JP2016191479A - アルミニウム製フィン材 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができるアルミニウム製フィン材を提供する。【解決手段】本発明に係るアルミニウム(Al)製フィン材10は、Al基板1と、このAl基板1の表面から近い順に、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とをこの順で備え、前記耐食性皮膜層2は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記親水性皮膜層3は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む樹脂組成物からなり、前記耐食性皮膜層2の皮膜付着量が0.01〜8.0g/m2であり、前記親水性皮膜層3の皮膜付着量が0.02〜10g/m2であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器などに用いられるアルミニウム製フィン材に関する。
熱交換器は、ルームエアコン、パッケージエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラおよびラジエータ等の様々な分野の製品に用いられている。熱交換器には、熱伝導性、加工性、耐食性などに優れるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板を用いて形成されたフィンが広く使用されている。フィンの表面には、フィンの耐水性を高めるための耐食性皮膜層や、親水性を高めるための親水性皮膜層が設けられている。このようなフィンに関する発明が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
例えば、特許文献1には、分子量5000〜50000の架橋性を有する基材樹脂100質量部に対し、アミノプラスト樹脂10〜30質量部及び平均分子量400〜2000の非架橋性のアクリル樹脂またはエポキシ樹脂からなる軟化剤1〜50質量部を配合した組成物、該組成物を塗布したアルミニウムフィン素材及び該アルミニウムフィン素材の表面に親水性樹脂塗料を塗布したプレコートアルミニウムフィン材が記載されている。
特許文献2には、アクリル基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル基を有する樹脂を前記エポキシ樹脂の10〜35質量%含むエポキシ樹脂系塗料に、溶剤として直鎖状の、ブタノールおよび/またはブチルセロソルブを用いた水性塗料をアルミニウムフィン基材にベース塗膜として設け、該塗膜上に親水性樹脂塗膜を設けたことを特徴とするプレコートアルミニウムフィン材が記載されている。
特許文献3には、アルミニウムよりなる基板と、該基板の表面に形成した第1塗膜と、該第1塗膜の表面に形成した第2塗膜とからなり、上記第1塗膜は、ベース樹脂にワックスを含有してなると共に、膜厚が0.2〜20μmであり、上記ベース樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のうち1種又は2種以上からなり、上記第1塗膜における上記ワックスの含有量は、上記ベース樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であり、上記ワックスは、カルナウバ、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、アミノ樹脂、シリコン系樹脂のうち1種又は2種以上からなり、上記第2塗膜は、親水性樹脂に親水性潤滑剤を含有してなると共に、膜厚が0.2〜5μmであり、上記親水性潤滑剤は、分子量1000〜400000の水溶性ポリエーテルからなることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材が記載されている。
特開平6−65524号公報 特許第4818003号公報 特許第5232691号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている発明は、加工後の正常部分の耐食性や、加工時の工具摩耗の抑制、加工により塗膜表面に顕在化する傷に対しては有効であるが、加工部分の塗膜に生じる微細な割れを抑制することができない。そのため、例えば、エアコンの実使用において熱交換器およびフィン材の清掃の際に一般的に使用されるアルカリ性の洗浄剤で洗浄した場合など、アルカリ性の液体に晒されると、加工部分の塗膜に生じた微細な割れを介してアルカリ性の液体がアルミニウム基板に接触してしまうことがある。アルカリ性の液体がアルミニウム基板に接触すると、アルミニウムがアルカリ腐食し、セメント様の臭気が発生してしまうことがある。このような臭気が発生すると、エアコンの使用者に対して不快感を与えることもある。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができるアルミニウム製フィン材を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明に係るアルミニウム製フィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム基板と、このアルミニウム基板の表面から近い順に、耐食性皮膜層と親水性皮膜層とをこの順で備えるアルミニウム製フィン材であって、前記耐食性皮膜層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記親水性皮膜層は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む樹脂組成物からなり、前記耐食性皮膜層の皮膜付着量が0.01〜8.0g/mであり、前記親水性皮膜層の皮膜付着量が0.02〜10g/mであることを特徴としている。
このように、本発明に係るアルミニウム製フィン材は、耐食性皮膜層と親水性皮膜層を形成する樹脂組成物をそれぞれ特定し、かつ、耐食性皮膜層の皮膜付着量と親水性皮膜層の皮膜付着量をそれぞれ特定している。具体的には、耐食性皮膜層をポリオレフィン系樹脂で形成しているので伸びがよく、加工に対する割れが生じ難い。従って、このような耐食性皮膜層を備えることにより、アルカリ性の液体に対するフィン材の耐性を高くすることができる。そのため、プレス加工後にアルカリ性の液体を用いた場合であっても、アルミニウム基板の腐食を生じさせ難くすることができる。また、親水性皮膜層をポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種以上で形成しているので、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成された耐食性皮膜層との界面相互作用を少なくすることができる。前記した親水性皮膜層は、耐食性皮膜層に比べて硬質であり割れ易いが、前記したように耐食性皮膜層との界面相互作用が少ないので、加工時に生じた親水性皮膜層の割れを耐食性皮膜層へ伝播し難くすることができる。つまり、本発明に係るアルミニウム製フィン材は、一般的なプレス加工を行っても塗膜(皮膜)に割れが生じない樹脂皮膜をアルミニウム基板の表面に形成している。従って、本発明に係るアルミニウム製フィン材は、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができる。
本発明に係るアルミニウム製フィン材は、前記アルミニウム基板と前記耐食性皮膜層との間に化成処理皮膜層をさらに備え、前記化成処理皮膜層は、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなるのが好ましい。
このようにすると、本発明に係るアルミニウム製フィン材の耐食性をより優れたものとすることができる。
本発明に係るアルミニウム製フィン材は、前記親水性皮膜層の表面に、さらに潤滑性皮膜層を備え、前記潤滑性皮膜層が、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩よりなる群から選択される1種以上を含む樹脂組成物からなるのが好ましい。
このようにすると、本発明に係るアルミニウム製フィン材の親水性をより優れたものとすることができる。
本発明に係るアルミニウム製フィン材は、耐食性皮膜層と親水性皮膜層を形成する樹脂組成物をそれぞれ特定し、かつ、耐食性皮膜層の皮膜付着量と親水性皮膜層の皮膜付着量をそれぞれ特定しているので、一般的なフィン加工によっても塗膜に割れが生じない。従って、本発明に係るアルミニウム製フィン材は、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができる。
本発明に係るアルミニウム製フィン材の実施形態の一構成例(構成A)を示す概略断面図である。 本発明に係るアルミニウム製フィン材の実施形態の一構成例(構成B)を示す概略断面図である。 本発明に係るアルミニウム製フィン材の実施形態の一構成例(構成C)を示す概略断面図である。 本発明に係るアルミニウム製フィン材の実施形態の一構成例(構成D)を示す概略断面図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明に係るアルミニウム製フィン材(以下、単に「フィン材」という。)の実施形態について詳細に説明する。
<フィン材の構成(構成A)>
図1に示すように、本発明に係るフィン材10は、アルミニウム(Al)基板1と、このAl基板1の表面(図1〜4ではAl基板1の一方の面)から近い順に、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とをこの順で備えた構成となっている。以下、このフィン材10の構成を「構成A」という。
(Al基板)
Al基板1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。熱伝導性および加工性が優れることから、JIS H 4000:2014に規定されている1000系のアルミニウムを好適に用いることができる。より具体的には、合金番号1050、1070、1200のアルミニウムを好適に用いることができる。また、前記した耐食性皮膜層2、親水性皮膜層3、および後記する化成処理皮膜層4(図2、図4参照)、潤滑性皮膜層5(図3、図4参照)は、JIS H 4000:2014に規定されている2000系から9000系のアルミニウム合金で形成された板材にも問題なく形成することができる。そのため、Al基板1は、2000系から9000系のアルミニウム合金で形成したものであってもよい。
なお、Al基板1は、例えば、熱交換器用のフィン材としての強度、熱伝導性および加工性などを考慮して、板厚0.08〜0.3mm程度とするのが好ましい。Al基板1は、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、調質等の公知の方法で任意の板厚とすることができる。
(耐食性皮膜層)
耐食性皮膜層2は、フィン材10の耐食性を高めるために設ける。耐食性皮膜層2は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなる。ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成した皮膜(耐食性皮膜層2)は、伸びが良いため加工に対する割れが生じ難く、アルカリ性の液体に対する耐性も高いので、プレス加工後のアルカリ性の液体によるAl基板1の腐食を生じさせ難い。なお、プレス加工によって、耐食性皮膜層2の上に設けられている親水性皮膜層3や潤滑性皮膜5の割れを避けることは困難であるが、親水性皮膜層3よりもAl基板1の近くに設けられている耐食性皮膜層2に割れが生じなければAl基板1が露出することはなく、Al基板1の腐食および腐食臭気の発生に至ることはない。従って、従来は、プレス加工によって皮膜(つまり、少なくとも耐食性皮膜層2および親水性皮膜層3を含んでなる皮膜)に割れが生じると、局所的にAl基板が露出し、耐食性が低下していた。また、特に、アルカリ性の液体(市販のエアコン洗浄剤等)に晒された場合、Al基板は速やかに腐食し、特有の腐食臭気が発生して、使用者に不快感を与えていたが、耐食性皮膜層2を備えることでこれらの事態を回避することができるようになる。
(耐食性皮膜層の皮膜付着量)
耐食性皮膜層2の皮膜付着量(厚さ)は、0.01〜8.0g/mとする。耐食性皮膜層2の皮膜付着量がこの範囲にあると、フィン材10の耐食性および親水性皮膜層3との密着性を確保することができるとともに、熱交換の効率が良い。これに対し、耐食性皮膜層2の皮膜付着量が0.01g/m未満であると、フィン材10の耐食性、および親水性皮膜との密着性を確保することができない。また、耐食性皮膜層2の厚さが8.0g/mを超えると親水性皮膜層3が断熱層となるため、熱交換の効率が悪くなる。
フィン材10の耐食性および親水性皮膜層3との密着性をより向上させるとともに、熱交換の効率をより良いものとする観点から、耐食性皮膜層2の皮膜付着量は、0.03g/m以上とするのが好ましく、5.0g/m以下とするのが好ましい。
なお、耐食性皮膜層2の皮膜付着量は、塗料濃度や、塗料の塗装にバーコーターを用いた場合はバーコーターNo.などを調整することで任意に調整可能である。
また、耐食性皮膜層2の皮膜付着量は、蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定などで測定することができる。
耐食性皮膜層2の組成は、皮膜固形分100質量部に対してポリオレフィン系樹脂が70質量部以上であることが好ましく、さらに、90質量部以上であることがより好ましい。皮膜固形分100質量部に対してポリオレフィン系樹脂が70質量部以上あれば、フィン材10に十分な耐食性を付与することができるため、プレス加工後のアルカリ性の液体によるAl基板1の腐食を生じさせ難くすることができる。
ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物としては、例えば、三井化学製「ケミパール(登録商標)」や、東邦化学工業製「ハイテック(登録商標)S3148」などがある。
ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂以外に、塗装性や作業性、皮膜(塗膜)物性などを改善するために、各種の水系溶媒や塗料添加物を添加してもよい。例えば、水溶性有機溶剤、界面活性剤、表面調整剤、湿潤分散剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤などの各種の溶剤や添加剤を、単独でまたは複数組み合わせて配合してもよい。
(親水性皮膜層)
親水性皮膜層3は、フィン材10の親水性を高めるために設ける。親水性皮膜層3は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む樹脂組成物(以下、単に「ポリアクリル酸系を含む樹脂組成物」ということもある。)からなる。このような樹脂組成物を用いて形成した皮膜(親水性皮膜層3)は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成された耐食性皮膜層2との界面相互作用を少なくすることができる。前記した群から選択された化合物を含む樹脂組成物を用いて形成された親水性皮膜層3は、耐食性皮膜層2に比べて硬質であり割れ易いが、前記したように耐食性皮膜層2との界面相互作用が少ないので、加工時に生じた親水性皮膜層3の割れを耐食性皮膜層2へ伝播し難くすることができる。親水性皮膜層がポリアクリル酸系を含む樹脂組成物からなるものでない場合は前記した作用効果を得ることができず、フィン加工によって生じた割れが耐食性皮膜層2に伝播するおそれが強い。そのため、耐食性皮膜層2が割れる可能性が高くなってしまう。
(親水性皮膜層の皮膜付着量)
親水性皮膜層3の皮膜付着量は、0.02〜10g/mとする。親水性皮膜層3の皮膜付着量がこの範囲にあると、フィン材10の親水性を確保することができる。これに対し、親水性皮膜層3の皮膜付着量が0.02g/m未満であると、フィン材10の親水性が低下し易くなる。また、親水性皮膜層3の皮膜付着量が10g/mを超えると、親水性皮膜層3は加工によって割れ易いので、親水性皮膜層3の割れにAl基板1側の耐食性皮膜層2が追従してしまい、割れ易くなる。そして、親水性皮膜層3の割れによってアルカリ性の液体の透過が著しく進行するため、腐食し易くなる。
親水性皮膜層3の割れをより一層防止しつつ、フィン材10の親水性をより一層向上させる観点から、親水性皮膜層3の皮膜付着量は、0.08g/m以上とするのが好ましく、2g/m以下とするのが好ましい。
なお、親水性皮膜層3の皮膜付着量は、塗料濃度や、塗料の塗装にバーコーターを用いた場合はバーコーターNo.などを調整することで任意に調整可能である。
また、親水性皮膜層3の皮膜付着量は、蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定などで測定することができる。
ポリアクリル酸系を含む樹脂組成物の例としては、東亞合成製「ジュリマー(登録商標)AC−10S」、日本触媒製「アクアリック(登録商標)HL」、ポリアクリル酸ナトリウムである日本触媒製「アクアリック(登録商標)DL」、東亞合成製「ジュリマー(登録商標)AC−10SL」、およびポリアクリル酸アンモニウムである東亞合成製「アロン(登録商標)A30」などが挙げられる。
また、ポリアクリル酸系を含む樹脂組成物には、スルホン酸基含有モノマーとの共重合体を用いてもよく、例えば、日本触媒製「アクアリック(登録商標)GL」などが挙げられる。
さらに、ポリアクリル酸系を含む樹脂組成物としては、当然、バインダー剤に限らず、分散剤や増粘剤としての効果を有する樹脂製品を使用してもよい。
ポリアクリル酸系を含む樹脂組成物は、前記重合体、共重合体、または、それらの混合物以外に、塗装性、作業性、若しくは、塗膜物性などを改善するために、各種の水系溶媒や塗料添加物を添加することが可能である。例えば、水溶性有機溶剤、界面活性剤、表面調整剤、湿潤分散剤、架橋剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤などの各種の溶剤や添加剤を、単独でまたは複数組み合わせて添加してもよい。
<フィン材の構成(構成B)>
次に、図2に示すように、本発明に係るフィン材20は、Al基板1と、このAl基板1の表面(図2ではAl基板1の一方の面)から近い順に、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とをこの順で備えている。そして、このフィン材20では、Al基板1と耐食性皮膜層2との間に化成処理皮膜層4をさらに備えた構成となっている。以下、このフィン材20の構成を「構成B」という。
なお、フィン材20とフィン材10とは、前記したようにフィン材20が、Al基板1と耐食性皮膜層2との間に化成処理皮膜層4をさらに備えている点で、これを備えていないフィン材10と相違しており、他の構成要素については同一である。以下、フィン材20について説明するが、フィン材10と同一の構成要素については同一の符号を付して該当する構成要素に関する説明を援用することとし、ここでの説明は省略する。
(化成処理皮膜層)
化成処理皮膜層4は、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる。Al基板1と耐食性皮膜層2との間に化成処理皮膜層4を備えることにより、Al基板1と耐食性皮膜層2の密着性を向上させることができる。
また、Al基板1の表面に化成処理皮膜層4を備えると、Al基板1への凝縮水(結露水)の接触を抑制することができるので、フィン材としての耐食性を向上させることができる。
無機酸化物は、主成分としてCrまたはZrを含むものであるのが好ましい。そのような無機酸化物として、具体的には、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、酸化ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理、リン酸亜鉛処理、またはリン酸チタン酸処理を行うことにより形成されたものなどが挙げられる。なお、本発明で用いることのできる無機酸化物は耐食性を奏するものであればよく、これらに限定されないことはいうまでもない。
無機−有機複合化合物としては、塗布型クロメート処理または塗布型ジルコニウム処理を行うことにより形成されたものを挙げることができる。そのような無機−有機複合化合物として、具体的には、アクリル−ジルコニウム複合体などが挙げられる。
化成処理皮膜層4の形成は、例えば、Al基板1の表面にスプレーなどで化成処理液を塗布することにより行うことができる。
化成処理皮膜層4の付着量は、例えば、CrまたはZrを1〜100mg/mの範囲で含有するのが好ましく、5〜80mg/mの範囲で含有するのがより好ましい。
また、化成処理皮膜層4の厚さは、例えば、1〜100nm(10〜1000Å)とするのが好ましく、5〜80nm(50〜800Å)とするのがより好ましいが、使用目的等に合わせて適宜変更することができる。
また、化成処理皮膜層4の付着量は、蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定などで測定することができる。
<フィン材の構成(構成C)>
次に、図3に示すように、本発明に係るフィン材30は、Al基板1と、このAl基板1の表面(図3ではAl基板1の一方の面)から近い順に、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とをこの順で備えている。そして、このフィン材30では、親水性皮膜層3の表面に、さらに潤滑性皮膜層5を備えた構成となっている。以下、このフィン材30の構成を「構成C」という。
なお、フィン材30とフィン材10とは、前記したようにフィン材30が、親水性皮膜層3の表面に、さらに潤滑性皮膜層5を備えている点で、これを備えていないフィン材10と相違しており、他の構成要素については同一である。以下、フィン材30について説明するが、フィン材10と同一の構成要素については同一の符号を付して該当する構成要素に関する説明を援用することとし、ここでの説明は省略する。
(潤滑性皮膜層)
潤滑性皮膜層5は、フィン材としての親水性を向上させる。また、潤滑性皮膜層5は、潤滑性樹脂からなるため、この潤滑性樹脂によって摩擦係数を低減させることができ、熱交換器のフィン製造時のプレス加工性を向上させる。
潤滑性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、および、カルボキシルセルロースのアルカリ金属塩(CMCアルカリ金属塩)よりなる群から選択される1種以上を含むものである。また、潤滑性樹脂は、ポリエチレングリコールを単独で用いてもよいし、カルボキシメチルセルロースを単独で用いてもよいし、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩を単独で用いてもよいが、それらを混合して用いることが好ましい。例えば、ポリエチレングリコールとカルボキシメチルセルロースナトリウムとを混合して用いることが好ましい。これにより、造膜性及び潤滑性(プレス成形性)が一層良好となる。ポリエチレングリコールとカルボキシメチルセルロースナトリウムの質量比は、ポリエチレングリコール:カルボキシメチルセルロースナトリウム=5:5から9:1程度が好ましい。潤滑性樹脂として具体的には、例えば、ポリエチレングリコール(三洋化成製PEG20000)とカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬製セロゲン)を質量比8:1で混合したものなどが挙げられる。
潤滑性皮膜層5が親水性皮膜層3の表面に形成されていても、潤滑性皮膜層5を構成する潤滑性樹脂も親水性を有することから、親水性皮膜層3により発現されるフィン材の親水性の向上、親水性の長期間の維持等の機能が低下することはない。また、潤滑性皮膜層5の皮膜付着量は、0.01〜1.0g/mが好ましい。潤滑性皮膜層5の皮膜付着量がこの範囲にあると、フィン材の親水性を確実に向上させることができる。
なお、潤滑性皮膜層5の皮膜付着量は、塗料濃度や、塗料の塗装にバーコーターを用いた場合はバーコーターNo.などを調整することで任意に調整可能である。
また、潤滑性皮膜層5の皮膜付着量は、蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定などで測定することができる。
<フィン材の構成(構成D)>
次に、図4に示すように、本発明に係るフィン材40は、Al基板1と、このAl基板1の表面(図4ではAl基板1の一方の面)から近い順に、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とをこの順で備えている。そして、このフィン材40では、Al基板1と耐食性皮膜層2との間に化成処理皮膜層4をさらに備え、かつ、親水性皮膜層3の表面に、さらに潤滑性皮膜層5を備えた構成となっている。以下、このフィン材40の構成を「構成D」という。
つまり、フィン材40は、フィン材10〜30で説明した耐食性皮膜層2、親水性皮膜層3、化成処理皮膜層4、および潤滑性皮膜層5をすべて備えた構成となっている。なお、これらの皮膜層については既に説明しているため、ここでの説明は省略する。
前記したように、フィン材40は、フィン材10〜30で説明した耐食性皮膜層2、親水性皮膜層3、化成処理皮膜層4、および潤滑性皮膜層5をすべて備えているので、これらの皮膜層の相乗効果により、耐食性および親水性のいずれにおいても特に優れたものとなっている。
以上に説明した本発明に係るフィン材10〜40は、耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3を形成する樹脂組成物をそれぞれ特定し、かつ、耐食性皮膜層2の皮膜付着量と親水性皮膜層3の皮膜付着量をそれぞれ特定しているので、一般的なフィン加工によっても塗膜(樹脂皮膜)に割れが生じない。従って、本発明に係るフィン材10〜40は、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができる。
なお、本発明においては、図1〜4に示したように、Al基板1の片面のみに構成A、構成B、構成C、または構成Dに記載した層構造を備える態様とすることができるが、構成A、構成B、構成C、または構成Dに記載した層構造をAl基板1の両面に備える態様とすることが好ましい。このような好ましい態様とすると、Al基板1の両面が前記した各皮膜層によって保護されるため、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができるという効果をより確実に奏することができる。
構成A、構成B、構成C、または構成Dに記載した層構造をAl基板1の両面に備える場合、両面を同じ層構造とすることができるし、両面を異なる層構造とすることもできる。すなわち、例えば、Al基板1の両面を構成Aに記載した層構造とすることができ、また、例えば、Al基板1の一方の面を構成Aに記載した層構造とし、他方の面を構成Bに記載した層構造とすることができる。本発明に係るフィン材は、これらの態様とした場合であっても、プレス加工後の皮膜に割れを生じさせず、アルカリ腐食による不快な臭気の発生を抑制することができる。
<フィン材の製造方法>
次に、本発明に係るフィン材の製造方法について説明する。
フィン材の製造方法としては、例えば、Al基板製造工程と、皮膜層形成工程とを含み、少なくともこれらの工程についてはこの手順で行う。
(Al基板製造工程)
Al基板製造工程は、前記したAl基板1を製造する工程である。Al基板製造工程は、例えば、材料の溶解、溶解した材料を鋳塊にする鋳造、鋳塊の面削、面削した鋳塊を板材にする熱間圧延及び冷間圧延を順次行うことなどが挙げられる。なお、Al基板製造工程においては、面削前に鋳塊の均質化熱処理を行ったり、熱間圧延と冷間圧延の間及び冷間圧延中のうちの少なくとも一つに中間焼鈍を行ったり、冷間圧延後に溶体化熱処理や焼入れ、調質などを行ったりすることもできる。このAl基板製造工程は、Al基板1を製造することのできる一般的な条件および設備で行うことができる。
(皮膜層形成工程)
皮膜層形成工程は、Al基板製造工程で製造したAl基板1の表面に皮膜層を形成する工程である。つまり、この皮膜層形成工程でAl基板1の表面に前記した耐食性皮膜層2と親水性皮膜層3とを形成する。
また、この皮膜層形成工程では、必要に応じてAl基板1と耐食性皮膜層2との間に化成処理皮膜層4を形成することができる。さらに、この皮膜層形成工程では、親水性皮膜層3の表面に潤滑性皮膜層5を形成することができる。
耐食性皮膜層2、親水性皮膜層3および親水性皮膜層3の形成は、例えば、バーコーター、ロールコーターなどの手法で行うことができる。前記した各皮膜層を形成するための各樹脂組成物(塗料)の塗布にあたっては、樹脂組成物を硬化させて皮膜を形成した後の皮膜付着量がそれぞれ前記した範囲となるように、樹脂組成物の塗布量を適宜調整するのが好ましい。なお、前記した皮膜層を形成するときの焼付け温度(Al基板1の到達温度)は、塗布する樹脂組成物によって適宜設定するが、一般的に100〜300℃の範囲で行われる。焼付けは、該当する樹脂組成物をAl基板1に塗布した後すぐに行うのが好ましい。焼付けに替えて紫外線を照射するなどの公知の手段を採用することもできる。
また、化成処理皮膜層4を形成する場合は、耐食性皮膜層2を形成する前に化成処理を行う。化成処理皮膜層4の形成は、前記したように、例えば、Al基板1の表面にスプレーなどで化成処理液を塗布することにより行うことができる。
以上に説明した製造方法を実施することにより、前記したフィン材10、20、30、40を任意に製造することができる。
また、前記したように、本発明に係るフィン材の製造方法は、Al基板製造工程と、皮膜層形成工程とを含むものであるが、Al基板製造工程と皮膜層形成工程の間や、皮膜層形成工程中における適宜のタイミングで、必要に応じてAl基板1を洗浄する工程、Al基板1を所定の寸法に切断する工程、Al基板1を所定の形状に成形する工程などを含むようにしてもよい。
次に、本発明の効果を奏する実施例とそうでない比較例とを参照して、本発明の内容について具体的に説明する。
Al基板の両面に、表1に示す耐食性樹脂1〜7に係る耐食性皮膜層用樹脂組成物(塗料)と、表2に示す親水性樹脂1〜8に係る親水性皮膜層用樹脂組成物(塗料)と、を用い、表3〜7に示す皮膜付着量となるようにバーコーターで塗布して焼き付けを行い、No.1〜136に係る試料(フィン材)を製造した。なお、表3〜7に示すように、必要に応じて、耐食性皮膜層および潤滑性皮膜層を形成した。
耐食性皮膜層を形成するものについては、耐食性皮膜層用樹脂組成物を塗布する前に、スプレーで化成処理液をAl基板の両面に塗布し、化成処理を行ってこれを形成した。
潤滑性皮膜層を形成するものについては、親水性皮膜層を形成した後、潤滑性皮膜層用樹脂組成物(塗料)をバーコーターで塗布し、焼き付けを行った。潤滑性皮膜層用樹脂組成物はいずれもポリエチレングリコール(三洋化成製PEG20000)とカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬製セロゲン)を質量比8:1で混合したものを用いた。
なお、Al基板は、JIS H 4000:2014に規定されている合金番号A1200のアルミニウム板を用いた(板厚0.1mm)。
そして、製造したNo.1〜136に係る試料に対して、加工割れ試験と、腐食臭気試験と、耐食性の評価と、親水性の評価(すなわち、水の接触角の測定および水濡れ性の評価)と、を行った。これらの試験および評価の方法と評価基準は以下のとおりである。
(加工割れ試験)
製造したフィン材をエリクセン試験機で張り出し加工を施し、Al基板に割れが生じた時点で加工を止めて、張り出し部における皮膜の表面を電子顕微鏡で観察した。観察された皮膜割れの中から任意に10ヶ所を選定し、収束イオンビーム(Focused Ion Beam;FIB)装置で切削して、対象とする皮膜割れの垂直方向断面を出現させ、その切削断面を観察した。
対象の皮膜割れが耐食性皮膜層に及んでいない、または及んでいてもAl基板が露出していない場合は○、皮膜割れが耐食性皮膜層に達しており、Al基板の露出が認められた場合は×と判定し、×の結果が10ヶ所中1ヶ所以下の場合はA(優秀)、2ヶ所の場合はB(良好)、3ヶ所以上の場合はC(不良)とした。評価判定がAおよびBであるものを合格とした。
(腐食臭気試験)
製造したフィン材をエリクセン値相当に加工した後、pH9.8〜10.2に調製したアルカリ性の液体に浸漬し、25±2℃の範囲に保持し、24時間静置した。24時間経過後、アルカリ性の液体からフィン材を取り出し、25±5℃の範囲に保った試験室内に120時間静置して乾燥させた後、臭気を官能評価した。
官能評価は、パネラ6名がそれぞれ臭気を嗅ぎ、臭気の強さに応じて下記の<評価基準1>にて点数を付け、6名のうち最高点と最低点を付けた2名分を除いた4名分の点数を平均し、平均点を算出した。平均点から下記の<評価基準2>で評価し、1点以下であれば合格(すなわち、評価判定が◎および○であるものを合格)とした。
<評価基準1>
0点:臭気を感じない
1点:弱く臭気を感じる
2点:楽に臭気を感じるが、強いとは感じない
3点:強く臭気を感じる
4点:とても強く臭気を感じる
<評価基準2>
◎:特に良好 :平均点が0.5点以下
○:良好 :平均点が0.5点を超え、1点以下
△:不良 :平均点が1点を超え、2点以下
×:著しく不良 :平均点が2点を超える
(耐食性の評価)
製造したフィン材について、JIS Z 2371:2000に示された方法で、480時間の塩水噴霧試験を行い、表面の腐食の程度を確認し、規定のレイティングナンバ(Rating Number、以下R.N.と略す)で腐食程度の評価を実施した。なお、評価基準は以下のとおりであり、評価判定が◎および○であるものを合格とした。
<評価基準>
◎:特に良好 :R.N.9.8以上
○:良好 :R.N.9.5以上、9.8未満
△:やや不良 :R.N.9.3以上、9.5未満
×:著しく不良 :R.N.9.3未満
(親水性の評価(水の接触角の測定))
製造したフィン材を、流量が0.1L/分である流水に8時間浸漬した後、80℃で16時間乾燥する工程を1サイクルとして、5サイクル行った。この親水性サイクル試験を実施した後、製造したフィン材を室温に戻して、表面に約0.5μLの純水を滴下し、接触角測定器(協和界面科学社製:CA−05型)を用いて接触角を測定した。流水には水道水を使用し、それぞれの試料について3箇所水の接触角を測定し、その平均値を算出した。測定結果(平均値)について、下記の評価基準で評価した。評価判定が◎および○であるものを合格とした。
<評価基準>
◎:特に良好 :接触角が20°未満
○:良好 :接触角が20°以上、40°未満
△:不良 :接触角が40°以上、60°未満
×:著しく不良 :接触角が60°以上
(親水性の評価(水濡れ性の評価))
水濡れ性の評価は、評価面に対して純水を霧吹き器にて吹きかけ、水濡れの様子を目視で観察した。その結果、濡れ面積率が90%以上の場合を特に良好(◎)、70%以上90%未満の場合を良好(○)、50%以上70%未満の場合を不良(△)、50%未満の場合を著しく不良(×)と評価した。評価判定が◎および○であるものを合格とした。
表3〜7にNo.1〜136に係る試料の皮膜層の構成、用いた樹脂組成物の種類と皮膜層形成後の皮膜付着量(g/m)を示す。なお、表3〜7に記載されている「構成」は、実施の形態で説明した構成A〜Dに記載した層構造をAl基板の両面に備えていることを示す。表4、6の「アクリル−ジルコニウム」は、アクリル−ジルコニウム複合体を示す。
また、表8〜12に加工割れ試験、腐食臭気試験、耐食性の評価および親水性の評価(すなわち、水の接触角の測定および水濡れ性の評価)の結果を示す。
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表8〜11に示すように、No.1〜104に係る試料は、本発明の要件を満たしていたので、加工割れ試験、腐食臭気試験、耐食性の評価および親水性の評価が良好であった(実施例)。
特に、No.1、3、5〜16、18、20〜23、25、27〜31、33〜44、46〜49、51〜104に係る試料は、前記した評価が極めて良好であり、より好ましい態様であることが確認された。
これに対し、表12に示すように、No.105〜136に係る試料は、本発明の要件のうちの少なくとも一つを満たしていなかったので、加工割れ試験、腐食臭気試験、耐食性の評価および親水性の評価のうちの少なくとも一つがが不良であった(比較例)。
具体的には、No.105、106、113〜122、129〜136に係る試料は、耐食性皮膜層がポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなるものではなかったので、加工割れ試験および腐食臭気試験の結果が不良となった。
No.107、123に係る試料は、耐食性皮膜層の皮膜付着量が下限未満であったので、加工割れ試験および腐食臭気試験の結果が不良となった。
No.108、124に係る試料は、耐食性皮膜層の皮膜付着量が上限を超えていたので、加工割れ試験および腐食臭気試験の結果が不良となった。
No.111、112、127、128に係る試料は、親水性皮膜層がポリアクリル酸系を含む樹脂組成物からなるものではなかったので、加工割れ試験および腐食臭気試験の結果が不良となった。
No.109、125に係る試料は、親水性皮膜層の皮膜付着量が下限未満であったので、親水性の評価(すなわち、水の接触角の測定および水濡れ性の評価)が不良となった。
No.110、126に係る試料は、親水性皮膜層の皮膜付着量が上限を超えていたので、加工割れ試験および腐食臭気試験の結果が不良となった。
10、20、30、40 アルミニウム製フィン材(フィン材)
1 アルミニウム基板(Al基板)
2 耐食性皮膜層
3 親水性皮膜層
4 化成処理皮膜層
5 潤滑性皮膜層

Claims (3)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム基板と、このアルミニウム基板の表面から近い順に、耐食性皮膜層と親水性皮膜層とをこの順で備えるアルミニウム製フィン材であって、
    前記耐食性皮膜層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、
    前記親水性皮膜層は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む樹脂組成物からなり、
    前記耐食性皮膜層の皮膜付着量が0.01〜8.0g/mであり、
    前記親水性皮膜層の皮膜付着量が0.02〜10g/mであることを特徴とするアルミニウム製フィン材。
  2. 前記アルミニウム基板と前記耐食性皮膜層との間に化成処理皮膜層をさらに備え、
    前記化成処理皮膜層は、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム製フィン材。
  3. 前記親水性皮膜層の表面に、さらに潤滑性皮膜層を備え、
    前記潤滑性皮膜層が、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩よりなる群から選択される1種以上を含む樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム製フィン材。
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