JPH0719776A - 熱交換器用アルミニウム含有金属複合材料 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム含有金属複合材料

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JPH0719776A
JPH0719776A JP16140393A JP16140393A JPH0719776A JP H0719776 A JPH0719776 A JP H0719776A JP 16140393 A JP16140393 A JP 16140393A JP 16140393 A JP16140393 A JP 16140393A JP H0719776 A JPH0719776 A JP H0719776A
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monomer
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JP16140393A
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Ryosuke Sako
良輔 迫
Kazunari Hamamura
一成 浜村
Osamu Furuyama
治 古山
Takao Kawamoto
隆雄 河本
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Mitsubishi Electric Corp
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Mitsubishi Electric Corp
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 親水性にすぐれ、さらに着霜防止効果にすぐ
れた熱交換器用Al含有金属複合材料を提供する。 【構成】 Al含有金属材料上に、アクリルアミド系モ
ノマー(I)の単独、又は共重合体からなるポリマー成
分(A)、分子中にカルボン酸基、スルホン酸基、ホス
ホン酸基、第一〜三級アミノ基、又は第四級アンモニウ
ム基を有するモノマー又はその塩(II)の単独又は共重
合体からなるポリマー成分(B)、架橋剤成分(C)、
およびLi化合物,Mg化合物,又はBa化合物からな
る金属化合物成分(D)を含む水性処理液を塗布、架橋
反応させて、着霜防止性樹脂被膜層を形成した熱交換器
用複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家庭用、および業務用
ルームエアコン(以下エアコンと総称する)などに用い
られる熱交換器用アルミニウム含有金属複合材料に関す
るものである。さらに詳しく述べるならば、アルミニウ
ム材料又は、アルミニウム合金材料(以下、これらをア
ルミニウム含有金属材料と総称する)の表面に適用し、
この表面に優れた親水性を付与して水滴の生成を防止
し、且つ、付着する霜の成長を抑制し得る熱交換器用ア
ルミニウム含有金属複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エアコンにおいて、経済性、クリーン暖
房、省スペース等の利点から空気熱源ヒートポンプ方式
(以下、ヒートポンプと記す)が広く普及されている。
ヒートポンプに用いられる熱交換器の放熱および冷却部
は、アルミニウム含有金属フィン材で構成されている
が、その熱交換効率の向上のために単位体積当りの表面
積をできる限り大きくする設計がなされ、このためにフ
ィン間隔がきわめて狭いものになっている。このような
熱交換器の、冷房運転時において、室内器の伝熱面を構
成しているフィンの表面には、大気中の水分が凝縮付着
する。このときフィン表面の疎水性が高いほど凝縮水は
水滴になり易く、この水滴がフィン間隙で目詰まりを発
生させる。すると風路抵抗が増加し、熱効率が低下す
る。
【0003】一方、暖房運転時、外気温が低下すると、
室外器のフィン表面に着霜し、暖房能力を低下させる。
このため、除霜を行うことが必要となり、一般に逆サイ
クル除霜が行われている。しかし、この除霜操作間は、
暖房運転を一時停止しなくてはならず、室内において不
快感を与える結果となる。またフィン表面が疎水性であ
ると除霜運転により融解した水分は水滴を形成してフィ
ン間に残存し易く、暖房運転を再開した時残存した水分
が再氷結し暖房能力を低下させる。また、氷結した残存
水分上に新たな着霜が生ずるため、除霜運転の頻度が多
くなり、暖房効率が著しく低下する。従ってエアコンの
運転効率を向上させるためには、フィン表面の親水性を
大きくし、冷房運転時のフィン表面の水滴生成を防止す
ること、および暖房運転時にフィン表面に生成する霜の
高さをできる限り低く抑えること、および霜の生成に要
する時間をできるだけ長くすること等が必要となる。
【0004】エアコンの熱交換器において、フィン間の
風路抵抗を小さくし、熱交換効率を向上させる手段とし
て、伝熱面を構成するフィンの表面を親水化することが
知られており、このために、水ガラス、シリカゾル等、
の親水性無機化合物、並びに界面活性剤や水溶性樹脂等
の有機化合物を、単独に、またはそれらの2種以上を組
み合わせて使用する種々の方法が提案されている。
【0005】これらの方法のうち、ポリアクリルアミド
を使用する方法としては次のようなものがある。すなわ
ち特開昭62−186199号には、「アルミニウム製
フィンの表面にポリ(メタ)アクリルアミド系または架
橋されたポリ(メタ)アクリルアミド系の親水性有機被
膜を形成してなることを特徴とするアルミニウム製フィ
ン材」が開示されている。また特開昭62−27384
3号には、「アルミニウム製フィン材の表面に親水性ポ
リマーとカルボニル基を有する低分子有機化合物よりな
る架橋剤とを含む水溶液を塗布する工程と加熱する工程
からなる熱交換器用フィンの製造方法」が開示されてお
り、親水性ポリマーとしてポリアクリルアミドをあげて
いる。
【0006】特開昭62−297143号には、「アル
ミニウム表面に重合度が50以上の特定された水溶性有
機高分子と硅酸塩化合物との混合物を塗布後乾燥して被
膜層を形成し、次いで酸で洗浄することを特徴とする熱
交換器用アルミニウムフィン材」が開示されており、特
定された水溶性有機高分子の一つとしてポリアクリルア
ミドをあげている。
【0007】前記特開昭62−186199号におい
て、架橋されていないポリ(メタ)アクリルアミド系の
ポリマーを用いて有機被膜を形成させた時、(メタ)ア
クリルアミドのホモポリマーの様に水溶性が高い場合
は、これがフィン上に凝縮した水に容易に溶解するため
耐久性が低い。また溶解を防止するため、該公報第1表
の試験片No 4の実施例に示されるジエチルヘキシルア
クリレートの様な疎水性モノマーを共重合させ、これを
水分散液として使用した場合は、肝心の親水性は低下
し、むしろ撥水性となり易い。また、この公開公報の特
許請求の範囲第2項に記載されている様に、メチロール
基等の架橋性官能基を有するモノマーを共重合させたポ
リ(メタ)アクリルアミド系を用いたとき、架橋剤の具
体例が記載されていないため明言はできないが、このポ
リマー自身中に架橋性官能基が含有されているため、重
合中、又は保管中に架橋ゲル化し易いという欠点があ
る。前記特開昭62−297143号の方法において
は、硅酸塩化合物により高い親水性が発揮されるが、し
かし、硅酸塩化合物は硬度が高いため、アルミニウム含
有金属材のしごき加工、孔あけ加工等の際、使用する金
型を摩耗し易いという欠点がある。
【0008】また、上記特開昭等に記載の方法の目的
は、何れもアルミニウム含有金属製フィンの表面に親水
性を付与し、フィン間に、水滴によるブリッジの形成を
抑制し、それによって通風抵抗の増大を緩和させること
にあり、従って、これらの技術では着霜抑制効果は全く
望めない。
【0009】本発明者らは、アルミニウム材の親水性処
理方法に関し種々検討を行い、アクリルアミド系重合体
を主成分として使用する親水性処理方法を開発した。す
なわち、特開昭63−171683号、及び特開昭63
−171684号には、構造を特定したアクリルアミド
系水溶性ポリマーと、これを架橋して非水溶化させ得る
水溶性架橋剤の混合水溶液を、アルミニウム含有金属材
料表面に塗布し、乾燥架橋して親水性塗膜を形成し、必
要によりさらにこの上に水ガラス等の無機親水性塗膜を
形成させる方法が開示されている。また特開平1−27
0977号には、構造を特定したアクリルアミド系水溶
性ポリマーと、これを架橋して非水溶化させ得る水溶性
架橋剤と、及び構造を特定した高親水性の水溶性高分子
との混合水溶液をアルミニウム含有金属材料の表面に塗
布し、乾燥架橋することを特徴とする親水性処理方法が
開示されている。これらの方法により、優れた親水性を
有する塗膜を得ることが可能となった。しかしながら、
これらの技術は着霜抑制については不十分なものであっ
た。
【0010】着霜抑制については、特開昭63−199
274号に、「イオン交換基の30%以上がリチウムに
よりイオン交換されたカチオン交換樹脂と特定の樹脂エ
マルジョン、及びアニオンもしくはノニオン型界面活性
剤を特定された配合量を含む水性塗料組成物、または該
組成物で被覆された熱交換器」が開示されており、特開
昭63−280775号には、「構造が特定されたN−
アルキレン置換アクリルアミドの(共)重合体のエマル
ジョンと熱伝導性金属粉が特定された配合量からなる塗
料組成物、または該組成物で被覆された熱交換器」が開
示されており、また、特開昭63−280776号に
は、「構造が特定されたN−アルキレン置換アクリルア
ミドの(共)重合体のエマルジョンと糖類、及びアルカ
リ金属塩が特定された配合量を含有する塗料組成物、ま
たは該組成物で被覆された熱交換器」が提案されてい
る。これらの先行技術に用いられる被膜形成性樹脂は、
何れも水に分散されたエマルジョン系樹脂であるため、
得られる樹脂皮膜に高い親水性は望めない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期に渡っ
て優れた親水性を有する親水性有機皮膜に、特定した金
属化合物を均一に固定化させることにより、より高い、
安定な親水性を維持し、且つ、長期に渡って優れた着霜
障害抑制効果を持続させる機能を有する熱交換器用アル
ミニウム含有金属複合材料を提供することを目的とする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の達成のために下記手段がきわめて有効であることを見
いだした。すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニ
ウム含有金属複合材料は、アルミニウム含有金属材料
と、その少なくとも1面上に形成された着霜防止性樹脂
皮膜層とを有し、前記着霜防止性樹脂被膜層が、下記成
分: (1)下記一般式(I):
【化2】 〔但し、式(I)中、R1 は、水素原子又はメチル基を
表わし、R2 およびR3は、それぞれ互いに独立に、水
素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、ベン
ジル基、又はヒドロキシアルキル基を表わす〕により表
わされるモノマー(I)の少なくとも1種の重合体、お
よび、40重量%以上の前記モノマー(I)の少なくと
も1種と、60重量%以下の、前記モノマー(I)と共
重合可能なコモノマーの少なくとも1種との共重合体か
ら選ばれた少なくとも1種からなる水溶性ポリマー成分
(A)と、(2)分子中に、カルボン酸基、スルホン酸
基、ホスホン酸基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、
第三級アミノ基、および第四級アンモニウム基から選ば
れた少なくとも1員を有するモノマーおよびその水溶性
塩(II)の少なくとも1種の重合体、および、前記モノ
マーおよびその水溶性塩(II)の少なくとも1種と、そ
れと共重合可能な非イオン性コモノマーの少なくとも1
種との共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる水
溶性ポリマー成分(B)と、(3)前記水溶性ポリマー
成分(A)および(B)と混合可能な少なくとも1種の
水溶性架橋性化合物からなる水溶性架橋剤成分(C)
と、および(4)リチウム化合物、マグネシウム化合
物、およびバリウム化合物から選ばれた少なくとも1種
からなる金属化合物成分(D)、を含む水性処理液の塗
布、乾燥、および架橋反応により形成されたものであ
る、ことを特徴とするものである。
【0013】本発明において、前記着霜防止性樹脂皮膜
層用水性処理液において、前記成分の固形分重量組成割
合が、成分(A)100重量部に対し、成分(B)1〜
400重量部、成分(C)1〜400重量部、および成
分(D)1〜200重量部であることが好ましい。
【0014】また、本発明の前記成分(A)において、
モノマー(I)と共重合可能なコモノマーが、分子中
に、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、第一
級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級
アンモニウム基、ヒドロキシル基、エステル基、および
フェニル基から選ばれた少なくとも1員を有するモノマ
ー、又はその水溶性塩から選ばれることが好ましい。
【0015】また、本発明の前記成分(B)において、
前記モノマーおよびその水溶性塩(II)が、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルス
ルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメ
タクリレート、N−メチレンスルホン酸アクリルアミ
ド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スチレンスルホン酸、ジメチルジアリルアンモニウ
ム、クロロメチルスチレンと第三級アミンとの反応によ
り得られた第四級アンモニウム化合物、およびその水溶
性塩から選ばれることが好ましい。
【0016】さらに、本発明の前記成分(C)におい
て、前記水溶性架橋性化合物が、水溶性クロム化合物、
および水溶性ジルコニウム化合物から選ばれることが好
ましい。
【0017】
【作用】発明者らの出願に係る特開平1−270977
号に開示されているアルミニウムの親水化処理方法は、
上記の成分(A),(B),(C)を含む水溶液を用い
たもので、これにより優れた親水性を得ることができた
が、本発明においては、上記(D)成分を新たに用いる
ことで着霜抑制効果がプラスされ、さらに親水性、特に
その持続性が格段に向上することが見いだされた。
【0018】以下、具体的に本発明を説明する。本発明
に用いられる水溶性ポリマー成分(A)に含まれる重合
体は、モノマー(I)の重合体、すなわちアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、
N,N−ジアルキルアクリルアミド、又はN−メチロー
ルアクリルアミド等の単独重合体、これらの2種以上の
共重合体等、または、前記重合体、および共重合体等の
ホフマン反応生成物、マンニッヒ反応生成物、並びにそ
れら反応物をさらにアルキル化した第4アンモニウム化
ポリマー、モノマー(I)と、それと重合可能なアニオ
ン性不飽和モノマー、カチオン性不飽和モノマー、非イ
オン性不飽和モノマーから選ばれる1種、または2種以
上のコモノマーとの共重合体などから選ばれる。
【0019】モノマー(I)と共重合するアニオン性不
飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスル
ホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタ
アクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミ
ド2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸等
の分子中にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸
基等のアニオン性基を有するモノマーまたはそれらの塩
などが使用可能である。
【0020】またカチオン性不飽和モノマーとしては、
エチレンイミン、アミノアルキル(メタ)アクリレー
ト、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アル
キルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−ヒドロ
キシアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N
−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジアリルアミン、N,N−ジアルキ
ル、N,N−ジアリルアンモニウム塩等分子中に第1ア
ミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウ
ム基等のカチオン性基を有するモノマーなどが使用可能
である。
【0021】また非イオン性不飽和モノマーとしては、
2−ヒドロキシアルキルアクリレート等のアクリルエス
テル、2−ヒドロキシメタクリレート等のメタクリルエ
ステル、アリルアルコール、酢酸ビニル、アクロイルモ
ルホリン、アクリロニトリル、スチレン等が使用可能で
ある。
【0022】モノマー(I)と、上記コモノマー等との
共重合体の組成において、モノマー(I)の含有率は、
水溶性架橋剤(C)との反応性、および形成された皮膜
の親水性の点から、40モル%以上であることが必要で
ある。従って、モノマー(I)と共重合されるコモノマ
ーの含有率は、用いられたモノマー総量に対し60モル
%以下となる。水溶性ポリマー(A)に含まれる重合
体、(又は共重合体)の平均分子量には特に限定はない
が、一般に5000以上100万未満であることが特に
好ましい。
【0023】本発明に用いられる水溶性ポリマー(B)
は、分子中にカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸
基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ
基、及び第四級アンモニウム基からなる群から選ばれた
1員以上を有するモノマー(#)またはそれらモノマー
の塩(II)の水溶性重合体、および共重合体から選ばれ
た1種以上を含むものである。成分(B)に用いられる
モノマーおよびその塩(II)は、前記成分(A)におい
て、共重合用コモノマーとして用いられるアニオン性お
よびカチオン性モノマーと同一であって、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニル
スルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチル
メタクリレート、N−メチレンスルホン酸アクリルアミ
ド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スチレンスルホン酸、ジメチルジアリルアンモニウ
ムおよびクロロメチルスチレンと第三級アミンとの反応
により得られる第四級アンモニウム化合物等、および、
それらの水溶性塩から選ばれる。これらモノマーは、そ
の重合体、又は共重合体として使用される。共重合体の
場合には非イオン性コモノマーが用いられるが、本発明
の目的を達成するために、この非イオン性モノマー、例
えばスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニ
ル等の共重合量は40モル%以下に止めることが好まし
く、より好ましくは20モル%以下である。また、酸ハ
ライド、例えば(メタ)アクリル酸クロライドの重合体
のように、後に加水分解してポリ(メタ)アクリル酸を
与えるようなモノマーの使用も可能である。成分(B)
に含まれる重合体(又は共重合体)の平均分子量には特
に制限はないが、一般に3000以上100万未満であ
ることが好ましい。
【0024】本発明に用いられる水性処理液用溶媒は水
を主体とするが、乾燥速度の調整や塗膜状態の改善のた
めにアルコール、ケトン、セロソルブ等の水溶性有機溶
剤の併用が妨げるものではない。成分(B)の使用量
は、成分(A)100重量部(固形分)に対し1〜40
0重量部(固形分)であることが好ましく、より好まし
くは5〜300重量部である。
【0025】水溶性架橋剤成分(C)を構成する水溶性
架橋性化合物は、無機系架橋性化合物(C1)と、有機
系架橋性化合物は(C2)とに分け得る。無機系架橋性
化合物(C1)としては、水溶性ポリマー、特に成分
(A)の重合体、又は共重合体と錯化合物を形成し得る
金属化合物を用いることが好ましい。このような錯化合
物を形成し得る金属化合物としては、表1に示された金
属中の4配位数以上の金属の化合物があげられ、特にC
r ,Ti ,Zr ,およびAl の化合物のうち、特に水溶
性の高い化合物、すなわちクロム酸、重クロム酸、及び
それらの塩、重リン酸クロム、フッ化クロム、硝酸クロ
ム、酢酸クロム、ジイソプロポキシチタニウムビスセチ
ルアセトン、乳酸とチタニウムアルコキシドとの反応
物、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニル
アンモニウム、ジルコニウムフッ化水素酸及びその塩、
硫酸アルミニウム等が有効である。
【0026】
【表1】
【0027】水溶性有機系架橋性化合物(C2)として
は、水溶性のブロック化ポリイソシアネート化合物、水
溶性のポリメチロール化合物、水溶性ポリグリシジル化
合物、及び/又は水溶性ポリアジリジル化合物を用いる
ことができる。その具体例としては、亜硫酸水素ナトリ
ウム(NaHSO3)によりブロック化されたポリイソシアネ
ート化合物(例:第一工業製薬社製、エラストロン(商
標))、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロ
ール化ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイドの
ジグリシジルエーテル、およびジアジリジル化ポリエチ
レンオキサイド等の有機架橋性化合物を使用することが
できる。
【0028】水溶性架橋剤成分(C)中には、無機架橋
剤(C1)と有機架橋剤(C2)とが併用されていても
よい。その例としては、水溶性のCr ,Ti ,Al , 又
はZn 化合物と、水溶性のブロック化イソシアネート、
ポリメチロール、ポリグリシジル、又はポリアジリジル
化合物との併用が可能である。
【0029】水溶性架橋剤成分(C)の使用量は、架橋
剤の種類により異なるが、一般に使用する水溶性ポリマ
ー成分(A)100重量部(固形分)に対して1〜40
0重量部(固形分)、より好ましくは5〜200重量部
程度が使用される。
【0030】本発明に用いられる金属化合物成分(D)
は、リチウム化合物、マグネシウム化合物、バリウム化
合物の群から選ばれる1種以上の金属化合物からなるも
のである。リチウム化合物としては、LiF ,LiCl,LiB
r,LiI ,LiNO3 ,Li2CO3,Li 3PO4,LiMnO4,Li2Cr
2O7,Li4SiO4 ,Li2SiO3 ,LiBO2 ,Li3VO4,Li2WO4,H
COOLi,Li2O2O4 ,CH3COOLi,C2H5COOLi ,LiOOCCH2COO
Li ,クエン酸リチウム、酒石酸リチウム、トリメリッ
ト酸リチウム、およびピロメリット酸リチウムが用いら
れる。
【0031】またマグネシウム化合物としては、MgF2l
,MgCl2 ,MgBr2 ,MgI2,Mg(NO3)2,MgCO3 ,Mg3(P
O4)2 ,Mg(MnO4)2 ,MgCr2O7 ,Mg2SiO4 ,MgSiO3,Mg
(BO2)2,Mg3(VO4)2 ,MgWO4 ,(HCOO)2Mg ,MgC2O4,(C
H3COO)2Mg ,(C2H5COO)2Mg,シュウ酸マグネシウム、ク
エン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、トリメリッ
ト酸マグネシウム、およびピロメリット酸マグネシウム
を用いることができる。
【0032】またバリウム化合物としては、BaF2,BaCl
2 ,BaBr2 ,Bal2,Ba(NO3)2,BaCO 3 ,Ba3(PO4)2 ,Ba
(MnO4)2 ,BaCr2O7 ,Ba2SiO4 ,BaSiO3,Ba(BO2)2,Ba
3(VO 4)2 ,BaWO4 ,(HCOO)2Ba ,BaC2O4,(CH3COO)2Ba
,(C2H5COO)2Ba,シュウ酸バリウム、クエン酸バリウ
ム、酒石酸バリウム、トリメリット酸バリウム、および
ピロメリット酸バリウム、等が例示される。これらは、
単独で、または2種以上を組合せて使用することが可能
である。
【0033】金属化合物成分(D)の使用量は、水溶性
ポリマー成分(A)100重量部(固形分)に対し1〜
200重量部(固形分)であることが好ましく、より好
ましくは10〜100重量部である。金属化合物成分
(D)の使用量が1重量部未満では、十分な着霜抑制効
果、および親水性向上効果が得られず、また、それが2
00重量部より多量に用いられると、皮膜の造膜性を阻
害するため好ましくない。
【0034】被膜形成用水性処理液の安定性は、その組
成によって異なるが、両イオン性ポリマーの等電点近傍
のpHにおいては、ポリマーの析出分離が起こるため回避
する必要がある。また、一般的に言えばカチオン性ポリ
マーを用いる場合は、処理液のpHを中性〜酸性側に保持
し、アニオン性ポリマーを使用する場合は、そのpHを中
性〜アルカリ性側に保つことが好ましい。
【0035】また、本発明において水性処理液中に金属
化合物成分(D)が用いられているので、架橋性化合物
として、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム等特殊
な化合物が用いられている場合を除き、一般的に水性処
理液のpHは酸性側にあることが好ましく、また有機架橋
性化合物が用いられる場合、イソシアネート系化合物が
用いられるときは酸性側にあり、グリシジル系化合物が
用いられるときは酸性〜中性にあり、メチロール又は、
アジリジル系化合物が用いられるときはアルカル性側に
保つのが安定性の点からは好ましい。
【0036】本発明の水性処理液には、上記の他に、防
錆剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリン
グ剤、防菌防ばい剤等を、本願の趣旨や皮膜性能を損な
わない範囲で添加されていてもよい。
【0037】被膜層形成のために、水性処理液の塗布方
法としては、浸漬、噴霧、刷毛、ロール、フローコート
法等が使用される。水性処理液の濃度や粘土について
は、使用される塗装方法、および所望膜厚等により適当
なものが選ばれる。被覆層の厚さとしては、0.02μ
m 〜10μm であることが好ましく、より好ましくは
0.1μm 〜2μm である。被膜層の厚さが0.02μ
m 未満では十分な下地機能を発揮できないことがあり、
またそれが、10μm を越えると熱交換性能が低下する
ことがあるので好ましくない。
【0038】被膜層の形成に際し、アルミニウム含有金
属材料の表面に予め脱脂処理を施し、水性処理液を直接
塗布してもよいし、またはこれにベーマイト処理、クロ
メート処理などの化成処理を予め施してから塗布しても
良い。
【0039】塗布された処理液層の乾燥は、一般に90
〜350℃で行われることが好ましく、より好ましくは
100〜300℃にて行われる。乾燥時間は、用いられ
る乾燥器の容量、熱量、風量等によって異なるため特定
はできないが、処理液中の溶媒が塗布された材料から完
全に蒸発除去され、塗布される材料の温度が前記した温
度に到達するのに要する時間が最低限必要である。
【0040】本発明の樹脂被膜層は、長期に渡って優れ
た親水性、および着霜障害抑制効果を持続する機能を、
熱交換器のアルミニウム含有金属材料製伝熱部に与える
ものである。この被膜層において、成分(A)中のアク
リルアミド系ポリマーは、架橋剤成分(C)と反応し、
不溶性の架橋した網状構造を形成し、また、ポリマー
(A)の有するアミド基が被膜層にすぐれた親水性を付
与する。また、本発明で用いる水溶性ポリマー成分
(B)は、さらに被膜層の親水性、特に親水持続性を向
上させる作用を有する。親水持続性の機構は必ずしも明
らかでないが、成分(A)中のアクリルアミド系ポリマ
ーと架橋剤成分(C)との反応により高度に架橋した網
状構造樹脂が形成され、かつ水溶性ポリマー成分(B)
中のポリマーがIPN(Inter Penetrating Network)構
造をとり、この強親水性のポリマー(B)が常に被膜層
表面に移行し、或いは場合によってはその一部が溶解す
ることによって、皮膜表面に付着する異物と共に流去
し、親水性、特に親水持続性を向上する効果を発揮して
いるものと思われる。
【0041】また、さらに成分(D)中のLi,Mg,
又はBa化合物については、これらの金属イオンの水和
エネルギーが大きいことが、被膜層の親水性、親水持続
性を向上させているものと考えられる。これらLi,M
g,およびBa化合物(D)は、ポリマー成分(A)の
有するアミド基に強く配向するため、結露水等により容
易に系外に流出することはなく、長期にわたって被膜層
の親水性を持続する作用を有するものと考えられる。
【0042】Li,Mg,Ba化合物の着霜障害を抑制
する効果については次のように考えられる。まず着霜の
発生過程から説明する。伝熱面温度が0℃より低い状態
で熱交換器が作動する場合、空気中の水分が凝縮して伝
熱表面に過冷却水滴が生じ、しばらく過冷却したまま水
滴がある大きさまで生長する。水滴が生長すると隣あっ
た水滴が合体することが頻繁に行われ、そのことが刺激
となって水滴が凍結し、氷の結晶核となる。その他に
も、空気中からなんらかの刺激があるなど、種々の原因
によって水滴から氷の結晶核が形成される。氷の結晶核
が形成された後は、結晶核の表面から徐々に樹枝上の結
晶が発生し、霜層が形成されていく。上記のような過冷
却から始まる着霜の他に、昇華によって伝熱面に直接氷
の結晶核が発生する場合もあるが、空調機や冷凍機の作
動においては、昇華による着霜は少ないと考えられる。
上記が着霜の発生過程であるが、着霜量が増加してくる
と熱交換器の圧力損失が増大してフィン間を通る風量が
減少し、所定の熱交換量を得ることが困難になる。この
ような着霜による障害を制御するためには、まず、着霜
高さをできるだけ低くすること、すなわち着霜密度を大
きくすることが必要である。霜層は上記のように過冷却
水滴の凍結から生じるものであるから、着霜密度を大き
くするには結晶核の数、すなわちそれを形成する過冷却
水滴の数を増やせばよいと考えられる。そこで、過冷却
水滴を増やすために、伝熱面の皮膜において水分子を吸
着されるサイトの数を増加することが必要になる。この
目的のために、本発明では、樹脂被膜層中に上記吸着サ
イトを均一に分布させるために、Li,Mg,又はBa
の化合物を加えている。空気中の水分が凝縮する際、イ
オンの水和エネルギーが大きいLi,Mg,Ba化合物
は、凝縮水を強く吸着する。その結果Li,Mg,又は
Ba化合物分子が水分子の吸着サイトとなるため、樹脂
被膜層上に形成される結晶核の数が増大し、着霜高さを
低く制御することができる。以上に述べた本発明の作用
効果は、本発明において特定した成分(A),(B),
(C)および(D)が組み合わされていることによって
初めて発現されるものである。
【0043】
【実施例】次に実施例により本発明を説明する。比較例1 厚さ1mmのアルミニウム板(A1100材)に、日本パ
ーカライジング社製、弱アルカリ性脱脂剤(ファインク
リーナー315(商標)、30g/リットル,60℃,
60sec.)を用いて脱脂洗浄後、水洗、次いで80℃で
60sec.水切り乾燥を施した。次に、アクリルアミド
(AAM)と2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸ナトリウム(AMPS)とのAAM:AMP
S=60:40(モル比)の共重合体(平均分子量約
7.5万)を固形分で100重量部、スルホエチルメタ
クリレート20モル%含有のアクリル酸共重合体(日本
触媒製、アクアリックMS−20(商標)、平均分子量
約8万)を固形分で100重量部、およびフッ化クロム
3水塩20重量部の割合で混合して水性処理液を調製し
た。この処理液を、前記アルミニウム板の両面上に、乾
燥皮膜厚約1μm になるようにバーコートし、260℃
で約30秒間加熱乾燥して、樹脂被膜層を形成した。
【0044】実施例1 比較例1と同様の水性処理液に、さらにフッ化リチウム
50重量部を添加したことを除き、比較例1と同様に処
理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成し
た。
【0045】実施例2 比較例1と同様の水性処理液に、さらに硫酸バリウム7
0重量部を添加したことを除き、比較例1と同様に処理
して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成し
た。
【0046】実施例3 比較例1と同様の水性処理液に、さらに炭酸マグネシウ
ム60重量部を添加したことを除き、比較例1と同様に
処理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成
した。
【0047】比較例2 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、アクリルアミド(AAM)と2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム
(AMPS)とのAAM:AMPS=60:40(モル
比)の共重合体(平均分子量約7.5万)100重量
部、フッ化クロム3水塩20重量部、炭酸マグネシウム
30重量部の割合で含有して成る混合水系処理液を、乾
燥皮膜厚さが約1μm になるようにバーコートし、これ
を260℃で約30秒間加熱乾燥して、樹脂被膜層を形
成した。
【0048】比較例3 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、リン酸クロメート処理(日本パーカライ
ジング社製、アルクロム702(商標)、クロム付着量
約20mg/m2)を施し、次に、アクリルアミドとビニル
スルホン酸ナトリウム(VSA)とのAAM:VSA=
70:30(モル比)の共重合体(平均分子量約2.5
万)を固形分で100重量部、ポリアクリル酸ナトリウ
ム(平均分子量約14万)を固形分で50重量部、炭酸
ジルコニウムアンモニウムを30重量部の割合で含有し
て成る混合水系処理液を、乾燥皮膜厚さが約2μm にな
るようにバーコートし、230℃で約30秒間加熱乾燥
して、樹脂被膜層を形成した。
【0049】実施例4 比較例3と同様の水性処理液に、さらにクエン酸バリウ
ム30重量部を添加したことを除き、比較例3と同様に
処理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成
した。
【0050】実施例5 比較例3と同様の水性処理液に、さらにリチウムシリケ
ート15重量部を添加したことを除き、比較例3と同様
に処理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形
成した。
【0051】比較例4 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、熱硬化型ウレタン樹脂系プライマー(日
本パーカライジング社製、パルトップ3975(商
標))を、乾燥膜の厚さが約1μm になるようにバーコ
ートし、160℃で約30秒間加熱乾燥した後、さらに
アクリルアミドホモポリマー(平均分子量約70万)を
固形分で100重量部、アクリル酸(AA)とヒドロキ
シエチルアクリレート(HEA)と、及びアッシドホス
ホオキシエチルメタアクリレート(ユニケミカル社製、
ホスマーM(商標))とのAA:HEA:ポスマー=5
0:30:20(モル比)の共重合体(平均分子量約6
万)を固形分で200重量部、ブロック型水溶性イソシ
アネートプレポリマー(第一工業製薬社製、エラストロ
ンH−38(商標))を固形分で50重量部の割合で含
有して成る混合水系処理液を、乾燥皮膜の厚さが約1μ
m になるようにバーコートし、200℃で約30秒間加
熱乾燥して、樹脂被膜層を形成した。
【0052】実施例6 比較例4と同様の水性処理液に、さらに炭酸リチウム5
0重量部、およびフッ化マグネシウム30重量部を添加
したことを除き、比較例4と同様に処理して、アルミニ
ウム板の両面上に樹脂被膜層を形成した。
【0053】比較例5 比較例4と同様の水性処理液に、さらに硫酸アルミニウ
ム100重量部を添加したことを除き、比較例4と同様
に処理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形
成した。
【0054】比較例6 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、クロム酸クロメート処理(日本パーカラ
イジング社製、アルクロム712(商標)、クロム付着
量約80mg/m2)を施し、さらにアクリルアミドとアク
リル酸とのAAM:AA=80:20(モル比)の共重
合体(平均分子量約3万)を固形分で100重量部、ポ
リビニルスルホン酸ナトリウム(平均分子量約0.4
万)を固形分で100重量部、硝酸クロム10部、硫酸
クロム5重量部の割合で含有して成る混合水系処理液
を、乾燥皮膜の厚さが約0.5μm になるようにバーコ
ートし、260℃で約30秒間加熱乾燥して、樹脂被膜
層を形成した。
【0055】実施例7 比較例6と同様の水性処理液に、さらに酢酸バリウム5
0重量部を添加したことを除き、比較例7と同様に処理
して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成し
た。
【0056】比較例7 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、クロム酸クロメート処理(日本パーカラ
イジング社製、アルクロム712(商標)、クロム付着
量約80mg/m2)を施し、さらにアクリルアミドとアク
リル酸とのAAM:AA=30:70(モル比)の共重
合体(平均分子量約3万)を固形分で100重量部、ポ
リビニルスルホン酸ナトリウム(平均分子量約0.4
万)を固形分で100重量部、硝酸クロム10部、硫酸
クロム5重量部、酢酸バリウム50重量部の割合で含有
して成る混合水系処理液を、乾燥皮膜の厚さが約0.5
μmになるようにバーコートし、260℃で約30秒間
加熱乾燥して、樹脂被膜層を形成した。
【0057】比較例8 比較例1と同様の脱脂洗浄を施した同一のアルミニウム
板の両面上に、アクリルアミドとジメチルアミノエチル
メタクリレート(DAM)4級化物とのAAM:DAM
=60:40(モル比)共重合体(平均分子量約95
万)を固形分で100重量部、ポリジメチルジアリルア
ンモニウム塩(第一工業製薬社製、シャロールDC−9
02P(商標))を固形分で50重量部、重リン酸クロ
ムを20重量部の割合で含有して成る混合水系処理液
を、乾燥皮膜の厚さが約1μm になるようにバーコート
し、260℃で約30秒間加熱乾燥して、樹脂被膜層を
形成した。
【0058】実施例8 比較例7と同様の水性処理液に、さらにフッ化リチウム
60重量部を添加したことを除き、比較例7と同様に処
理して、アルミニウム板の両面上に樹脂被膜層を形成し
た。
【0059】実施例1〜8および比較例1〜8において
用いられた水性処理液の組成を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】性能テスト 実施例1〜8、比較例1〜8に示した処理板試料を、F
ACE接触角計CA−P型(協和界面科学社製)を用
い、処理直後、および室温で流水8時間浸漬後、16時
間、80℃で乾燥するサイクル、5サイクル後における
試料表面の接触角の測定に供し、それにより、処理板試
料表面の親水性を評価した。また着霜障害抑制効果につ
いては、実施例1〜8、比較例1〜8の処理板試料を5
0mm四方に切断し、その樹脂被膜層表面を冷却板上に密
着させ、空気温度+2℃、相対湿度80%、空気流速1
m/sec.、アルミ面温度−5℃、着霜時間2時間の条件
下で着霜試験を行い、着霜量、着霜高さを測定した。ま
た、無処理アルミニウム板を同一着霜試験に供した。無
処理面の着霜量、着霜高さ、及び着霜密度をそれぞれ1
として、実施例1〜8、比較例1〜8の処理試料面に発
生した着霜量、着霜高さ、及び着霜密度を比較した結果
を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】実施例9 アルミニウムコイル(A−1200、H−26、0.1
1mmt )を脱脂後、リン酸クロメート処理(日本パーカ
ライジング社製、アルクロム702(商標)、クロム付
着量約20mg/m2)を施し、さらに実施例1に記載した
水性処理液を、乾燥皮膜の厚さが約1μm になるように
ロールコートし、270℃で加熱乾燥した。このプレコ
ートコイルを、揮発性プレス油(昭和シェル社製、RF
190(商標))の存在下にドローレス加工を行い、実
用に供する熱交換器(フィンピッチ1.7mm、フィン幅
22mm、管径9.52mm、段ピッチ5.4mm、列数1列)
を作製した。
【0064】比較例9 実施例9と同様にして、アルミニウムコイルに脱脂洗
浄、並びにクロメート処理を施して、本発明の水性処理
液を塗布していないコイルを作製し、これを実施例9と
同様の方法で加工し同型の熱交換器を作製した。
【0065】比較例10 実施例9と同様のアルミニウムコイルに脱脂洗浄、並び
にクロメート処理を施し、さらに、比較例1記載の水性
処理液を、乾燥皮膜の厚さが約1μm になるようにロー
ルコートし、270℃で加熱乾燥した。このプレコート
コイルを実施例9と同様の方法で加工し同型の熱交換器
を作製した。
【0066】実施例9、ならびに比較例9、および10
の熱交換器について、空気温度2℃、相対湿度80%、
冷媒温度−6℃、初期全面風速1m/sec.の着霜条件で
着霜試験を行った。尚、送風機回転数は実験中一定とし
た。これらの熱交換器の着霜試験時間と、前面風速との
関係を図1に示す。
【0067】表3から明らかなように、本発明の樹脂皮
膜層の組成から金属化合物成分(D)、或いは、ポリマ
ー成分(B)を除いた比較例1,2,3,4,6,およ
び8、本発明の成分(D)において特定されたもの以外
の金属化合物を用いた比較例5、並びに、一般式(I)
のモノマーAAMの含有率が40モル%に満たないポリ
マーを用いた比較例7において、得られた樹脂被膜層は
何れも良好な親水性を示すものであった。これらに比
べ、本発明の実施例1〜8の樹脂被膜層の親水性は、さ
らに良好で飛躍的に向上していることがわかる。
【0068】また、比較例1〜8に示した皮膜層は、着
霜高さ、及び着霜量を着霜高さで除した着霜密度は、ほ
ぼ1で無処理板とほとんど変わらず空気抵抗を減少させ
る効果は期待できないものであった。これに比べ、本発
明の実施例1〜8の樹脂被膜層は、その着霜高さが低
く、かつその着霜密度は20〜53%大きくなってお
り、すぐれた着霜障害抑制効果が認められた。
【0069】図1に示されているように、実施例9に示
した本発明の熱交換器は、比較例8、或いは比較例9に
比べ着霜密度が高密度化して着霜高さが低くなりその結
果、風路抵抗が小さくなり前面風速(熱交換器への空気
の流入速度)の低下が抑制され、風量が大きいことが確
認された。
【0070】
【発明の効果】本発明のアルミニウム含有金属複合材料
は優れた親水性、親水持続性、及び優れた着霜障害抑制
効果を有し、熱交換器用材料として極めて有用なもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のアルミニウム含有金属複合材
料により形成された熱交換器の一例の、着霜試験時間
と、前面風速との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古山 治 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内 (72)発明者 河本 隆雄 静岡県静岡市小鹿3丁目18番1号 三菱電 機株式会社静岡製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム含有金属材料と、その少な
    くとも1面上に形成された着霜防止性樹脂皮膜層とを有
    し、 前記着霜防止性樹脂被膜層が、下記成分: (1)下記一般式(I): 【化1】 〔但し、式(I)中、R1 は、水素原子又はメチル基を
    表わし、R2 およびR3は、それぞれ互いに独立に、水
    素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、ベン
    ジル基、又はヒドロキシアルキル基を表わす〕により表
    わされるモノマー(I)の少なくとも1種の重合体、お
    よび、40モル%以上の前記モノマー(I)の少なくと
    も1種と、60モル%以下の、前記モノマー(I)と共
    重合可能なコモノマーの少なくとも1種との共重合体か
    ら選ばれた少なくとも1種からなる水溶性ポリマー成分
    (A)と、 (2)分子中に、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホ
    ン酸基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミ
    ノ基、および第四級アンモニウム基から選ばれた少なく
    とも1員を有するモノマーおよびその水溶性塩(II)の
    少なくとも1種の重合体、および、前記モノマーおよび
    その水溶性塩(II)の少なくとも1種と、それと共重合
    可能な非イオン性コモノマーの少なくとも1種との共重
    合体、から選ばれた少なくとも1種からなる水溶性ポリ
    マー成分(B)と、 (3)前記水溶性ポリマー成分(A)および(B)と混
    合可能な少なくとも1種の水溶性架橋性化合物からなる
    水溶性架橋剤成分(C)と、および (4)リチウム化合物、マグネシウム化合物、およびバ
    リウム化合物から選ばれた少なくとも1種からなる金属
    化合物成分(D)、 を含む水性処理液の塗布、乾燥、および架橋反応により
    形成されたものである、ことを特徴とする、熱交換器用
    アルミニウム含有金属複合材料。
  2. 【請求項2】 前記着霜防止性樹脂皮膜層用水性処理液
    において、前記成分の固形分重量組成割合が、 成分(A)100重量部に対し、 成分(B)1〜400重量部、 成分(C)1〜400重量部、および 成分(D)1〜200重量部 である、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム含有
    金属複合材料。
  3. 【請求項3】 前記成分(A)において、モノマー
    (I)と共重合可能なコモノマーが、分子中に、カルボ
    ン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、第一級アミノ
    基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニ
    ウム基、ヒドロキシル基、エステル基、およびフエニル
    基から選ばれた少なくとも1員を有するモノマー、又は
    その水溶性塩から選ばれる、請求項1又は2に記載の熱
    交換器用アルミニウム含有金属複合材料。
  4. 【請求項4】 前記成分(B)において、前記モノマー
    およびその水溶性塩(II)が、アクリル酸、メタクリル
    酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スル
    ホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、
    N−メチレンスルホン酸アクリルアミド、2−アクリル
    アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスル
    ホン酸、ジメチルジアリルアンモニウム、クロロメチル
    スチレンと第三級アミンとの反応により得られた第四級
    アンモニウム化合物、およびその水溶性塩から選ばれ
    る、請求項1,2又は3に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム含有金属複合材料。
  5. 【請求項5】 前記成分(C)において、前記水溶性架
    橋性化合物が、水溶性クロム化合物、および水溶性ジル
    コニウム化合物から選ばれる、請求項1〜4のいづれか
    1項に記載の熱交換器用アルミニウム含有金属複合材
    料。
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JP2019113218A (ja) * 2017-12-21 2019-07-11 株式会社デンソー 伝熱部材及びこれを用いた熱交換器

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