JP2021188866A - アルミニウム製フィン材 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィン材の親水性皮膜層による親水性機能を阻害することなく、良好な潤滑性を示すアルミニウム製フィン材を提供する。【解決手段】アルミニウム板の少なくとも一方の表面上に、親水性皮膜層と、潤滑性皮膜層と、をこの順に備え、前記潤滑性皮膜層はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含み、前記潤滑性皮膜層における前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量が0.1mg/dm2以上である、アルミニウム製フィン材。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム製フィン材に関し、特に、空調機等の熱交換器に好適に用いられるアルミニウム製フィン材に関する。
熱交換器は、ルームエアコン、パッケージエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラ、ラジエータなどの様々な分野の製品に用いられている。熱交換器のフィンの材料としては、熱伝導性、加工性、耐食性などに優れるアルミニウムやアルミニウム合金が一般的である。
熱交換器のフィンは、表面温度が露点以下になると結露水が付着した状態になる。フィンの表面の親水性が低い場合には、付着した結露水の接触角が大きくなるため、結露水は半球状の水滴となり高さが大きくなる傾向がある。また、結露水が合わさって大きくなると、隣接するフィン間にブリッジを形成し、フィン間の通風路を閉塞することもある。このような状態では、フィン表面の吸放熱が妨げられたり、通風抵抗が増大したりして、熱交換器の熱交換効率が悪化することが知られている。
フィン材において、潤滑性皮膜層は、主として表面の潤滑性を高めるために設けられる。潤滑性皮膜層が設けられることによって、フィン材の表面の摩擦係数が低減され、フィン材をフィンに加工するときのプレス成形性などが向上する。
潤滑性皮膜層はプレス成型後も表面に残り、熱交換器組み立て後、使用環境において結露水により洗い落とされるまでは残存する。そのため、潤滑性皮膜層についても親水性が求められる。
特許文献1では水溶性の潤滑皮膜を有するアルミニウム合金板が開示されている。具体的には、かかる潤滑皮膜はエチレンオキサイド系化合物及びウレタン系化合物を含有することで、潤滑性及び水溶性が確保される。
特開2018−087375号公報
他方、フィン材は親水性が低いと、前述の通り、結露水が水滴となること、および隣接するフィン間にブリッジを形成することにより、フィン表面の吸放熱が妨げられたり、通風抵抗が増大したりして、熱交換器の熱交換効率が悪化する。そのため、フィン材には親水性皮膜層を形成することが望まれる。
しかしながら、特許文献1に記載されたようなウレタン変性PEGをフィン材の潤滑性皮膜層として用いると、フィン材の親水性皮膜層による親水性の機能を阻害する可能性が示唆された。
そこで本発明では、フィン材の親水性皮膜層による親水性機能を阻害することなく、良好な潤滑性を示すアルミニウム製フィン材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[5]に係るものである。
[1] アルミニウム板の少なくとも一方の表面上に、親水性皮膜層と、潤滑性皮膜層と、をこの順に備え、前記潤滑性皮膜層はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含み、前記潤滑性皮膜層における前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量が0.1mg/dm以上である、アルミニウム製フィン材。
[2] 前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルにおけるエチレングリコールの繰り返し単位数が5〜50である、前記[1]に記載のアルミニウム製フィン材。
[3] 前記アルミニウム板と前記親水性皮膜層との間に下地処理層をさらに備える、前記[1]又は[2]に記載のアルミニウム製フィン材。
[4] 前記下地処理層と前記親水性皮膜層との間に耐食性皮膜層をさらに備える、前記[3]に記載のアルミニウム製フィン材。
[5] 前記アルミニウム板の両表面上に前記親水性皮膜層及び前記潤滑性皮膜層を備える、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載のアルミニウム製フィン材。
本発明によれば、親水性皮膜層による親水性機能と潤滑性皮膜層による潤滑性機能とが共に優れたアルミニウム製フィン材を得ることができる。
図1は、アルミニウム製フィン材の構成の一態様を示す模式断面図である。
以下、本発明に係るアルミニウム製フィン材を実施するための形態について、詳細に説明する。なお数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<アルミニウム製フィン材>
本実施形態に係るアルミニウム製フィン材10(以下、単にフィン材と称することがある。)は、図1に示すように、アルミニウム板1と、アルミニウム板1の少なくとも一方の表面上に、親水性皮膜層2と、潤滑性皮膜層3とをこの順に備えるものである。アルミニウム板1と親水性皮膜層2との間には耐食性皮膜層を備えていてもよく、アルミニウム板1と耐食性皮膜層との間には、さらに下地処理層を備えていてもよい。また、潤滑性皮膜層3は親水性皮膜層2上に形成されることが好ましい。
アルミニウム板1の少なくとも一方の表面上に、上記親水性皮膜層2と潤滑性皮膜層3とが形成されていればよく、アルミニウム板1の両表面上に、上記親水性皮膜層2と潤滑性皮膜層3とが形成されていることが、成形性の点から好ましい。また、アルミニウム板1の両表面上にかかる皮膜層が形成されている場合でも、両表面上の構成は完全に同じ態様である必要はない。
潤滑性皮膜層3はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含み、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの潤滑性皮膜層における付着量は0.1mg/dm以上である。
潤滑性皮膜層3にポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが主成分として所定量含まれることにより、親水性皮膜層による親水性機能と潤滑性皮膜層による潤滑性機能といった両機能を阻害することなく両立できる。また、フィン材加工時に皮膜が削れることによる粉の発生を抑制する効果も期待できる。
(アルミニウム板)
アルミニウム板は、アルミニウムからなる板と、アルミニウム合金からなる板とを含む概念であり、アルミニウム製フィン材に従来用いられているアルミニウム板を用いることができる。
アルミニウム板としては、熱伝導性及び加工性に優れることから、JIS H 4000:2014に規定されている1000系のアルミニウムが好ましい。より具体的には、アルミニウム板として合金番号1050、1070、1200のアルミニウムがより好ましい。但し上記記載は、アルミニウム板として、2000系ないし8000系のアルミニウム合金や、その他のアルミニウム板を用いることを何ら排除するものではない。
アルミニウム板は、フィン材の用途や仕様などに応じて適宜所望する厚さとする。熱交換器用のフィン材については、フィンの強度等の点から、厚さは0.07mm以上が好ましく、0.09mm以上がより好ましい。一方、フィンへの加工性や熱交換効率等の点から、厚さは0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
(親水性皮膜層)
親水性皮膜層はフィン材の表面に親水性を付与する皮膜層であり、親水性樹脂を含有する。これにより、親水性皮膜層の親水性の機能を担保できる。
親水性皮膜層は、親水性樹脂を含有する樹脂塗料をアルミニウム板上、又はアルミニウム板上に下地処理層や耐食性皮膜層を備える場合にはその層上に、塗布、乾燥等により固化することで形成できる。
親水性樹脂は、親水基を有していればよく、1種の樹脂を含有しても、2種以上の樹脂を含有してもよい。親水基としては、例えば水酸基(ヒドロキシ基)、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリエーテル基等が挙げられる。
水酸基を有するものとしては、ポリエチレングリコール(PEG、PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。カルボキシル基を有するものとしては、ポリアクリル酸(PAA)等が挙げられる。ヒドロキシ基とカルボキシル基を有するものとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。スルホン酸基を有するものとしては、スルホエチルアクリレート等が挙げられる。ポリエーテル基を有するものとしては、ポリエチレングリコール(PEG、PEO)や、その変性化合物等が挙げられる。
これらの他に、親水基を有する単量体の2種以上の共重合体も適用でき、例えばアクリル酸とスルホエチルアクリレートの共重合体が好ましい。
共重合体である場合には、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等、単量体の配列方法には特に限定されない。
親水性皮膜層における親水性樹脂の付着量は、十分な親水性を得る観点から0.1mg/dm以上が好ましく、0.5mg/dm以上がより好ましく、1.0mg/dm以上がさらに好ましい。また、塗料コストおよび塗布作業性の観点から、親水性樹脂の付着量は50mg/dm以下が好ましく、20mg/dm以下がより好ましく、10mg/dm以下がさらに好ましい。
親水性皮膜層は親水性樹脂を主成分として含む。親水性皮膜層の主成分とは、親水性皮膜層を構成する成分のうち、最も濃度が高い成分を意味する。親水性皮膜層における主成分の濃度は50質量%以上が好ましい。
親水性皮膜層は、その他に、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意成分を含有させてもよい。任意成分としては、例えば塗装性、作業性、皮膜の物性などを改善するための各種の水系溶媒や塗料添加物等が挙げられる。
塗料添加物としては、例えば、水溶性有機溶剤、架橋剤、界面活性剤、表面調整剤、湿潤分散剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。これらの塗料添加物は、1種が含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
また、親水性皮膜層にも、後述する潤滑性皮膜層と同様にポリエチレングリコールグリシジルエーテルを含有してもよい。しかしながら、かかる場合には、潤滑性皮膜層に求められるような良好な潤滑性は発現しない。これは、親水性皮膜層は主成分として親水性樹脂を含有しており、主な機能が親水性であることによる。
ポリエチレングリコールグリシジルエーテルを含む他の任意成分の含有量は各々50質量%未満が好ましく、合計の含有量は50質量%以下が好ましい。
親水性皮膜層の厚さは特に限定されないが、良好な親水性を得る点から0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましい。また、皮膜形成時の良好な塗布作業性を得る観点から、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
親水性皮膜層の厚さは、親水性皮膜層の成膜に用いる塗料組成物の濃度や、成膜に用いるバーコーターNo.の選択などによって調整することができる。
親水性皮膜層は1層のみでも、2層以上設けてもよい。2層以上設ける場合には、各親水性皮膜層が上述した態様を満たすことが好ましいが、親水性皮膜層の厚さは、その合計の厚さが、上述した範囲を満たすことが好ましい。
(潤滑性皮膜層)
潤滑性皮膜層はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含有する。潤滑性皮膜層の主成分とは、潤滑性皮膜層を構成する成分のうち、最も濃度が高い成分を意味する。潤滑性皮膜層における主成分の濃度は50質量%以上が好ましい。
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含有することで、良好な潤滑性が付与される。さらに、親水性皮膜層による親水性の機能も阻害しないことから、良好な親水性及び潤滑性を達成できる。また、フィン材加工時に皮膜が削れることによる粉の発生を抑制できる可能性があり、良好な加工性も期待できる。
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルは、両末端にグリシジルエーテルを有し、エチレングリコールを繰り返し単位として有する構造である。エチレングリコールの繰り返し単位数は5以上が潤滑性の点から好ましく、20以上がより好ましい。また、繰り返し数が振れるほど皮膜がべたつく点から繰り返し単位数は50以下が好ましい。
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルとして、例えばデナコールEX−832、デナコールEX−861、デナコールEX−881(いずれもナガセケムテックス(株)製)を用いることができるが、これらに限定されない。
潤滑性皮膜層におけるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量は、十分な潤滑性を得る観点から0.05mg/dm以上が好ましく、0.1mg/dm以上がより好ましく、0.5mg/dm以上がさらに好ましい。また、塗料コストおよび塗布作業性の観点から、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量は20mg/dm以下が好ましく、10mg/dm以下がより好ましく、4.0mg/dm以下がさらに好ましい。
潤滑性皮膜層におけるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの含有量は、主成分であることから潤滑性皮膜層を構成する成分の中で最も濃度が高ければよいが、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また、他の任意成分による機能を発現する観点から、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
潤滑性皮膜層は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル以外の他の任意成分を含有させてもよい。任意成分としては、例えば塗装性、作業性、皮膜の物性などを改善するための各種の水系溶媒や塗料添加物等が挙げられる。
塗料添加物としては、例えば、水溶性有機溶剤、架橋剤、界面活性剤、表面調整剤、湿潤分散剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。これらの塗料添加物は、1種が含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
また、他の任意成分として、従来潤滑性を付与する成分として用いられていた樹脂を併用してもよい。このような樹脂として、例えば親水基を有する樹脂が挙げられる。樹脂は1種を含有しても、2種以上を含有してもよい。親水基としては、例えば水酸基(ヒドロキシ基)、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリエーテル基等が挙げられる。
水酸基を有するものとしては、ポリエチレングリコール(PEG、PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。カルボキシル基を有するものとしては、ポリアクリル酸(PAA)等が挙げられる。ヒドロキシ基とカルボキシル基を有するものとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。スルホン酸基を有するものとしては、スルホエチルアクリレート等が挙げられる。ポリエーテル基を有するものとしては、ポリエチレングリコール(PEG、PEO)や、その変性化合物等が挙げられる。これらの他に、親水基を有する単量体の2種以上の共重合体も適用できる。
上記他の任意成分を含有する場合の含有量は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルによる機能の発言を阻害しないため、各々20質量%未満が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
他の任意成分の合計の含有量は20質量%未満が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
潤滑性皮膜層は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルと、必要に応じて他の任意成分とを含有する塗料組成物を親水性皮膜層上に塗布、乾燥等により固化することで形成できる。
潤滑性皮膜層の厚さは特に限定されないが、良好な潤滑性を得る点から0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましい。また、皮膜形成時の良好な塗布作業性を得る観点から、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
潤滑性皮膜層の厚さは、潤滑性皮膜層の成膜に用いる塗料組成物の濃度や、成膜に用いるバーコーターNo.の選択などによって調整することができる。
なお、親水性皮膜層と潤滑性皮膜層の合計の厚さは、フィン材の熱交換効率の低下を抑制する観点から、5μm以下が好ましい。
(下地処理層)
下地処理層は、所望により、アルミニウム板と親水性皮膜層との間に備えることができる。フィン材がさらに耐食性皮膜層を備える場合には、下地処理層はアルミニウム板と耐食性皮膜層との間に備えることができる。
下地処理層を備えることにより、アルミニウム板の耐食性を高めることができ、また、アルミニウム板と親水性皮膜層との密着性や、耐食性皮膜層を備える場合には、アルミニウム板と耐食性皮膜層との密着性を高めることができる。
下地処理層は、アルミニウム板に耐食性を付与できればよく、従来公知のものを用いることができる。例えば、無機酸化物又は無機−有機複合化合物からなる層を用いることができる。
無機酸化物や無機−有機複合化合物を構成する無機材料としては、主成分としてクロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)が好ましい。
下地処理層となる無機酸化物からなる層は、例えば、アルミニウム板にリン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、酸化ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理、リン酸亜鉛処理、リン酸チタン酸処理等を行うことによって形成できる。但し、無機酸化物の種類は、これらの処理で形成されるものに限定されない。
下地処理層となる無機−有機複合化合物からなる層は、例えば、アルミニウム板に塗布型クロメート処理や、塗布型ジルコニウム処理等を行うことによって形成できる。このような無機−有機複合化合物の具体例としては、例えば、アクリル−ジルコニウム複合体などが挙げられる。
下地処理層の膜厚等は特に限定されず、適宜設定すればよいが、単位面積あたりの付着量が金属(Cr、Zr、Ti)換算で0.01〜1mg/dmとなるように形成されることが好ましく、膜厚は1〜100nmが好ましい。
下地処理層の付着量や膜厚は、下地処理層の成膜に用いる化成処理液の濃度や、成膜処理時間を調節することによって調整することができる。
下地処理層を形成する前に、アルミニウム板の表面をアルカリ性脱脂液を用いて予め脱脂してもよく、これにより下地処理の反応性が向上し、さらに、形成された下地処理層の密着性も向上する。
(耐食性皮膜層)
耐食性皮膜層は、主として、アルミニウム板の耐食性を高めるために、アルミニウム板と親水性皮膜層との間に備えていてもよい層であり、疎水性樹脂を含有することが好ましい。アルミニウム板の表面に下地処理層が形成されている場合には、耐食性皮膜層は下地処理層と親水性皮膜層との間に備えられる。
耐食性皮膜層は、例えば疎水性樹脂を含有する樹脂塗料をアルミニウム板上又は下地処理層上に塗布、乾燥等により固化することで形成できる。
耐食性皮膜層によって、結露水などの水分、酸素、塩化物イオンをはじめとするイオン種などがアルミニウム板に浸入し難くなり、アルミニウム板の腐食や臭気を発生するアルミ酸化物の生成などが抑制される。
耐食性皮膜層における疎水性樹脂は、従来公知の物を用いることができる。例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系の各種樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合したものを適用できる。
耐食性皮膜層には、上記の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意成分を含有させてもよい。任意成分としては、例えば塗装性、作業性、皮膜の物性などを改善するための各種の水系溶媒や塗料添加物等が挙げられる。
塗料添加物としては、例えば、水溶性有機溶剤、架橋剤、界面活性剤、表面調整剤、湿潤分散剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。これらの塗料添加物は、1種が含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
耐食性皮膜層における疎水性樹脂の付着量は特に限定されないが、アルミニウム板に十分な耐食性を付与する観点から、0.1mg/dm以上が好ましく、0.5mg/dm以上がより好ましい。一方、フィンの熱交換効率の低下を抑制する観点から、疎水性樹脂の付着量は80mg/dm以下が好ましく、40mg/dm以下がより好ましい。
耐食性皮膜層の厚みは、良好な耐食性を得る観点から0.05μm以上が好ましく、また、成膜性が良く、割れなどの欠陥が低減されると共に、耐食性皮膜層の伝熱抵抗が低く抑えられ、良好なフィンの熱交換効率が得られるという観点から4μm以下が好ましい。
なお、耐食性皮膜層の厚みや疎水性樹脂の付着量は、耐食性皮膜層の成膜に用いる塗料組成物の濃度や、成膜に用いるバーコーターNo.の選択などによって調整することができる。
(アルミニウム製フィン材の特性)
本実施形態に係るアルミニウム製フィン材は、親水性と潤滑性に優れる。
親水性の指標として、フィン材の潤滑性皮膜層の表面に純水を滴下した際の接触角は15°以下であることが好ましく、10°以下がより好ましい。
フィン材の使用を継続した際のかかる接触角は20°未満が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がさらに好ましい。なお、フィン材の使用を継続した際の環境は、得られたフィン材を流水に7時間浸漬した後、80℃で17時間乾燥させる操作を経ることで、疑似的に作ることができる。接触角は例えばゴニオメータで測定できる。
潤滑性の指標として、フィン材の潤滑性皮膜層の表面に対してバウデン試験機を用いて荷重200g、25℃の条件で測定した際の摩擦係数は、0.15以下が好ましく、0.10以下がより好ましい。
フィン材の厚みは、用途等により異なり特に限定されないが、例えば熱交換器に用いられる場合には、加工時に耐えうる強度の点から0.07mm以上が好ましく、0.09mm以上がより好ましい。また、加工性、熱交換効率の点から、厚みは0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
<アルミニウム製フィン材の製造方法>
本実施形態に係るアルミニウム製フィン材の製造方法の一例について説明するが、かかる態様に限定されず、本実施形態の効果を妨げない範囲において、他の製造方法により製造することもできる。
アルミニウム板上に、所望により下地処理層や耐食性皮膜層を公知の方法により形成した後、親水性皮膜層となる塗料組成物を塗布し乾燥することにより親水性皮膜を形成する。次いで、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルと、所望により他の任意成分とを含む塗料組成物を塗布し乾燥することにより潤滑性皮膜層を形成する。
潤滑性皮膜層を形成する際に、塗料組成物中にポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含有させることによって、良好な潤滑性を付与しつつ、親水性皮膜層による良好な親水性も維持できる。
親水性皮膜層、潤滑性皮膜層、及び耐食性皮膜層は、各皮膜層を形成する塗料組成物を調製し、被覆対象物にバーコーターやロールコート法等により塗布し、焼付け処理を施して形成される。特に、アルミニウム板がコイル状であれば、ロールコート装置等を適用して、連続的に、脱脂、塗装、加熱、巻取り等を行うことが生産性上好ましい。また、親水性皮膜層、潤滑性皮膜層、耐食性皮膜層の焼付け温度は、それぞれ用いる樹脂等の成分に応じて設定すればよく、例えば、120〜270℃の範囲とすることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、その趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
アルミニウム板として、厚さが0.1mmのJIS H 4000:2014に規定されている合金番号1200の規格を用いた。アルミニウム板の一方の表面上にリン酸クロメート処理により下地処理層を形成した。次いで、架橋剤を含む塗料組成物をバーコーターで塗布し、焼付けることによって、付着量が2mg/dmである下地処理層を形成した。
次に、親水性樹脂として水溶性ポリアクリル酸(東亜合成社製)を含む塗料組成物をバーコーターで塗布し、215℃で焼付けることによって、親水性樹脂の付着量が4mg/dmであり、厚さが0.4μmの親水性皮膜層を形成した。
最後に、得られた親水性皮膜層の表面に、エチレングリコールの繰り返し単位数が44であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−881、ナガセケムテックス(株)製)を含む塗料組成物を、皮膜層における、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量及び含有量が表1の値となるように、バーコーターを用いて塗布した。続いて160℃で焼付けを行うことにより、厚さが0.05μmの潤滑性皮膜層を形成し、アルミニウム製フィン材を得た。
(実施例2、3)
潤滑性皮膜層におけるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量及び含有量が表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム製フィン材を得た。
(比較例1、2)
潤滑性皮膜層におけるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルに代えて、ウレタン変性ポリエチレングリコールを用い、その付着量及び含有量を表1の値となるように変更した以外は実施例1と同様にして、アルミニウム製フィン材を得た。
(比較例3)
実施例1と同様にしてアルミニウム板の一方の表面上に下地処理層を形成した。次いで、親水性樹脂として水溶性ポリアクリル酸(東亜合成社製)とエチレングリコールの繰り返し単位数が44であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−881、ナガセケムテックス(株)製)とを含む塗料組成物を、皮膜層におけるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量及び含有量が表1の値となるように、バーコーターを用いて塗布した。続いて215℃で焼付けを行うことにより、厚さが0.13μmの親水性皮膜層を形成し、アルミニウム製フィン材を得た。潤滑性皮膜層は形成しなかった。
得られたアルミニウム製フィン材に対し、親水性及び潤滑性に関する評価をそれぞれ下記に示す方法により行った。
(親水性)
アルミニウム製フィン材の潤滑性皮膜層が形成されている側を評価面とし、かかる評価面が上方を向くように水平に載置した。評価面の3箇所に各々1μLのイオン交換水を滴下した。滴下された水滴の接触角を、接触角測定装置(協和界面化学(株)製、Drop Master)により測定し、その平均値を表1に「接触角(°)初期」として示した。接触角が15°以下であれば良好であり合格としたが、10°以下であれば非常に良好である。また接触角が15℃超であれば不良であり不合格とした。
流水にアルミニウム製フィン材を7時間浸漬した後、80℃に設定した加熱器中で17時間乾燥させた。その後、アルミニウム製フィン材の評価面が上方を向くように水平に載置し、評価面の3箇所に各々1μLのイオン交換水を滴下した。滴下された水滴の接触角を、接触角測定装置(協和界面化学(株)製、Drop Master)により測定し、その平均値を表1に「接触角(°)乾湿後」として示した。接触角が20°未満であれば良好であり合格としたが、15°以下であれば非常に良好である。また接触角が20°以上であれば不良であり不合格とした。
(潤滑性)
アルミニウム製フィン材の潤滑性皮膜層の表面に対してバウデン試験機(協和界面科学社製、TS502)を用いて荷重200g、25℃の条件で摩擦係数を測定し、表1に「摩擦係数」として示した。摩擦係数が0.15以下であれば良好であり合格としたが、0.10以下であれば非常に良好である。また摩擦係数が0.15超であれば不良であり不合格とした。
Figure 2021188866
上記結果から、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルを潤滑性皮膜層に主成分として含有し、かつ潤滑性皮膜層における付着層を0.1mg/dm以上とすることにより、非常に良好な親水性及び潤滑性が実現できることが分かった。
他方、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルに代えてウレタン変性PEGを用いると、親水性皮膜層による親水性の機能を阻害し、良好な親水性が得られなかった。また、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルを親水性皮膜層に含有させた場合、その付着量を0.1mg/dm以上としても、十分な潤滑性が得られなかった。すなわち、親水性皮膜層では親水性樹脂による親水性の機能を有するが、かかる機能と、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルによる潤滑性の機能とを、親水性皮膜層で兼任することはできず、潤滑性皮膜層が構成として必須であることが分かった。
1 アルミニウム板
2 親水性皮膜層
3 潤滑性皮膜層
10 アルミニウム製フィン材

Claims (5)

  1. アルミニウム板の少なくとも一方の表面上に、親水性皮膜層と、潤滑性皮膜層と、をこの順に備え、
    前記潤滑性皮膜層はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを主成分として含み、
    前記潤滑性皮膜層における前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの付着量が0.1mg/dm以上である、アルミニウム製フィン材。
  2. 前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルにおけるエチレングリコールの繰り返し単位数が5〜50である、請求項1に記載のアルミニウム製フィン材。
  3. 前記アルミニウム板と前記親水性皮膜層との間に下地処理層をさらに備える、請求項1又は2に記載のアルミニウム製フィン材。
  4. 前記アルミニウム板と前記親水性皮膜層との間に耐食性皮膜層をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム製フィン材。
  5. 前記アルミニウム板の両表面上に前記親水性皮膜層及び前記潤滑性皮膜層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム製フィン材。
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