JP2019131665A - 塗料組成物、アルミニウム塗装材、熱交換器用フィン材、及び熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な耐食性及び親水性を兼ね備える塗膜を1回の塗装工程により形成できる塗料組成物、これを用いたアルミニウム塗装材、及びこれを用いた熱交換器用フィン材、及びこれを用いた熱交換器を提供する。【解決手段】耐食性樹脂成分としてのウレタン系樹脂と、第1親水性樹脂成分としてのポリビニルピロリドンと、第2親水性樹脂成分としてのポリビニルアルコールと、架橋剤成分としてのメラミン系樹脂と、潤滑性樹脂成分としてのポリオキシアルキレングリコールとを所定の割合で含有する塗料組成物である。また、アルミニウム材2と、化成皮膜3と、塗料組成物を焼き付けてなる樹脂塗膜4とが順次積層されたアルミニウム塗装材1である。また、このアルミニウム塗装材1からなる熱交換器用フィン材である。さらに、熱交換器用フィン材からなるフィンを備えた熱交換器である。【選択図】図1
Description
本発明は、塗装対象物に耐食性及び親水性を付与することが可能な塗料組成物、塗料組成物が塗装されたアルミニウム塗装材、及びアルミニウム塗装材を用いた熱交換器用フィン材、及びこれを用いた熱交換器に関する。
近年、地球温暖化などの環境問題や、火力発電燃料費の増加による電気代の高騰に伴い、省エネルギーへの関心が高まっており、消費電力削減が厳しく求められている。空調用エアコンも例外ではなく、熱交換効率の向上が求められている。
また、エアコンの省スペース化に伴う熱交換器の小型化も求められていることから、フィン間の狭小化などが進んでいる。そのため、たとえば、暖房運転中の室外機では、フィン表面に結露水が付着し水滴が大きくなり、フィン間でブリッジ状に存在しやすくなる。フィン表面の親水性が乏しいと結露水の付着が顕著になり、フィン間の空気の流れが妨げられ、通風抵抗が増大し、熱交換効率の低下およびファン入力の増大につながる。
この解決方法として、フィン表面に親水性皮膜を形成し、付着した結露水を薄い水膜として流下させ、結露水による通風抵抗の増大を抑制する方法が取り入れられている。従来から、様々な親水性皮膜が提案されており、たとえば、水ガラスやコロイダルシリカ等を含む無機系皮膜、またはアクリル系樹脂やセルロース系樹脂などの親水性高分子を含む有機系皮膜等が挙げられる。このような無機系皮膜又は有機系皮膜は、リン酸クロメート処理等により形成された化成処理皮膜上に形成される。
室外機用熱交換器は、屋外に設置され、雨や風等が直接当たるため、熱交換器に用いられているフィンの劣化・腐食が促進される。特に沿岸地域では塩分を含む潮風が吹くことから、フィンの劣化・腐食が促進されやすい。フィンの劣化・腐食が進むと冷媒配管からフィンが脱落しやすくなり、熱交換効率の低下につながる。また、室内機用熱交換器では、フィンの腐食が進むと、汚染物質の吸着や腐食生成物による臭気が発生してしまう。
そこで、特許文献1では、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等からなる耐食性皮膜を有するフィンが提案されている。特許文献2、特許文献3では、化成処理を施したアルミニウム材の上にウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の耐食性樹脂からなる耐食性皮膜を形成し、その上に親水性皮膜を形成させた複数層の皮膜を有するフィン材が提案されている。特許文献4では、ウレタン樹脂および水溶性セルロースからなる1回のコーティング工程で親水性、耐食性および耐色落ち性を奏する塗膜が提案されている。
しかしながら、特許文献1のようなフィンでは耐食性皮膜のみであり、表面の親水性に劣るため、通風抵抗の増大につながる。特許文献2、特許文献3のようなフィン材では、複数回の塗装工程が必要となる。その結果、塗装作業性を悪化させ、かつ塗料費が増加し、量産性が悪い。
また、特許文献4では、ウレタン樹脂および水溶性セルロースを含有する塗料組成物が用いられているが、親水性が不十分である。例えばフィン間が狭小化した熱交換器に適用するためには、親水性にさらなる改良の余地がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、良好な耐食性及び親水性を兼ね備える塗膜を1回の塗装工程により形成できる塗料組成物、これを用いたアルミニウム塗装材、及びこれを用いた熱交換器用フィン材、及びこれを用いた熱交換器を提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、耐食性樹脂成分としての平均粒子径0.1μm以下のウレタン系樹脂20〜40質量部と、
第1親水性樹脂成分としての重量平均分子量45,000〜2,800,000のポリビニルピロリドン50〜79質量部と、
第2親水性樹脂成分としてのポリビニルアルコール1〜10質量部と、
架橋剤成分としてのメラミン系樹脂10〜40質量部と、
潤滑性樹脂成分としての重量平均分子量1,000〜20,000のポリオキシアルキレングリコール1〜10質量部と、を含有し、
上記耐食性樹脂成分と上記第1親水性樹脂成分と上記第2親水性樹脂成分との合計含有量が100質量部である、塗料組成物にある。
第1親水性樹脂成分としての重量平均分子量45,000〜2,800,000のポリビニルピロリドン50〜79質量部と、
第2親水性樹脂成分としてのポリビニルアルコール1〜10質量部と、
架橋剤成分としてのメラミン系樹脂10〜40質量部と、
潤滑性樹脂成分としての重量平均分子量1,000〜20,000のポリオキシアルキレングリコール1〜10質量部と、を含有し、
上記耐食性樹脂成分と上記第1親水性樹脂成分と上記第2親水性樹脂成分との合計含有量が100質量部である、塗料組成物にある。
本発明の第2の態様は、アルミニウム材、化成皮膜、及び樹脂塗膜が順次積層されてなり、
上記化成皮膜は、クロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、上記金属元素の含有量が2〜50mg/m2であり、
上記樹脂塗膜は、上記塗料組成物を焼き付けてなり、
上記樹脂塗膜の厚みは0.05〜5μmである、アルミニウム塗装材にある。
上記化成皮膜は、クロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、上記金属元素の含有量が2〜50mg/m2であり、
上記樹脂塗膜は、上記塗料組成物を焼き付けてなり、
上記樹脂塗膜の厚みは0.05〜5μmである、アルミニウム塗装材にある。
本発明の第3の態様は、上記アルミニウム塗装材からなる熱交換器用フィン材にある。
本発明の第4の態様は、上記熱交換器用フィン材からなると共に、相互に平行に配置された多数のフィンを備えた、熱交換器にある。
上記塗料組成物は、耐食性樹脂成分として上記特定の平均粒子径を有するウレタン系樹脂を含有し、親水性樹脂成分として上記特定の重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンと、ポリビニルアルコールとを含有する。さらに、上記塗料組成物は、架橋剤成分としてメラミン系樹脂を含有し、潤滑性樹脂成分として上記所定の重量平均分子量を有するポリオキシアルキレングリコールを含有する。
そのため、上記塗料組成物が塗装対象物に塗装され、焼き付けられると、耐食性及び親水性が良好な樹脂塗膜が形成される。つまり、1回の塗装工程により、良好な耐食性及び親水性を示す塗膜を形成することができる。ウレタン系樹脂及びメラミン系樹脂により耐食性に優れた塗膜が形成され、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリオキシアルキレングリコールにより親水性に優れた塗膜が形成されると考えられる。塗料組成物は、上述の各成分を含有するため、樹脂塗膜は、耐湿性、密着性、耐水性、及び滑り性にも優れる。
また、上記塗料組成物は、有機系成分からなり、金属酸化物、金属塩などの無機系化合物を必ずしも必要としない。そのため、上記塗料組成物が塗装された塗装対象物に対して、成形加工等の機械加工を施しても、例えば金型のような加工冶具が摩耗することを防止できる。つまり、成形性に優れた製品の製造が可能になる。
上記アルミニウム塗装材は、アルミニウム材と化成皮膜と樹脂塗膜とを有する。アルミニウム材、化成皮膜、及び樹脂塗膜はこの順で積層されている。樹脂塗膜は、上述の塗料組成物を焼き付けてなる。そのため、樹脂塗膜が良好な耐食性及び親水性を示す。さらに樹脂塗膜は、耐湿性、密着性、耐水性、及び滑り性にも優れる。
樹脂塗膜の厚みが上記範囲に調整されているため、樹脂塗膜がアルミニウム材本来の熱交換性能を妨げることなく、耐湿性、密着性、耐水性および滑り性を発現できる。
また、アルミニウム塗装材は、樹脂塗膜とアルミニウム材の間に、化成皮膜を有し、この化成皮膜がクロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、金属元素の含有量が2〜50mg/m2である。そのため、化成皮膜と樹脂塗膜との密着性が優れる。したがって、樹脂塗膜は、長期にわたって上述の良好な耐食性及び親水性等を発揮できる。
熱交換器用フィン材は、アルミニウム塗装材からなる、また、熱交換器は、上記熱交換器用フィン材からなると共に、相互に平行に配置された多数のフィンを備える。そのため、熱交換器用フィン材及び熱交換器のフィンは、良好な耐食性及び親水性を示すことができる。
塗料組成物、これを用いたアルミニウム塗装材、熱交換器用フィン材、熱交換器の実施形態について説明する。本明細書において、「アルミニウム」は、アルミニウムを主体とする金属及び合金の総称であり、純アルミニウム及びアルミニウム合金を含む概念である。
[塗料組成物]
塗料組成物は、例えばアルミニウム製品のような塗装対象物(つまり、基材)に塗装され、焼き付けて用いられる。塗料組成物は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとメラミン系樹脂とポリオキシアルキレングリコールとを含有する。このような塗料組成物が上述のように良好な耐食性と親水性とを示す理由は、次のように考えられる。
塗料組成物は、例えばアルミニウム製品のような塗装対象物(つまり、基材)に塗装され、焼き付けて用いられる。塗料組成物は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとメラミン系樹脂とポリオキシアルキレングリコールとを含有する。このような塗料組成物が上述のように良好な耐食性と親水性とを示す理由は、次のように考えられる。
塗料組成物の焼付時には、ウレタン系樹脂及びメラミン系樹脂が基材側へ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリオキシアルキレングリコールが表面側(つまり基材と反対側)へと層分離される。これにより、焼き付け後に形成される樹脂塗膜が良好な耐食性及び親水性を兼ね備えると考えられる。つまり、樹脂塗膜は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリオキシアルキレングリコールからなる表面側の層が親水性を示し、ウレタン系樹脂及びメラミン系樹脂からなる基材側の層が耐食性を示すと考えられる。また、ウレタン系樹脂とメラミン系樹脂とが架橋構造を形成することができる。これにより、樹脂塗膜の架橋密度が上がり、耐食性が向上する。樹脂塗膜は、ウレタン系樹脂とメラミン系樹脂とが相互に架橋した上述の塗料組成物からなるということができる。
<ウレタン系樹脂>
塗料組成物は、耐食性樹脂成分としてウレタン系樹脂を含有する。ウレタン系樹脂は、分子中にウレタン結合を有し、主にイソシアネート化合物とポリオール類との反応によって形成される。具体的には、イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が用いられる。ポリオール類として、ポリエーテル系、ポリエステル系、アクリル系等が用いられる。ウレタン系樹脂の市販品としては、スーパーフレックス150、スーパーフレックス170(いずれも第一工業製薬製)等が挙げられる。
塗料組成物は、耐食性樹脂成分としてウレタン系樹脂を含有する。ウレタン系樹脂は、分子中にウレタン結合を有し、主にイソシアネート化合物とポリオール類との反応によって形成される。具体的には、イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が用いられる。ポリオール類として、ポリエーテル系、ポリエステル系、アクリル系等が用いられる。ウレタン系樹脂の市販品としては、スーパーフレックス150、スーパーフレックス170(いずれも第一工業製薬製)等が挙げられる。
ウレタン系樹脂は、分子内に親水性官能基を有し、自己乳化型であることが好ましい。この場合には、他の樹脂と混合後も樹脂成分が沈殿することなく、安定な塗料組成物が得られる。
ウレタン系樹脂を自己乳化させる手段として、例えば下記のような方法が挙げられる。ポリウレタンのポリマーの側鎖または末端にヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などの親水性官能基を導入する方法、ポリウレタンアイオノマーをアセトン等の有機溶剤溶液中で中和する方法等が挙げられるが、これらの方法に限定するものではない。
ウレタン系樹脂の平均粒子径が大きくなりすぎると、ウレタン系樹脂中の親水基が少なくなり、基材との結合が弱くなる。その結果、層分離し難くなり、十分な親水性を得られなくなる。したがって、親水性を十分に得るという観点から、ウレタン系樹脂の平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。本明細書において、「平均粒子径」は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積積算値50%での粒径を意味する。
また、塗料組成物中のウレタン系樹脂の含有量が多くなりすぎると、層分離が十分に起こらず、ウレタン系樹脂が基材側だけでなく表面側にも存在することとなる。その結果、樹脂塗膜の表面の親水性が損なわれる。したがって、ウレタン系樹脂の含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
一方、ウレタン系樹脂の含有量が少なすぎると、十分な耐食性が得られなくなる。したがって、ウレタン系樹脂の含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して20質量部以上であることが好ましく、23質量部以上であることがより好ましい。
<ポリビニルピロリドン>
塗料組成物は、第1親水性樹脂成分としてポリビニルピロリドンを含有する。ポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドン系樹脂と同義である。ポリビニルピロリドンは、反応性官能基が少なく、ウレタン系樹脂やメラミン系樹脂と反応し難い。そのため、親水性を発揮しやすい。
塗料組成物は、第1親水性樹脂成分としてポリビニルピロリドンを含有する。ポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドン系樹脂と同義である。ポリビニルピロリドンは、反応性官能基が少なく、ウレタン系樹脂やメラミン系樹脂と反応し難い。そのため、親水性を発揮しやすい。
ポリビニルピロリドンとしては、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドンと呼ばれるモノマーの重合物を用いることができる。ポリビニルピロリドンとしては、分子中に環状アミド構造を有するものを用いることができる。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量の制限はないが、成膜性を高めるという観点や粘度を適正の範囲にするという観点から、45,000〜2,800,000が好ましく、450,000〜1,200,000がより好ましい。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(つまり、GPC)法により測定することができる。具体的には、溶媒に測定対象となる樹脂を溶解させた溶液を試料溶液として用い、試料溶液中の樹脂の分子量をポリスチレンの分子量で換算することにより算出する。ポリビニルアルコール以外の他の物質の重量平均分子量についても同様である。
ポリビニルアルコールのK値の制限はないが、成膜性を高めるという観点や粘度を適正の範囲にするという観点から、27〜130が好ましく、55〜96がより好ましく、92〜96がさらに好ましい。K値は、分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される温度25℃における相対粘度値を下記のフィケンチャー(Fikentscherの式に適用して計算される。
K=(1.5logηrel1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel+(c+1.5clogηrel)2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ηrel:ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c:ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
K=(1.5logηrel1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel+(c+1.5clogηrel)2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ηrel:ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c:ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
ポリビニルピロリドンの市販品としては、ポリビニルピロリドンK−85W、ポリビニルピロリドンK−90W(いずれも日本触媒製)、ピッツコールK−30L、ピッツコールK−60L、ピッツコールK−90L(いずれも第一工業製薬製)等が挙げられる。
塗料組成物中のポリビニルピロリドンの含有量が多くなりすぎると、耐食性や密着性が低下するおそれがある。したがって、ポリビニルピロリドンの含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して79質量部以下であることが好ましく、76質量部以下であることがより好ましい。
一方、ポリビニルピロリドンの含有量が少なすぎると、十分な親水性が得られなくなる。したがって、ポリビニルピロリドンの含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して50質量部以上であることが好ましく、69質量部以上であることがより好ましい。
<ポリビニルアルコール>
塗料組成物は、第2親水性樹脂としてポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール系樹脂と同義である。ポリビニルアルコールは、メラミン系樹脂と反応し難い親水基を含有している。そのため、親水性を発揮しやすい。
塗料組成物は、第2親水性樹脂としてポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール系樹脂と同義である。ポリビニルアルコールは、メラミン系樹脂と反応し難い親水基を含有している。そのため、親水性を発揮しやすい。
ポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、90mol%以上であることが好ましい。この場合には、ポリビニルアルコールが結露水中に溶け出すことを防止し、より高い耐湿性が得られる。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではないが、500〜2500であることが好ましい。この場合にも、ポリビニルアルコールが結露水中に溶け出すことを防止し、より高い耐湿性が得られる。
また、塗料組成物中のポリビニルアルコールの含有量が多くなりすぎると、耐食性が低下するおそれがある。また、この場合には、耐湿性や耐水性も低下するおそれがある。したがって、ポリビニルアルコールの含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましい。
一方、ポリビニルアルコールの含有量が少なすぎると、十分な親水性が得られなくなる。したがって、ポリビニルアルコールの含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。
<メラミン系樹脂>
塗料組成物は、架橋剤成分としてメラミン系樹脂を含有する。メラミン系樹脂は、特に限定されるものではないが、たとえば、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合によって得られるメチロールメラミン化誘導体等を用いることができる。
塗料組成物は、架橋剤成分としてメラミン系樹脂を含有する。メラミン系樹脂は、特に限定されるものではないが、たとえば、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合によって得られるメチロールメラミン化誘導体等を用いることができる。
塗料組成物中のメラミン系樹脂の含有量が多くなりすぎると、親水性が不十分になるおそれがある。したがって、メラミン系樹脂の含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましい。
一方、メラミン系樹脂の含有量が少なすぎると、ウレタン系樹脂とメラミン系樹脂との架橋が不十分になり、十分な耐食性が得られなくなる。また、この場合には、耐湿性、密着性、耐水性も低下するおそれがある。したがって、メラミン系樹脂の含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。
<ポリオキシアルキレングリコール>
塗料組成物は、潤滑性樹脂成分としてポリオキシアルキレングリコールを含有する。ポリオキシアルキレングリコールは、ポリエーテルであり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリメチレングリコール等が用いられる。また、ポリオキシアルキレングリコールは、共重合体であってもよい。共重合体としては、例えばエチレングリコール・プロピレングリコール共重合体が挙げられる。
塗料組成物は、潤滑性樹脂成分としてポリオキシアルキレングリコールを含有する。ポリオキシアルキレングリコールは、ポリエーテルであり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリメチレングリコール等が用いられる。また、ポリオキシアルキレングリコールは、共重合体であってもよい。共重合体としては、例えばエチレングリコール・プロピレングリコール共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールはポリエチレングリコールであることが好ましい。この場合には、親水性、滑り性をより向上させることができる。
潤滑性の向上という観点から、ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、4,000〜20,000であることがより好ましい。
塗料組成物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量が多くなりすぎると、耐食性が不十分になるおそれがある。また、この場合には、耐湿性、耐水性も低下するおそれがある。したがって、ポリオキシアルキレングリコールの含有量(ただし、固形分量)は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。
一方、ポリオキシアルキレングリコールの含有量が少なすぎると、滑り性が不十分になるおそれがあり、アルミニウム塗装材の加工性が悪くなるおそれがある。したがって、ポリオキシアルキレングリコールの含有量は、ウレタン系樹脂とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの合計含有量100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。
<その他の成分>
塗料組成物は、その他の成分として、例えば水のような溶媒を含有することができる。
塗料組成物は、その他の成分として、例えば水のような溶媒を含有することができる。
塗料組成物は、さらにブロック化イソシアネートのような架橋剤成分を含有することができる。この場合には、樹脂塗膜の架橋密度が高くなり、耐食性等がより向上する。
[アルミニウム塗装材]
アルミニウム塗装材は、アルミニウム材、化成皮膜、及び樹脂塗膜がこの順で積層されてなる。化成皮膜は、例えばアルミニウム材の表面に形成される。樹脂塗膜は、例えば化成皮膜の表面に形成される。
アルミニウム塗装材は、アルミニウム材、化成皮膜、及び樹脂塗膜がこの順で積層されてなる。化成皮膜は、例えばアルミニウム材の表面に形成される。樹脂塗膜は、例えば化成皮膜の表面に形成される。
化成皮膜及び樹脂塗膜は、例えば板状のアルミニウム材の片面に形成されていても両面に形成されていてもよい。化成皮膜及び樹脂塗膜は、アルミニウム材の一部に形成されていてもよく、全体に形成されていてもよい。
<アルミニウム材>
アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。アルミニウム材の形状は特に限定されるものではないが、例えば板状である。
アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。アルミニウム材の形状は特に限定されるものではないが、例えば板状である。
アルミニウム材が板状である場合において、アルミニウム材の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.05〜0.30mmの範囲に調整することができる。
<化成皮膜>
化成皮膜は、化成処理によって形成することができる。化成皮膜は、アルミニウム材と樹脂塗膜との間に形成される。
化成皮膜は、化成処理によって形成することができる。化成皮膜は、アルミニウム材と樹脂塗膜との間に形成される。
化成皮膜としては、リン酸クロメート、クロム酸クロメート等のクロム系が挙げられる。また、化成皮膜としては、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸亜鉛、酸化ジルコニウム等のノンクロム系も挙げられる。化成皮膜は、クロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。この場合には、樹脂塗膜と化成皮膜とが優れた密着性を示すことができる。また、耐食性を向上させることもできる。つまり、水、塩化物などの腐食性物質がアルミニウム材の表面に浸透した際に惹起される皮膜下腐食が抑制され、皮膜割れや皮膜剥離を防止することができる。
化成皮膜の形成方法には、反応型および塗布型等があるが、いずれの手法を用いて化成皮膜を形成してもよい。
化成皮膜における金属元素の含有量は2〜50mg/m2であることが好ましい。この場合には、コストの増大を抑制しながら、樹脂塗膜の密着性を十分に向上させることができる。
<樹脂塗膜>
樹脂塗膜は、化成皮膜の表面に上述の塗料組成物を焼き付けてなる。焼き付け温度は、特に限定されるものではないが、例えば120〜250℃の範囲にすることができる。
樹脂塗膜は、化成皮膜の表面に上述の塗料組成物を焼き付けてなる。焼き付け温度は、特に限定されるものではないが、例えば120〜250℃の範囲にすることができる。
樹脂塗膜の厚みが小さくなりすぎると、耐食性及び親水性が十分に得られなくなるおそれがある。耐食性及び親水性を十分に得るという観点から、樹脂塗膜の厚みは0.05μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。
一方、樹脂塗膜の厚みが大きくなりすぎると、樹脂塗膜が剥離しやすくなるおそれがある。樹脂塗膜の剥離を抑制して樹脂塗膜が長期間安定して良好な耐食性及び親水性を発揮できるという観点から、樹脂塗膜の厚みは5μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂塗膜は、JIS Z2371:2000に準拠する塩水噴霧試験方法における1000時間後のレイティングナンバが9以上であることが好ましい。この場合には、樹脂塗膜が十分に優れた耐食性を発揮することができる。その結果、アルミニウム塗装材は、例えばエアコンの室外機の熱交換器のフィン材用途等により好適になる。
樹脂塗膜は、JIS K5600−7−2:1999に準拠する耐湿性試験方法における1000時間後の変色面積率が5%未満であることが好ましい。この場合には、樹脂塗膜が十分に優れた耐湿性を発揮することができる。その結果、アルミニウム塗装材は、例えばエアコンの室外機の熱交換器のフィン材用途等により好適になる。
樹脂塗膜の表面における水接触角は30°以下であることが好ましい。この場合には、アルミニウム塗装材が十分に優れた親水性を発揮することができる。したがって、アルミニウム塗装材は、熱交換器のフィン材用途等により好適になる。特に、例えば2.0mm以下というフィン間隔の狭い熱交換器のフィン材用途により好適になる。水接触角は25°以下であることがより好ましい。この場合には、例えば1.5mm以下というよりフィン間隔の狭い熱交換器のフィン材用途にも適用可能になる。
樹脂塗膜のレイティングナンバ、変色面積率、水接触角等は、例えば塗料組成物における上述の各成分組成を調整することにより制御することができる。
[熱交換器用フィン材]
アルミニウム塗装材は、例えば熱交換器用フィン材に好適である。熱交換器用フィン材は、プレコートアルミニウムフィン材ともいわれる。
アルミニウム塗装材は、例えば熱交換器用フィン材に好適である。熱交換器用フィン材は、プレコートアルミニウムフィン材ともいわれる。
[熱交換器]
フィン材は、例えば以下のようにして熱交換器の製造に用いられる。具体的には、まず、コイル状のフィン材が所定の寸法に切断され、複数の板状のフィンを得る。次いで、プレス機によって、フィンにスリット加工、ルーバー成型、カラー加工を施す。次いで、所定の位置に配置した金属管をフィンに設けた孔に通しながら、複数のフィンを互いに所定の間隔を空けた状態で積層配置する。その後、金属管内に拡管プラグを挿入して金属管の外径を拡大させることにより、金属管とフィンを密着させる。このようにして、熱交換器を得ることができる。熱交換器は、例えば空調機の室内機、室外機に用いることができ、特に室外機に好適である。
フィン材は、例えば以下のようにして熱交換器の製造に用いられる。具体的には、まず、コイル状のフィン材が所定の寸法に切断され、複数の板状のフィンを得る。次いで、プレス機によって、フィンにスリット加工、ルーバー成型、カラー加工を施す。次いで、所定の位置に配置した金属管をフィンに設けた孔に通しながら、複数のフィンを互いに所定の間隔を空けた状態で積層配置する。その後、金属管内に拡管プラグを挿入して金属管の外径を拡大させることにより、金属管とフィンを密着させる。このようにして、熱交換器を得ることができる。熱交換器は、例えば空調機の室内機、室外機に用いることができ、特に室外機に好適である。
熱交換器は、熱交換器用フィン材からなる多数のフィンを有し、これらのフィンは例えば所定の間隔を空けて相互に平行に配置される。ここで、平行とは、厳密な平行だけでなく、外観上平行であれば多少の傾きを有するものも含む概念である。
フィンの間隔は2.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。この場合には、樹脂塗膜の優れた親水性を十分に生かすことができる。つまり、フィン間隔を小さくしても、結露水の付着を抑制し、熱交換効率の低下を抑制することができる。なお、フィン同志が多少の傾きを有して配列されている場合には、フィンの間隔はフィン間の最小の間隔のことをいう。
(実施例1)
本例においては、実施例及び比較例にかかる複数の塗料組成物(具体的には試料E1〜試料E19及び試料C1〜試料C19)を作製し、各塗料組成物をそれぞれ用いてアルミニウム塗装材を作製し、その特性を比較評価する。
本例においては、実施例及び比較例にかかる複数の塗料組成物(具体的には試料E1〜試料E19及び試料C1〜試料C19)を作製し、各塗料組成物をそれぞれ用いてアルミニウム塗装材を作製し、その特性を比較評価する。
図1に例示されるように、アルミニウム塗装材1は、アルミニウム材2、化成皮膜3、及び樹脂塗膜4が順次積層されてなる。化成皮膜3は、アルミニウム材2の表面に形成されている。樹脂塗膜4は、化成皮膜3の表面に形成されている。以下、アルミニウム塗装材1の製造方法について説明する。
アルミニウム材2として、JIS A 1050−H26、板厚0.1mmのアルミニウム板を準備した。このアルミニウム材2をリン酸クロメートに浸漬処理することにより、アルミニウム材2の表面にリン酸クロメートよりなる化成皮膜3を形成した。
次に、化成皮膜3上に、バーコーターを用いて所定組成(表1、表2参照)の塗料組成物を塗布し、温度220℃で10秒間加熱することにより、膜厚0.8μmの樹脂塗膜4を形成した。このようにして、図1に例示されるアルミニウム塗装材1を得た。
試料E1〜試料E19は、表1に示すように塗料組成物の組成が異なる点を除いては同様のものであり、上記方法によりアルミニウム塗装材の製造に用いた。試料C1〜試料C19についても同様である(表2参照)。各塗料組成物の溶媒としては、イオン交換水を用いた。表1及び表2に示す各成分の配合比は、固形分比率である。耐食性樹脂成分と第1親水性樹脂成分と第2親水性樹脂成分との合計が100質量部となるように調整されている。
表1及び表2において、PVPはポリビニルピロリドンを示す。PVAはポリビニルアルコールを示す。PEGはポリエチレングリコールを示す。CMCカルボキシメチルセルロースを示す。
次に、各塗料組成物を用いて作製したアルミニウム塗装材について、耐食性、耐湿性、親水性、滑り性、密着性、耐水性を以下の手順にて評価した。その結果を表3に示す。
<耐食性>
まず、アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板についてJIS Z2371:2000に準拠する塩水噴霧試験を実施した。試験時間は1000時間である。試験後の供試板の腐食面積率を算出し、JIS Z2371:2000のレイティングナンバ法に準拠して判定した。レイティングナンバのことをRNと表記する。
A:RN9以上であり良好であることを示す。
B:RN6以上9未満であり、不良であることを示す。
C:RN6未満であり、非常に不良であることを示す。
まず、アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板についてJIS Z2371:2000に準拠する塩水噴霧試験を実施した。試験時間は1000時間である。試験後の供試板の腐食面積率を算出し、JIS Z2371:2000のレイティングナンバ法に準拠して判定した。レイティングナンバのことをRNと表記する。
A:RN9以上であり良好であることを示す。
B:RN6以上9未満であり、不良であることを示す。
C:RN6未満であり、非常に不良であることを示す。
<耐湿性>
まず、アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板について、JIS K5600−7−2:1999で規定されている耐湿性試験を実施した。試験時間は1000時間である。試験後のアルミニウム塗装材の表面の変色面積率を下記の通り測定し、その評価を以下の基準に基づいて行った。
A:変色面積率5%未満であり、良好であることを示す。
B:変色面積率5%以上10%未満であり、不良であることを示す。
C:変色面積率10%以上であり、非常に不良であることを示す。
まず、アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板について、JIS K5600−7−2:1999で規定されている耐湿性試験を実施した。試験時間は1000時間である。試験後のアルミニウム塗装材の表面の変色面積率を下記の通り測定し、その評価を以下の基準に基づいて行った。
A:変色面積率5%未満であり、良好であることを示す。
B:変色面積率5%以上10%未満であり、不良であることを示す。
C:変色面積率10%以上であり、非常に不良であることを示す。
変色面積率の測定は、耐湿性試験前後の供試板のL*a*b*を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製「CM−5」)を用いて測定し、L*値が70%以上変化した部分を変色部として評価し、変色部の面積率を求めた。
<親水性>
自動接触角計DM−701(協和界面科学社製)を用いて、θ/2法により水接触角を測定した。具体的には、まず、各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板を純水での流水中に100時間浸漬し、80℃−30分乾燥させた。この供試板の樹脂塗膜上に純水2μlを滴下し、滴下後30秒後の接触角を測定した。
A:水接触角が30°未満であり、良好であることを示す。
B:水接触角が30°を超え、かつ40°以下であり、不良であることを示す。
C:水接触角が40°を超え、非常に不良であることを示す。
自動接触角計DM−701(協和界面科学社製)を用いて、θ/2法により水接触角を測定した。具体的には、まず、各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板を純水での流水中に100時間浸漬し、80℃−30分乾燥させた。この供試板の樹脂塗膜上に純水2μlを滴下し、滴下後30秒後の接触角を測定した。
A:水接触角が30°未満であり、良好であることを示す。
B:水接触角が30°を超え、かつ40°以下であり、不良であることを示す。
C:水接触角が40°を超え、非常に不良であることを示す。
<滑り性>
まず、各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、バウデン式摩擦試験機を用いて供試板の表面の動摩擦係数を測定した。摩擦係数が高い場合には、プレス成型時等に金型を摩耗させる可能性がある。
A:動摩擦係数0.1未満であり、良好であることを示す。
B:動摩擦係数0.1以上0.2未満であり、不良であることを示す。
C:動摩擦係数0.2以上であり、非常に不良であることを示す。
まず、各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、バウデン式摩擦試験機を用いて供試板の表面の動摩擦係数を測定した。摩擦係数が高い場合には、プレス成型時等に金型を摩耗させる可能性がある。
A:動摩擦係数0.1未満であり、良好であることを示す。
B:動摩擦係数0.1以上0.2未満であり、不良であることを示す。
C:動摩擦係数0.2以上であり、非常に不良であることを示す。
<密着性>
各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板についてJIS H4001に準拠した付着性試験を実施し、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
A:残存個数割合が100/100であり、良好であることを示す。
C:残存個数割合が100/100未満であり、不良であることを示す。
各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板についてJIS H4001に準拠した付着性試験を実施し、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
A:残存個数割合が100/100であり、良好であることを示す。
C:残存個数割合が100/100未満であり、不良であることを示す。
<耐水性>
各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板について純水での流水中に24時間浸漬した後の樹脂塗膜の水溶出率を測定した。 A:水溶出率5%未満であり、良好であることを示す。
B:水溶出率5%以上10%未満であり、不良であることを示す。
C:水溶出率10%以上であり、非常に不良であることを示す。
各アルミニウム塗装材を50mm×100mmに切断して供試板を作製した。次いで、供試板について純水での流水中に24時間浸漬した後の樹脂塗膜の水溶出率を測定した。 A:水溶出率5%未満であり、良好であることを示す。
B:水溶出率5%以上10%未満であり、不良であることを示す。
C:水溶出率10%以上であり、非常に不良であることを示す。
表1及び表3に示すように、試料E1〜E19の各塗料組成物を用いて作製したアルミニウム塗装材は、良好な耐食性、耐湿性、親水性、滑り性、密着性および耐水性を示すことがわかる。
表1〜表3より知られるように、試料E1、試料E2と、試料C1との比較では、試料E1、試料E2の方が親水性に優れている。つまり、ウレタン系樹脂の平均粒子径が0.1μmより大きい場合、ウレタン系樹脂中の親水基が少なくなり基材との水素結合が弱くなるため、層分離し難くなると考えられる。その結果、試料C1では十分な親水性が得られないことがわかった。
試料E3と、試料C2、試料C3との比較では、試料E3の方が耐食性、耐湿性、密着性および耐水性に優れている。つまり、ウレタン系樹脂が20質量部未満では、耐食性樹脂が不足することから十分な塗膜硬度が得られず、試料C2、試料C3では耐食性に劣ることがわかった。
試料E4と試料C4との比較では、試料E4の方が親水性に優れている。つまり、ウレタン系樹脂が40質量部を超えると、ウレタン系樹脂が樹脂塗膜表面に出てきてしまう。そのため、試料C4では十分な親水性が得られないことがわかった。
試料E1と、試料C5〜試料C7との比較では試料E1の方が親水性に優れている。つまり、試料C5〜試料C7のように側鎖に反応性官能基のある親水性樹脂では、親水樹脂同士での架橋反応や架橋剤と反応が起こってしまうため、親水性に劣ることがわかった。
試料E1と試料C8との比較では、試料E1の方が親水性に優れている。つまり、試料C8のように第1親水性樹脂成分を含有しない場合には、親水性に劣ることがわかった。
試料E1と試料C9との比較では、試料E1の方が耐食性、耐湿性、耐水性に優れている。つまり、試料C9のようにPVPの分子量が低い場合には、耐食性、耐湿性、耐水性に劣ることがわかった。
試料E1と試料C10との比較では、試料E1の方が親水性に優れている。つまり、試料C10のように第1親水性樹脂成分の重量平均分子量が2,800,000を超える場合には、親水性に劣ることがわかった。
試料E7と試料C11との比較では試料E7の方が親水性に優れている。つまり、試料C11のようにPVA添加量が1質量部未満の場合、親水性官能基が不足し、親水性に劣ることがわかった。
試料E8と試料C12との比較では試料E8の方が耐食性、耐湿性および耐水性に優れている。つまり、試料C12のようにPVA添加量が10質量部を超える場合には、塗膜に水が浸透しやすくなり、耐食性等に劣ることがわかった。
試料E9と試料C13との比較では試料E9の方が耐食性、耐湿性、密着性および耐水性に優れている。つまり、試料C13のように架橋剤成分の添加量が10質量部未満の場合、十分な塗膜硬度が得られず、塗膜に水が浸透しやすくなり、耐食性等に劣ることがわかった。
試料E10と試料C14との比較では試料E10の方が親水性に優れている。つまり、試料C14のように、架橋剤成分の添加量が40質量部を超える場合、親水基との架橋反応が促進され、親水性に劣ることがわかった。
試料E11と試料C15との比較では試料E11の方が滑り性に優れている。つまり、試料C15のようにPEGの重量平均分子量が1000未満の場合、重合度が低く炭素鎖が短いため、樹脂塗膜が十分な滑り性を得られないことがわかった。
試料E11、試料E13と試料C16との比較では、試料E11、試料E13の方が滑り性に優れている。つまり、試料C16のようにPEG添加量が1質量部未満の場合、樹脂塗膜が十分な滑り性を得られないことがわかった。
試料E1と試料C17との比較では、試料E1の方が耐食性、耐湿性および耐水性に優れている。つまり、試料C17のように、PEG添加量が10質量部を超える場合、PEGが流出してしまうため、耐食性等に劣ることがわかった。
(実施例2)
本例は、実施例1のアルミニウム塗装材を熱交換器用フィン材として用いる例である。具体的には、アルミニウム塗装材からなるフィンを備えた熱交換器の例である。
本例は、実施例1のアルミニウム塗装材を熱交換器用フィン材として用いる例である。具体的には、アルミニウム塗装材からなるフィンを備えた熱交換器の例である。
図2及び図3に例示されるように、熱交換器5は、クロスフィンチューブ型であり、アルミニウム塗装材1からなる多数の板状のフィン6と、これらを貫通する伝熱用の金属管7とを有する。フィン6は、実施例1におけるアルミニウム塗装材1と同様に板状のアルミニウム材(つまり、基材)と、その表面に形成された化成皮膜と、その表面に形成された樹脂塗膜とを有する。図2及び図3においては、図面作成の便宜のため、化成皮膜や樹脂塗膜の記載を省略している。化成皮膜及び樹脂塗膜は、アルミニウム塗装材の両面に形成されている。
各フィン6は、所定の間隔を明けて相互に平行に配置されている。フィン6の幅は例えば25.4mm、高さは例えば290mm、フィン6の積層ピッチ、つまり、フィン6同志の間隔dは例えば1.4mmであり、熱交換器5の全体の幅は例えば300mmである。フィン6の高さ方向が基板の圧延平行方向である。
フィン6の幅における金属管7を2列とし、フィン6の高さにおける金属管7の段数を14段とした。なお、図2においては、図面作成の便宜のため、金属管7の数を省略している。また、金属管7は、内面にらせん溝を有する銅管である。金属管の寸法は、外径:7.0mm、底肉厚:0.45mm、フィン高さ:0.20mm、フィン頂角:15.0°、らせん角:10.0°である。
熱交換器5は、次のようにし作製した。まず、アルミニウム塗装材1からなるフィン6に、金属管7を挿通して固定するための高さ1〜4mmのフィンカラー部を有する組み付け孔(図示略)をプレス加工により形成した。フィン6を積層した後に、組み付け孔の内部に、別途作製した金属管7を挿通させた。
金属管7としては、転造加工等によって内面に溝加工を施すと共に、定尺切断・ヘアピン曲げ加工を施した銅管を用いた。次に、金属管7の一端から拡管プラグを挿入し、金属管7の外径を広げることにより、金属管7をフィン6に固着させた。拡管プラグを抜いた後、Uベント管を金属管7にろう付け接合することにより、熱交換器5を得た。
フィン6として、実施例1における試料E1〜E19の塗料組成物を用いて作製したアルミニウム塗装材1用いることにより、熱交換器5は、フィン6が良好な耐食性及び親水性を示す。さらにフィン6は、耐湿性、滑り性、樹脂塗膜の密着性、耐水性にも優れる。したがって、本例のように、フィン6間の間隔dの小さい熱交換器5においても、樹脂塗膜が優れた耐食性及び親水性を発揮して、結露水の付着を抑制することができる。その結果、熱交換器5の熱交換効率の低下を抑制することができる。
また、アルミニウム塗装材の樹脂塗膜は、硬度の高い無機系化合物を必ずしも含まない。そのため、例えば熱交換器5の製造時におけるフィン6の成形時に金型摩耗を起こしたり、フィン6にクラックが発生したりすることを防止できる。
以上の通り、本発明の実施例について説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を損ねない範囲において種々の変更が可能である。
1 アルミニウム塗装材
2 アルミニウム材
3 化成皮膜
4 樹脂塗膜
5 熱交換器
6 フィン
2 アルミニウム材
3 化成皮膜
4 樹脂塗膜
5 熱交換器
6 フィン
Claims (13)
- 耐食性樹脂成分としての平均粒子径0.1μm以下のウレタン系樹脂20〜40質量部と、
第1親水性樹脂成分としての重量平均分子量45,000〜2,800,000のポリビニルピロリドン50〜79質量部と、
第2親水性樹脂成分としてのポリビニルアルコール1〜10質量部と、
架橋剤成分としてのメラミン系樹脂10〜40質量部と、
潤滑性樹脂成分としての重量平均分子量1000〜20,000のポリオキシアルキレングリコール1〜10質量部と、を含有し、
上記耐食性樹脂成分と上記第1親水性樹脂成分と上記第2親水性樹脂成分との合計含有量が100質量部である、塗料組成物。 - 上記塗料組成物は塗装対象物に耐食性及び親水性を付与する用途に用いられる、請求項1に記載の塗料組成物。
- 上記塗装対象物が、クロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む化成皮膜を表面に有するアルミニウム製品である、請求項2に記載の塗料組成物。
- 上記ウレタン系樹脂が、親水性官能基を有し、自己乳化型である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
- 上記親水性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の塗料組成物。
- 上記ポリオキシアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
- アルミニウム材、化成皮膜、及び樹脂塗膜が順次積層されてなり、
上記化成皮膜は、クロム、ジルコニム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、上記金属元素の含有量が2〜50mg/m2であり、
上記樹脂塗膜は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物を焼き付けてなり、
上記樹脂塗膜の厚みは0.05〜5μmである、アルミニウム塗装材。 - 上記樹脂塗膜は、JIS Z2371:2000に準拠する塩水噴霧試験方法における1000時間後のレイティングナンバが9以上である、請求項7に記載のアルミニウム塗装材。
- 上記樹脂塗膜は、JIS K5600−7−2:1999に準拠する耐湿性試験方法における1000時間後の変色面積率が5%未満である、請求項7又は8に記載のアルミニウム塗装材。
- 上記樹脂塗膜の表面における水接触角が30°以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム塗装材。
- 請求項7〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム塗装材からなる熱交換器用フィン材。
- 請求項11に記載の熱交換器用フィン材からなると共に、相互に平行に配置された多数のフィンを備えた、熱交換器。
- 上記フィンの間隔が2.0mm以下である、請求項12に記載の熱交換器。
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JP2020076038A (ja) * | 2018-11-09 | 2020-05-21 | 日本カーバイド工業株式会社 | 樹脂組成物及び防曇フィルム |
-
2018
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