JP7116882B2 - 親水性塗料と親水性皮膜及び親水性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材と熱交換器 - Google Patents

親水性塗料と親水性皮膜及び親水性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材と熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、親水性塗料と親水性皮膜及び親水性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材と該アルミニウムフィン材を備えた熱交換器に関する。
アルミニウムやその合金は軽量でかつ優れた加工性と熱伝導性を有することから、エアコンディショナーの熱交換器用フィン材として広く利用されている。しかし、アルミニウムやその合金の表面の親水性は十分ではなく、エアコンディショナーの運転時にエバポレータのフィン表面に空気中の水分が結露水として付着することがある。この結露水がフィン表面に滞留し、隣接するフィン間にブリッジを形成すると、送風時の抵抗(通風抵抗)が増大し、冷房および暖房能力の低下や室内への水飛びなどの原因となる。
これらの問題を回避するため、フィン表面に珪酸塩を使用した親水化処理を施すこと(特許文献1参照)や、親水性の樹脂を塗装すること(特許文献2参照)など、水濡れ性に優れた親水性の表面処理を施すことが実施されている。
特開昭58-126989号公報 特開昭64-038481号公報
しかしながらこれら従来技術の表面処理方法では、初期の親水性は良好であっても、長期間の運転に耐えつつ良好な親水性を維持できる表面とすることができなかった。また、近年の熱交換器においては、APF「通年エネルギー消費効率」の向上、暖房機の市場ニーズ高などから、従来にも増して水濡れ性の良い親水性に優れたフィン材が求められている。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、長期間の運転に耐える良好な親水性を確保することができる親水性皮膜及び該親水性皮膜を形成するための親水性塗料の提供と、前記親水性皮膜を備えたアルミニウムフィン材の提供、並びに、熱交換器の提供を目的とする。
本発明の親水性塗料は、アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子と溶媒からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、アルカリ珪酸化合物中のSiOと前記無機化合物粒子の合計を全体に対し1~60質量%含有し、前記SiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
本発明の親水性塗料において、前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上であることが好ましい
本発明の親水性皮膜は、アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることを特徴とする。
本発明の親水性皮膜において、前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、前記基板上に形成された下地処理皮膜と、前記下地処理皮膜上に形成された親水性皮膜を具備してなり、前記親水性皮膜は、アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることを特徴とする。
本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材において、前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材において、前記親水性皮膜上に潤滑性皮膜が形成されたことが好ましい。
本発明に係る熱交換器は、先のいずれかに記載のアルミニウムフィン材を備えたことが好ましい。
本発明は、アルカリ珪酸化合物に対し、望ましい範囲の無機化合物微粒子を配合したので、良好な親水性を長期間維持することができ、加工性と耐食性に優れた親水性皮膜と該親水性皮膜を製造可能な親水性塗料を提供できる。
本発明は、上述の親水性塗料からなる親水性皮膜を備えたアルミニウムフィン材であるので、フィン材表面の良好な親水性を長期間維持することができ、加工性と耐食性に優れた親水性皮膜を備えたアルミニウムフィン材を提供できる。
本発明は、上述のアルミニウムフィン材を備えた熱交換器であるので、長期間使用してもフィン表面において親水性の低下を起こすことが無く、フィン間に水滴が留まることがなく、熱交換効率の低下が生じ難い熱交換器を提供できる。このため、通年エネルギー消費効率の良好な熱交換器を提供できる。
本発明に係る一実施形態の親水性皮膜を備えた熱交換器用フィン材を示すもので、(A)は断面図、(B)は同熱交換器用フィン材について流水サイクル試験を施した後の状態の一例を示す断面図。 図1に示すフィン材を適用した熱交換器の一形態を示す斜視図。 図2に示す熱交換器に設けられているフィン材の一例を示す断面図。 図2に示す熱交換器に設けられているフィン材の一例を示す斜視図。 実施例において得られた複数の配合比の親水性皮膜について無機化合物微粒子の比率と接触角を測定した結果の関連性を示すグラフ。 実施例において得られた親水性皮膜の表面を示す拡大写真であり、(A)は表面の初期状態を示す写真、(B)は乾湿14サイクル後表面状態を示す写真。
以下、添付図面に基づき、実施形態の一例について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1(A)は本実施形態の熱交換器用アルミニウムフィン材の断面構造を示すもので、この形態のアルミニウムフィン材1はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板2の一面側(図1(A)では上面側)に下地処理皮膜3が形成され、この下地処理皮膜3の上に親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)と潤滑層6が順次形成されている。親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)は、アルカリ珪酸化合物からなる基層5aとこの基層5a内に分散された複数の無機化合物微粒子5bとからなる。
下地処理皮膜3は耐食層として基板2の一面側に形成された皮膜であり、例えば、リン酸クロメート皮膜からなる。リン酸クロメート皮膜は例えば付着量10~30mg/mで形成された耐食層であり、その上に被覆される親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の密着向上に寄与する。
親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)を主体として構成する基層5aは、具体的には珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、1種または2種以上からなり、無機化合物微粒子5bは例えばMgあるいはCaを主体とする化合物微粒子からなる。より具体的に、無機化合物微粒子5bは水酸化マグネシウム微粒子、炭酸マグネシウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子のうち、1種または2種以上からなることが好ましい。
親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)における無機化合物微粒子5bの含有量は、アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であることが好ましい。
無機化合物微粒子5bは親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の表面の粗面化に寄与する。無機化合物微粒子5bの含有量を15質量%以上70質量%以下とすることは、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の初期接触角並びに経時後(乾湿サイクル後)の接触角をいずれも10°以下に維持するために有効である。ここで、乾湿サイクルとは、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の表面に水道水などの水を所定時間(数時間~10数時間)流して通水後、80℃程度の高温で親水性皮膜表面を所定時間(10数時間)乾燥する操作を必要回数(例えば10数回)繰り返す処理を意味する。
無機化合物微粒子5bの含有量が15質量%未満の場合、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の表面を十分に粗面化することができず、十分な親水性能が得られなくなる。無機化合物微粒子5bの含有量が70質量%を超えた場合、フィン材を金型で加工してフィン形状を作成する場合、金型が摩耗し易くなり、金型摩耗が原因となって加工性に問題を生じ易くなる。
無機化合物微粒子5bの平均粒子径は0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
無機化合物微粒子5bの平均粒子径を0.01μm以上10μm以下に調整することは、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の初期接触角並びに経時後(乾湿サイクル後)の接触角をいずれも10°以下に維持するために有効である。
無機化合物微粒子5bの平均粒子径が0.01μm未満では、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の表面を十分に粗面化することができず、十分な親水性能が得られなくなる。無機化合物微粒子5bの平均粒子径が10μmを超えた場合、フィン材を金型で加工してフィン形状を作成する場合、金型が摩耗し易くなり、金型摩耗が原因となって加工性に問題を生じ易くなる。
なお、図1(A)に示す形態では無機化合物微粒子5bとして基層5aの厚さより若干粒径が大きく、粒径の揃った状態の無機化合物微粒子5bを分散配合させた状態を一例として描いている。しかし、無機化合物微粒子5bの平均粒子径は上述の範囲であれば良いので、基層5aの厚さに応じて基層5aの厚さより大きな微粒子、あるいは基層5aの厚さより小さな微粒子、もしくは基層5aの厚さより大きな微粒子と小さな微粒子の混合微粒子のいずれが基層5aに含まれる構造を採用しても良い。図1(A)はアルミニウムフィン材1の断面構造を理解し易いように粒径の揃った無機化合物微粒子5bのみを描いている。
上述の割合の無機化合物微粒子5bを上述のアルカリ珪酸化合物に上述の範囲添加した親水性塗料を用意するとともに、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板1にリン酸クロメート処理を施して下地処理層3を形成した基板2を得る。
この後、基板2の下地処理層3の上にロールコート装置あるいはバーコート装置などの塗布装置を用いて必要な厚さに親水性塗料を塗布し、180℃~260℃程度で15秒~1分程度加熱することで親水性塗料を加熱乾燥させ、図1に示す構造の親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)を得ることができる。
また、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の上に必要に応じて潤滑剤を塗布することで図1に示す潤滑層6を得ることができる。潤滑層6は例えば(水溶性ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルなど)から形成されている。
潤滑層6はフィン材1を金型等で目的の形状のフィンに加工する場合、金型の摩耗を抑制する目的で形成する。
前記親水性塗料は、アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子と溶媒からなり、アルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量(塗料固形分)を全体に対し1~60質量%含有し、前記SiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲である塗料が好ましい。
溶媒は水を用いることができる。
親水性塗料において、アルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量が塗料全体に対し1質量%未満では形成した膜厚が薄すぎて親水性、耐食性が劣り、合計量が塗料全体に対し60質量%を超えると形成した膜厚が厚すぎて塗装不良となるなどの問題を生じる。
望ましくはアルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量(塗料固形分)は塗料全体に対し2~30質量%含有していることが好ましい。
図1(A)に示す構造の親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)を有するアルミニウムフィン材1であるならば、上述の範囲の平均粒子径の無機化合物微粒子5bを基層5a中に分散させて配合しているので、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の表面に無機化合物微粒子5bの存在に起因する微細な凹凸が形成されている。この表面の微細な凹凸が親水性の発現に寄与する。また、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)の基層5aを構成するアルカリ珪酸化合物自体も良好な親水性を発現する。これらが相俟って、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)は優れた親水性を発揮する。例えば、表面の水接触角を10°以下とする優れた親水性が得られる。
また、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)には好適な範囲の平均粒子径の無機化合物粒子5bであって、好適な含有量の無機化合物微粒子5bを含んでいるので、プレス加工において使用する金型の過度な損耗を抑制することができ、金型によりフィンを大量に加工する場合であっても、良好な加工性を得ることができる。
図1(B)は、図1(A)に示すアルミニウムフィン材1に対し、金型等で目的の形状のフィンに加工して潤滑層6を除いた後、上述の乾湿サイクルを経た後に得られる親水性皮膜50(アルカリ珪酸化合物)の断面構造の一例を示す。
上述の乾湿サイクルを施すと、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)に含まれていた無機化合物粒子5bは一部洗い流され、基層5aには無機化合物粒子5bを洗い流した後の複数の脱粒痕5cに伴う微細凹凸構造が形成されている。
基層5aを構成するアルカリ珪酸化合物は、本来優れた親水性を有するが、アルカリ珪酸化合物が本来有する親水性に加え、前述の複数の脱粒痕5cの存在に起因する微細凹凸の生成により、乾湿サイクル後であっても親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)は優れた親水性を発現する。
このため、アルミニウムフィン材1は、初期状態では勿論のこと、乾湿サイクル後であっても優れた親水性を発揮する。従ってこの形態のアルミニウムフィン材1は、長期間使用しても親水性の低下しない優れた親水性を維持できる効果を発揮する。
また、基板2の表面に下地処理層3として、リン酸クロメート皮膜を有しているので、アルミニウムフィン材1は優れた耐食性を発揮する。
次に、前述のアルミニウムフィン材1を熱交換器に適用した一形態について説明する。
図2は、本実施形態の熱交換器20を示す斜視図である。
本実施形態の熱交換器20は、ルームエアコンディショナーの室内・室外機用の熱交換器、あるいは、HVAC(Heating Ventilating Air Conditioning)用の室内・室外機、自動車用の熱交換器などの用途に使用されるアルミニウム熱交換器である。
図2に示す熱交換器20は、図3に断面構造を示すアルミニウムフィン材1と、複数の銅製の伝熱管30とを備えたものである。アルミニウムフィン材1は細長い短冊形状を有しており、銅製の伝熱管30を通すラッパ状のフレア11が、長さ方向に単列、或いは複数列で等間隔に配されている。また、アルミニウムフィン材1の表面には、伝熱性能の向上を目的にスリット12などを必要箇所に設けることがある。アルミニウムフィン材1は、一定の間隔で平行に並べられており、アルミニウムフィン材1の相互間に空気が流動するようになっている。銅製の伝熱管30はアルミニウムフィン材1のフレア11を貫通しており、その内部を冷媒が流動するようになっている。
<<フィン>>
アルミニウムフィン材1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状の基板2と、基板2の片面または両面に設けられた親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)を有している。
<基板>
基板2は、この形態では例えばJIS1050系のアルミニウム合金を主体とした合金からなる。また、基板2は、JIS1050系のアルミニウム合金に必要な合金元素を添加したアルミニウム合金からなるものであっても良い。さらに、基板2は、その表面と裏面に先の形態で説明した下地処理皮膜3を施したものであっても良い。
基板2は、アルミニウム合金を常法により溶製し、熱間圧延工程、冷間圧延工程、プレス工程などを経て加工される。なお、基板2の製造方法は、本発明としては特に限定されるものではなく、既知の製法を適宜採用することができる。
<親水性皮膜>
アルミニウムフィン材1は、親水性皮膜5(アルカリ珪酸化合物)を形成しているので、優れた親水性を得ることができる。
即ち、アルミニウムフィン材1に水分が付着しても水滴になることなく水が濡れ広がり、隣接するアルミニウムフィン材1間に水のブリッジを形成することがなく、アルミニウムフィン材1の通風抵抗を上昇させないため、熱交換効率が低下しない熱交換器20を提供できる効果を有する。
この優れた親水効果については、熱交換器20の製造直後は勿論のこと、熱交換器20を長期間使用した場合であっても低下することがない。また、水の付着と乾燥を長期間繰り返したとしても、フィン表面の親水性低下を引き起こすことがない。
このため、図2、図3、図4に示す構造の熱交換器20であるならば、長期間使用しても熱交換効率が低下することのない、通年エネルギー消費効率に優れた熱交換器を提供できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<サンプルの作製>
JIS1050系の純アルミニウム合金からなる基板(縦300mm、横200mm)に対し、リン酸クロメート処理を施して被着量20mg/mのリン酸クロメート皮膜を形成した。
このリン酸クロメート皮膜付きの基板に対し、以下の表1に示す比率(質量%)でアルカリ珪酸化合物と無機化合物微粒子を配合した親水性塗料を塗布量0.5g/mで塗布し、220℃で30秒間乾燥して親水性皮膜を形成し、複数のアルミニウムフィン材試料を得た。なお、各親水性塗料においては、塗料全体の質量に対し、アルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量(塗料固形分)が5質量%となるように配合している。
また、アルカリ珪酸化合物に対して配合する無機化合物微粒子は、以下の表1に示す平均粒子径(μm)のものを用いた。
次に、これらのアルミニウムフィン材試料を用いて以下に説明する親水持続性評価、加工性評価、並びに耐食性評価を行った。
<親水持続性評価>
各試料に対し、水道水の流水に8時間浸漬し、その後、各試料を80℃で16時間乾燥させるというサイクルを1サイクルとして、このサイクルを14サイクル付加後の接触角を測定した。この14サイクル付加後の接触角の測定値が10°以下の試料は優れた親水持続性を有している試料と判断して表1の親水持続性の欄に◎を記載し、接触角が10~20°の試料は親水持続性合格の試料と判断して表1に○を記載し、接触角が20°を超えた試料は親水性に劣る試料と判断して表1に×を記載した。
<加工性評価>
各試料に対し、バウデン式動摩擦係数試験により表面の動摩擦係数を測定し、動摩擦係数が0.2以下の試料は合格として表1の欄に○を記載し、0.2を超える試料は動摩擦係数が大きい試料と判断して表1に×を記載した。
<耐食性評価>
各アルミニウムフィン材試料に対し、塩水噴霧試験240時間、湿潤試験240時間後のR.N(レイティングナンバー)が9.8以上の試料は耐食性に優れていると判断して表1の耐食性の欄に○を記載し、R.Nが9.8未満の試料あるいは著しい変色が見られた試料は耐食性に劣ると判断して表1に×を記載した。
<塗装性評価>
各試料に対し、塗装後の外観を目視評価し良好な塗膜が形成された試料は合格と判断して表1の塗装性の欄に○を記載し、塗装不良が生じた試料は塗装性が劣るとして表1に×を記載した。
Figure 0007116882000001
表1に示す実施例1~実施例13の試料は、親水性皮膜に対し、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムのいずれかの無機化合物微粒子をアルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率で85:15~30:70の範囲にて含有させ、平均粒径0.15μm以上10.0μm以下の無機化合物微粒子を用いて親水性皮膜を作製した試料である。これらの試料は、いずれの試料も親水持続性に優れ、加工性に優れ、耐食性に優れ、塗装性にも優れていた。
比較例1の試料は、無機化合物微粒子の含有量を10質量%に設定した試料であるが、親水持続性に問題を生じた。比較例2の試料は、無機化合物微粒子の含有量を90質量%に設定した試料であるが、親水持続性に劣り、加工性に劣り、耐食性にも劣る結果となった。
比較例3の試料は、無機化合物微粒子として炭酸カルシウムを用いて含有量を10質量%に設定した試料であるが、親水持続性に問題を生じた。比較例4の試料は、無機化合物微粒子として炭酸カルシウムを用いて含有量を90質量%に設定した試料であるが、親水持続性に劣り、加工性に劣り、耐食性にも劣る結果となった。
比較例5の試料は、無機化合物微粒子の平均粒子径を0.005μmに設定した試料であるが、親水持続性に問題を生じた。比較例6の試料は、無機化合物微粒子の平均粒子径を25.0μmに設定した試料であるが、親水持続性と加工性に問題を生じた。
比較例7の試料は、無機化合物微粒子として炭酸カルシウムを用いて平均粒子径を0.005μmに設定した試料であるが、親水持続性に問題を生じた。比較例8の試料は、無機化合物微粒子として炭酸カルシウムを用いて平均粒子径を25.0μmに設定した試料であるが、親水持続性と加工性に問題を生じた。比較例9は無機化合物微粒子として硫酸カルシウム微粒子を用いたが、親水持続性に劣り、加工性に劣り、耐食性にも劣る結果となった。
比較例10の試料は、アルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量を0.5質量%に設定した試料であるが、膜厚が薄すぎて親水性、耐食性に問題を生じた。比較例11の試料は、アルカリ珪酸化合物中のSiOと無機化合物粒子の合計量が70質量%に設定した試料であるが、膜厚が厚すぎて塗装不良となるなどの問題を生じた。
図5は珪酸リチウムと水酸化マグネシウムを配合して親水性塗料を作製し、これから親水性皮膜を作製する場合、水酸化マグネシウム(無機化合物微粒子)の配合比を珪酸リチウム中のSiOに対して0質量%(珪酸リチウム=100質量%)、15質量%、30質量%、50質量%、70質量%、85質量%のいずれかに変更した場合、得られた親水性皮膜の接触角(°)を測定した結果を示す。親水性皮膜の作製条件は表1に示す実施例の場合と同等である。
接触角の測定は、前記親水持続性評価の際に用いたサイクルを用い、初期、14サイクル(14C)のそれぞれの場合の接触角を測定した。
図5に示す結果から、珪酸リチウムと水酸化マグネシウムを配合して親水性皮膜とする場合、水酸化マグネシウムの含有量を15質量%以上70質量%以下の範囲とするならば、親水性に優れた親水性皮膜を得られることがわかる。
即ち、アルカリ珪酸化合物を主剤とし、無機化合物微粒子を添加物として親水性塗料および親水性皮膜を作製する場合、アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率で85:15~30:70の範囲とするならば、親水性に優れた親水性皮膜を得られることがわかる。
図6は表1に示す実施例2の親水性皮膜表面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した結果を示す写真である。図6(A)は初期状態の親水性皮膜表面を示し、図6(B)は乾湿14サイクル後の親水性皮膜表面を示す。
初期状態において親水性皮膜の表面に無機化合物微粒子が分散されているが、乾湿14サイクル試験後に無機化合物微粒子が一部脱落して脱粒痕が生成されていることがわかる。
図6(A)に示す親水性皮膜と図6(B)に示す親水性皮膜の両方が優れた親水性を示す。このことから、初期状態では無機化合物微粒子が生成する凹凸により優れた親水性が発現され、乾湿サイクル後は無機化合物粒子の脱粒痕の存在により優れた親水性が発現されたと推定できる。
従って本発明に係る親水性皮膜であれば、初期状態において優れた親水性を得ることができることは勿論、設置環境などにより、雨水等に晒された経時後であっても優れた親水性を維持することができる優れた特徴を有する。
1…アルミニウムフィン材、2…基板、3…下地処理皮膜、5…親水性皮膜(アルカリ珪酸化合物)、5a…基層、5b…無機化合物微粒子、5c…脱粒痕、50…親水性皮膜、6…潤滑層、11…フレア、12…スリット、20…熱交換器、30…伝熱管。

Claims (8)

  1. アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子と溶媒からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、
    アルカリ珪酸化合物中のSiOと前記無機化合物粒子の合計を全体に対し1~60質量%含有し、前記SiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることを特徴とする親水性塗料。
  2. 前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の親水性塗料。
  3. アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、
    アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることを特徴とする親水性皮膜。
  4. 前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の親水性皮膜。
  5. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、前記基板上に形成された下地処理皮膜と、前記下地処理皮膜上に形成された親水性皮膜を具備してなり、
    前記親水性皮膜は、アルカリ珪酸化合物と無機化合物粒子からなり、前記無機化合物微粒子が、水酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子のうち、1種または2種以上の無機化合物微粒子であり、
    アルカリ珪酸化合物中のSiO:無機化合物粒子の質量比率が85:15~30:70の範囲であり、前記無機化合物微粒子の平均粒径が0.15μm以上10.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  6. 前記アルカリ珪酸化合物が、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウムのうち、少なくとも1種または2種以上である請求項5に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  7. 前記親水性皮膜上に潤滑性皮膜が形成された請求項5または請求項6に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  8. 請求項5~請求項7のいずれか一項に記載のアルミニウムフィン材を備えたことを特徴とする熱交換器。
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