JP2003336986A - 空調用熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

空調用熱交換器及びその製造方法

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JP2003336986A
JP2003336986A JP2002142627A JP2002142627A JP2003336986A JP 2003336986 A JP2003336986 A JP 2003336986A JP 2002142627 A JP2002142627 A JP 2002142627A JP 2002142627 A JP2002142627 A JP 2002142627A JP 2003336986 A JP2003336986 A JP 2003336986A
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coating
heat transfer
heat exchanger
film
mass
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Katsumi Muroi
克美 室井
Shigeyuki Sasaki
重幸 佐々木
Yasuhisa Yasunaga
泰久 安永
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Hitachi Home and Life Solutions Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長時間、親水性且つ抗菌性を示す被膜を表面を
供えた伝熱フィンを有する熱交換器を提供する。 【解決手段】上下方向に延ばされ、所定の間隔で多数枚
平行に配列されるとともに、直交方向から複数本の伝熱
管が上下方向に所定の間隔を保持して挿通される伝熱フ
インを備えた空調用熱交換器において、伝熱フィン基材
1の表面に形成された被膜4が、被膜4となる有機系材
のベース塗料に1μmから15μmの粒子径を有するキ
トサンもしくはキトサンを化学修飾したものまたはこれ
らの混合物の粒子3を1.0質量%から12.0質量%
添加し硬化させて被膜4を形成し、被膜4の表面に形成
された凝縮水あるいは該凝縮水の滴下した水滴に対して
超親水性を有するように構成されていることを特徴とす
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器に係り、
被膜表面の水滴との接触角が5度以下の超親水性を示
し、あるいは超親水性に加えて抗菌性を兼ね備え、その
持続性が極めて高い被膜を有する熱交換器用伝熱フイン
材を用いたプレコート法による空調用熱交換器に関す
る。ここで、被膜表面の水滴との接触角とは、前記被膜
表面に形成された水滴に対する前記被膜表面からの接線
と前記被膜表面の成す角の内、水滴側の角をいう。超親
水性とは、被膜表面の水滴が拡張拡がりを示し、水滴と
の接触角がほぼ5度以下の場合をいうものとする。
【0002】
【従来の技術】空調機用熱交換器を蒸発器として使用し
た場合、フィン表面には凝縮水が生成して水滴として付
着するため熱交換器の通風抵抗値が増加する。また最近
の空調機の熱交換器では、省エネを達成させるために、
熱交換器のフィンピッチを狭めてフィン枚数を増やして
面積を増加させる検討がされている。そのため熱交換器
の通風抵抗をさらに低減させる技術開発が重要となって
くる。
【0003】そこで、熱交換器の通風抵抗値を低減させ
る技術の一つとして、フィン表面に親水化処理を施すこ
とにより、生成する凝縮水を膜状として水濡れ性を良く
し水切り性の向上を図っている。
【0004】一般的なフィン表面の親水性処理方法とし
ては、(1)ベーマイト、水ガラス系等の無機系被膜
(例えば特許1996543号公報)の形成、(2)有
機樹脂にシリカ、水ガラス等を配合した複合被膜(例え
ば特開平6−264001号公報、特開平10−158
544号公報)の形成、(3)アクリル、PVA,尿素
樹脂等を用いる有機系被膜の形成法が知られている。
【0005】さらに、親水性を高く、その持続性も向上
を図った被膜として(4)アルミニウム粒子の表面にア
ルミ水和酸化物を形成あるいはポリスチレン、メタクリ
ル酸系樹脂粒子の表面を金属アルコキシド加水分解液を
コーティングして水酸基を形成させた粒子を親水性樹脂
に添加する有機系被膜(例えば特開2002−0039
04号公報)が提案されている。(5)酸化チタンの光
触媒粒子を用い、紫外線を照射することにより水との接
触角が5度以下とする被膜(例えば、特開平9−225
387号公報)も提案されている。
【0006】一方、最近のエアコンのクリーン化機能の
要求が高まっており、室内用機器のクリーン化技術の開
発が進んでいる。エアコンの熱交換器においても、空気
調和器の使い始めの立ち上げ時においていわゆる「カビ
臭」といわれる異臭を生ずることがある。これに対応す
るため、親水性被膜に抗菌化処理を行なって、抗菌、防
黴作用を付与させている。一般的なその被膜の製法とし
ては、被膜を形成する塗料に抗菌材を混合して適用を図
っている。用いられている抗菌材としては、例えば特開
平11−158434号公報に記載の2−(4−チアゾ
リル)−ベンツイミダゾール、N−(フルオロジクロロ
メチルチオ)フタルイミド、O−フェニルフェノール等
の有機系、メタホウ酸バリウム、ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛
等の無機塩系などを挙げることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近の親水性被膜を付
与した熱交換器の製作法としては、アルミニウム基材を
金型でフィン形状に成形後、フィンの組立、伝熱管の拡
管により熱交換器に組み上げ、その後フィン表面に親水
性被膜をコーティングするアフターコート法、また、他
の方法として予めアルミニウム素材に親水性被膜をコー
ティングを施し、その後金型でフィン成形を行ない、フ
ィン組立、伝熱管の拡管による熱交換器に組み上げるプ
レコート法がある。そして現在はプレコート法が主流と
なっている。そのためフィン材に対してはフィン成形時
に金型の摩耗を起こさない被膜およびその被膜製法が要
求されている。
【0008】しかしながら、従来の(1)及び(2)の
親水性被膜では親水性の持続性の変化はあまり見られな
いが、得られた被膜が固いため、フィン成形時の金型摩
耗が生じそのメンテナンスが必須でありそのための時間
と費用を要する問題がある。
【0009】一方、(3)の有機系親水性被膜において
は、初期の親水性は良好ではあるが、使用時間の経過と
ともに親水性が劣化するという問題がある。またその解
決法として提案された(4)、(5)に示されている被
膜においても用いる粒子が無機系あるいは一部に無機材
を利用していることからフィン成形時の金型の摩耗等の
影響が懸念される。
【0010】一方、熱交換器フィンに抗菌性を付与させ
る方法としては、従来の抗菌材としては、主として有機
系抗菌材を被膜に適用している例が見られる。そして、
初期においては、その効果が顕著に現れるが、使用時間
の経過ととともに有機系抗菌材が揮発、あるいは凝縮水
に溶解したりしてその持続性には問題がある。
【0011】(5)に示されている被膜の表面層が光触
媒性酸化物とシリコ−ンとの例では高抗菌性能が高い反
面、高親水層の表面を形成させるためには、紫外線を含
む光を照射して光励起を起こさせるための紫外線照射装
置を設けなければならず、コスト、メンテナンス等に問
題がある。
【0012】このように熱交換器のフィン材における親
水化被膜の技術に関して、多くの提案がなされている
が、親水性に富み、親水性の持続性及び耐久性のある抗
菌性を満足させるフィン材表面被膜や該フィン材表面被
膜の処理方法はまだ十分ではない。
【0013】本発明は、以上の従来技術の問題点を鑑み
なされたものであり、プレコートが可能な、超親水性を
有し、且つ持続性を有する被膜、さらに耐久性のある抗
菌性を有する被膜を供えた空気調和機用熱交換器および
その製造方法を提供することをその目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係わる空気調和機用熱交換器の構成は、上
下方向に延ばされ、所定の間隔で多数枚平行に配列され
るとともに、直交方向から複数本の伝熱管が上下方向に
所定の間隔を保持して挿通される伝熱フインを備えた空
調用熱交換器において、前記伝熱フィンの基材表面に形
成された被膜が、該被膜となる有機系材のベース塗料に
1μmから15μmの粒子径を有するセルロース粒子を
1.0質量%から12.0質量%添加し硬化膜として形
成され、超親水性を有するように構成されていることを
特徴とするものである。
【0015】また、本発明に係わる空気調和機用熱交換
器の製造方法の構成は、伝熱フインの基材表面を脱脂処
理する脱脂工程と、該伝熱フィンの基材表面に耐食性付
与のためのクロメート被膜を形成させるクロメート被膜
形成工程と、該クロメート被膜表面に、粒子径が1μm
から15μm、且つベース塗料への添加量が1.0質量
%から12.0質量%であるセルロース粒子が添加され
た有機系材を塗布する塗布工程と、該塗布膜を硬化させ
る焼付け工程と、を経て超親水性被膜を有する前記伝熱
フィン基材を製作し、該伝熱フィン基材を加工して空調
用熱交換器を製造することを特徴とするものである。
【0016】本発明に係わる空気調和機用熱交換器の他
の構成は、上下方向に延ばされ、所定の間隔で多数枚平
行に配列されるとともに、直交方向から複数本の伝熱管
が上下方向に所定の間隔を保持して挿通される伝熱フイ
ンを備えた空調用熱交換器において、前記伝熱フィンの
基材表面に形成された被膜が、粒子径が1μmから15
μm、且つベース塗料への添加量が1.0質量%から1
2.0質量%であるキトサンもしくはキトサンを化学修
飾したものまたはこれらの混合物の粒子が添加されて硬
化された超親水性を有する有機系材で構成されているこ
とを特徴とするものである。
【0017】本発明に係わる空気調和機用熱交換器の製
造方法の他の構成は、伝熱フインの基材表面を脱脂処理
する脱脂工程と、該伝熱フインの基材表面に耐食性付与
のためのクロメート被膜を形成させるクロメート被膜形
成工程と、該クロメート被膜表面に、粒子径が1μmか
ら15μm、且つベース溶液への添加量が1.0質量%
から12.0質量%であるキトサンもしくはキトサンを
化学修飾した粒子またはこれらの混合物の粒子が添加さ
れた有機系材を塗布する塗布工程と、該塗布膜を硬化さ
せる焼付け工程と、を経て超親水性且つ抗菌性を有する
伝熱フィン基材を製作し、該伝熱フィン基材を加工して
空調用熱交換器を製造することを特徴とするものであ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる空調用熱交
換器の伝熱フィン基材およびその基材を用いた空調用熱
交換器の実施の形態を説明する。本実施の形態において
は、超親水性膜とは超親水性を有する被膜をいうが、具
体的に説明する。塗工液は、親水性の高い多糖類、例え
ばセルローズ、キトサンの有機系親水粒子をベース塗料
に混合して作成される。前記作成された塗工液が伝熱フ
イン基材に塗布され、その後に硬化させる。これによ
り、前記硬化させた被膜表面に粒子による微細凹凸を形
成し、且つ水酸基等の親水性の官能基を当該被膜表面に
露出させることにより、凝縮水あるいは水滴が容易に被
膜表面に吸着させることができる。この結果、前記水滴
が前記被膜表面の全面に拡張広がりを示して水濡れ性を
向上させ、超親水性を発現させた超親水性膜の水滴との
接触角がほぼ5°以下となる。ここで、ベース塗料と
は、アクリル、尿素、PVA等樹脂の固形物10質量%
と潤滑成分を含み、残量は水である塗料をいい、伝熱フ
ィン基材に塗布後に硬化させることにより親水被膜を形
成するものをいう。潤滑成分とは、ベース塗料に混入さ
れ、該ベース塗料と共に伝熱フイン基材に塗布され、硬
化した際に潤滑層を形成し、前記伝熱フイン基材を金型
等で加工した場合、該金型の磨耗を防止するもので、P
EG(ポリエチレングリコール),PEO(ポリエチレ
ンオキサイド)等が用いられる。さらに、前記PEG、
PEOは、初期親水性を高め、親水性を持続させる作用
もあります。
【0019】超親水性の程度は、例えば1μLの水滴を
被膜表面上に滴下させると、水滴が被膜表面をすばやく
拡張して広がり、やがて乾燥する。ここで、被膜の水に
対する接触角を考えると、ほぼ0度である。また、被膜
表面に露出させた粒子が水には溶解しないため、乾湿2
0サイクル試験、あるいは500時間水浸漬試験後にお
いても前記被膜表面は拡散広がりを示す初期の性能を持
続している。
【0020】一方、抗菌性を兼ね備えた親水性の高い粒
子として多糖類、例えば化学式(1)に示されるキトサ
ンあるいはキトサンのアミノ基を一部4級化して化学修
飾したキトサン粒子またはこれらの粒子の混合物が適用
される。
【化1】 これら粒子が用いられた場合には、前記粒子が水に溶解
しないため、長時間の抗菌性能を維持し且つ親水性も保
持することができる。
【0021】ここで、図1及び図2を参照して具体的な
実施例を説明する。図1は、本発明に係る熱交換器の伝
熱フイン材の部分断面模式図、図2は、図1の熱交換器
のフイン材の走査型電子顕微鏡観察写真図、図3は、図
1の伝熱フイン材を用いて製作した熱交換器を適用した
室外機ユニット説明図、図4は、図1の伝熱フイン材に
おける親水性粒子添加率に対する水滴接触角特性図、図
5は、図1の伝熱フイン材における親水性粒子径に対す
る水滴接触角特性図である。
【0022】[実施例1]図1を参照して伝熱フィンに
おける親水性膜の表面処理方法について説明する。図1
において、1は伝熱フィン基材、2は耐食性を向上させ
るためのクロメート被膜、3は親水性樹脂粒子、4は親
水性被膜、5は超親水被膜である。親水性の樹脂粒子3
としてセルロース粒子を用いる。該セルロース粒子3
は、精選パルプを無機酸によつて加水分解し、水洗し、
脱水乾燥後、粉砕して得られたもので、(平均粒子径4
μm、チッソ(株)製、商品名セルフロー)を用いる。
【0023】セルロース粒子3をアクリル樹脂の固形物
10質量%を含む塗料(商品名コスマ9400、関西ペ
イント(株)製)に2.0質量%添加し、十分に攪拌を
行なった溶液を塗工液とする。前記塗料は成膜後の親水
性を考慮した結果から水酸基価、酸価、平均分子量が定
められている。
【0024】次に、空調用熱交換器伝熱フィン材1とし
て、厚さ0.105mmのAl100系コイルに予め約
60℃にて塩基性脱脂水溶液中を用いてスプレーで10
秒間脱脂を行い、水温70℃の水で10秒間スプレー湯
洗した。その後、大気中で150℃で5秒間加熱乾燥し
た。次いで、耐食性を向上するクロメート下地処理を施
しクロメート被膜2を形成する。さらに、前記クロメー
ト被膜2上に、塗工液をロールコータ法によりコーテイ
ングをする。このコーテイング塗膜を285℃で15秒
焼付けを行った。その親水性被膜4の厚さは、約0.5
g/m2とした。
【0025】この結果、図1に示すように、伝熱フィン
材であるアルミニウム基材1上に、耐食性付与のために
形成されたクロメート被膜2上に、アクリル樹脂を主成
分とする塗料(商品名コスマ9400、関西ペイント
(株)製)で構成される親水性樹脂被膜4が形成され、
この親水性樹脂被膜4からセルロース粒子(平均粒子径
4μm、チッソ(株)製、商品名セルフロー)の親水性
樹脂粒子3が露出している。このようにして、超親水性
被膜5が構成される。
【0026】また、図2には図1の実施例の超親水性被
膜5の表面を走査型電子顕微鏡にて観察した写真が示さ
れている。前記写真には、親水性粒子3が多数、親水性
被膜4の表面に露出していることが分かる。表1には前
記親水性被膜4の初期における親水性および乾湿サイク
ル試験20回後における親水性を水の接触角として示さ
れている。
【表1】
【0027】表1において、親水性は、マイクロシリン
ジで水滴1μlを被膜4の表面に落下させて協和界面科
学製接触角測定機CA−Aを用いて30秒後の水滴形状
を求めて測定した。超親水被膜5上の水滴はいずれも拡
張広がりを示し、表面全面において濡れ性を示してい
る。初期においては超親水被膜5上に、水滴が30秒以
内で全面拡張して広がって形成され、接触角は0°とな
った。また、20サイクル後の超親水被膜5においても
水滴は拡張広がりを示すが、その速度が初期時と比較し
て若干遅くなり、30秒時の拡張広がり途中の水滴形状
から該水滴の接触角を求めた。該接触角は4°以下であ
った。
【0028】本実施例において、親水性樹脂粒子3とし
て、セルロース粒子(平均粒子径4μm、チッソ(株)
製、商品名セルフロー)を用いたが、該セルロース粒子
の平均粒子径1μm〜15μmが好ましい。平均粒子径
が1μmより小さいと親水性被膜4に埋没してしまい、
平均粒子径が15μmより大きいと親水性被膜4から剥
離する。
【0029】また、セルロース粒子3(平均粒子径4μ
m)を、アクリル樹脂の固形物10%を含む塗料(商品
名コスマ9400、関西ペイント(株)製)に、0.5
質量%から15.0質量%を添加したが、1.0質量%
以上、12.0質量%以下が好ましい。12.0質量%
を超えた場合は、セルロース粒子3の剥離領域となり、
塗料粘度が増加し、被膜加工性等が低下し、コストアッ
プする。1.0質量%以下の場合は、親水性が低下す
る。
【0030】図4は、親水性粒子の添加率をパラメータ
として、水滴との接触角を示す特性図である。平均粒子
径が5μmの親水性粒子の添加率が1.0質量%を超え
ると水滴との接触角が5°を超え、急激に増加すること
を示している。12.0質量%を超えると、セルロース
粒子3の剥離領域となり、親水性が低下する。図4にお
いて、親水性粒子の粒子径の変化(1μmから15μ
m)に対しては、水滴との接触角の変化は殆どない。
【0031】図5は、親水性粒子の粒子径をパラメータ
として、水滴との接触角を示す特性図である。粒子添加
率を2パーセントとし、平均粒子径が1μm以下になる
と、水滴との接触角が4°を超え、急激に増加すること
を示している。平均粒子径が15μmを超えると、セル
ロース粒子3の剥離領域となり、親水性が低下すること
を示している。図5において、親水性粒子の添加率の変
化(1.0質量%から12.0質量%)に対しては、水
滴との接触角の変化はない。
【0032】次に、このフィン材1に対して金型を用い
てフィンの成形加工を行った。このとき、潤滑成分に例
えばPEG(ポリエチレングリコール),PEO(ポリ
エチレンオキサイド)等を用いることにより、金型加工
への悪影響がなかった。次に、フィンを組立て熱交換器
を製作し、図3に示す室外機ユニット10に適用した。
前記室外機ユニット10は、空気吸込み型で、積層され
た複数の伝熱フィン11に複数の伝熱管15が垂直に挿
入された上流側の熱交換器16と、下流側の熱交換器1
3と、ファン12及び圧縮機14とから構成されてい
る。前記熱交換器13および16は、フィンピッチ1.
3mm、伝熱管段ピッチ25mm、フィン幅17.4m
mである。
【0033】熱交換器13の乾き時および湿り時の通風
抵抗を測定した。測定条件は、湿り時雰囲気温度25
℃、相対湿度60%、熱媒体である冷水入口温度4℃で
あり、乾き時は雰囲気温度20℃、相対湿度60%、熱
媒体である温水入り口温度60℃とし、前面風速は1m
/sとした。その結果、通風抵抗比(湿り時の通風抵抗
/乾き時の通風抵抗比)は1.18であった。また乾湿
サイクル20サイクル後においては通風抵抗比は1.2
であり、被膜の経時変化はほとんどなく、水濡れ性は極
めて高い。
【0034】また、比較のために粒子無添加の塗料を焼
付けしたフィン材1は、接触角15°で、水滴の拡張広
がりは示さなかつた。熱交換器13と同一形状の熱交換
器を作成して同様な通風抵抗の測定実験を行ったとこ
ろ、通風抵抗比は1.5であった。
【0035】[実施例2]次に、熱交換器に抗菌性且つ
親水性を持たせる場合について説明する。 [実施例1]と同様の事項については、煩瑣となるので
簡単に説明し、特徴的な点を中心に説明する。抗菌性且
つ親水性の表面処理方法について説明する。抗菌性且つ
親水性の樹脂粒子として、多糖類、例えば上記化学式
(1)に示されるキトサンあるいはキトサンのアミノ基
を一部4級化したキトサン粒子が用いられ、その添加量
としては1.0質量%以上から12.0質量%以下が好
ましい。前記12.0質量%を超えた場合は、親水性、
抗菌性の性能がアップするが、粒子の増加とともに塗料
粘度も増加し、被膜加工、ハンドリングが悪くなり、さ
らにコストアップにもつながる。また一方、前記1.0
質量%未満では、親水性、抗菌性が低下する。
【0036】また、添加するキトサン粒子の大きさは、
平均粒径で1μmから15μmが好ましい。添加キトサ
ン粒子の大きさが15μmをこえると、被膜から露出す
る粒子の割合が大きくなり容易に粒子が被膜から離脱す
る。また、添加キトサン粒子が1μmより小さい場合、
ほとんどの粒子が塗膜内部に埋まってしまい、塗膜の凹
凸あるいは親水性の粒子が塗膜表面に露出しないため、
塗膜の親水性は高くならず、拡張広がりの現象は発現し
ない。
【0037】[実施例2]においては、日本ペイント
(株)製、商品名サーファルコート241の塗料にキト
サン粒子(平均粒子径4μm)を2.0質量%を添加し
て攪拌して塗工液とした。次に、空調用熱交換器伝熱フ
ィン材1として、厚さ0.105mmのAl100系、
厚さ0.105mmのAl100系コイルに予め約60
℃にて塩基性脱脂水溶液を用いてスプレーで10秒間脱
脂を行い、水温70℃の水で10秒間スプレー湯煎し
た。その後、大気中で150℃で5秒間加熱乾燥した。
次いで、耐食性を向上するクロメート下地処理を施しク
ロメート被膜2を形成する。
【0038】さらに、クロメート被膜2上に、塗工液を
ロールコータ法によりコーテイングをする。このコーテ
イング塗膜を乾燥後の被膜厚さが0.6g/m2となる
ようにロールコータ法でフィン材1に塗布し、焼付け温
度220℃、保持時間10秒にて成膜を行った。
【0039】この結果、[実施例1]の図1に示すよう
に、伝熱フィン材であるアルミニウム基材1上に、耐食
性付与のためのクロメート被膜2が形成され、前記クロ
メート被膜2上に、アクリル樹脂、PVA樹脂を主成分
とする塗料(日本ペイント(株)製、商品名サーファル
コート241)で構成される親水性樹脂被膜4が形成さ
れ、この親水性樹脂被膜4からキトサン粒子(平均粒子
径4μm)の親水性樹脂粒子3が露出している。このよ
うにして、超親水性被膜5が構成される。
【0040】超親水性被膜5の表面を電子顕微鏡にて観
察すると、[実施例1]の図2で示した同様に、親水性
樹脂粒子3が露出している。超親水性被膜5における初
期の親水性、抗菌性及び該親水性被膜5を乾湿サイクル
試験を20回行なった後においても、被膜における抗菌
性,親水性は持続されていることが判明した。さらに、
キトサンの代わりに、キトサンのアミノ基を4級化した
キトサンを用いても同様な結果が得られた。親水性粒子
の添加量をパラメータとして、親水性粒子径と水滴との
接触角を示す特性図も[実施例1]の図4と同様の特性
を示している。
【0041】[実施例1]と同様に金型を用いて加工
し、スリット型フィンの成形を行い、[実施例1]と同
一寸法の熱交換器を製作した。このとき、金型加工に悪
影響がなかった。次いで、[実施例1]と同一の測定条
件で、乾き時および湿り時の通風抵抗を測定した。その
結果の通風抵抗比は、1.20であった。また、乾湿サ
イクル20サイクル後においては通風抵抗比は1.22
であり、被膜の経時変化はほとんどなく、水濡れ性は極
めて高い。
【0042】
【発明の効果】以上、詳細に述べた如く、本発明の構成
によれば、フィン表面には凝縮水滴が付着すると拡張広
がりの挙動を示させ、あるいはさらに抗菌性を示し、且
つその状態を長く維持することができる被膜が形成され
ているため、水滴は膜状となり、熱交換器の通風抵抗値
は極めて低く、且つその働きは長時間保持され、また菌
の増殖が長時間防止できる空気調和器用熱交換器及びそ
の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱交換器の伝熱フイン材の部分断
面模式図である。
【図2】図1の熱交換器のフイン材の走査型電子顕微鏡
観察写真図である。
【図3】図1の伝熱フイン材を用いて製作した熱交換器
を適用した室外機ユニット説明図である。
【図4】図1の伝熱フイン材における親水性粒子の添加
率に対する水滴接触角特性図である。
【図5】図1の伝熱フイン材における親水性粒子径に対
する水滴接触角特性図である。
【符号の説明】
1…伝熱フィン基材、2…クロメート被膜、3…親水性
粒子、4…親水性樹脂被膜、5…超親水性被膜、10…
室外機ユニット、11…伝熱フィン、12…ファン、1
3…下流側の熱交換器、14…圧縮機、15…伝熱管、
16…上流側の熱交換器
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月20日(2002.5.2
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安永 泰久 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューシ ョン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向に延ばされ、所定の間隔で多数
    枚平行に配列されるとともに、直交方向から複数本の伝
    熱管が上下方向に所定の間隔を保持して挿通される伝熱
    フインを備えた空調用熱交換器において、前記伝熱フィ
    ンの基材表面に形成された被膜が、該被膜となる有機系
    材のベース塗料に1μmから15μmの粒子径を有する
    セルロース粒子を1.0質量%から12.0質量%添加
    し硬化膜として形成され、超親水性を有するように構成
    されていることを特徴とする空調用熱交換器。
  2. 【請求項2】 伝熱フインの基材表面を脱脂処理する脱
    脂工程と、該伝熱フィンの基材表面に耐食性付与のため
    のクロメート被膜を形成させるクロメート被膜形成工程
    と、該クロメート被膜表面に、粒子径が1μmから15
    μm、且つベース塗料への添加量が1.0質量%から1
    2.0質量%であるセルロース粒子が添加された有機系
    材を塗布する塗布工程と、該塗布膜を硬化させる焼付け
    工程と、を経て超親水性被膜を有する前記伝熱フィン基
    材を製作し、該伝熱フィン基材を加工して空調用熱交換
    器を製造することを特徴とする空調用熱交換器の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上下方向に延ばされ、所定の間隔で多数
    枚平行に配列されるとともに、直交方向から複数本の伝
    熱管が上下方向に所定の間隔を保持して挿通される伝熱
    フインを備えた空調用熱交換器において、 前記伝熱フィンの基材表面に形成された被膜が、該被膜
    となる有機系材のベース塗料に1μmから15μmの粒
    子径を有するキトサンもしくはキトサンを化学修飾した
    ものまたはこれらの混合物の粒子を1.0質量%から1
    2.0質量%添加し硬化膜として形成され、超親水性を
    有するように構成されていることを特徴とする空調用熱
    交換器。
  4. 【請求項4】 伝熱フインの基材表面を脱脂処理する脱
    脂工程と、該伝熱フインの基材表面に耐食性付与のため
    のクロメート被膜を形成させるクロメート被膜形成工程
    と、該クロメート被膜表面に、粒子径が1μmから15
    μm、且つベース塗料への添加量が1.0質量%から1
    2.0質量%であるキトサンもしくはキトサンを化学修
    飾した粒子またはこれらの混合物の粒子が添加された有
    機系材を塗布する塗布工程と、該塗布膜を硬化させる焼
    付け工程と、を経て超親水性且つ抗菌性を有する伝熱フ
    ィン基材を製作し、該伝熱フィン基材を加工して空調用
    熱交換器を製造することを特徴とする空調用熱交換器の
    製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009150586A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器用フィン材
JP2009243741A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Kobe Steel Ltd 熱交換器用アルミニウムフィン材
JP2012078081A (ja) * 2010-09-08 2012-04-19 Kobe Steel Ltd アルミニウム製フィン材
JP2013096631A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換器

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