JP5665720B2 - 熱交換体の塗装方法、及び熱交換体 - Google Patents
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Description
かかるコーティング液を塗布した場合には、狭い伝熱管間隙にまわり込ませ、かつ残留成分を適切に残してコーティング膜の厚さを均一にする必要があった。
また、単にエアブローするのみでは十分な液切りがなされにくく、また液切り性が悪いため皮膜した際に膜ムラを生じる等の問題点があった。
各前記熱伝導フィン及び前記伝熱管のそれぞれの表面に前記コーティング液を塗布する塗布工程と、
前記フィンブロックの片側の端面を、傾斜した傾斜板に接触させ、かつ保持することで前記熱伝導フィン及び前記伝熱管の各表面に塗布された前記コーティング液を前記傾斜板に沿って流下して液切りする液切り工程と、
前記コーティング液を硬化して前記コーティング膜を形成する乾燥工程と
を備えている。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における熱交換体1の塗装方法で製造された熱交換体1を示す斜視図である。
この熱交換体1は、間隔を空けて積層された複数枚の矩形状であって熱伝導フィンであるアルミニウムフィン2で構成されたフィンブロック3と、各アルミニウムフィン2を貫通し熱媒体が流通する伝熱管である銅管(図示せず)とが一体で構成された熱交換体本体に、通風空気9の風上側の領域の一部(この例では、2列目までの銅管及び各アルミニウムフィン2の各表面)にコーティング膜10が形成されている。
コーティング液6は、水に親水性の無機粒子が分散され、防汚性を有するものである。
なお、傾斜板4は、空気の通過により、コーティング膜10のムラが生じるおそれがあるので、空気の流通を遮断できるものが好ましい。
また、アルミニウムフィン2間にコーティング液6のブリッジが生じても、傾斜したアルミニウムフィン2の表面に沿って流下してくる上流からのコーティング液6により、そのブリッジは破壊される。
これにより、アルミニウムフィン2の表面には、均一で薄膜なコーティング液6が付着する。
また、余剰なコーティング液6は、飛散することなくアルミニウムフィン2及び伝熱管から除去されるので、メンテナンスに労力を要しない利点もある。
図4はこの発明の実施の形態2における熱交換体1の塗装方法の一工程である乾燥工程を示す説明図である。
この実施の形態では、実施の形態1の熱交換体1の塗装方法と、塗布工程、液切り工程までは同じであり、液切り工程の後、ブロワ装置7を用いてエアによる温風8を熱交換体1に吹き付ける乾燥工程を備えている。
エアによる温風をコーティング液6が塗布された熱交換体本体に吹き付けることで、乾燥工程の時間が短縮化され、また水の残留による臭いの吸着、カビ発生も防止できる。
温度に関しては、乾燥温度が低いとフィンブロック3の内部にコーティング液6の状態で残ってしまい、乾燥温度が高すぎると、形成したコーティング膜10が白濁して性能が低下するおそれがある。
但し、この場合には、塗布領域の拡大により乾燥時間が長くなり、また余剰コーティング液6が堆積したままの状態でエアブロー等により乾燥されると、車冷用熱交換体など大型になるほど、乾燥工程におけるエアの噴きつけが困難になることと相俟って、白濁や凹凸の多いコーティング膜の原因となることが懸念される。
従って、特に余剰コーティング液6が堆積したままの状態でのエアブロー等による乾燥は避ける必要がある。
また、熱伝導フィンとしてアルミニウムフィン2を用いたが、例えば銅フィンであってもよい。また、伝熱管についても、銅管以外の熱伝導性のものでもよい。
また、上記各実施の形態では、水中に親水性の無機粒子が分散されたコーティング液6を用いた例について説明したが、この場合には、上記乾燥工程により、コーティング液6中の親水性の無機粒子はアルミニウムフィン2、銅管と強固に密着する。
無機粒子である例えばシリカ微粒子は、屈折率がプラスチックやガラス等に近い値であるために透明感を持たせることができる。これらの無機微粒子を含ませることにより、下地材との界面や表面の光反射により、白くなったり、ぎらついたりする状態を回避できる。
このようなフッ素樹脂粒子は、重合時や水への分散時において界面活性剤等で表面が親水性状態となっている。
乾燥してコーティング膜10を形成した場合には、界面活性剤等が剥離するなどしてフッ素樹脂粒子は、疎水化するが、コーティング液6中にシリカ超微粒子が共存しているため、乾燥後のコーティング膜10の表面のフッ素樹脂粒子には、シリカ超微粒子が表面に付着した状態となる。
その一方、疎水性汚れ粒子の固着に対しては、単純なフッ素樹脂表面と比較して付着しにくいものとなる。柔軟な表面を有し汚れ粒子が付着しやすいフッ素樹脂の表面を無機粒子により固くして密着しにくくする効果のほか、樹脂表面に局所的に親水基を導入することで疎水性汚れ粒子との密着性を抑制する効果があるためである。
また、上記実施の形態1,2のコーティング液6は、水中に親水性のシリカ粒子が分散された、防汚性のものであったが、この発明は、コーティング液が例えば防錆性のものでも勿論適用できる。
実施例1〜7及び比較例1、2では、車冷用熱交換体1を用いた。
水及び平均粒径5nmの親水性の無機粒子であるコロイダルシリカ(日産化学社製)2質量%を撹拌混合してコーティング液6を調製した。
熱交換体本体の第二列銅管までを含む領域をコーティング槽5に浸漬させ、アルミニウムフィン2及び銅管の各表面にコーティング液6を塗布した。
続いて、傾斜板4としてアルミニウム基材を用い、アルミニウムフィン2の各端面を傾斜板4に接触させた状態で傾斜板4を45°傾斜し、かつ10分間保持した。
この後は、コーティング液6が塗布された熱交換体本体を常温のもとで、放置し、自然乾燥により、コーティング液6を硬化してコーティング膜10を形成した。
この実施例では、実施例1と熱交換体1の塗装方法の液切り工程までは同じである。
この実施例では、液切り工程の後、ブロア装置(BOSCH社製)を用い、エアの風速を25m/s、温度を60℃でコーティング液6を乾燥し、コーティング膜10を形成した。
この実施例では、塗布工程でフィンブロック3の第四列の銅管まで、即ち全域をコーティング槽5に浸漬した。他は実施例2と同じである。
この実施例では、乾燥工程でエアの温度を46℃とした。他は実施例2と同じである。
この実施例では、乾燥工程でエアの温度を82℃とした。他は実施例2と同じである。
この実施例では、液切り工程での傾斜板4がプラスチックであり、また乾燥工程でのエアの温度が75℃とした。他は実施例2と同じである。
この実施例では、この水及び平均粒径5nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)2質量%、及び平均粒径250nm、質量2質量%のフッ素樹脂を撹拌混合してコーティング液を調製した。
また、この実施例では、乾燥工程でエアの温度が78℃とした。他は実施例2と同じである。
コーティング液6は、実施例1-6と同じであって、水中に平均粒径5nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)2質量%を撹拌混合してコーティング液6を調製した。
コーティング液6をコーティング槽5に投入した後、熱交換体本体を第二列の銅管までの領域を浸漬させコーティング液6を塗布した。
この後、ブロア装置(BOSCH社製)を用い、エアの風速を25m/s、温度78℃でコーティング液6を乾燥し、コーティング膜10を形成した。
この例では、実施例1-7の液切り工程は無い。
比較例1のコーティング液6と同じであって、水中に平均粒径5nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)2質量%を撹拌混合してコーティング液6を調製した。
コーティング液6を槽に投入した後、熱交換体本体を第二列の銅管までの領域を浸漬させコーティング液6を塗布した。
傾斜板4としてはアルミ基材を用い、フィンブロック3の端面と接触させない状態で傾斜角度45°で10分間放置し余剰のコーティング液6を除去した。
その後、ブロア装置(BOSCH社製)を用い、エアの風速を25m/s、温度を78℃でコーティング液6を乾燥し、コーティング膜10を形成した。
実施例1〜7及び比較例1〜2についての概略条件を表1に示す。
値が大きいほどコーティング液6が残留していることになり、またコーティング液6の乾燥が十分でないことになる。
実施例2,5及び7ではコーティング液6の残量が無かった。
実施例2,4及び7では、コーティング膜10は透明であった。
まず、粉塵をエアーにより熱交換体1に吹き付けた後、アルミニウムフィン2の端面付近に付着した粉塵をメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製)により採取した。 次に、これを分光光度計(島津製作所株式会社製UV−3100PC)を用いて吸光度(波長550nm)を測定した。そして、測定された吸光度の値を以下のように5段階評価した。
1:吸光度が0.1未満のもの、2:吸光度が0.1以上0.2未満のもの、3:吸光度が0.2以上0.3未満のもの、4:吸光度が0.3以上0.4未満のもの、5:吸光度が0.4以上のもの。
特に、水にコロイダルシリカ及びフッ素樹脂を含んだ実施例7の場合には、目視でも透明な膜であり、また、汚れ付着防止も最も良好であることを確認できた。
乾燥工程におけるエア温度は、60℃以上の実施例3、5及び6ではコーティング膜10に白濁があり、25℃以上50℃以下が好ましいことが分かった。
また、ブロワ装置7を用いたことで、コーティング液6の乾燥時間を短縮をすることができる。
カーボンブラックや関東ロームを付着させると、膜ムラで引っかかりやすくなるため付着防止性も確保できないと思われる。
平均粒径5nm〜30nm、コロイダルシリカ(日産化学社製)0.5〜10質量%の範囲のコーティング液6の場合でも、表に示されたのと同様の結果であった。
また、上記実施例1〜7、及び比較例1,2では、何れもエア風速は25m/sであったが、風速は20m/s〜40m/sの範囲では同様の結果が得られた。
また、実施例7のフッ素樹脂についても、平均粒径250〜500nm、質量0.5〜10質量%の場合でも、表に示されたのと同様の結果であった。
Claims (8)
- 間隔を空けて積層された矩形状の複数枚の熱伝導フィンから構成されたフィンブロックと、各前記熱伝導フィンを貫通し熱媒体が流通する伝熱管とが一体化された熱交換体本体に、コーティング液を塗布して表面にコーティング膜を形成する熱交換体の塗装方法であって、
各前記熱伝導フィン及び前記伝熱管のそれぞれの表面に前記コーティング液を塗布する塗布工程と、
前記フィンブロックの片側の端面を、傾斜した傾斜板に傾斜方向に沿って接触させ、かつ保持することで前記熱伝導フィン及び前記伝熱管の各表面に塗布された前記コーティング液を前記傾斜板に沿って流下して液切りする液切り工程と、
前記コーティング液を硬化して前記コーティング膜を形成する乾燥工程と
を備えたことを特徴とする熱交換体の塗装方法。 - 前記傾斜板は、空気の通過を遮断する板であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換体の塗装方法。
- 前記傾斜板は、その表面が水の静的接触角で20度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換体の塗装方法。
- 前記傾斜板は、アルミニウム板であることを特徴とする請求項3に記載の熱交換体の塗装方法。
- 各前記熱伝導フィン及び前記伝熱管が前記コーティング液で塗布される領域は、前記傾斜板側の領域のみであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱交換体の塗装方法。
- 前記乾燥工程では、送風された加熱媒体により、前記コーティング液を硬化させて前記コーティング膜を形成することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の熱交換体の塗装方法。
- 前記コーティング液は、水中に粒径5nm〜30nmのコロイダルシリカ、0.5〜10.0質量%を混合した混合液であり、前記乾燥工程は、25℃50℃のエアを風速20〜40m/sで前記熱交換体本体に送ることを特徴とする請求項6に記載の熱交換体の塗装方法。
- 前記コーティング液は、水中に平均粒径5nm〜30nm、0.5〜10.0質量%のコロイダルシリカ、及び平均粒径250〜500nm、0.5〜10質量%のフッ素樹脂粒子を混合した混合液であり、前記乾燥工程は、前記乾燥工程は、25℃〜80℃のエアを風速20〜40m/sで前記熱交換体本体に送ることを特徴とする請求項6に記載の熱交換体の塗装方法。
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