JP3059307B2 - 撥水性及び着霜防止性が優れた部材及びその製造方法 - Google Patents

撥水性及び着霜防止性が優れた部材及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷暖房兼用タイプのル
ームエアコン等に組み込まれる熱交換器用アルミニウム
フィンとして使用するのに好適の撥水性及び着霜防止性
が優れた部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ルームエアコンの熱交換器用フィ
ン材は、熱伝導性及び成形性が優れていることから、主
にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により製造
されている。通常、この種のフィン材には、腐食を防止
するために防食処理が施されている。また、冷房運転時
に結露した水がフィン間に溜まって通風抵抗が大きくな
ることを抑制するために、表面処理を施して親水性を付
与し、フィン表面の水濡れ性を向上させて水切れ性を向
上させている。
【0003】防食性及び親水性を付与する表面処理とし
ては、珪酸塩を使用して処理する方法(特開昭61-8598
号)及び親水性の樹脂を塗装する方法等があり、これら
の処理を施した熱交換器用フィンが実用化されている。
そして、ルームエアコンにおける送風時の通風抵抗の低
減及び熱交換効率の向上等、熱交換器の性能向上に寄与
している。
【0004】ところで、近時、冷暖房兼用タイプのルー
ムエアコンが増加している。この種のルームエアコンに
使用されているヒートポンプタイプの熱交換器では、夏
期においては、室内器が蒸発器となり、室外器が凝縮器
となる。一方、冬期においては、室内器が凝縮器とな
り、室外器が蒸発器となる。
【0005】このような冷暖房兼用タイプのルームエア
コンにおいて、冬期、外気温が低いときに暖房運転を行
なうと、室外器に設けられた熱交換器のフィンの表面で
凝縮した水分が氷結して霜が発生しやすい。特に、親水
処理を施したフィンが使用されている場合は、フィン表
面の水濡れ性が良好であるため、フィン全面に霜が発生
しやすい。室外器のフィン表面に霜が発生すると、霜に
よりフィン間が塞がれ、通風抵抗が増加して暖房能力が
低下してしまう。また、着霜が著しい場合は、装置が故
障する虞れがあるため、暖房運転を中止してフィンに付
着した霜を取り除く必要がある。
【0006】親水性処理を施したフィンにおいては、親
水性処理を施していないフィンに比して、除霜時に容易
に霜が溶解し水膜となって落下しやすいという利点があ
る。しかし、霜が溶解した後もフィンの全面が水濡れし
ているため、暖房運転を再開すると、短時間でフィンの
表面全体に霜が発生してしまう。
【0007】そこで、フィンの表面に撥水処理を施し、
フィン表面で凝縮した水滴が大きくならないうちに落下
させる(即ち、転落性を向上させる)ことにより、良好
な水切れ性を得ると共に着霜防止性を向上させる技術が
提案されている。この場合、撥水処理としては、例えば
フィンの表面にフッ素系の特殊な撥水皮膜を設ける方法
が提案されている(例えば、特開平3-30939 号及び特開
平3-44485 号)。また、フィンの表面にフッ素系の撥水
皮膜を設けた後、この皮膜の表面を粗面化して撥水性を
より一層向上させる方法も提案されている(特開平3-54
893 号)。なお、部材表面の水滴に対する接触角(以
下、単に「接触角」という)が90°以上の場合は、部
材表面を粗面化するほど見かけの接触角が大きくなって
撥水性が向上し、接触角が90°未満の場合は、部材表
面を粗面化するほど見かけの接触角が低下することが知
られている(例えば、佐藤弘三 「塗膜の付着−そのメ
カニズムの理論と解説」 第 157頁 理工出版社)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フッ素
系の撥水皮膜を備えたフィンにおいては、フッ素塗料が
高価であるため、製造コストが高いという問題点があ
る。また、単にフィン材の表面にフッ素系の撥水皮膜を
設けただけでは、接触角が十分に高くならず、ルームエ
アコンの室外器に適用した場合に、部分的に水滴が溜っ
てしまい、親水性処理を施したフィンに比して通風抵抗
が高くなるという問題点がある。
【0009】更に、フィン材の表面上にフッ素系の撥水
皮膜を設け、この皮膜表面を粗面化したフィンには、接
触角の向上が十分でないと共に、製造が困難であるとい
う問題点がある。つまり、フィン材の表面上にフッ素系
の撥水塗料を塗装し、塗膜表面を粗面化した後、フィン
形状に成形しようとすると、成形加工が困難である。ま
た、フィン形状に成形した後に塗膜表面を粗面化しよう
とすると、粗面化処理が困難である。従って、現状で
は、フッ素系の撥水皮膜の表面を粗面化したフィンは実
用化されていない。
【0010】このため、親水処理と同程度又はそれ以上
の水切れ性を有し、送風時の通風抵抗が小さいと共に、
霜の発生も少ないフィン材が要望されている。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、冷暖房兼用タイプのルームエアコンの熱交
換器用フィンとして好適の撥水性及び着霜防止性が優れ
た部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る撥水性及び
着霜防止性が優れた部材は、その表面に粗面化処理が施
された金属板材と、この金属板材の表面上に形成された
撥水性皮膜とを有し、前記金属板材の平面視で1cm2
当たりの表面積が20cm2 以上であり、且つ前記撥水
性皮膜の膜厚が1乃至20mg/dm2 であることを特
徴とする。
【0013】本発明に係る撥水性及び着霜防止性が優れ
た部材の製造方法は、金属板材の表面にエッチングを施
して溶解を受けない部分の割合を10%以下とし且つ前
記金属板材の平面視で1cm2 当たりの表面積を20c
2 以上とする工程と、平坦面上に形成した場合に水滴
の接触角が90°以上となる撥水性皮膜を前記金属板材
の表面上に1乃至20mg/dm2 となる厚さで形成す
る工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
【作用】本願発明者等は、水切れ性及び着霜防止性が優
れた熱交換器用フィンを得るべく、部材の表面粗度を種
々変化させて見かけの接触角の変化を調べた。その結
果、従来、理論的に、部材の表面を粗面化するほど見か
けの接触角が上昇するとされていたが、実際には、粗面
化に追随して均一に塗装することが難しいこともあり、
必ずしも粗度と見かけの接触角とは対応せず、粗面化す
るほど見かけの接触角が向上する結果とはならなかっ
た。そこで、本願発明者等は、粗度以外に見かけの接触
角に影響する因子を調べるために種々実験研究を繰り返
し、見かけの接触角の向上にはミクロ的な表面積が影響
するとの知見を得た。本願発明は、このような実験結果
に基づいてなされたものである。
【0015】本発明においては、粗面化処理された金属
板材の表面上に撥水性皮膜が形成されている。このた
め、撥水性皮膜の表面に微細な凹凸が設けられ、平坦な
面上に撥水性皮膜を形成した場合に比して見かけの接触
角が向上し、良好な撥水性を得ることができる。従っ
て、例えば本発明に係る部材を冷暖房兼用タイプのルー
ムエアコンの熱交換器に適用した場合に、部材表面に結
露した水滴が比較的小さいうちに落下してしまう。これ
により、良好な水切れ性を得ることができると共に、霜
の発生を抑制することができる。但し、前記金属板材の
平面視で1cm2 当たりの表面積が20cm2 未満であ
ると、撥水性皮膜の見かけの接触角を向上させる効果を
十分に得ることができない。このため、前記金属板材の
平面視で1cm2 当たりの表面積は20cm2 以上であ
ることが必要である。なお、本発明において表面積と
は、BET法により測定した表面積をいう。このBET
法は、S.Brunauer、P.H.Emmett及びE.Taylor等により提
唱されたBET吸着式を利用し、多孔質固体表面の気体
(窒素、クリプトン及びキセノン等のガス)分子の吸着
に基づいて、固体の表面積を算出する方法である。
【0016】また、前記撥水性皮膜の膜厚は、1乃至2
0mg/dm2 であることが必要である。撥水性皮膜の
膜厚が1mg/dm2 未満の場合は、金属板材の被覆が
不十分になり、撥水性を十分に得ることができない。一
方、撥水性皮膜の膜厚が20mg/dm2 を超えると、
前記金属板材の表面の微細な凹凸が埋め込まれて、見か
けの接触角を向上させる効果が低減してしまう。このた
め、撥水性皮膜の膜厚は、1乃至20mg/dm2 であ
ることが必要である。
【0017】一方、本発明方法においては、先ず、金属
板材の表面をエッチングし、微細な窪みを多数形成す
る。このようなエッチング処理としては、金属板材に電
解電流を流す電解エッチング法又は化学反応を利用した
化学エッチング法が好適である。この電解エッチング法
又は化学エッチング法等によれば、金属板材の表面に均
一で且つ微細な窪みを多数形成することができて、後述
するように金属板材の表面上に撥水性皮膜を形成した場
合に、撥水性皮膜の見かけの接触角を著しく向上させる
ことができる。なお、サンドペーパー等による機械的研
磨又は圧延ロールにより金属板材の表面に凹凸を形成す
ることも考えられるが、これらの方法により形成された
凹凸は、凹凸の間隔が大きすぎたり、又は不均一とな
り、その表面上に撥水性皮膜を形成しても、皮膜の接触
角を向上させる効果を十分に得ることができない。この
ため、エッチング法により、金属板材の表面に微細な窪
みを形成することが必要である。
【0018】また、金属板材の表面は、このエッチング
工程において、エッチングにより溶解を受けていない平
坦部の割合がエッチング前の平坦面の面積の10%以下
で、且つ平面視で金属板材の1cm2 当たりのミクロ的
な表面積が20cm2 以上となるようにする必要があ
る。エッチング後の平坦部の割合がエッチング前の平坦
面の面積の10%を超えると、その他の部分で表面積を
多くしても接触角の上昇効果が小さい。また、エッチン
グ後の金属部材の平面視で1cm2 当たりの表面積が2
0cm2 未満の場合は、後工程において金属板材の表面
上に形成する撥水性皮膜の見かけの接触角を向上させる
効果を十分に得ることができない。このため、エッチン
グ後の溶解を受けていない平坦部の割合がエッチング前
の平坦面の面積の10%以下であり、且つ平面視で金属
板材の1cm2 当たりのミクロ的な表面積を20cm2
以上とすることが必要である。
【0019】次いで、エッチングにより表面に微細な多
数の窪みを形成した金属板材の表面上に撥水性皮膜を1
乃至20mg/dm2 となる厚さで形成する。この場合
に、撥水性皮膜は、平坦面上に塗装等により形成した場
合、又は塗装後に焼き付け処理をした場合に、接触角が
90°以上となるものであることが必要である。平坦な
面における接触角が90°未満の皮膜の場合は、前述の
エッチング処理した金属板材の表面上に形成しても、見
かけの接触角が向上しない。このため、前記撥水性皮膜
は、平坦面上に形成した場合の接触角が90°以上であ
ることが必要である。このような撥水性皮膜は、例えば
四フッ化エチレン及び四フッ化エチレンとエチレンとの
共重合体等を含有したフッ素系の塗料等を塗布すること
により形成することができる。また、Si系の撥水塗
料、疎水基であるトメキシ基(−CH3 )をもつ化合物
を含有する塗料及びパーフルオロアルキル基{(−CF
2 −)n −CF3 }を有する撥水化剤等も使用可能であ
る。しかし、フッ素系の塗料は、高価であると共に焼き
付け温度が高いという難点がある。一方、パーフルオロ
アルキル基を有する撥水化剤は、少量の塗布でも撥水性
を得ることができると共に、高温での乾燥を必要としな
い等の利点がある。
【0020】但し、いずれの塗料を用いた場合も、撥水
性皮膜は1乃至20mg/dm2 となる厚さで形成する
ことが必要である。皮膜の厚さが1mg/dm2 未満で
は、金属板材表面の被覆が不十分になり、十分な撥水性
を得ることができない。また、皮膜の厚さが20mg/
dm2 を超えると、塗料が微細な窪みを埋めてしまい、
下地(金属板材)に微細な凹凸を形成することによる撥
水性及び着霜防止性向上効果が小さくなってしまう。こ
のため、前記撥水性皮膜は、1乃至20mg/dm2
なる厚さで形成する必要がある。
【0021】このようにして処理された部材の表面は、
水滴の接触角が150°を超え、容易に水滴が転落する
と共に、大気中の水分が凝縮しても直ちに氷結しないと
いう特長を有する。この原因は、表面の見かけの接触角
が高いことに加えて、窪みが多い表面のためフィンと凝
縮水の水滴との接触面積が少なく、凝縮水の潜熱がフィ
ン側へ逃げずに維持されるためと考えられる。
【0022】なお、本発明は、主として熱交換器用のフ
ィン材において水切れ性及び着霜防止性を同時に向上さ
せることを目的としているが、着霜防止性及び水弾き性
を必要とする熱交換器以外の用途にも適用可能である。
また、表面処理を実施する金属板材に関しても、熱交換
器用フィン材に使用されているアルミニウムに限定され
るものでなく、微小な凹凸をエッチングにより形成する
ことができると共に、その表面上に撥水性皮膜を塗布等
の方法により形成することができるものであれば、他の
材質であってもよい。更に、金属板材がアルミニウムの
場合は、一般的に使用されているアルミニウム系合金の
ものであれば効果に大きな差がなく、種々のアルミニウ
ム合金に適用することができる。但し、本発明方法にお
いては、エッチングにより金属板材の厚さが若干減少す
るため、エッチング前の板厚は、エッチングしろを考慮
して決定することが必要である。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。
【0024】先ず、縦が10cm、横が20cm、厚さ
が0.12mmのアルミニウム板材(JIS 1100H26 )
を、下記表1に示すエッチング法によりエッチングし
た。但し、処理Aは、塩化鉄を20重量%含有するエッ
チング液(温度が70℃)に浸漬することによりエッチ
ングを施したものである。また、処理Bは、塩酸を5重
量%含有するエッチング液(温度が70℃)を使用し、
10Aの電流を流して電解エッチングを施したものであ
る。次に、市販されているフッ素系撥水剤(平坦面に塗
装した場合の接触角は約120°)を種々の膜厚で塗装
した。これにより、実施例1〜6及び比較例3〜6の供
試体を得た。
【0025】また、比較例1として、上述のアルミニウ
ム板材に親水性処理を施した供試体を用意した。また、
比較例2として、上述のアルミニウム板材に、平坦面に
塗装した場合の接触角が約80°の撥水性塗料を塗布し
た供試体も用意した。なお、比較例1,2においては、
アルミニウム板材の表面にエッチング処理が施されてい
ない。
【0026】次に、実施例及び比較例の各供試体の水切
れ性を調べるために、接触角及び転落角を調べた。その
結果を下記表2に示す。なお、接触角は、図1に示すよ
うに、水滴1の接線と板材表面とのなす角度θ1 であ
る。また、転落角は、図2に示すように、水滴1が転落
し始める角度θ2 であり、この転落角が小さいほど水滴
が転落しやすいことを示す。なお、接触角及び転落角測
定時の水滴1の水量はいずれも0.03gである。
【0027】
【表1】
【0028】次に、実施例及び比較例の各供試体の着霜
性を調べた。図3は、着霜性を調べるのに用いた試験装
置を示す模式図である。この試験装置は、冷水タンク1
1、循環ポンプ12、アルミニウム製容器13及びこれ
らの間を接続する配管14により構成されている。
【0029】この試験装置を用いて、以下に示す方法に
より、着霜性を調べた。即ち、冷水タンク11内に貯留
される冷媒の温度を−10℃に維持し、循環ポンプ12
によりこの冷媒をアルミニウム製容器13及び冷水タン
ク11間に循環させた。また、アルミニウム製容器13
に実施例及び比較例の各供試体10をその処理面が外側
になるように張り付け、乾球温度が2℃、湿球温度が1
℃の雰囲気中で霜の発生状況を調査した。そして、供試
体の全面が霜で覆われるまでの時間を測定することによ
り、着霜性を評価した。その結果も、表2に併せて示
す。
【0030】
【表2】
【0031】この表2から明らかなように、実施例1乃
至6においては、いずれも接触角が150°を超え、転
落角も極めて小さく、撥水性及び転落性が優れている。
また、実施例1乃至6においては、着霜時間が85分以
上と長く、着霜防止性が優れている。
【0032】一方、比較例1は、冷媒通水後、短時間で
全面が霜に覆われてしまい、着霜防止性が満足できるも
のではなかった。また、比較例2は、水滴の転落性及び
着霜防止性のいずれも満足できるものではなかった。更
に、比較例3乃至6は、いずれも接触角が低く、着霜防
止性も、親水処理を施したもの(比較例1)に比して良
好であるものの、十分であるとはいえない。
【0033】次に、実施例1と同様にして表面処理した
成形フィンを用いて熱交換器を製造し、この熱交換器の
通風抵抗及び着霜性を調べた。
【0034】先ず、実施例1と同様の撥水性皮膜が設け
られた2列10段のコルゲート成形フィンを形成した。
この成形フィンは、幅が25.4mm、長さが254m
mであり、カラーハイト(銅管が挿入される部分の高
さ)が1.60mmである。またコルゲート(波形張り
出し)加工による張り出し高さは1.5mmである。そ
して、このフィンを用いて熱交換器を製造した(実施例
7)。この熱交換器のサイズは、縦が254mm、横が
250mmである。また、比較例7として、シリカ系の
親水処理を施した以外は実施例7と同様のフィンを用い
て熱交換器を製造した。更に、比較例8として、平坦面
における接触角が80°の撥水性塗料を用いた以外は実
施例7と同様のフィンを用いて熱交換器を製造した。
【0035】次に、これらの実施例及び比較例につい
て、JIS C9612 に準じた条件で通風抵抗の測定及び着霜
防止性を調べた。
【0036】図4は、通風抵抗及び着霜防止性の試験に
使用した風洞装置を示す模式図である。この風洞装置
は、吸気側に実施例及び比較例の熱交換器20を配置す
るようになっており、吸引ファン21を駆動することに
より風洞22内に所定の風速で空気が流れる。また、こ
の風洞装置は、熱交換器20の前後での圧力差を測定す
ることができるようになっている。更に、この風洞装置
には風速計23が設けられており、熱交換器20の後方
における風速を測定することができるようになってい
る。一方、熱交換器20には、冷水タンク24に貯留さ
れた冷媒が冷水ポンプ25により供給されるようになっ
ている。なお、冷水タンク24内の水温は一定温度に維
持されるようになっている。また、熱交換器20を通過
した水は、冷水タンク24内に戻される。
【0037】このように構成された風洞装置を使用し
て、実施例及び比較例に係る熱交換器の通風抵抗及び着
霜時間を測定した。
【0038】但し、通風抵抗は以下のようにして評価し
た。先ず、冷媒の温度を50℃として熱交換器20のフ
ィンに全く結露が発生しない状態にして、熱交換器20
の前後における圧力差ΔP1 を求めた。次に、熱交換器
20に温度が5℃の冷媒を10リットル/分の流量で通して結
露を発生させた場合の熱交換器20の前後における圧力
差ΔP2 を求めた。このときの雰囲気の乾球温度は27
℃、湿球温度は19.5℃である。そして、このΔP1
とΔP2 との比(ΔP2 /ΔP1 )を求めた。その結果
を通風抵抗比として下記表3に示す。
【0039】この通風抵抗比はフィンの水切れ性に大き
く関係する。即ち、フィンの水切れが悪いと、フィン間
に水滴が多く溜り、通風抵抗比が1を大きく超えて、熱
交換器の性能は著しく低下してしまう。
【0040】また、着霜防止性は以下に示す方法により
評価した。即ち、先ず、乾球温度が2℃、湿球温度が1
℃の雰囲気中で、熱交換器20に温度が−10℃の冷媒
を10リットル/分の流量で供給した。このとき、吸引ファ
ン21の回転数を調整して、熱交換器20の後方におけ
る風速を1.0m/秒とした。その後、吸引ファン21
の回転数を一定に維持したまま、風速が初期の30%に
まで低下するまでの時間(着霜時間)を調べた。その結
果を、表3に併せて示す。
【0041】
【表3】
【0042】この表3から明らかなように、実施例7の
熱交換器は、通風抵抗比が従来の親水性処理を施した熱
交換器(比較例7)と略同等であった。また、着霜によ
り風量が低下する時間が親水性処理に比して約2倍にな
り、着霜防止効果が高いことがわかる。一方、比較例
7,8は、いずれも着霜時間が短く、特に比較例8は通
風抵抗比が極めて大きいものであった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、表
面処理が施された金属板材の表面上に所定の撥水性皮膜
が設けられているから、撥水性が極めて良好であり、水
切れ性が優れていると共に、その表面で凝縮した水が転
落しやすく、霜の発生を抑制することができる。このた
め、本発明に係る撥水性及び着霜性が優れた部材は、冷
暖房兼用タイプのルームエアコン等の空調機の熱交換器
用フィン材に好適である。
【0044】また、本発明方法によれば、エッチングに
より金属板材の表面積を所定値以上とし、その後前記金
属板材の表面上に撥水性皮膜を形成するから、撥水性及
び着霜性が極めて優れ、熱交換器用フィン材に好適の部
材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触角を示す模式図である。
【図2】転落角を示す模式図である。
【図3】着霜性を調べるのに用いた試験装置を示す模式
図である。
【図4】通風抵抗及び着霜防止性の試験に使用した風洞
装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;水滴 10;供試体 11,24;冷水タンク 12,25;ポンプ 13;アルミニウム製容器 14;配管 20;熱交換器 21;吸引ファン 22;風洞 23;風速計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F25B 39/02 F25B 39/02 V F28F 1/32 F28F 1/32 G // C23F 1/20 C23F 1/20 C25F 3/04 C25F 3/04 A (72)発明者 向井 良和 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 神谷 憲一 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 茂木 仁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 横山 昭一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−122198(JP,A) 特開 平3−45893(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B05D 7/14 F25B 39/02 F28F 1/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その表面に粗面化処理が施された金属板
    材と、この金属板材の表面上に形成された撥水性皮膜と
    を有し、前記金属板材の平面視で1cm2 当たりの表面
    積が20cm2 以上であり、且つ前記撥水性皮膜の膜厚
    が1乃至20mg/dm2 であることを特徴とする撥水
    性及び着霜防止性が優れた部材。
  2. 【請求項2】 金属板材の表面にエッチングを施して溶
    解を受けない部分の割合を10%以下とし且つ前記金属
    板材の平面視で1cm2 当たりの表面積を20cm2
    上とする工程と、平坦面上に形成した場合に水滴の接触
    角が90°以上となる撥水性皮膜を前記金属板材の表面
    上に1乃至20mg/dm2 となる厚さで形成する工程
    と、を有することを特徴とする撥水性及び着霜防止性が
    優れた部材の製造方法。
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