JPS6013428B2 - アルミニウム製熱交換器の凝宿面における親水性付与方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、アルミニウム製熱交換器の凝縮面における
親水性付与方法に関する。

この明細書において、「アルミニウム」という用語は、
純アルミニウム、少量の不純物を含む市販のアルミニウ
ムおよびアルミニウムがその大部分を占めるアルミニウ
ム合金を含むものとする。

一般にアルミニウム製熱交換器の凝縮面、たとえば凝縮
器として用いられる熱交換器の媒体流通管の内面におい
て、凝縮を伴なう熱交換性能を高めるには、凝縮により
生じた液の層を遺して未凝縮蒸気のェネルギを奪う必要
があることから、上記凝縮液の層をできるだけ薄くする
必要がある。そのためこのような凝縮面は液との親水性
、すなわちヌレ性の良好なものであることが要望せられ
る。また他の凝縮面、すなわちカー・クーラー、ルーム
・クーラー等の空気調和機の蒸発器として用いられる熱
交換器のフィン表面においては、フィンの表面温度が大
気の露点以下となるためフィンの表面に水滴が付着し、
このような水滴の付着により通風低抗が増大し、かつ風
量が減少して熱交換効率が低下する。これは蒸発器の性
能向上と小型化のためにフィンピッチを狭くした場合に
とくに顕著に現われる。熱交換効率はフィンのヌレ性、
すなわち親水性が大きく影響するものであり、フィン表
面のヌレ性が良いと付着した水が水滴となりにくく、こ
のため通風抵抗が小さくなり、風量も多くなって熱交換
効率も向上する。このような観点から、従来より機械的
ないし化学的に凝縮面を粗面化したり、種々の形状に加
工したり、さらには競結合金層を形成したりする工夫が
なされてきた。しかし、これはいずれも熱交換性能、品
質の安定性および製造コストの点に難点があり、さらに
腐食の点でも問題があるため、未だ工業的に実用化され
るに至っていない。この発明は、アルミニウム製熱交換
器の凝縮面に優れた親水性を簡単に付与することのでき
る方法を提供することを目的とする。

この発明による方法は、アルミニウム材を陽極酸化処理
し、ついでタソニン酸ないしその塩を含む処理液を用い
て化成処理することを特徴とする、アルミニウム製熱交
換器の凝縮面における親水性付与方法である。

上記２段階の処理によって凝縮面に形成された皮膜が伝
熱面を構成する。

第１段階の陽極酸化処理は、硫酸、シュウ酸、リン酸等
を所要量含む処理液において、交流、直流または交直重
畳流によりなされる。

陽極酸化処理後、好ましくは、加圧蒸気または沸騰水に
よって封孔処理を施こす。第２段階の化成処理において
、タンニン酸ないしその塩は形成された伝熱面の耐食性
を増し、皮膜の安定性を向上する作用をなす。

タンニン酸ないしその塩の濃度は０．００１〜１．０モ
ル／その範囲にある。

その理由は濃度が０．００１モル／そ禾満では上記効果
が十分に発揮されず、１．０モル／とを越えるとやはり
沈澱物が生じるからである。処理液の温度は４０００以
上が好ましい。温度が４０ｑ０未満では皮膜形成が十分
になされない。またこの場合、処理液のｐＨ‘ま６〜１
３が好ましい。６未満または１３以上では、皮膜の形成
よりもアルミニウムの溶解のほうがより進行してしまい
、皮膜が生成しにくくなる。

化学処理液の調製に用いられる建裕水は、脱イオン水、
蒸留水のほか水道水、地下水のように種々のイオンを含
有する水であってもよい。

化成処理時間は、処理液の濃度とも関連するが、通常１
〜６０分である。これ以上長くても皮膜形成効果は特に
向上しない。蒸発伝熱面を形成するには、高濃度の処理
液を用いて、比較的長時間処理を行う。他方凝縮伝熱面
を形成するには、低濃度の処理液を用いて、比較的短時
間処理を行つ。なお、この発明による伝熱面の形成方向
は、エッチング、プラストなどの化学的ないし機械的処
理によるアルミニウム表面の相面化や、ローレット加工
、切削加工などの溝形成加工の後に行うと、一層効果的
である。

以上の次第で、この発明によ机ま、凝縮器として用いら
れるアルミニウム製熱交換器の凝縮面にち密でかつ液体
とのヌレ性の良好な酸化物ないし水和酸化物層を形成す
ることができるため、優れた熱交換性能を有する熱交換
器とすることができる。

また、蒸発器のフィンの表面のヌレ性、すなわち親水性
を改良してフィン間の水滴をスム−ズに排除することが
できる。そのため、水滴がフィン間に架橋状に溜まって
空気流通抵抗を増したり、流入空気によってフィンが振
動して騒音を生じるといったトラブルを避けることがで
きて熱交換効率が向上する上に、フィンピッチを狭める
ことができて、熱交換器のコンパクト化を果すことがで
きる。また、この発明は２工程からなっているために、
処理液の濃度その他の条件の選択が容易となり、最適条
件で処理をなし得る。しかも、処理液の安定性に優れ、
処理液における沈澱も少なくなり、処理液の寿命が長く
なる。さらに、第２工程においてタンニン酸ないしその
塩を含む処理液で処理する前に、第１工程において陽極
酸化処理で凝縮面を処理するので、処理された凝縮面は
親水性が優れているだけではなく、耐食性も優れている
。さらにこの発明によれば、従釆処理の困難であった管
内面に対しても容易に処理を施すことができ、したがっ
て管の内外面を同時に処理することができて極めて作業
性が良い。実施例 １〜７ アルミニウム材としてＪＩＳＡＩｌＯＯ一日２４製のも
の（大きさ１肋×５仇岬×１０比舷）を用い、以下の条
件で第１段階の陽極酸化処理と第２段階の化成処理を行
った。

こうして形成した親水面について、経過日数と接触角の
関係を求めた。

結果を図面に示す。また比較のために、上記アルミニウ
ム材と同じ材料を３０ｑＣにて２分間クロメート処理し
たもの（比較例１）、同アルミニウム材を５％ＮａＯＨ
溶液で５０℃にて３分間処理し、３０％ＨＮ０３で脱脂
したもの（比較例２）、同アルミニウム材を陽極酸化処
理し蒸気処理したもの（比較例３）についても上記関係
を求めた。これら結果を同図に示す。図からわかるよう
に、実施例により形成した親水面は、比較例により形成
したものに比べて接触角が４・さく、したがって優れた
ヌレ性を有する。しかもこのヌレ性は長期にわたって劣
化することがない。また、ＪＩＳＡＩｌＯＯ一日２４材
の表面を上記実施例５における第２工程の条件と同じ条
件で処理したところ、得られた親水面におけるヌレ性は
上記実施例５とほとんど変わるところがなかったが、皮
膜の安定性に問題があった。

【図面の簡単な説明】

図面は経過日数と接触角の関係を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アルミニウム材を陽極酸化処理し、ついでタンニン
   酸ないしその塩を含む処理液を用いて化成処理すること
   を特徴とする、アルミニウム製熱交換器の凝縮面におけ
   る親水性付与方法。