径6nmのシリカ超微粒子を含むコロイダルシリカ及び平均粒径150nmのPTFE粒子を含むPTFEディスパージョンをそれぞれ単独で用いて、表1の組成を有するコーティング組成物を調製した。
実施例1と同様の方法によって、表1の組成を有するコーティング組成物を調製した。
また、実施例1〜4のコーティング組成物では、基材としてポリスチレン基材を用いて上記同様に形成したコーティング膜についても評価した。なお、基材として用いたポリスチレンは、コーティング前に低圧水銀灯によるUV処理を行った。その結果を表3に示す。
接触角としては、水の静的接触角を測定し、接触角計(協和界面化学株式会社製DM100)を用いて測定した。
砂塵付着性は、親水性の汚れの付着性を評価するものであり、関東ローム粉塵をエアーでコーティング膜表面に一定量吹きつけることにより、関東ローム粉塵の付着による着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、関東ローム粉塵の付着がほとんどないものを1とし、関東ローム粉塵の付着が多いものを5と表記する。
粉塵付着性は、疎水性の汚れの付着性を評価するものであり、カーボンブラックをエアーでコーティング膜表面に一定量吹きつけることによりカーボンブラックの付着による着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、カーボンブラックの付着がほとんどないものを1とし、カーボンブラックの付着が多いものを5と表記する。
着色性は、コーティング膜を有する基材をタバコの煙中に2時間放置することにより、着色の度合を目視観察にて五段階評価した。この評価において、着色がほとんどないものを1とし、着色が著しいものを5と表記する。
なお、上記の評価方法は、特に測定方法を記載しない限り、以下の実施例でも同様である。
これに対して、比較例2のコーティング組成物(シリカ超微粒子を含有しないコーティング組成物)では、コーティング膜をステンレス基材上に形成することができなかった。また、比較例3のコーティング組成物(シリカ超微粒子の含有量が多すぎるコーティング組成物)では、不均一なコーティング膜がステンレス基材上に形成され、かかるコーティング膜はクラックが入って剥離しやすかった。
また、実施例1〜8のコーティング組成物から得られたコーティング膜の接触角の評価結果に示されているように、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との含有量(質量比率)を調整することにより、コーティング膜のマクロ的な特性(親水性又は疎水性)を調整することができることもわかった。
実施例9及び10では、フッ素樹脂粒子の種類を変えたこと以外は、実施例1と同様にして同じ組成のコーティング組成物を調製した。フッ素樹脂粒子としては、平均粒径200nmのEEP粒子を実施例9で用い、平均粒径250nmのPVDF粒子を実施例10で用いた。
次に、かかるコーティング組成物を用い、実施例1と同様にしてステンレス基材にコーティング膜を形成し、そのコーティング膜について、性状、接触角及び防汚性能(砂塵付着性、粉塵付着性及び着色性)を評価した。その結果を表4に示す。なお、表4では、比較のために、実施例1の評価結果もあわせて記載する。
実施例11では、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との質量比を変化させて調製したコーティング組成物から得られたコーティング膜において、親水性及び疎水性の汚れ、並びに水の接触角を評価した。
コーティング組成物は、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との質量比を変えたこと以外は実施例1と同様にして調製した。次に、かかるコーティング組成物を用い、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルム上にコーティング膜を形成し、そのコーティング膜について、親水性及び疎水性の汚れ、並びに水の接触角を評価した。
ここで、親水性の汚れは、関東ローム粉塵をエアーでコーティング膜表面に一定量吹きつけた後に吸光度を測定し、吹きつけ前後の吸光度の変化量によって評価した。同様に、疎水性の汚れは、カーボンブラックをエアーでコーティング膜表面に一定量吹きつけた後に吸光度を測定し、吹きつけ前後の吸光度の変化量によって評価した。その結果を図5に示す。なお、吸光度は400nmの波長で測定した。この評価において、吸光度の変化量が小さいほど、親水性又は疎水性の汚れの付着が少ないことを意味する。なお、図5では、比較として、コーティング膜を形成していないポリエチレンテレフタレートの場合の親水性及び親油性の汚れを評価結果もあわせて図示した(図5では、未処理と表記する)。
また、水の接触角は、静的接触角及び動的接触角の両方を接触角計により測定した。その結果を図6に示す。この評価において、静的接触角及び動的接触角の値が小さいほど、コーティング膜表面の親水性が高いことを意味する。特に、動的接触角の値が小さいほど、コーティング膜表面で水が濡れ拡がり易いといえる。なお、図6では、比較として、フィン材に用いられている現行のコーティング膜(ポリビニルアルコールを含む親水性樹脂からなるコーティング膜)の静的接触角及び動的接触角の評価結果もあわせて図示した(図6では、現行膜と表記する)。
また、図6に示されているように、シリカ超微粒子とフッ素樹脂粒子との質量比が70:35〜97:3であるコーティング組成物から得られたコーティング膜は、静的接触角及び動的接触角の両方の値が小さく、コーティング膜表面の親水性が高かった。特に、かかるコーティング膜は、現行のフィン材に用いられているコーティング膜よりも動的接触角の値が小さいため、水が濡れ拡がり易く、熱交換器のフィンに形成した場合に露飛びの発生を効果的に防止し得ると考えられる。これに対して、シリカ超微粒子の質量比が上記範囲よりも小さいコーティング組成物から得られたコーティング膜は、静的接触角及び動的接触角の値が高く、親水性が低かった。
実施例12及び13では、不純物としてのNaイオンを低減させたコーティング組成物を調製した。
平均粒径6nmのシリカ超微粒子を含むコロイダルシリカを強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、ダイヤイオンUBK08)と撹拌混合することにより、コロイダルシリカに含まれるNaイオンを低減させた。かかるNaイオンの低減の度合は、強酸性陽イオン交換樹脂の量を変えることにより調整した。
処理前のコロイダルシリカ(実施例1で用いたコロイダルシリカ)におけるNaイオンは、シリカ100質量部に対して1.5質量部であったのに対し、処理後のコロイダルシリカにおけるNaイオンは、シリカ100質量部に対して0.5質量部、0.1質量部であった。ここで、Naイオンの含有量は、原子吸光分析にて測定した。
実施例12ではシリカ100質量部に対して0.5質量部のNaイオンを含むコロイダルシリカを用い、また、実施例13ではシリカ100質量部に対して0.1質量部のNaイオンを含むコロイダルシリカを用い、実施例1と同様にして同じ組成のコーティング組成物を調製した。
次に、かかるコーティング組成物を用い、実施例1と同様にしてステンレス基材にコーティング膜を形成した。このコーティング膜を流水中に浸漬して所定の時間放置した後、取り出して乾燥させ、水の接触角を測定した。その結果を表5に示す。なお、比較のために、実施例1のコーティング膜についても同様に評価し、その結果を表5にあわせて記載する。
Claims (7)
- 水中に15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子を添加及び混合することによってシリカ超微粒子分散液を調製する工程と、
水中に50〜500nmの平均粒径を有するフッ素樹脂粒子を添加及び混合することによってフッ素樹脂粒子分散液を調製する工程と、
水中に20〜200nmの平均粒径を有するシリカ微粒子を添加及び混合することによってシリカ微粒子分散液を調製する工程と、
前記シリカ超微粒子分散液と前記フッ素樹脂粒子分散液とを混合した後、前記シリカ微粒子分散液をさらに添加し、この混合物において、前記シリカ超微粒子の含有量を0.1〜5質量%、前記水の含有量を30〜99.5質量%、前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比を70:30〜95:5、且つ前記シリカ微粒子の含有量を前記シリカ超微粒子及び前記シリカ微粒子の合計100質量部に対して0.1〜20質量部にする工程と
を含むことを特徴とするコーティング組成物の製造方法。 - 前記シリカ超微粒子分散液のpHと前記フッ素樹脂粒子分散液のpHとが同程度であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物の製造方法。
- 前記シリカ超微粒子分散液及び前記フッ素樹脂粒子分散液と共に、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング組成物の製造方法。
- 冷媒が通るパイプと、前記パイプに取り付けられた多数枚のフィンとを具備する熱交換器であって、
15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子及び20〜200nmの平均粒径を有するシリカ微粒子からなるシリカ膜に50〜500nmの平均粒径を有するフッ素樹脂粒子が点在し、前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比が70:30〜95:5であり、且つ前記シリカ超微粒子及び前記シリカ微粒子の合計100質量部に対して前記シリカ微粒子が0.1〜20質量部であるコーティング膜が、前記パイプ及び前記フィンの少なくともいずれかの表面に形成されていることを特徴とする熱交換器。 - 前記コーティング膜が、0.05〜1μmの厚さを有することを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
- ファンと、熱交換器と、ベーンと、フラップとを具備する空気調和機であって、
15nm以下の平均粒径を有するシリカ超微粒子及び20〜200nmの平均粒径を有するシリカ微粒子からなるシリカ膜に50〜500nmの平均粒径を有するフッ素樹脂粒子が点在し、前記シリカ超微粒子と前記フッ素樹脂粒子との質量比が70:30〜95:5であり、且つ前記シリカ超微粒子及び前記シリカ微粒子の合計100質量部に対して前記シリカ微粒子が0.1〜20質量部であるコーティング膜が、前記ファン、前記熱交換器、前記ベーン及び前記フラップの少なくともいずれかの表面に形成されていることを特徴とする空気調和機。 - 前記コーティング膜が、0.05〜1μmの厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
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