JPH08323285A - 撥水性及び着霜防止性が優れた部材及びその製造方法 - Google Patents

撥水性及び着霜防止性が優れた部材及びその製造方法

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JPH08323285A
JPH08323285A JP7134274A JP13427495A JPH08323285A JP H08323285 A JPH08323285 A JP H08323285A JP 7134274 A JP7134274 A JP 7134274A JP 13427495 A JP13427495 A JP 13427495A JP H08323285 A JPH08323285 A JP H08323285A
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water
film
coating
fine particles
fin
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JP7134274A
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Mariko Sakata
真理子 坂田
Hidetoshi Yamaguchi
英俊 山口
Masanori Sakurai
真紀 櫻井
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷暖房兼用タイプのルームエアコンの熱交換
器用フィンとして使用するのに好適の撥水性及び着霜防
止性が優れた部材及びその製造方法を提供する。 【構成】 金属板材1と、この金属板材の表面上に形成
され微粒子3を添加した有機系塗料からなる粗面状皮膜
2と、この粗面状皮膜の上に形成された撥水性皮膜4と
を有する。前記有機系塗料及び撥水性皮膜は、シリコー
ン系塗料、フッ素系塗料又はそれらの混合物である。前
記有機系塗料に添加する添加微粒子の含有率は、5乃至
50重量%であることが好ましく、更に好ましくは10
乃至30重量%である。このようにして処理された部材
の表面は、水滴の接触角が150°を超え、容易に水滴
が落下すると共に、大気中の水分が凝縮してもフィン表
面では氷結しないという特長を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷暖房兼用タイプのル
ームエアコン等に組み込まれる熱交換器用アルミニウム
フィンとして使用するのに好適の撥水性及び着霜防止性
が優れた部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ルームエアコンの熱交換器用フィ
ン材は、熱伝導性及び成形性が優れていることから、主
にアルミニウム材(純アルミニウム及びアルミニウム合
金の双方を含む)により製造されている。通常、この種
のフィン材には、腐食を防止するために防食処理が施さ
れている。また、冷房運転時に結露した水がフィン間に
溜まって通風抵抗が大きくなることを抑制するために、
表面処理を施して親水性を付与し、フィン表面の水濡れ
性を向上させて水切れ性を向上させている。
【0003】防食性及び親水性を付与する表面処理とし
ては、珪酸塩を使用して処理する方法(特開昭61−8
598号)及び親水性の樹脂を塗装する方法等があり、
これらの処置を施した熱交換器用フィンが実用化されて
いる。そして、ルームエアコンにおける送風時の通風抵
抗の低減及び熱交換効率の向上等、熱交換器の性能向上
に寄与している。
【0004】ところで、近時、冷暖房兼用タイプのルー
ムエアコンが増加している。この種のルームエアコンに
使用されているヒートポンプタイプの熱交換器は、夏期
においては、室内器が蒸発器となり、室外器が凝縮器と
なる。一方、冬期においては、室内器が凝縮器となり、
室外器が蒸発器となる。
【0005】このような冷暖房兼用タイプのルームエア
コンにおいて、冬期のように、外気の温度が低いときに
暖房運転を行うと、室外器に設けられた熱交換器のフィ
ンの表面で凝縮した水分が氷結して霜が発生しやすい。
特に、親水処理を施したフィンが使用されている場合
は、フィン表面の水濡れ性が良好であるため、フィン全
面に霜が発生しやすい。室外器のフィン表面に霜が発生
すると、霜によりフィン間が塞がれ、通風抵抗が増加し
て暖房能力が低下してしまう。また、着霜が著しい場合
は、装置が故障するおそれがあるため、暖房運転を中止
してフィンに付着した霜を取り除く所謂除霜運転を行う
必要がある。このため、暖房効率が低下するという問題
点がある。
【0006】親水性処理を施したフィンにおいては、親
水性処理を施していないフィンに比して、除霜時に容易
に霜が溶解し水膜となって落下しやすいという利点があ
る。しかし、親水性処理を施したフィンはフィン表面の
水濡れ性が良好であるため、フィン全面に霜が発生しや
すい。また、霜が溶解した後もフィン全面が水塗れして
いるため、暖房運転を再開すると、短時間でフィンの表
面全体に霜が発生してしまう。
【0007】そこで、フィンの表面に撥水性処理を施
し、フィン表面で凝縮した結露水がフィン表面に広がら
ずに、接触角が高く球状をなす水滴を形成しやすくする
と共に、この水滴が大きく成長する前に落下させること
により、即ち、転落角(板表面に乗せた水滴が転がり始
めるときの板の傾き)が小さくなるようにすることによ
り、良好な水切れ性を得ると共に着霜防止性を向上させ
る技術が提案されている。
【0008】この場合に、撥水処理としては、例えばフ
ィンの表面にフッ素シラン系化合物を含む撥水皮膜を設
ける方法が提案されている(例えば、特開平3−100
182号及び特開平3−45181号公報)。また、フ
ィンの表面にフッ素系の撥水皮膜を設けた後、この皮膜
の表面を粗面化して撥水性をより一層向上させる方法も
提案されている(特開平3−45893号公報)。更
に、基板を粗面化した後、フッ素系の撥水皮膜を設ける
ことにより撥水性をより一層向上させる方法(特開平3
−54894号公報)も提案されている。更にまた、浸
漬法及び電解法により金属板材表面をエッチングした
後、撥水皮膜を設けることにより撥水性をより一層向上
させる方法がある(特開平4−233438号公報、特
開平6−79820号公報)。
【0009】更にまた、アルミナゾルと、アルミナ、ジ
ルコニア又はチタニア等の微粉末とを混合した混合皮膜
を設けて第1層を粗面化した後、第2層として撥水皮膜
を設けることにより撥水性をより一層向上させる方法
(特開平6−306638号公報)も提案されている。
なお、部材表面の水滴に対する接触角(以下、単に「接
触角」という)が90°以上の場合は、部材表面を粗面
化するほど見かけの接触角が大きくなって撥水性が向上
し、接触角が90°未満の場合は、部材表面を粗面化す
るほど見かけの接触角が低下することが知られている
(例えば、佐藤弘三「塗膜の付着−そのメカニズムの理
論と解説」第157頁、理工出版社)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単にフ
ィン材の表面にフッ素系の撥水皮膜を設けただけでは、
接触角が十分高くならず、ルームエアコンの室外器に適
用した場合に、フィン表面に水滴が部分的に溜まってし
まい、着霜し易いため、圧力損失が上昇する。このた
め、この従来のフッ素系の撥水性皮膜を設けたフィン材
は、親水性処理を施したフィン材に比して通風抵抗が高
くなるという問題点がある。
【0011】また、フィン材の表面上にフッ素系の撥水
皮膜を設け、この皮膜表面を粗面化したフィン材は、接
触角の向上が十分でないと共に、工業的な製造が困難で
あるという問題点がある。つまり、フィン材の表面上に
フッ素系の撥水塗料を塗装し、塗膜表面を粗面化した
後、フィン形状に成形しようとすると、成形加工の際
に、粗面が破壊されるため、成形加工が困難である。ま
た、フィン形状に成形した後に、塗膜表面を粗面化しよ
うとすると、成形形状を有しているため、粗面化処理が
煩雑になると共に、生産性が低いという難点がある。従
って、現状では、フッ素系の撥水皮膜の表面を粗面化し
たフィンは実用化されていない。
【0012】更に、金属板材表面を浸漬法及び電解法に
よりエッチングして粗面化した後、撥水皮膜を造膜する
方法では、エッチング反応が激しため、エッチング液の
組成が著しく変化する。従って、エッチング液の管理が
困難である。また、エッチングによる粗面化では、金属
板材表面を均一に粗面化することが難しいと共に、製品
のロット間の表面粗度のばらつきが大きく、撥水性を均
一にすることが技術的に困難である。更に、エッチング
処理設備及び廃液処理にコストが嵩むという問題点があ
る。
【0013】更にまた、アルミナゾルと、アルミナ、ジ
ルコニア又はチタニア等の微粉末とを混合した混合皮膜
を設けることにより粗面化した後、撥水皮膜を設けたフ
ィン材は、混合皮膜と金属表面との密着性が悪い。ま
た、前記フィン材は混合皮膜の強度が低いため、ラビン
グ等により皮膜破壊を起こしやすい。従って、この混合
皮膜は耐久性が劣るという問題点がある。
【0014】このため、親水処理と同程度又はそれ以上
の皮膜強度、密着性及び水切れ性を有し、送風時の通風
抵抗が小さいと共に、霜の発生も少なく、且つ、生産性
が高く、製造コストが低いフィン材の開発が要望されて
いる。
【0015】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、冷暖房兼用タイプのルームエアコンの熱交
換器用フィンとして使用するのに好適の撥水性及び着霜
防止性が優れた部材及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る撥水性及び
着霜防止性が優れた部材は、金属板材と、この金属板材
の表面上に形成され微粒子を添加した有機系塗料からな
る粗面状皮膜と、この粗面状皮膜の上に形成された撥水
性皮膜と、を有することを特徴とする。
【0017】本発明に係る撥水性及び着霜防止性が優れ
た部材の製造方法は、金属板材の表面上に微粒子を添加
した有機系塗料からなる粗面状皮膜を形成する工程と、
この粗面状皮膜の上に撥水性皮膜を形成する工程と、を
有することを特徴とする。
【0018】この場合に、前記粗面状皮膜及び撥水性皮
膜は、シリコーン系塗料、フッ素系塗料又はシリコーン
系塗料及びフッ素系塗料の混合物であることが望まし
い。
【0019】
【作用】本発明においては、金属板材の表面上に形成さ
れた微粒子を添加した有機系塗料からなる粗面状皮膜の
上に、更に撥水性皮膜が形成されている。図1はこの本
発明の撥水性及び着霜防止性が優れた部材を概念的に示
す模式的断面図である。この図1に示すように、金属板
材1の上に、微粒子3を含む粗面状皮膜2が形成されて
おり、この粗面状皮膜2の上に撥水性皮膜4が形成され
ている。
【0020】撥水性皮膜4の表面は、その下層の粗面状
皮膜2内の微粒子により形成された微細な凹凸を有し、
平坦な面上に撥水性皮膜を形成した場合に比して見かけ
の接触角が向上し、良好な撥水性を得ることができる。
従って、本発明に係る部材を例えば冷暖房兼用タイプの
ルームエアコンの熱交換器に適用した場合には、部材表
面に結露した水滴を比較的小さいうちに落下させること
ができる。これにより、良好な水切れ性を得ることがで
きると共に、霜の発生を抑制することができる。
【0021】また、有機系塗料は、微粒子保持力が優れ
ていると共に、撥水性及び密着性が優れている。そし
て、前記粗面状皮膜及び撥水性皮膜を、シリコーン系塗
料、フッ素系塗料又はシリコーン系塗料及びフッ素系塗
料の混合物とすることにより、更にその微粒子保持力、
撥水性及び密着性を高めることができる。
【0022】なお、フッ素系塗料としては、フルオロア
ルキルシラン樹脂、4フッ化エチレン樹脂等があり、シ
リコーン系塗料としては、シリコンレジン樹脂、ジメチ
ルシリコン樹脂等がある。なお、フルオロアルキルシラ
ン樹脂はCF3(CF2n(CH2mSiX3(X=OC
3,Cl)の組成を有する。また、シリコンレジン樹
脂は、シロキサン結合を有するアルキルシリコーン樹脂
である。更に、ジメチルシリコン樹脂とは2個のメチル
基を有するシリコーン系樹脂である。
【0023】また、前記添加微粒子には、フッ素系樹脂
を微粒子化したフッ素オリゴマー微粒子、シリコンレジ
ンを微粒子化したシリコンレジン微粒子及び表面を疎水
化したシリコン系樹脂を含む微粒子(疎水化シリカ微粒
子)等がある。この前記添加微粒子の粒径は特に限定さ
れるものではないが、通常0.01乃至10μm程度で
ある。
【0024】更に、この有機系塗料に添加する添加微粒
子の含有率は、5乃至50重量%であることが好まし
く、更に好ましくは10乃至30重量%である。微粒子
の添加量が5重量%未満では、前記粗面皮膜に形成され
る凹凸の間隔が大きすぎるため、撥水性皮膜の見かけの
接触角の上昇効果が少ない。また、微粒子の添加量が1
0%未満の場合はテープ剥離試験後に、接触角の低下が
発生しやすい。
【0025】一方、微粒子添加量が50重量%を超える
と、前記粗面皮膜中の微粒子が多くなりすぎ、粗面皮膜
が凝集破壊してしまう。このため、接触角が著しく低下
する。また、添加微粒子が30重量%を超えると、成形
加工時に粗面状皮膜が一部破壊されるため、接触角が若
干低下する。このため、有機塗料に添加する添加微粒子
の含有量は、5乃至50重量%であることが好ましく、
更に好ましくは10乃至30重量%である。
【0026】このようにして処理された部材の表面は、
水滴の接触角が150°を超え、容易に水滴が落下する
と共に、大気中の水分が凝縮しても直ちに氷結しないと
いう特長を有する。これは、表面の見かけの接触角が高
いことに加えて、表面の凹凸が多いために、フィンと凝
縮水の水滴との接触面積が少なく、凝縮水の潜熱がフィ
ン側へ逃げずに維持されるためと考えられる。また、本
発明方法は、金属板材の表面上に微粒子を添加した有機
塗料を有する粗面状皮膜を形成した後、前記粗面状皮膜
の表面上に撥水皮膜を形成するだけでよいため、製造コ
ストは比較的低い。
【0027】一方、本発明方法においては、先ず、金属
板表面上に微粒子を添加した有機系塗料を有する粗面状
皮膜を形成する。これにより、安価に金属板材の表面上
に微細な凹凸を形成することができて、後述するよう
に、粗面状皮膜の表面上に撥水性皮膜を形成した場合
に、撥水性皮膜の見かけの接触角を著しく向上させるこ
とができる。なお、サンドペーパ等による機械的研磨又
は圧延ロールにより金属表面に凹凸を形成することも考
えられるが、これらの方法により形成された凹凸は、凹
凸の間隔が大きすぎたり、又は不均一となり、その表面
上に撥水性皮膜を形成しても、皮膜の接触角を向上させ
る効果を十分に得ることができない。
【0028】次に、前記粗面状皮膜の表面上に撥水性皮
膜を形成する。この場合に、撥水性皮膜は、平坦面上に
塗装等により形成した場合、又は塗装後に焼き付けた処
理をした場合に、接触角が90°以上となるものである
ことが好ましい。平坦な面における接触角が90°未満
の場合は、前述の粗面状皮膜の表面上に形成しても、見
かけの接触角が向上しにくい。このため、前記撥水性皮
膜は、平坦面上に形成した場合の接触角が90°以上で
あることが好ましい。
【0029】また、前記粗面状皮膜に微粒子を添加しな
い場合は、フィンの表面に凹凸が得られないために、接
触角は従来の塗料の接触角と同様で、110°乃至13
0°となる。従って、このような表面状態のフィンでは
十分な水切れ性を有しない。また、撥水性皮膜を形成し
ない場合は、微粒子が表面に露出するため、テープ又は
ラビングにより容易に微粒子が剥離してしまう。従っ
て、フィン材表面の皮膜が破壊してしまう。
【0030】
【実施例】次に、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。
【0031】第1実施例 先ず、縦が10cm、横が10cm、厚さが0.15m
mのアルミニウム板材(JIS 1100H26)に、
下記表1に示す微粒子を添加した有機塗料を塗装した。
次に、下記表1に示す撥水剤を塗装した。これにより、
実施例1、2及び比較例3、4の供試体を得た。但し、
比較例3は、有機塗料に微粒子を添加していないもので
ある。また、比較例4は、撥水剤を塗布していないもの
である。
【0032】
【表1】
【0033】次に、実施例1、2及び比較例3、4の各
供試体の水切れ性を調べるために、接触角を調べた。そ
の結果を下記表2に示す。なお、接触角は、図2に示す
ように、水滴5の接線と板材表面とがなす角度θであ
る。また、接触角測定時の水滴1の水量は0.03gで
ある。密着性は、造膜後、市販粘着テープを付着し、そ
の後、これを剥離して、剥離後の皮膜の残存状態を調べ
ることにより、求めた。この密着性は、○が剥離なしの
場合、×が剥離した場合である。
【0034】
【表2】
【0035】この表2から明らかなように、実施例1、
2においては、いずれも接触角が150°を超え、密着
性も良い。一方、比較例3は、接触角が低い。また、比
較例4は、水滴の接触角が低いと共に、密着性が悪い。
【0036】これにより、微粒子を塗布することによ
り、表面に粗面状ができ、十分な水切れ性が得ることが
できる。また、撥水皮膜を塗布することにより、十分な
水切れ性及び密着性が得ることができる。
【0037】第2実施例 次に、縦が10cm、横が20cm、厚さが0.12m
mのアルミニウム板材(JIS 1100H26)に、
下記表3に示す添加量で微粒子を添加したシリコンレジ
ン系有機塗料を塗布し、粗面状の皮膜を形成した。その
後、フルオロアルキルシラン塗料を塗装した。これによ
り、実施例5〜8及び比較例9、10の供試体を得た。
その評価結果を下記表3に合わせて示す。
【0038】
【表3】
【0039】剥離試験は、粘着テープにより行った。こ
の表3から明らかなように、実施例5〜8は、水切れ性
及び密着性が優れている。但し、実施例5は剥離後、接
触角が低下した。また、実施例8は成形後、密着性が悪
くなった。
【0040】一方、比較例9は、接触角が低い。また、
比較例10は、密着性が悪いと共に、剥離後、極端に接
触角が低下している。
【0041】第3実施例 次に、縦が10cm、横が20cm、厚さが0.12m
mのアルミニウム板材(JIS 1100H26)に、
下記表4に示す微粒子を添加した有機塗料を塗布し、次
に、下記表5に示す撥水剤を塗装した。これにより、実
施例11〜19及び比較例20〜22の供試体を得た。
【0042】
【表4】
【0043】次に、実施例11〜19及び比較例20〜
22の各供試体の水切れ性を調べるために、接触角を調
べた。その結果を下記表5に示す。
【0044】更に、実施例11〜19及び比較例20〜
22の各供試体の着霜性を調べた。図3は、着霜性を調
べるために使用した試験装置を示す模式図である。この
試験装置は、冷水タンク11、循環ポンプ12、アルミ
ニウム製容器13及びこれらの間を接続する配管14に
より構成されている。
【0045】この試験装置を用いて、以下に示す方法に
より、着霜性を調べた。即ち、冷水タンク11内に貯留
される冷媒の温度を−10℃に維持し、循環ポンプ12
によりこの冷媒をアルミニウム製容器13及び冷水タン
ク11間に循環させた。また、アルミニウム製容器13
に実施例11〜19及び比較例20〜22の各供試体1
0をその処理面が外側になるように張り付け、乾球温度
が2℃、湿球温度が1℃の雰囲気中で霜の発生状況を調
査した。そして、供試体の全面が霜で覆われるまでの時
間を測定することにより、着霜性を評価した。その結果
も下記表5に併せて示す。
【0046】
【表5】
【0047】この表6から明らかなように、実施例11
〜19においては接触角が150°を超え、撥水性が優
れている。また、実施例11〜19においては、着霜時
間が80時間以上と長く、着霜防止性が優れている。
【0048】一方、比較例20〜22は、いずれも接触
角が低く、着霜防止性も、冷媒通水後、短時間で霜が覆
われてしまい、満足できるものではなかった。
【0049】なお、本発明は、主として熱交換器用のフ
ィン材において、水切れ性及び着霜防止性を同時に向上
させることを目的としているが、着霜防止性及び水弾き
性を必要とする熱交換以外の用途にも適用可能である。
また、表面処理を実施する金属板材に関しても、熱交換
器用フィン材に使用されているアルミニウム又はアルミ
ニウム合金材に限定されるものではなく、その表面上に
撥水性皮膜を塗布等の方法により形成することができる
ものであれば、他の材質であってよい。更に、金属板材
がアルミニウム又はアルミにニウム合金材の場合は、一
般的に使用されているアルミニウム系合金のものであれ
ばその効果に大きな差がなく、種々のアルミニウム又は
アルミニウム合金に本発明を適用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、微
粒子を含む粗面状皮膜を設け、この粗面状皮膜の上に撥
水性皮膜を設けた部材であるので、その表面は微細な凹
凸を有する。従って、本発明の部材は、撥水性が極めて
優れており、水切れ性が優れていると共に、表面で凝縮
した水が落下しやすく、霜の発生を抑制することができ
る。このため、本発明に係る撥水性及び着霜性が優れた
部材は、冷暖房兼用のルームエアコン等の空調機の熱交
換器用フィン材として極めて有益であり、除霜運転等に
よる熱交換器の休止が少なくなると共に、良好な熱交換
性を具備することができる。
【0051】また、本発明方法によれば、部材の表面上
に粗面状塗膜を設け、更にその塗膜の表面に撥水性塗膜
を設けるから、撥水性及び着霜防止性が極めて優れた熱
交換器用フィン材としての部材を容易に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撥水性及び着霜性が優れた部材の概念
を示す模式図である。
【図2】接触角を説明する模式図である。
【図3】着霜性を試験する試験装置を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1;金属板材 2:粗面状皮膜 3:微粒子 4;撥水性皮膜 5;水滴 10:供試体 11:冷水タンク 12:ポンプ 13:アルミニウム製容器 14:配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 183/04 PMS C09D 183/04 PMS F28F 13/18 F28F 13/18 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板材と、この金属板材の表面上に形
    成され微粒子を添加した有機系塗料からなる粗面状皮膜
    と、この粗面状皮膜の上に形成された撥水性皮膜と、を
    有することを特徴とする撥水性及び着霜防止性が優れた
    部材。
  2. 【請求項2】 前記有機系塗料がシリコーン系塗料、フ
    ッ素系塗料及びそれらの混合物からなる群から選択され
    たものであることを特徴とする請求項1に記載の撥水性
    及び着霜防止性が優れた部材。
  3. 【請求項3】 前記撥水性皮膜がシリコーン系塗料、フ
    ッ素系塗料及びそれらの混合物からなる群から選択され
    たものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    撥水性及び着霜防止性が優れた部材。
  4. 【請求項4】 金属板材の表面上に微粒子を添加した有
    機系塗料からなる粗面状皮膜を形成する工程と、この粗
    面状皮膜の上に撥水性皮膜を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする撥水性及び着霜防止性が優れた部材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記有機系塗料がシリコーン系塗料、フ
    ッ素系塗料及びそれらの混合物からなる群から選択され
    たものであることを特徴とする請求項4に記載の撥水性
    及び着霜防止性が優れた部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記撥水性皮膜がシリコーン系塗料、フ
    ッ素系塗料及びこれらの混合物からなる群から選択され
    たものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の
    撥水性及び着霜防止性が優れた部材の製造方法。
JP7134274A 1995-05-31 1995-05-31 撥水性及び着霜防止性が優れた部材及びその製造方法 Pending JPH08323285A (ja)

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